説明

案内システム、案内方法、及び案内プログラム

【課題】ユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる、案内システム、案内方法、及び案内プログラムを提供すること。
【解決手段】案内システム1は、施設を訪問した各車両の訪問状況に基づき、当該施設に関する案内を行う条件となる案内条件範囲を施設に対して設定する案内条件範囲設定部22aと、施設に関する案内を行う基準となる案内基準位置を取得し、当該取得した案内基準位置が案内条件範囲設定部22aにより設定された案内条件範囲に含まれている場合に、施設に関する案内を行う案内部22bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内システム、案内方法、及び案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの嗜好に合致した目的地候補を表示する車両用ナビゲーション装置が用いられている。特に、訪問目的等のユーザの嗜好や意思を反映する情報をユーザが自ら入力しなくても、当該ユーザの嗜好に合致した目的地候補を表示する車両用ナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、施設への訪問履歴に基づくユーザの嗜好の統計情報と、訪問施設とユーザの自宅との距離の統計情報とを記憶媒体に記憶させ、これらの記憶させた統計情報に基づいて、訪問施設とユーザの自宅との距離の代表的な距離内にあり、かつユーザの嗜好に合う施設を、案内目的地候補として表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−10326号公報(段落0006、0008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の如き従来の装置では、ユーザの過去の行動から導き出された当該ユーザの嗜好に合致し、かつ訪問施設とユーザの自宅との距離の代表的な距離内にある施設を案内することができるに過ぎず、施設の人気や集客能力を考慮することができなかった。このため、ユーザの嗜好に合致し、当該ユーザの行動範囲に含まれさえすれば、人気が低い施設や集客能力の低い施設についても案内をしてしまっていた。その結果、ユーザがわざわざ訪問する価値の低い施設についても案内を行ってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる、案内システム、案内方法、及び案内プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の案内システムは、施設を訪問した各車両の訪問状況に基づき、当該施設に関する案内を行う条件となる案内条件範囲を前記施設に対して設定する案内条件範囲設定手段と、前記施設に関する案内を行う基準となる案内基準位置を取得し、当該取得した案内基準位置が前記案内条件範囲設定手段により設定された前記案内条件範囲に含まれている場合に、前記施設に関する案内を行う案内手段と、を備える。
【0007】
また、請求項2に記載の案内システムは、請求項1に記載の案内システムにおいて、前記案内手段は、前記案内基準位置が前記案内条件範囲設定手段により設定された前記案内条件範囲に含まれ、かつ、前記施設の位置が前記案内基準位置を基準とする前記車両の行動範囲に含まれている場合、当該施設に関する案内を行う。
【0008】
また、請求項3に記載の案内システムは、請求項1又は2に記載の案内システムにおいて、前記案内条件範囲設定手段は、前記訪問状況としての出発地、自宅位置、走行距離、又は走行時間の少なくともいずれか一つに基づき前記案内条件範囲を設定する。
【0009】
また、請求項4に記載の案内システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の案内システムにおいて、前記案内条件範囲設定手段は、前記施設を訪問した各車両を当該各車両の前記訪問状況に基づきグループ分けし、当該グループと当該グループに属する前記車両の台数とに基づいて前記案内条件範囲を設定する。
【0010】
また、請求項5に記載の案内システムは、請求項4に記載の案内システムにおいて、前記案内条件範囲設定手段は、前記施設を訪問した車両数と当該車両の訪問状況との間の相関関係の有無に応じた方法により前記グループ分けを行う。
【0011】
また、請求項6に記載の案内方法は、施設を訪問した各車両の訪問状況に基づき、当該施設に関する案内を行う条件となる案内条件範囲を前記施設に対して設定する案内条件範囲設定ステップと、前記施設に関する案内を行う基準となる案内基準位置を取得し、当該取得した案内基準位置が前記案内条件範囲設定ステップで設定された前記案内条件範囲に含まれている場合に、前記施設に関する案内を行う案内ステップと、を含む。
【0012】
また、請求項7に記載の案内プログラムは、請求項6に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の案内システム、請求項5に記載の案内方法、又は請求項6に記載の案内プログラムによれば、案内条件範囲設定手段により設定された案内条件範囲に案内基準位置が含まれている場合に、施設に関する案内を行うので、施設の人気や集客能力の程度に応じて設定された案内条件範囲に案内基準位置(例えば自宅位置や出発地等)が含まれている場合にのみ当該施設に関する案内を行うことができ、ユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる。
【0014】
請求項2に記載の案内システムによれば、案内基準位置が案内条件範囲設定手段により設定された案内条件範囲に含まれ、かつ、施設の位置が案内基準位置を基準とする車両の行動範囲に含まれている場合、当該施設に関する案内を行うので、ユーザの行動範囲内で、当該ユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる。
【0015】
請求項3に記載の案内システムによれば、訪問状況としての出発地、自宅位置、走行距離、又は走行時間の少なくともいずれか一つに基づき案内条件範囲を設定するので、施設を訪問した車両の出発地、自宅位置、走行距離、又は走行時間を反映して案内条件範囲を設定することができ、多くのユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の案内システムによれば、施設を訪問した各車両を当該各車両の訪問状況に基づきグループ分けし、当該グループと当該グループに属する車両の台数とに基づいて案内条件範囲を設定するので、グループに属する車両の台数が多い場合に当該グループに属する車両の訪問状況に基づく案内条件範囲を設定することができ、多くのユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の案内システムによれば、施設を訪問した車両数と当該車両の訪問状況との間の相関関係の有無に応じた方法によりグループ分けを行うので、施設を訪問した車両の訪問状況に合致したグループ分けに基づく案内条件範囲を設定することができ、多くのユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態に係る案内システムを例示するブロック図である。
【図2】訪問状況DBに格納されている情報を例示した表である。
【図3】訪問状況取得処理のフローチャートである。
【図4】案内条件範囲設定処理のフローチャートである。
【図5】設定された案内条件範囲を例示した図である。
【図6】設定された案内条件範囲を例示した図である。
【図7】設定された案内条件範囲を例示した図である。
【図8】案内処理のフローチャートである。
【図9】複数の施設に設定されている案内条件範囲と車両の行動範囲との関係を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る案内システム、案内方法、及び案内プログラムの各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(構成)
まず、実施の形態に係る案内システムの構成を説明する。図1は、実施の形態に係る案内システムを例示するブロック図である。図1に示すように、この案内システム1は、案内装置10、及び案内センタ20を備えており、これらの案内装置10と案内センタ20とはネットワーク2を介して相互に通信可能に接続されている。
【0021】
(構成−案内装置)
案内装置10は、車両に搭載され、当該車両の乗員に案内を行うためのものであり、通信部11、現在位置検出処理部12、ディスプレイ13、制御部14、及びデータ記録部15を備えている。
【0022】
(構成−案内装置−通信部)
通信部11は、案内センタ20との間でネットワーク2を介して通信を行う通信手段であり、公知の無線通信装置を用いることができる。
【0023】
(構成−案内装置−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部12は、案内装置10が取り付けられた車両(以下、自車両)の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部12は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の自車両の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0024】
(構成−案内装置−ディスプレイ)
ディスプレイ13は、制御部14の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。なお、このディスプレイ13の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0025】
(構成−案内装置−制御部)
制御部14は、案内装置10を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る案内プログラムは、任意の記録媒体又はネットワーク2を介して案内システム1にインストールされることで、制御部14の各部を実質的に構成する(後述する案内センタ20の制御部22についても同じ)。
【0026】
この制御部14は、機能概念的に、訪問状況取得部14a、及び案内制御部14bを備えている。
【0027】
訪問状況取得部14aは、施設を訪問した自車両の訪問状況を取得する訪問状況取得手段である。ここで訪問状況とは、施設を訪問した車両の状況であり、例えば車両の出発地、自宅位置、又は、出発地若しくは自宅位置から施設までの走行距離若しくは走行時間等を含む概念である。案内制御部14bは、通信部11を介して案内センタ20から受信した施設に関する情報に基づく案内の出力制御を行う案内制御手段である。これらの制御部14の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。なお、制御部14には公知の車速センサ3が接続されており、この車速センサ3から、車軸の回転数に比例する車速パルス信号等が制御部14に入力される。
【0028】
(構成−案内装置−データ記録部)
データ記録部15は、案内システム1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述する案内センタ20のデータ記録部23についても同じ)。
【0029】
このデータ記録部15は、地図情報データベース(以下、データベースを「DB」と称する)15a、及び行動範囲DB15bを備えている。地図情報DB15aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、店舗等の施設のPOI(Point of Interest)情報(施設位置、名称、営業時間、電話番号等)を含む施設データ、地形データ、地図をディスプレイ13に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0030】
行動範囲DB15bは、案内基準位置を基準とする車両の行動範囲を特定する行動範囲情報を格納する行動範囲情報格納手段である。ここで、案内基準位置は施設に関する案内を行う基準となる位置であり、例えば案内を行う際の車両の出発地や、予め登録されている自宅位置を案内基準位置とすることができる。また、行動範囲とはユーザが車両に乗って行動する範囲であり、例えば過去に経路案内において設定された目的地を包含する範囲や、車両の走行軌跡を包含する範囲として設定される。あるいは、過去に訪問した施設と自宅位置との距離の統計情報に基づいて代表的な距離を算出し、自宅位置から当該算出した距離内に含まれる範囲を行動範囲として設定してもよい。
【0031】
(構成−案内センタ)
案内センタ20は、ネットワーク2を介して施設に関する情報を案内装置10に配信するためのものであり、通信部21、制御部22、及びデータ記録部23を備えている。
【0032】
(構成−案内センタ−通信部)
通信部21は、案内装置10との間でネットワーク2を介して通信を行う通信手段であり、公知の無線通信装置を用いることができる。
【0033】
(構成−案内センタ−制御部)
制御部22は、機能概念的に、案内条件範囲設定部22a、及び案内部22bを備えている。
【0034】
案内条件範囲設定部22aは、施設に関する案内を行う条件となる案内条件範囲を施設に対して設定する案内条件範囲設定手段である。案内部22bは、施設に関する案内を行う案内手段である。これらの制御部22の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0035】
(構成−案内センタ−データ記録部)
データ記録部23は、訪問状況DB23a、及び案内条件範囲DB23bを備えている。訪問状況DB23aは、各施設を訪問した各車両の訪問状況を特定する訪問状況情報を格納する訪問状況格納手段である。図2は訪問状況DB23aに格納されている情報を例示した表である。図2に示すように、訪問状況DB23aはDB項目として「施設」「車両ID」「訪問状況」を有し、各項目に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「施設」に対応して格納される情報は、施設を一意に識別する施設識別情報である(図2では「施設A」「施設B」等)。この項目「施設」に対応して格納されている施設識別情報で識別される施設毎に、以下に説明する項目「車両ID」及び「訪問状況」に対応する情報が格納される。項目「車両ID」に対応して格納される情報は、施設を訪問した車両を一意に識別する車両識別情報である(図2では「0001」「0002」等)。項目「訪問状況」に対応して格納される情報は、施設を訪問した車両の訪問状況を特定する訪問状況情報であり、小項目「出発地」「自宅位置」「走行距離」及び「走行時間」に対応する情報が格納される。項目「出発地」に対応して格納される情報は、施設を訪問した車両が出発した位置を特定する情報であり、例えば出発地の緯度及び経度が格納される(図2では「35.6704、139.7440」等)。項目「自宅位置」に対応して格納される情報は、施設を訪問した車両の自宅位置を特定する情報であり、例えば自宅位置の緯度及び経度が格納される(図2では「35.6772、139.7620」等)。項目「走行距離」に対応して格納される情報は、施設を訪問した車両が出発地又は自宅位置を出発してから施設に到着するまでの走行距離を特定する情報である(図2では「15km」等)。項目「走行時間」に対応して格納される情報は、施設を訪問した車両が出発地又は自宅位置を出発してから施設に到着するまでの走行時間を特定する情報である(図2では「35分」等)。これらの情報を訪問状況DB23aに格納する方法やタイミングは任意であり、例えば各車両の案内装置10によって取得され、当該各案内装置10からネットワーク2を介して案内センタ20に送信され、訪問状況DB23aに随時格納される。
【0036】
案内条件範囲DB23bは、施設に関する案内を行う条件となる案内条件範囲を特定する案内条件範囲情報を格納する案内条件範囲情報格納手段である。案内条件範囲DB23bは、施設を一意に識別する施設識別情報、施設位置を特定する施設位置情報、及び各施設について設定された案内条件範囲を特定する案内条件範囲情報を、相互に関連付けて格納する。このうち施設位置情報としては、例えば施設位置の緯度及び経度を用いることができる。なお、案内条件範囲の具体的な内容については後述する。
【0037】
(処理)
次に、このように構成される案内システム1によって実行される処理について説明する。案内システム1によって実行される処理は、各車両の案内装置10が訪問状況を取得する訪問状況取得処理、各施設についての案内条件範囲を設定する案内条件範囲設定処理、及び施設に関する案内を行う案内処理に大別される。これらの処理について、以下説明する。
【0038】
(処理−訪問状況取得処理)
まず、訪問状況取得処理について説明する。図3は訪問状況取得処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この訪問状況取得処理は案内装置10によって実行される処理であり、例えば車両の走行開始後に自動的に起動される。
【0039】
訪問状況取得処理の起動後、訪問状況取得部14aは、公知のナビゲーション装置(図示省略)による経路案内のための目的地が、操作手段(図示省略)を介してユーザにより設定されるまで待機する(SA1、No)。そして目的地が設定された場合(SA1、Yes)、当該設定された目的地に車両が到着するまで待機する(SA2、No)。
【0040】
目的地に車両が到着した場合(SA2、Yes)、訪問状況取得部14aは、当該到着した目的地について、自車両の訪問状況を取得する(SA3)。例えば、目的地が設定された際の車両の位置(出発地)、現在登録されている自宅位置、出発地から目的地までの走行距離、又は出発地から目的地までの走行時間等を取得する。また、到着した目的地としての施設を一意に識別する施設識別情報も取得する。
【0041】
続いて訪問状況取得部14aは、SA3で取得した訪問状況を特定する訪問状況情報及び施設識別情報に、自車両を一意に識別する車両識別情報を付加して、通信部11及びネットワーク2を介して案内センタ20に送信する(SA4)。以降、SA1からSA4までの処理を繰り返し実行する。
【0042】
なお、案内装置10からネットワーク2及び通信部21を介して訪問状況情報、施設識別情報、及び車両識別情報を受信した案内センタ20の制御部22は、当該受信した施設識別情報で識別される施設毎に、車両識別情報及び訪問状況情報を訪問状況DB23aに格納する。
【0043】
(処理−案内条件範囲設定処理)
次に、案内条件範囲設定処理について説明する。図4は案内条件範囲設定処理のフローチャートである。この案内条件範囲設定処理は案内センタ20によって実行される処理であり、例えば案内センタ20の電源投入後、所定周期で繰り返し起動される。
【0044】
案内条件範囲設定処理の起動後、案内条件範囲設定部22aは訪問状況DB23aを参照し、当該訪問状況DB23aの1行目の施設を訪問した全車両の訪問状況を取得する(SB1)。ここで、案内条件範囲設定部22aは訪問状況として各車両の出発地、自宅位置、走行距離、又は走行時間の少なくともいずれか一つを取得することができるが、以下では自宅位置を訪問状況として取得した場合を例として説明する。
【0045】
次に、案内条件範囲設定部22aは、施設を訪問した車両数と、SB1で取得した各車両の自宅位置と施設との距離との間の相関関係の有無に応じた方法により、施設を訪問した各車両をグループ分けする。例えば案内条件範囲設定部22aは、SB1で取得した各車両の自宅位置と施設との距離が増えるに従って、当該施設へ訪問した車両の台数が単調減少しているか否かを判定する(SB2)。その結果、各車両の自宅位置と施設との距離が増えるに従って当該施設へ訪問した車両の台数が単調減少していると判定した場合(SB2、Yes)、案内条件範囲設定部22aは自宅位置と施設との距離に基づいて施設を訪問した車両をグループ分けする(SB3)。例えば、自宅位置と施設との距離が近い車両から順に、施設を訪問した全車両の20%に相当する台数毎にグループ分けを行う。
【0046】
一方、各車両の自宅位置と施設との距離が増えるに従って当該施設へ訪問した車両の台数が単調減少していると判定しなかった場合(SB2、No)、案内条件範囲設定部22aは各車両の自宅位置に基づくクラスタリングにより施設を訪問した車両をグループ分けする(SB4)。例えば、施設を訪問した全車両の自宅位置について、K−means法やFCM法等の公知のクラスタリング手法を用いてクラスタリングし、複数のクラスターにグループ分けする。
【0047】
SB3又はSB4の処理の後、これらのSB3又はSB4の処理で分けられたグループと当該グループに属する車両の台数とに基づいて、案内条件範囲設定部22aは案内条件範囲を設定する(SB5)。例えば、SB3において自宅位置と施設との距離が近い車両から順に、施設を訪問した全車両の20%に相当する台数毎にグループ分けした場合には、自宅位置と施設との距離が近いグループから順に、各グループに属する車両の台数の合計が施設を訪問した全車両の80%に相当する台数となるように4つのグループを選択する。そして、選択されたグループに属する全車両の自宅位置を包含する範囲を、案内条件範囲として設定する。図5は、選択されたグループに属する全車両の自宅位置を包含する範囲を案内条件範囲として設定した場合を例示した図である。図5に示したように、例えば、選択されたグループに属する各車両の自宅位置を相互に結ぶ直線の最外周に囲まれる範囲を案内条件範囲として設定する(図5で点線で示した範囲)。この場合、案内条件範囲設定部22aは、設定した案内条件範囲を特定する案内条件範囲情報として、例えば選択されたグループに属する各車両の自宅位置を相互に結ぶ直線の最外周を構成する各自宅位置の座標値を取得する。
【0048】
あるいは、図6に例示したように、施設位置を中心とし、選択されたグループに属する車両のうち自宅位置と施設との距離が最も遠い車両についての当該距離を半径とした円で囲まれる範囲を、案内条件範囲として設定しても良い。
【0049】
また、SB4においてクラスタリングにより車両をグループ分けした場合には、グループに属する車両の台数が多いグループから順に、各グループに属する車両の台数の合計が施設を訪問した全車両の80%に相当する台数を超えるまで選択する。そして、選択されたグループ毎に、当該グループに属する車両の自宅位置を包含する範囲を案内条件範囲として設定する。図7は、選択されたグループ毎に当該グループに属する車両の自宅位置を包含する範囲を案内条件範囲として設定した場合を例示した図である。図7に示したように、例えば、選択されたグループ毎に、各グループに属する全車両の自宅位置を相互に結ぶ直線の最外周に囲まれる範囲を案内条件範囲として設定する(図7で点線で示した範囲)。
【0050】
図4に戻り、案内条件範囲設定部22aは、SB5で設定した案内条件範囲を特定する案内条件範囲情報を、当該案内条件範囲を設定した施設を一意に識別する識別情報に関連付けて案内条件範囲DB23bに格納する(SB6)。以降、訪問状況DB23aの2行目以降の全ての施設についてSB1からSB6の処理を実行するまで(SB7、No)、SB1からSB6の処理を繰り返す。全ての施設についてSB1からSB6の処理を実行した場合は(SB7、Yes)、案内条件範囲設定部22aは案内条件範囲設定処理を終了する。
【0051】
(処理−案内処理)
次に、案内処理について説明する。図8は案内処理のフローチャートである。この案内処理は案内装置10及び案内センタ20によって実行される処理であり、例えばユーザにより操作手段を介して施設に関する案内を要求する旨の入力が案内装置10にされた場合に起動される。
【0052】
案内処理が起動されると、案内装置10の案内制御部14bは、通信部11からネットワーク2を介して案内センタ20に施設に関する案内を要求する旨の情報を送信する(SC1)。この情報の内容は任意で、例えば、行動範囲DB15bを参照して自車両の行動範囲を取得し、当該取得した行動範囲と、自車両において案内を行う際の基準となる案内基準位置とを特定する情報を送信する。
【0053】
案内装置10からネットワーク2及び通信部21を介して施設に関する案内を要求する旨の情報を受信した案内センタ20の案内部22bは、当該受信した情報に基づき、案内基準位置及び行動範囲を取得する(SC2)。
【0054】
続いて、案内部22bは案内条件範囲DB23bを参照し、当該案内条件範囲DB23bに格納されている一つの施設についての案内条件範囲及び施設位置を取得する(SC3)。そして、案内部22bはSC2で取得した案内基準位置がSC3で取得した案内条件範囲に含まれるか否かを判定する(SC4)。
【0055】
図9は、複数の施設に設定されている案内条件範囲と車両の行動範囲との関係を例示した図である。図9では、各施設の案内条件範囲を点線で囲まれた領域で示し、車両の行動範囲をハッチング領域で示している。図9に示した例では、案内基準位置としての自宅位置は施設A、B、E、及びFに設定されている案内条件範囲には含まれているが、施設C、D、及びGに設定されている案内条件範囲には含まれていない。
【0056】
図8に戻り、SC2で取得した案内基準位置がSC3で取得した案内条件範囲に含まれると判定した場合(SC4、Yes)、案内部22bはSC3で取得した施設位置がSC2で取得した車両の行動範囲に含まれているか否かを判定する(SC5)。図9に示した例では、施設A、B、C、及びDの位置は車両の行動範囲に含まれているが、他の施設位置は行動範囲に含まれていない。
【0057】
図8に戻り、施設位置が車両の行動範囲に含まれていると判定した場合(SC5、Yes)、案内部22bは当該施設を案内対象の施設として設定する(SC6)。一方、SC4において案内基準位置が案内条件範囲に含まれていないと判定した場合(SC4、No)、及びSC5において施設位置が車両の行動範囲に含まれていないと判定した場合は(SC5、No)、案内部22bは当該施設を案内対象外の施設として設定する(SC7)。
【0058】
以降、案内条件範囲DB23bに案内条件範囲情報が格納されている全ての施設についてSC3からSC7の処理を実行するまで(SC8、No)、案内部22bはSC3からSC7の処理を繰り返す。その結果、図9に示した例では、案内基準位置である自宅位置が案内条件範囲に含まれ、かつ、施設位置が車両の行動範囲に含まれているという条件を満たす施設A及び施設Bが案内対象の施設として設定され、その他の施設は案内対象外の施設として設定される。
【0059】
全ての施設についてSC3からSC7の処理を実行した後(SC8、Yes)、案内部22bは案内対象として設定されている施設に関する情報を通信部21からネットワーク2を介して案内装置10に送信し(SC9)、案内センタ20側の案内処理を終了する。なお、送信する情報の具体的な内容は任意であり、例えば施設位置や名称の他、施設の営業時間や電話番号等を含むPOI情報を送信する。
【0060】
ネットワーク2及び通信部11を介して案内センタ20から施設に関する情報を受信した案内装置10の案内制御部14bは、当該受信した情報に基づき、案内対象の施設に関する案内情報をディスプレイ13に出力させ(SC10)、案内装置10側の案内処理を終了する。
【0061】
(効果)
このように実施の形態によれば、案内条件範囲設定部22aにより設定された案内条件範囲に案内基準位置が含まれている場合に、施設に関する案内を行うので、施設の人気や集客能力の程度に応じて設定された案内条件範囲に自宅位置や出発地等の案内基準位置が含まれている場合にのみ当該施設に関する案内を行うことができ、ユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる。
【0062】
また、案内基準位置が案内条件範囲設定部22aにより設定された案内条件範囲に含まれ、かつ、施設位置が案内基準位置を基準とする車両の行動範囲に含まれている場合、当該施設に関する案内を行うので、ユーザの行動範囲内で、当該ユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる。
【0063】
また、訪問状況としての車両の自宅位置に基づき案内条件範囲を設定するので、施設を訪問した車両の自宅位置を反映して案内条件範囲を設定することができ、多くのユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる。
【0064】
また、施設を訪問した各車両を当該各車両の訪問状況に基づきグループ分けし、当該グループと当該グループに属する車両の台数とに基づいて案内条件範囲を設定するので、グループに属する車両の台数が多い場合に当該グループに属する車両の訪問状況に基づく案内条件範囲を設定することができ、多くのユーザにとって訪問する価値の高い施設に関する案内を行うことができる。
【0065】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0066】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0067】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、案内部22bや案内条件範囲DB23bを、案内装置10に設けてもよい。
【0068】
(案内条件範囲DBについて)
上述の実施の形態では、案内条件範囲DB23bには施設識別情報、施設位置情報、及び案内条件範囲情報が相互に関連付けて格納されていると説明したが、施設のジャンル毎に別個の案内条件範囲DB23bを設けてもよい。この場合、図8に示した案内処理のSC1において、特定ジャンルの施設に関する案内を要求する旨の情報を案内装置10から案内センタ20に送信させ、SC3において当該特定ジャンルに対応する案内条件範囲DB23bを案内部22bが参照し、当該案内条件範囲DB23bに格納されている一つの施設についての案内条件範囲及び施設位置を取得するようにし、当該特定ジャンルに対応する案内条件範囲DB23bに格納されている各施設についてSC3からSC7の処理を実行するようにしてもよい。
【0069】
(案内条件範囲設定処理について)
上述の実施の形態では、案内条件範囲設定部22aが自宅位置を訪問状況として取得した場合を例として説明したが、出発地、走行距離、又は走行時間を訪問状況として取得し、案内条件範囲設定処理を実行することもできる。例えば出発地を訪問状況として取得した場合には、自宅位置を訪問状況として取得した場合と同様に、出発地と施設との距離に基づいて施設を訪問した車両をグループ分けするか、各車両の出発地に基づくクラスタリングにより施設を訪問した車両をグループ分けする。そして、分けられたグループと当該グループに属する車両の台数とに基づいて、案内条件範囲設定部22aは案内条件範囲を設定することができる。
【0070】
また、走行距離、又は走行時間を訪問状況として取得した場合には、これらの走行距離又は走行時間に基づいて施設を訪問した車両をグループ分けする。例えば、案内条件範囲設定部22aは、施設を訪問した車両数と、SB1で取得した各車両の走行距離又は走行時間との間の相関関係の有無に応じた方法により、施設を訪問した各車両をグループ分けする。例えば案内条件範囲設定部22aは、各車両の走行距離又は走行時間が増えるに従って、当該施設へ訪問した車両の台数が単調減少しているか否かを判定する(SB2)。その結果、各車両の走行距離又は走行時間が増えるに従って当該施設へ訪問した車両の台数が単調減少していると判定した場合(SB2、Yes)、案内条件範囲設定部22aは走行距離又は走行時間に基づいて施設を訪問した車両をグループ分けする(SB3)。例えば、走行距離又は走行時間が少ない車両から順に、施設を訪問した全車両の20%に相当する台数毎にグループ分けを行う。
【0071】
一方、各車両の走行距離又は走行時間が増えるに従って当該施設へ訪問した車両の台数が単調減少していると判定しなかった場合(SB2、No)、案内条件範囲設定部22aは各車両の走行距離又は走行時間に基づくクラスタリングにより施設を訪問した車両をグループ分けする(SB4)。
【0072】
SB3又はSB4の処理の後、これらのSB3又はSB4の処理で分けられたグループと当該グループに属する車両の台数とに基づいて、案内条件範囲設定部22aは案内条件範囲を設定する(SB5)。例えば、SB3において走行距離又は走行時間が少ない車両から順に、施設を訪問した全車両の20%に相当する台数毎にグループ分けした場合には、走行距離又は走行時間が少ないグループから順に、各グループに属する車両の台数の合計が施設を訪問した全車両の80%に相当する台数となるように4つのグループを選択する。そして、選択されたグループに属する全車両のうち最も走行距離又は走行時間が多い車両の走行距離又は走行時間を案内条件範囲として設定し、案内条件範囲DB23bに格納する(SB6)。
【0073】
この場合、図8の案内処理のSC2で取得した案内基準位置がSC3で取得した案内条件範囲に含まれるか否かを判定する際(SC4)、案内部22bは、案内基準位置から施設までの走行経路をナビゲーション装置を介して探索し、当該走行経路における走行距離及び走行時間を地図情報DBを参照して算出する。そして、当該算出した案内基準位置から施設までの走行距離又は予測走行時間が、案内条件範囲として設定されている走行距離又は走行時間以下であるか否かを判定する。そして、案内基準位置から施設までの走行距離又は予測走行時間が、案内条件範囲として設定されている走行距離又は走行時間以下である場合に、案内基準位置が案内条件範囲に含まれると判定する(SC4、Yes)。
【0074】
また、出発地、自宅位置、走行距離、又は走行時間の任意の組み合わせ(例えば出発地と走行距離、あるいは自宅位置と走行距離と走行時間等)を訪問状況として案内条件範囲設定部22aが取得し、案内条件範囲設定処理を実行するように構成してもよい。
【0075】
(案内処理について)
上述の実施の形態では、案内基準位置が自宅位置である場合を例として説明したが、案内基準位置を車両の現在位置としてもよい。この場合、車両の行動範囲を、当該車両の現在位置から所定距離内の周辺領域としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 案内システム
2 ネットワーク
3 車速センサ
10 案内装置
11、21 通信部
12 現在位置検出処理部
13 ディスプレイ
14、22 制御部
14a 訪問状況取得部
14b 案内制御部
15、23 データ記録部
15a 地図情報DB
15b 行動範囲DB
20 案内センタ
22a 案内条件範囲設定部
22b 案内部
23a 訪問状況DB
23b 案内条件範囲DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設を訪問した各車両の訪問状況に基づき、当該施設に関する案内を行う条件となる案内条件範囲を前記施設に対して設定する案内条件範囲設定手段と、
前記施設に関する案内を行う基準となる案内基準位置を取得し、当該取得した案内基準位置が前記案内条件範囲設定手段により設定された前記案内条件範囲に含まれている場合に、前記施設に関する案内を行う案内手段と、
を備える案内システム。
【請求項2】
前記案内手段は、
前記案内基準位置が前記案内条件範囲設定手段により設定された前記案内条件範囲に含まれ、かつ、前記施設の位置が前記案内基準位置を基準とする前記車両の行動範囲に含まれている場合、当該施設に関する案内を行う、
請求項1に記載の案内システム。
【請求項3】
前記案内条件範囲設定手段は、
前記訪問状況としての出発地、自宅位置、走行距離、又は走行時間の少なくともいずれか一つに基づき前記案内条件範囲を設定する、
請求項1又は2に記載の案内システム。
【請求項4】
前記案内条件範囲設定手段は、
前記施設を訪問した各車両を当該各車両の前記訪問状況に基づきグループ分けし、当該グループと当該グループに属する前記車両の台数とに基づいて前記案内条件範囲を設定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の案内システム。
【請求項5】
前記案内条件範囲設定手段は、
前記施設を訪問した車両数と当該車両の訪問状況との間の相関関係の有無に応じた方法により前記グループ分けを行う、
請求項4に記載の案内システム。
【請求項6】
施設を訪問した各車両の訪問状況に基づき、当該施設に関する案内を行う条件となる案内条件範囲を前記施設に対して設定する案内条件範囲設定ステップと、
前記施設に関する案内を行う基準となる案内基準位置を取得し、当該取得した案内基準位置が前記案内条件範囲設定ステップで設定された前記案内条件範囲に含まれている場合に、前記施設に関する案内を行う案内ステップと、
を含む案内方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法をコンピュータに実行させる案内プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−47823(P2011−47823A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197246(P2009−197246)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】