説明

枚葉型不定形素材の塗工方法および塗工装置

【課題】枚葉型不定形素材へのベタ塗工を良好な塗工品質と優れたコスト効率をもって実現し得る、新規な塗工方法を提供すること。
【解決手段】ヘッドユニット20から流下せしめられる塗料膜32を幅方向両側から遮断することによって該塗料膜32の幅方向両端の位置をそれぞれ別個に変更する膜幅端位置変更手段38の作動を、枚葉型不定形素材12の幅方向両端の位置を検出する幅方向端位置検出手段56の検出結果に基づいて制御することによって、該枚葉型不定形素材12の幅方向両端の位置に応じて該塗料膜32の幅方向両端の位置を調節するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枚葉型不定形素材への塗工に有利に用いられる塗工方法および塗工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば自動車のシートやソファー等として、革製品が広く用いられている。これら革製品の原料として用いられる皮は原皮と呼ばれるが、特に近年においては、原皮そのものが有する黒や茶等の色のみならず、例えば高級外車のシート等として、様々な色のベタ着色塗工が施された美粧化原皮が要求されることがある。
【0003】
ところで、原皮は牛等の動物の皮であり、種類や個体によって大きさや形状が異なる不定形の枚葉型素材である。このような枚葉型不定形素材へのベタ塗工方法としては、従来から、スプレーによる塗工が一般的であった。
【0004】
しかし、スプレーによる塗工では、塗料が飛散してしまうことから塗着率が必ずしも高くは無く、塗料のロスが多いためにコストアップを招くという問題があった。また、一般に塗料は着色剤、樹脂、分散剤やその他の添加物から生成されて環境に与える負荷が大きいことから、余剰塗料の処理も問題となっており、更に周辺設備への汚染も生じこの対策も問題となっていた。
【0005】
そこで、例えば特許文献1や特許文献2に記載の如き、インクジェット方式を用いた塗工方法が考えられる。確かに、インクジェット方式によれば、塗工対象物の形状に合わせた塗工が可能であることから、塗料のロスは軽減し得る。
【0006】
しかし乍、インクジェット方式は、塗料を微小な滴状にして塗工対象物に噴射することから、例えば原皮のような広い面積を有する塗工対象物を単一色でベタ塗工するには処理能力的に不向きであった。また、インクジェット方式に用いられる塗料には流動特性上の制約が大きく、塗料が高価なものとなってコスト高を招く。更に、塗工対象物の形状に合わせて塗料を噴射するために、塗工対象物の形状を検出するための高精度な形状検出装置が必要となって、装置も高価なものになるという問題もあった。
【0007】
【特許文献1】特開2005−248388号公報
【特許文献2】特開2007−277483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、枚葉型不定形素材へのベタ塗工を良好な塗工品質と優れたコスト効率をもって実現し得る、新規な塗工方法およびそれに用いられる塗工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0010】
すなわち、枚葉型不定形素材の塗工方法に関する本発明の第一の態様は、枚葉型不定形素材を基板上に載置すると共に、塗料を膜状に流下せしめて塗料膜を形成するヘッドユニットを該基板の上方に離隔位置せしめて該基板に対して相対移動せしめる一方、該ヘッドユニットと該基板の間で該塗料の流下を該塗料膜の幅方向両側から遮断することによって該塗料膜の幅方向両端の位置を変更する膜幅端位置変更手段の作動を、該枚葉型不定形素材の幅方向両端の位置を検出する幅方向端位置検出手段の検出結果に基づいて制御することによって、該枚葉型不定形素材の幅方向両端の位置に応じて該塗料膜の幅方向両端の位置を調節することを、特徴とする。
【0011】
このような方法によれば、枚葉型不定形素材が塗料膜内を通過することによって、塗料が該不定形素材に塗着される。そこにおいて、枚葉型不定形素材の幅方向の全体が一度に塗工されることから、ベタ塗工を良好な塗工品質をもって、且つ速やかに行なうことが出来る。更に、ヘッドユニットは塗料を膜状に流下せしめれば足りることから、塗料として例えばインクジェット方式の如き流動特性上の制約の大きい高価な塗料を使用する必要も無く、コスト効率の向上も図られ得る。
【0012】
そして、特に本方法においては、塗料膜の幅方向両端位置を、枚葉型不定形素材の幅方向両端位置に合わせて変化させることによって、余剰となる塗料を軽減することが出来る。その結果、塗料膜に対する相対移動方向で幅方向端部位置が様々に変化する不定形素材に対して優れた塗着率を得ることが可能となり、生産コストの軽減を図ることが出来る。特に本方法においては、塗料膜の流下を塗料膜の幅方向両側から遮断することによって、塗料膜の幅方向両端位置をそれぞれ任意の位置に設定することが可能とされていると共に、かかる塗料膜の幅方向両端位置を、塗工対象である不定形素材の幅方向両端位置の検出結果に応じて設定するようにされている。即ち、本方法によれば、不定形素材の形状に合わせて塗料膜の幅方向両端位置を動的に変化せしめることが可能とされているのである。従って、ラインを停止することなく、様々な形状の不定形素材の塗工を連続して行なうことが可能とされているのであり、優れた生産効率を得ることが出来る。
【0013】
ここにおいて、塗料膜を形成するヘッドユニットとしては、カーテン塗工において従来から用いられている公知のヘッドユニットが適宜に採用可能である。即ち、本発明方法によれば、枚葉型不定形素材の全幅を一度に塗工することの出来る従来公知のカーテン塗工装置に幅方向端位置検出手段と膜幅端位置検出手段を設けることによって、優れた塗工品質や塗着率等を有する枚葉型不定形素材へのベタ塗工を安価に実現することが可能となるのである。
【0014】
枚葉型不定形素材の塗工方法に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る枚葉型不定形素材の塗工方法において、前記枚葉型不定形素材が原皮であることを、特徴とする。
【0015】
すなわち、原皮は牛等の動物の皮から成る天然素材であり、その形状は一様ではなく、個体毎に様々に異なる不定形素材である。そこにおいて、本発明に従う塗工方法によれば、任意色のベタ塗工が施された美粧化原皮を、良好な塗工品質と優れたコスト効率をもって製造することが出来る。
【0016】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第一の態様は、枚葉型不定形素材が載置される基板と、塗料を膜状に流下せしめて塗料膜を形成すると共に該基板の上方に離隔して該基板に対して相対移動せしめられるヘッドユニットと、該ヘッドユニットと該基板の間で該塗料の流下を該塗料膜の幅方向両側から遮断することによって該塗料膜の幅方向両端の位置を変更する膜幅端位置変更手段と、該枚葉型不定形素材の幅方向両端の位置を検出する幅方向端位置検出手段と、該幅方向端位置検出手段の検出結果に基づいて該膜幅端位置変更手段の作動を制御する膜幅端位置調節手段とを設けたことを、特徴とする。
【0017】
本態様に従う構造とされた塗工装置によれば、塗料膜内に枚葉型不定形素材を通過させることによってベタ塗工を行なうことが出来、優れた塗工品質を得ることが出来ると共に、速やかな塗工を行なうことが出来る。また、ヘッドユニットは塗料を膜状に流下せしめれば足りることから、塗料として例えばインクジェット方式の如き流動特性上の制約の大きい高価な塗料を使用する必要も無く、優れたコスト効率を得ることも出来る。
【0018】
そして、本態様における塗工装置によれば、枚葉型不定形素材の幅方向端位置に合わせて塗料膜の幅方向端位置を動的に変化させることが出来る。従って、余剰の塗料の発生を抑えることが出来て、良好な塗着率を得ることが出来る。更に、幅方向端位置検出手段としては、枚葉型不定形素材の幅方向の端位置を検出するのみで足りることから、それ程高精度な検出手段を必要とすることも無く、安価に構成することが出来る。かかる幅方向端位置検出手段としては、従来公知のセンサが適宜に採用可能であり、例えば圧電式圧力センサ等の接触型センサや、フォトセンサ等の非接触型センサ等が採用可能である。
【0019】
ここにおいて、塗料膜を形成するヘッドユニットとしては、従来からカーテン塗工装置に用いられている公知のヘッドユニットが適宜に採用可能であり、例えば従来公知のカーテン塗工装置に上記の膜幅端位置変更手段、幅方向端位置検出手段、膜幅端位置調節手段を組み付けることによって、本発明に従う構造とされた塗工装置を安価に得ることが出来る。特に本発明によれば、膜幅端位置変更手段として塗料膜をヘッドユニットの外部で遮断する外式の遮断方式を採用したことから、ヘッドユニットを何等改造する必要も無く、これら膜幅端位置変更手段、幅方向端位置検出手段、膜幅端位置調節手段の組み付けも容易且つ安価に行なうことが出来る。そして、既に使用されているカーテン塗工装置にこれら各手段を組み合わせることによって、本発明に従う構造とされた塗工装置を得ることも可能である。これにより、従来では一般に所定幅寸法を有する定形の枚葉型素材へのベタ塗工に用いられていたカーテン塗工装置を、カーテン塗工方式の利点である優れたコスト効率と塗工品質を生かしつつ、不定形枚葉型素材に対しても優れた塗着率をもって用いることが可能とされるのである。
【0020】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る枚葉型不定形素材の塗工装置において、前記塗料膜の幅方向両側に配設されると共に、該塗料膜の幅方向中央に向けて進退可能とされた一対の制限部材を含んで前記膜幅端位置変更手段が構成されていることを、特徴とする。本態様によれば、一対の制限部材の進退量をそれぞれ調節することによって、塗料膜の幅方向両端部の位置をそれぞれ調節することが出来る。
【0021】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係る枚葉型不定形素材の塗工装置において、前記制限部材が、上方に開口する凹状断面を有すると共に、前記塗料膜の幅方向中央側の先端面および内面の底部がポリテトラフルオロエチレンで被覆されていることを、特徴とする。
【0022】
本態様によれば、制限部材が凹状断面とされていることから、制限部材で遮断された塗料を制限部材の内面の底部に集めることが出来て、塗料の飛散を抑えることが出来る。ここにおいて、凹状断面としては、U字状断面やV字状断面、コ字状断面等が好適に採用され得る。そして、内面の底部が撥水性(疎水性)の高いポリテトラフルオロエチレンで被覆されていることから、内面の底部に集められた塗料の付着を抑えることが出来る。更に、制限部材における塗料膜の幅方向中央側の先端面もポリテトラフルオロエチレンで被覆されていることから、一対の制限部材を互いに接近せしめて、両先端面を重ね合わせた場合には、かかる重ね合わせ部位の水密性をより向上せしめることが出来る。これにより、一対の制限部材の両先端面を重ね合わせることによって、塗料膜の流下を全幅に亘って遮断することも出来る。
【0023】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第四の態様は、前記第三の態様に係る枚葉型不定形素材の塗工装置において、前記制限部材によって遮断された前記塗料を前記ヘッドユニットに戻す回収流路が設けられていることを、特徴とする。本態様によれば、塗工に使用されなかった塗料を再び利用することが出来て、塗料のロスをより少なくすることが出来る。
【0024】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係る枚葉型不定形素材の塗工装置において、前記幅方向端位置検出手段としてフォトセンサが用いられていることを、特徴とする。本態様によれば、枚葉型不定形素材の幅方向両端位置を非接触で検出出来ることから、該不定形素材を傷つけることなく幅方向両端位置の検出を行なうことが出来る。また、フォトセンサとしては従来公知のものが適宜に採用可能であり、幅方向端位置検出手段を安価に構成することも出来る。
【0025】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れか一つの態様に係る枚葉型不定形素材の塗工装置において、前記基板に、前記ヘッドユニットに対する相対移動方向に直交する幅方向の中央部分を延びる中央線が設けられていることを、特徴とする。
【0026】
本態様によれば、基板の幅方向中央部分を容易に視認出来ることから、枚葉型不定形素材の基板への載置をより容易に行うことが出来る。また、枚葉型不定形素材の幅方向の中心線を、基板の中央線と揃えることによって、該不定形素材の幅方向中心と基板の幅方向中心とのズレや傾きを抑えることも出来る。
【0027】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れか一つの態様に係る枚葉型不定形素材の塗工装置において、前記基板に、前記ヘッドユニットに対する相対移動方向と直交する方向に移動可能とされた幅位置調節板が設けられていることを、特徴とする。本態様によれば、枚葉型不定形素材を基板に載置した際に、枚葉型不定形素材の幅方向の中心線と、基板の幅方向の中心線に幅方向のズレが生じていた場合には、幅位置調節板を動かすことによって、これら不定形素材と基板との幅方向のズレを修正することが出来る。
【0028】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れか一つの態様に係る枚葉型不定形素材の塗工装置において、前記基板に、前記枚葉型不定形素材の載置面と直交する中心軸回りで回動可能とされた角度調節板が設けられていることを、特徴とする。本態様によれば、枚葉型不定形素材を基板に載置した際に、枚葉型不定形素材の幅方向の中心線と、基板の幅方向の中心線との間に傾きが生じていた場合には、角度調節板を回動せしめることによって、基板に対する枚葉型不定形素材の傾きを修正することが出来る。
【0029】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第九の態様は、前記第一乃至第八の何れか一つの態様に係る枚葉型不定形素材の塗工装置において、前記基板における前記枚葉型不定形素材の載置面に、該枚葉型不定形素材の厚さ寸法よりも小さな突出寸法を有する固定用針状突起が設けられていることを、特徴とする。
【0030】
本態様によれば、枚葉型不定形素材を固定用針状突起に突き刺すことによって、様々な形状を有する不定形素材を基板に安定して載置することが出来る。そして、固定用針状突起の突出量を枚用型不定形素材の厚さ寸法よりも小さくしたことによって、固定用針状突起が該不定形素材を突き破ることも抑えられて、該不定形素材、特に被塗装面を損傷するおそれが軽減されている。なお、本態様において、より好適には、固定用針状突起の突出寸法は、枚葉型不定形素材の厚さ寸法の1/3以下に設定される。このようにすれば、枚葉型不定形素材の損傷のおそれをより軽減することが出来る。
【0031】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第十の態様は、前記第一乃至第九の何れか一つの態様に係る枚葉型不定形素材の塗工装置において、前記基板における前記枚葉型不定形素材の載置面と反対側の面に凹部が設けられている一方、該基板を載置して前記ヘッドユニットの下方で相対移動せしめるコンベヤに、該凹部と嵌合せしめられる凸部が設けられていることを、特徴とする。
【0032】
本態様によれば、基板の凹部とコンベヤの凸部を嵌合せしめることによって、基板をコンベヤに対して容易に位置決めすることが出来る。これにより、基板延いては基板に載置された枚用型不定形素材のコンベヤに対する位置ズレを抑えることが出来る。
【0033】
枚葉型不定形素材の塗工装置に関する本発明の第十一の態様は、前記第一乃至第十の何れか一つの態様に係る枚葉型不定形素材の塗工装置において、前記基板に載置された前記枚葉型不定形素材を該基板の上方から該基板に向けて押圧する加圧ロールを含んで構成されていることを、特徴とする。
【0034】
本態様によれば、枚葉型不定形素材の基板からの浮き上がりを抑えて、より平坦な状態で基板に固定することが出来る。これにより、塗料の塗着の斑などを抑えることが出来て、より優れた塗工品質を得ることが出来る。そこにおいて、特に本態様は、前記第九の態様と組み合わせて好適に用いることが出来る。このようにすれば、枚葉型不定形素材を加圧ロールで固定用針状突起に押し付けることが出来て、該不定形素材を基板に対してより強固に固定することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0036】
先ず、図1および図2に、本発明の一実施形態としての枚葉型不定形素材の塗工装置10の全体を概略的に示す。塗工装置10は、枚葉型不定形素材としての原皮12を載置する基板14を搬送するベルトコンベヤ16a,16b、基板14に向けて塗料18を膜状に流下せしめるヘッドユニット20等を含んで構成されている。なお、図1においては、理解を容易とするために、塗工前と塗工中、塗工後の3つの基板14を同一図面上に示しており、図2には、塗工中の状態の基板14を示している。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、上下方向とは、図1中の上下方向をいい、幅方向とは、図2中の左右方向をいうものとする。
【0037】
ベルトコンベヤ16a,16bは、搬送方向(図1中、右から左へ向かう方向)で基板14の長手方向寸法(図1中、左右方向寸法)よりも小さい所定距離を隔てて直列に配設されている。これらベルトコンベヤ16a,16bのベルト22は、基板14の幅寸法よりも大きな幅寸法とされており、ベルト22の幅方向の両端部には、搬送方向に延びる一対の凸部としての凸条24が全周に亘って一体形成されている(図11参照)。これらベルトコンベヤ16a,16bによって、基板14がベルト22上に載置されて水平方向に略一定の所定速度で搬送されるようになっている。
【0038】
さらに、ベルトコンベヤ16a,16bの間の上方には、ヘッドユニット20が配設されている。かかるヘッドユニット20としては、従来からカーテン塗工装置に設けられているヘッドユニットが適宜に採用可能であり、概略を説明すれば、塗料18を収容可能な中空構造体とされて、その底部にはスリット26が貫設されている。スリット26は、ベルトコンベヤ16a,16bの搬送方向に直交する方向に延びるように形成されており、かかる延び出し寸法(図2中、左右方向寸法)は、少なくとも原皮12の最大幅寸法よりも大きく設定されている。また、スリット26の幅寸法(図1中、左右方向寸法)は、塗工条件に応じて調節可能とされている。
【0039】
そして、塗料容器28に貯留された塗料18がポンプ30で汲み上げられて、ヘッドユニット20内に供給されるようになっており、ヘッドユニット20は、内部に供給されて貯留せしめられた塗料18をスリット26を通じて膜状に流下することによって、ベルトコンベヤ16a,16bの搬送方向と直交する方向に広がる塗料膜32を形成するようになっている。なお、図示は省略するが、ヘッドユニット20には、塗料18の流下圧を一定に保つためのオーバーフロー装置が設けられている。ここにおいて、塗料膜32の幅寸法はスリット26の延出寸法で設定される一方、塗料膜32の厚さ寸法はスリット26の幅寸法(図1中、左右方向寸法)で設定されることとなり、ヘッドユニット20と後述するシャッター38との間の塗料膜32の幅寸法は、原皮12の最大幅寸法よりも大きくされている。
【0040】
そして、基板14に載置された原皮12がベルトコンベヤ16a,16bで搬送されて、塗料膜32を通過することによって、塗料18が原皮12に塗着される。なお、ヘッドユニット20の下方となるベルトコンベヤ16a,16bの間には、塗料受け34が設けられており、ヘッドユニット20の下方に原皮12が位置せしめられていない場合にベルトコンベヤ16a,16bの間を通って流下せしめられた塗料18や、塗工に際して余剰となった塗料18が回収されるようになっている。そして、塗料受け34で回収された塗料18は塗料容器28に戻されて、ポンプ30で再びヘッドユニット20に供給されるようになっており、これら塗料受け34、塗料容器28、およびポンプ30を含んで余剰塗料の回収流路が形成されている。
【0041】
さらに、塗工装置10には、膜幅端位置変更手段としての一対の遮断機構36が、塗料膜32の幅方向両側に配設されている。図3にも示すように、遮断機構36は、制限部材としてのシャッター38と、シャッター38を塗料膜32に対して進退駆動せしめる進退駆動機構としてのリニアモータ40を含んで構成されている。
【0042】
シャッター38は、鉛直上方に開口せしめられた開口部42を有する凹状断面をもって所定寸法に亘って延びる樋状の部材とされており、硬質の合成樹脂材料や金属材から形成されている。特に本実施形態においては、シャッター38は、U字状断面とされている。ここにおいて、シャッター38の長手方向寸法(図2中、左右方向寸法)は、塗料膜32の幅寸法の1/2よりも大きくされている。また、シャッター38において塗料膜32側の先端面44と、内底面46を含む内面48には、例えばポリテトラフルオロエチレン等の撥水性(疎水性)を備えた部材が被覆されており、塗料18の付着が軽減されている。
【0043】
このような構造とされたシャッター38は、進退駆動機構としてのリニアモータ40によって、塗料膜32の幅方向で進退可能とされている。進退駆動機構としては、例えばラックピニオン機構やエアシリンダ等も適宜に採用可能であるが、本実施形態においては、リニアモータを用いることによって、精度の良い位置決め特性と速やかな応答性が得られるようになっている。リニアモータ40としては従来公知のものが適宜に採用可能であり、所定寸法に亘って直線状に延びる固定子50と、固定子50の延出方向に進退駆動せしめられる可動子52を含んで構成されている。そして、可動子52に設けられた支持軸54によってシャッター38が可動子52に固定されており、リニアモータ40の作動による可動子52の変位に伴って、シャッター38が固定子50の延出方向で進退可能とされている。
【0044】
なお、特に本実施形態においては、シャッター38は、先端面44から反対側の後端部45に向けて下降するように傾斜が付された状態で可動子52に固定されている。また、先端面44は、かかる傾斜せしめられたシャッター38において、鉛直平面として形成されており、塗料18の遮断に際する乱流の発生が抑えられている。
【0045】
そして、固定子50が塗料膜32から外れた位置で塗料膜32の幅方向に延びるように配設されており、シャッター38が、ヘッドユニット20の鉛直下方でヘッドユニット20と原皮12の間の高さ位置に位置せしめられている。これにより、シャッター38は、塗料膜32の幅方向中心に向けて接近および離隔が可能とされている。なお、以下の説明において、前進とは塗料膜32の幅方向中心に接近することをいい、後退とは塗料膜32の幅方向中心から離隔することをいう。これにより、シャッター38は最も後退せしめられた位置で塗料膜32から外れた幅方向両側に位置せしめられており、シャッター38を前進せしめることによって、塗料膜32の幅方向両側から塗料膜32の幅方向中央に向けて入り込まされるようになっている。そして、シャッター38を前進せしめることによって、図4(a)に概略的に示すように、ヘッドユニット20から流下せしめられる塗料18を塗料膜32の幅方向両側からそれぞれシャッター38で遮断することが可能とされている。その結果、シャッター38の進退量を調節することによって、塗料膜32の幅方向両端位置を調節することが可能とされている。更に、図4(b)に概略的に示すように、一対のシャッター38を前進させて、両方のシャッター38の先端面44を互いに当接せしめることによって、ヘッドユニット20から流下せしめられる塗料18を完全に遮断することも可能とされている。特に本実施形態においては、先端面44が鉛直面とされていると共に、先端面44がポリテトラフルオロエチレンで被覆されていることによって、一対のシャッター38の当接面の水密性がより有利に確保されており、塗料18の完全な遮断をより安定的に行なうことが可能とされている。
【0046】
なお、シャッター38の最大前進位置は、互いの当接状態を安定して維持し得るように、先端面44が塗料膜32の幅方向中央を僅かに超える程度に設定されることが好ましい。なお、これら一対のシャッター38の進退量は、それぞれ別個に独立して調節可能とされている。
【0047】
また、シャッター38で遮断された塗料18は、シャッター38の傾斜によって後端部45から排出される。ここにおいて、図2にも示すように、シャッター38の後端部45は、シャッター38の移動範囲の全体に亘って、基板14よりも幅方向外側に位置せしめられるようになっている。そして、シャッター38の後端部45から排出された塗料18は、原皮12の幅方向外側を流下して塗料受け34に回収されるようになっており、塗料容器28およびポンプ30を通じてヘッドユニット20に戻されるようになっている。
【0048】
さらに、基板14の搬送方向でヘッドユニット20よりも手前となるベルトコンベヤ16aの上方には、幅方向端位置検出手段としてのラインセンサ56が配設されている。ラインセンサ56は、少なくとも基板14の幅寸法よりも大きな幅寸法を有しており、図5に概略的に示すように、幅方向で複数のフォトセンサ58が一直線上に並べられた構造とされている。かかるフォトセンサ58としては従来公知の反射型フォトセンサが適宜に採用可能である。なお、図5はあくまでも概略図であり、フォトセンサ58の数は適宜に設定可能である。そして、フォトセンサ58の数を多くすればより高精度な原皮12の幅寸法の検出を行なうことが可能であり、フォトセンサ58の数をより少なくすれば塗工装置10をより安価に構成することが出来る。
【0049】
このような構造とされたラインセンサ56が、フォトセンサ58の配列方向をベルトコンベヤ16aの幅方向、換言すれば、基板14に固定された原皮12の幅方向と等しくすると共に、各フォトセンサ58の検出方向をベルトコンベヤ16aに向けて、ベルトコンベヤ16aの上方に離隔配置されている。これにより、各フォトセンサ58の検出の有無によって、原皮12の幅方向の両端部の位置を検出することが可能とされている。即ち、下方に原皮12の存在を検出したフォトセンサ58の中で、ラインセンサ56における幅方向の両端部に位置するフォトセンサ58の位置が、原皮12の幅方向両端部の位置とされる。そして、検出された原皮12の幅方向両端部の位置が、膜幅端位置調節手段としての制御装置60に送信されるようになっている。
【0050】
制御装置60は、ラインセンサ56の検出結果に応じて、塗料膜32の幅が原皮12の幅と等しくなるように、一対のシャッター38の進退量をそれぞれ決定すると共に、決定した進退量に対応してそれぞれのリニアモータ40に駆動信号を送信する。そこにおいて、ラインセンサ56による検出位置と塗料膜32との間には所定の離隔距離があることから、シャッター38の進退駆動は、ラインセンサ56による検出時点から所定の遅延時間経過後に実行される。かかる遅延時間は、基板14の搬送方向でのラインセンサ56から塗料膜32までの距離や、基板14の搬送速度等を考慮して決定される。また、リニアモータ40の駆動量の決定は、検出された原皮12の幅方向両端部位置に対応する駆動量を予め記憶したテーブルを用いたマップ制御等によって簡易に実現することが出来る。このような制御装置60としては、予め命令セットが組み込まれたマイクロプロセッサを用いても良いし、本実施形態においては、このような制御処理を行うソフトウェアプログラムが動作可能なコンピュータによって構成されている。
【0051】
また、基板14の搬送方向でヘッドユニット20よりも後方となるベルトコンベヤ16bの上方には、内部に送風ファンを備えた送風機62が配設されており、塗料膜32を通り抜けた原皮12は、送風機62から噴射される空気流によって、基板14を介してベルトコンベヤ16bに載置された状態で乾燥処理が施されるようになっている。なお、送風機62から噴射される空気流は常温でも良いが、乾燥効率を向上するためには、温風が好ましい。
【0052】
次に、図6および図7に、基板14を示す。基板14は、上方に開口せしめられた略矩形箱体形状を有する底基板64と、底基板64の幅方向(図6中、上下方向)に移動可能とされた幅位置調節板66、および軸部材68回りで回動可能とされた角度調節板70を含んで構成されている。
【0053】
底基板64は、矩形板形状を有する底板71と、底板71の外周縁部の全周に亘って所定の高さ寸法をもって上方に突出する矩形枠体形状を有する周壁72が一体形成されている。また、周壁72の上端面には、幅方向の中心線上に延びる幅方向中央線74と、搬送方向(図6中、右から左)の中心線上に延びる搬送方向中央線75が塗装や溝加工により視認可能に形成されている。更にまた、周壁72における搬送方向の後端部の幅方向両端部には、上方に突出する支持壁部76が一体形成されている。また、図8に概略的に示すように、底板71の下面における幅方向の両端部には、搬送方向の全長に亘って延びる一対の凹部としての凹条73が形成されており、これら凹条73がベルトコンベヤ16aに形成された凸条24にそれぞれ嵌め合わされるようになっている。
【0054】
そして、周壁72内に、幅位置調節板66が半収容状態で配設されている。幅位置調節板66は、幅方向で対向する周壁72の対向面間距離よりも小さな幅方向寸法を有すると共に、搬送方向で対向する周壁72の対向面間距離よりも僅かに小さな長手方向寸法を有する略平板形状とされている。かかる幅位置調節板66の搬送方向両端面における幅方向両端部には、L字状断面を有する摺接金具77が搬送方向の外方に突出するようにして固定されている。そして、幅位置調節板66が周壁72内に差し入れられるようにして、摺接金具77が周壁72の上端面に非固定的に載置されることによって、幅位置調節板66が摺接金具77を介して周壁72に支持されるようになっており、摺接金具77が周壁72に対して摺動せしめられることによって、幅位置調節板66が、周壁72に対して幅方向で変位可能とされている。なお、幅位置調節板66の摺動をより円滑にするために、摺接金具77と周壁72との間にベアリングを配設する等しても良い。
【0055】
そして、幅方向で対向する周壁72の間には、ボールネジ軸78が中心軸回りで回転可能に架設されており、かかるボールネジ軸78の一方の端部は、周壁72から外方に突出せしめられており、かかる端部には、幅位置調節ハンドル80が設けられている。なお、図6、7においては、理解を容易とするために幅位置調節ハンドル80がボールネジ軸78に直接に連結されているが、 適当なギアボックスを介して接続する等しても良い。そして、幅位置調節板66の底面にはボールネジ軸78と螺合するナット82が設けられている。これにより、幅位置調節ハンドル80を操作してボールネジ軸78を回転せしめることによって、 ボールネジ軸78とナット82の案内作用によって、幅位置調節板66が基板14の幅方向で変位せしめられるようになっている。なお、図6および図7においては、理解を容易とするために大きさを誇張して示しているが、幅位置調節板66の幅方向変位量は、例えば原皮12が牛皮原皮である場合には、好適には幅方向の両側でそれぞれ30mm〜50mmの範囲内で設定される。
【0056】
また、幅位置調節板66の上方には、角度調節板70が重ね合せ状態で回動可能に設けられている。角度調節板70は、幅位置調節板66と略等しい大きさを有する平板形状とされており、搬送方向一方(本実施形態においては、搬送方向の後方)の端縁部は円弧形状とされている。そして、角度調節板70の上面が、原皮12を載置する載置面83とされている。ここにおいて、載置面83は原皮12の全体を載置可能な大きさを有しており、例えば原皮12が牛皮原皮である場合には、幅寸法3.5m程度、搬送方向寸法4.3m程度の大きさとされる。そして、角度調節板70の下面中央部分が、幅位置調節板66の中央部分において上方に突出せしめられた軸部材68で支持されることによって、角度調節板70が、載置面83から直交する方向に延びる軸部材68回りで幅位置調節板66に対して回動可能とされている。
【0057】
さらに、角度調節板70の搬送方向一方(本実施形態においては、搬送方向の後方)の端縁部の中央部分には、ホイールネジ84が形成されている。ホイールネジ84の周方向寸法は適宜に設定可能であり、図6においては理解を容易とするために大きさを誇張して示しているが、例えば原皮12が牛皮原皮である場合には、角度調節板70の幅方向中心部から±5度程度の大きさをもって形成されている。
【0058】
一方、底基板64の支持壁部76には、幅方向に延びるウォーム軸86が中心軸回りで回転可能に架設されている。かかるウォーム軸86の一方の端部は、支持壁部76から外方に突出せしめられており、かかる端部には、角度調節ハンドル88が設けられている。なお、角度調節ハンドル88についても、適当なギアボックスを介してウォーム軸86と接続することも勿論可能である。そして、ウォーム軸86が角度調節板70のホイールネジ84と螺合せしめられることによって、角度調節板70をウォームホイールとするウォームギア機構が構成されている。これにより、角度調節ハンドル88を操作してウォーム軸86を回転せしめることによって、 ウォーム軸86とホイールネジ84の案内作用によって、角度調節板70が軸部材68回りで幅位置調節板66に対して回動せしめられるようになっており、バックラッシの少ない安定した回動位置調節が可能とされている。
【0059】
さらに、角度調節板70の載置面83上には、原皮12を突き刺して固定するための上方に突出する固定用針状突起90が複数設けられている。固定用針状突起90の載置面83からの突出寸法は、原皮12を貫いて被塗工面を傷つけることの無いように、原皮12の厚さ寸法よりも小さく、より好適には原皮12の厚さ寸法の1/3以下とされる。ここにおいて、固定用針状突起90の個数や形成位置等は塗工対象とする原皮12の大きさや種類等を考慮して適宜に設定可能である。例えば、原皮12が牛皮原皮である場合には、好適には、載置面83の幅方向中央から幅方向両側にそれぞれ1m〜1.3m程度、搬送方向に2.5m〜3m程度の領域に形成される。また、原皮12の形状を考慮して、原皮12の頸部を固定出来るように、固定用針状突起90の形成領域が、幅方向中央部分が突出する凸形状とされること等も好ましい。
【0060】
このような塗工装置10を用いて原皮12を塗工する際には、先ず、原皮12を基板14の載置面83上に載置する。そして、特に本塗工方法においては、かかる基板14をベルトコンベヤ16aに載置する前に、以下に示す、基板14と原皮12との位置合わせを実施する。
【0061】
先ず、図9に概略的に示すように、原皮12を載置した基板14を、ベルトコンベヤ16a,16bから外れた位置に設けられた固定用コンベヤ92上に載置する。なお、図9においては、理解を容易とするために、後述する指標光照射装置94の下方に位置せしめられた基板14と、後述する加圧ロール102の下方に位置せしめられた基板14を同一図面上に示している。そこにおいて、固定用コンベヤ92には、ベルトコンベヤ16a,16bと同様の凸条24が形成されており、基板14に形成された凹条73が凸条24に嵌め合わされる(図8参照)ことによって、基板14の幅方向中心が、固定用コンベヤ92の幅方向(図9中、紙面に対する垂直方向)の中心と位置合わせされるようになっている。なお、固定用コンベヤ92は、特に本実施形態においては、手動で駆動されるようになっている。
【0062】
さらに、固定用コンベヤ92の搬送方向(図9中、右から左方向)の上流側には、指標光照射装置94が上方に離隔して配設されている。指標光照射装置94には、点状の光を投影する複数のレーザーポインタ96が直交して扇状に設けられている。そして、これらレーザーポインタ96の光が上方から照射されることによって、固定用コンベヤ92に載置された基板14に対して、図10(a)に概略的に示すように、ドット状の光が十字状に配列された指標光98が照射されるようになっている。そこにおいて、指標光照射装置94は、指標光98の一方の直線が固定用コンベヤ92の幅方向中心と一致するように位置合わせされて固定用コンベヤ92の上方に配設されており、本実施形態においては、指標光照射装置94が固定用コンベヤ92の上方の天井に固定されているが、例えば、指標光照射装置94に固定用コンベヤ92を跨ぐ脚部を設けて、固定用コンベヤ92の上方に位置合わせ状態で固定的に配設する等しても良い。そして、特に本実施形態においては、複数のレーザーポインタ96を用いて指標光98を形成することによって、単純な構成で高精度な指標光98を照射することが可能とされている。
【0063】
これにより、固定用コンベヤ92に載置された基板14には、図10(a)に概略的に示すように、指標光98における固定用コンベヤ92の搬送方向に延びる直線が、基板14の幅方向中心を示す幅方向中央線74、74と重なって基板14およびこれに載置された原皮12に照射される。そして、固定用コンベヤ92を進退駆動せしめることによって、図10(a)に概略的に示すように、基板14を、搬送方向中央線75が、指標光98における固定用コンベヤ92の幅方向に延びる直線と重なるように位置合わせする。これにより、指標光98は、基板14の幅方向中央線74および搬送方向中央線75それぞれとの同一直線を原皮12上に投影することとなる。
【0064】
そこにおいて、多くの場合、図10(a)にも概略的に示すように、原皮12の幅方向中心線となる背線100と、基板14の幅方向中心線との間にズレが生じ得る。そこで、指標光98、幅方向中央線74および搬送方向中央線75を基準として、原皮12の背線100を基板14の幅方向中央線74と一致させる位置合わせを行なう。かかる位置合わせは、例えば図10(b)に概略的に示すように、角度調節ハンドル88を操作して、角度調節板70を軸部材68回りで回動せしめることによって、背線100の幅方向中央線74に対する傾きを補正すると共に、図10(c)に概略的に示すように、幅位置調節ハンドル80を操作して、幅位置調節板66を基板14の幅方向に変位させて、背線100の幅方向中央線74に対する幅方向のズレを補正することによって行なわれる。勿論、図10(b)に示す背線100の傾きの補正と、図10(c)に示す背線100の幅方向のズレの補正は、必ずしもこの順序で行なわれるものではなく、角度調節ハンドル88と幅位置調節ハンドル80を交互に操作して背線100の傾きと幅方向のズレを少しずつ補正する等しても良い。
【0065】
これにより、原皮12の背線100が、基板14の幅方向の中心線と一致せしめられる。かかる位置合わせが完了した原皮12は、図9に概略的に示すように、固定用コンベヤ92が駆動せしめられることによって基板14が下流側に搬送されて、固定用コンベヤ92の下流側の上方に離隔配置された加圧ロール102によって、上方から載置面83に向けて押し付けられる。加圧ロール102は、原皮12の最大幅寸法よりも大きな軸方向(図9中、紙面に直交する方向)寸法をもって形成されており、略一定圧で原皮12に対して載置面83に向かう押圧力を及ぼしつつ、固定用コンベヤ92の駆動によって、原皮12の搬送方向の全長に亘って、原皮12に対して相対移動せしめられる。これにより、原皮12が載置面83の固定用針状突起90に上方から押し付けられて、載置面83からの浮き上がりが抑えられた展張状態で基板14に固定されるようになっている。そして、固定用針状突起90の突出寸法が原皮12の厚さ寸法よりも小さく設定されていることから、加圧ロール102の押し付けに際して、原皮12における特に被塗工面を損傷するおそれが回避されている。
【0066】
以上のようにして、原皮12の背線100と基板14の幅方向中心線との位置合わせが完了する。そして、特に本実施形態における塗工装置10は、これら固定用コンベヤ92、指標光照射装置94、加圧ロール102を含んで構成されている。
【0067】
続いて、原皮12の位置合わせと固定が完了した基板14が、ベルトコンベヤ16a上に積載される。ここにおいて、図8に概略的に示したように、基板14における底板71の下面に形成された一対の凹条73が、ベルトコンベヤ16aに形成された凸条24にそれぞれ嵌め合わされることによって、基板14の幅方向中心が、塗料膜32の幅方向中心となる両シャッター38の突合せ位置と位置合わせされる。そして、前述の如き位置合わせ処理によって、原皮12の背線100が基板14の幅方向中心と位置合わせされていることから、本実施形態によれば、原皮12の位置合わせが完了した基板14をベルトコンベヤ16aに積載することによって、原皮12の幅方向中心を塗工装置10による塗工幅中心と自動的に位置合わせすることが可能とされている。なお、前述のように、一対の凸条24はベルトコンベヤ16bにも形成されており、ベルトコンベヤ16a,16bのそれぞれの凸条24が、搬送方向で同一直線上に位置せしめられている。そして、基板14は、ベルトコンベヤ16aからベルトコンベヤ16bに渡される際に、凹条73がベルトコンベヤ16bの凸条24と嵌合せしめられるようになっている。また、基板14の固定用コンベヤ92からベルトコンベヤ16aへの載せ代えは、人手で行なっても良いが、例えば、固定用コンベヤ92をベルトコンベヤ16aの上流側に直列に配設して、ベルトコンベヤ16a,16bの間と同様に、固定用コンベヤ92の下流端部からベルトコンベヤ16aの上流端部に基板14を渡すようにする等しても良い。
【0068】
そして、ベルトコンベヤ16aが駆動せしめられることによって、基板14が水平方向一方向(図1中、右から左方向)に略一定速度で搬送される。それと共に、ヘッドユニット20から塗料18が基板14の搬送方向と直交する平面上に広がる膜状に流下せしめられて、塗料膜32が形成される。ここにおいて、ヘッドユニット20のスリット26から流下せしめられる塗料18は、塗工工程において常時スリット26の全幅から流下せしめられており、スリット26の詰まり等のおそれも軽減されている。そして、原皮12が塗料膜32に差し掛かるまでは、両シャッター38が互いの先端面44が重ね合わされた突合せ状態とされることによって、塗料膜32が幅方向全体に亘って遮断されており、ヘッドユニット20から流下する塗料18の全量が塗料受け34に回収されるようになっている。
【0069】
さらに、基板14が搬送されて、原皮12がラインセンサ56の下方に差し掛かると、ラインセンサ56によって、鉛直下方に位置する原皮12の幅方向両端の位置が検出されて、かかる検出結果が、制御装置60に送信される。そして、制御装置60は、ラインセンサ56の検出結果に基づいて、両シャッター38の先端面44が、原皮12の幅方向両端部の鉛直上方にそれぞれ位置するように、両リニアモータ40をそれぞれ駆動せしめる。なお、前述のように、リニアモータ40の駆動は、ラインセンサ56による検出位置と塗料膜32との間に所定の距離があることから、ラインセンサ56で検出された原皮12の部位が塗料膜32に到達するまでの所定の遅延時間経過後に行なわれることとなる。
【0070】
そして、ベルトコンベヤ16aに搬送された基板14は、ベルトコンベヤ16aの搬送方向で所定距離を隔てて離隔配置されたベルトコンベヤ16bに渡されるようになっており、これらベルトコンベヤ16aとベルトコンベヤ16bの間に、基板14の上方に位置せしめられたヘッドユニット20から、塗料膜32が流下せしめられるようになっている。そして、基板14がヘッドユニット20に対して相対変位せしめられて、原皮12の搬送方向先端縁部が塗料膜32の下方に差し掛かると、両シャッター38がそれぞれ後退作動せしめられて、塗料18が原皮12に塗着される。そこにおいて、ヘッドユニット20を流下せしめられる塗料18が両シャッター38でそれぞれ遮断されることによって、塗料膜32の幅方向両端位置は、両シャッタ−38で規定される。そして、制御装置60からの制御信号に基づいてシャッター38が進退駆動せしめられて、先端面44が原皮12の幅方向端部の鉛直上方に位置せしめられることによって、塗料膜32の幅方向両端位置が、塗料膜32の下方を搬送される原皮12の幅方向両端位置と等しくされる。それと共に、塗料膜32の下方に搬送される原皮12の幅方向両端位置の変化に応じて、シャッター38が塗料膜32に対して進退駆動せしめられることによって、塗料膜32の幅方向両端位置が、原皮12の幅方向両端位置の変化に追随して変化せしめられる。そして、原皮12の搬送方向後端縁部が塗料膜32の下方を通過した時点で、シャッター38が再び突き合わせ状態とされて、原皮12の塗工が完了する。
【0071】
このようにして、塗料膜32を通過した原皮12は、ベルトコンベヤ16bで搬送されて、送風機62から空気流が吹き付けられることによって乾燥処理が行なわれる。そして、ベルトコンベヤ16bから基板14が降ろされて、基板14から原皮12が取り外されることによって、原皮12のベタ着色塗工が完了する。
【0072】
このような塗工方法およびそれを実現する塗工装置10によれば、原皮12を塗料膜32の下方を通過させることによってベタ着色塗工が行なわれることから、原皮12の全幅を一度に塗工することが可能であり、優れた塗工品質をもって且つ速やかに塗工を行なうことが出来る。特に、塗料膜32の膜厚(搬送方向での厚さ)を調節することによって、100g/m2 以上の安定した塗工量を得ることが出来る。更に、塗工圧が殆ど掛からないことから、原皮12を損傷するおそれや斑等が発生するおそれも抑えられる。
【0073】
そして、特に本実施形態によれば、塗料膜32の幅方向両端位置をシャッター38でそれぞれ規定して、シャッター38を進退駆動せしめることによって、原皮12の幅方向両端位置の変化に合わせて塗料膜32の幅方向両端位置を変化せしめることが可能とされている。これにより、原皮12からはみ出す塗料18を抑えることが出来て、基板14やベルトコンベヤ16a,16b等の原皮12の周辺や塗工装置10の周辺設備を汚すおそれも軽減されている。それと共に、シャッター38で遮断した塗料18を再度利用することによって、塗料18のロスを抑えて、良好な塗着率を得ることが可能とされている。このように、本実施形態によれば、搬送方向で幅方向両端位置が変化する不定形素材を、良好な塗工品質と塗工効率、更には良好な塗着率をもってベタ着色塗工することが可能とされている。また、本実施形態によれば、原皮12の形状を検出して、かかる検出結果に基づいて塗料膜32の幅方向両端位置を動的に変化させることから、原皮のように個体毎に形状の異なる不定形素材をラインを停止することなく連続して投入することも可能であり、極めて優れた塗工効率を得ることが可能となるのである。
【0074】
さらに、シャッター38がヘッドユニット20の外側に配設されていることから、ヘッドユニット20の構造を簡易にすることが出来て、塗工装置10を安価に構成することが出来る。また、シャッター38の進退量を決定するためには、原皮12の幅方向両端位置を検出するのみで足り、その検出精度としてもそれ程高精度なものは要求されないことから、フォトセンサ58としてそれ程高価なものを用いる必要も無く、安価な構成で、枚葉型不定形素材への好適なベタ着色塗工を実現することが出来る。
【0075】
そして、本実施形態におけるヘッドユニット20やベルトコンベヤ16a,16bとしては、従来公知のカーテン塗工装置に用いられるヘッドユニットやベルトコンベヤが採用可能である。即ち、従来公知のカーテン塗工装置に遮断機構36やラインセンサ56、制御装置60等を適宜追加することによって塗工装置10を得ることが可能となるのであり、塗工装置10を安価に得ることが出来る。更に、前述のように、本実施形態における塗工装置10は、シャッター38がヘッドユニット20の外部に配設された外式の遮断方式とされていることから、シャッター38等の組み付けに際してヘッドユニット20を改造することも不要とされる。従って、例えば既に使用されているカーテン塗工装置にこれら遮断機構36やラインセンサ56、制御装置60等を適宜に付け加えることで本実施形態に従う構造とされた塗工装置10を得ることも容易に可能とされる。そこにおいて、シャッター38を全開状態として、塗料膜32から外れて位置せしめれば、従来通りの使用方法に従う使用も可能であって、既に使用しているカーテン塗工装置を、従来の利便性を損なうこと無しに、不定形の枚葉型素材に対しても優れた塗着率を発揮して、優れた塗工品質とコスト効率をもったベタ塗工を行なうことが可能とされるのである。
【0076】
加えて、特に本実施形態においては、基板14をベルトコンベヤ16aにセットする前に、原皮12の背線100、即ち、原皮12の幅方向中心を基板14の幅方向中心に位置合わせすることによって、原皮12の幅方向中心と塗料膜32の幅方向中心を合わせることが出来て、より安定した塗工を行なうことが可能とされている。そこにおいて、本方法によれば、基板14の幅方向および搬送方向の中心を示す指標光98を原皮12上に投影して、原皮12の背線100を指標光98と位置合わせすることによって、原皮12の位置合わせをより容易且つ確実に行なうことが可能とされている。そして、基板14に幅位置調節板66および角度調節板70を設けたことによって、かかる位置合わせが容易且つ安定的に行なえるようになっていると共に、指標光98が複数のレーザーポインタ96で形成されることによって、高精度な指標光98を安価に得ることが出来る。更に、基板14の凹条73とベルトコンベヤ16a、16bの凸条24を嵌め合わせることによって、基板14の幅方向中心、延いては原皮12の幅方向中心をより容易且つ確実に塗料膜32の幅方向中心と位置合わせすることが可能とされているのである。
【0077】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0078】
例えば、幅方向端位置検出手段としては、前記実施形態の如き非接触型センサに限定されるものではなく、例えば圧電式圧力センサ等の接触型センサを用いる等しても良い。
【0079】
また、制限部材の断面形状は、前記シャッター38の如きU字状断面に限定されるものではなく、例えばV字形状や、コ字状断面等も採用可能である。更に、前記実施形態においては、シャッター38はリニアモータ40の可動子52に固定的に設けられて、その傾斜角度が一定とされていたが、例えば、シャッター38を支持する支持軸54を電動モータ等で回動可能として、シャッター38の傾斜角度を調節可能とする等しても良い。
【0080】
更にまた、前記実施形態においては、シャッター38の先端面44は、原皮12の幅方向端部の鉛直上方に位置せしめられるようになっていたが、塗料18を原皮12の全幅により確実に塗着せしめるために、先端面44を原皮12の上方において、原皮12の幅方向端部からやや外方に位置せしめることによって、塗料膜32の幅を原皮12の幅よりも僅かに大きくする等しても良い。
【0081】
また、指標光照射装置94の具体的な構造としては、前記実施形態の如き扇状に配設された複数のレーザーポインタ96のみならず、例えば、レーザーポインタを扇状に走査して直線を投影し、かかるレーザーポインタを互いに直交するように一対設けることによって十字状の指標光98を形成したり、ライン状の光を投影するレーザー装置を用いて十字状の指標光98を形成する等しても良い。
【0082】
また、前記実施形態においては、加圧ロール102はベルトコンベヤ16aから外れた位置に設けられていたが、例えば加圧ロール102をベルトコンベヤ16aの上方に配設して、基板14をベルトコンベヤ16a上に積載した状態で加圧ロール102による原皮12の固定を行なった後に、原皮12を固定した基板14をラインセンサ56の下方に搬送する等しても良い。このようにすれば、加圧ロール102を固定位置せしめて、ベルトコンベヤ16aを用いて基板14を搬送することによって、加圧ロール102を基板14の搬送方向に相対移動せしめることが出来る。
【0083】
また、前記実施形態においては、基板14の凹条73とベルトコンベヤ16a,16bの凸条24が何れも搬送方向に延びる線状に形成されており、ベルトコンベヤ16aからベルトコンベヤ16bへの基板14の移動が円滑に行なえるようにされていたが、これら凹部および凸部を点状に形成する等しても良い。
【0084】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態としての塗工装置を概略的に示す側面図。
【図2】同塗工装置を概略的に示す正面図。
【図3】膜幅端位置変更手段を概略的に示す斜視図。
【図4】同膜幅端位置変更手段の作動を説明するための説明図。
【図5】幅方向端位置検出手段を概略的に示す下面図。
【図6】基板を概略的に示す上面図。
【図7】図6におけるVII−VII断面を概略的に示す断面図。
【図8】基板のベルトコンベヤへの積載方法を説明するための説明図。
【図9】指標光の投影方法および加圧ロールによる固定方法を説明するための説明図。
【図10】枚葉型不定形素材の基板との位置合わせ方法を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0086】
10:塗工装置、12:原皮、14:基板、16a:ベルトコンベヤ、16b:ベルトコンベヤ、18:塗料、20:ヘッドユニット、32:塗料膜、36:遮断機構、38:シャッター、40:リニアモータ、56:ラインセンサ、58:フォトセンサ、60:制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉型不定形素材を基板上に載置すると共に、塗料を膜状に流下せしめて塗料膜を形成するヘッドユニットを該基板の上方に離隔位置せしめて該基板に対して相対移動せしめる一方、該ヘッドユニットと該基板の間で該塗料の流下を該塗料膜の幅方向両側から遮断することによって該塗料膜の幅方向両端の位置を変更する膜幅端位置変更手段の作動を、該枚葉型不定形素材の幅方向両端の位置を検出する幅方向端位置検出手段の検出結果に基づいて制御することによって、該枚葉型不定形素材の幅方向両端の位置に応じて該塗料膜の幅方向両端の位置を調節することを特徴とする枚葉型不定形素材の塗工方法。
【請求項2】
前記枚葉型不定形素材が原皮である請求項1に記載の枚葉型不定形素材の塗工方法。
【請求項3】
枚葉型不定形素材が載置される基板と、塗料を膜状に流下せしめて塗料膜を形成すると共に該基板の上方に離隔して該基板に対して相対移動せしめられるヘッドユニットと、該ヘッドユニットと該基板の間で該塗料の流下を該塗料膜の幅方向両側から遮断することによって該塗料膜の幅方向両端の位置を変更する膜幅端位置変更手段と、該枚葉型不定形素材の幅方向両端の位置を検出する幅方向端位置検出手段と、該幅方向端位置検出手段の検出結果に基づいて該膜幅端位置変更手段の作動を制御する膜幅端位置調節手段とを設けたことを特徴とする枚葉型不定形素材の塗工装置。
【請求項4】
前記塗料膜の幅方向両側に配設されると共に、該塗料膜の幅方向中央に向けて進退可能とされた一対の制限部材を含んで前記膜幅端位置変更手段が構成されている請求項3に記載の枚葉型不定形素材の塗工装置。
【請求項5】
前記制限部材が、上方に開口する凹状断面を有すると共に、前記塗料膜の幅方向中央側の先端面および内面の底部がポリテトラフルオロエチレンで被覆されている請求項4に記載の枚葉型不定形素材の塗工装置。
【請求項6】
前記制限部材によって遮断された前記塗料を前記ヘッドユニットに戻す回収流路が設けられている請求項5に記載の枚葉型不定形素材の塗工装置。
【請求項7】
前記幅方向端位置検出手段としてフォトセンサが用いられている請求項3乃至6の何れか一項に記載の枚葉型不定形素材の塗工装置。
【請求項8】
前記基板に、前記ヘッドユニットに対する相対移動方向に直交する幅方向の中央部分を延びる中央線が設けられている請求項3乃至7の何れか一項に記載の枚葉型不定形素材の塗工装置。
【請求項9】
前記基板に、前記ヘッドユニットに対する相対移動方向と直交する方向に移動可能とされた幅位置調節板が設けられている請求項3乃至8の何れか一項に記載の枚葉型不定形素材の塗工装置。
【請求項10】
前記基板に、前記枚葉型不定形素材の載置面と直交する中心軸回りで回動可能とされた角度調節板が設けられている請求項3乃至9の何れか一項に記載の枚葉型不定形素材の塗工装置。
【請求項11】
前記基板における前記枚葉型不定形素材の載置面に、該枚葉型不定形素材の厚さ寸法よりも小さな突出寸法を有する固定用針状突起が設けられている請求項3乃至10の何れか一項に記載の枚葉型不定形素材の塗工装置。
【請求項12】
前記基板における前記枚葉型不定形素材の載置面と反対側の面に凹部が設けられている一方、該基板を載置して前記ヘッドユニットの下方で相対移動せしめるコンベヤに、該凹部と嵌合せしめられる凸部が設けられている請求項3乃至11の何れか一項に記載の枚葉型不定形素材の塗工装置。
【請求項13】
前記基板に載置された前記枚葉型不定形素材を該基板の上方から該基板に向けて押圧する加圧ロールを含んで構成されている請求項3乃至12の何れか一項に記載の枚葉型不定形素材の塗工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−110687(P2010−110687A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284923(P2008−284923)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(508331578)
【出願人】(508331589)
【Fターム(参考)】