説明

検査方法及び検査装置

【課題】複数の検査対象部品の移動速度を遅くせずに一定速度で移動している状態で、高精度で良否の検出を行うことができる検査方法及び検査装置を提供する。
【解決手段】移送手段13は複数の被検査品11を一定間隔で保持する支持部材12を載置する載置部16を備え、モータ15により駆動される。検査手段14は載置部16上に載置されて支持部材12と共に一定速度で移動する被検査品11を順次検査する。モータ15は、載置部16が支持部材搬入部17と対応する位置で停止した状態から移送手段13の駆動を開始して、支持部材12が検査手段14の検査領域に到達するまでに支持部材12が予め設定された所定速度に達するとともにその所定速度で検査領域を通過し、その後、支持部材12が支持部材取り出し部18と対応する状態で停止するように、制御装置20により制御される。検査手段14による検査時に不良品が存在した場合、制御装置20がその不良品を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査方法及び検査装置に係り、詳しくは複数の被検査品を所定位置に配置された検査手段の検査領域を順次通過させて被検査品の良否を検出する検査方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の被検査品を所定位置に配置された検査手段の検査領域を順次通過させて被検査品の良否を検出する検査装置がある。この種の検査装置として、図6に示すように、キャリアテープ50上に等間隔に配設された部品51を保持する保持溝52aが形成された円盤状のターレット52をモータ53により所定の一定速度で回転させるとともに、ターレット52の近傍に設けられた良否検出センサ54で検出する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。検査装置は、良否検出センサ54が不良品を検出するとその不良の部品51が、所定位置に配置された排出装置55と対向する位置で停止させ、不良の部品51をキャリアテープ50上から排出した後、再びターレット52を所定速度まで加速した後、一定速度で駆動するという動作を繰り返す。モータ53を制御するコントローラ56に、入力装置57により、モータ53の定回転速度、加速時間、減速時間、保持溝52aの数が入力される。コントローラ56はそれらの値が入力されると、モータ53の回転軸の現在の回転位置GPに基づいて、良否検出センサ54を作動させる回転位置CPと、部品51を排出装置55の位置に停止させるためにモータ53の減速を開始する回転位置RPとを算出する。そして、モータ53の運転を開始して回転位置GPが回転位置CPに達すると、良否検出センサ54を作動させて回転位置CPを更新する。また、回転位置GPが回転位置RPに達したとき、良否検出センサ54にて良品と判定されていれば回転位置RPを更新し、不良ならば減速を開始する。
【特許文献1】特開平7−303384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の装置では、360度を保持溝52aの数(分割数)で割った角度だけ回転軸が回転される毎に良否検出センサ54の駆動信号が出力される。そのため、分割数が増えた場合、停止信号の入力タイミングや加減速中にも良否検出センサ54の駆動信号が出力される。その結果、良否検出センサ54による検出時期に検査対象部品が等速で移動していない場合が生じる。検査対象部品が等速で移動していない場合は、等速で移動している場合と同様に検査データを採るのが難しく、検査ミスが発生する虞がある。加減速中に良否検出センサ54の駆動信号が出力されないように回転速度を遅くすれば、前記の不具合は解消できるが、良否検出にかかる時間が長くなるという問題がある。
【0004】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数の検査対象部品の移動速度を遅くせずに一定速度で移動している状態で、高精度で良否の検出を行うことができる検査方法及び検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数の被検査品を一定間隔で保持する支持部材を停止中の移送手段上の予め設定された位置に載置した後、前記移送手段を駆動して前記支持部材を一定速度で移動させ、前記支持部材の一定速度の移動中に前記支持部材に保持された複数の被検査品を所定位置に設けられた検査手段で検査し、不良品が存在する場合その被検査品を特定し、前記支持部材上に搭載された全ての被検査品の検査が終了した後、前記移送手段を減速させるとともに前記支持部材の取り出し位置で停止させ、前記支持部材を被検査品と共に取り出す。
【0006】
この発明の検査方法では、複数の被検査品が一定速度で移動中に、所定位置に設けられた検査手段により良否が検出され、検査手段が不良品を検出したか否かに拘わらず、支持部材上に保持された全ての被検査品の検査が一定速度で継続される。そして、支持部材上に保持された全ての被検査品の検査が終了すると、移送手段を減速させて支持部材が取り出し位置と対応する状態で移送手段が停止される。そして、支持部材が被検査品と共に取り出される。即ち、従来装置と異なり、複数の被検査品が一定速度で移動する状態において、検査手段により不良品の有無に関係なく連続的に良否の検査が行われる。その結果、移送手段の加速中や減速中に被検査品の検査が行われることがなく、検査精度が高くなる。また、不良品がなくても支持部材を移送手段上に載置するためと、取り出し位置から取り出すために移送手段が停止される。しかし、従来装置のように一定間隔で被検査品を移動させる方法において、加速中や減速中に被検査品の検査が行われないように全体の移動速度を遅くした場合に比較して、全体としての検査時間は短くなる。また、不良品が存在する場合その被検査品が特定されるため、支持部材を取り出し位置で取り出した後、後工程で不良品は容易に分別される。
【0007】
請求項2に記載の発明は、複数の被検査品を一定間隔で保持する支持部材を載置する載置部を備えるとともにモータにより駆動され、前記載置部が循環移動可能な移送手段と、前記載置部の移動経路と対向する所定位置に設けられ、前記載置部上に載置されて移動する支持部材に一定間隔で保持された被検査品を順次検査する検査手段と、前記被検査品を保持した支持部材を前記載置部に載置するための支持部材搬入部と、前記検査手段による検査が終了した後の被検査品を保持した支持部材を載置部から取り出すための支持部材取り出し部と、前記載置部が前記支持部材搬入部と対応する位置で停止した状態から前記移送手段の駆動を開始して、前記支持部材が前記検査手段の検査領域に到達するまでに前記支持部材が予め設定された所定速度に達するとともにその所定速度で前記検査領域を通過し、その後、前記支持部材が前記支持部材取り出し部と対応する状態で停止するように前記モータを制御する制御手段と、前記検査手段による検査時に不良品が存在した場合その不良品を特定する不良品特定手段とを備えた。ここで、「予め設定された所定速度」とは、検査手段の検査に支障のない速度で、かつモータによって支障なく駆動できる速度を意味する。
【0008】
この発明の検査装置では、複数の被検査品を一定間隔で保持する支持部材を載置する載置部は循環移動され、載置部が支持部材搬入部と対応する位置で移送手段が停止した状態で、複数の被検査品を保持する支持部材が載置部上に載置される。支持部材が載置部上に載置された後、移送手段が駆動される。そして、支持部材は検査手段の検査領域に到達するまでに予め設定された所定速度に達するとともに、その所定速度で検査領域を通過する。支持部材が検査領域を通過した後、移送手段は減速されて支持部材が支持部材取り出し部と対応する状態で停止する。そして、支持部材が載置部から取り出されて後工程に送られる。被検査品に不良品が存在した場合、検査手段による検査時にその不良品が不良品特定手段により特定される。したがって、請求項1の発明の検査方法を実施することができ、請求項1の発明の効果が得られる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記移送手段は、回転軸に一体回転可能に支持されるとともに上面に前記載置部が設けられた円盤であり、前記制御手段は前記載置部上に載置された支持部材に保持された先頭の被検査品が前記検査領域にさしかかる時点から、各被検査品の間隔に対応する所定時間間隔でパルス信号を出力し、前記検査手段はそのパルス信号に基づいて前記被検査品の検査を行う。
【0010】
この発明では、検査手段は、各被検査品が検査領域を通過する時期を、モータを制御する制御手段から出力されるパルス信号で確認できるため、移送手段の移動速度に関係なく、適正な時期に検査を行うことができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記不良品特定手段は、前記パルス信号をカウントし、パルス信号のカウント値と前記被検査品とを対応づけて不良品を特定する。この発明では、支持部材に保持された各被検査品の検査が制御手段から出力されるパルス信号に基づいて行われるため、パルス信号のカウント値がある値の時に不良品を検出すれば、そのカウント値に対応する被検査品が不良品と特定される。したがって、検査手段の検査を継続した状態でも容易に不良品を特定することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の発明において、前記円盤上には2つの載置部が前記回転軸に対して点対称の位置に設けられており、前記支持部材搬入部及び前記支持部材取り出し部は、前記円盤の外側において前記回転軸に対して点対称の位置に設けられている。この発明では、検査を終了した支持部材が支持部材取り出し部と対応する位置に停止した状態では、支持部材搬入部において円盤の載置部上に新たに検査を行う被検査品が保持された支持部材を載置することができる。したがって、円盤の載置部上への支持部材の載置と、円盤の載置部上からの支持部材の取り出しとを効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の検査対象部品の移動速度を遅くせずに一定速度で移動している状態で、高精度で良否の検出を行うことができる検査方法及び検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、検査装置10は、複数の被検査品11を一定間隔で保持する支持部材12を移送する移送手段13と、一定速度で移動する支持部材12上の被検査品11の良否を検査する検査手段14とを備えている。
【0015】
移送手段13は、モータ15の回転軸15aに一体回転可能に支持された円盤で形成されている。移送手段13は水平状態で支持され、上面に支持部材12を載置する載置部16が設けられている。移送手段13上には2つの載置部16が、回転軸15aに対して点対称の位置に設けられている。載置部16は支持部材12を係止可能に形成され、この実施形態では支持部材12の形状に合わせた凹部で構成されている。支持部材12は、載置部16上に載置された状態において、複数の被検査品11が回転軸15aを中心とする同一円弧上に位置する状態で保持するように形成されている。即ち、移送手段13は、複数の被検査品11を一定間隔で保持する支持部材12を載置する載置部16を備えるとともに、モータ15により駆動され、載置部16が循環移動可能に構成されている。
【0016】
移送手段13の外側には、被検査品11を保持した支持部材12を載置部16に載置するための支持部材搬入部17と、検査手段14による検査が終了した後の被検査品11を保持した支持部材12を載置部16から取り出すための支持部材取り出し部(支持部材搬出部)18とが設けられている。支持部材搬入部17及び支持部材取り出し部18は、回転軸15aに対して点対称の位置に設けられている。
【0017】
検査手段14は、移送手段13の上方で、載置部16の移動経路と対向する所定位置に設けられている。所定位置とは、載置部16が支持部材搬入部17と対応する位置で停止した状態から移送手段13の駆動を開始した場合、支持部材12が検査手段14の検査領域に到達するまでに、支持部材12が予め設定された所定速度に達することができる位置である。検査手段14は、支持部材12が検査手段14の下方を所定の一定速度で通過する間に、支持部材12に一定間隔で保持された被検査品11を順次検査する。検査手段14は、不良品を検出すると、不良品検出信号を出力する。
【0018】
検査手段14は、被検査品11の何を検査するかによって、適切な検出装置が使用される。例えば、形で良否を判断する場合はCCDカメラを装備し、撮影画像で良否判断を行う。
【0019】
モータ15は、ロータの周面に互いに極性の異なる永久磁石が交互に配設され、ステータ側に3相コイルによって励磁される複数の極歯を備えた所謂PM型モータの構造を有しており、減速機を介すことなく移送手段13を回転可能な高トルクを発生する。また、モータ15の内部には、回転軸15aの回転位置を検出するための回転位置検出手段としてレゾルバが設けられている。
【0020】
モータ15を制御する制御手段としての制御装置20は、CPU21と、制御プログラムが格納されたROM22と、CPU21の演算結果や入力装置23から入力された制御パラメータ等を一時記憶するRAM24と、CPU21からの指令に基づきモータ15へ駆動信号(PWM信号)を出力するドライバ部25とを備えている。また、制御装置20は、モータ15内のレゾルバコイルに交流を流すとともに、その電流値を検出して回転軸15aの回転位置(絶対位置)を検出する位置検出手段としての位置検出部26と、入出力インタフェース27と、データバス28とを備えている。CPU21が実行する制御プログラムとしてモータ制御用の制御プログラムがある。
【0021】
制御装置20は、載置部16が支持部材搬入部17と対応する位置で停止した状態から移送手段13の駆動を開始して、支持部材12が検査手段14の検査領域に到達するまでに支持部材12が予め設定された所定速度に達するとともにその所定速度で検査領域を通過するようにモータ15を制御する。また、制御装置20は、支持部材12に保持された全ての被検査品11の検査が終了した後、即ち支持部材12の後端が検査領域を通過した後、支持部材12が支持部材取り出し部18と対応する状態で、移送手段13が停止するようにモータ15を制御する。
【0022】
また、制御装置20は、載置部16上に載置された支持部材12に保持された先頭の被検査品11が検査領域にさしかかる時点から、各被検査品11の間隔に対応する所定間隔でパルス信号を出力し、検査手段14はそのパルス信号に基づいて被検査品11の検査を行う。パルス信号の間隔は、回転軸15aが予め設定された所定速度で回転する際に、隣接する被検査品11と回転軸15aの中心とを結ぶ直線が成す角度θ分回転軸15aが回転するのに必要な時間に設定されている。前記角度θは、被検査品11に対応して使用される支持部材12の種類によって決まり、入力装置23により入力される。
【0023】
制御装置20は、前記パルス信号をカウントし、検査手段14からの不良品検出信号を入力すると、そのパルス信号を入力した時のカウント値と被検査品11とを対応づけて不良品を特定する。即ち、支持部材12に保持された被検査品11のうちで、先頭から前記不良品検出信号が入力された時のカウント値に相当する順番に保持された被検査品11を不良品として特定してRAM24に記憶する。制御装置20は、検査手段14による検査時に不良品が存在した場合、その不良品を特定する不良品特定手段を構成する。
【0024】
次に前記のように構成された検査装置10の作用を説明する。
検査装置10の運転に先立って、使用する支持部材12に対応した隣接する被検査品11が回転軸15aの中心と成す角度θと、所定速度(回転軸15aの所定回転速度)とが入力装置23により入力される。角度θが入力されると、CPU21は、入力された角度θの値と回転軸15aの所定回転速度とから、検査手段14に出力するパルス信号の出力間隔時間を演算し、その値をRAM24に記憶する。また、移送手段13は、一方の載置部16が支持部材搬入部17と対応する位置で停止しており、複数の被検査品11を保持した支持部材12が載置部16上に載置される。その状態で運転スイッチが起動操作されると、検査装置10の運転が開始される。
【0025】
運転スイッチが起動操作されると、CPU21は、図2に示すフローチャートにしたがって処理を実行する。CPU21は、ステップS1で、載置部16上に載置された支持部材12が検査手段14の検査領域に到達するまでに、回転軸15aの回転速度が予め設定された所定速度に達するように、モータ15を加速制御する制御信号をドライバ部25出力する。その制御信号に基づいて、モータ15がドライバ部25により駆動制御されて、移送手段13が回転軸15aにより回転される。回転軸15aの回転位置は位置検出部26により検出される。CPU21は位置検出部26の検出結果によって回転軸15aの位置を確認し、所定の加速度となるようにモータ15を制御する。
【0026】
次にCPU21は、ステップS2で、回転軸15aの回転速度が所定の回転速度に達したか否かを判断する。CPU21は、回転軸15aが所定速度に達していなければステップS2に戻り、加速を継続するようにモータ15の制御を行う。また、回転軸15aが所定速度に達すると、ステップS3に進み、回転軸15aが所定速度で回転するようにモータ15を制御する制御信号をドライバ部25出力する。
【0027】
CPU21は、ステップS3に進んだ後、ステップS4に進み、ステップS4で、支持部材12が検査手段14の検査領域に到達する位置まで、即ち回転開始から所定角度、回転軸15aが回転したか否かを判断する。CPU21は、回転軸15aが所定角度回転していなければステップS3に戻り、回転軸15aが所定角度回転していればステップS5に進む。CPU21は、ステップS5で回転軸15aが所定速度で回転するようにモータ15を制御する制御信号をドライバ部25出力するとともに、所定時間間隔でパルス信号を検査手段14に出力する。パルス信号が出力されると、制御装置20に装備された図示しないカウンタによりパルス信号の出力回数がカウントされる。
【0028】
CPU21は、ステップS5に進んだ後、ステップS6に進み、ステップS6で前記パルス信号のカウント値が所定の値に達したか否かを判断し、所定の値に達したときはステップS7に進み、達していないときはステップS5に戻る。CPU21は、ステップS7で回転軸15aの位置がモータ15の減速を開始すべき位置に達したか否かを判断する。そして、回転軸15aの位置がモータ15の減速を開始すべき位置に達すると、CPU21は、ステップS8に進み、ステップS8で、支持部材12が支持部材取り出し部18と対応する状態で停止するようにモータ15を減速制御する制御信号をドライバ部25に出力する。その制御信号に基づいて、モータ15がドライバ部25により駆動制御されて、移送手段13の減速が開始される。CPU21は、ステップS9において回転軸15aの回転速度が零になったか否かを判断し、回転軸15aの回転速度が零になるとモータ15の制御を終了する。そして、支持部材12が支持部材取り出し部18と対応する状態で移送手段13が停止される。以上でモータ15の一連の制御が終了する。
【0029】
回転軸15aの回転速度、即ち移送手段13の回転速度の変化と、パルス信号の出力時期との関係は図3に示すようになる。即ち、モータ15の駆動開始から移送手段13の回転速度は所定速度に達するまで連続的に加速され、所定速度に達した後、その所定速度に保持され、その後、連続的に減速されて停止される。そして、移送手段13が所定速度で回転されている間にパルス信号が所定時間間隔で被検査品11の数と同じ回数出力される。なお、図示の都合上、図1における被検査品11の数と、図3におけるパルス数とは一致していない。また、一般に、実際の被検査品11の数は図示した数より多い。
【0030】
検査の終了した被検査品11を保持した支持部材12が支持部材取り出し部18と対応する位置で移送手段13が停止すると、支持部材12は図示しない取り出し装置により載置部16から取り出され、後工程に送られる。また、支持部材搬入部17と対応する位置には支持部材12の載置されていない載置部16が位置する状態になるため、検査を必要とする被検査品11を保持した支持部材12が図示しない載置手段により載置部16上に載置される。そして、支持部材12の取り出し及び支持部材12の載置が完了した後、再び、検査装置10の運転が再開されて、前記と同様にして被検査品11の検査が行われる。
【0031】
検査手段14は、一定速度で支持部材12と共に検査手段14の下方を移動する被検査品11の不良を検出すると、不良品検出信号を出力する。CPU21は、検査手段14からの不良品検出信号を入力すると、そのときのカウンタのカウント値をRAM24に記憶する。この処理は、CPU21がモータ15の制御を行っている際に、割り込み処理で行われる。そして、CPU21は、モータ15が停止して次の運転開始までの間に、支持部材12に保持されていた何番目の被検査品11が不良品であるかのデータを後工程に出力する。このデータに基づき、後工程において不良品が分別される。
【0032】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)検査装置10は、複数の被検査品11を一定間隔で保持する支持部材12を載置する載置部16を備えるとともにモータ15により駆動され、載置部16が循環移動可能な移送手段13と、載置部16上に載置されて移動する支持部材12に一定間隔で保持された被検査品11を順次検査する検査手段14とを備えている。制御装置20は、載置部16が支持部材搬入部17と対応する位置で停止した状態から駆動を開始して、支持部材12が検査手段14の検査領域に到達するまでに支持部材12が所定速度に達するとともにその所定速度で検査領域を通過し、その後、支持部材12が支持部材取り出し部18と対応する状態で停止するようにモータ15を制御する。したがって、被検査品11の検査は被検査品11が一定速度で移動している間に行われるため、検査を高精度でおこなうことができる。また、従来装置のように一定間隔で被検査品を移動させる構成において、加速中や減速中に被検査品の検査が行われないように全体の移動速度を遅くした場合に比較して、全体としての検査時間は短くなる。
【0033】
(2)検査装置10は、検査手段14による検査時に不良品が存在した場合、その不良品を特定する不良品特定手段を備えている。したがって、不良品が存在する場合に検査手段による検査を継続したままで、不良品の被検査品11が特定されるため、支持部材12を取り出し位置で取り出した後、後工程で不良品を容易に分別することができる。
【0034】
(3)移送手段13は、回転軸15aに一体回転可能に支持されるとともに上面に載置部16が設けられた円盤である。したがって、載置部16が循環移動可能な移送手段13
の構成が簡単になる。
【0035】
(4)制御装置20は載置部16上に載置された支持部材12に保持された先頭の被検査品11が検査領域にさしかかる時点から、各被検査品11の間隔に対応する所定時間間隔でパルス信号を出力し、検査手段14はそのパルス信号に基づいて被検査品11の検査を行う。したがって、検査手段14は、各被検査品11が検査領域を通過する時期を、モータ15を制御する制御装置20から出力されるパルス信号で確認できるため、移送手段13の移動速度に関係なく、適正な時期に検査を行うことができる。
【0036】
(5)制御装置20は、前記パルス信号をカウントし、パルス信号のカウント値と被検査品11とを対応づけて不良品を特定する。支持部材12に保持された各被検査品11の検査が制御装置20から出力されるパルス信号に基づいて行われるため、パルス信号のカウント値がある値の時に不良品を検出すれば、そのカウント値に対応する被検査品11が不良品と特定される。したがって、検査手段14の検査を継続した状態でも容易に不良品を特定することができる。
【0037】
(6)移送手段13は円盤として形成され、移送手段13上には2つの載置部16が回転軸15aに対して点対称の位置に設けられており、支持部材搬入部17及び支持部材取り出し部18は、移送手段13の外側において回転軸15aに対して点対称の位置に設けられている。したがって、検査を終了した支持部材12が支持部材取り出し部18と対応する位置に停止した状態では、支持部材搬入部17において移送手段13の載置部16上に新たに検査を行う被検査品11が保持された支持部材12を載置することができる。その結果、移送手段13の載置部16上への支持部材12の載置と、載置部16上からの支持部材12の取り出しとを効率良く行うことができる。
【0038】
(7)載置部16に載置された支持部材12が検査手段14の検査領域に到達したことや減速地点に到達したことの検出を、モータ15の制御に必要な回転軸15aの位置や回転速度を検出するセンサ(この実施形態ではレゾルバ)の検出信号を利用して行うため、専用のセンサを設ける必要がない。そのため、支持部材12の位置検出専用のセンサを設ける場合に比較して、組み付けの工数やコスト低減を図ることができるとともに、センサの取り付けスペースを確保する必要が無い。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図4(a),(b)にしたがって説明する。この第2の実施形態は、移送手段の構成が第1の実施形態と大きく異なっている。第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0040】
図4(a),(b)に示すように、移送手段31はベルトコンベアで構成されている。ベルトコンベアは、駆動プーリ32と、従動プーリ33と、駆動プーリ32及び従動プーリ33間に巻き掛けられたベルト34とを備えている。駆動プーリ32はモータ35の回転軸35aに一体回転可能に連結されている。モータ35は図示しないロータリエンコーダを備えている。ベルト34には支持部材12の載置部16が複数、例えば、2個設けられている。ベルト34には載置部16の前後に、支持部材12の位置を規制する凸部34aが設けられている。
【0041】
ベルト34の上方で、駆動プーリ32及び従動プーリ33からほぼ等距離の位置に検査手段14が配設されている。また、図4(b)に示すように、ベルト34の水平走行位置の近くには、検査手段14を挟んでベルト34の走行方向上流側に支持部材搬入部17が設けられ、下流側に支持部材取り出し部18が設けられている。
【0042】
制御装置20(CPU21)は、ロータリエンコーダの出力信号に基づいて回転軸35aの回転速度を演算する。また、CPU21は、載置部16が支持部材搬入部17と対応する基準位置に存在する状態から回転を開始した時の回転軸15aの回転量を演算して、基準位置からの載置部16の移動量を演算する。
【0043】
使用する支持部材12に対応した隣接する被検査品11の間隔Dが入力装置23により入力されると、CPU21は、間隔Dの値と予め設定されている回転軸35aの所定回転速度とから、検査手段14に出力するパルス信号の出力間隔時間を演算し、その値をRAM24に記憶する。また、移送手段31は、一方の載置部16が支持部材搬入部17と対応する位置で停止しており、複数の被検査品11を保持した支持部材12が載置部16上に載置される。その状態で運転スイッチが起動操作されると、検査装置10の運転が開始される。
【0044】
支持部材12が所定速度に達するまでモータ35が加速制御された後、モータ35は所定速度で回転するように定速制御(等速制御)される。そして、支持部材12が検査手段14の検査領域に到達する位置まで、即ち回転開始から所定回転量、回転軸15aが回転された後、所定時間間隔でパルス信号が検査手段14に出力される。検査手段14は、そのパルス信号に基づいて被検査品11の検査を行う。不良品の特定は第1の実施形態と同様にして行われる。
【0045】
支持部材12に保持された全ての被検査品11の検査が終了して、回転軸35aの回転量が予め設定された値に達すると減速が開始され、モータ35が減速制御される。そして、支持部材12が支持部材取り出し部18と対応する位置で移送手段31が停止する。その状態で12が取り出された後、再びモータ35の駆動が開始され、次の載置部16が支持部材搬入部17と対応する位置で停止するようにモータ35が制御される。次の載置部16が支持部材搬入部17と対応する位置で停止すると、最初の状態と同じ状態になる。以下前記と同様の動作が繰り返される。
【0046】
したがって、この実施形態によれば、第1の実施形態における(1),(2),(4),(5),(7)と同様の効果の他に次の効果を得ることができる。
(8)移送手段31がベルトコンベアで構成されているため、支持部材搬入部17及び支持部材取り出し部18を移送手段31の同じ側に設けることができ、前工程から支持部材12を移送してくる移送手段と、後工程に支持部材12を移送する移送手段とを検査装置10に連結するためのスペースの確保が容易になる。
【0047】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第1の実施形態のように移送手段13を円盤状に形成するとともに、2個の載置部16を回転軸15aに対して点対称の位置に形成した場合、図5に示すように、2個の検査手段14を回転軸15aに対して点対称の位置に配設する。そして、支持部材搬入部17及び支持部材取り出し部18に代えて、支持部材搬入搬出部36を設ける。この場合、モータ15の制御及び検査手段14による被検査品11の検査は第1の実施形態と同様に行われるが、検査手段14が2箇所に設けられて同時に被検査品11の検査が行われるため、検査装置の稼働率が高くなる。支持部材12を載置部16上から取り出した後、検査を必要とする被検査品11を保持した支持部材12を直ぐに載置部16上に載置する必要があるため、支持部材12の取り出し及び載置(搬出及び搬入)の作業に多少時間がかかるが、トータル時間では1個当たりの被検査品11の検査に必要な時間を短くできる。
【0048】
○ 第1の実施形態のように移送手段13を円盤状に形成した構成において、移送手段13の大きさによっては、載置部16を2箇所より多く、例えば120度の間隔で3箇所に設けてもよい。また、移送手段13が小さな場合、載置部16を1箇所設け、支持部材搬入搬出部36を1箇所に設けてもよい。
【0049】
○ 第1の実施形態において、検査手段14の検査指令信号となるパルス信号を出力する時期を、回転軸15aが所定位置まで回転したことを位置検出部26の検出信号で確認して行う代わりに、モータ15の起動時からの経過時間に基づいて行ってもよい。しかし、回転位置に基づいて行う方が、精度が高くなる。
【0050】
○ 第1の実施形態のように移送手段13を円盤で構成した場合、移送手段13をモータ15の回転軸15aに直接連結するとともに、回転軸15aの1回転で移送手段13を1回転させる構成に限らない。例えば、移送手段13を回転軸15aの回転がギヤ又は巻き掛け伝導機構で伝達される従動軸に対して一体回転可能に固定してもよい。この場合、移送手段13と回転軸15aとの回転数比は、ギヤ比や、回転軸15aと従動軸との回転数比によって決まり、移送手段13の回転速度を回転軸15aの回転速度より遅くしたり、速くしたりすることができる。
【0051】
○ 第1の実施形態において、回転軸15aの位置検出をレゾルバに代えてロータリエンコーダやポテンショメータで行うようにしてもよい。
○ 第1の実施形態において、入力装置23で入力された角度θと、移送手段13の所定速度に基づいて、CPU21から検査手段14の検出時期を指令するパルス信号の出力間隔を演算したが、支持部材12として被検査品11の保持間隔が同じものしか使用しない専用機の場合、角度θの入力を不要としてもよい。また、所定速度も変更不能な構成としてもよい。この場合、前記パルス信号の出力時期は一義的に決まるため、CPU21が演算する必要がない。
【0052】
○ 第1の実施形態において、載置部16は支持部材12を位置決め保持できる構成であればよく、凹部に限らず、第2の実施形態のように支持部材12と係合可能な凸部を載置部16の前後に設けてもよい。
【0053】
○ 載置部16に載置された支持部材12が検査手段14の検査領域に到達したことや減速地点に到達したことを検出するためのセンサを設けてもよい。
○ モータ15,35はPM型モータに限らず、例えば、誘導形サーボモータであってもよい。
【0054】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
・ 請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記載置部に載置された前記支持部材が前記検査領域に到達したことを、前記モータの制御に必要な前記モータの回転軸の回転位置や回転速度を検出するセンサの検出信号を利用して確認する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施形態の構成図。
【図2】制御装置の作用を示すフローチャート。
【図3】良否検出センサの駆動信号の出力タイミングを示すグラフ。
【図4】(a)は第2の実施形態の模式側面図、(b)は模式平面図。
【図5】別の実施形態の概略斜視図。
【図6】従来技術の構成図。
【符号の説明】
【0056】
11…被検査品、12…支持部材、13,31…移送手段、14…検査手段、15,35…モータ、15a,35a…回転軸、16…載置部、17…支持部材搬入部、18…支持部材取り出し部、36…支持部材搬入部及び支持部材取り出し部としての支持部材搬入搬出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被検査品を一定間隔で保持する支持部材を停止中の移送手段上の予め設定された位置に載置した後、前記移送手段を駆動して前記支持部材を一定速度で移動させ、前記支持部材の一定速度の移動中に前記支持部材に保持された複数の被検査品を所定位置に設けられた検査手段で検査し、不良品が存在する場合その被検査品を特定し、前記支持部材上に搭載された全ての被検査品の検査が終了した後、前記移送手段を減速させるとともに前記支持部材の取り出し位置で停止させ、前記支持部材を被検査品と共に取り出すことを特徴とする検査方法。
【請求項2】
複数の被検査品を一定間隔で保持する支持部材を載置する載置部を備えるとともにモータにより駆動され、前記載置部が循環移動可能な移送手段と、
前記載置部の移動経路と対向する所定位置に設けられ、前記載置部上に載置されて移動する支持部材に一定間隔で保持された被検査品を順次検査する検査手段と、
前記被検査品を保持した支持部材を前記載置部に載置するための支持部材搬入部と、
前記検査手段による検査が終了した後の被検査品を保持した支持部材を載置部から取り出すための支持部材取り出し部と、
前記載置部が前記支持部材搬入部と対応する位置で停止した状態から前記移送手段の駆動を開始して、前記支持部材が前記検査手段の検査領域に到達するまでに前記支持部材が予め設定された所定速度に達するとともにその所定速度で前記検査領域を通過し、その後、前記支持部材が前記支持部材取り出し部と対応する状態で停止するように前記モータを制御する制御手段と、
前記検査手段による検査時に不良品が存在した場合その不良品を特定する不良品特定手段と
を備えた検査装置。
【請求項3】
前記移送手段は、回転軸に一体回転可能に支持されるとともに上面に前記載置部が設けられた円盤であり、前記制御手段は前記載置部上に載置された支持部材に保持された先頭の被検査品が前記検査領域にさしかかる時点から、各被検査品の間隔に対応する所定時間間隔でパルス信号を出力し、前記検査手段はそのパルス信号に基づいて前記被検査品の検査を行う請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記不良品特定手段は、前記パルス信号をカウントし、パルス信号のカウント値と前記被検査品とを対応づけて不良品を特定する請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記円盤上には2つの載置部が前記回転軸に対して点対称の位置に設けられており、前記支持部材搬入部及び前記支持部材取り出し部は、前記円盤の外側において前記回転軸に対して点対称の位置に設けられている請求項3又は請求項4に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−127128(P2008−127128A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311808(P2006−311808)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】