説明

板材配列システム

【課題】 強固な床面を容易に形成することができ、配列した板材ユニットが外力によりずれたような場合でも自然に適切な位置に復帰することが可能な、板材配列システムを提供する。
【解決手段】 複数のガイドレール110は、長手方向が前後方向となる状態で左右方向に配列されており、複数の板材ユニット120は、前面と後面とに相互に接合される形状の凹凸が形成されていてガイドレール110上に前後左右に配列されている。複数の板材保持部材130は、ガイドレール110に前後方向にスライド自在に支持されていて板材ユニット120に前方から係合しており、部材付勢機構140は、複数の板材保持部材130を個々に後方に付勢している。板材ユニット120の配列が部材付勢機構140の付勢により維持されているので、多少の外力が作用しても板材ユニット120がずれることがなく、外力によりずれても自然に適切な位置に復帰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板材ユニットを配列して平面を形成する板材配列システムに関し、特に、建物の床面の形成に利用される板材配列システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、建物の床面は各種の構造で形成されているが、その1つとして細長形状の床板である板材ユニットを配列して水平な床面を形成するものがある。そこで、このように床面を形成する板材配列システムの一般的な従来例を図15を参照して以下に説明する。
【0003】
この板材配列システム10は、複数の根太11と複数の板材ユニット12を有しており、床基礎13上に形成される。この床基礎13は、例えば、コンクリートで形成されており、その上面は水平な平面として形成されている。根太11は、矩形断面の細長い木材で形成されており、長手方向が前後方向となる状態で床基礎13の上面に左右方向に配列されている。
【0004】
板材ユニット12は、左右方向に細長い平板状に形成されており、長手方向が左右方向となる状態で、例えば、複数の根太11上に複数が千鳥配列されている。このため、この板材ユニット12は、例えば、複数の根太11の配列ピッチの2倍の左右長に形成されており、その両端が根太11の中心上に位置するように配置されている。
【0005】
このような板材配列システム10では、床基礎13にアンカーボルト(図示せず)などで根太11が固定され、根太11に釘(図示せず)などで板材ユニット12が固定される。しかし、これでは根太11に板材ユニット12を装着するために工具が必要であり、板材ユニット12の交換も容易ではない。
【0006】
また、上述のような板材配列システム10を床暖房システムに適用する場合、例えば、ヒータパネルが根太11の下方や側方に配置される(図示せず)。しかし、このような構造で板材ユニット12が根太11に釘で固定されると、根太11を貫通した釘によりヒータパネルが破損することがある。
【0007】
上述のような課題を解決するため、ガイドレールとして形成した根太で所定構造の板材保持部材をスライド自在に支持し、その板材保持部材に板材ユニットを保持させる板材配列システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−105802号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記文献の板材配列システムでは、板材ユニットの前面と後面とにL字型の凹部が形成されており、その凹部に板材保持部材のL字型の凸部が係合することで板材ユニットが保持される。このため、板材ユニットの装着や交換に工具が必要ではなく、ガイドレールの下方や側方に配置したヒータパネルを破損することもない。
【0009】
なお、上述した板材配列システムでは、板材保持部材とガイドレールとの間隙に板バネが挿入されており、この板バネの摩擦力により板材保持部材がガイドレールに保持される。しかし、これではスライド自在な板材保持部材を確実に固定することができず、板材保持部材とともに板材ユニットがガイドレールの長手方向にずれる可能性がある。その場合、板材ユニットの配列に隙間が発生することになり、その板材ユニットの配列を修正することは一般ユーザには困難である。
【0010】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、板材ユニットの装着や交換に工具が必要ではなく、配列されている板材ユニットがずれることもない板材配列システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の板材配列システムは、複数のガイドレール、複数の板材ユニット、複数の板材保持部材、複数の部材付勢機構、を有している。複数のガイドレールは、長手方向が前後方向となる状態で左右方向に配列されており、複数の板材ユニットは、前面と後面とに相互に接合される形状の凹凸が形成されていてガイドレール上に前後左右に配列されている。複数の板材保持部材は、ガイドレールに前後方向に変位自在に支持されていて板材ユニットに前方から係合しており、部材付勢機構は、複数の板材保持部材を個々に後方に付勢している。
【0012】
本発明の板材配列システムでは、ガイドレールに変位自在に支持されていて部材付勢機構で後方に付勢されている板材保持部材が、ガイドレール上に配列されている板材ユニットに前方から係合しているので、板材ユニットの配列が部材付勢機構の付勢により維持されている。
【0013】
なお、本発明で云う各種の構成要素は、かならずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が1個の部材として形成されていること、1つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等も可能である。
【0014】
さらに、本発明では前後左右上下の方向を規定しているが、これは本発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の板材配列システムでは、ガイドレールに変位自在に支持されていて部材付勢機構で後方に付勢されている板材保持部材が、ガイドレール上に配列されている板材ユニットに前方から係合していることにより、板材ユニットの配列が部材付勢機構の付勢により維持されているので、多少の外力が作用しても板材ユニットがずれることがなく、外力により板材ユニットがずれても部材付勢機構の付勢により自然に適切な位置に復帰させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施の形態の構成]
本発明の実施の一形態を図1ないし図5を参照して以下に説明する。本実施の形態の板材配列システム100は、根太に相当する複数のガイドレール110、床板に相当する複数の板材ユニット120、複数の板材保持部材130、複数の部材付勢機構140、を主要部品として有しており、やはり床基礎150上に床面を形成するために利用されている。
【0017】
ガイドレール110は、図1に示すように、細長い矩形断面の直方体状に形成されており、床基礎150の上面に長手方向が前後方向となる状態で左右方向に配列されている。ガイドレール110は、その前後方向にガイド溝111が貫通されており、このガイド溝111は、上部が幅狭で下部が幅広の逆T字型の凹穴としてガイドレール110の上面に開口している。なお、詳細には後述するが、ガイドレール110は、2本を1組として所定ピッチで配列されているが、例えば、床基礎150の上面の左右両端では1本だけ配置されている。
【0018】
板材ユニット120は、図1および図2に示すように、細長い平板状に形成されており、複数のガイドレール110上に長手方向が左右方向となる状態で前後左右に配列されている。板材ユニット120は、左右方向に連続する形状で前面に接合凸部121が形成されているとともに後面に接合凹部122が形成されており、これらの接合凸部121と接合凹部122とは相互に接合される形状の凹凸として形成されている。
【0019】
なお、本形態の板材配列システム100では、図1に示すように、前後に隣接する板材ユニット120が、左右方向で半分だけ変位した千鳥配置でガイドレール110上に配列される。このため、板材ユニット120は、図2に示すように、前述のように2本1組で所定ピッチで配列されるガイドレール110に対し、2本1組のガイドレール110が下面中央に位置するとともに、2本1組のガイドレール110の内側の1本が下面両端に位置する形状に形成されている。
【0020】
ただし、上述のような千鳥配置では板材ユニット120の半分の左右長の隙間が床面の左右両端に発生するので、図1に示すように、これに対応した半分の左右長で2本のガイドレール110上に載置される板材ユニット120も用意されている。なお、実際には建物の床面は各種の形状であるため、板材ユニット120やガイドレール110は、床面の形状に対応して切断等される。
【0021】
板材保持部材130は、ガイドレール110にスライド自在に支持されており、板材ユニット120に係合している。より具体的には、板材保持部材130は、図1および図3に示すように、ガイドレール110のガイド溝111にスライド自在に係合する逆T字型のスライダ部131が、前後方向に連続する形状の凹凸として下部に形成されており、このスライダ部131から上方に支持凸部132が一体に形成されている。
【0022】
この支持凸部132は、ガイドレール110のガイド溝111の上面開口から上方に突出しており、その上端後面には係合凸部133が一体に形成されている。このため、板材ユニット120は、図1ないし図4に示すように、ガイドレール110に対応した位置で板材保持部材130の係合凸部133が係合する係合凹部123が係合段部として前面に形成されているとともに、支持凸部132が位置する支持凹部124が後面に形成されている。
【0023】
なお、本形態の板材配列システム100では、板材保持部材130が板材ユニット120に係合した状態で、その支持凸部132と接合凸部121との上面および前面が面一となるので、板材ユニット120の接合凹部122と支持凹部124との後面も面一に形成されている。
【0024】
部材付勢機構140は、前部ストッパ141と弾発部材であるコイルスプリング142とを有しており、前部ストッパ141も、ガイドレール110のガイド溝111に係合する逆T字型に形成されている。前部ストッパ141は、板材保持部材130の前方に所定距離だけ離反した位置でガイドレール110に固定されており、コイルスプリング142は、ガイドレール110のガイド溝111の内部で前部ストッパ141と板材保持部材130との間隙に圧入されている。
【0025】
このため、板材保持部材130は、部材付勢機構140により弾発的に後方に付勢されており、この付勢された状態で板材ユニット120に前方から係合している。なお、ガイドレール110には、板材ユニット120に係合している板材保持部材130より後方の位置に後部ストッパ144も装着されているので、板材保持部材130は、板材ユニット120に係合していない状態では後部ストッパ144に当接している。
【0026】
[実施の形態の作用]
上述のような構成において、本実施の形態の板材配列システム100により床面を形成する方法を以下に順番に説明する。まず、本形態の板材配列システム100では、ガイドレール110に板材保持部材130と部材付勢機構140と後部ストッパ144とが事前に装着されており、このような複数のガイドレール110が複数の板材ユニット120とともに用意される。
【0027】
そして、従来と同様にコンクリートなどで形成されている床基礎150の水平な上面に、根太として複数のガイドレール110がアンカーボルト(図示せず)などで固定される。その場合、複数のガイドレール110は、例えば、図1に示すように、長手方向を前後方向とした状態で2本1組が所定ピッチで左右方向に配列され、左右両端のみ1本が配置される。
【0028】
このような状態で、複数のガイドレール110上に、前後に隣接する板材ユニット120が左右方向で半分だけ変位した千鳥配置となるように、複数の板材ユニット120が後方から順番に配列される。その場合、図3(a)(b)に示すように、まず、板材ユニット120が設置される位置の板材保持部材130が部材付勢機構140の付勢に抗して手作業などで前方に変位され、図4(a)に示すように、その前方の板材保持部材130と後方の板材ユニット120との間隙に、上方から板材ユニット120が挿入される。
【0029】
図4(b)に示すように、このように挿入された板材ユニット120が後方に変位されることで、その接合凹部122が後方の板材ユニット120の接合凸部121と接合される。そして、図4(c)に示すように、板材保持部材130が部材付勢機構140の付勢により後退することで、その係合凸部133が板材ユニット120の係合凹部123に係合する。
【0030】
本形態の板材配列システム100では、上述のように複数のガイドレール110上に配列された複数の板材ユニット120は、前面の接合凸部121と後面の接合凹部122とにより相互に接合されるとともに、各々の前部が板材保持部材130によりガイドレール110上に保持される。このため、複数の板材ユニット120を平面状に配列された状態で良好に固定することができ、強固な床面を形成することができる。
【0031】
さらに、板材保持部材130が部材付勢機構140により後方に常時付勢されているので、その付勢により複数の板材ユニット120の相互の接合も常時維持されている。このため、例えば、多少の外力が作用しても板材ユニット120が変位することがなく、外力により板材ユニット120が変位しても部材付勢機構140の付勢により自然に適切な位置に復帰させることが可能である。
【0032】
しかも、板材ユニット120をガイドレール110に釘で固定するような必要がないので、例えば、床暖房用のヒータパネルをガイドレール110の側方や下方に配置した場合でも(図示せず)、そのヒータパネルを釘で損傷するようなことがない。さらに、板材ユニット120の装着や交換に工具を必要とすることがないので、床面の形成が容易であり、損傷した板材ユニット120を部分的に交換することや、複数のガイドレール110の間隙にヒータパネルを増設するようなことも容易である(図示せず)。
【0033】
なお、図3および図4では説明を明瞭とするため、板材保持部材130が部材付勢機構140の付勢に抗して前方に変位された状態で板材ユニット120が上方から挿入されることを説明したが、実際の作業では、図5に示すように、板材ユニット120を斜め上方から前方に押し込むことが好適である。この場合、板材ユニット120の複数の係合凹部123に複数の係合凸部133を簡単に係合させることができるので、板材配列システム100の組立性が良好である。
【0034】
また、床面の後端に位置する板材ユニット120は、その後部を保持する手段がないので、例えば、ガイドレール110に接着などで固定することが好適である。さらに、床面の前端に位置する板材ユニット120は、接合凸部121などが上面に露出することになるので、その部分には対応する形状の板材ユニット(図示せず)などを装着しておくことが好適である。
【0035】
[実施の形態の変形例]
本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では板材配列システム100を水平な床面の形成に利用することを例示したが、上述のような板材配列システム100を水平な天井面や垂直な壁面や傾斜面などの形成に利用することも可能である(図示せず)。
【0036】
また、上記形態では板材ユニット120を千鳥配置とすることを例示したが、板材ユニット120を単純な行列配置とすることも可能である(図示せず)。なお、千鳥配置では配列された板材ユニット120の全部が直接的または間接的に接合されるので、その接合が強固である。一方、単純な行列配置では半分の左右長の板材ユニット120を用意する必要がないので、システム全体の構成を簡略化することができる。
【0037】
さらに、上記形態では2本1組のガイドレール110が下面中央に位置するとともに、2本1組のガイドレール110の内側の1本が下面両端に位置する形状に板材ユニット120が形成されていることを例示したが、板材ユニット120は、2本1組のガイドレール110の配列ピッチの整数倍に対応した左右長に形成することが好適である。
【0038】
また、上記形態ではガイドレール110が2本1組で配列されることを例示したが、3本以上を1組として配列することも可能であり(図示せず)、さらに、その1組の複数本のガイドレール110を一体に形成しておくことも可能である(図示せず)。
【0039】
また、上記形態では板材保持部材130が前方に配置されたコイルスプリング142の圧力により後方に付勢されていることを例示したが、例えば、板材保持部材130が後方に配置されたコイルスプリング(図示せず)の張力により後方に付勢されているようなことも可能である。
【0040】
さらに、上記形態では板材保持部材130を後方に付勢する部材付勢機構140がコイルスプリング142などで形成されていることを例示したが、例えば、このような部材付勢機構が板バネやゴム塊やガススプリングや一対のマグネットなどで形成されていることも可能である(図示せず)。
【0041】
また、上記形態ではガイドレール110に前後方向に連続するガイド溝111が形成されており、そこに前方または後方から挿入された複数の板材保持部材130や部材付勢機構140などが所定位置に各々配置されていることを想定した。しかし、図6(a)に示すように、例えば、板材保持部材130や部材付勢機構140などをボックス状の板材保持ユニット201として形成しておき、この板材保持ユニット201が上方から装着される凹穴202をガイドレール203に形成しておくことも可能である。
【0042】
なお、上述の板材保持ユニット201は、上部のみ開口したボックス状であることを想定しているが、その前部と後部と底部との一部ないし全部を省略することも可能である。例えば、これらの全部を省略した場合、図6(b)に示すように、板材方式ユニット201は、左右両側から板材保持部材130を支持する一対のレール部材205として形成することが可能である。この場合、左右のレール部材205は、共通部品として製造できるので、その生産性が良好である。
【0043】
さらに、図7(a)に示すように、板材保持部材210の下部の左右側面に、前後方向に連続する形状の凹凸211を形成しておき、この凹凸211と係合する凹凸212をレール部材213の左右内面に前後方向に連続する形状で形成しておくことも可能である。
【0044】
この場合、例えば、板材保持部材210とレール部材213とを、弾発性を有する樹脂などで形成しておけば、ガイドレール203の凹穴202にレール部材213を装着した状態で、そこに上方から板材保持部材210を圧入して組み付けるようなことが可能である。
【0045】
このような構造の板材配列システム(図示せず)では、例えば、製造誤差などのために板材ユニット120がガイドレール203から遊離した場合に、その板材ユニット120を上方から押圧して板材保持部材210を凹凸211、212の1段分だけ下降させ、板材ユニット120をガイドレール203に密着させるようなことが可能である。
【0046】
なお、上述のようにガイドレール203のレール部材213を装着した凹穴202に上方から板材保持部材210を圧入して組み付けるならば、図6(b)に示すように、その圧入が容易な逆棘状の断面形状にレール部材220と板材保持部材221との凹凸222、223を形成しておくことが好適である。
【0047】
また、上記形態ではコイルスプリング142を保持する前部ストッパ141と板材保持部材130を所定位置に配置する後部ストッパ144とが別個に形成されていることを例示したが、図8に例示する板材配列システム230のように、これらがストッパ部材231として一体化されていることも可能である。
【0048】
さらに、上記形態では図示を簡単にするため、板材保持部材130のスライダ部131が左右方向のみ突出していることを例示したが、図8に例示する板材配列システム230のように、実際には板材保持部材232のスライダ部233が前方や後方にも突出した形状に形成されていることが好適である。この場合、板材保持部材232が前後方向に傾斜しにくくなるので、より確実に板材ユニット120が保持される。
【0049】
また、図9に例示する板材配列システム240のように、板材保持部材241のスライダ部242を補助凸部として後方に突出した形状に形成しておき、板材ユニット246の係合凹部123に板材保持部材241の係合凸部133が係合した状態で、後方に突出しているスライダ部242の上面に係合する補助段部243を、ガイドレール110に形成しておくことも可能である。この場合、板材保持部材241が、板材ユニット246に上方から結合するとともにガイドレール110に下方から係合するので、板材保持部材241により板材ユニット246とガイドレール110とを確実に接合することができる。
【0050】
さらに、上記形態では板材保持部材130の係合凸部133が係合する板材ユニット120の前面の係合段部が、係合凹部123として形成されていることを例示した。しかし、図9に例示する板材配列システム240のように、板材保持部材241の前面に係合凸部133の下面が上面に係合する係合段部247を板材ユニット246に形成しておき、その上方は開口しておくことも可能である。ただし、この場合は係合段部247の上方の開口を閉止する必要があるので、板材ユニット246の後面上部248を後方に延長しておくことが好適である。
【0051】
また、上記形態では板材保持部材130の係合凸部133の下面と板材ユニット120の係合凹部123の上面とが水平であることを例示したが、図10(a)に例示する板材配列システム250のように、板材保持部材251の係合凸部252の下面が後方ほど上昇した傾斜面として形成されていることも可能である。この場合、板材保持部材251が板材ユニット120に係合することにより、係合凸部252の下面の傾斜により板材ユニット120が下方に変位されるので、さらに良好に板材ユニット120をガイドレール110に接合させることができる。
【0052】
同様に、図10(b)に例示する板材配列システム255のように、板材ユニット256の係合凹部257の下面が後方ほど上昇した傾斜面として形成されていることも可能であり、図11に例示する板材配列システム260のように、板材保持部材261の係合凸部262の下面が後方ほど上昇した傾斜面として形成されているとともに、板材ユニット266の係合凹部267の下面が後方ほど上昇した傾斜面として形成されていることも可能である(図示せず)。
【0053】
特に、図11に例示する板材配列システム260では、板材保持部材261のスライダ部263が後方に突出しており、その上面が前方ほど上昇しているとともに、そこに係合する補助段部264の下面も前方ほど上昇しているので、さらに良好に板材ユニット266をガイドレール110に接合させることができる。
【0054】
しかも、図11に例示する板材配列システム260では、板材保持部材261のスライダ部263の下面と板材ユニット266の係合凹部267の上面とが、相互に係合する逆棘状の断面形状に形成されている。同様に、板材保持部材261のスライダ部263の上面と補助段部264の下面も、相互に係合する逆棘状の断面形状に形成されている。このため、より確実に板材保持部材261を板材ユニット266とガイドレール110とに接合させることができ、板材ユニット266とガイドレール110との接合を、より良好とすることができる。
【0055】
さらに、上述した板材配列システム100では、板材ユニット120の前面に矩形断面の接合凸部121が形成されているとともに、後面に矩形断面の接合凹部122が形成されていることを例示した。しかし、図12(a)に示すように、板材ユニット270の前面が前方に突出した三角形の断面形状の接合凸部271として形成されているとともに、後面が前方に引っ込んだ三角形の断面形状の接合凹部272として形成されているようなことも可能である。
【0056】
また、図12(b)に示すように、板材ユニット275の前面に逆棘形状の接合凸部276が形成されているとともに、後面に接合凸部276が係合する形状の接合凹部277が形成されていることも可能である。この場合、複数の板材ユニット275の相互の接合を、より確実とすることができる。
【0057】
さらに、図12(c)に示すように、板材ユニット280の前面に矩形断面の接合凹部281が形成されており、後面に矩形断面の接合凸部282が形成されていることも可能である。この場合、接合凹部281が係合凹部123を兼用することができるので、板材ユニット280の構造を簡単にすることができる。
【0058】
また、上記形態では板材ユニット120の前面に係合凹部123が形成されているとともに後面に支持凹部124が形成されていることを例示したが、図13(a)に例示する板材配列システム290のように、板材ユニット291の前面に支持凹部292と係合凹部293とを形成しておくことも可能である。
【0059】
なお、この板材配列システム290では、板材保持部材130の上部前方に板材ユニット291の接合凹部122がデッドスペースとして位置することになる。そこで、このような板材ユニット291を使用する場合、図13(b)に例示する板材配列システム295のように、板材保持部材296の上部前面に第2凸部297を形成しておき、これを板材ユニット291の接合凹部122に係合させることが好適である。
【0060】
この場合、板材保持部材296により板材ユニット291の前部と後部との両方が直接に保持されるので、板材ユニット291の保持を、さらに確実とすることができる。それでいて、第2凸部297が係合する専用の第2凹部を板材ユニット291に形成する必要がないので、板材ユニット291の構造が簡単で生産性が良好である。ただし、第2凸部297が係合する専用の第2凹部を有する板材ユニットを形成することも可能である(図示せず)。
【0061】
さらに、上記形態では板材ユニット120の前部が板材保持部材130により保持されるとともに、板材ユニット120の後部は後方の板材ユニット120との係合により保持されることを例示した。しかし、図14に例示する板材配列システム300のように、板材ユニット310の後面に係合する後部保持部材320をガイドレール321の上面に形成しておき、板材ユニット310の前部を板材保持部材130に保持させるとともに、後部を後部保持部材320に保持させることも可能である。
【0062】
この板材配列システム300では、前述した板材ユニット120の接合凸部121と同等な形状に後部保持部材320が形成されており、この後部保持部材320が係合する保持凹部311が板材ユニット310の前面に形成されている。この板材配列システム300では、板材ユニット310の前部と後部との両方がガイドレール321の上面に直接的に保持されるので、極めて強固な床面を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態の板材配列システムの組立構造を示す分解斜視図である。
【図2】板材ユニットの構造を示す一部を破断した斜視図である。
【図3】板材配列システムの組立方法の前半部分を示す縦断側面図である。
【図4】板材配列システムの組立方法の後半部分を示す縦断側面図である。
【図5】板材配列システムの現実的な組立方法を示す模式図である。
【図6】変形例の板材配列システムの要部を示す分解斜視図である。
【図7】他の変形例の板材配列システムの要部を示す分解斜視図である。
【図8】さらに他の変形例の板材配列システムを示す縦断側面図である。
【図9】さらに他の変形例の板材配列システムを示す縦断側面図である。
【図10】さらに他の変形例の板材配列システムの要部を示す縦断側面図である。
【図11】さらに他の変形例の板材配列システムの要部を示す縦断側面図である。
【図12】さらに他の変形例の板材配列システムの板材ユニットを示す縦断側面図である。
【図13】さらに他の変形例の板材配列システムを示す縦断側面図である。
【図14】さらに他の変形例の板材配列システムを示す分解斜視図である。
【図15】一従来例の板材配列システムを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
100、230、240、250、255、260、290、295、300 板材配列システム
110、203、321 ガイドレール
111、 凹穴および凹凸であるガイド溝
120、246、256、266、270、275、280、291、310 板材ユニット
121、271、276、282 凹凸である接合凸部
122、272、277、281 凹凸である接合凹部
123、257、267 係合段部である係合凹部
130、210、221、232、241、251、261、296 板材保持部材
131、233 凹凸に相当するスライダ部
132、252、262 支持凸部
133 係合凸部
140、 部材付勢機構
211、212、222、223 凹凸
242、263 補助凸部であるスライダ部
243、264 補助段部
247 係合段部
297 第2凸部
320 後部保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向が前後方向となる状態で左右方向に配列されている複数のガイドレールと、
前面と後面とに相互に接合される形状の凹凸が形成されていて前記ガイドレール上に前後左右に配列されている複数の板材ユニットと、
前記ガイドレールに前後方向に変位自在に支持されていて前記板材ユニットに前方から係合している複数の板材保持部材と、
複数の前記板材保持部材を個々に後方に付勢している複数の部材付勢機構と、
を有している板材配列システム。
【請求項2】
前記板材保持部材は、前記ガイドレールから上方に突出している支持凸部と、前記支持凸部の上部後面に形成されている係合凸部と、を有しており、
前記板材ユニットは、前記板材保持部材の係合凸部が上面に係合する係合段部が前面に形成されている請求項1に記載の板材配列システム。
【請求項3】
前記板材保持部材は、前記係合凸部の下面が後方ほど上昇している請求項2に記載の板材配列システム。
【請求項4】
前記板材ユニットは、前記係合段部の上面が後方ほど上昇している請求項2または3に記載の板材配列システム。
【請求項5】
前記板材保持部材は、前記支持凸部の上部前面に第2凸部が形成されており、
前記板材ユニットは、前記板材保持部材の第2凸部が上面に係合する第2段部が後面に形成されている請求項2ないし4の何れか一項に記載の板材配列システム。
【請求項6】
前記ガイドレールは、前記板材ユニットの後面に係合する後部保持部材を有している請求項2ないし5の何れか一項に記載の板材配列システム。
【請求項7】
前記板材保持部材は、前記ガイドレールの上面より下方の後面に補助凸部が形成されており、
前記ガイドレールは、所定位置に配列されている前記板材ユニットの係合段部に前記板材保持部材の係合凸部が係合した状態で前記補助凸部の上面に係合する補助段部を有している請求項2ないし6の何れか一項に記載の板材配列システム。
【請求項8】
前記板材保持部材は、前後方向に連続する形状の凹凸が前記ガイドレールに係合する下部の左右側面に形成されており、
前記ガイドレールは、前記板材保持部材の下部がスライド自在に配置される凹穴が形成されており、前記凹穴の左右内面に前後方向に連続する形状で前記板材保持部材の下部側面の前記凹凸と係合する凹凸が形成されている請求項1ないし7の何れか一項に記載の板材配列システム。
【請求項9】
前記板材保持部材と前記ガイドレールとの少なくとも一方の前記凹凸が、前記板材保持部材の下部が前記ガイドレールの凹穴に下方へは挿入容易で上方には引出困難な逆棘状の断面形状に形成されている請求項8に記載の板材配列システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−16503(P2007−16503A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199815(P2005−199815)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(597037050)アオキ住宅機材販売株式会社 (10)
【Fターム(参考)】