説明

梱包箱

【課題】緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に留めておくことができる梱包箱を提供する。
【解決手段】多角形の底板、複数の側板及びその各側板の上端縁で折れ曲がる複数の曲げ板を備え、底板及び側板で囲まれる空間を被梱包物の収容空間として使用する箱本体と、箱本体の底板と同じ多角形の底面部と複数の緩衝側面部を備え、箱本体の収容空間に嵌め入れられて箱本体と被梱包物の間に存在する緩衝材とを有し、緩衝材の底面部に通気孔が形成され、箱本体の少なくとも1つの曲げ板に、前記収容空間内に折り曲げられて箱本体の底板と離れて向き合う状態になる部位を有する制止部が形成され、制止部と対峙する緩衝材の緩衝側面部に、緩衝材を箱本体の収容空間に嵌め入れたときに制止部の部位と突き当たるように箱本体の底板側に位置して向き合う部位を有する被制止部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械製品、電器製品、各種部品、消耗品等の被梱包物を梱包する梱包箱(包装箱)は、一般に、その箱内部の収容空間に収容した被梱包物を箱の外部から加わる衝撃(外力)から保護するための緩衝材を、梱包箱の内壁と被梱包物の間に入れて使用されている。このような梱包箱としては、例えば、以下のものが知られている。
【0003】
例えば、コ字状の被包装物保持部を形成し得る本体部と該本体部の長手方向の両端部に接続され被包装物の背面側に向かって屈曲する胴巻き片とから構成されるダンボール緩衝材を、包装箱に収容して、その胴巻き片の突出する突出端縁部の上縁および下縁を包装箱の上蓋および底面に直接接触させた状態にすることで使用する包装箱がある(特許文献1)。ダンボール緩衝材は、ダンボールシートから打ち抜いた1枚のブランクを所要の部分で谷折り及び山折りすることで作製される。そして、特許文献1には、発泡スチロールを全く使うことなく、被包装物を包装箱の内部に十分な緩衝効果を持たせた状態で保持する緩衝材を有する包装箱にできることが示されている。
【0004】
また、底フラップを有し、上方に向けて開口された底ケースと、側部の下端側に位置するオーバーラップ部を底ケースの底フラップの内側に嵌め込むことで組み合わされる上ケースと、外側から貫通することで底ケースと上ケースとを連結するジョイントと、上ケースの側部の内面に接するように配設された緩衝材とを備え、前記底フラップは、前記ジョイントが挿脱自在な透孔を有し、前記オーバーラップ部は、前記透孔に対する前記ジョイントの挿入動作によって内側に屈曲されて塑性変形する舌片を有し、前記緩衝材は、前記塑性変形された舌片が入り込む窓部を有する梱包箱がある(特許文献2)。そして、特許文献2には、底ケースと上ケースとをジョイントで連結して使用する梱包箱において、開梱時の緩衝材の除去作業を容易にし、また上ケースを持ち上げたときに緩衝材が落下しないようにできることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−247369号公報
【特許文献2】特開2007−176522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、箱本体における被梱包物の収容空間に緩衝材を嵌め入れた状態で使用する梱包箱として、緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に留めておくことができる梱包箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(A1)の梱包箱は、
多角形の底板、その底板の各辺部からそれぞれ立ち上がる複数の側板及びその各側板の上端縁でそれぞれ折れ曲がる複数の曲げ板を備え、前記底板及び側板で囲まれる空間を被梱包物が収容される収容空間として使用する箱本体と、
前記箱本体の底板と同じ多角形の底面部とその底面部の各辺部からそれぞれ立ち上がる複数の緩衝側面部を備え、前記箱本体の収容空間に嵌め入れられて前記箱本体と当該収容空間に収容される被梱包物の間に存在する緩衝材とを有し、
前記緩衝材の底面部に通気孔が形成され、
前記箱本体の少なくとも1つの曲げ板に、前記箱本体の収容空間内に折り曲げられて前記箱本体の底板と離れて向き合う状態になる部位を有する制止部が形成され、
前記少なくとも1つの曲げ部に形成された前記制止部と対峙することになる前記緩衝材の緩衝側面部に、前記緩衝材を前記箱本体の収容空間に嵌め入れたときに前記制止部の部位と突き当たるよう前記箱本体の底板側に位置して向かい合う部位を有する被制止部が形成されているものである。
【0008】
この発明(A2)の梱包箱は、上記発明A1の梱包箱において、
前記制止部が、前記曲げ板のうち前記箱本体の収容空間内に折り曲げる部分の先端部であり、
前記被制止部が、前記曲げ板の先端部と向かい合う部位を有する窪んだ形状又は突出した形状の構造部であるものである。
【0009】
この発明(A3)の梱包箱は、上記発明A2の梱包箱において、
前記窪んだ形状の被制止部が、前記緩衝材の緩衝側面部において貫通した状態になる貫通孔であり、その貫通孔の内壁部の一部を前記制止部の先端部と向かい合う部位として形成しているものである。
【0010】
この発明(A4)の梱包箱は、上記発明A1からA3のいずれかの梱包箱において、
前記緩衝材が、前記緩衝側面部を前記底面部の各辺部でそれぞれ折り曲げて起立させた状態にして使用する構造であり、
前記被制止部を形成した緩衝側面部が前記制止部から離れる方向に傾くことを防止する傾き防止片を、当該緩衝側面部、当該緩衝側面部と隣接する前記緩衝材の他の緩衝側面部又は前記底面部に形成しているものである。
【0011】
この発明(A5)の梱包箱は、上記発明A1からA4のいずれかの梱包箱において、
前記通気孔を塞ぐ蓋を備えているものである。
【0012】
この発明(A6)の梱包箱は、上記発明A5の梱包箱において、
前記蓋は、前記箱本体の収容空間に収容されるときの被梱包物に押されて前記通気孔を塞ぐ状態に変位するよう前記緩衝材の底面部に形成されているものである。
【0013】
この発明(A7)の梱包箱は、
多角形の底板、その底板の各辺部からそれぞれ立ち上がる複数の側板及びその各側板の上端縁でそれぞれ折れ曲がる複数の曲げ板を備え、前記底板及び側板で囲まれる空間を被梱包物が収容される収容空間として使用する箱本体と、
前記箱本体の底板と同じ多角形の底面部とその底面部の各辺部からそれぞれ立ち上がる複数の緩衝側面部を備え、前記箱本体の収容空間に嵌め入れられて前記箱本体と当該収容空間に収容される被梱包物の間に存在する緩衝材とを有し、
前記緩衝材の底面部に通気孔が形成され、
前記通気孔を塞ぐ蓋を有しているものである。
【0014】
この発明(A8)の梱包箱は、上記発明A7の梱包箱において、
前記蓋が、前記箱本体の収容空間に収容される被梱包物に押されて前記通気孔を塞ぐ状態に変位するよう前記緩衝材の底面部に形成されているものである。
【0015】
この発明(A9)の梱包箱は、上記発明A1からA8のいずれかの梱包箱において、
前記緩衝材が、段ボールを折り曲げて組み立てられているものである。
【発明の効果】
【0016】
上記発明A1の梱包箱によれば、緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に留めておくことができる。
【0017】
上記発明A2の梱包箱では、その発明の構成を有しない場合に比べて、簡易な構成で、緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に留めておくことができる。
【0018】
上記発明A3の梱包箱では、その発明の構成を有しない場合に比べて、緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に留めておくことができ、しかも緩衝材を箱本体の収容空間から容易に取り出すこともできる。
【0019】
上記発明A4の梱包箱では、その発明の構成を有しない場合に比べて、緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に安定して留めておくことができる。
【0020】
上記発明A5の梱包箱では、その発明の構成を有しない場合に比べて、緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に確実に留めておくことができる。
【0021】
上記発明A6の梱包箱では、その発明の構成を有しない場合に比べて、緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に効率よく確実に留めておくことができる。
【0022】
上記発明A7の梱包箱では、その発明の構成を有しない場合に比べて、簡易な構成で、緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に容易に留めておくことができる。
【0023】
上記発明A8の梱包箱では、その発明の構成を有しない場合に比べて、緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に効率よく確実に留めておくことができる。
【0024】
上記発明A9の梱包箱では、その発明の構成を有しない場合に比べて、簡易な構成の緩衝材でもって、緩衝材の箱本体の収容空間への嵌め入れ易さを損なうことなく、被梱包物の取り出しのときに緩衝材を箱本体の収容空間に留めておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態1に係る梱包箱等を示す分解斜視図である。
【図2】図1の梱包箱による梱包作業の一工程(箱本体の被制止部が形成されたフラップを折り曲げておく工程)の状態を示す斜視図である。
【図3】図1の梱包箱による梱包作業の他の工程(緩衝材を箱本体の収容空間に嵌め入れる工程)の状態を示す斜視図である。
【図4】図3の梱包箱を上方から見たときの状態を示す平面図である。
【図5】図1の梱包箱による梱包作業の他の工程(図3の梱包箱に被梱包物を収納する工程)の状態を示す斜視図である。
【図6】図5の梱包箱を上方から見たときの状態を示す平面図である。
【図7】図1の梱包箱を構成する箱本体を示す平面図である。
【図8】図7の梱包箱の要部(制止部として形成されるフラップ)を示し、(a)はその要部の構成を示す斜視図であり、(b)はその要部の折り曲げたときの状態を示す斜視図である。
【図9】図1の梱包箱を構成する緩衝材を示す斜視図である。
【図10】図9の緩衝材の箱本体へ嵌め入れたときの状態を示す平面図である。
【図11】図9の緩衝材の要部(被抑止部が形成される緩衝側面部及び通気孔など)を示す斜視図である。
【図12】図7の箱本体の収容空間に図9の緩衝材を嵌め入れるときの作業工程を示し、(a)はその嵌め入れる直前の状態を示す断面説明図であり、(b)はその嵌め入れの途中の状態を示す断面説明図である。
【図13】図12の嵌め入れ作業が完了した段階の状態を示す断面説明図である。
【図14】制止部として形成するフラップの他の構成例を示し、(a)はそのフラップの構成を示す斜視図であり、(b)はそのフラップを折り曲げたときの状態を示す斜視図である。
【図15】制止部として形成するフラップの更に他の構成例を示し、(a)はそのフラップの構成を示す斜視図であり、(b)はそのフラップを折り曲げたときの状態を示す斜視図である。
【図16】被制止部の他の構成例を示す斜視図である。
【図17】図16の被制止部と図8の制止部を組み合せた場合の嵌め入れ作業時の状態を示す断面説明図である。
【図18】図17の嵌め入れ作業が完了した段階の状態を示す断面説明図である。
【図19】被制止部の他の構成例を示し、(a)はその構成例を示す斜視図であり、(b)はその構成例を示す断面図である。
【図20】図20の被制止部を適用した場合の嵌め入れ作業が完了した段階の状態を示す断面説明図である。
【図21】制止部及び被制止部の他の構成例を示し、(a)はその制止部の構成例を示す斜視図であり、(b)はその被制止部の構成例を示す斜視図である。
【図22】緩衝材の他の構成例を示す斜視図である。
【図23】図22の緩衝材の要部(倒れ防止片)の使用状態を示す斜視図である。
【図24】図22の緩衝材の要部の使用状態を示す平面図である。
【図25】図22の緩衝材の要部の使用状態を示す断面図である。
【図26】緩衝材に形成する倒れ防止片の他の構成例を示す斜視図である。
【図27】緩衝材の更に別の構成例を示す斜視図である。
【図28】図27の緩衝材の要部(蓋材)の構成等を示し、(a)はその蓋材の構成を示す断面図であり、(b)はその蓋材の使用状態を示す断面説明図である。
【図29】緩衝材の更に別の構成例を示す斜視図である。
【図30】実施の形態2に係る梱包箱を構成する緩衝材を示す斜視図である。
【図31】図30の緩衝材を適用した梱包箱において嵌め入れ作業が完了した段階の状態を示す断面説明図である。
【図32】緩衝材の更に別の構成例(要部)を示す斜視図である。
【図33】図32の緩衝材と組み合わせて使用する箱本体の構成例(制止部としてのフラップの構成)を示し、(a)はその箱本体における制止部としてのフラップの構成を示す斜視図であり、(b)はそのフラップを折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図34】図32の緩衝材と図33の箱本体を適用した梱包箱において嵌め入れ作業が完了した段階の状態を示す断面説明図である。
【図35】緩衝材の更に別の構成例(要部)を示す斜視図である。
【図36】図35の緩衝材と組み合わせて使用する箱本体の構成例(制止部としてのフラップの構成)を示し、(a)はその箱本体における制止部としてのフラップの構成を示す斜視図であり、(b)はそのフラップを折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図37】図35の緩衝材と図36の箱本体を適用した梱包箱において嵌め入れ作業が完了した段階の状態を示す断面説明図である。
【図38】実施の形態3に係る梱包箱を構成する緩衝材を示す斜視図である。
【図39】図38の緩衝材をそれと組み合わせて使用する箱本体の収容空間に嵌め入れた段階の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0027】
[実施の形態1]
図1から図6は、実施の形態1に係る梱包箱を示すものである。図1はその梱包箱の構成部品と被梱包物を示し、図2から図6はその梱包箱の使用状態(梱包作業の主な工程の状態)を示している。
【0028】
実施の形態1に係る梱包箱1は、図1から図3等に示すように、被梱包物100を収容する収容空間S1を有する箱本体2と、箱本体2の収容空間S1に嵌め入れられて箱本体2と収容空間Sに収容される被梱包物100の間に存在する緩衝材3とで構成されている。被梱包物100は、図4から図6等に示すように、箱本体2の収容空間S1に嵌め入れられた緩衝材3により囲まれる収納空間S2に収納される。緩衝材3は、衝撃吸収性を有する構造物であって、被梱包物100を箱本体2に加わる外部からの衝撃等から保護するものである。
【0029】
まず、箱本体2は、図1から図7等に示すように、長方形の底板21と、その底板21の各辺部21a〜21dからそれぞれ立ち上がる4つの矩形状の側板22〜25と、その各側板22〜25の上端縁22a〜25aでそれぞれ折れ曲がる4つのフラップ(曲げ板)26〜29を備えた箱形状からなる構造物である。この箱本体2は、あらかじめ底板21の各辺から連続する4つの側板22〜25をほぼ垂直に起立させた状態にして隣接する側板どうしを連結した状態にしておき、その各側板底板21と4つの側板22〜25で囲まれる四角柱状の空間を被梱包物100が収容される収容空間S1として使用するものである。また、箱本体2は、その展開した展開図の形状をもとに裁断した1枚の段ボールを用い、それを所要の部位で折り曲げるとともに所要の部位どうしを綴じ針、接着剤等の手段で固着することにより所要の箱形状に組み立てて製作されている。
【0030】
このうち底板21の一方の長辺部21aから立ち上がる第一側板22の第一フラップ26は、梱包時の最後に箱本体2の開口部を塞ぐための外蓋として構成されている。この第一フラップ26は、底板21とほぼ同じ形状及び寸法からなる長方形の本体部26aと、その本体部26aの自由端のほぼ中央部に突出した矩形の形状で形成された差し込み片26bを有する形状で形成されている。図中の符号26cは取っ手切り欠き部を示す。この取っ手切り欠き部26cは、差し込み片26bを本体部26aの自由端において折り曲げやすくするとともに外蓋である第一フラップ26を開けるときに手の指を差し入れて取っ手として使用することに適した形状に切断されている。
【0031】
また、底板21の他方の長辺部21bから立ち上がる第二側板23の第二フラップ27は、梱包時の最後に箱本体2の開口部を外蓋と組み合わせて塞ぐための内蓋として構成されている。この第二フラップ27は、底板21とほぼ同じ形状及び寸法からなる長方形の本体部27aと、その本体部27aを第二側板23の上端縁23aで折り曲げやすくするとともに外蓋である第一フラップ26の差し込み片26bを差し込む差込み孔として使用することに適した形状に切断された差込み切り欠き部27bを有する形状で形成されている。
【0032】
さらに、底板21の2つの短辺部21c、21dからそれぞれ立ち上がる第三側板24及び第四側板25の第三フラップ28及び第四フラップ29はいずれも、図2、図7、図8b、図12等に示すように、箱本体2の収容空間S1内に折り曲げられた状態にされたときに箱本体2の底板21と離れて向き合う状態になる部位41を有する制止部4A、4Bが形成されている。
【0033】
この制止部4A,4Bが形成された第三フラップ28及び第四フラップ29は、図7等に示すように、底板21の短辺の幅とほぼ同じ寸法の幅でかつ側板24,25の高さHよりも相対的に低い高さh1(例えば各側板24,25の高さHの1/4程度の寸法)からなる長方形の本体部28a,29aと、その本体部28a,29aの自由端のほぼ中央部に突出した矩形の形状で形成された突出片28b,29bを有する形状で形成されている。突出片28b,29bは、第三側板24及び第四側板25の上端縁24a,25aからの高さ寸法h2が、各側板24,25の高さHよりも相対的に低い高さ(例えば1/2〜3/4程度の寸法)に設定されている。また、突出片28b,29bは、その幅が底板21の短辺の長さ(各側板24,25の幅)の半分程度の寸法に設定されている。
【0034】
制止部4A,4Bは、この第三フラップ28及び第四フラップ29における突出片28b,29bの自由端である先端部28c、29cを、上記したように収容空間S1内に折り曲げたときに箱本体2の底板21と離れて向き合う状態になる部位41として使用する構成になっている。また、制止部4A,4Bは、第三フラップ28及び第四フラップ29の本体部28a,29a及び突出片28b,29bを収容空間S1内に折り曲げたときに、その各フラップ28,29が、その各フラップ28,29と対峙する位置関係にある第三側板24や第四側板25に接近または接触した状態に止まることはなく、復元しようとする反力により側板23、24からそれぞれ離れた状態になるという特性を有している(図12等を参照)。この特性は、各フラップ28,29を折り曲げたときに、その折り曲げにより側板24、25の上端縁24a,25aで折れ曲がる部分がわずかな弾性を有する段ボールを弾性変形させた状態になることから、その弾性変形に対する反力が発生し、この反力によりフラップ28,29が復元する方向(曲げ方向とは反対の方向)に変位させられる仕組みにより得られるものと考えられる。
【0035】
一方、緩衝材3は、図1から図7や図9等に示すように、箱本体2の底板21と同じ長方形の底面部31と、その底面部31の各辺部からそれぞれ立ち上がる4つの緩衝側面部32〜35を備えたものであって、少なくとも梱包時には箱本体2の収容空間S1に嵌め入れられて、箱本体2と収容空間S1に収容される被梱包物100との間に存在させた状態で使用される緩衝用の構造物である。この緩衝材3は、その展開した展開図の形状をもとに裁断した1枚の段ボールを用いて、それを所要の部位で折り曲げるとともに所要の部位どうしを綴じ針、接着剤等の手段で固着することにより組み立て製作される。このため、底面部31と緩衝側面部32〜35は、段ボールの板状部材により形成される形状及び構造の部位として構成されている。また、緩衝側面部32〜35は、梱包対象の被梱包物100の外観形状に応じた形状、寸法、位置等の条件に基づいて構成される緩衝構造を備えたものになる。
【0036】
底面部31は、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れる必要があるため、その平面の寸法が、箱本体2の底板21の長方形の寸法(長辺:長さLと短辺:幅Wの各寸法)よりも例えば数mm〜数十mm程度小さい値に設定されている。この底面部31は、段ボール1枚で形成される平面状の底板として構成されている。緩衝側面部32〜35は、緩衝材を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れたときに、少なくとも箱本体2の4の側板22〜25の内面とそれぞれ対峙し得る形状の部位を有するように構成されており、しかも、梱包対象である被梱包物100の外観形状に応じて選定される緩衝構造部を有する側板として形成されている。
【0037】
このうち底板31の一方の長辺部31aから立ち上がる第一側面部32は、箱本体2の第一側板22の内面とほぼ対峙する長方形状の側板部32aと、側板部32aの上端縁で被梱包物100の上面側に折り曲げる帯状の曲げ部32bと、曲げ部32の先端部で折り曲げ自在に接続されている第1の緩衝構造部36を有する形状で形成されている。図9等における符号32cは切り欠き部を示す。第1の緩衝構造部36は、曲げ部32bのほぼ中央部から長辺の長さLの1/3程度の幅で突出した状態で形成された平面矩形の延長部分を、底板31の長辺部31aとほぼ平行する折目線にそって内側に折り曲げて(山折りして)一重に巻いて全体が角筒の形状になるよう組み立てた中空構造の緩衝部分である。第1の緩衝構造部36は、曲げ部32の先端部で折り曲げることで曲げ部32bの内面側に存在する状態にすることができるようになっている。
【0038】
また、底板31の他方の長辺部31bから立ち上がる第二側面部33は、箱本体2の第二側板23の内面とほぼ対峙する長方形状の側板部32aと、側板部32aの上端縁で折り曲げ自在に接続されている第2の緩衝構造部37を有する形状で形成されている。第2の緩衝構造部37は、側板部33aのほぼ中央部から長辺Lの長さの1/2程度の幅で突出した状態で形成された平面矩形の延長部分を、底板31の長辺部31bとほぼ平行する折目線にそって内側に折り曲げて(山折りして)一重に巻いて全体が扁平した角筒状の形状になるよう組み立てた中空構造の緩衝部分である。第2の緩衝構造部37は、側板部32aの上端縁で折り曲げることで曲げ部32bの内面側に存在する状態にすることができるようになっている。
【0039】
さらに、底板31の2つの短辺部31c、31dからそれぞれ立ち上がる第三側面部34及び第四側面部35はいずれも、図2から図6や図9から図12等に示すように、その各短辺部31c、31dからそれぞれ折り曲げ自在に接続されている第3の緩衝構造部38及び第4の緩衝構造部39として形成されている。第3及び第4の緩衝構造部38,39は、図9、図11等に示すように、底板31の各短辺部31c、31dから突出した状態で形成された平面矩形の延長部分を、底板31の長辺部とほぼ平行する折目線にそって内側に折り曲げて(山折りして)底板31の短辺部に近い部位だけ二重となるように巻いて全体が断面長方形からなる角筒状の形状になるよう組み立てた中空構造の緩衝部分である。第3及び第4の緩衝構造部38,39は、図9等に示すように、底板31の各短辺部31c、31dで起立させる方向(図9の点線矢印で示す方向)に折り曲げることで底板31の上に存在する状態にすることができるようになっている。
【0040】
また、緩衝材3においては、その底板31に、図9から図11等に示すように、矩形の開口形状からなる2つの通気孔5A,5Bが形成されている。
【0041】
通気孔6A,5Bは、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れるときに、緩衝材3がその収容空間S1に存在する空気を外部に押し出しながら収容空間S1内に侵入しなければならいため、その収容空間S1に存在する空気を外部に排除するよう通過させる孔(開口部)である。この通気孔5A,5Bの存在により、後述するように緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に容易に嵌め入れることができる。通気孔5A,5Bの開口形状、数、形成位置等については、例えば梱包作業の障害になることや、緩衝材3の強度の大幅な低下を招ねくことがない内容であれば、特に限定されない。
【0042】
さらに、緩衝材3においては、第三側面部34及び第四側面部35が、緩衝材3が箱本体2の収容空間S1に嵌め入れられたときに箱本体2の第三フラップ28及び第四フラップ29に形成された制止部4A,4Bとそれぞれ対峙する位置関係にあるため、この各側面部34,35に、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れたときに制止部4A,4Bの部位41と突き当たるよう箱本体2の底板21側に位置して向かい合う状態になる部位61を有する被制止部6A,6Bが形成されている。
【0043】
被制止部6A,6Bは、第三側面部34及び第四側面部35の各緩衝構造部38、39における二重構造の外側面部38a,39aに矩形の窪んだ形状の構造部(貫通孔)62,63をそれぞれ形成し、その矩形の各貫通孔の下辺部62a,63aを前記した制止部4A,4Bの部位41と向かい合う部位61として使用するよう構成されている。
【0044】
各貫通孔の部位61としての下辺部62a,63aは、その底面部31からの高さh5が、箱本体2の第三及び第四の側板24,25の高さHからフラップ28,29における突出片28b,29bの高さh2を差し引いた値(H−h2)にほぼ相当するよう設定されている。各貫通孔62,63の開口幅(底面部31の短辺と平行する部分の幅)w6は、フラップ28,29における突出片28b,29bの幅よりも広い値に設定されており、これにより、その突出片28b,29bの先端部分が各貫通孔62,63のなか(窪み)に侵入できるようにしている。
【0045】
各貫通孔62,63の開口高さ(下辺部62a,63aから上辺部62b,63bまでの距離)h6は、主に次の観点から設定されている。すなわち、この梱包箱1においては、緩衝材3が箱本体2の収容空間1に嵌め入れられたときに、フラップ28,29における突出片28b,29bの部位41としての先端部28c,29cが下辺部62a,63aと向かい合う状態になる(図13参照)。このため、そのような状態になるときに各貫通孔62,63の上辺部62b,63bがその折り曲げられた状態にある突出片28b,29bの一部に接触しても、その部位41,61どうしが突き当たるよう向かい合う状態を阻害することなく、しかもその向き合った後の状態を維持できるという観点である。
【0046】
次に、この梱包箱1を用いた梱包作業の主な工程における状態について説明する。
【0047】
はじめに、梱包箱1では、図2から図4等に示すように、箱本体2の収容空間S1に緩衝材3を嵌め入れた状態にする。
【0048】
具体的には、図2、図8b等に示すように、まず箱本体2において、被制止部4A,4Bの形成されたフラップ28,29を各側板の上端縁24a,26Aに沿って収容空間S1の内部に存在させるよう点線矢印Aで示す方向に折り曲げておく。これにより、フラップ28,29の突出片28b,29bにおける先端部28c,29c(被制止部4A,4Bの部位41)を、底板21に向き合った状態にする(図8b、図12a)。このときの先端部28c,29cは、底板21とは離れた位置で斜めになった状態で向き合うかっこうになる。
【0049】
次いで、フラップ28,29が折り曲げられた状態にある箱本体2の収容空間S1に、図2から図4や図12a等に示すように緩衝材3を嵌め入れる。
【0050】
このとき、緩衝材3の底面部31が箱本体2の底板21と同じ形状であって寸法(長辺と短辺の寸法)が少し小さい程度の関係にある。このため、緩衝材3の嵌め入れに際しては、緩衝材3の底面部31が箱本体2の収容空間S1に入り込むにつれて、緩衝材3の各緩衝側面部32〜35が、箱本体2の対峙する各側板22〜25の上端縁22a〜25aやその各内面にそれぞれ接触して通過するようになる。また、その通過する途中の段階で、緩衝材3の各緩衝側面部32〜35は、底面部31に対してほぼ垂直に起立した状態に折り曲げられるとともに箱本体2の対峙する各側板22〜25の内面に対してほぼ密着した状態になる(図3、図4等を参照)。厳密には、緩衝側面部34,35については、その対峙する側板24,25の内面に密着せず、フラップ28,29の一部に接触した状態になる(図12bや図13を参照)。
【0051】
この結果、緩衝材3は箱本体2の収容空間S1を密閉する状態で侵入するかっこうになるので、図12bに示すように緩衝材3の底面部31と箱本体2の底板21との間の空間Eに存在する空気が逃げ場を失って圧縮されるような状態になり、緩衝材3の箱本体2の収容空間S1への嵌め入れ作業がその空間Eの空気による抵抗を受けてやりにくくなる。
【0052】
しかし、この緩衝材3においては、その空間Eに存在する空気を、図12bに点線矢印で示すように底面部31に形成されている通気孔5A,5Bを通して外部に放出させることができる。従って、緩衝材3の箱本体2の収容空間S1への嵌め入れ作業は、空間Eの空気の抵抗を受けることなく容易に行われる。
【0053】
また、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れる過程においては、図12bに示すように、緩衝材3の緩衝側面部34,35の下部(底面部31の短辺部31c、31dや各側面部の下部外面)が、収容空間S1の内部に折り曲げられて斜めになった状態にある箱本体2のフラップ28、29と接触して押す状態になる。これにより、そのフラップ28、29は、箱本体2の側板24,25に接近または接触させる方向Bに変位させるよう更に折り曲げた状態になる。このように更に折り曲げられたフラップ28,29では、側板24,25の上端縁24a,25aにおいて段ボールが弾性変形させられた状態になるので、その曲げられる前の状態(位置)に復元しようとする反力Fが発生する(図12b)。
【0054】
その後、緩衝材3の底面部31が箱本体2の底板21に接触する程度まで緩衝材3が箱本体2の収容空間S1に嵌め入れられると、フラップ28,29の突出片28b,29bにおける先端部28c,29cが、緩衝側面部34,35の各緩衝構造部38,39の外側面部38a,39aにそれぞれ形成された貫通孔62,63と対峙した時点で、その外側面部38a,39aに接触していた状態から、前記した反力Fにより貫通孔62,63の孔内部(窪んだ空間)に入り込んだ状態になる。
【0055】
この結果、緩衝材3における貫通孔62,63の下辺部62a,63a(被阻止部6A,6Bにおける部位61)が、図13に示すように、フラップ28,29の突出片28b,29bにおける先端部28c,29c(阻止部4A,4Bにおける部位41)に対し、箱本体2の底板21側に相対的に位置して突き当たるよう向き合った状態になる。
【0056】
このとき貫通孔62,63の下辺部62a,63aは、突出片28b,29bにおける先端部28c,29cと接触した状態になってもよいが、離れた状態になっていてもよい。離れた状態になる場合は、図13に例示するように、フラップ28,29の突出片28b,29bの外面が貫通孔62,63の上辺部62b,63bに接触した状態になり、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1から抜き出す方向Cに動かしたときに、貫通孔62,63の下辺部62a,63aが突出片28b,29bにおける先端部28c,29cと突き当たる位置関係になるよう設定すればよい。
【0057】
これまでの工程により、図3、図4、図13等に示すように、箱本体2の収容空間S1に緩衝材3が嵌め入れた状態にある梱包箱1が得られる。
【0058】
このときの梱包箱1は、箱本体2の収容空間S1に、緩衝材3の起立した状態の4つの緩衝側面部32〜35に囲まれた格納空間S2が新たに形成されたものになる。格納空間S2は、第二緩衝側面部33の上部に第2の緩衝構造部37が存在して空間の一部が狭められた形状になる。また、第一緩衝側面部32の第1の緩衝構造部36が、被梱包物100の格納空間S2への格納作業の妨げにならず、その格納が終了した後に被梱包物100の上部に発生する空き空間を埋めるように存在させることができるよう、曲げ部32bによって格納空間S2の入り口を塞がない退避位置に一時的に変位させておくことができるようになっている。
【0059】
続いて、梱包箱1の格納空間S2に対し、図5に示すように被梱包物100を手で持ってその梱包時における姿勢で嵌め入れるように降下させて格納する。次いで、緩衝材3の第一緩衝側面部32における第1の緩衝構造部36を、曲げ部32bを内側に折り曲げることで、図6に示すように箱本体2の第一の側板22(実際には緩衝材3の第一緩衝側面部32の側板部32a)と被梱包物100の間の隙間に介在させた状態にする。
【0060】
これにより、被梱包物100は、図6等に示すように、その底部が緩衝材3の底面部31で囲まれ、その長手方向の左右の側部100b,100cが緩衝材3の第一側面部32(第1の緩衝構造部36を含む)及び第二側面部33(第2の緩衝構造部37を含む)で囲まれ、その短手方向の2つの側部100d,100eが緩衝材3の第三側面部34(第3の緩衝構造部38)及び第四側面部35(第4の緩衝構造部39)で囲まれた状態になる。なお、被梱包物100においては、例えばその上部等に他の部位よりも突出した形状の突出部102が存在するが、第2の緩衝構造部37等の緩衝構造部(体)はそのような突出部102を避けた状態で存在するように設計される。
【0061】
続いて、梱包箱1は、箱本体2の内蓋である第二フラップ27を第二側板23の上端縁23aで図6の点線矢印で示すように折り曲げて被梱包物100の上部を覆うように閉じた状態にした後、箱本体2の外蓋である第一フラップ26を第一側板22の上端縁22aで折り曲げて第二フラップ27の上に重ねるように閉じた状態にする。そして最後に、箱本体2の第一フラップ26の差し込み片26bを、第二フラップ27の差込み切り欠き部27bに差し込んだ状態にする。このとき、第1の緩衝構造部36は、被梱包物100の上部と箱本体2の第二及び第一のフラップ27,26の間に介在した状態におかれる。
【0062】
以上のすべての工程により、梱包箱1は、その収容空間S1及び格納空間S2の上部が蓋である第二フラップ27及び第一フラップ26で覆われた状態になり、梱包作業が終了する。
【0063】
この梱包箱1で梱包された被梱包物100は、その箱本体2のすべての内壁面との間に緩衝材3が介在した状態になる。このため、梱包箱1が搬送時等において外部から衝撃等を受けた場合には、その衝撃が緩衝材3により吸収されて緩衝されるので、この梱包箱1で梱包された被梱包部100が、かかる外部の衝撃から保護されることになる。
【0064】
次に、この梱包箱1の開梱作業について説明する。
【0065】
開梱作業は、梱包箱1について上記した梱包作業の各工程を逆に進めることで行うことができる。すなわち、まず、箱本体2の第一フラップ26の差し込み片26bを、第二フラップ27の差込み切り欠き部27bから抜き出した後、第一フラップ26と第二フラップ27をこの順番で開けた状態にする。これにより、図6に示すように、梱包箱1の箱本体2に緩衝材3で囲まれた状態で収容された被梱包物100の上部の一部が、外部に露出した状態になって見える。
【0066】
続いて、緩衝材3の第一緩衝側面部の曲げ部32bを開くように曲げることで第1の緩衝構造部36を被梱包物100の上部から退避させる(図5)。これにより、被梱包物100を梱包箱1から取り出すための準備(態勢)が整う。
【0067】
しかる後、被梱包物100を手で掴んで、梱包箱1の収容空間S1(実際には緩衝材3で形成される格納空間S2)から引き上げるようにして外部に取り出す。
【0068】
このとき、緩衝材3の一部が被梱包物100の一部に直接またはその包装材を介して接触した状態にある場合には、被梱包物100の取り出し作業に伴って緩衝材3も被梱包物100と一体となって一緒に取り出されることがある。しかも、この梱包箱1においては、緩衝材3の箱本体2の収容空間S1への嵌め入れを容易にする目的から緩衝材3の底面部31に通気孔5A,5Bを形成しているため、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1から取り出す必要があるときには、緩衝材3の底面部31と箱本体2の底板21の間の空間Eに通気孔5A,5Bを通して外部の空気が流入するので、その取り出しも容易に行えるようになっている。つまり、緩衝材3に通気孔5A,5Bがない場合には、空間Eが密閉された状態になって緩衝材3だけが取り出し方向Cに移動して空間Eを広げることで、その空間Eの内部が一時的に真空状態になって緩衝材3の移動のときに吸引抵抗のように働くことがある。しかし、通気孔5A,5Bが形成された緩衝材3では、そのような吸引抵抗が発生することがないので、箱本体2の収容空間S1から取り出す作業も容易に行えることになる。この結果、通気孔5A,5Bが形成された緩衝材3の場合には、取り出される被梱包物100と一部で接触している状況にあれば、その被梱包物100と一体となって箱本体2の収容空間S1から一緒に取り出されやすくなっていることになる。
【0069】
この点、この梱包箱1にあっては、緩衝材3が箱本体2の収容空間S1から取り出される方向Cに移動させられる外力を受けた場合、図13に示すように、緩衝材3の第三及び第四の緩衝側面部34,35に形成された緩衝構造部38,39における各貫通孔62,63の下面部62a,63a(被阻止部6A、6Bの部位61)が、箱本体2の第三及び第四の側板24,25のフラップ28,29に形成された突出片28b,29bの先端部28c,29c(阻止部4A、4Bの部位41)に突き当たった状態になる。これにより、緩衝材3における被阻止部6A、6Bである各貫通孔62,63の下面部62a,63a(部位61)が、箱本体2における阻止部4A、4Bである突出片28b,29bの先端部28c,29c(部位41)に引っ掛かった状態となるので、緩衝材3の取り出し方向Cへの移動が阻止され、箱本体2の収容空間S1から取り出されることなく収容空間S1に留まった状態におかれる。
【0070】
従って、この梱包箱1の開梱に際しては、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に留めたままで、被梱包物100のみを緩衝材3による収容空間S2から取り出すことができる。このとき緩衝材3が破損するおそれもない。また、被梱包物100を取り出した後(被梱包物100と緩衝材3が接触していない状態で梱包されている場合にその被梱包物100を取り出し後も含む。)であっても、緩衝材3は箱本体2の収容空間S1に取り付けられた状態で保たれ、外れることがない。
【0071】
以上により、梱包箱1の開梱作業が終了する。特にこの梱包箱1の場合には、開梱のときに緩衝材3が破損することもなく箱本体2の収容空間S1に嵌め入れられた状態で存在する。このため、例えば、被梱包物100が回収を要する交換部品(または製品)であった場合には、その交換対象になった使用済みの部品(製品)を梱包箱1に収納して梱包した後に回収するという作業を行うときに、梱包箱1を再使用することができる。また、梱包箱1をこのように再使用する場合は、緩衝材3が開梱時に取り外されて紛失してしまうことがなく、しかも開梱時に取り外された緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に正確に設置し直すという煩わしい作業を行う必要もなくなり、容易にかつ正しく再梱包することが可能となり、利用者にとって便利である。
【0072】
一方、梱包箱1は、開梱した後に廃棄する場合、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1から取り外した後、箱本体2と緩衝材3を必要により細かく破砕してから処分することになる。
【0073】
このとき、緩衝材3の取り外しに際しては、第3及び第4の緩衝構造部38,39における内部空間(衝撃吸収用の空間部)S3(図13参照)に、例えば指を入れて貫通孔62,63を通してフラップ28,29の突出部28b,29bを反力Fに抗して外側(側板24,25に接近する方向)に押して変位させる。これにより、阻止部4A,4Bである突出部28b,29bの先端部28c,29cが、被阻止部6A,6Bである貫通孔62,63における下辺部62a,63aと突き当たらない状態になるので、その状態において緩衝材3を取り出す方向Cに移動させることで緩衝材3を収容空間S1から容易に取り外すことができる。
【0074】
[実施の形態1の変形例]
箱本体2において阻止部4を形成するフラップについては、実施の形態1で示したフラップ28,29のように本体部28a,29a及び突出片28b,29bで構成する場合(図8等)に限らず、例えば図14及び図15に示す構成を採用することもできる。
【0075】
図14に例示する阻止部4Cを形成するフラップ29は、本体部29aを形成せず、突出片29bのみで構成したものである。この構成例は、フラップ29とは反対側にあるフラップ28についても同様である(この点は、次の構成例においても同様である。)。この図14に例示する構成例では、本体部29aがない分、簡易な構成になるが、突出片29bを収容空間S1内に折り曲げたときに発生する復元のための反力が少し弱くなる。
【0076】
図15に例示する阻止部4Dを形成するフラップ29は、突出片29bを外側から囲む程度の大きさの本体部29dを形成し、その本体部29dのなかに突出片29bとなる部分を切り取って形成するように構成したものである。この図15に例示する構成例では、同図bに示すように、梱包時に突出片29bのみを阻止部4Dとして使用するだけで済み、残りの本体部29dを被梱包物100と箱本体2の蓋の間に存在させて緩衝材としてさらには蓋材として利用することができる。
【0077】
緩衝材3において緩衝側面部に形成する被阻止部6については、実施の形態1で例示した緩衝側面部34(緩衝構造部38)に被阻止部6Aとして形成した貫通孔62(の下片部62a)のごとき構成(図11等)に限らず、例えば図16から図20に例示する構成を適用することもできる。これらの構成は、緩衝側面部34の反対側に配置される緩衝側面部35(緩衝構造部39)に形成する被阻止部6Bについても同様に適用できる。
【0078】
図16から図18に示す被阻止部6Cは、緩衝側面部34の緩衝構造部38における二重構造になっている外面部38aのうち最も外側の側面部(1枚の段ボール部分)に矩形の開口(非貫通孔)64を形成し(内側の側面部34dには形成せず)、その開口64の下辺部64aを被阻止部6Aの部位61として使用するように構成したものである。開口64の寸法や形成位置等については、貫通孔62の条件と同じでよいが、異ならせても構わない。
【0079】
この開口(非貫通孔)64で構成される被阻止部6Cは、図18に示すように、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れたときには、箱本体2において阻止部4Aを形成するフラップ28の突出片28bにおける先端部28cが、窪んだ形状の開口64に入り込む状態になることで、開口64の下辺部64aが底板21側に位置した状態で突き当たるように向き合った状態になる。これにより、緩衝材3を取り出す方向Cに移動させようとしても、被阻止部6Cである開口64の下辺部64aが阻止部4Aであるフラップ28の突出部28bにおける先端部28cに突き当たってその移動が阻止されるので、緩衝材3が取り外されず収容空間S1に留まることになる。また、この開口(非貫通孔)64で構成される被阻止部6Cは、フラップ28の突出片28bにおける先端部28aが開口64を片側から塞ぐ状態で存在する内側の側面部34dによって変位する範囲が規制されるので、例えば開口64の下辺部64aから外れた位置に変位するおそれがなく、その先端部28aと下辺部64aが向き合った状態が安定して保たれる。
【0080】
一方、この緩衝材3を収容空間S1から取り出したいときには、例えば、以下の操作をして行う。すなわち、第3緩衝側面部34の緩衝構造部38における外面部38aとフラップ28の突出片28bの隙間に細い部材や板状のものを差し入れて、突出片28bを側板24に接近させるように変位させることにより、その先端部28cを開口64の下辺部64aと突き当たらない位置にずらした状態にしたうえで、緩衝材3を上方に向く取り出し方向Cに移動させればよい。
【0081】
図19から図20に示す被阻止部6Dは、緩衝側面部34の緩衝構造部38における外面部38aから外側に突出した形状の矩形の突出片65を形成し、その突出片65の先端部65aを被阻止部6Aの部位61として使用するよう構成したものである。この突出片65は、例えば、図19に二点鎖線で示すように底面部31の一部を突出片の形状に切り抜き、その切り抜いた部分を底面部31の短辺部31cにそって緩衝構造部38における外面部38aと接近して対峙する状態になるまで折り曲げることで作成される。このように作製される突出片65は、緩衝構造部38における外面部38aから離れる方向に復元しようとする反力F2が発生している(図19)。
【0082】
この突出片65で構成される被阻止部6Dは、図22に示すように、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れたときには、箱本体2において阻止部4Aを形成するフラップ28の突出片28bにおける先端部28cが、突出片65の先端部65aを通過した時点で反力F1により突出片65aの先端部65aの上方に変位する。この結果、突出片65aの先端部65aが、底板21側に位置した状態で突出片28bにおける先端部28cと突き当たるように向き合った状態になる。これにより、緩衝材3を取り出す方向Cに移動させようとしても、被阻止部6Dである突出片65の先端部65aが阻止部4Aであるフラップ28の突出部28bにおける先端部28cに突き当たってその移動が阻止されるので、緩衝材3が取り外されず収容空間S1に留まることになる。なお、この緩衝材3を収容空間S1から取り出したいときには、例えば、前記した被阻止部6Cの場合と同様の操作をして行う。
【0083】
阻止部4の部位41を構成する突出片28bの先端部28cや、被阻止部6の部位61を構成する貫通孔62の下辺部62a(開口64の下辺部64aや突出片65の先端部65aも同様である)については、直線状の端縁部にせず、図21に例示するように波状の微細な凹凸が存在する形状の端縁部(波線で示す部分や斜線を付した部分)として形成する。
【0084】
この場合は、緩衝材3が引き出される方向Cに移動したときに、阻止部4の部位41である突出片28bの先端部28cと被阻止部6の部位61である貫通孔62の下辺部62aとが突き当たったときの摩擦力が直線状の端縁部の場合に比べて増加し、互いに外れにくい状態となり、その両者の突き当たった状態を安定して保持することができる。この結果、緩衝材3が箱本体2の収容空間S1から外れにくい状態が安定して得られる。また、図21に例示するように、突出片28の左右側端部28d,28eや、貫通孔65の左右の側辺部65c,65dについても、先端部28cと下辺部62aとが突き当たる際に接触する関係にある場合は、少なくともその接触することになる端縁部を同じく微細な凹凸が存在する形状で形成するとよい。
【0085】
緩衝材3には、図22から図25に示すように、被阻止部6A、6Bが形成される緩衝側面部34,35(緩衝構造部38,39)が、制止部4A,4Bである突出片28b,29bの先端部28c,29cから離れる方向D(底面部31に近づく方向)に傾くことを防止する傾き防止片301を形成することができる。
【0086】
図22等に例示する傾き防止片301A〜Dは、被阻止部6A、6Bが形成される緩衝側面部34,35と隣接する他の緩衝側面部32,33にそれぞれ2個ずつ(計4個)形成したものである。この傾き防止片301は、緩衝側面部32,33の一部にコ字状の切り込みを入れて、その切り込み部分を内側に起立させるよう折り曲げた状態にして使用するものであり、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れたときに緩衝側面部34,35における緩衝構造部38,39の内側の外面部38b,39bに接触し得る条件を満たすよう形成されている。具体的には、傾き防止片301は、その切り込み部分(線)302が使用時に緩衝側面部の緩衝構造部38,39の側面部に対峙し、その折り曲げ部(切り込まれていない部分)が緩衝構造部38,39の内側の外面部38b,39bの近くに位置するように形成される(図23参照)。
【0087】
傾き防止片301A〜Dは、緩衝材3を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れるときに、緩衝側面部32,33の内面に対してほぼ垂直に起立させた状態に折り曲げておき、緩衝材3が嵌め入れられるときに4つの緩衝側面部32〜34が底面部31に対してそれぞれ起立することにより、緩衝側面部34,35の緩衝構造部38,39の内側外面部38b,39bにそれぞれ接触し得る状態におかれる。これにより、図25等に示すように緩衝側面部34,35の緩衝構造部38,39が底面部31に対して隙間kをあけて形成される場合において、緩衝構造部38,39が隙間kの分だけ箱本体2の側板24から離れて底面部31に近づく方向Dに傾く(二点鎖線で示す状態になる)おそれがあるが、その傾きが防止される。つまり、緩衝構造部38等が上記のように傾いた場合には、緩衝構造部38等に形成される被阻止部6Aの貫通孔62における下辺部62(被阻止部6Aの部位61)が、側板24のフラップ28に形成される阻止部4Aの突出片28の先端部28aから遠ざかって突き当たるように向かい合わない(又は突き当たっている場合には外れる)状態になって、緩衝材3の箱本体2の収容空間S1からの外れ防止機構が機能しなくなるおそれがある。しかし、倒れ防止片301Aにより緩衝構造部38の上記倒れが防止されるので、そのおそれもなくなる。
【0088】
倒れ防止片301は、図26に例示するように、倒れ防止片301Eのように被阻止部6が形成される緩衝側面部34等の緩衝構造部38に直接形成したり、あるいは、倒れ防止片301Gのように被阻止部6が形成される緩衝側面部34等の緩衝構造部38の下端部38cと対峙する床面部31に形成することも可能である。
【0089】
倒れ防止片301Eは、緩衝構造部38の内側外面部38bの一部を切り欠いた部分を内側外面部38bに対して垂直の状態に折り曲げて使用するものである。この場合は、緩衝構造部38が底面部31に近づく方向Dに倒れそうになると、その倒れ防止片301Eの先端の下部が底面部31に先に接触して倒れを抑制する。一方、倒れ防止片301Gは、緩衝構造部38の下端部38cと対峙する底面部31の一部を切り欠いた部分を床面部31に対して垂直の状態に折り曲げて使用するものである(曲げたときの高さが隙間kに相当する寸法になるよう設定される)。この場合は、緩衝構造部38が底面部31に近づく方向Dに倒れそうになると、その下端部38cが倒れ防止片301Gの上端部に接触して倒れが防止される。
【0090】
緩衝材3の底面部31には、図27と図28に示すように、通気孔5A,5Bを塞ぐ蓋材53A,53Bを形成することができる。
【0091】
この蓋材53A,53Bは、底面部31の通気孔5A,5Bを形成すべき箇所をコ字状に切り込み、その切り込み部分を上方に持ち上げるように折り曲げることで蓋として利用するものである。その切り込み部分を持ち上げた後に底面部31に現れる開口部が通気孔5A,5Bになる。このため、蓋材53A,53Bは、通気孔5A,5Bと同じ形状及び寸法で構成されていることになる。また、この場合、蓋材53A,53B(通気孔5A,5B)を形成する位置は、被梱包時に梱包物100の底部の一部が蓋材53A,53Bに接触して下方に押すことができる位置に設定するとよい。
【0092】
この蓋材53A,53Bを形成した場合、緩衝材3の箱本体2の収容空間S1への嵌め入れのときには、蓋材53A,53Bは通気孔5A,5Bを開けた状態にしておき、これにより、前述したような理由によりその嵌め入れを容易に行うことが可能になる。また、被梱包物100を緩衝材3による収納空間S2に収納するときには、予め手によって蓋材53A,53Bを変位させて通気孔5A,5Bを塞いだ状態にするか、あるいは、図28bに示すように、被梱包物100を収納する操作によりその被梱包物100の底部の一部が蓋材53A,53Bに触れて蓋材53A,53Bを押し下げるように変位させることで通気孔5A,5Bを塞いだ状態にする。後者の場合は、蓋材53A,53Bの塞ぐ動作が被梱包部材100の収納動作に連動して行われるので、効率がよい。このようにして通気孔5A,5Bは、通気性がほとんどなくなった状態におかれる。
【0093】
一方、開梱のときには、緩衝材3が箱本体2の収容空間S1から引き出される方向に移動させられた場合、通気孔5A,5Bが蓋材53A,53Bでふさがれた状態になっているので、通気孔5A,5Bから外部の空気が緩衝材3の底面部31と箱本体2の底板21との間の空間Eに流入することがない。このため、この理由によっても前述した内容(緩衝材3に通気孔5A,5Bが形成されていない場合の引き出しにくさ)のように緩衝材3の収容空間S1からの取り出しが難しくなる。従って、緩衝材3は、箱本体2の収容空間S1から取り出されることがなく、その収容空間S1に留まりやすくなる。ちなみに、このときにも、阻止部4と被阻止部6による外れ防止機能が同様に働き、その機能によっても緩衝材3の収容空間S1からの取り出しが阻止される。
【0094】
通気孔5A,5Bを塞ぐ蓋は、図27に例示するように、緩衝材3とは別体の蓋材54A,54Bとして用意して適用するようにしても構わない。なお、緩衝材3を収容空間S1から取り出したいときには、通気孔5A,5Bを塞ぐ蓋材53,54を移動または取り外した後に、前述したような必要な操作をしたうえで行うことができる。
【0095】
なお、緩衝材3は、図29に例示するように、前記した倒れ防止片301と蓋材53(54)を同時に適用することも可能である。この場合には、前記した倒れ防止片301による効果と蓋材53による効果を併せて得ることができるため有効である。
【0096】
[実施の形態2]
図30と図31は実施の形態2に係る梱包箱を示すものであり、図30はその梱包箱を構成する緩衝材を示し、図31はその梱包箱を構成する緩衝材をその箱本体の収容空間に嵌め入れたときの主要な部分の状態を示している。以下では、実施の形態1に係る梱包箱と共通する構成部分については同じ符号を付し(図面も含む)、その構成部分の説明も必要なときを除いて省略する。この点はこれ以降の各実施の形態においても同様とする。
【0097】
実施の形態2に係る梱包箱1を構成する箱本体2としては、実施の形態1における緩衝材3(図2、図7、図8等を参照)を同様に用いている。このため、箱本体2には、実施の形態1の場合と同様に、フラップ28,29に阻止部4A,4bとなる突出部28b,29bが形成されている(図8等)。また、その梱包箱を構成する緩衝材としては、図30に示すように、衝撃吸収性を有する部材(発泡体など)を用いて予め上部が開口した箱形状に作製した構造体(例えば発泡スチロール成形品)を適用している。
【0098】
緩衝材30は、平面が長方形の底面部31、底面部31の各辺部からそれぞれ立ち上がるように形成された4つの緩衝側面部32〜35を備えたものであって、少なくとも梱包時には箱本体2の収容空間S1に嵌め入れられて、箱本体2と収容空間S1に収容される被梱包物100との間に存在させた状態で使用される緩衝用の構造物である。この緩衝材30は、発泡体部材を用いて所要の形状に成形することにより製作される。このため、底面部31と緩衝側面部32〜35は、その発泡体部材自体による衝撃吸収性(厚さや形状にも左右される)を利用して緩衝性能が付与されている。また、底面部31及び4つの緩衝側面部32〜35の内面には、被梱包物100の外観形状に応じた形状、寸法、位置等の条件に基づいて構成される緩衝構造部(突出部など)が形成される。さらに、底面部31や4つの緩衝側面部32〜35の寸法等(厚さは除く)については、実施の形態1における緩衝材3の底面部31及び4つの緩衝側面部32〜35の条件とほぼ同じである。
【0099】
また、この緩衝材30においても、その底面部31に通気孔5C,5Dを形成している。この通気孔5C,5Dは、実施の形態1における通気孔5A,5Bと同じ条件で形成することができる。
【0100】
さらに、この緩衝材30においても、その第三緩衝側面部34及び第四緩衝側面部35
が、緩衝材30が箱本体2の収容空間S1に嵌め入れられたときに箱本体2の第三フラップ28及び第四フラップ29に形成された制止部4A,4Bとそれぞれ対峙する位置関係にあるため、この各側面部34,35に、緩衝材30を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れたときに制止部4A,4Bの部位41と突き当たるよう箱本体2の底板21側に位置して向かい合う状態になる部位61を有する被制止部6Eが形成されている。
【0101】
被制止部6Eは、第三側面部34及び第四側面部35の外側表面部34aにおける上部に正面から見て開口形状が矩形で上端が開放された全体が窪んだ形状の構造部(矩形の窪み部)66をそれぞれ形成し、その矩形の窪み部66の下辺部66aを前記した制止部4A,4Bの部位41と向かい合う部位61として使用するよう構成されている。
【0102】
被制止部6Eとしての矩形の窪み部66は、その下辺部66aの底面部31からの高さh5やその開口幅w6が、実施の形態1における貫通孔62等の高さh2や開口幅w6と同じ寸法に設定されている。また、矩形の窪み部66は、その開口高さh7が、側板24の高さHから窪み部の下辺部66aの高さh2を引いた寸法(H−h2)の値に設定されている。この窪み部66についても、その開口幅w6が阻止部4A,4Bとしての突出片28b,29bの幅よりも広い値に設定されているので、その突出片28b,29bの先端部分が窪み部66のなか(窪み)に侵入させることができる関係になっている。
【0103】
この緩衝材30を適用する梱包箱1による梱包を行うに当たっては、実施の形態1に係る梱包箱1の場合と同様に、はじめに緩衝材30を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れた状態にしておく。
【0104】
つまり、箱本体2について阻止部4A,4Bが形成されたフラップ28,29を収容空間S1内に存在するよう折り曲げられた状態にした後(図2、図8b参照)、その状態にある箱本体2の収容空間S1に緩衝材30を嵌め入れる。このとき、緩衝材30の底面部31が箱本体2の底板21と同じ形状であって寸法(長辺と短辺の寸法)が少し小さい程度の関係にあるが、この緩衝材30においても、底面部31に通気孔5C,5Dを形成している。このため、緩衝材30の箱本体2の収容空間S1への嵌め入れ作業は、実施の形態1における緩衝材3の嵌め入れ作業の場合と同様に、緩衝材30の底面部31と箱本体2の底板21との間の空間Eにある空気の抵抗を受けることなく容易に行われる。
【0105】
また、緩衝材30を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れる過程においては、緩衝材30の底面部31が箱本体2の底板21に接触する程度まで緩衝材33が収容空間S1に嵌め入れられると、フラップ28,29の突出片28b,29bにおける先端部28c,29cが、緩衝側面部34,35にそれぞれ形成された窪み部66と対峙した時点で、その外側面部34a,35aに接触していた状態から、前記した反力Fにより窪み部66の窪んだ空間に入り込んだ状態になる。
【0106】
この結果、緩衝材30における窪み部66の下辺部66a(被阻止部6Eにおける部位61)が、図31に示すように、フラップ28,29の突出片28b,29bにおける先端部28c,29c(阻止部4A,4Bにおける部位41)に対し、箱本体2の底板21側に相対的に位置して突き当たるよう向き合った状態になる。これにより、緩衝材30が箱本体2の収容空間S1内に嵌め入れられた状態になる。
【0107】
このときの梱包は、その緩衝材30の底面部31及び4つの緩衝側面部32〜35で囲まれる格納空間S4(図30)に対して被梱包物100が格納された後、箱本体2の第一フラップ26及び第二フラップ27を閉じた状態にすることで完了する。ちなみに、この梱包箱1で梱包された被梱包物100は、その箱本体2の上方の内壁面を除いた他の内壁面との間に緩衝材30が介在した状態になる。このため、梱包箱1が搬送時等において外部から衝撃等を受けた場合には、その衝撃が緩衝材30により吸収されて緩衝されるので、この梱包箱1で梱包された被梱包部100が、かかる外部の衝撃から保護されることになる。
【0108】
一方、この梱包箱1を開梱するに際しては、その開梱作業は梱包箱1について上記した梱包作業の各工程を逆に進めることで行うことができる。
【0109】
そのうち、被梱包物100を手で掴んで、梱包箱1の収容空間S1(実際には緩衝材30で形成される格納空間S4)から引き上げるようにして外部に取り出すとき、緩衝材30を箱本体2の収容空間S1に留めたままで、被梱包物100のみを緩衝材30による格納空間S4から取り出すことができる。
【0110】
つまり、緩衝材30が箱本体2の収容空間S1から取り出される方向Cに移動させられる外力を受けた場合、図31に示すように、緩衝材30の第三及び第四の緩衝側面部34,35に形成される各窪み部66の下辺部66a(被阻止部6A、6Bの部位61)が、箱本体2のフラップ28,29に形成された突出片28b,29bの先端部28c,29c(阻止部4A、4Bの部位41)に突き当たった状態になる。これにより、緩衝材30における被阻止部6Eである窪み部66の下面部66a(部位61)が、箱本体2における阻止部4A、4Bである突出片28b,29bの先端部28c,29c(部位41)に引っ掛かった状態となる。この結果、緩衝材30は、その取り出し方向Cへの移動が阻止され、箱本体2の収容空間S1から取り出されることなく収容空間S1に留まった状態におかれる。
【0111】
以上により、実施の形態2に係る梱包箱1の開梱作業が終了する。特にこの梱包箱1の場合においても、開梱のときに緩衝材30が破損することもなく箱本体2の収容空間S1に嵌め入れられた状態で存在するので、実施の形態1に係る梱包箱1の場合と同様に、梱包箱1を再使用することができる。
【0112】
なお、梱包箱1において緩衝材30を箱本体2の収容空間S1から取り外す必要があるときには、箱本体2の側板24と窪み部66の間の隙間に板状の部材などを差し入れてフラップ28,29の突出部28b,29bを反力Fに抗して外側(側板24,25に接近する方向)に押して変位させるという操作を行う。これにより、阻止部4A,4Bである突出部28b,29bの先端部28c,29cが、被阻止部6Eである窪み部66における下辺部66aと突き当たらない状態になるので、その状態において緩衝材30を取り出す方向Cに移動させることで収容空間S1から容易に取り外すことができる。
【0113】
[実施の形態2の変形例]
緩衝材30において緩衝側面部に形成する被阻止部6については、実施の形態2で例示した窪み部66(の下片部62a)のごとき構成(図30等)に限らず、例えば図32及び図34に例示する構成や、図35から図37に例示する構成を適用することもできる。これらの構成は、第三緩衝側面部34の反対側に配置される第四緩衝側面部35に形成する被阻止部6についても同様に適用できる。
【0114】
図32から図34に示す被阻止部6Gは、第三緩衝側面部34の外面部34aにおける下部にその外面部34aから側面部34の全幅にわたって外側に突出する水平面状の段差部67を形成し、その段差部67の段差面67aを被阻止部6Gの部位61として使用するように構成したものである。段差部67の段差面67aの形成位置の条件については、実施の形態2における窪み部66の下辺部66aの形成位置の条件と同じでよいが、異ならせても構わない。この段差部67については、第三緩衝側面部34の外面部34aの上部を削り取って、その上部を窪ませた形状に形成したものとして扱ってもよい。
【0115】
また、この段差部67で構成される被阻止部6Gと対の関係になる箱本体2においてフラップに形成される阻止部4としては、例えば、図33等に示すものを適用することができる。図33に例示される阻止部4Eは、第4のフラップ29についてその全幅w3を高さh2で切断した形状の全幅フラップ29eとして形成し、その全幅フラップ29eの自由端となる先端部29cを阻止部4Eの部位41として使用するよう構成したものである。この全幅フラップ29eの高さh2については、他の阻止部4としての突出部28bの高さh2と同じ寸法であるが、異なる寸法としても構わない。この阻止部4Eの構成は、第4のフラップ29とは反対側の第3のフラップ28に形成する阻止部4についても同様に適用することができる。
【0116】
この段差部67で構成される被阻止部6Gは、図34に示すように、緩衝材30を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れたときには、箱本体2において阻止部4Eを形成する全幅フラップ28eにおける先端部28cが、段差部67の段差面67aの上方に入り込む状態になることで、段差部67の段差面67aが底板21側に位置した状態で先端部28cと突き当たるように向き合った状態になる。これにより、緩衝材30を取り出す方向Cに移動させようとしても、被阻止部6Fである段差部67の段差面67aが阻止部4Eである全幅フラップ28eにおける先端部28cに突き当たってその移動が阻止されるので、緩衝材30が取り外されず収容空間S1に留まることになる。また、段差部67で構成される被阻止部6Gは、全幅フラップ28eにおける先端部28cが段差面67aの上方に存在する緩衝側面部34の外面部34aによって変位する範囲が規制されるので、例えば段差部67の段差面67aから外れた位置に変位するおそれがなく、その先端部28cと段差面67aの向き合った状態が安定して保たれる。
【0117】
一方、この緩衝材30を収容空間S1から取り出したいときには、例えば、以下の操作をして行う。すなわち、第3緩衝側面部34における外面部34aと全幅フラップ28eの隙間に細い部材や板状のものを差し入れて、全幅フラップ28eを箱本体2の側板24に接近させるように変位させることにより、その先端部28cを段差部67の段差面67aと突き当たらない位置にずらした状態にしたうえで、緩衝材30を上方に向く取り出し方向Cに移動させればよい。なお、箱本体2における全幅フラップ28eの先端部28cを緩衝材30の段差部の段差面67aとの突き当り状態から解除する構成として、次の構成を採用することも可能である。すなわち、図32及び図34に二点鎖線で示すように第3緩衝側面部34の中央部等に貫通部(凹部又は貫通孔)34mを形成しておき、緩衝材30を取り外すときに、二点鎖線の矢印で示すように指や部材を緩衝材30の内側から貫通部34mを通す状態で差し入れて全幅フラップ28eを段差部の段差面67aから離れる方向に押す操作を行うことで解除するものである。この構成は、図35等に示す緩衝材30に対しても同様に適用することができる。
【0118】
図35から図37に示す被阻止部6Hは、第三緩衝側面部34の外面部34aにおける下部にその外面部34aから側面部34の中央部において外側に突出する水平面状の突出部68を形成し、その突出部68の上段面68aを被阻止部6Hの部位61として使用するように構成したものである。突出部68の上段面68aの形成位置の条件については、実施の形態2における窪み部66の下辺部66aの形成位置(前記段差部67の段差面67aの形成位置でもよい)の条件と同じでよいが、異ならせても構わない。
【0119】
また、この突出部68で構成される被阻止部6Hと対の関係になる箱本体2においてフラップに形成される阻止部4としては、例えば、図36等に示すものを適用することができる。図36に例示される阻止部4Fは、第4のフラップ29についてその全幅w3の1/3程度の値からなる幅w4の中央部分を側板25の上端縁25aからの高さh2となるよう窪んだ形状に切断して得られる窪みフラップ29fとして形成し、その窪みフラップ29fの自由端となる先端部29cを阻止部4Eの部位41として使用するよう構成したものである。窪みフラップ29fの左右両側には、窪みフラップ29fの高さh2よりも高い高さh8の2つの突出フラップ部29g,29gが存在するように形成されている。この窪みフラップ29fの高さh2については、他の阻止部4としての突出部28bの高さh2と同じ寸法であるが、異なる寸法としても構わない。この阻止部4Fの構成は、第4のフラップ29とは反対側の第3のフラップ28に形成する阻止部4についても同様に適用することができる。
【0120】
この突出部68で構成される被阻止部6Hは、図37に示すように、緩衝材30を箱本体2の収容空間S1に嵌め入れたときには、箱本体2において阻止部4Fを形成する窪みフラップ28fにおける先端部28cが、突出部68の上段面68aの上方に入り込む状態になることで、突出部68の上段面68aが底板21側に位置した状態で先端部28cと突き当たるように向き合った状態になる。これにより、緩衝材30を取り出す方向Cに移動させようとしても、被阻止部6Hである突出部68の上段面68aが阻止部4Fである窪みフラップ28fにおける先端部28cに突き当たってその移動が阻止されるので、緩衝材30が取り外されず収容空間S1に留まることになる。また、突出部68で構成される被阻止部6Hは、窪みフラップ28fにおける先端部28cが上段面68aの上方に存在する緩衝側面部34の外面部34aによって変位する範囲が規制されるので、例えば突出部68の上段面68aから外れた位置に変位するおそれがなく、その先端部28cと上段面68aの向き合った状態が安定して保たれる。一方、この緩衝材30を収容空間S1から取り出したいときには、例えば、上記阻止部4Eと被阻止部6Gを形成した場合と同じ操作をして対処すればよい。
【0121】
そして、実施の形態2に係る梱包箱においても、例えば、実施の形態1の変形例で挙げた通気孔を塞ぐ蓋材を同様に採用することができる。この場合、その蓋材は、緩衝材30とは別体の蓋材として用意したものとなる。
【0122】
[実施の形態3]
図38と図39は実施の形態3に係る梱包箱を示すものであり、図38はその梱包箱を構成する緩衝材を示し、図39はその梱包箱を構成する箱本体の収容空間にその緩衝材を嵌め入れたとき状態を平面図として示している。
【0123】
図38に示す緩衝材3Bは、実施の形態1における緩衝材3(図9等)と対比した場合、第三緩衝側面部34の緩衝構造部38及び第四緩衝側面部35の緩衝構造部39に被阻止部6を形成せず(他の緩衝側面部32,33にも形成しない。)、その底面部31に通気孔5A,5Bを塞ぐ蓋材53A,53Bを形成した点で相違し、それ以外については同じ構成からなるものである。
【0124】
また、この緩衝材3Bと組み合わせて使用する箱本体2Bについても、実施の形態1における箱本体2(図7等)と対比した場合、図39に示すように、第三側板24及び第四側板25の各フラップ28,29に阻止部4を形成せず(他の側板22,23にも形成しない)、その阻止部4を形成しないフラップ28,29を箱本体2Bにおける通常の内蓋として構成した点で相違し、それ以外については同じ構成からなるものである。
【0125】
次に、実施の形態3に係る梱包箱1を用いた梱包作業の主な工程における状態について説明する。
【0126】
はじめに、梱包箱1においても、図39に示すように、箱本体2Bの収容空間S1に緩衝材3Bを嵌め入れた状態にする。具体的には、4つのフラップ26〜29を開く方向に折り曲げた状態にある箱本体2Bの収容空間S1に対し、緩衝材3Bをそのまま嵌め入れる。緩衝材3Bにおける蓋材53A,53Bについては、通気孔5を塞がない状態にしておく。
【0127】
このとき、緩衝材3Bの底面部31が箱本体2Bの底板21と同じ形状であって寸法(長辺と短辺の寸法)が少し小さい程度の関係にあるが、この緩衝材3Bにおいても、底面部31に通気孔5A,5Bが形成されている。このため、緩衝材3Bの箱本体2Bの収容空間S1への嵌め入れ作業は、実施の形態1における緩衝材3の嵌め入れ作業の場合と同様に、緩衝材3Bの底面部31と箱本体2Bの底板21との間の空間Eにある空気の抵抗を受けることなく容易に行われる。これにより、緩衝材3Bは、その底面部31が箱本体2Bの底板21に接触する程度まで嵌め入れられた時点で停止し、その嵌め入れ作業が完了する。
【0128】
これまでの工程により、図39に示すように、箱本体2Bの収容空間S1に緩衝材3Bが嵌め入れた状態にある梱包箱1が得られる。このときの梱包箱1は、実施の形態に係る梱包箱の場合と同様に、箱本体2の収容空間S1のなかに、緩衝材3Bの起立した状態の4つの緩衝側面部32〜35に囲まれた格納空間S2が新たに形成されたものになる。
【0129】
続いて、梱包箱1の格納空間S2に被梱包物100を格納する。この被梱包物100の格納のときには、予め手によって蓋材53A,53Bを変位させて通気孔5A,5Bを塞いだ状態にするか、あるいは、被梱包物100を収納する操作によりその被梱包物100の底部の一部が蓋材53A,53Bに触れて蓋材53A,53Bを押し下げるように変位させることで通気孔5A,5Bを塞いだ状態にする(図28bを参照。)。このようにして通気孔5A,5Bは、被梱包物100の格納が終了したときには、その通気性がほとんどなくなった状態におかれる。
【0130】
この梱包箱1の格納が終了した後に、緩衝材3Bの第一緩衝側面部32における緩衝構造部36を、曲げ部32bを内側に折り曲げることで、箱本体2Bの側板22(実際には緩衝材3Bの第一緩衝側面部32の側板部32a)と被梱包物100の間の隙間に介在させた状態にする。
【0131】
続いて、梱包箱1は、箱本体2Bの内蓋である第3及び第4のフラップ28,29を第三側板24及び第四側板25の各上端縁24a,25aで折り曲げて被梱包物100の長手方向の両端部における上部を覆うように閉じた状態にした後、同じく内蓋である第4のフラップ27を第二側板23の上端縁23aで折り曲げて被梱包物100の上部全体を覆うように閉じた状態にする。しかる後、箱本体2Bの外蓋である第一フラップ26を第一側板22の上端縁22aで折り曲げて第二フラップ27の上に重ねるように閉じた状態にする。そして最後に、箱本体2Bの第一フラップ26の差し込み片26bを、第二フラップ27の差込み切り欠き部27bに差し込んだ状態にする。これにより、梱包作業が完了する。
【0132】
この梱包箱1で梱包された被梱包物100は、実施の形態1に係る梱包箱の場合と同様に、その箱本体2Bのすべての内壁面との間に緩衝材3Bが介在した状態になる。このため、梱包箱1が搬送時等において外部から衝撃等を受けた場合には、その衝撃が緩衝材3Bにより吸収されて緩衝されるので、被梱包部100が外部の衝撃から保護されることになる。
【0133】
一方、この梱包箱1を開梱するに際しては、その開梱作業は梱包箱1について上記した梱包作業の各工程を逆に進めることで行うことができる。
【0134】
そのうち、被梱包物100を手で掴んで、梱包箱1の収容空間S1(実際には緩衝材3Bで形成される格納空間S2)から引き上げるようにして外部に取り出すとき、緩衝材3Bを箱本体2Bの収容空間S1に留めたままで、被梱包物100のみを緩衝材30による格納空間S4から取り出すことができる。
【0135】
これは、次の理由によるものと推測される。まず、開梱のときに緩衝材3Bが箱本体2Bの収容空間S1から引き出される方向に移動させられた場合には、通気孔5A,5Bが蓋材53A,53Bでふさがれた状態になっているので、通気孔5A,5Bから外部の空気が緩衝材3Bの底面部31と箱本体2Bの底板21との間の空間Eに流入することがない。このため、前述した内容(緩衝材3に通気孔5A,5Bが形成されていない場合の引き出しにくさ)のように緩衝材3Bの収容空間S1からの取り出しが空間Eの空気による抵抗を受けて難しくなる。従って、緩衝材3Bは、通気孔5A,5Bを塞がず開けた状態のままで開梱を行う構成の緩衝材の場合に比べると、箱本体2Bの収容空間S1から取り出されるおそれが少なくなり、その収容空間S1に留まりやすくなる。
【0136】
従って、この梱包箱1の開梱に際しても、緩衝材3Bを箱本体2Bの収容空間S1に留めたままで、被梱包物100のみを緩衝材3Bによる収納空間S2から取り出すことができる。このとき緩衝材3Bが破損するおそれもない。また、被梱包物100を取り出した後(被梱包物100と緩衝材3Bが接触していない状態で梱包されている場合にその被梱包物100を取り出し後も含む。)であっても、緩衝材3Bは箱本体2Bの収容空間S1に取り付けられた状態で保たれ、外れることがない。
【0137】
ちなみに、梱包箱1において緩衝材3Bを箱本体2Bの収容空間S1から取り外す必要があるときには、緩衝材3Bの底面部31にある蓋材53A,53Bを開けた状態に変位させて通気孔5A,5Bを通気可能な状態にする操作をした後に、緩衝材3Bを収容空間S1から取り出せばよい。これにより、緩衝材3Bを収容空間S1から容易に取り外すことができる。
【0138】
なお、通気孔5A,5Bを塞ぐ蓋については、図38に例示するように、緩衝材3Bとは別体の蓋材54A,54Bとして用意して適用するようにしても構わない。
【0139】
[他の実施の形態]
前記した各実施の形態では、箱本体2として長方形の底板21を備えた例を挙げたが、三角形、他の四角形、四辺形、五角形、六角形等の多角形からなる底板21を備えたものを適用することも可能である。この場合、緩衝材3としても、その底面部31が箱本体2の底板21の多角形と同じ形状からなるものが使用される。
【0140】
また、前記した各実施の形態では、制止部4及び被制止部6の数については、2つに限らず、1つであっても、あるいは3つ以上であっても構わない。その数については、例えば、底板21や底面部31の多角形における辺の総数から1を引いた数にすることができる。この他、制止部4の部位41や被制止部6の部位61についても、その形態、数等について変更することが可能である。
【0141】
また、前記した各実施の形態では、緩衝材3の底面部に形成する通気孔5についても、その数や形状や形成位置などを適宜変更することが可能である。
【0142】
さらに、梱包箱1は、その箱本体2や緩衝材3について、段ボール板を用いて作製する場合に限らず、他の板材(プラスチック製段ボール板、プラスチック板、発泡体など)を単独でまたは適宜組み合わせて用いることにより作製する構成を採用してもよい。
【0143】
最後に、この梱包箱1に収容する被梱包物100の種類についても、特に限定されない。このため、梱包箱1の全体(箱本体2及び緩衝材3)の形状や寸法等については、被梱包物100の形状や大きさ等に応じて設定される。
【符号の説明】
【0144】
1 …梱包箱
2 …箱本体
3,30…緩衝材
4 …制止部
5 …通気孔
6 …被制止部
21…底板
21a〜21d…底板の各辺部
22〜25…側板
22a〜25a…側板の上端縁
26〜29…フラップ(曲げ板)
28…突出片(制止部)
28a…先端部(制止部の部位)
31…底面部
31a〜31d…底面部の各辺部
32〜35…緩衝側面部
41…制止部の部位
53,54…蓋材(蓋)
61…被制止部の部位
62,63…貫通孔(被制止部。窪んだ形状の構造部)
62a,63a…下辺部(被制止部の部位。内壁部の一部)
100…被梱包物
301…傾き防止片
S1…収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形の底板、その底板の各辺部からそれぞれ立ち上がる複数の側板及びその各側板の上端縁でそれぞれ折れ曲がる複数の曲げ板を備え、前記底板及び側板で囲まれる空間を被梱包物が収容される収容空間として使用する箱本体と、
前記箱本体の底板と同じ多角形の底面部とその底面部の各辺部からそれぞれ立ち上がる複数の緩衝側面部を備え、前記箱本体の収容空間に嵌め入れられて前記箱本体と当該収容空間に収容される被梱包物の間に存在する緩衝材とを有し、
前記緩衝材の底面部に通気孔が形成され、
前記箱本体の少なくとも1つの曲げ板に、前記箱本体の収容空間内に折り曲げられて前記箱本体の底板と離れて向き合う状態になる部位を有する制止部が形成され、
前記少なくとも1つの曲げ部に形成された前記制止部と対峙することになる前記緩衝材の緩衝側面部に、前記緩衝材を前記箱本体の収容空間に嵌め入れたときに前記制止部の部位と突き当たるよう前記箱本体の底板側に位置して向かい合う部位を有する被制止部が形成されていることを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記制止部は、前記曲げ板のうち前記箱本体の収容空間内に折り曲げる部分の先端部であり、
前記被制止部は、前記曲げ板の先端部と向かい合う部位を有する窪んだ形状又は突出した形状の構造部である請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
前記窪んだ形状の被制止部は、前記緩衝材の緩衝側面部において貫通した状態になる貫通孔であり、その貫通孔の内壁部の一部を前記制止部の先端部と向かい合う部位として形成している請求項2に記載の梱包箱。
【請求項4】
前記緩衝材は、前記緩衝側面部を前記底面部の各辺部でそれぞれ折り曲げて起立させた状態にして使用する構造であり、
前記被制止部を形成した緩衝側面部が前記制止部から離れる方向に傾くことを防止する傾き防止片を、当該緩衝側面部、当該緩衝側面部と隣接する前記緩衝材の他の緩衝側面部又は前記底面部に形成している請求項1乃至3のいずれか1項に記載の梱包箱。
【請求項5】
前記通気孔を塞ぐ蓋を備えている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の梱包箱。
【請求項6】
前記蓋は、前記箱本体の収容空間に収容されるときの被梱包物に押されて前記通気孔を塞ぐ状態に変位するよう前記緩衝材の底面部に形成されている請求項5に記載の梱包箱。
【請求項7】
多角形の底板、その底板の各辺部からそれぞれ立ち上がる複数の側板及びその各側板の上端縁でそれぞれ折れ曲がる複数の曲げ板を備え、前記底板及び側板で囲まれる空間を被梱包物が収容される収容空間として使用する箱本体と、
前記箱本体の底板と同じ多角形の底面部とその底面部の各辺部からそれぞれ立ち上がる複数の緩衝側面部を備え、前記箱本体の収容空間に嵌め入れられて前記箱本体と当該収容空間に収容される被梱包物の間に存在する緩衝材とを有し、
前記緩衝材の底面部に通気孔が形成され、
前記通気孔を塞ぐ蓋を備えていることを特徴とする梱包箱。
【請求項8】
前記蓋は、前記箱本体の収容空間に収容されるときの被梱包物に押されて前記通気孔を塞ぐ状態に変位するよう前記緩衝材の底面部に形成されている請求項7に記載の梱包箱。
【請求項9】
前記緩衝材は、段ボールを折り曲げて組み立てられている請求項1乃至8のいずれか1項に記載の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2012−81976(P2012−81976A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228553(P2010−228553)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】