説明

棒状製品塗装装置及び棒状製品塗装方法

【課題】 棒状製品に樹脂をより容易に被覆する棒状製品塗装装置及び棒状製品塗装方法を提供する。
【解決手段】 棒状に形成される複数の棒状製品を内部に配置する容器と、タンク3に貯留される塗料に容器を浸漬させる浸漬装置7と、容器が塗料に浸漬されない状態で、容器を回転させる回転装置14、15とを備えている。このような棒状製品塗装装置1は、棒状製品を容器の内部に配置し、その棒状製品を容器と共に塗料に浸漬し、容器が塗料に浸漬されない状態で棒状製品を容器と共に回転させて、棒状製品から塗料を振り切る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状製品塗装装置及び棒状製品塗装方法に関し、特に、棒状の製品に樹脂を被覆する棒状製品塗装装置及び棒状製品塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車や自転車に例示される車両に適用されるスポークが知られている。図9は、公知の自動二輪車を示している。その自動二輪車100は、2つの車輪101−1、101−2を備えている。車輪101−1、101−2は、それぞれ、前輪と後輪とから形成されている。車輪101−i(i=1,2)は、軸受け111とハブ112とスポーク113とリム114とタイヤ115とから形成されている。軸受け111は、ハブ112を自動二輪車100の本体に回転可能に支持している。ハブ112は、金属から形成され、円盤状に形成されている。リム114は、金属から形成され、輪状に形成されている。スポーク113は、綱線から形成され、リム114をハブ112に支持している。タイヤ115は、ゴムから形成され、リム114の外周をおおうように配置されている。
【0003】
スポーク113は、棒状に形成されている棒状製品である。スポーク113は、一端が鉤型に形成され、他端に雄ネジが形成されている。スポーク113は、一端の鉤型がハブ112に形成された穴に引っ掛けられ、ハブ112から放射状に延びてリム114に連なり、他端がリム114に形成された穴にネジ止めされて、ハブ112とリム114とを同体に接合している。スポーク113は、綱線から形成される。スポーク113は、その綱線の表面に亜鉛めっき層が形成されている。スポーク113は、その亜鉛めっき層の外側にクロメート層が形成されている。すなわち、スポーク113は、一端に鉤型が形成され、他端に雄ネジが形成された後に、溶融亜鉛に浸漬されて亜鉛めっきされてその亜鉛めっき層が形成される。スポーク113は、亜鉛めっきされた後に、クロメート処理されてクロメート層が形成される。
【0004】
スポーク113は、自動二輪車100の走行中に砂などが当たるチッピングによりクロメート層またはクロメート層と亜鉛めっき層との両層が破壊されて錆び易くなる。より錆び難いスポークを自動二輪車に適用することが望まれている。スポークの腐食量は、使用される環境により変化し、使用される場所の海岸からの距離と平均気温と塩剤散布量と年間降雨日数と降雨pHとから推測することができる。ブラジルでの環境は、日本での環境より厳しく、特に、ブラジルで使用される自動二輪車100に適用されるスポークをより錆び難くすることが望まれている。
【0005】
スポーク113は、さらに、クロメート層の外側を樹脂でコーティングすると、砂などの粒子を跳ね返し、傷がつきにくくなり錆び難くすることができる。このため、スポークは、チッピングによる腐食を防止するために、樹脂にコーティングされることが望まれている。その樹脂は、スポーク113の金属光沢を妨げないように、可視光に関して概ね透明であることが好ましい。樹脂のコーティング方法としては、どぶ付け(浸漬塗装)、スプレー塗装が例示される。どぶ付けは、被塗装体を塗料に浸漬した後に取り出し、乾燥させることで塗装を行う方法である。スプレー塗装は、スプレーノズルにより被塗装体に塗料を吹き付けて積層させ、乾燥させることで塗装を行う方法である。スポークに例示される棒状製品に樹脂をより低コストに被覆することが望まれている。
【0006】
特開2000−84454号公報には、棒体状あるいは針状の塗布対象物の先端の一部に塗布物質で被覆されない領域をつくると同時に、それ以外の部分を塗布物質で被覆することを可能とし、その際、被覆しない領域を得るために、先端部をあらかじめマスキング材で被覆する必要がなく、マスキング材を使用することが困難な微少サイズであっても、先端に露出部分を設けることを可能とする塗布方法が開示されている。その塗布方法は、棒体状あるいは針状の塗布対象物に液状の塗布物質を塗布する際に、任意量の前記塗布物質を任意の大きさの容器中に移送する工程と、前記溶液中における前記塗布物質の液面位置を測定する工程と、前記塗布対象物の先端を検出する工程と、先端の検出位置から塗布対象物の長さを算出する工程と、液面位置と塗布対象物の長さから前記塗布対象物を浸漬するのに必要な移動量を算出する工程と、算出した移動量に基づいて前記塗布対象物を移動させ、前記塗布対象物を前記塗布物質中に浸漬する工程と、任意の時間経過後に任意の速度で前記塗布対象物を前記塗布物質から引き上げる工程により、前記塗布対象物の先端の一部に塗布物質で被覆されない領域を形成すると同時に、それ以外の領域の塗布対象物を塗布物質で被覆することを特徴としている。
【0007】
特開2001−129473号公報には、透明塗料の塗布量が適性であるか否かを容易に判定することができ、以って、塗装が施された成形品間における塗装品質のバラツキをなくし外観品質を成形品質で均一にすることができる成形品の塗装方法が開示されている。その成形品の塗装方法は、着色剤を所定の割合で含有させると共に構造性発色繊維片を分散混入させてなる透明塗料を、透明又は半透明の基材の裏面に塗布して透明塗膜層を形成し、この透明塗膜層の上に、色付き塗料を重ね塗りして色付き塗膜層を形成し、前記基材の表面側を被視認面側とするようにしている。
【0008】
特開平06−248201号公報には、太陽光の下では透明性を有し、特定波長の光照射によってのみ蛍光発光して標示機能を発揮し、耐久性、特に耐摩擦性および対向性が共に改善された潜在性蛍光標示用プラスチック材料を製造するための潜在性蛍光塗料組成物が開示されている。その潜在性蛍光塗料組成物は、太陽光の下では発色ないし蛍光発光することなく特定波長領域の光照射により蛍光発光し、その平均一次粒子径が0.5μm以下で且つ粒子径1.0μm以上の割合が顔料分布に対し10%以下である微細な蛍光顔料と、金属アルキシド重縮合物と、水および親水性有機溶媒とからなり、該金属アルコキシド重縮合物と該蛍光顔料とが金属アルコキシド重縮合物100重量部に対して蛍光顔料0.01〜10重両部の割合で配合されていることを特徴としている。
【0009】
【特許文献1】特開2000−84454号公報
【特許文献2】特開2001−129473号公報
【特許文献3】特開平06−248201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、棒状製品に樹脂をより容易に被覆する棒状製品塗装装置及び棒状製品塗装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明による棒状製品塗装装置(1)は、棒状に形成される複数の棒状製品(41)を内部に配置する容器(22−1〜22−10、31)と、タンク(3)に貯留される塗料に容器(22−1〜22−10、31)を浸漬させる浸漬装置(7)と、容器(22−1〜22−10、31)が塗料に浸漬されない状態で、容器(22−1〜22−10、31)を回転させる回転装置(14、15)とを備えている。このような棒状製品塗装装置(1)は、棒状製品(41)を容器(22−1〜22−10、31)の内部に配置し、その棒状製品(41)を容器(22−1〜22−10、31)と共に塗料に浸漬し、容器(22−1〜22−10、31)が塗料に浸漬されない状態で棒状製品(41)を容器(22−1〜22−10、31)と共に回転させて、棒状製品(41)から塗料を振り切ることにより、棒状製品(41)に塗料をより容易に塗布することができる。
【0013】
容器(22−1〜22−10、31)は、棒状製品(41)を立てた状態で内部に配置することが好ましい。
【0014】
回転装置(14、15)は、塗料に浸漬される状態で容器(22−1〜22−10、31)を更に回転させる。このとき、棒状製品塗装装置(1)は、塗料に浸漬された状態で容器(22−1〜22−10、31)を回転させることにより、棒状製品(41)に塗料を満遍なく絡めることができる。
【0015】
容器(22−1〜22−10、31)は、棒状製品(41)が入るバケット(31)と、バケット(31)を支持するホルダ(22−1〜22−10)とを備えている。このような棒状製品塗装装置(1)によれば、バケット(31)に棒状製品(41)を入れた後にそのバケット(31)をホルダ(22−1〜22−10)に設置することにより、棒状製品塗装装置(1)に棒状製品(41)をより容易に設置することができる。
【0016】
バケット(31)は、塗料が通るバケット穴(32)が形成され、ホルダ(22−1〜22−10)は、塗料が通るホルダ穴(23)が形成されている。ホルダ(22−1〜22−10)は、複数の位置でバケット(31)を支持可能である。このとき、ホルダ穴(23)とバケット穴(32)とが重なる面積は、その複数の位置毎に異なっている。すなわち、ホルダ(22−1〜22−10)がバケット(31)をその複数の位置のうちの第1位置に支持するときにホルダ穴(23)とバケット穴(32)とが重なる面積は、ホルダ(22−1〜22−10)がバケット(31)をその複数の位置のうちの第1位置と異なる第2位置に支持するときにホルダ穴(23)とバケット穴(32)とが重なる面積と異なる。このような棒状製品塗装装置(1)によれば、バケット(31)が固定される位置を変えることにより、壁面の総面積に対する穴の比が変化し、浸漬するときに、棒状製品(41)が塗料に浸漬する速さを調整することができる。回転させるときに、棒状製品(41)から塗料を振り切る速さを調整することができる。スポークに被覆される塗膜の厚さを変えることができる。
【0017】
容器(22−1〜22−10、31)は、開口部分より底部分が回転軸から離れている。このとき、スポークが容器(22−1〜22−10、31)から外に飛び出ない点で好ましい。
【0018】
本発明による棒状製品塗装方法は、本発明による棒状製品塗装装置(1)を用いて棒状製品(41)に塗料を塗布する方法である。本発明による棒状製品塗装方法は、棒状製品(41)を容器(22−1〜22−10、31)の内部に配置するステップと、浸漬装置(7)を用いて、棒状製品(41)を容器(22−1〜22−10、31)と共に塗料に浸漬するステップと、回転装置(14、15)を用いて、容器(22−1〜22−10、31)が塗料に浸漬されない状態で棒状製品(41)を容器(22−1〜22−10、31)と共に回転させて、棒状製品(41)から塗料を振り切るステップとを備えていることが好ましい。
【0019】
本発明による塗装方法は、塗料を振り切るステップの後に、棒状製品(41)に塗布された塗料が乾燥する前に棒状製品(41)に被覆された塗膜を検査するステップと、塗膜に欠陥が発見されたときに、塗膜が乾燥する前に塗料を再度塗布するステップと、塗膜に欠陥が発見されないときに、塗膜を乾燥するステップとを備えていることが好ましい。
【0020】
本発明による塗装方法は、本発明による棒状製品塗装装置(1)を用いて棒状製品(41)に塗料を塗布する方法である。本発明による棒状製品塗装方法は、本発明による棒状製品塗装装置(1)を用いて、棒状に形成される試験棒状製品(41)に塗料を仮に塗布するステップと、仮に塗布するステップにより試験棒状製品(41)に被覆された試験塗膜を検査するステップと、検査するステップによる検査結果に基づいて、(パラメータ)を設定するステップと、棒状製品塗装装置(1)を用いて、棒状製品(41)に塗料を(パラメータ)に基づいて塗布するステップとを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明による棒状製品塗装装置及び棒状製品塗装方法は、棒状製品に樹脂をより容易に被覆することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図面を参照して、本発明による棒状製品塗装装置の実施の形態を記載する。その棒状製品塗装装置1は、図1または図2に示されているように、ケーシング2の内部に防錆タンク3と回転治具4とを備えている。ケーシング2は、地盤に支持されている。防錆タンク3は、柱6と昇降装置7とを備えている。柱6は、柱状に形成され、鉛直方向に平行に配置されるようにケーシング2に支持されている。柱6は、防錆タンク3を昇降可能に支持している。昇降装置7は、モータから形成され、供給される電力を用いて防錆タンク3を昇降させる。
【0023】
回転治具4は、軸11と軸受け12とを備えている。軸受け12は、ケーシング2に支持され、回転軸13を中心に回転可能に軸11を支持している。軸11は、回転治具4に同体に接合されている。回転治具4は、さらに、回転装置14と伝達装置15とを備えている。回転装置14は、モータから形成され、供給される電力を用いて回転動力を生成する。伝達装置15は、回転装置14により生成された回転動力を軸11に伝達して、回転軸13を中心に回転治具4を回転させる。
【0024】
防錆タンク3は、塗料を貯留するタンクであり、側面の壁面の半分が塗料に接触しないように半分だけ塗料を貯留する。防錆タンク3は、昇降装置7により昇降されて3つの位置に配置される。回転治具4は、その3つの位置のうちの第1の位置に防錆タンク3が配置されるときに、防錆タンク3の上に配置され防錆タンク3から完全に露出される。回転治具4は、その3つの位置のうちの第2の位置に防錆タンク3が配置されるときに、回転治具4により保持される塗装対象が防錆タンク3に貯留される塗料に浸漬されるように塗料に浸漬される。回転治具4は、その3つの位置のうちの第3の位置に防錆タンク3が配置されるときに、塗料に接触しないで防錆タンク3の内部に配置されるように、防錆タンク3の塗料に接触していない側面の壁面と同じ高さに配置される。
【0025】
図3は、回転治具4を示している。回転治具4は、円盤21と複数のホルダ22−1〜22−10とから形成されている。円盤21は、鋼鉄から形成され、その中心が軸11に同体に接合されている。複数のホルダ22−1〜22−10は、それぞれ、円盤21の回転軸13を中心とする1つの円上に並んで配置されている。各ホルダ22−i(i=1,2,3,…,10)は、金属から形成され、側壁部分と底部分とから形成されている。その側壁部分は、円筒状に形成されている。その底部分は、円盤状に形成されている。その底部分は、側壁部分の一端に一体に接合され、側壁部分の筒の一端を閉じて側壁部分とともに容器を形成している。このとき、側壁部分は、底部分に接合されている側がその反対側より底面積がやや小さい。
【0026】
ホルダ22−iは、その側壁部分と底部分とに複数の穴23が形成されている。穴23のうちの底部分に形成されている穴の径は、塗装対象であるスポークが抜け落ちない程度に小さい。ホルダ22−iは、スポークを入れるバケットを保持するために利用される。ホルダ22−iは、さらに、側壁部分の底部分に接合されている側の反対側の縁に、図示されていない複数の切れ込みが形成されている。
【0027】
図4は、ホルダ22−iにより保持されるバケットを示している。そのバケット31は、樹脂から形成され、側壁部分と底部分とから形成されている。その側壁部分は、円筒状に形成されている。その側壁部分の外径は、ホルダ22−iの側壁部分の内径より小さく、塗装対象であるスポークの長さより小さい。その底部分は、円盤状に形成されている。その底部分は、側壁部分の一端に一体に接合され、側壁部分の筒の一端を閉じて側壁部分とともに容器を形成している。このとき、側壁部分は、底部分に接合されている側がその反対側より底面積がやや小さい。
【0028】
バケット31は、その側壁部分と底部分とに複数の穴32が形成されている。穴32のうちの底部分に形成されている穴の径は、塗装対象であるスポークが抜け落ちない程度に小さい。バケット31は、塗装対象であるスポークを保持するために利用される。ホルダ22−iは、さらに、側壁部分の底部分に接合されている側の反対側の縁に、爪33が形成されている。バケット31は、ホルダ22−iの内部に保持されるときに、ホルダ22−iに形成される複数の切れ込みのうちの一つの切れ込みに爪33が引っ掛かる。すなわち、ホルダ22−iは、バケット31を複数の位置で支持することができる。このとき、バケット31の穴32とホルダ22−iの穴23とがそれぞれ重なる部分の面積は、爪33が引っ掛かる切れ込み毎に異なる。
【0029】
図5は、塗装対象であるスポークを示している。そのスポーク41は、棒状に形成されている棒状製品である。スポーク41は、一端42が鉤型に形成され、他端43に雄ネジが形成されている。スポーク41は、綱線から形成される。スポーク41は、その綱線の表面に亜鉛めっき層が形成されている。スポーク41は、その亜鉛めっき層の外側にクロメート層が形成されている。すなわち、スポーク41は、一端42に鉤型が形成され、他端43に雄ネジが形成された後に、溶融亜鉛に浸漬されて亜鉛めっきされてその亜鉛めっき層が形成される。スポーク41は、亜鉛めっきされた後に、クロメート処理されてクロメート層が形成される。
【0030】
スポーク41は、自動二輪車または自転車に例示される車輪に適用されて、その車輪のハブとリムとを同体に接合している。すなわち、スポーク41は、一端42の鉤型がそのハブに形成された穴に引っ掛けられ、そのハブから放射状に延びてリムに連なり、他端43がそのリムに形成された穴にネジ止めされて、そのハブとそのリムとを同体に接合している。
【0031】
本発明による棒状製品塗装方法の実施の形態は、棒状製品塗装装置1を用いて実行され、スポーク41を塗装する動作と塗装に関するパラメータを設定する動作とを備えている。
【0032】
図6は、スポーク41を塗装する動作を示している。スポーク41を塗装する作業者は、まず、鉤型に形成された一端42の側を下にしてスポーク41を立てた状態で、スポーク41をバケット31に入れる(ステップS1)。このような入れ方は、スポーク41がバケット31の底部分の穴からはみ出ることを防止する。スポーク41は、1つのバケット31に100本ずつ入れられる。作業者は、次いで、スポーク41が入れられた複数のバケット31をホルダ22−1〜22−10にそれぞれセットする(ステップS2)。このとき、バケット31は、爪33がホルダ22−iの複数の切れ込みのうちの所定の切れ込みに引っ掛けられて、ホルダ22−iに保持される。このように、所定の切れ込みに引っ掛けることにより、バケット31の穴32とホルダ22−iの穴23とがそれぞれ重なる部分の面積は、所定の面積に設定されることができる。
【0033】
棒状製品塗装装置1は、バケット31がホルダ22−iに保持された後に、防錆タンク3を上昇させてスポーク41をバケット31とホルダ22−1〜22−10とごと塗料に浸漬させる(ステップS3)。棒状製品塗装装置1は、図7に示されているようなスポークをバケット31ごと塗料に浸漬させた状態で、バケット31を回転させる。その回転は、15秒間の右回転と、その右回転の後に15秒間の左回転とから形成される。
【0034】
棒状製品塗装装置1は、スポークをバケット31ごと塗料に浸漬した後に、回転治具4が塗料に接触しないで、かつ、回転治具4が防錆タンク3の内部に配置されるように、防錆タンク3を下降させる。棒状製品塗装装置1は、スポークをバケット31ごと20秒間だけ右回転させて、スポークから塗料を振り切る(ステップS4)。
【0035】
棒状製品塗装装置1は、スポークから塗料を振り切った後に、防錆タンク3の上に配置され防錆タンク3から完全に露出されるように、防錆タンク3を下降させる。作業者は、回転治具4からバケット31を取り出して、バケット31からスポークを取り出してトレイに並べる(ステップS5)。そのトレイに並べられたスポークは、塗膜に欠陥があるかどうか判別される(ステップS6)。スポークは、塗膜に欠陥があるときに(ステップS6、NG)、再度バケット31に入れられて、ステップS1〜S5が繰り返して実行される。
【0036】
スポークは、塗膜に欠陥がないときに(ステップS6、OK)、トレイごと乾燥機に入れられ、50℃で5分間だけプレヒートされる(ステップS7)。スポークは、プレヒートされた後に、80℃で10分間だけ加熱されて乾燥されて仕上げられる(ステップS8)。
【0037】
このような(動作)は、どぶ付け(浸漬塗装)、スプレー塗装が例示される従来の樹脂のコーティング方法より容易であり、より低コストにスポークに塗膜を被覆することが望まれている。
【0038】
さらに、ステップS2の動作によれば、スポークを浸漬するときにスポークが塗料に浸漬される速さを調整することができ、スポークを回転させるときにスポークから塗料を振り切る速さを調整することができる。この結果、スポークに被覆される塗膜の厚さを変えることができる。
【0039】
図8は、パラメータを設定する動作を示している。パラメータを設定する設計者は、まず、様々なパラメータをそれぞれ設定する。そのパラメータとしては、塗料の粘度とバケット31にスポークを挿入する向きとスポークを塗料に浸漬する浸漬時間とスポークから塗料を振り切る回転時間とプレヒートする温度とプレヒートする時間と乾燥する温度と乾燥する時間と1つのバケットに入れるスポークの本数とが例示される。設計者は、図6のスポーク41を塗装する動作を実行して、設定された様々なパラメータでそれぞれ塗装された複数のスポークを調製する(ステップS21)。
【0040】
設計者は、その複数のスポークの塗膜をそれぞれ検査する(ステップS22)。設計者は、その複数のスポークのうちから最良のスポークを選別し、選別されたスポークを塗装するときに用いられたパラメータを求める(ステップS23)。
【0041】
図6のスポーク41を塗装する動作は、このようなパラメータを設定する動作により求められたパラメータを用いて実行される。このように設定されたパラメータを用いてスポーク41を塗装することは、スポーク41の塗膜に欠陥を発生させない点で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明による棒状製品塗装装置の実施の形態を示す正面図である。
【図2】図2は、本発明による棒状製品塗装装置の実施の形態を示す側面図である。
【図3】図3は、回転治具を示す平面図である。
【図4】図4は、バケットを示す斜視図である。
【図5】図5は、スポークを示す平面図である。
【図6】図6は、スポークを塗装する動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、スポークを塗料に浸漬しているときの棒状製品塗装装置を示す側面図である。
【図8】図8は、塗装に関するパラメータを設定する動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、公知の自動二輪車を示す側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 :棒状製品塗装装置
2 :ケーシング
3 :防錆タンク
4 :回転治具
6 :柱
7 :昇降装置
11:軸
12:軸受け
13:回転軸
14:回転装置
15:伝達装置
21:円盤
22−1〜22−10:ホルダ
23:穴
31:バケット
32:穴
33:爪
41:スポーク
42:一端
43:他端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状に形成される複数の棒状製品を内部に配置する容器と、
タンクに貯留される塗料に前記容器を浸漬させる浸漬装置と、
前記容器が前記塗料に浸漬されない状態で、前記容器を回転させる回転装置
とを具備する棒状製品塗装装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記容器は、前記棒状製品を立てた状態で内部に配置する
棒状製品塗装装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかにおいて、
前記回転装置は、前記塗料に浸漬される状態で前記容器を更に回転させる
棒状製品塗装装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記容器は、
前記棒状製品が入るバケットと、
前記バケットを支持するホルダとを備える
棒状製品塗装装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記バケットは、前記塗料が通るバケット穴が形成され、
前記ホルダは、前記塗料が通るホルダ穴が形成され、
前記ホルダは、複数の位置で前記バケットを支持可能であり、
前記ホルダ穴と前記バケット穴とが重なる面積は、前記複数の位置毎に異なる
棒状製品塗装装置。
【請求項6】
請求項1または請求項のいずれかにおいて、
前記容器は、開口部分より底部分が回転軸から離れている
棒状製品塗装装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の棒状製品塗装装置を用いて前記棒状製品に前記塗料を塗布する棒状製品塗装方法であり、
前記棒状製品を前記容器の内部に配置するステップと、
前記浸漬装置を用いて、前記棒状製品を前記容器と共に前記塗料に浸漬するステップと、
前記回転装置を用いて、前記容器が前記塗料に浸漬されない状態で前記棒状製品を前記容器と共に回転させて、前記棒状製品から前記塗料を振り切るステップ
とを具備する棒状製品塗装方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記塗料を振り切るステップの後に、前記棒状製品に塗布された塗料が乾燥する前に前記棒状製品に被覆された塗膜を検査するステップと、
前記塗膜に欠陥が発見されたときに、前記塗膜が乾燥する前に前記塗料を再度塗布するステップと、
前記塗膜に欠陥が発見されないときに、前記塗膜を乾燥するステップ
とを具備する塗装方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の棒状製品塗装装置を用いて前記棒状製品に前記塗料を塗布する棒状製品塗装方法であり、
前記棒状製品塗装装置を用いて、棒状に形成される試験棒状製品に前記塗料を仮に塗布するステップと、
前記仮に塗布するステップにより前記試験棒状製品に被覆された試験塗膜を検査するステップと、
前記検査するステップによる検査結果に基づいて、パラメータを設定するステップと、
前記棒状製品塗装装置を用いて、前記棒状製品に前記塗料を前記パラメータに基づいて塗布するステップ
とを具備する棒状製品塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−75705(P2006−75705A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261628(P2004−261628)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】