説明

構内交換機

【課題】局線の着信、仮想局線番号または仮想内線番号着信時に、それらに対して指定した個別着信グループ内の複数内線端末を同時に呼び出す際、個別着信グループ内の通話中内線端末に次の着信があることを音(トーン)またはLCD表示にて通知する。
【解決手段】構内交換機の記憶装置131に図2の内線管理データに個別着信グループ毎のコ−ルウェイティング有無を登録しておく。構内交換機は個別着信時、コールウェイティング有無を判断し、有の場合は個別着信グループ内の通話中全内線端末に対してコールウェイティングサービスを行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構内交換機に係り、特に個別着信時、個別着信グループ内の複数内線端末を同時に呼び出すことができる構内交換機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
個別着信は、局線の着信、仮想局線番号または仮想内線番号着信時に、それらに対して指定した個別着信グループ内の複数内線端末を同時に呼び出し、着信先内線端末のオフフックにより応答できる。
【0003】
着信先内線端末が応答すると、局線、仮想局線または仮想内線は空き状態となり、次の着信を受け付けることができる。
【0004】
このとき、個別着信グループ内の複数内線端末全てが通話中であった場合、局線、仮想局線または仮想内線に着信はするが、応答する内線端末がないため着信待ち合わせとしている。しかし、個別着信グループ内の通話中内線端末は着信待ち合わせをしていることに気づかない。
【0005】
特許文献1は、1端末に対するコールウェイティングを開示する。特許文献1のコールウェイティングは、通話中以外の発呼中、ダイヤル中および呼出中にも対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−270855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、個別着信時、個別着信グループ内の複数内線端末が通話中の場合、次の個別着信の着信待ち合わせをしていることに気づかない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、個別着信グループ内の複数の内線端末が通話中に、新たな個別着信があった場合、通話中の内線端末に音(トーン)またはLCD(Liquid Crystal Display)部に新たな個別着信を通知し、コールウェイティング操作を行なうことにより、通話中の呼を一時保留または切断し、新たな着信呼に応答することができる。
【0009】
上述した課題は、内部バスで接続された中央制御装置と記憶装置と通話路スイッチと、この通話路スイッチに接続された局線トランクと内線とランクとを有する構内交換機において、記憶装置は、複数の個別着信グループに同一の内線番号を重複して登録された個別着信データを保持し、中央制御装置は、個別着信番号に着呼したとき、当該個別着信グループに属する内線端末に着信トーンまたは表示情報を送信する構内交換機により、解決できる。
【0010】
また、内部バスで接続された中央制御装置と記憶装置と通話路スイッチと、この通話路スイッチに接続された局線トランクと内線とランクとを有する構内交換機において、記憶装置は、複数の個別着信グループに同一の内線番号を重複して登録された個別着信データを保持し、中央制御装置は、個別着信番号に着呼したとき、当該個別着信グループに属する内線端末に着信トーンまたは表示情報を送信し、個別着信番号に着信し、しかも当該個別着信グループに属する内線端末がいずれも話中または操作中のとき、話中の内線端末にコールウェイティングトーンまたは第2の表示情報を送信する構内交換機により、解決できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、着信待ち合わせの時間を最小限にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】構内交換機システムのブロック図である。
【図2】記憶装置に格納した内線管理データを説明する図である。
【図3】記憶装置に格納した個別着信グループデータを説明する図である。
【図4】個別着信グループの構成を説明する図である。
【図5】コールウェイティング動作を説明する図(その1)である。
【図6】コールウェイティング動作を説明する図(その2)である。
【図7】コールウェイティング動作を説明する図(その3)である。
【図8】コールウェイティング動作を説明する図(その4)である。
【図9】コールウェイティング動作を説明する図(その5)である。
【図10】コールウェイティング動作を説明する図(その6)である。
【図11】構内交換機の個別着信制御のフローチャートである。
【図12】構内交換機の着信制御のフローチャートである。
【図13】構内交換機の着信待合せ制御のフローチャートである。
【図14】構内交換機のC/W待合せ制御のフローチャートである。
【図15】構内交換機の着信応答制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0014】
図1を参照して、構内交換機の構成を説明する。図1において、構内交換機500は、中央制御装置130と、記憶装置131と、内部バス120と、局線トランク110と、複数の内線トランク111と、通話路スイッチ100とから構成されている。
【0015】
中央制御装置130は、ランダムアクセスメモリ(RAM)を有する記憶装置131と内部バス120で接続されている。中央制御装置130は、記憶装置131に記憶されているプログラムおよびデータに従って交換動作の処理を行なう。
【0016】
局線トランク110は、公衆網300と接続するインタフェース回路である。内線トランク111は、内線端末200(具体的には、多機能電話機)を接続するインタフェース回路である。また、通話路スイッチ100は、局線、内線端末間の通話路を形成し、音声通話を可能とする。
【0017】
図2を参照して、記憶装置131に格納した内線管理データを説明する。図2において、内線管理データ132は、仮想内線番号ごとに、個別着信グループ番号、コールウェイティング有無から構成されている。内線管理データは、発着信に必要なデータを管理している。仮想内線番号は、個別着信に使用する。
【0018】
また、個別着信グループに登録される複数内線データ(たとえば、内線番号、内線端末種別等)も当該データにて管理される。
【0019】
図3を参照して、記憶装置131に格納した個別着信グループデータを説明する。図3において、個別着信グループデータ133は、個別着信グループ毎に、着信させる内線番号を管理している。
【0020】
また、異なる個別着信グループ番号に、着信させる内線番号を重複して登録できる。さらに、内線管理データ、個別着信グループデータは、任意に設定可能なデータである。
【0021】
図4を参照して、個別着信グループの構成を説明する。図4において、図2のデータにて管理される仮想内線1は、個別着信グループ1で、図3のデータ133にて管理される個別着信グループ1に属する内線は、内線A、内線Bである。仮想内線1に着信1が入ると、内線A、内線Bを同時に呼び出すものである。
【0022】
同様に仮想内線2、仮想内線3もそれぞれの個別着信グループ番号、個別着信グループに属する内線で管理され、着信2、着信3によりそれぞれの該当内線を同時に呼び出す。
【0023】
図5ないし図10を参照して、図4の構成におけるコールウェイティング動作を説明する。図5において、内線A〜Cが通話中時に個別着信グループ1の着信1は、個別着信キューに接続される。個別着信グループ1に所属する内線は、図3の個別着信グループデータ133にて内線A、内線Bが管理されている。しかし、内線A、内線Bは、ともに通話中のため着信させることができない。図2の内線管理データで、個別着信グループ1はコールウェイティング無のため、着信待ち合わせ(待)を行なう。その後、内線Bが通話を切断すると内線Bの空きを検出し、図6に示す通り待ち合わせていた着信1を内線Bに着信させる。
【0024】
図7は、図6の状態から、個別着信グループ2の着信2が入った場合である。個別着信グループ2の着信2は、個別着信キューに接続される。個別着信グループ2に所属する内線は、個別着信グループデータ133にて内線B、内線Cが管理されている。しかし、内線Bは、着信1の着信中、内線Cは、通話中であるため着信させることができない。図2の内線管理データで、個別着信グループ2はコールウェイティング有のため、コールウェイティング制御を行なう。内線Bは、着信中のため、通話路が形成されない。従ってコールウェイティングを通知するトーンを送出できない。この結果、内線Bは、コールウェイティング待ち状態(C待)となる。
【0025】
内線Cは、通話路が形成されている通話中であるため、コールウェイティングを通知する音(トーン)を送出する(C/W)。このとき、音(トーン)またはLCD表示情報を内線Cに通知することにより、内線Cの使用者は、次の着信があることを認識することができる。内線Bは、着信1に応答することにより、通話路が形成され図8に示す通り、内線Bにもコールウェイティングを示す音(トーン)またはLCD表示情報にて通知する(C/W)。このため、内線Bの使用者も次の着信があることを認識する。
【0026】
図9は、さらに個別着信グループ3に着信3が入った状態である。個別着信グループ3の着信3は、個別着信キューに接続される。個別着信グループ3に所属する内線は、内線A、内線B、内線Cである。しかし、全ての内線が通話中である。この場合、個別着信キューには、着信2の後に着信3が接続される。着信2は、内線B、内線Cに対して既にコールウェイティングを行なっているため、着信3の内線B、内線Cは、コールウェイティング待ち状態(C待)とし、着信2を優先させる。
【0027】
一方、内線Aは、着信2に含まれないため、着信3のコールウェイティングを通知する(C/W)。内線Aの使用者は、コールウェイティングを示す音(トーン)またはLCD表示情報にて新たな着信を認識する。内線Aは、コールウェイティング応答することにより、通話者を一次保留し、着信3に応答することができる。内線Aは、着信3との通話後、前通話者の一次保留を解除し、前通話者との通話に戻ることも可能である。また、内線Aは、通話者を切断し、コールウェイティング応答することも可能である。
【0028】
図10を参照して、図9において内線Aが着信3に応答した後の状態を説明する。図10において、内線Aが着信3に応答したことにより、着信3は、個別着信キューから解放され、内線B、内線Cに対する着信3のコールウェイティング待ちは解除される。
【0029】
図11を参照して、構内交換機の個別着信制御を説明する。図11において、構内交換機500は、着信があると個別着信キューに接続する(S11)。構内交換機500は、個別着信グループ内の対象内線の話中をチェックする(S12)。構内交換機500は、全ての対象内線が話中か判定する(S13)。全て話中のとき、構内交換機500は、対象個別着信グループのコールウェイティング(C/W)設定を確認する(S14)。構内交換機500は、C/W有りか判定する(S16)。C/W有のとき、構内交換機500は、個別着信キュー内の着信中内線をチェックする(S17)。構内交換機500は、前のキューに同一内線があるか判定する(S18)。同一内線が無いとき、構内交換機500は、対象内線にC/WトーンおよびLCD情報を送出して(S19)、終了する。ステップ13で全て話中でないとき、構内交換機500は、話中でない内線に着信制御して(S20)、終了する。ステップ16でC/Wの設定がないとき、構内交換機500は、着信待合せ制御に遷移して(S30)、終了する。ステップ18で前キューに同一内線があるとき、構内交換機500は、C/W待合せ制御に遷移して(S40)、終了する。なお、構内交換機500は、終了後、着信応答制御に遷移する。
【0030】
図12を参照して、構内交換機の着信制御を説明する。図12において、構内交換機500は、着信トーンおよびLCD情報送出対象内線をチェックする(S21)。構内交換機500は、着信制御可能か判定する(S22)。可能なとき、構内交換機500は、対象内線に着信トーンとLCD情報を送出して(S23)、リターンする。ステップ22で不可のとき、構内交換機500は、ステップ23をジャンプして、リターンする。
【0031】
図13を参照して、構内交換機の着信待合せ制御を説明する。図13において、構内交換機500は、着信可能対象内線の状態をチェックする(S31)。構内交換機500は、着信制御が可能か判定する(S32)。可能なとき、構内交換機500は、リターンする。ステップ32で不可のとき、構内交換機500は、ステップ31に遷移する。
【0032】
図14を参照して、構内交換機のCW待合せ制御を説明する。図14において、構内交換機500は、C/W可能対象内線の状態をチェックする(S41)。構内交換機500は、C/W制御可能か判定する(S42)。可能なとき、構内交換機500は、対象内線にC/WトーンおよびLCD情報を送信して(S43)、リターンする。ステップ42で不可のとき、構内交換機500は、ステップ41に遷移する。
【0033】
図15を参照して、構内交換機の着信応答制御を説明する。図15において、構内交換機500は、個別着信キューを解放する(S51)。構内交換機500は、トーンおよびLCD情報を解除する(S52)。構内交換機500は、通話路を制御する(S53)。構内交換機500は、着信およびC/W待合せをチェックする(S54)。構内交換機500は、待合せがあるか判定する(S56)。待合せがあるとき、構内交換機500は、対象個別着信グループのC/W設定を確認する(S57)。構内交換機500は、C/Wありか判定する(S58)。C/Wありのとき、構内交換機500は、C/W復活対象内線をチェックする(S59)。構内交換機500は、C/W復活が必要か判定する(S61)。必要なとき、構内交換機500は、対象内線にC/WトーンおよびLCD情報を送出して(S62)、終了する。ステップ56で待合せがないとき、構内交換機500は、着信制御して(S20)、終了する。ステップ58でC/Wの設定がないとき、構内交換機500は、着信待合せ制御に遷移して(S30)、終了する。ステップ61復活が不要なとき、構内交換機500は、C/W待合せ制御に遷移して(S40)、終了する。
【0034】
上述した実施例により、個別着信グループごとに着信時のコールウェイティング有無を選択でき、コールウェイティング有の場合は、個別着信グループ内の内線端末に音(トーン)、電話機にLCDがある場合はLCD表示部に新規着信があることを表示することができる個別着信機能を実現した。
【0035】
また、1台の内線端末を複数の個別着信グループに所属させることにより、複数の個別着信を1台の電話機で応答できる個別着信機能を実現した。
【符号の説明】
【0036】
100…通話路スイッチ、110…局線トランク、111…内線トランク、120…、…内部バス、130…中央制御装置(CPU)、131…主メモリ、132…内線管理データ、133…個別着信グループデータ、200…内線端末、500…構内交換機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部バスで接続された中央制御装置と記憶装置と通話路スイッチと、この通話路スイッチに接続された局線トランクと内線とランクとを有する構内交換機において、
前記記憶装置は、複数の個別着信グループに同一の内線番号を重複して登録された個別着信データを保持し、
前記中央制御装置は、個別着信番号に着呼したとき、当該個別着信グループに属する内線端末に着信トーンまたは表示情報を送信することを特徴とする構内交換機。
【請求項2】
内部バスで接続された中央制御装置と記憶装置と通話路スイッチと、この通話路スイッチに接続された局線トランクと内線とランクとを有する構内交換機において、
前記記憶装置は、複数の個別着信グループに同一の内線番号を重複して登録された個別着信データを保持し、
前記中央制御装置は、個別着信番号に着呼したとき、当該個別着信グループに属する内線端末に着信トーンまたは表示情報を送信し、
前記個別着信番号に着信し、しかも当該個別着信グループに属する内線端末がいずれも話中または操作中のとき、話中の前記内線端末にコールウェイティングトーンまたは第2の表示情報を送信することを特徴とする構内交換機。
【請求項3】
請求項2に記載の構内交換機であって、
前記個別着信番号に着信し、しかも当該個別着信グループに属する内線端末がいずれも話中または操作中のとき、第1の内線端末が操作中から話中に切り替わったとき、当該第1の内線端末へのコールウェイティングトーンまたは第2の表示情報の送信を開始することを特徴とする構内交換機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−84992(P2012−84992A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227621(P2010−227621)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】