説明

検査方法および検査装置

【課題】本発明の目的は、支持基板の破損を防止するとともに、支持基板とプローブヘッドが有するプローブピンとを確実に接触させ、信頼性に優れる検査を行うことのできる検査方法および検査装置を提供すること。
【解決手段】複数の振動子9を支持する支持基板200にプローブピン172を押し当て、振動子9の特性を検査する検査方法であって、支持基板200の撓みの度合いを検出する検出工程と、検出工程で検出した支持基板200の撓みの度合いに応じて、複数のプローブピン172によって支持基板200に加えられる荷重の分布を設定する荷重設定工程と、複数のプローブピン172を備えているプローブヘッド170を準備する準備工程と、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査方法および検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板の特性を検査する検査治具としてプローブヘッドが知られている(例えば、特許文献1)。このようなプローブヘッドは、ベース部と、ベース部から突出して設けられた複数のプローブピンとを有しており、複数のプローブピンのうちの所定のプローブピンが基板の所定箇所に接触するように基板にプローブヘッドを押し当てた状態で、所定のプローブピンの間に電圧を印加することにより基板の特性を検査する。
【0003】
ここで、プローブヘッドには、各プローブピンがベース部に固定されているものや、バネによって先端側へ付勢されているものがある。しかしながら、いずれの構成のプローブヘッドにおいても、各プローブピンによって基板に加わる荷重は、互いに等しくなっている。そのため、例えば、縁部のみで支持されている基板などへプローブヘッドを押し当てると、基板の中央部に過度な荷重が加わり、基板の中央部が大きく変位し、基板が湾曲変形する。このような変形が起きると、基板が破損するおそれがある。また、プローブピンと基板の接触位置が所定位置からずれたり、プローブピンを基板に接触させることができなかったりするおそれもある。そのため、従来のプローブヘッドでは、信頼性に優れる検査を行うことが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−226881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、支持基板の破損を防止するとともに、支持基板とプローブヘッドが有するプローブピンとを確実に接触させ、信頼性に優れる検査を行うことのできる検査方法および検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の検査方法は、複数の振動子を支持する支持基板にプローブピンを押し当て、前記振動子の特性を検査する検査方法であって、
前記支持基板の撓みの度合いを検出する検出工程と、
前記検出工程で検出した前記支持基板の撓みの度合いに応じて、複数の前記プローブピンによって前記支持基板に加えられる荷重の分布を設定する荷重設定工程と、
複数の前記プローブピンを備えているプローブヘッドを準備する準備工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、支持基板の破損を防止するとともに、支持基板とプローブヘッドが有するプローブピンとを確実に接触させ、信頼性に優れる検査を行うことのできる検査方法を提供することができる。
【0007】
[適用例2]
本発明の検査方法では、複数の前記プローブピンによって前記支持基板に加えられる荷重の分布が異なる前記複数のプローブヘッドを用意し、
前記検出工程で検出した前記支持基板の撓みの度合いに応じて複数の前記プローブヘッドから任意の前記プローブヘッドを選択することが好ましい。
これにより、検査を円滑に行うことができる。
【0008】
[適用例3]
本発明の検査方法では、前記準備工程で準備した前記プローブヘッドは、前記支持基板との距離が異なる複数の前記プローブピンを備えていることが好ましい。
これにより、簡単な構成で、複数のプローブピンによって支持基板に加わる荷重をそれぞれ異ならせることができる。
【0009】
[適用例4]
本発明の検査方法では、複数の前記プローブピンは、所定方向に並んで配列されており、前記所定方向の中央部に位置する前記プローブピンの先端と前記支持基板との距離は、前記所定方向の両端部に位置する前記プローブピンの先端と前記支持基板との距離よりも長いことが好ましい。
これにより、プローブヘッドを押し当てることによる支持基板中央部の過度な変位を抑制でき、支持基板の変形をより効果的に抑制することができる。
【0010】
[適用例5]
本発明の検査方法では、複数の前記プローブピンは、それぞれ、付勢手段によって付勢されているとともに、前記付勢手段による付勢力が異なっていることが好ましい。
これにより、簡単な構成で、複数のプローブピンによって支持基板に加わる荷重をそれぞれ異ならせることができる。
【0011】
[適用例6]
本発明の検査方法では、複数の前記プローブピンは、所定方向に並んで配列されており、前記所定方向の中央部に位置する前記プローブピンへの付勢力は、前記所定方向の両端部に位置する前記プローブピンへの付勢力よりも小さいことが好ましい。
これにより、プローブヘッドを押し当てることによる支持基板中央部の過度な変位を抑制でき、支持基板の変形をより効果的に抑制することができる。
【0012】
[適用例7]
本発明の検査装置は、複数の振動子を支持する支持基板を保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記支持基板の撓みを検出する検出手段と、
前記支持基板に押し当て前記振動子を駆動させる複数のプローブヘッドと、を備え、
前記複数のプローブヘッドは、それぞれ、基部と、該基部から突出し前記支持基板に接触させて振動子を駆動させるための複数のプローブピンとを備え、前記複数のプローブピンによって前記支持基板に加わる荷重の分布が前記複数のプローブヘッド毎でそれぞれ異なっていることを特徴とする。
これにより、支持基板の破損を防止するとともに、支持基板とプローブヘッドが有するプローブピンとを確実に接触させ、信頼性に優れる検査を行うことのできる検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる検査装置を適用した周波数調整装置の概略図である。
【図2】図1に示す周波数調整装置によって周波数の調整が行われる振動子を支持する支持基板の平面図である。
【図3】図2に示す支持基板の断面図である。
【図4】図2に示す振動子の平面図である。
【図5】図1に示す周波数調整装置が有するシャッター装置の平面図である。
【図6】図1に示す周波数調整装置が有する保持部の平面図である。
【図7】図1に示す周波数調整装置が有する第1の駆動用プローブヘッドの平面図である。
【図8】図1に示す周波数調整装置が有する第1の駆動用プローブヘッドの平面図である。
【図9】図7に示す第1の駆動用プローブヘッドの変形例を示す平面図である。
【図10】図7に示す第1の駆動用プローブヘッドを支持基板に押し当てた際の荷重の分布を示す図である。
【図11】図7に示す第1の駆動用プローブヘッドを形成するのに用いる倣い治具を示す断面図である。
【図12】図1に示す周波数調整装置が有する第2の駆動用プローブヘッドの平面図である。
【図13】図12に示す第2の駆動用プローブヘッドを支持基板に押し当てた際の荷重の分布を示す図である。
【図14】図1に示す周波数調整装置が有する検出用プローブヘッドの平面図である。
【図15】図1に示す周波数調整装置が有する検出手段を示す平面図である。
【図16】本発明の第2実施形態にかかる検査装置を適用した周波数調整装置が有する第1の駆動用プローブヘッドの断面図である。
【図17】図16に示す第1の駆動用プローブヘッドを支持基板に押し当てた際の荷重の分布を示す図である。
【図18】図16に示す周波数調整装置が有する第2の駆動用プローブヘッドの断面図である。
【図19】図18に示す第2の駆動用プローブヘッドを支持基板に押し当てた際の荷重の分布を示す図である。
【図20】本発明の第3実施形態にかかる検査装置を適用した周波数調整装置が有する保持部を示す平面図である。
【図21】図20に示す周波数調整装置が有する第1の駆動用プローブヘッドの平面図である。
【図22】図21に示す第1の駆動用プローブヘッドの断面図である。
【図23】図20に示す周波数調整装置が有する第2の駆動用プローブヘッドの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の検査方法および検査装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる検査装置を適用した周波数調整装置の概略図、図2は、図1に示す周波数調整装置によって周波数の調整が行われる振動子を支持する支持基板の平面図、図3は、図2に示す支持基板の断面図、図4は、図2に示す振動子の平面図、図5は、図1に示す周波数調整装置が有するシャッター装置の平面図、図6は、図1に示す周波数調整装置が有する保持部の平面図、図7および図8は、図1に示す周波数調整装置が有する第1の駆動用プローブヘッドの平面図、図9は、図7に示す第1の駆動用プローブヘッドの変形例を示す平面図、図10は、図7に示す第1の駆動用プローブヘッドを支持基板に押し当てた際の荷重の分布を示す図、図11は、図7に示す第1の駆動用プローブヘッドを形成するのに用いる倣い治具を示す断面図、図12は、図1に示す周波数調整装置が有する第2の駆動用プローブヘッドの平面図、図13は、図12に示す第2の駆動用プローブヘッドを支持基板に押し当てた際の荷重の分布を示す図、図14は、図1に示す周波数調整装置が有する検出用プローブヘッドの平面図、図15は、図1に示す周波数調整装置が有する検出手段を示す平面図である。
【0015】
なお、図1は、周波数調整装置の概略を説明するための図であるため、図1に示すシャッター装置120の数や、支持基板200に支持される振動子9の数は、図2以降に示す構成と異なっている。また、以下では、図1に示すように、互いに直交する3軸をx軸(第1軸)、y軸(第2軸)およびz軸(第3軸)とし、x軸と平行な方向を「x軸方向」と言い、y軸と平行な方向を「y軸方向」と言い、z軸と平行な方向を「z軸方向」と言う。
【0016】
以下では、本発明の検査装置を、例えば水晶振動子等の振動子9の共振周波数を調整するための周波数調整装置100に適用した場合について説明する。ただし、本発明の検査装置の用途は、周波数調整装置100に限定されない。
1.周波数調整装置
図1に示す周波数調整装置100は、内部を所望の環境とすることのできるチャンバー110と、複数のシャッター装置120と、イオンガン130と、遮蔽板140と、複数の振動子9を支持する支持基板200を保持する保持部150と、保持部150に保持された支持基板200の撓みを検出する検出手段160と、支持基板200に接触させるプローブヘッド170とを有している。以下、これら各構成について順次、詳細に説明する。
【0017】
(支持基板)
図2に示すように、支持基板200は、板状をなしており、その一方の面側にて、複数の振動子9を支持している。なお、複数の振動子9は、マトリックス状(行列状)に配置されている。このような支持基板200は、絶縁性を有する材料で構成され、このような材料としては、例えば、サファイヤ、各種ガラス材料、各種セラミックス、石英(SiO)、水晶などが挙げられる。
【0018】
また、支持基板200の大きさとしては、特に限定されず、その平面視にて、50mm×50mm〜70mm×70mm程度とすることができる。また、支持基板200の厚さとしては、例えば、100〜300μm程度とすることができる。
また、図3に示すように、支持基板200には、上面と下面とを電気的に接続する複数の導電部210が形成されている。複数の導電部210は、一対の導電部210が1つの振動子9に対応するように形成されており、一対の導電部210が所定の振動子9と後述する導電性接着剤を介して電気的に接続されている。各導電部210は、支持基板200の上面に形成された電極部211と、下面に形成された電極部212と、支持基板200を貫通して設けられ、電極部211、212を接続する導体ポスト213とを有している。
【0019】
図4(a)は、振動子9を一方側から見た平面図であり、同図(b)は、振動子9を一方側から見た透過図(平面図)である。同図に示すように、振動子9は、平面視形状が長方形(矩形)の板状をなす圧電基板91と、圧電基板91の表面に形成された一対の励振電極93、95とを有している。
圧電基板91は、主として厚み滑り振動をする水晶素板である。本実施形態では、圧電基板91としてATカットと呼ばれるカット角で切り出された水晶素板を用いている。ATカットとは、水晶の結晶軸であるX軸とZ軸とを含む平面(Y面)をX軸回りにZ軸から反時計方向に約35度15分程度回転させて得られる主面(X軸とZ’軸とを含む主面)を有するように切り出すことを言う。このような構成の圧電基板91では、圧電基板91の長手方向が水晶の結晶軸であるX軸と一致する。
【0020】
励振電極93は、圧電基板91の上面に形成された電極部93aと、圧電基板91の下面に形成されたボンディングパッド93bと、電極部93aおよびボンディングパッド93bを電気的に接続する配線93cとを有している。一方、励振電極95は、圧電基板91の下面に形成された電極部95aと、圧電基板91の下面に形成されたボンディングパッド95bと、電極部95aおよびボンディングパッド95bを電気的に接続する配線95cとを有している。
【0021】
電極部93a、95aは、圧電基板91を介して対向して設けられ、互いにほぼ同じ形状をなしている。すなわち、圧電基板91の平面視にて、電極部93a、95aは、互いに重なるように位置し、輪郭が一致するように形成されている。また、ボンディングパッド93b、95bは、圧電基板91の下面の図2中右側の端部端部に離間して形成されている。
【0022】
このような励振電極93、95は、例えば、圧電基板91上に蒸着やスパッタリングによってニッケル(Ni)またはクロム(Cr)の下地層を成膜した後、下地層の上に蒸着やスパッタリングによって金(Au)の電極層を成膜し、その後フォトリソグラフィーおよび各種エッチング技術を用いて、所望の形状にパターニングすることにより形成することができる。下地層を形成すすることにより、圧電基板91と前記電極層との接着性が向上し、信頼性の高い振動子9が得られる。
【0023】
このような振動子9は、一対の導電性接着剤250、260を介して支持基板200に片持ち支持されている。導電性接着剤250は、一方の電極部211とボンディングパッド93bとに接触して設けられており、これにより、導電性接着剤250を介して、電極部211とボンディングパッド93bとが電気的に接続されている。一方の導電性接着剤260は、他方の電極部211とボンディングパッド95bとに接触して設けられており、これにより、導電性接着剤260を介して、電極部211とボンディングパッド95bとが電気的に接続されている。
以上、振動子9の一例について説明したが、振動子9としては、前述したATカット水晶振動子に限定されない。振動子9としては、例えば、音叉型の水晶振動子、SAW共振器、角速度検出素子、加速度検出素子等であってもよい。
【0024】
(イオンガン)
イオンガン130は、例えば、Ar、Ne等の不活性ガスに電界を作用させて加速させることにより、イオンビームを発射するものであり、振動子9の質量を変化させる質量変化手段を構成するものである。このようなイオンガン130は、チャンバー110内にてシャッター装置120よりも下側に位置しており、上方へ向けてイオンビームIBを照射する。
【0025】
(遮蔽板)
また、遮蔽板140は、チャンバー110内にてシャッター装置120よりも上側に位置しており、隣り合うシャッター装置120の間(隙間)から上方へ漏れるイオンビームIBを遮断する。すなわち、隣り合うシャッター装置120の間(隙間)から上方へ漏れるイオンビームIBが振動子9に照射されるのを防止する。
【0026】
(シャッター装置)
複数のシャッター装置120は、それぞれ、独立して駆動が制御されており、イオンビームIBの通過を許容する開状態と、イオンビームIBを遮断する閉状態とを切り替えることができる。このようなシャッター装置120は、図5に示すように、シャッター部121と、駆動部122と、シャッター部121と駆動部122とを連結する連結部123と、これらを支持する支持部124とを有している。
【0027】
シャッター部121は、z軸方向を厚さとする板状をなしており、x軸方向に延在している。シャッター部121の幅(y軸方向の長さ)としては、特に限定されず、振動子9の大きさ等によって異なるが、例えば、1mm以上、2mm以下程度であるのが好ましい。このような幅とすることにより、シャッター部121を十分に小さくすることができる。
【0028】
シャッター部121は、例えば、耐イオンエッチング性に優れる炭素、チタン等を構成材料として構成されている。これにより、イオンビームIBによるシャッター部121の損傷を効果的に抑制することができる。また、シャッター部121の軽量化を図ることができ、シャッター部121の反応性や移動速度を向上させることができる。
駆動部122は、シャッター部121をx軸方向に往復移動させるための駆動源である。駆動部122としては、シャッター部121を移動させることができれば、特に限定されないが、本実施形態では、本体122aに対してシャフト122bがx軸方向に移動する公知のソレノイドを用いている。このような駆動部122は、図示しない制御部によって、その駆動が制御されている。
【0029】
連結部123は、駆動部122とシャッター部121とを連結し、駆動部122の駆動力をシャッター部121に伝達する機能を有する。なお、連結部123は、シャッター部121を着脱自在に支持しているのが好ましい。これにより、消耗品であるシャッター部121を簡単に交換することができる。
このようなシャッター装置120では、駆動部122のシャフト122bが本体122aから突出するように図2中右側に移動すると、それに伴ってシャッター部121が図5中右側に移動する。これにより、図5(a)に示すように、シャッター装置120は、シャッター部121にてイオンビームIBを遮断する閉状態となる。
反対に、駆動部122のシャフト122bが本体122a内に退避するように図5中左側に移動すると、それに伴ってシャッター部121が図2中左側に移動する。これにより、図5(b)に示すように、シャッター装置120は、イオンビームIBの通過を許容する開状態となる。
【0030】
(保持部)
保持部150は、振動子9を支持する支持基板200を保持する機能を有する。図6に示すように、本実施形態の保持部150は、y軸方向に離間して配置された一対の保持片151、152を有している。各保持片151、152は、それぞれ、x軸方向に延在している。これら保持片151、152の離間距離は、支持基板200の幅よりも若干短く設定されている。そのため、支持基板200を保持片151、152に載置すると、支持基板200のy軸方向両側の端部が保持片151、152に支持され、これにより、保持部150に支持基板200が保持される。このような構成とすることにより、支持基板200に支持された振動子9が下方(イオンガン130側)へ露出するため、振動子9へのイオンビームIBの照射を阻害せずに、支持基板200を安定的に保持することができる。
【0031】
このような保持片151、152の構成材料としては、支持基板200を保持できる程度に硬質であれば、特に限定されず、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム等の各種金属、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金(例えばステンレス鋼)等が挙げられる。
なお、このような保持部150は、図示しない移動手段によりx軸方向に移動可能となっている。
【0032】
(プローブヘッド)
周波数調整装置100は、複数のプローブヘッド170、180、190を有している。プローブヘッド170、180は、振動子9を駆動(振動)させるための駆動用プローブヘッド(本発明のプローブヘッド)であり、プローブヘッド190は、支持基板200の撓みを検出するために用いる検出用プローブヘッドである。なお、以下では、説明の便宜上、プローブヘッド170を「第1の駆動用プローブヘッド170」と言い、プローブヘッド180を「第2の駆動用プローブヘッド180」と言い、プローブヘッド190を「検出用プローブヘッド190」と言う。
【0033】
−第1の駆動用プローブヘッド−
図7および図8に示すように、第1の駆動用プローブヘッド170は、板状またはブロック状の基部171と、基部171から突出して設けられた複数のプローブピン172とを有している。複数のプローブピン172は、周波数調整装置100によって同時に周波数調整させる全て振動子9を駆動できるように、これら振動子9に対応する全ての電極部212と接触可能に設けられている。
【0034】
本実施形態では、支持基板200を保持部150に保持した状態では1つの振動子9に対応する一対の電極部212がx軸方向に並んで形成され、また、複数のシャッター部121がy軸方向に並設されているため、複数のプローブピン172もそれに倣ってx軸方向に2列、y軸方向にシャッター部121と同数設けられている。なお、本実施形態では、シャッター部121の数は、支持基板200を保持部150に保持した状態においてy軸方向に並ぶ振動子9の数と等しい。
【0035】
複数のプローブピン172は、それぞれ、プローブピン172を支持基板200に押し当てたときにプローブピン172によって支持基板200に加わる荷重(支持基板200を押し当てた方向に移動させようとする力)が支持基板200の撓み(撓み易さ)に対応して異なるように設計されている。これにより、後述するように、プローブピン172を押し当てたときの支持基板200の撓みが抑制されるとともに、各プローブピン172とそれに対応する電極部212との接触(導通)を確実に確保することができる。
【0036】
図7に示すように、複数のプローブピン172は、基部171からの突出長さLが異なっており、y軸方向の中央部に位置するプローブピン172(172’)の突出長さL’が、y軸方向の両端部に位置するプローブピン172(172”)の突出長さL”よりも短い。具体的には、y軸方向にて両端部S1、S2および中央部S3の3つの領域に分け、両端部S1、S2に含まれる全てのプローブピン172”の突出長さL”をA(mm)とし、中央部S3に含まれる全てのプローブピン172’の突出長さL’を前記Aよりも短いB(mm)としている。
【0037】
なお、複数のプローブピン172の構成としては、これに限定されず、例えば図9に示すように、y軸方向中央から両端部に向けてプローブピン172の突出長さLが漸増するような構成であってもよい。
第1の駆動用プローブヘッド170(プローブピン172)をこのような構成とすることにより、プローブピン172を支持基板200に押し当てたときに支持基板200のy軸方向に加わる荷重の分布が図10のようになる。すなわち、プローブピン172を支持基板200に押し当てたとき、支持基板200のy軸方向中央部に加わる荷重がy軸方向両端部に加わる荷重よりも小さくなる。これにより、プローブピン172を押し当てたときの支持基板200の撓みが抑制させるとともに、各プローブピン172とそれに対応する電極部212との接触を確実に確保することができる。
【0038】
なお、このような第1の駆動用プローブヘッド170を形成する際には、プローブピン172の突出長さを簡単に調整することのできる倣い冶具800を用いてもよい。倣い冶具800は、図11に示すように、領域S1、S2、S3に対応した倣い面801、802、803を有している。この倣い冶具800を基部171の下側に配置した状態で、上方からプローブピン172を基部171へ挿入すると、領域S1内のプローブピンの先端は、倣い面801に当接することによりその突出長さが規定され、領域S2内のプローブピンの先端は、倣い面802に当接することによりその突出長さが規定され、領域S3内のプローブピンの先端は、倣い面803に当接することによりその突出長さが規定される。このような倣い冶具800によれば、第1の駆動用プローブヘッド170を簡単に形成することができる。
【0039】
−第2の駆動用プローブヘッド−
第2の駆動用プローブヘッド180は、第1の駆動用プローブヘッド170と同様の構成である。すなわち、図12に示すように、第2の駆動用プローブヘッド180も板状またはブロック状の基部181と、基部181から突出して設けられた複数のプローブピン182とを有している。複数のプローブピン182の配置は、第1の駆動用プローブヘッド170のプローブピン172の配置と同様である。
【0040】
また、第1の駆動用プローブヘッド170のプローブピン172と同様に、複数のプローブピン182は、それぞれ、プローブピン182を支持基板200に押し当てたときに支持基板200に加わる荷重が異なるように設計されている。
図12に示すように、複数のプローブピン182は、基部181からの突出長さLが異なっており、y軸方向の中央部に位置するプローブピン182(182’)の突出長さL’が、y軸方向の両端部に位置するプローブピン182(182”)の突出長さL”よりも短い。具体的には、y軸方向にて両端部S1、S2および中央部S3の3つの領域に分け、両端部S1、S2に含まれる全てのプローブピン182”の突出長さL”をC(mm)とし、中央部S3に含まれる全てのプローブピン182’の突出長さL’を前記Cよりも短いD(mm)としている。
【0041】
ここで、第2の駆動用プローブヘッド180のプローブピン182を支持基板200に押し当てたときに支持基板200のy軸方向に加わる荷重の分布は、図13に示す通りであり、支持基板200のy軸方向中央部に加わる荷重がy軸方向両端部に加わる荷重よりも小さくなる。これにより、前述した第1の駆動用プローブ170と同様の効果を発揮することができる。
【0042】
また、第2の駆動用プローブヘッド180のプローブピン182を支持基板200に押し当てたときに支持基板200のy軸方向に加わる荷重の分布は、第1の駆動用プローブヘッド170のプローブピン712を支持基板200に押し当てたときに支持基板200のy軸方向に加わる荷重の分布と異なっている。このように、荷重分布の異なる2つの駆動用プローブヘッド170、180を用意することにより、支持基板200毎に、適切な駆動用プローブを選択することができ、より確実に、支持基板200の湾曲変形を抑制しつつ、プローブピン172(182)と電極部212とを接触させることができる。
【0043】
本実施形態では、プローブピン182”の突出長さL”であるC(mm)と、プローブピン172’の突出長さL’であるD(mm)との差ΔL2は、プローブピン172”の突出長さL”であるA(mm)と、プローブピン172’の突出長さL’であるB(mm)との差ΔL1よりも大きい。すなわち、突出長さが最も長いプローブピン182と最も短いプローブピン182の長さの差(先端同士のz軸方向における離間距離)ΔL2が、突出長さが最も長いプローブピン172と最も短いプローブピン172の長さの差(先端同士のz軸方向における離間距離)ΔL1よりも大きくなるように複数のプローブピン182が設けられている。このような構成の第2の駆動用プローブヘッド180は、例えば、A<C、かつ、B=Dを満足することにより、第1の駆動用プローブヘッド170と荷重分布を異ならせることができる。
【0044】
−検出用プローブヘッド−
検出用プローブヘッド190は、支持基板200撓みを検出する際に、支持基板200に押し当てられるものである。このような検出用プローブヘッド190は、第1の駆動用プローブヘッド170と同様の構成であり、図14に示すように、板状またはブロック状の基部191と、基部191から突出して設けられた複数のプローブピン192とを有している。複数のプローブピン192の配置は、第1の駆動用プローブヘッド170のプローブピン172の配置と同様である。ただし、検出用プローブヘッド190では、複数のプローブピン192の突出長さLが等しくなっている。
なお、このような検出用プローブヘッドは、検出用とともに駆動用のプローブヘッドとして用いてもよい。
【0045】
(検出手段)
検出手段160は、保持部150に保持された支持基板200の撓みを検出する機能を有している。このような検出手段160の構成としては、支持基板の撓みを検出することができれば、特に限定されず、本実施形態では、帯状(カーテン状)のレーザー光LLを支持基板に向けて照射する光源161と、支持基板200のレーザーLLが照射されている部分(レーザーLLとの接触部分)を観察するCCD等の撮像素子162と、撮像素子162からのデータに基づいて支持基板200の撓みを検出する撓み検出部163とを有している。
【0046】
このような検出手段160は、次のようにして支持基板200の撓みを測定する。まず、検出用プローブヘッド190を所定の力(荷重)で支持基板200に押し当てる。次に、光源161からレーザー光LLを出射し、支持基板200に照射するとともに、支持基板200のレーザーLLとの接触部500を撮像素子162にて観察する。仮に、支持基板200が撓んでいなければ接触部500は、直線状となり、支持基板200が撓んでいれば接触部500は、湾曲線状となる。また、撓みが大きい程、湾曲線の曲率が大きくなる。そして、撓み検出部163が撮像素子162にて観察された接触部500の形状に基づいて、支持基板200の撓みを検出する。これにより、支持基板200の撓み易さを検出することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、支持基板200を保持する保持部150が、y軸方向に離間して配置された一対の保持片151、152で構成されている。そのため、検出用プローブヘッド190を所定の力で支持基板200に押し当てた際の支持基板200の湾曲変形の度合いは、支持基板200のx軸方向の全域でほぼ等しくなる。したがって、検出手段160による支持基板200の撓みの検出を容易に行うことができる。また、支持基板200に適した駆動用プローブヘッドも、第1、第2の駆動用プローブヘッド170、180からいずれか一方を選択すれば、選択した駆動用プローブヘッドを支持基板200の全域に用いることができる。
【0048】
2.周波数調整方法(本発明の検査方法)
次に、周波数調整装置100を用いた振動子9の周波数調整方法について説明する。
[1]
まず、支持基板200を、振動子9を下側にして保持部150に載置する。保持部150に支持基板200が保持された状態では、複数の振動子9は、x軸およびy軸に沿ってマトリックス状に配列されている。
【0049】
[2]
次に、検出手段160によって、支持基板200の撓み(撓み易さ)を検出する(検出工程)。すなわち、本工程は、支持基板200の撓みの度合いを検出する検出工程である。検出手段160による支持基板200の撓み(撓み易さ)の検出方法については前述した通りであるため、ここではその説明を省略する。
【0050】
[3]
次に、検出手段160によって検出された支持基板200の撓み(撓みの度合い)に基づいて、第1、第2の駆動用プローブヘッド170、180のうちから適切な駆動用プローブヘッドを1つ選択する。例えば、支持基板200の撓みに閾値を設け、前記閾値よりも撓みが小さければ比較的撓み難い支持基板200であると判断し、前記閾値よりも撓みが大きければ比較的撓み易い支持基板200でると判断する。すなわち、本工程は、前記[1]の検出工程で検出した支持基板200の撓みの度合いに応じて、複数のプローブピンによって支持基板200に加えられる荷重の分布を設定する荷重設定工程である。
【0051】
[4]
比較的撓み易い支持基板200であると判断した場合には、第1、第2の駆動用プローブヘッド170、180のうち、支持基板200のy軸方向中央部の押圧力が弱い第2の駆動用プローブヘッド180を選択する。これにより、第2の駆動用プローブヘッド180のプローブピン182を支持基板200に押し当てた際に、支持基板200の湾曲変形をより効果的に抑制することができ、支持基板200の破損を防止しつつ、プローブピン182と電極部212とを確実に接触させることができる。
【0052】
一方、比較的撓み難い支持基板200であると判断した場合には、第1、第2の駆動用プローブヘッド170、180のうち、支持基板200のy軸方向中央部の押圧力が強い第1の駆動用プローブヘッド170を選択する。これにより、第1の駆動用プローブヘッド170のプローブピン172を支持基板200に押し当てた際に、支持基板200の湾曲変形をより効果的に抑制することができ、支持基板200の破損を防止しつつ、プローブピン172と電極部212とを確実に接触させることができる。
すなわち、本工程は、前記[3]の荷重設定工程において設定した荷重の分布に基づいて、複数のプローブピンを備えているプローブヘッドを準備する準備工程である。
【0053】
なお、以下では、説明の便宜上、第1の駆動用プローブヘッド170を選択した場合について代表して説明する。
[5]
次に、前記移動手段によって保持部150をx軸方向に移動させ、y軸方向の所定の一列に並ぶ複数の振動子9をそれぞれシャッター部121の上方に位置させる。これにより、各振動子9にイオンビームIBを照射し得る状態となる。
【0054】
[6]
次に、各振動子9に対応する全ての電極部212とプローブピン172とが接触するように第1の駆動用プローブヘッド170を上方から支持基板200に所定の力(押圧力)で押し当てる。これにより、各振動子9に対応する全ての電極部212とそれに対応するプローブピン172とが電気的に接続した状態となる。なお、前述したように、第1の駆動用プローブヘッド170を押し当てた状態では、支持基板200の撓みが抑制されており、電極部212とプローブピン172との接触状態も確実に維持されている。
【0055】
[7]
次に、チャンバー110内を減圧状態(好ましくは、真空状態)とするとともに、各プローブピン172を介して各振動子9に対応する一対の電極部212に電圧を印加し、各振動子9を駆動する。そして、駆動させた各振動子9の共振周波数を測定しながら、以下の工程を行う。
【0056】
[8]
次に、各シャッター部121を閉状態とする。次に、イオンガン130をONとし、イオンビームIBを上方に向けて発射する。そして、イオンビームIBが安定するまで、シャッター部121を閉状態としたまま放置する。
次に、各シャッター部121を開状態とする。各シャッター部121を開状態とすると、イオンビームIBが各振動子9に照射され、各振動子9の一部、より具体的には電極部93aの一部が除去され、これに伴う質量の減少によって、各振動子9の共振周波数が徐々に上昇する。
次に、共振周波数が所定の周波数となった振動子9から順に、シャッター部121を閉状態とし、それ以上の共振周波数の変化を阻止する。以上により、振動子9の周波数調整が完了する。
[9]
前記工程[4]〜工程[8]を繰り返すことにより、支持基板200に支持された全ての振動子9の共振周波数の調整を行うことができる。
【0057】
<第2実施形態>
次に、本発明の検査方法および検査装置の第2実施形態について説明する。
図16は、本発明の第2実施形態にかかる検査装置を適用した周波数調整装置が有する第1の駆動用プローブヘッドの断面図、図17は、図16に示す第1の駆動用プローブヘッドを支持基板に押し当てた際の荷重の分布を示す図、図18は、図16に示す周波数調整装置が有する第2の駆動用プローブヘッドの断面図、図19は、図18に示す第2の駆動用プローブヘッドを支持基板に押し当てた際の荷重の分布を示す図である。
【0058】
以下、第2実施形態の検査方法および検査装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態は、駆動用プローブヘッドの構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
−第1の駆動用プローブヘッド−
図16に示すように、第1の駆動用プローブヘッド170Aは、基部171Aと、複数のプローブピン172Aと、各プローブピン172Aを先端側へ向けて付勢する複数のバネ(付勢手段)173Aとを有している。
【0059】
このような第1の駆動用プローブヘッド170Aでは、複数のプローブピン172Aは、それぞれ、プローブピン172Aを支持基板200に押し当てたときに支持基板200に加わる荷重が異なるように設計されている。第1の駆動用プローブヘッド170Aでは、複数のバネ173Aの付勢力をそれぞれ異ならせることにより、複数のプローブピン172Aで前記荷重を異ならせている。
【0060】
y軸方向の中央部に位置するプローブピン172A(172A’)を付勢するバネ173A(173A’)の付勢力が、y軸方向の両端部に位置するプローブピン172A(172A”)を付勢するバネ173A(173A”)の付勢力よりも弱い。なお、第1の駆動用プローブヘッド170Aとしては、これに限定されず、前述では3つであった領域をさらに細分化し、領域毎にバネ173Aの付勢力を設定してもよい。また、y軸方向中央から両端部に向けてバネ173Aの付勢力が漸増するような構成であってもよい。
【0061】
第1の駆動用プローブヘッド170Aをこのような構成とすることにより、プローブピン172Aを支持基板200に押し当てたときに支持基板200のy軸方向に加わる荷重の分布が図17のようになる。すなわち、プローブピン172Aを支持基板200に押し当てたとき、支持基板200のy軸方向中央部に加わる荷重がy軸方向両端部に加わる荷重よりも小さくなる。これにより、プローブピン172Aを押し当てたときの支持基板200の撓みが抑制させるとともに、各プローブピン172Aとそれに対応する電極部212との接触を確実に確保することができる。
【0062】
−第2の駆動用プローブヘッド−
第2の駆動用プローブヘッド180Aは、第1の駆動用プローブヘッド170Aと同様の構成である。すなわち、図18に示すように、第2の駆動用プローブヘッド180Aも板状またはブロック状の基部181Aと、基部181Aから突出して設けられた複数のプローブピン182Aと、各プローブピン182Aを先端側へ向けて付勢する複数のバネ(付勢手段)183Aとを有している。複数のプローブピン182Aの配置は、第1の駆動用プローブヘッド170Aのプローブピン172Aの配置と同様である。
【0063】
また、第1の駆動用プローブヘッド170Aのプローブピン172Aと同様に、複数のプローブピン182Aは、それぞれ、プローブピン182Aを支持基板200に押し当てたときに支持基板200に加わる荷重が異なるように設計されている。
y軸方向の中央部に位置するプローブピン182Aを付勢するバネ183A(183A’)の付勢力が、y軸方向の両端部に位置するプローブピン182Aを付勢するバネ183(183”)の付勢力よりも弱い。
【0064】
ここで、第2の駆動用プローブヘッド180Aのプローブピン182Aを支持基板200に押し当てたときに支持基板200のy軸方向に加わる荷重の分布は、図19に示す通りであり、支持基板200のy軸方向中央部に加わる荷重がy軸方向両端部に加わる荷重よりも小さくなる。これにより、前述した第1の駆動用プローブ170Aと同様の効果を発揮することができる。
【0065】
また、第2の駆動用プローブヘッド180Aのプローブピン182Aを支持基板200に押し当てたときに支持基板200のy軸方向に加わる荷重の分布は、第1の駆動用プローブヘッド170Aのプローブピン712Aを支持基板200に押し当てたときに支持基板200のy軸方向に加わる荷重の分布と異なっている。このように、荷重分布の異なる2つの駆動用プローブヘッド170A、180Aを用意することにより、支持基板200毎に、適切な駆動用プローブを選択することができ、より確実に、支持基板200の湾曲変形を抑制しつつ、プローブピン172A(182A)と電極部212とを接触させることができる。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0066】
<第3実施形態>
次に、本発明の検査方法および検査装置の第3実施形態について説明する。
図20は、本発明の第3実施形態にかかる検査装置を適用した周波数調整装置が有する保持部を示す平面図、図21は、図20に示す周波数調整装置が有する第1の駆動用プローブヘッドの平面図、図22は、図21に示す第1の駆動用プローブヘッドの断面図、図23は、図20に示す周波数調整装置が有する第2の駆動用プローブヘッドの平面図である。
【0067】
以下、第3実施形態の検査方法および検査装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態は、保持部の構成および駆動用プローブヘッドの構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0068】
(保持部)
図20に示すように、本実施形態の保持部150は、枠状をなしており、支持基板200の縁部全周を保持することにより、支持基板200を保持する。このような構成によれば、振動子9へのイオンビームIBの照射を阻害することなく、安定して支持基板200を保持することができる。
【0069】
(第1の駆動用プローブヘッド)
図21および図22に示すように、第1の駆動用プローブヘッド170Bは、板状またはブロック状の基部171Bと、基部171Bに設けられた複数のプローブピン172Bとを有している。基部171Bは、その平面視にて、支持基板200を内包できる大きさをなしている。そして、基部171には、支持基板200に形成された複数の電極部212に対応するように、複数のプローブピン172Bがマトリックス状に設けられている。
ここで、保持部150は枠状をなしているため、保持部150に保持された支持基板200にプローブヘッド等を押し当てると、支持基板200は、ドーム型(お椀型)に湾曲変形する。そのため、このような変形を抑制できるように複数のプローブピン172Bが構成されている。
【0070】
複数のプローブピン172Bは、それぞれ、プローブピン172Bを支持基板200に押し当てたときに支持基板200に加わる荷重が異なるように設計されている。複数のプローブピン172Bは、基部171Bからの突出長さLが異なっており、基部171Bの中央部に位置するプローブピン172B(172B’)の突出長さL’が、縁部に位置するプローブピン172B(172B”)の突出長さL”よりも短い。具体的には、中央部S4および縁部S5の2つの領域に分け、縁部S5に含まれる全てのプローブピン172B”の突出長さL”をA(mm)とし、中央部S4に含まれる全てのプローブピン172B’の突出長さL’を前記Aよりも短いB(mm)としている。
第1の駆動用プローブヘッド170Bをこのような構成とすることにより、プローブピン172Bを押し当てたときの支持基板200の撓みが抑制させるとともに、各プローブピン172Bとそれに対応する電極部212との接触を確実に確保することができる。
【0071】
(第2の駆動用プローブヘッド)
第2の駆動用プローブヘッド180Bは、第1の駆動用プローブヘッド170Bと同様の構成であるが、中央部S4に位置するプローブピン182B(182B’)の突出長さL’が、第1の駆動用プローブヘッド170Bのプローブピン172B’の突出長さL’よりも短い。
【0072】
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上、検査方法および検査装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、駆動用プローブヘッドとして、荷重分布の異なる2つの駆動用プローブヘッドを有する構成について説明したが、駆動用プローブヘッドの数としては、これに限定されず、荷重分布が異なる3つ以上の駆動用プローブヘッドを有していてもよい。
【符号の説明】
【0073】
100…周波数調整装置 110…チャンバー 120…シャッター装置 121…シャッター部 122…駆動部 122a…本体 122b…シャフト 123…連結部 124…支持部 130…イオンガン 140…遮蔽板 150…保持部 151、152…保持片 160…検出手段 161…光源 162…撮像素子 163…撓み検出部 170…プローブヘッド 170、170A、170B…第1の駆動用プローブヘッド
171、171A、171B…基部 172、172A、172B…プローブピン 173A…バネ 180、180A、180B…第2の駆動用プローブヘッド 181、181A、181B…基部 182、182A、182B…プローブピン 183A…バネ
190…検出用プローブヘッド 191…基部 192…プローブピン 200…支持基板 210…導電部 211、212…電極部 213…導体ポスト 250、260…導電性接着剤 500…接触部 712…プローブピン 800…倣い治具 801、802、803…倣い面 9…振動子 91…圧電基板 93…励振電極 93a…電極部 93b…ボンディングパッド 93c…配線 95…励振電極 95a…電極部 95b…ボンディングパッド 95c…配線 S1、S2、S3…両端部 S4…中央部 S5…縁部 IB…イオンビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の振動子を支持する支持基板にプローブピンを押し当て、前記振動子の特性を検査する検査方法であって、
前記支持基板の撓みの度合いを検出する検出工程と、
前記検出工程で検出した前記支持基板の撓みの度合いに応じて、複数の前記プローブピンによって前記支持基板に加えられる荷重の分布を設定する荷重設定工程と、
複数の前記プローブピンを備えているプローブヘッドを準備する準備工程と、を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項2】
複数の前記プローブピンによって前記支持基板に加えられる荷重の分布が異なる複数の前記プローブヘッドを用意し、
前記検出工程で検出した前記支持基板の撓みの度合いに応じて複数の前記プローブヘッドから任意の前記プローブヘッドを選択する請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記準備工程で準備した前記プローブヘッドは、前記支持基板との距離が異なる複数の前記プローブピンを備えている請求項1または2のいずれかに記載の検査方法。
【請求項4】
複数の前記プローブピンは、所定方向に並んで配列されており、前記所定方向の中央部に位置する前記プローブピンの先端と前記支持基板との距離は、前記所定方向の両端部に位置する前記プローブピンの先端と前記支持基板との距離よりも長い請求項3に記載の検査方法。
【請求項5】
複数の前記プローブピンは、それぞれ、付勢手段によって付勢されているとともに、前記付勢手段による付勢力が異なっている請求項1または2に記載の検査方法。
【請求項6】
複数の前記プローブピンは、所定方向に並んで配列されており、前記所定方向の中央部に位置する前記プローブピンへの付勢力は、前記所定方向の両端部に位置する前記プローブピンへの付勢力よりも小さい請求項5に記載の検査方法。
【請求項7】
複数の振動子を支持する支持基板を保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記支持基板の撓みを検出する検出手段と、
前記支持基板に押し当て前記振動子を駆動させる複数のプローブヘッドと、を備え、
前記複数のプローブヘッドは、それぞれ、基部と、該基部から突出し前記支持基板に接触させて振動子を駆動させるための複数のプローブピンとを備え、前記複数のプローブピンによって前記支持基板に加わる荷重の分布が前記複数のプローブヘッド毎でそれぞれ異なっていることを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−92412(P2013−92412A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233664(P2011−233664)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】