検査システム、管理サーバ、検査装置および検査データ管理方法
【課題】複数の装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる検査システムを提供することである。
【解決手段】検査システム10は、工場で生産される製品を検査する検査装置11a,11b,11cと、検査装置11a,11b,11cに通信回線を介して接続される管理サーバ30とを備える。検査装置11aは、装置側検査結果DB(Database:データベース)14aを備える。装置側検査結果DB14aは、検査装置11aが基板を検査した結果を示すデータである検査結果データを格納する。装置側検査結果DB14aは、キー(Key)とバリュー(Value)とによって構成されるキーバリュー(Key−Value)型のデータベースである。
【解決手段】検査システム10は、工場で生産される製品を検査する検査装置11a,11b,11cと、検査装置11a,11b,11cに通信回線を介して接続される管理サーバ30とを備える。検査装置11aは、装置側検査結果DB(Database:データベース)14aを備える。装置側検査結果DB14aは、検査装置11aが基板を検査した結果を示すデータである検査結果データを格納する。装置側検査結果DB14aは、キー(Key)とバリュー(Value)とによって構成されるキーバリュー(Key−Value)型のデータベースである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検査システム、管理サーバ、検査装置および検査データ管理方法に関し、特に、工場等で生産する製品を検査した際の検査結果のデータを管理する検査システム、このような検査システムに用いられる管理サーバ、検査装置、および検査データ管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場等で製品を生産する際には、複数の工程を経て行われることが一般的である。そして、各工程のそれぞれには異なる処理条件が定められている。このような各工程の処理条件や、各工程にて製品を検査した結果のデータである検査結果データ等を収集する生産システムが、例えば、特開2007−157061号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
特許文献1によると、生産システムは、検査した結果、不良と判断した製品の処理条件や検査結果データの確認を行うことにより、不良品の未然防止を目的として、データを収集することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−157061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に開示の生産システムは、各工程の処理条件を格納するデータメモリを有する動作制御用コンピュータと、動作制御用コンピュータにおいて書き込まれたデータを巡回して収集するデータ収集用コンピュータと、データ収集用コンピュータが収集したデータを格納するDB(データベース)サーバとを備える構成である。
【0006】
すなわち、特許文献1では、処理条件をデータメモリに格納する構成である。このような構成を、例えば、その上に電子部品を実装する基板の検査に採用すると、基板の検査では工程数や各工程における検査項目が多岐に亘るものであるため、データの数が膨大になり、このような膨大なデータをデータメモリに格納することとなる。この場合、データメモリに格納されたデータの整合性や、各工程のデータの関連性等が複雑になる虞がある。
【0007】
また、多数の検査装置の検査結果データをDBサーバのように1つのデータベースで管理しようとすると、データの収集処理が集中して、所定の検査装置からの収集処理が所定以外の他の検査装置からの収集処理に影響を与える虞がある。
【0008】
この発明の目的は、複数の装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる検査システム、このような検査システムに用いられる管理サーバ、検査装置、および検査データ管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る検査システムは、製品を検査する複数の検査装置と、検査装置に通信回線を介して接続される管理サーバとを備える。検査装置は、製品を検査する検査手段と、検査手段により検査された結果を示す検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースである検査装置側格納手段と、検査装置側格納手段により格納された検査結果データを管理サーバへ送信する送信手段とを含む。管理サーバは、送信手段により送信された検査結果データを受信する受信手段と、受信手段により受信した検査結果データを格納するサーバ側格納手段とを含む。
【0010】
このように構成することにより、検査システムは、検査装置において、検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納することができる。この場合、検査結果データが多くなった場合であっても、容易に検索可能な簡易な構成の状態で格納することができる。また、検査装置側にデータベースを備える構成としたため、多くの検査結果データを検査装置側で保持しておくことができ、検査を行って直ちに検査結果データを管理サーバへ送信する必要なく、検査装置の任意のタイミングで、検査結果データの送信を行うことができる。したがって、複数の検査装置が管理サーバに接続された状態であっても、検査結果データの送信の処理が集中することがない。その結果、複数の検査装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる。
【0011】
好ましくは、サーバ側格納手段は、キーバリュー型のデータベースと、リレーショナル型のデータベースとを有し、管理サーバは、検査装置における製品の検査に関する情報を格納する検査情報格納手段と、受信手段により受信した検査結果データを、検査情報格納手段により格納された製品の検査に関する情報に基づいて、リレーショナル型に変換する変換手段とを含む。このように、キーバリュー型のデータベースを管理サーバ側にも備える構成としたため、検査装置において一旦格納した検査結果データを管理サーバ側でそのまま型変換等を行うことなく容易に格納することができる。したがって、管理サーバ側で、負荷のかかる処理を必要としないため、複数の検査装置から検査結果データを送信された場合であっても、管理サーバ側で検査結果データを受信して格納する際の処理を安定して行うことができると共に、処理時間を短くして行うことができる。また、管理サーバ側では、検査結果データをキーバリュー型からリレーショナル型のデータベースに変換するため、例えば、検査結果データの集計等ではリレーショナル型のデータベースを用いて詳細に行うことができる。また、リレーショナル型のデータベースに変換する際には、検査装置における製品の検査に関する情報に基づいて行うことができるため、検査に基づいた適切な変換を行うことができる。
【0012】
さらに好ましくは、管理サーバは、変換手段により変換された検査結果データを分析する分析手段を含む。こうすることにより、管理サーバ側で、検査結果を分析することができる。したがって、検査結果を分析する際には、リレーショナル型のデータベースを用いることができるため、詳細な分析を行うことができる。
【0013】
さらに好ましくは、検査情報格納手段により格納される製品の検査に関する情報は、複数の検査装置間で各々関連付けられている。こうすることにより、検査結果を分析する際に、複数の検査装置における検査結果を連携させて分析することができる。
【0014】
さらに好ましくは、検査手段は、製品の検査の際に、製品の画像のデータを取得する画像取得手段を有する。検査装置は、画像取得手段により取得された製品の画像のデータを保存する保存手段と、保存手段により保存された製品の画像のデータを分析手段により分析した結果に応じて制御する画像制御手段とを含む。こうすることにより、画像のデータの処理を適切に行うことができる。例えば、画像のデータが検査装置側で放置された状態になることがない。
【0015】
この発明の他の局面においては、製品を検査する複数の検査装置に通信回線を介して接続される管理サーバに関する。管理サーバは、複数の検査装置から送信され、キーバリュー型のデータである製品の検査結果データを受信する受信手段と、受信手段により受信した検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースであるサーバ側格納手段とを含む。
【0016】
このように構成することにより、管理サーバは、キーバリュー型のデータベースを備える構成としたため、検査装置からのキーバリュー型の検査結果データをそのまま型変換等を行うことなく容易に格納することができる。したがって、管理サーバ側で、負荷のかかる処理を必要としないため、複数の検査装置から検査結果データを送信された場合であっても、管理サーバ側で検査結果データを受信して格納する際の処理を安定して行うことができると共に、処理時間を短くして行うことができる。その結果、管理サーバにおいて、複数の装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる。
【0017】
この発明のさらに他の局面においては、管理サーバに接続されて、製品を検査する検査装置に関する。検査装置は、製品を検査する検査手段と、検査手段により検査された結果を示す検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースである検査装置側格納手段と、検査装置側格納手段により格納された検査結果データを管理サーバへ送信する送信手段とを含む。
【0018】
こうすることにより、検査装置は、検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納することができる。この場合、検査結果データが多くなった場合であっても、容易に検索可能な簡易な構成の状態で格納することができる。また、多くの検査結果データを保持しておくことができ、検査を行って直ちに検査結果データを管理サーバへ送信する必要なく、検査装置の任意のタイミングで、検査結果データの送信を行うことができる。したがって、複数の検査装置が管理サーバに接続された状態であっても、検査結果データの送信の処理が集中することがない。その結果、データの管理を効率的に行うことができる。
【0019】
この発明のさらに他の局面においては、検査データ管理方法に関する。検査データ管理方法は、製品を検査する検査装置において、製品を検査するステップと、検査装置において、製品を検査された結果を示す検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納するステップと、検査装置に格納した検査結果データを管理サーバへ送信するステップと、管理サーバにおいて、検査装置から送信された検査結果データを受信するステップと、受信した検査結果データを管理サーバにて格納するステップとを含む。
【0020】
こうすることにより、検査データ管理方法は、検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納することができる。この場合、検査結果データが多くなった場合であっても、容易に検索可能な簡易な構成の状態で格納することができる。また、検査装置側にデータベースを備える構成としたため、多くの検査結果データを検査装置側で保持しておくことができ、検査を行って直ちに検査結果データを管理サーバへ送信する必要なく、検査装置の任意のタイミングで、検査結果データの送信を行うことができる。したがって、複数の検査装置が管理サーバに接続された状態であっても、検査結果データの送信の処理が集中することがない。その結果、複数の装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によると、検査システムは、検査装置において、検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納することができる。この場合、検査結果データが多くなった場合であっても、容易に検索可能な簡易な構成の状態で格納することができる。また、検査装置側にデータベースを備える構成としたため、多くの検査結果データを検査装置側で保持しておくことができ、検査を行って直ちに検査結果データを管理サーバへ送信する必要なく、検査装置の任意のタイミングで、検査結果データの送信を行うことができる。したがって、複数の検査装置が管理サーバに接続された状態であっても、検査結果データの送信の処理が集中することがない。その結果、複数の検査装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係る検査システムを示すブロック図である。
【図2】装置側検査結果DBにおけるデータの構成の一例を示す図である。
【図3】検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【図6】管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【図7】装置側検査結果DBに格納された検査結果データの一例を示す図である。
【図8】サーバ側検査結果DBに格納された検査結果データの一例を示す図である。
【図9】格納前の統計分析DBのデータの状態を示す図である。
【図10】格納後の統計分析DBのデータの状態を示す図である。
【図11】各検査装置の検査結果と、検査結果に基づく画像データの処理の一例を示す図である。
【図12】検査装置の装置側検査結果DBに格納された検査結果データの一例を示す図である。
【図13】格納した統計分析DBの状態を示す図である。
【図14】はんだ付け検査機にて格納される基板の検査に関する情報を示す図である。
【図15】実装検査機にて具備される基板の検査に関する情報を示す図である。
【図16】はんだ検査機にて具備される基板の検査に関する情報を示す図である。
【図17】管理サーバにて格納される基板の検査に関する情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態に係る検査システムを説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る検査システム10を示すブロック図である。図1を参照して、検査システム10は、工場等において、製品を生産する生産ラインに適用されるシステムである。検査システム10は、工場で生産される製品を検査する第一の検査装置11a,第二の検査装置11b,および第三の検査装置11cと、第一〜第三の検査装置11a,11b,11cに通信回線を介して接続される管理サーバ30とを備える。この実施形態においては、検査システム10は、基板に電子部品を実装する生産ラインに適用される。
【0024】
第一〜第三の検査装置11a,11b,11cは、製品を生産する際の工程毎に設けられる。この実施形態における基板に電子部品を実装する工程は、例えば、基板にランド等を印刷する印刷工程と、基板に電子部品をマウントするマウント工程と、電子部品の端子をランドにはんだ付けするリフロー工程とを含む。そして、第一の検査装置11aは、印刷工程の位置に設けられて、印刷後の検査を行う。第二の検査装置11bは、マウント工程の位置に設けられて、マウント後の検査を行う。第三の検査装置11cは、リフロー工程の位置に設けられて、はんだ付け後の検査を行う。なお、図中の矢印Aで、生産ラインの進行方向を示している。
【0025】
ここで、第一の検査装置11aの構成について説明する。第一の検査装置11aは、第一の検査装置11a全体を制御するCPU(Central Processing Unit)や外部との通信インターフェースとなるインターフェース部やメモリ等を含む制御部13aと、検査装置側格納手段としての装置側検査結果DB(Database:データベース)14aと、基板の検査に関する情報を格納する装置側検査プログラムDB15aとを備える。なお、他の第二の検査装置11b、第三の検査装置11cにおいても同様の構成であるため、説明は省略する。
【0026】
装置側検査結果DB14aは、第一の検査装置11aが基板を検査した結果を示すデータである検査結果データを格納する。装置側検査結果DB14aは、キー(Key)とバリュー(Value)とによって構成されるキーバリュー(Key−Value)型のデータベースである。図2は、装置側検査結果DB14aにおけるデータの構成の一例を示す図である。図2を参照して、データベースは、データベースを検索する際の検索キーであるキーと、キーに紐付くデータであるバリューとを含む。ここでは、キーとして、検査を行った基板を特定する情報である検査ID16を含み、バリューとして、第一〜第三の検査装置11a〜11cのうちのいずれの装置にて検査が行われたかを示す情報である検査装置名17、検査を行った日時の情報である検査日時18、および検査を行った結果、良であるか否か等を示す情報である検査結果19を含む。
【0027】
また、装置側検査プログラムDB15aにおいても同様に、キーバリュー型のデータベースである。装置側検査プログラムDB15aは、基板の検査に関する情報を格納する。ここで、基板の検査に関する情報とは、検査条件等を示す情報であって、例えば、検査を行う基板上の特定の位置を示す情報や特定の部品を示す情報、基板の良/不良を判断する検査基準の情報を含む。
【0028】
管理サーバ30は、管理サーバ30全体を制御するCPUや外部との通信インターフェースとなるインターフェース部やメモリ等を含む制御部31と、サーバ側格納手段としてのサーバ側検査結果DB32と、基板の検査に関する情報を格納する検査情報格納手段としてのサーバ側検査プログラムDB33と、サーバ側検査結果DB32およびサーバ側検査プログラムDB33に基づいて、検査結果データを統計や分析して格納するサーバ側格納手段としての統計分析DB34とを備える。
【0029】
サーバ側検査結果DB32は、装置側検査結果DB14aと同様に、キーバリュー型のデータベースである。サーバ側検査結果DB32は、第一〜第三の検査装置11a〜11cから受信したキーバリュー型の検査結果データを格納する。なお、図1中の点線で、第一〜第三の検査装置11a〜11cから送信される状態を示している。
【0030】
また、サーバ側検査プログラムDB33においても同様に、キーバリュー型のデータベースである。サーバ側検査プログラムDB33は、第一〜第三の検査装置11a〜11cにて格納されている基板の検査に関する情報と同じ情報を格納する。例えば、サーバ側検査プログラムDB33において、第一〜第三の検査装置11a〜11cにおける基板の検査に関する情報をそれぞれ格納しておき、所定のタイミングで第一〜第三の検査装置11a〜11cにそれぞれ対応する情報を転送することにより、第一〜第三の検査装置11a〜11cと同じ情報を格納する。
【0031】
統計分析DB34は、リレーショナル(Relational)型のデータベースである。統計分析DB34は、サーバ側検査結果DB32に格納された検査結果データを制御部31がキーバリュー型からリレーショナル型へ変換し、この変換した検査結果データを格納する。
【0032】
すなわち、管理サーバ30は、形式の異なる2種類のデータベース、すなわち、キーバリュー型のデータベースと、リレーショナル型のデータベースとを有する構成である。
【0033】
ここで、検査システム10を用いて、第一〜第三の検査装置11a〜11cが基板の検査を実施し、その検査結果データを管理サーバ30において管理する場合について説明する。図3および図4は、第一〜第三の検査装置11a〜11cの動作を示すフローチャートである。図5および図6は、管理サーバ30の動作を示すフローチャートである。なお、ここでは、第三の検査装置11cの動作の例を説明する。
【0034】
まず、図3を参照して、第三の検査装置11cは、例えばベルトコンベヤによって所定の位置までリフロー工程の終了した基板が搬送されてくると、第三の検査装置11cは、基板の検査を開始する(図3において、ステップS11、以下ステップを省略する)。具体的には、第三の検査装置11cは画像検査装置であって、装置側検査プログラムDB15aに格納されている基板の検査に関する情報に基づいて、基板の画像データを取得する。ここで、制御部13cは、画像取得手段として作動する。そして、第三の検査装置11cは、取得した画像データを用いて、装置側検査プログラムDB15aに格納されている基板の検査に関する情報に基づき、制御部13cにより、正しくはんだ付けされているか否か等の検査を行い、その検査結果データを装置側検査結果DB14cに格納する。このとき、検査した結果として、例えば、基板上に設けられた部品のうち、正しくはんだ付けされていない不良と判断した部品の数(不良部品数)等を確定する。ここで、制御部13cは、検査手段として作動する。そして、制御部13cは、上記した図2の検査結果データの構成のように、基板IDと検査結果とを紐付けて装置側検査結果DB14cに出力し(S12)、装置側検査結果DB14cに格納する(S13)。そして、第三の検査装置11cは、このようなS11〜S13に示す基板の検査を、基板が搬送されてくる毎に繰り返し実施する。図7は、装置側検査結果DB14cに格納された検査結果データの一例を示す図である。図7を参照して、装置側検査結果DB14cには、キーとして基板IDが格納され、基板IDに紐付くバリューとして、検査装置名、検査日時、および検査結果として、不良部品数と機種と検査を行った部品の数(検査部品数)とが格納されている。
【0035】
次に、図4を参照して、第三の検査装置11cは、上記した図3および図7に示すように、検査結果データを装置側検査結果DB14cに格納することを繰り返すと、検査結果データを管理サーバ30へ送信する送信条件を満たしたか否かを判断する(図4において、S21)。具体的には、制御部13cは、所定の個数分の検査結果データが装置側検査結果DB14cに格納されたか否かを監視しており、所定の個数分の検査結果データが格納されたと判断すると(S21において、OK)、装置側検査結果DB14cに格納された検査結果データのうち、管理サーバ30に対して、未だ送信を行っていないデータを抽出する(S22)。そして、抽出した検査結果データを圧縮等して、管理サーバ30へ送信する送信データを生成し(S23)、生成した送信データを管理サーバ30へ送信する(S24)。ここで、制御部13cは、送信手段として作動する。
【0036】
なお、他の第一の検査装置11a、第二の検査装置11bにおいても同様に、基板の検査を行い、検査結果データを管理サーバ30へ送信する。このとき、工程の進行方向に従って基板が搬送されることから、順序としては、第一の検査装置11a、第二の検査装置11b、第三の検査装置11cの順に行われてよい。
【0037】
そうすると、図5を参照して、管理サーバ30は、第三の検査装置11cからの送信データを受信する(図5において、S31)。ここで、制御部31は、受信手段として作動する。そして、管理サーバ30は、受信した送信データをサーバ側検査結果DB32へ一括登録する(S32)。図8は、サーバ側検査結果DB32に格納された検査結果データの一例を示す図である。データの構成は、上記した図7の装置側検査結果DB14cと同様である。そして、今回一括登録された検査結果データは、図8中の(a)で示す5つのデータである。
【0038】
そして、図6を参照して、管理サーバ30は、サーバ側検査結果DB32において、検査結果データの統計や分析の処理を開始する条件を満たしたか否かを監視している。統計や分析の処理を開始する条件とは、例えば、サーバ側検査結果DB32に新たに登録されたデータがあるか否かである。そして、新たに登録されたデータがあると判断すると、すなわち、条件を満たしたと判断すると(図6のS41において、YES)、新たに登録されたデータを抽出する(S42)。この新たに登録されたデータとは、サーバ側検査結果DB32から統計分析DB34に対して、未だ格納されていないデータであり、ここでは、上記した図8の(a)で示すデータである。そして、サーバ側検査プログラムDB33に格納されている基板の検査に関する情報を用いて、抽出したデータをキーバリュー型からリレーショナル型へ変換する(S43)。そして、統計や分析を行い、統計分析DB34へ格納する(S44)。ここで、制御部31は、変換手段および分析手段として作動する。図9は、格納前の統計分析DB34のデータの状態を示す図であって、図10は、格納後の統計分析DB34のデータの状態を示す図である。図8〜図10を参照して、図8のサーバ側検査結果DB32では、検査した複数の基板において、同じ機種であっても異なるデータとして保持していたのに対し、図9および図10の統計分析DB34に示すように、統計分析DB34では機種毎にデータを集約して保持してもよい。すなわち、管理サーバ30は、検査結果データを用いて、サーバ側検査プログラムDB33に格納されている基板の検査に関する情報を用いて、分析の処理として機種毎に集約する処理を行い、集約したものを統計分析DB34へ格納してもよい。
【0039】
このように、検査システム10は、検査装置11a〜11cにおいて、検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納することができる。この場合、検査結果データが多くなった場合であっても、容易に検索可能な簡易な構成の状態で格納することができる。すなわち、データベースへアクセスする際の処理時間等を短くすることができ、高速な処理を行うことができる。また、検査装置11a〜11c側にデータベースを備える構成としたため、多くの検査結果データを検査装置11a〜11c側で保持しておくことができ、検査を行って直ちに検査結果データを管理サーバ30へ送信する必要なく、検査装置11a〜11cの任意のタイミングで、検査結果データの送信を行うことができる。したがって、複数の検査装置11a〜11cが管理サーバ30に接続された状態であっても、検査結果データの送信の処理が集中することがない。その結果、複数の検査装置11a〜11cから得たデータの管理を効率的に行うことができる。
【0040】
また、検査システム10は、キーバリュー型のデータベースを管理サーバ30にも備える構成としたため、検査装置11a〜11cにおいて一旦格納した検査結果データを管理サーバ30側でそのまま型変換等を行うことなく容易に格納することができる。したがって、管理サーバ30側で、負荷のかかる処理を必要としないため、複数の検査装置11a〜11cから検査結果データを送信された場合であっても、管理サーバ30側で検査結果データを受信して格納する際の処理を安定して行うことができると共に、処理時間を短くして行うことができる。また、管理サーバ30側では、検査結果データをキーバリュー型からリレーショナル型のデータベースに変換するため、例えば、検査結果データの集計等ではリレーショナル型のデータベースを用いて詳細に行うことができる。また、リレーショナル型のデータベースに変換する際には、検査装置11a〜11cにおける製品の検査に関する情報に基づいて行うことができるため、検査に基づいた適切な変換を行うことができる。
【0041】
なお、図4のS21において、所定の個数分の検査結果データが格納されていない場合には(S21において、NO)、所定の個数分の検査結果データが格納されるまで待機する。
【0042】
また、図6のS41において、新たに登録されたデータがない場合には(S41において、NO)、データが新たに登録されるまで待機する。
【0043】
なお、上記の実施の形態においては、第一〜第三の検査装置11a〜11cとして、印刷後の検査を行う第一の検査装置11aと、マウント後の検査を行う第二の検査装置11bと、はんだ付け後の検査を行う第三の検査装置11cとを設ける例について説明したが、これに限ることなく、生産ライン中の任意の装置であってよく、例えば、X線検査装置のような他の検査を行う検査装置であってよい。また、生産ラインが各々異なる複数の検査装置であってもよい。
【0044】
また、上記の実施の形態においては、第三の検査装置11cから管理サーバ30へ検査結果データを送信するタイミングを、所定の個数分の検査結果データが格納されたタイミングである例について説明したが、これに限ることなく、例えば、5分間隔等の所定の時間間隔であってもよいし、ユーザが任意に設定可能としてもよい。
【0045】
また、検査システム10は、管理サーバ30と検査装置11a〜11cに加え、検査結果データを表示する表示装置や、他の装置を含む構成であってもよい。
【0046】
ここで、上記したS11において検査装置11a〜11cが取得した画像データを、管理サーバ30側の分析に基づいて処理する場合について説明する。
【0047】
画像データは、S11に示すように、各検査装置11a〜11cにて基板の検査を実施するために取得されて、各検査装置11a〜11c内に一旦保存される。ここで、制御部13a〜13cは、保存手段として作動する。その後、画像データは、管理サーバ30において、検査結果データを用いて分析等を行った際に、その分析結果により、消去されるか、管理サーバ30へ送信されるか、そのまま各検査装置11a〜11c内に保存されるか等の処理が決定される。ここで、制御部13a〜13cは、画像制御手段として作動する。
【0048】
図11は、各検査装置11a〜11cの検査結果と、検査結果に基づく画像データの処理の一例を示す図である。図11を参照して、印刷工程の検査結果が良であって、リフロー工程の検査結果が良であれば、リフロー工程の検査結果が確定したタイミングで、第一〜第三の検査装置11c内に保存した画像データを消去する。このとき、管理サーバ30が第一〜第三の検査装置11cに消去するよう指示してもよい。一方で、印刷工程の検査結果が良であってもリフロー工程の検査結果が不良であれば、印刷工程時の画像データについては、リフロー工程の検査結果が確定するまでは第一の検査装置11a内に保存しておき、リフロー工程の検査結果確定後、例えばユーザからの要求があるまで第一の検査装置11a内に保存し、ユーザからの要求に応じて管理サーバ30へ送信する。また、リフロー工程時の画像データについては、この分析した結果が出た即時に、管理サーバ30へ送信する。
【0049】
このように、管理サーバ30における検査結果の分析に応じて、必要なときに必要な画像データのみを管理サーバ30へ送信することができる。この場合、検査システム10を利用するユーザにとって、工程改善にかける負荷や画像データの利用状況に基づき、画像データの保存のための容量等を決定することができる。例えば、画像データの保存のための容量等をなるべく小さくすることができる。
【0050】
また、検査結果が不良の場合だけでなく、良の場合であっても管理サーバ30へ送信することとしてもよい。
【0051】
また、上記の実施の形態においては、管理サーバ30での分析の際に、機種毎にデータを集約する例について説明したが、これに限ることなく、検査する項目が複数である場合に、検査項目毎に分析可能な構成としてもよい。
【0052】
図12は、S13に示すように、検査装置11cの装置側検査結果DB14cに格納された検査結果データの一例を示す図である。図12を参照して、装置側検査結果DB14cには、キーとして基板IDと基板に取り付けられる部品の部品番号とが格納されている。そして、この実施形態では、各基板の各部品におけるはんだ面積とはんだ高さとを検査項目として計測しており、この計測結果が基板IDに紐付くバリューとして格納されている。例えば、基板ID(A010)部品番号(R10)の部品では、はんだ面積が350であり、はんだ高さが11である。
【0053】
管理サーバ30は、このような検査結果データを受信すると、サーバ側検査プログラムDB33に格納されている基板の検査に関する情報を用いて、キーバリュー型からリレーショナル型へ変換して、分析を行い、統計分析DB34へ格納する。ここでは、複数の基板における検査結果データを検査項目毎に分析する。図13は、格納した統計分析DB34の状態を示す図である。図13を参照して、管理サーバ30は、各部品番号において、計測したはんだ面積毎に集計を行う。また、はんだ高さにおいても同様に、各部品番号において、計測したはんだ高さ毎に集計を行う。例えば、部品番号(R10)の部品において、はんだ面積350のデータは、3度数と集計され、はんだ高さ11のデータは、3度数と集計される。
【0054】
こうすることにより、当該部品のはんだ付けの状況を時系列変化で認識することができる。例えば、はんだ面積が、350、360・・のように徐々に大きくなるデータが増えていった場合には、1枚目の基板と10枚目の基板とで、その部品のはんだ面積が大きく異なることを認識することができる。すなわち、複数の基板において、はんだ面積のような検査ポイントにおける変化を容易に認識することができる。
【0055】
次に、この発明の他の実施形態として、装置側検査プログラムDB、およびサーバ側検査プログラムDBに格納されている基板の検査に関する情報に基づいて、分析を行う場合について説明する。
【0056】
この実施形態においては、検査装置として、はんだ検査機、実装検査機、およびはんだ付け検査機を含む。はんだ検査機、実装検査機、およびはんだ付け検査機は、上記の実施形態と同様に、装置側検査プログラムDBを備える。
【0057】
装置側検査プログラムDBは、上記したように、基板の検査に関する情報を格納する。図14は、はんだ付け検査機にて格納される基板の検査に関する情報を示す図である。図14を参照して、ここでは、角チップを検査する際の情報を示している。はんだ付け検査機は、欠品に対する検査として、部品抽出色が95%以上であるか否かを検査するという情報を備える。また、フィレット検査として、はんだ角度が30°であるか否かを検査するという情報を備える。また、ずれに対する検査として、シフト量が±50μm以内であるか否かを検査するという情報を備える。はんだ付け検査機では、このような情報を具備する。
【0058】
また、図15は、実装検査機にて具備される基板の検査に関する情報を示す図であり、図16は、はんだ検査機にて具備される基板の検査に関する情報を示す図である。例えば、図16を参照して、はんだ検査機では、フィレット検査として、はんだ量が80%〜200%の範囲であるか否かを検査するという情報を備え、ずれに対する検査として、シフト量が±100μm以内であるか否かを検査するという情報を備える。
【0059】
このように、各検査装置は、検査の基準となる情報を具備している。ここで、各検査装置にて具備される基板の検査に関する情報とは、検査の基準となる基準情報である。そして、基準情報は、複数の検査装置間で関連付けられている。例えば、異なる観点の基準情報を1つの部品において具備する。
【0060】
一方で、管理サーバは、上記の実施形態と同様に、サーバ側検査プログラムDBを備える。サーバ側検査プログラムDBは、上記したように、基板の検査に関する情報を格納する。
【0061】
図17は、管理サーバにて格納される基板の検査に関する情報を示す図である。図17を参照して、管理サーバは、はんだ検査機、実装検査機、およびはんだ付け検査機の全ての検査装置における検査の基準情報を具備する。例えば、はんだ付け検査機の基準情報として、図14に示した情報と同様に、欠品に対する検査として、図中の(2)に示すように、部品抽出色が95%以上であるか否かを検査するという情報を備える。また、フィレット検査として、図中の(4)に示すように、はんだ角度が30°であるか否かを検査するという情報を備える。また、ずれに対する検査として、図中の(7)に示すように、シフト量が±50μm以内であるか否かを検査するという情報を備える。また、はんだ検査機の基準情報としては、図16に示した情報と同様に、フィレット検査として、図中の(3)に示すように、はんだ量が80%〜200%の範囲であるか否かを検査するという情報を備え、ずれに対する検査として、図中の(5)に示すように、シフト量が±100μm以内であるか否かを検査するという情報を備える。
【0062】
そして、管理サーバは、このような各検査装置における基準情報の全てと共に、各検査装置の基準情報を総合的に判定する総合判定ルールをさらに具備している。図17を参照して、総合判定ルールは、例えば、フィレット検査として、はんだ検査機の基準情報(図中の(3))と、はんだ付け検査機の基準情報(図中の(4))とを組合わせて、はんだ検査機およびはんだ付け検査機の両方において、基準を満たして良と判断されていれば、管理サーバにおいて、良と判定するというルールである。すなわち、管理サーバで、各検査装置において具備する基板の検査に関する情報を組合わせて使用する。したがって、はんだ検査機において良と判断されていても、はんだ付け検査機において不良と判断されていれば、管理サーバでは不良と判定する。
【0063】
こうすることにより、管理サーバと検査装置とで基板の検査に関する情報を共有するため、管理サーバ側で、検査結果データの分析を適切に行うことができる。管理サーバが、各検査装置において具備する基板の検査に関する情報を組合わせて使用することができ、各検査装置の検査結果を総合的に分析することができる。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、データの管理が必要となる場合に、有効に利用される。
【符号の説明】
【0066】
10 検査システム、11a,11b,11c 検査装置、13a,13b,13c 制御部、14a,14b,14c 装置側検査結果DB、15a,15b,15c 装置側検査プログラムDB、16 検査ID、17 検査装置名、18 検査日時、19 検査結果、30 管理サーバ、31 制御部、32 サーバ側検査結果DB、33 サーバ側検査プログラムDB、34 統計分析DB。
【技術分野】
【0001】
この発明は、検査システム、管理サーバ、検査装置および検査データ管理方法に関し、特に、工場等で生産する製品を検査した際の検査結果のデータを管理する検査システム、このような検査システムに用いられる管理サーバ、検査装置、および検査データ管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場等で製品を生産する際には、複数の工程を経て行われることが一般的である。そして、各工程のそれぞれには異なる処理条件が定められている。このような各工程の処理条件や、各工程にて製品を検査した結果のデータである検査結果データ等を収集する生産システムが、例えば、特開2007−157061号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
特許文献1によると、生産システムは、検査した結果、不良と判断した製品の処理条件や検査結果データの確認を行うことにより、不良品の未然防止を目的として、データを収集することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−157061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に開示の生産システムは、各工程の処理条件を格納するデータメモリを有する動作制御用コンピュータと、動作制御用コンピュータにおいて書き込まれたデータを巡回して収集するデータ収集用コンピュータと、データ収集用コンピュータが収集したデータを格納するDB(データベース)サーバとを備える構成である。
【0006】
すなわち、特許文献1では、処理条件をデータメモリに格納する構成である。このような構成を、例えば、その上に電子部品を実装する基板の検査に採用すると、基板の検査では工程数や各工程における検査項目が多岐に亘るものであるため、データの数が膨大になり、このような膨大なデータをデータメモリに格納することとなる。この場合、データメモリに格納されたデータの整合性や、各工程のデータの関連性等が複雑になる虞がある。
【0007】
また、多数の検査装置の検査結果データをDBサーバのように1つのデータベースで管理しようとすると、データの収集処理が集中して、所定の検査装置からの収集処理が所定以外の他の検査装置からの収集処理に影響を与える虞がある。
【0008】
この発明の目的は、複数の装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる検査システム、このような検査システムに用いられる管理サーバ、検査装置、および検査データ管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る検査システムは、製品を検査する複数の検査装置と、検査装置に通信回線を介して接続される管理サーバとを備える。検査装置は、製品を検査する検査手段と、検査手段により検査された結果を示す検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースである検査装置側格納手段と、検査装置側格納手段により格納された検査結果データを管理サーバへ送信する送信手段とを含む。管理サーバは、送信手段により送信された検査結果データを受信する受信手段と、受信手段により受信した検査結果データを格納するサーバ側格納手段とを含む。
【0010】
このように構成することにより、検査システムは、検査装置において、検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納することができる。この場合、検査結果データが多くなった場合であっても、容易に検索可能な簡易な構成の状態で格納することができる。また、検査装置側にデータベースを備える構成としたため、多くの検査結果データを検査装置側で保持しておくことができ、検査を行って直ちに検査結果データを管理サーバへ送信する必要なく、検査装置の任意のタイミングで、検査結果データの送信を行うことができる。したがって、複数の検査装置が管理サーバに接続された状態であっても、検査結果データの送信の処理が集中することがない。その結果、複数の検査装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる。
【0011】
好ましくは、サーバ側格納手段は、キーバリュー型のデータベースと、リレーショナル型のデータベースとを有し、管理サーバは、検査装置における製品の検査に関する情報を格納する検査情報格納手段と、受信手段により受信した検査結果データを、検査情報格納手段により格納された製品の検査に関する情報に基づいて、リレーショナル型に変換する変換手段とを含む。このように、キーバリュー型のデータベースを管理サーバ側にも備える構成としたため、検査装置において一旦格納した検査結果データを管理サーバ側でそのまま型変換等を行うことなく容易に格納することができる。したがって、管理サーバ側で、負荷のかかる処理を必要としないため、複数の検査装置から検査結果データを送信された場合であっても、管理サーバ側で検査結果データを受信して格納する際の処理を安定して行うことができると共に、処理時間を短くして行うことができる。また、管理サーバ側では、検査結果データをキーバリュー型からリレーショナル型のデータベースに変換するため、例えば、検査結果データの集計等ではリレーショナル型のデータベースを用いて詳細に行うことができる。また、リレーショナル型のデータベースに変換する際には、検査装置における製品の検査に関する情報に基づいて行うことができるため、検査に基づいた適切な変換を行うことができる。
【0012】
さらに好ましくは、管理サーバは、変換手段により変換された検査結果データを分析する分析手段を含む。こうすることにより、管理サーバ側で、検査結果を分析することができる。したがって、検査結果を分析する際には、リレーショナル型のデータベースを用いることができるため、詳細な分析を行うことができる。
【0013】
さらに好ましくは、検査情報格納手段により格納される製品の検査に関する情報は、複数の検査装置間で各々関連付けられている。こうすることにより、検査結果を分析する際に、複数の検査装置における検査結果を連携させて分析することができる。
【0014】
さらに好ましくは、検査手段は、製品の検査の際に、製品の画像のデータを取得する画像取得手段を有する。検査装置は、画像取得手段により取得された製品の画像のデータを保存する保存手段と、保存手段により保存された製品の画像のデータを分析手段により分析した結果に応じて制御する画像制御手段とを含む。こうすることにより、画像のデータの処理を適切に行うことができる。例えば、画像のデータが検査装置側で放置された状態になることがない。
【0015】
この発明の他の局面においては、製品を検査する複数の検査装置に通信回線を介して接続される管理サーバに関する。管理サーバは、複数の検査装置から送信され、キーバリュー型のデータである製品の検査結果データを受信する受信手段と、受信手段により受信した検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースであるサーバ側格納手段とを含む。
【0016】
このように構成することにより、管理サーバは、キーバリュー型のデータベースを備える構成としたため、検査装置からのキーバリュー型の検査結果データをそのまま型変換等を行うことなく容易に格納することができる。したがって、管理サーバ側で、負荷のかかる処理を必要としないため、複数の検査装置から検査結果データを送信された場合であっても、管理サーバ側で検査結果データを受信して格納する際の処理を安定して行うことができると共に、処理時間を短くして行うことができる。その結果、管理サーバにおいて、複数の装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる。
【0017】
この発明のさらに他の局面においては、管理サーバに接続されて、製品を検査する検査装置に関する。検査装置は、製品を検査する検査手段と、検査手段により検査された結果を示す検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースである検査装置側格納手段と、検査装置側格納手段により格納された検査結果データを管理サーバへ送信する送信手段とを含む。
【0018】
こうすることにより、検査装置は、検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納することができる。この場合、検査結果データが多くなった場合であっても、容易に検索可能な簡易な構成の状態で格納することができる。また、多くの検査結果データを保持しておくことができ、検査を行って直ちに検査結果データを管理サーバへ送信する必要なく、検査装置の任意のタイミングで、検査結果データの送信を行うことができる。したがって、複数の検査装置が管理サーバに接続された状態であっても、検査結果データの送信の処理が集中することがない。その結果、データの管理を効率的に行うことができる。
【0019】
この発明のさらに他の局面においては、検査データ管理方法に関する。検査データ管理方法は、製品を検査する検査装置において、製品を検査するステップと、検査装置において、製品を検査された結果を示す検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納するステップと、検査装置に格納した検査結果データを管理サーバへ送信するステップと、管理サーバにおいて、検査装置から送信された検査結果データを受信するステップと、受信した検査結果データを管理サーバにて格納するステップとを含む。
【0020】
こうすることにより、検査データ管理方法は、検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納することができる。この場合、検査結果データが多くなった場合であっても、容易に検索可能な簡易な構成の状態で格納することができる。また、検査装置側にデータベースを備える構成としたため、多くの検査結果データを検査装置側で保持しておくことができ、検査を行って直ちに検査結果データを管理サーバへ送信する必要なく、検査装置の任意のタイミングで、検査結果データの送信を行うことができる。したがって、複数の検査装置が管理サーバに接続された状態であっても、検査結果データの送信の処理が集中することがない。その結果、複数の装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によると、検査システムは、検査装置において、検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納することができる。この場合、検査結果データが多くなった場合であっても、容易に検索可能な簡易な構成の状態で格納することができる。また、検査装置側にデータベースを備える構成としたため、多くの検査結果データを検査装置側で保持しておくことができ、検査を行って直ちに検査結果データを管理サーバへ送信する必要なく、検査装置の任意のタイミングで、検査結果データの送信を行うことができる。したがって、複数の検査装置が管理サーバに接続された状態であっても、検査結果データの送信の処理が集中することがない。その結果、複数の検査装置から得たデータの管理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係る検査システムを示すブロック図である。
【図2】装置側検査結果DBにおけるデータの構成の一例を示す図である。
【図3】検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【図6】管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【図7】装置側検査結果DBに格納された検査結果データの一例を示す図である。
【図8】サーバ側検査結果DBに格納された検査結果データの一例を示す図である。
【図9】格納前の統計分析DBのデータの状態を示す図である。
【図10】格納後の統計分析DBのデータの状態を示す図である。
【図11】各検査装置の検査結果と、検査結果に基づく画像データの処理の一例を示す図である。
【図12】検査装置の装置側検査結果DBに格納された検査結果データの一例を示す図である。
【図13】格納した統計分析DBの状態を示す図である。
【図14】はんだ付け検査機にて格納される基板の検査に関する情報を示す図である。
【図15】実装検査機にて具備される基板の検査に関する情報を示す図である。
【図16】はんだ検査機にて具備される基板の検査に関する情報を示す図である。
【図17】管理サーバにて格納される基板の検査に関する情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態に係る検査システムを説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る検査システム10を示すブロック図である。図1を参照して、検査システム10は、工場等において、製品を生産する生産ラインに適用されるシステムである。検査システム10は、工場で生産される製品を検査する第一の検査装置11a,第二の検査装置11b,および第三の検査装置11cと、第一〜第三の検査装置11a,11b,11cに通信回線を介して接続される管理サーバ30とを備える。この実施形態においては、検査システム10は、基板に電子部品を実装する生産ラインに適用される。
【0024】
第一〜第三の検査装置11a,11b,11cは、製品を生産する際の工程毎に設けられる。この実施形態における基板に電子部品を実装する工程は、例えば、基板にランド等を印刷する印刷工程と、基板に電子部品をマウントするマウント工程と、電子部品の端子をランドにはんだ付けするリフロー工程とを含む。そして、第一の検査装置11aは、印刷工程の位置に設けられて、印刷後の検査を行う。第二の検査装置11bは、マウント工程の位置に設けられて、マウント後の検査を行う。第三の検査装置11cは、リフロー工程の位置に設けられて、はんだ付け後の検査を行う。なお、図中の矢印Aで、生産ラインの進行方向を示している。
【0025】
ここで、第一の検査装置11aの構成について説明する。第一の検査装置11aは、第一の検査装置11a全体を制御するCPU(Central Processing Unit)や外部との通信インターフェースとなるインターフェース部やメモリ等を含む制御部13aと、検査装置側格納手段としての装置側検査結果DB(Database:データベース)14aと、基板の検査に関する情報を格納する装置側検査プログラムDB15aとを備える。なお、他の第二の検査装置11b、第三の検査装置11cにおいても同様の構成であるため、説明は省略する。
【0026】
装置側検査結果DB14aは、第一の検査装置11aが基板を検査した結果を示すデータである検査結果データを格納する。装置側検査結果DB14aは、キー(Key)とバリュー(Value)とによって構成されるキーバリュー(Key−Value)型のデータベースである。図2は、装置側検査結果DB14aにおけるデータの構成の一例を示す図である。図2を参照して、データベースは、データベースを検索する際の検索キーであるキーと、キーに紐付くデータであるバリューとを含む。ここでは、キーとして、検査を行った基板を特定する情報である検査ID16を含み、バリューとして、第一〜第三の検査装置11a〜11cのうちのいずれの装置にて検査が行われたかを示す情報である検査装置名17、検査を行った日時の情報である検査日時18、および検査を行った結果、良であるか否か等を示す情報である検査結果19を含む。
【0027】
また、装置側検査プログラムDB15aにおいても同様に、キーバリュー型のデータベースである。装置側検査プログラムDB15aは、基板の検査に関する情報を格納する。ここで、基板の検査に関する情報とは、検査条件等を示す情報であって、例えば、検査を行う基板上の特定の位置を示す情報や特定の部品を示す情報、基板の良/不良を判断する検査基準の情報を含む。
【0028】
管理サーバ30は、管理サーバ30全体を制御するCPUや外部との通信インターフェースとなるインターフェース部やメモリ等を含む制御部31と、サーバ側格納手段としてのサーバ側検査結果DB32と、基板の検査に関する情報を格納する検査情報格納手段としてのサーバ側検査プログラムDB33と、サーバ側検査結果DB32およびサーバ側検査プログラムDB33に基づいて、検査結果データを統計や分析して格納するサーバ側格納手段としての統計分析DB34とを備える。
【0029】
サーバ側検査結果DB32は、装置側検査結果DB14aと同様に、キーバリュー型のデータベースである。サーバ側検査結果DB32は、第一〜第三の検査装置11a〜11cから受信したキーバリュー型の検査結果データを格納する。なお、図1中の点線で、第一〜第三の検査装置11a〜11cから送信される状態を示している。
【0030】
また、サーバ側検査プログラムDB33においても同様に、キーバリュー型のデータベースである。サーバ側検査プログラムDB33は、第一〜第三の検査装置11a〜11cにて格納されている基板の検査に関する情報と同じ情報を格納する。例えば、サーバ側検査プログラムDB33において、第一〜第三の検査装置11a〜11cにおける基板の検査に関する情報をそれぞれ格納しておき、所定のタイミングで第一〜第三の検査装置11a〜11cにそれぞれ対応する情報を転送することにより、第一〜第三の検査装置11a〜11cと同じ情報を格納する。
【0031】
統計分析DB34は、リレーショナル(Relational)型のデータベースである。統計分析DB34は、サーバ側検査結果DB32に格納された検査結果データを制御部31がキーバリュー型からリレーショナル型へ変換し、この変換した検査結果データを格納する。
【0032】
すなわち、管理サーバ30は、形式の異なる2種類のデータベース、すなわち、キーバリュー型のデータベースと、リレーショナル型のデータベースとを有する構成である。
【0033】
ここで、検査システム10を用いて、第一〜第三の検査装置11a〜11cが基板の検査を実施し、その検査結果データを管理サーバ30において管理する場合について説明する。図3および図4は、第一〜第三の検査装置11a〜11cの動作を示すフローチャートである。図5および図6は、管理サーバ30の動作を示すフローチャートである。なお、ここでは、第三の検査装置11cの動作の例を説明する。
【0034】
まず、図3を参照して、第三の検査装置11cは、例えばベルトコンベヤによって所定の位置までリフロー工程の終了した基板が搬送されてくると、第三の検査装置11cは、基板の検査を開始する(図3において、ステップS11、以下ステップを省略する)。具体的には、第三の検査装置11cは画像検査装置であって、装置側検査プログラムDB15aに格納されている基板の検査に関する情報に基づいて、基板の画像データを取得する。ここで、制御部13cは、画像取得手段として作動する。そして、第三の検査装置11cは、取得した画像データを用いて、装置側検査プログラムDB15aに格納されている基板の検査に関する情報に基づき、制御部13cにより、正しくはんだ付けされているか否か等の検査を行い、その検査結果データを装置側検査結果DB14cに格納する。このとき、検査した結果として、例えば、基板上に設けられた部品のうち、正しくはんだ付けされていない不良と判断した部品の数(不良部品数)等を確定する。ここで、制御部13cは、検査手段として作動する。そして、制御部13cは、上記した図2の検査結果データの構成のように、基板IDと検査結果とを紐付けて装置側検査結果DB14cに出力し(S12)、装置側検査結果DB14cに格納する(S13)。そして、第三の検査装置11cは、このようなS11〜S13に示す基板の検査を、基板が搬送されてくる毎に繰り返し実施する。図7は、装置側検査結果DB14cに格納された検査結果データの一例を示す図である。図7を参照して、装置側検査結果DB14cには、キーとして基板IDが格納され、基板IDに紐付くバリューとして、検査装置名、検査日時、および検査結果として、不良部品数と機種と検査を行った部品の数(検査部品数)とが格納されている。
【0035】
次に、図4を参照して、第三の検査装置11cは、上記した図3および図7に示すように、検査結果データを装置側検査結果DB14cに格納することを繰り返すと、検査結果データを管理サーバ30へ送信する送信条件を満たしたか否かを判断する(図4において、S21)。具体的には、制御部13cは、所定の個数分の検査結果データが装置側検査結果DB14cに格納されたか否かを監視しており、所定の個数分の検査結果データが格納されたと判断すると(S21において、OK)、装置側検査結果DB14cに格納された検査結果データのうち、管理サーバ30に対して、未だ送信を行っていないデータを抽出する(S22)。そして、抽出した検査結果データを圧縮等して、管理サーバ30へ送信する送信データを生成し(S23)、生成した送信データを管理サーバ30へ送信する(S24)。ここで、制御部13cは、送信手段として作動する。
【0036】
なお、他の第一の検査装置11a、第二の検査装置11bにおいても同様に、基板の検査を行い、検査結果データを管理サーバ30へ送信する。このとき、工程の進行方向に従って基板が搬送されることから、順序としては、第一の検査装置11a、第二の検査装置11b、第三の検査装置11cの順に行われてよい。
【0037】
そうすると、図5を参照して、管理サーバ30は、第三の検査装置11cからの送信データを受信する(図5において、S31)。ここで、制御部31は、受信手段として作動する。そして、管理サーバ30は、受信した送信データをサーバ側検査結果DB32へ一括登録する(S32)。図8は、サーバ側検査結果DB32に格納された検査結果データの一例を示す図である。データの構成は、上記した図7の装置側検査結果DB14cと同様である。そして、今回一括登録された検査結果データは、図8中の(a)で示す5つのデータである。
【0038】
そして、図6を参照して、管理サーバ30は、サーバ側検査結果DB32において、検査結果データの統計や分析の処理を開始する条件を満たしたか否かを監視している。統計や分析の処理を開始する条件とは、例えば、サーバ側検査結果DB32に新たに登録されたデータがあるか否かである。そして、新たに登録されたデータがあると判断すると、すなわち、条件を満たしたと判断すると(図6のS41において、YES)、新たに登録されたデータを抽出する(S42)。この新たに登録されたデータとは、サーバ側検査結果DB32から統計分析DB34に対して、未だ格納されていないデータであり、ここでは、上記した図8の(a)で示すデータである。そして、サーバ側検査プログラムDB33に格納されている基板の検査に関する情報を用いて、抽出したデータをキーバリュー型からリレーショナル型へ変換する(S43)。そして、統計や分析を行い、統計分析DB34へ格納する(S44)。ここで、制御部31は、変換手段および分析手段として作動する。図9は、格納前の統計分析DB34のデータの状態を示す図であって、図10は、格納後の統計分析DB34のデータの状態を示す図である。図8〜図10を参照して、図8のサーバ側検査結果DB32では、検査した複数の基板において、同じ機種であっても異なるデータとして保持していたのに対し、図9および図10の統計分析DB34に示すように、統計分析DB34では機種毎にデータを集約して保持してもよい。すなわち、管理サーバ30は、検査結果データを用いて、サーバ側検査プログラムDB33に格納されている基板の検査に関する情報を用いて、分析の処理として機種毎に集約する処理を行い、集約したものを統計分析DB34へ格納してもよい。
【0039】
このように、検査システム10は、検査装置11a〜11cにおいて、検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納することができる。この場合、検査結果データが多くなった場合であっても、容易に検索可能な簡易な構成の状態で格納することができる。すなわち、データベースへアクセスする際の処理時間等を短くすることができ、高速な処理を行うことができる。また、検査装置11a〜11c側にデータベースを備える構成としたため、多くの検査結果データを検査装置11a〜11c側で保持しておくことができ、検査を行って直ちに検査結果データを管理サーバ30へ送信する必要なく、検査装置11a〜11cの任意のタイミングで、検査結果データの送信を行うことができる。したがって、複数の検査装置11a〜11cが管理サーバ30に接続された状態であっても、検査結果データの送信の処理が集中することがない。その結果、複数の検査装置11a〜11cから得たデータの管理を効率的に行うことができる。
【0040】
また、検査システム10は、キーバリュー型のデータベースを管理サーバ30にも備える構成としたため、検査装置11a〜11cにおいて一旦格納した検査結果データを管理サーバ30側でそのまま型変換等を行うことなく容易に格納することができる。したがって、管理サーバ30側で、負荷のかかる処理を必要としないため、複数の検査装置11a〜11cから検査結果データを送信された場合であっても、管理サーバ30側で検査結果データを受信して格納する際の処理を安定して行うことができると共に、処理時間を短くして行うことができる。また、管理サーバ30側では、検査結果データをキーバリュー型からリレーショナル型のデータベースに変換するため、例えば、検査結果データの集計等ではリレーショナル型のデータベースを用いて詳細に行うことができる。また、リレーショナル型のデータベースに変換する際には、検査装置11a〜11cにおける製品の検査に関する情報に基づいて行うことができるため、検査に基づいた適切な変換を行うことができる。
【0041】
なお、図4のS21において、所定の個数分の検査結果データが格納されていない場合には(S21において、NO)、所定の個数分の検査結果データが格納されるまで待機する。
【0042】
また、図6のS41において、新たに登録されたデータがない場合には(S41において、NO)、データが新たに登録されるまで待機する。
【0043】
なお、上記の実施の形態においては、第一〜第三の検査装置11a〜11cとして、印刷後の検査を行う第一の検査装置11aと、マウント後の検査を行う第二の検査装置11bと、はんだ付け後の検査を行う第三の検査装置11cとを設ける例について説明したが、これに限ることなく、生産ライン中の任意の装置であってよく、例えば、X線検査装置のような他の検査を行う検査装置であってよい。また、生産ラインが各々異なる複数の検査装置であってもよい。
【0044】
また、上記の実施の形態においては、第三の検査装置11cから管理サーバ30へ検査結果データを送信するタイミングを、所定の個数分の検査結果データが格納されたタイミングである例について説明したが、これに限ることなく、例えば、5分間隔等の所定の時間間隔であってもよいし、ユーザが任意に設定可能としてもよい。
【0045】
また、検査システム10は、管理サーバ30と検査装置11a〜11cに加え、検査結果データを表示する表示装置や、他の装置を含む構成であってもよい。
【0046】
ここで、上記したS11において検査装置11a〜11cが取得した画像データを、管理サーバ30側の分析に基づいて処理する場合について説明する。
【0047】
画像データは、S11に示すように、各検査装置11a〜11cにて基板の検査を実施するために取得されて、各検査装置11a〜11c内に一旦保存される。ここで、制御部13a〜13cは、保存手段として作動する。その後、画像データは、管理サーバ30において、検査結果データを用いて分析等を行った際に、その分析結果により、消去されるか、管理サーバ30へ送信されるか、そのまま各検査装置11a〜11c内に保存されるか等の処理が決定される。ここで、制御部13a〜13cは、画像制御手段として作動する。
【0048】
図11は、各検査装置11a〜11cの検査結果と、検査結果に基づく画像データの処理の一例を示す図である。図11を参照して、印刷工程の検査結果が良であって、リフロー工程の検査結果が良であれば、リフロー工程の検査結果が確定したタイミングで、第一〜第三の検査装置11c内に保存した画像データを消去する。このとき、管理サーバ30が第一〜第三の検査装置11cに消去するよう指示してもよい。一方で、印刷工程の検査結果が良であってもリフロー工程の検査結果が不良であれば、印刷工程時の画像データについては、リフロー工程の検査結果が確定するまでは第一の検査装置11a内に保存しておき、リフロー工程の検査結果確定後、例えばユーザからの要求があるまで第一の検査装置11a内に保存し、ユーザからの要求に応じて管理サーバ30へ送信する。また、リフロー工程時の画像データについては、この分析した結果が出た即時に、管理サーバ30へ送信する。
【0049】
このように、管理サーバ30における検査結果の分析に応じて、必要なときに必要な画像データのみを管理サーバ30へ送信することができる。この場合、検査システム10を利用するユーザにとって、工程改善にかける負荷や画像データの利用状況に基づき、画像データの保存のための容量等を決定することができる。例えば、画像データの保存のための容量等をなるべく小さくすることができる。
【0050】
また、検査結果が不良の場合だけでなく、良の場合であっても管理サーバ30へ送信することとしてもよい。
【0051】
また、上記の実施の形態においては、管理サーバ30での分析の際に、機種毎にデータを集約する例について説明したが、これに限ることなく、検査する項目が複数である場合に、検査項目毎に分析可能な構成としてもよい。
【0052】
図12は、S13に示すように、検査装置11cの装置側検査結果DB14cに格納された検査結果データの一例を示す図である。図12を参照して、装置側検査結果DB14cには、キーとして基板IDと基板に取り付けられる部品の部品番号とが格納されている。そして、この実施形態では、各基板の各部品におけるはんだ面積とはんだ高さとを検査項目として計測しており、この計測結果が基板IDに紐付くバリューとして格納されている。例えば、基板ID(A010)部品番号(R10)の部品では、はんだ面積が350であり、はんだ高さが11である。
【0053】
管理サーバ30は、このような検査結果データを受信すると、サーバ側検査プログラムDB33に格納されている基板の検査に関する情報を用いて、キーバリュー型からリレーショナル型へ変換して、分析を行い、統計分析DB34へ格納する。ここでは、複数の基板における検査結果データを検査項目毎に分析する。図13は、格納した統計分析DB34の状態を示す図である。図13を参照して、管理サーバ30は、各部品番号において、計測したはんだ面積毎に集計を行う。また、はんだ高さにおいても同様に、各部品番号において、計測したはんだ高さ毎に集計を行う。例えば、部品番号(R10)の部品において、はんだ面積350のデータは、3度数と集計され、はんだ高さ11のデータは、3度数と集計される。
【0054】
こうすることにより、当該部品のはんだ付けの状況を時系列変化で認識することができる。例えば、はんだ面積が、350、360・・のように徐々に大きくなるデータが増えていった場合には、1枚目の基板と10枚目の基板とで、その部品のはんだ面積が大きく異なることを認識することができる。すなわち、複数の基板において、はんだ面積のような検査ポイントにおける変化を容易に認識することができる。
【0055】
次に、この発明の他の実施形態として、装置側検査プログラムDB、およびサーバ側検査プログラムDBに格納されている基板の検査に関する情報に基づいて、分析を行う場合について説明する。
【0056】
この実施形態においては、検査装置として、はんだ検査機、実装検査機、およびはんだ付け検査機を含む。はんだ検査機、実装検査機、およびはんだ付け検査機は、上記の実施形態と同様に、装置側検査プログラムDBを備える。
【0057】
装置側検査プログラムDBは、上記したように、基板の検査に関する情報を格納する。図14は、はんだ付け検査機にて格納される基板の検査に関する情報を示す図である。図14を参照して、ここでは、角チップを検査する際の情報を示している。はんだ付け検査機は、欠品に対する検査として、部品抽出色が95%以上であるか否かを検査するという情報を備える。また、フィレット検査として、はんだ角度が30°であるか否かを検査するという情報を備える。また、ずれに対する検査として、シフト量が±50μm以内であるか否かを検査するという情報を備える。はんだ付け検査機では、このような情報を具備する。
【0058】
また、図15は、実装検査機にて具備される基板の検査に関する情報を示す図であり、図16は、はんだ検査機にて具備される基板の検査に関する情報を示す図である。例えば、図16を参照して、はんだ検査機では、フィレット検査として、はんだ量が80%〜200%の範囲であるか否かを検査するという情報を備え、ずれに対する検査として、シフト量が±100μm以内であるか否かを検査するという情報を備える。
【0059】
このように、各検査装置は、検査の基準となる情報を具備している。ここで、各検査装置にて具備される基板の検査に関する情報とは、検査の基準となる基準情報である。そして、基準情報は、複数の検査装置間で関連付けられている。例えば、異なる観点の基準情報を1つの部品において具備する。
【0060】
一方で、管理サーバは、上記の実施形態と同様に、サーバ側検査プログラムDBを備える。サーバ側検査プログラムDBは、上記したように、基板の検査に関する情報を格納する。
【0061】
図17は、管理サーバにて格納される基板の検査に関する情報を示す図である。図17を参照して、管理サーバは、はんだ検査機、実装検査機、およびはんだ付け検査機の全ての検査装置における検査の基準情報を具備する。例えば、はんだ付け検査機の基準情報として、図14に示した情報と同様に、欠品に対する検査として、図中の(2)に示すように、部品抽出色が95%以上であるか否かを検査するという情報を備える。また、フィレット検査として、図中の(4)に示すように、はんだ角度が30°であるか否かを検査するという情報を備える。また、ずれに対する検査として、図中の(7)に示すように、シフト量が±50μm以内であるか否かを検査するという情報を備える。また、はんだ検査機の基準情報としては、図16に示した情報と同様に、フィレット検査として、図中の(3)に示すように、はんだ量が80%〜200%の範囲であるか否かを検査するという情報を備え、ずれに対する検査として、図中の(5)に示すように、シフト量が±100μm以内であるか否かを検査するという情報を備える。
【0062】
そして、管理サーバは、このような各検査装置における基準情報の全てと共に、各検査装置の基準情報を総合的に判定する総合判定ルールをさらに具備している。図17を参照して、総合判定ルールは、例えば、フィレット検査として、はんだ検査機の基準情報(図中の(3))と、はんだ付け検査機の基準情報(図中の(4))とを組合わせて、はんだ検査機およびはんだ付け検査機の両方において、基準を満たして良と判断されていれば、管理サーバにおいて、良と判定するというルールである。すなわち、管理サーバで、各検査装置において具備する基板の検査に関する情報を組合わせて使用する。したがって、はんだ検査機において良と判断されていても、はんだ付け検査機において不良と判断されていれば、管理サーバでは不良と判定する。
【0063】
こうすることにより、管理サーバと検査装置とで基板の検査に関する情報を共有するため、管理サーバ側で、検査結果データの分析を適切に行うことができる。管理サーバが、各検査装置において具備する基板の検査に関する情報を組合わせて使用することができ、各検査装置の検査結果を総合的に分析することができる。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、データの管理が必要となる場合に、有効に利用される。
【符号の説明】
【0066】
10 検査システム、11a,11b,11c 検査装置、13a,13b,13c 制御部、14a,14b,14c 装置側検査結果DB、15a,15b,15c 装置側検査プログラムDB、16 検査ID、17 検査装置名、18 検査日時、19 検査結果、30 管理サーバ、31 制御部、32 サーバ側検査結果DB、33 サーバ側検査プログラムDB、34 統計分析DB。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を検査する複数の検査装置と、前記検査装置に通信回線を介して接続される管理サーバとを備える検査システムであって、
前記検査装置は、
製品を検査する検査手段と、
前記検査手段により検査された結果を示す検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースである検査装置側格納手段と、
前記検査装置側格納手段により格納された前記検査結果データを前記管理サーバへ送信する送信手段とを含み、
前記管理サーバは、
前記送信手段により送信された前記検査結果データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記検査結果データを格納するサーバ側格納手段とを含む、検査システム。
【請求項2】
前記サーバ側格納手段は、キーバリュー型のデータベースと、リレーショナル型のデータベースとを有し、
前記管理サーバは、
前記検査装置における製品の検査に関する情報を格納する検査情報格納手段と、
前記受信手段により受信した前記検査結果データを、前記検査情報格納手段により格納された前記製品の検査に関する情報に基づいて、リレーショナル型に変換する変換手段とを含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記変換手段により変換された検査結果データを分析する分析手段を含む、請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記検査情報格納手段により格納される前記製品の検査に関する情報は、前記複数の検査装置間で各々関連付けられている、請求項2または3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記検査手段は、製品の検査の際に、前記製品の画像のデータを取得する画像取得手段を有し、
前記検査装置は、
前記画像取得手段により取得された前記製品の画像のデータを保存する保存手段と、
前記保存手段により保存された前記製品の画像のデータを前記分析手段により分析した結果に応じて制御する画像制御手段とを含む、請求項3に記載の検査システム。
【請求項6】
製品を検査する複数の検査装置に通信回線を介して接続される管理サーバであって、
前記複数の検査装置から送信され、キーバリュー型のデータである製品の検査結果データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースであるサーバ側格納手段とを含む、管理サーバ。
【請求項7】
管理サーバに接続されて、製品を検査する検査装置であって、
製品を検査する検査手段と、
前記検査手段により検査された結果を示す検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースである検査装置側格納手段と、
前記検査装置側格納手段により格納された前記検査結果データを前記管理サーバへ送信する送信手段とを含む、検査装置。
【請求項8】
製品を検査する検査装置において、製品を検査するステップと、
検査装置において、製品を検査された結果を示す検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納するステップと、
検査装置に格納した検査結果データを管理サーバへ送信するステップと、
管理サーバにおいて、検査装置から送信された検査結果データを受信するステップと、
受信した検査結果データを管理サーバにて格納するステップとを含む、検査データ管理方法。
【請求項1】
製品を検査する複数の検査装置と、前記検査装置に通信回線を介して接続される管理サーバとを備える検査システムであって、
前記検査装置は、
製品を検査する検査手段と、
前記検査手段により検査された結果を示す検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースである検査装置側格納手段と、
前記検査装置側格納手段により格納された前記検査結果データを前記管理サーバへ送信する送信手段とを含み、
前記管理サーバは、
前記送信手段により送信された前記検査結果データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記検査結果データを格納するサーバ側格納手段とを含む、検査システム。
【請求項2】
前記サーバ側格納手段は、キーバリュー型のデータベースと、リレーショナル型のデータベースとを有し、
前記管理サーバは、
前記検査装置における製品の検査に関する情報を格納する検査情報格納手段と、
前記受信手段により受信した前記検査結果データを、前記検査情報格納手段により格納された前記製品の検査に関する情報に基づいて、リレーショナル型に変換する変換手段とを含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記変換手段により変換された検査結果データを分析する分析手段を含む、請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記検査情報格納手段により格納される前記製品の検査に関する情報は、前記複数の検査装置間で各々関連付けられている、請求項2または3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記検査手段は、製品の検査の際に、前記製品の画像のデータを取得する画像取得手段を有し、
前記検査装置は、
前記画像取得手段により取得された前記製品の画像のデータを保存する保存手段と、
前記保存手段により保存された前記製品の画像のデータを前記分析手段により分析した結果に応じて制御する画像制御手段とを含む、請求項3に記載の検査システム。
【請求項6】
製品を検査する複数の検査装置に通信回線を介して接続される管理サーバであって、
前記複数の検査装置から送信され、キーバリュー型のデータである製品の検査結果データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースであるサーバ側格納手段とを含む、管理サーバ。
【請求項7】
管理サーバに接続されて、製品を検査する検査装置であって、
製品を検査する検査手段と、
前記検査手段により検査された結果を示す検査結果データを格納するキーバリュー型のデータベースである検査装置側格納手段と、
前記検査装置側格納手段により格納された前記検査結果データを前記管理サーバへ送信する送信手段とを含む、検査装置。
【請求項8】
製品を検査する検査装置において、製品を検査するステップと、
検査装置において、製品を検査された結果を示す検査結果データをキーバリュー型のデータベースに格納するステップと、
検査装置に格納した検査結果データを管理サーバへ送信するステップと、
管理サーバにおいて、検査装置から送信された検査結果データを受信するステップと、
受信した検査結果データを管理サーバにて格納するステップとを含む、検査データ管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−178455(P2012−178455A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40510(P2011−40510)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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