検査治具装置
【課題】 基準面との平行を確保するための長手部材を備えた部品にミラーが固定された部品に対してであっても、水平な基準面に部品を置いた状態で傾斜したミラーの基準面との角度を測定することができ、傾斜の異なる2つのミラーに対しても検査対象部品の置き直しを必要とせずに測定することができるようにする。
【解決手段】 まず上スライド部2と下スライド部3とを左右にスライドさせ、また上測定針4と下測定針5とを回転させ、上測定針4および下測定針5のそれぞれがミラー74b、74aの面にぴったりと合うようにする。その状態で上測定針4と設置基準面との角度θ1、および下測定針5と設置基準面との角度θ2、のそれぞれを測定する。ここで傾斜度とは、本実施形態としての検査治具装置での測定での上測定針の角度と下測定針間の角度を足した角度であるので、測定結果より、傾斜度=θ1+θ2となる。
【解決手段】 まず上スライド部2と下スライド部3とを左右にスライドさせ、また上測定針4と下測定針5とを回転させ、上測定針4および下測定針5のそれぞれがミラー74b、74aの面にぴったりと合うようにする。その状態で上測定針4と設置基準面との角度θ1、および下測定針5と設置基準面との角度θ2、のそれぞれを測定する。ここで傾斜度とは、本実施形態としての検査治具装置での測定での上測定針の角度と下測定針間の角度を足した角度であるので、測定結果より、傾斜度=θ1+θ2となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機、プリンター、FAX等の読取ユニットの第2キャリッジ部品などの部品の検査用測定に用いられる検査治具装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、プリンター、FAX等のOA機器における読取ユニットなど、精密機械分野では、高精度の加工を要求される部品がある。こうした高精度部品の生産では、部品の加工が設計値通りであるか、あるいは設計値との誤差がどのくらいであるかを検査する検査治具装置が用いられることがある。
【0003】
こうした従来の検査治具装置例として、読取ユニットの第2キャリッジ部品の検査を行う従来の装置を図15に示す。
この図15に示す従来の検査治具装置では、第2キャリッジを検査治具に45°傾けた状態でセットして測定しているが、基準面に対し上側のミラーの45°と下側のミラーの45°を測定する場合、図16に示すように第2キャリッジ部品の上側のミラーと下側のミラーそれぞれを測定する必要があるため、基準面に対し上側の45°を測定した後、検査治具を90°回転し下側の45°を測定するか、または、上側の45°を測定する治具と下側の45°を測定する治具が別々に有り、それぞれ測定することを行っている。
【0004】
また、従来の検査装置として、特許文献1の弧状プレート組立体検査用装置は、溶接接合部の検査およびプレート組立体形状の弧状形状の測定を可能とする検査および測定手段を備えたものである。
【0005】
また、本出願人による特許文献2のものは、被加工物(ワーク)を所定の角度で加工機械のマシンバイスに固定するワーク装着作業において、マシンバイスに装着する作業における被加工物の傾斜角度の割り出し操作を、高精度かつ簡単容易に行うようにしたものである。
【特許文献1】特開平8−210995号公報
【特許文献2】特開2004−306233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図15により上述した従来の検査治具装置では、以下のような問題があった。
〈1〉 第2キャリッジ部品を検査治具に45°傾けた状態でセットする場合、第2キャリッジ部品を固定する為にクランプまたはネジ止めを行っているが、部品を固定する力が強すぎると部品が変形し、弱すぎると部品がずれてしまい、部品を固定する力の微妙な調整が必要である。
〈2〉 第2キャリッジ部品の下側の45°を測定する場合、部品の自重により下側にずれる場合があり、測定精度の信頼性が悪くなる虞がある。
〈3〉 製品や光軸チェッカーでの部品の受け方は、基準面に対し水平においた状態である為、45°傾けた状態でセットしての測定結果では、従来の検査治具装置によるデータと、製品や光軸チェッカーデータとの相関の確認ができない虞がある。
〈4〉 上述のように、従来の検査治具装置は下側のミラー面を測定する場合、検査治具装置を90°回転して測定するか、または下側のミラー面測定用に検査治具装置をもう1つ作成している。これにより測定精度がバラツク虞があると共に、測定するのに時間と手間がかかってしまっていた。
【0007】
また、上述した特許文献1のものは、プレート組立体形状の弧状形状の測定を行うものであり、基準面との平行を確保するための長手部材を備えた部品にミラーが固定された部品の検査用測定を行うことについてまで考慮されたものではなかった。
【0008】
また、上述した特許文献2のものは、マシンバイスに固定するための傾斜角度の割り出しを高精度に行う好適なものであるが、基準面との平行を確保するための長手部材を備えた部品にミラーが固定された部品の検査用測定を行うことについてまで考慮されたものではなかった。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、基準面との平行を確保するための長手部材を備えた部品にミラーが固定された部品に対してであっても、水平な基準面に部品を置いた状態で傾斜したミラーの基準面との角度を測定することができ、傾斜の異なる2つのミラーに対しても検査対象部品の置き直しを必要とせずに測定することができる検査治具装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明に係る検査治具装置は、基準面との平行を確保するための長手部材と、該長手部材に連接されたミラー格納部材とを備え、該ミラー格納部材に第1のミラーと第2のミラーとを固定して格納する部品の検査を行う検査治具装置であって、第1のミラーの基準面との角度を測定する第1ミラー用測定部と、第2のミラーの基準面との角度を測定する第2ミラー用測定部とを備え、上記部品を水平な基準面に設置して測定可能に構成されたことを特徴とする。
【0011】
上記した第1ミラー用測定部は、基準面に対して平行にスライド移動可能な第1のスライド移動部と、該第1のスライド移動部に回動可能に軸支された第1ミラー用測定針とを備え、上記した第2ミラー用測定部は、基準面に対して平行にスライド移動可能な第2のスライド移動部と、該第2のスライド移動部に回動可能に軸支された第2ミラー用測定針とを備え、上記した第1のスライド移動部をスライド移動させると共に第1ミラー用測定針を回動させ、当該第1ミラー用測定針の長手方向と第1のミラーの平面方向とを平行にすることで当該第1のミラーの基準面との角度が測定でき、上記した第2のスライド移動部をスライド移動させると共に第2ミラー用測定針を回動させ、当該第2ミラー用測定針の長手方向と第2のミラーの平面方向とを平行にすることで当該第2のミラーの基準面との角度が測定できるよう構成されることが好ましい。
【0012】
上記した第1ミラー用測定部および第2ミラー用測定部それぞれの測定結果と、上記した第1のスライド移動部および第2のスライド移動部の相対位置と、に基づいて、測定時の第1のミラーおよび第1ミラー用測定針の接触直線と、測定時の第2のミラーおよび第2ミラー用測定針の接触直線との交点位置の設計値とのズレ量を算出可能に構成されることが好ましい。
【0013】
上記した交点位置の設計値とのズレ量は、以下の計算式により算出されることが好ましい。
Z=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ただし、
Z:交点位置の設計値とのズレ量
a+b:第1のスライド移動部および第2のスライド移動部の理想相対位置に対するスライド移動量の合計
θ1:第1のミラーの基準面との角度
θ2:第2のミラーの基準面との角度
【0014】
上記した第1のスライド移動部および第2のスライド移動部の相対位置を固定するストッパを備えることが好ましい。
【0015】
上記した第1ミラー用測定針の回転を固定する第1のマグネットと、第1のマグネットON/OFFを切り替える第1のON/OFFスイッチと、上記した第2ミラー用測定針の回転を固定する第2のマグネットと、第2のマグネットON/OFFを切り替える第2のON/OFFスイッチとを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、基準面との平行を確保するための長手部材を備えた部品にミラーが固定された部品に対してであっても、水平な基準面に部品を置いた状態で傾斜したミラーの基準面との角度を測定することができ、傾斜の異なる2つのミラーに対しても検査対象部品の置き直しを必要とせずに測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る検査治具装置を適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態としての検査治具装置は、例えば複写機、プリンター、ファクシミリ等の読取ユニットの部品である第2キャリッジ部品の検査治具であり、実際の製品またはユニットの使用方法と同様に、第2キャリッジを水平な基準面に置いた状態で、第2キャリッジの特性値(傾斜度・位置度)を測定できる好適なものを例示している。
【0018】
図1は、本発明の実施形態としての検査治具装置に、検査対象部品である第2キャリッジ部品が設置された状態を示す図である。
本実施形態としての検査治具装置は、まず大きく捉えた構成として、図1に示すように、検査対象部品である第2キャリッジ部品を設置する設置基準面を有する検査治具装置基準面部1と、上スライド部2と、下スライド部3と、上測定針4と、下測定針5とを備えて構成される。
【0019】
上スライド部2は、ミラー下用傾斜度目盛21と、上スライド量目盛22と、上側マグネットON/OFFスイッチ23とを備え、設置基準面に対して平行にスライド移動可能に設けられている。上測定針4は、上測定針の回転中心41を中心に回転する。
下スライド部3は、ミラー上用傾斜度目盛31と、下スライド量目盛32と、下側マグネットON/OFFスイッチ33とを備え、設置基準面に対して平行にスライド移動可能に設けられている。下測定針5は下測定針の回転中心51を中心に回転する。
【0020】
上側マグネットON/OFFスイッチ23により制御されるマグネットは、スイッチがONにされることで、上測定針4を回転不能に固定する。このことにより、測定時に上測定針4を安定させて測定を行うことができる。
下側マグネットON/OFFスイッチ33により制御されるマグネットは、スイッチがONにされることで、下測定針5を回転不能に固定する。このことにより、測定時に下測定針5を安定させて測定を行うことができる。
【0021】
また、ストッパ6は、上スライド部2と、下スライド部3との位置決めを行う機能、すなわち上スライド部2と、下スライド部3との相対位置を固定する機能を備える。
また、上スライド部2と下スライド部3との相対位置が理想相対位置(検査対象部品が設計値そのままの場合の相対位置)である時に0位置を設定する機能を備え、このことにより、上スライド部2と下スライド部3との0位置調整を行う機能を持っている。
【0022】
本発明における検査治具装置は、以上のように構成されることで、図1に示すように、検査対象部品である第2キャリッジ部品7を、検査治具装置の水平な設置基準面に設置した状態で測定できるようになっている。
【0023】
本実施形態としての検査治具装置が検査対象部品としている第2キャリッジ部品7とは、上述のように複写機、プリンター、FAX等の読取ユニットに用いられるものであり、図2に示すように、平行取り用長手部材71と、ミラー格納部材72とを備えて構成される。ミラー格納部材72にはミラー取付部73が設けられている。
【0024】
平行取り用長手部材71は、第2キャリッジ部品7が読取ユニット内で原稿面(製品としての使用時における基準面)と平行に安定移動できるようにするための部材であり、製品として使用される時にはこの平行取り用長手部材71の長手方向が水平面と平行になるように設置される。
【0025】
ミラー格納部材72のミラー取付部73(73a,73b)は、読取ユニットの読取光学系の一部を構成するミラー74(74a,74b)が図3のように固定されて取り付けられる穴であり、第2キャリッジの部品単品としてミラーが装着されていない場合には、検査時に測定用ダミーのミラーを装着して測定を行う。
以下の説明では、ミラー取付部73に、ミラー74またはダミーのミラーが装着されているものとして説明する。
【0026】
第2キャリッジの特性値(傾斜度・位置度)は、傾斜度:誤差0.067°以下、位置度:誤差0.1以下という高精度が要求されるものであり、測定による誤差が大きくなってしまった場合、次工程のユニットでの特性値との相関がとれず、単品での第2キャリッジの評価ができなくなる虞もある。
ここで、第2キャリッジの傾斜度とは、図4に示すように2つのミラーのなす角であり、理論値(設計値)では90°である。また、位置度とは、位置度0の基準面から2つのミラーの交点迄の高さのことであり、位置度0であることが最も好ましい。この位置度0の基準面とは、設置基準面と平行な面で、設置基準面から設計値として予め定められた高さのものである。
【0027】
本実施形態としての検査治具装置は、検査対象部品である第2キャリッジ部品の2つのミラーの面を測定することで、測定の対象である特性値(傾斜度・位置度)を測定するために用いられるものである。
【0028】
第2キャリッジにおける機能特性と、その機能特性に対するチェッカー特性の関係性は、以下の表1に示すようになる。また、製品機能特性の用語説明を表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
次に、上述した傾斜度と位置度の影響の仕方について、図5、図6を参照して説明する。
傾斜度としての誤差があると、第2キャリッジ部品が製品として読取ユニットに組み込まれた際、その影響が図5に示すように、読取ユニットとしてスキャンする対象である原稿面における先端ズレ量として顕現してしまう。
【0032】
また、位置度とは上述のように基準面から第2キャリッジの2つのミラーの交点迄の高さ寸法であり、理論的寸法と実際の測定結果との誤差であるため、第2キャリッジ部品が製品として読取ユニットに組み込まれた際、その誤差の影響が図6に示すように、読取ユニットとしてスキャンする対象である原稿面に、先端ズレ量として顕現してしまう。
【0033】
次に、本実施形態としての検査治具装置の機能と基本動作について、図7を参照して説明する。
図7(a)は、検査治具装置の測定部分の図であり、検査治具装置が初期状態であり、特性値である傾斜度・位置度共に、理想の状態である場合について示している。
図7(b)は、本実施形態としての検査治具装置により、特性値である傾斜度や位置度を測定する場合の基本動作を示している。
【0034】
この図7に示すように、上スライド部2および下スライド部3は、何れも左右方向にスライド移動可能に配設されている。
また、図7(b)に示すように、上スライド部2は右方向へのスライド移動により測定値が“+”となり、左方向へのスライド移動では測定値が“−”となる。また反対に下スライド部3では、右方向へのスライド移動により測定値が“−”となり、左方向へのスライド移動では測定値が“+”となる。
【0035】
上測定針4は、上測定針の回転中心41を中心として回転可能に軸支され、上測定針4の中央部でスプリングにより上測定針4の長手方向に伸縮可能に構成されている。
また、下測定針5は、下測定針の回転中心51を中心として回転可能に軸支され、下測定針5の中央部でスプリングにより下測定針5の長手方向に伸縮可能に構成されている。
またストッパ6は、上下に動くことで、上スライド部2と下スライド部3とのスライド移動に対するストッパーの機能を実現し、このことによりこのスライド移動における0位置調整を行う機能を持つ。
【0036】
上測定針4と、下測定針5とが伸縮可能に構成されている理由は、片側又は両側のミラーの面が45°に対し鈍角又は鋭角になった場合、測定針の回転だけではミラーの面にぴったり当てられなくなる場合があり、その場合に上スライド部2や下スライド部3を左右にスライド移動させる必要が生じ、測定針の長さが足りなくなる虞があるためである。
すなわち、上スライド部2や下スライド部3が左右にスライド移動され、この移動された上スライド部2または下スライド部3が第2キャリッジ部品より離れる方向に動いた場合、測定針がミラーの面に届かない可能性が考えられ、その時には測定針を伸長させる必要がある為である。
【0037】
次に、本実施形態としての検査治具装置により、検査対象部品である第2キャリッジ部品の特性値の1つである傾斜度を測定する場合の動作について、図8を参照して説明する。
図8(a)は、本実施形態としての検査治具測装置に第2キャリッジ部品7がセットされた状態である。
図8(b)は、セットされた第2キャリッジ部品7について傾斜度を測定する動作を示している。
【0038】
まず上スライド部2と下スライド部3とを左右にスライドさせ、また上測定針4と下測定針5とを回転させ、上測定針4および下測定針5のそれぞれがミラー74b、74aの面にぴったりと合うようにする。すなわち、上測定針4の長手方向がミラー74bの平面方向と平行になり、下測定針5の長手方向がミラー74aの平面方向と平行になるように、上スライド部2および下スライド部3のスライド移動と、上測定針4および下測定針5の回転移動とを調整する。
【0039】
ぴったりと合うよう調整されると、その状態で上測定針4と設置基準面との角度θ1、および下測定針5と設置基準面との角度θ2、のそれぞれを測定する。すなわち、θ1とはミラー74bと設置基準面との角度であり、θ2とはミラー74aと設置基準面との角度である。
ここで傾斜度とは、本実施形態としての検査治具装置での測定での上測定針の角度と下測定針間の角度を足した角度であるので、測定結果より、傾斜度=θ1+θ2となる。
【0040】
次に、本実施形態としての検査治具装置により検査対象部品である第2キャリッジ部品の特性値の1つである位置度を測定する場合の動作について、図9を参照して説明する。
図9(a)は、本実施形態としての検査治具測装置に第2キャリッジ部品7がセットされた状態である。
図9(b)、図9(c)は、セットされた第2キャリッジ部品7について位置度を測定する動作を示している。
【0041】
まず上スライド部2を左右にスライドさせ、また上測定針4を回転させ、上測定針4がミラー74bの面にぴったりと合うようにする。
次に下スライド部3を左右にスライドさせ、また下測定針5を回転させ、下測定針5がミラー74aの面にぴったりと合うようにする。
ぴったりと合うと、その状態で上測定針4と設置基準面との角度θ1、下測定針5と設置基準面との角度θ2、上スライド部2のスライド量a、および下スライド部3のスライド量bを、それぞれ測定する。
【0042】
このように、本実施形態としての検査治具装置により測定する位置度とは、測定時の上測定針4およびミラー74bの接触直線と、測定時の下測定針5およびミラー74aの接触直線との交点位置が、位置度0の基準面とどのくらいの距離であるか、すなわち接触直線との交点位置の設計値とのズレ量のことである。
【0043】
ここで、本実施形態としての検査治具装置による測定結果から上述した位置度を計算により算出する理論について、図10を参照して説明する。
図10(a)は、図9(c)での測定した状態において、理想の直線における位置度0の位置と実際の検査対象部品の位置度とを示す図である。
図10(b)は、図10(a)の点線部分を拡大した図であり、図9(b)、図9(c)で測定したθ1、θ2、上スライド部2のスライド量a、および下スライド部3のスライド量bを組み入れて示す図である。
【0044】
この図10(b)の拡大図に示される関係性から、検査対象部品の位置度(Z)は以下のように算出される。
c=X/tanθ1、d=X/tanθ2
a=c+d=X/tanθ1+X/tanθ2
=X(tanθ1+tanθ2)/tanθ1・tanθ2
∴X=a(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
また、
e=Y/tanθ1、f=Y/tanθ2
b=e+f=Y/tanθ1+Y/tanθ2
=Y(tanθ1+tanθ2)/tanθ1・tanθ2
∴Y=b(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
以上により、位置度(Z)は、
Z=X+Y=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
【0045】
次に、本実施形態としての検査治具装置による上述した傾斜度および位置度の計算について、具体的に事例を挙げて説明する。
【0046】
〔計算例1〕
検査治具装置での測定の結果、部品の位置度がx座標・y座標共に+の場合の傾斜度および位置度の計算式での実施例について、図11に示す例を参照して説明する。
この図11において、aは0より右方向が+、bは0より左方向が+となっている。
【0047】
図10を用いて上述した計算式により、
〈1〉傾斜度=θ1+θ2
〈2〉位置度=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=(0.125+0.025)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=0.15(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ここで例えば、θ1=θ2=45°の場合、
位置度=(0.15+0.05)(1*1)/(1+1)=0.1
【0048】
〔計算例2〕
検査治具装置での測定の結果、部品の位置度がx座標は−・y座標は+の場合の傾斜度および位置度の計算式での実施例について、図12に示す例を参照して説明する。
この図12において、aは0より右方向が+、bは0より左方向が+となっている。
【0049】
図10を用いて上述した計算式により、
〈1〉傾斜度=θ1+θ2
〈2〉位置度=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=(0.025+0.125)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=0.15(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ここで例えば、θ1=θ2=45°の場合、
位置度=(0.05+0.15)(1*1)/(1+1)=0.1
【0050】
〔計算例3〕
検査治具装置での測定の結果、部品の位置度がx座標・y座標共に−の場合の傾斜度および位置度の計算式での実施例について、図13に示す例を参照して説明する。
この図13において、aは0より右方向が+、bは0より左方向が+となっている。
【0051】
図10を用いて上述した計算式により、
〈1〉傾斜度=θ1+θ2
〈2〉位置度=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=(−0.125−0.025)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=−0.15(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ここで例えば、θ1=θ2=45°の場合、
位置度=(−0.15−0.05)(1*1)/(1+1)=−0.1
【0052】
〔計算例4〕
検査治具装置での測定の結果、検査治具装置での測定の結果、部品の位置度がx座標は+・y座標は−の場合の傾斜度および位置度の計算式での実施例について、図14に示す例を参照して説明する。
この図14において、aは0より右方向が+、bは0より左方向が+となっている。
【0053】
図10を用いて上述した計算式により、
〈1〉傾斜度=θ1+θ2
〈2〉位置度=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=(−0.025−0.125)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=−0.15(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ここで例えば、θ1=θ2=45°の場合、
位置度=(−0.05−0.15)(1*1)/(1+1)=−0.1
【0054】
以上のように、本発明の一実施形態としての検査治具装置によれば、実際の製品の使用時と同様に、第2キャリッジを水平な基準面に置いた状態で、特性値(傾斜度・位置度)の測定を行うことができるため、上述した従来の検査治具装置での測定の様に、測定精度のバラツキ(測定精度の低下)を抑えることができると共に、2度測定し直す必要がなくなるため、測定の手間を簡易化することができる。
このため、第2キャリッジの2つのミラーがなす角と2つのミラーの交点の位置を、実際の製品又はユニットの使用時と同じ状態で、精度良く、かつ容易に測定することができる。
【0055】
より詳細には、本実施形態によれば、検査治具にて第2キャリッジの特性値(傾斜度・位置度)を測定する場合、第2キャリッジを水平な基準面に置いた状態で測定することができる、すなわち第2キャリッジ部品7における平行取り用長手部材71の平面方向が水平面と平行になるよう設置した状態で測定できることにより、以下の内容において有効な第2キャリッジ検査治具装置の提供ができる。
〈1〉 第2キャリッジを検査治具にセット時、水平な基準面に置くことで、第2キャリッジの自重で位置を保持できる為、第2キャリッジをクランプまたはネジ止めする必要が無く、クランプまたはネジ止めによる変形を防止することができる。
〈2〉 第2キャリッジを検査治具にセット時、水平な基準面に置いた状態で、上側のミラーの45°と下側のミラーの45°共測定できる為、下側のミラーの45°を測定する場合も、部品の自重による影響を受けないようにすることができ、信頼性のある測定ができる。
〈3〉 第2キャリッジを検査治具にセット時、水平な基準面に置くことで、実機や光軸チェッカーでの部品の受け方と同様になり、検査治具データと実機や光軸チェッカーデータとの相関の確認ができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、検査治具にて第2キャリッジの特性値を測定する測定方法として、上下2対のスライド部を水平な基準面に対し平行な方向に動かすことと上下2対の測定針を伸縮および回転させることにより、第2キャリッジの上側のミラー74aと下側のミラー74bとの両方の特性値(傾斜度・位置度)を測定できる為、測定が容易であり作業性が良いことを特徴とした第2キャリッジ検査治具装置を提供することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、上下2対のスライド部をストッパーにて位置決めすることができ、理想の位置度(位置度0)に0位置調整できることにより、検査治具のメンテナンス・構成が容易であり、また検査対象部品をセットした時点で、理想の位置度に対して実際の部品がどの位置にあるのか、概略であるが確認できるようにすることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、第2キャリッジの特性値(傾斜度・位置度)を測定するにあたり、測定針の位置をマグネットのON/OFFにより固定することができるため、測定針で測定する測定データのバラツキを押えることができ、データの信頼性を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、測定した上下2対のスライド部の移動量と、測定針が示す角度(θ1、θ2)とを、図10を用いて上述した計算式に当てはめることにより、第2キャリッジの特性値(傾斜度・位置度)を算出することができるため、上述した従来の検査治具装置よりも信頼性の高いデータを得ることができる。
【0060】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
例えば、上述した各実施形態としての検査治具装置が検査対象部品としている第2キャリッジ部品は、図2に示す外観として説明したが、この外観のものに限定されず、基準面との平行を確保するための長手部材と、その長手部材に連接されたミラー格納部材とを備え、そのミラー格納部材に傾斜の異なる2つのミラーが固定された形状であれば各種の形状であってよい。
また、検査対象部品は上述した第2キャリッジ部品に限定されず、基準面との平行を確保するための長手部材と、その長手部材に連接されたミラー格納部材とを備え、そのミラー格納部材に傾斜の異なる2つのミラーが固定された部品であれば、高精度を要求される各種の類似部品への検査測定装置に対して本発明は同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態としての検査治具装置の構成を示す図である。
【図2】測定対象としての第2キャリッジ部品の構成を示す図である。
【図3】該第2キャリッジ部品へのミラーの取付状態を示す図である。
【図4】第2キャリッジ部品における位置度および傾斜度を示す図である。
【図5】傾斜度による製品での光軸への影響の現れ方を示す図である。
【図6】位置度による製品での光軸への影響の現れ方を示す図である。
【図7】本発明の実施形態としての検査治具装置の機能と基本動作を示す図である。
【図8】該検査治具装置により傾斜度を測定する場合の動作を示す図である。
【図9】該検査治具装置により位置度を測定する場合の動作を示す図である。
【図10】該検査治具装置による測定結果から位置度を算出する場合の理論を示す図である。
【図11】計算例1を示す図である。
【図12】計算例2を示す図である。
【図13】計算例3を示す図である。
【図14】計算例4を示す図である。
【図15】従来の検査治具装置を示す図である。
【図16】従来の検査治具装置による第2キャリッジ部品の測定面を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 検査治具装置基準面部
2 上スライド部(第1のスライド移動部)
23 上側マグネットON/OFFスイッチ(第1のON/OFFスイッチの一例)
3 下スライド部(第2のスライド移動部)
33 下側マグネットON/OFFスイッチ(第2のON/OFFスイッチの一例)
4 上測定針(第1ミラー用測定針の一例)
5 下測定針(第2ミラー用測定針の一例)
6 ストッパ
7 第2キャリッジ部品(検査対象部品の一例)
71 平行取り用長手部材(長手部材の一例)
72 ミラー格納部材
73(73a,73b) ミラー取付部
74a ミラー(第2のミラーの一例)
74b ミラー(第1のミラーの一例)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機、プリンター、FAX等の読取ユニットの第2キャリッジ部品などの部品の検査用測定に用いられる検査治具装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、プリンター、FAX等のOA機器における読取ユニットなど、精密機械分野では、高精度の加工を要求される部品がある。こうした高精度部品の生産では、部品の加工が設計値通りであるか、あるいは設計値との誤差がどのくらいであるかを検査する検査治具装置が用いられることがある。
【0003】
こうした従来の検査治具装置例として、読取ユニットの第2キャリッジ部品の検査を行う従来の装置を図15に示す。
この図15に示す従来の検査治具装置では、第2キャリッジを検査治具に45°傾けた状態でセットして測定しているが、基準面に対し上側のミラーの45°と下側のミラーの45°を測定する場合、図16に示すように第2キャリッジ部品の上側のミラーと下側のミラーそれぞれを測定する必要があるため、基準面に対し上側の45°を測定した後、検査治具を90°回転し下側の45°を測定するか、または、上側の45°を測定する治具と下側の45°を測定する治具が別々に有り、それぞれ測定することを行っている。
【0004】
また、従来の検査装置として、特許文献1の弧状プレート組立体検査用装置は、溶接接合部の検査およびプレート組立体形状の弧状形状の測定を可能とする検査および測定手段を備えたものである。
【0005】
また、本出願人による特許文献2のものは、被加工物(ワーク)を所定の角度で加工機械のマシンバイスに固定するワーク装着作業において、マシンバイスに装着する作業における被加工物の傾斜角度の割り出し操作を、高精度かつ簡単容易に行うようにしたものである。
【特許文献1】特開平8−210995号公報
【特許文献2】特開2004−306233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図15により上述した従来の検査治具装置では、以下のような問題があった。
〈1〉 第2キャリッジ部品を検査治具に45°傾けた状態でセットする場合、第2キャリッジ部品を固定する為にクランプまたはネジ止めを行っているが、部品を固定する力が強すぎると部品が変形し、弱すぎると部品がずれてしまい、部品を固定する力の微妙な調整が必要である。
〈2〉 第2キャリッジ部品の下側の45°を測定する場合、部品の自重により下側にずれる場合があり、測定精度の信頼性が悪くなる虞がある。
〈3〉 製品や光軸チェッカーでの部品の受け方は、基準面に対し水平においた状態である為、45°傾けた状態でセットしての測定結果では、従来の検査治具装置によるデータと、製品や光軸チェッカーデータとの相関の確認ができない虞がある。
〈4〉 上述のように、従来の検査治具装置は下側のミラー面を測定する場合、検査治具装置を90°回転して測定するか、または下側のミラー面測定用に検査治具装置をもう1つ作成している。これにより測定精度がバラツク虞があると共に、測定するのに時間と手間がかかってしまっていた。
【0007】
また、上述した特許文献1のものは、プレート組立体形状の弧状形状の測定を行うものであり、基準面との平行を確保するための長手部材を備えた部品にミラーが固定された部品の検査用測定を行うことについてまで考慮されたものではなかった。
【0008】
また、上述した特許文献2のものは、マシンバイスに固定するための傾斜角度の割り出しを高精度に行う好適なものであるが、基準面との平行を確保するための長手部材を備えた部品にミラーが固定された部品の検査用測定を行うことについてまで考慮されたものではなかった。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、基準面との平行を確保するための長手部材を備えた部品にミラーが固定された部品に対してであっても、水平な基準面に部品を置いた状態で傾斜したミラーの基準面との角度を測定することができ、傾斜の異なる2つのミラーに対しても検査対象部品の置き直しを必要とせずに測定することができる検査治具装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明に係る検査治具装置は、基準面との平行を確保するための長手部材と、該長手部材に連接されたミラー格納部材とを備え、該ミラー格納部材に第1のミラーと第2のミラーとを固定して格納する部品の検査を行う検査治具装置であって、第1のミラーの基準面との角度を測定する第1ミラー用測定部と、第2のミラーの基準面との角度を測定する第2ミラー用測定部とを備え、上記部品を水平な基準面に設置して測定可能に構成されたことを特徴とする。
【0011】
上記した第1ミラー用測定部は、基準面に対して平行にスライド移動可能な第1のスライド移動部と、該第1のスライド移動部に回動可能に軸支された第1ミラー用測定針とを備え、上記した第2ミラー用測定部は、基準面に対して平行にスライド移動可能な第2のスライド移動部と、該第2のスライド移動部に回動可能に軸支された第2ミラー用測定針とを備え、上記した第1のスライド移動部をスライド移動させると共に第1ミラー用測定針を回動させ、当該第1ミラー用測定針の長手方向と第1のミラーの平面方向とを平行にすることで当該第1のミラーの基準面との角度が測定でき、上記した第2のスライド移動部をスライド移動させると共に第2ミラー用測定針を回動させ、当該第2ミラー用測定針の長手方向と第2のミラーの平面方向とを平行にすることで当該第2のミラーの基準面との角度が測定できるよう構成されることが好ましい。
【0012】
上記した第1ミラー用測定部および第2ミラー用測定部それぞれの測定結果と、上記した第1のスライド移動部および第2のスライド移動部の相対位置と、に基づいて、測定時の第1のミラーおよび第1ミラー用測定針の接触直線と、測定時の第2のミラーおよび第2ミラー用測定針の接触直線との交点位置の設計値とのズレ量を算出可能に構成されることが好ましい。
【0013】
上記した交点位置の設計値とのズレ量は、以下の計算式により算出されることが好ましい。
Z=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ただし、
Z:交点位置の設計値とのズレ量
a+b:第1のスライド移動部および第2のスライド移動部の理想相対位置に対するスライド移動量の合計
θ1:第1のミラーの基準面との角度
θ2:第2のミラーの基準面との角度
【0014】
上記した第1のスライド移動部および第2のスライド移動部の相対位置を固定するストッパを備えることが好ましい。
【0015】
上記した第1ミラー用測定針の回転を固定する第1のマグネットと、第1のマグネットON/OFFを切り替える第1のON/OFFスイッチと、上記した第2ミラー用測定針の回転を固定する第2のマグネットと、第2のマグネットON/OFFを切り替える第2のON/OFFスイッチとを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、基準面との平行を確保するための長手部材を備えた部品にミラーが固定された部品に対してであっても、水平な基準面に部品を置いた状態で傾斜したミラーの基準面との角度を測定することができ、傾斜の異なる2つのミラーに対しても検査対象部品の置き直しを必要とせずに測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る検査治具装置を適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態としての検査治具装置は、例えば複写機、プリンター、ファクシミリ等の読取ユニットの部品である第2キャリッジ部品の検査治具であり、実際の製品またはユニットの使用方法と同様に、第2キャリッジを水平な基準面に置いた状態で、第2キャリッジの特性値(傾斜度・位置度)を測定できる好適なものを例示している。
【0018】
図1は、本発明の実施形態としての検査治具装置に、検査対象部品である第2キャリッジ部品が設置された状態を示す図である。
本実施形態としての検査治具装置は、まず大きく捉えた構成として、図1に示すように、検査対象部品である第2キャリッジ部品を設置する設置基準面を有する検査治具装置基準面部1と、上スライド部2と、下スライド部3と、上測定針4と、下測定針5とを備えて構成される。
【0019】
上スライド部2は、ミラー下用傾斜度目盛21と、上スライド量目盛22と、上側マグネットON/OFFスイッチ23とを備え、設置基準面に対して平行にスライド移動可能に設けられている。上測定針4は、上測定針の回転中心41を中心に回転する。
下スライド部3は、ミラー上用傾斜度目盛31と、下スライド量目盛32と、下側マグネットON/OFFスイッチ33とを備え、設置基準面に対して平行にスライド移動可能に設けられている。下測定針5は下測定針の回転中心51を中心に回転する。
【0020】
上側マグネットON/OFFスイッチ23により制御されるマグネットは、スイッチがONにされることで、上測定針4を回転不能に固定する。このことにより、測定時に上測定針4を安定させて測定を行うことができる。
下側マグネットON/OFFスイッチ33により制御されるマグネットは、スイッチがONにされることで、下測定針5を回転不能に固定する。このことにより、測定時に下測定針5を安定させて測定を行うことができる。
【0021】
また、ストッパ6は、上スライド部2と、下スライド部3との位置決めを行う機能、すなわち上スライド部2と、下スライド部3との相対位置を固定する機能を備える。
また、上スライド部2と下スライド部3との相対位置が理想相対位置(検査対象部品が設計値そのままの場合の相対位置)である時に0位置を設定する機能を備え、このことにより、上スライド部2と下スライド部3との0位置調整を行う機能を持っている。
【0022】
本発明における検査治具装置は、以上のように構成されることで、図1に示すように、検査対象部品である第2キャリッジ部品7を、検査治具装置の水平な設置基準面に設置した状態で測定できるようになっている。
【0023】
本実施形態としての検査治具装置が検査対象部品としている第2キャリッジ部品7とは、上述のように複写機、プリンター、FAX等の読取ユニットに用いられるものであり、図2に示すように、平行取り用長手部材71と、ミラー格納部材72とを備えて構成される。ミラー格納部材72にはミラー取付部73が設けられている。
【0024】
平行取り用長手部材71は、第2キャリッジ部品7が読取ユニット内で原稿面(製品としての使用時における基準面)と平行に安定移動できるようにするための部材であり、製品として使用される時にはこの平行取り用長手部材71の長手方向が水平面と平行になるように設置される。
【0025】
ミラー格納部材72のミラー取付部73(73a,73b)は、読取ユニットの読取光学系の一部を構成するミラー74(74a,74b)が図3のように固定されて取り付けられる穴であり、第2キャリッジの部品単品としてミラーが装着されていない場合には、検査時に測定用ダミーのミラーを装着して測定を行う。
以下の説明では、ミラー取付部73に、ミラー74またはダミーのミラーが装着されているものとして説明する。
【0026】
第2キャリッジの特性値(傾斜度・位置度)は、傾斜度:誤差0.067°以下、位置度:誤差0.1以下という高精度が要求されるものであり、測定による誤差が大きくなってしまった場合、次工程のユニットでの特性値との相関がとれず、単品での第2キャリッジの評価ができなくなる虞もある。
ここで、第2キャリッジの傾斜度とは、図4に示すように2つのミラーのなす角であり、理論値(設計値)では90°である。また、位置度とは、位置度0の基準面から2つのミラーの交点迄の高さのことであり、位置度0であることが最も好ましい。この位置度0の基準面とは、設置基準面と平行な面で、設置基準面から設計値として予め定められた高さのものである。
【0027】
本実施形態としての検査治具装置は、検査対象部品である第2キャリッジ部品の2つのミラーの面を測定することで、測定の対象である特性値(傾斜度・位置度)を測定するために用いられるものである。
【0028】
第2キャリッジにおける機能特性と、その機能特性に対するチェッカー特性の関係性は、以下の表1に示すようになる。また、製品機能特性の用語説明を表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
次に、上述した傾斜度と位置度の影響の仕方について、図5、図6を参照して説明する。
傾斜度としての誤差があると、第2キャリッジ部品が製品として読取ユニットに組み込まれた際、その影響が図5に示すように、読取ユニットとしてスキャンする対象である原稿面における先端ズレ量として顕現してしまう。
【0032】
また、位置度とは上述のように基準面から第2キャリッジの2つのミラーの交点迄の高さ寸法であり、理論的寸法と実際の測定結果との誤差であるため、第2キャリッジ部品が製品として読取ユニットに組み込まれた際、その誤差の影響が図6に示すように、読取ユニットとしてスキャンする対象である原稿面に、先端ズレ量として顕現してしまう。
【0033】
次に、本実施形態としての検査治具装置の機能と基本動作について、図7を参照して説明する。
図7(a)は、検査治具装置の測定部分の図であり、検査治具装置が初期状態であり、特性値である傾斜度・位置度共に、理想の状態である場合について示している。
図7(b)は、本実施形態としての検査治具装置により、特性値である傾斜度や位置度を測定する場合の基本動作を示している。
【0034】
この図7に示すように、上スライド部2および下スライド部3は、何れも左右方向にスライド移動可能に配設されている。
また、図7(b)に示すように、上スライド部2は右方向へのスライド移動により測定値が“+”となり、左方向へのスライド移動では測定値が“−”となる。また反対に下スライド部3では、右方向へのスライド移動により測定値が“−”となり、左方向へのスライド移動では測定値が“+”となる。
【0035】
上測定針4は、上測定針の回転中心41を中心として回転可能に軸支され、上測定針4の中央部でスプリングにより上測定針4の長手方向に伸縮可能に構成されている。
また、下測定針5は、下測定針の回転中心51を中心として回転可能に軸支され、下測定針5の中央部でスプリングにより下測定針5の長手方向に伸縮可能に構成されている。
またストッパ6は、上下に動くことで、上スライド部2と下スライド部3とのスライド移動に対するストッパーの機能を実現し、このことによりこのスライド移動における0位置調整を行う機能を持つ。
【0036】
上測定針4と、下測定針5とが伸縮可能に構成されている理由は、片側又は両側のミラーの面が45°に対し鈍角又は鋭角になった場合、測定針の回転だけではミラーの面にぴったり当てられなくなる場合があり、その場合に上スライド部2や下スライド部3を左右にスライド移動させる必要が生じ、測定針の長さが足りなくなる虞があるためである。
すなわち、上スライド部2や下スライド部3が左右にスライド移動され、この移動された上スライド部2または下スライド部3が第2キャリッジ部品より離れる方向に動いた場合、測定針がミラーの面に届かない可能性が考えられ、その時には測定針を伸長させる必要がある為である。
【0037】
次に、本実施形態としての検査治具装置により、検査対象部品である第2キャリッジ部品の特性値の1つである傾斜度を測定する場合の動作について、図8を参照して説明する。
図8(a)は、本実施形態としての検査治具測装置に第2キャリッジ部品7がセットされた状態である。
図8(b)は、セットされた第2キャリッジ部品7について傾斜度を測定する動作を示している。
【0038】
まず上スライド部2と下スライド部3とを左右にスライドさせ、また上測定針4と下測定針5とを回転させ、上測定針4および下測定針5のそれぞれがミラー74b、74aの面にぴったりと合うようにする。すなわち、上測定針4の長手方向がミラー74bの平面方向と平行になり、下測定針5の長手方向がミラー74aの平面方向と平行になるように、上スライド部2および下スライド部3のスライド移動と、上測定針4および下測定針5の回転移動とを調整する。
【0039】
ぴったりと合うよう調整されると、その状態で上測定針4と設置基準面との角度θ1、および下測定針5と設置基準面との角度θ2、のそれぞれを測定する。すなわち、θ1とはミラー74bと設置基準面との角度であり、θ2とはミラー74aと設置基準面との角度である。
ここで傾斜度とは、本実施形態としての検査治具装置での測定での上測定針の角度と下測定針間の角度を足した角度であるので、測定結果より、傾斜度=θ1+θ2となる。
【0040】
次に、本実施形態としての検査治具装置により検査対象部品である第2キャリッジ部品の特性値の1つである位置度を測定する場合の動作について、図9を参照して説明する。
図9(a)は、本実施形態としての検査治具測装置に第2キャリッジ部品7がセットされた状態である。
図9(b)、図9(c)は、セットされた第2キャリッジ部品7について位置度を測定する動作を示している。
【0041】
まず上スライド部2を左右にスライドさせ、また上測定針4を回転させ、上測定針4がミラー74bの面にぴったりと合うようにする。
次に下スライド部3を左右にスライドさせ、また下測定針5を回転させ、下測定針5がミラー74aの面にぴったりと合うようにする。
ぴったりと合うと、その状態で上測定針4と設置基準面との角度θ1、下測定針5と設置基準面との角度θ2、上スライド部2のスライド量a、および下スライド部3のスライド量bを、それぞれ測定する。
【0042】
このように、本実施形態としての検査治具装置により測定する位置度とは、測定時の上測定針4およびミラー74bの接触直線と、測定時の下測定針5およびミラー74aの接触直線との交点位置が、位置度0の基準面とどのくらいの距離であるか、すなわち接触直線との交点位置の設計値とのズレ量のことである。
【0043】
ここで、本実施形態としての検査治具装置による測定結果から上述した位置度を計算により算出する理論について、図10を参照して説明する。
図10(a)は、図9(c)での測定した状態において、理想の直線における位置度0の位置と実際の検査対象部品の位置度とを示す図である。
図10(b)は、図10(a)の点線部分を拡大した図であり、図9(b)、図9(c)で測定したθ1、θ2、上スライド部2のスライド量a、および下スライド部3のスライド量bを組み入れて示す図である。
【0044】
この図10(b)の拡大図に示される関係性から、検査対象部品の位置度(Z)は以下のように算出される。
c=X/tanθ1、d=X/tanθ2
a=c+d=X/tanθ1+X/tanθ2
=X(tanθ1+tanθ2)/tanθ1・tanθ2
∴X=a(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
また、
e=Y/tanθ1、f=Y/tanθ2
b=e+f=Y/tanθ1+Y/tanθ2
=Y(tanθ1+tanθ2)/tanθ1・tanθ2
∴Y=b(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
以上により、位置度(Z)は、
Z=X+Y=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
【0045】
次に、本実施形態としての検査治具装置による上述した傾斜度および位置度の計算について、具体的に事例を挙げて説明する。
【0046】
〔計算例1〕
検査治具装置での測定の結果、部品の位置度がx座標・y座標共に+の場合の傾斜度および位置度の計算式での実施例について、図11に示す例を参照して説明する。
この図11において、aは0より右方向が+、bは0より左方向が+となっている。
【0047】
図10を用いて上述した計算式により、
〈1〉傾斜度=θ1+θ2
〈2〉位置度=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=(0.125+0.025)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=0.15(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ここで例えば、θ1=θ2=45°の場合、
位置度=(0.15+0.05)(1*1)/(1+1)=0.1
【0048】
〔計算例2〕
検査治具装置での測定の結果、部品の位置度がx座標は−・y座標は+の場合の傾斜度および位置度の計算式での実施例について、図12に示す例を参照して説明する。
この図12において、aは0より右方向が+、bは0より左方向が+となっている。
【0049】
図10を用いて上述した計算式により、
〈1〉傾斜度=θ1+θ2
〈2〉位置度=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=(0.025+0.125)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=0.15(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ここで例えば、θ1=θ2=45°の場合、
位置度=(0.05+0.15)(1*1)/(1+1)=0.1
【0050】
〔計算例3〕
検査治具装置での測定の結果、部品の位置度がx座標・y座標共に−の場合の傾斜度および位置度の計算式での実施例について、図13に示す例を参照して説明する。
この図13において、aは0より右方向が+、bは0より左方向が+となっている。
【0051】
図10を用いて上述した計算式により、
〈1〉傾斜度=θ1+θ2
〈2〉位置度=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=(−0.125−0.025)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=−0.15(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ここで例えば、θ1=θ2=45°の場合、
位置度=(−0.15−0.05)(1*1)/(1+1)=−0.1
【0052】
〔計算例4〕
検査治具装置での測定の結果、検査治具装置での測定の結果、部品の位置度がx座標は+・y座標は−の場合の傾斜度および位置度の計算式での実施例について、図14に示す例を参照して説明する。
この図14において、aは0より右方向が+、bは0より左方向が+となっている。
【0053】
図10を用いて上述した計算式により、
〈1〉傾斜度=θ1+θ2
〈2〉位置度=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=(−0.025−0.125)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
=−0.15(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ここで例えば、θ1=θ2=45°の場合、
位置度=(−0.05−0.15)(1*1)/(1+1)=−0.1
【0054】
以上のように、本発明の一実施形態としての検査治具装置によれば、実際の製品の使用時と同様に、第2キャリッジを水平な基準面に置いた状態で、特性値(傾斜度・位置度)の測定を行うことができるため、上述した従来の検査治具装置での測定の様に、測定精度のバラツキ(測定精度の低下)を抑えることができると共に、2度測定し直す必要がなくなるため、測定の手間を簡易化することができる。
このため、第2キャリッジの2つのミラーがなす角と2つのミラーの交点の位置を、実際の製品又はユニットの使用時と同じ状態で、精度良く、かつ容易に測定することができる。
【0055】
より詳細には、本実施形態によれば、検査治具にて第2キャリッジの特性値(傾斜度・位置度)を測定する場合、第2キャリッジを水平な基準面に置いた状態で測定することができる、すなわち第2キャリッジ部品7における平行取り用長手部材71の平面方向が水平面と平行になるよう設置した状態で測定できることにより、以下の内容において有効な第2キャリッジ検査治具装置の提供ができる。
〈1〉 第2キャリッジを検査治具にセット時、水平な基準面に置くことで、第2キャリッジの自重で位置を保持できる為、第2キャリッジをクランプまたはネジ止めする必要が無く、クランプまたはネジ止めによる変形を防止することができる。
〈2〉 第2キャリッジを検査治具にセット時、水平な基準面に置いた状態で、上側のミラーの45°と下側のミラーの45°共測定できる為、下側のミラーの45°を測定する場合も、部品の自重による影響を受けないようにすることができ、信頼性のある測定ができる。
〈3〉 第2キャリッジを検査治具にセット時、水平な基準面に置くことで、実機や光軸チェッカーでの部品の受け方と同様になり、検査治具データと実機や光軸チェッカーデータとの相関の確認ができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、検査治具にて第2キャリッジの特性値を測定する測定方法として、上下2対のスライド部を水平な基準面に対し平行な方向に動かすことと上下2対の測定針を伸縮および回転させることにより、第2キャリッジの上側のミラー74aと下側のミラー74bとの両方の特性値(傾斜度・位置度)を測定できる為、測定が容易であり作業性が良いことを特徴とした第2キャリッジ検査治具装置を提供することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、上下2対のスライド部をストッパーにて位置決めすることができ、理想の位置度(位置度0)に0位置調整できることにより、検査治具のメンテナンス・構成が容易であり、また検査対象部品をセットした時点で、理想の位置度に対して実際の部品がどの位置にあるのか、概略であるが確認できるようにすることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、第2キャリッジの特性値(傾斜度・位置度)を測定するにあたり、測定針の位置をマグネットのON/OFFにより固定することができるため、測定針で測定する測定データのバラツキを押えることができ、データの信頼性を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、測定した上下2対のスライド部の移動量と、測定針が示す角度(θ1、θ2)とを、図10を用いて上述した計算式に当てはめることにより、第2キャリッジの特性値(傾斜度・位置度)を算出することができるため、上述した従来の検査治具装置よりも信頼性の高いデータを得ることができる。
【0060】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
例えば、上述した各実施形態としての検査治具装置が検査対象部品としている第2キャリッジ部品は、図2に示す外観として説明したが、この外観のものに限定されず、基準面との平行を確保するための長手部材と、その長手部材に連接されたミラー格納部材とを備え、そのミラー格納部材に傾斜の異なる2つのミラーが固定された形状であれば各種の形状であってよい。
また、検査対象部品は上述した第2キャリッジ部品に限定されず、基準面との平行を確保するための長手部材と、その長手部材に連接されたミラー格納部材とを備え、そのミラー格納部材に傾斜の異なる2つのミラーが固定された部品であれば、高精度を要求される各種の類似部品への検査測定装置に対して本発明は同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態としての検査治具装置の構成を示す図である。
【図2】測定対象としての第2キャリッジ部品の構成を示す図である。
【図3】該第2キャリッジ部品へのミラーの取付状態を示す図である。
【図4】第2キャリッジ部品における位置度および傾斜度を示す図である。
【図5】傾斜度による製品での光軸への影響の現れ方を示す図である。
【図6】位置度による製品での光軸への影響の現れ方を示す図である。
【図7】本発明の実施形態としての検査治具装置の機能と基本動作を示す図である。
【図8】該検査治具装置により傾斜度を測定する場合の動作を示す図である。
【図9】該検査治具装置により位置度を測定する場合の動作を示す図である。
【図10】該検査治具装置による測定結果から位置度を算出する場合の理論を示す図である。
【図11】計算例1を示す図である。
【図12】計算例2を示す図である。
【図13】計算例3を示す図である。
【図14】計算例4を示す図である。
【図15】従来の検査治具装置を示す図である。
【図16】従来の検査治具装置による第2キャリッジ部品の測定面を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 検査治具装置基準面部
2 上スライド部(第1のスライド移動部)
23 上側マグネットON/OFFスイッチ(第1のON/OFFスイッチの一例)
3 下スライド部(第2のスライド移動部)
33 下側マグネットON/OFFスイッチ(第2のON/OFFスイッチの一例)
4 上測定針(第1ミラー用測定針の一例)
5 下測定針(第2ミラー用測定針の一例)
6 ストッパ
7 第2キャリッジ部品(検査対象部品の一例)
71 平行取り用長手部材(長手部材の一例)
72 ミラー格納部材
73(73a,73b) ミラー取付部
74a ミラー(第2のミラーの一例)
74b ミラー(第1のミラーの一例)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準面との平行を確保するための長手部材と、該長手部材に連接されたミラー格納部材とを備え、該ミラー格納部材に第1のミラーと第2のミラーとを固定して格納する部品の検査を行う検査治具装置であって、
前記第1のミラーの前記基準面との角度を測定する第1ミラー用測定部と、
前記第2のミラーの前記基準面との角度を測定する第2ミラー用測定部とを備え、
前記部品を水平な基準面に設置して測定可能に構成されたことを特徴とする検査治具装置。
【請求項2】
前記第1ミラー用測定部は、前記基準面に対して平行にスライド移動可能な第1のスライド移動部と、該第1のスライド移動部に回動可能に軸支された第1ミラー用測定針とを備え、
前記第2ミラー用測定部は、前記基準面に対して平行にスライド移動可能な第2のスライド移動部と、該第2のスライド移動部に回動可能に軸支された第2ミラー用測定針とを備え、
前記第1のスライド移動部をスライド移動させると共に前記第1ミラー用測定針を回動させ、当該第1ミラー用測定針の長手方向と前記第1のミラーの平面方向とを平行にすることで当該第1のミラーの前記基準面との角度が測定でき、
前記第2のスライド移動部をスライド移動させると共に前記第2ミラー用測定針を回動させ、当該第2ミラー用測定針の長手方向と前記第2のミラーの平面方向とを平行にすることで当該第2のミラーの前記基準面との角度が測定できるよう構成されたことを特徴とする請求項1記載の検査治具装置。
【請求項3】
前記第1ミラー用測定部および前記第2ミラー用測定部それぞれの測定結果と、前記第1のスライド移動部および前記第2のスライド移動部の相対位置と、に基づいて、測定時の前記第1のミラーおよび前記第1ミラー用測定針の接触直線と、測定時の前記第2のミラーおよび前記第2ミラー用測定針の接触直線との交点位置の設計値とのズレ量を算出可能に構成されたことを特徴とする請求項2記載の検査治具装置。
【請求項4】
前記交点位置の設計値とのズレ量は、以下の計算式により算出されることを特徴とする請求項3記載の検査治具装置。
Z=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ただし、
Z:交点位置の設計値とのズレ量
a+b:前記第1のスライド移動部および前記第2のスライド移動部の理想相対位置に対するスライド移動量の合計
θ1:前記第1のミラーの前記基準面との角度
θ2:前記第2のミラーの前記基準面との角度
【請求項5】
前記第1のスライド移動部および前記第2のスライド移動部の相対位置を固定するストッパを備えたことを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の検査治具装置。
【請求項6】
前記第1ミラー用測定針の回転を固定する第1のマグネットと、
前記第1のマグネットON/OFFを切り替える第1のON/OFFスイッチと、
前記第2ミラー用測定針の回転を固定する第2のマグネットと、
前記第2のマグネットON/OFFを切り替える第2のON/OFFスイッチとを備えたことを特徴とする請求項2から5の何れか1項に記載の検査治具装置。
【請求項1】
基準面との平行を確保するための長手部材と、該長手部材に連接されたミラー格納部材とを備え、該ミラー格納部材に第1のミラーと第2のミラーとを固定して格納する部品の検査を行う検査治具装置であって、
前記第1のミラーの前記基準面との角度を測定する第1ミラー用測定部と、
前記第2のミラーの前記基準面との角度を測定する第2ミラー用測定部とを備え、
前記部品を水平な基準面に設置して測定可能に構成されたことを特徴とする検査治具装置。
【請求項2】
前記第1ミラー用測定部は、前記基準面に対して平行にスライド移動可能な第1のスライド移動部と、該第1のスライド移動部に回動可能に軸支された第1ミラー用測定針とを備え、
前記第2ミラー用測定部は、前記基準面に対して平行にスライド移動可能な第2のスライド移動部と、該第2のスライド移動部に回動可能に軸支された第2ミラー用測定針とを備え、
前記第1のスライド移動部をスライド移動させると共に前記第1ミラー用測定針を回動させ、当該第1ミラー用測定針の長手方向と前記第1のミラーの平面方向とを平行にすることで当該第1のミラーの前記基準面との角度が測定でき、
前記第2のスライド移動部をスライド移動させると共に前記第2ミラー用測定針を回動させ、当該第2ミラー用測定針の長手方向と前記第2のミラーの平面方向とを平行にすることで当該第2のミラーの前記基準面との角度が測定できるよう構成されたことを特徴とする請求項1記載の検査治具装置。
【請求項3】
前記第1ミラー用測定部および前記第2ミラー用測定部それぞれの測定結果と、前記第1のスライド移動部および前記第2のスライド移動部の相対位置と、に基づいて、測定時の前記第1のミラーおよび前記第1ミラー用測定針の接触直線と、測定時の前記第2のミラーおよび前記第2ミラー用測定針の接触直線との交点位置の設計値とのズレ量を算出可能に構成されたことを特徴とする請求項2記載の検査治具装置。
【請求項4】
前記交点位置の設計値とのズレ量は、以下の計算式により算出されることを特徴とする請求項3記載の検査治具装置。
Z=(a+b)(tanθ1・tanθ2)/(tanθ1+tanθ2)
ただし、
Z:交点位置の設計値とのズレ量
a+b:前記第1のスライド移動部および前記第2のスライド移動部の理想相対位置に対するスライド移動量の合計
θ1:前記第1のミラーの前記基準面との角度
θ2:前記第2のミラーの前記基準面との角度
【請求項5】
前記第1のスライド移動部および前記第2のスライド移動部の相対位置を固定するストッパを備えたことを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の検査治具装置。
【請求項6】
前記第1ミラー用測定針の回転を固定する第1のマグネットと、
前記第1のマグネットON/OFFを切り替える第1のON/OFFスイッチと、
前記第2ミラー用測定針の回転を固定する第2のマグネットと、
前記第2のマグネットON/OFFを切り替える第2のON/OFFスイッチとを備えたことを特徴とする請求項2から5の何れか1項に記載の検査治具装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−201139(P2006−201139A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16061(P2005−16061)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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