検品装置
【課題】検品での識別コードの読み取り率を向上させる。
【解決手段】リーダライタアンテナ471に電波を出力させて荷物401に付されたRFIDタグ411のICチップとの間で通信を確立してICチップに対して情報の読み書きを実行するRFIDリーダライタを備え、RFIDリーダライタにリーダライタアンテナ471からの出力電波を変化させてICチップに記憶された識別コードを複数回読み取らせる読取処理を実行するようにした。
【解決手段】リーダライタアンテナ471に電波を出力させて荷物401に付されたRFIDタグ411のICチップとの間で通信を確立してICチップに対して情報の読み書きを実行するRFIDリーダライタを備え、RFIDリーダライタにリーダライタアンテナ471からの出力電波を変化させてICチップに記憶された識別コードを複数回読み取らせる読取処理を実行するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)の技術を用いて荷物の検品を行う検品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入荷されるべき荷物が全て入荷されたか否かをチェックする検品の業務に、RFIDの技術が用いられている(特許文献1参照)。つまり、荷物にはRFIDタグが付されている。荷物に付されたRFIDタグのICチップにはその荷物を識別する識別コードが記憶されている。識別コードは検品装置のRFIDリーダライタが非接触で読み取る。読み取った識別コードに基づき、必要な荷物が全て入荷されたか否かの判断が行われる。
【0003】
荷物に付されるRFIDタグとしては、自ら電池を内蔵しないパッシブ型のものが使用されることが多い。パッシブ型のRFIDタグは、RFIDリーダライタのリーダライタアンテナから出力される電波によって電力が供給されてICチップが起動する。起動したICチップは通信が可能となり、RFIDリーダライタによってICチップから識別コードが読み取られる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−27773公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したようなRFID技術を利用した検品を行う場合、識別コードの読み取り漏れが発生することがある。例えば、RFIDタグの方向やRFIDタグの付された荷物の材質等によっては、電波が強すぎたり弱すぎたりするとRFIDリーダライタとICチップとの間で通信が確立せず、識別コードの読み取りが実行されない場合がある。また、出力される電波が同じ強さであっても、RFIDタグとリーダライタアンテナとの距離等によっては、やはりRFIDリーダライタとICチップとの間で通信が確立せず、識別コードの読み取りが実行されない場合がある。識別コードの読み取り漏れの発生は、検品の業務に支障をきたす。
【0006】
本発明の目的は、検品での識別コードの読み取り率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検品装置は、情報処理を実行する情報処理部と、電波を出力するリーダライタアンテナを有し、当該リーダライタアンテナに電波を出力させて荷物に付されたRFIDタグのICチップとの間で通信を確立し、当該通信を確立したICチップに対して情報の読み書きを実行するRFIDリーダライタと、を備え、前記情報処理部が、前記RFIDリーダライタに前記リーダライタアンテナからの出力電波を変化させてICチップに記憶された識別コードを複数回読み取らせる読取処理を実行するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検品での識別コードの読み取り率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態は、ゲート102が形成する通過空間104を通過する荷物401について検品を行うゲート型検品装置101への適用例である。
【0010】
図1は、ゲート型検品装置101を示す斜視図である。ゲート型検品装置101は、一例として、配送センターに設置されている。ゲート型検品装置101が設置された配送センターでは、工場等で生産された製品である荷物401の入荷、入荷された荷物401の検品、及び、検品された荷物401の客先への出荷が行われる。入荷された荷物401は、配送センター内を台車103によって運搬される。つまり、台車103は、複数の荷物401の載置が可能な台部103aを有する。台部103aに荷物401を載置させた状態で台車103を任意の位置に位置移動することができる。入荷されて台車103によって運搬される個々の荷物401には、RFIDタグ411が付されている。
【0011】
図2は、RFIDタグ411が付された荷物401の一つを示す斜視図である。RFIDタグ411は、荷物401の外表面に貼り付けられている。RFIDタグ411の表面には、荷物401についての荷物情報を含む文字情報が印字されている。印字された文字情報は、個々の荷物401についての名称、生産日、及び個々の荷物401を識別する識別コード等を含む。RFIDタグ411には、図2中破線で図示するICチップ412及びタグアンテナ413が埋設されている。ICチップ412とタグアンテナ413とは接続されている。ICチップ412には、識別コードが書き換え自在に記憶されている。RFIDタグ411は、自ら電池を内蔵しないパッシブ型である。RFIDタグ411は、例えば、13.56MHzの周波数帯を利用する電磁誘導方式により電力が供給される。つまり、RFIDタグ411では、埋設されたタグアンテナ413がリーダライタアンテナ471(図1参照)から出力される電波を受信して電力が発生し、ICチップ412が起動する。起動したICチップ412は、RFIDリーダライタ472との間で通信が可能となる。
【0012】
図1のゲート型検品装置101の説明に戻る。ゲート型検品装置101は、一対のゲート102を有する。一対のゲート102の間には、台車103が通過可能な通過空間104が形成されている。台車103を通過空間104に位置付けることにより、台部103aに載置された荷物401は、通過空間104に位置付けられる。ゲート102には、電波を出力するリーダライタアンテナ471が埋設されている。ゲート102に埋設されたリーダライタアンテナ471は、通過空間104の方向に指向性を有する。そのため、リーダライタアンテナ471から出力される電波は、通過空間104に位置付けられた荷物401に付されたRFIDタグ411のICチップ412(図2参照)に到達可能となっている。ゲート102には、RFIDリーダライタ472(図3参照)も埋設されている。RFIDリーダライタ472とリーダライタアンテナ471とは接続されている。RFIDリーダライタ472は、ゲート型検品装置101が有する制御PC441に接続されている。制御PC441は、表示部としてのディスプレイ461と、操作部としてのキーボード462とを有する。制御PC441は、キーボード462の操作に応じてRFIDリーダライタ472を制御する。なお、制御PC441は、サーバ491と接続されている。制御PC441とサーバ491とは互いにデータの送受信が可能となっている。
【0013】
図3は、ゲート型検品装置101の電気的構成を示すブロック図である。ゲート型検品装置101が有する制御PC441は、演算及び制御を行うCPU451を有している。CPU451には、バスライン465を介して、コンピュータプログラム等の固定データを固定的に記憶するROM452と、可変データを書き換え自在に記憶しワークエリアとしても使用されるRAM453とが接続されている。RAM453には、第1検品ファイルF1が設けられている。第1検品ファイルF1の詳細については後述する(図6参照)。CPU451、ROM452、及びRAM453は、情報処理を実行する情報処理部454を構成する。
【0014】
情報処理部454には、バスライン465を介してディスプレイ461とキーボード462とが接続されている。
【0015】
情報処理部454には、バスライン465を介してHDD463が接続されている。HDD463には、記憶領域として第2検品ファイルF2が設けられている。第2検品ファイルF2の詳細については後述する(図7参照)。
【0016】
情報処理部454には、バスライン465を介して通信インターフェース464が接続されている。情報処理部454は、バスライン465と通信インターフェース464とを介してサーバ491(図1参照)に接続されている。情報処理部454は、接続されたサーバ491に対してデータの送受信が実行可能である。
【0017】
情報処理部454には、バスライン465を介して外部機器インターフェース466が接続されている。情報処理部454には、バスライン465と外部機器インターフェース466とを介してゲート102に埋設されたRFIDリーダライタ472が接続されている。RFIDリーダライタ472には、同じくゲート102に埋設されたリーダライタアンテナ471が接続されている。RFIDリーダライタ472は、リーダライタアンテナ471に電波を出力させて荷物401に付されたRFIDタグ411のICチップ412(図2参照)との間で通信を確立し、通信を確立したICチップ412に対して情報の読み書きを実行する。
【0018】
ゲート102には、スピーカ473が埋設されている。情報処理部454には、バスライン465と外部機器インターフェース466とを介してスピーカ473が接続されている。情報処理部454は、スピーカ473に所定の報知音を鳴動させる。
【0019】
図4は、RFIDリーダライタ472の電気的構成を示すブロック図である。図4には、RFIDリーダライタ472が備える電気的構成の一部が示されている。RFIDリーダライタ472は、演算及び制御を行うCPU481aと、コンピュータプログラム等の固定データを固定的に記憶するROM481bと、及び可変データを書き換え自在に記憶するRAM481cとを含むリーダライタ情報処理部481を有する。リーダライタ情報処理部481は、制御PC441の外部機器インターフェース466(図3参照)と接続されて、制御PC441の情報処理部454との間でデータの送受信が可能となっている。RFIDリーダライタ472は、さらに、変調部486、増幅部488、副調部487、及び増幅部489を有する。これらは、リーダライタ情報処理部481に接続されている。
【0020】
変調部486は、発振部(図示せず)から供給される所定の周波数(例えば、13.56MHz)の搬送波を、リーダライタ情報処理部481から供給されるデータに基づいて変調し、生成された変調波を増幅部488に出力する。増幅部488は、変調部486から入力された変調波を増幅し、リーダライタ情報処理部481からの指示に応じた強さで、リーダライタアンテナ471から電波を出力させる。したがって、リーダライタ情報処理部481は、リーダライタアンテナ471から出力される電波の強さを制御する。RFIDタグ411のタグアンテナ413がRFIDリーダライタ472からの電波を受信すると、共振作用により電力が発生する。発生した電力によってRFIDタグ411のICチップ412は所定の処理を実行する。ICチップ412の処理により、識別コードを含む情報が電波に乗せられてタグアンテナ413から出力される。タグアンテナ413から出力された電波をリーダライタアンテナ471が受信する。増幅部489は、リーダライタアンテナ471によって受信された変調波を増幅して副調部487に出力する。副調部487は、増幅部489によって増幅された変調波を復調し、復調されたデータをリーダライタ情報処理部481に出力する。このようにして、RFIDリーダライタ472は、ICチップ412に記憶された識別コードを読み取る。読み取られた識別コードを含む情報は、制御PC441の情報処理部454へ送信される。
【0021】
図5は、リーダライタアンテナ471から強さを異ならせて出力される電波を模式的に示す平面図である。例えば、リーダライタ情報処理部481は、上述したように、リーダライタアンテナ471から出力される電波の強さを制御する。リーダライタ情報処理部481は、例えば、電波をその強さを9段階に異ならせて増幅部488に出力させる。すると、リーダライタアンテナ471からは、電波が、例えば、10mW(ミリワット)、25mW、50mW、100mW、200mW、250mW、500mW、750mW、1mWのように9段階に弱から強に変化して出力されることになる。図5では、(a)、(b)、(c)の順にリーダライタアンテナ471から出力される電波が強くなっている。例えば、図5(a)は25mWの電波の出力、図5(b)は200mWの電波の出力、図5(c)は750mWの電波の出力を示している。
【0022】
本実施の形態では、RFIDリーダライタ472による識別コードの読み取りは、異なる強さの電波出力毎に実行される。したがって、識別コードの読み取りは複数回実行される。
【0023】
このようなゲート型検品装置101では、制御PC441の情報処理部454が検品処理を実行する。検品処理は、以下に説明する処理を含む。
【0024】
検品処理は、読取処理を含む。読取処理は、情報処理部454が、RFIDリーダライタ472にリーダライタアンテナ471からの出力電波を変化させてICチップ412に記憶された識別コードを複数回読み取らせる処理である。
【0025】
そして、情報処理部454は、取得した識別コードをRAM453に設けられた第1検品ファイルF1に記憶させる。
【0026】
図6は、第1検品ファイルF1のデータ構成を示すブロック図である。第1検品ファイルF1は、図6に示すように、識別コードを記憶する識別コード記憶領域F1aと、荷物情報を記憶する荷物情報記憶領域F1bと、から構成されている。情報処理部454は、RFIDリーダライタ472が読み取った識別コード及び荷物情報を取得して、取得した識別コード及び荷物情報を対応付けて第1検品ファイルF1に記憶させる。より詳細には、情報処理部454は、RFIDリーダライタ472が読み取った識別コードを取得し、取得した識別コードをRAM453のワークエリアに一時的に記憶させる。情報処理部454は、第1検品ファイルF1を検索して、ワークエリアに一時的に記憶された識別コードが第1検品ファイルF1に記憶されていなければ、この識別コードを第1検品ファイルF1に記憶させる。こうして、RFIDリーダライタ472が同一のICチップ412から同一の識別コードを重複して読み取った場合であっても、第1検品ファイルF1には、重複して同一の識別コードが記憶されない。
【0027】
検品処理は、さらに、RFIDリーダライタ472から取得した識別コードと第2検品ファイルF2に記憶された識別コードとを照合する処理を含む。
【0028】
図7は、第2検品ファイルF2のデータ構成を示すブロック図である。第2検品ファイルF2は、図7に示すように、識別コードを記憶する識別コード記憶領域F2aと、荷物情報を記憶する荷物情報記憶領域F2bと、から構成されている。識別コードと荷物情報とは互いに対応付けられて識別コード記憶領域F2aと荷物情報記憶領域F2bとに記憶されている。例えば、識別コード「1111」に対応付けて荷物情報「○○○○」が記憶されている。第2検品ファイルF2への識別コード及び荷物情報の記憶は、複数の手法によって実行される。一つの手法は、制御PC441のキーボード462を介した入力に基づくものである。工場から配送センターに送られたリスト等に記載された識別コード及び荷物情報が入力される。制御PC441の情報処理部454は、キーボード462を介した識別コード及び荷物情報が入力を受け付けたならば、入力を受け付けた識別コード及び荷物情報を第2検品ファイルF2に記憶させる。識別コード及び荷物情報の入力に際してはディスプレイ461に入力のための入力用画面(図示せず)が表示される。別の手法は、サーバ491からの受信に基づくものである。外部通信ネットワーク(図示せず)を介して工場等からサーバ491には、識別コード及び荷物情報が送信される。情報処理部454は、サーバ491から識別コード及び荷物情報を受信する。情報処理部454は、受信した識別コード及び荷物情報を第2検品ファイルF2に記憶させる。HDD463には、複数の第2検品ファイルF2が設けられていても良い。HDD463に複数の第2検品ファイルF2が設けられている場合には、キーボード462を介した所定の操作によって、情報処理部454が任意の第2検品ファイルF2を選択する。
【0029】
検品処理は、さらに他の処理を含む。上述した処理を含む検品処理について図8に基づいて説明する。
【0030】
図8は、検品処理の流れを示すフローチャートである。制御PC441のキーボード462による所定の開始操作によって検品処理が開始したならば、制御PC441の情報処理部454は、RFIDリーダライタ472に、リーダライタアンテナ471に所定の強さの電波を出力させてICチップ412に記憶された識別コードの読み取りを実行させる(ステップS101)。そして、情報処理部454は、RFIDリーダライタ472が読み取った識別コードを取得する(ステップS102)。情報処理部454は、取得した識別コードを第1検品ファイルF1に記憶させる。
【0031】
ところで、本実施の形態では、情報処理部454は、RFIDリーダライタ472に電波をその強さを9段階に変化させて出力させる。したがって、ステップS102での識別コードの取得後、出力電波の9段階の強さ変化が終了していなければ(ステップS103のN)、出力電波の強さを異ならせて(ステップS104)、再度ステップS101からS103の処理を繰り返す。そして、出力電波の強さ変化が終了したならば(ステップS103のY)、読取処理が終了し、次の処理(ステップS105)に進む。この際、情報処理部454が読取処理の終了を出力する。例えば、読取処理の終了に応じて、スピーカ473を鳴動させる。こうして、ゲート型検品装置101の使用者は、読取処理の終了を認知することができる。
【0032】
ところで、RFIDタグ411の方向やRFIDタグ411の付された荷物401の材質等によっては、リーダライタアンテナ471からの電波が弱すぎたり強すぎたりすることによって、RFIDリーダライタ472とICチップ412との間で通信が確立しない場合がある。この場合、識別コードの読み取り漏れが発生するおそれがある。
【0033】
しかしながら本実施の形態によれば、例えば、弱い電波(例えば10mW、25mW)での識別コードの読み取りが困難な場合であっても、中程度の電波(例えば200mW)や強い電波(例えば750mW)が出力されて、これら中程度の電波や強い電波で識別コードの読み取りが実行される。このため、弱い電波での読み取りが困難であるRFIDタグ411のICチップ412からも識別コードの読み取りがなされ、識別コードの読み取り率を向上させることができる。中程度の電波で識別コードの読み取りが実行され難い場合や強い電波で識別コードの読み取りが実行され難い場合についても、同様である。
【0034】
また、通過空間104に位置付けられたRFIDタグ411とリーダライタアンテナ471との距離によっては、やはりRFIDリーダライタ472とICチップ412との間で通信が確立しない場合がある。例えば、電波の出力が弱く(例えば10mW、25mW)、電波がRFIDタグ411に到達しないような場合である。これらの場合、識別コードの読み取り漏れが発生するおそれがある。しかしながら本実施の形態によれば、出力電波が変化して識別コードの読み取りが実行されるため識別コードの読み取り率が向上する。
【0035】
図8に示すフローチャートの説明に戻る。次に、情報処理部454は、取得して第1検品ファイルF1に記憶された識別コードと第2検品ファイルF2に記憶された識別コードとを照合する(ステップS105)。
【0036】
ステップS105での照合の結果、識別コード同士が一致せず、第2検品ファイルF2に情報処理部454が取得した以外の識別コードが記憶されている場合には(ステップS106のN)、その結果を、例えばディスプレイ461等に出力し(ステップS107)、ステップS101からの処理が繰り返し実行される。
【0037】
ステップS105での照合の結果、取得した識別コードと第2検品ファイルF2の識別コードとが一致したならば(ステップS103のY)、情報処理部454は、その結果をディスプレイ461等に出力し(ステップS108)、検品処理を終了する。照合の結果の出力に際しては、情報処理部454が、スピーカ473に所定の報知音を鳴動させるようにしてもよい。スピーカ473による報知音の鳴動により、ゲート型検品装置101の使用者は、検品処理の終了を認知することができる。
【0038】
ところで、一方のゲート102に埋設されたリーダライタアンテナ471からの電波と他方のゲート102に埋設されたリーダライタアンテナ471からの電波とが干渉してしまい、RFIDリーダライタ472とICチップ412との間の通信に不具合が生じる場合が考えられる。
【0039】
しかしながら本実施の形態によれば、上記したように予め第2検品ファイルF2に記憶された識別コードと同じ識別コードが全て読み取られるまで識別コードの読み取りが実行されるため、このような電波の干渉が発生したとしても、識別コードの読み取り漏れは回避される。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態について図9及び図10に基づいて説明する。図1ないし図8に基づいて説明した第1の実施の形態と同一の部分は同一の符号で示し説明も省略する。本実施の形態は、棚202の載置台203に載置された荷物401について検品を行う棚型検品装置201への適用例である。
【0041】
図9は、棚型検品装置201を示す斜視図である。図10は、棚型検品装置201の電気的構成を示すブロック図である。棚型検品装置201は、一例として、配送センターに設置されている。棚型検品装置201は、棚202を有している。図9に示すように、棚202は、複数個の荷物401の載置が可能な平板状の載置台203を有している。つまり、載置台203は、その上面に荷物401の載置が可能な載置空間205を形成している。工場等から入荷された荷物は、配送センターで棚型検品装置201の載置台203に載置されて、載置空間205に位置付けられる。本実施の形態では、載置台203は二段設けられている。載置台203は、その側面が一対の側板204に対して位置固定されている。個々の載置台203には、リーダライタアンテナ471が埋設されている。リーダライタアンテナ471は、上面側の載置空間205の方向に指向性を有する。そのため、リーダライタアンテナ471は、出力電波が上面側の載置空間205に位置付けられた荷物401に付されたRFIDタグ411のICチップ412に到達可能となっている。また、図10に示すように、載置台203には、リーダライタアンテナ471と接続されたRFIDリーダライタ472が埋設されている。RFIDリーダライタ472は、制御PC441と接続されて制御を受ける。
【0042】
本実施の形態によっても、リーダライタアンテナ471からの出力電波が変化して、識別コードの読み取りが複数回実行される。したがって、載置空間205に位置付けられたICチップ412に記憶された識別コードの読み取り率を向上させることができる。
【0043】
次に、本発明の第3の実施の形態について図11及び図12に基づいて説明する。図1ないし図8に基づいて説明した第1の実施の形態と同一の部分は同一の符号で示し説明も省略する。本実施の形態は、ハンドヘルドタイプのハウジング302を荷物401に対峙させて荷物401の検品を行うハンドヘルド型検品装置301への適用例である。
【0044】
図11は、ハンドヘルド型検品装置301を示す斜視図である。ハンドヘルド型検品装置301は、長尺のハウジング302を有する。ハウジング302は、一端側に片手で把持可能な把持部303を有する。把持部303の一面側には、情報を入力するためのキーパッド304が設けられている。ハンドヘルド型検品装置301は、情報を表示するLCD305を備えている。LCD305は、ハウジング302の把持部303とは反対側の他端側であってキーパッド304と同じ面に設けられている。ハウジング302の内部であってLCD305とは反対側の面側には、リーダライタアンテナ471が設けられている。ハウジング302のリーダライタアンテナ471が設けられた部分は、荷物401と対峙する対峙部306である。ハンドヘルド型検品装置301は、図11に示すように、把持部303が把持されて対峙部306が荷物401に対峙した状態で使用される。
【0045】
図12は、ハンドヘルド型検品装置301の電気的構成を示すブロック図である。ハンドヘルド型検品装置301の情報処理部454には、サーバ491との間で無線通信を実現する通信装置311がバスライン465を介して接続されている。また、情報処理部454には、第2検品ファイルF2を格納するフラッシュメモリ312がバスライン465を介して接続されている。
【0046】
本実施の形態によっても、リーダライタアンテナ471からの出力電波が変化して、識別コードの読み取りが複数回実行される。したがって、対峙部306と対峙する位置に位置付けられたICチップ412に記憶された識別コードの読み取り率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ゲート型検品装置を示す斜視図である。
【図2】RFIDタグが付された荷物の一つを示す斜視図である。
【図3】ゲート型検品装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】RFIDリーダライタの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】リーダライタアンテナから強さを異ならせて出力される電波を模式的に示す平面図である。
【図6】第1検品ファイルのデータ構成を示すブロック図である。
【図7】第2検品ファイルのデータ構成を示すブロック図である。
【図8】検品処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】棚型検品装置を示す斜視図である。
【図10】棚型検品装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】ハンドヘルド型検品装置を示す斜視図である。
【図12】ハンドヘルド型検品装置の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
101…ゲート型検品装置(検品装置)、102…ゲート、104…通過空間、201…棚型検品装置(検品装置)、202…棚、205…載置空間、301…ハンドヘルド型検品装置(検品装置)、302…ハウジング、306…対峙部、411…RFIDタグ、412…ICチップ、454…情報処理部、471…リーダライタアンテナ、472…RFIDリーダライタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)の技術を用いて荷物の検品を行う検品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入荷されるべき荷物が全て入荷されたか否かをチェックする検品の業務に、RFIDの技術が用いられている(特許文献1参照)。つまり、荷物にはRFIDタグが付されている。荷物に付されたRFIDタグのICチップにはその荷物を識別する識別コードが記憶されている。識別コードは検品装置のRFIDリーダライタが非接触で読み取る。読み取った識別コードに基づき、必要な荷物が全て入荷されたか否かの判断が行われる。
【0003】
荷物に付されるRFIDタグとしては、自ら電池を内蔵しないパッシブ型のものが使用されることが多い。パッシブ型のRFIDタグは、RFIDリーダライタのリーダライタアンテナから出力される電波によって電力が供給されてICチップが起動する。起動したICチップは通信が可能となり、RFIDリーダライタによってICチップから識別コードが読み取られる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−27773公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したようなRFID技術を利用した検品を行う場合、識別コードの読み取り漏れが発生することがある。例えば、RFIDタグの方向やRFIDタグの付された荷物の材質等によっては、電波が強すぎたり弱すぎたりするとRFIDリーダライタとICチップとの間で通信が確立せず、識別コードの読み取りが実行されない場合がある。また、出力される電波が同じ強さであっても、RFIDタグとリーダライタアンテナとの距離等によっては、やはりRFIDリーダライタとICチップとの間で通信が確立せず、識別コードの読み取りが実行されない場合がある。識別コードの読み取り漏れの発生は、検品の業務に支障をきたす。
【0006】
本発明の目的は、検品での識別コードの読み取り率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検品装置は、情報処理を実行する情報処理部と、電波を出力するリーダライタアンテナを有し、当該リーダライタアンテナに電波を出力させて荷物に付されたRFIDタグのICチップとの間で通信を確立し、当該通信を確立したICチップに対して情報の読み書きを実行するRFIDリーダライタと、を備え、前記情報処理部が、前記RFIDリーダライタに前記リーダライタアンテナからの出力電波を変化させてICチップに記憶された識別コードを複数回読み取らせる読取処理を実行するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検品での識別コードの読み取り率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態は、ゲート102が形成する通過空間104を通過する荷物401について検品を行うゲート型検品装置101への適用例である。
【0010】
図1は、ゲート型検品装置101を示す斜視図である。ゲート型検品装置101は、一例として、配送センターに設置されている。ゲート型検品装置101が設置された配送センターでは、工場等で生産された製品である荷物401の入荷、入荷された荷物401の検品、及び、検品された荷物401の客先への出荷が行われる。入荷された荷物401は、配送センター内を台車103によって運搬される。つまり、台車103は、複数の荷物401の載置が可能な台部103aを有する。台部103aに荷物401を載置させた状態で台車103を任意の位置に位置移動することができる。入荷されて台車103によって運搬される個々の荷物401には、RFIDタグ411が付されている。
【0011】
図2は、RFIDタグ411が付された荷物401の一つを示す斜視図である。RFIDタグ411は、荷物401の外表面に貼り付けられている。RFIDタグ411の表面には、荷物401についての荷物情報を含む文字情報が印字されている。印字された文字情報は、個々の荷物401についての名称、生産日、及び個々の荷物401を識別する識別コード等を含む。RFIDタグ411には、図2中破線で図示するICチップ412及びタグアンテナ413が埋設されている。ICチップ412とタグアンテナ413とは接続されている。ICチップ412には、識別コードが書き換え自在に記憶されている。RFIDタグ411は、自ら電池を内蔵しないパッシブ型である。RFIDタグ411は、例えば、13.56MHzの周波数帯を利用する電磁誘導方式により電力が供給される。つまり、RFIDタグ411では、埋設されたタグアンテナ413がリーダライタアンテナ471(図1参照)から出力される電波を受信して電力が発生し、ICチップ412が起動する。起動したICチップ412は、RFIDリーダライタ472との間で通信が可能となる。
【0012】
図1のゲート型検品装置101の説明に戻る。ゲート型検品装置101は、一対のゲート102を有する。一対のゲート102の間には、台車103が通過可能な通過空間104が形成されている。台車103を通過空間104に位置付けることにより、台部103aに載置された荷物401は、通過空間104に位置付けられる。ゲート102には、電波を出力するリーダライタアンテナ471が埋設されている。ゲート102に埋設されたリーダライタアンテナ471は、通過空間104の方向に指向性を有する。そのため、リーダライタアンテナ471から出力される電波は、通過空間104に位置付けられた荷物401に付されたRFIDタグ411のICチップ412(図2参照)に到達可能となっている。ゲート102には、RFIDリーダライタ472(図3参照)も埋設されている。RFIDリーダライタ472とリーダライタアンテナ471とは接続されている。RFIDリーダライタ472は、ゲート型検品装置101が有する制御PC441に接続されている。制御PC441は、表示部としてのディスプレイ461と、操作部としてのキーボード462とを有する。制御PC441は、キーボード462の操作に応じてRFIDリーダライタ472を制御する。なお、制御PC441は、サーバ491と接続されている。制御PC441とサーバ491とは互いにデータの送受信が可能となっている。
【0013】
図3は、ゲート型検品装置101の電気的構成を示すブロック図である。ゲート型検品装置101が有する制御PC441は、演算及び制御を行うCPU451を有している。CPU451には、バスライン465を介して、コンピュータプログラム等の固定データを固定的に記憶するROM452と、可変データを書き換え自在に記憶しワークエリアとしても使用されるRAM453とが接続されている。RAM453には、第1検品ファイルF1が設けられている。第1検品ファイルF1の詳細については後述する(図6参照)。CPU451、ROM452、及びRAM453は、情報処理を実行する情報処理部454を構成する。
【0014】
情報処理部454には、バスライン465を介してディスプレイ461とキーボード462とが接続されている。
【0015】
情報処理部454には、バスライン465を介してHDD463が接続されている。HDD463には、記憶領域として第2検品ファイルF2が設けられている。第2検品ファイルF2の詳細については後述する(図7参照)。
【0016】
情報処理部454には、バスライン465を介して通信インターフェース464が接続されている。情報処理部454は、バスライン465と通信インターフェース464とを介してサーバ491(図1参照)に接続されている。情報処理部454は、接続されたサーバ491に対してデータの送受信が実行可能である。
【0017】
情報処理部454には、バスライン465を介して外部機器インターフェース466が接続されている。情報処理部454には、バスライン465と外部機器インターフェース466とを介してゲート102に埋設されたRFIDリーダライタ472が接続されている。RFIDリーダライタ472には、同じくゲート102に埋設されたリーダライタアンテナ471が接続されている。RFIDリーダライタ472は、リーダライタアンテナ471に電波を出力させて荷物401に付されたRFIDタグ411のICチップ412(図2参照)との間で通信を確立し、通信を確立したICチップ412に対して情報の読み書きを実行する。
【0018】
ゲート102には、スピーカ473が埋設されている。情報処理部454には、バスライン465と外部機器インターフェース466とを介してスピーカ473が接続されている。情報処理部454は、スピーカ473に所定の報知音を鳴動させる。
【0019】
図4は、RFIDリーダライタ472の電気的構成を示すブロック図である。図4には、RFIDリーダライタ472が備える電気的構成の一部が示されている。RFIDリーダライタ472は、演算及び制御を行うCPU481aと、コンピュータプログラム等の固定データを固定的に記憶するROM481bと、及び可変データを書き換え自在に記憶するRAM481cとを含むリーダライタ情報処理部481を有する。リーダライタ情報処理部481は、制御PC441の外部機器インターフェース466(図3参照)と接続されて、制御PC441の情報処理部454との間でデータの送受信が可能となっている。RFIDリーダライタ472は、さらに、変調部486、増幅部488、副調部487、及び増幅部489を有する。これらは、リーダライタ情報処理部481に接続されている。
【0020】
変調部486は、発振部(図示せず)から供給される所定の周波数(例えば、13.56MHz)の搬送波を、リーダライタ情報処理部481から供給されるデータに基づいて変調し、生成された変調波を増幅部488に出力する。増幅部488は、変調部486から入力された変調波を増幅し、リーダライタ情報処理部481からの指示に応じた強さで、リーダライタアンテナ471から電波を出力させる。したがって、リーダライタ情報処理部481は、リーダライタアンテナ471から出力される電波の強さを制御する。RFIDタグ411のタグアンテナ413がRFIDリーダライタ472からの電波を受信すると、共振作用により電力が発生する。発生した電力によってRFIDタグ411のICチップ412は所定の処理を実行する。ICチップ412の処理により、識別コードを含む情報が電波に乗せられてタグアンテナ413から出力される。タグアンテナ413から出力された電波をリーダライタアンテナ471が受信する。増幅部489は、リーダライタアンテナ471によって受信された変調波を増幅して副調部487に出力する。副調部487は、増幅部489によって増幅された変調波を復調し、復調されたデータをリーダライタ情報処理部481に出力する。このようにして、RFIDリーダライタ472は、ICチップ412に記憶された識別コードを読み取る。読み取られた識別コードを含む情報は、制御PC441の情報処理部454へ送信される。
【0021】
図5は、リーダライタアンテナ471から強さを異ならせて出力される電波を模式的に示す平面図である。例えば、リーダライタ情報処理部481は、上述したように、リーダライタアンテナ471から出力される電波の強さを制御する。リーダライタ情報処理部481は、例えば、電波をその強さを9段階に異ならせて増幅部488に出力させる。すると、リーダライタアンテナ471からは、電波が、例えば、10mW(ミリワット)、25mW、50mW、100mW、200mW、250mW、500mW、750mW、1mWのように9段階に弱から強に変化して出力されることになる。図5では、(a)、(b)、(c)の順にリーダライタアンテナ471から出力される電波が強くなっている。例えば、図5(a)は25mWの電波の出力、図5(b)は200mWの電波の出力、図5(c)は750mWの電波の出力を示している。
【0022】
本実施の形態では、RFIDリーダライタ472による識別コードの読み取りは、異なる強さの電波出力毎に実行される。したがって、識別コードの読み取りは複数回実行される。
【0023】
このようなゲート型検品装置101では、制御PC441の情報処理部454が検品処理を実行する。検品処理は、以下に説明する処理を含む。
【0024】
検品処理は、読取処理を含む。読取処理は、情報処理部454が、RFIDリーダライタ472にリーダライタアンテナ471からの出力電波を変化させてICチップ412に記憶された識別コードを複数回読み取らせる処理である。
【0025】
そして、情報処理部454は、取得した識別コードをRAM453に設けられた第1検品ファイルF1に記憶させる。
【0026】
図6は、第1検品ファイルF1のデータ構成を示すブロック図である。第1検品ファイルF1は、図6に示すように、識別コードを記憶する識別コード記憶領域F1aと、荷物情報を記憶する荷物情報記憶領域F1bと、から構成されている。情報処理部454は、RFIDリーダライタ472が読み取った識別コード及び荷物情報を取得して、取得した識別コード及び荷物情報を対応付けて第1検品ファイルF1に記憶させる。より詳細には、情報処理部454は、RFIDリーダライタ472が読み取った識別コードを取得し、取得した識別コードをRAM453のワークエリアに一時的に記憶させる。情報処理部454は、第1検品ファイルF1を検索して、ワークエリアに一時的に記憶された識別コードが第1検品ファイルF1に記憶されていなければ、この識別コードを第1検品ファイルF1に記憶させる。こうして、RFIDリーダライタ472が同一のICチップ412から同一の識別コードを重複して読み取った場合であっても、第1検品ファイルF1には、重複して同一の識別コードが記憶されない。
【0027】
検品処理は、さらに、RFIDリーダライタ472から取得した識別コードと第2検品ファイルF2に記憶された識別コードとを照合する処理を含む。
【0028】
図7は、第2検品ファイルF2のデータ構成を示すブロック図である。第2検品ファイルF2は、図7に示すように、識別コードを記憶する識別コード記憶領域F2aと、荷物情報を記憶する荷物情報記憶領域F2bと、から構成されている。識別コードと荷物情報とは互いに対応付けられて識別コード記憶領域F2aと荷物情報記憶領域F2bとに記憶されている。例えば、識別コード「1111」に対応付けて荷物情報「○○○○」が記憶されている。第2検品ファイルF2への識別コード及び荷物情報の記憶は、複数の手法によって実行される。一つの手法は、制御PC441のキーボード462を介した入力に基づくものである。工場から配送センターに送られたリスト等に記載された識別コード及び荷物情報が入力される。制御PC441の情報処理部454は、キーボード462を介した識別コード及び荷物情報が入力を受け付けたならば、入力を受け付けた識別コード及び荷物情報を第2検品ファイルF2に記憶させる。識別コード及び荷物情報の入力に際してはディスプレイ461に入力のための入力用画面(図示せず)が表示される。別の手法は、サーバ491からの受信に基づくものである。外部通信ネットワーク(図示せず)を介して工場等からサーバ491には、識別コード及び荷物情報が送信される。情報処理部454は、サーバ491から識別コード及び荷物情報を受信する。情報処理部454は、受信した識別コード及び荷物情報を第2検品ファイルF2に記憶させる。HDD463には、複数の第2検品ファイルF2が設けられていても良い。HDD463に複数の第2検品ファイルF2が設けられている場合には、キーボード462を介した所定の操作によって、情報処理部454が任意の第2検品ファイルF2を選択する。
【0029】
検品処理は、さらに他の処理を含む。上述した処理を含む検品処理について図8に基づいて説明する。
【0030】
図8は、検品処理の流れを示すフローチャートである。制御PC441のキーボード462による所定の開始操作によって検品処理が開始したならば、制御PC441の情報処理部454は、RFIDリーダライタ472に、リーダライタアンテナ471に所定の強さの電波を出力させてICチップ412に記憶された識別コードの読み取りを実行させる(ステップS101)。そして、情報処理部454は、RFIDリーダライタ472が読み取った識別コードを取得する(ステップS102)。情報処理部454は、取得した識別コードを第1検品ファイルF1に記憶させる。
【0031】
ところで、本実施の形態では、情報処理部454は、RFIDリーダライタ472に電波をその強さを9段階に変化させて出力させる。したがって、ステップS102での識別コードの取得後、出力電波の9段階の強さ変化が終了していなければ(ステップS103のN)、出力電波の強さを異ならせて(ステップS104)、再度ステップS101からS103の処理を繰り返す。そして、出力電波の強さ変化が終了したならば(ステップS103のY)、読取処理が終了し、次の処理(ステップS105)に進む。この際、情報処理部454が読取処理の終了を出力する。例えば、読取処理の終了に応じて、スピーカ473を鳴動させる。こうして、ゲート型検品装置101の使用者は、読取処理の終了を認知することができる。
【0032】
ところで、RFIDタグ411の方向やRFIDタグ411の付された荷物401の材質等によっては、リーダライタアンテナ471からの電波が弱すぎたり強すぎたりすることによって、RFIDリーダライタ472とICチップ412との間で通信が確立しない場合がある。この場合、識別コードの読み取り漏れが発生するおそれがある。
【0033】
しかしながら本実施の形態によれば、例えば、弱い電波(例えば10mW、25mW)での識別コードの読み取りが困難な場合であっても、中程度の電波(例えば200mW)や強い電波(例えば750mW)が出力されて、これら中程度の電波や強い電波で識別コードの読み取りが実行される。このため、弱い電波での読み取りが困難であるRFIDタグ411のICチップ412からも識別コードの読み取りがなされ、識別コードの読み取り率を向上させることができる。中程度の電波で識別コードの読み取りが実行され難い場合や強い電波で識別コードの読み取りが実行され難い場合についても、同様である。
【0034】
また、通過空間104に位置付けられたRFIDタグ411とリーダライタアンテナ471との距離によっては、やはりRFIDリーダライタ472とICチップ412との間で通信が確立しない場合がある。例えば、電波の出力が弱く(例えば10mW、25mW)、電波がRFIDタグ411に到達しないような場合である。これらの場合、識別コードの読み取り漏れが発生するおそれがある。しかしながら本実施の形態によれば、出力電波が変化して識別コードの読み取りが実行されるため識別コードの読み取り率が向上する。
【0035】
図8に示すフローチャートの説明に戻る。次に、情報処理部454は、取得して第1検品ファイルF1に記憶された識別コードと第2検品ファイルF2に記憶された識別コードとを照合する(ステップS105)。
【0036】
ステップS105での照合の結果、識別コード同士が一致せず、第2検品ファイルF2に情報処理部454が取得した以外の識別コードが記憶されている場合には(ステップS106のN)、その結果を、例えばディスプレイ461等に出力し(ステップS107)、ステップS101からの処理が繰り返し実行される。
【0037】
ステップS105での照合の結果、取得した識別コードと第2検品ファイルF2の識別コードとが一致したならば(ステップS103のY)、情報処理部454は、その結果をディスプレイ461等に出力し(ステップS108)、検品処理を終了する。照合の結果の出力に際しては、情報処理部454が、スピーカ473に所定の報知音を鳴動させるようにしてもよい。スピーカ473による報知音の鳴動により、ゲート型検品装置101の使用者は、検品処理の終了を認知することができる。
【0038】
ところで、一方のゲート102に埋設されたリーダライタアンテナ471からの電波と他方のゲート102に埋設されたリーダライタアンテナ471からの電波とが干渉してしまい、RFIDリーダライタ472とICチップ412との間の通信に不具合が生じる場合が考えられる。
【0039】
しかしながら本実施の形態によれば、上記したように予め第2検品ファイルF2に記憶された識別コードと同じ識別コードが全て読み取られるまで識別コードの読み取りが実行されるため、このような電波の干渉が発生したとしても、識別コードの読み取り漏れは回避される。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態について図9及び図10に基づいて説明する。図1ないし図8に基づいて説明した第1の実施の形態と同一の部分は同一の符号で示し説明も省略する。本実施の形態は、棚202の載置台203に載置された荷物401について検品を行う棚型検品装置201への適用例である。
【0041】
図9は、棚型検品装置201を示す斜視図である。図10は、棚型検品装置201の電気的構成を示すブロック図である。棚型検品装置201は、一例として、配送センターに設置されている。棚型検品装置201は、棚202を有している。図9に示すように、棚202は、複数個の荷物401の載置が可能な平板状の載置台203を有している。つまり、載置台203は、その上面に荷物401の載置が可能な載置空間205を形成している。工場等から入荷された荷物は、配送センターで棚型検品装置201の載置台203に載置されて、載置空間205に位置付けられる。本実施の形態では、載置台203は二段設けられている。載置台203は、その側面が一対の側板204に対して位置固定されている。個々の載置台203には、リーダライタアンテナ471が埋設されている。リーダライタアンテナ471は、上面側の載置空間205の方向に指向性を有する。そのため、リーダライタアンテナ471は、出力電波が上面側の載置空間205に位置付けられた荷物401に付されたRFIDタグ411のICチップ412に到達可能となっている。また、図10に示すように、載置台203には、リーダライタアンテナ471と接続されたRFIDリーダライタ472が埋設されている。RFIDリーダライタ472は、制御PC441と接続されて制御を受ける。
【0042】
本実施の形態によっても、リーダライタアンテナ471からの出力電波が変化して、識別コードの読み取りが複数回実行される。したがって、載置空間205に位置付けられたICチップ412に記憶された識別コードの読み取り率を向上させることができる。
【0043】
次に、本発明の第3の実施の形態について図11及び図12に基づいて説明する。図1ないし図8に基づいて説明した第1の実施の形態と同一の部分は同一の符号で示し説明も省略する。本実施の形態は、ハンドヘルドタイプのハウジング302を荷物401に対峙させて荷物401の検品を行うハンドヘルド型検品装置301への適用例である。
【0044】
図11は、ハンドヘルド型検品装置301を示す斜視図である。ハンドヘルド型検品装置301は、長尺のハウジング302を有する。ハウジング302は、一端側に片手で把持可能な把持部303を有する。把持部303の一面側には、情報を入力するためのキーパッド304が設けられている。ハンドヘルド型検品装置301は、情報を表示するLCD305を備えている。LCD305は、ハウジング302の把持部303とは反対側の他端側であってキーパッド304と同じ面に設けられている。ハウジング302の内部であってLCD305とは反対側の面側には、リーダライタアンテナ471が設けられている。ハウジング302のリーダライタアンテナ471が設けられた部分は、荷物401と対峙する対峙部306である。ハンドヘルド型検品装置301は、図11に示すように、把持部303が把持されて対峙部306が荷物401に対峙した状態で使用される。
【0045】
図12は、ハンドヘルド型検品装置301の電気的構成を示すブロック図である。ハンドヘルド型検品装置301の情報処理部454には、サーバ491との間で無線通信を実現する通信装置311がバスライン465を介して接続されている。また、情報処理部454には、第2検品ファイルF2を格納するフラッシュメモリ312がバスライン465を介して接続されている。
【0046】
本実施の形態によっても、リーダライタアンテナ471からの出力電波が変化して、識別コードの読み取りが複数回実行される。したがって、対峙部306と対峙する位置に位置付けられたICチップ412に記憶された識別コードの読み取り率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ゲート型検品装置を示す斜視図である。
【図2】RFIDタグが付された荷物の一つを示す斜視図である。
【図3】ゲート型検品装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】RFIDリーダライタの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】リーダライタアンテナから強さを異ならせて出力される電波を模式的に示す平面図である。
【図6】第1検品ファイルのデータ構成を示すブロック図である。
【図7】第2検品ファイルのデータ構成を示すブロック図である。
【図8】検品処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】棚型検品装置を示す斜視図である。
【図10】棚型検品装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】ハンドヘルド型検品装置を示す斜視図である。
【図12】ハンドヘルド型検品装置の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
101…ゲート型検品装置(検品装置)、102…ゲート、104…通過空間、201…棚型検品装置(検品装置)、202…棚、205…載置空間、301…ハンドヘルド型検品装置(検品装置)、302…ハウジング、306…対峙部、411…RFIDタグ、412…ICチップ、454…情報処理部、471…リーダライタアンテナ、472…RFIDリーダライタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理を実行する情報処理部と、
電波を出力するリーダライタアンテナを有し、当該リーダライタアンテナに電波を出力させて荷物に付されたRFIDタグのICチップとの間で通信を確立し、当該通信を確立したICチップに対して情報の読み書きを実行するRFIDリーダライタと、
前記情報処理部が、前記RFIDリーダライタに前記リーダライタアンテナからの出力電波を変化させてICチップに記憶された識別コードを複数回読み取らせる読取処理を実行する手段と、
を備える検品装置。
【請求項2】
前記情報処理部が、前記RFIDリーダライタに読み取らせた識別コードを取得する手段と、
前記情報処理部が、前記取得した識別コードと予め記憶領域に記憶された識別コードとを照合して、当該照合の結果を出力する手段と、
前記照合の結果、前記取得した識別コードと前記記憶領域に記憶された識別コードとが一致していなければ、前記読取処理を再度実行する手段と、
を備える請求項1記載の検品装置。
【請求項3】
荷物が通過する通過空間を有するゲートを備え、
前記リーダライタアンテナは、前記通過空間に向けて電波を出力する位置で前記ゲートに設けられている、
請求項1又は2記載の検品装置。
【請求項4】
上面に荷物の載置が可能な載置空間を形成する載置台を有する棚を備え、
前記リーダライタアンテナは、前記載置空間に向けて電波を出力する位置で前記棚に設けられている、
請求項1又は2記載の検品装置。
【請求項5】
荷物と対峙する対峙部を有するハンドヘルドタイプのハウジングを備え、
前記リーダライタアンテナは、前記ハウジングの前記対峙部に設けられている、
請求項1又は2記載の検品装置。
【請求項1】
情報処理を実行する情報処理部と、
電波を出力するリーダライタアンテナを有し、当該リーダライタアンテナに電波を出力させて荷物に付されたRFIDタグのICチップとの間で通信を確立し、当該通信を確立したICチップに対して情報の読み書きを実行するRFIDリーダライタと、
前記情報処理部が、前記RFIDリーダライタに前記リーダライタアンテナからの出力電波を変化させてICチップに記憶された識別コードを複数回読み取らせる読取処理を実行する手段と、
を備える検品装置。
【請求項2】
前記情報処理部が、前記RFIDリーダライタに読み取らせた識別コードを取得する手段と、
前記情報処理部が、前記取得した識別コードと予め記憶領域に記憶された識別コードとを照合して、当該照合の結果を出力する手段と、
前記照合の結果、前記取得した識別コードと前記記憶領域に記憶された識別コードとが一致していなければ、前記読取処理を再度実行する手段と、
を備える請求項1記載の検品装置。
【請求項3】
荷物が通過する通過空間を有するゲートを備え、
前記リーダライタアンテナは、前記通過空間に向けて電波を出力する位置で前記ゲートに設けられている、
請求項1又は2記載の検品装置。
【請求項4】
上面に荷物の載置が可能な載置空間を形成する載置台を有する棚を備え、
前記リーダライタアンテナは、前記載置空間に向けて電波を出力する位置で前記棚に設けられている、
請求項1又は2記載の検品装置。
【請求項5】
荷物と対峙する対峙部を有するハンドヘルドタイプのハウジングを備え、
前記リーダライタアンテナは、前記ハウジングの前記対峙部に設けられている、
請求項1又は2記載の検品装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−168985(P2008−168985A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2809(P2007−2809)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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