説明

楽曲演奏装置及び楽曲演奏用プログラム

【課題】自動演奏に合わせて歌唱、楽器演奏を楽しむことのできる楽曲演奏装置において、演奏の不自然さを解消する。
【解決手段】本発明に係る楽曲演奏装置は、指定された楽曲の演奏回数、または、演奏日時の少なくとも一方を記憶した楽曲履歴情報を読み出す楽曲履歴読出処理と、読み出された楽曲履歴情報に基づいて、発音形態に修正を加えて演奏情報を演奏手段に演奏させる修正演奏処理と、楽曲の演奏に基づいて前記楽曲履歴情報を更新する楽曲履歴更新処理と、を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動演奏と一緒に歌唱あるいは楽器演奏を楽しむことのできる楽曲演奏装置及び楽曲演奏用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動演奏にあわせて歌唱を楽しむカラオケ装置が知られている。このようなカラオケ装置では、自動演奏のためMIDI音源などの自動演奏装置を用いて行われることが多く、予め作成されたMIDI情報(演奏情報)に従って順次演奏が実行されることとなる。
【0003】
演奏情報に従って演奏されるため演奏自体は、変化無く理想的な状態で行われることとなる。このように演奏情報をそのまま演奏した場合には、ミスの無い理想的な演奏にはなるものの、表情に乏しく機械的な演奏になってしまう。
【0004】
特許文献1には、演奏データに基づいて演奏を行う自動演奏装置について、特に弦楽器特有の表情付けを行う演奏データ変換装置が開示されている。この演奏データ変換装置では、複数個のノートの各発音開始タイミングをシフトさせることで、楽器特有の表情付けがなされた演奏が可能となる。このような自動演奏装置を用いたカラオケ装置では、カラオケを楽しむユーザが歌唱する時の演奏も、楽器特有の表情付けがなされた理想的な演奏が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−105173公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カラオケを楽しむユーザーには、素人からプロレベルまで多岐のレベルにわたることとなるが、楽曲の歌唱になれていないユーザーの場合、歌唱自体は上手くないのに対して、自動演奏自体は理想的な演奏で行われるため、歌唱と演奏の間に技術のギャップが生じることがある。
【0007】
更に、現在、カラオケ装置の利用に関し、ユーザは歌唱のみならず、ギターなどの外部楽器を接続して楽しむ試みも検討されている。例えば、カラオケ装置においてマイナスワン演奏を行うことで、ユーザーはマイナスワンされたパートの演奏を楽しむことが可能となる。カラオケを利用する場は、通常、防音対策が施されているため、外部楽器を演奏する場合、十分な音量で演奏を楽しむ、あるいは、演奏の練習を行うことが可能となる。
【0008】
このユーザーの演奏レベルも多岐わたり、楽器になれていないユーザは、歌唱の場合と同様、楽器演奏は上手くないのに対して、自動演奏自体は、楽器特有の表情付けがなされた理想的な演奏で行われることとなる。このため、ユーザーの演奏と自動演奏との間で技術のギャップが生じたままで演奏が継続されてしまい、ユーザーは自身の楽器演奏を楽しむことができない。すなわち、一緒に演奏する相手(自動演奏)が理想的な演奏を行う中で、常に自分の下手な演奏を聴かされていては面白くない。
【0009】
本発明は、このようなユーザーの歌唱、あるいは、楽器演奏の技術と、自動演奏の演奏間との間のギャップを少なくすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのため本発明に係る楽曲演奏装置は、
楽曲の演奏情報に基づいて演奏を実行する演奏手段と、
楽曲履歴読出処理と、修正演奏処理と、楽曲履歴更新処理とを実行する制御手段を備え、
前記楽曲履歴読出処理は、指定された楽曲の演奏回数、または、演奏日時の少なくとも一方を記憶した楽曲履歴情報を読み出し、
前記修正演奏処理は、読み出された前記楽曲履歴情報に基づいて、発音形態に修正を加えて前記楽曲の演奏情報の演奏を実行し、
前記楽曲履歴更新処理は、前記楽曲の演奏に基づいて前記楽曲履歴情報を更新することを特徴とする。
【0011】
さらに本発明にかかる楽曲演奏装置において、
前記制御手段は、ユーザーをログインさせ、ユーザー毎の前記楽曲履歴情報を取得するログイン処理を実行し、
前記楽曲履歴読出処理、前記修正演奏処理、前記楽曲履歴更新処理は、ログインしたユーザー毎に実行されることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明にかかる楽曲演奏装置において、
前記楽曲履歴情報は、楽曲が演奏された回数であり、
前記修正演奏処理は、楽曲の演奏回数が少ないほど、修正を加える音の割合を大きくすることを特徴とする。
【0013】
さらに本発明にかかる楽曲演奏装置において、
前記楽曲履歴情報は、演奏日時であり、
前記修正演奏処理は、前回の演奏日時からの経過期間が長くなるほど、修正を加える音の割合を大きくすることを特徴とする。
【0014】
さらに本発明にかかる楽曲演奏装置において、
前記修正演奏処理にて実行される発音形態の修正は、音に対応して読み出される波形情報の変更であることを特徴とする。
【0015】
さらに本発明にかかる楽曲演奏装置において、
前記修正演奏処理にて実行される発音形態の修正は、発音タイミング、強弱、音程の少なくとも1つであることを特徴とする。
【0016】
さらに本発明にかかる楽曲演奏装置において、
前記制御手段は、音量を下げて演奏するパート、あるいは、演奏しないパートを指定するパート指定処理を実行可能とし、
前記楽曲履歴読出処理、前記修正演奏処理は、パート指定処理で指定されたパート毎に実行されることを特徴とする。
【0017】
さらに本発明にかかる楽曲演奏装置において、
前記制御手段は、登録楽曲指定処理を実行可能とし、
前記登録楽曲指定処理は、演奏音程、あるいは、演奏速度の少なくとも一方が対応づけられて登録された楽曲を指定可能とし、
前記修正演奏処理は、登録楽曲指定処理で指定された楽曲が、登録されている演奏音程、あるいは、演奏速度と異なって演奏される場合、修正を加える発音形態の割合を変更することを特徴とする。
【0018】
さらに本発明にかかる楽曲演奏用プログラムは、
指定された楽曲の演奏回数、または、演奏日時の少なくとも一方を記憶した楽曲履歴情報を読み出す楽曲履歴読出処理と、
読み出された前記楽曲履歴情報に基づいて、発音形態に修正を加えて演奏情報を演奏手段に演奏させる修正演奏処理と、
前記楽曲の演奏に基づいて前記楽曲履歴情報を更新する楽曲履歴更新処理と、をコンピューターに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ある楽曲について、その演奏回数、あるいは、演奏日時を記憶する楽曲履歴情報に基づいて、奏情報における音の演奏形態を修正することで、演奏回数、あるいは、演奏日時によるユーザーの技術向上を鑑みた自動演奏を実行することが可能となる。
【0020】
さらに、ユーザーをログインさせ、ユーザー毎にサービスを提供することができるログイン処理を実行可能とする場合、ユーザー毎の楽曲履歴情報に基づいて、音の演奏形態を修正することで、各ユーザーの技術や経験にみあった自動演奏を実行することが可能となる。
【0021】
例えば、演奏回数を楽曲履歴情報として採用した場合、少ない演奏回数の楽曲については、ユーザーの技術は不十分な段階にあると推定し、修正を加える音の割合を大きくすることとしている。このような構成にて、本来の演奏情報に基づく演奏から大きく異ならせ、推定されたユーザーの技術に応じた自動演奏を実現することが可能となる。
【0022】
また、演奏日時を楽曲履歴情報として採用した場合、前回の演奏日時からの経過期間が長くなるほど、ユーザーの経験は不足していると推定し、修正を加える音の割合を大きくすることとしている。このような構成にて、本来の演奏情報に基づく演奏から大きく異ならせ、推定されたユーザーの経験に応じた自動演奏を実現することが可能となる。
【0023】
また、音の演奏形態の修正としては、音に対応して読み出される波形情報を変更することが考えられる。例えば、ギターやベースのような弦楽器の場合、ミスタッチによるノイズが加えられた波形情報に変更することで、音の演奏形態を劣化させる修正を加えることが可能となる。
【0024】
音の演奏形態の修正には、このほか、音の演奏タイミング、音の強弱、音の音程の少なくとも1つに修正を加えることとしてもよい。これらに修正を加えることで、音の演奏形態を変化させ、推定されたユーザーの技術、あるいは、経験に応じた自動演奏を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケシステムを示す図
【図2】本発明の実施形態に係るトップ画面を示す図
【図3】本発明の実施形態に係るユーザー情報を示す図
【図4】本発明の実施形態に係るユーザーに対するサービス処理を示す図
【図5】本発明の実施形態に係る楽曲予約処理を示すフロー図
【図6】本発明の実施形態に係る楽曲確認画面を示す図
【図7】本発明の実施形態に係る予約情報のデータ構成を示す図
【図8】本発明の実施形態に係る楽曲演奏処理を示す図
【図9】本発明の実施形態に係るランダマイザー発音処理を示すフロー図
【図10】本発明の実施形態に係る波形参照テーブルのデータ構成を示す図
【図11】本発明の実施形態に係る確率決定テーブルを示す図
【図12】本発明の他の実施形態に係る確率決定テーブルを示す図
【図13】本発明の他の実施形態に係る波形読出確率の推移の様子を示す図
【図14】本発明の実施形態に係るマイうた選曲画面を示す図
【図15】本発明の他の実施形態に係る楽曲演奏処理を示す図
【図16】本発明の他の実施形態に係る楽曲確認画面を示す図
【図17】本発明の他の実施形態に係る予約情報のデータ構成を示す図
【図18】本発明の他の実施形態に係る履歴テーブルのデータ構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、コマンダ2(楽曲演奏装置)と、リモコン装置1にて構成されており、これらは、LAN100にて、無線、有線で互いに接続されている。ここではカラオケ装置となるコマンダ2を楽曲演奏装置として説明するが、楽曲演奏装置としては、自動演奏機能を備えた各種MIDI機器であってもよいし、また、コンピュータに実装する楽曲演奏用プログラムとして提供することとしてもよい。
【0027】
店舗に設置されるコマンダ2は、リモコン装置1(例えば、1a、1b)によりユーザーからの各種指示を受け付けることが可能となっている。また、リモコン装置1は表示部11と操作部17が共有されたタッチパネル表示画面を備え、ユーザーに対して各種情報を提供することも可能である。リモコン装置1は、LAN100上に設置されたアクセスポイント110aを介してコマンダ2と無線接続される。図中に破線で示されるように、例えばコマンダ2aにはリモコン装置1aと1bが対応付けられ、LAN100aを介して情報を送受信することが可能となっている。また、リモコン装置1とコマンダ2とは赤外線などを利用した近距離通信を行うことも可能である。
【0028】
さらに、本実施形態のカラオケシステムでは、ユーザーに各種サービスを提供するためインターネットを介してカラオケ用ホスト5(サーバ装置)が設けられ、その記憶部51には、楽曲情報やユーザー情報など、各種サービスに必要な情報を記憶している。そして、ルータ120aを通じて、コマンダ2、又はリモコン装置1と、各種情報の送受信が行えるように構成されている。
【0029】
本発明の実施形態に係る楽曲戦争装置としてのコマンダ2は、全体を統括制御する制御部30を中心として機能し、主な機能として、楽曲演奏処理、映像表示処理、楽曲予約処理などを実行可能としている。楽曲演奏処理は、入力部21やリモコン装置1にて、ユーザーにより指定された楽曲に対応する演奏情報をMIDI音源などを備えた音響制御部70にて演奏させ、スピーカー42から放音させる処理である。このとき、スピーカー42からは歌唱用マイク44から入力される音声も合わせて放音される。映像再生処理は、映像制御部31にて各種映像情報、歌詞情報などを再生させ、モニタ41を介した視覚情報をユーザーに提供する処理である。
【0030】
楽曲予約処理は、ユーザーからの指定に基づいて楽曲を選択、予約するための処理である。本実施形態ではリモコン装置1と連携して実行することとなる。リモコン装置1の操作部17から入力されたユーザーの指令は、赤外線通信部19、23、あるいは、LAN100を介してコマンダ2に伝達される。コマンダ2での処理結果は、リモコン装置1側の表示部11に表示され、ユーザーは選曲のための各種情報を視認することが可能である。コマンダ2とリモコン装置1は、この楽曲指定処理に限らず、ユーザー個別のサービスを提供するためのログイン処理など各種処理を実行することが可能である。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に係るトップ画面、すなわち、リモコン装置1を起動した直後の画面を示す図である。本実施形態では、リモコン装置1の表示部11に表示を行うことで、リモコン装置1を操作するユーザーに対して各種情報を提供する。なお、リモコン装置1の操作部17としては、カーソルキーなどの各種機械的なスイッチの他、表示部11に表示されたボタン、アイコンなどを直接タッチして操作を行うタッチパネルを採用することができる。
【0032】
本実施形態のカラオケシステムは、複数のユーザーが各リモコン装置1のタッチパネル表示画面から必要な情報(後述するユーザIDやパスワード)を入力し、ログインすることが可能となっている。ユーザーのログインに関する情報は画面上方に常時表示される。
【0033】
また、アカウントを有していないユーザーのためのゲストアイコン102、ユーザーを切り替えるためのユーザー切替スイッチ101が表示されている。ログインしたユーザーは、ログインユーザー欄103に表示される分身像を選択、あるいは、ユーザー切替スイッチ101を操作することで、自分のユーザー情報を利用した各種サービスを受けることが可能となる。また、アカウントを有していないユーザーは、ゲストアイコン102を操作することで、選曲など一般的なサービスを受けることが可能となっている。なお、ユーザーの切替の際には、パスワードなど認証を行うこととしてもよいが、認証を行うことなく簡易に切り替えることとしてもよい。
【0034】
図3は、各ユーザー毎に、ホスト5に記憶されたユーザー情報を説明するための図である。本実施形態では、ユーザー情報として、個人情報、マイうたテーブル、履歴テーブルなど、ユーザーに関する各種情報を含んで構成される。ユーザー情報は、カラオケ用ホスト5の記憶部51に予め記憶されている。また、ユーザー情報には、ユーザーがリモコン装置1からカラオケ用ホスト5へログインしてこれら情報を利用するためのユーザーID、パスワードが対応付けられている。個人情報には、ユーザー名(実際の名前に限ったものでなく、ニックネームであってもよい)、性別、年齢等を含んで構成されている。これら各種情報は、リモコン装置1、あるいは、インターネットなどのネットワークに接続された図示しないパーソナルコンピュータ、携帯情報端末などにてログインして設定することができる。
【0035】
具体的には、リモコン装置1などを介したユーザーのログイン操作よって、ユーザーIDとパスワードとがカラオケ用ホスト5へ通知され、記憶部51に記憶されたユーザー情報がリモコン装置1、コマンダ2へ送付され、各々の記憶手段(メモリ14、メモリ27など)へ記憶される。詳細な手順は後述する。
【0036】
マイうたテーブルは、ユーザーによって事前に登録された楽曲を示すテーブルであって、少なくとも楽曲を識別するための楽曲識別子を含んで構成されている。この他、自分の歌唱音域に合わせるための音程調整値、演奏速度を調整するための速度調整値、歌唱した際に採点された採点情報(最高点)などを登録しておいてもよい。ログインしたユーザーは、このマイうたテーブルを呼び出すことで、事前に登録した楽曲を簡易な操作で選曲することが可能となる。その際、あわせて登録している音程調整値、速度調整値に基づいて、自分にあった音程、速度で楽曲を演奏させることができる。
【0037】
履歴テーブルは、ユーザーがこれまでに選曲した履歴が記載されたテーブルであって、楽曲識別子、歌唱日時、歌唱店舗(歌唱位置)、採点情報などを含んで構成されている。採点情報は、歌唱したときの採点手段による結果を示す情報である。
【0038】
本実施形態では、この履歴テーブルに記録された楽曲を選曲することも可能となっている。ユーザーは履歴テーブルを用いた選曲を行うことで、過去に指定した楽曲を再度演奏
させることが可能となっている。
【0039】
本実施形態では、このようなユーザー情報を利用することで、ユーザーに対し様々なサービスを提供することができる。特に、マイうたテーブル、履歴テーブルのようなユーザー別選曲情報を利用することで、ユーザー別に選曲を実行することが可能となっている。
【0040】
図4は、このユーザー情報の送受信の様子と、リモコン装置1の制御部15、コマンダ2の制御部30、ホスト5の図示しない制御部が、それぞれ実行するプログラムのフローチャートを示した図である。カラオケ店舗に来店したユーザーは、リモコン装置1の操作部17やコマンダ2の操作部21から自己のユーザーIDとパスワードなどの識別情報を入力する。ユーザーの識別情報を読み取った、コマンダ2あるいはリモコン装置1は、識別情報をカラオケ用ホスト5に送信し(S102)、識別情報を受信したカラオケ用ホスト5は記憶部51に記憶されたデータベースから、該当するユーザーのユーザー情報を抽出し(S121)、問い合わせのあったコマンダ2あるいはリモコン装置1に対して送信する(S122)。
【0041】
カラオケ用ホスト5からコマンダ2あるいはリモコン装置1に対してのユーザー情報の送信は、本実施形態では、予め各装置のIPアドレス等の通信相手先を特定する情報に基づいて送信している。他の送信方法としては、リモコン装置1とコマンダ2とが、カラオケ分野における、周知の「括り付け」、又は「紐付け」関係にあるならば、カラオケ用ホスト5はログインしたリモコン装置1へユーザー情報を一旦送信し、その後、ログインしたリモコン装置1から必要に応じて(例えば、リモコン装置1からコマンダ2への曲予約指示した時に、曲予約情報とともに)、括り付け相手のコマンダ2へ再送信してもよいし、または、コマンダ2で一旦受信し、コマンダ2からリモコン装置1へ再送信してもよい。
【0042】
ユーザー情報を受信したコマンダ2側では(S103)、受信したユーザー情報に基づいて、選曲処理、演奏処理など各種サービス処理が提供される(S104)。ユーザーによりログアウトが要求される(S105)とサービス処理を中断し、サービス処理中における各種履歴(ログ)、あるいは、ユーザーによる設定変更を反映したユーザー情報をカラオケ用ホスト5に送信する(S106)。ここで、ユーザー情報は、全ての情報を送信することの他、更新された差分だけを送信してもよい。カラオケ用ホスト5では、受信したユーザー情報に基づいて記憶部1に記憶されたデータベースの更新を実行する(S124)。
【0043】
以上、1ユーザーが認証処理(ログイン)してから、ログアウトするまでの流れを説明したが、本実施形態のコマンダ2、リモコン装置1は、認証された複数人(認証ユーザー)が同時にログインした状態で使用することが可能となっており、図2で説明したユーザーインターフェイスを用いることで、サービスを提供するユーザー(以下、「アクティブユーザー」という)を切り替えて使用することが可能となっている。
【0044】
図5は、本発明の実施形態に係る楽曲予約処理を示すフロー図であって、リモコン装置1などの入力手段にて実行される処理である。図2で説明した「曲を探す」メニューから、歌唱したい楽曲を選択し、コマンダ2に対して予約することが可能とされている。楽曲予約処理が開始されると、ユーザーが選択した適宜検索方法(楽曲名指定、歌手名指定など)によって、楽曲の検索が実行される(S201)。ユーザーは複数の検索結果の中から自分の所望の楽曲を指定する(S202)。S203では、指定した楽曲に間違いないかを確認させると共に、演奏時の音程(キー)、速度(スピード)調整などを行うために楽曲確認画面が表示される(S203)。
【0045】
図6は、本発明の実施形態に係る楽曲確認画面を示す図であって、楽曲名、歌手名のみならず、歌い出しなどを表示させることでユーザーに楽曲を確認させる画面である。さらにこの画面では演奏させる楽曲の音程、速度を事前に設定することが可能とされている。設定を行うユーザーは、「演奏設定」の欄右下に表示される「変更」ボタンを操作することで、音程、速度を設定するためのサブウィンドウが開き、ユーザーは自分の歌唱にあった音程を設定することができる。画面中、演奏設定欄右下の「変更」ボタンが操作された場合(S204:Yes)には、設定用のサブウィンドウが表示され(S205)、演奏の際の音程、速度の設定する(S206)ことができる。
【0046】
選択した楽曲が歌唱したい楽曲であることを確認したユーザーにより「予約」ボタンが操作される(S207:Yes)ことで楽曲の演奏予約が実行され、一連の楽曲予約処理が終了する。具体的には、リモコン装置1からコマンダ2に対して予約情報が送信される(S208)。予約情報を受信したコマンダ2は、予約テーブル上で予約情報を管理し、予約された楽曲を順次、演奏手段としての音響制御部70にて演奏させる。
【0047】
図7には、このような楽曲予約処理によってリモコン装置1からコマンダ2に対して送信される予約情報のデータ構成が示されている。予約情報には、演奏する楽曲を識別するための楽曲識別子の他、演奏する際の音程、速度について設定が行われている場合には、それぞれ音程調整値、速度調整値が含まれることとなる。さらに、ログインしたアクティブユーザーによる予約の場合には、当該アクティブユーザーのユーザーIDが含まれることとなる。リモコン装置1からコマンダ2に送信された予約情報は、コマンダ2の
メモリ27に記憶される予約テーブルに順次追加され、楽曲演奏処理に用いられることとなる。
【0048】
では、この楽曲演奏処理について図を参照しつつ説明する。図8は、本発明の実施形態に係る楽曲演奏処理を示すフロー図である。コマンダ2が起動されると、この楽曲演奏処理が開始され、S301にてコマンダ2に記憶する予約テーブルが参照され、予約テーブル上の予約情報が順次読み出される。
【0049】
S302では、読み出された予約情報にユーザーIDが付帯しているか、すなわち、これから演奏する楽曲について、それを予約したユーザーが判定できるか否かの判定が行われる。本実施形態では、ユーザー情報中に含まれる履歴テーブル(楽曲履歴情報)に基づいて演奏回数、あるいは、前回演奏してからの期間に応じて、演奏情報における音の演奏形態に修正を加えることとしている。また、本実施形態では、音の演奏形態の修正として、読み出される波形ファイルにおいて、演奏ミスした場合の波形ファイルを加え、その読出確率を変更することとしている。演奏ミスした場合の波形ファイルの読出確率を調整することで、自動演奏であっても聴感上の巧拙を変更することができる。
【0050】
ユーザーIDが付帯していると判定された場合(S302:Yes)には、ユーザーIDに対応するユーザー情報のうち、これから演奏する楽曲についての履歴テーブルが読み出される(S303)。そして、当該履歴テーブル(楽曲履歴情報)に基づいて波形読出確率が決定される。波形読出確率を決定するための各種テーブルについて説明しておく。
【0051】
図10は、本発明の実施形態に係る波形参照テーブルのデータ構成を示す図であり、図11は、本発明の実施形態に係る確率決定テーブルを示す図である。図10の波形参照テーブルは、演奏情報に基づいて音(1つの音符に相当)を発音する際に使用する波形ファイルを読み出すためのテーブルの一部である。本実施形態では、図に示されるように音色番号0についての発音については、AAA_1〜AAA_3、AAB_1〜AAB_3の6つの波形ファイルが使用されることとなる。これら波形ファイルは、低音用(AAA_1〜AAA_3)、高音用(AAB_1〜AAB_3)に分けられており、それぞれにつ
いて波形種類として、通常1、通常2、ミスを有している。
【0052】
通常、PCM形式などの音源方式では、1つの波形ファイルの音高、音量を調整することで、複数の音(音符)に対応することとしている。楽器によっては1つの波形ファイルで全音域に対応した場合、不自然な発音となってしまうため、本実施形態のように音域を分け、音高が0〜64まではAAA_1〜AAA_3の何れかの波形ファイルを指定された音高で発音し、音高が65〜127まではAAB_1〜AAB_3の何れかの波形ファイルを指定された音高で発音することで、自然な発音を可能としている。
【0053】
また、本実施形態では各音域毎に通常1、通常2、ミスといった波形種別毎に波形ファイルが用意されている。人間が楽器を演奏する場合、同じ音高の発音であったとしても、演奏の度に発音する音は微妙に異なったものとなる。一方、自動演奏において、発音のたびに同じ波形ファイルを使用した場合、このような微妙な発音の差を表現することは困難であって、機械的な演奏になってしまうことが考えられる。波形種類における通常1、通常2はこのような自然な演奏を実現するために設けられている。例えば、AAA_1とAAA_2で波形ファイルにおける音の表情が微妙に異なったものとされている。
【0054】
一方、波形種類における「ミス」は、本発明特有のものであって、該当する波形ファイルには、楽器を演奏ミスした場合の特有の音が表現されている。本実施形態では、この母系種類「ミス」の読出確率を、ユーザー情報に含まれる履歴テーブル(楽曲履歴情報)に基づいて変動させることで、ユーザーの歌唱レベルにみあった演奏形態にて自動演奏することとしている。本実施形態では、ユーザーが楽曲を選択(演奏)した回数にて、当該ユーザーの当該楽曲についての歌唱レベルが推定される。その際、本実施形態では、ユーザー情報中の履歴テーブルにおいて、演奏する楽曲の楽曲識別子を積算することで、回数を取得することができるが、このような形態に代えて、ユーザー情報中において、選択された楽曲毎にカウントした回数を記録しておき、それを利用することとしてもよい。
【0055】
図11には、歌唱レベルにあった波形読出確率を決定するための確率決定テーブルが示されている。本実施形態では、ユーザーがこれまでに選択(演奏)した回数で、波形種類「ミス」の読出確率が決定される。また、波形種類「ミス」の読出確率の変動に伴い、波形種類「通常1」、「通常2」の読出確率も調整されている。例えば、今回歌唱する楽曲の演奏回数が5回以下の場合には、「通常1」についての読出確率を30%、「通常2」についての読出確率を40%、「通常3」についての読出確率を30%と設定し、設定された読出確率に基づいて演奏が実行される。一方、歌唱する楽曲の演奏回数が16回以上の場合、すなわち、かなり歌唱に慣れてきていると判定された場合には、「通常1」についての読出確率を45%、「通常2」についての読出確率を45%、「通常3」についての読出確率を10%と設定し、設定された読出確率に基づいて演奏が実行される。
【0056】
このように、本実施形態では、演奏回数が多くなるに従って波形種類「ミス」の読出確率を下げることで、歌唱に慣れてきている、すなわち、当該楽曲について上手く歌えると推定される場合には、波形種類「ミス」の出現確率を減らすことで、自動演奏についても聴感上、上手く聞こえるようにしている。反対に、演奏回数が少ない楽曲については、波形種類「ミス」の読出確率を上げることで、本来、理想的な状態で行われるはずの自動演奏を聴感上、下手な演奏に聞き取れるようにし、歌唱の巧拙とのバランスがとれるようにしている。通常、演奏回数を重ねるにしたがって、自分の歌唱レベルの向上が図られることとなるが、本実施形態では、それに伴って自動演奏についても演奏レベルが上達することとなり歌唱するユーザーの満足感も一段と大きいものとなる。
【0057】
本実施形態では、このように波形種類毎の確率決定にテーブルを用いることとしているが、この形態に限らず、演奏回数に基づいて各確率を演算で求めることも可能である。ま
た、本実施形態では「ミス」については1つの波形ファイルが用いられることとしているが、「通常」の場合と同様、複数の波形ファイルを割り当てておき、各波形ファイルに対して確率を設定することとしてもよい。
【0058】
図8の楽曲演奏処理のフロー図中、S304では、図11で説明した確率決定テーブルにて各波形種類毎の波形読出確率が決定される。一方、予約情報にユーザーIDが付されていない場合、すなわち、ゲストユーザーとして楽曲を予約した場合には、S305にて所定(デフォルト)の波形読出確率が設定されることとなる。S306〜S307ではこのように設定された波形読出確率に基づいて、演奏情報が演奏されることとなる。特に、各音の発音については、S400のランダマイザー発音処理にて発音が実行されることとなる。
【0059】
演奏が終了すると(S307:Yes)、予約情報にユーザーIDが付帯されている場合には、S309にて、当該ユーザーIDに対応するユーザー情報中の楽曲履歴テーブルを更新(楽曲履歴更新処理)し、次の楽曲についての楽曲演奏処理に移行する。一方、ユーザーIDが付帯されていない場合、すなわち、ゲストユーザーとしての予約の場合には、そのまま次の楽曲の楽曲演奏処理に移行する。
【0060】
図9は、ランダマイザー発音処理のフロー図を示す図である。演奏情報は、各音色毎の音符の集合にて構成されることはよく知られるところである。S401における発音タイミングにて発音すべき演奏音(音符)が取得されると、S402では、当該演奏音について、前回選択した波形ファイル名が取得される。これは、連続して同じ波形ファイルが使用されることを防ぐことを目的としてものであって、自然な演奏を再現することを可能とするものである。
【0061】
S403では、発音すべき演奏音について、複数の波形ファイルが存在するか否かが判定される。図10で説明した音色については、複数の波形種類が用意されていたが、音色によっては、波形種類が1つである場合も考えられる。この分岐は、このような波形種類の数を考慮したものとなっている。波形ファイルが1つしか存在しない場合(S403:No)には、S408に進み、該当する波形ファイルが選択される。一方、図11で説明した音色のように波形ファイルが複数存在する場合(S403:Yes)には、図8のフロー図中、S304で決定された波形確率に基づいて、演奏する波形ファイルが選択されることとなる。まず、S404では発生させた乱数が取得される。次に、S405では、取得した乱数と、各波形種類の波形確率に基づいて波形ファイルが選択される。
【0062】
本実施形態では、音色番号0について、音高70の演奏音を鳴動させる場合には、図10の波形参照テーブル中、AAB_1〜AAB_3の波形ファイルが選択候補となる。選択候補の中から選択された波形ファイルは、基準音高が127に設定されているため、音高70となるように修正して鳴動させる。以下に、選択候補となった波形ファイルの中から選択する手法について説明する。
【0063】
例えば、1〜100の乱数を発生させる場合を考えたとき、確率決定テーブルにおいて、演奏回数が5回以下である場合には、1〜30を「通常1」、31〜70を「通常2」、71〜100を「ミス」に割り当てられる。発生させた乱数に基づいて、選択候補の中から波形種類に該当する波形ファイルが選択される。S406では、S402での確認に基づき、選択された波形ファイルが前回選択された波形ファイルであるかが判定される。前回の発音時に選択した波形ファイルである場合(S406:Yes)には、再度、S404、S405をやり直し、波形ファイルの選択が行われる。一方、前回選択した波形ファイルと異なる場合(S406:No)には、S405で選択した波形ファイルに基づいて演奏音が鳴動される。
【0064】
S401〜S407の一連の処理を繰り返し実行することで各演奏音が鳴動され、演奏情報についての一連の演奏が実行されることとなる。特に、本実施形態は、楽曲の演奏回数(楽曲履歴情報)に応じた波形読出確率に基づいて、波形種類「ミス」の波形ファイルが使用されるため、演奏回数に応じて演奏情報における音の演奏形態に修正が加えることとなる。例えば、演奏回数の増加に対して、波形種類「ミス」の波形ファイルの出現頻度を減少させることで、ユーザーが利用を重ねるにつれて、自動演奏自体も上達するようにみせることが可能となる。
【0065】
以上の実施形態では、波形読出確率を決定するための楽曲履歴情報として、楽曲毎の演奏回数を利用することとしているが、楽曲履歴情報としては、演奏日時を利用することも考えられる。図12、図13は、このような実施形態を説明するための図であって、図12には、確率決定テーブルが、また、図13には、それを利用した波形読出確率の決定例が示されている。
【0066】
図12に示されるように、確率決定テーブルは前回の演奏日時からの経過日時に対応した確率修正値によって構成されている。また、確率テーブルとは別途、基準値が設けられている。各楽曲の初回演奏時には、波形読出確率として、この基準値(通常1:40%、通常2:40%、ミス:20%)が利用される。前回からの経過日時に基づいて、この基準値を変動させることで、波形読出確率が決定されることとなる。
【0067】
図13に示されるように、ある楽曲について2010年10月22日に初回選択が行われた場合、このときの演奏には、前述の基準値が使用される。次に演奏されたとき(2011年6月1日)には、経過日時が、6ヶ月〜1年に該当するため、確率決定テーブルにて確率修正値+10%が選択される。この確率修正値にて波形種別「ミス」の波形読出確率が修正される。一方、波形種別「通常1」、「通常2」については、残る確率値を均等割することで波形読出確率が割り当てられる。このように、前回選択(歌唱)したときからの期間が長いと考えられる場合には、波形種別「ミス」の波形読出確率を増加させることで、自動演奏を劣化させることとしている。
【0068】
次に2011年6月4日に当該楽曲が選択された場合、前回からの経過日時が1週間以内であることが分かる。この場合、確率決定テーブルにて−2%が選択されることとなり、前回の波形種類「ミス」の波形読出確率30%から2%差し引かれることとなる。したがって、「ミス」の波形読出確率は28%となる。「通常1」、「通常2」については残る確率値が均等割される。このように、前回からの経過日時によって、波形読出確率を動的に変化させることとしてもよい。このような形態の場合、楽曲履歴テーブルに記憶される各楽曲の歌唱日時の履歴に基づいて、楽曲選択が行われる度に算出することとしてもよいし、ユーザー情報中に各楽曲について波形読出確率を記憶しておくこととしてもよい。
【0069】
以上、本実施形態の楽曲演奏装置について説明したが、本実施形態では、各ユーザーが選択した楽曲の楽曲履歴情報に基づいて、波形種類「ミス」の波形読出確率を調整することで、各ユーザーが選択した楽曲の歌唱経験に基づく自動演奏を行うことが可能となる。なお、本実施形態ではユーザー情報に含まれる楽曲履歴情報を用いることで、各ユーザーが選択した楽曲について、歌唱経験が推定されることとしているが、楽曲履歴情報は、楽曲演奏装置単位で記憶しておくこととしてもよい。例えば、個人が所有するキーボードなど、自動演奏機能を有する楽曲演奏装置に採用することで、各個人の利用に応じて、自動演奏も上達する楽曲演奏装置を実現することが可能となる。
【0070】
次に、発明の他の実施形態について、図14、図15を用いて説明する。図3で説明したように本実施形態では、ユーザーの登録に基づいて作成されるマイうたテーブルに基づ
いて選曲を行うことを可能としている。楽曲のマイうたテーブルの登録は、図6の楽曲確認画面中、楽曲名の欄、右側に表示されている「マイうた登録」ボタンを操作することで行うことが可能である。本実施形態では、登録時に設定されている音程、速度などの演奏設定も合わせて登録される。
【0071】
図14は、本発明の実施形態に係るマイうた選曲画面を示す図であって、ログインしたアクティブユーザーは、このマイうた選曲画面を呼び出すことで、事前に登録した楽曲を簡易な容易に予約することができる。この画面中に表示される楽曲を選択することで、図6の楽曲確認画面に移行し予約が実行される。このマイうた選曲画面に表示されるように、各楽曲には演奏時の音程、速度が合わせて登録されており、ユーザーは自分の好みの演奏形態にて演奏させることが可能である。
【0072】
本実施形態では、このように事前登録されたマイうたテーブルを利用して楽曲の演奏を行う際、マイうたテーブルに登録している各種調整値(音程調整情値、速度調整値)を利用して歌う場合と、登録している調整値を変更して歌う場合とで、演奏形態を異ならせている。具体的には、登録している音程調整値を変更していう歌唱する場合、その音程で歌唱することに慣れていないことが推定される。そのため、音程を変更(上下どちら側に変更する場合についても)した場合、波形種類「ミス」の波形ファイルの読出確率を増加させることで、慣れていない歌唱にあった演奏形態とすることが可能となる。また、速度が変更された場合については、次の変更形態が考えられる。速度を速くする場合、歌唱が困難となることが推測される。そのため、速度が登録されているものよりも早くなるように調整された場合、波形種類「ミス」の波形ファイルの読出確率を増加させて、歌唱に見合った演奏形態に調整される。一方、速度が遅くなるように調整された場合には、波形種類「ミス」の波形ファイルの読出確率を減少させることで、容易な歌唱に見合った演奏形態に調整することが考えられる。
【0073】
図15は、このような実施形態についての楽曲演奏処理を示したフロー図である。図8で説明した楽曲演奏処理のフロー図と同様であるが、ここでは、アクティブユーザーによって予約された場合のみを想定して記述している。予約情報が読み出され(S501)、予約情報に含まれるユーザーIDに基づいてユーザー情報が読み出されると、全実施形態と同様、ユーザ情報に含まれる楽曲履歴テーブル(楽曲履歴情報)に基づいて、波形読出確率が決定される(S503)。S504では、これから演奏する楽曲が、当該ユーザーのマイうたテーブルに登録されている楽曲か否かが判定される。登録されている楽曲の場合(S504:Yes)には、登録されている各種調整値と、予約時の各種調整値の比較が行われ、登録済みの調整値と異なる場合(S505:Yes)には、前述したような演奏形態の調整(波形読出確率の調整)が実行される(S506)。一方、マイうたテーブルに登録されて以内楽曲である場合(S504:No)や、マイうたテーブルに登録済みの調整値と同じ場合(S505:No)には、波形読出確率を調整することなく、楽曲の演奏が実行される。
【0074】
さらに本実施形態では、演奏中における音程、速度の変更にも対応することが可能とされている。演奏実行中(S507〜S510)において、ユーザーにより音程、速度が調整された場合(S508:Yes)には、演奏形態の調整(波形読出確率の調整)が実行されることとなる。このときも、前述の場合と同様、音程が変更されたとき、あるいは、速度が速くなるように変更されたときには演奏ミスが多い演奏形態に、また、速度が遅くなるように変更されたときには演奏ミスが少なくなる演奏形態に調整されることとなる。
【0075】
以上、コマンダ2(カラオケ装置)を楽曲演奏装置として利用した場合の実施形態について説明したが、歌唱のみならずユーザーが行う楽器演奏に対しても適用することができる。現在、カラオケ装置をギター、キーボードなどの外部楽器演奏を、カラオケ装置で行
うことが検討されている。ユーザーは店舗に用意された外部楽器、あるいは、自分で用意した外部楽器をコマンダ2に接続して、自動演奏に合わせて演奏することが可能となる。図1にも示されているように、コマンダ2に外部楽器44bが接続された場合には、演奏情報に基づく自動演奏と一緒に、スピーカーから外部楽器音が放音されることとなる。外部楽器としては、演奏音を出力する形態の他、MIDI楽器を用いて音響制御部70内の音源を鳴らすようにしてもよい。また、アコースティック楽器を使用する場合には、コマンダ2に接続することなく、アコースティック楽器から放音させることも考えられる。
【0076】
このようにコマンダで外部楽器をして演奏する場合、予約時に使用する外部楽器を選択して、当該外部楽器の発音パートの音量を抑える、あるいは、消音するなどすることでマイナスワン演奏を行うことも可能となる。図16は、本発明の他の実施形態にかかる楽曲確認画面を示す図であって、この画面では予約時に使用する外部楽器を選択することが可能である。外部楽器を使用して演奏を行うユーザーは、「外部楽器利用」欄の右下に表示される「設定」ボタンを操作することで、外部楽器の演奏パートを設定することができる。
【0077】
このように外部楽器の演奏パートが設定されて予約が実行されたときの予約情報のデータ構成を図17に示す。この予約情報には、従前の予約情報に加えて、外部楽器使用フラグ、外部楽器種別情報が含まれて構成されている。この予約情報に基づいて演奏する場合、楽器演奏種別情報の楽器パートを消音(あるいは、演奏しない)、あるいは、音量を抑えて演奏することで、マイナスワン演奏が実現できる。また、ユーザー情報中の履歴テーブルには、各楽曲についてどの外部楽器が使用されたかの履歴をとることが可能となる。図18、履歴テーブルのデータ構成を示す図であって、各楽曲に対応づけて、使用した外部楽器種別情報記録されている。
【0078】
同じ楽曲を演奏する場合において、ユーザーは異なる演奏パート(外部楽器種別)を指定することが考えられる。そのため、この外部楽器を利用可能とする楽曲演奏装置においては、各楽曲について、指定したパート毎の演奏履歴情報に基づいて、波形種類「ミス」の波形ファイルの読出確率を調整することとしている。例えば、ある楽曲について、エレキギター1の演奏パートを数十回演奏した場合であっても、ベースの演奏パートを初めて指定して演奏が行われた場合には、ミスの多い演奏形態で演奏されることとなる。
【0079】
以上、各種実施形態について説明したが、楽曲履歴情報に基づく発音形態の修正は、波形種類「ミス」の波形ファイルの読出確率の変更に限ることなく、演奏の巧拙を表現できるものであれば各種形態を採用することができる。例えば、各音の発音タイミングを本来の発音タイミングからずらす、あるいは、発音時の音の強弱を本来のものからずらす、あるいは、発音時の音程を本来のものからずらすなどすることが考えられる。
【0080】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0081】
1…リモコン装置、11…表示部、12…ビデオRAM、13…映像制御部、14…メモリ、15…制御部、16…無線LAN通信部、17…操作部、18…操作処理部、19…赤外線通信部、2…コマンダ(カラオケ装置)、21…操作部、22…操作処理部、23…赤外線通信部、24…インターフェイス部、27…メモリ、28…ビデオRAM、29…映像再生部、30…制御部、31…映像制御部、32…ハードディスク、33…外部機器接続部、41…モニタ、42…スピーカー、44a…歌唱用マイク、44b…外部楽器、100…LAN、110…アクセスポイント、120…ルータ、5…カラオケ用ホスト、51…記憶部、70…音響制御部、101…ユーザー切替スイッチ、102…ゲストア
イコン、103…ログインユーザー欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲の演奏情報に基づいて演奏を実行する演奏手段と、
楽曲履歴読出処理と、修正演奏処理と、楽曲履歴更新処理とを実行する制御手段を備え、
前記楽曲履歴読出処理は、指定された楽曲の演奏回数、または、演奏日時の少なくとも一方を記憶した楽曲履歴情報を読み出し、
前記修正演奏処理は、読み出された前記楽曲履歴情報に基づいて、発音形態に修正を加えて前記楽曲の演奏情報の演奏を実行し、
前記楽曲履歴更新処理は、前記楽曲の演奏に基づいて前記楽曲履歴情報を更新することを特徴とする
楽曲演奏装置。
【請求項2】
前記制御手段は、ユーザーをログインさせ、ユーザー毎の前記楽曲履歴情報を取得するログイン処理を実行し、
前記楽曲履歴読出処理、前記修正演奏処理、前記楽曲履歴更新処理は、ログインしたユーザー毎に実行されることを特徴とする
請求項1に記載の楽曲演奏装置。
【請求項3】
前記楽曲履歴情報は、楽曲が演奏された回数であり、
前記修正演奏処理は、楽曲の演奏回数が少ないほど、修正を加える音の割合を大きくすることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の楽曲演奏装置。
【請求項4】
前記楽曲履歴情報は、演奏日時であり、
前記修正演奏処理は、前回の演奏日時からの経過期間が長くなるほど、修正を加える音の割合を大きくすることを特徴とする
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の楽曲演奏装置。
【請求項5】
前記修正演奏処理にて実行される発音形態の修正は、音に対応して読み出される波形情報の変更であることを特徴とする
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の楽曲演奏装置。
【請求項6】
前記修正演奏処理にて実行される発音形態の修正は、発音タイミング、強弱、音程の少なくとも1つであることを特徴とする
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の楽曲演奏装置。
【請求項7】
前記制御手段は、音量を下げて演奏するパート、あるいは、演奏しないパートを指定するパート指定処理を実行可能とし、
前記楽曲履歴読出処理、前記修正演奏処理は、パート指定処理で指定されたパート毎に実行されることを特徴とする
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の楽曲演奏装置。
【請求項8】
前記制御手段は、登録楽曲指定処理を実行可能とし、
前記登録楽曲指定処理は、演奏音程、あるいは、演奏速度の少なくとも一方が対応づけられて登録された楽曲を指定可能とし、
前記修正演奏処理は、登録楽曲指定処理で指定された楽曲が、登録されている演奏音程、あるいは、演奏速度と異なって演奏される場合、修正を加える発音形態の割合を変更することを特徴とする
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の楽曲演奏装置。
【請求項9】
指定された楽曲の演奏回数、または、演奏日時の少なくとも一方を記憶した楽曲履歴情報を読み出す楽曲履歴読出処理と、
読み出された前記楽曲履歴情報に基づいて、発音形態に修正を加えて演奏情報を演奏手段に演奏させる修正演奏処理と、
前記楽曲の演奏に基づいて前記楽曲履歴情報を更新する楽曲履歴更新処理と、をコンピューターに実行させることを特徴とする
楽曲演奏用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図7】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−29742(P2013−29742A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166891(P2011−166891)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】