椅子
【課題】 治療を開始するまでの操作が面倒であり、また、手間がかかるため治療開始までの時間が長くなり、さらに、もし座部が最低位のまま背凭れを後傾させた場合、医師の膝に背凭れがぶつかる可能性があった。
【解決手段】 後方に起立板4bが設けられた座部4と、背凭れ3が取り付けられ、かつ、前記起立板に軸支される背凭れリンク3cと、上方で該背凭れリンクを回動自在に支持する床面に固定された台座1に起立状態で取付けられた基台2と、該基台の下方において一端が軸支され他端が前記座部の下方において軸支された座部リンク6と、前記台座に一端が軸支された起伏用アクチュエータ7とから構成した椅子である。
【解決手段】 後方に起立板4bが設けられた座部4と、背凭れ3が取り付けられ、かつ、前記起立板に軸支される背凭れリンク3cと、上方で該背凭れリンクを回動自在に支持する床面に固定された台座1に起立状態で取付けられた基台2と、該基台の下方において一端が軸支され他端が前記座部の下方において軸支された座部リンク6と、前記台座に一端が軸支された起伏用アクチュエータ7とから構成した椅子である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科医院や眼科医院あるいは全身マッサージや全身エステ、顔のエステ等の施術を受ける時に使用される、施術時に背凭れとレッグレストを水平状態に変化させることで着座姿勢の被施術者を治療に適した姿勢に移行させることが可能な椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における前記した施術に使用する椅子(医療用椅子)としては、例えば、特開平10−127400号公報(特許文献1)に開示された技術がある。この技術は、患者が椅子に着座する時には、床面に設置された台座に対して昇降可能に取付けられた座部に対し背凭れを起立状態とし、かつ、レッグレストを座部に対して垂下状態とし、その状態において着座姿勢の患者と医師とがコンサルティングを行い、治療時には、先ず、座部を台座に対して上昇させ、次いで、背凭れとレッグレストを水平状態に変移させて患者を着座姿勢から治療に適した仰臥姿勢に移行させるというものであった。
【0003】
また、患者が楽な姿勢で治療を受けられるように、前記技術や実開昭59−69729号公報(特許文献2)に開示されている技術のように、背凭れの後傾に伴い座部をその前方が高くなるように傾斜させる機構を有するものもあった。
【0004】
ところで、特許文献1のような医療用椅子にあっては、楽に着座できるよう、座部を最低高さ位置まで下降させた状態にして患者を座らせる。そして、その高さ位置で背凭れを後傾し水平状態に変移させた場合では背凭れの上端部が治療椅子に着座している医師の膝にぶつかったり患者の口腔あるいは目の位置が医師にとって低すぎてしまうため、先ず、座部を上昇させ、その後に背凭れを水平状態に変移させ、さらにその後に必要に応じて医師が治療やすくなるよう座部の高さを微調整するといった操作が必要であった。また、特許文献2にあっては、構造が複雑で部品点数や組立工数が多くなり製造コストが高くなり、かつ、座部を昇降するする技術については何ら開示されていないものであった。
【0005】
さらに、椅子を鉛直方向に昇降させるための昇降機構として、例えば、特開昭58−22059号公報(特許文献3)に開示されている技術のように、シリンダで昇降自在とした可動昇降部を外側案内筒でガイドする昇降装置がある。この構造は、昇降シリンダと略四角柱の可動昇降部とを平行に立設し、可動昇降部を外側案内筒に取り付けられたガイドローラによって円滑に上下動させるものである。この発明のように複数の円筒体を組み合わせ多段構造とすることで昇降部の上昇量を大きくすることは可能であるが、ガタが発生しやすく安定性に欠けると共に、部品点数、組立工数が多くなるために製造コストが高くなる。また、昇降機構は座部と床との間に配置されているため、座部を座りやすい高さにすると椅子の上昇量が十分ではなかった。
【特許文献1】特開平10−127400号公報
【特許文献2】実開昭59−69729号公報
【特許文献3】特開昭58−22059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した背景技術で述べた前記従来例にあっては、前記した治療を開始するまでの操作が面倒であり、また、手間がかかるため治療開始までの時間が長くなり、さらに、もし座部が最低位のまま背凭れを後傾させた場合、医師の膝に背凭れがぶつかる危険があり、また、座部の上昇量には限界があるため、医師にとって立位で検査や治療を施すに適した高さまで十分に上昇させることができなかった。
【0007】
また、背凭れ角を調節するに伴い着座している患者の頭部位置が大きく変動するため、患者にとっては恐怖心や不快感を感じたり、医師にとっては変動する患者の目や口の位置に合わせて自身が座る椅子の高さや照明,治療器具の位置を大きく修正しなくてはならなかった。
【0008】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、どんな体格の患者も着座しやすく、その後の椅子の動作で恐怖心を生じさせることなく簡単に治療に適した状態に移行させることができ、また、治療に適した高さまで十分に上昇させることができ、さらに、構造が簡単で安価に製造することができる医療用椅子を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の椅子は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、後方に起立板が設けられた座部と、背凭れが取り付けられ、かつ、前記起立板に軸支される背凭れリンクと、上方で該背凭れリンクを回動自在に支持する床面に固定された台座に起立状態で取付けられた基台と、前記基台の下方において一端が軸支され他端が前記座部の下方において軸支された座部リンクと、前記台座に一端が軸支された起伏用アクチュエータとから構成し、前記起伏用アクチュエータの伸長により前記座部を水平状態に変移させながら上昇させ、前記座部の上昇に伴って起立板を介して背凭れを水平状態に変移させることを特徴とする。
【0010】
請求項2の手段は、後方に起立板が設けられた座部と、背凭れが取り付けられ、かつ、前記起立板に軸支される背凭れリンクと、上方で該背凭れリンクを回動自在に支持する基台と、下部が床面に固定され前記基台を支持する台座と、前記基台の上部の一角部が軸支され中間部が前記座部の下方先端が軸支された座部リンクと、該座部リンクに一端が軸支され他端が前記座部の前方裏面側に軸支された起伏用アクチュエータとから構成し、前記起伏用アクチュエータの伸長により座部リンクが回転することで、前記座部を上昇させ、前記座部の上昇に伴って起立板を介して背凭れを水平状態に変移させることを特徴とする。
【0011】
請求項3の手段は、前記した請求項1または2において、前記座部リンクと、前記座部の前方に軸支されたレッグレストとをレッグレストリンクで接続し、前記起伏用アクチュエータの伸長により座部リンクが回転することで前記レッグレストリンクが変移して前記レッグレストを水平状態に変移させるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の手段は、前記した請求項1または2において、前記背凭れリンクと、前記座部の前方に軸支されたレッグレストとをレッグレストリンクで接続し、前記起伏用アクチュエータの伸長により背凭れリンクが回転することで前記レッグレストリンクが変移して前記レッグレストを水平状態に変移させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の手段は、請求項1または2において、前記基台を前記台座に立設した直上ガイドと該直上ガイドに平行に配置した昇降用アクチュエータとによって支持し、昇降用アクチュエータが伸張し、直上ガイドが基台を上下動自在に案内することにより前記基台が上方へ直進移動することを特徴とする。
【0014】
請求項6の手段は、前記した請求項5において、昇降用アクチュエータと直上ガイドを、椅子状態における前記座部の上面水平面より高い位置に基台に形成された背凭れリンクの軸支部の直下に立設し、昇降ストロークを大きくしたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の手段は、前記した請求項5において、前記昇降用アクチュエータと前記直上ガイドは、台座に垂直状態で起立したシリンダを四角形状に形成すると共に該シリンダの4つの角部をガイド面としたアクチュエータと、下部四隅に前記ガイド面に対して転動するガイドローラを取付けた基台とで構成し、前記シリンダの外周に基台を嵌挿することを特徴とする。
【0016】
請求項8の手段は、前記した請求項5において、前記昇降用アクチュエータは前記基台と一体的に取り付けられた油圧シリンダであり、前記基台には直交する2面にガイドローラが軸支されており、前記ガイドは平面L字状に形成され台座に対して垂直状態で立設されると共に互いに直交する面にガイド溝が形成されており、昇降用アクチュエータからピストンが鉛直下向きに出没し、前記ガイドがガイドローラを前記ガイド溝で上下自在に案内することにより、前記基台はピストンが前記台座を押し付ける反作用によって上方へ直進移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の椅子における請求項1および2にあっては、起伏用アクチュエータを伸長することにより、座部が上昇しながら背凭れが座部の上面における水平面より高い位置にある基台との軸支点を中心にして水平状態へ変移するので、従来のように事前に座部を上昇させなくとも背凭れが伏倒するだけで患者の目や口の位置が治療椅子に着座している医師にとって頃合いの高さとなり、かつ、簡単な操作で施術までの時間が短縮され、また、背凭れの伏倒時に背凭れの上端が医師の膝に当たることがない。さらに、背凭れの伏倒に伴う患者の頭部の揺動量が小さいので、患者の三半規管に対する変移が小さくなって恐怖心や不快感を与えることがない。
【0018】
また、診療中に背凭れの伏倒度合いの調節で患者の開口方向を変える場合の口の位置の変動を抑えることができ、医師の治療椅子の高さや照明、治療器具の位置の修正が少なくてすみ作業性の向上を図ることができる。
【0019】
さらに、座部の上昇動作、座部の傾斜動作、背凭れの伏倒動作を、基台を固定節、背凭れリンクを出力節、座部台と座部リンクを入力節または媒介節の何れかとした四節で実現したため、部品点数と組み立て工数が少なく製造コストの低減を図ることができると共に、昇降用アクチュエータが不要であることから、製品全体がコンパクトになると共に部品点数、組み立て工数が大幅に減り製造コストが安価になる。
【0020】
また、請求項1にあっては、椅子状態では前方が高くなるよう少し傾斜した座部が、背凭れの伏倒動作と共に上昇しながら水平になるようにしたので、背もたれが起立した状態では患者は安定した着座姿勢をとることができ、背もたれが伏倒した状態では術者は患者を背もたれと座面が完全な同一水平面に寝かせることが可能である。
【0021】
請求項3および4にあっては、レッグレストリンクを加えることで、座部の上昇と背もたれの伏倒に伴ってレッグレストを垂直状態から水平状態に変移するようにしたので、患者は、椅子の乗り降りがしやすくなると共に、仰臥姿勢へ楽に移行することができる。
【0022】
請求項5にあっては、前記基台を前記台座に立設した直上ガイドと該直上ガイドに平行に配置した昇降用アクチュエータとによって支持し、昇降用アクチュエータが伸張し、直上ガイドが基台を上下動自在に案内することにより前記基台が上方へ直進移動するようにしたので、椅子全体が基台を介して昇降用アクチュエータの伸縮で上下動するため、医師が椅子の高低を調節することで、患者の施術部位を医師の希望する高さに調整することができる。
【0023】
請求項6にあっては、昇降用アクチュエータと直上ガイドを、椅子状態における前記座部の上面水平面より高い位置に基台に形成された背凭れリンクの軸支部の直下に立設したので、従来のように昇降用アクチュエータと直上ガイドを座部直下に立設した場合と比較して昇降ストロークを大きくとれるため、従来以上に座部の初期位置は低く、従来以上に座部の上昇量を持たせることができ、特に子供や高齢者にとっては椅子への乗り降りがしやすくなり、また、医師にとっては立位で検査や治療を施すのに適した高さまで十分に上昇させることができる。
【0024】
請求項7にあっては、昇降用アクチュエータは、台座に垂直状態で起立されたアクチュエータのシリンダを四角形状に形成すると共に該シリンダの4つの角部をガイド面とし、前記シリンダの外周に直上ガイドを嵌挿し、前記直上ガイドの上部四隅に前記ガイド面に対して転動するガイドローラを取付けたので、直上ガイドと昇降用アクチュエータを別々に立設する場合に比べコンパクトになる。
【0025】
請求項8にあっては、昇降用アクチュエータは基台と一体的に取り付けられた油圧シリンダであり、基台には直交する2面にガイドローラが軸支されており、ガイドは平面L字状に形成され台座に対して垂直状態で立設されると共に互いに直交する面にガイド溝が形成されており、昇降用アクチュエータからピストンが鉛直下向きに出没し、前記ガイドがガイドローラを前記ガイド溝で上下自在に案内することにより、前記基台はピストンが前記台座を押し付ける反作用によって上方へ直進移動するようにしたので、略四角柱の可動昇降部を四方からガイドローラで囲む場合に比べ直上ガイドはコンパクトとなる。また、ガイドローラを増やすことで、ガタの発生を抑えたり、椅子の前後方向の荷重変化に対して十分な剛性をもって椅子の姿勢を保持することができるなどの効果が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、どんな体格の患者でも着座しやすく、その後の椅子の動作で恐怖心を与えることがなく治療に適した状態に移行させることができ、かつ、治療に適した高さまで上昇させることができる治療用椅子である。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明に係る椅子を医療用椅子とした場合の第1の実施例を図1〜図4と共に説明する。
1は歯科医院や耳鼻科医院等の病院の床面に固定される台座、2は該台座から斜め後方に向かって僅かに傾斜した状態で固定される一対の基台、3は背凭れにして、該背凭れ3の背凭れ基板3aは前記基台2の頂部に両側から回動自在に軸3b軸支されている。また、背凭れ基板3aの両側面から前方に突出した状態で背凭れリンク3cが取付けられている。
【0028】
4は座部にして、該座部4の座部基板4aの両側には前記背凭れリンク3cの一端が軸支される起立板4bが一体的に取付けられている。また、前記起立板4bと背凭れリンク3cとの軸支点は基台2と背凭れリンク3cとの軸3bより低い位置となっている。さらに、座部4は椅子状態において後方が前方より低い状態となし、患者が座部4に腰掛けた状態で安定した姿勢になるようにした。しかし、この実施例のように座部4の前方が後方より高くなるように構成したが、必ずしもこの実施例に限定されるものではなく、椅子状態において水平状態となるようにしもよい。
【0029】
5は座部基板4aの裏面に図示において三角形状に形成された一辺が固定された座部台にして、該座部台5の角部は、一端が前記基台2の下方に軸支されたU字状の座部リンク6の他端に軸支されている。
【0030】
7は一端が前記座部基板4aに軸支され、他端が前記台座1に軸支された起伏用アクチュエータ、8,9は上端が前記座部基板4aの左右に軸支された平行リンクにして、他端は患者が座部4bに座る時に乗るステップ10の支持台10aに軸支されている。そして、一方の平行リンク8にはレッグレスト11が取り付けられ、8の上方の間に設けられた固定軸11aには一端が座部リンク6におけるU字状中間部に軸支されたレッグレストリンク12の他端が軸支されている。
【0031】
次に、前記した構成に基づいて動作を説明するに、図1に示す椅子の状態においては座部4の後方が下方に傾斜しているので、患者はステップ10aから座部4に腰掛けた状態で安定した姿勢となる。この着座した状態で台座1に設けられたフットスイッチあるいはドクターテーブル上に設けられたボタン状スイッチ(何れも図示せず)を操作すると、起伏用アクチュエータ7に油が注入されてピストンが突出するので、座部基板4aの後方側が押し上げられる。
【0032】
前記座部基板4aが押し上げられると、該座部基板4aの起立板4bに軸支されている背凭れリンク3cが基台2との軸支点3bを回転中心として時計方向に回動され、座部4が上昇すると共に背凭れ3は伏倒状態に変移する。
【0033】
この時、座部4の上面水平面より背凭れ3の軸3bが高い位置にあるので、従来のように座部を事前に上昇させないでも、背凭れ3が後傾するだけで患者のめや口の位置が治療椅子に着座している医師にとって頃合いの高さとなり、また、施術までの時間短縮が図れると共に背凭れ3の上端部が医師の膝に当たることがない。
【0034】
また、背凭れ3の後傾に伴う患者の頭部の揺動量が小さいので、患者の三半規管に対する変移が小さくなって恐怖心や不快感を与えることがなく、診療中、背凭れの後傾度合いの調節で患者の開口方向を変える場合の口の位置の変動を抑えることができ、医師の治療椅子の高さや照明、治療器具の位置の修正が少なくて済み、作業性が良好となる。
【0035】
前記座部基板4aが上昇することにより、該座部基板4aの裏面に取付けられている座部台5も上昇するので、該座部台5の先端に軸支されている座部リンク6が基台2との軸支点6aを回転中心として時計方向に回動する。すなわち座部5にとって座部リンク6は軸支点5aを回転中心として時計方向に回動する。
【0036】
この座部リンク6が軸支点5aを回転中心として時計方向に回動する力はレッグレストリンク12を介して平行リンク8に伝わり、平行リンク8が座部基板4aとの軸支点を回転中心として時計方向に回動されるので、レッグレスト11も平行リンク8と共に変移する。また、平行リンク8の変移によって、該平行リング8と支持台10aを介して軸支された他の平行リンク9も平行リンク8と共に変移し、従って、支持台11aは水平状態を維持しながら上昇する。
【0037】
前記座部基板4aの上昇時において、後傾姿勢である座部基板4aは徐々に水平状態となる。該座部基板4aが水平状態に移行させるためには、3bと4cの距離、3bと6aの距離、6aと5aの距離、5aと4cの距離を適宜寸法決定することで可能となる(図2参照)。
【0038】
さらに、患者が着座状態で医師が患者の前方あるいは側面から治療を行う場合には、起伏用アクチュエータ7のピストンの吐出量を調整することで治療が行い易い位置に変移することができる。そして、患者が仰臥姿勢の状態で治療を行う場合には、起伏用アクチュエータ7に対してさらに油を供給すると、図3に示すように、座部4に対して背凭れ3、レッグレスト11およびステップ10は平坦状態となり、患者は頭部から足先までを背凭れ3、座部4、レッグレスト11およびステップ10で支持され、安楽な姿勢で治療を受けることが可能となる。
【0039】
なお、前記した説明にあっては、平行リンク8に一端が軸支されたレッグレストリンク12の他端を座部リンク6の中間部に軸支することで、平行リンク8を起伏させ、該起伏に伴ってレッグレスト11を起伏させる場合について説明したが、図1の仮想線で示すように背凭れリンク3aの下方に延長した延長部3dにレッグレストリンク12の他端を軸支することで、前記したと同様に座部基板4aの上昇、下降に伴って背凭れ基板3、平行リンク8,9およびレッグレスト11を起伏させることが可能となる。
【実施例2】
【0040】
次に、前記した第2の実施例に実施例を図4〜図6と共に説明する。なお、前記した第1の実施例と同一符号は同一部材を示し説明は省略する。
第2の実施例にあっては、背凭れ3の背凭れ基板(図示せず)の下端部には背凭れリンク3が取り付けられており、背凭れリンク3は、弓状側面の円弧部3cからL字状に形成された連結部3dの先端が第1実施例における座部4の起立板4bとの軸支点4cで連結されている。
【0041】
また、座部リンク6は四角形状に形成されており、上方の頂角の1つが基台2に軸支され、起伏用アクチュエータ7のピストン先端は、前記基台2と軸支された座部リンク6との軸支点よりも上方の他の頂角に軸支されている。なお、起伏用アクチュエータ7のシリンダ側は座部基板(図示せず)の前方に軸支されている。また、一端がレッグレスト11の裏面側に軸支されているレッグレストリンク12の他端は座部リンク6の下方の頂角に軸支されている。この状態においてレッグレスト11の先端側が座部4の先端面より内側に入り込むようにレッグレストリンク12の長さが設定されている。
【0042】
なお、13は背凭れ3の上部に取付けたヘッドレストにして、該ヘッドレスト13の下部には図示しない円弧状のアームが取付けられており、このアームはヘッドレストボックス13a内に内蔵されたガイドローラによってガイドされ、ヘッドレスト13を持ち上げるガイドローラによってガイドされながら着座している患者の後頭部側に移動し、患者の後頭部を確実に支持する構造となっている。
【0043】
次に、前記した構成に基づいて動作を説明するに、図4に示す椅子状態において患者が着座しカウンセリング等が終了した後に施術を行うには、台座1に設けられたフットスイッチあるいはドクターテーブル上に設けられたボタン状スイッチ(何れも図示せず)を操作すると、起伏用アクチュエータ7に油が注入されてピストンが突出し、図13の座部リンク6は、座部台5との軸支点5aを回転中心として時計方向に回転する。
【0044】
その結果、基台2に対して座部リンクは軸支点6aを回転中心として時計方向に上昇回転することになるので、座部台5が斜め前方に押し上げられて座部4が上昇する。該座部4の上昇に伴って座部4の起立板4bの連結点4cで軸支されている背凭れリンク3cが変移することとなり、座部4の上昇に伴い軸支点3bを回転中心として背凭れリンク3cが時計方向に変移するので、背凭れ3は伏倒方向に変移する。
【0045】
また、座部リンク6が座部台5との軸支点5aを回転中心として時計方向に回動する力はレッグレストリンク12を介してレッグレスト11に伝わり、レッグレスト11は座部4の先端の軸支点を中心に水平方向へ変移する(図5参照)。
【0046】
さらに、図5の状態から医師が治療し易い状態に移行するには、起伏用アクチュエータ7のピストンの吐出量を調整することで最終位置である図6の位置まで調整することが可能である。なお、レッグレスト11は図4の椅子状態において先端が座部4の裏面内側に入り込む長さに形成されているので、レッグレスト11が水平方向へ変移した時にレッグレスト11は座部4の前方より相当を突出することとなり、従って、背の高い患者の足を十分に支持することが可能となる。
【0047】
そして、施術が終了した時には、起伏用アクチュエータ7内の油を抜くことで前記した動作とは反対の動作によって座部4は下降し、背凭れ3およびレッグレスト11は起立方向へ変移する。なお、レッグレスト11は最終の椅子状態になった時にはレッグレスト11の先端側が座部4の先端面より内側に入り込んでいるので、着座状態に移行した患者の踵位置が膝位置よりも後ろに入り込み、従って、スムースな体重移動ができて高齢者のような筋力がない人でも医師やアシスタントの介添えがなくとも立ち上がることができる。
【0048】
なお、前記した説明にあっては、レッグレスト11に一端が軸支されたレッグレストリンク12の他端を座部リンク5に軸支することで、レッグレスト11を起伏させる場合について説明したが、図4の仮想線で示すように背凭れリンク3の先端部にレッグレストリンク12の他端を軸支することで、前記したと同様に座部4の上昇、下降に伴ってレッグレスト11を起伏させることが可能となる。
【実施例3】
【0049】
なお、前記した第2の実施例にあっては、椅子部分を台座1に固定された基台2に取付けた場合であって、椅子全体の高さ調整を行うことができないものであったが、図7〜図11は基台を台座に立設した直上ガイドと昇降用アクチュエータとによって支持し、昇降用アクチュエータの伸縮によって基台を昇降させることで、椅子全体を昇降用アクチュエータによって上下動可能としものである。なお、前記第2の実施例と同一符号は同一部材を示し、また、椅子の動作も同じなので説明は省略する。
【0050】
Aは直上ガイドと昇降用アクチュエータの一例であって、図9〜11に示すように断面四角形状で、かつ、4隅が平坦にカットされ後述するガイドローラのガイド面14aが形成されたシリンダ14bと、油を注入と排出を行うことで上昇、下降するピストン14cと、前記シリンダ14bの4つのガイド面14aを四方から囲む上下一対のガイドローラ15aを軸支し前記ピストン14cの上端が取付けられた基台15とより構成されている。なお、図9、図10にはガイドローラを開示していないが、その構造は図11に示している。
【0051】
そして、前記基台15の上部には前記した背凭れリンク3aの軸3bを軸支するための背凭れ取付部15bと、前記した座部リンク6を軸支する座部リンク取付部15cが取付けられている。
【0052】
このように構成した直上ガイドと昇降用アクチュエータAにあっては、図9の状態において油をシリンダ14b内に注入すると、ピストン14cが上昇するので、直上ガイド15もピストン14cによって上昇するが、該直上ガイド15のガイドローラ15aがシリンダ14bのガイド面14a上を転がるので、直上ガイド15はシリンダ14b上をスムースに移動する。
【0053】
そして、椅子が図7に示す下降の位置、あるいは図8に示す上昇の位置、さらには、起伏用アクチュエータ7に油を注入しながら座部3を上昇しながらの何れの位置においても昇降用アクチュエータAのアクチュエータ14に油を注入あるいは排出すると基台15が上下動するので、椅子を昇降させることが可能となる。
【0054】
図12〜図15は前記した直上ガイドと昇降用アクチュエータAとは異なる他の実施例の直上ガイドと昇降用アクチュエータBである。
この実施例にあっては、図12に示すようにアクチュエータ14は油圧シリンダであり、シリンダ14bが、基台15と一体的に構成されている。
そして、基台15の上部には背凭れ取付部15d,15bが、また、中間部に座部リンク取付部15e,15cが一体的に形成されており、直交する2面にガイドローラが軸支されている。
【0055】
17は台座1に固定された平面L字状に形成されたガイド部材にして、隣接する直交面には図13〜図15に示すようにガイド溝16a,16bが形成されている。そして、1つのガイド溝16aには基台15に取付けられた4個のガイドローラ15dがガイドされ、また他のガイド溝16bには前記4個のガイドローラ15dが取付けられた面と直交する面の2個のガイドローラ15eがガイドされている。
【0056】
なお、本実施例にあっては、前記背凭れ取付部15bに設けた軸3bと直交する面に4個のガイドローラ15dを取付け、他の面には2個のガイドローラ15eを取付けた。このようにガイド溝16a,16bに対して異なる数のガイドローラを配置したのは、特に患者が椅子へ着座する際、基台を前後方向へ倒立させるような力がかかる。このような場合、複数のガイドローラによって十分な剛性をもって椅子の姿勢を保持することができる。
【0057】
また、ガイド溝とガイドローラとの隙間があるため、特に背凭れ3等の起伏によって椅子上の患者の体重を含む椅子全体の前後方向の重心が変化した際、ガタ(前後方向の椅子の揺れ)を生じてしまうが、組立時に、基台に取り付ける複数のガイドローラについて前後の距離を調節する構造にしておくことで、そのガタも抑えることができる。
【0058】
このように構成した直上ガイドと昇降用アクチュエータBにあっては、椅子を昇降させるためにアクチュエータ14に油を注入すると、ピストン14cが鉛直下向きに出没するが、その先端が台座1の上面に接触していることから、シリンダと一体となった基台15が、基台15に軸支されたガイドローラ15d,15eがガイド溝16a,16bによってガイドされながら上昇する。また、アクチュエータ14の油を抜くことで直上ガイド15が下降し椅子が下降するものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る椅子の第1の実施例を示す初期状態を示す側面図である。
【図2】図1の初期状態から僅かに上昇方向に変移した状態を示す側面図である。
【図3】図2の状態からさらに上昇し診療状態に変移した状態を示す側面図である。
【図4】第2の実施例を示す初期状態を示す側面図である。
【図5】図4の状態からさらに上昇し診療状態に変移した状態を示す側面図である。
【図6】図5の状態からさらに上昇し診療状態に変移した状態を示す側面図である。
【図7】第3の実施例を示す初期状態を示す側面図である。
【図8】図7の状態から診療状態に変移した状態を示す側面図である。
【図9】図7の初期状態における昇降用アクチュエータの部分を断面した側面図である。
【図10】図8の診療状態に変移した状態における昇降用アクチュエータと直上ガイドの断面側面図である。
【図11】昇降用アクチュエータと直上ガイドの内部を示す斜視図である。
【図12】他の実施例の昇降用アクチュエータ部分を示す斜視図である。
【図13】図12の昇降用アクチュエータを直上ガイドに組み込んだ状態の斜視図である。
【図14】図13の底面から見た斜視図である。
【図15】図13の上面から見た平面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 台座
2 基台
3 背凭れ
3c 背凭れリンク
3d 連結部
4 座部
4b 起立板
5 座部台
6 座部リンク
7 伏倒用アクチュエータ
11 レッグレスト
12 レッグレストリンク
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科医院や眼科医院あるいは全身マッサージや全身エステ、顔のエステ等の施術を受ける時に使用される、施術時に背凭れとレッグレストを水平状態に変化させることで着座姿勢の被施術者を治療に適した姿勢に移行させることが可能な椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における前記した施術に使用する椅子(医療用椅子)としては、例えば、特開平10−127400号公報(特許文献1)に開示された技術がある。この技術は、患者が椅子に着座する時には、床面に設置された台座に対して昇降可能に取付けられた座部に対し背凭れを起立状態とし、かつ、レッグレストを座部に対して垂下状態とし、その状態において着座姿勢の患者と医師とがコンサルティングを行い、治療時には、先ず、座部を台座に対して上昇させ、次いで、背凭れとレッグレストを水平状態に変移させて患者を着座姿勢から治療に適した仰臥姿勢に移行させるというものであった。
【0003】
また、患者が楽な姿勢で治療を受けられるように、前記技術や実開昭59−69729号公報(特許文献2)に開示されている技術のように、背凭れの後傾に伴い座部をその前方が高くなるように傾斜させる機構を有するものもあった。
【0004】
ところで、特許文献1のような医療用椅子にあっては、楽に着座できるよう、座部を最低高さ位置まで下降させた状態にして患者を座らせる。そして、その高さ位置で背凭れを後傾し水平状態に変移させた場合では背凭れの上端部が治療椅子に着座している医師の膝にぶつかったり患者の口腔あるいは目の位置が医師にとって低すぎてしまうため、先ず、座部を上昇させ、その後に背凭れを水平状態に変移させ、さらにその後に必要に応じて医師が治療やすくなるよう座部の高さを微調整するといった操作が必要であった。また、特許文献2にあっては、構造が複雑で部品点数や組立工数が多くなり製造コストが高くなり、かつ、座部を昇降するする技術については何ら開示されていないものであった。
【0005】
さらに、椅子を鉛直方向に昇降させるための昇降機構として、例えば、特開昭58−22059号公報(特許文献3)に開示されている技術のように、シリンダで昇降自在とした可動昇降部を外側案内筒でガイドする昇降装置がある。この構造は、昇降シリンダと略四角柱の可動昇降部とを平行に立設し、可動昇降部を外側案内筒に取り付けられたガイドローラによって円滑に上下動させるものである。この発明のように複数の円筒体を組み合わせ多段構造とすることで昇降部の上昇量を大きくすることは可能であるが、ガタが発生しやすく安定性に欠けると共に、部品点数、組立工数が多くなるために製造コストが高くなる。また、昇降機構は座部と床との間に配置されているため、座部を座りやすい高さにすると椅子の上昇量が十分ではなかった。
【特許文献1】特開平10−127400号公報
【特許文献2】実開昭59−69729号公報
【特許文献3】特開昭58−22059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した背景技術で述べた前記従来例にあっては、前記した治療を開始するまでの操作が面倒であり、また、手間がかかるため治療開始までの時間が長くなり、さらに、もし座部が最低位のまま背凭れを後傾させた場合、医師の膝に背凭れがぶつかる危険があり、また、座部の上昇量には限界があるため、医師にとって立位で検査や治療を施すに適した高さまで十分に上昇させることができなかった。
【0007】
また、背凭れ角を調節するに伴い着座している患者の頭部位置が大きく変動するため、患者にとっては恐怖心や不快感を感じたり、医師にとっては変動する患者の目や口の位置に合わせて自身が座る椅子の高さや照明,治療器具の位置を大きく修正しなくてはならなかった。
【0008】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、どんな体格の患者も着座しやすく、その後の椅子の動作で恐怖心を生じさせることなく簡単に治療に適した状態に移行させることができ、また、治療に適した高さまで十分に上昇させることができ、さらに、構造が簡単で安価に製造することができる医療用椅子を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の椅子は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、後方に起立板が設けられた座部と、背凭れが取り付けられ、かつ、前記起立板に軸支される背凭れリンクと、上方で該背凭れリンクを回動自在に支持する床面に固定された台座に起立状態で取付けられた基台と、前記基台の下方において一端が軸支され他端が前記座部の下方において軸支された座部リンクと、前記台座に一端が軸支された起伏用アクチュエータとから構成し、前記起伏用アクチュエータの伸長により前記座部を水平状態に変移させながら上昇させ、前記座部の上昇に伴って起立板を介して背凭れを水平状態に変移させることを特徴とする。
【0010】
請求項2の手段は、後方に起立板が設けられた座部と、背凭れが取り付けられ、かつ、前記起立板に軸支される背凭れリンクと、上方で該背凭れリンクを回動自在に支持する基台と、下部が床面に固定され前記基台を支持する台座と、前記基台の上部の一角部が軸支され中間部が前記座部の下方先端が軸支された座部リンクと、該座部リンクに一端が軸支され他端が前記座部の前方裏面側に軸支された起伏用アクチュエータとから構成し、前記起伏用アクチュエータの伸長により座部リンクが回転することで、前記座部を上昇させ、前記座部の上昇に伴って起立板を介して背凭れを水平状態に変移させることを特徴とする。
【0011】
請求項3の手段は、前記した請求項1または2において、前記座部リンクと、前記座部の前方に軸支されたレッグレストとをレッグレストリンクで接続し、前記起伏用アクチュエータの伸長により座部リンクが回転することで前記レッグレストリンクが変移して前記レッグレストを水平状態に変移させるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の手段は、前記した請求項1または2において、前記背凭れリンクと、前記座部の前方に軸支されたレッグレストとをレッグレストリンクで接続し、前記起伏用アクチュエータの伸長により背凭れリンクが回転することで前記レッグレストリンクが変移して前記レッグレストを水平状態に変移させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の手段は、請求項1または2において、前記基台を前記台座に立設した直上ガイドと該直上ガイドに平行に配置した昇降用アクチュエータとによって支持し、昇降用アクチュエータが伸張し、直上ガイドが基台を上下動自在に案内することにより前記基台が上方へ直進移動することを特徴とする。
【0014】
請求項6の手段は、前記した請求項5において、昇降用アクチュエータと直上ガイドを、椅子状態における前記座部の上面水平面より高い位置に基台に形成された背凭れリンクの軸支部の直下に立設し、昇降ストロークを大きくしたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の手段は、前記した請求項5において、前記昇降用アクチュエータと前記直上ガイドは、台座に垂直状態で起立したシリンダを四角形状に形成すると共に該シリンダの4つの角部をガイド面としたアクチュエータと、下部四隅に前記ガイド面に対して転動するガイドローラを取付けた基台とで構成し、前記シリンダの外周に基台を嵌挿することを特徴とする。
【0016】
請求項8の手段は、前記した請求項5において、前記昇降用アクチュエータは前記基台と一体的に取り付けられた油圧シリンダであり、前記基台には直交する2面にガイドローラが軸支されており、前記ガイドは平面L字状に形成され台座に対して垂直状態で立設されると共に互いに直交する面にガイド溝が形成されており、昇降用アクチュエータからピストンが鉛直下向きに出没し、前記ガイドがガイドローラを前記ガイド溝で上下自在に案内することにより、前記基台はピストンが前記台座を押し付ける反作用によって上方へ直進移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の椅子における請求項1および2にあっては、起伏用アクチュエータを伸長することにより、座部が上昇しながら背凭れが座部の上面における水平面より高い位置にある基台との軸支点を中心にして水平状態へ変移するので、従来のように事前に座部を上昇させなくとも背凭れが伏倒するだけで患者の目や口の位置が治療椅子に着座している医師にとって頃合いの高さとなり、かつ、簡単な操作で施術までの時間が短縮され、また、背凭れの伏倒時に背凭れの上端が医師の膝に当たることがない。さらに、背凭れの伏倒に伴う患者の頭部の揺動量が小さいので、患者の三半規管に対する変移が小さくなって恐怖心や不快感を与えることがない。
【0018】
また、診療中に背凭れの伏倒度合いの調節で患者の開口方向を変える場合の口の位置の変動を抑えることができ、医師の治療椅子の高さや照明、治療器具の位置の修正が少なくてすみ作業性の向上を図ることができる。
【0019】
さらに、座部の上昇動作、座部の傾斜動作、背凭れの伏倒動作を、基台を固定節、背凭れリンクを出力節、座部台と座部リンクを入力節または媒介節の何れかとした四節で実現したため、部品点数と組み立て工数が少なく製造コストの低減を図ることができると共に、昇降用アクチュエータが不要であることから、製品全体がコンパクトになると共に部品点数、組み立て工数が大幅に減り製造コストが安価になる。
【0020】
また、請求項1にあっては、椅子状態では前方が高くなるよう少し傾斜した座部が、背凭れの伏倒動作と共に上昇しながら水平になるようにしたので、背もたれが起立した状態では患者は安定した着座姿勢をとることができ、背もたれが伏倒した状態では術者は患者を背もたれと座面が完全な同一水平面に寝かせることが可能である。
【0021】
請求項3および4にあっては、レッグレストリンクを加えることで、座部の上昇と背もたれの伏倒に伴ってレッグレストを垂直状態から水平状態に変移するようにしたので、患者は、椅子の乗り降りがしやすくなると共に、仰臥姿勢へ楽に移行することができる。
【0022】
請求項5にあっては、前記基台を前記台座に立設した直上ガイドと該直上ガイドに平行に配置した昇降用アクチュエータとによって支持し、昇降用アクチュエータが伸張し、直上ガイドが基台を上下動自在に案内することにより前記基台が上方へ直進移動するようにしたので、椅子全体が基台を介して昇降用アクチュエータの伸縮で上下動するため、医師が椅子の高低を調節することで、患者の施術部位を医師の希望する高さに調整することができる。
【0023】
請求項6にあっては、昇降用アクチュエータと直上ガイドを、椅子状態における前記座部の上面水平面より高い位置に基台に形成された背凭れリンクの軸支部の直下に立設したので、従来のように昇降用アクチュエータと直上ガイドを座部直下に立設した場合と比較して昇降ストロークを大きくとれるため、従来以上に座部の初期位置は低く、従来以上に座部の上昇量を持たせることができ、特に子供や高齢者にとっては椅子への乗り降りがしやすくなり、また、医師にとっては立位で検査や治療を施すのに適した高さまで十分に上昇させることができる。
【0024】
請求項7にあっては、昇降用アクチュエータは、台座に垂直状態で起立されたアクチュエータのシリンダを四角形状に形成すると共に該シリンダの4つの角部をガイド面とし、前記シリンダの外周に直上ガイドを嵌挿し、前記直上ガイドの上部四隅に前記ガイド面に対して転動するガイドローラを取付けたので、直上ガイドと昇降用アクチュエータを別々に立設する場合に比べコンパクトになる。
【0025】
請求項8にあっては、昇降用アクチュエータは基台と一体的に取り付けられた油圧シリンダであり、基台には直交する2面にガイドローラが軸支されており、ガイドは平面L字状に形成され台座に対して垂直状態で立設されると共に互いに直交する面にガイド溝が形成されており、昇降用アクチュエータからピストンが鉛直下向きに出没し、前記ガイドがガイドローラを前記ガイド溝で上下自在に案内することにより、前記基台はピストンが前記台座を押し付ける反作用によって上方へ直進移動するようにしたので、略四角柱の可動昇降部を四方からガイドローラで囲む場合に比べ直上ガイドはコンパクトとなる。また、ガイドローラを増やすことで、ガタの発生を抑えたり、椅子の前後方向の荷重変化に対して十分な剛性をもって椅子の姿勢を保持することができるなどの効果が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、どんな体格の患者でも着座しやすく、その後の椅子の動作で恐怖心を与えることがなく治療に適した状態に移行させることができ、かつ、治療に適した高さまで上昇させることができる治療用椅子である。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明に係る椅子を医療用椅子とした場合の第1の実施例を図1〜図4と共に説明する。
1は歯科医院や耳鼻科医院等の病院の床面に固定される台座、2は該台座から斜め後方に向かって僅かに傾斜した状態で固定される一対の基台、3は背凭れにして、該背凭れ3の背凭れ基板3aは前記基台2の頂部に両側から回動自在に軸3b軸支されている。また、背凭れ基板3aの両側面から前方に突出した状態で背凭れリンク3cが取付けられている。
【0028】
4は座部にして、該座部4の座部基板4aの両側には前記背凭れリンク3cの一端が軸支される起立板4bが一体的に取付けられている。また、前記起立板4bと背凭れリンク3cとの軸支点は基台2と背凭れリンク3cとの軸3bより低い位置となっている。さらに、座部4は椅子状態において後方が前方より低い状態となし、患者が座部4に腰掛けた状態で安定した姿勢になるようにした。しかし、この実施例のように座部4の前方が後方より高くなるように構成したが、必ずしもこの実施例に限定されるものではなく、椅子状態において水平状態となるようにしもよい。
【0029】
5は座部基板4aの裏面に図示において三角形状に形成された一辺が固定された座部台にして、該座部台5の角部は、一端が前記基台2の下方に軸支されたU字状の座部リンク6の他端に軸支されている。
【0030】
7は一端が前記座部基板4aに軸支され、他端が前記台座1に軸支された起伏用アクチュエータ、8,9は上端が前記座部基板4aの左右に軸支された平行リンクにして、他端は患者が座部4bに座る時に乗るステップ10の支持台10aに軸支されている。そして、一方の平行リンク8にはレッグレスト11が取り付けられ、8の上方の間に設けられた固定軸11aには一端が座部リンク6におけるU字状中間部に軸支されたレッグレストリンク12の他端が軸支されている。
【0031】
次に、前記した構成に基づいて動作を説明するに、図1に示す椅子の状態においては座部4の後方が下方に傾斜しているので、患者はステップ10aから座部4に腰掛けた状態で安定した姿勢となる。この着座した状態で台座1に設けられたフットスイッチあるいはドクターテーブル上に設けられたボタン状スイッチ(何れも図示せず)を操作すると、起伏用アクチュエータ7に油が注入されてピストンが突出するので、座部基板4aの後方側が押し上げられる。
【0032】
前記座部基板4aが押し上げられると、該座部基板4aの起立板4bに軸支されている背凭れリンク3cが基台2との軸支点3bを回転中心として時計方向に回動され、座部4が上昇すると共に背凭れ3は伏倒状態に変移する。
【0033】
この時、座部4の上面水平面より背凭れ3の軸3bが高い位置にあるので、従来のように座部を事前に上昇させないでも、背凭れ3が後傾するだけで患者のめや口の位置が治療椅子に着座している医師にとって頃合いの高さとなり、また、施術までの時間短縮が図れると共に背凭れ3の上端部が医師の膝に当たることがない。
【0034】
また、背凭れ3の後傾に伴う患者の頭部の揺動量が小さいので、患者の三半規管に対する変移が小さくなって恐怖心や不快感を与えることがなく、診療中、背凭れの後傾度合いの調節で患者の開口方向を変える場合の口の位置の変動を抑えることができ、医師の治療椅子の高さや照明、治療器具の位置の修正が少なくて済み、作業性が良好となる。
【0035】
前記座部基板4aが上昇することにより、該座部基板4aの裏面に取付けられている座部台5も上昇するので、該座部台5の先端に軸支されている座部リンク6が基台2との軸支点6aを回転中心として時計方向に回動する。すなわち座部5にとって座部リンク6は軸支点5aを回転中心として時計方向に回動する。
【0036】
この座部リンク6が軸支点5aを回転中心として時計方向に回動する力はレッグレストリンク12を介して平行リンク8に伝わり、平行リンク8が座部基板4aとの軸支点を回転中心として時計方向に回動されるので、レッグレスト11も平行リンク8と共に変移する。また、平行リンク8の変移によって、該平行リング8と支持台10aを介して軸支された他の平行リンク9も平行リンク8と共に変移し、従って、支持台11aは水平状態を維持しながら上昇する。
【0037】
前記座部基板4aの上昇時において、後傾姿勢である座部基板4aは徐々に水平状態となる。該座部基板4aが水平状態に移行させるためには、3bと4cの距離、3bと6aの距離、6aと5aの距離、5aと4cの距離を適宜寸法決定することで可能となる(図2参照)。
【0038】
さらに、患者が着座状態で医師が患者の前方あるいは側面から治療を行う場合には、起伏用アクチュエータ7のピストンの吐出量を調整することで治療が行い易い位置に変移することができる。そして、患者が仰臥姿勢の状態で治療を行う場合には、起伏用アクチュエータ7に対してさらに油を供給すると、図3に示すように、座部4に対して背凭れ3、レッグレスト11およびステップ10は平坦状態となり、患者は頭部から足先までを背凭れ3、座部4、レッグレスト11およびステップ10で支持され、安楽な姿勢で治療を受けることが可能となる。
【0039】
なお、前記した説明にあっては、平行リンク8に一端が軸支されたレッグレストリンク12の他端を座部リンク6の中間部に軸支することで、平行リンク8を起伏させ、該起伏に伴ってレッグレスト11を起伏させる場合について説明したが、図1の仮想線で示すように背凭れリンク3aの下方に延長した延長部3dにレッグレストリンク12の他端を軸支することで、前記したと同様に座部基板4aの上昇、下降に伴って背凭れ基板3、平行リンク8,9およびレッグレスト11を起伏させることが可能となる。
【実施例2】
【0040】
次に、前記した第2の実施例に実施例を図4〜図6と共に説明する。なお、前記した第1の実施例と同一符号は同一部材を示し説明は省略する。
第2の実施例にあっては、背凭れ3の背凭れ基板(図示せず)の下端部には背凭れリンク3が取り付けられており、背凭れリンク3は、弓状側面の円弧部3cからL字状に形成された連結部3dの先端が第1実施例における座部4の起立板4bとの軸支点4cで連結されている。
【0041】
また、座部リンク6は四角形状に形成されており、上方の頂角の1つが基台2に軸支され、起伏用アクチュエータ7のピストン先端は、前記基台2と軸支された座部リンク6との軸支点よりも上方の他の頂角に軸支されている。なお、起伏用アクチュエータ7のシリンダ側は座部基板(図示せず)の前方に軸支されている。また、一端がレッグレスト11の裏面側に軸支されているレッグレストリンク12の他端は座部リンク6の下方の頂角に軸支されている。この状態においてレッグレスト11の先端側が座部4の先端面より内側に入り込むようにレッグレストリンク12の長さが設定されている。
【0042】
なお、13は背凭れ3の上部に取付けたヘッドレストにして、該ヘッドレスト13の下部には図示しない円弧状のアームが取付けられており、このアームはヘッドレストボックス13a内に内蔵されたガイドローラによってガイドされ、ヘッドレスト13を持ち上げるガイドローラによってガイドされながら着座している患者の後頭部側に移動し、患者の後頭部を確実に支持する構造となっている。
【0043】
次に、前記した構成に基づいて動作を説明するに、図4に示す椅子状態において患者が着座しカウンセリング等が終了した後に施術を行うには、台座1に設けられたフットスイッチあるいはドクターテーブル上に設けられたボタン状スイッチ(何れも図示せず)を操作すると、起伏用アクチュエータ7に油が注入されてピストンが突出し、図13の座部リンク6は、座部台5との軸支点5aを回転中心として時計方向に回転する。
【0044】
その結果、基台2に対して座部リンクは軸支点6aを回転中心として時計方向に上昇回転することになるので、座部台5が斜め前方に押し上げられて座部4が上昇する。該座部4の上昇に伴って座部4の起立板4bの連結点4cで軸支されている背凭れリンク3cが変移することとなり、座部4の上昇に伴い軸支点3bを回転中心として背凭れリンク3cが時計方向に変移するので、背凭れ3は伏倒方向に変移する。
【0045】
また、座部リンク6が座部台5との軸支点5aを回転中心として時計方向に回動する力はレッグレストリンク12を介してレッグレスト11に伝わり、レッグレスト11は座部4の先端の軸支点を中心に水平方向へ変移する(図5参照)。
【0046】
さらに、図5の状態から医師が治療し易い状態に移行するには、起伏用アクチュエータ7のピストンの吐出量を調整することで最終位置である図6の位置まで調整することが可能である。なお、レッグレスト11は図4の椅子状態において先端が座部4の裏面内側に入り込む長さに形成されているので、レッグレスト11が水平方向へ変移した時にレッグレスト11は座部4の前方より相当を突出することとなり、従って、背の高い患者の足を十分に支持することが可能となる。
【0047】
そして、施術が終了した時には、起伏用アクチュエータ7内の油を抜くことで前記した動作とは反対の動作によって座部4は下降し、背凭れ3およびレッグレスト11は起立方向へ変移する。なお、レッグレスト11は最終の椅子状態になった時にはレッグレスト11の先端側が座部4の先端面より内側に入り込んでいるので、着座状態に移行した患者の踵位置が膝位置よりも後ろに入り込み、従って、スムースな体重移動ができて高齢者のような筋力がない人でも医師やアシスタントの介添えがなくとも立ち上がることができる。
【0048】
なお、前記した説明にあっては、レッグレスト11に一端が軸支されたレッグレストリンク12の他端を座部リンク5に軸支することで、レッグレスト11を起伏させる場合について説明したが、図4の仮想線で示すように背凭れリンク3の先端部にレッグレストリンク12の他端を軸支することで、前記したと同様に座部4の上昇、下降に伴ってレッグレスト11を起伏させることが可能となる。
【実施例3】
【0049】
なお、前記した第2の実施例にあっては、椅子部分を台座1に固定された基台2に取付けた場合であって、椅子全体の高さ調整を行うことができないものであったが、図7〜図11は基台を台座に立設した直上ガイドと昇降用アクチュエータとによって支持し、昇降用アクチュエータの伸縮によって基台を昇降させることで、椅子全体を昇降用アクチュエータによって上下動可能としものである。なお、前記第2の実施例と同一符号は同一部材を示し、また、椅子の動作も同じなので説明は省略する。
【0050】
Aは直上ガイドと昇降用アクチュエータの一例であって、図9〜11に示すように断面四角形状で、かつ、4隅が平坦にカットされ後述するガイドローラのガイド面14aが形成されたシリンダ14bと、油を注入と排出を行うことで上昇、下降するピストン14cと、前記シリンダ14bの4つのガイド面14aを四方から囲む上下一対のガイドローラ15aを軸支し前記ピストン14cの上端が取付けられた基台15とより構成されている。なお、図9、図10にはガイドローラを開示していないが、その構造は図11に示している。
【0051】
そして、前記基台15の上部には前記した背凭れリンク3aの軸3bを軸支するための背凭れ取付部15bと、前記した座部リンク6を軸支する座部リンク取付部15cが取付けられている。
【0052】
このように構成した直上ガイドと昇降用アクチュエータAにあっては、図9の状態において油をシリンダ14b内に注入すると、ピストン14cが上昇するので、直上ガイド15もピストン14cによって上昇するが、該直上ガイド15のガイドローラ15aがシリンダ14bのガイド面14a上を転がるので、直上ガイド15はシリンダ14b上をスムースに移動する。
【0053】
そして、椅子が図7に示す下降の位置、あるいは図8に示す上昇の位置、さらには、起伏用アクチュエータ7に油を注入しながら座部3を上昇しながらの何れの位置においても昇降用アクチュエータAのアクチュエータ14に油を注入あるいは排出すると基台15が上下動するので、椅子を昇降させることが可能となる。
【0054】
図12〜図15は前記した直上ガイドと昇降用アクチュエータAとは異なる他の実施例の直上ガイドと昇降用アクチュエータBである。
この実施例にあっては、図12に示すようにアクチュエータ14は油圧シリンダであり、シリンダ14bが、基台15と一体的に構成されている。
そして、基台15の上部には背凭れ取付部15d,15bが、また、中間部に座部リンク取付部15e,15cが一体的に形成されており、直交する2面にガイドローラが軸支されている。
【0055】
17は台座1に固定された平面L字状に形成されたガイド部材にして、隣接する直交面には図13〜図15に示すようにガイド溝16a,16bが形成されている。そして、1つのガイド溝16aには基台15に取付けられた4個のガイドローラ15dがガイドされ、また他のガイド溝16bには前記4個のガイドローラ15dが取付けられた面と直交する面の2個のガイドローラ15eがガイドされている。
【0056】
なお、本実施例にあっては、前記背凭れ取付部15bに設けた軸3bと直交する面に4個のガイドローラ15dを取付け、他の面には2個のガイドローラ15eを取付けた。このようにガイド溝16a,16bに対して異なる数のガイドローラを配置したのは、特に患者が椅子へ着座する際、基台を前後方向へ倒立させるような力がかかる。このような場合、複数のガイドローラによって十分な剛性をもって椅子の姿勢を保持することができる。
【0057】
また、ガイド溝とガイドローラとの隙間があるため、特に背凭れ3等の起伏によって椅子上の患者の体重を含む椅子全体の前後方向の重心が変化した際、ガタ(前後方向の椅子の揺れ)を生じてしまうが、組立時に、基台に取り付ける複数のガイドローラについて前後の距離を調節する構造にしておくことで、そのガタも抑えることができる。
【0058】
このように構成した直上ガイドと昇降用アクチュエータBにあっては、椅子を昇降させるためにアクチュエータ14に油を注入すると、ピストン14cが鉛直下向きに出没するが、その先端が台座1の上面に接触していることから、シリンダと一体となった基台15が、基台15に軸支されたガイドローラ15d,15eがガイド溝16a,16bによってガイドされながら上昇する。また、アクチュエータ14の油を抜くことで直上ガイド15が下降し椅子が下降するものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る椅子の第1の実施例を示す初期状態を示す側面図である。
【図2】図1の初期状態から僅かに上昇方向に変移した状態を示す側面図である。
【図3】図2の状態からさらに上昇し診療状態に変移した状態を示す側面図である。
【図4】第2の実施例を示す初期状態を示す側面図である。
【図5】図4の状態からさらに上昇し診療状態に変移した状態を示す側面図である。
【図6】図5の状態からさらに上昇し診療状態に変移した状態を示す側面図である。
【図7】第3の実施例を示す初期状態を示す側面図である。
【図8】図7の状態から診療状態に変移した状態を示す側面図である。
【図9】図7の初期状態における昇降用アクチュエータの部分を断面した側面図である。
【図10】図8の診療状態に変移した状態における昇降用アクチュエータと直上ガイドの断面側面図である。
【図11】昇降用アクチュエータと直上ガイドの内部を示す斜視図である。
【図12】他の実施例の昇降用アクチュエータ部分を示す斜視図である。
【図13】図12の昇降用アクチュエータを直上ガイドに組み込んだ状態の斜視図である。
【図14】図13の底面から見た斜視図である。
【図15】図13の上面から見た平面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 台座
2 基台
3 背凭れ
3c 背凭れリンク
3d 連結部
4 座部
4b 起立板
5 座部台
6 座部リンク
7 伏倒用アクチュエータ
11 レッグレスト
12 レッグレストリンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方に起立板が設けられた座部と、
背凭れが取り付けられ、かつ、前記起立板に軸支される背凭れリンクと、上方で該背凭れリンクを回動自在に支持する床面に固定された台座に起立状態で取付けられた基台と、
前記基台の下方において一端が軸支され他端が前記座部の下方において軸支された座部リンクと、
前記台座に一端が軸支された起伏用アクチュエータとから構成し、
前記起伏用アクチュエータの伸長により前記座部を水平状態に変移させながら上昇させ、前記座部の上昇に伴って起立板を介して背凭れを水平状態に変移させることを特徴とする椅子。
【請求項2】
後方に起立板が設けられた座部と、
背凭れが取り付けられ、かつ、前記起立板に軸支される背凭れリンクと、
上方で該背凭れリンクを回動自在に支持する基台と、
下部が床面に固定され前記基台を支持する台座と、
前記基台の上部の一角部が軸支され中間部が前記座部の下方先端が軸支された座部リンクと、
該座部リンクに一端が軸支され他端が前記座部の前方裏面側に軸支された起伏用アクチュエータとから構成し、
前記起伏用アクチュエータの伸長により座部リンクが回転することで、前記座部を上昇させ、前記座部の上昇に伴って起立板を介して背凭れを水平状態に変移させることを特徴とする椅子。
【請求項3】
前記座部リンクと、前記座部の前方に軸支されたレッグレストとをレッグレストリンクで接続し、前記起伏用アクチュエータの伸長により座部リンクが回転することで前記レッグレストリンクが変移して前記レッグレストを水平状態に変移させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の椅子。
【請求項4】
前記背凭れリンクと、前記座部の前方に軸支されたレッグレストとをレッグレストリンクで接続し、前記起伏用アクチュエータの伸長により背凭れリンクが回転することで前記レッグレストリンクが変移して前記レッグレストを水平状態に変移させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の椅子。
【請求項5】
前記基台を前記台座に立設した直上ガイドと該直上ガイドに平行に配置した昇降用アクチュエータとによって支持し、昇降用アクチュエータが伸張し、直上ガイドが基台を上下動自在に案内することにより前記基台が上方へ直進移動することを特徴とする請求項1または2記載の椅子。
【請求項6】
昇降用アクチュエータと直上ガイドを、椅子状態における前記座部の上面水平面より高い位置に基台に形成された背凭れリンクの軸支部の直下に立設し、昇降ストロークを大きくしたことを特徴とする請求項5記載の椅子。
【請求項7】
前記昇降用アクチュエータと前記直上ガイドは、台座に垂直状態で起立したシリンダを四角形状に形成すると共に該シリンダの4つの角部をガイド面としたアクチュエータと、下部四隅に前記ガイド面に対して転動するガイドローラを取付けた基台とで構成し、前記シリンダの外周に基台を嵌挿することを特徴とする請求項5記載の椅子。
【請求項8】
前記昇降用アクチュエータは前記基台と一体的に取り付けられた油圧シリンダであり、前記基台には直交する2面にガイドローラが軸支されており、前記ガイドは平面L字状に形成され台座に対して垂直状態で立設されると共に互いに直交する面にガイド溝が形成されており、昇降用アクチュエータからピストンが鉛直下向きに出没し、前記ガイドがガイドローラを前記ガイド溝で上下自在に案内することにより、前記基台がピストンが前記台座を押し付ける反作用によって上方へ直進移動することを特徴とする請求項5記載の椅子。
【請求項1】
後方に起立板が設けられた座部と、
背凭れが取り付けられ、かつ、前記起立板に軸支される背凭れリンクと、上方で該背凭れリンクを回動自在に支持する床面に固定された台座に起立状態で取付けられた基台と、
前記基台の下方において一端が軸支され他端が前記座部の下方において軸支された座部リンクと、
前記台座に一端が軸支された起伏用アクチュエータとから構成し、
前記起伏用アクチュエータの伸長により前記座部を水平状態に変移させながら上昇させ、前記座部の上昇に伴って起立板を介して背凭れを水平状態に変移させることを特徴とする椅子。
【請求項2】
後方に起立板が設けられた座部と、
背凭れが取り付けられ、かつ、前記起立板に軸支される背凭れリンクと、
上方で該背凭れリンクを回動自在に支持する基台と、
下部が床面に固定され前記基台を支持する台座と、
前記基台の上部の一角部が軸支され中間部が前記座部の下方先端が軸支された座部リンクと、
該座部リンクに一端が軸支され他端が前記座部の前方裏面側に軸支された起伏用アクチュエータとから構成し、
前記起伏用アクチュエータの伸長により座部リンクが回転することで、前記座部を上昇させ、前記座部の上昇に伴って起立板を介して背凭れを水平状態に変移させることを特徴とする椅子。
【請求項3】
前記座部リンクと、前記座部の前方に軸支されたレッグレストとをレッグレストリンクで接続し、前記起伏用アクチュエータの伸長により座部リンクが回転することで前記レッグレストリンクが変移して前記レッグレストを水平状態に変移させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の椅子。
【請求項4】
前記背凭れリンクと、前記座部の前方に軸支されたレッグレストとをレッグレストリンクで接続し、前記起伏用アクチュエータの伸長により背凭れリンクが回転することで前記レッグレストリンクが変移して前記レッグレストを水平状態に変移させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の椅子。
【請求項5】
前記基台を前記台座に立設した直上ガイドと該直上ガイドに平行に配置した昇降用アクチュエータとによって支持し、昇降用アクチュエータが伸張し、直上ガイドが基台を上下動自在に案内することにより前記基台が上方へ直進移動することを特徴とする請求項1または2記載の椅子。
【請求項6】
昇降用アクチュエータと直上ガイドを、椅子状態における前記座部の上面水平面より高い位置に基台に形成された背凭れリンクの軸支部の直下に立設し、昇降ストロークを大きくしたことを特徴とする請求項5記載の椅子。
【請求項7】
前記昇降用アクチュエータと前記直上ガイドは、台座に垂直状態で起立したシリンダを四角形状に形成すると共に該シリンダの4つの角部をガイド面としたアクチュエータと、下部四隅に前記ガイド面に対して転動するガイドローラを取付けた基台とで構成し、前記シリンダの外周に基台を嵌挿することを特徴とする請求項5記載の椅子。
【請求項8】
前記昇降用アクチュエータは前記基台と一体的に取り付けられた油圧シリンダであり、前記基台には直交する2面にガイドローラが軸支されており、前記ガイドは平面L字状に形成され台座に対して垂直状態で立設されると共に互いに直交する面にガイド溝が形成されており、昇降用アクチュエータからピストンが鉛直下向きに出没し、前記ガイドがガイドローラを前記ガイド溝で上下自在に案内することにより、前記基台がピストンが前記台座を押し付ける反作用によって上方へ直進移動することを特徴とする請求項5記載の椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−148792(P2010−148792A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332247(P2008−332247)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】
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