植物の生葉のマイクロ波加熱乾燥法による微粉末化方法並びに生葉微粉末化製品
【課題】植物の生葉から効果的に機能し易い活性化葉緑素を量産すると共に、活性化葉緑素を摂取し易いような生葉の微粉末を簡易な方法で効率的にかつ均質に製造可能な技術を実現する。
【解決手段】植物の生の葉にマイクロ波を一次照射した後、一定の休止期間をおいて水分と温度を均してからマイクロ波を二次照射し、次いで粉砕処理することによって微粉末化し、生葉の葉緑素を容易にかつ効果的に摂取又は抽出可能とする方法によると、生葉全体において均一に内部の水分が外部に発熱移行して蒸発するため、効果的に乾燥が行われ、次いで行われる微粉末化処理が円滑かつ効果的に行われる。また、休止期間をおくと歩留りが向上し、二次照射による焙煎効果によって香りが増し、また葉緑素や有用成分の吸収が容易になる。
【解決手段】植物の生の葉にマイクロ波を一次照射した後、一定の休止期間をおいて水分と温度を均してからマイクロ波を二次照射し、次いで粉砕処理することによって微粉末化し、生葉の葉緑素を容易にかつ効果的に摂取又は抽出可能とする方法によると、生葉全体において均一に内部の水分が外部に発熱移行して蒸発するため、効果的に乾燥が行われ、次いで行われる微粉末化処理が円滑かつ効果的に行われる。また、休止期間をおくと歩留りが向上し、二次照射による焙煎効果によって香りが増し、また葉緑素や有用成分の吸収が容易になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
植物の葉に含まれている葉緑素(クロロフィル)は、タンパク質などの頑固な汚れを分解する作用があるため、石鹸やクレンジングなどに配合すると洗顔料などとして適している。小腸の絨毛間を掃除するので、小腸内のデトックス効果も期待できる。また、紫外線を防ぐ作用があるので、化粧品などに含ませると、肌への進入を防げる。さらに、傷んだ肌の再生を早めるので、皮膚の組織が活性化し、自然治癒を促すと言われている。
これらのほか、インターフェロンを増やして免疫力を強化する作用やコレステロールの抑制作用も注目されている。加えて、葉緑素の化学式は、人間のヘモグロビンの化学式と極めて近似していて、血液サラサラ作用や造血作用、抹消血管拡張作用などもあり、また血液をきれいにするので自然治癒力も向上するという。
【0002】
お茶をはじめ多くの緑色植物の特徴とする「葉緑素」は植物の「葉」の部分に多く含まれているので、今日多くの企業がこの葉緑素の抽出による健康食品や化粧品、医薬品等への利用を目論み様々な抽出法の取り組みが行われ、桑の葉の粉末はじめ多くの緑色葉の粉末商品が市販されている。しかしながら、細胞壁が障害となり、その特有とする各成分が十分に抽出されないままで商品化されているのが実情である。
葉緑素のこのような効能を生かした製品を実用化するには、葉緑素として直ちに摂取でき機能し易い状態となるよう活性化処理すると共に大量生産することが必要となる。
本発明は、植物の葉から効果的に機能し易い状態の活性化葉緑素を実現すると共に、活性化葉緑素やそれぞれの植物の葉特有の有用成分を摂取し又は抽出し易いように生葉をマイクロ波加熱乾燥して微粉末化し、かつ簡易な方法で効率的に均質に製造可能とすることを目的とする。
【背景技術】
【0003】
特開平10−113123によると、緑茶、ウーロン茶または紅茶その他の製茶された茶葉を簡単な構成で有効成分を損なわずまた色の退色を抑えて粉末化することができる茶葉粉砕乾燥方法として、原茶を仕上げした茶葉をスクリューコンベヤで撹拌し搬送しながらマイクロ波にかけて乾燥する方法が提案されている。このように、マイクロ波を用いる方法は、高熱を用いずに粉砕乾燥するので、品質が劣化しにくく、有効成分や香り・味の損失を抑えることができる。
【0004】
また、特開2008−136485において、バーナを用いて茶葉の乾燥を行う火入れ機に関し、茶に均等な熱を照射して、一律な乾燥を行うことを目的とし、マイクロ波加熱機構によって加熱一次乾燥された茶葉を運搬するトラフには、茶葉が送られる溝が備えられており、溝に対向する位置に茶葉の加熱二次乾燥を行う面状のガスバーナを備えた構造が提案されている。溝の幅を、バーナの面幅の1〜2.5倍程度に構成し、セラミックプレートの形状とバーナカバーの反射面とにより放射熱および輻射熱を有効利用することにより茶葉を均等に加熱二次乾燥することができる。
【0005】
さらに、特開2007−89444において、羅布麻茶の最終仕上げ工程にマイクロ波照射の焙煎処理を採用し、羅布麻茶に特有の有用な成分を損なうことなく、しかも青臭味がなく、好ましい香味がありその他にも味覚上優れた羅布麻茶を安定した品質で製造できる製法が提案されている。すなわち、原料である羅布麻葉を、洗浄、殺青、揉捻、乾燥および焙煎する各工程を含む羅布麻茶の製造方法において、前記焙煎工程を一次焙煎工程と二次焙煎工程の二段階で行ない、一次焙煎工程を外部加熱にて行ない、次いで二次焙煎工程をマイクロ波照射強度4〜6kwによる内部加熱またはこの内部加熱と共に外部加熱を併用して、加熱処理時間10〜30分、茶葉温度140〜170℃となる条件で行なうことを特徴とする羅布麻茶の製造方法である。
【0006】
これに対し、特開2001−136929は、血圧降下作用を有するGABAを高濃度で含有するアブラナ科植物およびその乾燥粉末、アブラナ科植物の搾汁その搾汁乾燥粉末を提供するために、マイクロ波照射処理によって、アブラナ科植物の緑色の外観を褪色させる酵素を失活させ、他方、過剰なマイクロ波照射処理は、アブナラ科植物に含まれるGABA、ビタミンなどの栄養分、有効成分を消失させるおそれがあるので、マイクロ波照射は、褪色に関与する酵素を失活させて、緑色を保持でき、かつ過剰照射による有効成分の消失が生じない範囲に留めるのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−113123
【特許文献2】特開2008−136485
【特許文献3】特開2007−89444
【特許文献4】特開2001−136929
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載の手法は、加熱乾燥と違って高熱を使用しないので、品質が劣化しにくく、有効成分や香り・味の損失を抑えることができる。
しかしながら、緑茶やウーロン茶、紅茶その他の製茶された茶葉を粉末化する粉砕乾燥方法であるため、本発明のように葉緑素を摂取可能な生葉をそのまま粉末化する方法としては不十分である。
【0009】
これに対し、特許文献2記載の茶葉乾燥用火入れ機の場合は、加熱一次乾燥だけをマイクロ波加熱機構によって行ない、茶葉の加熱二次乾燥は面状のガスバーナを備えた構造で行われる。
そのため、茶葉に熱を照射した場合に茶葉の表面が硬くならずに茶葉に滑りが生じ、いわゆる手揉みでの火入れ処理と同様の状態を容易に再現可能という効果を奏するが、本発明のような生葉の粉末化処理を効果的に行なうには適せず、かつマイクロ波加熱装置に加えてガスバーナ構造の熱照射装置が必要で、装置が大がかりで、コスト高となる。
【0010】
一方、特許文献3記載のように乾燥後の一次焙煎工程を外部加熱にて行ない、次いで二次焙煎工程をマイクロ波照射強度4〜6kwで内部加熱し、加熱処理時間10〜30分、茶葉温度140〜170℃となる条件で行なう製法は、効率よく短時間で高温の焙煎処理ができるので、羅布麻茶特有の健康に有用なフラボノイド成分が損なわれることなく、しかも青臭味はなくなり、香ばしい香味があって、その他にも甘味があるなど味覚上優れた羅布麻茶を安定した品質で製造できる。
しかしながら、焙煎処理であるから、外部加熱による一次焙煎工程とマイクロ波照射による二次焙煎工程の組み合わせで足りるが、本発明のような生葉の粉末化処理には不十分であり、しかも焙煎用ドラムは、供給された原料茶葉が回転移送され、かつ下方から加熱バーナーで加熱しながら回転駆動する構造とする必要があり、構造が複雑となる。
また、特許文献4記載のように、アブラナ科植物の緑色の外観を褪色させる酵素を失活させることが目的のマイクロ波照射は、マイクロ波照射したアブラナ科植物を圧搾し、得られた搾汁を乾燥したり、緑色を保持するには有効であるが、本発明のような効果的な乾燥・微粉末化は不可能である。
【0011】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、新鮮な植物としての水分が残存した状態の生の葉から、葉緑素としての効能を発揮し易い活性化状態の生葉粉末と各種生葉特有の有用成分を均質にかつ安価に抽出採取又は製品化可能なマイクロ波加熱乾燥法を実現すると共に生産した生葉微粉末の効果的な活用法を実現することにある。また、本発明の応用として、薬用的有効成分の他、葉に由来する赤、黄色、紫など花の色素も抽出することができ、この色素原料の粉末化も可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、植物の生の葉にマイクロ波を一次照射し、休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理することによって微粉末化し、生葉の葉緑素(クロロフィル)や有用成分を効果的に摂取又は抽出可能とすることを特徴とする生葉の微粉末化方法である。
一般的に植物はその生長する過程で植物細胞を構成する液胞の拡大により育っていくとされており、液胞の中には植物特有の成分が多く含まれている。植物の約70%が水分であるから、本発明のようにマイクロ波照射すると、細胞内の液胞の水分に反応して高温を発し、細胞内圧を高め、細胞の内側から細胞壁を破壊していることが、顕微鏡写真からも確認できた。そのため、細胞壁を効果的に破壊して、内部の葉緑素や有用成分を効率的に抽出したり摂取することが可能となる。
従って、植物の生の葉にマイクロ波を一次照射した後、一定の休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理することによって微粉末化し、生葉の葉緑素や有用成分を容易にかつ効果的に摂取又は抽出可能とする方法によると、生葉全体において均一に内部の水分が表面に発熱移行して蒸発するため、効果的に乾燥が行われ、次いで行われる微粉末化処理が円滑かつ効果的に行われる。しかも、マイクロ波照射で細胞壁を予め破壊することによって、微粉砕し易い状態となっているので、微粉末化を容易にかつ確実に行なうことができる。
また、マイクロ波の一次照射で乾燥が不均一に進行するが、一定の休止期間をおくことで水分が均一化されると共に、一旦冷却後に次の二次照射が行われるため、最終的に生葉全体における乾燥処理が均一に行われることになり、生葉の微粉末化品を効果的にかつ均質に実現でき、歩留りも向上する。
しかも、生葉の葉緑素の細胞壁がマイクロ波照射による液胞の膨張で破壊又は透水化されて乾燥が促進され、粉砕の結果、内部の有用成分や葉緑体が葉緑素として作用し易い活性化状態となるので、洗浄手段や化粧料、外皮用品あるいは飲食品として製品化した際に、葉緑素の働きを効果的に発揮可能な製品を実現可能となる。経口摂取する場合は、二次照射による焙煎効果によって香りが増し、また葉緑素成分の吸収が容易になる。
【0013】
請求項2は、原料となる植物の生の葉が、パッションフラワー、グァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー又はモリンガから成る有用緑色植物生葉の中の1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の生葉の微粉末化方法である。
発明者の研究の結果、原料となる生葉が、パッションフラワー(パッションフルーツは俗称、和名:とけいそう)の葉、グァバの葉、月桃の葉又は桑の葉などの有用緑色植物生葉であると、葉緑素の含有量が多く葉緑素を効果的に利用できるほか、それぞれの生葉特有の有用成分を含有しているため、それぞれの有用成分を効果的に摂取できる。
パッションフラワーやグァバ、月桃、桑は、亜熱帯性ないし熱帯性の過酷な条件下で光合成して自生する植物で、抗酸化力も高いので、微粉末化して葉緑素を容易に摂取又は抽出可能とすることによって、葉緑素の摂取が容易になると共に薬効成分を抽出して薬品製造する際の原料とすることも期待できる。
同様な理由から、ノニ、サトウキビ、オオバギ、センダン、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、ヒラミレモン(沖縄の方言名はシークヮーサー)、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー、モリンガなどの有用緑色植物の葉も有効である。
【0014】
請求項3は、請求項1に記載の方法によって、植物の生葉にマイクロ波を一次照射した後、休止期間をおいて、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理し、微粉末化してなることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末化製品である。
このように、請求項1に記載の方法によって、植物の生葉にマイクロ波を一次照射した後、休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理してなる活性化葉緑素入り微粉末化製品であるから、マイクロ波照射によって細胞の液胞が破壊し、生葉の全体において均一に液胞の水分が外部に移行して蒸発し、効果的に乾燥されている。従って、微粉末化処理が円滑かつ効果的に行われた、高品質の生葉の微粉末化品となる。
特に、一定の休止期間の設定と、一旦冷却後の二次照射により、水分の均一化と乾燥処理の均一化が実現され、高品質かつ均質の生葉微粉末品となる。
しかも、マイクロ波照射による葉緑素液胞の膨張で細胞壁を破壊又は透水化し、乾燥してから粉砕するので、内部の葉緑体が葉緑素として作用し易くなり、洗浄手段や化粧料、美白美容原料あるいは飲食品として製品化した際に、葉緑素の働きを効果的に発揮可能な製品を実現可能となる。経口摂取する場合は、二次照射による焙煎効果で香りが増すほか、葉緑素や他の有用成分の吸収が容易になる。
【0015】
請求項4は、パッションフラワー、グァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー又はモリンガから成る有用緑色植物生葉の中の1種以上をマイクロ波照射して乾燥させた葉を粉砕処理し、微粉末化してなることを特徴とする請求項3に記載の活性化葉緑素入り微粉末化製品である。
パッションフラワー、グァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ(シナモン)、レモングラス、モロコシソー(沖縄の方言名で「カバサンギー」)又はモリンガ(日本名は「ワサビノキ」)などの有用緑色植物の生葉は葉緑素の含有量が多いため、極めて効率的に葉緑素を摂取できるほか、特有の成分を含有しているので、それぞれの有用成分を効果的に摂取できる。
【0016】
請求項5は、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を配合してあることを特徴とする洗浄品、皮膚用品又は化粧品である。
このように、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を配合してある洗浄品又は化粧品であるから、洗浄品や化粧品として製品化した場合、葉緑素やそれぞれの生葉由来の効能を発揮可能な洗浄品や皮膚に塗布する皮膚用品、化粧品の実現が可能となる。
【0017】
請求項6は、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末をそのまま又は他の成分と混ぜて食品又は飲料とすることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末の利用方法。
このように、請求項1、2に記載の方法で微粉末化してなる活性化葉緑素入り生葉微粉末をそのまま又他の成分と混ぜて食品にしたり又は飲料にすることによって、生葉の成分を摂取すると、それぞれの生葉特有の効能と葉緑素の効能を生かして、体調の維持・改善を図ることができる。微粉末化してあるので、飲食した際の摂取効率も向上する。
従って、生葉の微粉末を配合して飲食したり、健康食品として製品化した場合、栄養素としての葉緑素やそれぞれの生葉由来の特有の効能を期待できる。
具体的には、生葉微粉末を香辛料や調味料に混ぜたり、ご飯の振りかけにしたり、みそ汁などに入れて飲んだり、水やぬるま湯、牛乳、ヨーグルトなどに溶いて摂取することもできる。或いは、豆腐、こんにゃく、めん類やパン、菓子などの生地に練り込んで用いることも可能で、多種多様な摂取方法が考えられる。
【0018】
請求項7は、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末をそのまま又他の成分と混ぜてカプセル若しくはスティック状袋に収納するか加圧して錠剤状に成型して成ることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末化製品である。
このように、生葉の微粉末をそのまま又他の成分と混ぜてカプセル若しくはスティック状袋に収納するか加圧して錠剤状に成型してあるため、既存の技術によって容易に、保存性が良く摂取し易い形態の生葉加工食品を量産化できる。また、携帯したりする際の取り扱い管理も簡便になる。
【0019】
請求項8は、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を、生葉の葉緑素及び/又は有用成分を抽出するための原料とすることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末の利用方法である。
このように、請求項1、2に記載の方法で微粉末化してなる請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を、生葉の葉緑素や有用成分を抽出するための原料として用いると、薬品などを製造する際に効率的に葉緑素や有用成分を抽出でき、各種生葉特有の成分も含有する薬品を容易に効率的に量産できる。その結果、パッションフラワーやグァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー、モリンガなどの有用緑色植物生葉の中の薬効成分を抽出して、この抽出物を含ませて各種の薬品を製造すると、微粉末を経口摂取する場合に比べると、速い効果が期待でき、微粉末品とは異なる需要や用途が期待できる。
なお、抽出方法によっては、微粉末に粉砕しない状態でクロロフィルを利用することも可能である。
【0020】
請求項9は、マイクロ波に反応しない材質で通気性に優れた多孔性の容器に生葉原料を収納してマイクロ波加熱し乾燥処理してから微粉末化することを特徴とする生葉の葉緑素や有用成分を効果的に摂取又は抽出可能とする方法である。
このように、マイクロ波に反応しない材質で通気性に優れた網籠などの多孔性の容器に生葉原料を収納してマイクロ波加熱し乾燥処理する方法によると、生葉原料を網籠などに無造作に投入して一次照射するだけでも、各葉の間に適度の隙間が各方向に発生するため、マイクロ波照射が均一となり、しかも発生した水蒸気の排出も円滑となる。その結果、局部的な焦げなどが発生しにくく、クロロフィルを効果的に抽出でき、かつ均一に乾燥するため、粉末化も可能になる。
休止時間をおいて二次照射もすると、より効果的であるが、休止時間も二次照射時間も大幅に短縮できる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1のように、植物の生の葉にマイクロ波を一次照射した後、一定の休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射した後、粉砕処理することによって微粉末化し、生葉の葉緑素を容易にかつ効果的に摂取又は抽出可能とする方法によると、一定の休止期間をおくことで水分が均一化されると共に、一旦冷却後に次の二次照射が行われるため、最終的に生葉全体における乾燥処理が均一に行われることになり、微粉末化処理が円滑かつ効果的に行われ、生葉の微粉末化品を効果的にかつ均質に実現でき、歩留りも向上する。
しかも、マイクロ波照射による液胞の膨張で破壊又は透水化されて、粉砕の結果、内部の葉緑体が葉緑素として作用し易い活性化状態となるので、洗浄手段や化粧料、外皮用品あるいは飲食品として製品化した際に、葉緑素の働きを効果的に発揮可能な製品を実現可能となる。経口摂取する場合は、二次照射による焙煎効果によって香りが増し、また葉緑素や有用成分の吸収が容易になる。
【0022】
発明者の研究の結果、請求項2のように、原料となる生葉が、パッションフラワーの葉、グァバの葉、月桃の葉又は桑の葉であると、葉緑素の含有量が多く葉緑素を効果的に利用できるほか、それぞれの生葉特有の有用成分を含有しているため、それぞれの有用成分を効果的に摂取できる。
パッションフラワーやグァバ、月桃、桑は、亜熱帯性ないし熱帯性の過酷な条件下で光合成して自生する植物で、抗酸化力も高いので、微粉末化して葉緑素を容易に摂取又は抽出可能とすることによって、葉緑素の摂取が容易になると共に薬効成分を抽出して薬品製造する際の原料とすることも期待できる。
【0023】
請求項3のように、請求項1に記載の方法によって、植物の生葉にマイクロ波を一次照射した後、休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射した後、粉砕処理してなる活性化葉緑素入り微粉末化製品であるから、マイクロ波照射によって細胞の液胞が破壊し、生葉の全体において均一に内部の水分が外部に移行して蒸発し、効果的に乾燥されている。従って、微粉末化処理が円滑かつ効果的に行われた、高品質の生葉の微粉末化品となる。
特に、一定の休止期間の設定と、一旦冷却後の二次照射により、水分と温度の均一化によって乾燥処理の均一化が実現され、高品質かつ均質の生葉微粉末品となる。
しかも、マイクロ波照射による葉緑素水胞の膨張で細胞壁を破壊又は透水化してから粉砕するので、内部の葉緑体が葉緑素として作用し易くなり、洗浄手段や化粧料、美白美容原料あるいは飲食品として製品化した際に、葉緑素の働きを効果的に発揮可能な製品を実現可能となる。二次照射による焙煎効果で香りが増すほか、葉緑素や有用成分の吸収が容易になるので、経口摂取にも好適である。
【0024】
前記のように、パッションフラワー、グァバ、月桃又は桑の生葉は葉緑素の含有量が多いため、請求項4に記載の各生葉をマイクロ波照射後に微粉末化した製品は、極めて効率的に葉緑素を摂取できるほか、特有の成分を含有しているので、それぞれの有用成分を効果的に摂取できる。
【0025】
請求項5のように、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を配合してある洗浄品又は化粧品であるから、洗浄品や化粧品として製品化した場合、葉緑素やそれぞれの生葉由来の効能を発揮可能な洗浄品や皮膚に塗布する皮膚用品、化粧品の実現が可能となる。
【0026】
請求項6のように、請求項1、2に記載の方法で微粉末化してなる活性化葉緑素入り生葉微粉末をそのまま又は他の成分と混ぜて食品にしたり又は飲料にすることによって、生葉の成分を摂取すると、それぞれの生葉特有の効能と葉緑素の効能を生かして、体調の維持・改善を図ることができる。微粉末化してあるので、飲食した際の摂取効率も向上する。
従って、生葉の微粉末を配合して飲食したり、健康食品として製品化した場合、栄養素としての葉緑素やそれぞれの生葉由来の特有の効能を期待できる。
【0027】
請求項7のように、生葉の微粉末をそのまま又は他の成分と混ぜてカプセルに収納するか加圧して錠剤状に成型してあるため、既存の技術によって容易に、保存性が良く摂取し易い形態の生葉加工食品を量産化できる。また、携帯したりする際の取り扱い管理も簡便になる。
【0028】
請求項8のように、請求項1、2に記載の方法で微粉末化してなる請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を、生葉の成分を抽出するための原料として用いると、薬品やサプリメントなどを製造する際に効率的に葉緑素成分を抽出でき、各種生葉特有の有用成分も含有する薬品やサプリメントを容易に効率的に量産できる。その結果、パッションフラワーやグァバ、月桃、桑などの生葉中の薬効成分を抽出して、この抽出物を含ませて各種の薬品やサプリメントを製造すると、微粉末を経口摂取する場合に比べて速い効果が期待でき、微粉末品とは異なる需要や用途が期待できる。
【0029】
請求項9のように、マイクロ波に反応しない材質で通気性に優れた網籠などのような多孔性の容器に生葉原料を収納してマイクロ波加熱し乾燥処理してから、微粉末化する方法によると、生葉原料を網籠などに無造作に投入して一次照射するだけでも、各葉の間に適度な隙間が各方向に自然と発生するため、マイクロ波照射が均一となり、しかも発生した水蒸気の排出も円滑となる。その結果、局部的な焦げなどが発生しにくく、葉緑素を効果的に抽出でき、かつ均一に乾燥するため、粉末化も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】生葉の乾燥微粉末化方法の処理工程を示すフローチャートである。
【図2】葉緑素の細胞膜構造を示す断面図である。
【図3】マイクロ波加熱で生葉が乾燥するメカニズムを示す無処理状態の顕微鏡写真で、倍率200倍である。
【図4】マイクロ波加熱で生葉が乾燥するメカニズムを示す無処理状態の顕微鏡写真で、倍率400倍である。
【図5】マイクロ波を一次照射して一次乾燥処理した後の顕微鏡写真で、倍率200倍である。
【図6】マイクロ波を一次照射して一次乾燥処理した後の顕微鏡写真で、倍率400倍である。
【図7】マイクロ波を二次照射して二次乾燥処理した後の顕微鏡写真で、倍率200倍である。
【図8】マイクロ波を二次照射して二次乾燥処理した後の顕微鏡写真で、倍率400倍である。
【図9】表7の数値を判別し易いようにグラフ化した図である。
【図10】生葉原料の処理量と一次照射処理、二次照射処理の関係を示すグラフである。
【図11】自動乾燥装置の実施例を示す部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明による植物の生葉の乾燥・微粉末化処理方法並びに生葉微粉末化製品が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。
図1は、植物の生葉の微粉末化処理方法の製造工程を示すフローチャートである。ステップS1は、原料となる植物の生葉であり、例えばパッションフラワー、グァバ、月桃又は桑などの生葉が適している。
次のステップS2では、これらの原料生葉を採取して来た後、付着している異物を除去したり、汚れを落とし、経口摂取しても差し支えない程度に衛生的前処理をする。洗浄も可能だが、水分は拭き取ることが望ましい。
【0032】
次いで、ステップS3において、電子レンジと同じ原理でマイクロ波を一次照射して、一次乾燥処理する。このとき、ターンテーブルの上に載せる生葉は、ていねいに揃えて重ねた状態でマイクロ波照射するのが良いが、ランダムに配置することも可能である。
一次照射は、例えばパッションフラワーの生葉だと、インバーター付きの温度制御可能な出力900Wの家庭用の電子レンジを使用し、発熱温度200〜300℃の場合、基準の生葉量120g当たり、3分40秒〜5分間程度、好ましくは250℃で4分20秒程度が適している。この間のマイクロ波照射によって、生葉中の水分子が振動し、内部から発熱するため、水分は生葉表面に移動して蒸発する。そのため、生葉の表面からは、発生した水分に起因する生臭い臭いが強くなる。なお、電子レンジは換気機能が付いているので、効果的に乾燥が行われるが、換気能力をさらに高めると、装置内壁やターンテーブルに水分が付着するのを抑制できる。
【0033】
マイクロ波照射による蒸発乾燥のメカニズムは、図2に示す生葉の細胞の細胞膜1中の液胞2が熱膨張して細胞壁1aを破壊し、水分が表面に移行して蒸発すると共に、各細胞膜間の水分も蒸発することによって、乾燥が進行するものと考えられる。
このように、マイクロ波加熱で液胞2が熱膨張し細胞壁1aが予め破壊ないし透水化されて水分が蒸発し乾燥するので、その後の粉砕処理による微粉末化が容易になり、細胞壁内部の葉緑体3や液胞2中の各種成分が露出し又は作用可能となるので、葉緑素の活性化が実現され、かつ葉緑体や各種成分の抽出や経口摂取が容易になる。
なお、4は核、5はミトコンドリアである。
【0034】
マイクロ波の周波数は、2000〜3000MHzが適しているが、より好ましくは2400〜2500MHzである。通常、家庭でも使用されている電子レンジを利用して、高周波発振器(マグネトロン)から2450MHzの電磁波を発生させ照射するのが効率的で、特別な設備投資が省ける。ただし、ベルトコンベアーなどのコンベアー手段による自動化を図ったり、業務用の大型のマイクロ波照射装置を設備してもよい。
【0035】
マイクロ波の一次照射の時間が経過すると、ステップS4のように休止時間をおいて、常温に戻す。この休止時間は、予め一定に設定しておいてもよいが、各種の作業を伴う場合は、その作業が終り次第、二次照射を開始してもよい。
生葉から蒸発した多量の水分が扉の内壁に付着するので、休止時間の間に拭き取るのがよいが、照射室内部の換気を効率化して蒸発水分を自動的に確実に排出することは可能である。また、ターンテーブル上の生葉の反転、配置や向きを変えるのもよい。異常が無いか各部位を開けて確認するなどの作業も可能である。ただし、図11のようなマイクロ波に反応しない合成樹脂などの網目の籠にランダムに無造作に生葉を投入するだけで、各生葉の間に程良い隙間ができ易いので、生葉の反転などの操作は不要となり、各葉の間を水蒸気も効果的に流出できる。網目は蒸発蒸気の流通も良いので、生葉表面に発生した水分の排出も容易で効率化される。
【0036】
休止時間は必ずしも一定である必要は無いが、一次照射によって各生葉の内部における乾燥度が不均一になっていたり、水分量のバラツキによる温度の不均一化が生じているので、休止時間の間に、乾燥度の低い部位の水分が乾燥の進行している部位に自然と移動して均され、乾燥度がより均一化する。また、一旦冷却されてから、次の二次照射が再開されるので、局部的な乾燥過剰や焦げが防げる。そのための二次照射時間として、基準の生葉量120g当たり、2〜3分間程度、好ましくはパッションフラワー生葉だと2分10秒程度が好適である。
高温になると葉緑素が変性し消失するので、局部的な高温状態も避けることが望ましい。
【0037】
次いで、ステップS5において、照射室の扉を閉じて同じ発振器でマイクロ波を二次照射するが、回転皿の回転速度を一次照射とは変えたり、逆転させることもできるが、通常は特に必要ない。二次照射は、例えばパッションフラワーの生葉の場合だと、1分30秒〜3分30秒間程度が適している。1分30秒より短いと乾燥不足となり、3分30秒を過ぎると焦げてしまう。
休止時間後の二回目のマイクロ波照射は、一次照射とは各葉の受ける照射条件が異なるため、トータルでは均一照射となり、水分の少ない部位から優先的に乾燥する。しかも、休止時間中に一旦冷却されて各部位の温度や水分も均一化されてから、二次照射が再開されるので、乾燥過剰や焦げの発生が抑制され、全体的に品質劣化を来さない程度に一定乾燥する。従って、炭化したり焦げる直前で二次照射が完了するように、二次照射の所要時間を設定する。
そのため、二次照射が完了する40秒前頃からは、一次照射後の生臭い臭いは消えて、原料葉特有の香ばしい焙煎臭が発生するので、飲食用に好適である。例えば、パッションフラワーの生葉だと甘い香りが、サトウキビの生葉だと黒糖の香りがする。
【0038】
このように香ばしい香りが立ち込め、焦げが発生しない頃合いになると、生葉全体の乾燥が完了した状態となるので、次いで乾燥処理室から取り出して、ステップS6において、早めに粉砕処理する。粉砕手段は、家庭用のミキサーでも可能だが、量産の際は業務用の処理能力の高い大型の粉砕装置が適している。
確実に微粉末化された頃合いに、粉砕処理を完了すると、ステップS7の生葉微粉末化品の完成である。
この微粉末化品は、そのまま飲んでもよいし、水やぬるま湯、牛乳、などの液体に溶いて飲んでもよい。従って、そのまま「パッションフラワーの生葉微粉末茶」として発売もできる。
そのまま飲食品の原料として使用してもよいし、石鹸やシャンプーなどのような洗浄品又は各種の化粧品に配合してもよい。これらの原料品として出荷してもよい。各種の薬効が有るので、薬効成分を抽出して薬品を製造する場合は、薬品の原料としても使用できる。
【0039】
亜熱帯性ないし熱帯性気候の日照が過酷な地域で自生する植物は光合成が盛んでかつ抗酸化力も強いので、生葉の葉緑素を効果的に細胞膜中から取り出して摂取することで、その効能をフルに活用することができる。
図2のように、葉緑素(クロロフィル)の葉緑体3は、細胞膜1と強靱な細胞壁1aで覆われているので、葉緑体3を効果的に摂取又は抽出するには、細胞膜1から露出させ又は作用可能とする必要がある。細胞壁1aは、咀嚼や胃液では破壊されないからである。
細胞膜1の中には、葉緑体3のほかに、核4やミトコンドリア5と共に液胞2が含まれているので、本発明によってマイクロ波の一次照射と二次照射を行なうと、液胞2の水分子が振動して発熱し、液胞2の体積膨張によって細胞壁1aが破裂破壊ないし弱体化して容易に透水可能となり、水分が蒸発して乾燥する。
その結果、マイクロ波照射後の粉砕処理が容易になり、細胞壁1aが効果的に破壊されて、内部の葉緑体3や液胞2中の有用成分が露出し、抽出ないし摂取可能となる。
【0040】
生葉原料として、パッションフラワーの生葉を使用した場合、一次照射時間と二次照射時間は、表1のとおりである。
【表1】
【0041】
使用した原料生葉の基準量を120gに設定したところ、一次照射で約50%水分除去される。二次照射後の乾燥葉の重量は約34〜38gに減少していた。このように、約30〜40%に減少したので、約70%の水分が蒸発し、除去されたことになる。
使用した電子レンジは、シャープ株式会社社製のRE−SX20で、定格高周波出力は900W、600W、500W、200W相当である。ただし、一次照射と二次照射は、900W、250℃で行なった。
このように、900W、250℃で、一次照射時間と二次照射時間の合計で、約6分30秒であり、一次照射時間だけだと約4分20秒である。
これに対し、特許文献4のアブラナ科植物をマイクロ波加熱する方法は、一次照射と二次照射に分けて休止時間を設ける手法ではなく、アブラナ科植物の緑色の外観を褪色させる酵素を失活させることが目的であって、クロロフィルの抽出には適しない。
【0042】
図3〜図8は、パッションフラワーの生葉がマイクロ波加熱で乾燥するメカニズムを示す顕微鏡写真で、図3、図4は無処理状態、図3は200倍、図4は400倍である。パッションフラワーの葉肉断面において、上表皮と下表紙との間に海綿状組織や通気組織、棚状組織が確認でき、葉緑体は葉肉細胞内に分布している。
図5、図6は、マイクロ波を一次照射して一次乾燥処理した後の葉肉断面で、図5は200倍、図6は400倍である。矢印で示す粒状体が葉緑体である。このように、一次照射処理で葉肉細胞が崩壊して、液胞中の葉緑体が放出されている状態が確認できる。
図7、図8はマイクロ波を二次照射して二次乾燥処理した後の状態で、図7は200倍、図8は400倍である。このように、二次乾燥処理後は、生葉の葉肉細胞の崩壊が進んで、葉緑体の放出は一層顕著となる。
【0043】
このように、植物の生葉の細胞壁及び細胞膜が細胞内の液胞2のマイクロ波振動熱により高温(水蒸気)爆破され、細胞内から植物固有の成分(葉緑素及びその他成分)が細胞外に放出されていることが、図4〜図8に示す顕微鏡写真で初めて確認することができ、理論的な説明の正しいことが実証された。
この事は、植物内の有用成分も同時に細胞外に放出されるため、植物特有の有用成分も放出されていることが、表2〜5のように、今回のパッションフラワー茶の成分分析により判明した。
しかも、マイクロ波を使用して乾燥した植物の成分分析は、通常の分析値よりかなり高分析値となっている。この方法によれば抽出時における成分のロスが少なくなっている為と思われる。
【0044】
【表2】
表2のように、パッションフラワー生葉微粉末はカリウムを大量に含有しているので、塩(ナトリウム)の摂り過ぎの害を防ぎ、高血圧を抑制する効果がある。カルシウムの含有量も多い。
【0045】
【表3】
表3のように、食物繊維の含有量が多く、しかも不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランス良く含まれている。
【0046】
【表4】
表4のように、血管を拡げて血圧を下げる作用をするマグネシウムが大量に含まれている。
【0047】
【表5】
表5のように、人体の生理機能を調節する上で重要な働きをするビタミンをバランス良く大量に含有している。
【0048】
次に、グァバの葉は、乾燥葉を煎じて飲むと血糖値を下げるとして、乾燥葉の茶が市販されている。しかしながら、通常の乾燥葉は葉緑素の効果は奏しないので、有効利用しているとは言えない。
そこで、生のグァバ葉を本発明の方法で一次照射、二次照射して乾燥させてから粉末化処理することによって、グァバ葉の葉緑素入り微粉末として製品化することが最も有効である。
表6は、基準量120gの生のグァバ葉の一次照射時間と二次照射時間であり、一次照射は4分〜5分程度がよく、二次照射は2分〜2分30秒程度が好適である。
【0049】
【表6】
【0050】
月桃は、沖縄の方言名で「サンニン」と呼ばれ、ショウガ科の多年草である。九州南部からマレーシアまで分布する。
月桃の葉も、抗菌作用や消臭作用が有るとして、その蒸留水が好評である。
従って、月桃の生葉を本発明の方法で一次照射、二次照射して乾燥させてから粉末化処理し、月桃の葉緑素や有用成分入り微粉末として製品化したり、飲食品や洗浄料、化粧料の原料として使用すると有効である。
表7は、基準量120gの生の月桃葉の一次照射時間と二次照射時間で、900Wでマイクロ波照射した場合、一次照射は4〜5分程度がよく、二次照射は2分20秒〜3分程度が好適である。
月桃葉の場合は、実施例では、前処理として、葉脈部分を除去し、5〜6枚を約5cm長に切断して、重量の調整を行なった。
【0051】
【表7】
【0052】
桑は熱帯から亜熱帯の山野に自生したり栽培されているクワ科クワ属の総称である。桑の生葉に関しては、含有するDNJ成分により、血糖値の急激な上昇抑制、インスリン分泌促進作用と血糖値の正常化、血圧の正常化と血圧上昇抑制効果、脂質代謝改善、肝臓と腎臓機能改善などの効果が報告されている。
桑の生葉の場合も、本発明方法で一次照射、二次照射して乾燥させてから粉末化処理し、桑葉の葉緑素や有用成分入り粉末として製品化すると、そのまま飲んだり、飲食品に添加することで、葉緑素などの有用成分の効能が期待できる。
表8は、午前10〜12時に採取した桑(沖縄在来種)の生葉をマイクロ波の一次照射、二次照射で乾燥させた実施例である。
【0053】
【表8】
【0054】
表8のように、基準量120gの桑の生葉の一次照射時間も4〜5分間程度が適している。二次照射時間は、1分30秒〜3分間程度が好適である。
以上のような各生葉の一次照射、二次照射の所要時間は、それぞれの下限時間以下の短時間では乾燥が不十分であり、上限時間より長いと焦げたりする恐れがある。
【0055】
以上のように、パッションフラワーの葉、グァバの葉、月桃の葉並びに桑の葉について、本発明の方法で乾燥微粉末化してなる生葉微粉末と生葉や茶、他の乾燥法と比較したクロロフィル抽出量を表9にまとめた。
【表9】
葉緑素を効果的に抽出ないし摂取可能な製法として、凍結乾燥法(FD)で乾燥した後に粉砕する方法が知られており、容易に摂取可能な葉緑素量が最大(0.73%)であるが、設備が大がかりでコスト高となる。
【0056】
表10は、パッションフラワーの葉、グァバの葉、月桃の葉並びに桑の葉について、生葉の葉緑素含有量と、本発明方法によるマイクロ波の一次照射、二次照射後の活性化葉緑素量を、条件を変えた試料ごとに測定した結果である。
【表10】
【0057】
表10の各測定結果を平均値化したのが表11である。容易に摂取可能な活性化葉緑素量は、マイクロ波の一次照射によって減少しており、二次照射後によって更に減少している。前記のように、マイクロ波照射による温度上昇の影響で葉緑素が変性し消失した結果である。
【表11】
表11の数値を判別し易いようにグラフ化したのが図9である。
【0058】
表10のように、供試した4草種の生葉のクロロフィル(葉緑素)含量のうち、1枚葉のパッションフラワーが最も高く、50.7%(乾物当たり)含まれている。
また、全ての草種において、乾燥処理(一次照射、二次照射)を行うにつれてクロロフィル含量は低下した。低下割合は、図9からも明らかなように、無処理の生葉に対し、一次照射で50〜60%まで低下し、二次照射で30〜40%まで低下していることが認められた。
従って、生葉のクロロフィルを抽出し量産するために、クロロフィル含量を優先するのであれば、不完全乾燥状態で各生葉の各部位間の乾燥の不均一や香りなどの問題は許容して、休止期間や二次照射を省き、一次照射だけの方が効果的である。その結果、葉緑素が約50%抽出されているので、冷凍保存すれば凍結状態の製品が可能で、特別な用途への対応が考えられる。
なお、表10、表11からも明らかなように、供試した3枚葉のパッションフラワー生葉の二次処理後のクロロフィル含量は16%(乾物当たり)となった。クロロフィル含量の測定は、微粉末化しない状態で行なった。
【0059】
以上のように、マイクロ波の一次照射によってクロロフィル含量が減少し、二次照射によって更に減少しているのは、加熱によってクロロフィル成分が変質した結果だと思われる。しかし、マイクロ波照射による加熱乾燥と粉砕処理によって、葉緑素などの有用成分が人体によって摂取し易い活性化状態まで微粉末化されているため、極めて商品価値の高い葉緑素製品を実現できる。
図10は、生葉原料の処理量と一次照射処理、二次照射処理の時間を示すグラフであり、原料の処理量と処理時間はほぼ比例していることが分かる。すなわち、基準の生葉量を120gとすると、その17%減が100g、25%増しが150gとなり、基準量の一次照射時間が4分20秒とすると、17%減では3分50秒、25%増しでは5分30秒となり、グラフで示すと、ほぼ直線状態となる。
また、二次照射処理についても、基準量で2分10秒とすると、17%減では1分50秒、25%増しでは2分40秒となり、グラフで示すと、ほぼ直線状態となる。
なお、二次照射後の重量は、基準量で35〜36g、17%減では31〜32g、25%増しでは44〜46gとなった。
【0060】
以上のように、マイクロ波を一次照射、二次照射して乾燥するための設備は、低コストで導入可能で、一般の生葉生産農家でも既存の電子レンジでも乾燥微粉末化できるので、生産農家で収穫直後の新鮮な生葉を利用して乾燥粉末化できる。粉砕手段は家庭用のジューサーミキサーでも十分である。
このように生産農家でも生葉から、より高品質の新鮮な葉緑素入り微粉末を生産でき、個々の農家の経営にも寄与できる。
また、前記のように、マイクロ波に反応しない材質の網籠を使用すれば、生葉の取り扱いも簡便となり、しかも休止時間や二次照射を省いて、一次照射乾燥だけで製品化することも可能となり、作業負担が軽減される。二次照射を要しないので、クロロフィル残存量50%以上も可能となる。
【0061】
もちろん、生葉を大量に集荷して、図11のような連続乾燥処理装置を採用して大量にマイクロ波照射し、量産することもできる。
図11において、マイクロ波に反応しない材質の網籠Bを収納してマイクロ波照射する照射室6は、左右又は前後の側壁7、8に開口9、10を開けて、網籠BがコンベアーCと共に通過可能にしてある。コンベアーCの両端を支持するプーリ11、12の軸とコンベアーCの支持ローラR…の軸は同一のフレームに回転可能に搭載支持されているので、一斉に上昇・下降できる。
網籠Bは、底部の径dよりも上端の径Dが大きいため、底部径dより大きく上端径Dより小さい支持孔hをコンベアーCに開けて、支持孔hに網籠Bを挿入するだげで、網籠Bを搬送できる。
【0062】
いま、プーリ11、12によってコンベアーCが左向きに間欠的に走行するものとすると、予め生葉を矢印a1方向に投入した網籠B1を、照射室6の開口10の右側の作業台13上のコンベアー支持孔hに挿入すると、網籠B1は作業台13上に載置支持される。
次に、側壁開口9、10の外側の開閉扉14、15の上端の駆動アーム16を上下アクチェータ17dで上昇させると、開口9、10が開くと共に、ターンテーブルTと、左右のコンベアー支持壁18、19と、左右の作業台22、13を、駆動アーム20を介して、上下アクチェータ17tの駆動アーム21で下降させ、網籠B1が支持孔h中に下降して支持された状態でコンベアーCが左向きに走行する。そして、網籠B1が照射室6中のターンテーブルT上に到来するとコンベアーCが停止する。
【0063】
次いで、上下アクチェータ17tによって、ターンテーブルTとコンベアー支持壁18、19と左右の作業台22、13を一斉に上昇させると、ターンテーブルTが網籠BをコンベアーCとの隙間G位置まで押し上げて、網籠Bが回転可能となり、上下アクチェータ17dで開閉扉14、15を下降させて、図示のようにコンベアーCが上下から挟まれた状態となり、照射室6が閉鎖される。この状態で、マグネトロン23とターンテーブルT駆動モータMと換気装置が始動して、ターンテーブルTが回転しながら、一次照射が行われる。
左右の側壁7、8や開閉扉14、15に多数の外気吸入孔を開けておき、前後の側壁内面と天井内面に吸引孔を多数開けて、照射室6内で発生した水蒸気を吸引すると、生葉から発生して水蒸気が円滑に排出されるので、拭き取り作業は要らない。
自動的に設定された一次照射時間に達すると、上下アクチェータ17dで開閉扉14、15を上昇させて、休止時間の間だけ、側壁開口9、10を開放することができる。休止時間を過ぎると上下アクチェータ17dで開閉扉14、15を下降させて閉鎖すると共に、上下アクチェータ17tでターンテーブルTを上昇させて、二次照射が行われる。
【0064】
予め設定された二次照射時間が経過すると、上下アクチェータ17dで開閉扉14、15を上昇させて、側壁開口9、10を開けると共に、上下アクチェータ17tによって、ターンテーブルTとコンベアー支持壁18、19と左右の作業台22、13を一斉に下降させると、乾燥処理を終えた網籠Bが自重で下降して支持孔hに支持された状態でコンベアーCが走行し、左側の作業台22上に到来すると、コンベアーCが停止すると共に、右側の作業台13上の網籠B1が処理室6のターンテーブルT上に搬入される。
次いで、上下アクチェータ17tによって、ターンテーブルTとコンベアー支持壁18、19と左右の作業台22、13が一斉に上昇するので、左側の作業台22上の乾燥済みの網籠B2を作業台22上から取り出すと共に、照射室中ではターンテーブルTが回転してマイクロ波照射乾燥が行われる。
【0065】
このように連続乾燥処理装置を用いてコンベアーCを間欠的に駆動し走行させることによって、原料生葉を入れた網籠Bをマイクロ波照射室6中で停止させて原料基準量120g当たり3分40秒〜5分の一次照射を行なってから、マイクロ波照射を2〜3分間一時休止して休止時間を設け、次いで生葉原料120g当たり、2〜3分間、マイクロ波を二次照射すれば、前記のように手作業で出し入れ操作する場合と同じ時間条件でマイクロ波照射し乾燥処理できる。
しかも、生葉を網籠Bに投入してマイクロ波照射する場合は、各葉の間に自然と各方向に適度の空間ができて、マイクロ波照射条件が均一となり、発生した蒸気の排出も円滑となるため、一次照射も二次照射も休止時間も手作業の場合より短めの時間にすることができる。例えば、一次照射は2〜20%短縮でき、休止時間と二次照射は5〜80%短縮できるので、処理時間が効率化される。また、水蒸気の排出が充分可能となった場合は、休止時間と二次照射を省いて、基準量120g当たり3分40秒〜5分の一次照射だけで完了し、その後に粉末化処理することもできる。
【0066】
なお、ターンテーブルTとコンベアー支持壁18、19と左右の作業台22、13の上下動に代えて、プーリ11、12とコンベアー支持ローラR…を一斉に上下させて網籠Bを持ち上げ搬送することもでき、両者を併用することもできる。
網籠Bは、通気性を良くするために多数の孔や窓孔を開けた容器であって、マイクロ波の照射条件が均一になるようにボウル状の円形が適している。土星の輪のようなフランジを外面に設けて、このフランジがコンベアーCの支持孔hの縁に載置支持されるようにすると、水平に載置し易い。
【0067】
以上のようにして製造した活性化葉緑素入り微粉末は、ステップS7で説明したように、そのまま飲んでもよいし、水やぬるま湯、牛乳、ヨーグルトなどの液体に溶いて飲んでもよい。香辛料や調味料に混ぜたり、ご飯の振りかけにしたり、みそ汁などに入れて飲んでもよい。めん類やパン、菓子などの生地に練り込んでもよく、多種多様な利用方法が考えられる。
また、活性化葉緑素入り微粉末をそのまま又他の成分と混ぜてカプセルに収納し、カプセル製品にしてもよい。あるいは、錠剤状に加圧成型することもできる。このようにして、摂取が容易な生葉の加工食品にすると、健康維持のためのサプリメントとしても有効である。
カプセルや錠剤状以外に、粒状や顆粒状、スティック状袋入りなども可能であり、液体に混ぜると液状やシロップ状、クリーム状、ゼリー状、ペースト状、グミ状、飴状なども可能である。
【0068】
本発明によるマイクロ波照射技術は、下記のような応用も期待可能である。 (1)葉緑素原料 ― 食品(お茶、お菓子、沖縄ソバ)、化粧品(美白、シミ、石鹸)、医薬品(血液製剤等)
(2)植物色素原料 染料
(3)芳香植物原料 香り成分の抽出
(4)植物以外の対象品の研究
水分含量が植物程度(70%)の含量なら、マイクロ波の活用が期待できる。人工的に対象物を生産し、焙煎などに有効利用が可能と思われる。
【0069】
パッションフラワーやグァバ、月桃、桑などの葉は、葉緑素の成分が豊富なだけでなく、亜熱帯性植物特有の各種の薬効成分も含有しているので、各種の有効成分を抽出して製薬にも利用できる。
そのためには、生葉の成分を効果的に抽出し利用できるように、収穫間もない新鮮な生葉を乾燥させて微粉末化することが必要であり、生葉の生産農家で乾燥・微粉末化するのが理想的である。
なお、パッションフラワーやグァバ、月桃、桑葉以外に、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー、モリンガなどの有用緑色植物の葉の中の1種以上を利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、植物の生葉にマイクロ波を一次照射した後、休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射して乾燥させた後、粉砕処理して微粉末化する方法によると、各種植物の生葉特有の葉緑素などの有効成分を効果的に摂取したり有効利用し易いように、生葉微粉末を均質にかつ安価に生産可能となり、国民の健康増進と農業の発展に寄与できる。また、マイクロ波に反応しない材質で通気性に優れた網籠に生葉原料を収納してマイクロ波加熱し乾燥処理すると、無造作に投入して一次照射するだけでもクロロフィルを効果的に抽出可能となり、かつ粉末化可能となる。
【符号の説明】
【0071】
1 細胞膜
1a 細胞壁
2 液胞
3 葉緑体
4 核
5 ミトコンドリア
C コンベアー
h 支持孔
B 網籠
6 照射室
T ターンテーブル
9・10 開口
13・22 作業台
【技術分野】
【0001】
植物の葉に含まれている葉緑素(クロロフィル)は、タンパク質などの頑固な汚れを分解する作用があるため、石鹸やクレンジングなどに配合すると洗顔料などとして適している。小腸の絨毛間を掃除するので、小腸内のデトックス効果も期待できる。また、紫外線を防ぐ作用があるので、化粧品などに含ませると、肌への進入を防げる。さらに、傷んだ肌の再生を早めるので、皮膚の組織が活性化し、自然治癒を促すと言われている。
これらのほか、インターフェロンを増やして免疫力を強化する作用やコレステロールの抑制作用も注目されている。加えて、葉緑素の化学式は、人間のヘモグロビンの化学式と極めて近似していて、血液サラサラ作用や造血作用、抹消血管拡張作用などもあり、また血液をきれいにするので自然治癒力も向上するという。
【0002】
お茶をはじめ多くの緑色植物の特徴とする「葉緑素」は植物の「葉」の部分に多く含まれているので、今日多くの企業がこの葉緑素の抽出による健康食品や化粧品、医薬品等への利用を目論み様々な抽出法の取り組みが行われ、桑の葉の粉末はじめ多くの緑色葉の粉末商品が市販されている。しかしながら、細胞壁が障害となり、その特有とする各成分が十分に抽出されないままで商品化されているのが実情である。
葉緑素のこのような効能を生かした製品を実用化するには、葉緑素として直ちに摂取でき機能し易い状態となるよう活性化処理すると共に大量生産することが必要となる。
本発明は、植物の葉から効果的に機能し易い状態の活性化葉緑素を実現すると共に、活性化葉緑素やそれぞれの植物の葉特有の有用成分を摂取し又は抽出し易いように生葉をマイクロ波加熱乾燥して微粉末化し、かつ簡易な方法で効率的に均質に製造可能とすることを目的とする。
【背景技術】
【0003】
特開平10−113123によると、緑茶、ウーロン茶または紅茶その他の製茶された茶葉を簡単な構成で有効成分を損なわずまた色の退色を抑えて粉末化することができる茶葉粉砕乾燥方法として、原茶を仕上げした茶葉をスクリューコンベヤで撹拌し搬送しながらマイクロ波にかけて乾燥する方法が提案されている。このように、マイクロ波を用いる方法は、高熱を用いずに粉砕乾燥するので、品質が劣化しにくく、有効成分や香り・味の損失を抑えることができる。
【0004】
また、特開2008−136485において、バーナを用いて茶葉の乾燥を行う火入れ機に関し、茶に均等な熱を照射して、一律な乾燥を行うことを目的とし、マイクロ波加熱機構によって加熱一次乾燥された茶葉を運搬するトラフには、茶葉が送られる溝が備えられており、溝に対向する位置に茶葉の加熱二次乾燥を行う面状のガスバーナを備えた構造が提案されている。溝の幅を、バーナの面幅の1〜2.5倍程度に構成し、セラミックプレートの形状とバーナカバーの反射面とにより放射熱および輻射熱を有効利用することにより茶葉を均等に加熱二次乾燥することができる。
【0005】
さらに、特開2007−89444において、羅布麻茶の最終仕上げ工程にマイクロ波照射の焙煎処理を採用し、羅布麻茶に特有の有用な成分を損なうことなく、しかも青臭味がなく、好ましい香味がありその他にも味覚上優れた羅布麻茶を安定した品質で製造できる製法が提案されている。すなわち、原料である羅布麻葉を、洗浄、殺青、揉捻、乾燥および焙煎する各工程を含む羅布麻茶の製造方法において、前記焙煎工程を一次焙煎工程と二次焙煎工程の二段階で行ない、一次焙煎工程を外部加熱にて行ない、次いで二次焙煎工程をマイクロ波照射強度4〜6kwによる内部加熱またはこの内部加熱と共に外部加熱を併用して、加熱処理時間10〜30分、茶葉温度140〜170℃となる条件で行なうことを特徴とする羅布麻茶の製造方法である。
【0006】
これに対し、特開2001−136929は、血圧降下作用を有するGABAを高濃度で含有するアブラナ科植物およびその乾燥粉末、アブラナ科植物の搾汁その搾汁乾燥粉末を提供するために、マイクロ波照射処理によって、アブラナ科植物の緑色の外観を褪色させる酵素を失活させ、他方、過剰なマイクロ波照射処理は、アブナラ科植物に含まれるGABA、ビタミンなどの栄養分、有効成分を消失させるおそれがあるので、マイクロ波照射は、褪色に関与する酵素を失活させて、緑色を保持でき、かつ過剰照射による有効成分の消失が生じない範囲に留めるのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−113123
【特許文献2】特開2008−136485
【特許文献3】特開2007−89444
【特許文献4】特開2001−136929
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載の手法は、加熱乾燥と違って高熱を使用しないので、品質が劣化しにくく、有効成分や香り・味の損失を抑えることができる。
しかしながら、緑茶やウーロン茶、紅茶その他の製茶された茶葉を粉末化する粉砕乾燥方法であるため、本発明のように葉緑素を摂取可能な生葉をそのまま粉末化する方法としては不十分である。
【0009】
これに対し、特許文献2記載の茶葉乾燥用火入れ機の場合は、加熱一次乾燥だけをマイクロ波加熱機構によって行ない、茶葉の加熱二次乾燥は面状のガスバーナを備えた構造で行われる。
そのため、茶葉に熱を照射した場合に茶葉の表面が硬くならずに茶葉に滑りが生じ、いわゆる手揉みでの火入れ処理と同様の状態を容易に再現可能という効果を奏するが、本発明のような生葉の粉末化処理を効果的に行なうには適せず、かつマイクロ波加熱装置に加えてガスバーナ構造の熱照射装置が必要で、装置が大がかりで、コスト高となる。
【0010】
一方、特許文献3記載のように乾燥後の一次焙煎工程を外部加熱にて行ない、次いで二次焙煎工程をマイクロ波照射強度4〜6kwで内部加熱し、加熱処理時間10〜30分、茶葉温度140〜170℃となる条件で行なう製法は、効率よく短時間で高温の焙煎処理ができるので、羅布麻茶特有の健康に有用なフラボノイド成分が損なわれることなく、しかも青臭味はなくなり、香ばしい香味があって、その他にも甘味があるなど味覚上優れた羅布麻茶を安定した品質で製造できる。
しかしながら、焙煎処理であるから、外部加熱による一次焙煎工程とマイクロ波照射による二次焙煎工程の組み合わせで足りるが、本発明のような生葉の粉末化処理には不十分であり、しかも焙煎用ドラムは、供給された原料茶葉が回転移送され、かつ下方から加熱バーナーで加熱しながら回転駆動する構造とする必要があり、構造が複雑となる。
また、特許文献4記載のように、アブラナ科植物の緑色の外観を褪色させる酵素を失活させることが目的のマイクロ波照射は、マイクロ波照射したアブラナ科植物を圧搾し、得られた搾汁を乾燥したり、緑色を保持するには有効であるが、本発明のような効果的な乾燥・微粉末化は不可能である。
【0011】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、新鮮な植物としての水分が残存した状態の生の葉から、葉緑素としての効能を発揮し易い活性化状態の生葉粉末と各種生葉特有の有用成分を均質にかつ安価に抽出採取又は製品化可能なマイクロ波加熱乾燥法を実現すると共に生産した生葉微粉末の効果的な活用法を実現することにある。また、本発明の応用として、薬用的有効成分の他、葉に由来する赤、黄色、紫など花の色素も抽出することができ、この色素原料の粉末化も可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、植物の生の葉にマイクロ波を一次照射し、休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理することによって微粉末化し、生葉の葉緑素(クロロフィル)や有用成分を効果的に摂取又は抽出可能とすることを特徴とする生葉の微粉末化方法である。
一般的に植物はその生長する過程で植物細胞を構成する液胞の拡大により育っていくとされており、液胞の中には植物特有の成分が多く含まれている。植物の約70%が水分であるから、本発明のようにマイクロ波照射すると、細胞内の液胞の水分に反応して高温を発し、細胞内圧を高め、細胞の内側から細胞壁を破壊していることが、顕微鏡写真からも確認できた。そのため、細胞壁を効果的に破壊して、内部の葉緑素や有用成分を効率的に抽出したり摂取することが可能となる。
従って、植物の生の葉にマイクロ波を一次照射した後、一定の休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理することによって微粉末化し、生葉の葉緑素や有用成分を容易にかつ効果的に摂取又は抽出可能とする方法によると、生葉全体において均一に内部の水分が表面に発熱移行して蒸発するため、効果的に乾燥が行われ、次いで行われる微粉末化処理が円滑かつ効果的に行われる。しかも、マイクロ波照射で細胞壁を予め破壊することによって、微粉砕し易い状態となっているので、微粉末化を容易にかつ確実に行なうことができる。
また、マイクロ波の一次照射で乾燥が不均一に進行するが、一定の休止期間をおくことで水分が均一化されると共に、一旦冷却後に次の二次照射が行われるため、最終的に生葉全体における乾燥処理が均一に行われることになり、生葉の微粉末化品を効果的にかつ均質に実現でき、歩留りも向上する。
しかも、生葉の葉緑素の細胞壁がマイクロ波照射による液胞の膨張で破壊又は透水化されて乾燥が促進され、粉砕の結果、内部の有用成分や葉緑体が葉緑素として作用し易い活性化状態となるので、洗浄手段や化粧料、外皮用品あるいは飲食品として製品化した際に、葉緑素の働きを効果的に発揮可能な製品を実現可能となる。経口摂取する場合は、二次照射による焙煎効果によって香りが増し、また葉緑素成分の吸収が容易になる。
【0013】
請求項2は、原料となる植物の生の葉が、パッションフラワー、グァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー又はモリンガから成る有用緑色植物生葉の中の1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の生葉の微粉末化方法である。
発明者の研究の結果、原料となる生葉が、パッションフラワー(パッションフルーツは俗称、和名:とけいそう)の葉、グァバの葉、月桃の葉又は桑の葉などの有用緑色植物生葉であると、葉緑素の含有量が多く葉緑素を効果的に利用できるほか、それぞれの生葉特有の有用成分を含有しているため、それぞれの有用成分を効果的に摂取できる。
パッションフラワーやグァバ、月桃、桑は、亜熱帯性ないし熱帯性の過酷な条件下で光合成して自生する植物で、抗酸化力も高いので、微粉末化して葉緑素を容易に摂取又は抽出可能とすることによって、葉緑素の摂取が容易になると共に薬効成分を抽出して薬品製造する際の原料とすることも期待できる。
同様な理由から、ノニ、サトウキビ、オオバギ、センダン、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、ヒラミレモン(沖縄の方言名はシークヮーサー)、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー、モリンガなどの有用緑色植物の葉も有効である。
【0014】
請求項3は、請求項1に記載の方法によって、植物の生葉にマイクロ波を一次照射した後、休止期間をおいて、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理し、微粉末化してなることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末化製品である。
このように、請求項1に記載の方法によって、植物の生葉にマイクロ波を一次照射した後、休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理してなる活性化葉緑素入り微粉末化製品であるから、マイクロ波照射によって細胞の液胞が破壊し、生葉の全体において均一に液胞の水分が外部に移行して蒸発し、効果的に乾燥されている。従って、微粉末化処理が円滑かつ効果的に行われた、高品質の生葉の微粉末化品となる。
特に、一定の休止期間の設定と、一旦冷却後の二次照射により、水分の均一化と乾燥処理の均一化が実現され、高品質かつ均質の生葉微粉末品となる。
しかも、マイクロ波照射による葉緑素液胞の膨張で細胞壁を破壊又は透水化し、乾燥してから粉砕するので、内部の葉緑体が葉緑素として作用し易くなり、洗浄手段や化粧料、美白美容原料あるいは飲食品として製品化した際に、葉緑素の働きを効果的に発揮可能な製品を実現可能となる。経口摂取する場合は、二次照射による焙煎効果で香りが増すほか、葉緑素や他の有用成分の吸収が容易になる。
【0015】
請求項4は、パッションフラワー、グァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー又はモリンガから成る有用緑色植物生葉の中の1種以上をマイクロ波照射して乾燥させた葉を粉砕処理し、微粉末化してなることを特徴とする請求項3に記載の活性化葉緑素入り微粉末化製品である。
パッションフラワー、グァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ(シナモン)、レモングラス、モロコシソー(沖縄の方言名で「カバサンギー」)又はモリンガ(日本名は「ワサビノキ」)などの有用緑色植物の生葉は葉緑素の含有量が多いため、極めて効率的に葉緑素を摂取できるほか、特有の成分を含有しているので、それぞれの有用成分を効果的に摂取できる。
【0016】
請求項5は、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を配合してあることを特徴とする洗浄品、皮膚用品又は化粧品である。
このように、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を配合してある洗浄品又は化粧品であるから、洗浄品や化粧品として製品化した場合、葉緑素やそれぞれの生葉由来の効能を発揮可能な洗浄品や皮膚に塗布する皮膚用品、化粧品の実現が可能となる。
【0017】
請求項6は、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末をそのまま又は他の成分と混ぜて食品又は飲料とすることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末の利用方法。
このように、請求項1、2に記載の方法で微粉末化してなる活性化葉緑素入り生葉微粉末をそのまま又他の成分と混ぜて食品にしたり又は飲料にすることによって、生葉の成分を摂取すると、それぞれの生葉特有の効能と葉緑素の効能を生かして、体調の維持・改善を図ることができる。微粉末化してあるので、飲食した際の摂取効率も向上する。
従って、生葉の微粉末を配合して飲食したり、健康食品として製品化した場合、栄養素としての葉緑素やそれぞれの生葉由来の特有の効能を期待できる。
具体的には、生葉微粉末を香辛料や調味料に混ぜたり、ご飯の振りかけにしたり、みそ汁などに入れて飲んだり、水やぬるま湯、牛乳、ヨーグルトなどに溶いて摂取することもできる。或いは、豆腐、こんにゃく、めん類やパン、菓子などの生地に練り込んで用いることも可能で、多種多様な摂取方法が考えられる。
【0018】
請求項7は、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末をそのまま又他の成分と混ぜてカプセル若しくはスティック状袋に収納するか加圧して錠剤状に成型して成ることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末化製品である。
このように、生葉の微粉末をそのまま又他の成分と混ぜてカプセル若しくはスティック状袋に収納するか加圧して錠剤状に成型してあるため、既存の技術によって容易に、保存性が良く摂取し易い形態の生葉加工食品を量産化できる。また、携帯したりする際の取り扱い管理も簡便になる。
【0019】
請求項8は、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を、生葉の葉緑素及び/又は有用成分を抽出するための原料とすることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末の利用方法である。
このように、請求項1、2に記載の方法で微粉末化してなる請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を、生葉の葉緑素や有用成分を抽出するための原料として用いると、薬品などを製造する際に効率的に葉緑素や有用成分を抽出でき、各種生葉特有の成分も含有する薬品を容易に効率的に量産できる。その結果、パッションフラワーやグァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー、モリンガなどの有用緑色植物生葉の中の薬効成分を抽出して、この抽出物を含ませて各種の薬品を製造すると、微粉末を経口摂取する場合に比べると、速い効果が期待でき、微粉末品とは異なる需要や用途が期待できる。
なお、抽出方法によっては、微粉末に粉砕しない状態でクロロフィルを利用することも可能である。
【0020】
請求項9は、マイクロ波に反応しない材質で通気性に優れた多孔性の容器に生葉原料を収納してマイクロ波加熱し乾燥処理してから微粉末化することを特徴とする生葉の葉緑素や有用成分を効果的に摂取又は抽出可能とする方法である。
このように、マイクロ波に反応しない材質で通気性に優れた網籠などの多孔性の容器に生葉原料を収納してマイクロ波加熱し乾燥処理する方法によると、生葉原料を網籠などに無造作に投入して一次照射するだけでも、各葉の間に適度の隙間が各方向に発生するため、マイクロ波照射が均一となり、しかも発生した水蒸気の排出も円滑となる。その結果、局部的な焦げなどが発生しにくく、クロロフィルを効果的に抽出でき、かつ均一に乾燥するため、粉末化も可能になる。
休止時間をおいて二次照射もすると、より効果的であるが、休止時間も二次照射時間も大幅に短縮できる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1のように、植物の生の葉にマイクロ波を一次照射した後、一定の休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射した後、粉砕処理することによって微粉末化し、生葉の葉緑素を容易にかつ効果的に摂取又は抽出可能とする方法によると、一定の休止期間をおくことで水分が均一化されると共に、一旦冷却後に次の二次照射が行われるため、最終的に生葉全体における乾燥処理が均一に行われることになり、微粉末化処理が円滑かつ効果的に行われ、生葉の微粉末化品を効果的にかつ均質に実現でき、歩留りも向上する。
しかも、マイクロ波照射による液胞の膨張で破壊又は透水化されて、粉砕の結果、内部の葉緑体が葉緑素として作用し易い活性化状態となるので、洗浄手段や化粧料、外皮用品あるいは飲食品として製品化した際に、葉緑素の働きを効果的に発揮可能な製品を実現可能となる。経口摂取する場合は、二次照射による焙煎効果によって香りが増し、また葉緑素や有用成分の吸収が容易になる。
【0022】
発明者の研究の結果、請求項2のように、原料となる生葉が、パッションフラワーの葉、グァバの葉、月桃の葉又は桑の葉であると、葉緑素の含有量が多く葉緑素を効果的に利用できるほか、それぞれの生葉特有の有用成分を含有しているため、それぞれの有用成分を効果的に摂取できる。
パッションフラワーやグァバ、月桃、桑は、亜熱帯性ないし熱帯性の過酷な条件下で光合成して自生する植物で、抗酸化力も高いので、微粉末化して葉緑素を容易に摂取又は抽出可能とすることによって、葉緑素の摂取が容易になると共に薬効成分を抽出して薬品製造する際の原料とすることも期待できる。
【0023】
請求項3のように、請求項1に記載の方法によって、植物の生葉にマイクロ波を一次照射した後、休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射した後、粉砕処理してなる活性化葉緑素入り微粉末化製品であるから、マイクロ波照射によって細胞の液胞が破壊し、生葉の全体において均一に内部の水分が外部に移行して蒸発し、効果的に乾燥されている。従って、微粉末化処理が円滑かつ効果的に行われた、高品質の生葉の微粉末化品となる。
特に、一定の休止期間の設定と、一旦冷却後の二次照射により、水分と温度の均一化によって乾燥処理の均一化が実現され、高品質かつ均質の生葉微粉末品となる。
しかも、マイクロ波照射による葉緑素水胞の膨張で細胞壁を破壊又は透水化してから粉砕するので、内部の葉緑体が葉緑素として作用し易くなり、洗浄手段や化粧料、美白美容原料あるいは飲食品として製品化した際に、葉緑素の働きを効果的に発揮可能な製品を実現可能となる。二次照射による焙煎効果で香りが増すほか、葉緑素や有用成分の吸収が容易になるので、経口摂取にも好適である。
【0024】
前記のように、パッションフラワー、グァバ、月桃又は桑の生葉は葉緑素の含有量が多いため、請求項4に記載の各生葉をマイクロ波照射後に微粉末化した製品は、極めて効率的に葉緑素を摂取できるほか、特有の成分を含有しているので、それぞれの有用成分を効果的に摂取できる。
【0025】
請求項5のように、請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を配合してある洗浄品又は化粧品であるから、洗浄品や化粧品として製品化した場合、葉緑素やそれぞれの生葉由来の効能を発揮可能な洗浄品や皮膚に塗布する皮膚用品、化粧品の実現が可能となる。
【0026】
請求項6のように、請求項1、2に記載の方法で微粉末化してなる活性化葉緑素入り生葉微粉末をそのまま又は他の成分と混ぜて食品にしたり又は飲料にすることによって、生葉の成分を摂取すると、それぞれの生葉特有の効能と葉緑素の効能を生かして、体調の維持・改善を図ることができる。微粉末化してあるので、飲食した際の摂取効率も向上する。
従って、生葉の微粉末を配合して飲食したり、健康食品として製品化した場合、栄養素としての葉緑素やそれぞれの生葉由来の特有の効能を期待できる。
【0027】
請求項7のように、生葉の微粉末をそのまま又は他の成分と混ぜてカプセルに収納するか加圧して錠剤状に成型してあるため、既存の技術によって容易に、保存性が良く摂取し易い形態の生葉加工食品を量産化できる。また、携帯したりする際の取り扱い管理も簡便になる。
【0028】
請求項8のように、請求項1、2に記載の方法で微粉末化してなる請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を、生葉の成分を抽出するための原料として用いると、薬品やサプリメントなどを製造する際に効率的に葉緑素成分を抽出でき、各種生葉特有の有用成分も含有する薬品やサプリメントを容易に効率的に量産できる。その結果、パッションフラワーやグァバ、月桃、桑などの生葉中の薬効成分を抽出して、この抽出物を含ませて各種の薬品やサプリメントを製造すると、微粉末を経口摂取する場合に比べて速い効果が期待でき、微粉末品とは異なる需要や用途が期待できる。
【0029】
請求項9のように、マイクロ波に反応しない材質で通気性に優れた網籠などのような多孔性の容器に生葉原料を収納してマイクロ波加熱し乾燥処理してから、微粉末化する方法によると、生葉原料を網籠などに無造作に投入して一次照射するだけでも、各葉の間に適度な隙間が各方向に自然と発生するため、マイクロ波照射が均一となり、しかも発生した水蒸気の排出も円滑となる。その結果、局部的な焦げなどが発生しにくく、葉緑素を効果的に抽出でき、かつ均一に乾燥するため、粉末化も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】生葉の乾燥微粉末化方法の処理工程を示すフローチャートである。
【図2】葉緑素の細胞膜構造を示す断面図である。
【図3】マイクロ波加熱で生葉が乾燥するメカニズムを示す無処理状態の顕微鏡写真で、倍率200倍である。
【図4】マイクロ波加熱で生葉が乾燥するメカニズムを示す無処理状態の顕微鏡写真で、倍率400倍である。
【図5】マイクロ波を一次照射して一次乾燥処理した後の顕微鏡写真で、倍率200倍である。
【図6】マイクロ波を一次照射して一次乾燥処理した後の顕微鏡写真で、倍率400倍である。
【図7】マイクロ波を二次照射して二次乾燥処理した後の顕微鏡写真で、倍率200倍である。
【図8】マイクロ波を二次照射して二次乾燥処理した後の顕微鏡写真で、倍率400倍である。
【図9】表7の数値を判別し易いようにグラフ化した図である。
【図10】生葉原料の処理量と一次照射処理、二次照射処理の関係を示すグラフである。
【図11】自動乾燥装置の実施例を示す部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明による植物の生葉の乾燥・微粉末化処理方法並びに生葉微粉末化製品が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。
図1は、植物の生葉の微粉末化処理方法の製造工程を示すフローチャートである。ステップS1は、原料となる植物の生葉であり、例えばパッションフラワー、グァバ、月桃又は桑などの生葉が適している。
次のステップS2では、これらの原料生葉を採取して来た後、付着している異物を除去したり、汚れを落とし、経口摂取しても差し支えない程度に衛生的前処理をする。洗浄も可能だが、水分は拭き取ることが望ましい。
【0032】
次いで、ステップS3において、電子レンジと同じ原理でマイクロ波を一次照射して、一次乾燥処理する。このとき、ターンテーブルの上に載せる生葉は、ていねいに揃えて重ねた状態でマイクロ波照射するのが良いが、ランダムに配置することも可能である。
一次照射は、例えばパッションフラワーの生葉だと、インバーター付きの温度制御可能な出力900Wの家庭用の電子レンジを使用し、発熱温度200〜300℃の場合、基準の生葉量120g当たり、3分40秒〜5分間程度、好ましくは250℃で4分20秒程度が適している。この間のマイクロ波照射によって、生葉中の水分子が振動し、内部から発熱するため、水分は生葉表面に移動して蒸発する。そのため、生葉の表面からは、発生した水分に起因する生臭い臭いが強くなる。なお、電子レンジは換気機能が付いているので、効果的に乾燥が行われるが、換気能力をさらに高めると、装置内壁やターンテーブルに水分が付着するのを抑制できる。
【0033】
マイクロ波照射による蒸発乾燥のメカニズムは、図2に示す生葉の細胞の細胞膜1中の液胞2が熱膨張して細胞壁1aを破壊し、水分が表面に移行して蒸発すると共に、各細胞膜間の水分も蒸発することによって、乾燥が進行するものと考えられる。
このように、マイクロ波加熱で液胞2が熱膨張し細胞壁1aが予め破壊ないし透水化されて水分が蒸発し乾燥するので、その後の粉砕処理による微粉末化が容易になり、細胞壁内部の葉緑体3や液胞2中の各種成分が露出し又は作用可能となるので、葉緑素の活性化が実現され、かつ葉緑体や各種成分の抽出や経口摂取が容易になる。
なお、4は核、5はミトコンドリアである。
【0034】
マイクロ波の周波数は、2000〜3000MHzが適しているが、より好ましくは2400〜2500MHzである。通常、家庭でも使用されている電子レンジを利用して、高周波発振器(マグネトロン)から2450MHzの電磁波を発生させ照射するのが効率的で、特別な設備投資が省ける。ただし、ベルトコンベアーなどのコンベアー手段による自動化を図ったり、業務用の大型のマイクロ波照射装置を設備してもよい。
【0035】
マイクロ波の一次照射の時間が経過すると、ステップS4のように休止時間をおいて、常温に戻す。この休止時間は、予め一定に設定しておいてもよいが、各種の作業を伴う場合は、その作業が終り次第、二次照射を開始してもよい。
生葉から蒸発した多量の水分が扉の内壁に付着するので、休止時間の間に拭き取るのがよいが、照射室内部の換気を効率化して蒸発水分を自動的に確実に排出することは可能である。また、ターンテーブル上の生葉の反転、配置や向きを変えるのもよい。異常が無いか各部位を開けて確認するなどの作業も可能である。ただし、図11のようなマイクロ波に反応しない合成樹脂などの網目の籠にランダムに無造作に生葉を投入するだけで、各生葉の間に程良い隙間ができ易いので、生葉の反転などの操作は不要となり、各葉の間を水蒸気も効果的に流出できる。網目は蒸発蒸気の流通も良いので、生葉表面に発生した水分の排出も容易で効率化される。
【0036】
休止時間は必ずしも一定である必要は無いが、一次照射によって各生葉の内部における乾燥度が不均一になっていたり、水分量のバラツキによる温度の不均一化が生じているので、休止時間の間に、乾燥度の低い部位の水分が乾燥の進行している部位に自然と移動して均され、乾燥度がより均一化する。また、一旦冷却されてから、次の二次照射が再開されるので、局部的な乾燥過剰や焦げが防げる。そのための二次照射時間として、基準の生葉量120g当たり、2〜3分間程度、好ましくはパッションフラワー生葉だと2分10秒程度が好適である。
高温になると葉緑素が変性し消失するので、局部的な高温状態も避けることが望ましい。
【0037】
次いで、ステップS5において、照射室の扉を閉じて同じ発振器でマイクロ波を二次照射するが、回転皿の回転速度を一次照射とは変えたり、逆転させることもできるが、通常は特に必要ない。二次照射は、例えばパッションフラワーの生葉の場合だと、1分30秒〜3分30秒間程度が適している。1分30秒より短いと乾燥不足となり、3分30秒を過ぎると焦げてしまう。
休止時間後の二回目のマイクロ波照射は、一次照射とは各葉の受ける照射条件が異なるため、トータルでは均一照射となり、水分の少ない部位から優先的に乾燥する。しかも、休止時間中に一旦冷却されて各部位の温度や水分も均一化されてから、二次照射が再開されるので、乾燥過剰や焦げの発生が抑制され、全体的に品質劣化を来さない程度に一定乾燥する。従って、炭化したり焦げる直前で二次照射が完了するように、二次照射の所要時間を設定する。
そのため、二次照射が完了する40秒前頃からは、一次照射後の生臭い臭いは消えて、原料葉特有の香ばしい焙煎臭が発生するので、飲食用に好適である。例えば、パッションフラワーの生葉だと甘い香りが、サトウキビの生葉だと黒糖の香りがする。
【0038】
このように香ばしい香りが立ち込め、焦げが発生しない頃合いになると、生葉全体の乾燥が完了した状態となるので、次いで乾燥処理室から取り出して、ステップS6において、早めに粉砕処理する。粉砕手段は、家庭用のミキサーでも可能だが、量産の際は業務用の処理能力の高い大型の粉砕装置が適している。
確実に微粉末化された頃合いに、粉砕処理を完了すると、ステップS7の生葉微粉末化品の完成である。
この微粉末化品は、そのまま飲んでもよいし、水やぬるま湯、牛乳、などの液体に溶いて飲んでもよい。従って、そのまま「パッションフラワーの生葉微粉末茶」として発売もできる。
そのまま飲食品の原料として使用してもよいし、石鹸やシャンプーなどのような洗浄品又は各種の化粧品に配合してもよい。これらの原料品として出荷してもよい。各種の薬効が有るので、薬効成分を抽出して薬品を製造する場合は、薬品の原料としても使用できる。
【0039】
亜熱帯性ないし熱帯性気候の日照が過酷な地域で自生する植物は光合成が盛んでかつ抗酸化力も強いので、生葉の葉緑素を効果的に細胞膜中から取り出して摂取することで、その効能をフルに活用することができる。
図2のように、葉緑素(クロロフィル)の葉緑体3は、細胞膜1と強靱な細胞壁1aで覆われているので、葉緑体3を効果的に摂取又は抽出するには、細胞膜1から露出させ又は作用可能とする必要がある。細胞壁1aは、咀嚼や胃液では破壊されないからである。
細胞膜1の中には、葉緑体3のほかに、核4やミトコンドリア5と共に液胞2が含まれているので、本発明によってマイクロ波の一次照射と二次照射を行なうと、液胞2の水分子が振動して発熱し、液胞2の体積膨張によって細胞壁1aが破裂破壊ないし弱体化して容易に透水可能となり、水分が蒸発して乾燥する。
その結果、マイクロ波照射後の粉砕処理が容易になり、細胞壁1aが効果的に破壊されて、内部の葉緑体3や液胞2中の有用成分が露出し、抽出ないし摂取可能となる。
【0040】
生葉原料として、パッションフラワーの生葉を使用した場合、一次照射時間と二次照射時間は、表1のとおりである。
【表1】
【0041】
使用した原料生葉の基準量を120gに設定したところ、一次照射で約50%水分除去される。二次照射後の乾燥葉の重量は約34〜38gに減少していた。このように、約30〜40%に減少したので、約70%の水分が蒸発し、除去されたことになる。
使用した電子レンジは、シャープ株式会社社製のRE−SX20で、定格高周波出力は900W、600W、500W、200W相当である。ただし、一次照射と二次照射は、900W、250℃で行なった。
このように、900W、250℃で、一次照射時間と二次照射時間の合計で、約6分30秒であり、一次照射時間だけだと約4分20秒である。
これに対し、特許文献4のアブラナ科植物をマイクロ波加熱する方法は、一次照射と二次照射に分けて休止時間を設ける手法ではなく、アブラナ科植物の緑色の外観を褪色させる酵素を失活させることが目的であって、クロロフィルの抽出には適しない。
【0042】
図3〜図8は、パッションフラワーの生葉がマイクロ波加熱で乾燥するメカニズムを示す顕微鏡写真で、図3、図4は無処理状態、図3は200倍、図4は400倍である。パッションフラワーの葉肉断面において、上表皮と下表紙との間に海綿状組織や通気組織、棚状組織が確認でき、葉緑体は葉肉細胞内に分布している。
図5、図6は、マイクロ波を一次照射して一次乾燥処理した後の葉肉断面で、図5は200倍、図6は400倍である。矢印で示す粒状体が葉緑体である。このように、一次照射処理で葉肉細胞が崩壊して、液胞中の葉緑体が放出されている状態が確認できる。
図7、図8はマイクロ波を二次照射して二次乾燥処理した後の状態で、図7は200倍、図8は400倍である。このように、二次乾燥処理後は、生葉の葉肉細胞の崩壊が進んで、葉緑体の放出は一層顕著となる。
【0043】
このように、植物の生葉の細胞壁及び細胞膜が細胞内の液胞2のマイクロ波振動熱により高温(水蒸気)爆破され、細胞内から植物固有の成分(葉緑素及びその他成分)が細胞外に放出されていることが、図4〜図8に示す顕微鏡写真で初めて確認することができ、理論的な説明の正しいことが実証された。
この事は、植物内の有用成分も同時に細胞外に放出されるため、植物特有の有用成分も放出されていることが、表2〜5のように、今回のパッションフラワー茶の成分分析により判明した。
しかも、マイクロ波を使用して乾燥した植物の成分分析は、通常の分析値よりかなり高分析値となっている。この方法によれば抽出時における成分のロスが少なくなっている為と思われる。
【0044】
【表2】
表2のように、パッションフラワー生葉微粉末はカリウムを大量に含有しているので、塩(ナトリウム)の摂り過ぎの害を防ぎ、高血圧を抑制する効果がある。カルシウムの含有量も多い。
【0045】
【表3】
表3のように、食物繊維の含有量が多く、しかも不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランス良く含まれている。
【0046】
【表4】
表4のように、血管を拡げて血圧を下げる作用をするマグネシウムが大量に含まれている。
【0047】
【表5】
表5のように、人体の生理機能を調節する上で重要な働きをするビタミンをバランス良く大量に含有している。
【0048】
次に、グァバの葉は、乾燥葉を煎じて飲むと血糖値を下げるとして、乾燥葉の茶が市販されている。しかしながら、通常の乾燥葉は葉緑素の効果は奏しないので、有効利用しているとは言えない。
そこで、生のグァバ葉を本発明の方法で一次照射、二次照射して乾燥させてから粉末化処理することによって、グァバ葉の葉緑素入り微粉末として製品化することが最も有効である。
表6は、基準量120gの生のグァバ葉の一次照射時間と二次照射時間であり、一次照射は4分〜5分程度がよく、二次照射は2分〜2分30秒程度が好適である。
【0049】
【表6】
【0050】
月桃は、沖縄の方言名で「サンニン」と呼ばれ、ショウガ科の多年草である。九州南部からマレーシアまで分布する。
月桃の葉も、抗菌作用や消臭作用が有るとして、その蒸留水が好評である。
従って、月桃の生葉を本発明の方法で一次照射、二次照射して乾燥させてから粉末化処理し、月桃の葉緑素や有用成分入り微粉末として製品化したり、飲食品や洗浄料、化粧料の原料として使用すると有効である。
表7は、基準量120gの生の月桃葉の一次照射時間と二次照射時間で、900Wでマイクロ波照射した場合、一次照射は4〜5分程度がよく、二次照射は2分20秒〜3分程度が好適である。
月桃葉の場合は、実施例では、前処理として、葉脈部分を除去し、5〜6枚を約5cm長に切断して、重量の調整を行なった。
【0051】
【表7】
【0052】
桑は熱帯から亜熱帯の山野に自生したり栽培されているクワ科クワ属の総称である。桑の生葉に関しては、含有するDNJ成分により、血糖値の急激な上昇抑制、インスリン分泌促進作用と血糖値の正常化、血圧の正常化と血圧上昇抑制効果、脂質代謝改善、肝臓と腎臓機能改善などの効果が報告されている。
桑の生葉の場合も、本発明方法で一次照射、二次照射して乾燥させてから粉末化処理し、桑葉の葉緑素や有用成分入り粉末として製品化すると、そのまま飲んだり、飲食品に添加することで、葉緑素などの有用成分の効能が期待できる。
表8は、午前10〜12時に採取した桑(沖縄在来種)の生葉をマイクロ波の一次照射、二次照射で乾燥させた実施例である。
【0053】
【表8】
【0054】
表8のように、基準量120gの桑の生葉の一次照射時間も4〜5分間程度が適している。二次照射時間は、1分30秒〜3分間程度が好適である。
以上のような各生葉の一次照射、二次照射の所要時間は、それぞれの下限時間以下の短時間では乾燥が不十分であり、上限時間より長いと焦げたりする恐れがある。
【0055】
以上のように、パッションフラワーの葉、グァバの葉、月桃の葉並びに桑の葉について、本発明の方法で乾燥微粉末化してなる生葉微粉末と生葉や茶、他の乾燥法と比較したクロロフィル抽出量を表9にまとめた。
【表9】
葉緑素を効果的に抽出ないし摂取可能な製法として、凍結乾燥法(FD)で乾燥した後に粉砕する方法が知られており、容易に摂取可能な葉緑素量が最大(0.73%)であるが、設備が大がかりでコスト高となる。
【0056】
表10は、パッションフラワーの葉、グァバの葉、月桃の葉並びに桑の葉について、生葉の葉緑素含有量と、本発明方法によるマイクロ波の一次照射、二次照射後の活性化葉緑素量を、条件を変えた試料ごとに測定した結果である。
【表10】
【0057】
表10の各測定結果を平均値化したのが表11である。容易に摂取可能な活性化葉緑素量は、マイクロ波の一次照射によって減少しており、二次照射後によって更に減少している。前記のように、マイクロ波照射による温度上昇の影響で葉緑素が変性し消失した結果である。
【表11】
表11の数値を判別し易いようにグラフ化したのが図9である。
【0058】
表10のように、供試した4草種の生葉のクロロフィル(葉緑素)含量のうち、1枚葉のパッションフラワーが最も高く、50.7%(乾物当たり)含まれている。
また、全ての草種において、乾燥処理(一次照射、二次照射)を行うにつれてクロロフィル含量は低下した。低下割合は、図9からも明らかなように、無処理の生葉に対し、一次照射で50〜60%まで低下し、二次照射で30〜40%まで低下していることが認められた。
従って、生葉のクロロフィルを抽出し量産するために、クロロフィル含量を優先するのであれば、不完全乾燥状態で各生葉の各部位間の乾燥の不均一や香りなどの問題は許容して、休止期間や二次照射を省き、一次照射だけの方が効果的である。その結果、葉緑素が約50%抽出されているので、冷凍保存すれば凍結状態の製品が可能で、特別な用途への対応が考えられる。
なお、表10、表11からも明らかなように、供試した3枚葉のパッションフラワー生葉の二次処理後のクロロフィル含量は16%(乾物当たり)となった。クロロフィル含量の測定は、微粉末化しない状態で行なった。
【0059】
以上のように、マイクロ波の一次照射によってクロロフィル含量が減少し、二次照射によって更に減少しているのは、加熱によってクロロフィル成分が変質した結果だと思われる。しかし、マイクロ波照射による加熱乾燥と粉砕処理によって、葉緑素などの有用成分が人体によって摂取し易い活性化状態まで微粉末化されているため、極めて商品価値の高い葉緑素製品を実現できる。
図10は、生葉原料の処理量と一次照射処理、二次照射処理の時間を示すグラフであり、原料の処理量と処理時間はほぼ比例していることが分かる。すなわち、基準の生葉量を120gとすると、その17%減が100g、25%増しが150gとなり、基準量の一次照射時間が4分20秒とすると、17%減では3分50秒、25%増しでは5分30秒となり、グラフで示すと、ほぼ直線状態となる。
また、二次照射処理についても、基準量で2分10秒とすると、17%減では1分50秒、25%増しでは2分40秒となり、グラフで示すと、ほぼ直線状態となる。
なお、二次照射後の重量は、基準量で35〜36g、17%減では31〜32g、25%増しでは44〜46gとなった。
【0060】
以上のように、マイクロ波を一次照射、二次照射して乾燥するための設備は、低コストで導入可能で、一般の生葉生産農家でも既存の電子レンジでも乾燥微粉末化できるので、生産農家で収穫直後の新鮮な生葉を利用して乾燥粉末化できる。粉砕手段は家庭用のジューサーミキサーでも十分である。
このように生産農家でも生葉から、より高品質の新鮮な葉緑素入り微粉末を生産でき、個々の農家の経営にも寄与できる。
また、前記のように、マイクロ波に反応しない材質の網籠を使用すれば、生葉の取り扱いも簡便となり、しかも休止時間や二次照射を省いて、一次照射乾燥だけで製品化することも可能となり、作業負担が軽減される。二次照射を要しないので、クロロフィル残存量50%以上も可能となる。
【0061】
もちろん、生葉を大量に集荷して、図11のような連続乾燥処理装置を採用して大量にマイクロ波照射し、量産することもできる。
図11において、マイクロ波に反応しない材質の網籠Bを収納してマイクロ波照射する照射室6は、左右又は前後の側壁7、8に開口9、10を開けて、網籠BがコンベアーCと共に通過可能にしてある。コンベアーCの両端を支持するプーリ11、12の軸とコンベアーCの支持ローラR…の軸は同一のフレームに回転可能に搭載支持されているので、一斉に上昇・下降できる。
網籠Bは、底部の径dよりも上端の径Dが大きいため、底部径dより大きく上端径Dより小さい支持孔hをコンベアーCに開けて、支持孔hに網籠Bを挿入するだげで、網籠Bを搬送できる。
【0062】
いま、プーリ11、12によってコンベアーCが左向きに間欠的に走行するものとすると、予め生葉を矢印a1方向に投入した網籠B1を、照射室6の開口10の右側の作業台13上のコンベアー支持孔hに挿入すると、網籠B1は作業台13上に載置支持される。
次に、側壁開口9、10の外側の開閉扉14、15の上端の駆動アーム16を上下アクチェータ17dで上昇させると、開口9、10が開くと共に、ターンテーブルTと、左右のコンベアー支持壁18、19と、左右の作業台22、13を、駆動アーム20を介して、上下アクチェータ17tの駆動アーム21で下降させ、網籠B1が支持孔h中に下降して支持された状態でコンベアーCが左向きに走行する。そして、網籠B1が照射室6中のターンテーブルT上に到来するとコンベアーCが停止する。
【0063】
次いで、上下アクチェータ17tによって、ターンテーブルTとコンベアー支持壁18、19と左右の作業台22、13を一斉に上昇させると、ターンテーブルTが網籠BをコンベアーCとの隙間G位置まで押し上げて、網籠Bが回転可能となり、上下アクチェータ17dで開閉扉14、15を下降させて、図示のようにコンベアーCが上下から挟まれた状態となり、照射室6が閉鎖される。この状態で、マグネトロン23とターンテーブルT駆動モータMと換気装置が始動して、ターンテーブルTが回転しながら、一次照射が行われる。
左右の側壁7、8や開閉扉14、15に多数の外気吸入孔を開けておき、前後の側壁内面と天井内面に吸引孔を多数開けて、照射室6内で発生した水蒸気を吸引すると、生葉から発生して水蒸気が円滑に排出されるので、拭き取り作業は要らない。
自動的に設定された一次照射時間に達すると、上下アクチェータ17dで開閉扉14、15を上昇させて、休止時間の間だけ、側壁開口9、10を開放することができる。休止時間を過ぎると上下アクチェータ17dで開閉扉14、15を下降させて閉鎖すると共に、上下アクチェータ17tでターンテーブルTを上昇させて、二次照射が行われる。
【0064】
予め設定された二次照射時間が経過すると、上下アクチェータ17dで開閉扉14、15を上昇させて、側壁開口9、10を開けると共に、上下アクチェータ17tによって、ターンテーブルTとコンベアー支持壁18、19と左右の作業台22、13を一斉に下降させると、乾燥処理を終えた網籠Bが自重で下降して支持孔hに支持された状態でコンベアーCが走行し、左側の作業台22上に到来すると、コンベアーCが停止すると共に、右側の作業台13上の網籠B1が処理室6のターンテーブルT上に搬入される。
次いで、上下アクチェータ17tによって、ターンテーブルTとコンベアー支持壁18、19と左右の作業台22、13が一斉に上昇するので、左側の作業台22上の乾燥済みの網籠B2を作業台22上から取り出すと共に、照射室中ではターンテーブルTが回転してマイクロ波照射乾燥が行われる。
【0065】
このように連続乾燥処理装置を用いてコンベアーCを間欠的に駆動し走行させることによって、原料生葉を入れた網籠Bをマイクロ波照射室6中で停止させて原料基準量120g当たり3分40秒〜5分の一次照射を行なってから、マイクロ波照射を2〜3分間一時休止して休止時間を設け、次いで生葉原料120g当たり、2〜3分間、マイクロ波を二次照射すれば、前記のように手作業で出し入れ操作する場合と同じ時間条件でマイクロ波照射し乾燥処理できる。
しかも、生葉を網籠Bに投入してマイクロ波照射する場合は、各葉の間に自然と各方向に適度の空間ができて、マイクロ波照射条件が均一となり、発生した蒸気の排出も円滑となるため、一次照射も二次照射も休止時間も手作業の場合より短めの時間にすることができる。例えば、一次照射は2〜20%短縮でき、休止時間と二次照射は5〜80%短縮できるので、処理時間が効率化される。また、水蒸気の排出が充分可能となった場合は、休止時間と二次照射を省いて、基準量120g当たり3分40秒〜5分の一次照射だけで完了し、その後に粉末化処理することもできる。
【0066】
なお、ターンテーブルTとコンベアー支持壁18、19と左右の作業台22、13の上下動に代えて、プーリ11、12とコンベアー支持ローラR…を一斉に上下させて網籠Bを持ち上げ搬送することもでき、両者を併用することもできる。
網籠Bは、通気性を良くするために多数の孔や窓孔を開けた容器であって、マイクロ波の照射条件が均一になるようにボウル状の円形が適している。土星の輪のようなフランジを外面に設けて、このフランジがコンベアーCの支持孔hの縁に載置支持されるようにすると、水平に載置し易い。
【0067】
以上のようにして製造した活性化葉緑素入り微粉末は、ステップS7で説明したように、そのまま飲んでもよいし、水やぬるま湯、牛乳、ヨーグルトなどの液体に溶いて飲んでもよい。香辛料や調味料に混ぜたり、ご飯の振りかけにしたり、みそ汁などに入れて飲んでもよい。めん類やパン、菓子などの生地に練り込んでもよく、多種多様な利用方法が考えられる。
また、活性化葉緑素入り微粉末をそのまま又他の成分と混ぜてカプセルに収納し、カプセル製品にしてもよい。あるいは、錠剤状に加圧成型することもできる。このようにして、摂取が容易な生葉の加工食品にすると、健康維持のためのサプリメントとしても有効である。
カプセルや錠剤状以外に、粒状や顆粒状、スティック状袋入りなども可能であり、液体に混ぜると液状やシロップ状、クリーム状、ゼリー状、ペースト状、グミ状、飴状なども可能である。
【0068】
本発明によるマイクロ波照射技術は、下記のような応用も期待可能である。 (1)葉緑素原料 ― 食品(お茶、お菓子、沖縄ソバ)、化粧品(美白、シミ、石鹸)、医薬品(血液製剤等)
(2)植物色素原料 染料
(3)芳香植物原料 香り成分の抽出
(4)植物以外の対象品の研究
水分含量が植物程度(70%)の含量なら、マイクロ波の活用が期待できる。人工的に対象物を生産し、焙煎などに有効利用が可能と思われる。
【0069】
パッションフラワーやグァバ、月桃、桑などの葉は、葉緑素の成分が豊富なだけでなく、亜熱帯性植物特有の各種の薬効成分も含有しているので、各種の有効成分を抽出して製薬にも利用できる。
そのためには、生葉の成分を効果的に抽出し利用できるように、収穫間もない新鮮な生葉を乾燥させて微粉末化することが必要であり、生葉の生産農家で乾燥・微粉末化するのが理想的である。
なお、パッションフラワーやグァバ、月桃、桑葉以外に、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー、モリンガなどの有用緑色植物の葉の中の1種以上を利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、植物の生葉にマイクロ波を一次照射した後、休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射して乾燥させた後、粉砕処理して微粉末化する方法によると、各種植物の生葉特有の葉緑素などの有効成分を効果的に摂取したり有効利用し易いように、生葉微粉末を均質にかつ安価に生産可能となり、国民の健康増進と農業の発展に寄与できる。また、マイクロ波に反応しない材質で通気性に優れた網籠に生葉原料を収納してマイクロ波加熱し乾燥処理すると、無造作に投入して一次照射するだけでもクロロフィルを効果的に抽出可能となり、かつ粉末化可能となる。
【符号の説明】
【0071】
1 細胞膜
1a 細胞壁
2 液胞
3 葉緑体
4 核
5 ミトコンドリア
C コンベアー
h 支持孔
B 網籠
6 照射室
T ターンテーブル
9・10 開口
13・22 作業台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の生の葉にマイクロ波を一次照射し、休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理することによって微粉末化し、生葉の葉緑素や有用成分を効果的に摂取又は抽出可能とすることを特徴とする生葉の微粉末化方法。
【請求項2】
原料となる植物の生の葉が、パッションフラワー、グァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー又はモリンガから成る有用緑色植物生葉の中の1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の生葉の微粉末化方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法によって、植物の生葉にマイクロ波を一次照射した後、休止期間をおいて、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理し、微粉末化してなることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末化製品。
【請求項4】
パッションフラワー、グァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー又はモリンガから成る有用緑色植物生葉の中の1種以上をマイクロ波照射して乾燥させた葉を粉砕処理し、微粉末化してなることを特徴とする請求項3に記載の活性化葉緑素入り微粉末化製品。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を配合してあることを特徴とする洗浄品、皮膚用品又は化粧品。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末をそのまま又他の成分と混ぜて食品又は飲料とすることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末の利用方法。
【請求項7】
請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末をそのまま又他の成分と混ぜてカプセル若しくはスティック状袋に収納するか加圧して錠剤状に成型して成ることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末化製品。
【請求項8】
請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を、生葉の葉緑素及び/又は有用成分を抽出するための原料とすることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末の利用方法。
【請求項9】
マイクロ波に反応しない材質で通気性の有る多孔性の容器に生葉原料を収納してマイクロ波加熱し乾燥処理してから、微粉末化することを特徴とする生葉の葉緑素や有用成分を効果的に摂取又は抽出可能とする方法。
【請求項1】
植物の生の葉にマイクロ波を一次照射し、休止期間をおいてから、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理することによって微粉末化し、生葉の葉緑素や有用成分を効果的に摂取又は抽出可能とすることを特徴とする生葉の微粉末化方法。
【請求項2】
原料となる植物の生の葉が、パッションフラワー、グァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー又はモリンガから成る有用緑色植物生葉の中の1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の生葉の微粉末化方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法によって、植物の生葉にマイクロ波を一次照射した後、休止期間をおいて、マイクロ波を二次照射して乾燥させた葉を粉砕処理し、微粉末化してなることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末化製品。
【請求項4】
パッションフラワー、グァバ、月桃、桑、ノニ、サトウキビ、ヒラミレモン、アマチャヅル、柿、ギンネム、ユーカリ、モロヘイヤ、ビワ、パパイヤ、オオバギ、センダン、レモンユーカリ、カラキ、レモングラス、モロコシソー又はモリンガから成る有用緑色植物生葉の中の1種以上をマイクロ波照射して乾燥させた葉を粉砕処理し、微粉末化してなることを特徴とする請求項3に記載の活性化葉緑素入り微粉末化製品。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を配合してあることを特徴とする洗浄品、皮膚用品又は化粧品。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末をそのまま又他の成分と混ぜて食品又は飲料とすることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末の利用方法。
【請求項7】
請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末をそのまま又他の成分と混ぜてカプセル若しくはスティック状袋に収納するか加圧して錠剤状に成型して成ることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末化製品。
【請求項8】
請求項3または請求項4に記載の活性化葉緑素入り微粉末を、生葉の葉緑素及び/又は有用成分を抽出するための原料とすることを特徴とする活性化葉緑素入り微粉末の利用方法。
【請求項9】
マイクロ波に反応しない材質で通気性の有る多孔性の容器に生葉原料を収納してマイクロ波加熱し乾燥処理してから、微粉末化することを特徴とする生葉の葉緑素や有用成分を効果的に摂取又は抽出可能とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−116393(P2010−116393A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236741(P2009−236741)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(508308709)
【出願人】(508308710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(508308709)
【出願人】(508308710)
【Fターム(参考)】
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