説明

板状体連結具、簡易間仕切り構造及び簡易間仕切りセット

【課題】1つの種類で多数の連結形状に適応し、簡易間仕切りの組立作業が煩雑でなく、取扱性がよく、長期保管にも適した板状体連結具、それを用いた簡易間仕切り構造及び簡易間仕切りセットを提供する。
【解決手段】板状体連結具Aを、各々板状体P,Pを挟み込む1対のクリップ部1L,1Rを互いに並べて、折り曲げ可能な連結部7により一体に連結するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状体同士を連結する板状体連結具、それを用いた簡易間仕切り構造及び簡易間仕切りセットに関する。
【背景技術】
【0002】
各地での地震や水害等の大規模災害時には、学校の体育館や教室、或いは公民館やホール等の公共施設が一時的な避難所として用いられる。このような避難所には多数の人々が居住するが、区画の無い大きな空間に複数の家族が居住することになるため、プライバシーを確保することが難しい。
【0003】
そこで、このような避難所の空間を簡易に区画するため、一時的に設置する仮設の間仕切りが提案されている。例えば特許文献1に示されるように、複数枚の矩形の板体の上端同士及び下端同士を連結部材によって連結する仮設間仕切り構造が提案されている。そして、この間仕切り構造では、連結する部分が直線状、L字状、T字状、十字状であるため、それぞれの部分に適する複数種類の連結部材を用いれば、自由な間取りに組み立てることができるために好ましいとしている。また、壁を構成する矩形の板体は、発泡合成樹脂製が望ましいとしている。
【0004】
また、特許文献2に示されるように、段ボール製で箱体に形成された間仕切りが提案されている。
【特許文献1】特開2002−115357号公報
【特許文献2】特開2006−161523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、引用文献1のものでは、複数種類の連結部材を用意する必要があって組立時の取扱いが煩雑となり、さらに現場の形状によって必要数量も異なるので、準備が大変である。また、連結部材の保管時においても形状に応じて整理する必要があって面倒である。さらに、実際の現場では、必ずしも矩形で区画されるとは限られず、多様な形状の区画には対応でき難い。
【0006】
また、発泡合成樹脂製の板体は、軽量で取扱いが容易ではあるが、現場の形状に合わせるように切断しようとする場合には、カッター等の工具がないと割れてしまって却って不便となる。長期間になる保管時においても、温湿度コントロールされていない備蓄倉庫内での環境変化が大きく、特に高温下では変形してしまうことがある。また、不要になった発泡合成樹脂製の板体はリサイクル性がやや低い点も問題である。
【0007】
さらに、L字状、T字状、十字状にパネルを連結する際の連結手段は、面ファスナや両面粘着テープを想定しているが、別途これらを用意する必要が生じる。板体に対し予め付与しておいてもよいが、長期間になる保管において、温湿度コントロールされていない備蓄倉庫内は環境変化が大きく、特に高温下では変形変質してしまうことがある。
【0008】
一方、特許文献2のものでは、段ボール製の箱体を折り畳んだ状態で収納することを想定しており、使用時には、その都度箱体に組み立てる必要があって、作業が煩雑となる。また、段ボール製の箱体は、軽量で取扱いが容易ではあるものの、現場の形状に合わせるように切断しようとする場合には、カッター等の工具を用意してないと切断が容易でない。
【0009】
また、体育館等の施設の床は板張り等が多いが、断熱性が低く、長期間の生活を余儀なくされると、避難者の体が冷えてしまって負担が大きい。そこで、余った間仕切りパネルを断熱性のよい敷床として適用することも考えられるが、発泡合成樹脂製の板体や段ボール製のパネルは局部圧縮強度に弱く、長時間の荷重によって、凹んだりへたったりして取扱い難く、不快に感じてしまうので適当ではない。また段ボール製は耐水性にも弱く、生活水や発汗によっても変形してしまう虞れがある。
【0010】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、1つの種類で多数の連結形状に適応し、簡易間仕切りの組立作業が煩雑でなく、取扱性がよく、長期保管にも適した板状体連結具、それを用いた簡易間仕切り構造及び簡易間仕切りセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成すべく、この発明では、板状体連結具として、板状体を挟み込む1対のクリップ部を互いに並べて、折り曲げ可能な連結部により一体的に連結するものとした。
【0012】
具体的には、請求項1の発明の板状体連結具は、各々、基部と該基部の一端に折り返し状態に連続する挟み込み部とからなり、板状体に端部から、該板状体を上記基部と挟み込み部との間に挟み込むように外嵌合可能な1対のクリップ部と、これら両クリップ部の基部同士を両クリップ部が間隔をあけて並んだ状態で折り曲げ可能に一体的に連結する連結部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
上記の構成によると、板状体連結具を用いて2つの板状体を連結する場合、連結具のクリップ部をそれぞれ板状体に該各クリップ部の基部と挟み込み部との間に板状体が挟み込まれるように外嵌合して取り付けることで、両板状体が連結具を介して一体的に連結される。このように連結具のクリップ部をそれぞれ板状体に嵌めるだけで両板状体が連結されるので、簡易間仕切りを簡単に組み立てることができる。
【0014】
また、連結具のクリップ部を板状体に嵌めるだけの構造であるので、その連結具を簡単に板状体から取り外すことができ、組み立てた簡易間仕切りを組み立て直したり、解体して保管したりすることも容易にできる。
【0015】
簡易間仕切りを組み立てるとき、連結具が連結部で折り曲げられていない状態では、クリップ部が並んだ状態であるので、両板状体は直線状に並んで連結される。そして、連結具を折り曲げ可能な連結部で折り曲げることによって、両板状体を折れ曲がって(交差して)並んだ状態に連結することができ、その連結部の折り曲げ角度の選択によって、両板状体の連結角度(交差角度)を適宜変えることができる。このことで、1種類の連結具で、両板状体を直線状、L字状、T字状、十字状に連結することができ、その他の角度にも連結部で自在に折り曲げて、現場の区画形状が鋭角や鈍角であるときにも容易に適用することができる。
【0016】
また、連結具のクリップ部は板状体に端部から、該板状体を基部と挟み込み部との間に挟み込むように外嵌合可能であるので、その板状体の上端部(天端部)又は下端部(地端部)を問わず1種類の連結具を組み付けることができる。
【0017】
さらに、連結部で折り曲げられていない状態の連結具は、その連結部により1対のクリップ部の基部同士を一体に連結した直線形状のものであるので、不使用時の保管に適する。
【0018】
また、連結具が1種類だけであるので、複数のものを用意する必要がなく、その管理が容易である。しかも、1種類の連結具を用いて板状体を連結すればよいので、簡易間仕切りの組立時に混乱することがない。
【0019】
請求項2の発明では、上記クリップ部は弾性を有するものとする。このことで、弾性を有するクリップ部を板状体に嵌めたときに、基部と挟み込み部との間に板状体が押圧されて挟み込まれるようになり、その押圧によって板状体が安易に抜け出さず、板状体同士を安定して連結することができる。
【0020】
請求項3の発明では、連結具が金属製のもので、その連結部は両クリップ部の基部と一体のものであり、その連結部に連結部での折り曲げ操作を容易にするための脆弱部が形成されていることを特徴とする。
【0021】
このことで、脆弱部によって連結部を弱いカでも簡単に折り曲げることができ、特に、実際に簡易間仕切りの組立作業が必要とされると予想される老人、女性、子供等の弱者でも取扱い易くなる。
【0022】
また、連結具が金属製であるので、連結部の折曲げ状態を安定して固定保持でき、簡易間仕切りの組立作業が容易となるとともに、連結具の長期間の保管やリサイクル性に好適となる。
【0023】
請求項4の発明では、上記脆弱部は連結部に沿って不連続に形成された複数の孔であることを特徴とする。このことで、連結部に脆弱部を容易に形成することができる。
【0024】
請求項5の発明の簡易間仕切り構造は、隣接する1対の木質繊維板からなる板状体にそれぞれ請求項1〜4のいずれか1つの板状体連結具のクリップ部が外嵌合されて、該両板状体が連結されていることを特徴とするものである。
【0025】
このことで、請求項1の発明と同様に、板状体連結具のクリップ部をそれぞれ板状体に該各クリップ部の基部と挟み込み部との間に板状体が挟み込まれるように外嵌合して取り付けることで、両板状体が連結具を介して一体的に連結され、簡易間仕切り構造が得られる。
【0026】
そして、この簡易間仕切り構造では、板状体が木質繊維板からなるので、以下の効果が得られる。木質繊維板からなる板状体は軽量で取扱いがし易く、運搬性も高い。また、長期保管にも適するとともに、リサイクル性も高い。さらに、木質繊維板からなる板状体の吸放湿性及び吸音性が高く、避難所内での快適性が向上する。また、木質繊維板からなる板状体はクッション性や衝撃吸収性があり、子供がぶつかっても問題はない。木質繊維板からなる板状体は断熱性や吸放湿性が高く、クッション性も高いので、敷床にも適している。また、木質繊維板からなる板状体は、長さ方向が高さ方向になるように立てて置いてもへたることがなく、長期間に亘って形状を維持することができ、更衣室や授乳部屋等、特に高さが必要でプライバシーが要求される間仕切りとしても設置利用が可能である。
【0027】
請求項6の発明の簡易間仕切りセットは、請求項1〜4のいずれか1つの板状体連結具と板状体とが組み合わされたことを特徴とするものである。
【0028】
この発明では、上記請求項1又は5の発明と同様の作用効果を奏することができる。また、板状体連結具と板状体とが組み合わされているので、それらを備蓄しておけば、取り出してきてそのままの状態で、連結具により板状体を連結して誰でも直ぐに簡易間仕切りを組み立てることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明のように、請求項1の発明の板状体連結具によると、板状体を基部と挟み込み部との間に挟み込むように外嵌合可能な1対のクリップ部と、これら両クリップ部の基部同士を両クリップ部が間隔をあけて並んだ状態で折り曲げ可能に一体的に連結する連結部とを備えたことにより、連結具のクリップ部をそれぞれ板状体に嵌めるだけで両板状体を連結して、簡易間仕切りを簡単に組み立てることができる。また、連結具は嵌めるだけ構造であるので、その連結具を簡単に取り外すことができ、組み立てた簡易間仕切りを組み立て直したり解体して保管したりすることが容易にできる。また、連結部を折り曲げることによって両板状体の連結角度を適宜変え、1種類の連結具で両板状体を直線状、L字状、T字状、十字状に連結して、現場の区画形状が鋭角や鈍角であるときにも容易に適用することができる。また、板状体の上端部又は下端部を問わず1種類の連結具を組み付けることができる。さらに、連結部で折り曲げられていない状態の連結具は、直線形状のもので、不使用時の保管に適する。また、連結具が1種類だけであるので、その管理が容易であるとともに、簡易間仕切りの組立時に混乱することがない。
【0030】
請求項2の発明によると、クリップ部を弾性を有するものとしたことにより、連結具のクリップ部を板状体に嵌めたときに、基部と挟み込み部との間に板状体が押圧されて挟み込まれて安易に抜け出さず、板状体同士を安定して連結することができる。
【0031】
請求項3の発明によると、連結具を金属製のものし、その連結部を両クリップ部の基部と一体のものとして、その連結部に連結部での折り曲げ操作を容易にするための脆弱部を形成したことにより、脆弱部によって連結部を弱いカでも簡単に折り曲げることができるとともに、連結部の折曲げ状態を安定して固定して、簡易間仕切りの組立作業の容易化、連結具の保管やリサイクル性の向上を図ることができる。
【0032】
請求項4の発明によると、脆弱部を連結部に沿って不連続に形成された複数の孔としたことにより、連結部に脆弱部を容易に形成することができる。
【0033】
請求項5の発明の簡易間仕切り構造によると、隣接する1対の木質繊維板からなる板状体にそれぞれ板状体連結具のクリップ部が外嵌合されて、該両板状体が連結されていることにより、請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。また、木質繊維板からなる板状体は取扱い性、運搬性、長期保管性やリサイクル性を高めることができるとともに、吸放湿性及び吸音性が高くて、避難所内での快適性を向上させることができ、さらには、クッション性や衝撃吸収性が得られ、断熱性や吸放湿性が高く、敷床にも適し、立てて設置しても形状を長期に亘り安定して維持でき、プライバシーが要求される間仕切りとしても設置利用が可能である。
【0034】
請求項6の発明の簡易間仕切りセットによると、板状体連結具と板状体とが組み合わされたことにより、請求項1又は5の発明と同様の作用効果を奏することができるとともに、板状体連結具と板状体とを備蓄しておけば、取り出してきてそのままの状態で、誰であっても直ぐに簡易間仕切りを組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0036】
(板状体連結具)
図1〜図4は本発明の実施形態に係る板状体連結具Aを示し、この連結具Aは鉄や非鉄金属等の金属からなる。連結具Aは薄板状のもので、弾性を持つ左右1対のクリップ部1L,1Rと、それら左右の両クリップ部1L,1Rを一体に連結する連結部7とからなる。
【0037】
上記各クリップ部1L,1Rは、矩形平板状の基部2と、この基部2の一端(図2〜図4の上端)から前側(図4の左側)に略直角に折り曲げられた矩形平板状の接続部3と、この接続部3の前端(図4の左端)から下方に略直角に基部2と略平行に折り曲げられた挟み込み部4とからなる。すなわち、挟み込み部4は基部2の一端に折り返し状態に連続し、この挟み込み部4と基部2との間には所定の間隔(後述する板状体Pの厚さよりも若干大きい間隔)があけられている。そして、挟み込み部4は、その上下長さが基部2の上下長さよりも短く、基部2との上記間隔が上側から下側に向かって次第に小さくなるように基部2に対して少し傾斜している。さらに、挟み込み部4の下端部(先端部)には、下側に向かって前側に向かう方向(基部2との間隔が大きくなる方向)に傾斜するように折り曲げられた傾斜案内部4aが形成されており、各クリップ部1L,1Rは、板状体P(パネル)にその端部から、基部2と挟み込み部4との間に板状体Pを挟み込むように外嵌合可能となっている。
【0038】
一方、上記連結部7は、上記左右の両クリップ部1L,1Rの基部2,2と面一に連続するように一体形成されたもので、両クリップ部1L,1Rの基部2,2同士を両クリップ部1L,1Rが左右方向に間隔をあけて並んだ状態で連結しており、この連結部7において両クリップ部1L,1Rが、例えば図5に示すように、上側から見て左側クリップ部1Lが時計回り方向に回動し、右側クリップ部1Rが反時計回り方向に回動するように、後側に折り曲げ角度θ(0≦θ≦180°)で折り曲げ可能となっている。
【0039】
さらに、上記連結部7には、該連結部7での折り曲げ操作を容易にするための脆弱部8が形成されている。具体的には、この脆弱部8は連結部7に沿って上下方向に一定の間隔をあけて不連続に形成された複数(例えば図示例のように3つ)の縦長矩形状の長孔9,9,…からなる。脆弱部8を構成する孔は上記の如き長孔9,9,…に限定されず、他の形状のものでもよい。
【0040】
尚、上記各クリップ部1L,1Rにおける基部2下端の外側(左側クリップ部1Lでは左側、右側クリップ部1Rでは右側)の角部と、挟み込み部4の下端左右角部とにはいずれも面取り状に斜めに切り欠かれて面取り部11,11,…が形成されている。
【0041】
(板状体)
上記板状体Pは木質繊維板からなり、木質繊維と結合剤とを主成分として湿式抄造又は乾式で製造されるパネルである。例えばタタミボード、インシュレーションボード、MDF、ハードボード等が挙げられる。特に密度0.40g/cm未満のものが、軽量でクッション性があり、断熱性も高いので望ましい。
【0042】
板状体Pのサイズは適宜でよいが、例えば厚さ6mm、幅910mm、長さ1820mm程度の大きさものが取扱性がよいので好ましい。
【0043】
尚、この板状体Pは、木質繊維板からなるパネルであるので、現場で必要な連結具Aの数が不足した場合には、一般的なクラフトテープやガムテープ等を利用して張り合わせて、一時補強的に連結することも可能である。
【0044】
(簡易間仕切りセット)
上記必要な数の板状体連結具Aを所定枚数の板状体Pと組み合わせることで、本発明の実施形態に係る簡易間仕切りセットを構成する。
【0045】
(簡易間仕切り構造)
また、上記板状体連結具Aと板状体Pとで本発明の実施形態に係る簡易間仕切り構造が得られる。この簡易間仕切り構造においては、図6〜図10に示すように、隣接する1対の木質繊維板からなる板状体P,Pにそれぞれ板状体連結具Aの左右クリップ部1L,1Rが外嵌合されて、該両板状体Pが連結されている。
【0046】
すなわち、図6は板状体連結具Aにより2枚の板状体P,Pが直線状に連結された間仕切り構造を示し、2枚の板状体P,Pが例えば横長の起立状態で長さ方向の端部にて突き合わされて直線状に並べられ、図1に示すように折り曲げられていない(θ=180°である)2つの板状体連結具A,Aを用いて、その一方の連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ上記突き合わせられた両板状体P,Pの上端部(天端部)に上側から外嵌合されて、連結具Aが両板状体P,Pに跨るように取り付けられている。また、両板状体P,Pの下端部(地端部)に他方の板状体連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ下側から外嵌合されている。このことで両板状体P,Pが直線状に連結されて間仕切り壁が構成され、この間仕切り壁によって2つの空間が区画形成される。そのとき、各クリップ部1L,1Rの前側の挟み込み部4,4は板状体Pの厚さ方向の両面(間仕切り壁の内外面)のいずれに位置してもよい。このように板状体Pの上端部(天端部)と下端部(地端部)との上下2箇所に連結具Aを嵌めると、間仕切りの剛性や強度が大きくなって望ましいが、上端部(天端部)のみでも可能である。
【0047】
図7は2つの板状体連結具A,Aにより2枚の同じ板状体P,Pが略90°の角度でL字状に連結された間仕切り構造を示し、両板状体P,Pが横長の起立状態で長さ方向の端部にて突き合わされて直角に並べられ、図5に示すように後側に直角に折り曲げられた(θ=90°である)2つの板状体連結具A,Aを用い、その一方の連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ突き合わせられた両板状体P,Pの上端部(天端部)に上側から外嵌合されている。また、両板状体P,Pの下端部(地端部)に他方の板状体連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ外嵌合されている。このことで両板状体P,PがL字状に連結されて間仕切り壁が構成され、この間仕切り壁によって内外2つの空間が区画形成される。そのとき、各クリップ部1L,1Rの前側の挟み込み部4は、L字状に配置された間仕切り壁(両板状体P,P)の外側空間に臨むように配置され、後側の基部2は間仕切り壁の内側空間に臨むように配置される。この場合も上端部(天端部)のみを連結具Aで連結してもよい。
【0048】
図8は2つの板状体連結具A,Aにより3枚の同じ板状体(それらを第1〜第3板状体P1〜P3とする)がT字状に連結された間仕切り構造を示し、第1及び第2の板状体P1,P2が横長の起立状態で長さ方向の端部にて突き合わされて直線状に並べられ、その両板状体P1,P2の突き合わせ部分に第3板状体P3が同様の状態で直角に突き合わせられて並べられ、図5に示すように後側に直角に折り曲げられた2つの板状体連結具A,Aを用い、その一方の連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ上記突き合わせられた第1及び第3板状体P1,P3の上端部(天端部)に外嵌合されている。また、第2及び第3板状体P2,P3の下端部(地端部)に他方の板状体連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ外嵌合されている。このことで、3枚の板状体P1〜P3がT字状に連結されて間仕切り壁が構成され、この間仕切り壁によって第1及び第2板状体P1,P2に面する第1空間Z1と、第1及び第3板状体P1,P3に面する第2空間Z2と、第2及び第3板状体P2,P3に面する第3空間Z3との3つの空間が区画形成される。そのとき、上側の板状体連結具Aにあっては、一方のクリップ部1Lの挟み込み部4(図8には示していない)が第3空間Z3に臨む一方、他方のクリップ部1Rの挟み込み部4(図8には示していない)が第1空間Z1に臨むように配置される。また、下側の板状体連結具Aにあっては、一方のクリップ部1Lの挟み込み部4が第2空間Z2に臨む一方、他方のクリップ部1R(図8には示していない)の挟み込み部4が第1空間Z1に臨むように配置される。
【0049】
尚、上側の板状体連結具Aの左右クリップ部1L,1Rをそれぞれ第2及び第3板状体P2,P3の上端部(天端部)に外嵌合し、下側の板状体連結具Aの左右クリップ部1L,1Rをそれぞれ第1及び第3板状体P1,P3の下端部(地端部)に外嵌合してもよい。つまり板状体Pの上端部と下端部とで両連結具A,Aの折れの方向を変えるとよい。
【0050】
また、2枚の板状体P,PがT字状に連結された間仕切り構造を形成することもできる。その場合、横長の起立状態にある一方の板状体Pの中間部に他方の板状体Pの先端部が直角に突き合わされてT字状に並べられ、図5に示す直角に折り曲げられた2つの板状体連結具A,Aを用い、上記3枚の場合と同様に、その一方の連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ上記突き合わせられた一方の板状体Pの一側部の上端部(天端部)と他方の板状体Pの上端部(天端部)とに外嵌合されている。また、その一方の板状体Pの他側部の下端部(地端部)と他方の板状体Pの下端部(地端部)とに他方の板状体連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ外嵌合されている。このことで、2枚の板状体P,PがT字状に連結されて間仕切り壁が構成される。
【0051】
図9は4つの板状体連結具(それらを第1〜第4連結具A1〜A4とする)により4枚の同じ板状体(それらを第1〜第4板状体P1〜P4とする)が十字状に連結された間仕切り構造を示し、4枚の板状体P1〜P4がいずれも横長の起立状態で長さ方向の端部にて突き合わせられて上方から見て十字状に並べられ、図5に示すように後側に直角に折り曲げられた4つの板状体連結具P1〜P4を用い、例えば、その第1連結具A1の左右クリップ部1L,1Rが第2及び第1板状体P2,P1の上端部(天端部)に、また第2連結具A2の左右クリップ部1L,1Rがを第4及び第3板状体P4,P3の上端部(天端部)にそれぞれ外嵌合されている。また、残りの第3及び第4連結具A3,A4は上側の第1及び第2連結具Aとは異なり、第3連結具A3の左右クリップ部1L,1Rが第2及び第3板状体P2,P3の下端部(地端部)に、また第4連結具A4の左右クリップ部1L,1Rが第4及び第1板状体P4,P1の下端部(地端部)にそれぞれ外嵌合されている。このことで、4枚の板状体P1〜P4が十字状に連結されて間仕切り壁が構成され、この間仕切り壁によって第1及び第2板状体P1,P2に面する第1空間Z1と、第2及び第3板状体P2,P3に面する第2空間Z3と、第3及び第4板状体P3,P4に面する第3空間Z3と、第4及び第1板状体P4,P1に面する第4空間Z4との4つの空間が区画形成される。
【0052】
また、板状体P,Pを直角以外の他の角度に連結するときには、その連結角度に合わせて板状体連結具Aの後側への折り曲げ角度θを変えればよい。
【0053】
尚、図10は大きさの異なる複数種類の板状体P,P,…が複数の連結具A,A,…により連結されて床面上に形成された簡易間仕切りを示し、この簡易間仕切りによって出入り口を有する4つの空間が形成され、板状体P,P同士の連結構造は上記図6〜図9に示すもののいずれかが用いられている。
【0054】
したがって、この実施形態においては、板状体連結具Aを用いて2つの板状体P,Pを連結する場合、連結具Aのクリップ部1L,1Rをそれぞれ板状体P,Pに該各クリップ部1L,1Rの基部2と挟み込み部4との間に板状体Pが挟み込まれるように外嵌合して取り付けることで、両板状体P,Pが連結具Aを介して一体的に連結されるので、連結具Aのクリップ部1L,1Rをそれぞれ板状体P,Pに嵌めるだけで両板状体P,Pを連結でき、簡易間仕切りを簡単に組み立てることができる。
【0055】
また、連結具Aが連結部7で折り曲げられていない状態では、両板状体P,Pが直線状に並んで連結される一方、連結部7で折り曲げた状態では、両板状体P,Pが折れ曲がって(交差して)並んだ状態に連結され、その連結部7の折り曲げ角度θの選択によって両板状体P,Pの連結角度(交差角度)が適宜変更される。このことで、1種類の連結具Aで、両板状体P,Pを直線状、L字状、T字状、十字状に連結することができ、その他の角度にも連結部7で自在に折り曲げて、現場の区画形状が鋭角や鈍角であるときにも容易に適用することができる。
【0056】
また、連結具Aのクリップ部1L,1Rは板状体Pに端部から、該板状体Pを基部2と挟み込み部4との間に挟み込むように外嵌合可能であるので、その板状体Pの上端部(天端部)又は下端部(地端部)を問わず1種類の連結具Aを組み付けることができる。
【0057】
また、連結具Aのクリップ部1L,1Rが弾性を有するので、そのクリップ部1L,1Rに板状体Pに嵌めたときに基部2と挟み込み部4との間に板状体Pが押圧されて挟み込まれるようになり、その押圧によって板状体Pが安易に抜け出さず、板状体P,P同士を安定して連結することができる。
【0058】
さらに、連結具Aは、連結部7で折り曲げられていない状態では、その連結部7により1対のクリップ部1L,1Rの基部2,2同士を一体に連結した直線形状のものであるので、不使用時に嵩張ることがなく、その保管に適する。
【0059】
また、連結具Aが1種類だけであるので、複数のものを用意する必要がなく、その管理が容易である。しかも、1種類の連結具Aを用いて板状体P,Pを連結すればよいので、簡易間仕切りの組立時に混乱することがない。
【0060】
しかも、連結具Aは金属製のもので、その連結部7は両クリップ部1L,1Rの基部2,2と一体のものであり、その連結部7に連結部7での折り曲げ操作を容易にするための脆弱部8が形成されているので、その脆弱部8によって連結部7を弱いカでも簡単に折り曲げることができ、特に、実際に簡易間仕切りの組立作業が必要とされると予想される老人、女性、子供等の弱者でも取扱いが容易となる。また、上記脆弱部8が連結部7に沿って不連続に形成された複数の長孔9,9,…であるので、連結部7に脆弱部8を容易に形成できる。
【0061】
また、連結具Aの材質が金属であるので、連結部7の折曲げ状態を安定して固定でき、簡易間仕切りの組立作業が容易となるとともに、連結具Aの長期間の保管やリサイクル性に好適となる。
【0062】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、連結部7の脆弱部8を不連続に形成された複数の孔9,9,…としているが、その他、例えば他の部分よりも薄肉とされた薄肉部で構成してもよい。また、脆弱部8を設けることは必須ではないが、連結部7での折り曲げ操作を容易にできる点で脆弱部8を形成するのが好ましい。
【0063】
また、上記実施形態では、連結具Aにおける連結部7を、左右1対の両クリップ部1L,1Rの基部2,2と一体に連続したものとしているが、これに代え、連結部7を蝶番としてもよい。こうすると、連結部7を弱いカでも簡単に折り曲げることができ、特に、実際に簡易間仕切りの組立作業が必要とされると予想される老人、女性、子供等の弱者でも取扱いがし易くなる。
【0064】
また、上記実施形態では、連結具Aを金属製のものとしているが、その他の材質として樹脂、ゴム、紙等が挙げられる。しかし、長期保管に適し、リサイクル性も高いという理由から、特に適しているのは上記実施形態の如き鉄、非鉄金属等の金属が好ましい。
【実施例】
【0065】
次に、具体的に実施した例について説明する。連結具は厚さ0.8mmの亜鉛鋼板製のものとした。その前後厚さは8.6mm、上下長さは50mm、左右幅は86mmであり、左右中央の連結部に縦長の長孔を3箇所に開けた。
【0066】
板状体は密度0.30g/cmの木質繊維板からなり、厚さ6mm、幅910mm、長さ1820mmであった。連結具は連結部で簡単に折り曲げ可能であったので、1種類の連結具で板状体を直線状、L字状、T字状、十字状に連結することができた。また、簡単に連結具を取り外して木質繊維板を敷床としても転用することができた。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、1種類の連結具で両板状体を連結して簡易間仕切りを簡単に組み立てることができるので、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る板状体連結具の斜視図である。
【図2】図2は、板状体連結具の正面図である。
【図3】図3は、板状体連結具の背面図である。
【図4】図4は、板状体連結具の側面図である。
【図5】図5は、板状体連結具を直角に折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、板状体連結具により2枚の板状体が直線状に連結された間仕切り構造を示す正面図である。
【図7】図7は、板状体連結具により2枚の板状体がL字状に連結された間仕切り構造を示す斜視図である。
【図8】図8は、板状体連結具により3枚の板状体がT字状に連結された間仕切り構造を示す斜視図である。
【図9】図9は、板状体連結具により4枚の板状体が十字状に連結された間仕切り構造を示す斜視図である。
【図10】図10は、板状体が連結具により連結されて床面上に作られた簡易間仕切りを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
A,A1〜A4 板状体連結具
P,P1〜P4 板状体
1L,1R クリップ部
2 基部
4 挟み込み部
7 連結部
8 脆弱部
9 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々、基部と該基部の一端に折り返し状態に連続する挟み込み部とからなり、板状体に端部から、該板状体を上記基部と挟み込み部との間に挟み込むように外嵌合可能な1対のクリップ部と、
上記両クリップ部の基部同士を両クリップ部が間隔をあけて並んだ状態で折り曲げ可能に一体的に連結する連結部とを備えたことを特徴とする板状体連結具。
【請求項2】
請求項1の板状体連結具において、
クリップ部が弾性を有することを特徴とする板状体連結具。
【請求項3】
請求項1又は2の板状体連結具において、
その板状体連結具は金属製で、連結部は両クリップ部の基部と一体のものであり、該連結部に連結部での折り曲げ操作を容易にするための脆弱部が形成されていることを特徴とする板状体連結具。
【請求項4】
請求項3の板状体連結具において、
脆弱部は連結部に沿って不連続に形成された複数の孔であることを特徴とする板状体連結具。
【請求項5】
隣接する1対の木質繊維板からなる板状体にそれぞれ請求項1〜4のいずれか1つの板状体連結具のクリップ部が外嵌合されて、該両板状体が連結されていることを特徴とする簡易間仕切り構造。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1つの板状体連結具と板状体とが組み合わされたことを特徴とする簡易間仕切りセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−24353(P2009−24353A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186723(P2007−186723)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】