説明

桂皮酸誘導体、その紫外線吸収剤としての用途、及びこれを配合した紫外線吸収性組成物、皮膚外用剤。

【課題】 水溶性が高く、幅広い紫外線波長領域にわたって優れた吸収能を有し、可視領域には吸収がなく、しかも安定性、安全性の高い紫外線吸収剤を提供することであり、また、この紫外線吸収剤を配合した紫外線吸収組成物,特に皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 新規な桂皮酸誘導体及びその塩を主成分とする紫外線吸収剤を含有することを特徴とする紫外線吸収組成物、皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な桂皮酸誘導体に関し、また、その紫外線吸収剤としての用途、特に水溶性が高く、且つ可視光領域には吸収を持たない紫外線吸収剤としての用途、及びこれを配合した紫外線吸収性組成物、特に皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光に含まれる紫外線のうち、290nm以下の波長の紫外線はオゾン層によって吸収され、地表に到達しないが、290nm〜400nmの紫外線は地表に到達し、様々な影響を及ぼす。皮膚化学的には、290nm〜320nmの中波長紫外線は紅斑や水泡の形成、メラニン形成亢進、色素沈着等を引き起こすことが知られている。また、320nm〜400nmの長波長紫外線は照射直後に皮膚を黒化させる即時黒化作用を有し、また、そのエネルギーが真皮にまで達するため、血管壁や結合組織中の弾性繊維にも影響を及ぼすとされる。これらの中〜長波長紫外線の作用は、皮膚の老化を促進し、しみ、そばかす、しわ等の形成の一因であると考えられている。
【0003】
このような紫外線から皮膚を保護するために、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、サリチル酸誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、桂皮酸誘導体、ウロカニン酸誘導体等の紫外線吸収剤が利用されてきた。
【0004】
しかしながら、これらの紫外線吸収剤は一般に油溶性であり、水性ベースの製品に配合することはできなかった。最近では夏の水浴や冬のスキー場などの使用に限らず、日常生活においても紫外線防御が重要と考えられており、通常のスキンケア化粧品でも紫外線防止効果のあるものが望まれている。従って、化粧水等の水系のスキンケア化粧品にも十分量配合できる水溶性紫外線吸収剤の開発が望まれている。
また、紫外線吸収剤としては、皮膚外用剤に配合する場合には、皮膚刺激性がないことはもちろん、日光曝露によって紫外線吸収剤が分解されないことも重要である。
【0005】
これまで水溶性紫外線吸収剤はほとんどなく、現在使用されているものとしては2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォキソニウムベンゾフェノンナトリウムが知られている。しかし、本物質はスルホン酸塩であるために配合系のpHに影響を与え、また、配合系のpHにより紫外線吸収領域が変化する問題があった。また、本物質は水溶性ではあるもののその溶解度は25℃で約6%に過ぎず、製品中に高濃度に配合すると低温で析出するという問題があった。さらに、本物質は可視光領域においても吸収を有するので、淡黄色に着色しており、製品の色調に影響を与えるという欠点があった。
また、2−デオキシヘキソース残基を有するp−アミノ安息香酸アミド誘導体(特許文献1)が、2−デオキシヘキソース残基を有する桂皮酸アミドがそれぞれ開示されている(特許文献2)が、水への溶解性が低く不十分であり、必ずしも満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開平10−120698
【特許文献2】特開2002−363195
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紫外線吸収剤は、医薬品や化粧料以外の分野でも使用されており、例えば、塗料、染料、顔料、各種樹脂、合成ゴム、ラテックス、フィルム、繊維等の各種材料に添加して紫外線吸収能を付与し、製品自体を、あるいはその塗膜やフィルムで被覆された製品を紫外線から保護し、紫外線による劣化、変質等を防止して、品質を維持するために用いられている。しかし、従来の紫外線吸収剤では、塗膜の焼き付け時や樹脂の成型時等に加熱によって昇華して揮散したり、加熱しなくとも経時的に徐々に揮散して効果が低下するという問題もあった。
【0007】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、一つには、水溶性が高く、幅広い紫外線波長領域にわたって優れた吸収能を有し、可視領域には吸収がなく、しかも安定性、安全性の高い紫外線吸収剤を提供することであり、また一つにはこの紫外線吸収剤を配合した紫外線吸収性組成物、特に皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、ある種の桂皮酸誘導体が上記のような性質を備えており、水溶性紫外線吸収剤として非常に優れたものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は水溶性が高く、幅広い紫外線波長領域にわたって優れた吸収能を有し、可視領域には吸収がなく、しかも安定性、安全性の高い、紫外線吸収剤として非常に優れた新規な下記桂皮酸誘導体(1)及びその塩である。
【0009】
【化3】

(式中、Rはヘキソシルアミン残基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
【0010】
本発明にかかる紫外線吸収剤は、前記の桂皮酸誘導体及びその塩を主成分とすることを特徴とする。
本発明にかかる紫外線吸収性組成物は、前記の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする。
また、本発明にかかる皮膚外用剤は、前記の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする。
また、本発明にかかる皮膚外用剤は、さらに無機粉体を含有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の桂皮酸誘導体(1)は、ある種の条件下では下記のような平衡により、その異性体である化合物(1’)となり得る。
【0012】
【化4】

(式中、Rはヘキソシルアミン残基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
本発明においては、便宜上桂皮酸誘導体(1)についてのみ記載するが、化合物(1’)又はその混合物であってもよい。
【0013】
本発明の桂皮酸誘導体の化学名はR,Rにより異なるが、例えば、R:D−グルカミン残基、R:メチル基では3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド、R:D−グルカミン残基、R:水素原子では3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド、R:1−デオキシ−1−アミノ−D−ガラクチトール残基、R:メチル基では3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−1−デオキシ−D−ガラクチトールアミド等である。
【0014】
本発明の桂皮酸誘導体は、公知のアミド結合生成法により容易に合成することができる。すなわち、東京化成工業(株)、ALDRICH社等から市販されて容易に入手することができる、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸を出発原料として、そのカルボキシル基を活性化して活性化体として、その活性化体に、東京化成工業(株)、和光純薬工業(株)、ALDRICH社等から市販されて容易に入手することができる、N−メチル−D−グルカミン、D−グルカミン、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−ガラクチトール等を反応させることにより本発明の桂皮酸誘導体を得ることができる。
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸のカルボキシル基を活性化する方法としては、▲1▼p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル等を用いる活性エステル法、▲2▼塩化イソブチルオキシカルボニル、塩化エチルオキシカルボニル等を用いる炭酸モノアルキルエステルとの混合酸無水物を用いる混合酸無水物法、▲3▼三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル等と反応させて得られる酸塩化物を用いる酸塩化物法、▲4▼3,4,5−トリメトキシ桂皮酸無水物を用いる対称無水物法等を用いることができる。
【0015】
また、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸とN−メチル−D−グルカミン、D−グルカミンまたは1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−ガラクチトールとの混合溶液にN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−ヒドロキシスクシンイミドとDCC、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとDCC等のカップリング試薬を加えてカップリングさせることにより本発明の桂皮酸誘導体を得ることができる。
【0016】
なお、本発明の桂皮酸誘導体は公知の方法により無機塩又は有機塩とすることができる。本発明において用いられる塩としては、特に限定されないが、例えば、無機塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩としては、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、アミノ酸塩等が挙げられる。
【0017】
本発明の桂皮酸誘導体又はその塩を主成分とする紫外線吸収剤は、種々の製品に配合可能であるが、皮膚外用剤に配合することが好適である。本発明の紫外線吸収剤を配合した皮膚外用剤は、優れた紫外線防止効果を発揮し、また、日光曝露下においても紫外線吸収剤が分解しないので、その効果が長時間にわたって安定に発揮される。また、皮膚トラブルも生じない。従って、特にサンスクリ−ン用皮膚外用剤として有用である。
【0018】
また、サンスクリーン用皮膚外用剤においては、その紫外線遮蔽効果を高めるために、有機化合物系紫外線吸収剤とともに無機粉体系紫外線遮蔽剤を併用することが望まれる。また、メーキャップ化粧料においても無機粉体が配合されることが多い。しかしながら、有機系紫外線吸収剤を無機粉体と併用すると変色が起こることがある。
本発明の紫外線吸収剤は、無機粉体とともに皮膚外用剤に配合した場合でも変色を生じず、よって無機粉体との併用が可能である。
【0019】
このような無機粉体としては、通常化粧料や医薬品に配合されるものであれば特に限定されない。例えば、タルク、カオリン、窒化ホウ素、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、合成マイカ、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、焼セッコウ、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)等の無機粉末の他、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸鉄、カーボン、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、紺青、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の無機顔料が挙げられる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤の形態は、本発明の効果が発揮されるものであれば特に制限されない。例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液等のスキンケア化粧料の他、下地用化粧料、ファンデーション、口紅、フェイスカラー、アイライナー等のメーキャップ化粧料、ヘアスプレー、ヘアトニック、ヘアリキッド等の頭髪用、頭皮用化粧料等が挙げられる。
本発明の紫外線吸収剤を皮膚外用剤に配合する場合、その配合量は目的とする紫外線吸収能に応じて適宜決定すればよいが、通常組成物中0.001〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%である。
【0021】
本発明の皮膚外用剤には、上記必須成分の他に、通常化粧品や医薬品に配合可能な成分、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子化合物、増粘剤、被膜剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、香料、粉末、色材、水等を必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明の桂皮酸誘導体以外の紫外線吸収剤も配合可能である。
【0022】
また、本発明にかかる紫外線吸収剤は、皮膚外用剤以外の製品、例えば、塗料、染料、顔料、各種樹脂、合成ゴム、ラテックス、フィルム、繊維等にも紫外線防御のために配合することが可能である。本発明にかかる桂皮酸誘導体は熱安定性にも優れ、揮散しないため、その効力を長時間維持することができる。この場合の配合量は、通常0.001〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
製造例1 3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミドの合成
(1)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸p−ニトロフェニルエステルの合成
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸(5.00g,21.0mmol)とp−ニトロフェノール(3.21g,23.1mmol)を無水ジメチルホルムアミド(25ml)に溶解し、氷冷攪拌下、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(4.77g,23.1mmol)を加えて、0℃で1時間、室温で3時間攪拌した。冷蔵庫に2時間放置した後、析出したN,N−ジシクロヘキシル尿素をロ別した。ロ液に水(100ml)を加えて一晩放置した後、析出した結晶をロ取、水洗して、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸p−ニトロフェニルエステルの淡黄色結晶(6.81g,収率90%)を得た。
得られた化合物の化学分析値は次の通り。
【0024】
H−NMR(DMSO−d,TMS,ppm)
δ:3.72(s,3H:−OCH),
3.84(s,6H:−OCH×2),
6.91(d,1H,J=16.0Hz:Ph−CH=C−C(=O)−),
7.17(s,2H:桂皮酸ベンゼン環 H−2 & H−6),
7.52(d,2H,J=9.2Hz:ニトロフェノールベンゼン環 H−2’ & H−6’),
7.85(d,1H,J=16.0Hz:Ph−C=CH−C(=O)−),
8.32(d,2H,J=9.2Hz:ニトロフェノールベンゼン環 H−3’ & H−5’)
【0025】
13C−NMR:(DMSO−d,TMS,ppm)
δ:56.0(ベンゼン環4位 −O−CH),
60.0(ベンベン環3位, 5位 −O−CH),
106.5(桂皮酸ベンゼン環C−2,C−6),
115.5(Ph−CH=H),123.0(ニトロフェノールベンゼン環C−2’,C−6’),
125.1(ニトロフェノールベンゼン環C−3’,C−5’),
129.1(桂皮酸ベンゼン環C−1),140.1(桂皮酸ベンゼン環C−4),
144.9(ニトロフェノールベンゼン環C−4’),147.6(桂皮酸ベンゼン環C−3,C−5),
153.0(Ph−H=CH),155.4(ニトロフェノールベンゼン環C−1’),164.2(C=O)
【0026】
(2)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミドの合成
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸p−ニトロフェニルエステル(6.43g,17.9mmol)を無水ジメチルホルムアミド(55ml)に溶解した。この溶液にN−メチル−D−グルカミン(3.50g,17.9mmol)を加えて、室温で18時間反応させた。反応溶液に水(150ml)を加え、酢酸エチルにて洗浄(200ml×2回)した後、減圧濃縮した。残渣をエタノールより再結晶して、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミドの白色結晶(5.21g,収率70%)を得た。
得られた化合物の化学分析値は次の通り。
【0027】
H−NMR(DMSO−d,TMS,ppm)
δ:2.98(s,2H:−N−CH−),
3.27〜3.66(m,6H:−C(OH)−×4,−COH),
3.68(s,3H:−N−CH),
3.81(s,9H:−OCH×3),
4.21〜4.32(m,2H:OH×2),
4.26(d,2H,J=6.2Hz:OH×2),
4.89(d,1H,J=4.8Hz:OH),
6.95 & 7.01(m,2H:ベンゼン環 H−2 & H−6),
7.12(d,1H,J=15.2Hz:Ph−CH=C−C(=O)−),
7.38(d,1H,J=15.2Hz:Ph−C=CH−C(=O)−)
【0028】
13C−NMR:(DMSO−d,TMS,ppm)
δ:35.0(−N−CH),51.9(−N−CH−),55.9(ベンゼン環4位 −O−CH),
60.0(ベンベン環3位,5位 −O−CH),63.3(−CHOH),
70.2,71.4,72.3(−C(OH)−×4),105.4(ベンゼン環C−2,C−6),
105.7(Ph−CH=H),118.5(ベンゼン環C−1),130.8(ベンゼン環C−4),
140.3(Ph−H=CH),152.9(ベンゼン環C−3,C−5),165.6(C=O)
【0029】
MSスペクトル:MW=415(C1929NO=415.43)
【0030】
製造例2 3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミドの合成
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸p−ニトロフェニルエステル(2.20g,6.23mmol)を無水ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解した。この溶液にD−グルカミン(1.24g,6.85mmol)を加えて、室温で16時間反応させた。反応溶液に水(100ml)を加え、酢酸エチルにて洗浄(120ml×2回)した後、減圧濃縮した。残渣をエタノールより再結晶して、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミドの白色結晶(2.11g,収率84%)を得た。
得られた化合物の化学分析値は次の通り。
【0031】
H−NMR(DMSO−d,TMS,ppm)
δ:3.11〜3.21(m,1H),3.36〜3.53(m,5H),3.54〜3.63(m,2H)
(以上、−C(OH)−×4,−COH,−N−CH−),
3.68(s,3H:−OCH),3.80(s,6H:−OCH×2)
4.21〜4.30(m,2H:OH×2),
4.34(d,1H,J=5.8Hz:OH),
4.40(d,1H,J=5.3Hz:OH),
4.74(d,1H,J=4.4Hz:OH),
6.68(d,1H,J=15.5Hz:Ph−CH=C−C(=O)−),
6.88(s,2H:ベンゼン環 H−2 & H−6),
7.34(d,1H,J=15.5Hz:Ph−C=CH−C(=O)−),
7.81〜7.85(m,1H,NH)
【0032】
13C−NMR:(DMSO−d,TMS,ppm)
δ:42.1(−N−CH−),55.8(ベンベン環3位,5位 −O−CH),
60.0(ベンゼン環4位 −O−CH),63.3(−CHOH),
69.7,71.5,71.7,72.0(−C(OH)−×4),105.0(ベンゼン環C−2,C−6),
121.8(Ph−CH=H),130.5(ベンゼン環C−1),138.7(Ph−H=CH),
138.4(ベンゼン環C−4),153.0(ベンゼン環C−3,C−5),165.3(C=O)
【0033】
MSスペクトル:MW=401(C1827NO=401.41)
【0034】
試験例1 吸光度(1)
本発明の桂皮酸誘導体の紫外線吸収スペクトル(溶媒:水、濃度10ppm、光路長1cm)を分光光度計(日本分光(株)社製V−560)にて測定した。結果を図1及び図2に示す。
【0035】
図1及び図2より明らかなように、本発明の桂皮酸誘導体は幅広い紫外線波長領域にわたって優れた吸収能を有していた。
【0036】
試験例2 吸光度(2)
本発明の桂皮酸誘導体の405nmの可視光の吸光度(溶媒:水、光路長1cm)を分光光度計(日本分光(株)社製V−560)にて測定した。また、比較例として、従来の水溶性紫外線吸収剤である2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォキソニウムベンゾフェノンナトリウムも同様に測定した。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
表1から明らかなように、本発明の桂皮酸誘導体は、400nmより長波長側の可視領域においては吸収を示さない。そのため、結晶は白色でその水溶液は無色透明であった。
一方、比較化合物は可視領域において吸収を有するため、結晶は淡黄色、水溶液は黄色にそれぞれ着色しており、製品の着色という観点で配合量が制限され、充分な紫外線吸収効果を発揮できない。
【0039】
試験例3 水への溶解性
本発明の桂皮酸誘導体の水への溶解性を測定した。また、比較例として2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォキソニウムベンゾフェノンナトリウム、及び特開2002−363195に開示されている2−デオキシ−(4−メトキシ桂皮酸アミド)−D−グルコースについても同様に測定した。結果を表2に示した。
【0040】
【表2】

【0041】
表2より明らかなように、当該発明の桂皮酸誘導体(▲1▼,▲2▼)は水への溶解性が極めて高く、高濃度に配合することが可能である。一方、比較化合物▲3▼,▲4▼は水溶性が低く、高濃度に配合することは困難であり、高濃度に配合すると低温保存で析出してしまうことがある。従って、製品安定性の観点からもその使用が制限される。
【0042】
試験例4 紫外線防止効果
(i)試験方法
夏期の海辺で実使用テストを行った。パネルの背中の左右半分づつに試料を等量づつ塗布した。直射日光曝露後の日焼けの程度を以下の判定基準に従って評価した。なお、1群10名で行った。
【0043】
(判定基準)
著効:全くあるいはほとんど日焼け症状が認められなかった。
有効:軽度の日焼け症状が認められた。
無効:強度の日焼け症状が認められた。
(判定)
◎:著効又は有効の被験者が80%以上。
○:著効又は有効の被験者が50%以上80%未満。
△:著効又は有効の被験者が30%以上50%未満。
×:著効又は有効の被験者が30%未満。
【0044】
(ii)試料の調製
(a)ローション
(アルコール相)
95%エタノール 25.0質量%
POE(25)硬化ヒマシ油 2.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
(水相)
紫外線吸収剤(表3記載) 0〜10
グリセリン 5.0
ヘキサメタリン酸ナトリウム 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
水相、アルコール相をそれぞれ調製後、混合した。
【0045】
(b)クリーム
ステアリルアルコール 7.0質量%
ステアリン酸 2.0
水添ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
POE(25)セチルエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
プロピレングリコール 5.0
紫外線吸収剤(表4記載) 0〜10
香料 適 量
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと紫外線吸収剤を加えて溶解し、加熱して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を加え、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
【0046】
(iii)結果
【表3】


【0047】
【表4】

【0048】
表3〜4より明らかなように、本発明の紫外線吸収剤を配合した皮膚外用剤は、従来の水溶性紫外線吸収剤を配合した場合よりも優れた紫外線防止効果を有していた。また、低温保存時にも紫外線吸収剤の析出は全く認められなかった。
【0049】
以上のように、本発明の桂皮酸誘導体は、水溶性が極めて高く、幅広い紫外線波長領域にわたって優れた吸収能を有する。また、400nm以上の可視光は全く吸収しないので白色であり、その水溶液は無色透明であるため、製品に対して着色の問題がない。また、水溶性が非常に高いため、製品中に多量に配合することが可能であり、その場合にも経時的な析出の問題を生じない。また、配合系のpHにも影響を与えない。従って、水溶性紫外線吸収剤として非常に優れたものである。そこで、本発明の桂皮酸誘導体が紫外線吸収剤として皮膚外用剤に配合可能か否かを調べるために、皮膚刺激性、光安定性、及び無機粉体の影響についてさらに検討を行った。
【0050】
試験例5 皮膚刺激性試験
試験例4と同じ試料(紫外線吸収剤の配合量は10質量%)を用いて行った。
(i)パッチテスト
健常な男性及び女性志願者の前腕屈側部にフィンチャンバ−を用いて24時間閉塞パッチテストを1群20名で行い、次の判定基準で判定した。
【0051】
(判定基準)

【0052】
(判定)
平均スコアを求め、次の基準で判定した。
◎:平均スコアが0。
○:平均スコアが0より大きく1未満。
△:平均スコアが1以上2未満。
×:平均スコアが2以上。
【0053】
(結果)
【表5】


【0054】
表5から明らかなように、本発明の紫外線吸収剤を配合した皮膚外用剤は、パッチテストにおいて皮膚刺激性が全くなく、安全性に非常に優れることが確認された。
【0055】
試験例6 光安定性試験
本発明の桂皮酸誘導体の水溶液を日光に2週間曝露(日射被爆量80MJ/m)後、残存率及び外観の変化を調べるとともに紫外線吸収スペクトル(溶媒:水、濃度10ppm、光路長1cm)を分光光度計にて測定し、紫外線吸収スペクトルの290nm〜400nmの範囲を積分処理して面積値を求め、日光曝露前と比較した。
【0056】
(判定)
残存率及び紫外線吸収スペクトルの面積値の変化を次の基準で判定した。
◎:日光曝露前の95%以上。
○:日光曝露前の90%以上95%未満。
△:日光曝露前の70%以上90%未満。
×:日光曝露前の70%未満。
【0057】
(結果)
【表6】


【0058】
表6から明らかなように、本発明の桂皮酸誘導体は従来品に比べて長時間の直射日光曝露によっても分解されず、非常に高い残存率を示した。また、紫外線吸収スペクトルの形状や面積値にも変化はなく、外観においても着色や析出などは認められなかった。
【0059】
試験例7 無機粉体系紫外線遮蔽剤との併用時の安定性試験
下記の処方でサンスクリーンクリームを製造し、これらを50℃で2ヶ月間保存し、目視により変色を観察することにより、無機粉体系紫外線遮蔽剤との併用時の安定性について検討した。
【0060】
(処方)
サンスクリーンクリーム
(1)エチルセルロース 1.0質量%
(2)エタノール 5.0
(3)コハク酸2−エチルヘキシル 24.0
(4)二酸化チタン 1.0
(5)多孔性無水ケイ酸粉末 1.0
(6)球状ナイロン粉末 1.0
(7)タルク 1.0
(8)セリサイト 1.0
(9)窒化ホウ素 1.0
(10)シリコーン処理マイカ 1.0
(11)紫外線吸収剤(表7記載) 10.0
(12)カルボキシメチルセルロース 1.0
(13)イオン交換水 残 余
(14)防腐剤 適 量
(15)香料 適 量
【0061】
(製法)
(1)に(2)を加え十分に膨潤させた後、(3)〜(10)を加え加熱混合し、十分に分散及び溶解した。この分散液を70℃に保ち、(11)〜(15)を混合した溶液を徐々に加えながらホモミキサーで均一に乳化した後、よくかき混ぜながら30℃まで冷却し、サンスクリーンクリームを得た。
【0062】
(結果)
【表7】

【0063】
表7から明らかなように、比較化合物は無機粉体を併用すると黄色が濃く変色したが、本発明の桂皮酸誘導体は無機粉体を併用しても変色は認められなかった。
以上のように、本発明の桂皮酸誘導体は、皮膚刺激性がなく、光安定性にも優れ、また、無機粉体との併用でも変色を生じない。従って、本発明の桂皮酸誘導体は、皮膚外用剤に配合可能な紫外線吸収剤として非常に有用である。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の皮膚外用剤の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、配合量は全て質量%で示す。
実施例1 化粧水
(アルコール相)
エタノール 10.0
オレイルアルコール 0.1
POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル 0.5
POE(15)ラウリルエーテル 0.5
防腐剤 適 量
香料 適 量
(水相)
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 10.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
グリセリン 4.0
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.3
イオン交換水 残 余
(製法)
水相、アルコール相をそれぞれ調製後、混合した。
実施例2 化粧水
【0065】
(アルコール相)
エタノール 10.0
オレイルアルコール 0.1
POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル 0.5
POE(15)ラウリルエーテル 0.5
防腐剤 適 量
香料 適 量
(水相)
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 5.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
グリセリン 4.0
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 1.0
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.3
イオン交換水 残 余
(製法)
水相、アルコール相をそれぞれ調製後、混合した。
実施例3 化粧水
【0066】
(アルコール相)
エタノール 10.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 0.5
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 0.5
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
POE(20)オレイルエーテル 0.5
防腐剤 適 量
香料 適 量
(水相)
ジプロピレングリコール 6.0
ソルビット 4.0
PEG1500 5.0
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 20.0
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 1.0
メチルセルロース 0.2
クインスシード 0.1
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水の一部にメチルセルロース及びクインスシードを混合、攪拌し、粘稠液を調製した。イオン交換水の残部と他の水相成分を混合溶解し、これに前記の粘稠液を加えて、均一な水相を得た。アルコール相を調製後、水相に添加し、混合した。
【0067】
実施例4 化粧水
(アルコール相)
エタノール 10.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 0.5
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 0.5
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
POE(20)オレイルエーテル 0.5
防腐剤 適 量
香料 適 量
(水相)
ジプロピレングリコール 6.0
ソルビット 4.0
PEG1500 5.0
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 7.0
メチルセルロース 0.2
クインスシード 0.1
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水の一部にメチルセルロース及びクインスシードを混合、攪拌し、粘稠液を調製した。イオン交換水の残部と他の水相成分を混合溶解し、これに前記の粘稠液を加えて、均一な水相を得た。アルコール相を調製後、水相に添加し、混合した。
実施例5 クリーム
【0068】
ステアリン酸 5.0
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 10.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 5.0
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 3.0
プロピレングリコール 10.0
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 5.0
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.2
水酸化カリウム 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
防腐剤 適 量
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコール、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド及び水酸化カリウムを加えて溶解し、加熱して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を徐々に加えて予備乳化し、ホモミキサーで均一に乳化後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
実施例6 クリーム
【0069】
ステアリン酸 5.0
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 10.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 5.0
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 3.0
プロピレングリコール 10.0
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 3.0
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.2
水酸化カリウム 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
防腐剤 適 量
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコール、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド及び水酸化カリウムを加えて溶解し、加熱して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を徐々に加えて予備乳化し、ホモミキサーで均一に乳化後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
実施例7 クリーム
【0070】
ステアリン酸 6.0
ソルビタンモノステアリン酸エステル 2.0
POE(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.5
プロピレングリコール 10.0
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 10.0
グリセリントリオクタノエート 10.0
スクワレン 5.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコール及び3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミドを加えて溶解し、加熱して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を徐々に加え、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
実施例8 クリーム
【0071】
ステアリン酸 6.0
ソルビタンモノステアリン酸エステル 2.0
POE(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.5
プロピレングリコール 10.0
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 5.0
グリセリントリオクタノエート 10.0
スクワレン 5.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコール及び3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミドを加えて溶解し、加熱して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を徐々に加え、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
実施例9 乳液
【0072】
ステアリン酸 2.5
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
POE(10)モノオレイン酸エステル 2.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 2.0
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2.0
PEG1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 3.0
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.1
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.05
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解した(A相)。イオン交換水の残部にPEG1500、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド、4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン及びトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を加えて予備乳化を行い、A相を加えてホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
実施例10 乳液
【0073】
ステアリン酸 2.5
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
POE(10)モノオレイン酸エステル 2.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 2.0
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2.0
PEG1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 3.0
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.1
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.05
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解した(A相)。イオン交換水の残部にPEG1500、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド、4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン及びトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を加えて予備乳化を行い、A相を加えてホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
実施例11 ジェル
【0074】
95%エタノール 10.0
ジプロピレングリコール 15.0
POE(50)オレイルエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
水酸化ナトリウム 0.15
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 1.0
メチルパラベン 0.2
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解した(A相)。95%エタノールにPOE(50)オレイルエーテルを溶解し、A相に添加した。水酸化ナトリウム以外の成分を添加後、水酸化ナトリウムを添加して中和増粘させた。
実施例12 ジェル
【0075】
95%エタノール 10.0
ジプロピレングリコール 15.0
POE(50)オレイルエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
水酸化ナトリウム 0.15
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 1.0
メチルパラベン 0.2
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解した(A相)。95%エタノールにPOE(50)オレイルエーテルを溶解し、A相に添加した。水酸化ナトリウム以外の成分を添加後、水酸化ナトリウムを添加して中和増粘させた。
実施例13 美容液
【0076】
(A相)
95%エタノール 10.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 1.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 0.5
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
POE(20)オクチルドデカノール 1.0
メチルパラベン 0.15
パントテニルエチルエーテル 0.1
(B相)
水酸化カリウム 0.1
(C相)
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 10.0
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 2.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.2
イオン交換水 残 余
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化した。次いでB相を加えて混合した。
実施例14 美容液
【0077】
(A相)
95%エタノール 10.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 1.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 0.5
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
POE(20)オクチルドデカノール 1.0
メチルパラベン 0.15
パントテニルエチルエーテル 0.1
(B相)
水酸化カリウム 0.1
(C相)
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 5.0
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 3.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.2
イオン交換水 残 余
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化した。次いでB相を加えて混合した。
実施例15 パック
【0078】
(A相)
ジプロピレングリコール 5.0
POE(60)硬化ヒマシ油 5.0
(B相)
オリーブ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
エチルパラベン 0.2
香料 0.2
(C相)
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 0.1
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール
(ケン化度90,重合度2000) 13.0
エタノール 7.0
イオン交換水 残 余
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化した。次いでこれをC相に加えて混合した。
実施例16 パック
【0079】
(A相)
ジプロピレングリコール 5.0
POE(60)硬化ヒマシ油 5.0
(B相)
オリーブ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
エチルパラベン 0.2
香料 0.2
(C相)
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 0.1
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール
(ケン化度90,重合度2000) 13.0
エタノール 7.0
イオン交換水 残 余
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化した。次いでこれをC相に加えて混合した。
【0080】
上記実施例1〜14は何れも優れた紫外線防止効果を有していた。また、実施例1〜16は皮膚トラブルは全く認められなかった。
実施例17 乳液
【0081】
(油相)
ステアリルアルコール 1.5
スクワレン 2.0
ワセリン 2.5
脱臭液状ラノリン 1.5
月見草油 2.0
ミリスチン酸イソプロピル 5.0
グリセリンモノオレート 2.0
POE(60)硬化ヒマシ由 2.0
酢酸トコフェロール 0.05
エチルパラベン 0.2
ブチルパラベン 0.1
香料 適 量
(水相)
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 5.0
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 5.0
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
グリセリン 5.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.2
イオン交換水 残 余
(製法)
油相、水相をそれぞれ70℃にて溶解し、水相に油相を混合し、乳化機で乳化後、熱交換機で30℃まで冷却した。
【0082】
上記実施例17の乳液も優れた紫外線防止効果を有し、皮膚トラブルは全く認められなかった。
実施例18 固形パウダリ−ファンデ−ション
【0083】
(1)タルク 15.0
(2)セリサイト 10.0
(3)球状ナイロン粉末 10.0
(4)多孔性無水ケイ酸粉末 15.0
(5)窒化ホウ素 5.0
(6)二酸化チタン 5.0
(7)酸化鉄 3.0
(8)ステアリン酸亜鉛 5.0
(9)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 1.0
(10)流動パラフィン 残 余
(11)トリイソオクタン酸グリセリン 15.0
(12)セスキオレイン酸ソルビタン 1.5
(13)防腐剤 適 量
(14)香料 適 量
(製法)
(1)〜(8)の各成分を混合粉砕したところへ、(9)〜(14)の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、容器に成型して固形ファンデ−ションを得た。
実施例19 固形パウダリ−ファンデ−ション
【0084】
(1)タルク 15.0
(2)セリサイト 10.0
(3)球状ナイロン粉末 10.0
(4)多孔性無水ケイ酸粉末 15.0
(5)窒化ホウ素 5.0
(6)二酸化チタン 5.0
(7)酸化鉄 3.0
(8)ステアリン酸亜鉛 5.0
(9)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 1.0
(10)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 1.0
(11)流動パラフィン 残 余
(12)トリイソオクタン酸グリセリン 15.0
(13)セスキオレイン酸ソルビタン 1.5
(14)防腐剤 適 量
(15)香料 適 量
(製法)
(1)〜(8)の各成分を混合粉砕したところへ、(9)〜(15)の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、容器に成型して固形ファンデ−ションを得た。
実施例20 油中水型乳化ファンデ−ション
【0085】
(1)球状ナイロン 10.0
(2)多孔性無水ケイ酸粉末 8.0
(3)雲母チタン 2.0
(4)シリコーン処理セリサイト 2.0
(5)シリコーン処理マイカ 12.0
(6)シリコーン処理二酸化チタン 5.0
(7)シリコーン処理酸化鉄 2.0
(8)イオン交換水 残 余
(9)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 5.0
(10)デカメチルシクロペンタンシロキサン 18.0
(11)ジメチルポリシロキサン 5.0
(12)スクワラン 1.0
(13)ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 2.0
(14)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
(15)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 1.0
(16)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
(17)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
(18)防腐剤 適 量
(19)香料 適 量
(製法)
(10)〜(19)の各成分を均一に混合溶解したものに、混合粉砕した(1)〜(7)を加えて分散させた。この分散液に、(9)を(8)に溶解したものを加えて乳化し、容器に充填して油中水型乳化ファンデ−ションを得た。
実施例21 油中水型乳化ファンデ−ション
【0086】
(1)球状ナイロン 10.0
(2)多孔性無水ケイ酸粉末 8.0
(3)雲母チタン 2.0
(4)シリコーン処理セリサイト 2.0
(5)シリコーン処理マイカ 12.0
(6)シリコーン処理二酸化チタン 5.0
(7)シリコーン処理酸化鉄 2.0
(8)イオン交換水 残 余
(9)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 3.0
(10)デカメチルシクロペンタンシロキサン 18.0
(11)ジメチルポリシロキサン 5.0
(12)スクワラン 1.0
(13)ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 2.0
(14)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
(15)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 1.0
(16)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
(17)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
(18)防腐剤 適 量
(19)香料 適 量
(製法)
(10)〜(19)の各成分を均一に混合溶解したものに、混合粉砕した(1)〜(7)を加えて分散させた。この分散液に、(9)を(8)に溶解したものを加えて乳化し、容器に充填して油中水型乳化ファンデ−ションを得た。
実施例22 白粉
【0087】
(1)タルク 残 余
(2)セリサイト 10.0
(3)球状ナイロン粉末 10.0
(4)窒化ホウ素 5.0
(5)酸化鉄 3.0
(6)炭酸マグネシウム 5.0
(7)スクワラン 3.0
(8)トリイソオクタン酸グリセリン 2.0
(9)セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
(10)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 0.5
(11)防腐剤 適 量
(12)香料 適 量
(製法)
(1)〜(6)の各成分を混合粉砕したところへ、(7)〜(12)の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、白粉を得た。
実施例23 アイシャド−
【0088】
(1)タルク 残 余
(2)マイカ 15.0
(3)球状ナイロン粉末 10.0
(4)窒化ホウ素 5.0
(5)酸化鉄 3.0
(6)酸化チタン被覆マイカ 5.0
(7)スクワラン 3.0
(8)トリイソオクタン酸グリセリン 2.0
(9)セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
(10)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 0.3
(11)防腐剤 適 量
(12)香料 適 量
(製法)
(1)〜(6)の各成分を混合粉砕したところへ、(7)〜(12)の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、アイシャド−を得た。
実施例24 口紅
【0089】
(1)カルナバロウ 0.5
(2)キャンデリラロウ 5.0
(3)セレシン 10.0
(4)スクワラン 残 余
(5)トリイソステアリン酸グリセリン 10.0
(6)ジイソステアリン酸グリセリン 20.0
(7)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
(8)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
(9)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 3.0
(10)マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル 4.0
(11)合成ケイ酸ナトリウム−マグネシウム 0.5
(12)疎水性シリカ 0.5
(13)イオン交換水 2.0
(14)色剤 適 量
(15)防腐剤 適 量
(16)香料 適 量
(製法)
60℃に加熱した(10)に(11)、(12)を分散させ、これに(9)(13)を加えて十分攪拌した。別に加熱溶解しておいた(1)〜(8)にこれを加えて十分攪拌し、さらに(14)〜(16)を加えて分散攪拌し、その後成型して口紅を得た。
実施例25 口紅
【0090】
(1)カルナバロウ 0.5
(2)キャンデリラロウ 5.0
(3)セレシン 10.0
(4)スクワラン 残 余
(5)トリイソステアリン酸グリセリン 10.0
(6)ジイソステアリン酸グリセリン 20.0
(7)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
(8)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
(9)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 2.0
(10)マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル 4.0
(11)合成ケイ酸ナトリウム−マグネシウム 0.5
(12)疎水性シリカ 0.5
(13)イオン交換水 2.0
(14)色剤 適 量
(15)防腐剤 適 量
(16)香料 適 量
(製法)
60℃に加熱した(10)に(11)、(12)を分散させ、これに(9)(13)を加えて十分攪拌した。別に加熱溶解しておいた(1)〜(8)にこれを加えて十分攪拌し、さらに(14)〜(16)を加えて分散攪拌し、その後成型して口紅を得た。
【0091】
実施例18〜25のメーキャップ化粧料は何れも優れた紫外線防止効果を有し、また、皮膚トラブルや、経時的な変色等は認められなかった。
実施例26 ヘアフォーム
【0092】
(原液処方)
(1)アクリル樹脂アルカノールアミン液(50%) 8.0
(2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 適 量
(3)流動パラフィン 5.0
(4)グリセリン 3.0
(5)香料 適 量
(6)防腐剤 適 量
(7)エタノール 15.0
(8)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 7.0
(9)イオン交換水 残 余
(充填処方)
(1)原液 90.0
(2)液化石油ガス 10.0
(製法)
流動パラフィンをグリセリンとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の溶解物に添加し、ホモミキサーで均一に乳化した。これを他の成分の溶液に添加した。充填は缶に原液を充填し、バルブ装着後、ガスを充填した。
実施例27 ヘアフォーム
【0093】
(原液処方)
(1)アクリル樹脂アルカノールアミン液(50%) 8.0
(2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 適 量
(3)流動パラフィン 5.0
(4)グリセリン 3.0
(5)香料 適 量
(6)防腐剤 適 量
(7)エタノール 15.0
(8)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 3.0
(9)イオン交換水 残 余
(充填処方)
(1)原液 90.0
(2)液化石油ガス 10.0
(製法)
流動パラフィンをグリセリンとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の溶解物に添加し、ホモミキサーで均一に乳化した。これを他の成分の溶液に添加した。充填は缶に原液を充填し、バルブ装着後、ガスを充填した。
実施例28 ヘアリキッド
【0094】
(1)ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル 20.0
(2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
(3)エタノール 50.0
(4)香料 適 量
(5)防腐剤 適 量
(6)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 2.0
(7)染料 適 量
(8)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 2.0
(9)イオン交換水 残 余
(製法)
エタノールにポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、香料、防腐剤、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステルを溶解した。イオン交換水に3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド、染料を溶解した。エタノール相に水相を添加し、ろ紙でろ過した。
実施例29 ヘアスプレー
【0095】
(原液処方)
(1)アクリル樹脂アルカノールアミン液(50%) 7.0
(2)セチルアルコール 0.1
(3)シリコーン油 0.3
(4)エタノール 残 余
(5)香料 適 量
(6)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 1.0
(7)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 1.0
(8)イオン交換水 3.0
(充填処方)
(1)原液 50.0
(2)液化石油ガス 50.0
(製法)
エタノールに他の成分を加え溶解し、ろ過した。充填は缶に原液を充填し、バルブ装着後、ガスを充填した。
実施例30 ヘアトニック
【0096】
(1)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミド 3.0
(2)硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物 2.0
(3)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
(4)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 3.0
(5)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 3.0
(6)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 1.0
(7)エタノール 60.0
(8)香料 適 量
(9)イオン交換水 残 余
(製法)
エタノールに硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン及びテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を溶解した。イオン交換水に3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミドを溶解した。エタノール相及び水相を混合し、香料を加えた。
実施例31 ヘアトニック
【0097】
(1)3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミド 2.0
(2)硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物 2.0
(3)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
(4)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 3.0
(5)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 3.0
(6)エタノール 60.0
(7)香料 適 量
(8)イオン交換水 残 余
(製法)
エタノールに硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン及び4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを溶解した。イオン交換水に3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミドを溶解した。エタノール相及び水相を混合し、香料を加えた。
【0098】
実施例26〜31の毛髪用及び頭皮用化粧料は何れも優れた紫外線防止効果を有し、また、頭皮トラブルや、経時的な変色等は認められなかった。
【発明の効果】
【0099】
本発明の新規な桂皮酸誘導体は極めて水溶性が高く、水性ベースの製品に配合することが可能であり、また、幅広い紫外線波長領域にわたって非常に優れた紫外線吸収能を有し、安全性、安定性も高い。よって、これを配合することにより、紫外線防止効果が高く、安全性、安定性も良好な皮膚外用剤が得られる。また、該桂皮酸誘導体は可視部に吸収を持たないので、製品の着色という問題も生じない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の新規な桂皮酸誘導体、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸N−メチル−D−グルカミンアミドの紫外線吸収スペクトルを示す図である。
【図2】本発明の新規な桂皮酸誘導体、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸D−グルカミンアミドの紫外線吸収スペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記桂皮酸誘導体(1)及びその塩
【化1】

(式中、Rはヘキソシルアミン残基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
【請求項2】
請求項1記載の桂皮酸誘導体及びその塩において、RがD−グルカミン残基である下記桂皮酸誘導体(2)及びその塩。
【化2】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
【請求項3】
請求項1または2記載の桂皮酸誘導体及びその塩を含有することを特徴とする紫外線吸収剤。
【請求項4】
請求項1または2記載の桂皮酸誘導体及びその塩を含有することを特徴とする紫外線吸収性組成物。
【請求項5】
請求項1または2記載の桂皮酸誘導体及びその塩を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項6】
請求項5記載の皮膚外用剤において、さらに無機粉体を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項7】
請求項5または6記載の皮膚外用剤を化粧品用組成物として人体へ使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−131603(P2006−131603A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350407(P2004−350407)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】