説明

枠体付きガラスの製造装置

【課題】
固定型と移動型との間に板ガラスを保持し、該板ガラスの周辺部にキャビティが形成され、該キャビティに樹脂が射出されて、枠体が成形される。ガラス周辺部に射出成形で枠体を成形するとき、ガラスに大きな荷重が加わり、ガラスの破損する場合がある。枠体を形成する金型のキャビティに溶融樹脂を射出する時間は数秒以下と短時間で終了するので、ガラスの破損の検知はなるべく早いほうが良い。
本願発明は、ガラスの破損を早期にしかも確実検知することが可能な、枠体付きガラスの製造装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
シリンダーで支持されたロッドが湾曲した板ガラスの凸面側に設けられ、ロッドが接触するガラス面の反対側ガラス面に、ガラスを保持するための吸引パッドと、吸引パッドの圧力変化を検知する圧力検知器とが設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両や建物の開口部に用いられる樹脂枠体付き板ガラスの製造装置に関する。特に、樹脂枠体が湾曲した板ガラスの周辺部に射出成形され、射出成型用の金型に、湾曲した板ガラスの割れを検知するセンサを設けている製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
板ガラスの周辺部に樹脂枠体を射出成形する装置において、樹脂枠体の射出成形は、固定型と移動型との間に板ガラスを保持し、該板ガラスの周辺部にキャビティが形成され、該キャビティに樹脂が射出されて、枠体が成形される。
【0003】
射出成形の最中には、金型によって板ガラスは押さえつけられており、さらに板ガラスの周辺部に射出される樹脂によって、板ガラスに力が加わるため、板ガラスに複雑な応力が発生し、板ガラスが破損することがある。
【0004】
板ガラスは、金型に覆われているため、板ガラスの破損を視認することができず、板ガラスの破損を検知しない場合は、生産性が悪いばかりか、射出成形を続行すると割れた板ガラスが金型を傷つけてしまって、金型が使用できなくなる恐れがある。
【0005】
従って、射出成形中に板ガラスが割れた場合、直ちに板ガラスの割れを検知し、射出成形をやめる必要がある。
【0006】
板ガラスの割れを検知する方法として、特許文献1には、窓枠ゴムをガラス製窓板の周辺に成形する金型において、ガラスに当接する押し圧ピンと押し圧ピン位置センサとからなるガラス板の割れ検知手段が記載されており、押し圧ピンをガラス板に押し圧する手段として、コイルバネが開示されて、押し圧ピンがガラスを突き出たときに破損が検知される。
【0007】
また、特許文献2には、センサーピンがガラスを突き抜けることにより、破損の検知をすることが開示されている。
【0008】
また、特許文献3には、真空ポンプに繋がるバキュウームカップを負圧にし、ガラスを金型に圧接させる装置において、バキュームカップと真空ポンプとをつなぐ負圧通路に、圧力ゲージに繋がる負圧通路を設け、圧力ゲージでガラスの破損を検知する成形装置が開示されている。
【特許文献1】特開昭63−122509号公報
【特許文献2】特開平3−234608号公報
【特許文献3】実開平1−106211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ガラス周辺部に射出成形で枠体を成形する場合、枠体を形成する金型のキャビティに溶融樹脂を射出する時間は数秒以下と短時間で終了するので、ガラスの破損の検知はなるべく早いほうが良い。
【0010】
本願発明は、ガラスの破損を早期にしかも確実検知することが可能な、枠体付きガラスの製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の枠体付きガラスの製造装置は、湾曲した板ガラスを金型に保持し、樹脂を該湾曲した板ガラスの周辺部に射出成形により一体成形する枠体付きガラスの製造装置において、シリンダーで支持されたロッドが湾曲した板ガラスの凸面側に設けられていることを特徴とする枠体付き板ガラスの製造装置である。
【0012】
また、本発明の枠体付きガラス製造装置は、前記枠体付きガラス製造装置において、ロッドが接触するガラス面の反対側ガラス面に、ガラスを保持するための吸引パッドと、吸引パッドの圧力変化を検知する圧力検知器とが設けられていることを特徴とする枠体付きガラスの製造装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の枠体付きガラスの製造装置は、流動性の高温高圧樹脂を金型に射出して、ガラスの周辺に枠体を射出成形する製造装置において、ガラスの破損を早期に検知する手段を提供することを可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図を用いて、本発明の枠体付きガラス製造装置を説明する。
【0015】
図1に示すように、枠体を形成する湾曲した板ガラス3を挟んで、上金型1と下金型2とを重ね、上金型と下金型とで、ガラス3の周辺部にキャビティ4、5を形成する。
キャビティ4、5に流動性の樹脂が、図示しない樹脂射出装置と金型に設けられているランナーを通して射出される。なお、上金型1は移動型、下金型は固定型と呼ばれることもある。
【0016】
湾曲した板ガラス3の凸面側のガラス面に、シリンダー6のロッド7を押し当て、ロッド7の位置の変化を検知して、湾曲した板ガラス3の破損を検知する。
【0017】
シリンダー6には、位置検出器付きシリンダーを用いることが好ましい。位置検出器付きシリンダーを用いないで、ロッド7が変位したかどうかを、光学的あるいは機械的に検知してもよい。
【0018】
ロッド7を湾曲した板ガラス3の凸面に接触させて破損を検知するのは、湾曲した板ガラス3が割れたとき、凸面側のほうが凹面よりも破損したとこの変位が大きく出やすい傾向があるためである。
【0019】
さらに、湾曲した板ガラス3の凹面側を吸引パッド8、9で吸引して保持しておくと、湾曲した板ガラス3の破損時の変位がより早く検知できるので好ましい。
【0020】
また、吸引パッド8、9で湾曲した板ガラス3を吸引して保持いている時、すなわち、開閉弁12、14は閉、開閉弁13は開の状態で、真空ポンプ10を作動させて、吸引パッド8、9で湾曲した板ガラス3を吸引している状態で、配管15に圧力センサ11を連結して、湾曲した板ガラスの破損が、該圧力センサ11の圧力変化として検知されることが好ましい。圧力センサ11には、圧力計や圧力トランスデューサが好適に用いられる。
【0021】
シリンダーのロッド7の変位による破損検知に、さらに、圧力センサ11による破損を検知することは、湾曲した板ガラスの枠体成形中の破損を確実に検知することが可能となるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の枠体付きガラス製造装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 上金型
2 下金型
3 湾曲した板ガラス
4、5 キャビティ
6 シリンダー
7 ロッド
8、9 吸引パッド
10 真空ポンプ
11 圧力検知器
12、13、14 開閉弁
15 配管
16、17 吸引パッド支持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した板ガラスを金型に保持し、樹脂を該湾曲した板ガラスの周辺部に射出成形により一体成形する枠体付きガラスの製造装置において、シリンダーで支持されたロッドが湾曲した板ガラスの凸面側に設けられていることを特徴とする枠体付き板ガラスの製造装置。
【請求項2】
ロッドが接触するガラス面の反対側ガラス面に、ガラスを保持するための吸引パッドと、吸引パッドの圧力変化を検知する圧力検知器とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の枠体付きガラスの製造装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−154386(P2009−154386A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334877(P2007−334877)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】