椅子
【課題】簡素な構成でも高い耐久性を得ることができる椅子を提供する。
【解決手段】先端部82が背凭れ6後傾時に背凭れ6に掛かる荷重を受け得るように構成されるとともに先端部82及び基端部81が回転可能に取付けられた湾曲変形し得る弾性フレーム8を具備するものであり、弾性フレーム8が背凭れ6の後傾に伴い基端部81と先端部82との間の距離が近接するように変化することによって曲率が大きくなる弾性変形をすることにより、背凭れ6に適度な弾性反発力を付与し得る。
【解決手段】先端部82が背凭れ6後傾時に背凭れ6に掛かる荷重を受け得るように構成されるとともに先端部82及び基端部81が回転可能に取付けられた湾曲変形し得る弾性フレーム8を具備するものであり、弾性フレーム8が背凭れ6の後傾に伴い基端部81と先端部82との間の距離が近接するように変化することによって曲率が大きくなる弾性変形をすることにより、背凭れ6に適度な弾性反発力を付与し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で好適に利用される事務用回転椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、弾性変形し得る部材の変形により背凭れに対し適度な弾性反発力を付与し得る椅子が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。このものは、背凭れを構成する上側のフレーム及び下側のフレームの後方に先端部及び基端部を固定した弾性変形し得る樹脂からなる樹脂バネを設けることにより、背凭れの上部の後傾に伴い前記樹脂バネを弾性変形させることにより、着座者の上体の動作に好適に追随し得るような適度な後傾反力を付与し得るものとなっている。
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のものは、弾性変形する部材の両端が固定されているので、弾性変形の際に部材に掛かる力が大きい箇所と小さい箇所とが偏在するものとなっている。そして斯かる椅子は、継続的な使用を鑑みて、特に弾性変形時に各所に掛かる力の強弱を勘案して樹脂バネの具体的な形状や材質といった仕様が精密に決定されたものとなっている。すなわち特許文献1に係る椅子は、この樹脂バネの仕様を精密に決定するための労力を要したものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−130345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、部品に均等に荷重が加わりつつ弾性変形することにより、簡素な構成でも高い耐久性を得ることができる椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち本発明に係る椅子は、背凭れが後傾可能に構成された椅子であって、先端部が前記背凭れ後傾時に背凭れに掛かる荷重を受け得るように構成されるとともに当該先端部及び基端部のうち少なくとも一方が回転可能に取付けられた湾曲し得る弾性フレームを具備するものであり、この弾性フレームが、前記背凭れの後傾に伴い前記基端部と前記先端部との間の距離が変化することによって曲率が変化する弾性変形をすることにより、前記背凭れに弾性反発力を付与することを特徴とする。
【0008】
ここで、背凭れ後傾時に背凭れに掛かる荷重を受け得る構成とは、弾性フレームが直接背凭れに取付けられる態様に限られず、例えば背支桿などに取付けられることで、間接的に背凭れに掛かる荷重を受けるような構成をも含む概念である。
【0009】
このようなものであれば、弾性フレームは基端部又は先端部が回転可能に取付けられているので、回転可能に取付けられた箇所に背凭れ後傾時の力が集中することなく、弾性フレーム全体が均質的に変形し得るものとなる。これにより、継続的な使用によっても弾性フレームが局所的に疲労することを有効に回避することで、耐久性の高い椅子の実現に寄与し得るものとなる。
【0010】
また、弾性フレームが椅子の他の構成要素に干渉せず、且つコンパクトに椅子を構成するためには、弾性フレームを、背凭れの後側及び座の下側に沿って湾曲した形状とすることが望ましい。
【0011】
そして本発明では、椅子の具体的な形状や弾性フレームの取付け位置に応じて、
前記弾性フレームが、前記背凭れの後傾時に基端部と先端部との距離が近接するように弾性変形する構成も、基端部と先端部との距離が離間するように弾性変形する構成によっても、上記の通り優れた耐久性を実現し得るものとなる。
【0012】
そして、回転可能に構成された背支桿の構成を利用して、簡素な構成で本発明を実現するためには、背凭れが脚に支持されている支持基部に軸着された弾性変形し得ない構造をなす背支桿により回転可能に支持されるものとし、前記弾性フレームが基端部を前記支持基部における前記背支桿の回転中心とは異なる箇所で軸着するようにすれば良い。
【0013】
そして、弾性フレームに掛かる荷重が過度に増大することを有効に回避しつつ、弾性フレームが適度な弾性反発力を発揮するようにするためには、前記背支桿が座を支持するリンク要素と一体に形成されたものとし、背凭れの後傾に伴う背支桿の回転動作により、前記リンク要素が座を上昇させる方向に動作するという、いわゆる体重感知式の構成を適用することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡素な構成であっても高い耐久性を得ることができる椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る椅子の斜視図。
【図2】同他の斜視図。
【図3】同側面図。
【図4】図3に対応した作用説明図。
【図5】本発明の第二実施形態に係る椅子の斜視図。
【図6】同側面図。
【図7】図6に対応した作用説明図。
【図8】本発明の第三実施形態に係る椅子の斜視図。
【図9】同側面図。
【図10】同作用説明図。
【図11】本発明の第四実施形態に係る椅子の斜視図。
【図12】図11に対応した作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
これらの実施形態は本発明を事務用回転椅子に適用した場合のものである。
【0018】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係る椅子は、図1ないし図4に示すように、脚1と、この脚1に支持された支持基部2と、この支持基部2上に配された座受3と、この座受3に支持された座4と、前記支持基部2に回動可能に支持された背支桿5と、この背支桿5に取付けた背凭れ6と、この背凭れ6の後傾動作に伴わせて前記座受3及び座4を上動させるロッキング機構7と、そして、背凭れ6の後傾時に反力を付与するための弾性フレーム8とを具備してなる。
【0019】
脚1は、図1ないし図4に示すように、脚ベース11と、この脚ベース11の中心部に設けられた脚支柱12を備えてなる。脚ベース11は、同図に示すように、中心部に設けたハブから複数本の脚羽根13を放射状に突出させて設けたもので、前記脚羽根13先端にキャスタ14をそれぞれ設けている。脚支柱12は、ガススプリングタイプのもので上下方向に弾性的に伸縮し、所望の位置においてロックすることができるようにした通常のものである。すなわち、この脚支柱12は前記脚ベース11のハブに嵌着されたガススプリングの本体部分の上端から突出させたロッド16を有しており、このロッド16の上端にロック解除用の操作ボタン17が突出させてある。そして、このロッド16の上端部に支持基部2を装着している。前記ロック解除用操作ボタン17は、昇降用の操作レバー15により操作される。
【0020】
支持基部2は、脚支柱12のロッド16に取付けられるメインフレーム21と、このメインフレーム21に取付けられた前リンク軸着部22及び後リンク軸着部23、そして弾性フレーム8を軸着するフレーム軸着部24を具備してなるものである。なお図1及び図2では、メインフレーム21において脚支柱12に取付けられる中間部分の図示を省略して外形のみを破線で示している。前リンク軸着部22は、前リンク71を介して座受3の前端部を支持するためのものである。後リンク軸着部23は、背支持アーム51を含む背支桿5を脚支柱12よりも前側の位置で回動可能に支持するとともに後リンク72を介して座4の中間部でもある座受3の略中間部を支持するためのものである。そしてフレーム軸着部24は、脚支柱12よりも後側であるメインフレーム21の後端部に位置付けられたものであり、弾性フレーム8の基端部81を回転可能に支持している。
【0021】
以上のようにしてなる支持基部2に、前リンク71及び後リンク72を介して座受3を支持させている。座受3は、この実施形態においては例えば金属板の折り曲げ等により一体に成型されている。座受3の下面には、その前端部よりの位置に前リンク71を取付けるための前リンク取付部31と、前後方向における略中央位置に設けられた後リンク72を取付けるための後リンク取付部32が設けられている。前記前リンク取付部31及び後リンク取付部32は、座受3に一体に設けられている。
【0022】
座4は、座受3の上面に取付けられたインナーシェルと、このインナーシェルの上に配設したクッションと、このクッションの外面に張設した張地とを備えた通常のものである。
【0023】
背支桿5は、支持基部2から後上方に延出させた左右の背支持アーム51と、左右の背支持アーム51の上端間を接続する上接続部52と、この上接続部52よりも若干下側の位置で背凭れ6の上部を支持する背上支持部53と、左右の背支持アーム51の中間位置を接続する中間接続部54と、中間接続部54よりも下側の位置で弾性フレーム8の先端部82を回転可能に取付けているフレーム取付部55と、背凭れ6の下部を支持する背下支持部56とを有している。
【0024】
左右の背支持アーム51は、それぞれ前記支持基部2に回動可能に支持された弾性変形し得ないように設定された例えば硬質樹脂や金属製のものであり、前後方向に延びる前後方向延出部57と、この前後方向延出部57の後端から連続して上方に伸びる起立部58とを備えたものである。図示例では、前後方向延出部57と起立部58とは、側面視略くの字状をなしている。各背支持アーム51は、その基端、すなわち前後方向延出部57の前端部において、リンク要素である後リンク72の上端に一体的に接続している。
【0025】
以上のようにしてなる背支桿5に背凭れ6を支持させてなる。背凭れ6は、樹脂製の背シェル61や、この背シェル61の表面側に添設された張地62等を具備してなる通常のものである。
【0026】
以上のようにしてなる背凭れ6と前記座4とをロッキング機構7により連動させるようにしている。このロッキング機構7は、背凭れ6の後傾動作に伴わせて座4を傾動させつつ上動させるようにした体重感知式のものである。詳述すれば、このロッキング機構7は、図3ないし図4に示すように、支持基部23、下端部を支持基部2に回動可能に支持させた前リンク71と、上端部を背支持アーム51に一体化させることによって回動中心を背支持アーム51の回動中心に側面視等しくしてなる後リンク72と、前リンク取付部31を前リンク71に連結するとともに後リンク取付部32を後リンク72に連結してなる座受3とを主体に構成されたものである。
【0027】
すなわち、このロッキング機構7は、座4を支持する座受3を同一方向である前方向に傾斜する前リンク71と後リンク72とによって支持基部2に支持させ、その支持基部2に支持された背支持アーム51の後傾動作に伴わせて、前リンク71及び後リンク72を起立方向に回動させて前記座4及び座受3を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のものであり、背凭れ6の後傾時に、座4の前部を後部に比べてより多く持ち上げるように構成されたものである。すなわち、通常の背凭れ6及び座4のシンクロロッキング機構では、背凭れ6の後傾動作に伴わせて座4を下方側にのみ傾動させるものであるが、本実施形態に示すような体重感知式のロッキング機構7は、通常のロッキング機構とは異なり、背凭れ6の後傾動作に伴わせて座4を傾動させつつ着座者の荷重に抗して座4を持ち上げるように構成している。
【0028】
具体的に説明すれば、図3に示すように、背凭れ6を後傾させていない背起立時において、前リンク71の前傾度合いが後リンク72の前傾度合いよりも大きくなるように設定されている。また、前リンク71の支持基部2に対する回転中心を、後リンク72の支持基部2に対する回転中心よりも高い位置に設定している。また、前記背支持アーム51が、支持基部2における脚支柱12よりも前側の部位に枢支されている。なお前リンク71の前傾度合いを後リンク72の前傾度合いよりも大きくしている点は、後傾時に座4の前側を後側よりも相対的に大きく持ち上げることを目的としたものである。また本実施形態では、後リンク72を座受3の前後方向における略中央部に接続しているため、背凭れ6の後傾時前後リンク71、72共に座受3を持ち上げるような構成にしても、前リンク71が後リンク72よりも多く座受3を持ち上げるので、相対的に座受3の後端部は前端部よりも下がるように設定でき、座受3の前端部が上昇した際に座受3の後端部の高さ位置を、背凭れ6の起立時と後傾時で殆ど変わらないようにしている。
【0029】
しかして本実施形態に係る椅子は、先端部82が前記背凭れ6後傾時に背凭れ6に掛かる荷重を受け得るように構成されるとともに当該先端部82及び基端部81が回転可能に取付けられた湾曲変形し得る弾性フレーム8を具備するものである。
【0030】
この弾性フレーム8は、例えば弾性変形可能な樹脂の一体成型によりなるものであり、基端部81が支持基部2のフレーム軸着部24に軸着されるとともに、先端部82が背支桿5のフレーム取付部55に軸着されることにより、当該フレーム取付部55を介して背凭れ6後傾時に掛かる荷重を受け得るように構成されたものである。そして本実施形態では、基端部81が支持基部2における背支桿5の回転中心である後リンク軸着部23とは異なり、当該後リンク軸着部23よりも後側、つまりメインフレーム21の後端部で軸着されている。
【0031】
そして前記背凭れ6の後傾に伴い前記基端部81と前記先端部82との間の距離が近接するように変化することによって曲率が大きくなる弾性変形をすることにより、前記背凭れ6に弾性反発力を付与するものとなっている。
【0032】
つまり、上述の通り前記背凭れ6の後傾に伴う背支桿5の回転動作により、前記リンク要素が座受3を介して座4を上昇させる方向に動作するとき、弾性フレーム8の曲率が大きくなることにより、基端部81と先端部82との間の距離が図3に示す距離L1から、図4に示す距離L2へと近接する。これにより弾性フレーム8は基端部81と先端部82との間の距離を大きくする方向の弾性反発力を蓄積する。この弾性片発力が、背凭れ6を起立方向へ移動させるように働く背凭れ6の後傾反力となる。
【0033】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る椅子は、弾性フレーム8は基端部81又は先端部82が回転可能に取付けられているので、取付けられた箇所に背凭れ6後傾時の力が集中することなく、弾性フレーム8全体が均質的に変形し得るものとなる。これにより、継続的な使用によっても弾性フレーム8が局所的に疲労することを有効に回避することで、耐久性の高い椅子の実現に寄与し得るものとなっている。
【0034】
また、弾性フレーム8が椅子の他の構成要素に干渉せず、且つコンパクトに椅子を構成するために本実施形態では、弾性フレーム8を、背凭れ6の後側及び座4の下側に沿って湾曲した形状としている。
【0035】
そして本実施形態では、弾性フレーム8を、前記背凭れ6の後傾時に基端部81と先端部82との距離が近接するようにして曲率が大きくなるように弾性変形する構成とすることにより、弾性フレーム8が背凭れ6後傾時の座4の動作に干渉することを有効に回避し得たものとなっている。
【0036】
また本実施形態では、背支桿5の回転中心よりも後側に弾性フレーム8の基端部81の回転中心を位置付けることにより、簡素な構成で弾性フレーム8を弾性変形させ得る態様を実現している。
【0037】
特に本実施形態では、背凭れ6の後傾に伴う背支桿5の回転動作により、リンク要素である後リンク72が座4を上昇させる方向に動作する体重感知式の構成を適用することにより、背支桿5に掛かる荷重が座4を上昇させるための作用力にも変換されることで弾性フレーム8に掛かる荷重が過度に増大することを有効に回避しつつ、弾性フレーム8が適度な弾性反発力を発揮し得るものとなっている。
【0038】
<第二実施形態>
以下に、本発明の第二実施形態について説明するが、上記実施形態の構成要素に相当する構成要素については、同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を適宜省略するものとする。
【0039】
本実施形態に係る椅子は、脚1、座受3、座4、背凭れ6、ロッキング機構7、そして弾性フレーム8の構成については、上記第一実施形態と略同様の構成をなしている体重感知式の椅子である。また本実施形態では、支持基部2についてはメインフレーム21、前リンク軸着部22、後リンク軸着部23及びフレーム軸着部24を有している点は上記実施形態と同じであるが、さらに、前リンク71の回動範囲を制限するための前リンク制御部25を設けたものとなっている。
【0040】
しかして本実施形態では、背支桿5の構成、すなわち背支桿5に伸長フレーム部83を設けることにより、当該伸長フレーム部83が背凭れ6の後傾に応じて先端部82と基端部81との間の距離を伸長するように弾性変形することにより、弾性フレーム8とともに背凭れ6の後傾反力を発生し得るものとなっている。
【0041】
すなわち本実施形態では、左右の背支持アーム51はそれぞれ支持基部2に回動可能に支持された例えば樹脂製のものであり、背凭れ6に沿って位置付けられた起立部58の下側に、湾曲形状をなした伸長フレーム部83を備えている。そしてこの伸長フレーム部83も本発明に係る弾性フレームに相当するものとなっている。この伸長フレーム部83が、左右の背支持アーム51を構成する材質の形状等を適宜調整することによって、背凭れ6の後傾時に曲率が小さくなるように変形し得る。また本実施形態では各背支持アーム51は上記実施形態とは異なり、その基端側すなわち伸長フレーム部83の前端部において、リンク要素である後リンク72の上端ではなく下端に一体的に接続され、後リンク72とともに後リンク軸着部23に回動可能に軸着されている。また伸長フレーム部83の上端部は、中間接続部54に軸着される構成となっている。
【0042】
つまり、上述の通り背凭れ6の後傾に伴う背支桿5の回転動作により、前記リンク要素が座受3を介して座4を上昇させる方向に動作するとき、本実施形態では弾性フレーム8の曲率が大きくなる動作と伸長フレーム部83の曲率が小さくなる動作とが同時に起こる。これにより、弾性フレーム8の基端部81と先端部82との間の距離が図5に示す距離M1から図6に示す距離M2へと近接するとともに、伸長フレーム部83の基端部81である後リンク軸着部23と中間接続部54との間の距離がN1からN2へと離間する。これにより弾性フレーム8及び伸長フレーム部83はそれぞれ弾性反発力を蓄積する。そしてこれらの弾性片発力が、背凭れ6を起立方向へ移動させるように働く背凭れ6の後傾反力となる。
【0043】
このように、本実施形態に係る椅子は、それぞれ曲率が異なる弾性変形し得る弾性フレーム8及び伸長フレーム部83を有することにより、上記実施形態同様、好適な後傾反力を付与しつつ、簡素な構成で且つ耐久性に優れたものとなっている。
【0044】
<第三実施形態>
続いて、本発明の第三実施形態に係る椅子について、図8乃至図10を参照して説明する。本実施形態においても、上記実施形態の構成要素に相当する構成要素に対しては同じ符号を付すものとする。
【0045】
本発明の第三実施形態に係る椅子は、図8ないし図10に示すように、脚1と、この脚1に支持された支持基部2と、この支持基部2上に配された座受3と、この座受3に支持された座4と、前記支持基部2に回動可能に支持された背支桿5と、この背支桿5に取付けた背凭れ6と、この背凭れ6の後傾動作に伴わせて前記座受3及び座4を上動させるロッキング機構7と、そして、背凭れ6の後傾時に反力を付与するための弾性フレーム8とを具備してなる。
【0046】
脚1は、脚ベース11と、この脚ベース11の中心部に設けられた脚支柱12とを備えてなる。脚ベース11は、同図に示すように、中心部に設けたハブから複数本の脚羽根13を放射状に突出させて設けたもので、前記脚羽根13先端にキャスタ14をそれぞれ設けている。脚支柱12は、上記実施形態同様ガススプリングタイプのもので上下方向に弾性的に伸縮し、所望の位置においてロックすることができるようにした通常のものである。すなわち、この脚支柱12は、上記実施形態で図示された操作ボタン17及び操作レバー15を図示していないが、上記実施形態同様に、ロッド16の上端にロック解除用の操作ボタン17が突出させ、この操作ボタン17は、昇降用の操作レバー15により操作される。
【0047】
支持基部2は、脚支柱12のロッド16に取付けられるメインフレーム21と、このメインフレーム21に取付けられた前リンク軸着部22及び後リンク軸着部23、そして弾性フレーム8を軸着するフレーム軸着部24を具備してなるものである。なお図8では上記実施形態とは異なり、メインフレーム21において脚支柱12に取付けられる中間部分を図示している。前リンク軸着部22は、前リンク71を介して座受3の前端部を支持するためのものである。後リンク軸着部23は、背支持アーム51を含む背支桿5を脚支柱12よりも前側の位置で回動可能に支持するとともに後リンク72を介して座4の中間部でもある座受3の略中間部を支持するためのものである。そしてフレーム軸着部24は、脚支柱12よりも後側であるメインフレーム21の後端部に位置付けられたものであり、弾性フレーム8の基端部81を回転可能に支持している。
【0048】
座受3は、この実施形態においては例えば金属板の折り曲げ等により一体に成型されている。座受3の下面には、その前端部よりの位置に前リンク71を取付けるための前リンク取付部31と、前後方向における略中央位置に設けられた後リンク72を取付けるための後リンク取付部32が設けられている。前記前リンク取付部31及び後リンク取付部32は、座受3に一体に設けられている。
【0049】
座4は、本実施形態では座受3の上面に取付けられた板状のものとしているが、勿論図示例に限られることはなく、上記実施形態同様、インナーシェルと、このインナーシェルの上に配設したクッションと、このクッションの外面に張設した張地とを備えたものとしてもよい。
【0050】
背支桿5は、支持基部2から後上方に直線的に延出させた左右の背支持アーム51と、背凭れ6の両側から挟み込むように支持する背上支持部53と、この背上支持部53の外側において弾性フレーム8の先端部82を固着したフレーム取付部55とを有している。
【0051】
左右の背支持アーム51は、それぞれ前記支持基部2に回動可能に支持された弾性変形し得ないように設定された例えば硬質樹脂や金属製のものであり、前後方向に延びる斜め上方に直線状に伸びる起立部58を主体としたものである。各背支持アーム51は、その基端すなわち下端において、リンク要素である後リンク72の上端に一体的に接続している。
【0052】
以上のようにしてなる背支桿5に背凭れ6を支持させてなる。背凭れ6は、本実施形態では例えば背支持アーム51間に介在するように固着された背枠63と、この枠表面側に添設された背板64を具備してなるものであるが、勿論上記実施形態同様に背シェル61及び張地62を有したものであっても良い。
【0053】
以上のようにしてなる背凭れ6と前記座4とを、上記実施形態同様のロッキング機構7により連動させるようにしている。すなわちこのロッキング機構7も、背凭れ6の後傾動作に伴わせて座4を傾動させつつ上動させるようにした体重感知式のものである。詳述すれば、このロッキング機構7は、図3ないし図4に示すように、支持基部23、下端を支持基部2に回動可能に支持させた前リンク71と、下端を背支持アーム51に一体化させることによって回動中心を背支持アーム51の回動中心に側面視等しくしてなる後リンク72と、前リンク取付部31を前リンク71に連結するとともに後リンク取付部32を後リンク72に連結してなる座受3とを主体に構成されたものである。
【0054】
しかして本実施形態に係る椅子は、先端部82が前記背凭れ6後傾時に背凭れ6に掛かる荷重を受け得るように背支桿5に固着されるとともに基端部81が回転可能に取付けられた湾曲変形し得る弾性フレーム8を具備するものである。
【0055】
この弾性フレーム8は、例えば弾性変形可能な樹脂の一体成型によりなるものであり、基端部81が支持基部2のフレーム軸着部24に軸着されるとともに、先端部82が背支桿5のフレーム取付部55に固着されることにより、当該フレーム取付部55を介して背凭れ6後傾時に掛かる荷重を受け得るように構成されたものである。そして本実施形態では、基端部81が支持基部2における背支桿5の回転中心である後リンク軸着部23とは異なり、当該後リンク軸着部23よりも前側にある前リンク軸着部22に、前リンク71とともに軸着されている。
【0056】
そして前記背凭れ6の後傾に伴い、弾性フレーム8が基端部81と先端部82との間の距離が離間するように変化することによって曲率が小さくなる弾性変形をすることにより、前記背凭れ6に弾性反発力を付与するものとなっている。
【0057】
つまり、上述の通り前記背凭れ6の後傾に伴う背支桿5の回転動作により、前記リンク要素が座受3を介して座4を上昇させる方向に動作するとき、弾性フレーム8の曲率が小さくなることにより、基端部81と先端部82との間の距離が図9に示す距離P1から、図10に示す距離P2へと離間する。これにより弾性フレーム8は基端部81と先端部82との間の距離を小さくする方向の弾性反発力を蓄積する。この弾性片発力が、背凭れ6を起立方向へ移動させるように働く背凭れ6の後傾反力となる。
【0058】
このように、本実施形態に係る椅子のように、弾性フレーム8の上端部が固着された構成であるとともに、背凭れ6後傾時に弾性フレーム8の曲率が小さくなり、基端部81と先端部82との間の距離が離間するように構成したものであっても、上記各実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
【0059】
<第四実施形態>
続いて、本発明の第三実施形態に係る椅子について、図11乃び図12を参照して説明する。本実施形態においても、上記実施形態の構成要素に相当する構成要素に対しては同じ符号を付すものとする。
【0060】
本実施形態に係る椅子は、脚1、支持基部2、座受3、座4、背凭れ6、ロッキング機構7の構成については、上記第三実施形態と略同様の構成をなしている体重感知式の椅子である。また本実施形態では、支持基部2については上記の第二実施形態のように、前リンク71の回動範囲を制限するための前リンク制御部25を設けたものとしている。
【0061】
しかして本実施形態では、背支桿5並びに弾性フレーム8の構成が上記第三実施形態とは異なる。すなわち本実施形態では、背支桿5の上端に弾性フレーム8一体的に設けられ、当該弾性フレーム8を背支桿5の前方で湾曲させながら基端部81を支持基部2側に軸着するようにして、当該弾性フレーム8が背凭れ6の後傾に応じて先端部82と基端部81との間の距離を伸長するように弾性変形することにより、弾性フレーム8とともに背凭れ6の後傾反力を発生し得るものとなっている。具体的には、背支桿5の前側において湾曲した形状を成す弾性フレーム8は、基端部81が支持基部2における背支桿5の回転中心である後リンク軸着部23とは異なり、当該後リンク軸着部23よりも前側にある前リンク軸着部22に、前リンク71とともに軸着されたものとなっている。本実施形態に係る弾性フレームは、単に背凭れ6に後傾反力を付与するのみならず、肘掛けとしても有効に利用し得るものとなっている。勿論、弾性フレーム8の構成は、図示のものの他、背支桿5の中間部分に一体に設けたり、肘当てを一体又は別体に設けたものなど、肘掛けとして好適に利用するための種々の態様が考えられる。
【0062】
そして本実施形態においても、前記背凭れ6の後傾に伴い、弾性フレーム8が基端部81と先端部82との間の距離が離間するように変化することによって曲率が小さくなる弾性変形をすることにより、前記背凭れ6に弾性反発力を付与するものとなっている。
【0063】
つまり、上述の通り前記背凭れ6の後傾に伴う背支桿5の回転動作により、前記リンク要素が座受3を介して座4を上昇させる方向に動作するとき、弾性フレーム8の曲率が小さくなることにより、基端部81と先端部82との間の距離が図9に示す距離Q1から、図10に示す距離Q2へと離間する。これにより弾性フレーム8は基端部81と先端部82との間の距離を小さくする方向の弾性反発力、換言すれば弾性フレーム8の曲率が大きくなる方向の弾性反発力を蓄積する。この弾性片発力が、背凭れ6を起立方向へ移動させるように働く背凭れ6の後傾反力となる。
【0064】
このように、本実施形態に係る椅子のように、弾性フレーム8の上端部が背支桿5に固着された構成であるとともに、背凭れ6後傾時に弾性フレーム8の曲率が小さくなり、基端部81と先端部82との間の距離が離間するように構成したものであっても、上記各実施形態と同様の効果を奏するものとなる。加えて当該構成によれば、弾性フレーム8を肘掛けとして有効に利用し得るものとなる。
【0065】
特に本実施形態では、背凭れ6後傾時に弾性フレーム8の曲率を小さくする方向に弾性フレーム8を引っ張る構成を採用している。このように、あらかじめ湾曲させてある弾性フレーム8を引っ張って伸ばす方向に弾性変形させる態様のものであると、いくら変形させても直線状態すなわち曲率がゼロとなるときが弾性変形の限度であり、初期の湾曲状態から直線状態までが自ずと弾性フレーム8の変形範囲となる。つまり斯かる構成により弾性フレーム8は、背凭れ6の後傾反力を付与するのみならず、背凭れ6の動作範囲の設定にも寄与し、格別のストッパを設けることを有効に回避している。加えて、背凭れ6を後傾させるべく最も力を掛けられた状態が弾性フレーム8を直線状に引っ張っている状態なので、この状態では折れたりするような無理のある力が弾性フレーム8には掛らず、弾性フレーム8の耐久性を有効に向上せしめている。
【0066】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0067】
例えば、上記実施形態では体重感知式の椅子に本発明を適用した態様を開示したが、勿論、体重感知式を適用しない背座シンクロロッキング機構を具備した椅子に本発明を適用したものであってもよい。また弾性フレームの具体的形状や取付け位置等の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0068】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明はオフィス等で好適に利用される事務用回転椅子として利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…脚
2…支持基部
4…座
5…背支桿
6…背凭れ
72…リンク要素(後リンク)
8…弾性フレーム
82…先端部
81…基端部
83…弾性フレーム(伸長フレーム部83)
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で好適に利用される事務用回転椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、弾性変形し得る部材の変形により背凭れに対し適度な弾性反発力を付与し得る椅子が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。このものは、背凭れを構成する上側のフレーム及び下側のフレームの後方に先端部及び基端部を固定した弾性変形し得る樹脂からなる樹脂バネを設けることにより、背凭れの上部の後傾に伴い前記樹脂バネを弾性変形させることにより、着座者の上体の動作に好適に追随し得るような適度な後傾反力を付与し得るものとなっている。
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のものは、弾性変形する部材の両端が固定されているので、弾性変形の際に部材に掛かる力が大きい箇所と小さい箇所とが偏在するものとなっている。そして斯かる椅子は、継続的な使用を鑑みて、特に弾性変形時に各所に掛かる力の強弱を勘案して樹脂バネの具体的な形状や材質といった仕様が精密に決定されたものとなっている。すなわち特許文献1に係る椅子は、この樹脂バネの仕様を精密に決定するための労力を要したものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−130345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、部品に均等に荷重が加わりつつ弾性変形することにより、簡素な構成でも高い耐久性を得ることができる椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち本発明に係る椅子は、背凭れが後傾可能に構成された椅子であって、先端部が前記背凭れ後傾時に背凭れに掛かる荷重を受け得るように構成されるとともに当該先端部及び基端部のうち少なくとも一方が回転可能に取付けられた湾曲し得る弾性フレームを具備するものであり、この弾性フレームが、前記背凭れの後傾に伴い前記基端部と前記先端部との間の距離が変化することによって曲率が変化する弾性変形をすることにより、前記背凭れに弾性反発力を付与することを特徴とする。
【0008】
ここで、背凭れ後傾時に背凭れに掛かる荷重を受け得る構成とは、弾性フレームが直接背凭れに取付けられる態様に限られず、例えば背支桿などに取付けられることで、間接的に背凭れに掛かる荷重を受けるような構成をも含む概念である。
【0009】
このようなものであれば、弾性フレームは基端部又は先端部が回転可能に取付けられているので、回転可能に取付けられた箇所に背凭れ後傾時の力が集中することなく、弾性フレーム全体が均質的に変形し得るものとなる。これにより、継続的な使用によっても弾性フレームが局所的に疲労することを有効に回避することで、耐久性の高い椅子の実現に寄与し得るものとなる。
【0010】
また、弾性フレームが椅子の他の構成要素に干渉せず、且つコンパクトに椅子を構成するためには、弾性フレームを、背凭れの後側及び座の下側に沿って湾曲した形状とすることが望ましい。
【0011】
そして本発明では、椅子の具体的な形状や弾性フレームの取付け位置に応じて、
前記弾性フレームが、前記背凭れの後傾時に基端部と先端部との距離が近接するように弾性変形する構成も、基端部と先端部との距離が離間するように弾性変形する構成によっても、上記の通り優れた耐久性を実現し得るものとなる。
【0012】
そして、回転可能に構成された背支桿の構成を利用して、簡素な構成で本発明を実現するためには、背凭れが脚に支持されている支持基部に軸着された弾性変形し得ない構造をなす背支桿により回転可能に支持されるものとし、前記弾性フレームが基端部を前記支持基部における前記背支桿の回転中心とは異なる箇所で軸着するようにすれば良い。
【0013】
そして、弾性フレームに掛かる荷重が過度に増大することを有効に回避しつつ、弾性フレームが適度な弾性反発力を発揮するようにするためには、前記背支桿が座を支持するリンク要素と一体に形成されたものとし、背凭れの後傾に伴う背支桿の回転動作により、前記リンク要素が座を上昇させる方向に動作するという、いわゆる体重感知式の構成を適用することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡素な構成であっても高い耐久性を得ることができる椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る椅子の斜視図。
【図2】同他の斜視図。
【図3】同側面図。
【図4】図3に対応した作用説明図。
【図5】本発明の第二実施形態に係る椅子の斜視図。
【図6】同側面図。
【図7】図6に対応した作用説明図。
【図8】本発明の第三実施形態に係る椅子の斜視図。
【図9】同側面図。
【図10】同作用説明図。
【図11】本発明の第四実施形態に係る椅子の斜視図。
【図12】図11に対応した作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
これらの実施形態は本発明を事務用回転椅子に適用した場合のものである。
【0018】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係る椅子は、図1ないし図4に示すように、脚1と、この脚1に支持された支持基部2と、この支持基部2上に配された座受3と、この座受3に支持された座4と、前記支持基部2に回動可能に支持された背支桿5と、この背支桿5に取付けた背凭れ6と、この背凭れ6の後傾動作に伴わせて前記座受3及び座4を上動させるロッキング機構7と、そして、背凭れ6の後傾時に反力を付与するための弾性フレーム8とを具備してなる。
【0019】
脚1は、図1ないし図4に示すように、脚ベース11と、この脚ベース11の中心部に設けられた脚支柱12を備えてなる。脚ベース11は、同図に示すように、中心部に設けたハブから複数本の脚羽根13を放射状に突出させて設けたもので、前記脚羽根13先端にキャスタ14をそれぞれ設けている。脚支柱12は、ガススプリングタイプのもので上下方向に弾性的に伸縮し、所望の位置においてロックすることができるようにした通常のものである。すなわち、この脚支柱12は前記脚ベース11のハブに嵌着されたガススプリングの本体部分の上端から突出させたロッド16を有しており、このロッド16の上端にロック解除用の操作ボタン17が突出させてある。そして、このロッド16の上端部に支持基部2を装着している。前記ロック解除用操作ボタン17は、昇降用の操作レバー15により操作される。
【0020】
支持基部2は、脚支柱12のロッド16に取付けられるメインフレーム21と、このメインフレーム21に取付けられた前リンク軸着部22及び後リンク軸着部23、そして弾性フレーム8を軸着するフレーム軸着部24を具備してなるものである。なお図1及び図2では、メインフレーム21において脚支柱12に取付けられる中間部分の図示を省略して外形のみを破線で示している。前リンク軸着部22は、前リンク71を介して座受3の前端部を支持するためのものである。後リンク軸着部23は、背支持アーム51を含む背支桿5を脚支柱12よりも前側の位置で回動可能に支持するとともに後リンク72を介して座4の中間部でもある座受3の略中間部を支持するためのものである。そしてフレーム軸着部24は、脚支柱12よりも後側であるメインフレーム21の後端部に位置付けられたものであり、弾性フレーム8の基端部81を回転可能に支持している。
【0021】
以上のようにしてなる支持基部2に、前リンク71及び後リンク72を介して座受3を支持させている。座受3は、この実施形態においては例えば金属板の折り曲げ等により一体に成型されている。座受3の下面には、その前端部よりの位置に前リンク71を取付けるための前リンク取付部31と、前後方向における略中央位置に設けられた後リンク72を取付けるための後リンク取付部32が設けられている。前記前リンク取付部31及び後リンク取付部32は、座受3に一体に設けられている。
【0022】
座4は、座受3の上面に取付けられたインナーシェルと、このインナーシェルの上に配設したクッションと、このクッションの外面に張設した張地とを備えた通常のものである。
【0023】
背支桿5は、支持基部2から後上方に延出させた左右の背支持アーム51と、左右の背支持アーム51の上端間を接続する上接続部52と、この上接続部52よりも若干下側の位置で背凭れ6の上部を支持する背上支持部53と、左右の背支持アーム51の中間位置を接続する中間接続部54と、中間接続部54よりも下側の位置で弾性フレーム8の先端部82を回転可能に取付けているフレーム取付部55と、背凭れ6の下部を支持する背下支持部56とを有している。
【0024】
左右の背支持アーム51は、それぞれ前記支持基部2に回動可能に支持された弾性変形し得ないように設定された例えば硬質樹脂や金属製のものであり、前後方向に延びる前後方向延出部57と、この前後方向延出部57の後端から連続して上方に伸びる起立部58とを備えたものである。図示例では、前後方向延出部57と起立部58とは、側面視略くの字状をなしている。各背支持アーム51は、その基端、すなわち前後方向延出部57の前端部において、リンク要素である後リンク72の上端に一体的に接続している。
【0025】
以上のようにしてなる背支桿5に背凭れ6を支持させてなる。背凭れ6は、樹脂製の背シェル61や、この背シェル61の表面側に添設された張地62等を具備してなる通常のものである。
【0026】
以上のようにしてなる背凭れ6と前記座4とをロッキング機構7により連動させるようにしている。このロッキング機構7は、背凭れ6の後傾動作に伴わせて座4を傾動させつつ上動させるようにした体重感知式のものである。詳述すれば、このロッキング機構7は、図3ないし図4に示すように、支持基部23、下端部を支持基部2に回動可能に支持させた前リンク71と、上端部を背支持アーム51に一体化させることによって回動中心を背支持アーム51の回動中心に側面視等しくしてなる後リンク72と、前リンク取付部31を前リンク71に連結するとともに後リンク取付部32を後リンク72に連結してなる座受3とを主体に構成されたものである。
【0027】
すなわち、このロッキング機構7は、座4を支持する座受3を同一方向である前方向に傾斜する前リンク71と後リンク72とによって支持基部2に支持させ、その支持基部2に支持された背支持アーム51の後傾動作に伴わせて、前リンク71及び後リンク72を起立方向に回動させて前記座4及び座受3を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のものであり、背凭れ6の後傾時に、座4の前部を後部に比べてより多く持ち上げるように構成されたものである。すなわち、通常の背凭れ6及び座4のシンクロロッキング機構では、背凭れ6の後傾動作に伴わせて座4を下方側にのみ傾動させるものであるが、本実施形態に示すような体重感知式のロッキング機構7は、通常のロッキング機構とは異なり、背凭れ6の後傾動作に伴わせて座4を傾動させつつ着座者の荷重に抗して座4を持ち上げるように構成している。
【0028】
具体的に説明すれば、図3に示すように、背凭れ6を後傾させていない背起立時において、前リンク71の前傾度合いが後リンク72の前傾度合いよりも大きくなるように設定されている。また、前リンク71の支持基部2に対する回転中心を、後リンク72の支持基部2に対する回転中心よりも高い位置に設定している。また、前記背支持アーム51が、支持基部2における脚支柱12よりも前側の部位に枢支されている。なお前リンク71の前傾度合いを後リンク72の前傾度合いよりも大きくしている点は、後傾時に座4の前側を後側よりも相対的に大きく持ち上げることを目的としたものである。また本実施形態では、後リンク72を座受3の前後方向における略中央部に接続しているため、背凭れ6の後傾時前後リンク71、72共に座受3を持ち上げるような構成にしても、前リンク71が後リンク72よりも多く座受3を持ち上げるので、相対的に座受3の後端部は前端部よりも下がるように設定でき、座受3の前端部が上昇した際に座受3の後端部の高さ位置を、背凭れ6の起立時と後傾時で殆ど変わらないようにしている。
【0029】
しかして本実施形態に係る椅子は、先端部82が前記背凭れ6後傾時に背凭れ6に掛かる荷重を受け得るように構成されるとともに当該先端部82及び基端部81が回転可能に取付けられた湾曲変形し得る弾性フレーム8を具備するものである。
【0030】
この弾性フレーム8は、例えば弾性変形可能な樹脂の一体成型によりなるものであり、基端部81が支持基部2のフレーム軸着部24に軸着されるとともに、先端部82が背支桿5のフレーム取付部55に軸着されることにより、当該フレーム取付部55を介して背凭れ6後傾時に掛かる荷重を受け得るように構成されたものである。そして本実施形態では、基端部81が支持基部2における背支桿5の回転中心である後リンク軸着部23とは異なり、当該後リンク軸着部23よりも後側、つまりメインフレーム21の後端部で軸着されている。
【0031】
そして前記背凭れ6の後傾に伴い前記基端部81と前記先端部82との間の距離が近接するように変化することによって曲率が大きくなる弾性変形をすることにより、前記背凭れ6に弾性反発力を付与するものとなっている。
【0032】
つまり、上述の通り前記背凭れ6の後傾に伴う背支桿5の回転動作により、前記リンク要素が座受3を介して座4を上昇させる方向に動作するとき、弾性フレーム8の曲率が大きくなることにより、基端部81と先端部82との間の距離が図3に示す距離L1から、図4に示す距離L2へと近接する。これにより弾性フレーム8は基端部81と先端部82との間の距離を大きくする方向の弾性反発力を蓄積する。この弾性片発力が、背凭れ6を起立方向へ移動させるように働く背凭れ6の後傾反力となる。
【0033】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る椅子は、弾性フレーム8は基端部81又は先端部82が回転可能に取付けられているので、取付けられた箇所に背凭れ6後傾時の力が集中することなく、弾性フレーム8全体が均質的に変形し得るものとなる。これにより、継続的な使用によっても弾性フレーム8が局所的に疲労することを有効に回避することで、耐久性の高い椅子の実現に寄与し得るものとなっている。
【0034】
また、弾性フレーム8が椅子の他の構成要素に干渉せず、且つコンパクトに椅子を構成するために本実施形態では、弾性フレーム8を、背凭れ6の後側及び座4の下側に沿って湾曲した形状としている。
【0035】
そして本実施形態では、弾性フレーム8を、前記背凭れ6の後傾時に基端部81と先端部82との距離が近接するようにして曲率が大きくなるように弾性変形する構成とすることにより、弾性フレーム8が背凭れ6後傾時の座4の動作に干渉することを有効に回避し得たものとなっている。
【0036】
また本実施形態では、背支桿5の回転中心よりも後側に弾性フレーム8の基端部81の回転中心を位置付けることにより、簡素な構成で弾性フレーム8を弾性変形させ得る態様を実現している。
【0037】
特に本実施形態では、背凭れ6の後傾に伴う背支桿5の回転動作により、リンク要素である後リンク72が座4を上昇させる方向に動作する体重感知式の構成を適用することにより、背支桿5に掛かる荷重が座4を上昇させるための作用力にも変換されることで弾性フレーム8に掛かる荷重が過度に増大することを有効に回避しつつ、弾性フレーム8が適度な弾性反発力を発揮し得るものとなっている。
【0038】
<第二実施形態>
以下に、本発明の第二実施形態について説明するが、上記実施形態の構成要素に相当する構成要素については、同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を適宜省略するものとする。
【0039】
本実施形態に係る椅子は、脚1、座受3、座4、背凭れ6、ロッキング機構7、そして弾性フレーム8の構成については、上記第一実施形態と略同様の構成をなしている体重感知式の椅子である。また本実施形態では、支持基部2についてはメインフレーム21、前リンク軸着部22、後リンク軸着部23及びフレーム軸着部24を有している点は上記実施形態と同じであるが、さらに、前リンク71の回動範囲を制限するための前リンク制御部25を設けたものとなっている。
【0040】
しかして本実施形態では、背支桿5の構成、すなわち背支桿5に伸長フレーム部83を設けることにより、当該伸長フレーム部83が背凭れ6の後傾に応じて先端部82と基端部81との間の距離を伸長するように弾性変形することにより、弾性フレーム8とともに背凭れ6の後傾反力を発生し得るものとなっている。
【0041】
すなわち本実施形態では、左右の背支持アーム51はそれぞれ支持基部2に回動可能に支持された例えば樹脂製のものであり、背凭れ6に沿って位置付けられた起立部58の下側に、湾曲形状をなした伸長フレーム部83を備えている。そしてこの伸長フレーム部83も本発明に係る弾性フレームに相当するものとなっている。この伸長フレーム部83が、左右の背支持アーム51を構成する材質の形状等を適宜調整することによって、背凭れ6の後傾時に曲率が小さくなるように変形し得る。また本実施形態では各背支持アーム51は上記実施形態とは異なり、その基端側すなわち伸長フレーム部83の前端部において、リンク要素である後リンク72の上端ではなく下端に一体的に接続され、後リンク72とともに後リンク軸着部23に回動可能に軸着されている。また伸長フレーム部83の上端部は、中間接続部54に軸着される構成となっている。
【0042】
つまり、上述の通り背凭れ6の後傾に伴う背支桿5の回転動作により、前記リンク要素が座受3を介して座4を上昇させる方向に動作するとき、本実施形態では弾性フレーム8の曲率が大きくなる動作と伸長フレーム部83の曲率が小さくなる動作とが同時に起こる。これにより、弾性フレーム8の基端部81と先端部82との間の距離が図5に示す距離M1から図6に示す距離M2へと近接するとともに、伸長フレーム部83の基端部81である後リンク軸着部23と中間接続部54との間の距離がN1からN2へと離間する。これにより弾性フレーム8及び伸長フレーム部83はそれぞれ弾性反発力を蓄積する。そしてこれらの弾性片発力が、背凭れ6を起立方向へ移動させるように働く背凭れ6の後傾反力となる。
【0043】
このように、本実施形態に係る椅子は、それぞれ曲率が異なる弾性変形し得る弾性フレーム8及び伸長フレーム部83を有することにより、上記実施形態同様、好適な後傾反力を付与しつつ、簡素な構成で且つ耐久性に優れたものとなっている。
【0044】
<第三実施形態>
続いて、本発明の第三実施形態に係る椅子について、図8乃至図10を参照して説明する。本実施形態においても、上記実施形態の構成要素に相当する構成要素に対しては同じ符号を付すものとする。
【0045】
本発明の第三実施形態に係る椅子は、図8ないし図10に示すように、脚1と、この脚1に支持された支持基部2と、この支持基部2上に配された座受3と、この座受3に支持された座4と、前記支持基部2に回動可能に支持された背支桿5と、この背支桿5に取付けた背凭れ6と、この背凭れ6の後傾動作に伴わせて前記座受3及び座4を上動させるロッキング機構7と、そして、背凭れ6の後傾時に反力を付与するための弾性フレーム8とを具備してなる。
【0046】
脚1は、脚ベース11と、この脚ベース11の中心部に設けられた脚支柱12とを備えてなる。脚ベース11は、同図に示すように、中心部に設けたハブから複数本の脚羽根13を放射状に突出させて設けたもので、前記脚羽根13先端にキャスタ14をそれぞれ設けている。脚支柱12は、上記実施形態同様ガススプリングタイプのもので上下方向に弾性的に伸縮し、所望の位置においてロックすることができるようにした通常のものである。すなわち、この脚支柱12は、上記実施形態で図示された操作ボタン17及び操作レバー15を図示していないが、上記実施形態同様に、ロッド16の上端にロック解除用の操作ボタン17が突出させ、この操作ボタン17は、昇降用の操作レバー15により操作される。
【0047】
支持基部2は、脚支柱12のロッド16に取付けられるメインフレーム21と、このメインフレーム21に取付けられた前リンク軸着部22及び後リンク軸着部23、そして弾性フレーム8を軸着するフレーム軸着部24を具備してなるものである。なお図8では上記実施形態とは異なり、メインフレーム21において脚支柱12に取付けられる中間部分を図示している。前リンク軸着部22は、前リンク71を介して座受3の前端部を支持するためのものである。後リンク軸着部23は、背支持アーム51を含む背支桿5を脚支柱12よりも前側の位置で回動可能に支持するとともに後リンク72を介して座4の中間部でもある座受3の略中間部を支持するためのものである。そしてフレーム軸着部24は、脚支柱12よりも後側であるメインフレーム21の後端部に位置付けられたものであり、弾性フレーム8の基端部81を回転可能に支持している。
【0048】
座受3は、この実施形態においては例えば金属板の折り曲げ等により一体に成型されている。座受3の下面には、その前端部よりの位置に前リンク71を取付けるための前リンク取付部31と、前後方向における略中央位置に設けられた後リンク72を取付けるための後リンク取付部32が設けられている。前記前リンク取付部31及び後リンク取付部32は、座受3に一体に設けられている。
【0049】
座4は、本実施形態では座受3の上面に取付けられた板状のものとしているが、勿論図示例に限られることはなく、上記実施形態同様、インナーシェルと、このインナーシェルの上に配設したクッションと、このクッションの外面に張設した張地とを備えたものとしてもよい。
【0050】
背支桿5は、支持基部2から後上方に直線的に延出させた左右の背支持アーム51と、背凭れ6の両側から挟み込むように支持する背上支持部53と、この背上支持部53の外側において弾性フレーム8の先端部82を固着したフレーム取付部55とを有している。
【0051】
左右の背支持アーム51は、それぞれ前記支持基部2に回動可能に支持された弾性変形し得ないように設定された例えば硬質樹脂や金属製のものであり、前後方向に延びる斜め上方に直線状に伸びる起立部58を主体としたものである。各背支持アーム51は、その基端すなわち下端において、リンク要素である後リンク72の上端に一体的に接続している。
【0052】
以上のようにしてなる背支桿5に背凭れ6を支持させてなる。背凭れ6は、本実施形態では例えば背支持アーム51間に介在するように固着された背枠63と、この枠表面側に添設された背板64を具備してなるものであるが、勿論上記実施形態同様に背シェル61及び張地62を有したものであっても良い。
【0053】
以上のようにしてなる背凭れ6と前記座4とを、上記実施形態同様のロッキング機構7により連動させるようにしている。すなわちこのロッキング機構7も、背凭れ6の後傾動作に伴わせて座4を傾動させつつ上動させるようにした体重感知式のものである。詳述すれば、このロッキング機構7は、図3ないし図4に示すように、支持基部23、下端を支持基部2に回動可能に支持させた前リンク71と、下端を背支持アーム51に一体化させることによって回動中心を背支持アーム51の回動中心に側面視等しくしてなる後リンク72と、前リンク取付部31を前リンク71に連結するとともに後リンク取付部32を後リンク72に連結してなる座受3とを主体に構成されたものである。
【0054】
しかして本実施形態に係る椅子は、先端部82が前記背凭れ6後傾時に背凭れ6に掛かる荷重を受け得るように背支桿5に固着されるとともに基端部81が回転可能に取付けられた湾曲変形し得る弾性フレーム8を具備するものである。
【0055】
この弾性フレーム8は、例えば弾性変形可能な樹脂の一体成型によりなるものであり、基端部81が支持基部2のフレーム軸着部24に軸着されるとともに、先端部82が背支桿5のフレーム取付部55に固着されることにより、当該フレーム取付部55を介して背凭れ6後傾時に掛かる荷重を受け得るように構成されたものである。そして本実施形態では、基端部81が支持基部2における背支桿5の回転中心である後リンク軸着部23とは異なり、当該後リンク軸着部23よりも前側にある前リンク軸着部22に、前リンク71とともに軸着されている。
【0056】
そして前記背凭れ6の後傾に伴い、弾性フレーム8が基端部81と先端部82との間の距離が離間するように変化することによって曲率が小さくなる弾性変形をすることにより、前記背凭れ6に弾性反発力を付与するものとなっている。
【0057】
つまり、上述の通り前記背凭れ6の後傾に伴う背支桿5の回転動作により、前記リンク要素が座受3を介して座4を上昇させる方向に動作するとき、弾性フレーム8の曲率が小さくなることにより、基端部81と先端部82との間の距離が図9に示す距離P1から、図10に示す距離P2へと離間する。これにより弾性フレーム8は基端部81と先端部82との間の距離を小さくする方向の弾性反発力を蓄積する。この弾性片発力が、背凭れ6を起立方向へ移動させるように働く背凭れ6の後傾反力となる。
【0058】
このように、本実施形態に係る椅子のように、弾性フレーム8の上端部が固着された構成であるとともに、背凭れ6後傾時に弾性フレーム8の曲率が小さくなり、基端部81と先端部82との間の距離が離間するように構成したものであっても、上記各実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
【0059】
<第四実施形態>
続いて、本発明の第三実施形態に係る椅子について、図11乃び図12を参照して説明する。本実施形態においても、上記実施形態の構成要素に相当する構成要素に対しては同じ符号を付すものとする。
【0060】
本実施形態に係る椅子は、脚1、支持基部2、座受3、座4、背凭れ6、ロッキング機構7の構成については、上記第三実施形態と略同様の構成をなしている体重感知式の椅子である。また本実施形態では、支持基部2については上記の第二実施形態のように、前リンク71の回動範囲を制限するための前リンク制御部25を設けたものとしている。
【0061】
しかして本実施形態では、背支桿5並びに弾性フレーム8の構成が上記第三実施形態とは異なる。すなわち本実施形態では、背支桿5の上端に弾性フレーム8一体的に設けられ、当該弾性フレーム8を背支桿5の前方で湾曲させながら基端部81を支持基部2側に軸着するようにして、当該弾性フレーム8が背凭れ6の後傾に応じて先端部82と基端部81との間の距離を伸長するように弾性変形することにより、弾性フレーム8とともに背凭れ6の後傾反力を発生し得るものとなっている。具体的には、背支桿5の前側において湾曲した形状を成す弾性フレーム8は、基端部81が支持基部2における背支桿5の回転中心である後リンク軸着部23とは異なり、当該後リンク軸着部23よりも前側にある前リンク軸着部22に、前リンク71とともに軸着されたものとなっている。本実施形態に係る弾性フレームは、単に背凭れ6に後傾反力を付与するのみならず、肘掛けとしても有効に利用し得るものとなっている。勿論、弾性フレーム8の構成は、図示のものの他、背支桿5の中間部分に一体に設けたり、肘当てを一体又は別体に設けたものなど、肘掛けとして好適に利用するための種々の態様が考えられる。
【0062】
そして本実施形態においても、前記背凭れ6の後傾に伴い、弾性フレーム8が基端部81と先端部82との間の距離が離間するように変化することによって曲率が小さくなる弾性変形をすることにより、前記背凭れ6に弾性反発力を付与するものとなっている。
【0063】
つまり、上述の通り前記背凭れ6の後傾に伴う背支桿5の回転動作により、前記リンク要素が座受3を介して座4を上昇させる方向に動作するとき、弾性フレーム8の曲率が小さくなることにより、基端部81と先端部82との間の距離が図9に示す距離Q1から、図10に示す距離Q2へと離間する。これにより弾性フレーム8は基端部81と先端部82との間の距離を小さくする方向の弾性反発力、換言すれば弾性フレーム8の曲率が大きくなる方向の弾性反発力を蓄積する。この弾性片発力が、背凭れ6を起立方向へ移動させるように働く背凭れ6の後傾反力となる。
【0064】
このように、本実施形態に係る椅子のように、弾性フレーム8の上端部が背支桿5に固着された構成であるとともに、背凭れ6後傾時に弾性フレーム8の曲率が小さくなり、基端部81と先端部82との間の距離が離間するように構成したものであっても、上記各実施形態と同様の効果を奏するものとなる。加えて当該構成によれば、弾性フレーム8を肘掛けとして有効に利用し得るものとなる。
【0065】
特に本実施形態では、背凭れ6後傾時に弾性フレーム8の曲率を小さくする方向に弾性フレーム8を引っ張る構成を採用している。このように、あらかじめ湾曲させてある弾性フレーム8を引っ張って伸ばす方向に弾性変形させる態様のものであると、いくら変形させても直線状態すなわち曲率がゼロとなるときが弾性変形の限度であり、初期の湾曲状態から直線状態までが自ずと弾性フレーム8の変形範囲となる。つまり斯かる構成により弾性フレーム8は、背凭れ6の後傾反力を付与するのみならず、背凭れ6の動作範囲の設定にも寄与し、格別のストッパを設けることを有効に回避している。加えて、背凭れ6を後傾させるべく最も力を掛けられた状態が弾性フレーム8を直線状に引っ張っている状態なので、この状態では折れたりするような無理のある力が弾性フレーム8には掛らず、弾性フレーム8の耐久性を有効に向上せしめている。
【0066】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0067】
例えば、上記実施形態では体重感知式の椅子に本発明を適用した態様を開示したが、勿論、体重感知式を適用しない背座シンクロロッキング機構を具備した椅子に本発明を適用したものであってもよい。また弾性フレームの具体的形状や取付け位置等の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0068】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明はオフィス等で好適に利用される事務用回転椅子として利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…脚
2…支持基部
4…座
5…背支桿
6…背凭れ
72…リンク要素(後リンク)
8…弾性フレーム
82…先端部
81…基端部
83…弾性フレーム(伸長フレーム部83)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背凭れが後傾可能に構成された椅子であって、
先端部が前記背凭れ後傾時に背凭れに掛かる荷重を受け得るように構成されるとともに当該先端部及び基端部のうち少なくとも一方が回転可能に取付けられた湾曲し得る弾性フレームを具備するものであり、
この弾性フレームが、前記背凭れの後傾に伴い前記基端部と前記先端部との間の距離が変化することによって曲率が変化する弾性変形をすることにより、前記背凭れに弾性反発力を付与することを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記弾性フレームが、前記背凭れの後側及び座の下側に沿って湾曲した形状をなす請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記弾性フレームが、前記背凭れの後傾時に基端部と先端部との距離が近接するように弾性変形するものである請求項1、2または3記載の椅子。
【請求項4】
前記弾性フレームが、前記背凭れの後傾時に基端部と先端部との距離が離間するように弾性変形するものである請求項1、2または3記載の椅子。
【請求項5】
前記背凭れが脚に支持されている支持基部に軸着された弾性変形し得ない構造をなす背支桿により回転可能に支持されるものであり、
前記弾性フレームが基端部を前記支持基部における前記背支桿の回転中心とは異なる箇所で軸着されている請求項1または2記載の椅子。
【請求項6】
前記背支桿が座を支持するリンク要素と一体に形成されたものであり、
前記背凭れの後傾に伴う背支桿の回転動作により、前記リンク要素が座を上昇させる方向に動作する請求項5記載の椅子。
【請求項1】
背凭れが後傾可能に構成された椅子であって、
先端部が前記背凭れ後傾時に背凭れに掛かる荷重を受け得るように構成されるとともに当該先端部及び基端部のうち少なくとも一方が回転可能に取付けられた湾曲し得る弾性フレームを具備するものであり、
この弾性フレームが、前記背凭れの後傾に伴い前記基端部と前記先端部との間の距離が変化することによって曲率が変化する弾性変形をすることにより、前記背凭れに弾性反発力を付与することを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記弾性フレームが、前記背凭れの後側及び座の下側に沿って湾曲した形状をなす請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記弾性フレームが、前記背凭れの後傾時に基端部と先端部との距離が近接するように弾性変形するものである請求項1、2または3記載の椅子。
【請求項4】
前記弾性フレームが、前記背凭れの後傾時に基端部と先端部との距離が離間するように弾性変形するものである請求項1、2または3記載の椅子。
【請求項5】
前記背凭れが脚に支持されている支持基部に軸着された弾性変形し得ない構造をなす背支桿により回転可能に支持されるものであり、
前記弾性フレームが基端部を前記支持基部における前記背支桿の回転中心とは異なる箇所で軸着されている請求項1または2記載の椅子。
【請求項6】
前記背支桿が座を支持するリンク要素と一体に形成されたものであり、
前記背凭れの後傾に伴う背支桿の回転動作により、前記リンク要素が座を上昇させる方向に動作する請求項5記載の椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−135454(P2012−135454A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290105(P2010−290105)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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