説明

構造物の強化構造

【課題】 強化シートの先端部分の形状を工夫することで、耐久性を向上させることができる、構造物の強化構造を提供する。
【解決手段】 強化シート2は、複数枚が積層されて、それらの定着部2a、2aが、引っ張り応力の作用方向Pにずれるようにして、構造物1に貼り付けられる。そして、強化シート2の端部部分の、構造物1へ貼り付けられた定着部2aにおける先端ライン2bの形状は、前記作用方向Pに対して傾斜して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、強化シートによる構造物の強化構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、土木建築の構造物を強化するために、構造物に繊維シートからなる強化シートを緊張して貼り付けることが行なわれていた(例えば、特許文献1参照)。この強化構造においては、図10に示されるように、緊張した複数枚の強化シート12、12が、積層されるようにして構造物11に貼り付けられた。そして、これら複数枚の強化シート12、12の貼り付けにあたっては、その貼り付けのための接着層のせん断応力を分散させて強化シート12、12の剥がれを防止するために、それら強化シート12、12の端部が段状となるよう、順にずれて貼り付けられた。
【0003】
【特許文献1】特開2002−357001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の強化構造にあっては、強化シート12、12の剥がれを防止して強化構造の耐久性を向上させるために、複数枚の強化シート12、12を構造物11に段状に貼り付けて接着層のせん断応力を分散させるというように、強化シート12、12の積層方向に対して工夫されているものの、強化シート12、12の幅方向に対しては、何ら工夫がなされていなかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、強化シートの先端部分の形状を工夫することで、耐久性を向上させることができる、構造物の強化構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る構造物の強化構造は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る構造物の強化構造は、構造物に強化シートを貼り付けてなる、構造物の強化構造であって、前記構造物が受ける荷重によって、その構造物の、前記強化シートが貼り付けられた貼付面に沿って生じる、引っ張り応力の作用方向側の、前記強化シートの端部部分にある、前記構造物へ貼り付けられた定着部における先端ラインの形状が、前記作用方向に対して傾斜して形成されている、または、前記作用方向に対して傾斜する方向に沿って、階段状に形成されている。
【0007】
このように、構造物に貼り付けられる強化シートの定着部における先端ラインの形状を、引っ張り応力の作用方向に対して傾斜して形成したり、その作用方向に対して傾斜する方向に沿って階段状に形成することで、定着部の先端ラインの長さが長くなる。そして、このように、強化シートの定着部の先端ラインの長さが長くなることで、この先端部分における、構造物との貼り付けのための接着層のせん断応力が分散し、その結果、この接着層の最大せん断応力が低下する。したがって、強化シートが構造物から剥がれ難くなり、この強化構造の耐久性が向上する。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る構造物の強化構造は、請求項1に記載の強化構造において、前記強化シートは、複数枚が積層されるとともに、それらの定着部が前記作用方向にずれるようにして前記構造物に貼り付けられている。こうして、構造物に、複数枚の強化シートを、それらの定着部を引っ張り応力の作用方向にずれるようにして貼り付けることで、貼り付けのための接着層のせん断応力が、作用方向に分散する。そして、このように、接着層のせん断応力が分散することで、この接着層の最大せん断応力が低下して、強化シートが構造物から一層剥がれ難くなり、この強化構造の耐久性が一層向上する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る構造物の強化構造は、請求項1または2に記載の強化構造において、前記構造物と前記強化シートの定着部との間には、前もって前記定着部の先端を越えるようにして前記構造物に貼り付けられる、先貼りシートが介在する。こうして、構造物と強化シートの定着部との間に先貼りシートを介在させることで、貼り付けのための接着層のせん断応力が、定着部の先端を越えて分散する。そして、このように、接着層のせん断応力が分散することで、この接着層の最大せん断応力が低下して、強化シートが構造物から一層剥がれ難くなり、この強化構造の耐久性が一層向上する。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る構造物の強化構造は、請求項3に記載の強化構造において、前記先貼りシートは、複数枚が積層され、それら先貼りシートは、繊維が一方向に引き揃えられた繊維シートからなるとともに、それらの繊維の方向が、前記作用方向に対して互いに逆側に傾斜する。このように、先貼りシートの繊維の方向を、引っ張り応力の作用方向に対して互いに逆側に傾斜させることで、その傾斜する斜め方向に接着層のせん断応力が分散する。このため、接着層のせん断応力をより広い範囲に分散させることができ、その結果、この接着層の最大せん断応力を一層低下させることができる。したがって、強化シートが構造物からより一層剥がれ難くなり、この強化構造の耐久性がより一層向上する。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る構造物の強化構造は、請求項3または4に記載の強化構造において、前記構造物には、前記先貼りシートおよび前記強化シートの定着部を覆うようにして、アンカーシートが貼り付けられており、そのアンカーシートは、繊維が一方向に引き揃えられた繊維シートからなるとともに、その繊維の方向が、前記作用方向と直交する方向を向く。このように、アンカーシートを貼り付けることで、強化シートが構造物からより一層剥がれ難くなり、この強化構造の耐久性がさらに向上する。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る構造物の強化構造は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の強化構造において、前記強化シートは、前記構造物に、緊張して貼り付けられ、その緊張方向が、前記作用方向を向く。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る構造物の強化構造は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の強化構造において、前記強化シートは、前記構造物に、緊張することなく貼り付けられる。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る構造物の強化構造によれば、強化シートの定着部の先端ラインの形状を、引っ張り応力の作用方向に対して傾斜して形成したり、その作用方向に対して傾斜する方向に沿って階段状に形成するというように、強化シートの先端部分の形状を工夫することで、その先端部分での接着層の最大せん断応力を低下させることができ、この強化構造の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明に係る構造物の強化構造を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1ないし図6は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、強化の対象となる、構造物、例えば橋の桁等の土木・建築構造物である。2は、前記構造物1を強化するための強化シートである。3は、構造物1の強化構造であって、前記構造物1に前記強化シート2を張り付けてなる。
【0017】
この強化構造3は、構造物1が受ける荷重によって、その構造物1の、強化シート2が貼り付けられた貼付面(図示実施の形態においては、底面1a)に沿って生じる、引っ張り応力の作用方向P側の、強化シート2の端部部分にある、構造物1へ貼り付けられた定着部2aにおける先端ライン2bの形状が、前記作用方向Pに対して傾斜して形成されている。ここで、強化シート2は、繊維が一方向に引き揃えられた繊維シート、例えば、炭素繊維シート、アラミド繊維シート、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維シート等の繊維シート、特に連続繊維シートであって、合成樹脂を含浸していない無含浸の繊維シートからなる。そして、この強化シート2は、その繊維の方向が前記作用方向Pを向くようにして、構造物1に貼り付けられる。図示実施の形態においては、強化シート2は、複数枚が積層されるとともに、それらの定着部2a、2aが前記作用方向Pにずれるようにして、構造物1に貼り付けられる。
【0018】
また、構造物1と強化シート2の定着部2aとの間には、前もって定着部2aの先端を越えるようにして構造物1に貼り付けられる、先貼りシート4が介在する。この先貼りシート4は、強化シート2と同様に、繊維が一方向に引き揃えられた繊維シート、例えば、炭素繊維シート、アラミド繊維シート、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維シート等の繊維シート、特に連続繊維シートであって、合成樹脂を含浸していない無含浸の繊維シートからなる。そして、この先貼りシート4は、複数枚が積層され、それらの繊維の方向が、前記作用方向Pに対して互いに逆側に傾斜している。
【0019】
さらに、構造物1には、先貼りシート4および強化シート2の定着部2aを覆うようにして、アンカーシート5が貼り付けられる。このアンカーシート5は、強化シート2と同様に、繊維が一方向に引き揃えられた繊維シート、例えば、炭素繊維シート、アラミド繊維シート、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維シート等の繊維シート、特に連続繊維シートであって、合成樹脂を含浸していない無含浸の繊維シートからなる。そして、このアンカーシート5は、その繊維の方向が、前記作用方向Pと直交する方向を向いている。
【0020】
次に、強化構造3の施工手順について説明する。始めに、図1に示すように、先貼りシート4を、前記作用方向Pの両側における、構造物1の底面1aから両側面1b、1bに渡って、エポキシ樹脂等の含浸樹脂等からなる接着材を用いて貼り付ける(樹脂含浸接着する)。詳細には、先貼りシート4は、二層に積層され、一層目の先貼りシートとなる第1先貼りシート401と二層目の先貼りシートとなる第2先貼りシート402とが、それらの繊維の方向が、前記作用方向Pに対して互いに逆側に傾斜する(図示実施の形態においては、45°方向に傾斜する)ようにして貼り付けられる。ここで、第1先貼りシート401と第2先貼りシート402とは、その貼り付け部位に対して幅狭となっているため、それぞれが、複数枚幅方向に並べられる。
【0021】
その後、図2に示すように、強化シート2を、その繊維の方向が前記作用方向を向くようにして、構造物1の両側に位置する先貼りシート4、4に渡るように、エポキシ樹脂等の含浸樹脂等からなる接着材を用いて貼り付ける(樹脂含浸接着する)。ここで、強化シート2の定着部2aにおける先端ライン2bの形状を、前記作用方向Pに対して傾斜して形成する。詳細には、強化シート2の先端ライン2bの形状は、幅の中央が突出するようにして、その両側が前記作用方向Pに対して、例えば約15度傾斜して形成されている。また、強化シート2は、二層に積層され、一層目の強化シートとなる第1強化シート201と二層目の強化シートとなる第2強化シート202とが、それらの定着部2a、2aが前記作用方向Pにずれるようにして、構造物1の貼付面となる底面1aに貼り付けられる。図示実施の形態においては、第2強化シート202の定着部2aが、第1強化シート201の定着部2aよりも中央側にずれることで、第1強化シート201(内層)の定着部2aが、第2強化シート202(外層)の定着部2aよりも、前記作用方向Pに延出している。
【0022】
次いで、図3に示すように、補助シート6を、前記強化シート2、2の定着部2a、2aの上に、エポキシ樹脂等の含浸樹脂等からなる接着材を用いて貼り付ける(樹脂含浸接着する)。この補助シート6は、強化シート2と同様に、繊維が一方向に引き揃えられた繊維シート、例えば、炭素繊維シート、アラミド繊維シート、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維シート等の繊維シート、特に連続繊維シートであって、合成樹脂を含浸していない無含浸の繊維シートからなる。そこで、この補助シート6は、その繊維の方向が、前記作用方向Pと一致する向きとなっている。
【0023】
その後に、図4に示すように、アンカーシート5、5を、補助シート6の上から、先貼りシート4、4および強化シート2、2の定着部2a、2aを覆うように、構造物1の底面1aから両側面1b、1bに渡って、エポキシ樹脂等の含浸樹脂等からなる接着材を用いて貼り付ける(樹脂含浸接着する)。こうして、強化構造3が完成するが、必要に応じて、全体にトップコートを施す。
【0024】
この強化構造3によると、構造物1に強化シート2を貼り付け、その強化シート2の定着部2aにおける先端ライン2bの形状を、引っ張り応力の作用方向Pに対して傾斜して形成することで、この定着部2aの先端ライン2bの長さが長くなる。そして、このように、強化シート2の定着部2aの先端ライン2bの長さが長くなることで、この先端部分における、構造物1との貼り付けのための接着層のせん断応力が分散し、その結果、この接着層の最大せん断応力が低下する。こうして、強化シート2の定着部2aの先端ライン2bの形状を、引っ張り応力の作用方向Pに対して傾斜して形成するというように、強化シート2の先端部分の形状を工夫することで、その先端部分での接着層の最大せん断応力を低下させて、強化シート2を構造物1から剥がれ難くすることができ、この強化構造3の耐久性を向上させることができる。
【0025】
また、構造物1に、複数枚(図示実施の形態においては、2枚)の強化シート2、2を、それらの定着部2a、2aを前記作用方向Pにずれるようにして貼り付けることで、貼り付けのための接着層のせん断応力が、前記作用方向Pに分散する。そして、このように、接着層のせん断応力が分散することで、この接着層の最大せん断応力が低下して、強化シート2が構造物1から一層剥がれ難くなり、この強化構造3の耐久性が一層向上する。さらに、構造物1と強化シート2の定着部2aとの間に先貼りシート4を介在させることで、貼り付けのための接着層のせん断応力が、定着部2aの先端を越えて分散する。そして、このように、接着層のせん断応力が分散することで、この接着層の最大せん断応力が低下して、強化シート2が構造物1から一層剥がれ難くなり、この強化構造3の耐久性が一層向上する。ここで、先貼りシート4を、複数枚を積層(図示実施の形態においては、二層に積層)し、先貼りシート4の繊維の方向を、前記作用方向Pに対して互いに逆側に傾斜させることで、その傾斜する斜め方向に接着層のせん断応力が分散する。このため、接着層のせん断応力をより広い範囲に分散させることができ、その結果、この接着層の最大せん断応力を一層低下させることができる。したがって、強化シート2が構造物1からより一層剥がれ難くなり、この強化構造3の耐久性がより一層向上する。また、構造物1に補助シート6とかアンカーシート5を貼り付けることで、強化シート2が構造物1からより一層剥がれ難くなり、この強化構造3の耐久性がさらに向上する。
【0026】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、構造物1は、土木・建築構造物としては、橋の桁でなくとも、橋の、床版や橋脚や橋台等であってもよく、また、橋以外の、柱や梁等であってもよい。また、構造物1は、コンクリート構造物(鉄筋コンクリート構造物とかプレストレストコンクリート構造物等)の他に、鉄製等であってもよく、コンクリート製の構造物に限定されるものではない。
【0027】
また、強化シート2は、既存の構造物1に、事後的に、すなわち補強とか補修目的で貼り付けられてもよいが、他に、構造物1の新設の際に貼り付けられても構わない。
【0028】
また、強化シート2の端部部分の、構造物1へ貼り付けられた定着部2aにおける先端ライン2bの形状は、幅の中央が突出しなくとも、図7に示すように、幅の一方端が突出してもよく、また、図8に示すように、幅の2ヶ所等、複数ヶ所が突出してもよい。また、強化シート2の定着部2aにおける先端ライン2bの形状は、引っ張り応力の作用方向Pに対して傾斜して形成されなくとも、定着部2aの先端ライン2bの長さを長くするために、例えば図9に示すように、前記作用方向Pに対して傾斜する方向に沿って、階段状に形成されても構わない。
【0029】
また、強化構造3において、強化シート2は、2枚が積層されるが、3枚以上が積層されてもよい。また、強化シート2、2を積層するにあたって、それらの定着部2a、2aが前記作用方向Pにずれているが、必ずしもずれなくともよい。さらに、強化シート2は、複数枚が積層されなくとも、1枚のみ用いられても構わない。
【0030】
また、先貼りシート4、強化シート2、補助シート6、アンカーシート5は、合成樹脂を含浸していない無含浸の繊維シートからならなくとも、予め合成樹脂を含浸させた繊維シートからなっていてもよく、また、繊維シート以外のシートであってもよい。
【0031】
また、強化構造3を形成するにあたって、先貼りシート4とか補助シート6とかアンカーシート5は、必ずしも用いなくともよい。
【0032】
また、強化シート2は、構造物1に、そのまま、すなわち緊張することなく貼り付けられてもよいが、他に、緊張して貼り付けられてもよい。ここで、構造物1に強化シート2を緊張して貼り付ける場合には、その緊張方向が、前記作用方向Pを向くようにする。そして、このように、構造物1に強化シート2を緊張して貼り付けることにより、構造物1自身の強度に強化シート2自身の強度が加わるだけでなく、構造物1に圧縮応力(プレストレス)が付与されて、この構造物1の、引っ張りとか曲げに対する耐力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の一実施の形態の、先貼りシートを構造物に貼り付けた状態を示す底面図である。
【図2】同じく、強化シートを構造物に貼り付けた状態を示す底面図である。
【図3】同じく、補助シートを構造物に貼り付けた状態を示す底面図である。
【図4】同じく、アンカーシートを構造物に貼り付けた状態を示す底面図である。
【図5】同じく、図4におけるA−A線による断面の模式図である。
【図6】同じく、強化構造の斜視図である。
【図7】この発明の第一変形例を示す、図2相当図である。
【図8】この発明の第二変形例を示す、図2相当図である。
【図9】この発明の第三変形例を示す、図2相当図である。
【図10】従来の強化構造を示す正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 構造物
2 強化シート
2a 定着部
2b 先端ライン
201 第1強化シート(強化シート)
202 第2強化シート(強化シート)
3 強化構造
4 先貼りシート
401 第1先貼りシート(先貼りシート)
402 第2先貼りシート(先貼りシート)
5 アンカーシート
P 作用方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に強化シートを貼り付けてなる、構造物の強化構造であって、
前記構造物が受ける荷重によって、その構造物の、前記強化シートが貼り付けられた貼付面に沿って生じる、引っ張り応力の作用方向側の、前記強化シートの端部部分にある、前記構造物へ貼り付けられた定着部における先端ラインの形状が、前記作用方向に対して傾斜して形成されている、または、前記作用方向に対して傾斜する方向に沿って、階段状に形成されていることを特徴とする、構造物の強化構造。
【請求項2】
前記強化シートは、複数枚が積層されるとともに、それらの定着部が前記作用方向にずれるようにして前記構造物に貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の、構造物の強化構造。
【請求項3】
前記構造物と前記強化シートの定着部との間には、前もって前記定着部の先端を越えるようにして前記構造物に貼り付けられる、先貼りシートが介在することを特徴とする請求項1または2に記載の、構造物の強化構造。
【請求項4】
前記先貼りシートは、複数枚が積層され、それら先貼りシートは、繊維が一方向に引き揃えられた繊維シートからなるとともに、それらの繊維の方向が、前記作用方向に対して互いに逆側に傾斜することを特徴とする請求項3に記載の、構造物の強化構造。
【請求項5】
前記構造物には、前記先貼りシートおよび前記強化シートの定着部を覆うようにして、アンカーシートが貼り付けられており、そのアンカーシートは、繊維が一方向に引き揃えられた繊維シートからなるとともに、その繊維の方向が、前記作用方向と直交する方向を向くことを特徴とする請求項3または4に記載の、構造物の強化構造。
【請求項6】
前記強化シートは、前記構造物に、緊張して貼り付けられ、その緊張方向が、前記作用方向を向くことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の、構造物の強化構造。
【請求項7】
前記強化シートは、前記構造物に、緊張することなく貼り付けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の、構造物の強化構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−308894(P2007−308894A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136683(P2006−136683)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(591121111)株式会社安部日鋼工業 (38)
【Fターム(参考)】