説明

核酸の配列決定のための方法および組成物

本発明が提供するヌクレオチド・アナログ群は、例えば、二つ以上の塩基の反復を有したホモポリマー領域を含む核酸配列に有用であり、本発明は、このヌクレオチド・アナログを利用した配列法に関する。本発明が提供する方法および組成物は、テンプレート依存型の配列反応に単一の塩基を一回ずつ導入することが可能である。本発明により、標的核酸のホモポリマー領域を含む全領域についてテンプレート依存型の合成配列が可能になる。このため、さらに本発明により、ホモポリマー領域に存在するヌクレオチドの数が測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2005年11月22日に出願された米国仮特許出願第11/286,626号、および2005年12月5日に出願された米国仮特許出願第11/295,406号に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第11/286,626号および米国仮特許出願第11/295,406号の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、ヌクレオチド・アナログおよびこれを利用した核酸配列法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
合成による核酸配列解読によって、生物組織および生物機能に対する理解に変革をもたらすことが可能である。従来の配列法では、サンプル・ベース核酸の増幅および/または電気泳動ゲルの利用によって配列情報を得てきたが、最近では、増幅バイアスに影響されない高密度配列情報を得る方法として、単一分子配列法が提供されている。非特許文献1を参照のこと。
【0004】
合成による配列解読は、担体結合テンプレート−プライマー・デュープレクスにヌクレオチドをテンプレートに依存して付加する方法である。付加されるヌクレオチドは、プライマーへの組み込みが検知されるように標識化される。単一分子の配列解読を行う際の問題は、ホモポリマー領域(すなわち、連続同一ヌクレオチドを含むテンプレート部分)にかかわる配列が可能かどうかという点にある。遺伝子機能という点ではしばしば、ホモポリマー領域に存在する塩基数が問題になる。すなわち、合成配列反応に利用されるほとんどのポリメラーゼは、連続移動性に優れているので、ホモポリマー領域を横切る場合、ポリメラーゼは連続して塩基を加えようとする。このため、配列反応に利用される検知し易い標識のほとんどが、二つ以上で連続的に組み込まれ、区別がつかない。したがって、ホモポリマー領域は、単一組み込みもしくはときに二重組み込みとして報告され、ホモポリマーに存在する正確な塩基数を測定するために必要な分析が行われない。
【0005】
ホモポリマーに存在する塩基数を測定するという問題を解決する一つの方法は、同権利者の所有する同時係属中の特許文献1中で提案されている。すなわち、この方法は、組み込み反応速度をコントロールする方法であり、通常、所定の数の塩基が任意の反応周期で組み込まれる。本発明は、この問題に対する別の解決法を提供している。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0100932号明細書
【非特許文献1】Braslavsky、Proc.Natl.Acad.Sci.USA100:3960−64,2003年
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明が提供する方法および組成物は、テンプレート依存型の配列反応に単一の塩基を一回ずつ導入することが可能である。本発明により、標的核酸のホモポリマー領域を含む全領域についてテンプレート依存型の合成配列が可能になる。このため、さらに本発明により、ホモポリマー領域に存在するヌクレオチドの数が測定される。
【0007】
本発明は、第一ヌクレオチド組み込み活性部位に近接した領域に、第二ヌクレオチド組み込みの阻害体を導入することを意図している。このため、本発明による近接阻害では、阻害体の濃度がポリメラーゼの活性部位に近接した領域で濃くなることによって、単一ヌクレオチドが組み込まれると阻害が除去されるまで、後続の組み込みが阻害される。本発明は、以下で詳述されるように、近接阻害を生成する複数のメカニズムを意図している。その一つのメカニズムは、塩基組み込み部位に近接した領域でハイブリダイズする核酸マルチマーに阻害体を連結することによって、テンプレート/プライマー・デュープレックスのプライマー部分における第一塩基配列の組み込みを可能にし、阻害が除去されるまで後続の組み込みをすべて阻害する。さらに、この阻害体は、酵素、タンパク質(例、抗体あるいは配位子)に連結されてもよく、組み込まれるヌクレオチドに連結されるか「テザー」されてもよい。
【0008】
一面では、本発明は、ヌクレオチド・アナログのファミリーを提供し、それぞれが、可逆阻害体もしくはブロッカーを有しており、これらによって、テンプレート依存型の合成配列反応の各付加周期において、一つのヌクレオチド組み込みだけが可能になる。ここで説明されている組成物は、任意の配列反応においても有用であるが、特に、単一分子の合成配列反応において有用である。この単一分子反応とは、ヌクレオチドが付加されるデユープレクスが個々に、光学的に分解されうる反応である。
【0009】
通常、本発明のヌクレオチド・アナログには、テンプレート依存型の合成配列反応において組み込まれるヌクレオチドにテザーされるブロッカーが含まれる。組み込まれるヌクレオチドとブロッカーとの間の連結は開裂可能であり、適正な塩基対ヌクレオチドの組み込み後、ブロッカーを除去することができる。このブロッカー部分は、第二ヌクレオチド組み込みの特定阻害体もしくは非特定阻害体である。非特定阻害では、合成配列反応において組み込まれるヌクレオチドが、後続ヌクレオチドの組み込みを立体的に阻害する部分と連結される。特定阻害では、阻害体そのものが、ポリメラーゼ触媒ヌクレオチド付加に対する拮抗阻害体である。実施形態によっては、この阻害体がヌクレオチドであり、これ自体は組み込まれず、次の相補的ヌクレオチドの下流組み込みを阻害する。好ましい一実施形態では、組み込まれるヌクレオチド、親油部分、一、二、または三リン酸塩、および、非組み込みデオキシリボースまたはリボース部分が、特定阻害体に含まれる。
【0010】
組み込まれるヌクレオチドと阻害体との間のテザーもしくはリンカーは、約4〜約50原子の長さである。好ましくは、リンカーには親油部分が含まれている。さらに、リンカーには、組み込まれる塩基の近位に三重結合もしくはトランス二重結合を含めることができる。最終的には開裂連結が含まれることによって分子のブロック部分の除去が可能になる。
【0011】
組み込まれるヌクレオチドの塩基部分は、標準ワトソン−クリック塩基、および、これらのアナログおよび変異体から選択される。特定阻害体の場合、ブロック・ヌクレオチドの塩基も、標準ワトソン−クリック塩基およびこれらのアナログおよび変異体から選択される。組み込まれるヌクレオチドおよびブロック・ヌクレオチドは、同じものでも異なるものでもよい。以下に説明されるように、ブロック・ヌクレオチドは、理論的にはヌクレオチド一リン酸塩もしくはヌクレオチド二リン酸塩のような、ポリメラーゼによって通常組み込まれないものであるか、もしくは、糖のC5’炭素に通常付着しているリン酸塩部分が欠けているものである。
【0012】
特定の実施形態において、本発明はヌクレオチド・アナログを提供し、これに含まれる組み込み用ヌクレオチドは、従来のワトソン−クリック塩基(アデニン、グアノシン、シトシン、チミジン、もしくは、ウリジン)、糖、例えば、リボースあるいはデオキシリボース糖、および、一つ以上のリン酸塩を含むブロック・ヌクレオチドと連結されている。
【0013】
本発明の好ましいアナログには、蛍光標識のような光学検知可能な標識が含まれている。これらの標識は、組み込まれる塩基から開裂可能リンカーの開裂によって除去されるように、従来の化学的方法を利用してヌクレオチド・アナログの任意の位置に付着することができる。以下で、有用な標識の例が詳しく説明される。
【0014】
本発明はさらに、核酸配列法を提供する。方法によっては、テンプレートおよびプライマーを含む核酸デュープレクスが表面に配置されて、このデュープレクスが光学的に、個々に分解可能となっている。合成配列反応が実行されるのは、標識ヌクレオチド・アナログのプライマーへの付加が可能であるが他のヌクレオチドもしくはヌクレオチド・アナログが即座に下流に付加されないようになっている状況においてである。この配列が検知された後は、阻害が除去されて他のヌクレオチドがプライマーに付加されることが可能になる。本発明の方法によれば、テンプレート・ホモポリマー領域における連続ヌクレオチドの検知およびカウントが可能になる。
【0015】
特定構造および合成経路については、以下に示す本発明の詳細な説明に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、テンプレート/プライマー・デュープレクスのプライマー部分に対する第二ヌクレオチド(N+1;Nは第一塩基付加)付加を阻害する、合成による配列解読である。実施形態によっては、阻害体の局所濃度を濃くすることによって(N+1)組み込み阻害が実行され、この阻害体全体の濃度は、組み込み阻害全般を実行するには不十分とすればよい。一面で本発明は、核酸アナログを提供し、テンプレート依存型の合成配列においてこのアナログを利用する方法を提供している。本発明のアナログにはブロック基が含まれており、これによりテンプレート依存反応において、テンプレート−プライマー・デュープレクスのプライマー部分に単一ヌクレオチドを付加することが可能になる。本発明のアナログには開裂可能リンカーが含まれており、これによってブロック基の除去が可能になりプライマーへ後続の(N+1)塩基を付加することが可能になる。本発明のヌクレオチド・アナログを利用することによってホモポリマー領域の高精度配列が可能になり、この領域に存在するヌクレオチドの数の測定が可能になる。
【0017】
本発明の好ましいアナログには、ブロッカーに連結されて組み込まれるヌクレオチドまたはヌクレオチド・アナログが含まれている。このブロッカーは、大型立体阻害体、あるいは組み込まれていないヌクレオチドまたはヌクレオチド・アナログであり、これらは、例えば親油もしくは親水領域を含む開裂可能リンカーによって連結されている。これらのアナログの特定の実施形態は、例示として合成法を説明するために以下に示されるが、当業者にとっては当然のことであるが、添付の請求項の範囲に適うかぎり種々の変更が可能である。
【0018】
I.ヌクレオチド・アナログ
本発明のヌクレオチド・アナログは、式Iまたは式IIの汎用構造を有している。
【0019】
【化21】

塩基BおよびBは、それぞれ独立してプリン、ピリミジン、プリンもしくはピリミジン・アナログ、大型基(例えば、染料、ビオチン、ビード、もしくは、その他の大型分子)である。好ましい実施形態ではBおよびBが、それぞれ独立してアデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、またはヒポキサンチンから選択される。BおよびBは、それぞれ独立の例えば塩基の天然および合成の誘導体とすることもでき、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン類、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよびその他アルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよびその他アルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ(例、8−ブロモ)、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよびその他8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよびその他5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、デアザグアニン、7−デアザグアニン、3−デアザグアニン、デアザアデニン、7−デアザアデニン、3−デアザアデニン、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、イミダゾ[1,5−a]1,3,5トリアジノン類、9−デアザプリン類、イミダゾ[4,5−d]ピラジン類、チアゾロ[4,5−d]ピリミジン類、ピラジン−2−オン類、1,2,4−トリアジン、ピリダジン、1,3,5トリアジンなどがある。
【0020】
本明細書に記載のヌクレオチド・アナログは、単一ヌクレオチドのテンプレート依存型の組み込みを可能にする。用語塩基対は、標準AT,AUもしくはGC塩基対を包含するだけではなく、特殊なまたは修飾された塩基を含むヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド・アナログの間に形成された塩基対も包含する。ここでは、水素結合供与体および水素結合受容体の配列によって、特殊塩基と標準塩基との間の、または、二つの相補的特殊塩基構造間の水素結合が可能になる。このような特殊塩基対の一例には、ヌクレオチドアナログであるイノシンと、アデニン、シトシンまたはウラシルとの間の塩基対がある。
【0021】
特定の実施形態では、式IIにおける二重結合がトランス型である。
【0022】
【化22】

およびRはそれぞれ独立して、OH、H、I、NHおよびNからなる群から選択される。
【0023】
数nはそれぞれ独立して、0〜50の整数である。好ましい実施形態では数nが1〜4である。
【0024】
Yは、NR’,O,S,CHおよび結合からなる群から選択され、R’は、H、アルキル、アルケニル、およびアルキニルからなる群から選択される。アルキル部分には飽和脂肪族基が含まれており、これには直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基が含まれている。実施形態によっては、直鎖もしくは分岐鎖アルキルがバックボーンに約30以下(例、直鎖ではC〜C30、分岐鎖ではC〜C30)あるいは、約20以下の炭素原子を有する。同様に、シクロアルキル類が環構造において、約3〜約10の炭素原子を有するか、あるいは、環構造において、約5、6、または7の炭素を有する。用語「アルキル」には、ハロ置換アルキルも含まれる。さらに、用語「アルキル」(または「低アルキル」)には「置換アルキル類」が含まれ、これは、炭化水素バックボーンの一つ以上の炭素上の水素と置換する置換基を有するアルキル部分を指している。用語「アルケニル」および「アルキニル」は、既述のアルキル類と同程度の長さの不飽和脂肪族基および可能な置換物を指しているが、それぞれが一つ以上の二重結合または三重結合を含んでいる。
【0025】
Yが酸素の場合、生成したリンカーが開裂すると、組み込まれた塩基に特別短い「スカー」もしくは化学修飾が残る。生成したスカーは不活性であるために化学的に中和される必要がない。このために後続塩基の組み込みが容易になる。このようなアナログ(Cy5ブロッカー利用による)および「短スカー」脱離の例が、以下に示されている。
【0026】
キャップ無しdUTP−Cy5
【0027】
【化23】

短スカー脱離の例が、以下に示されている。
【0028】
【化24】

部分Aは、−S−S−、エステル、アミド基からなる群から選択される。「アミド」は、当該分野で知られているように、アミノ置換カルボニル基である。
【0029】
は、
【0030】
【化25】

アルキルおよび結合からなる群から選択される。
【0031】
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、エーテル、および結合からなる群から選択されるが、「エーテル」には、酸素によって共有結合された二つの炭化水素が含まれていればよい。実施形態によってはRが親油部分である。Rはグリコール・エーテルがよい。
【0032】
は、
【0033】
【化26】

アルキル、アルケニル、および結合からなる群から選択され、pは、それぞれ独立して0〜50の整数である。
【0034】
Arはアリール部分である。用語「アリール」は、5−,6−,7−員の単一環状芳香族基であり、これらには例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、その他のような、0〜4つのヘテロ原子を含めることができる。環構造においてヘテロ原子を有するこのようなアリール基は、また「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」とも呼ばれる。芳香環は、一つ以上の環位置において既述のような置換基と置換されてもよく、この例としては、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分、−CF,−CN、その他がある。用語「アリール」には、二つ以上の環状環を有する多環式環系も含まれており、二つ以上の炭素が二つの隣接環(これらの環は「縮合環」である)に共通であり、一つ以上の環は芳香族で、他の環状環は、例えばシクロアルキル類、シクロアルケニル類、シクロアルキニル類、アリール、および/または、ヘテロシクリル類である。好ましい実施形態では、Arがフェニルあるいは芳香族酸とすることもできる。
【0035】
は、ホスホリル部分のような任意の部分であればよい。いくつかの実施形態では、Rが以下からなる群から選択される。
【0036】
【化27】

式中、Zは、それぞれ独立してOまたはSである。Xは、Hまたはハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、もしくは、ヨウ素を表す。好ましいハロゲンは、フッ素である。他の実施形態では、Rが、以下の式ではないという条件を有する任意の部分とすることもできる。
【0037】
【化28】

は、アルキルもしくは結合である。Rは、S、アルキル、アルケニル、アルキニル、または、NR’から選択される。Rは、NR’、O、Sおよび−(CH−から選択され、mは、独立して0〜50の整数である。例えばmは、0,1,2,3または4である。特定の実施形態では、nが4でありmが3である。
【0038】
Lは、例えば、光学検知可能な標識のような標識である。本発明の実行には種々の光学標識を利用することができ、これには以下の例がある。4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’ジスルホン酸、アクリジンおよび誘導体:アクリジン、イソチオシアン酸アクリジン、5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホ酸(EDANS);4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド−3、5ジスルホネート、N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;BODIPY;ブリリアント・イエロー;クマリンおよび誘導体;クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(クマラン151);シアニン染料、シアノシン;4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI);5’5’’−ジブロモピロガロール−スルホナフタレイン(ブロモピロガロール・レッド);7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン;ジエチレントリアミンペンタアセテート、4,4’−ジイソチオシアナトジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジイソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、5−[ジメチルアミノ]ナフタレン−1−スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC)、エオシンおよび誘導体、エオシン、エオシンイソチオシアネート、エリトロシンおよび誘導体、エリトロシンB、エリトロシン、イソチオシアン酸塩、エチジウム、フルオレセインおよび誘導体、5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’−ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、QFITC、(XRITC)、フルオレスカミン、IR144,IR1446、マラカイト・グリーン・イソチオシアネート、4−メチルウンベリフェロンオルト・クレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラローザニリン、フェノール・レッド、B−フィコエリスリン、o−フタルジアルデヒド、ピレンおよび誘導体、ピレン、ピレン・ブチラート、スクシンイミジル1−ピレン、ブチラート量子ドット、反応レッド4(シバクロンTMブリリアント・レッド3B−A)ローダミンおよび誘導体;6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リサミン・ローダミンBスルホニルクロリドローダルニン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサス・レッド)、N,N,N’,N’テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチル・ローダミン、テトラメチル・ローダミン・イソチオシアネート(TRITC)、リボフラビン、ロゾール酸、テルビウム・キレート誘導体、シアニン−3(Cy3)、シアニン−5(Cy5)、シアニン−5.5(Cy5.5)、シアニン−7(Cy7)、IRD700、IRD800、ラ・ホルタ・ブルー(LaJolta Blue)、フタロ・シアニン、ナフタロ・シアニン。
【0039】
好ましい標識はCy5およびCy3のような蛍光染料であり、蛍光標識以外の標識が、他の光学検知可能な標識を含めて本発明により提供されている。標識については、標準的化学法を利用して、本発明のヌクレオチド・アナログの任意の位置に付加され、開裂可能リンカーの開裂によって、組み込まれた塩基から除去することができる。
【0040】
例えば、式Iもしくは式IIのRがアルキルまたは結合である場合、LはR,R,R,RまたはBと共有結合している。Lは、例えばアミド結合によってRもしくはRと共有結合し、この例としては−CH−S−S−CH−CH−NHCOがある。あるいはLは、アミド結合によってRまたはRと共有結合することもできる。
【0041】
本発明の代表的ヌクレオチド・アナログは、以下のとおりである。
【0042】
【化29】

式中、PPPO−は、
【0043】
【化30】

であり、各発生におけるZは、独立した酸素あるいは硫黄とすることができる。
【0044】
本発明のヌクレオチド・アナログはさらに、式IIIによってあらわすこともできる。
【0045】
【化31】

式IIIのR11は、以下からなる群から選択される。
【0046】
【化32】

および
【0047】
【化33】

式IIIの部分B1、B2、Y、R’、Z、L、R1、R、R、R、R、R、mおよびnは、上のように規定される。
【0048】
特定の実施形態では、本発明のヌクレオチド・アナログが、以下からなる群から選択される。
【0049】
【化34】

【0050】
【化35】

各実施形態において、PPPO−は
【0051】
【化36】

であり、各発生におけるZは、独立した酸素もしくは硫黄であり、B、B、RおよびLは上に規定されているとおりであり、qは1〜50の整数である。
【0052】
本発明の別の代表的なヌクレオチドは、式IVもしくは式Vのヌクレオチド・アナログである。
【0053】
【化37】

式中、B,B,R,Rは、上のように規定され、R12は、開裂可能リンカーを含む部分である。実施形態によっては、Rは、以下の式ではないという条件を有する任意の部分とすることもできる。
【0054】
【化38】

他の実施形態では、Rが上で規定されたとおりとすることもできる。R12にはBと結合されたアルキニル部分が含まれればよい。実施形態によっては、R12にはBと結合されたアルキニル部分を含めてもよい。R12は、−S−S−、エステル、および、アミド基からなる群から選択される部分を含んでもよい。
【0055】
II.テンプレート指向合成配列
既述のように本発明による方法は、ホモポリマー領域を含む核酸配列法を改良したものである。この方法は、核酸テンプレート−プライマー・デュープレクスを、(i)プライマ−へのヌクレオチド付加を触媒するポリメラーゼと、(ii)リンカーによってブロッカーと共有結合した第一ヌクレオチドまたは第一ヌクレオチド・アナログを含む標識ヌクレオチド・アナログとに曝露することを含む。このときの条件は、ポリメラーゼがテンプレートの第一塩基に相補的である位置で、標識ヌクレオチド・アナログをプライマーに加えることが可能であり、次の下流塩基に相補的である位置では、別のヌクレオチドまたはヌクレオチド・アナログをプライマーに加えられないという条件である。この曝露ステップの後に、プライマーに組み込まれるヌクレオチド・アナログが検知される。ブロッカーが除去されると、他のヌクレオチドがプライマーに組み込まれることが可能になる。標識、例えば、本明細書に記載の光学検知可能な標識の一つも、ブロッカーと同時に除去することができる。
【0056】
本明細書に記載のヌクレオチド・アナログはどれも、このタイプの配列プロトコルに利用されるが、実施形態によっては、リンカーは、第一ヌクレオチドまたは第一ヌクレオチド・アナログの塩基、および、ブロック・ヌクレオチドもしくはブロック・ヌクレオチド・アナログの塩基と共有結合する。他の実施形態によっては、リンカーが約4〜50原子の長さか、あるいは、約15〜約15原子の長さである。他の実施形態では、リンカーは、トランス型において二重結合を含むアルキニル基またはアルケニル基を通じて、第一ヌクレオチドまたは第一ヌクレオチド・アナログと共有結合する。
【0057】
以下のセクションでは、核酸配列について一般的な検討がなされ、例えば、テンプレート、合成配列に有用なポリメラーゼ、表面選択、反応条件、信号検知および分析について検討がなされる。
【0058】
核酸テンプレート
核酸テンプレートは、デオキシリボ核酸(DNA)および/またはリボ核酸(RNA)を含む。核酸テンプレートは合成することもできるし、天然源から誘導することもできる。実施形態によっては、核酸テンプレート分子が、タンパク質、脂質、および、非テンプレート核酸のような種々の他の成分を含む生物サンプルから単離される。核酸テンプレート分子は、動物、植物、バクテリア、菌類、または、その他の細胞生物から得られる細胞物質から得ることも可能である。本発明において利用される生物サンプルには、ウイルス粒子もしくは調製物が含まれる。核酸テンプレート分子は、有機体から直接得ることもできるし、例えば血液、尿、脳脊髄液、精液、唾液、痰、糞、および、組織などの有機体から得られる生物サンプルから直接得ることもできる。いずれの組織もしくは体液標本も、本発明における核酸用のソースとして利用することができる。核酸テンプレート分子もまた、一次細胞培養もしくは細胞系のような培養細胞から単離可能である。テンプレート核酸が得られる細胞または組織は、ウイルスまたはその他の細胞内病原体によって感染させることもできる。サンプルは、生物標本、DNAライブラリ、ウイルスDNA、または、ゲノムDNAから抽出される全RNAとすることもできる。
【0059】
生物サンプルから得られた核酸は通常、断片化されることによって、分析用の適正断片が生成される。実施形態によっては、生物サンプルから得られる核酸が超音波処理によって断片化される。核酸テンプレート分子は、2003年10月9日公開の米国特許出願公開第2002/0190663A1号に記載されている方法によって得ることができる。通常は、Maniatis、その他著Molecular Cloning:A Laboratory Manual、1982年、ニューヨーク州、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)280〜281頁に記載されているような種々の方法によって、核酸を生物サンプルから抽出すことができる。通常、個々の核酸テンプレート分子は、約5塩基から約20kbまでとすることができる。核酸分子は、一本鎖、二本鎖、または、一本鎖領域を有する二本鎖(例、ステムおよびループ構造)であればよい。
【0060】
本明細書に記載の生物サンプルは、洗剤もしくは界面活性剤によって均質化または、断片化される。バッファの洗剤濃度は、約0.05%〜約10.0%とすればよいが、洗剤が溶液に溶けるの濃度まで可能である。好ましい実施形態における洗剤濃度は、0.1%〜約2%である。特に非変性質のマイルド洗剤は、サンプルを溶け易くするように作用することができる。洗剤は、イオン性あるいは非イオン性とすればよい。非イオン性洗剤の実施形態としては、以下の例がある。Triton(登録商標)X系列(Triton(登録商標)X−100t−Oct−C−(OCH−CHOH,x=9〜10,Triton(登録商標)X−100R,Triton(登録商標)X−114 x=7〜8 )のようなトリトン、オクチル・グルコシド、ポリオキシエチレン(9)ドデシル・エーテル、ジギトニン、IGEPAL(登録商標)CA630オクチルフェニル・ポリエチレン・グリコール、n−オクチル−ベータ−D−グルコピラノシド(ベータOG)、n−ドデシル−ベータ、Tween(登録商標)20ポリエチレン・グリコール・ソルビタン・モノラウレート、Tween(登録商標)80ポリエチレン・グリコール・ソルビタン・モノオレエート、ポリドカノール、n−ドデシル・ベータ−D−マルトシド(DDM)、NP−40ノニルフェニル・ポリエチレン・グリコール、C12E8(オクタエチレン・グリコールn−ドデシル・モノエーテル)、へクサエチレングリコール・モノ−n−テトラデシル・エーテル(C14EO6)、オクチル−ベータ−チオグルコピラノシド(オクチル・チオグルコシド、OTG)、エマルゲン(Emulgen)、およびポリオキシエチレン10ラウリル・エーテル(C12E10)。イオン性洗剤(陰イオンもしくは陽イオン)の例には、デオキシコレート、硫酸ドデシルナトリウム(SDS)、N−ラウロイルサルコシン、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)がある。さらに、両性イオン試薬も本発明の精製スキームにおいて利用され、この例にはチャップス(Chaps)、両性イオン3−14、および3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネートがある。さらに、尿素が、他の洗剤または界面活性剤の有無とは関係なく加えられてもよい。
【0061】
溶解あるいは均質化の溶液にはさらに、還元剤のような薬品が含まれてもよい。このような還元剤の例には、ジチオスレイトール(DTT)、β−メルカプトエタノール、DTE,GSH、システイン、システアミン、トリカルボキシエチル・ホスフィン(TCEP)、あるいは、亜硫酸の塩がある。
【0062】
核酸ポリメラーゼ
本発明に有用な核酸ポリメラーゼには、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、および、以上の突然変異体もしくは変更型が含まれている。DNAポリメラーゼおよびその特性については、Kornberg、Baker共著、DNA Replication、第二版、1991年、W.H.Freeman社、ニューヨーク州、ニューヨーク市、において詳述されている。本発明に有用な既知のおよび従来のDNAポリメラーゼには、限定的ではないが以下の例がある。Pyrococcus furiosus(Pfu)DNAポリメラーゼ(Lundberg、他著Gene、108:1,1991年、Stratagene社)、Pyrococcus woesei(Pwo)DNAポリメラーゼ(Hinnisdaels、他著Biotechniques、20:186−8,1996年、Boehringer Mannheim社)、Thermus thermophilus(Tth)DNAポリメラーゼ(Myers、Gelfand共著、Biochemistry、30:7661,1991年)、Bacillus stearothermophilusDNAポリメラーゼ(Stenesh、McGowan共著、Biochim Biophys Acta、475:32,1977年)、Thermococcus litoralis(Tli)DNAポリメラーゼ(Vent(商標)DNAポリメラーゼ、Cariello、他著Polynucleotides Res、19:4193,1991年、New England Biolabs)、9Nm(商標)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)、Stoffel断片、ThermoSquenase(登録商標)(Amersham Pharmacia Biotech社、イギリス)、Therminator(商標)(New England Biolabs)、Thermotoga maritima(Tma)DNAポリメラ−ゼ(Diaz、Sabino共著、Braz J. Med.Res、31:1239,1998年)、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ(Chien他著J.Bacteoriol、127:1550,1976年)、DNAポリメラーゼ、Pyrococcus kodakaraensis KOD DNAポリメラーゼ(タカギ他著、Appl.Environ.Microbiol、63:4504,1997年)、JDF−3DNAポリメラーゼ(Thermococcus sp.JDF−3、国際公開第0132887)、PyrococcusGB−D(PGB−D)DNAポリメラーゼ(Deep Vent(商標)DNAポリメラーゼ、Juncosa−Ginesta他著、Biotechniques、16:820,1994年、New England Biolabs)、UITmaDNAポリメラーゼ(好熱性Thermotoga maritimaより得られる、Diaz、Sabino共著、Braz J.Med.Res、31:1239,1998年、PE Applied Biosystems)、TgoDNAポリメラーゼ(thermococcus gorgonariusより得られる、Roche Molecular Biochemicals)、E.coli DNAポリメラーゼI(Lecomte、Doubleday共著、PolynucleotidesRes、11:7505,1983年)、T7DNAポリメラーゼ(Nordstrom他著、J Biol.Chem、256:3112,1981年)、古細菌DP1I/DP2DNAポリメラーゼII(Cann)、他著、Proc.Natl.Acad.Sci、95:14250,1998年、アメリカ)。
【0063】
中温性ポリメラーゼも好熱性ポリメラーゼも対象となる。限定的ではないが、好熱性DNAポリメラーゼには、サーモシークエナーゼ(登録商標)、9Nm(商標)、Therminator(商標)、Taq、Tne、Tma、Pfu、Tfl、Tth、Tli、ストッフェル断片、Vent(商標)およびDeep Vent(商標)DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、Tgo、JDF−3、および、これらの突然変異体、変異体および誘導体が含まる。各ポリメラーゼの最も好まれる型は、3’エキソヌクレアーゼ欠陥突然変異体である。
【0064】
本発明に有用な逆転写酵素には、限定的ではないが、HIV、HTLV−1、HTLV−II、FeLV、FIV、SIV、AMV、MMTV、MoMuLV、およびその他のレトロウイルスからの逆転写酵素が含まれる(Levin著Cell、88:5〜8、1997年、Verma著Biochim Biophys Acta、473:1−38,1977年、Wu他著、CRC Crit Rev Biochem、3:289〜347、1975年参照)。
【0065】
表面
好ましい実施形態では、核酸テンプレート分子が、基板(本明細書では表面ともよばれる)に付着され、ここで説明される単一分子配列によって分析される。核酸テンプレート分子が表面に付着されると、テンプレート−プライマー・デュープレクスが光学的に個々に分解可能となる。本発明に利用される基板は、二次元もしくは三次元とすることができ、平面(例、ガラス・スライド)を含むことができ、あるいはこのように形成することができる。基板には、ガラス(例、制御細孔ガラス(CPG))、石英、プラスチック(例、ポリスチレン(低架橋および高架橋ポリスチレン)、ポリカーボネート、ポリプロピレンおよびポリ(メチメタクリレート))、アクリル共重合体、ポリアミド、シリコン、金属(例、アルカンチオレート誘導体化金)、セルロース、ナイロン、ラテックス、デキストラン、ゲル・マトリクス(例、シリカ・ゲル)、ポリアクロレイン、または、複合体が含まれる。
【0066】
適正な三次元基板には、例えば、球、微粒子、ビーズ、膜、スライド、プレート、微小チップ、管(例、毛細管)、マイクロウェル、マイクロ流体デバイス、チャネル、フィルタ、または、その他、核酸定着に適した構造が含まれる。基板には、テンプレート核酸もしくはプライマーの集団を含む領域を有することが可能な平面アレイあるいはマトリクスが含まれる。これらの例には、ヌクレオシド誘導体化CPGおよびポリスチレン・スライド、誘導体化磁気スライド、ポリエチレン・グリコールとグラフトしたポリスチレン、その他が含まれる。
【0067】
基板は、好ましくは、最適の光学処理および核酸付着が可能となるようコーティングされている。さらに、バックグラウンドを削減するように、本発明に利用される基板を処理することも可能である。代表的なコーティングには、エポキシドおよび誘導体化エポキシド(例、オリゴヌクレオチドもしくはストレプタビジンのような結合分子を有する)が含まれる。
【0068】
核酸分子を基板表面に定着または、固定化させるためには種々の方法を利用することができる。表面との直接結合もしくは間接結合によって固定化を実行することができる。これは共有結合によって結合することができる。Joos、他著Anlytical Biochemistry、247:96〜101、1997年、Oroskar、他著Clin.Chem、42:1547〜1555、1996年、Khandjian著、Mol.Bio.Rep、11:107〜115、1986年参照。好ましい付着は、表面に取り込まれたエポキシドに、テンプレートの末端ヌクレオチドまたはプライマーの5’末端を結合する直接アミン結合である。この結合はまた、非共有結合によっても可能である。例えば、ビオチンストレプタビジン(Taylor他著、J.Phys.D.Appl.Phys、24:1443,1991年)ならびにジゴキシゲニンおよび抗ジゴキシゲニン(Smith、他著、Science、253:1122,1992年)は、核酸を表面およびこれに類するものに定着させる一般的なツールである。あるいは、疎水鎖を脂質単分子層もしくは二重層に定着させることによって付着を実行することもできる核酸分子を基板に定着させる他の既知の方法も利用可能である。
【0069】
検知
利用される標識のタイプに対して適正な任意の検知法を利用することができる。よって、代表的な検知法としては、放射性検知、吸光検知、例えばUV可視吸光検知、発光検知、例えば蛍光または化学発光、が含まれる。例えば、利用される走査法に基づいて、各基板のすべてもしくは一部を同時にあるいは連続して走査することによって、基板上の伸長プライマーを検知することができる。蛍光標識については、フォーダー(Fodor)、他(米国特許番号5,445,934)およびマシーズ(Mathies)、他(米国特許番号5,091,652)によって説明されている蛍光顕微鏡装置を利用して、選択された領域が、一つ一つあるいは一行ごとに連続して走査される。単一分子から蛍光物質を感知することが可能なデバイスには、走査トンネル顕微鏡(siM)および原子間力顕微鏡(AFM)がある。ハイブリダイゼーションのパターンの走査には、Yershov他著、Proc.Natl.Acad.Sci、93:4913、1996年に説明されているような、適正光学系(Ploem著、T.G.Mason編、Fluorescent and Luminescent Probes for Biological Activity、pp.1〜11、Academic Press、ロンドン、1993年)が装備されたCCDカメラ(例、モデルTE/CCD512SF、Princeton Instruments、ニューヨーク州、トレントン市)が使われてもよいし、TVモニタリングによって画像化されてもよい。放射性信号についてはホスホイメージャ・デバイスを利用することができる。Johnston他著、Electrophoresis、13:566,1990年、Drmanac他著、Electrophoresis、13:566,1992年、1993年)。画像化装置の他の民間納入業者には、General Scanning Inc.、マサチューセッツ州、ウォータタウン市、www.genscan.com、Genix Technologies、カナダ、オンタリオ州、ウォータールー市、www.confocal.com、Applied Precision Inc.がある。このような検知法は特に、複数の付着テンプレート核酸を同時走査するために利用される。
【0070】
蛍光標識ヌクレオチドの単一核酸分子への組み込みを検知するには複数の方法を利用することができる。光学セットアップには、近視野走査顕微鏡検査、遠視野共焦顕微鏡検査、広視野落射照明、光散乱、暗視野顕微鏡検査、光変換、単一および/または複数光子励起、スペクトル波長判別、蛍光体識別、エバネセント波照射、全内部反射蛍光(TIRF)顕微鏡検査が含まれる。通常、いくつかの方法には、カメラ装備顕微鏡を利用したレーザ活性蛍光検知が含まれる。適正な光子検知システムには、限定的ではないが、光ダイオードおよび増強CDDカメラが含まれる。例えば、増強電荷結合素子(ICCD)カメラの利用が可能である。表面に近い流体の個々の蛍光染料分子を画像化するためにICCDを利用することには多くの長所がある。例えばICCD光学セットアップによって蛍光体の連続画像(動画)を取り込むことが可能である。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態では画像化のためにTIRF顕微鏡検査を利用する。このTIRF顕微鏡検査は、完全内部反射励起光を利用した既知の方法である。www.nikon−instruments.jp/eng/page/products/tirf.aspx参照。実施形態によっては、エバネセント波照射および全内部反射蛍光顕微鏡検査を利用して検知が行われる。減衰光照射では、野を例えば表面にセットアップし、蛍光標識核酸分子を画像化することができる。レーザ・ビームが、液体と固体基板(例、ガラス)との間の界面で全反射すると、励起光が極めて短距離で液体に透過する。光学視野は、反射界面で突然、終了するわけではなく、強度が距離によって指数関数的に低下する。この表面電磁気場は、「エバネセント波」と呼ばれ、界面に近接している液体中の蛍光分子を選択的に励起する。界面の薄いエバネセント光学視野によって低バックグラウンドが可能になり、可視波長の高信号対ノイズ比による単一分子検知が容易になる。
【0072】
エバネセント場は、さらにポリメラーゼ存在下の付着テンプレート−プライマー複合体への蛍光標識ヌクレオチドの組み込みを画像化することが可能である。さらに全内部反射蛍光顕微鏡検査が利用されることによって、単一分子分解能で付着テンプレート−プライマー・デュープレクスおよび/または組み込みヌクレオチドが視覚化される。
【0073】
分析
上述に大まかに記載されているように、生成される画像スタックから得られた配列結果を、整列および/または編集するには、可能な配列変更(例、エラー、変異、その他による)を考慮した参照表が利用される。本来、本明細書に記載されているようにして得られた配列結果は、一つもしくは二つの塩基エラーを加えたあらゆる可能な基準配列を含む参照表と比較される。
【実施例】
【0074】
本発明はさらに以下の限定されない実施例によって説明される。これらの実施例は、本発明の代表的な複数のヌクレオチド・アナログの合成(実施例1〜3)、および、核酸配列におけるこれらの利用(実施例4)について説明している。
【0075】
(実施例1)
この実施例は、ヌクレオチド・アナログ5と記される以下のヌクレオチド・アナログの合成について説明している。
【0076】
【化39】

本実施例では、両方の塩基がウラシルであるが、当業者には当然のことながら、同様の化学作用で他の塩基を含む同様のヌクレオチド・アナログを作ることが可能である。ヌクレオチド・アナログ5を合成する反応スキームが、図1で説明されており、特に、図1Aはヌクレオチド・アナログ5を示し、図1Bは化合物2(アナログ5の合成の中間体)の合成を示し、図1Cは化合物3(アナログ5の合成の中間体)の合成を示し、図1Dは化合物1および4(アナログ5の合成の中間体)の合成を示し、図1Eはヌクレオチド・アナログ5の合成を示している。
【0077】
(実施例2)
この実施例は、ヌクレオチド・アナログ7であるヌクレオチド・アナログの合成を示している。
【0078】
【化40】

この実施例では、両方の塩基がウラシルであるが、当業者は、同様の化学作用を利用して他の塩基を含む同様のヌクレオチド・アナログを作ることが可能である。ヌクレオチド・アナログ7を合成する反応スキームは、図2に示されている。特に、図2Aはヌクレオチド・アナログ7を示し、図2Bは化合物6(ヌクレオチド・アナログ7の合成の中間体)の合成を示し、図2Cはヌクレオチド7の合成段階を示している。
【0079】
(実施例3)
この実施例ではヌクレオチド・アナログ9であるヌクレオチド・アナログの合成が示されており、nは3である。
【0080】
【化41】

この実施例では一つの塩基がアデニンで、他の塩基はウラシルである。当然のことながら、当業者であれば、同様の化学作用を利用して他の塩基を含む同様のヌクレオチド・アナログを作ることが可能である。ヌクレオチド・アナログ9を合成する反応スキームが、図3で示されており、特に、図3Aはヌクレオチド・アナログ9を示し、図3Bはヌクレオチド・アナログ9の合成ステップを示している。
【0081】
(実施例4)
本実施例は、本明細書に記載のヌクレオチド・アナログを利用したテンプレート核酸の配列法を示している。
【0082】
バクテリオファージM13mp18の7249ヌクレオチド・ゲノムは、本発明のアナログおよび方法を利用して配列される。精製された一本鎖ウイルスM13mp18ゲノムDNAは、New England Biolabから得た。M13DNAの約25μgを、37℃で10分間、0.1UのDNアーゼI(New England Biolab)によって40〜100bpの平均断片サイズに消化した。これらの消化DNA断片サイズは、プレキャスト変性(TBE−Urea)10%ポリアクリルアミド・ゲル(Novagen)に消化混合物のアリコートを加え、SYBR Gold(Invitrogen/Molecular Probs)で染色することによって測定された。DNアーゼI消化ゲノムDNAを、YM10限外ろ過スピン・カラム(Millipore)によってろ過し、約10ヌクレオチド未満の小さい消化生成物を除去した。約20pmolのろ過済みDNアーゼI消化液を、既知の方法(R.ロイチョードリ(Roychoudhury)、R.ウー(Wu)共著「DNA3’末端へのヌクレオチド末端転移酵素−触媒付加」『酵素学法(Methods Enzymol)』65(1):43〜62,1980年)に基づき、末端転移酵素によってポリアデニル化した。平均dAテール長は、50+/−5ヌクレオチドであった。次に、末端転移酵素を利用して、Cy3−dUTPにより断片を標識化した。断片を、ジデオキシTTP(末端転移酵素を利用して付加)によって終端した。次に、生成した断片を再度、YM10限外ろ過スピン・カラムによってろ過して遊離ヌクレオチドを除去し、−20℃でddHOに保存した。
【0083】
オリゴ付着用にエポキシド被覆ガラスを調製した。Erie Scientific、ニュー・ハンプシャー州、セーラムのエポキシド官能化の直径40mm#1.5ガラス・カバー・スリップ(スライド)が調達され、37℃で15分間、3×SSCに液浸して前処理された。次に、既述の5’アミノ化テンプレート断片の500pMアリコートで、80mL、室温で30分間各スライドを定温放置した。得られたスライドにはポリ(dT50)テンプレート断片が、エポキシドとの直接アミン連結によって付着した。次に、スライドを、室温で4時間、リン酸塩(1M)によって処理し、表面を不活性化させる。さらに、配列に利用されるまでバッファ(20mM Tris,100mM NaCl、0.001%TritonX−100,pH8.0)に保存する。
【0084】
配列の場合は、これらのスライドを、50μm厚ガスケットを利用して改良型FCS2フローセル(Bioptechs、ペンシルベニア州、バトラー)のなかに置く。このフローセルを可動ステージに配置する。この可動ステージは、全内部反射(TIR)対物レンズ装備のニコンTE−2000倒立顕微鏡に対して構築された高性能蛍光画像化システムのパーツである。スライドは、この後100mM NaClのHEPESバッファによって洗浄され50℃に平衡化される。ポリ(dT50)プライマーのアリコートは、フローセルのなかに配置され、15分間、スライド上で定温放置する。定温放置後は1×SSC/HEPES/0.1%SDSで、その後はHEPES/NaClで洗浄される。フローセルの液体は受動真空装置によって吸引する。得られるスライドにはM13テンプレート/オリゴ(dT)プライマー・デュープレクスが含まれる。配列のためにフローセルの温度を37℃に下げ、対物レンズによってフローセルを捉える。
【0085】
それぞれがシアニン−5標識を有する本発明のアナログ(組み込み可能塩基として、シトシン三リン酸塩、グアニジン三リン酸塩、アデニン三リン酸塩、または、ウラシル三リン酸塩を含む四種)は、配列に備えて個別に20mM Tris−HCl、pH8.8、50μMのMnSO、10mMの(NHSO、10mMのHCl、0.1%TritonX−100、100UのKlenow exoポリメラーゼ(NEB)を含むバッファに保存する。配列が以下のように実行される。
【0086】
最初、初期画像化によって表面上のデュープレクス位置が測定される。M13テンプレートに付加されたCy3標識を、532nm放射に合わせたレーザ(Verdi V−2Laser、Coherent、カリフォルニア州、サンタ・クララ)を利用した励起により画像化し、デュープレクス位置を規定する。各スライドについて、この段階で画像化される単一の分離可能蛍光分子だけをカウントする。以下で述べられるような組み込みヌクレオチドの画像化は、635nm放射線レーザ(Coherent)を利用したシアニン−5染料の励起によって実行される。図1において示された100nM Cy5CTPアナログは、フローセルのなかに配置されて2分間、スライドに曝露される。定温放置後、スライドを、1×SSC/15mMHEPES/0.1%SDS/pH7.0(「SSC/HEPES/SDS」)のなかで洗浄し(60μLで15回)、この後、150mMのHEPES/150mMのNaCl/pH7.0(「HEPES/NaCl」)のなかで洗浄する(60μLで10回)。次に、30%アセトニトリルを含む酸素スカベンジャーおよびスカベンジャー・バッファ(HEPES/NaClを134μl、100mM TroloxのMES溶液24μL、pH6.1、100nM DABCOのMES溶液10μL、pH6.1、2Mグルコースを8μL、50mMのNaIを20μL(50mM水溶液ストック)、および、グルコース酸化酵素4μL)を加える。次に、スライドを、647nmのInova301Kレーザ(Coherent)を利用して0.2秒間画像化し(500フレーム)、この後、2秒間532nmのVerdiV−2レーザ(Coherent)によって緑色で画像化しデュープレクス位置を確認する。検知可能な蛍光物質のある位置が記録される。画像化後、各フローセルを、SSC/HEPES/SDS(60μl)およびHEPES/NaCl(60μL)によって5回ずつ洗浄する。次に、5分間50mMのTCEPのフローセルのなかに導入することによって、シアニン−5標識を組み込まれたCTPアナログから開裂し、この後、各フローセルを、SSC/HEPES/SDS(60μL)およびHEPES/NaCl(60μL)によって5回ずつ洗浄する。
【0087】
以上の手順は、100nMのCy5dATPアナログについて実行し、この後、100nMのCy5dGTPアナログ、最後に500nMのCydUTPアナログについて実行する。この手順(ヌクレオチドへの曝露、ポリメラーゼへの曝露、洗浄、スカベンジャー、画像化、洗浄、開裂、洗浄)を、既述のように反復する。UTPアナログは、2分間ではなく5分間、定温放置する。
【0088】
このサイクルを所定の回数終えたあと、画像スタック・データ(種々の表面結合デュープレクスから得られた単一分子配列)をM13基準配列に整列させる。この整列アルゴリズムによって既述のように得られた配列が、実際のM13線形配列と整合される。得られた配列をM13に配置するには、0、1あるいは2つのエラーの可能性を考慮しつつ、得られた配列および同じ長さのM13の一部の間の最良の整合に基づいて実行する。得られた0エラーの9−mer(すなわち、M13基準配列の9−merと正確に整合している)をすべて、最初にM13と整列する。その後、0あるいは1エラーの10−、11−、12−merを整列する。最終的に、0,1,2エラーの13−mer以上を整列する。以上が完了すると、ホモポリマー数を含めて配列が知られる。
【0089】
(実施例5)
本実施例では、本発明の三種のヌクレオチド・アナログについて、ホモポリマー領域での配列時のテンプレート依存型の配列反応における組み込み機能、および、次の塩基(もしくはN+1)の組み込みを阻害する機能をテストした。これらのヌクレオチド・アナログについて、テンプレート依存型の法によるプライマーへの組み込み機能、および、「非ブロック」アナログと同程度の速度でプライマーの3’末端に組み込まれる機能を分析した。さらに、これらのヌクレオチド・アナログについて、組み込まれた後のプライマーへのさらなる塩基付加に対する阻害機能を分析した。その後、ブロック基の除去によって阻害が可逆であるかどうかが判定するためにヌクレオチド・アナログを分析した。
【0090】
本実施例においてテストされる三種のヌクレオチド・アナログには、ヌクレオチド・アナログ5(実施例1において説明されている)、ヌクレオチド・アナログ10(以下で示される)、ヌクレオチド・アナログ11(以下で示される)が含まれている。
【0091】
ヌクレオチド・アナログ10を以下に示す。
【0092】
【化42】

ヌクレオチド・アナログ11を以下に示す。
【0093】
【化43】

三種の各ヌクレオチド・アナログを、T148テンプレートに曝露した。このテンプレートは、ホモポリマー複製の開始位置の近位においてテンプレートにハイブリダイズされたプライマーを有する、AAAホモポリマーの反復を含んでいる。各アナログの濃度は、既述の標準組み込み条件下およびKlenow exoの存在下で100または500nMとした。これらの組み込み速度を、12原子ジスルフィド開裂可能リンカーによってCy5染色と連結された標準dUTPアナログ(dUTP−Cy5と呼ぶ)の組み込みと比較した。この反応の生成物を、毛管電気泳動を利用して分析した。この検査結果を下の表1に示す。
【0094】
【表1】

表1のように、代表的な各ヌクレオチド・アナログは、dUTP−Cyアナログとほぼ同じ速度で組み込まれたが、第二塩基の組み込み速度はかなり遅かった(70〜150倍遅い)。第三塩基の組み込みは、どのアナログについても検知されなかった。
【0095】
TCEPに曝露してジスルフィド結合を開裂し、ブロック基を開裂すると(アナログ5の左部分(実施例1参照)ならびにアナログ10および11の右部分(上記参照))、新しいアナログが、第一塩基付加と同程度の速度で付加された。これらの結果によって、本発明のヌクレオチド・アナログは、テンプレート依存型の配列反応中に組み込まれて、ブロック基の除去以前に第二塩基の後続組み込みを阻害することが可能である、ということがわかる。
【0096】
参照資料の引用
ここに引用されているあらゆる刊行物、特許、特許出願は、それら全体がそれぞれの個々に表示されている目的に応じて、特に参照資料によって引用されている。
【0097】
均等論
本発明の特定の実施形態について説明してきたが、上記は、代表的な例であり限定的な例ではない。本明細書を検討することによって本発明の多くの変更が、当業者に明らかになるであろう。本明細書に記載のヌクレオチド・アナログの考えられる均等物には、下記以外の転では該アナログに対応し該アナログと同様の一般的特性を有し、置換基または成分について一つ以上の単純な変形があり、これによって、対象のヌクレオチド・アナログの特性に悪影響を及ぼさない化合物が含まれる。通常、本明細書に記載のヌクレオチド・アナログの成分は、容易に入手可能な開始材料、試薬、従来の合成法を利用し、さらに、本明細書に記載の一般反応スキームにおいて例示された方法またはそれを変更した方法を利用して調製すればよい。本発明の範囲は、請求項および均等物の全範囲ならびに本明細書およびその変更を参照することにより決まる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1A】図1は、本発明の代表的な第一ヌクレオチド・アナログ生成用の反応スキームを示した概略図である。
【図1B】図1は、本発明の代表的な第一ヌクレオチド・アナログ生成用の反応スキームを示した概略図である。
【図1C】図1は、本発明の代表的な第一ヌクレオチド・アナログ生成用の反応スキームを示した概略図である。
【図1D−A】図1は、本発明の代表的な第一ヌクレオチド・アナログ生成用の反応スキームを示した概略図である。
【図1D−B】図1は、本発明の代表的な第一ヌクレオチド・アナログ生成用の反応スキームを示した概略図である。
【図1E】図1は、本発明の代表的な第一ヌクレオチド・アナログ生成用の反応スキームを示した概略図である。
【図2A】図2は、本発明の代表的な第二ヌクレオチド・アナログを生成する反応スキームを示した概略図である。
【図2B−A】図2は、本発明の代表的な第二ヌクレオチド・アナログを生成する反応スキームを示した概略図である。
【図2B−B】図2は、本発明の代表的な第二ヌクレオチド・アナログを生成する反応スキームを示した概略図である。
【図2C】図2は、本発明の代表的な第二ヌクレオチド・アナログを生成する反応スキームを示した概略図である。
【図3A】図3は、本発明の代表的な第三ヌクレオチド・アナログを生成する反応スキームを示した概略図である。
【図3B−A】図3は、本発明の代表的な第三ヌクレオチド・アナログを生成する反応スキームを示した概略図である。
【図3B−B】図3は、本発明の代表的な第三ヌクレオチド・アナログを生成する反応スキームを示した概略図である。
【図3B−C】図3は、本発明の代表的な第三ヌクレオチド・アナログを生成する反応スキームを示した概略図である。
【図3B−D】図3は、本発明の代表的な第三ヌクレオチド・アナログを生成する反応スキームを示した概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iまたは式IIのヌクレオチド・アナログであって:
【化1】

式中、B、Bはそれぞれ独立して、プリン、ピリミジンおよびこれらのアナログからなる群から選択され、
各発生におけるR、Rは、OH、NH、F、N、およびHからなる群から選択され、
Yは、NR’,O,S,CHおよび結合からなる群から選択され、R’は、H、アルキル、アルケニル、およびアルキニルからなる群から選択され、
Aは、−S−S−、エステル、およびアミド基からなる群から選択され、
は、
【化2】

アルキル、および結合からなる群から選択され、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、エーテルおよび結合からなる群から選択され、
は、
【化3】

アルキル、アルケニル、および結合からなる群から選択される。
Arは、アリールであり、
は、
【化4】

からなる群から選択され、
は、アルキルまたは結合であり、
は、S、アルキル、アルケニル、アルキニル、NR’からなる群から選択され、
は、NR’,O,S,および−(CH−からなる群から選択され、
Lは、標識であり、
Xは、Hまたはハロゲンであり、
Zは、それぞれ独立しているOもしくはSであり、
mは、それぞれ独立している0〜50の整数であり、
nは、それぞれ独立している0〜50の整数であり、
pは、それぞれ独立している0〜50の整数である、
ヌクレオチド・アナログ
【請求項2】
前記式IIにおいて、
【化5】

で示されている二重結合がtrans型である請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項3】
は、
【化6】

ではない請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項4】
はグリコール・エーテルである請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項5】
Arはフェニルまたは芳香酸である請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項6】
nは1または4である請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項7】
は−(CH−である請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項8】
nは4であり、mは3である請求項7に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項9】
mは0、2または3である請求項7に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項10】
はOHであり、RはHである請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項11】
およびBはそれぞれ独立して、シトシン、ウラシル、チミン、アデニン、グアニン、およびそれらのアナログからなる群から選択される請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項12】
Lは光学検知可能な標識である請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項13】
前記光学検知可能な標識は蛍光標識である請求項12のヌクレオチド・アナログ。
【請求項14】
前記光学検知可能な標識は、シアニン、ローダミン、フルオロセイン、クマリン、BODIPY、Alexaおよび共役マルチ染料からなる群から選択される請求項13のヌクレオチド・アナログ。
【請求項15】
前記蛍光標識はCy3またはCy5である請求項13のヌクレオチド・アナログ。
【請求項16】
はアルキルまたは結合であり、LはR、R、R、RまたはBと共有結合している請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項17】
Lはアミド結合によってRまたはRと共有結合している請求項16のヌクレオチド・アナログ。
【請求項18】
前記アミド結合は−CH−S−S−CH−CH−NHCO−である請求項17のヌクレオチド・アナログ。
【請求項19】
Lはアミド結合によってRまたはRと共有結合している請求項1に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項20】
以下で表されるヌクレオチド・アナログであって:
【化7】

式中、BおよびBは、それぞれ独立してシトシン、ウラシル、チミン、アデニン、グアニン、およびそれらのアナログからなる群から選択され、
PPPO−は、
【化8】

であり、
Zは、それぞれ独立してOもしくはSである、ヌクレオチド・アナログ。
【請求項21】
式IIIによって示されるヌクレオチド・アナログであって:
【化9】

式中、R11は、
【化10】

および
【化11】

からなる群から選択され、
式中、B、B、Y、R’、Z、L、R、R、R、R、R、R、m、およびnは請求項1に定義されるとおりである、ヌクレオチド・アナログ。
【請求項22】
およびBはそれぞれ独立して、シトシン、ウラシル、チミン、アデニン、グアニン、およびこれらのアナログからなる群から選択される請求項21に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項23】
Lは光学検知可能な標識である請求項21に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項24】
前記光学検知可能な標識は蛍光標識である請求項23に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項25】
前記光学検知可能な標識は、シアニン、ローダミン、フルオロセイン、クマリン、BODIPY、alexaおよび共役マルチ染料からなる群から選択される請求項24に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項26】
前記蛍光標識はCy3またはCy5である請求項24に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項27】
がアルキルまたは結合であるとき、LはR11と共有結合している請求項21に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項28】
以下からなる群から選択されるヌクレオチド・アナログ:
【化12】

【化13】

および
【化14】

式中、各構造において、B、B、R、およびLは、請求項1に定義されるとおりであり、qは1〜50の整数であり、PPPO−は、
【化15】

であり、
Zは、それぞれ独立してOまたはSである、ヌクレオチド・アナログ。
【請求項29】
Lは蛍光標識である請求項28に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項30】
前記蛍光標識は、Cy5、Cy3、ローダミン、フルオロセイン、クマリン、BODIPY、alexaおよび共役マルチ染料からなる群から選択される請求項29に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項31】
式IVまたは式Vのヌクレオチド・アナログであって:
【化16】

【化17】

式中、B、B、R、Rは、請求項1に定義したとおりであり、
12は切断可能なリンカーを含む部分を示し、
は、
【化18】

ではないという条件を有する任意の部分である、ヌクレオチド・アナログ。
【請求項32】
12は、Bと結合したアルキニル部分を含む請求項31に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項33】
12は、Bと結合したアルキニル部分を含む請求項31に記載のヌクレオチド・アナログ。
【請求項34】
は、
【化19】

【化20】

からなる群から選択される請求項31に記載のヌクレオチド・アナログであって:
式中、XはHまたはハロゲンであり、
Zはそれぞれ独立してOまたはSである、ヌクレオチド・アナログ。
【請求項35】
核酸テンプレートの配列を決定するステップであって、
(a)ポリメラーゼによってヌクレオチド・アナログをプライマーに付加することが可能であるという条件のもとに、3’−OH末端を有する前記プライマーにハイブリダイズされた核酸テンプレートを、(i)前記プライマーに対するヌクレオチド付加を触媒する前記ポリメラーゼ、および(ii)請求項1〜34のいずれか1項に記載のヌクレオチド・アナログに曝露するステップ、
(b)ステップ(a)において前記プライマーに付加された前記ヌクレオチド・アナログを検知するステップ、
(c)前記ヌクレオチド・アナログから標識を除去するステップ、
(d)ステップ(a)、(b)、(c)を反復して前記テンプレートの配列を決定するステップ
を含む方法。
【請求項36】
核酸テンプレートの配列を決定する方法であって、
(a)ポリメラーゼによって標識ヌクレオチド・アナログが第一の塩基に対して相補的な位置にあるプライマーに付加される一方、別のヌクレオチドまたはヌクレオチド・アナログが第二の塩基に対して相補的な位置にあるプライマーに付加されることを防ぐという条件のもとに、3’末端を有するプライマーにハイブリダイズされる第一および第二の連続する塩基を含む前記核酸テンプレートを、(i)前記プライマーに対するヌクレオチド付加を触媒するポリメラーゼ、および(ii)リンカーによってブロック基に共有結合されている第一ヌクレオチドまたは第一ヌクレオチド・アナログを含む前記標識ヌクレオチド・アナログに曝露するステップ、
(b)ステップ(a)において前記プライマーに付加された前記ヌクレオチド・アナログを検知するステップ
(c)前記ブロック・ヌクレオチドまたは前記ブロック・ヌクレオチド・アナログを除去するステップ、
(d)ステップ(a)、(b)、(c)を反復して前記テンプレートの配列を決定するステップ、
を含む方法。
【請求項37】
前記ブロック基は第二のヌクレオチドもしくは第二ヌクレオチド・アナログである請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記リンカーは、前記第一のヌクレオチドまたは第一ヌクレオチド・アナログの塩基に、および前記第二のヌクレオチドまたは第二ヌクレオチド・アナログの塩基に共有結合される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記リンカーは約4〜約50原子を含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記リンカーは約15〜約50原子を含む請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記リンカーはtrans型の二重結合を含むアルキニル基またはアルケニル基によって、前記第一のヌクレオチドまたは前記第一ヌクレオチド・アナログに共有結合される請求項36に記載の方法。
【請求項42】
ステップ(a)において、前記標識ヌクレオチド・アナログは請求項1、20、21、28または31に記載のヌクレオチド・アナログを含む請求項36に記載の方法。
【請求項43】
ステップ(b)において、前記標識は前記ブロック基と同時に除去される請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記標識は光学検知可能な標識である請求項36に記載の方法。
【請求項45】
前記条件は単一の分子を個々に検知して配列するのに充分である請求項36に記載の方法。
【請求項46】
テンプレートの少なくとも一部分に対して相補的なプライマーと、ポリメラーゼとを用いてホモポリマー部位を含む核酸テンプレートの配列を決定することの改良方法であって、
前記改良は、前記ポリメラーゼによって単一標識ヌクレオチド・アナログのみが、前記ホモポリマー部位の一つの塩基に対して相補的な位置にある前記プライマーから伸長している鎖に付加される条件において、リンカーによってブロック基に共有結合される第一のヌクレオチドまたは第一ヌクレオチド・アナログを含む標識ヌクレオチド・アナログの存在下で、配列反応の各サイクルを実施するステップ
を含む方法。
【請求項47】
前記ブロック基はヌクレオチドもしくはヌクレオチド・アナログである請求項46に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D−A】
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【図1D−B】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B−A】
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【図2B−B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B−A】
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【図3B−B】
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【図3B−C】
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【図3B−D】
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【公表番号】特表2009−516749(P2009−516749A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542448(P2008−542448)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045276
【国際公開番号】WO2007/062160
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(508153888)ヘリコス バイオサイエンシーズ コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】