説明

様々な断面形状を有する輪郭面の検査用の可撓性のアレイプローブ

【課題】様々な断面形状を有するテスト片の非破壊のテスト及び検査における使用に適する可撓性のアレイプローブを提供する。
【解決手段】渦電流センサ、圧電センサ要素、及び磁束漏洩センサなどであるがこれに限定されないアレイ要素が、薄い位置合わせ用フィンの上に取り付けられ、所望の回転軸に沿って複数対の枢動機構で共に連結される。枢動機構は、正確に一次元における回転を許し、可撓性のアレイプローブにその要素を、テストされる構造体の表面に対して直角に整列させる。位置合わせ用及び連結用の固定具も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、その開示全体が本明細書に援用される、2007年5月21日出願の「FLEXIBLE ARRAY PROBE FOR THE INSPECTION OF A CONTOURED SURFACE WITH VARYING CROSS-SECTIONAL GEOMETRY」という表題の米国特許仮出願第60/939,171号の利点及び優先権を主張する。
【0002】
本発明は、非破壊のテスト及び検査用のアレイプローブ(array probe)に関し、より詳細には、様々な断面形状の輪郭面を検査するのに適用及び使用可能である、可撓性の渦電流または超音波のアレイプローブ組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書の全体にわたる関連技術のいかなる議論も、そのような技術が当技術分野において広く知られている、または共通の一般知識の一部をなすということを了解するものとは決してみなされるべきではない。
【0004】
本開示における議論の多くは、渦電流アレイプローブについて特に述べるが、この点には限定されない。本発明の可撓性のアレイプローブは、渦電流センサ、圧電センサ要素(超音波変換器及び接合テストプローブ要素などであるが、これらには限定されない)、並びに磁束漏洩センサ(ホール効果センサ要素などであるが、これらには限定されない)の装置などのいかなる表面連結型アレイプローブ(surface coupling array probe)にも適する。
【0005】
渦電流検査は、一般に、管またはビレットなどの製造された構成要素の傷を検出するのに用いられる。一般に渦電流プローブと称される検査コイルが、検査される単片の近くに配置され、高周波の交流電流で作動され、それが次に、テスト片の表面の近くに交流の磁場を発生する。この磁場が、渦電流プローブで検出及び測定されるテスト片の導電性の表面において、渦電流を誘導する。傷または欠陥がテスト片の表面に存在する場合、渦電流の流れが変えられ、この変化が、渦電流プローブによって容易に検出されることになる。こうして、この電流の変化の振幅及び位置が、たとえばテスト作業者による目視検査によって分析され、記録されるか、あるいは欠陥または傷のサイズ及び位置を判定するように、自動化されたアラームアルゴリズムによって処理されることが可能である。渦電流アレイシステムは、特定の検査作業の助けになるようなやり方で配置された複数の検査コイル(または当業者によく知られている他の種類の渦電流センサ)からなる。
【0006】
輪郭面の渦電流検査は、長い間、非破壊のテスト及び検査における難問であった。いくつかの製造工程、たとえばビレット圧延システムは、特定の公差範囲内でのみ規定される断面形状を有する品を生産することがある。テスト面の形状のこの変化によって、渦電流検査の特定の重要な観点が問題になることがある。たとえば、堅固な、可撓性のない渦電流アレイプローブ用いて、一定のリフトオフ(渦電流センサがテスト面より上に置かれる高さ)を維持することは、非常に困難となり得る。同様に、各渦電流センサの軸が、テストされている表面に対して直角に保持されることが重要である。定位置にその要素を保持する渦電流アレイプローブを用いると、様々な形状を有する部品をテストする間、これが達成不可能となり得る。
【0007】
特許文献1は、これらの問題に対処しようと試みる可撓性のプローブ組立体について述べる。特許文献1のアレイプローブは、可撓性のバンドで互いに固定された複数の独立したテストヘッド(それぞれが少なくとも1つのアレイ要素を収容する)を使用する。2点の連結及び整列用の固定具(「urging mechanism(付勢機構)」と称される)も提供される。
【0008】
特許文献1の可撓性のアレイプローブは、凸面を検査するという問題に対して妥当な解決法を提供するが、それはいくつかの限界を有する。アレイ内の各要素の運動(回転)の範囲は、可撓性のバンドの剛性によって、及びテストヘッドの間隔によって制限される。プローブの有用な湾曲を達成するためには、アレイ要素が距離を離して配置されるか、複数の要素が各テストヘッドに配置されるかのどちらかでなければならない。どちらの選択肢も、可撓性のアレイプローブの有用性を著しく制限する。特許文献1のプローブ及び整列用固定具も、急な湾曲の表面に沿って直角のコイルの向きを保持することに劣っている。設計上の性質により、各テストヘッドは、それに直接隣接するヘッドに対してある程度の可動性を与えられており、2点整列用固定具は、重要な中央アレイ要素を支持または整列するのに適さない。更に、示された設計は、凸面をテストすることのみに適する。
【0009】
従って、堅固な要素の配置を維持しながら、大きい度合いの可撓性をもたらす、堅牢で可撓性のあるアレイプローブを提供することが有利であろう。更に、可撓性のアレイプローブがその要素を、テストされる構造体の表面に直角に本質的に整列させ易いことも有利であろう。可撓性のアレイプローブが、様々な断面形状を有するテスト片を測定することの助けになり、一方で、アレイ内のすべての要素に一定の渦電流センサのリフトオフ及び向きを保持することも有利であろう。プローブが、凸面、凹面、及びS形状の面を含むがこれに限定されない、複数の湾曲形状に連結する助けになれば、更に有利であろう。
【特許文献1】米国特許第4543528号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の目的は、従来技術に付随する問題を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、所望の回転軸に沿って配置された複数対の枢動機構によって共に連結された、アレイ要素装着用の薄いフィンを備える、新規な可撓性のアレイプローブを導入することによってこれを行う。複数対の枢動機構が、アレイの要素が正確に一次元で回転できるようにし、一方で、要素の堅固な配置を保持し、テストされている表面と直角に要素を本質的に位置合わせする。このようにして、結果として生じる可撓性のアレイプローブは、いかなる機械的な調整も必要なく、テストされる構造体の製造プロセスに直接関係する変化などであるがこれに限定されない、テストされる構造体の断面形状の変化に、十分柔軟に反応するようになる。
【0012】
従って、本開示の目的は、プローブ要素の堅固な配置を維持しながら、大きい程度の可撓性が可能となる、枢動機構を備えて構築される堅牢で可撓性のあるアレイプローブを提供することである。
【0013】
また、本開示の目的は、可撓性のアレイプローブが、本質的に、枢動機構の使用を介して、テストされる構造体の表面に直角にその要素を位置合わせすることである。
【0014】
本開示の更なる目的は、可撓性のアレイプローブが、アレイ内のすべての要素に一定のプローブ要素のリフトオフ及び向きを維持しながら、断面形状の異なるテスト片を測定することの助けになることである。
【0015】
本開示の更なる目的は、プローブが、凸形状、凹形状、S形状を含むがこれに限定されない、複数の湾曲形状に連結する助けになることである。
【0016】
本開示の更なる目的は、可撓性のアレイプローブの位置合わせ用及び連結の方法及び固定具を提供することである。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面に関連して下記に与えられる、本発明の以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本開示は、複数組の枢動機構と共に連結された複数の薄いアレイ要素装着用フィン(本明細書では「プローブフィン」と称される)を備え、それによって、プローブフィンに固定されたプローブ要素が、正確に一次元で回転できるようになる、可撓性の渦電流アレイプローブについて述べる。このようにして、任意のサイズ及び形状の可撓性のアレイプローブが実現可能である。使用される異なるタイプ枢動機構の詳細及び可撓性のアレイプローブの構造は、以下に詳細に述べられる。
【0019】
本開示は特に渦電流アレイプローブについて述べるが、この点には限定されない。実際に、本開示の装置及び方法は、渦電流センサ、圧電センサ要素、磁束漏洩センサ装置などであるがこれに限定されない、任意の表面連結アレイプローブによく適する。
【0020】
図1A及び図1Bは、本開示の好ましい実施形態の組立体を示す。両図は、同じ組み立て工程を異なる角度から示すように意図されている。プローブフィン101が、要求されるアレイのサイズ及び形状次第で、プローブ要素ハウジング102で適切な位置に固定される。使用される材料及び構築方法に依存して、プローブフィン101及びプローブ要素ハウジング102が、1つの堅固な部品として製作可能である。図1A及び図1Bに示される例示的な可撓性のアレイプローブでは、渦電流センサ要素103が、プローブ要素ハウジング102の中に固定される。
【0021】
円筒形のタブ104及び嵌合する円筒形のスロット106が、プローブフィン101の上に鋳造または中に機械加工される。穴が各スロット/タブの対を貫通して開けられ、ワイヤ105がその中に引かれる。後の組み立ての段階(図5に示され、以下に詳細に述べられる)において、プローブフィン101が共に引っ張られ、ワイヤ105が、所望の張力まで引っ張られ、切り取られ、最も外側のプローブフィン101に対して封止される。
【0022】
図1A及び図1Bに示されるように、好ましい実施形態は、一対の穴がそれぞれのスロット/タブの対を貫通して開けられ、その結果、一対のワイヤ105がそれぞれのスロット/タブを貫通して伸延している様子を示す。しかしながら、本開示はこの態様には限定されない。より多いまたは少ない穴及びワイヤが、用途に要求される可撓性または剛性の程度に依存して使用されてよい。円筒形のタブ104及び対応する円筒形のスロット106が、図1A及び図1Bに示される例示的な可撓性のアレイプローブにおいて用いられるが、本開示はこの点には限定されないことにも留意されたい。実際、タブ及び対応するスロット要素は、球状を含むがこれに限定されない、複数の幾何学形状をとることができる。
【0023】
図2Aは、本開示の代替実施形態を示す。この構成は、図1A及び図1Bの円筒形のスロット106及びタブ104がスペーサ要素204に置き替えられていること以外は、好ましい実施形態と同一である。このスペーサ要素204は、たとえば銅、プラスチック、ゴム、またはカーバイド、並びにポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone:業界では一般にPEEKと称される)及びアセタールなどの自己潤滑材料であるがこれに限定されない、本用途に適する任意の材料から作製可能であり、好ましい実施形態の円筒形のスロット/タブの枢動機構が許す限りのかなり大きい範囲の要素の間隔をもたらすようなサイズにされることが可能である。図2に示されるスペーサ要素204は球状であるが、本開示の方法は、この点には限定されない。スペーサ要素204は、円筒形、正方形、及び台形などであるがこれに限定されない、複数の幾何学形状をとることができる。図2Bは、本開示の代替実施形態を示し、スペーサ要素位置合わせ用スロット206がプローブフィン201の表面に設けられ、スペーサ要素204に位置合わせ用の手段を与えている。このような代替実施形態は、プラスチックまたは銅などであるがこれに限定されない、剛性の材料から作製されるスペーサ要素204における使用によく適している。
【0024】
図3は、本開示の別の代替実施形態を示す。この実施形態では、プローブフィン301が、所望の回転軸に沿った取り付け用柱305で固定され、リンク要素306に固定されている。次に、リンク要素306は、鎖組立体304を形成するように、柱307で共に連結される。この実施形態では、アレイ組立体のそれぞれの側に1つ、一対のこの鎖組立体304が用いられる。この実施形態は、非常に堅牢で可撓性のあるアレイプローブをもたらし、また、操作の後にその形状を保持する可撓性のアレイプローブを作るのに使用可能であって、この2つの特徴が、手動検査工程に大きな利点となり得る。
【0025】
図3に示される例示的な可撓性のアレイプローブは、プローブフィン301をリンク要素306に固定する取り付け用柱305を示すが、本開示は、この点には限定されないことに留意されたい。実際、個々のリンク要素306が、それが固定されている個々のプローブフィンに対して回転することができないようになっている限り、前記リンク要素306を前記プローブフィン301に固定するのに、エポキシ、取り付けネジ、及び複数の支持ポストシステムを含むがこれに限定されない、複数の固定方法が使用可能である。
【0026】
図4は、第3の代替実施形態を示し、それぞれのプローブフィン401が、複数のプローブ要素ハウジング402、及び結果的にプローブ要素403で固定される。図4は、好ましい実施形態で用いられる円筒形のタブ/スロット枢動機構を示しているが、この実施形態は、この点には限定されない。実際、3つの枢動機構(円筒形のスロット/タブ、スペーサボール、または鎖)のいずれも、この複数プローブ要素ハウジングの技術とともに使用可能である。
【0027】
図5は、本開示の好ましい実施形態を用いて構築された、完全に組み立てられた可撓性のアレイプローブを示す。複数のプローブフィン501が、図1に示されるタブ/スロット枢動機構を用いて一つにされ、図1にやはり示される複数対のワイヤを用いて共に保持される。最終的な製品にするには、ワイヤが所望の張力まで引っ張られ、切り取られて、次に、エポキシ504を用いて所定位置に固定される。エポキシ504がこの図及び以下の図に示されているが、クランプ、クリップ、取り付けネジ、及び停止スリーブを含むがこれに限定されない、他の固定方法が用いられてもよい。カーバイドなどであるがこれに限定されない硬質の低摩耗材料からなる摩擦シュー505が、プローブを保護し、プローブの寿命を延ばすために、可撓性のアレイプローブの嵌合面に加えられてもよい。
【0028】
この組立体内において、プローブ要素ハウジング502が、正確に一次元において可撓性のある堅固な列へとまとめられる。図5に示される(及び多くの他の図に用いられる)例示的なプローブは3×5アレイプローブであるが、任意の寸法のアレイプローブが、本開示の方法を用いて実現可能である。
【0029】
図6は、凸面602に連結された本開示の可撓性のアレイプローブ601を示す。図7は、凹面702に連結された本開示の可撓性のアレイプローブ701を示す。どちらの場合も、アレイプローブ(601及び701)は、テストされる輪郭構造体(602及び702)の形状に一致し、その要素を、一定のリフトオフを有して、テストされる構造体の表面に対して直角に向けている。枢動機構(図1A及び図1Bの円筒形のタブ104及びスロット106、図2のスペーサボール204、または図3の鎖構造体304)が所定位置にある状態で、それぞれのプローブフィンが、それに直接隣接するプローブフィンによって正しい位置まで引っ張られ、プローブ構造体601及び701の全体を、テストされる構造体602及び702の表面形状に本質的に従わせる。
【0030】
本開示の好ましい実施形態は、プローブハウジング要素を使用するが、本開示の方法は、この点には限定されないことに留意されたい。実際に、本開示の方法は、プローブ要素がプローフィンに直接固定される、可撓性のアレイプローブを実現するために使用可能である。
【0031】
図8は、本開示の可撓性のアレイプローブを用いた使用に適する位置合わせ用及び連結用の固定具を示す。可撓性のアレイプローブ801が、取り付け用フレーム803によって、テストされる輪郭構造体802に連結される。調整可能な柱806と固定された柱807とが、テストされる輪郭構造体802に対して、可撓性のアレイプローブ801の端点を固定する。テストされる構造体の形状に近似するように構成された押圧機構804が、重要な測定点において、調整可能な柱805に取り付けられる。押圧機構804の接触面808は、可撓性のアレイプローブ801を適度に知られている形状に保持する隆起した接触面をもたらすように、プラスチックまたは鋼などであるがこれに限定されない硬質材料、あるいは可撓性のアレイプローブ801がテスト構造体のより広い列に従うように、ゴムまたはシリコーンなどであるがこれに限定されないエラストマー性材料のいずれかで作製可能である。
【0032】
位置合わせポスト806及び805は、二次元で調整可能であり、可撓性のアレイプローブ801を広範囲の表面のサイズ及び形状に合わせるのに使用可能である。押圧機構804はまた、テストされる構造体802に適合させるために、凸状または凹状の湾曲、平坦な楔形、または複雑なS形状などであるがこれに限定されない、任意の形状に構築されることが可能であり、また、用途によって要求される多さまたは少なさの可撓性のアレイプローブ801の要素と直接連結できるように、任意のサイズに作製されることが可能である。
【0033】
プローブと位置合わせ用及び連結用の固定具とを一緒にした構造体全体が、大型の自動化されたテストシステムに取り付けられること、または生産ライン上に据えつけられることが可能になるように、取り付け用バー810及び811が設けられる。
【0034】
図8に示される位置合わせ用及び連結用の固定具は、テストされる輪郭構造体802に対して可撓性のアレイプローブ801を正確に連結するために押圧機構804を使用するが、本開示の方法は、この点には限定されないことに留意されたい。実際、多くの検査作業においては、可撓性のアレイプローブ801は、位置合わせポスト806及び807を介して付与される力だけによって、テストされる輪郭構造体802に十分に連結されるであろう。そのような検査作業においては、押圧機構804などの連結用構造体は不必要であり、従って、位置合わせ用及び連結用の固定具には含まれないであろう。
【0035】
図8に示される例示的な位置合わせ用及び連結用の固定具は、L状の取り付け用フレーム803を使用するが、本開示の方法は、この点には限定されないことにも留意されたい。例示的な取り付け用フレーム803は、本開示の可撓性のアレイプローブを丸形のバー構造体、すなわち、湾曲した検査領域の両側に、他方に対してそれぞれ直角である平坦面を有する構造体に連結することによく適するが、管またはレールなどであるがこれに限定されない他のタイプの構造体に、本開示の可撓性のアレイプローブを効果的に連結するために、他の形状の取り付け用のフレームが使用可能であろうことを、当業者には理解されたい。
【0036】
発明者らは、位置合わせ用及び連結用の固定具も企図し、テストされる構造体802に用いられる際に、可撓性のアレイプローブが一定の張力の下に留まるように、位置合わせポスト805及び807は、位置合わせ用トラック809内にばね付勢されている。
【0037】
図9は、スポット検査または他の任意の非自動化検査に適する、テストされる強磁性輪郭構造体902に対して可撓性のアレイプローブ901を位置合わせ用及び連結する、より単純な方法を示す。複数の位置合わせ用磁石903が、個々のプローブフィンに取り付けられ、可撓性のアレイプローブ901全体を所定位置に保持するのに用いられる。このタイプの位置合わせ方法を使用することにより、可撓性のアレイプローブ901は、テスト片の上の異なる位置に容易かつ迅速に動かされること、及び検査中に手で調整されることが可能である。図9は、最も外側の2つのプローブフィンのみに取り付けられた位置合わせ用磁石903を示すが、各プローブフィンがそれ自体の組の位置合わせ用磁石903で固定された実施形態を含む、より多くの位置合わせ磁石903が、この用途の必要条件に依存して使用可能であることに留意されたい。
【0038】
図10は、本開示によって説明される、丸みを付けられた正方形の断面を有するビレット1002の回りの所定位置に取り付けられた複数の可撓性のアレイプローブ1001を示す。このようにして、本発明の可撓性のアレイプローブは、複雑な部品の完全な適用範囲をもたらすように、大型のテストシステムの一部として使用することができる。
【0039】
図11は、プローブフィン1101を互いに連結する1つまたは複数のワイヤ1106の張力を組み立ての後に調整することができる、本開示の可撓性のアレイプローブの代替実施形態を示す切欠組立図である。このようにして、検査作業の効果及び精度に悪影響を与え得る、ワイヤ張力におけるライフサイクルの変化を、プローブを分解することなく容易に修正することができる。
【0040】
第1ワイヤ固定要素1108が、ワイヤ1106の第1端部を第1プローブフィン1101aに固定する。次に、ワイヤ1106が、プローブフィン1101及びスペーサ要素1102のそれぞれを貫通して引かれ、第2ワイヤ固定要素1105が、ワイヤ1106の第2端部を張力調整ネジ1103の端部に固定する。張力調整ネジ1103が、ハウジング要素1107内のネジ付きスロット1104の中に固定される。次に、ハウジング要素1107が、最終プローブフィン1101bに対して更に固定される。ネジ付きスロット1104内で張力調整ネジ1103を操作することによって、ワイヤ1106の張力が調整可能であり、所与の検査作業に最適であるように、本開示の可撓性のアレイプローブの柔軟性を維持するための手段を操作者に提供する。
【0041】
図5の議論において前述されたように、固定要素1105及び1108は、検査作業の必要性に応じて複数の形式をとることができる。この形式は、エポキシ、クランプ、クリップ、取り付けネジ、及び停止スリーブを含むが、これに限定されない。更に、図11に示される切欠組立図は、説明を容易にするために、単一のワイヤ1106及び単一の張力調整ネジ1103を表すが、本開示の方法は、この点には限定されない。実際、ほとんどの可撓性のアレイプローブ組立体に、複数のこのようなワイヤ及び調整要素が、おそらく使用されるであろう。
【0042】
図11の例示的なプローブは、プローブフィン1101bに固定される別の要素として、張力ネジのハウジング要素1107を示すが、本開示の方法は、この点には限定されないことにも留意されたい。実際、本開示の方法の多くの実用的な用途においては、このようなハウジング要素はプローブフィン1101bに一体化されるであろう。
【0043】
図12は、本開示の方法によって構築された、可撓性のアレイプローブの単一ワイヤの組み立て技術を示す切欠組立図である。単一の長いワイヤ1203が、各プローブフィン1201の中の複数の穴1202を貫通して、複数のプローブフィン1201を通って引かれる。前記長いワイヤ1203は、複数のプローブフィンを共に効果的に引くように、複数回、各々のプローブフィンを貫通して通される。
【0044】
本発明は、本発明の特定の実施形態に関して説明されてきたが、多くの他の変形例及び修正例並びに他の用途が、当業者には明らかとなろう。従って本発明は、本明細書の特定の開示によって限定されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1A】円筒形のタブ/スロット枢動機構を使用する、本開示の可撓性のアレイプローブの組立体を示す斜視図である。
【図1B】円筒形のタブ/スロット枢動機構を使用する、本開示の可撓性のアレイプローブの組立体を示す斜視図である。
【図2A】スペーサ要素枢動機構を使用する、本開示の可撓性のアレイプローブの組立体を示す斜視図である。
【図2B】スペーサ要素位置合わせ用スロットを備えたスペーサ要素枢動機構を使用する、本開示の可撓性のアレイプローブの組立体を示す斜視図である。
【図3】チェーン枢動機構を使用する、本開示の可撓性のアレイプローブの組立体を示す斜視図である。
【図4】プローブフィンごとに複数のプローブ要素ハウジングを使用する、本開示の可撓性のアレイプローブの代替実施形態を示す斜視図である。
【図5】本開示の完全に組み立てられた可撓性のアレイプローブを示す斜視図である。
【図6】凸面に当てられている、本開示の可撓性のアレイプローブを示す斜視図である。
【図7】凹面に当てられている、本開示の可撓性のアレイプローブを示す斜視図である。
【図8】位置合わせ用及び連結用の固定具の中に取り付けられた、本開示の可撓性のアレイプローブを示す斜視図である。
【図9】テストされる構造体に連結及び位置合わせするために、取り付けられた支持磁石を使用する、本開示の可撓性のアレイプローブの代替実施形態を示す斜視図である。
【図10】大型のテストシステムの中に配置された、本開示によって説明された複数の可撓性のアレイプローブを示す斜視図である。
【図11】プローブ内の可撓性の度合いが組み立て後に調整可能である、本開示の可撓性のアレイプローブの代替実施形態を示す切欠組立図である。
【図12】本開示の可撓性のアレイプローブの単ワイヤの組み立て法を示す切欠組立図である。
【符号の説明】
【0046】
101 プローブフィン
102 プローブ要素ハウジング
103 渦電流センサ要素
104 タブ
105 ワイヤ
106 スロット
201 プローブフィン
204 スペーサ要素
206 スペーサ要素位置合わせ用スロット
301 プローブフィン
304 鎖組立体
305 取り付け用柱
306 リンク要素
307 柱
401 プローブフィン
402 プローブ要素ハウジング
403 プローブ要素
501 プローブフィン
502 プローブ要素ハウジング
504 エポキシ
505 摩擦シュー
601 可撓性のアレイプローブ
602 凸面
701 可撓性のアレイプローブ
702 凹面
801 可撓性のアレイプローブ
802 輪郭構造体
803 取り付け用フレーム
804 押圧機構
805 調整可能な柱
806 調整可能な柱
807 固定された柱
808 接触面
810 取り付け用バー
811 取り付け用バー
901 可撓性のアレイプローブ
902 強磁性輪郭構造体
903 位置合わせ用磁石
1001 可撓性のアレイプローブ
1002 ビレット
1101 プローブフィン
1102 スペーサ要素
1103 張力調整ネジ
1104 ネジ付きスロット
1105 第2ワイヤ固定要素
1106 ワイヤ
1107 ハウジング要素
1108 第1ワイヤ固定要素
1201 プローブフィン
1202 穴
1203 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非破壊検査の作業において使用する可撓性のアレイプローブであって、
第1プローブフィン及び最終プローブフィンを含む複数のプローブフィンと、
複数のプローブ要素であって、前記複数のプローブフィンのうちの1つにそれぞれが固定される複数のプローブ要素と、
前記プローブフィンのそれぞれの間に位置する複数の枢動機構と、
第1端部及び第2端部を有し、前記複数のプローブフィンを貫通して引かれる少なくとも1つのワイヤ要素と、
少なくとも1つのプローブフィンに、各ワイヤ要素の前記第1端部を固定する少なくとも1つの固定要素と、
少なくとも1つのプローブフィンに、各ワイヤ要素の前記第2端部を固定する少なくとも1つの固定要素と、
を備えるプローブ。
【請求項2】
前記ワイヤ要素が前記プローブフィンを貫通して引かれることが可能になるように、少なくとも1つの穴が各プローブフィンを貫通して形成される、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項3】
前記ワイヤ要素も、前記複数の枢動機構を貫通して引かれる、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項4】
前記ワイヤ要素が前記枢動機構を貫通して引かれることが可能になるように、少なくとも1つの穴が各枢動機構を貫通して形成される、請求項3に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項5】
前記枢動機構がスペーサ要素である、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項6】
前記スペーサ要素が、銅、プラスチック、ゴム、カーバイド、青銅、ポリエーテルエーテルケトン、及びアセタールからなる材料の群から作製される、請求項5に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項7】
前記スペーサ要素が、自己潤滑材料から作製される、請求項5に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項8】
スペーサ要素位置合わせ用のスロットが、前記プローブフィンの上に設けられる、請求項5に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項9】
前記枢動機構が、前記複数のプローブフィンにタブ状及びスロット状に成形された、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項10】
前記枢動機構が、前記複数のプローブフィンの中にタブ状及びスロット状に機械加工された、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項11】
前記固定要素のうちの少なくとも1つが、前記ワイヤ要素のうちの少なくとも1つにおける張力を調整する手段を含む、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項12】
前記張力を調整する手段が、前記ワイヤ要素のうちの少なくとも1つに固定された張力調整ネジを含む、請求項11に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項13】
前記プローブ要素が、プローブハウジング内に固定される、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項14】
前記プローブ要素が渦電流センサである、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項15】
前記プローブ要素が圧電センサ要素である、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項16】
前記プローブ要素が磁束漏洩センサである、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項17】
前記プローブフィンの少なくとも1つの表面に固定された摩耗要素を更に備えた、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項18】
位置合わせ用及び連結用の構造体を更に備え、該構造体が、フレーム要素、及び前記プローブフィンのうちの少なくとも1つに固定された複数の位置合わせポストを含む、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項19】
前記位置合わせポストのうちの少なくとも1つが、長さ調整可能である、請求項18に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項20】
前記可撓性のアレイプローブに一定の張力を維持するように、前記位置合わせポストのうちの少なくとも1つがばね付勢されている、請求項18に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項21】
前記プローブフィンのうちの少なくとも1つに連結力を与える押圧機構を更に備えた、請求項18に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項22】
前記押圧機構が、テストされる湾曲面に対応する幾何学形状をとる、請求項21に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項23】
位置合わせ用及び連結用の構造体を更に備え、該構造体が、前記プローブフィンのうちの少なくとも1つから延在する複数の支持ポストと、該支持ポストのうちの少なくとも1つに固定された少なくとも1つの位置合わせ用磁石とを含む、請求項1に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項24】
第1プローブフィン及び最終プローブフィンを含む複数のプローブフィンと、
複数のプローブ要素であって、前記複数のプローブフィンのうちの1つにそれぞれが固定される複数のプローブ要素と、
少なくとも1つの鎖組立体を形成するよう共に連結された、前記複数のプローブフィンに固定された複数の剛性のリンク要素とを備えた、非破壊検査の作業で用いられる可撓性のアレイプローブ。
【請求項25】
個々の前記リンク要素が、個々の各リンク要素が取り付けられる前記プローブフィンに対して回転できないように固定される、請求項24に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項26】
配置されたときに前記アレイプローブがその形状を保持しやすいように、鎖組立体が剛性である、請求項24に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項27】
前記プローブ要素がプローブハウジング内に固定された、請求項24に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項28】
前記プローブ要素が渦電流センサである、請求項24に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項29】
前記プローブ要素が圧電センサ要素である、請求項24に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項30】
前記プローブ要素が磁束漏洩センサである、請求項24に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項31】
前記プローブフィンの少なくとも1つの表面に固定された摩耗要素を更に備えた、請求項24に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項32】
位置合わせ用及び連結用の構造体を更に備え、該構造体が、フレーム要素、及び前記プローブフィンのうちの少なくとも1つに固定された複数の位置合わせポストを含む、請求項24に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項33】
前記位置合わせポストのうちの少なくとも1つが長さ調整可能である、請求項32に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項34】
前記可撓性アレイプローブに一定の張力を維持するように、前記位置合わせポストのうちの少なくとも1つがばね付勢されている、請求項32に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項35】
前記プローブフィンのうちの少なくとも1つに連結力を与える押圧機構を更に備えた、請求項32に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項36】
前記押圧機構が、テストされる湾曲面に対応する幾何学形状をとる、請求項35に記載の可撓性のアレイプローブ。
【請求項37】
位置合わせ用及び連結用の構造体を更に備え、該構造体が、前記プローブフィンのうちの少なくとも1つから延在する複数の支持ポストと、該支持ポストのうちの少なくとも1つに固定された少なくとも1つの位置合わせ用磁石とを含む、請求項24に記載の可撓性のアレイプローブ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−286798(P2008−286798A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−133665(P2008−133665)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(508103539)
【Fターム(参考)】