説明

栄養補助食品

【目的】 本発明は、経口的に摂取することにより、脳の活性化を促し、痴呆症、記憶力障害などの発生予防、症状改善などに役立つ栄養補助食品を提供することを目的とする。
【構成】 ココナッツ水の濃縮成分ないし乾燥固形成分を有効成分として配合したことを特徴とする栄養補助食品

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳の活性化を促し、痴呆症、記憶力障害などの発生予防、症状改善に役立つ栄養補助食品に関する。
【背景技術】
【0002】
大豆や卵黄に多く含まれる天然リン脂質は、血中のコレステロール値を正常に保つことから、動脈硬化、脂肪肝、糖尿病などの成人病の予防・改善に非常に効果的であることが古くから知られている。
【0003】
最近では、これら天然リン脂質を積極的に体内に取り込むことにより、脳内のアセチルコリン量が増し、脳機能の増強やアルツハイマー病などの老化防止に効果があることが明らかになっている。
【0004】
この効果は、天然リン脂質に含まれるコリン体が、脳神経細胞の神経伝達物質の一つであるにアセチルコリンの原料となることに起因するものであり、そのため、このような天然リン脂質を積極的に体内に取り込むべく、当該天然リン脂質を含有する栄養補助食品が種々開発されている(例えば、特許文献1〜5)。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−210867号公報
【特許文献2】特開昭60−149367号公報
【特許文献3】特開昭62−263119号公報
【特許文献4】特開平8−140624号公報
【特許文献5】特開2000−316525
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの特許文献に開示されている栄養補助食品において使用されている天然リン脂質は、主として大豆や卵黄から抽出された天然リン脂質であるが、卵黄や大豆から高濃度の天然リン脂質を抽出するには、アセトンやアルコール等により繰り返し抽出・生成するといった頓雑な作業が必要となる。
【0007】
又、このような作業により抽出された天然リン脂質は、ペースト状ないし粘稠状の不均一な半固体状物質であることから、栄養補助食品として加工するに際して、過熱溶解させて均一な液体とする必要があるが、天然リン脂質は、酸化され易く、熱にも弱いため、加熱溶解に際して褐変等の変質が生じないように、作業中に慎重な取扱を要するといった欠点がある。
【0008】
そのため、従来、天然リン脂質の取扱を向上させる方法としては、植物油などに天然リン脂質を溶解させ、流動性を向上させる手段が一般的に採用されている。
【0009】
しかしながら、植物油に溶解可能な天然リン脂質の量は少なく、このため、植物油中の天然リン脂質の含有量が低く制限されるといった問題がある。
【0010】
ところで、グルコサミンは、体内の水分を保つのに必要なプロチオグリカンという物質の生成に欠くことができない物質であり、本来、体内で合成されるが、その量は20才程度でピークを迎え、それ以後徐々に低下し、高齢になるに従って体内での合成が追い付かず不足するのであり、その結果、手足の関節の痛み、膝の痛み、腰痛や足の突っ張り、股関節や肘の痛み等の障害が発生する。
【0011】
そこで、本発明者が前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ココナッツ水の濃縮成分ないし乾燥固形成分を有効成分として配合したことを特徴とする本発明の栄養補助食品を開発するに至ったのである。
【0012】
即ち、本発明者は、ココナッツ水には100g当たり約150〜200mgもの天然リン脂質(コリン体)が含まれており、又、ココナッツ水の95%以上が水分である点に着目し、ココナッツ水の水分を飛ばして含有成分を濃縮ないし乾燥すれば、比較的簡単に高濃度の天然リン脂質を得られるとの知見を得、このようなココナッツ水の濃縮成分ないし乾燥固形成分を有効成分とする栄養補助食品を経口的に体内に取り込めば、脳の活性化を促し、痴呆症、記憶力障害などの発生予防、症状改善を可能にすることができるとの知見を得たのである。
【0013】
同時に、ココナッツ水には、天然リン脂質のみならず、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン及び鉄などのミネラル成分も豊富に含むことから、このようなココナッツ水の濃縮成分有効成分とする栄養補助食品を経口的に体内に取り込めば、ミネラル不足に起因する種々の疾患の予防・改善も可能にすることができるとの知見も得たのである。
【0014】
本発明は上記知見に基づき完成されたものであって、経口的に摂取することにより、脳の活性化を促し、痴呆症、記憶力障害などの発生予防、症状改善などに役立つ栄養補助食品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するために、本発明における栄養補助食品は、ココナッツ水の濃縮成分ないし乾燥固形成分を有効成分として配合したことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の栄養補助食品の原料として、このような「ココナッツ水」を用いた理由は、上述の如く、ココナッツ水には、100g当たり150〜200mgもの天然リン脂質(コリン体)が含まれており、当該ココナッツ水の95%以上が水分であることから、ココナッツ水の水分を飛ばして含有成分を濃縮すれば、比較的簡単に高濃度の天然リン脂質を得られるからである。
【0017】
又、ココナッツ水には、天然リン脂質のみならず、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラル成分も豊富に含むことから、このようなココナッツ水の濃縮成分有効成分とする栄養補助食品を経口的に体内に取り込めば、天然リン脂質により、脳の活性化を促し、痴呆症、記憶力障害などの発生予防、症状改善を可能にすることができる上、ミネラル不足も緩和することができるからである。
【0018】
さらに、ココナッツ水に含まれるミネラル成分は、いわゆる還元剤の役割を果たし、天然リン脂質の酸化を防ぐことから、長期間にわたって、天然リン脂質のフレッシュな状態を維持することができるのである。
【0019】
本発明における栄養補助食品は、上記ココナッツ水の濃縮成分を有効成分として配合したことを特徴とするものであり、ココナッツ水を濃縮する手段としては、含有される天然リン脂質を著しく変質させるものでなければ、特に限定されるものではなく、天日乾燥や加熱乾燥により、ココナッツ水中の水分を飛ばして濃縮しても良いが、本発明の栄養補助食品の品質を一層向上させるために、濃縮の際に、外気(酸素)に極力触れない作業条件や低温条件下で行うことが好ましく、例えば、窒素雰囲気下や低温条件下、或いはフリーズドライ等の天然リン脂質やミネラル成分の活性を劣化することのない条件で乾燥することが好ましい。
【0020】
又、濃縮の程度としては、その後の栄養補助食品としての形態に応じて適宜調節すれば良いのであり、ある程度の水分を飛ばした濃縮液の状態としても良く、完全に水分を飛ばして粉末状としても良いのである。
【0021】
そして、本発明における栄養補助食品は、上記のココナッツ水の濃縮成分を配合したことを特徴とするものであり、従って、本発明の栄養補助食品には、ココナッツ水に含まれる天然リン脂質及び各種のミネラル成分が豊富に含有されることになるのであるが、ココナッツ水の濃縮成分のみを配合したものに限られるものではなく、糖、アルコール、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ビタミン、微量元素、アミノ酸、神経伝達物質、刺激剤、血流を刺激する化合物又は植物抽出物などの添加剤を適宜配合しても良いのである。
【0022】
これらの添加剤としては、具体的に例えば、アセチルコリンの分泌を促すDHA(ドコサヘキサエン酸)、神経細胞からの命令を他へ伝えるビタミンB12、活性酸素を還元化するビタミンE、アセチルコリンの合成を促すと共に鉄分の吸収を促進するビタミンC、アセチルコリン生成を助長するパンテント酸カルシウム、血液中のコレステロール量を整える乳酸菌、脳血流の増加を促進するクエン酸第一鉄ナトリウムやイチョウ葉エキス、血流を良くするニンニク末、その他亜鉛やカキ殻粉末などのミネラル成分を挙げることができる。
【0023】
又、その他の活性成分として、ロディオラ、チョウセンニンジン、チョウセンゴミシ、スマ、カモミール、シダレヤナギ、マオウ、トケイソウ、カバカバ、オトギリソウ、カノコソウ、ニンニク、レイシタケ及び/又はガラナからの活性物質、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、タウリン、セリン、カルニチン、フェニルアラニン、メラトニン、チロシン、テアニン、エタノール、クレアチンクエン酸、クレアチンピルビン酸、バルビツル酸(誘導体)、キャッツクロー(樹皮、葉、根)の抽出液又は粉末、並びにそれらの混合物などを適宜選択して配合することもできる。
【0024】
これらのうち、特に、キャッツクロー(樹皮、葉、根)の抽出液又は粉末はグルコサミンの生成を促進するものである。
【0025】
本発明における栄養補助食品は、最終的には、例えば、粉末剤、錠剤、ドリンク剤及びカプセル剤等として成形され、その商品形態としては特に制限されるものではないが、空気中に暴露した状態で長期間保存すると、酸化・変質する虞があることから、特に、カプセルに封入したカプセル型栄養補助食品とすることが好ましい。
【0026】
この栄養補助食品を充填するカプセル基剤としては、現在、一般的に使用されている既知のカプセル基剤を好適に用いることができ、例えば、ゼラチン製の硬質カプセルに封入したり、ゼラチンにグリセリンなどを加えて柔軟にした2枚のゼラチン基剤の間にココナッツ水の濃縮成分を置き、型にのせ、温時圧搾して球形若しくは楕円体に成型したりする方法が挙げられる。
【0027】
なお、本発明においては、それぞれの商品形態に応じて、特に適切な製剤用助剤を適宜配合してもよく、この製剤用助剤としては、メチルセルロースなどの炭水化物や、SiO2、ステアリン酸塩、可溶化剤、染料や香味料、防腐剤や分離剤、並びに滑沢剤などを挙げることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、上記構成を有する新規な栄養補助食品であり、ココナッツ水の濃縮成分ないし乾燥固形成分を有効成分として配合したことを特徴とする。
【0029】
即ち、本発明の栄養補助食品は、その原料として、「ココナッツ水」を用いており、このココナッツ水には、100g当たり150〜200mgもの天然リン脂質(コリン体)が含まれており、当該ココナッツ水の95%以上を占める水分を飛ばして含有成分を濃縮すれば、比較的簡単に高濃度の天然リン脂質を得られるのである。
【0030】
そして、このココナッツ水には、天然リン脂質のみならず、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラル成分も豊富に含むことから、このようなココナッツ水の濃縮成分有効成分とする栄養補助食品を経口的に体内に取り込めば、天然リン脂質により、脳の活性化を促し、痴呆症、記憶力障害などの発生予防、症状改善を可能にすることができる上、ミネラル不足も緩和することができるのである。
【0031】
さらに、ココナッツ水に含まれるミネラル成分は、いわゆる還元剤の役割を果たし、天然リン脂質の酸化を防ぐことから、長期間にわたって、天然リン脂質のフレッシュな状態を維持することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0033】
本実施例において使用したココナッツ水100g当たりに含有される成分を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1の値から、ココナッツ水はコリン体を非常に多く含み、ミネラル成分もバランスよく含まれていることを確認することができる。
【0036】
そして、本実施例においては、このココナッツ水を自然乾燥させ、完全に水分を飛ばすことにより、ココナッツ水の濃縮成分(粉末状)を得た。
【0037】
次に、人間の痴呆症に類似した症状を有するいわゆる「痴呆ネズミ」20匹を、10匹ずつグループAとグループBの2群に分け、グループAには上記ココナッツ水の濃縮成分を混ぜた餌を毎日与え、一方、グループBには何も混ぜない餌をグループAと同量毎日与え、それぞれのグループについて10日後に脳内のアセチルコリン量を測定した。
【0038】
その結果、ココナッツ水の濃縮成分を混ぜた餌を毎日与えたグループAのネズミからは、脳内のアセチルコリンの著しい増加が確認された。
【0039】
一方、通常の餌を与えたグループBのネズミからは、脳内のアセチルコリンの増加は確認されなかった。
【0040】
又、ネズミから見えない位置に避難場所を設けた水槽内にネズミを放ち、前記避難場所にたどり着けるかどうかの試験を繰り返したところ、ココナッツ水の濃縮成分を混ぜた餌を毎日与えたグループAのネズミは、試験を繰り返すごとに避難場所にたどり着くまでの所要時間が短くなっていったのに比べて、通常の餌を与えたグループBのネズミにおいては、試験を繰り返しても非難場にたどり着くまでの時間にほとんど変化を認めることができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココナッツ水の濃縮成分ないし乾燥固形成分を有効成分として配合したことを特徴とする栄養補助食品。
【請求項2】
添加剤として、糖、アルコール、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ビタミン、微量元素、アミノ酸、神経伝達物質、刺激剤、血流を刺激する化合物又は植物抽出物から選ばれた少なくとも1種以上が配合されてなる請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項3】
活性成分として、ロディオラ、チョウセンニンジン、チョウセンゴミシ、スマ、カモミール、シダレヤナギ、マオウ、トケイソウ、カバカバ、オトギリソウ、カノコソウ、ニンニク、レイシタケ及び/又はガラナからの活性物質、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、タウリン、セリン、カルニチン、フェニルアラニン、メラトニン、チロシン、テアニン、エタノール、クレアチンクエン酸、クレアチンピルビン酸、バルビツル酸(誘導体)、キャッツクロー(樹皮、葉、根)の抽出液又は粉末、並びにそれらの混合物から選ばれた少なくとも1種以上が配合されてなる請求項1又は2に記載の栄養補助食品。
【請求項4】
粉末剤、錠剤、ドリンク剤又はカプセル剤のいずれかの形態に成形されてなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の栄養補助食品。
【請求項5】
製剤用助剤として、メチルセルロースなどの炭水化物や、SiO2、ステアリン酸塩、可溶化剤、染料、香味料、防腐剤、分離剤又は滑沢剤から選ばれた少なくとも1種以上が配合されてなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の栄養補助食品。

【公開番号】特開2006−262769(P2006−262769A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85239(P2005−85239)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(505107631)株式会社上田ホールディングス (14)
【出願人】(505107642)株式会社ユー・イー・エス (5)
【Fターム(参考)】