説明

検知装置、画像形成装置

【課題】照射手段の経時劣化に対応して受光手段に受光される光量を一定に保つようにした検知装置を提供する。
【解決手段】記録媒体Pが搬送される搬送路の方向へ向けて光を照射する照射手段(ランプ212)と、ランプ212から照射された光の反射光を受光する受光手段(CCDセンサ204)とを有し、当該搬送路中で搬送される記録媒体P上の像を検知する検知手段(照射部202、結像部208)と、を備える検知装置(インラインセンサ200)において、CCDセンサ204に受光される光量を調整自在に絞る光量絞り部224を検知手段に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置には、用紙搬送経路上の画像形成部よりも下流側に配置され、画像形成部において画像の形成を受けた用紙上の画像を読み取る画像読取部(検知装置)が設けられている。そして、画像読取部には、複数個の基準面を有すると共に回転可能に設けられた対向部材と、対向部材に設けられた基準面を読み取る画像読取手段とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−114498号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照射手段の経時劣化に対応して受光手段に受光される光量を一定に保つようにした検知装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1の検知装置は、媒体が搬送される搬送路の方向へ向けて光を照射する照射手段と、前記照射手段から照射された光の反射光を受光する受光手段とを有し、当該搬送路中で搬送される媒体上の像を検知する検知手段と、前記検知手段に設けられ、前記受光手段に受光される光量を調整可能に絞る光量絞り部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2の検知装置は、請求項1記載の検知装置において、光量絞り部は、前記反射光の進行方向と交差する方向の一方側から光束を遮る第1壁と、前記反射光の進行方向において前記第1壁と距離を離した位置に設けられ、前記反射光の進行方向と交差する方向の他方側から前記光束を遮る第2壁と、前記第1壁の光束側の端部と第2壁の光束側の端部を結ぶ線の中点に設けられ、前記第1壁と前記第2壁とを前記中点を中心として回転させる回転軸と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3の検知装置は、請求項2記載の検知装置において、前記第1壁の前記端部と前記第2壁の前記端部に鋭角部を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4の検知装置は、請求項2または請求項3記載の検知装置において、前記第1壁と前記第2壁は、打ち抜き加工された1枚の板から折り曲げて形成されることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5の検知装置は、請求項2〜4記載の検知装置において、前記回転軸の回転を操作可能な操作部を、前記検知手段を覆う筐体の外側に設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6の画像形成装置は、請求項1〜5に記載の検知装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の検知装置によれば、光量絞り部を有さない場合に比べ、照射手段の経時劣化に対応して受光手段に受光される光量を一定に保つことができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の検知装置によれば、開口部が形成された1枚の壁に回転軸を設けた光量絞りに比べ、光量絞り部の小型化(省スペース化)を図ることができる。
【0013】
本発明の請求項3に記載の検知装置によれば、光束を遮る壁の端部に鋭角部を設けない場合に比べ、端部での光の反射および回折によるゴースト発生を抑制することができる。
【0014】
本発明の請求項4に記載の検知装置によれば、第1壁と第2壁を打ち抜き加工された1枚の板から折り曲げて形成しない場合に比べ、第1壁と第2壁の光束を遮る端部に鋭角部を容易に設けることができる。
【0015】
本発明の請求項5に記載の検知装置によれば、検知手段の密閉状態を保ちつつ光量絞り部による光量調整が可能となる。
【0016】
本発明の請求項6に記載の画像形成装置によれば、媒体に定着されたトナー画像を装置内部で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された画像形成ユニットを示した断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るインラインセンサを示した断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインラインセンサに設けられた基準ロールの複合検査面を示した平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るインラインセンサの光量絞り部を示した斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るインラインセンサの光量絞り部による光量調整の態様を示した説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係るインラインセンサの光量絞り部の角度と光量の関係を示したグラフである。
【図8】本発明の実施形態に係るインラインセンサの光量絞り部に相当する光量絞りによる光量調整の態様を比較例と共に示した説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係るインラインセンサの光量絞り部の調整レバーを示した斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係るインラインセンサの光量絞り部による光量の調整の流れを示したフロー・チャートである。
【図11】本発明の実施形態に係るインラインセンサのセンターユニットとロアユニットとを記録媒体の搬送経路を中心として示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る検知装置及び画像形成装置の一例を図1〜図11に従って説明する。
【0019】
(全体構成)
本実施形態に係る画像形成装置10は、フルカラー画像又は白黒画像を形成するものであり、図1に示されるように、水平方向一側(図1における左側)部分を構成する第1処理部が収容された第1筐体10Aと、第1筐体10Aと分割可能に接続され、水平方向+側(図1における右側)部分を構成する第2処理部が収容された第2筐体10Bとを備えている。
【0020】
第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から送られてくる画像データに画像処理を施す画像信号処理部13が設けられている。
【0021】
一方、第1筐体10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に沿って交換可能に設けられている。
【0022】
なお、第1特別色及び第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色(透明を含む)から適宜選択される。また、以後の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、数字の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明し、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
【0023】
さらに、トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14と対応するように水平方向に沿って設けられている。
【0024】
画像形成ユニット16毎に設けられた露光装置40は、前述した画像信号処理部13によって画像処理を施された画像データを画像信号処理部13から受け取り、この画像データに応じて変調した光ビームLを後述の像保持体18へ照射するように構成されている(図2参照)。
【0025】
各画像形成ユニット16は、図2に示されるように、一方向(図2における時計回り方向)に回転駆動される像保持体18を備えている。各露光装置40から各像保持体18へ光ビームLが照射されることにより、各像保持体18には静電潜像が形成される。
【0026】
各像保持体18の周囲には、像保持体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光装置40によって像保持体18に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置22と、転写後の像保持体18に残留する現像剤を除去する除去部材としてのブレード24と、転写後の像保持体18に光を照射して除電を行う除電装置26とが設けられている。
【0027】
スコロトロン帯電器20、現像装置22、ブレード24、除電装置26は、像保持体18の表面と対向して、像保持体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0028】
現像装置22は、トナーを含んだ現像剤Gを収容する現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに収容された現像剤Gを像保持体18に供給する現像ロール22Bとを含んで構成されている。現像剤収容部材22Aは、トナーカートリッジ14(図1参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
【0029】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各像保持体18と接触する環状の中間転写ベルト34と、各像保持体18に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる一次転写部材としての一次転写ロール36とを含んで構成されている。
【0030】
中間転写ベルト34は、図示しないモータで駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数の巻掛ロール44とに巻き掛けられており、駆動ロール38により、一方向(図1における反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
【0031】
各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の像保持体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、像保持体18に形成されたトナー画像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
【0032】
中間転写ベルト34を挟んで駆動ロール38の反対側には、ブレードを中間転写ベルト34に接触させて、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。
【0033】
転写部32の下方には、用紙等の媒体の一例としての記録媒体Pが収容される記録媒体収容部48が水平方向に沿って2個設けられている。
【0034】
各記録媒体収容部48は、第1筐体10Aから引き出し自在とされている。各記録媒体収容部48の一端側(図1における右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
【0035】
各記録媒体収容部48内には、記録媒体Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、記録媒体収容部48が第1筐体10Aから引き出されると、図示せぬ制御手段の指示によって下降するようになっている。底板50が下降することで、ユーザーが記録媒体Pを補充する空間が記録媒体収容部48に形成される。
【0036】
第1筐体10Aから引き出された記録媒体収容部48を第1筐体10Aに装着すると、底板50が、制御手段の指示によって上昇するようになっている。底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の記録媒体Pと送出ロール52とが当るようになっている。
【0037】
送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という場合がある)には、記録媒体収容部48から重なって送り出された記録媒体Pを1枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する複数の搬送ロール54が設けられている。
【0038】
記録媒体収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、記録媒体収容部48から送り出された記録媒体Pを第1折返部60Aで図1における左側に折り返し、さらに、第2折返部60Bで図1における右側に折り返すように、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
【0039】
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像が、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されてきた記録媒体Pに二次転写される構成となっている。
【0040】
搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される別の記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが予備経路66を通って搬送経路60に入り込めるようになっている。
【0041】
転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写された記録媒体Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられ、搬送ベルト70に搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
【0042】
複数の搬送ベルト70及び搬送ベルト80のそれぞれは、環状に形成されており、一対の巻掛ロール72に巻き掛けられている。一対の巻掛ロール72は、記録媒体Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70(搬送ベルト80)を一方向(図1における時計回り方向)に循環移動させる。
【0043】
搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pの表面に転写されたトナー画像を記録媒体Pに熱と圧力で定着させる定着ユニット82が設けられている。
【0044】
定着ユニット82は、定着ベルト84と、定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧加熱してトナー画像を定着させる定着部Nが形成されている。
【0045】
定着ベルト84は、環状に形成されており、駆動ロール89及び従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。
【0046】
駆動ロール89及び従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱される。
【0047】
図1に示されるように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送り出された記録媒体Pを下流側へ搬送する搬送ベルト108が設けられている。搬送ベルト108は、搬送ベルト70と同様に形成されている。
【0048】
搬送ベルト108の下流側には、定着ユニット82によって加熱された記録媒体Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
【0049】
冷却ユニット110は、記録媒体Pの熱を吸収する吸収装置112と、記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114とを備えている。吸収装置112は、搬送経路60に対する一方側(図1における上側)に配置され、押付装置114は、他方側(図1における下側)に配置されている。
【0050】
吸収装置112は、記録媒体Pと接触し、記録媒体Pの熱を吸収する環状の吸収ベルト116を備えている。吸収ベルト116は、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120と、複数の巻掛ロール118とに巻き掛けられている。
【0051】
吸収ベルト116の内周側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させるアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。
【0052】
さらに、ヒートシンク122から熱を奪い熱気を外部へ排出させるためのファン128が、第2筐体10Bの裏側(図1に示す紙面奥側)に配置されている。
【0053】
記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114は、記録媒体Pを吸収ベルト116へ押し付けながら記録媒体Pを搬送する環状の押付ベルト130を備えている。押付ベルト130は、複数の巻掛ロール132に巻き掛けられている。
冷却ユニット110の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置140が設けられている。
【0054】
矯正装置140の下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥、及び記録媒体Pの位置や形状等を検知する検知装置の一例としてのインラインセンサ200が設けられている。なお、インラインセンサ200については、詳細を後述する。
【0055】
インラインセンサ200の下流側には、片面に画像が形成された記録媒体Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
【0056】
一方、両面に画像を形成させる場合は、インラインセンサ200から送出された記録媒体Pは、インラインセンサ200の下流側に設けられた反転経路194に搬送されるようになっている。
【0057】
反転経路194には、搬送経路60から分岐する分岐パス194Aと、分岐パス194Aに沿って搬送される記録媒体Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パス194Bと、用紙搬送パス194Bに沿って搬送される記録媒体Pを逆方向に向けて折返してスイッチバック搬送させて表裏を反転させる反転パス194Cが設けられている。
【0058】
この構成により、反転パス194Cでスイッチバック搬送された記録媒体Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
【0059】
次に、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0060】
画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光装置40に送られる。各露光装置40では、画像データに応じて各光ビームLを出射して、スコロトロン帯電器20によって帯電した各像保持体18に露光し、静電潜像が形成される。
【0061】
図2に示されるように、像保持体18に形成された静電潜像は、現像装置22によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
【0062】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの感光体28に形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34に順次多重転写される。
【0063】
中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール62によって、記録媒体収容部48から搬送されてきた記録媒体P上に二次転写される。トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
【0064】
記録媒体P上の各色のトナー画像が定着ユニット82により加熱・加圧されることで記録媒体Pに定着する。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、矯正装置140に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。
【0065】
湾曲が矯正された記録媒体Pは、インラインセンサ200によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
【0066】
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、インラインセンサ200を通過後に、記録媒体Pが反転経路194で反転され、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
【0067】
なお、本実施形態に係る画像形成装置10では、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品(画像形成ユニット16V・16W、露光装置40V・40W、トナーカートリッジ14V・14W、一次転写ロール36V・36W)は、ユーザーの選択により、追加部品として第1筐体10Aに装着可能に構成されている。従って、画像形成装置10としては、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品を有さない構成、第1特別色及び第2特別色のうちいずれか1色の画像を形成するための部品のみを有する構成としてもよい。
【0068】
次に、インラインセンサ200について説明する。
【0069】
以下の説明では、画像形成装置10の長さ方向(記録媒体Pの搬送方向である副走査方向)をX方向、装置の高さ方向をY方向、装置の奥行き方向(主走査方向)をZ方向ということとする。X方向、Y方向、Z方向は互いに直交する。また、以下において「正面」とは、図1に示す装置の面を指し、「背面」とは正面とは逆側の装置の面を指す。
(インラインセンサの基本構成、機能)
【0070】
図3に示されるように、インラインセンサ200は、画像が記録された記録媒体Pに向けて光を照射する照射部202と、照射部202から照射されて記録媒体Pで反射された光を受光手段の一例としてのCCDセンサ204に結像する結像光学系206を備えた結像部208と、インラインセンサ200の使用時やキャリブレーション時の各種基準等が設定された設定部210とを備えている。CCDセンサ204は、記録媒体Pで反射された光を受光すると共に、光の強度に基づいて画像(像)を検知する構成となっている。
【0071】
なお、記録媒体Pからの光とは、記録媒体Pで反射された反射光および記録媒体Pを透過した透過光を含み、より広くは、記録媒体P上に形成された像や記録媒体Pの位置や形状に関する情報を検知することができる光である。また、透過とは、光がウインドウガラス等を通り抜けることのほか、結像レンズ等を光が通り抜けることも含む。さらに、記録媒体Pの検知とは、記録媒体Pの位置、形状を検知することを含む。
【0072】
照射部202は、記録媒体Pの搬送経路60の上側に配置されており、一対の照射手段の一例としてのランプ212を有する。各ランプ212は、Z方向に長手とされたキセノンランプであり、その照射範囲の長さは搬送される最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。一対のランプ212は、記録媒体Pにて反射されて結像部208に向かう光軸OA(設計上の光軸)に対し対称に配置されている。より具体的には、各ランプ212は、記録媒体Pへの照射角がそれぞれ45°〜50°となるように光軸OAに対し対称に配置されている。
【0073】
詳細には、一対のランプ212は、記録媒体Pの搬送方向の上流側に設けられた第一ランプ212Aと、第一ランプ212Aに対して光軸OAを挟んで反対側に設けられた第二ランプ212Bとを備えている。
【0074】
結像光学系206は、光軸OAに沿って導かれた光をX方向(この実施形態では記録媒体Pの搬送方向下流側)に反射する第1ミラー214と、第1ミラー214が反射した光を上向きに反射する第2ミラー216と、第2ミラー216が反射した光を記録媒体Pの搬送方向上流側に反射する第3ミラー218と、第3ミラー218が反射した光をCCDセンサ204に集光(結像)するレンズ220とを主要部として構成されている。CCDセンサ204は、光軸OAに対し記録媒体Pの搬送方向上流側に配置されている。
【0075】
第1ミラー214のZ方向の長さは、最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。そして、第1ミラー214、第2ミラー216、及び第3ミラー218は、結像光学系206に入射された記録媒体Pの反射光をそれぞれZ方向(主走査方向)に絞りながら反射するようになっている。これにより、略円柱状のレンズ220に対し、記録媒体Pの幅方向各部からの反射光を入射させる構成である。
【0076】
上記構成により、インラインセンサ200では、CCDセンサ204が、結像された光すなわち画像濃度に応じた信号を、画像形成装置10の制御装置192(図1参照)に出力(フィードバック)するようになっている。制御装置192は、インラインセンサ200からの信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正するようになっている。画像形成装置10では、一例として、露光装置40による照射光の強度、画像の形成位置などがインラインセンサ200からの信号に基づいて補正される。
【0077】
また、結像光学系206における第3ミラー218とレンズ220との間には、光量絞り部224が設けられている。光量絞り部224は、光路をZ方向に横切ってCCDセンサ204に結像する光の光量をY方向(主走査方向との交差方向)に絞ると共に、外部から操作することで光量絞り量を調整可能に構成されている。光量絞り部224による光量絞り量は、経時により各ランプ212の発光量が変化してもCCDセンサ204に結像される光量が予め定めた量となるように調整されるようになっている。詳細は後述する。
【0078】
一方、設定部210は、Z方向に長手の基準ロール226を備えている。基準ロール226は、記録媒体Pの画像検出を行う際に搬送経路60側を向ける検出基準面228と、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合に搬送経路側を向ける退避面230と、白色基準面232と、多色のパターンが長手方向に沿って形成されたカラー基準面234と、複数の検査パターンが形成された複合検査面236とを有する。この実施形態では、基準ロール226は、周方向に8面以上の面が形成された多角形筒状に形成されている。検出基準面228、退避面230、カラー基準面234、複合検査面236は各一面だけ設けられ、白色基準面232は2面設けられている。
【0079】
基準ロール226は、回転軸226A周りに回転することで、搬送経路60側を向ける面を切り替える構成とされている。この基準ロール226の面の切替は、後述する回路基板262に設けられた制御回路によって行われるようになっている。また、基準ロール226は、八角形以上の多角形筒状に形成されることで、各面の周方向中央と面間の角部との回転中心に対する距離差が小さく抑えられている。これにより、基準ロール226の各面と各ランプ212の照射位置(後述するウインドウガラス286)との距離を小さく抑えながら、基準ロール226の面間の角部が照射部202と干渉しない構成とされている。
【0080】
検出基準面228は、周方向の幅が他の面よりも小とされており、その周方向両側の面は上記した各基準としての機能を有しない案内面238とされている。検出基準面228は、搬送される記録媒体Pの被検出(被読み取り)面(反射面)の位置を設定する設定面(位置基準面)とされている。
【0081】
退避面230は、周方向の幅が他の面よりも大とされている。この退避面230は、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合に、記録媒体Pを案内する案内面であり、検出基準面228よりも回転軸226Aの軸心からの距離が小とされている。これにより、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合には、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行う場合よりも、照射部202(ウインドウガラス286)との間隔が広い搬送経路が形成されるようになっている。
【0082】
白色基準面232は、結像光学系206のキャリブレーション用であり、予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準の白色フィルムが貼着されて構成されている。カラー基準面234は、結像光学系206のキャリブレーション用であり、各色に応じて予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準色のパターンが施されたフィルムが貼着されて構成されている。
【0083】
図4に示されるように、複合検査面236は、基準ロール226の回転方向(記録媒体Pの搬送方向)の位置をキャリブレーションするための位置検出パターン240と、フォーカス検出パターン242と、深度検出パターン244とが同一面に配置されて形成されている。
【0084】
位置検出パターン240は、黒色の「N」字のパターンが、該「N」字の縦線が記録媒体Pの搬送方向に沿うように形成された白地のフィルムが貼着されることで構成されている。フォーカス検出パターン242は、記録媒体Pの幅方向に沿った黒色の直線が多数並列された如きラダーパターンが形成された白地のフィルムが貼着されることで構成されている。
【0085】
深度検出パターン244は、基準ロール226の回転軸226Aからの距離が異なる3つの深度検出部244A、244B、244Cは複合検査面236の長手方向に階段状に配列された段差に白地のフィルムを貼着することで形成されている。
【0086】
位置検出パターン240は、複合検査面236の長手方向両端に少なくとも1つずつ設けられている。また、フォーカス検出パターン242は、上記両端に配置された位置検出パターン240に対する複合検査面236の長手方向中央側に隣接するように配置されている。深度検出パターン244は、複合検査面236の長手方向の両端側と、中央部とに計3つ設けられている。この実施形態では、中央に配置された深度検出パターン244と長手方向一端に配置された深度検出パターン244との間に、さらに位置検出パターン240、フォーカス検出パターン242が各1つ配置されている。
【0087】
次に、CCDセンサ204のキャリブレーションの手順について説明する。
【0088】
図3に示されるように、先ず、白色基準面232を記録媒体Pの搬送経路60に向ける。CCDセンサ204は、Z方向(主走査方向)の光量分布を補正するシェーディング補正信号を出力する。次いで、複合検査面236が記録媒体Pの搬送経路60に向けられ、位置検出パターン240により、記録媒体Pの搬送方向のCCDセンサ204による検出位置が自動的に調整される。すなわち、「N」字のパターンをZ方向(主走査方向)に横切って検出することで、図4に示されるように、2つの直線部240A、240Cとその間の斜線部240Bが検出される。そして、直線部240Aと斜線部240Bとの間隔と、直線部240Cと斜線部240Bとの間隔とが等しくなるように基準ロール226が回転され、検出位置が調整される。
【0089】
記録媒体Pの搬送方向の検出位置が調整された後に、フォーカス検出パターン242によりCCDセンサ204の焦点が確認されると共に、深度検出パターン244により照明深度が確認される。
【0090】
さらに、カラー基準面234を記録媒体Pの搬送経路60に向ける。CCDセンサ204は、各色において、予め定められた強度の信号が出力されるように、自動的に調整される。
【0091】
なお、上記した如くCCDセンサ204のキャリブレーションは、一例として画像形成装置10の電源投入時(1回/日程度)に行われる。一方、CCDセンサ204の信号に基づく画像形成装置10のキャリブレーション(上記した露光装置40の調整など)は、一例として予め定められた量以上の記録媒体Pに画像を形成したジョブの終了毎(10回/日程度)に行われる。
【0092】
(インラインセンサの分割構造)
上記したインラインセンサ200は、照射部202を主要部とするセンターユニット246と、結像部208を主要部としてアッパユニット248と、設定部210を主要部としてロアユニット250とに3分割可能な構造とされている。
【0093】
アッパユニット248は、画像形成装置10の第2筐体10B(図1参照)に対しZ方向にスライドして着脱可能とされている。センターユニット246は、アッパユニット248に対しZ方向にスライドして着脱可能とされている。ロアユニット250は、センターユニット246及びアッパユニット248に対しZ方向にスライドして着脱可能とされている。なお、記録媒体Pの搬送経路60の下側に配置されるロアユニット250は、記録媒体Pのつまりを解消するために第2筐体10Bから引き出される下側ドロワ(図示省略)に支持されており、この下側ドロワの出し入れに伴ってセンターユニット246及びアッパユニット248に対し脱着されるようになっている。以下、具体的に説明する。
【0094】
(アッパユニットの構成)
アッパユニット248はアッパハウジング254を備えている。アッパハウジング254は、結像部208及び後述する回路基板262を収容すると共に冷却用のダクト265等を構成している。アッパハウジング254は、CCDセンサ204、結像光学系206を収容した結像系ハウジング256を有して構成されている。
【0095】
結像系ハウジング256は、Z方向から見てX方向に長手の略矩形箱状に形成されており、該X方向の一端部(この実施形態では、記録媒体Pの搬送方向上流側の端部)にCCDセンサ204を収容している。また、結像系ハウジング256におけるX方向の他端部には、第2ミラー216、第3ミラー218が配置されている。そして、結像系ハウジング256におけるX方向の略中央部には、光軸OAに沿って光が入射される窓部256Aが形成されている。結像系ハウジング256には、窓部256Aが光透過性のウインドウガラス258にて閉止されることで、内部が密閉(気密)の空間とされると共にCCDセンサ204等が収容される光学室205が設けられている。
【0096】
アッパハウジング254は、結像系ハウジング256を上方から覆うアッパカバー260を備えている。これにより、結像系ハウジング256の上壁256Uとアッパカバー260との間に回路基板262が収容される基板室264が形成されている。また、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256におけるCCDセンサ204が配置された側であるX方向一端部の外側にダクト265を形成するダクトカバー268を備えている。ダクトカバー268は、結像系ハウジング256の上記端部を記録媒体Pの搬送方向上流側及び用紙搬送経路60側から覆って、X−Y断面形状が「L」字状であるダクト265を形成している。
【0097】
ダクト265の上端は空気取入口266Aとされ、ダクト265の空気取入口266Aと反対側の端部は後述するランプハウジング284のダクト308に接続される接続口266Bとされている。ダクト265には、該ダクト265内を上側から下側に向かう気流を生じさせるファン270が配置されている。また、ダクト265には、結像系ハウジング256に設けられた光学室205に空気を送り込む(光学室205内を正圧にする)ファン272が配置されている。さらに、ダクト265には、基板室264に空気を送り込むファン(図示省略)が設けられている。
【0098】
さらに、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256を第2ミラー216、第3ミラー218側から覆うカバー275を備えている。カバー275は、結像系ハウジング256との間に断熱空間276を形成している。
【0099】
アッパハウジング254には、Z方向に長手とされたスライダ278が設けられている。この実施形態では、矢印X方向に並列して一対のスライダ278がアッパカバー260に設けられている。各スライダ278は、第2筐体10Bのフレーム(図示省略)に設けられたレールに嵌合している。これにより、各スライダ278は、レールに案内されつつ移動し、アッパユニット248が第2筐体10Bに対しZ方向に移動されるようになっている。
【0100】
(センターユニットの構成)
センターユニット246は、一対のランプ212を収容するランプハウジング284と、ランプ212の光を記録媒体Pに向けて出射させるウインドウガラス286を保持したウインドウカバー288とを有する。ランプハウジング284は、上下に開口する箱状を成しており、上側開口端がアッパハウジング254にて閉止されると共に、下側の開口端がウインドウカバー288にて閉止されている。
【0101】
そして、照射部202では、各ランプ212が発した光はウインドウガラス286を通じて記録媒体Pに照射され、記録媒体Pにて反射された光はウインドウガラス286を通じて光軸OAに沿ってランプハウジング284内に入射されるようになっている。ランプハウジング284に入射された記録媒体Pからの反射光は、結像部208を構成する結像系ハウジング256のウインドウガラス258を通じて該結像部208内に導かれる構成とされている。
【0102】
ランプハウジング284は、上側の開口縁から矢印X方向にフランジ状に張り出されたZ方向に長手の一対のスライダ290を備えている。スライダ290は、アッパハウジング254に形成されたレール292に嵌合されている。これにより、各スライダ290は、レール292に案内されつつ移動し、ランプハウジング284がアッパハウジング254(アッパユニット248)に対しZ方向に着脱されるようになっている。
【0103】
ウインドウカバー288は、自らのエッジ及びウインドウガラス286のエッジが記録媒体Pの搬送方向上流側を向くことのないように構成されている。ウインドウガラス286は、ウインドウカバー288に形成された窓部288Aを閉止する姿勢で、長手方向の両端が取り付けスプリング(図示省略)にてウインドウカバー288に押し付けられている。すなわち、ウインドウガラス286はウインドウカバー288に対し着脱可能に構成されている。
【0104】
また、ウインドウカバー288は、ランプハウジング284に対し着脱可能とされている。具体的には、ウインドウカバー288は、X−Y断面形状が上向きに開口する「コ」字状とされており、該開口縁部に一対のスライダ298が設けられている。スライダ298は、ランプハウジング284に形成されたレール300に嵌合されている。これにより、各スライダ298は、レール300に案内されつつ移動し、ウインドウカバー288がウインドウガラス286に対しZ方向に着脱されるようになっている。以上により、インラインセンサ200では、ウインドウカバー288の単品での交換や清掃が可能とされている。
【0105】
図示は省略するが、センターユニット246とアッパユニット248とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピン、孔によって、高精度でX、Y、Zの各方向に位置決めされるようになっている。また、アッパユニット248と筐体とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピン、孔によって、高精度でX、Y、Zの各方向に位置決めされるようになっている。
【0106】
(ロアユニットの構成)
ロアユニット250は、基準ロール226及び該基準ロール226を駆動するモータ(図示省略)を収容するロアハウジング302を備えている。ロアハウジング302は、上記の通り下側ドロワによって支持されており、該下側ドロワにZ方向の位置が決められている。また、ロアユニット250とセンターユニット246及びアッパユニット248とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピン、孔によって、高精度でX、Yの各方向に位置決めされるようになっている。これにより、センターユニット246との間に記録媒体Pの搬送経路60が位置するロアユニット250の、センターユニット246及びアッパユニット248に対するX、Y、Zの各方向の位置が決まる構成である。
【0107】
(迷光対策)
図3に示すように、ランプハウジング284内には、一対のランプ212の上方で光軸OAを囲むようにバッフル304が設けられている。バッフル304は、側壁304Sと、底壁304Bとを少なくとも有して構成されている。この実施形態では、一対の側壁304SはZ方向に対向する前後一対の壁(図示省略)にて連結されている。底壁304Bには、光軸OAが入射される下側窓304Wが形成されている。バッフル304の上側開口端は、結像系ハウジング256の窓部256Aを囲んでいる。したがって、光軸OAに沿って進む光は、バッフル304内を経由して結像部208に入射される。
【0108】
バッフル304は、各ランプ212の裏側から照射された光が窓部256Aに至らないように寸法形状が設定されている。すなわち、下側窓304Wは、各ランプ212の裏側から照射された光が窓部256Aに直接的に至らないように開口縁の位置が設定されている。また、側壁304Sは、各ランプ212の裏側から照射された光が1回反射しても窓部256Aに至らないようにOAに対する傾斜角が設定されている。
【0109】
結像系ハウジング256内には、結像光学系206による導光路以外の部分を仕切る複数の仕切壁306が配置されている。各仕切壁306は、記録媒体Pで反射された光の拡散角に応じて、記録媒体Pで反射された拡散光をY方向及びZ方向に絞らない限度で光通過部の大きさ(上限)が決められた開口306Aを有する。
【0110】
(エアフロー)
また、ランプハウジング284内には、一方(この実施形態では、記録媒体Pの搬送方向の上流側)の側壁304Sとランプハウジング284の周壁とでダクト308が形成されている。ダクト308の上側開口端は、ランプハウジング284がアッパハウジング254に装着された状態で、接続口266Bを通じてダクト265に接続される。これにより、ファン270の作動によって生じた空気流がランプハウジング284内にも生じる構成とされている。
【0111】
ランプハウジング284の周壁におけるX方向においてダクト308側と反対側に位置する部分には、空気排出口310が形成されている。したがって、ダクト265からの空気流は、ランプハウジング284内で、該ランプハウジング284の周壁およびウインドウカバー288によって案内されつつ、記録媒体Pの搬送方向の上流側の第一ランプ212A、同下流側の第二ランプ212Bを経由して流れ、空気排出口310を通じてランプハウジング284の外部に排出されるようになっている。
【0112】
また、ダクト308を構成する側壁304Sの下端からは、第一ランプ212Aの裏側から照射された光が下側窓304Wに至るのを抑制するための張出部312が張り出している。張出部312の張り出し量は、一対のランプ212への空気流による該一対のランプ212の冷却効果が同等になるように設定されている。
【0113】
(光量絞り部)
図3、図5に示すように、光量絞り部224は、第1壁の一例としての側壁224Sと上壁224Uと下壁224Lとを有し、X−Y断面形状が第3ミラー218側に開口する断面「コ」字状とされている。この光量絞り部224の側壁224Sには、矩形状の開口部314が形成されている。また、上壁224Uの自由端部からは第2壁の一例としてのリブ316が垂下されている。光量絞り部224は、開口部314の下縁314Lと、リブ316の下端316Lとで光束を遮り、Y方向両側から光量を絞る構成とされている。
【0114】
図5、図6に示すように、光量絞り部224の正面側には回転軸500が設けられる。回転軸500は、図6に良く示すように、光量絞り部224のX−Y断面視においてリブ316の下端316Lと開口部314の下縁314Lとを結ぶ直線の中点にZ方向に沿って設けられる。回転軸500を回転させることで光量絞り部224はX−Y平面において回転軸500を中心として回転される。光量絞り部224の回転に伴い、リブ316の下端316Lの位置と開口部314の下縁314Lの位置が移動することで、Y方向において光束501を遮る量が変化する。それにより、下流側のCCDセンサ204に結像される光量が調整される。
【0115】
リブ316の下端316Lと開口部314の下縁314Lは、鋭角部502を有する。この鋭角部502で光束501を遮るので、光量絞り部224において光の反射および回折によるゴースト発生が抑制される。それにより、CCDセンサ204において画像欠陥を精度良く検出される。
【0116】
光量絞り部224は、打ち抜き加工された1枚の板金から折り曲げて形成される。このため、打ち抜き加工で打ち抜き端部に生じるエッジは、そのままリブ316の下端316Lと開口部314の下縁314Lの鋭角部502とされる。なお、別途、リブ316の下端316Lと開口部314の下縁314Lにナイフエッジ(機械加工)を施しても良い。
【0117】
図6、図7に示すように、光量絞り部224の角度が0°のときの光量を100%とした場合、角度が増加するに伴って光量が減少し、光量絞り部224の角度が50°で光量が0%となる。このように、光量絞り部224において、回転軸500をリブ316の下端316Lと開口部314の下縁314Lとを結ぶ直線の中点に設けることで、光量調整に伴う光量絞り部224の回転角度を0°〜50°に抑制している。これにより、光量絞り部224の小型化、省スペース化を図るようにしている。
【0118】
この作用効果について図8を用いて説明する。図8の(A)(B)はこの実施形態の光量絞り部224に相当する光量絞り504による光量調整の態様を示している。図8の(C)(D)は比較例として開口部506が形成された1枚の壁508に回転軸510を設けた光量絞り512による光量調整の態様を示している。
【0119】
図8の(A)に示すように、光量絞り504では、光束501の下側は第1壁514の上端部514Uを境として遮られ、光束501の上側は第2壁516の下端部516Lを境として遮られる。第1壁514と第2壁516は光の進行方向において距離を離して配置され、第1壁514の上端部514Uと第2壁516の下端部516Lを結ぶ直線の中点に回転軸518が設けられる。そして、回転軸518を回転させると、図8の(B)に示すように、第1壁514と第2壁516が回転軸518を中心に回転し、第1壁514の上端部514Uと第2壁516の下端部516Lの位置が移動し、光量が1/2に絞られる。
【0120】
光量絞り504では、光量絞り504を約25°回転させることで光量が1/2に絞られる。このため、図8の(B)において、光束501を遮るための第1壁514の長さL1と第2壁516の長さL2を短く設定できる。従って、光量絞り504では全体として小型化、省スペース化を図れる。
【0121】
これに対し、図8の(C)に示すように、光量絞り512では、光束501の下側は壁508に設けられた開口部506の下縁506Lを境として遮られ、光束501の上側は開口部506の上縁506Uを境として遮られる。また、回転軸510は開口部506の上縁506Uと下縁506Lの中点に設けられる。そして、図8の(D)に示すように、回転軸510を中心として壁508を回転させた場合、光量を1/2まで絞るには光量絞り512を約50°回転させなければならない。このため、図8の(D)において、光束501を遮るための壁508の下端側の長さL3と上端側の長さL4を長く設定する必要がある。従って、光量絞り512では全体的に大型化することとなる。
【0122】
なお、光量絞り部224では、上壁224Uと下壁224Lで光束501を遮るようにしているので、光量絞り504よりもさらにY方向において小型化、省スペース化を図れる(図8の(A)(B)の想像線を参照)。さらに一枚板金の曲げ構成により光量絞り部224の剛性向上が図られ、記録媒体の搬送中に生じる振動から起因する副走査方向の光量ムラを防ぐことができる。
【0123】
図9に示すように、光量絞り部224の長手方向一端は、結像系ハウジング256の正面側の筐体520に至っており、光量絞り部224の長手方向一端には、筐体520に形成された操作孔522を通じて操作部の一例としての調整レバー524が取り付けられている。
【0124】
図10に示すフロー・チャートを用いて光量絞り部224による光量の調整について説明すると、先ずステップS10において、設定部210の基準ロール226が白色基準面232にセットされる。即ち、基準ロール226の白色基準面232が読み取り面となるように搬送経路60側に向けられる。次いでステップS12において、CCDセンサ204において読み取り画像の光量最大値が飽和光量の80%以上であるか否か判断される。
【0125】
ステップS12において否定される場合はステップS14に進んで、光量不足を示す情報がモニタ15(図1参照)に表示される。また、その光量不足を解消するための調整レバー524の調整量もモニタ15に表示される。次いでステップS16に進んで、調整レバー524をモニタ15に表示された調整量に基づいて操作する。この操作については、画像形成装置10を操作する操作者によって手動操作しても良いし、適宜な駆動モータを用いて自動操作されるようにしても良い。
【0126】
ステップS12において肯定される場合は、光量絞り部224による光量調整が適切に行われているとして、光量調整作業を終了する。
【0127】
このように、光量絞り部224は、調整レバー524の操作に伴って回転され、ランプ212の経時劣化により、光量を絞った初期位置から徐々に絞り量を減じる姿勢に調整されることとなる。従って、経時により各ランプ212の発光量が変化してもCCDセンサ204に結像される光量が予め定めた量となる。
【0128】
(詰まり抑制構造)
図11に示されるように、センターユニット246(照射部202)とロアユニット250(設定部210)との間の搬送経路60は、記録媒体Pの搬送方向下流側に向けて高位となる構成とされている。ウインドウカバー288とロアハウジング302とには、それぞれの角部を面取り又はアール加工が施されており、これによりインラインセンサ200には、記録媒体Pの搬送方向の上流側を向く誘い込み部である入口シュート320が形成されている。
【0129】
入口シュート320の上部を成すアッパシュート320Uは、下向きに凸の滑らかな曲面で構成されている。基準ロール226の検出基準面228が記録媒体Pの搬送経路60側を向く状態におけるZ方向から見て該検出基準面228の延長線をILとすると、アッパシュート320Uは、延長線ILと干渉する(アッパシュート320U突出端画延長線ILの下側に位置する)ように寸法形状が設定されている。
【0130】
また、ウインドウカバー288におけるウインドウガラス286よりも記録媒体Pの搬送方向下流側には、下向きに凸の滑らかな曲面で構成された凸部322が形成されている。凸部322は、延長線ILの上側に位置している。
【0131】
入口シュート320の下部を成すロアシュート320Lは、ロアハウジング302の開口端から内向きに延びるフランジ302Fに固定したロアシュート部材324により基準ロール226に、より近接されている。ロアシュート部材324における記録媒体Pの搬送方向の下流端は、上向きの凸となるように丸められたアール部324Aとされている。
【0132】
一方、凸部322における記録媒体Pの搬送方向下流側部分とロアハウジング302との間には、出口シュート326が形成されている。出口シュート326の下部を成すロアシュート326Lは、ロアハウジング302の開口端から外向きに延びるフランジ302Fにロアシュート部材328を固定して構成されている。ロアシュート部材328における記録媒体Pの搬送方向の下流端は、上向きの凸となるように丸められたアール部328Aとされている。
【0133】
また、基準ロール226の検出基準面228は、CCDセンサ204により画像を検出する際には、ウインドウガラス286と略平行となる姿勢で記録媒体Pの側に向けられるようになっている。この検出基準面228の両側に設けられた各案内面238は、入口シュート320から記録媒体Pを受け、また出口シュート326に向け記録媒体Pを案内するようになっている。
【0134】
一方、基準ロール226の退避面230は、CCDセンサ204により画像を検出しない場合に、記録媒体Pの搬送方向の下流側ほどウインドウガラス286に近づく姿勢(非平行な姿勢)で記録媒体Pの側に向けられるようになっている。退避面230は、ロアシュート部材324のアール部324Aから出口シュート326の近傍まで延びる幅広面とされており、上記の姿勢で入口シュート320から記録媒体Pを受け、また出口シュート326に向け記録媒体Pを案内するようになっている。
【0135】
(インラインセンサの作用)
図3に示されるように、インラインセンサ200は、照射部202と設定部210との間を通過する記録媒体Pに対し、一対のランプ212により光を照射する。記録媒体Pで反射された光は光軸OAに沿って結像部208に導かれ、該結像部208の結像光学系206によってCCDセンサ204に結像される。CCDセンサ204は、画像の位置毎の画像濃度に応じた信号を画像形成装置10の制御装置192に出力する。制御装置192では、CCDセンサ204からの信号に基づいて画像濃度、画像形成位置などが補正される。
【0136】
一方、インラインセンサ200を構成するCCDセンサ204のキャリブレーションの際には、先ず、ロアユニット250のモータが作動して白色基準面232が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。CCDセンサ204は、予め定められた信号が出力されるように調整される。
【0137】
次いで、図4に示される複合検査面236が記録媒体Pの搬送経路60に向けられ、位置調整パターン240の直線部240Aと斜線部240Bとの間隔と、240Cと斜線部240Bとの間隔とが等しくなるように、CCDセンサ204の検出位置が調整される。この後、CCDセンサ204は、ラダーパターンが読み取り可能なフォーカスであるか確認される。また、深度検出パターン244により照明深度に依らず出力が基準範囲内であるか、確認される。
【0138】
さらに、カラー基準面234が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。CCDセンサ204は、各色において、予め定められた信号が出力されるように調整される。
【0139】
以上のように、この発明の実施形態にあっては、CCDセンサ204に結像される光量を調整可能に絞る光量絞り部224を結像部208に設けたので、ランプ212の経時劣化に対応してCCDセンサ204に結像される光量が一定に保たれ、ランプ212の経時劣化による光量変動の影響が抑制される。なお、CCDセンサ204に結像される光量を一定に保つことで、適切なSN比でCCDセンサ204による画像検出が行われ、画像欠陥が高精度で検出される。
【0140】
また、光量絞り部224のX−Y断面視においてリブ316の下端316Lと開口部314の下縁314Lとを結ぶ直線の中点に設けられる回転軸500によって、光束501を遮るリブ316の下端316Lと開口部314の下縁314Lとを中点を中心に回転させるように構成したので、光量絞り部224の小型化、省スペース化を図れる。また、回転軸500の回転量に対する光束501上下の遮光量が均等とされる。
【0141】
また、リブ316の下端316Lと開口部314の下縁314Lには鋭角部502を設け、鋭角部502で光束501を遮るように構成したので、光の反射および回折によるゴースト発生が抑制され、CCDセンサ204において画像欠陥を高精度で検出可能となる。
【0142】
また、光量絞り部224は、打ち抜き加工された1枚の板金から折り曲げて形成されるので、打ち抜き加工で打ち抜き端部に生じるエッジを用いてリブ316の下端316Lと開口部314の下縁314Lに鋭角部502を容易に設けられる。
【0143】
また、回転軸500の回転を操作可能な調整レバー524を、結像部208を覆う筐体520の外側に設けたので、結像部208の密閉状態を保ちつつ光量絞り部224による光量調整が可能となる。
【0144】
また、画像形成装置10はインラインセンサ200を備えるので、トナー画像を装置内部で検出可能となる。
【0145】
なお、本実施例では、記録媒体Pの表面側から光を当てたが、光を透過する記録媒体Pを用いる場合には、記録媒体Pの裏面側から光を当ててもよい。
【符号の説明】
【0146】
10 画像形成装置
200 インラインセンサ(検知装置)
202 照射部(検知手段の一部)
204 CCDセンサ(受光手段)
208 結像部(検知手段の一部)
210 設定部
212 ランプ(照射手段)
224L 下壁
224U 上壁
224S 側壁(第1壁)
224 光量絞り部
314 開口部
314L 下縁
316 リブ(第2壁)
316L 下端
500 回転軸
502 鋭角部
506L 下縁
506 開口部
506U 上縁
514 第1壁
514U 上端部
516 第2壁
516L 下端部
518 回転軸
524 調整レバー(操作部)
P 記録媒体(媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が搬送される搬送路の方向へ向けて光を照射する照射手段と、前記照射手段から照射された光の反射光を受光する受光手段とを有し、当該搬送路中で搬送される媒体上の像を検知する検知手段と、
前記検知手段に設けられ、前記受光手段に受光される光量を調整可能に絞る光量絞り部と、
を備える検知装置。
【請求項2】
光量絞り部は、
前記反射光の進行方向と交差する方向の一方側から光束を遮る第1壁と、
前記反射光の進行方向において前記第1壁と距離を離した位置に設けられ、前記反射光の進行方向と交差する方向の他方側から前記光束を遮る第2壁と、
前記第1壁の光束側の端部と第2壁の光束側の端部を結ぶ線の中点に設けられ、前記第1壁と前記第2壁とを前記中点を中心として回転させる回転軸と、
を備える請求項1記載の検知装置。
【請求項3】
前記第1壁の前記端部と前記第2壁の前記端部に鋭角部を設けた請求項2記載の検知装置。
【請求項4】
前記第1壁と前記第2壁は、打ち抜き加工された1枚の板から折り曲げて形成される請求項2または請求項3記載の検知装置。
【請求項5】
前記回転軸の回転を操作可能な操作部を、前記検知手段を覆う筐体の外側に設けた請求項2〜4記載の検知装置。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の検知装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−93392(P2012−93392A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238007(P2010−238007)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】