説明

案内システム

【課題】 目的地周辺の道路の状態を考慮した経路探索を行う。
【解決手段】 建物等のポリゴンを格納する地物データおよび経路探索用のネットワークデータを用意する。地物データにおいては、それぞれの建物等に対し、その建物等から道路を通って、ネットワークデータが整備された道路に至った点を到着地点GPH等と設定しておく。また、地物データとして、所定の領域に対応するエリアポリゴンAPを設定し、同様に到着地点GAPを設定する。
ユーザが座標点で目的地を指定した場合には、目的地がいずれのポリゴンに属するかを判定し、建物等に対する到着地点およびエリアポリゴンに対する到着地点の一方、または双方を用いて、出発地から到着地点までの経路探索を行う。
こうすることで、ネットワークデータが整備されていない道路の状態も考慮して、指定された目的地に到達可能な経路を探索することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要な道路から外れて指定された目的地への到達を支援する情報を案内する案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路をリンクおよびノードで表したネットワークデータを用いて、指定された出発地から目的地までの経路を探索し、案内するナビゲーションシステムが普及している。ユーザが指定する目的地は、必ずしも上述のネットワークデータ上または近傍にあるとは限らないから、このような目的地が指定された場合に、どのように経路を探索するかが課題となる。
【0003】
従来は、指定された目的地から最短の距離にあるネットワーク上の点を案内ポイントとして特定し、経路探索を行っていた。この場合、経路案内は、案内ポイントまで到達した時点で終了されるため、ユーザは、案内ポイントから目的地まで自力で到達する必要があった。
【0004】
特許文献1は、ネットワークデータから外れた領域を特定エリアと称し、ネットワークデータが整備された主要道路からその特定エリアに至る接続道路を求め、主要道路と接続道路との交点を案内ポイントとして経路探索する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3385975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来技術では、必ずしもユーザが指定した目的地に対して利便性の高い経路探索が行われるとは限らなかった。
図1は、従来技術における経路探索例を示す説明図である。道路RW1〜RW4で囲まれた領域内に、建物HA〜HJが存在している。道路RW1〜RW4は、リンクLW1〜LW4およびノードN41、N12、N23、N34が設定されており、経路探索を行うことができる道路である。建物HA〜HDは、道路RNに面しているが、道路RNにはリンクは設定されていない。
このような地域に対して、ユーザが経路探索時に地点DE2を目的地として指定した場合、従来技術では、地点DE2から最も近いノードN34を案内ポイントとして経路探索が。り,4る。m行われる。しかし、地点DE2に行くには、ノードN34からリンクLW4、LW1をたどって道路RNに入る必要があり、ノードN34までの案内だけでは、到達できないおそれがあった。
また、建物HBのつもりでユーザが地点DE1を指定した場合も、指定された地点DE1から最短の距離にあるノードN23を案内ポイントとして経路探索が行われる。しかし、地点DE1に至るためには、やはりノードN23からリンクLW2、LW1をたどって道路RNに入る必要があり、ノードN23までの案内だけでは、到達できないおそれがあった。
従来技術では、地点DE1、DE2から、それぞれ最寄りのリンクLW2、LW3に垂線を下ろし、その垂線とリンクとの交点を目的地として経路探索する方法もあったが、ノードN23、N34を用いる場合と同じく、必ずしも最適な経路が得られるとは限らなかった。
【0007】
特許文献1記載の技術によれば、建物DA〜HDが存在する領域を特定エリアSAとし、道路RNを接続道路と考えることにより、リンクLW1上に接続ポイントCPを設定することができる場合がある。しかし、この場合であっても、例えば、建物HCは、リンクLW4から矢印AHCに示すように細い私道を入るように作られている場合もあり、必ずしも特定エリアに関連づけられた接続ポイントまでの経路を探索したからといって、目的地に対して適切な経路になっているとは限らない。
【0008】
上述の課題は、必ずしも経路探索を行う場合に限られるものではない。例えば、地図上で目的地を確認し、そこに向かう道筋を考えたとしても、地図上では判断できない障害物が存在するなどして、目的地にたどりつけない場合も起きうる。本発明は、かかる課題に鑑み、目的地周辺の道路の状態を踏まえて、利便性の高い経路探索その他の案内を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、指定された目的地への到達を支援する情報を案内する案内システムとして構成することができる。案内システムは、経路探索を行って出発地から目的地までの経路を案内するシステムとしてもよいし、経路探索を行わず、目的地周辺の情報を案内するシステムとしてもよい。
案内システムは、地図データベース記憶部、入力部、到着地点取得部、および案内部を備える。
【0010】
地図データベース記憶部は、道路をノードおよびリンクで表したネットワークデータと、道路および建物を含む地物を描画するための地物データとを格納する。ネットワークデータは、通行規制も踏まえて自動車の経路探索に使用可能な主ネットワークと、経路探索に使用可能ではあるが通行規制の整備が完全とは言えない準ネットワークなどを混在して用意してもよい。
地図データベース記憶部は、さらに、到着地点が同一となる建物を包含する所定の地域を表すエリアポリゴン、およびそのエリアポリゴンに対応する到着地点のデータを記憶している。到着地点とは、上述の主ネットワークが整備された道路上の点、つまり自動車が通行可能な道路としてネットワークデータが整備された道路上の点であって、建物から直接またはいずれかの道路を通行して到着できる点である。直接とは、建物が主ネットワークに隣接している場合などを意味する。エリアポリゴンは、到着地点が同一となる建物を包含するように設定されているから、エリアポリゴンの到着地点は、これらの建物の到着地点と同一となる。なお、各建物に対する到着地点は、必ずしも設定されている必要はない。
エリアポリゴンは、建物の周囲に存在する空き地部分も含む状態で設定することができる。この場合、エリアポリゴンは、当該空き地部分に仮に建物が建てられたとすれば、他の建物と到着地点が同一となると考えられる範囲に設定することが好ましい。
上述のように設定されたエリアポリゴンは、その内部のいずれの地点を選択したとしても、エリアポリゴンに設定された到着地点で適切な案内が可能となる領域を表すポリゴンとなる。
【0011】
入力部は、目的地を入力する。目的地は、地物データに含まれる特定の建物等を指定してもよいし、地図上で座標値を指定してもよい。
案内システムが経路探索を行う場合、入力部は出発地も入力するものとしてもよく、この場合、出発地は、ユーザの現在位置を自動的に入力するようにしてもよい。
【0012】
到着地点取得部は、地図データベース記憶部を参照して、目的地が属するエリアポリゴンに設定された到着地点を取得する。
案内部は、到着地点を用いて、目的地への到達を支援する情報を案内する。例えば、地図上に目的地の他に到着地点を表示する方法をとることができる。こうすることにより、ユーザは目的地に向かう際に、主ネットワーク上の仮目標を知ることができる。また、案内部は、設定された到着地点を終点とする経路探索を行って、経路案内してもよい。
【0013】
本発明によれば、目的地に対応するポリゴンから道路を経るなどして実際に主ネットワークに至る到着地点を用いて案内を行うため、目的地に向かうのに利便性の高い案内を行うことが可能となる。また、エリアポリゴンは、建物が現存しない空き地部分も覆うことができるから、建物の建築予定地や、建築直後で地図に未反映の建物を目的地とする場合であっても、適切な案内ができる利点がある。本発明のエリアポリゴンは、現存する建物と無関係に設定し得る点で、地図データに不可避的に生じるデータ整備の遅れに伴う支障を緩和する効果も奏するのである。
【0014】
本発明の他の態様1として、エリアポリゴンに対し、到着地点を予め用意しない構成とすることもできる。この場合には、到着地点取得部は、目的地を起点とする経路探索によって、到着地点を見いだすことになる。この場合の経路探索には、通行規制の整備が完全とは言えない準ネットワークや、ネットワークが一切整備されてはいない道路も用いることができる。ネットワークが整備されていない道路については、地物データに含まれる道路のポリゴンデータの連結具合をネットワークデータとして扱うことにより経路探索の対象とすることができる。経路探索によって適切な到着地点を見いだすために、エリアポリゴンには、地域の出入口から直近の道路に至る線分を出入口線として記憶させておくことが好ましい。
【0015】
さらに他の態様2として、地物データに道路や建物を描画するためのポリゴン(以下、「地物ポリゴン」という)が設けられ、建物については到着地点を予め設定されている場合、各建物の到着地点が一致するか否かに関わらずエリアポリゴンを設定することを許容してもよい。この場合、入力された目的地が建物に対応する地物ポリゴン、およびエリアポリゴンのいずれか一方に属する場合は、それぞれのポリゴンに設定された到着地点を用いて案内を行えばよい。建物を指定するつもりでややはずれた部分を入力してしまう可能性があることを考慮し、地物ポリゴンに許容誤差範囲を設けた拡大ポリゴンによって、地物ポリゴン、エリアポリゴンのいずれに属するかを判定するようにしてもよい。
このように到着地点が一致するか否かに関わらずエリアポリゴンを設定することを許容しておけば、例えば、道路が整備されるなどによって、それぞれの建物の到着地点が増減した場合に、エリアポリゴンを整備しなおすまでなく、適切な案内を提供することができる利点がある。
【0016】
他の態様2においては、目的地が、地物ポリゴンおよびエリアポリゴンの双方に属する場合には、それぞれのポリゴンから得られる到着地点が異なる可能性がある。このような場合には、得られる到着地点のいずれかを、所定の条件に基づいて優先して取得するようにしてもよい。例えば、目的地から最短の道のりでたどり着ける到着地点を優先してもよいし、出発地からの経路が最短となる到着地点を優先してもよい。出発地から到着地点を経て目的地に至る経路が最短となる到着地点を優先してもよい。
また、目的地からみて出発地の方向近くに位置する到着地点を優先してもよい。
優先とは、いずれか一つの到着地点を選択することだけでなく、複数の到着地点が得られたときに、その中のいくつかの到着地点に絞り込むことも意味する。
【0017】
他の態様2では、地物を描画するポリゴンから取得される到着地点と、地域を取り囲むポリゴンから取得される到着地点とのうち、両者に共通する到着地点を優先してもよい。こうすることにより、地物および地域の双方にとって好都合な到着地点を用いて経路探索を行うことができる。ユーザの目的地の指定は不正確であることがあり、例え指定された座標点が地物ポリゴンに含まれていたとしても、ユーザはその辺りを目的地とする意図しかない場合もある。このようなとき、上記態様によれば、地物ポリゴンとエリアポリゴンに共通の到着地点に案内できるため、ユーザの意図に反しない経路を提示することができる。
【0018】
他の態様2では、地域を取り囲むポリゴンから取得される到着地点よりも、地物を描画するポリゴンから取得される到着地点を優先するようにしてもよい。こうすることにより、目的地が地物ポリゴンに含まれる場合には、ユーザは、その目的地に行くことを意図していると判断して、経路を提示することができる。
先に述べた通り、ユーザの目的地の指定は必ずしも正確とは言えない点を考慮して、特定の地物を明確に目的地として選択したと言える程度の大きい縮尺で地図が表示されているときにのみ地物ポリゴンを優先するようにしてもよい。
【0019】
本発明および上述の他の態様1、2において、エリアポリゴンは、地物ポリゴンおよびエリアポリゴンで、経路探索に使用するネットワークデータで囲まれた内部領域を密に覆うように設定してもよい。こうすることにより、内部領域のいずれの地点が指定された場合でも、それぞれ適した到着地点を用いて経路探索を行うことが可能となる。
具体的には、内部領域を密に覆うように、地物ポリゴンに重ねて1個または2個以上のエリアポリゴンを設定してもよい。また、地物ポリゴンとの重複を避け、地物ポリゴンの隙間を埋めるように、エリアポリゴンを設定してもよい。
内部領域を密に覆うのは、必ずしも地図に現れる全領域である必要はなく、到着地点を用いた経路探索の有用性が高い所定の領域に限定してもよい。例えば、目的地から最短距離にある主ネットワーク上のノードを用いた経路探索では、障害物が多くて目的地を見通すことができないような領域に適用することが好ましい。
【0020】
経路探索部は、到着地点までの経路探索を行うか否かにかかわらず、到着地点から目的地までの経路探索を行うものとしてもよい。この経路探索には、ネットワークデータおよび道路を描画するためのポリゴンデータの一方または双方を参照することができる。ネットワークには、通行規制の整備が完全とは言えない準ネットワークも含まれ、ポリゴンデータには、ネットワークが一切整備されてはいない道路も含まれる。ネットワークが整備されていない道路については、道路のポリゴンデータの連結具合をネットワークデータとして扱うことにより経路探索の対象とすることができる。
こうすることにより、到着地点から目的地までの経路を提示することが可能となり、より利便性を向上させることができる。
【0021】
本発明は、その他、コンピュータを用いた経路探索方法として構成してもよいし、かかる経路探索をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして構成してもよい。また、かかるコンピュータプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体として構成してもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来技術における経路探索例を示す説明図である。
【図2】案内システムの構成を示す説明図である。
【図3】地図データベースの構造を示す説明図である。
【図4】到着地点の設定について示す説明図である。
【図5】エリアポリゴンの設定例を示す説明図である。
【図6】経路探索処理のフローチャートである。
【図7】エリアポリゴンの変形例(1)を示す説明図である。
【図8】エリアポリゴンの変形例(2)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例について以下の順序で説明する。
A.システム構成:
B.データ構造:
B1.ネットワークデータ:
B2.文字データ:
B3.地物データ:
B4.到着地点の設定:
B5.エリアポリゴンデータ:
C.経路探索処理:
D.エリアポリゴンデータの変形例:
E.その他の変形例:
【実施例1】
【0024】
A.システム構成:
図2は、案内システムの構成を示す説明図である。案内システムは、ナビゲーション装置100として構成される。本実施例では、ナビゲーション装置100は、地図データ等を提供するサーバ200とネットワークNEで接続されており、サーバ200から地図データベースの更新を受けられるものとした。ナビゲーション装置100は、スタンドアロンで稼働する構成としてもよいし、その機能の一部をサーバ200等で実行する構成としてもよい。
【0025】
サーバ200は、地図データベース記憶部210、送受信部201、およびデータベース管理部202を備えている。送受信部201、データベース管理部202は、ハードウェア的に構成してもよいが、本実施例では、これらの機能を実現するコンピュータプログラムをインストールすることによって、ソフトウェア的に構成するものとした。
【0026】
送受信部201は、ナビゲーション装置100とネットワークNEを介した通信を行う。本実施例では、地図データベース記憶部210に格納されたデータや、その提供を求めるためのコマンド等が通信される。
データベース管理部202は、ナビゲーション装置100から要求された地図情報を、地図データベース記憶部210から読み出す。地図データベース記憶部210には、地物データ211、文字データ212、およびネットワークデータ213が格納されている。
地物データ211は、道路や建物など地図に描画すべき地物のポリゴンデータ(以下、「地物ポリゴン」という)である。また、本実施例では、所定の地域を取り囲むエリアポリゴンデータも記憶している。文字データ212は、地図上に表示すべき文字情報である。例えば、建物の名称や地名などの文字情報が含まれる。ネットワークデータ213は、道路をノード、リンクのつながりで表したデータである。
【0027】
ナビゲーション装置100には、主制御部101の下で稼働する種々の機能ブロックが構成されている。本実施例では、主制御部101および各機能ブロックは、それぞれの機能を実現するソフトウェアをインストールすることによって構成したが、その一部または全部をハードウェア的に構成してもよい。
送受信部102は、サーバ200とのネットワークNEを介した通信を行う。本実施例では、地図データベースおよびその提供を受けるためのコマンドの送受信が主として行われる。
コマンド入力部103は、ナビゲーション装置100に設けられたボタン、レバー、タッチパネル等の操作を通じて、ユーザからの指示を入力する。本実施例における指示としては、経路探索の出発地、目的地の指定などが挙げられる。
GPS入力部104は、GPS(Global Positioning System)を用いてユーザの現在位置を入力する。
地図データベース記憶部105は、サーバ200から提供された地図データベースを格納する。本実施例では、サーバ200が備える地図データベース記憶部210に記憶された地図データベースの全体をナビゲーション装置100内の地図データベース記憶部105にも格納するものとしたが、経路探索や地図表示に必要となる部分のみを、その都度、サーバ200から取得するものとしてもよい。
経路探索部107は、地図データベース記憶部105を参照して、経路探索を行う。
表示制御部106は、地図データベース記憶部105を用いてナビゲーション装置100のディスプレイに地図および探索された経路を表示する。
【0028】
B.データ構造:
図3は、地図データベースの構造を示す説明図である。地物データ、文字データ、ネットワークデータに格納される情報の概要を示した。
【0029】
B1.ネットワークデータ:
ネットワークデータとは、道路をリンク、ノードで表したデータである。本実施例では、ネットワークデータとして主ネットワークデータと、準ネットワークデータの2種類が用意されている。図中に実線で示したリンクL1〜L4およびノードN1、N2が主ネットワークデータであり、破線で示したリンクL11〜L13およびノードN11、N12が準ネットワークデータである。
主ネットワークデータおよび準ネットワークデータともに、それぞれに属するリンクデータおよびノードデータを格納している。リンクデータは、それぞれのリンクを形成する点列の座標、国道・県道等の種別、車線数その他の属性情報や通行規制情報などを記録している。ノードデータは、座標値、通行規制などを記録している。
ただし、主ネットワークデータは、現地調査によって通行規制が十分に整備されたデータであり、車両の経路探索に支障なく用いることができるデータとなっている。これに対し、準ネットワークデータは、通行規制の整備が十分とは言えないデータであり、車両の経路探索では、使用しない方が好ましいデータである。本実施例でも、経路探索は原則として主ネットワークデータを用いて行うものとしている。
【0030】
B2.文字データ:
文字データ212は、地物の名称や地名などを表示する文字を規定するデータである。図中には、建物BLDの名称を表示するためのデータ例を示した。文字データは、内容、位置、地物、フォント、サイズなどの情報を格納する。
内容は、表示すべき文字列であり、図中の例では、「△△(株)」という会社名称である。
位置は、文字を表示する位置である。本実施例では、文字列の左下の点P5を基準点として、この座標値を指定するものとした。
地物は、文字が関連づけられる地物データのポリゴン名称である。
フォント、サイズは、表示する際のフォントおよびサイズの指定である。
この他、色、太字など、種々の属性を指定可能としてもよい。
【0031】
B3.地物データ:
地物データ211について、建物H1を例にとって構造を示す。地物データ211は、建物、道路等の地物を描画するためのポリゴンデータであり、名称、形状、代表点、出入り口線、到着地点、属性などを格納している。
名称は、地物の名称である。ポリゴンに固有のIDを用いてもよい。
形状は、地物のポリゴンの頂点を示す座標の列である。図の例では、建物H1のポリゴンの頂点P1、P2、P3、P4の各座標が格納されている。
代表点は、地物の位置を表す地点Cの座標である。代表点は、地物の図心を用いることが多いが、任意に設定可能である。
出入口線は、地物と道路とを関連づけるための情報である。建物H1の場合、玄関から道路に出るための線分Dが出入口線として登録される。具体的には、線分Dの両端の座標が登録されることになる。出入口線は、線分Dのうち、道路上の端点のみを登録するものとしてもよい。また、出入口線は、建物や駐車場など、出入りを伴う地物に設定されるものであり、地物の全てに設定する必要はない。図の例では、建物BLDに対して正面の出入口線DB1および駐車場BLDP側の出入口線DB2、建物H2〜H4に対してそれぞれ出入口線DH2〜DH4、駐車場PKに対して出入口線DPKが設定されている。
【0032】
到着地点Gは、地物の出入口線の道路上の端点から、いずれかの道路を経てたどりつけるネットワーク上の点である。建物H1の場合、図中に点線で示す通り、出入口線Dが関連づけられている道路R21を経て、リンクL2に至ることができるため、リンクL2上に到着地点Gが設定されている。出入口線Dから道路R21を図中右方向にたどり、ノードN11で右折してノードN2に至る経路をとり、ノードN2を到着地点とすることもできる。本実施例では、建物H1からノードN2に至る道のりよりも、到着地点Gに至る道のりの方が短いから、このように設定した。到着地点は、一つに限定する必要はないから、ノードN2も到着地点に設定してもよい。
図の例では、建物H2〜H4に対する到着地点は点GHと設定されている。建物BLDに対しては、点GHおよび点GBLD2と設定されている。到着地点は、出入口線と同様、駐車場にも設定でき、図の例では、駐車場PKに対して到着地点GPKが設定されている。駐車場PKは、リンクL2に面しているため、出入口線DPKの端点と到着地点GPKが一致した状態となっている。
【0033】
B4.到着地点の設定:
図4は、到着地点の設定について示す説明図である。建物BLD1の出入口線DBを対象とする到着地点について示した。
建物BLD1の周辺の主ネットワークデータとしては、リンクL7、ノードN7およびリンクL5、L6およびノードN5、N6が存在する。準ネットワークデータとしては、破線で示したリンクL14が存在する。
建物BLD1の出入口線DBからいずれかの道路を経て主ネットワークにたどりつく経路としては、図中に点線で示した3通りがあげられる。道路R24を経てリンクL7にたどりつく経路、道路R25を経てたリンクL6およびリンクL5にそれぞれたどりつく経路である。これらの各経路がリンクL7、L6、L5にたどりつく点が到着地点G7、G6、G5となる。
【0034】
これらの到着地点は、経路探索によって求めることができる。本実施例では、それぞれの地物は、出入口線によって、いずれかの道路に関連づけられているから、出入口点を端点とする経路探索によって到着地点を求めればよい。
この経路探索は、主ネットワークデータ、準ネットワークデータおよび道路のポリゴンの全てを用いてもよい。道路のポリゴンは、リンク、ノードで構成されている訳ではないが、隣接するポリゴンを指定するデータは持っているから、ポリゴン同士のつながり関係は規定されており、リンク、ノードと同様に、経路探索に使用することが可能である。出入口点を起点とする経路探索の結果、主ネットワークデータにたどり着いた点を到着地点とすればよい。
【0035】
図の例のように、到着地点がG7、G6、G5の3点見いだされる場合、これらの3点を建物BLD1の到着地点として用いてもよいし、例えば、地物からの道のりが最短の地点、地物からの距離が最短の地点、地物から到着地点までの経路と準ネットワークデータとの重複部分が多い点、地物から出発点に向かう方角に近い点などの基準で選択してもよい。
図の例においては、地物からの道のりや距離を基準として選べば、建物BLD1に最も近い点G5が到着地点となる。準ネットワークデータとの重複部分を基準として選べば、点G6が到着地点となる。出発地が図の左端方向にある場合には、出発地の方角を基準として選べば、点G7が到着地点となる。
【0036】
本実施例では、上述の手順で、到着地点を設定し、地物データ211に予め設定しておくものとした。到着地点は、予め設定しておくのではなく、経路探索などの処理の過程で求めるものとしてもよい。
【0037】
B5.エリアポリゴンデータ:
本実施例では、地物データ211として、地物の形状にかかわらず、エリアポリゴン、つまり所定の領域を取り囲むポリゴンデータも記憶している。
図5はエリアポリゴンの設定例を示す説明図である。リンクLW1〜LW4で囲まれた領域内に建物HA〜HJが存在している。この領域内には、図中に一点鎖線で示すように、エリアポリゴンAP、AP1等が設定されている。図では、それぞれのエリアポリゴンの形状が判別できるよう、あえて境界に隙間をあけて示したが、エリアポリゴンは、領域内に密に設定されている。もっとも、エリアポリゴンは、必ずしも領域内を密に覆う必要はなく、エリアポリゴンが存在しない部分があっても差し支えない。また、地図上の全ての領域でエリアポリゴンを設定する必要もなく、特定のエリアにおいてのみ、地物ポリゴンを設定するようにしてもよい。
【0038】
エリアポリゴンAPを例にとって、内容を説明する。本実施例では、エリアポリゴンAPは、建物HA〜HDを取り囲む領域に対する矩形形状のポリゴンとして設定されている。建物HA〜HDの部分は、それぞれの建物の地物ポリゴンと、エリアポリゴンAPが重複して設定されていることになる。エリアポリゴンの形状は任意に設定可能であるから、建物HA〜HDの部分を避け、その隙間部分にエリアポリゴンを設定するようにしてもよい。
例えば、エリアポリゴンAP1のように、全く地物が存在しない領域に対してエリアポリゴンを設定してもよい。
【0039】
本実施例では、エリアポリゴンAPも地物データ211の一部であるから、データの内容は、建物HA〜HD等に対するものと同じである。図3に示した通り、名称、形状、代表点、出入口線、到着地点、属性などが記録される。
図の例では、形状としては、エリアポリゴンAPの頂点PAP1〜PAP4の座標が記録される。代表点として、点CAPの座標が記録される。
代表点は任意に設定可能であるため、この例では、エリアポリゴンAPの重心からずれた位置に設定されている。
出入口線は、線分DAPであり、到着地点は点GAPである。エリアポリゴンAP内に道路RNが存在するが、エリアポリゴンAPはリンクLW1に面しているため、出入口線は道路RNに出るための線ではなく、リンクLW1に出るための線となる。結果として、出入口線DAPの端点と到着地点GAPとは一致する。
【0040】
図中に参考として、建物HA〜HDの出入口線、到着地点を示した。これらの建物は、それぞれ道路RNに面して建っており、道路RNをたどってリンクLW1に至ることになる。従って、建物HA〜HDには、それぞれ道路RNに出るための出入口線が描かれ、リンクLW1上には到着地点GPHが設定されることになる。
出入口線の端点が到着地点と一致するか否かは、地物ポリゴンとエリアポリゴンという差違に基づくものではなく、その位置および形状の差違に依るものである。
【0041】
図の例では、エリアポリゴンAPの到着地点は、そこに含まれる建物HA〜HDの到着地点と一致している。つまり、エリアポリゴンAPは、少なくとも一つの到着地点が共通する建物のみを含むように設定してある。到着地点が全て一致する建物のみを含むように設定してもよい。こうすることにより、後述する経路探索の際、エリアポリゴンAP内の点であれば、どの場所を指定したとしても、到着地点GPHを目的地とする経路探索が行われるようになる。つまり、ユーザが建物HA〜HDを指定するつもりで、これらの建物から若干はずれた地点を指定してしまったとしても、ユーザの意図に沿った経路探索が行われることになり、案内システムの利便性を向上させることができる。
エリアポリゴンAPは、建物HA、HCの左側の領域のように、建物が現存しない空き地部分も含めて設定されている。これらの空き地部分は、仮に建物が建てられたとすれば、その到着地点は他の建物HA〜HA〜HDの到着点GPHと同一になると考えられる部分である。このように建物が現存しない部分も、その到着地点を想定してエリアポリゴンAPの範囲を設定することにより、将来、建物が建てられた場合、その建物の地物ポリゴンが設定される前でも、適切な案内を実現することが可能となる。
【0042】
エリアポリゴンAP以外に図示したエリアポリゴンも、同様のデータ構造を有している。図の煩雑化を回避するため、各エリアポリゴンに対する出入口線および到着地点の図示は省略したが、それぞれのエリアポリゴンは、エリアポリゴンAPと同様に、リンクLW1〜LW4のいずれかに至る出入口線および到着地点を有している。エリアポリゴンAP以外のエリアポリゴンも、それぞれ到着地点が同一となる建物のみを含むように設定されている。図の例では、建物HE〜HJについては、それぞれ到着地点が異なっているから、結果として、各建物につき一つずつエリアポリゴンが設定される形となっている。
【0043】
もっとも、到着地点が同一の建物に限定せずエリアポリゴンを設定することも可能である。例えば、図5中の建物HCの到着地点が、図示する点GPHの他に、または点GPHに代えて、リンクLW4上に設定されている場合でも、建物HCを含める形でエリアポリゴンAPを設定することを許容してもよい。かかる設定において、建物HCが目的地として設定された場合には、建物HCに基づいて設定される到着地点と、エリアポリゴンAPに基づいて設定される到着地点とが異なることになるが、種々の条件に基づいて、案内に用いる到着地点を選択すれば足りるからである。
このように到着地点が異なる建物も含むことを許容してエリアポリゴンAPを設定すれば、道路の整備などによって建物の到着地点が変わった場合でも、エリアポリゴンAPを整備しなおすまでなく、適切な案内を行うことができる利点がある。
【0044】
C.経路探索処理:
図6は、経路探索処理のフローチャートである。ナビゲーション装置100の経路探索部107が主として実行する処理であり、ハードウェア的にはナビゲーション装置100のCPU(以下、単に「CPU」という)が実行する処理である。
【0045】
この処理では、CPUは出発地および目的地を入力する(ステップS10)。出発地は、ユーザが指定してもよいし、GPSなどで取得した現在位置を出発地に設定してもよい。
目的地は、地物を指定してもよいし、座標値で指定してもよい。
【0046】
次にCPUは、指定された目的地がいずれの地物ポリゴンまたはエリアポリゴンに属するかを特定する処理を行う。目的地が座標点で指定された場合には(ステップS11)、その地点が地物ポリゴン内に属しているか否かの判断を行う(ステップS12)。地物ポリゴン内に属していない場合には(ステップS12)、指定された目的地の座標が属するエリアポリゴンを特定する(ステップS14)。一方、目的地が建物自体を指定している場合や(ステップS11)、座標値が地物ポリゴン内にある場合には(ステップS12)、指定に対応する地物ポリゴンを特定する(ステップS13)。
到着地点が同一となる地物ポリゴンのみを包含してエリアポリゴンが設定されている場合には、ステップS12、S13を省略し、指定された目的地が存在するエリアポリゴンを特定する(ステップS14)ようにしてもよい。この場合には、地物ポリゴンの到着地点とエリアポリゴンの到着地点とが必ず一致するから、地物ポリゴン内か否かを判断する必要はないからである。
【0047】
地物ポリゴンまたはエリアポリゴンが特定されると、CPUは、特定された地物データ、つまり地物ポリゴンまたはエリアポリゴンの到着地点を仮目的地に指定する(ステップS15)。本実施例では、到着地点は各地物データに記憶されているから、それを読み出せばよい。到着地点が予め地物データに格納されていない場合には、図4で説明した経路探索を行って到着地点を得ればよい。
そして、出発地から仮目的地までの経路探索を行う(ステップS16)。
【0048】
以上の処理によれば、座標点で目的地が指定されたとき、地物ポリゴンまたはエリアポリゴンの到着地点を仮目的地として経路探索することができる。
ステップS12で、エリアポリゴンよりも先に、地物ポリゴン内に属するか否かを判断しているため、地物ポリゴンの到着地点を優先的に用いた処理となっている。エリアポリゴン内の点であっても、建物によっては、エリアポリゴンの到着地点への案内では不便になってしまうことが起きうるが(図1の建物HC参照)、本実施例の処理によれば、地物ポリゴンの到着地点を優先するため、こうした弊害を緩和することが可能となる。
【0049】
ステップS16では、到着地点を仮目的地とする経路探索に加えて、到着地点からユーザが指定した目的地までの経路探索も行ってもよい。この経路探索では、準ネットワークや道路ポリゴンなども併用してもよい。道路ポリゴンデータには、相互に連結するポリゴンを特定する情報が記憶されているから、この情報を用いることにより、道路ポリゴン同士のつながり具合を特定でき、ネットワークデータと同様の経路探索を行うことができる。
到着地点から目的地までの経路探索を行うことにより、ユーザに目的地までの経路を提示することができ、利便性を向上させることができる。
なお、本実施例では、経路探索を行わない構成も可能である。つまり、図6のステップS16の処理を省略してもよい。この場合には、案内システムは、指定された目的地とともに、設定された到着地点を地図上に表示すればよい。到着地点は主ネットワークが整備された自動車が通行可能な道路であるから、このような道路上の目標として到着地点が示されるだけでも、目的地への到達を支援することができる。
【0050】
D.エリアポリゴンデータの変形例:
図7は、エリアポリゴンの変形例(1)を示す説明図である。エリアポリゴンAP10のみを例示した。リンクLW1〜LW4で囲まれた領域内には、図5で示したように、更に他のエリアポリゴンを設定することもできる。
【0051】
この変形例では、エリアポリゴンAP10は、リンクLW1からリンクLW3に至るまで左右に長い領域に設定されている。エリアポリゴンAP10からは、リンクLW1、LW3の双方に出入りすることが可能であるから、出入口線DAP10、DAP11、到着地点GAP10、GAP11のように、2つの出入口線および到着地点が設定されている。
このようにエリアポリゴンには、複数の出入口線、到着地点を設けてもよい。
【0052】
図8は、エリアポリゴンの変形例(2)を示す説明図である。エリアポリゴンAP20、AP21の2つのみを例示した。ハッチングを付した領域AP22は、エリアポリゴンAP20、AP21が重なる領域である。
エリアポリゴンAP20は、リンクLW1に隣接する領域であり、リンクLW1に至る出入口線DAP20および到着地点GAP20が設定されている。エリアポリゴンAP21は、リンクLW3に隣接する領域であり、リンクLW3に至る出入口線DAP21および到着地点GAP21が設定されている。
このようにエリアポリゴンは、相互に重複部分を設けて設定してもよい。重複した領域AP22内の目的地が指定された場合には、結果として、エリアポリゴンAP20の到着地点GAP20と、エリアポリゴンAP21の到着地点GAP21が経路探索に用いられることになる。
【0053】
図7、図8の変形例に示したように、エリアポリゴンに基づいて複数の到着地点が得られる場合の経路探索は、例えば、次の方法で行うことができる。
第1は、全ての到着地点に対して個別に経路探索を行い、いずれか一つの経路を案内時に用いる方法である。この方法では、得られた経路をユーザに提示して選択させるようにしてもよい。また、出発地から到着地点を経て目的地に至る道のりが最短となる経路を自動的に選択するようにしてもよい。
第2は、経路探索を行う前に、予め到着地点を絞り込む方法である。到着地点を提示してユーザに選択されるものとしてもよい。また目的地から最短の道のりにある到着地点を自動的に選択するものとしてもよい。
【0054】
実施例および図7、8の変形例では、いずれもリンクLW1〜LW4で囲まれた領域内にエリアポリゴンを設定した例を示した。エリアポリゴンは、必ずしもリンクで囲まれた閉領域内に設定する必要はなく、リンクをまたがって設定しても構わない。リンクをまたがって設定されている場合でも、到着地点は、そのエリアポリゴン内に至る道路を踏まえて、経路探索時に利便性の高い点を指定すればよいから、必ずしもエリアポリゴン内のリンク上に設定する必要はない。
【0055】
E.その他の変形例:
実施例では、地物ポリゴンに属するか否かの判定を優先する例を示したが(図6のステップS12参照)、エリアポリゴンに属するか否かの判定を優先してもよいし、双方のポリゴンについて判定を行うようにしてもよい。
双方のポリゴンについて判定を行う場合には、地物ポリゴンに基づく到着地点、エリアポリゴンに基づく到着地点が得られる。かかる場合にも、先に説明した通り、それぞれの到着地点に対して経路探索を行った後、いずれか一つを案内に用いる方法、および予め到着地点を絞り込んだ上で経路探索を行う方法をとることができる。
予め到着地点を絞り込む方法として、目的地から到着地点までの道のりの他、地物ポリゴンとエリアポリゴンに共通する到着地点を優先的に選択するという方法もとることができる。例えば、図5に示した例では、エリアポリゴンAPの到着地点GAPと、建物HA〜HDの到着地点GPHとは一致している。このような場合には、仮に、エリアポリゴンAPまたは建物HA〜HDが他の到着地点を有していたとしても、両者に共通する到着地点GPH(GAP)を用いるのである。
こうすることによって、ユーザが建物HA〜HDを指定したのか、漠然とその辺りという意図で指定したのか不明な場合でも、ユーザの意図に反しない経路を案内することができる。
【0056】
本発明は、必ずしも上述した実施例の全ての機能を備えている必要はなく、一部のみを実現するようにしてもよい。また、上述した内容に追加の機能を設けてもよい。
本発明は上述の実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、実施例においてハードウェア的に構成されている部分は、ソフトウェア的に構成することもでき、その逆も可能である。
【0057】
本発明は、以下に示す案内方法として構成することもできる。 地図データベースとして、道路をノードおよびリンクで表したネットワークデータと、道路および建物を含む地物を描画するための地物データとを格納する地図データベース記憶部を有するコンピュータによって、入力された目的地への到達を支援する情報を案内する案内方法であって、
前記地図データベース記憶部は、さらに、前記建物のうち、自動車が通行可能な道路として前記ネットワークデータが整備された道路上の点であって、該建物から直接またはいずれかの道路を通行して到着できる点である到着地点が同一となる建物を包含する所定の地域を表すエリアポリゴンおよび該エリアポリゴンに対応する前記到着地点のデータを記憶しており、
前記コンピュータは、
目的地を入力する入力ステップと、
前記地図データベース記憶部を参照して、前記入力された目的地が属するエリアポリゴンに設定された前記到着地点を取得する到着地点取得ステップと、
前記到着地点を用いて、前記目的地への到達を支援する情報を案内する案内ステップとを実行する案内方法である。
【0058】
また次に示すコンピュータプログラムとして構成することもできる。
地図データベースとして、道路をノードおよびリンクで表したネットワークデータと、道路および建物を含む地物を描画するための地物データとを格納する地図データベース記憶部を有するコンピュータによって、入力された目的地への到達を支援する情報を案内するためのコンピュータプログラムであって、
前記地図データベース記憶部は、さらに、前記建物のうち、自動車が通行可能な道路として前記ネットワークデータが整備された道路上の点であって、該建物から直接またはいずれかの道路を通行して到着できる点である到着地点が同一となる建物を包含する所定の地域を表すエリアポリゴンおよび該エリアポリゴンに対応する前記到着地点のデータを記憶しており、
前記コンピュータによって、
目的地を入力する入力機能と、
前記地図データベース記憶部を参照して、前記入力された目的地が属するエリアポリゴンに設定された前記到着地点を取得する到着地点取得機能と、
前記到着地点を用いて、前記目的地への到達を支援する情報を案内する案内機能とを実現させるためのコンピュータプログラムである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、目的地が、主要な道路から外れて指定された場合の経路探索その他の案内に利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
100…ナビゲーション装置
101…主制御部
102…送受信部
103…コマンド入力部
104…GPS入力部
105…地図データベース記憶部
106…表示制御部
107…経路探索部
200…サーバ
201…送受信部
202…データベース管理部
210…地図データベース記憶部
211…地物データ
212…文字データ
213…ネットワークデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地への到達を支援する情報を案内する案内システムであって、
道路をノードおよびリンクで表したネットワークデータと、道路および建物を含む地物を描画するための地物データとを格納する地図データベース記憶部を有し、
前記地図データベース記憶部は、さらに、前記建物のうち、自動車が通行可能な道路として前記ネットワークデータが整備された道路上の点であって、該建物から直接またはいずれかの道路を通行して到着できる点である到着地点が同一となる建物を包含する所定の地域を表すエリアポリゴンおよび該エリアポリゴンに対応する前記到着地点のデータを記憶しており、
前記案内システムは、
目的地を入力する入力部と、
前記地図データベース記憶部を参照して、前記入力された目的地が属するエリアポリゴンに設定された前記到着地点を取得する到着地点取得部と、
前記到着地点を用いて、前記目的地への到達を支援する情報を案内する案内部とを備える案内システム。
【請求項2】
請求項1記載の案内システムであって、
前記エリアポリゴンは、前記経路探索に使用するネットワークデータで囲まれた内部領域を密に覆うように設定されている案内システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の案内システムであって、
前記経路探索部は、さらに、前記ネットワークデータおよび前記道路の地物データの一方または双方を参照して前記到着地点から前記目的地までの経路探索を行う案内システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−214861(P2011−214861A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80674(P2010−80674)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】