説明

検査方法、複合材部品の製造方法、検査装置、及び複合材部品製造装置

【課題】本発明の目的は、繊維強化プラスチックテープ間の隙間量が精度よく測定される検査方法、複合材部品の製造方法、検査装置、及び複合材部品製造装置を提供することである。
【解決手段】検査方法は、積層ヘッド23が移動しながら繊維強化プラスチックテープ70を貼り付ける貼り付け中に積層ヘッド23に取り付けられた撮影ユニット31が画像を撮影すること、繊維強化プラスチックテープ70の貼り付け中における積層ヘッド23の移動変位の撮影ユニット31の光軸方向の移動変位第1成分と、移動変位の光軸方向に垂直な面内の移動変位第2成分と、画像とに基づいて、繊維強化プラスチックテープ70と他の繊維強化プラスチックテープの間の隙間量を算出すること、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化プラスチック部材を用いた複合材部品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化プラスチック部材は、航空機の構造部材等として用いられている。特許文献1は、ファイバプレスメント(Fiber Placement)法により繊維強化プラスチックテープの積層成形を自動的に実行する自動積層成形装置を開示している。
【0003】
特許文献2に開示された撮像対象物品の認識検定システムにおいて、電子カメラのレンズ焦点距離、電子カメラが撮像した対象物品の画像中の特定線分の画像線分長、及び特定線分に対応する対象物品のCADデータ上の実物線分長に基づいて対物基準距離が算出される。対物基準距離が測定された測定時点での電子カメラの光軸方向が距離座標軸として設定され、測定時点での電子カメラと対象物品との相対位置に関する距離座標軸上の値が基準座標値として記憶される。電子カメラまたは対象物品の現在位置に関する距離座標軸上の現在座標値と基準座標値との差分が対物基準距離に加算されて現在位置における対物距離が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−30296号公報
【特許文献2】特開2004−354320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、繊維強化プラスチックテープ間の隙間量が精度よく測定される検査方法、複合材部品の製造方法、検査装置、及び複合材部品製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0007】
本発明による検査方法は、積層ヘッド(23)が移動しながら第1繊維強化プラスチックテープ(70)を貼り付ける貼り付け中に前記積層ヘッドに取り付けられたカメラ(32)が画像を撮影すること、前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中における前記積層ヘッドの移動変位(ΔU)の前記カメラの光軸方向の移動変位第1成分(ΔZ)と、前記移動変位の前記光軸方向に垂直な面内の移動変位第2成分(ΔT)と、前記画像とに基づいて、前記第1繊維強化プラスチックテープと第2繊維強化プラスチックテープ(71)の間の隙間量(G’)を算出すること、を具備する。
【0008】
前記隙間量を求めることは、前記移動変位第1成分と、前記移動変位第2成分とに基づいて、前記カメラが前記画像を撮影したときの撮影距離(A)を算出すること、前記撮影距離と前記画像とに基づいて前記隙間量を算出すること、を含む。
【0009】
前記積層ヘッドは、前記第1繊維強化プラスチックテープに接触する積層ローラー(26)を備える。前記積層ローラーの積層ローラー回転軸(S2)は前記光軸方向に垂直である。前記隙間量を求めることは、前記画像に基づいて前記第1繊維強化プラスチックテープと前記第2繊維強化プラスチックテープの間の補正前隙間量を算出すること、前記移動変位第1成分と、前記移動変位第2成分と、前記積層ローラー回転軸を含み前記光軸方向に平行な平面(C)と前記カメラとの距離(B)に基づいて、前記カメラが前記画像を撮影したときの撮影距離(A)を算出すること、前記補正前隙間量を前記撮影距離に基づいて補正して前記隙間量を算出すること、を含む。前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中において、前記距離の方向と前記移動変位第2成分の方向とが平行に維持される。
【0010】
本発明による複合材部品の製造方法は、繊維強化プラスチックテープの積層中に、積層ヘッド(23)が移動しながら第1繊維強化プラスチックテープ(70)を貼り付けること、前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け状態を判定すること、前記貼り付け状態の判定結果に基づいて前記積層を停止又は継続すること、を具備する。前記貼り付け状態を判定することは、前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中に前記積層ヘッドに取り付けられたカメラ(32)が画像を撮影すること、前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中における前記積層ヘッドの移動変位(ΔU)の前記カメラの光軸方向の移動変位第1成分(ΔZ)と、前記移動変位の前記光軸方向に垂直な面内の移動変位第2成分(ΔT)と、前記画像とに基づいて前記第1繊維強化プラスチックテープと第2繊維強化プラスチックテープ(71)の間の隙間量(G’)を算出すること、前記隙間量が所定の閾値より大きい場合に前記積層を停止すること、を含む。
【0011】
前記積層ヘッドは、前記第1繊維強化プラスチックテープに接触する積層ローラー(26)を備える。前記積層ローラーの積層ローラー回転軸(S2)は前記光軸方向に垂直である。前記隙間量を求めることは、前記移動変位第1成分と、前記移動変位第2成分と、前記積層ローラー回転軸を含み前記光軸方向に平行な平面(C)と前記カメラとの距離(B)に基づいて、前記カメラが前記画像を撮影したときの撮影距離(A)を算出すること、前記撮影距離と前記画像とに基づいて前記隙間量を算出すること、を含む。前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中において、前記距離の方向と前記移動変位第2成分の方向とが平行に維持される。
【0012】
本発明による検査装置(30)は、繊維強化プラスチックテープの積層を実行する自動積層装置(20)の積層ヘッド(23)に取り付けられたカメラ(32)と、情報処理装置(34)とを具備する。前記積層ヘッドは、前記積層において移動しながら第1繊維強化プラスチックテープ(70)を貼り付ける。前記カメラは、前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中に画像を撮影する。前記情報処理装置は、前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中における前記積層ヘッドの移動変位(ΔU)の前記カメラの光軸方向の移動変位第1成分(ΔZ)と、前記移動変位の前記光軸方向に垂直な面内の移動変位第2成分(ΔT)と、前記画像とに基づいて前記第1繊維強化プラスチックテープと第2繊維強化プラスチックテープ(71)の間の隙間量(G’)を算出する。
【0013】
前記積層ヘッドは、前記第1繊維強化プラスチックテープに接触する積層ローラー(26)を備える。前記積層ローラーの積層ローラー回転軸(S2)は前記光軸方向に垂直である。前記情報処理装置は、前記移動変位第1成分と、前記移動変位第2成分と、前記積層ローラー回転軸を含み前記光軸方向に平行な平面(C)と前記カメラとの距離(B)に基づいて、前記カメラが前記画像を撮影したときの撮影距離(A)を算出し、前記撮影距離と前記画像とに基づいて前記隙間量を算出する。前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中において、前記距離の方向と前記移動変位第2成分の方向とが平行に維持される。
【0014】
本発明による複合材部品製造装置(10)は、繊維強化プラスチックテープの積層を実行する自動積層装置(20)と、前記自動積層装置が前記積層において貼り付けた第1繊維強化プラスチックテープ(70)の貼り付け状態を判定する検査装置(30)とを具備する。前記自動積層装置は、移動しながら前記第1繊維強化プラスチックテープを貼り付ける積層ヘッド(23)を備える。前記検査装置は、前記積層ヘッドに取り付けられたカメラ(32)と、情報処理装置(34)とを備える。前記カメラは、記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中に画像を撮影する。前記情報処理装置は、前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中における前記積層ヘッドの移動変位(ΔU)の前記カメラの光軸方向の移動変位第1成分(ΔZ)と、前記移動変位の前記光軸方向に垂直な面内の移動変位第2成分(ΔT)と、前記画像とに基づいて、前記第1繊維強化プラスチックテープと第2繊維強化プラスチックテープ(71)の間の隙間量(G’)を算出する。前記情報処理装置は、前記隙間量が所定の閾値より大きい場合に積層停止信号を出力する。前記自動積層装置は、前記積層停止信号に基づいて前記積層を停止する。
【0015】
前記積層ヘッドは、前記第1繊維強化プラスチックテープに接触する積層ローラー(26)を備える。前記積層ローラーの積層ローラー回転軸(S2)は前記光軸方向に垂直である。前記情報処理装置は、前記移動変位第1成分と、前記移動変位第2成分と、前記積層ローラー回転軸を含み前記光軸方向に平行な平面(C)と前記カメラとの距離(B)に基づいて、前記カメラが前記画像を撮影したときの撮影距離(A)を算出し、前記撮影距離と前記画像とに基づいて前記隙間量を算出する。前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中において、前記距離の方向と前記移動変位第2成分の方向とが平行に維持される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、繊維強化プラスチックテープ間の隙間量が精度よく測定される検査方法、複合材部品の製造方法、検査装置、及び複合材部品製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合材部品製造装置の上面図である。
【図2】図2は、複合材部品製造装置のA−A断面図である。
【図3】図3は、複合材部品製造装置の積層ヘッドの側面図である。
【図4】図4は、積層ローラー、カメラ、及び照明の上面図である。
【図5】図5は、積層ローラー、カメラ、及び照明の側面図である。
【図6】図6は、複合材部品製造装置のブロック図である。
【図7】図7は、貼り付け中テープと隣接する貼り付け済みテープがある場合において、(a)貼り付け中テープと貼り付け済みテープとの間に隙間がある部位における断面図、(b)その部位の画像、(c)画像における輝度分布を示す。
【図8】図8は、貼り付け中テープと隣接する貼り付け済みテープがある場合において、(a)貼り付け中テープと貼り付け済みテープとが重なっている部位における断面図、(b)その部位の画像、(c)画像における輝度分布を示す。
【図9】図9は、(a)貼り付け準備中の積層ヘッド、(b)貼り付け開始時の積層ヘッド、(c)貼り付け中の積層ヘッド、(d)貼り付け終了時の積層ヘッド、(e)貼り付け待機中の積層ヘッドを示す。
【図10】図10は、テープの貼り始め部位から貼り終り部位までの複数部位のある部位において隙間と判定され、他の部位において重なりと判定された場合の検査データを示す。
【図11】図11は、テープの貼り始め部位から貼り終り部位までの複数部位のすべてについて隙間と判定された場合の検査データを示す。
【図12】図12は、貼り付け対象物体の表面の傾き角と撮影距離の関係を示す。
【図13】図13は、積層ヘッドの移動変位の光軸方向(Z軸方向)成分、移動変位に垂直な面内の成分、及び貼り付け対象物体の表面の傾き角の関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明による検査方法、複合材部品の製造方法、検査装置及び複合材部品製造装置を実施するための形態を以下に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る複合材部品製造装置10を説明する。複合材部品製造装置10は、繊維強化プラスチックテープの積層を実行して複合材部品を製造する。複合材部品製造装置10は、駆動装置22と、積層ヘッド23を備える。複合材部品製造装置10について、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸が定義されている。Z軸は、鉛直上向きである。駆動装置22は、積層ヘッド23をX軸に平行及びY軸に平行に並進駆動する。
【0020】
図2を参照して、駆動装置22は、積層ヘッド23をZ軸に平行に並進駆動し、Z軸に平行な回転軸S1まわりに回転駆動する。駆動装置22は、上記三つの並進駆動にそれぞれ対応する三つのサーボ機構と、上記回転駆動に対応するサーボ機構を備える。
【0021】
図3を参照して、積層ヘッド23は、駆動装置22によって駆動されて貼り付け対象物体60に対して移動する。積層ヘッド23は、移動しながら繊維強化プラスチックテープ70を貼り付け対象物体60に貼り付ける。ここで、貼り付け対象物体60は、型又は型の上に積層された繊維強化プラスチックテープの積層体である。積層ヘッド23は、テープ供給装置24と、カッター25と、積層ローラー26を備える。積層ヘッド23には、二つの撮影ユニット31が取り付けられている。テープ供給装置24は、テープ70を送り出す。積層ローラー26は、送り出されたテープ70を貼り付け対象物体60に押し付けて貼り付ける。積層ローラー26は、テープ70に接触して貼り付け対象物体60に押し付ける。
【0022】
図4を参照して、積層ローラー26は、回転軸S2まわりに回転してテープ70上を転がりながらテープ70を貼り付け対象物体60に押し付ける。回転軸S2は、回転軸S1に垂直であり、テープ70の幅方向に平行である。テープ70は、幅方向の両側にそれぞれ側端部70a及び70bを備える。二つの撮影ユニット31は、テープ70の貼り付け状態を撮影可能なように、積層ローラー26に対して積層ヘッド23の移動方向(進行方向)後方側に配置される。二つの撮影ユニット31は、それぞれ側端部70a及び70bに対応する位置に配置される。以下、側端部70aに対応する撮影ユニット31を左側撮影ユニット31と呼ぶ場合があり、側端部70bに対応する撮影ユニット31を右側撮影ユニット31と呼ぶ場合がある。左側撮影ユニット31は、側端部70aの真上に配置され且つ側端部70aを向くカメラ32と、側端部70aの真上からテープ70の幅方向外側にずれた位置に配置され且つ側端部70aを向く照明33と、側端部70aの真上からテープ70の幅方向内側にずれた位置に配置され且つ側端部70aを向く照明33とを備える。右側撮影ユニット31は、側端部70bの真上に配置され且つ側端部70bを向くカメラ32と、側端部70bの真上からテープ70の幅方向外側にずれた位置に配置され且つ側端部70bを向く照明33と、側端部70bの真上からテープ70の幅方向内側にずれた位置に配置され且つ側端部70aを向く照明33とを備える。つまり、照明33は、側端部70a又は70bの真上から回転軸S2に平行な直線に沿ってずれた位置に配置される。カメラ32は、例えば、CCD(Charge
Coupled Device)カメラである。カメラ32の光軸はZ軸に平行である。照明33は、例えば、LED(Light Emitting Diode)照明である。
【0023】
上述のように照明33が繊維強化プラスチックテープに斜めに光を照射するため、撮影ユニット31が撮影した画像において繊維強化プラスチックテープの側端部が強調される。
【0024】
なお、側端部70aは、左側撮影ユニット31の撮影範囲に含まれるが、右側撮影ユニット31の撮影範囲に含まれない。側端部70bは、右側撮影ユニット31の撮影範囲に含まれるが、左側撮影ユニット31の撮影範囲に含まれない。
【0025】
図5を参照して、カメラ32とテープ70のZ軸方向距離が照明33とテープのZ軸方向距離より大きくなるように、カメラ32及び照明33が配置される。
【0026】
図6を参照して、複合材部品製造装置10は、自動積層装置20と、検査装置30を備える。自動積層装置20は、既述の駆動装置22及び積層ヘッド23に加えて、制御装置21を備える。検査装置30は、既述の二つの撮影ユニット31に加えて、検査用コンピュータとしての情報処理装置34を備える。情報処理装置34は、入力装置35と、出力装置36と、処理装置37と、記憶装置38を備える。
【0027】
自動積層装置20は、積層プログラム(積層手順)27に従って繊維強化プラスチックテープの積層を実行する。制御装置21は、繊維強化プラスチックテープの積層の実行のため、積層プログラム27に基づいて駆動装置22、テープ供給装置24、及びカッター25を制御する。制御装置21は、テープ70の貼り付け中に積層ローラー26の回転軸S2が積層ヘッド23の移動方向に垂直になるように駆動装置22を制御する。更に、制御装置21は、自動積層装置20の動作状態を通知するための動作状態通知信号を検査装置30に出力する。
【0028】
検査装置30は、カメラ32が撮影した画像に基づいて自動積層装置20が貼り付けた繊維強化プラスチックテープ70の貼り付け状態を判定し、判定結果を示す検査データ40を生成する。検査装置30は、検査データ40を生成するために記憶装置38が記憶している関数40及び41を利用することができる。記憶装置38は検査データ40を記憶する。検査装置30は、検査データ40に基づいて繊維強化プラスチックテープ70の貼り付けが適切に行われたか否かを判定し、判定結果を示す検査結果信号を出力する。
【0029】
自動積層装置20は、検査結果信号に基づいて、繊維強化プラスチックテープの積層を停止又は継続する。
【0030】
ここで、積層プログラム27は、テープ70とテープ70より先に貼り付けられる繊維強化プラスチックテープ71が複合材部品の同一層に配置され、互いに平行に隣接して貼り付けられ、互いに重ならないことを規定する。積層プログラム27は、図7(a)に示すように、テープ70の側端部70aの側に繊維強化プラスチックテープ71が存在し、且つ、テープ71のテープ70側の側端部71bと側端部70aとの間に所定の大きさ(隙間量)の隙間が設けられることを規定する。この場合の所定の隙間量は、側端部70a及び側端部71bの両方が左側撮影ユニット31の撮影範囲に存在するような値に設定される。しかし、積層プログラム27は、図8(a)に示すように、テープ70及び71が互いに重なることを規定しない。テープ71がテープ70よりも先に貼り付けられるため、図8(a)に示すように側端部70aはテープ71の上に配置され、側端部71bはテープ70の下に配置される。
【0031】
図7(a)に示すように左側撮影ユニット31の撮影範囲にテープ70及びテープ71が存在するように貼り付けが実行された場合について説明する。図7(b)に示すように、左側撮影ユニット31のカメラ32が撮影した画像52には、側端部70a及び71bが写る。画像52のW軸は、テープ70の幅方向に平行である。図7(c)は、画像52のW軸上の輝度分布を示している。輝度分布は、側端部70aに対応する立ち上がり(ピーク)と側端部71bに対応する立ち上がりとを有する。
【0032】
図8(a)に示すように左側撮影ユニット31の撮影範囲においてテープ70とテープ71とが重なるように貼り付けが実行された場合について説明する。図8(b)に示すように、左側撮影ユニット31のカメラ32が撮影した画像53には、側端部70aのみが写り、側端部71bはテープ70の下になっているために写らない。画像53のW軸は、テープ70の幅方向に平行である。図8(c)は、画像53のW軸上の輝度分布を示している。輝度分布は、側端部70aに対応する立ち上がりのみを有する。
【0033】
処理装置37は、図8(c)に示されるように画像から検出される輝度の立ち上がりが一つの場合、その画像が撮影された部位において、テープ70がテープ71と重となっていると判定する。処理装置37は、図7(c)に示されるように画像から検出される輝度の立ち上がりが二つの場合、その画像が撮影された部位において、テープ70とテープ70に隣接するテープ71との間に隙間が設けられていると判定し、二つの立ち上がりの間の距離Pに基づいて、隙間量を算出する。ここで、公知のエッジ検出方法を応用して輝度の立ち上がりを検出することが可能である。
【0034】
積層プログラム27は、テープ71がテープ70の側端部70bの側に配置されることを規定してもよい。
【0035】
図9を参照して、複合材部品製造装置10が実行する複合材部品の製造方法を説明する。
【0036】
自動積層装置9は、積層プログラム27に従って繊維強化プラスチックテープの積層を実行する。図9(a)は、その積層の実行中における積層準備状態を示している。積層準備状態は、テープ71を貼り付け対象物体60に貼り付けた後、且つ、テープ70を貼り付け対象物体60に貼り付ける前の状態である。このとき、積層ヘッド23は、貼り付け対象物体60から離れた位置に配置される。
【0037】
制御装置21は、駆動装置22に積層ヘッド23をZ軸方向に移動させ、積層ローラー26と貼り付け対象物体60の間にテープ70の貼り始め部位を挟む。図9(b)は、この状態を示している。
【0038】
制御装置21が動作状態通知信号として貼り付け開始信号を出力した後、自動積層装置20はテープ70の貼り付けを開始する。テープ70の貼り付け中において、制御装置10は、積層プログラム27が指定する経路を積層ヘッド23が移動するように数値制御により駆動装置22をする。テープ70の貼り付け中、テープ供給装置24はテープ70を送り出し、積層ローラー26は送り出されたテープ70を貼り付け対象物体60に押し付けて貼り付ける。テープ70の貼り付け中、積層ヘッド23は、回転軸S2が積層ヘッド23の移動方向に垂直になるようにカメラ32の光軸方向に平行な回転軸S1まわりに回転する。テープ70の貼り付け中、制御装置21は、積層ヘッド23のX、Y、Z座標を示す動作状態信号を一定時間間隔で出力する。図9(c)は、テープ70の貼り付け中の状態を示している。
【0039】
制御装置21は、積層プログラム27が指定する貼り付け終了位置に積層ヘッド23が到達したら、駆動装置22に積層ヘッド23の移動を停止させ、カッター25にテープ70を切断させ、貼り付け終了信号を出力する。このとき、積層ローラー26と貼り付け対象物体60の間にテープ70の貼り終り部位が挟まれる。図9(d)は、積層ヘッド23が貼り付け終了位置で停止した状態を示している。
【0040】
制御装置21は、駆動装置22に積層ヘッド23をZ軸方向に移動させ、積層ヘッド23を貼り付け対象物体60から離れた待機位置に保持させる。図9(e)は、積層ヘッド23が待機位置に保持された状態を示している。制御装置21は、積層ヘッド23が待機位置に保持された状態で、検査装置30からの検査結果信号を待つ。
【0041】
テープ70の貼り付け中における検査装置30の動作を説明する。カメラ32は、貼り付け開始信号に応答して一定時間間隔での撮影を開始し、貼り付け終了信号に応答して撮影を終了する。これにより、カメラ32はテープ70の貼り始め部位V1から貼り終り部位Vnまでの複数部位V1〜Vnそれぞれの画像を撮影することで複数画像を撮影する。処理装置37は、積層ヘッド23のX、Y、Z座標を示す動作状態信号に基づいて、複数部位V1〜Vnの各部位をカメラ32が撮影したときの積層ヘッド23の位置Uの座標(X,Y,Z)を取得する。処理装置37は、積層ヘッド23のX、Y、Z座標を示す動作状態信号に基づいて、複数部位の各部位と貼り始め部位V1との距離Dを算出する。更に、処理装置37は、複数部位V1〜Vnについて、複数画像の各画像から輝度立ち上がりを検出し、各画像から検出される輝度立ち上がりの数に基づいてテープ70がテープ71と重なっているか又はテープ70とテープ71の間に隙間があるかを判定する。処理装置37は、輝度立ち上がりの数が1の場合にテープ70とテープ71が重なっていると判定し、輝度立ち上がりの数が2の場合にテープ70とテープ71の間に隙間があると判定する。処理装置37は、輝度立ち上がりの数が2の場合(隙間があると判定した場合)に輝度立ち上がり間の距離に基づいてテープ70とテープ71の間の隙間量Gを算出する。
【0042】
処理装置37は、検査データ40を生成して記憶装置38に記憶する。検査データ40は、テープ70の貼り始め部位V1から貼り終り部位Vnまでの複数部位V1〜Vnの全てについて、積層ヘッド23の位置Uの座標(X,Y,Z)、貼り始め部位V1からの距離D、重なり又は隙間の判定結果、及び、隙間と判定された場合の隙間量Gを示す。処理装置37は、検査データ40に基づいてテープ70の貼り付けが適切に実行されたか否かを判定し、判定結果を示す検査結果信号を出力する。
【0043】
図10は、テープ70の貼り始め部位V1から貼り終り部位Vnまでの複数部位V1〜Vnのうちの貼り始め部位V1からの距離がD1、D2、Dnの部位V1、V2、Vnにおいて隙間(GAP)と判定され、複数部位V1〜Vnのうちの貼り始め部位V1からの距離がD3の部位V3において重なり(LAP)と判定された場合の検査データ40示している。ここで、貼り始め部位V1からの距離がD1(=0)の部位が貼り始め部位V1であり、貼り始め部位V1からの距離がDnの部位が貼り終り部位Vnである。図10に示すように、テープ70の少なくとも一つの部位において隙間と判定され、少なくとも一つの部位において重なりと判定された場合、検査装置37は、テープ70の貼り付けが適切に実行されなかったと判定し、検査結果信号として積層停止信号を出力する。
【0044】
図11は、テープ70の貼り始め部位V1から貼り終り部位Vnまでの複数部位V1〜Vnの全てについて、隙間と判定された場合の検査データ40を示している。検査データ40は、貼り始め部位V1からの距離がD1〜Dnの複数部位V1〜Vnにおいて、隙間(GAP)が存在し、隙間量がG1〜Gnであることを示している。
【0045】
ここで、カメラ32の焦点距離が一定であるため、画像から求めた隙間量Gがカメラ32と被写体との間の撮影距離Aの変動のために実際よりも大きかったり小さかったりする虞がある。そこで、処理装置37は、図11に示すようにテープ70の貼り始め部位V1から貼り終り部位Vnまでの複数部位V1〜Vnの全てについて隙間と判定された場合、撮影距離Aに基づいて隙間量Gを補正して補正済み隙間量G’を算出する。以下、撮影距離Aに基づいて隙間量Gを補正して補正済み隙間量G’を算出する方法を説明する。
【0046】
図12を参照して、カメラ32の光軸を含み積層ローラー回転軸S2に垂直な平面と貼り付け対象物体60の表面とが共有する線分と、カメラ32の光軸を含み積層ローラー回転軸S2に垂直な平面とカメラ32の光軸に垂直な平面Dとが共有する線分との間の角度を貼り付け対象物体60の表面の傾き角θと呼ぶことにする。撮影距離Aは、貼り付け対象物体60とカメラ32との光軸方向の距離に近似的に等しく、傾き角θによって変化する。なお、貼り付け対象物体60の表面がカメラ32の光軸に垂直であるとき、撮影距離Aはカメラ32と平面Dの光軸方向の距離Aに等しく、傾き角θは0度である。ここで、傾き角θが正のときの撮影距離Aの値は、傾き角θが負のときの撮影距離Aの値より大きい。貼り付け対象物体60の表面の平面Dに対するカメラ32の光軸上の変位A’、距離A、及び撮影距離Aの間の関係は下記式:
【数1】

で与えられる。ここで、傾き角θが正のとき変位A’が正であり、傾き角θが負のとき変位A’が負である。更に、積層ローラー回転軸S2を含みカメラ32の光軸に平行な平面Cとカメラ32(の光軸)との(平面Cの法線方向の)距離B、傾き角θ、及び変位A’の間に下記式:
【数2】

が近似的に成立する。関数41は、傾き角θから撮影距離Aを求めるための関数であって、下記式:
【数3】

により定義されている。ここで、距離A及び距離Bは定数として与えられている。
【0047】
図13を参照して、テープ70の部位Vの画像を撮影したときの積層ヘッド23の位置Uとテープ70の部位Vk+1の画像を撮影したときの積層ヘッド23の位置Uk+1との変位ΔUのZ軸(カメラ32の光軸)に平行な成分はΔZで表され、変位ΔUのZ軸(カメラ32の光軸)に垂直な面(XY平面)内の成分はΔTで表される。ここで、kは1からn−1までの任意の整数である。テープ70の部位Vに対応する貼り付け対象物体60の傾き角θは、下記式:
【数4】

により算出される。ここで、傾き角θは−90度より大きく90度より小さく、ΔZが正のとき傾き角θは正である。ここで、テープ70の貼り付け中に積層ローラー26の回転軸S2が積層ヘッド23の移動方向に垂直になるように積層ヘッド23が回転軸S1まわりに回転するため、距離Bの方向と成分ΔTの方向とが平行に維持され、傾き角θと傾き角θが一致する。積層ヘッド23の移動変位ΔUの光軸方向の成分ΔZ及び光軸方向に垂直な面内の成分ΔTは、位置Uの座標(X,Y,Z)と位置Uk+1の座標(Xk+1,Yk+1,Zk+1)とから下記式:
【数5】

【数6】

により算出される。
【0048】
関数42は、撮影距離Aに基づいて隙間量Gを補正して補正済み隙間量G’を求めるための関数であり、下記式:
【数7】

により定義される。関数42は、幾何学的に又はキャリブレーションにより予め求められる。
【0049】
図11を参照して、処理装置37は、k=1,・・・,n−1について、部位Vの画像を撮影したときの積層ヘッド23の位置Uの座標(X,Y,Z)と、部位Vk+1の画像を撮影したときの積層ヘッド23の位置Uk+1の座標(Xk+1,Yk+1,Zk+1)と、上記式(5)及び(6)とに基づいて、部位Vに対応する積層ヘッド23の移動変位ΔUのカメラ32の光軸方向の成分ΔZと光軸方向に垂直な面内の成分ΔTとを算出する。処理装置37は、k=1,・・・,n−1について、積層ヘッド23の移動変位ΔUの成分ΔZ及びΔTと、上記式(4)とに基づいて、部位Vに対応する傾き角θを算出する。処理装置37は、k=1,・・・,n−1について、傾き角θ及び関数41に基づいて、部位Vの画像を撮影したときの撮影距離Aを算出する。処理装置37は、k=1,・・・,n−1について、撮影距離A、隙間量G、及び関数42に基づいて、部位Vにおける補正済み隙間量G’を算出する。更に、処理装置37は、撮影距離An−1、隙間量G、及び関数42に基づいて、部位Vにおける補正済み隙間量G’を算出する。処理装置37は、積層ヘッド23の移動変位の成分ΔT〜ΔTn−1及び成分ΔZ〜ΔZn−1、傾き角θ〜θn−1、撮影距離A〜An−1、及び修正済み隙間量G’〜
’を検査データ40に追加する。
【0050】
処理装置37は、補正済み隙間量G’〜G ’の各々を所定の閾値と比較する。補正済み隙間量G’〜G
’の全てが所定の閾値より小さい場合、処理装置37は、テープ70の貼り付けが適切に実行されたと判定し、検査結果信号として積層継続信号を出力する。補正済み隙間量G’〜G
’の少なくとも一つが所定の閾値より大きい場合、処理装置37は、テープ70の貼り付けが適切に実行されなかったと判定し、検査結果信号として積層停止信号を出力する。
【0051】
自動積層装置20は、積層継続信号に基づいて繊維強化プラスチックテープの積層を継続する。この場合、制御装置21は、積層継続信号に基づいて、次のテープを貼り付けるために積層ヘッド23を待機位置から移動する。
【0052】
自動積層装置20は、積層停止信号に基づいて繊維強化プラスチックテープの積層を停止する。この場合、作業者は、テープ70の貼り付け状態を目視により判定し、貼り付けのやり直しが必要な場合は自動積層装置20を操作して貼り付けのやり直しをさせ、貼り付けのやり直しの必要がない場合は自動積層装置20を操作して次のテープの貼り付けを実行させる。
【0053】
本実施形態によれば、繊維強化プラスチックテープ間の隙間量が精度よく測定される。したがって、隙間量に基づくテープ70の貼り付け状態の判定が正しく行われる。そのため、必要がないのに積層が停止されたり、必要があるのに貼り付けのやり直しが行われなかったりすることが防止される。その結果、複合材部品製造装置10のスループットが向上し、且つ、複合材部品製造装置10が製造する複合材部品の品質が向上する。更に、本実施形態によれば、撮影距離を測定するためのセンサを積層ヘッド23に取り付けなくても、繊維強化プラスチックテープ間の隙間量を精度よく測定することができる。
【0054】
本実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
【0055】
例えば、上記式(3)、(4)及び(7)の合成関数を用いて、積層ヘッド23の移動変位ΔUの成分ΔT及びΔZと隙間量Gから補正済み隙間量G’を算出してもよい。
【0056】
上述のように隙間量Gを補正して補正済み隙間量G’を算出するかわりに、テープ70の部位Vの画像と積層ヘッド23の移動変位の成分ΔT及びΔZとに基づいて、補正済み隙間量G’に相当する隙間量を直接求めてもよい。
【0057】
また、上述した検査装置30が検査データ40に基づいて積層継続信号又は積層停止信号を自動的に出力する方法のかわりに、次の方法を用いることが可能である。この方法において、出力装置36は結果データ40を出力する。作業者は、出力された結果データ40に基づいてテープ70が適切に貼り付けられたか否かを判定し、入力装置35を操作することで検査装置30に積層継続信号又は積層停止信号を出力させる。
【符号の説明】
【0058】
10…複合材部品製造装置
20…自動積層装置
21…制御装置
22…駆動装置
23…積層ヘッド
24…テープ供給装置
25…カッター
26…積層ローラー
27…積層プログラム
30…検査装置
31…撮影ユニット
32…カメラ
33…照明
34…情報処理装置
35…入力装置
36…出力装置
37…処理装置
38…記憶装置
40…検査データ
41、42…関数
52、53…画像
60…貼り付け対象物体(型又は積層体)
70、71…テープ
70a、70b、71b…側端部
S1…積層ヘッド回転軸
S2…積層ローラー回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層ヘッドが移動しながら第1繊維強化プラスチックテープを貼り付ける貼り付け中に前記積層ヘッドに取り付けられたカメラが画像を撮影すること、
前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中における前記積層ヘッドの移動変位の前記カメラの光軸方向の移動変位第1成分と、前記移動変位の前記光軸方向に垂直な面内の移動変位第2成分と、前記画像とに基づいて、前記第1繊維強化プラスチックテープと第2繊維強化プラスチックテープの間の隙間量を算出すること
を具備する
検査方法。
【請求項2】
前記隙間量を求めることは、
前記移動変位第1成分と、前記移動変位第2成分とに基づいて、前記カメラが前記画像を撮影したときの撮影距離を算出すること、
前記撮影距離と前記画像とに基づいて前記隙間量を算出すること
を含む
請求項1の検査方法。
【請求項3】
前記積層ヘッドは、前記第1繊維強化プラスチックテープに接触する積層ローラーを備え、
前記積層ローラーの積層ローラー回転軸は前記光軸方向に垂直であり、
前記隙間量を求めることは、
前記画像に基づいて前記第1繊維強化プラスチックテープと前記第2繊維強化プラスチックテープの間の補正前隙間量を算出すること、
前記移動変位第1成分と、前記移動変位第2成分と、前記積層ローラー回転軸を含み前記光軸方向に平行な平面と前記カメラとの距離に基づいて、前記カメラが前記画像を撮影したときの撮影距離を算出すること、
前記補正前隙間量を前記撮影距離に基づいて補正して前記隙間量を算出すること
を含み、
前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中において、前記距離の方向と前記移動変位第2成分の方向とが平行に維持される
請求項1の検査方法。
【請求項4】
繊維強化プラスチックテープの積層中に、積層ヘッドが移動しながら第1繊維強化プラスチックテープを貼り付けること、
前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け状態を判定すること、
前記貼り付け状態の判定結果に基づいて前記積層を停止又は継続すること
を具備し、
前記貼り付け状態を判定することは、
前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中に前記積層ヘッドに取り付けられたカメラが画像を撮影すること、
前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中における前記積層ヘッドの移動変位の前記カメラの光軸方向の移動変位第1成分と、前記移動変位の前記光軸方向に垂直な面内の移動変位第2成分と、前記画像とに基づいて前記第1繊維強化プラスチックテープと第2繊維強化プラスチックテープの間の隙間量を算出すること、
前記隙間量が所定の閾値より大きい場合に前記積層を停止すること
を含む
複合材部品の製造方法。
【請求項5】
前記積層ヘッドは、前記第1繊維強化プラスチックテープに接触する積層ローラーを備え、
前記積層ローラーの積層ローラー回転軸は前記光軸方向に垂直であり、
前記隙間量を求めることは、
前記移動変位第1成分と、前記移動変位第2成分と、前記積層ローラー回転軸を含み前記光軸方向に平行な平面と前記カメラとの距離に基づいて、前記カメラが前記画像を撮影したときの撮影距離を算出すること、
前記撮影距離と前記画像とに基づいて前記隙間量を算出すること
を含み、
前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中において、前記距離の方向と前記移動変位第2成分の方向とが平行に維持される
請求項4の複合材部品の製造方法。
【請求項6】
繊維強化プラスチックテープの積層を実行する自動積層装置の積層ヘッドに取り付けられたカメラと、
情報処理装置と
を具備し、
前記積層ヘッドは、前記積層において移動しながら第1繊維強化プラスチックテープを貼り付け、
前記カメラは、前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中に画像を撮影し、
前記情報処理装置は、
前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中における前記積層ヘッドの移動変位の前記カメラの光軸方向の移動変位第1成分と、前記移動変位の前記光軸方向に垂直な面内の移動変位第2成分と、前記画像とに基づいて前記第1繊維強化プラスチックテープと第2繊維強化プラスチックテープの間の隙間量を算出する
検査装置。
【請求項7】
前記積層ヘッドは、前記第1繊維強化プラスチックテープに接触する積層ローラーを備え、
前記積層ローラーの積層ローラー回転軸は前記光軸方向に垂直であり、
前記情報処理装置は、
前記移動変位第1成分と、前記移動変位第2成分と、前記積層ローラー回転軸を含み前記光軸方向に平行な平面と前記カメラとの距離に基づいて、前記カメラが前記画像を撮影したときの撮影距離を算出し、
前記撮影距離と前記画像とに基づいて前記隙間量を算出し、
前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中において、前記距離の方向と前記移動変位第2成分の方向とが平行に維持される
請求項6の検査装置。
【請求項8】
繊維強化プラスチックテープの積層を実行する自動積層装置と、
前記自動積層装置が前記積層において貼り付けた第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け状態を判定する検査装置と
を具備し、
前記自動積層装置は、移動しながら前記第1繊維強化プラスチックテープを貼り付ける積層ヘッドを備え、
前記検査装置は、
前記積層ヘッドに取り付けられたカメラと、
情報処理装置と
を備え、
前記カメラは、記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中に画像を撮影し、
前記情報処理装置は、
前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中における前記積層ヘッドの移動変位の前記カメラの光軸方向の移動変位第1成分と、前記移動変位の前記光軸方向に垂直な面内の移動変位第2成分と、前記画像とに基づいて、前記第1繊維強化プラスチックテープと第2繊維強化プラスチックテープの間の隙間量を算出し、
前記情報処理装置は、前記隙間量が所定の閾値より大きい場合に積層停止信号を出力し、
前記自動積層装置は、前記積層停止信号に基づいて前記積層を停止する
複合材部品製造装置。
【請求項9】
前記積層ヘッドは、前記第1繊維強化プラスチックテープに接触する積層ローラーを備え、
前記積層ローラーの積層ローラー回転軸は前記光軸方向に垂直であり、
前記情報処理装置は、
前記移動変位第1成分と、前記移動変位第2成分と、前記積層ローラー回転軸を含み前記光軸方向に平行な平面と前記カメラとの距離に基づいて、前記カメラが前記画像を撮影したときの撮影距離を算出し、
前記撮影距離と前記画像とに基づいて前記隙間量を算出し、
前記第1繊維強化プラスチックテープの貼り付け中において、前記距離の方向と前記移動変位第2成分の方向とが平行に維持される
請求項8の複合材部品製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−104906(P2011−104906A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263306(P2009−263306)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】