説明

極小径粒の作製方法、該極小径粒の作製方法を用いた二次電池の正極活物質の作製方法、該正極活物質を用いた正極とその作製方法、及び該正極活物質を用いた二次電池とその作製方法

【課題】粒径が小さく、粒径の均一性が高い正極活物質を簡略な工程で作製する。
【解決手段】ナノインプリント法により孔を形成して鋳型を作製し、該鋳型にゲル状のLiFePO材料を充填することで、粒径が小さいLiFePO粒を作製し、これを二次電池の正極活物質として用いる。粒径を50nmよりも小さくすることも可能である。更には、LiFePO粒の焼結に際して、鋳型を焼失させてもよい。正極活物質の粒径を従来よりも小さくすることで、リチウムの挿入と脱離が容易な正極を作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、極小径粒の作製方法、該極小径粒の作製方法を用いた二次電池の正極活物質の作製方法、該正極活物質を用いた正極とその作製方法、及び該正極活物質を用いた二次電池とその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などの可搬性の高い電子機器の分野が著しく進歩している。可搬性の高い電子機器に適した蓄電装置として、例えばリチウムイオン二次電池が挙げられる。
【0003】
リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、リン酸ニッケルリチウム(LiNiPO)などの、リチウム(Li)と、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)またはニッケル(Ni)と、を含むオリビン構造を有するリン酸化合物などが知られている。LiFePOは、リチウムがすべて引き抜かれたFePOも安定であるため安全に高容量が実現できる。粒径50nm程度まで微細化したLiFePOを正極活物質として使用することにより、充放電速度を劇的に向上させることが可能であることが知られている(非特許文献1)。
【0004】
なお、LiFePOは、LiOHと、Fe(NOと、HPOと、アスコルビン酸と、を混合してゲル状で形成することができることが知られている(非特許文献2)。
【0005】
一方で、金型を用いて微細なパターンを形成するナノインプリント法という技術が知られている(例えば、特許文献1)。ナノインプリント法を用いることで、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)に10nm径の孔を形成することができる。更には、リフトオフにより、6nm径のパターンを形成することも可能である(非特許文献3及び非特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−108649号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】B.Kang et al.、「Battery materials for ultrafast charging and discharging」、Nature、2009年3月12日、Vol.458、p.190−193
【非特許文献2】F.Croce et al.、「A Novel Concept for the Synthesis of an Improved LiFePO4 Lithium Battery Cathode」、Electro Chemical and Solid State Letters、2002年1月24日、Vol.5、p.A47−A50
【非特許文献3】S.Y.Chou et al.、「Sub−10nm imprint lithography and applications」、J.Vac.Sci.Technol.B、1997年11月、Vol.15、p.2897−2904
【非特許文献4】S.Y.Chou et al.、「Nanoimprint lithography」、J.Vac.Sci.Technol.B、1996年11月、Vol.14、p.4129−4133
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一態様は、粒径(直径)が小さい粒を複数作製することを課題とする。
【0009】
本発明の一態様は、粒径(直径)が小さいLiFePO粒を複数作製することを課題とする。より具体的には、粒径(直径)が50nmよりも小さいLiFePO粒を複数作製することを課題とする。
【0010】
なお、本発明の一態様において、複数のLiFePO粒の粒径(直径)は、高い均一性を有することが好ましい。
【0011】
更には、本発明の一態様は、簡略な工程により作製することをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、基板上に鋳型となる材料膜を形成し、前記鋳型となる材料膜に対して、孔を形成して鋳型を作製し、該鋳型にゲル状の材料を充填することで、前記ゲル状の材料により形成される極小径粒を作製することを特徴とする極小径粒の作製方法である。
【0013】
前記構成の本発明の一態様において、前記鋳型となる材料膜に対して形成する孔は、ナノインプリント法により形成すればよい。
【0014】
本発明の一態様は、基板上に鋳型となる材料膜を形成し、前記鋳型となる材料膜に対して、孔を形成して鋳型を作製し、該鋳型にゲル状のLiFePO材料を充填することで、前記ゲル状の材料により形成される極小径粒を作製することを特徴とする正極活物質の作製方法である。
【0015】
前記構成の本発明の一態様において、前記鋳型となる材料膜に対して形成する孔は、ナノインプリント法により形成すればよい。
【0016】
前記構成の本発明の一態様において、前記鋳型はPMMAにより形成することができる。
【0017】
前記構成の本発明の一態様において、前記ゲル状の材料は加熱され、該加熱により炭素膜が極小径粒に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様である正極活物質の作製方法により、正極活物質の粒径を従来よりも小さくすることができるため、リチウムの挿入と脱離が容易な正極を作製することができる。
【0019】
本発明の一態様により、前記孔の直径を50nmよりも小さくすることで、従来よりもリチウムの挿入と脱離がはるかに容易な正極を作製することができる。
【0020】
本発明の一態様である正極活物質の作製方法により、LiFePO材料の焼結と鋳型の焼失を同時に行うことができ、リチウムの挿入と脱離が容易な正極を簡略な工程で作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一態様に適用する第1の鋳型の作製方法を説明する図。
【図2】本発明の一態様に適用する第1の鋳型を説明する図。
【図3】本発明の一態様である正極活物質の第1の作製方法を説明する図。
【図4】本発明の一態様に適用する第2の鋳型の作製方法を説明する図。
【図5】本発明の一態様に適用する第2の鋳型を説明する図。
【図6】本発明の一態様である正極活物質の第2の作製方法を説明する図。
【図7】本発明の一態様に適用する第3の鋳型の作製方法を説明する図。
【図8】本発明の一態様に適用する第3の鋳型を説明する図。
【図9】本発明の一態様である正極活物質の第3の作製方法を説明する図。
【図10】本発明の一態様に適用する第4の鋳型の作製方法を説明する図。
【図11】本発明の一態様に適用する第4の鋳型を説明する図。
【図12】本発明の一態様である正極の作製方法を説明する図。
【図13】本発明の一態様である蓄電装置を説明する図。
【図14】図13の蓄電装置を搭載した例を説明する図。
【図15】図13の蓄電装置を搭載した例を説明する図。
【図16】図13の蓄電装置を搭載した例を説明する図。
【図17】図13の蓄電装置に無線給電を行う場合の構成を説明する図。
【図18】図13の蓄電装置に無線給電を行う場合の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である極小径粒の作製方法について説明する。
【0024】
まず、基板100上に、モールド104により加圧変形される鋳型材料体102を形成する(図1(A))。
【0025】
基板100は、後の様々な処理に耐えうる程度の耐熱性及び耐薬品性を有していればよい。基板100として、例えば、シリコン基板、ガラス基板、アルミナ基板、石英基板またはステンレス基板などが挙げられる。または、これらの基板に保護膜を設けた基板を用いてもよい。
【0026】
鋳型材料体102は、後の様々な処理に耐えうる程度の耐熱性及び耐薬品性を有し、且つモールド104により変形させることが可能な材料により形成すればよい。このような材料として、例えばPMMAが挙げられる。
【0027】
モールド104は、鋳型材料体102を変形させることができる材料により構成されていればよく、特定のものに限定されない。例えば、シリコン基板上に酸化シリコンからなる微小な突起が形成されているものを用いればよい。ここで、微小な突起の直径は、1nm以上50nm以下であればよく、好ましくは1nm以上10nm以下である。
【0028】
次に、モールド104を用いて鋳型材料体102に加圧し、鋳型材料体102を変形させて鋳型前駆体105を形成する(図1(B))。
【0029】
鋳型前駆体105は、モールド104により変形させることができる材料により構成されていればよい。
【0030】
ここで、好ましくは、鋳型材料体102を加熱するなどして液状などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)として加圧を行う。例えば、鋳型材料体102がPMMAにより形成されている場合には、PMMAのガラス転移温度Tg(105℃)以上まで加熱してモールド104により加圧し、Tg以下まで冷却することで鋳型前駆体105を形成することができる。
【0031】
なお、鋳型材料体102を液体などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)にして加圧を行う場合には、基板100の外周に囲いが設けられていることが好ましい。基板100の外周に囲いが設けられている場合には、液状などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)としても鋳型材料体102が流れ出ることがない。ここで、外周に設ける囲いは、鋳型材料体102を形成にする前に、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜を基板100上に形成して、フォトリソグラフィ法により加工することで設ければよい。
【0032】
次に、モールド104を引き剥がし、複数の孔107が設けられた第1の鋳型106を形成する(図1(C))。
【0033】
第1の鋳型106は、孔107の部分において基板100が露出していない形状である。
【0034】
図2(A)は、基板100上に設けられた、複数の孔107を有する第1の鋳型106を示す。図2(B)は、図2(A)の一部の拡大図を示す。
【0035】
以上説明したように、本発明の一態様である極小径粒の作製方法に用いる鋳型を作製することができる。このように形成した孔は、10nm以上50nm以下であるとよく、上記説明した鋳型のいずれかを用いることで、10nm以上50nm以下の極小径粒を作製することができる。なお、極小径粒は、50nmよりも大きくすることも可能である。例えば、孔を50nm以上1μm以下として形成してもよく、このとき極小径粒は、50nm以上1μm以下とすることができる。
【0036】
次に、上記説明した鋳型を用いて極小径粒を形成する方法について説明する。
【0037】
まず、複数の孔107が設けられた第1の鋳型106にゲル状の極小径粒材料を充填すればよい。このとき、充填する極小径粒材料は、第1の鋳型106の孔107を完全に満たす必要はない。充填する材料が、第1の鋳型106の孔107の8割程度を満たすことが好ましい。その後、第1の鋳型106の孔107を充填するゲル状の極小径粒材料からなる極小径粒前駆体114を不活性雰囲気中で加熱するなどして、所望の極小径粒116を形成すればよい(図3(A)及び(B))。ここで、不活性雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気または希ガス雰囲気が挙げられる。希ガス雰囲気としては、アルゴン雰囲気が挙げられる。
【0038】
ここで、ゲル状の極小径粒材料は、LiOHと、Fe(NOと、HPOと、アスコルビン酸と、を混合して形成することができるが、これに限定されない。
【0039】
なお、極小径粒前駆体114を加熱する際に、第1の鋳型106を形成する材料を炭素供給源として、極小径粒116の表面に炭素膜を形成してもよい。第1の鋳型106は加熱により消滅させてもよく、鋳型を消滅させることで極小径粒を取り出しやすくなる。
【0040】
以上説明したように、複数の極小径粒を形成することができる。このように作製した複数の極小径粒の直径は、小さくすることができる。極小径粒の直径は、10nm以上50nm以下であるとよいが、50nmよりも大きくすることも可能であり、極小径粒の直径は、例えば50nm以上1μm以下とすることができる。そして、鋳型に形成される複数の孔は、同一の工程で同時に形成されるため、簡略な工程で作製することができる。更には、このように形成した孔の径は、均一性が高いため、作製される複数の極小径粒の径は均一性が高いものとなる。
【0041】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である極小径粒の作製方法について説明する。
【0042】
まず、基板200上に、モールド204により加圧変形される鋳型材料体202を形成する(図4(A))。
【0043】
基板200は、後の様々な処理に耐えうる程度の耐熱性及び耐薬品性を有していればよい。基板200として、例えば、シリコン基板、ガラス基板、アルミナ基板、石英基板またはステンレス基板などが挙げられる。または、これらの基板に保護膜を設けた基板を用いてもよい。
【0044】
鋳型材料体202は、後の様々な処理に耐えうる程度の耐熱性及び耐薬品性を有し、且つモールド204により変形させることが可能な材料により形成すればよい。このような材料として、例えばPMMAが挙げられる。
【0045】
モールド204は、鋳型材料体202を変形させることができる材料により構成されていればよく、特定のものに限定されない。例えば、シリコン基板上に酸化シリコンからなる微小な突起が形成されているものを用いればよい。ここで、微小な突起の直径は、1nm以上50nm以下であればよく、好ましくは1nm以上10nm以下である。
【0046】
次に、モールド204を用いて鋳型材料体202に加圧し、鋳型材料体202を変形させて鋳型前駆体205を形成する(図4(B))。
【0047】
鋳型前駆体205は、モールド204により変形させることができる材料により構成されていればよい。
【0048】
ここで、好ましくは、鋳型材料体202を加熱するなどして液状などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)として加圧を行う。例えば、鋳型材料体202がPMMAにより形成されている場合には、PMMAのガラス転移温度Tg(105℃)以上まで加熱してモールド204により加圧し、Tg以下まで冷却することで鋳型前駆体205を形成することができる。
【0049】
なお、鋳型材料体202を液体などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)にして加圧を行う場合には、基板200の外周に囲いが設けられていることが好ましい。基板200の外周に囲いが設けられている場合には、液状などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)としても鋳型材料体202が流れ出ることがない。ここで、外周に設ける囲いは、鋳型材料体202を形成にする前に、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜を基板200上に形成して、フォトリソグラフィ法により加工することで設ければよい。
【0050】
次に、モールド204を引き剥がし、複数の孔207が設けられた第1の鋳型206を形成する(図4(C))。
【0051】
第1の鋳型206は、複数の孔207の部分において基板200が露出していない形状である。
【0052】
次に、第1の鋳型206を加工して、孔211の部分において基板200が露出した第2の鋳型208を形成する(図4(D))。
【0053】
第2の鋳型208は、第1の鋳型206を加工し、または縮小させることで、形成する。例えば、第1の鋳型206がPMMAにより形成されている場合には、第1の鋳型206を酸素プラズマに曝してもよいし、酸素を含むエッチングガスを用いて第1の鋳型206をエッチングしてもよい。
【0054】
なお、鋳型前駆体205の形成時にモールド204の凸部を基板200に接触させることで、鋳型前駆体205及び第1の鋳型206を形成する工程を経ることなく、第2の鋳型208を形成してもよい。
【0055】
第2の鋳型208では、孔の部分において基板200が露出されているため、基板200がアルカリ金属を含むガラス基板である場合には、基板200には基板保護膜が設けられていることが好ましい。基板保護膜は、例えば、CVD法などを用いて、窒化シリコンまたは酸化シリコンなどにより形成すればよい。
【0056】
図5(A)は、基板200上に設けられた、複数の孔211を有する第2の鋳型208を示す。図5(B)は、図5(A)の一部の拡大図を示す。
【0057】
以上説明したように、本発明の一態様である極小径粒の作製方法に用いる鋳型を作製することができる。このように形成した孔は、10nm以上50nm以下であるとよく、上記説明した鋳型のいずれかを用いることで、10nm以上50nm以下の極小径粒を作製することができる。なお、極小径粒は、50nmよりも大きくすることも可能である。例えば、孔を50nm以上1μm以下として形成してもよく、このとき極小径粒は、50nm以上1μm以下とすることができる。
【0058】
次に、上記説明した鋳型を用いて極小径粒を形成する方法について説明する。
【0059】
まず、複数の孔が設けられた第2の鋳型208にゲル状の極小径粒材料を充填すればよい。このときも、充填する極小径粒材料は、第2の鋳型208の孔211を完全に満たす必要はない。充填する極小径粒材料が、第2の鋳型208の孔211の8割程度を満たすことが好ましい。その後、第2の鋳型208の孔211を充填するゲル状の極小径粒材料からなる極小径粒前駆体218を不活性雰囲気中で加熱するなどして、所望の極小径粒220を形成すればよい(図6(A)及び(B))。ここで、不活性雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気または希ガス雰囲気が挙げられる。希ガス雰囲気としては、アルゴン雰囲気が挙げられる。
【0060】
ここで、ゲル状の極小径粒材料は、LiOHと、Fe(NOと、HPOと、アスコルビン酸と、を混合して形成することができるが、これに限定されない。
【0061】
なお、極小径粒前駆体218を加熱する際に、第2の鋳型208を形成する材料を炭素供給源として、極小径粒220の表面に炭素膜を形成してもよい。第2の鋳型208は加熱により消滅させてもよく、鋳型を消滅させることで極小径粒を取り出しやすくなる。
【0062】
なお、第2の鋳型208を用いる場合には、極小径粒220を基板200から引き剥がすことが困難な場合がある。このような場合には、帯電させた抜き出し用基板222に、極小径粒220を静電気力により吸着させ、その後抜き出し用基板222を除電すればよい(図6(C))。このように、帯電させた抜き出し用基板222に極小径粒220を静電気力により吸着させ、抜き出し用基板222を除電する方法を用いる場合には、抜き出し用基板222として絶縁性基板を用いればよい。なお、このとき、好ましくは、基板200としては導電性基板を用い、抜き出し用基板222は帯電させた絶縁性基板を用いる。
【0063】
または、超音波で基板200を振動させるなどして極小径粒220を基板200から引き剥がしてもよい。
【0064】
以上説明したように、複数の極小径粒を形成することができる。このように作製した複数の極小径粒の直径は、小さくすることができる。極小径粒の直径は、10nm以上50nm以下であるとよいが、50nmよりも大きくすることも可能であり、極小径粒の直径は、例えば50nm以上1μm以下とすることができる。そして、鋳型に形成される複数の孔は、同一の工程で同時に形成されるため、簡略な工程で作製することができる。更には、このように形成した孔の径は、均一性が高いため、作製される複数の極小径粒の径は均一性が高いものとなる。
【0065】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である極小径粒の作製方法について説明する。
【0066】
まず、基板300上に、モールド304により加圧変形される鋳型材料体302を形成する(図7(A))。
【0067】
基板300は、後の様々な処理に耐えうる程度の耐熱性及び耐薬品性を有していればよい。基板300として、例えば、シリコン基板、ガラス基板、アルミナ基板、石英基板またはステンレス基板などが挙げられる。または、これらの基板に保護膜を設けた基板を用いてもよい。
【0068】
鋳型材料体302は、後の様々な処理に耐えうる程度の耐熱性及び耐薬品性を有し、且つモールド304により変形させることが可能な材料により形成すればよい。このような材料として、例えばPMMAが挙げられる。
【0069】
モールド304は、鋳型材料体302を変形させることができる材料により構成されていればよく、特定のものに限定されない。例えば、シリコン基板上に酸化シリコンからなる微小な突起が形成されているものを用いればよい。ここで、微小な突起の直径は、1nm以上50nm以下であればよく、好ましくは1nm以上10nm以下である。
【0070】
次に、モールド304を用いて鋳型材料体302に加圧し、鋳型材料体302を変形させて鋳型前駆体305を形成する(図7(B))。
【0071】
鋳型前駆体305は、モールド304により変形させることができる材料により構成されていればよい。
【0072】
ここで、好ましくは、鋳型材料体302を加熱するなどして液状などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)として加圧を行う。例えば、鋳型材料体302がPMMAにより形成されている場合には、PMMAのガラス転移温度Tg(105℃)以上まで加熱してモールド304により加圧し、Tg以下まで冷却することで鋳型前駆体305を形成することができる。
【0073】
なお、鋳型材料体302を液体などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)にして加圧を行う場合には、基板300の外周に囲いが設けられていることが好ましい。基板300の外周に囲いが設けられている場合には、液状などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)としても鋳型材料体302が流れ出ることがない。ここで、外周に設ける囲いは、鋳型材料体302を形成する前に、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜を基板300上に形成して、フォトリソグラフィ法により加工することで設ければよい。
【0074】
次に、モールド304を引き剥がし、第1の鋳型306を形成する(図7(C))。第1の鋳型306は、複数の凸部307を有する。
【0075】
第1の鋳型306は、隣接する凸部間において基板300が露出していない形状である。
【0076】
次に、第1の鋳型306を加工して、孔の部分において基板300が露出した第2の鋳型308を形成する(図7(D))。
【0077】
第2の鋳型308は、第1の鋳型306を加工し、または縮小させることで、形成する。例えば、第1の鋳型306がPMMAにより形成されている場合には、第1の鋳型306を酸素プラズマに曝してもよいし、酸素を含むエッチングガスを用いて第1の鋳型306をエッチングしてもよい。
【0078】
なお、鋳型前駆体305の形成時にモールド304の凸部を基板300に接触させることで、鋳型前駆体305及び第1の鋳型306を経ることなく、第2の鋳型308を形成してもよい。
【0079】
第2の鋳型308では、基板300が露出されている部分があるため、基板300がアルカリ金属を含むガラス基板である場合には、基板300には基板保護膜が設けられていることが好ましい。基板保護膜は、例えば、CVD法などを用いて、窒化シリコンまたは酸化シリコンなどにより形成すればよい。
【0080】
次に、第2の鋳型308上に膜を形成し、リフトオフを行うことで、複数の孔311を有する第3の鋳型310を形成する(図7(E))。
【0081】
第3の鋳型310は、例えばアルミニウムにより形成すればよい。すなわち、第2の鋳型308上にアルミニウム膜をスパッタリング法などにより形成し、リフトオフを行うことで、第3の鋳型310をアルミニウムにより形成することができる。ここで、第3の鋳型310を形成する材料はアルミニウムに限定されないが、剛性の高い材料であることが好ましい。第3の鋳型310をアルミニウムなどの剛性の高い材料を用いて形成することで、鋳型に剛性を持たせることができ、繰り返しの使用に対して優れた耐久性がある鋳型を形成することができる。
【0082】
図8(A)は、基板300上に設けられた、複数の孔311を有する第3の鋳型310を示す。図8(B)は、図8(A)の一部の拡大図を示す。
【0083】
以上説明したように、本発明の一態様である極小径粒の作製方法に用いる鋳型を作製することができる。このように形成した孔は、10nm以上50nm以下であるとよく、上記説明した鋳型のいずれかを用いることで、10nm以上50nm以下の極小径粒を作製することができる。なお、極小径粒は、50nmよりも大きくすることも可能である。例えば、孔を50nm以上1μm以下として形成してもよく、このとき極小径粒は、50nm以上1μm以下とすることができる。
【0084】
次に、上記説明した鋳型を用いて極小径粒を形成する方法について説明する。
【0085】
まず、複数の孔311が設けられた第3の鋳型310にゲル状の極小径粒材料を充填すればよい。このときも、充填する極小径粒材料は、第3の鋳型310の孔311を完全に満たす必要はない。充填する材料が、第3の鋳型310の孔311の8割程度を満たすことが好ましい。その後、第3の鋳型310の孔311を充填するゲル状の極小径粒材料からなる極小径粒前駆体324を不活性雰囲気中で加熱するなどして、所望の極小径粒326を形成すればよい(図9(A)及び(B))。ここで、不活性雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気または希ガス雰囲気が挙げられる。希ガス雰囲気としては、例えばアルゴン雰囲気が挙げられる。
【0086】
ここで、ゲル状の極小径粒材料は、LiOHと、Fe(NOと、HPOと、アスコルビン酸と、を混合して形成することができるが、これに限定されない。
【0087】
なお、第3の鋳型310を用いる場合には、極小径粒326を基板300から引き剥がすことが困難な場合がある。このような場合には、実施の形態2の場合と同様に、帯電させた抜き出し用基板322に極小径粒326を静電気力により吸着させ、その後抜き出し用基板322を除電すればよい(図9(C))。このように、帯電させた抜き出し用基板322に極小径粒326を静電気力により吸着させ、抜き出し用基板322を除電する方法を用いる場合には、抜き出し用基板322として絶縁性基板を用いればよい。なお、このとき、好ましくは、基板300としては導電性基板を用い、抜き出し用基板322は帯電させた絶縁性基板を用いる。
【0088】
または、超音波で基板300を振動させるなどして極小径粒326を基板300から引き剥がしてもよい。
【0089】
以上説明したように、複数の極小径粒を形成することができる。このように作製した複数の極小径粒の直径は、小さくすることができる。極小径粒の直径は、10nm以上50nm以下であるとよいが、50nmよりも大きくすることも可能であり、極小径粒の直径は、例えば50nm以上1μm以下とすることができる。そして、鋳型に形成される複数の孔は、同一の工程で同時に形成されるため、簡略な工程で作製することができる。更には、このように形成した孔の径は、均一性が高いため、作製される複数の極小径粒の径は均一性が高いものとなる。
【0090】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様である極小径粒の作製方法について説明する。
【0091】
まず、基板400上に、モールド404により加圧変形される鋳型材料体402を形成する(図10(A))。
【0092】
基板400は、後の様々な処理に耐えうる程度の耐熱性及び耐薬品性を有し、且つ剛性の高い基板を用いればよい。基板400として、例えば、シリコン基板、ガラス基板、アルミナ基板、石英基板またはステンレス基板などが挙げられる。または、これらの基板に保護膜を設けた基板を用いてもよい。
【0093】
鋳型材料体402は、後の様々な処理に耐えうる程度の耐熱性及び耐薬品性を有し、且つモールド404により変形させることが可能な材料により形成すればよい。このような材料として、例えばPMMAが挙げられる。
【0094】
モールド404は、鋳型材料体402を変形させることができる材料により構成されていればよく、特定のものに限定されない。例えば、シリコン基板上に酸化シリコンからなる微小な突起が形成されているものを用いればよい。ここで、微小な突起の直径は、1nm以上50nm以下であればよく、好ましくは1nm以上10nm以下である。
【0095】
次に、モールド404を用いて鋳型材料体402に加圧し、鋳型材料体402を変形させて鋳型前駆体405を形成する(図10(B))。
【0096】
鋳型前駆体405は、モールド404により変形させることができる材料により構成されていればよい。
【0097】
ここで、好ましくは、鋳型材料体402を加熱するなどして液状などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)として加圧を行う。例えば、鋳型材料体402がPMMAにより形成されている場合には、PMMAのガラス転移温度Tg(105℃)以上まで加熱してモールド404により加圧し、Tg以下まで冷却することで鋳型前駆体405を形成することができる。
【0098】
なお、鋳型材料体402を液体などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)にして加圧を行う場合には、基板400の外周に囲いが設けられていることが好ましい。基板400の外周に囲いが設けられている場合には、液状などの変形しやすい状態(流動性が高い状態)としても鋳型材料体402が流れ出ることがない。ここで、外周に設ける囲いは、鋳型材料体402を形成にする前に、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜を基板400上に形成して、フォトリソグラフィ法により加工することで設ければよい。
【0099】
次に、モールド404を引き剥がし、複数の孔407が設けられた第1の鋳型406を形成する(図10(C))。
【0100】
第1の鋳型406は、孔の部分において基板400が露出していない形状である。
【0101】
次に、第1の鋳型406を加工して、複数の孔407の部分において基板400が露出した第2の鋳型408を形成する(図10(D))。
【0102】
第2の鋳型408は、第1の鋳型406を加工し、または縮小させることで、形成する。例えば、第1の鋳型406がPMMAにより形成されている場合には、第1の鋳型406を酸素プラズマに曝してもよいし、酸素を含むエッチングガスを用いて第1の鋳型406をエッチングしてもよい。
【0103】
なお、鋳型前駆体405の形成時にモールド404の凸部を基板400に接触させることで、鋳型前駆体405及び第1の鋳型406を経ることなく、第2の鋳型408を形成してもよい。
【0104】
第2の鋳型408では、複数の孔411の部分において基板400が露出されているため、基板400がアルカリ金属を含むガラス基板である場合には、基板400には基板保護膜が設けられていることが好ましい。基板保護膜は、例えば、CVD法などを用いて、窒化シリコンまたは酸化シリコンなどにより形成すればよい。
【0105】
次に、第2の鋳型408をマスクとして用いて基板400を加工して第4の鋳型412を形成してもよい(図10(E))。
【0106】
ここで、基板400を加工するには、例えばドライエッチングを用いればよい。ここでのドライエッチングは、基板400がシリコン基板である場合には、SF、CFとOの混合ガス、Clなどをエッチングガスとして用いるとよい。または、基板400が石英基板である場合には、CHFとHeの混合ガス、若しくはCHFとArの混合ガスなどをエッチングガスとして用いればよい。ただし、これらに限定されず、他のエッチングガスを用いてもよい。
【0107】
なお、ここで、基板400上に基板保護膜が設けられている場合には、基板400を加工するのではなく、基板保護膜のみを加工してもよい。
【0108】
なお、上記したドライエッチングの後には、有機溶剤などで洗浄を行うとよい。このとき、第2の鋳型408が除去される。
【0109】
図11(A)は、基板400を加工して設けられた、複数の孔413を有する第4の鋳型412を示す。図11(B)は、図11(A)の一部の拡大図を示す。第4の鋳型412は剛性の高い基板400を加工して形成されている為、第4の鋳型412は剛性を有している。したがって、繰り返しの使用に対して優れた耐久性がある鋳型を形成することができる。
【0110】
以上説明したように、本発明の一態様である極小径粒の作製方法に用いる鋳型を作製することができる。このように形成した孔は、10nm以上50nm以下であるとよく、上記説明した鋳型のいずれかを用いることで、10nm以上50nm以下の極小径粒を作製することができる。なお、極小径粒は、50nmよりも大きくすることも可能である。例えば、孔を50nm以上1μm以下として形成してもよく、このとき極小径粒は、50nm以上1μm以下とすることができる。
【0111】
次に、上記説明した鋳型を用いて極小径粒を形成する方法について説明する。
【0112】
まず、複数の孔413が設けられた第4の鋳型412にゲル状の極小径粒材料を充填すればよい。このときも、充填する極小径粒材料は、第4の鋳型412の孔413を完全に満たす必要はない。充填する材料が、第4の鋳型412の孔413の8割程度を満たすことが好ましい。その後、第4の鋳型412の孔413を充填するゲル状の極小径粒材料からなる極小径粒前駆体428を不活性雰囲気中で加熱するなどして、所望の極小径粒430を形成すればよい(図12(A)及び(B))。ここで、不活性雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気または希ガス雰囲気が挙げられる。希ガス雰囲気としては、例えばアルゴン雰囲気が挙げられる。
【0113】
ここで、ゲル状の極小径粒材料は、LiOHと、Fe(NOと、HPOと、アスコルビン酸と、を混合して形成することができるが、これに限定されない。
【0114】
なお、第4の鋳型412を用いる場合には、極小径粒430を第4の鋳型412から引き剥がすことが困難な場合がある。このような場合には、実施の形態2及び3と同様に、帯電させた抜き出し用基板422に極小径粒430を静電気力により吸着させ、その後抜き出し用基板422を除電すればよい(図12(C))。このように、帯電させた抜き出し用基板422に極小径粒430を静電気力により吸着させ、抜き出し用基板422を除電する方法を用いる場合には、抜き出し用基板422として絶縁性基板を用いればよい。なお、このとき、好ましくは、第4の鋳型412の形成に用いられる基板400としては導電性基板を用い、抜き出し用基板422としては帯電させた絶縁性基板を用いる。
【0115】
または、超音波で基板400を振動させるなどして極小径粒430を第4の鋳型412から引き剥がしてもよい。
【0116】
以上説明したように、複数の極小径粒を形成することができる。このように作製した複数の極小径粒の直径は、小さくすることができる。極小径粒の直径は、10nm以上50nm以下であるとよいが、50nmよりも大きくすることも可能であり、極小径粒の直径は、例えば50nm以上1μm以下とすることができる。そして、鋳型に形成される複数の孔は、同一の工程で同時に形成されるため、簡略な工程で作製することができる。更には、このように形成した孔の径は、均一性が高いため、作製される複数の極小径粒の径は均一性が高いものとなる。
【0117】
(実施の形態5)
実施の形態1乃至4にて説明した極小径粒の作製方法は、二次電池の正極活物質の作製に適用することができる。
【0118】
リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、リン酸ニッケルリチウム(LiNiPO)などの、リチウム(Li)と、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)またはニッケル(Ni)と、を含むオリビン構造を有するリン酸化合物などが知られている。LiFePOは、リチウムがすべて引き抜かれたFePOも安定であるため安全に高容量が実現できる。粒径50nm程度まで微細化したLiFePOを正極活物質として使用することにより、充放電速度を劇的に向上させることが可能である。
【0119】
このように正極活物質として粒径50nm程度まで微細化して用いることにより、従来よりもリチウムの挿入と脱離がはるかに容易な正極を作製することができると考えられる。
【0120】
または、リチウムイオン二次電池の正極活物質として、LiFeSiOまたはLiMnSiOを用いてもよい。これらの材料は700℃以上の高温で焼成するため、粒が粗大化しやすいため、実施の形態1乃至4にて説明した本発明の一態様のいずれかを適用することで粒を粗大化させずして焼成することが可能である。ただし、700℃以上の高温で焼成するため、第4の鋳型412を用いることが好ましい。このとき、基板400は、石英基板などの高耐熱性基板を用いることが好ましい。または、タングステンまたはモリブデンなどの高融点材料により形成した第3の鋳型310を用いてもよい。
【0121】
実施の形態1乃至4にて説明した、本発明の一態様である極小径粒の作製方法のいずれかを適用することにより、正極活物質の粒径を50nmより小さくすることも可能であるため、リチウムの挿入と脱離が更に容易な正極を作製することができる。
【0122】
従って、本発明の一態様により、従来よりもリチウムの挿入と脱離が容易な正極活物質を作製することができる。
【0123】
なお、実施の形態1乃至4にて説明したように、鋳型を形成する材料を炭素供給源として、極小径粒の表面に炭素膜を形成してもよい。正極活物質の粒の表面を炭素膜により覆うことで、正極活物質の導電性を高いものとすることができる。
【0124】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態5に説明した作製方法により得られた正極活物質を用いた蓄電装置としてリチウムイオン二次電池を例に挙げて説明する。リチウムイオン二次電池の概要を図13に示す。
【0125】
図13に示すリチウムイオン二次電池は、正極502、負極507、及びセパレータ510を外部と隔絶する筐体520の中に設置し、筐体520中に電解液511が充填されている。また、正極502と負極507の間にセパレータ510を有する。
【0126】
正極集電体500に接して正極活物質層501が形成されている。本明細書では、正極活物質層501と、正極活物質層501が形成された正極集電体500を合わせて正極502と呼ぶ。
【0127】
一方、負極集電体505に接して負極活物質層506が形成されている。本明細書では、負極活物質層506と、負極活物質層506が形成された負極集電体505を合わせて負極507と呼ぶ。
【0128】
正極集電体500には第1の電極521が、負極集電体505には第2の電極522が接続されており、第1の電極521及び第2の電極522により、充電や放電が行われる。
【0129】
また、正極活物質層501及びセパレータ510の間と、負極活物質層506及びセパレータ510の間とは、それぞれは一定間隔をおいて示しているが、これに限定されず、正極活物質層501及びセパレータ510と、負極活物質層506及びセパレータ510とは、それぞれが接していても構わない。または、正極502及び負極507の間にセパレータ510を配置した状態で丸めて筒状にしてもよい。
【0130】
なお、活物質とは、キャリアであるイオンの挿入及び脱離に関わる物質をいい、活物質には、グルコースを用いた炭素層などを含むものではない。後に説明する塗布法により正極502を作製する時には、炭素層が形成された活物質と共に、導電助剤やバインダ、溶媒などの他の材料を混合したものを正極活物質層501として正極集電体500上に形成する。よって、活物質と正極活物質層501は区別される。
【0131】
正極集電体500としては、アルミニウム、ステンレスなどの導電性の高い材料を用いることができる。正極集電体500は、箔状、板状、網状等の形状を適宜用いることができる。
【0132】
正極活物質としては、例えば、実施の形態5にて例示列挙したものを用いる。実施の形態5にて例示列挙した材料の粒を導電助剤、バインダまたは溶媒に混合させてペースト状に調合する。
【0133】
導電助剤は、その材料自身が電子導電体であり、電池装置内で他の物質と化学変化を起こさないものであればよい。導電助剤としては、例えば、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、VGCF(登録商標)などの炭素系材料、銅、ニッケル、アルミニウムもしくは銀などの金属材料またはこれらの混合物の粉末や繊維などを用いればよい。導電助剤とは、活物質粒間のキャリアの伝達を促進する物質をいい、導電助剤は、活物質粒の間に充填されて、導通を確保する働きをする。
【0134】
バインダとしては、澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムもしくはポリエチレンオキシドなどの多糖類、熱可塑性樹脂またはゴム弾性を有するポリマーなどがある。
【0135】
活物質、導電助剤及びバインダは、それぞれ80〜96重量%、2〜10重量%、2〜10重量%の割合で、且つ全体で100重量%になるように混合する。更に、活物質、導電助剤、及びバインダの混合物と同体積程度の有機溶媒を混合して、スラリー状(泥状)に加工する。なお、溶媒としては、Nメチル−2ピロリドンや乳酸エステルなどがある。成膜時の活物質と導電助剤の密着性が弱いときにはバインダを多くし、成膜時の活物質の抵抗が高いときには導電助剤を多くするなどして、活物質、導電助剤及びバインダの割合を適宜調整するとよい。
【0136】
ここでは、正極集電体500としてアルミニウム箔を用い、その上にスラリー状に加工した活物質、導電助剤及びバインダの混合物を滴下してキャスト法により薄く広げた後、ロールプレス器で圧延して、厚みを均等にした後、真空乾燥(10Pa以下)や加熱乾燥(150〜280℃)により、正極集電体500上に正極活物質層501を形成する。正極活物質層501の厚さは、クラックや剥離が生じないことを要し、20μm以上100μm以下とすればよい。
【0137】
負極集電体505としては、銅、ステンレス、鉄またはニッケルなどの導電性の高い材料を用いればよい。
【0138】
負極活物質層506としては、リチウム、アルミニウム、黒鉛、シリコンまたはゲルマニウムなどが用いられる。負極集電体505上に、塗布法、スパッタ法または蒸着法などにより負極活物質層506を形成してもよい。負極集電体505を用いずにそれぞれの負極活物質層506を単体で負極として用いてもよい。なお、ゲルマニウムとシリコンは、黒鉛よりも理論上のリチウム吸蔵容量が大きい。吸蔵容量が大きいと小面積でも十分な充放電が可能であり、蓄電装置の小型化が可能である。更には、コストの低減にも繋がる。ただし、シリコンなどはリチウムを吸蔵することにより体積が4倍程度まで膨張するために、材料自身が脆くなる事や爆発する危険性などにも十分に気をつける必要がある。
【0139】
電解液511は、電荷の輸送を担うイオンであるアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含み、この電荷の輸送を担うイオンが電気伝導を担っている。アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、若しくはカリウムイオンが挙げられる。アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、若しくはバリウムイオンがある。
【0140】
電解液511は、例えば、溶媒と、その溶媒に溶解するリチウム塩またはナトリウム塩と、から構成されている。リチウム塩としては、例えば、LiCl、LiF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、Li(CSONなどが挙げられる。ナトリウム塩としては、例えば、NaCl、NaF、NaClO、NaBFなどが挙げられる。
【0141】
電解液511の溶媒としては、環状カーボネート類(例えば、エチレンカーボネート(以下、ECと略す)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびビニレンカーボネート(VC)など)、非環状カーボネート類(ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、メチルイソブチルカーボネート(MIBC)、及びジプロピルカーボネート(DPC)など)、脂肪族カルボン酸エステル類(ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、およびプロピオン酸エチルなど)、非環状エーテル類(γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、およびエトキシメトキシエタン(EME)など)、環状エーテル類(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなど)、環状スルホン(スルホランなど)、アルキルリン酸エステル(ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン等やリン酸トリメチル、リン酸トリエチル、およびリン酸トリオクチルなど)やそのフッ化物があり、これらの一種または二種以上を混合して使用する。
【0142】
セパレータ510としては、例えば、紙、不織布、ガラス繊維、または、ナイロン(ポリアミド)、ビニロン(ビナロンともいう)(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンといった合成繊維などを用いればよい。ただし、上記した電解液511に溶解しない材料を選ぶ必要がある。
【0143】
より具体的には、セパレータ510の材料として、例えば、フッ素系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリウレタン系高分子およびこれらの誘導体、セルロース、紙、不織布から選ばれる一種を単独で、または二種以上を組み合せて用いることができる。
【0144】
上記に示すリチウムイオン二次電池に充電をするには、第1の電極521に正極端子、第2の電極522に負極端子を接続する。正極502からは電子が第1の電極521を介して奪われ、第2の電極522を通じて負極507に移動する。加えて、正極502からはリチウムイオンが正極活物質層501中の正極活物質から溶出し、セパレータ510を通過して負極507に達し、負極活物質層506内の負極活物質に取り込まれる。当該領域でリチウムイオンと電子が結合して、負極活物質層506に吸蔵される。同時に正極活物質層501では、正極活物質から電子が放出され、正極活物質に含まれる遷移金属(鉄、マンガン、コバルト、ニッケルの一以上)の酸化反応が生じる。
【0145】
放電するときには、負極507では、負極活物質層506がリチウムをイオンとして放出し、第2の電極522に電子が送り込まれる。リチウムイオンはセパレータ510を通過して、正極活物質層501に達し、正極活物質層501中の正極活物質に取り込まれる。このとき、負極507からの電子も正極502に到達し、正極活物質に含まれる遷移金属(鉄、マンガン、コバルト、ニッケルの一以上)の遷移金属の還元反応が生じる。
【0146】
実施の形態5にて説明した正極活物質の作製方法を適用することにより、正極活物質の粒径を従来よりも小さくすることができるため、リチウムの挿入と脱離が容易な正極を作製することができる。
【0147】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態6で説明した蓄電装置の応用例について説明する。
【0148】
実施の形態6で説明した蓄電装置は、デジタルカメラやビデオカメラなどのカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置などの電子機器に用いることができる。または、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子、自転車などの電気推進車両に用いることができる。
【0149】
図14(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機610は、筐体611に表示部612が組み込まれている。筐体611は、更に操作ボタン613、操作ボタン617、外部接続ポート614、スピーカー615及びマイク616などを備えている。
【0150】
図14(B)は、電子書籍用端末の一例を示す。電子書籍用端末630は、第1の筐体631及び第2の筐体633で構成され、これら2つの筐体が軸部632により結合されている。第1の筐体631及び第2の筐体633は、軸部632を軸として開閉動作を行うことができる。第1の筐体631には第1の表示部635が組み込まれ、第2の筐体633には第2の表示部637が組み込まれている。その他、第2の筐体633に、操作ボタン639、電源スイッチ643及びスピーカー641などを備えている。
【0151】
図15は、電動式の車椅子の斜視図の一例を示す。電動式の車椅子701は、使用者が座る座部703、座部703の後方に設けられた背もたれ705、座部703の前下方に設けられたフットレスト707、座部703の左右に設けられたアームレスト709、背もたれ705の上部後方に設けられたハンドル711を有する。アームレスト709の一方には、車椅子の動作を制御するコントローラ713が設けられている。座部703の下方のフレーム715を介して、座部703前下方には一対の前輪717が設けられ、座部703の後下方には一対の後輪719が設けられる。一対の後輪719は、モータ、ブレーキ、ギアなどを有する駆動部721に接続される。座部703の下方には、バッテリー、電力制御部、制御手段などを有する制御部723が設けられている。制御部723は、コントローラ713及び駆動部721と電気的に接続されており、使用者によるコントローラ713の操作により、制御部723を介して駆動部721を駆動させ、電動式の車椅子701の前進、後進及び旋回などの動作や、速度を制御する。
【0152】
実施の形態6で説明した蓄電装置は、制御部723のバッテリーに用いることができる。制御部723のバッテリーは、プラグイン技術による外部からの電力の供給により充電をすることができる。
【0153】
図16は、電気自動車の一例を示す。電気自動車750には、蓄電装置751が搭載されている。蓄電装置751の電力は、制御回路753により出力が調整され、駆動装置757に供給される。制御回路753は、コンピュータ755によって制御される。
【0154】
駆動装置757は、電動機(直流電動機若しくは交流電動機)を有し、必要に応じて内燃機関をも搭載し、内燃機関を搭載する場合には電動機と組み合わせて構成される。コンピュータ755は、電気自動車750の運転者の命令(加速、停止など)や走行時の環境(登坂や下坂など)の情報に基づき、制御回路753に制御信号を出力する。制御回路753は、コンピュータ755の制御信号により、蓄電装置751から供給される電気エネルギーを調整して駆動装置757の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は、直流を交流に変換するインバータも搭載される。
【0155】
蓄電装置751は、実施の形態6で説明した蓄電装置である。蓄電装置751は、プラグイン技術による外部からの電力供給により充電することができる。
【0156】
なお、電気推進車両が鉄道用電気車両の場合、架線や導電軌条からの電力供給により充電をすることができる。
【0157】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る蓄電装置を、無線給電システム(以下、RF給電システムと呼ぶ。)に用いた場合の一例を、図17及び図18のブロック図を用いて説明する。なお、各ブロック図では、受電装置および給電装置内の構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることは困難であり、一つの構成要素が複数の機能を有することもあり得る。
【0158】
はじめに、図17を用いてRF給電システムについて説明する。
【0159】
受電装置800は、給電装置900から供給された電力で駆動する電子機器または電気推進車両である。電子機器としては、デジタルカメラやビデオカメラなどのカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、表示装置、コンピュータなどが挙げられる。また、電気推進車両としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子等が挙げられる。また、給電装置900は、受電装置800に電力を供給する。
【0160】
図17において、受電装置800は、受電装置部801と、電源負荷部810と、を有する。受電装置部801は、受電装置用アンテナ回路802と、信号処理回路803と、蓄電装置804と、を有する。給電装置900は、給電装置用アンテナ回路901と、信号処理回路902と、を有する。
【0161】
受電装置用アンテナ回路802は、給電装置用アンテナ回路901が発信する信号を受け取り、または、給電装置用アンテナ回路901に信号を発信する役割を有する。信号処理回路803は、受電装置用アンテナ回路802が受信した信号を処理し、蓄電装置804の充電、及び蓄電装置804から電源負荷部810への電力の供給を制御する。電源負荷部810は、蓄電装置804から電力を受け取り、受電装置800を駆動する。電源負荷部810としては、モータまたは駆動回路などがあげられるが、これらに限定されない。また、給電装置用アンテナ回路901は、受電装置用アンテナ回路802に信号を送り、または、受電装置用アンテナ回路802からの信号を受け取る。信号処理回路902は、給電装置用アンテナ回路901の動作を制御する。すなわち、給電装置用アンテナ回路901から発信する信号の強度及び発振周波数などを制御することができる。
【0162】
実施の形態6の蓄電装置は、RF給電システムにおける受電装置800が有する蓄電装置804として利用される。
【0163】
RF給電システムに本発明の一態様である蓄電装置を利用することで、従来の蓄電装置に比べて蓄電量を増やすことができるため、給電する間隔を長くすることができる。
【0164】
または、蓄電量を従来と同じとし、受電装置800の小型化及び軽量化が可能である。
【0165】
次に、図17とは異なるRF給電システムの例について図18を用いて説明する。
【0166】
図18において、受電装置800は、受電装置部801と、電源負荷部810と、を有する。受電装置部801は、受電装置用アンテナ回路802と、信号処理回路803と、蓄電装置804と、整流回路805と、変調回路806と、電源回路807と、を有する。また、給電装置900は、給電装置用アンテナ回路901と、信号処理回路902と、整流回路903と、変調回路904と、復調回路905と、発振回路906と、を有する。
【0167】
受電装置用アンテナ回路802は、給電装置用アンテナ回路901が発信する信号を受け取り、または給電装置用アンテナ回路901に信号を発信する。給電装置用アンテナ回路901が発信する信号を受け取る場合、整流回路805は、受電装置用アンテナ回路802が受信した信号から直流電圧を生成する。信号処理回路803は、受電装置用アンテナ回路802が受信した信号を処理し、蓄電装置804の充電と、蓄電装置804から電源回路807への電力の供給と、を制御する。電源回路807は、蓄電装置804が電力を供給するに際して、電圧を電源負荷部810に必要な電圧に変換する。変調回路806は、受電装置800から給電装置900へ何らかの応答を送信する場合に使用される。
【0168】
電源回路807により、電源負荷部810に供給する電力を制御することができる。このため、電源負荷部810に過電圧が印加されることを防止することが可能であり、受電装置800の劣化や破壊を低減することができる。
【0169】
また、変調回路806を有することで、受電装置800から給電装置900へ信号を送信することが可能である。このため、受電装置800の蓄電量を判断し、一定量の充電が行われた場合に、受電装置800から給電装置900に信号を送信し、給電装置900から受電装置800への給電を停止させることができ、蓄電装置804の過充電を防止することが可能であり、蓄電装置804の充電回数を増加させることができる。
【0170】
また、給電装置用アンテナ回路901は、受電装置用アンテナ回路802に信号を送り、または、受電装置用アンテナ回路802から信号を受け取る。受電装置用アンテナ回路802に信号を送る場合、信号処理回路902は、受電装置に送信する信号を生成する。発振回路906は、一定の周波数の信号を生成する。変調回路904は、信号処理回路902が生成した信号と発振回路906で生成された一定の周波数の信号に従って、給電装置用アンテナ回路901に電圧を印加する。そして、給電装置用アンテナ回路901から信号が出力される。一方で、受電装置用アンテナ回路802から信号を受け取る場合には、整流回路903は、受け取った信号を整流する。復調回路905は、整流回路903が整流した信号から受電装置800が給電装置900に送った信号を抽出する。信号処理回路902は復調回路905によって抽出された信号を解析する。
【0171】
なお、RF給電を行うことが可能な構成であれば、受電装置800及び給電装置900の構成は図18に示したものに限定されない。例えば、受電装置800が電磁波を受信して整流回路805で直流電圧が生成され、DC−DCコンバータやレギュレータなどを経て、定電圧が生成される構成であってもよい。このような構成とすることで、過電圧が印加されることを抑制することができる。
【0172】
実施の形態6の蓄電装置は、RF給電システムにおける受電装置800が有する蓄電装置804として利用される。
【0173】
RF給電システムに本発明の一態様である蓄電装置を利用することで、従来の蓄電装置に比べて蓄電量を増やすことができるため、給電する間隔を長くすることができる。
【0174】
また、RF給電システムに本発明の一態様である蓄電装置を利用することで、電源負荷部810を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置800の小型化及び軽量化が可能である。
【0175】
なお、RF給電システムに本発明の一態様である蓄電装置を利用し、受電装置用アンテナ回路802と蓄電装置804を重ねる場合は、蓄電装置804の充放電に伴い形状が変化し、受電装置用アンテナ回路802のインピーダンスが変化しないようにすることが好ましい。アンテナのインピーダンスが変化してしまうと、十分な電力供給がなされない可能性があるためである。例えば、蓄電装置804を金属製あるいはセラミックス製の電池パックに装填すればよい。なお、その際、受電装置用アンテナ回路802と電池パックは数十μm以上離間して設けられていることが好ましい。
【0176】
また、本実施の形態では、充電用の信号の周波数に特に限定はなく、電力が伝送できる周波数であればどの帯域を用いてもよい。充電用の信号は、例えば、135kHzのLF帯(長波)でもよいし、13.56MHzのHF帯でもよいし、900MHz〜1GHzのUHF帯でもよいし、2.45GHzのマイクロ波帯でもよい。
【0177】
また、信号の伝送方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式、共鳴方式またはマイクロ波方式などの様々な種類があるが、本実施の形態では、信号の伝送方式は特に限定されない。ただし、雨や泥などの、水分を含んだ異物によるエネルギーの損失を抑えるためには、本発明の一態様では、周波数が低い帯域、具体的には、短波である3MHz〜30MHz、中波である300kHz〜3MHz、長波である30kHz〜300kHz、及び超長波である3kHz〜30kHzの周波数を利用した電磁誘導方式や共鳴方式を用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0178】
100 基板
102 鋳型材料体
104 モールド
105 鋳型前駆体
106 第1の鋳型
107 孔
108 第2の鋳型
110 第3の鋳型
112 第4の鋳型
114 極小径粒前駆体
116 極小径粒
200 基板
202 鋳型材料体
204 モールド
205 鋳型前駆体
206 第1の鋳型
207 孔
208 第2の鋳型
210 第3の鋳型
211 孔
218 極小径粒前駆体
220 極小径粒
222 抜き出し用基板
300 基板
302 鋳型材料体
304 モールド
305 鋳型前駆体
306 第1の鋳型
307 凸部
308 第2の鋳型
310 第3の鋳型
311 孔
322 抜き出し用基板
324 極小径粒前駆体
326 極小径粒
400 基板
402 鋳型材料体
404 モールド
405 鋳型前駆体
406 第1の鋳型
407 孔
408 第2の鋳型
411 孔
412 第4の鋳型
413 孔
422 抜き出し用基板
428 極小径粒前駆体
430 極小径粒
500 正極集電体
501 正極活物質層
502 正極
505 負極集電体
506 負極活物質層
507 負極
510 セパレータ
511 電解液
520 筐体
521 第1の電極
522 第2の電極
610 携帯電話機
611 筐体
612 表示部
613 操作ボタン
614 外部接続ポート
615 スピーカー
616 マイク
617 操作ボタン
630 電子書籍用端末
631 筐体
632 軸部
633 筐体
635 表示部
637 表示部
639 操作ボタン
641 スピーカー
643 電源スイッチ
701 電動式の車椅子
703 座部
705 背もたれ
707 フットレスト
709 アームレスト
711 ハンドル
713 コントローラ
715 フレーム
717 一対の前輪
719 一対の後輪
721 駆動部
723 制御部
750 電気自動車
751 蓄電装置
753 制御回路
755 コンピュータ
757 駆動装置
800 受電装置
801 受電装置部
802 受電装置用アンテナ回路
803 信号処理回路
804 蓄電装置
805 整流回路
806 変調回路
807 電源回路
810 電源負荷部
900 給電装置
901 給電装置用アンテナ回路
902 信号処理回路
903 整流回路
904 変調回路
905 復調回路
906 発振回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に鋳型となる材料膜を形成し、
前記鋳型となる材料膜に対して、孔を形成して鋳型を作製し、
該鋳型にゲル状の材料を充填することで、前記ゲル状の材料により形成される極小径粒を作製することを特徴とする極小径粒の作製方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記鋳型となる材料膜に対して形成する孔は、ナノインプリント法により形成することを特徴とする極小径粒の作製方法。
【請求項3】
基板上に鋳型となる材料膜を形成し、
前記鋳型となる材料膜に対して、孔を形成して鋳型を作製し、
該鋳型にゲル状のLiFePO材料を充填することで、前記ゲル状の材料により形成される極小径粒を作製することを特徴とする正極活物質の作製方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記鋳型となる材料膜に対して形成する孔は、ナノインプリント法により形成することを特徴とする正極活物質の作製方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、
前記鋳型はPMMAにより形成されていることを特徴とする正極活物質の作製方法。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれか一において、
前記ゲル状の材料は加熱され、
該加熱により炭素膜が形成されることを特徴とする正極活物質の作製方法。
【請求項7】
請求項3乃至請求項6のいずれか一に記載の方法により作製した正極。
【請求項8】
請求項7に記載した正極を搭載した二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−30220(P2012−30220A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144303(P2011−144303)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】