説明

検索システム、携帯型情報機器、検索プログラム

【課題】携帯型情報機器において検索キーワードを入力したときに、携帯型情報機器の近傍にあるものの検索結果を返す。
【解決手段】位置情報取得部52は、携帯型情報機器10の位置情報として緯度、経度を取得する。表示制御部54は、検索キーワードを入力するための検索用窓を表示させる。送受信制御部56は、検索用窓へ検索キーワードが入力された後に検索実施のトリガを受け取ると、位置情報をサーバ12に送信する。地名検索部62は、位置情報に対応する複数の地名を階層化して保持する地名データ保持部64から、携帯型情報機器10から受け取った位置情報に対応する複数の地名を取得する。出力部66は、取得した地名を携帯型情報機器10に送信する。表示制御部54は地名の候補を表示する。送受信制御部56は、ユーザによって選択された地名と検索キーワードとを関連付けて検索エンジンに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯型情報機器においてユーザの現在位置に関連のある検索結果を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータや携帯電話機を始めとする携帯型情報機器の機能は目覚ましく向上している。そのような機能の一つとして、携帯型情報機器の位置情報の取得が挙げられる。この位置情報は、GPS(Global Positioning System)モジュールを利用したり、または基地局からの電波を基にした測位により取得することができる。
【0003】
位置情報を利用した発明も多くなされており、例えば特許文献1では、携帯の位置情報に基づいて、漢字変換の際に変換候補の最初に利用者の現在の所在地を表示する技術が開示されている。また特許文献2では、衛星からの測地系信号を受信し、測地系信号を位置情報に変換する測地系情報処理装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−185200号公報
【特許文献2】特開2000−112006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では携帯型情報機器でも検索エンジンを利用した検索が広く行われるようになっている。携帯型情報機器のユーザが外出時に検索を実施するとき、多くの場合は自分の現在地に関連する情報を得ようとしているものと考えられる。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯型情報機器の位置情報を利用して、ユーザの現在位置に関連の深い検索結果を取得する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、検索システムである。このシステムは、携帯型情報機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、検索キーワードを入力するための検索用窓を表示させる表示制御部と、検索用窓へ検索キーワードが入力された後に検索実施のトリガを受け取ると、少なくとも携帯型情報機器の位置情報をサーバに送信する送信制御部と、を備える携帯型情報機器と、地名と位置とを関連付けて保持する地名データ保持部と、位置情報を携帯型情報機器から受け取り、地名データ保持部から位置情報に対応する地名を取得する地名検索部と、取得した地名を出力する出力部と、を備えるサーバと、を含む。そして、携帯型情報機器またはサーバのいずれかが、検索キーワードと地名とを関連付けて検索エンジンに出力する。
【0007】
この態様によると、携帯型情報機器の位置情報を利用して検索キーワードと地名とを関連付けて検索エンジンに出力するので、検索を実行したユーザの現在位置に関連の深い検索結果を取得することができる。単に位置情報を取得するだけでなく検索キーワードと組み合わせることで、ユーザの現在位置の近傍でかつ特定の店舗等を検索することができる。また、検索の開始をトリガとして自動的に位置情報が取得され、サーバで位置情報が地名に変換されるため、ユーザによる地名の入力を省略して素早い検索が可能になる。
【0008】
上記検索用窓は、携帯型情報機器に搭載されているブラウザの機能として表示されてもよいし、サーバの提供するウェブサイト上で表示されてもよい。
【0009】
本発明の別の態様もまた、検索システムである。このシステムは、携帯型情報機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、検索キーワードを入力するための検索用窓を表示させる表示制御部と、検索用窓へ検索キーワードが入力された後に検索実施のトリガを受け取ると、位置情報をサーバに送信する送信制御部と、を備える携帯型情報機器と、地名と位置とを関連付けて保持する地名データ保持部と、位置情報を携帯型情報機器から受け取り、地名データ保持部から位置情報に対応する地名を取得する地名検索部と、取得した地名を携帯型情報機器に送信する出力部と、を備えるサーバと、を含む。そして、携帯型情報機器の送信制御部は、検索キーワードと地名とを関連付けて検索エンジンに出力する。
【0010】
この態様によっても、携帯型情報機器の位置情報を利用して検索キーワードと地名とを関連付けて検索エンジンに出力するので、検索を実行したユーザの現在位置に関連の深い検索結果を取得することができる。
【0011】
地名データ保持部は位置情報に対応する複数の地名を階層化して保持しており、地名検索部は複数の地名の候補を取得し、表示制御部は地名の候補を携帯型情報機器に表示し、送信制御部は地名の候補の中からユーザによって選択された地名と検索キーワードとを関連付けて検索エンジンに出力してもよい。複数の地名を階層化して保持しておくことで、ユーザは所望の検索範囲を選択することができる。
【0012】
地名データ保持部は位置情報に対応する複数の地名を階層化して保持しており、地名検索部はユーザによって前もって指定された階層の地名をデータ保持部から取得してもよい。こうすることで、ユーザは携帯型情報機器に表示される地名の候補からいずれかを選択する必要がなくなり、迅速に検索結果を得ることができる。
【0013】
地名データ保持部は地名とともにまたは地名の代わりに位置情報に対応付けられる施設名を保持しており、地名検索部は、位置情報に基づき携帯型情報機器の現在位置近傍にある施設名をデータ保持部から取得してもよい。ウェブサイトでは、店舗等の情報が住所でなく施設名と関連付けられていることも多い。したがって、近傍の施設名と関連付けてキーワードを検索することで、よりユーザの目的に近い店舗等が見つかる可能性がある。なお、「施設名」には、駅名、建物名、ランドマーク、交差点名、通り名などが含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
表示制御部は、検索キーワードと地名とを関連付けた検索を実行するための専用の検索用窓または専用の検索ボタンを携帯型情報機器に表示させてもよい。専用の検索用窓または検索ボタンを準備することで、ユーザは通常の検索、つまりキーワードのみによる検索と、位置情報を関連付けた検索とを使い分けることができる。
【0015】
本発明のさらに別の態様もまた、検索システムである。このシステムは、携帯型情報機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、検索キーワードを入力するための検索用窓を表示させる表示制御部と、検索用窓に入力された検索キーワードと位置情報とを関連付けてサーバに送信する送信制御部と、を備える携帯型情報機器と、地名と位置とを関連付けて保持する地名データ保持部と、位置情報を携帯型情報機器から受け取り、地名データ保持部から位置情報に対応する地名を取得する地名検索部と、取得した地名と検索キーワードとを関連付けて検索エンジンに出力する出力部と、を備えるサーバと、を含む。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、携帯型情報機器である。この携帯型情報機器は、携帯型情報機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、検索キーワードを入力するための検索用窓を表示させる表示制御部と、地名と位置とを関連付けて保持する地名データ保持部と、検索用窓へ検索キーワードが入力された後に検索実施のトリガを受け取ると、地名データ保持部から位置情報に対応する地名を取得する地名検索部と、検索キーワードと地名とを関連付けて検索エンジンに出力する出力部と、を備える。
【0017】
この態様によると、携帯型情報機器において位置情報が地名に変換されて検索エンジンに出力される。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、携帯型情報機器の位置情報を利用して、ユーザの現在位置に関連の深い検索結果を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施の形態1.
本発明の一実施形態は、携帯型情報機器のディスプレイに表示される検索用窓に検索キーワードを入力した後、検索を開始すると、携帯型情報機器の位置情報が自動的に取得されて、位置情報に対応する地名の候補が検索キーワードとともにディスプレイに表示される。その中からユーザが所望の候補を選択すると、選択された地名と検索キーワードとが関連付けられて検索エンジンに出力される(以下、このような検索を「位置情報付き検索」という)。こうすることで、ユーザは自分の現在位置を確認する必要なく、自身の最寄りの店舗等を検索することが可能になる。
【0021】
以下では、まず携帯型情報機器の一般的な説明を述べ、続いて実施の形態1に係る位置情報付き検索についての詳細な説明を述べる。
【0022】
図1は、実施の形態1に係る位置情報付き検索を実現する携帯型情報機器10を含むネットワークシステムの全体構成を示す。
【0023】
携帯型情報機器10は、通信機能を備えるラップトップ型のPC(パーソナルコンピュータ)、PDA、携帯電話、カーナビゲーション装置などの、ユーザと共に移動可能な任意のハードウェアである。携帯型情報機器10は、ユーザの操作によってアクセスポイント16または基地局18などを介してLAN(Local Area Network)、インターネット等のネットワーク14に接続され、URL(Uniform Resource Locator)で特定されるサーバ12にアクセスし、所望のデータを取得することが可能である。
【0024】
サーバ12は、ネットワーク14を介して、携帯型情報機器10にテキストデータ、イメージデータ、音声データ、動画データなどのデータを提供する。このサーバは、例えばウェブサーバその他インターネット上のサービス主体でもよく、その場合、CGI(Common Gateway Interface)のようにサーバ側に処理の主たる機能が残るもの、Java(登録商標)アプレットのようにクライアント側に処理の主たる機能が移動するもの、サーバとクライアントの両方に処理の主たる機能であるJava(登録商標)アプリケーションなどを配するものなど、いろいろな態様で実現できる。
【0025】
検索エンジン13は、携帯型情報機器10またはサーバ12からネットワーク14を介して検索キーワードを受け取り、そのキーワードを含むウェブページまたはウェブを介してアクセス可能な文書、画像、音声、映像ファイル等を検索し、検索結果を携帯型情報機器10またはサーバ12に返す。検索エンジンは既知のまたは将来利用可能となる任意のものを利用できる。
【0026】
図2は、携帯型情報機器10のハードウェア構成図である。携帯型情報機器10は、CPU(Central Processing Unit)20、メインメモリ(RAM:Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)24、音声制御装置26、不揮発性記憶装置32、表示制御装置34、入力装置38、通信制御装置40、外部記憶装置42、およびGPSモジュール44を備える。これらは、バス46を介して相互に接続される。
【0027】
CPU20は、オペレーティングシステムを動作させて携帯型情報機器10の全体を制御する。また、ROM24から、または外部記憶装置42に装着された記録媒体からメインメモリ22にプログラムやデータを読み出し、これにしたがって各種の処理を実行する。メインメモリ22は、CPU20がプログラムの実行を行う際に必要となる一時記憶領域および作業領域、およびプログラムの実行に必要な各種のデータを格納する領域となる。ROM24は、CPU20が実行するコンピュータプログラムおよびデータを格納する読み出し専用の記憶装置である。
【0028】
音声制御装置26は、携帯電話を始めとする電話機能付きの携帯型情報機器に設けられ、マイク28およびスピーカ30と接続されて、音声の入出力制御を行う。
【0029】
不揮発性記憶装置32は、電源オフ後も記憶内容を保持可能な記憶装置であり、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリ等の半導体メモリを含む。
【0030】
表示制御装置34は、CPUによって図示しないフレームバッファに描画されたデータを、携帯型情報機器10に備えられたディスプレイ36で表示できるようにするためのビデオ信号を生成する。
【0031】
入力装置38は、ユーザが携帯型情報機器10に対して操作の指示を入力するための装置である。入力装置38には、キー、トラックパッドなどのポインティングデバイス、各種ボタン、ディスプレイ36の表面に配置されるタッチパネルなど、機器に応じた任意のデバイスが含まれる。USB(Universal Serial Bus)端子等を介して携帯型情報機器にマウスを接続してもよい。
【0032】
通信制御装置40は、各種通信方式による音声およびデータの通信を制御する。データ通信方式は、IEEE802.1b/gなどの無線LAN、赤外線通信、パケット通信によるデータ通信などの任意の方式を含む。なお、ケーブルを使用して携帯型情報機器10をネットワーク14に接続してもよい。
【0033】
外部記憶装置42は、交換可能な記録媒体を使用するドライブ装置である。記録媒体には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどが含まれる。
【0034】
GPS(Global Positioning System)モジュール44は、人工衛星からの信号をもとに携帯型情報機器の場所を測位する装置であり、GPS信号受信用のアンテナ、受信装置、受信信号を緯度、経度に変換する装置を含む。
【0035】
上述の各構成要素はいずれも周知のものであるから、これ以上詳細な説明は省略する。
【0036】
図3は、携帯型情報機器10とサーバ12のうち、実施の形態に関与する部分の構成を示す。この構成は、ハードウェア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0037】
位置情報取得部52は、GPSモジュール44から、または基地局からの電波を基にした測位(複数基地局測位方式、セルベース測位方式など)に基づいて、携帯型情報機器10の現在位置を取得する。現在位置は、例えば緯度と経度で表される。
【0038】
表示制御部54は、ユーザが検索キーワードを入力するための検索用窓を携帯型情報機器10のディスプレイに表示させる。実施の形態1では、検索用窓はブラウザの機能として備わっている。この検索用窓は、位置情報付き検索を実行するための専用のものであることが好ましい。
【0039】
送受信制御部56は、検索用窓へ検索キーワードが入力された後にユーザによって検索開始が指示されると、位置情報取得部52で取得された携帯型情報機器10の位置情報をサーバ12に送信する。
【0040】
サーバ側の地名データ保持部64は、地名と緯度、経度とを関連付けて保持する。地名データ保持部64は、緯度、経度に対応する地名を階層化して保持することが好ましい。例えば、番地名/町名/市区町村名/都道府県名のような階層で保持してもよい。地名データ保持部64は、地名の代わりに、または地名に加えて、緯度、経度を最寄りの施設名、例えば駅名、建物名、交差点名、ランドマーク等と関連付けて保持していてもよい。地名データ保持部64の保持するデータの構成については後述する。
【0041】
地名検索部62は、携帯型情報機器10から緯度、経度情報を受け取り、地名データ保持部64から緯度と経度に対応する地名および/または携帯型情報機器の現在位置近傍にある施設名を取得する。地名データ保持部64が複数の地名を階層化して保持している場合、地名検索部62は、緯度経度に対応する複数の地名を取得する。取得された地名および/または施設名は、出力部66によって携帯型情報機器10に送信される。
【0042】
表示制御部54は、サーバ12から受け取った複数の地名と施設名を候補として携帯型情報機器10のディスプレイに表示する。このとき、先にユーザによって入力された検索キーワードを合わせて表示する。ユーザが候補の中から適当なものを選択すると、送受信制御部56は、選択された地名、施設名と検索キーワードとを関連付けて、デフォルトの検索エンジン13またはユーザが指定した検索エンジン13にネットワークを介して出力する。検索エンジン13による検索結果は、表示制御部54によって携帯型情報機器10に表示される。
【0043】
図4は、地名データ保持部64における地名データの保持方法を説明する図である。図示するように、地名データ保持部64は、所定の縦横長さを持つ矩形範囲毎にマップデータ70を有しており、このマップ内で所与の緯度、経度に対応する位置を特定することができる。マップデータ70内には、適当な行政区画、例えば一丁目、二丁目・・・のような区画に合わせてポリゴン72が設定されている。そして、このポリゴン毎に階層化された地名データ80の各項目が対応付けられている。
【0044】
この例では、地名データ80は、小分類1 82、小分類2 84、中分類86、および大分類88の四階層を持つ。小分類1は、丁目に対応する地名である。小分類2は地区名に対応する地名である。中分類は、市区町村名に対応する地名である。大分類は都道府県名に対応する地名である。なお、ポリゴンおよび地名データは、この例よりも細かい単位で例えば番地毎に定められていてもよいし、より大きな市区町村単位でのみ定められていてもよい。なお、このようなデータベースは、例えば国土交通省が提供する「街区レベル位置参照情報ダウンロードサービス」(http://nlftp.mlit.go.jp/isj.about.html)等で利用可能である。
【0045】
地名検索部62は、携帯型情報機器10から緯度、経度を受け取ると、まずマップデータ70内で緯度、経度に対応するポリゴン72を決定する。続いて、決定したポリゴンに対応する地名データを選択する。そして、出力部66は、小分類1、小分類2、中分類、大分類の各地名を地名の候補として携帯型情報機器10に送信する。
【0046】
図5は、地名データ保持部64における施設名データの保持方法を説明する図である。この場合も、地名データ保持部64は所定の縦横長さを持つ矩形範囲毎にマップデータ90を有しており、このマップ内で所与の緯度、経度に対応する位置を特定することができる。マップデータ90には、予め駅名(図中の「××駅」)やランドマーク(図中の「○○タワー」)のような施設名が多数設定されている。そして、各施設を中心として所定の半径を有する円92がマップデータ90内に設定されている。
【0047】
地名検索部62は、携帯型情報機器10から緯度、経度を受け取ると、その位置がマップデータ90内でいずれかの施設の円92の内部に入るか否かを判定する。いずれかの円の内部にあれば、対応する施設名を携帯型情報機器10の近傍にある施設として選択する。複数の円の内部にある場合は、すべての施設を選択する。そして、出力部66は、一つまたは複数の施設名を地名の候補として携帯型情報機器10に送信する。
【0048】
なお、円92の半径は、ユーザが前もって「半径300m」のように大きさを指定できるようにしてもよい。または、マップデータ90内に半径の異なる円が複数設定されており、地名検索部62はまず最小半径の円の内部に携帯型情報機器10から受け取った緯度、経度が入るか否かを判定し、いずれの施設の円内にも入らなかった場合、一つ大きい半径の円について同様の判定を繰り返すようにしてもよい。
【0049】
地名データ保持部64が地名のマップデータ70と施設名のマップデータ90の両方を有する場合、地名検索部62は両方のマップデータにおいて緯度、経度に対応する地名または施設名を選択してもよい。この場合、携帯型情報機器10には地名と施設名の両方が送信され、表示制御部54は、携帯型情報機器10のディスプレイに地名と施設名を並記して表示してもよい。または、ユーザがいずれのマップデータを使用するかを前もって選択できるように構成してもよい。
【0050】
図6(a)は、携帯型情報機器10のディスプレイに表示される検索用窓の一例を示す。この例では、ブラウザウインドウ100のタイトルバー部分に検索用窓102と検索ボタン104とが表示されている。つまり、位置情報付き検索の機能がブラウザの機能として提供される。ユーザが検索用窓102に検索キーワード(図中の「イタリアン」)を入力して検索ボタン104を選択すると、上述の検索プロセスが実施される。
【0051】
図6(b)は、地名検索部62により検索された地名候補の一覧が表示された様子を示す。検索用窓102の下方にカスケード表示106が展開され、その中に、検索キーワードと地名候補とが合わせて表示される。上述したように、地名は階層化して保持されているので、この例でも下位から上位の階層へと「赤坂」「港区」「東京」の地名が表示されている。「他の候補」を選択すると、表示されている以外の階層の地名および施設名が表示される。ユーザがカスケード表示106の中からいずれかを選択すると、選択された検索キーワードと地名との組合せが検索エンジンに出力される。
【0052】
図7は、実施の形態1における位置情報付き検索のプロセスを説明するフロー図である。ユーザは携帯型情報機器10においてブラウザを起動して、検索用窓に検索キーワードを入力し、検索を開始する(S10)。位置情報取得部52は携帯型情報機器10の現在位置の緯度、経度を取得し(S12)、送受信制御部56が緯度、経度をサーバ12に送信する(S14)。地名検索部62は、地名データ保持部64から緯度、経度に対応する地名および/または施設名を検索し(S16)、出力部66が地名と施設名を携帯型情報機器10に送信する(S18)。表示制御部54は、地名または施設名の候補を検索キーワードとともに表示する(S20)。ユーザがいずれかを選択すると、送受信制御部56は、選択された地名または施設名と検索キーワードとを関連付けて検索エンジンに出力する(S22)。表示制御部54は、検索エンジンから検索結果を受け取り表示する(S24)。
【0053】
実施の形態2.
実施の形態1では、検索用窓がブラウザの機能として提供される場合について述べたが、実施の形態2では、サーバ12が位置情報付き検索のウェブサイトを提供する場合について述べる。なお、携帯型情報機器10の構成は、以下で特に述べる点を除いて実施の形態1と同様である。
【0054】
図8(a)は、携帯型情報機器10のディスプレイに表示される検索用窓の一例を示す。この例では、ブラウザウインドウ120のメインウインドウ内に検索用窓122と検索ボタン124と位置情報付き検索ボタン126が表示されている。携帯型情報機器10のブラウザは、サーバ12の提供するサイトにアクセスしてこのページを構成するHTTPファイルを受け取り表示する。この例では、検索用窓122は通常の検索、つまり検索キーワードのみに基づく検索と、検索キーワードと地名とを関連付けた位置情報付き検索とで共用される形になっている。ユーザが検索用窓102に検索キーワード(図中の「イタリアン」)を入力して検索ボタン124を選択すると、携帯型情報機器10から直接検索エンジンに対して検索キーワードのみが出力される。位置情報付き検索ボタン126を選択すると、携帯型情報機器10の位置情報が取得されてサーバ12に対して送信される上述の検索プロセスが実施される。このように、二つの検索ボタンを準備することで、一つの検索用窓を目的に応じて使い分けることが可能になる。
【0055】
図8(b)は、位置情報付き検索ボタン126が選択された結果、地名検索部62により検索された地名候補の一覧が表示された様子を示す。図6(b)と同様に、検索用窓122の下方にカスケード表示128が展開され、その中に、検索キーワードと地名候補とが合わせて表示される。ユーザがカスケード表示128の中からいずれかを選択すると、選択された検索キーワードと地名との組合せがサーバ12に出力される。
【0056】
図9は、実施の形態2における位置情報付き検索のプロセスを説明するフロー図である。ユーザは携帯型情報機器10においてブラウザを起動してサーバ12が提供する位置情報付き検索のウェブサイトにアクセスする。ブラウザウインドウに表示される検索用窓に検索キーワードを入力し、位置情報付き検索ボタンを選択して検索を開始する(S30)。位置情報取得部52は携帯型情報機器10の現在位置の緯度、経度を取得し(S32)、送受信制御部56が緯度、経度および検索キーワードをサーバ12に送信する(S34)。地名検索部62は、地名データ保持部64から緯度、経度に対応する地名および/または施設名を検索し(S36)、出力部66が地名と施設名を携帯型情報機器10に送信する(S38)。表示制御部54は、ブラウザウインドウ内に地名または施設名の候補を検索キーワードとともに表示する(S40)。ユーザがいずれかを選択すると、送受信制御部56は、選択された地名または施設名をサーバ12に送信する(S42)。サーバ側の出力部66は、受け取った地名または施設名を検索キーワードと関連付けて検索エンジンに出力する(S44)。出力部66は、検索エンジンから検索結果を受け取り(S46)、それを携帯型情報機器10に送信する(S48)。表示制御部54は、検索結果をブラウザウインドウ内に表示する(S50)。
【0057】
以上説明したように、実施の形態1および2によれば、携帯型情報機器の位置情報を利用して、検索を実行したユーザの現在位置に関連の深い検索結果を取得することができる。検索の実施をトリガとして自動的に位置情報が取得され、サーバで位置情報が地名や施設名に変換されるので、ユーザによる地名または施設名の入力を省略して素早い検索が可能になる。
【0058】
従来より、携帯型情報機器の位置情報に基づきユーザの現在位置に近い店舗等の情報を提供するサービスも存在するが、これらはディレクトリ検索として提供されるものである。したがって、ユーザは自分の行きたい店舗等をディレクトリの中から引き続き探索しなければならず、非常に面倒に感じることが多い。これに対し、実施の形態による携帯型情報機器では、位置情報に検索キーワードを組み合わせることによって、ユーザの近傍かつ特定の店舗等を直接検索することが可能になる。
【0059】
また、パーソナルコンピュータにおいて地名と検索キーワードとをAND検索する場合と異なり、ユーザの現在位置の近傍にある店舗等を検索できるという利点がある。したがって、ユーザは自分のいる地名を確認して入力する必要がない。
【0060】
実施の形態による位置情報付き検索が特に有効な場面の例として、街中でショッピングや食事をするための店舗を検索する場合が挙げられる。ユーザがショッピングしたい物(例えば「洋服」)や食べたい物(例えば「イタリアン」)をキーワードとして携帯型情報機器で検索すると、ユーザの現在いる場所にある店舗名が検索される。また、地名データ保持部に施設名が含まれている場合は、ユーザの現在位置近傍の商業施設や近傍の駅前商店街にある店舗が検索される。このように、外出時のユーザにとって有用な情報を迅速に提供することが可能になる。
【0061】
さらに、地名データ保持部に複数の地名を階層化して保持しておくことで、ユーザの所望の範囲にある対象を検索することができる。例えば、比較的近傍にある店舗を検索したいときは小分類を、広域の店舗を検索したいときは中分類または大分類を選択すればよい。
【0062】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0063】
実施の形態1では、ブラウザに位置情報付き検索専用の検索用窓を持たせることを述べたが、携帯型情報機器10のメニューボタンを操作したときに表示されるメニューの中に位置情報付き検索の機能が含まれているようにしてもよい。例えば、デフォルトでは通常の検索用窓であるが、メニューでこの機能を選択すると、位置情報付き検索用窓に変わるように構成してもよい。
【0064】
地名検索部はユーザによって前もって指定された階層の地名を地名データ保持部から取得するようにしてもよい。例えば、ユーザは前もってサーバの提供する位置情報付き検索用の設定ページにアクセスするか、または携帯型情報機器の設定画面において、一つの階層(例えば、小分類1)を選択しておく。ユーザが位置情報付き検索を実施すると、地名検索部は常に携帯型情報機器から受け取った緯度、経度に対応する小分類1の地名を取得する。このように、ユーザによる地名候補からの選択を省略することができる。
実施の形態2でこのような地名検索部を採用すると、ユーザがキーワードを入力して検索を実行するだけで、携帯型情報機器において地名の候補が表示されることなく、直ちに地名と検索キーワードとを合わせた検索結果がサーバ12から返されることになる。つまり、図9におけるS38ないしS42のプロセスは不要になる。
【0065】
実施の形態では、位置情報取得部が、GPSモジュールまたは基地局からの電波を基にして、携帯型情報機器の現在位置として緯度および経度を取得することを述べた。しかし、現在位置の情報は、位置を数値化した情報であれば、緯度、経度に限られず他のものでもよい。例えば、現在位置情報は郵便番号でもよい。この場合、地名データ保持部には、郵便番号に対応する区画にポリゴンが設定されたマップデータを保持しておく。
【0066】
また、位置情報取得部は、電波によらないで位置を特定してもよい。例えば、携帯型情報機器が図示しない非接触式または接触式のICカードリーダを備えているとする。携帯型情報機器のユーザは、位置情報を記憶させたICカードをリーダにかざすことで、位置情報を取得させることができる。同様に、携帯型情報機器が図示しないカメラモジュールを備えているとする。携帯型情報機器のユーザは、位置情報を記録したQRコードをカメラモジュールで撮影することで、位置情報を取得させることができる。以上のようにすれば、市街地の各所に位置情報を含むICカードやQRコードを予め備えておくことで、ユーザは自分の近傍にあるICカードまたはQRコードから現在位置を入力して、検索を実施することが可能になる。
【0067】
位置情報付き検索を実施する検索用窓は、プラグインとして後からブラウザのメニューまたはツールバーに追加できるようにしてもよい。また、サーバの提供するウェブサイトで上記検索用窓が表示される場合も、初期状態ではそのような検索用窓が表示されず、ユーザの操作によって追加表示されるようにしてもよい。
【0068】
位置情報に対応する地名を取得する方法は、上述のものに限られない。例えば、地名データ保持部に、コードと地名情報とを関連付けたデータを蓄積しておく。地名検索部は、位置情報から所定の規則にしたがってコードを生成し、このコードに対応する地名を地名データ保持部から取得するようにしてもよい。
【0069】
実施の形態1および2では、サーバ側に地名データ保持部と地名検索部があることを述べた。しかしながら、携帯型情報機器に地名データ保持部と地名検索部を備えてもよい。この場合、携帯型情報機器において緯度、経度が地名に変換され、検索エンジンに出力されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施の形態1に係る位置情報付き検索を実現する携帯型情報機器を含むネットワークシステムの全体構成を示す図である。
【図2】携帯型情報機器のハードウェア構成図である。
【図3】携帯型情報機器とサーバのうち、実施の形態に関与する部分の構成を示す図である。
【図4】地名データ保持部における地名データの保持方法を説明する図である。
【図5】地名データ保持部における施設名データの保持方法を説明する図である。
【図6】(a)は、携帯型情報機器のディスプレイに表示される検索用窓の一例を示し、(b)は、地名検索部により検索された地名候補の一覧が表示された様子を示す図である。
【図7】実施の形態1における位置情報付き検索のプロセスを説明するフロー図である。
【図8】(a)は、携帯型情報機器のディスプレイに表示される検索用窓の一例を示し、(b)は、位置情報付き検索ボタンが選択された結果、地名検索部により検索された地名候補の一覧が表示された様子を示す図である。
【図9】実施の形態2における位置情報付き検索のプロセスを説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0071】
10 携帯型情報機器、 12 サーバ、 13 検索エンジン、 44 GPSモジュール、 52 位置情報取得部、 54 表示制御部、 56 送受信制御部、 62 地名検索部、 64 地名データ保持部、 66 出力部、 80 地名データ、 102、122 検索用窓、 104、126 位置情報付き検索ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型情報機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、
検索キーワードを入力するための検索用窓を表示させる表示制御部と、
前記検索用窓へ検索キーワードが入力された後に検索実施のトリガを受け取ると、少なくとも携帯型情報機器の位置情報をサーバに送信する送信制御部と、
を備える携帯型情報機器と、
地名と位置とを関連付けて保持する地名データ保持部と、
位置情報を携帯型情報機器から受け取り、前記地名データ保持部から位置情報に対応する地名を取得する地名検索部と、
取得した地名を出力する出力部と、
を備えるサーバと、
を含み、
前記携帯型情報機器または前記サーバのいずれかが、検索キーワードと地名とを関連付けて検索エンジンに出力することを特徴とする検索システム。
【請求項2】
前記検索用窓が、前記携帯型情報機器に搭載されているブラウザの機能として表示されることを特徴とする請求項1に記載の検索システム。
【請求項3】
前記検索用窓が、前記サーバの提供するウェブサイト上で表示されることを特徴とする請求項1に記載の検索システム。
【請求項4】
携帯型情報機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、
検索キーワードを入力するための検索用窓を表示させる表示制御部と、
前記検索用窓へ検索キーワードが入力された後に検索実施のトリガを受け取ると、前記位置情報をサーバに送信する送信制御部と、
を備える携帯型情報機器と、
地名と位置とを関連付けて保持する地名データ保持部と、
位置情報を前記携帯型情報機器から受け取り、前記地名データ保持部から位置情報に対応する地名を取得する地名検索部と、
取得した地名を携帯型情報機器に送信する出力部と、
を備えるサーバと、
を含み、
前記送信制御部は、検索キーワードと地名とを関連付けて検索エンジンに出力することを特徴とする検索システム。
【請求項5】
前記地名データ保持部は位置情報に対応する複数の地名を階層化して保持しており、
前記地名検索部は複数の地名の候補を取得し、
前記表示制御部は地名の候補を携帯型情報機器に表示し、
前記送信制御部は地名の候補の中からユーザによって選択された地名と検索キーワードとを関連付けて検索エンジンに出力することを特徴とする請求項4に記載の検索システム。
【請求項6】
前記地名データ保持部は位置情報に対応する複数の地名を階層化して保持しており、
前記地名検索部はユーザによって前もって指定された階層の地名を前記地名データ保持部から取得することを特徴とする請求項4に記載の検索システム。
【請求項7】
前記地名データ保持部は地名とともにまたは地名の代わりに位置情報に対応付けられる施設名を保持しており、
前記地名検索部は、位置情報に基づき携帯型情報機器の現在位置近傍にある施設名を前記データ保持部から取得することを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の検索システム。
【請求項8】
前記表示制御部は、検索キーワードと地名とを関連付けた検索を実行するための専用の検索用窓または専用の検索ボタンを携帯型情報機器に表示させることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の検索システム。
【請求項9】
携帯型情報機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、
検索キーワードを入力するための検索用窓を表示させる表示制御部と、
前記検索用窓に入力された検索キーワードと前記位置情報とを関連付けてサーバに送信する送信制御部と、
を備える携帯型情報機器と、
地名と位置とを関連付けて保持する地名データ保持部と、
位置情報を前記携帯型情報機器から受け取り、前記地名データ保持部から位置情報に対応する地名を取得する地名検索部と、
取得した地名と前記検索キーワードとを関連付けて検索エンジンに出力する出力部と、
を備えるサーバと、
を含むことを特徴とする検索システム。
【請求項10】
携帯型情報機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、
検索キーワードを入力するための検索用窓を表示させる表示制御部と、
地名と位置とを関連付けて保持する地名データ保持部と、
前記検索用窓へ検索キーワードが入力された後に検索実施のトリガを受け取ると、前記地名データ保持部から位置情報に対応する地名を取得する地名検索部と、
検索キーワードと地名とを関連付けて検索エンジンに出力する出力部と、
を備えることを特徴とする携帯型情報機器。
【請求項11】
携帯型情報機器で実行されるプログラムであって、
前記携帯型情報機器の位置情報を取得する機能と、
検索キーワードを入力するための検索用窓を前記携帯型情報機器に表示する機能と、
前記検索用窓へ検索キーワードが入力された後に検索実施のトリガを受け取ると、地名と位置とを関連付けて保持するサーバに対して前記位置情報を送信する機能と、
前記位置情報に対応する地名を前記サーバから受け取り、前記検索キーワードと地名とを関連付けて検索エンジンに出力する機能と、
を発揮せしめることを特徴とする検索プログラム。
【請求項12】
携帯型情報機器と通信可能に構成されたサーバで実行されるプログラムであって、
前記携帯型情報機器に表示される検索用窓に入力された検索キーワードと該携帯型情報機器の位置情報とを、携帯型情報機器で検索が指示されたことをトリガとして受け取る機能と、
地名と位置とを関連付けて保持するデータベースから、前記位置情報に対応する地名を取得する機能と、
取得した地名と前記検索キーワードとを関連付けて検索エンジンに出力する機能と、
を発揮せしめることを特徴とする検索プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−146030(P2010−146030A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89510(P2007−89510)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(591112522)株式会社ACCESS (91)
【Fターム(参考)】