説明

標示部材

【課題】誘目性の高い標示部材を提供する。
【解決手段】標示部材100は、三角錐状に形成され、側板部11〜13を有する本体部1と、本体部1の側板部11に形成され、再帰反射層を有する標示部2と、本体部1の側板部12に形成され、再帰反射層を有する標示部3とを備える。標示部2(3)には、図形部分を表す標示領域2a(3a)と、図形部分の陰影部分を表す標示領域2bおよび2c(3bおよび3c)とにより構成される立体図形状の標示2d(3d)が描かれている。そして、標示部材100は、標示部2(3)に対して光が照射された場合に、陰影部分を表す標示領域2bおよび2c(3bおよび3c)からの再帰反射光の輝度が、図形部分を表す標示領域2a(3a)からの再帰反射光の輝度よりも小さくなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標示部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の側板部を有する本体部と、本体部の側板部に形成された標示部とを備えた標示部材が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、四角錐状(四角錐台状)の本体と、本体の側面に設けられた記載欄とを備えたコーンが開示されている。コーンは、たとえば、工事現場などに通行人が立ち入るのを禁止するために設置される。また、コーンの記載欄には、会社名や宣伝などが記入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−8421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来のコーンの記載欄には、平面的な文字や図形などが記載されていると考えられるので、通行人の注意を引きにくいという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、誘目性の高い標示部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による標示部材は、三角錐状に形成され、複数の側板部を有する本体部と、本体部の側板部に形成され、再帰反射部を有する標示部とを備える。標示部には、図形部分を表す標示領域と、図形部分の陰影部分を表す標示領域とにより構成される立体図形状の標示が描かれている。そして、標示部は、標示部に対して光が照射された場合に、陰影部分を表す標示領域からの再帰反射光の輝度が、図形部分を表す標示領域からの再帰反射光の輝度よりも小さくなるように構成されている。なお、再帰反射とは、入射した光が、入射した角度にかかわらず、入射してきた方向に戻されることをいう。
【0008】
このように構成することによって、標示部に立体図形状の標示が描かれることにより、車両の運転手などの注意を引きやすくすることができる。また、陰影部分を表す標示領域からの再帰反射光の輝度を、図形部分を表す標示領域からの再帰反射光の輝度よりも小さくすることにより、標示部からの反射光の輝度が均一な場合に比べて、車両の運転手などが夜間であっても立体図形状の標示を立体的に視認しやすくすることができる。
【0009】
上記標示部材において、複数の側板部のうちの2つの側板部には、それぞれ、標示部が形成され、2つの側板部のうちの一方の側板部に形成された標示部には、一方方向を示す矢印形状の図形部分を表す標示領域と、図形部分の陰影部分を表す標示領域とにより構成される立体図形状の標示が描かれ、2つの側板部のうちの他方の側板部に形成された標示部には、一方方向とは反対方向の他方方向を示す矢印形状の図形部分を表す標示領域と、図形部分の陰影部分を表す標示領域とにより構成される立体図形状の標示が描かれていてもよい。
【0010】
このように構成すれば、一方の側板部が車両の運転手に視認されるように標示部材が設置されることにより、車両の運転手に対して一方方向への車線変更を促し、他方の側板部が車両の運転手に視認されるように標示部材が設置されることにより、車両の運転手に対して他方方向への車線変更を促すことができる。
【0011】
上記標示部材において、立体図形状の標示は、下方に向かって幅が拡がるように描かれていてもよい。
【0012】
このように構成すれば、立体図形状の標示において、上側に比べて下側が手前に位置するように見えるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の標示部材によれば、誘目性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による標示部材の全体構造を示した斜視図である。
【図2】図1に示した標示部材の側板部11を正面から見た図である。
【図3】図1に示した標示部材の側板部12を正面から見た図である。
【図4】図1に示した標示部材の側板部13を正面から見た図である。
【図5】図2のA−A断面図である。
【図6】図3のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
まず、図1〜図6を参照して、本実施形態による標示部材100の構造について説明する。
【0017】
標示部材100は、図1に示すように、三角錐状(三角錐台状)に形成された本体部1と、本体部1に設けられた標示部2および3とを備えている。標示部材100は、たとえば、工事現場などへの侵入を規制するために設置されるものである。
【0018】
本体部1は、板状の側板部11〜13と、上端部に形成された開口部14と、下端部に形成された基台部15と、下端部に形成された開口部(図示省略)とを含んでいる。本体部1は、上端部および下端部が開放されており、筒状に形成されている。これにより、複数の標示部材100を積み重ねて搬送や収納することが可能である。本体部1は、たとえば、赤色のプラスチック製である。
【0019】
側板部11〜13は、それぞれ、図2〜図4に示すように、正面から見て台形状に形成されている。なお、側板部11および12は、それぞれ、本発明の「一方の側板部」および「他方の側板部」の一例である。
【0020】
側板部11の上端部の長さL1(図2参照)は、側板部12の上端部の長さL2(図3参照)と略同じである。また、側板部13の上端部の長さL3(図4参照)は、長さL1およびL2よりも小さい。したがって、本体部1の上端部(開口部14)は、平面的に見て二等辺三角形状に形成されている。
【0021】
同様に、側板部11の下端部の長さL4(図2参照)は、側板部12の下端部の長さL5(図3参照)と略同じである。また、側板部13の下端部の長さL6(図4参照)は、長さL4およびL5よりも小さい。したがって、側板部11〜13の下端部は、平面的に見て二等辺三角形状に形成されている。
【0022】
基台部15は、側板部11〜13の下端部から外方に突出するように板状に形成されている。また、基台部15は、平面的に見て二等辺三角形状に形成されている。
【0023】
標示部2は、図2に示すように、本体部1の側板部11に形成されている。標示部2には、矢印P1方向(側板部11を正面から見て左方向)を示す矢印形状の立体図形状の標示2dが描かれている。具体的には、立体図形状の標示2dは、矢印P1方向を示す矢印形状の図形部分を表す標示領域2aと、矢印形状の図形部分の陰影部分を表す標示領域2bおよび2cとにより構成されている。なお、矢印P1方向は、本発明の「一方方向」の一例である。
【0024】
立体図形状の標示2dでは、たとえば、図形部分を表す標示領域2aが白色であり、陰影部分を表す標示領域2bが黄色であり、陰影部分を表す標示領域2cが灰色である。すなわち、図形部分を表す標示領域2a、陰影部分を表す標示領域2b、陰影部分を表す標示領域2cの順に明るい色調にされている。
【0025】
本実施形態の図形部分を表す標示領域2aでは、アローヘッド(鏃)のみが描かれている。立体図形状の標示2dは、下方に向かって幅が拡がるように描かれている。なお、立体図形状の標示2dでは、上端からアローヘッドの頂点部分21aまでに比べて、アローヘッドの頂点部分21aから下端までの方がより幅が拡がるように構成されている。陰影部分を表す標示領域2bは、2つの陰影部分を表す標示領域2cの間に配置されている。
【0026】
標示部2は、図5に示すように、側板部11の表面上に形成された再帰反射層21と、再帰反射層21の表面上に形成された下地シート22と、下地シート22の表面上に形成された着色層(カラーフィルタ層)23と、着色層23の表面上に形成された保護シート24とを含んでいる。なお、再帰反射層21は、本発明の「再帰反射部」の一例である。
【0027】
再帰反射層21は、側板部11の表面上に貼着されている。再帰反射層21は、たとえば、再帰反射性を有する白色のシートである。なお、再帰反射とは、入射した光が、入射した角度にかかわらず、入射してきた方向に戻されることをいう。再帰反射層21は、ガラスビーズにより光を屈折させるガラスビーズ型であってもよいし、プリズムレンズにより光を屈折させるプリズムレンズ型であってもよい。
【0028】
下地シート22は、再帰反射層21の全面にわたって貼着されている。下地シート22は、たとえば、透明な合成樹脂であり、表面に着色層23の付着性を向上させる加工が施されている。
【0029】
着色層23は、下地シート22の表面に形成されている。着色層23は、たとえば、インクジェット印刷により塗着されたインクの塗膜である。着色層23は、図形部分を表す標示領域2aには形成されておらず、陰影部分を表す標示領域2bおよび2cに形成されている。着色層23では、陰影部分を表す標示領域2bにおいて半透明な黄色の塗膜が形成され、陰影部分を表す標示領域2cにおいて半透明な灰色の塗膜が形成されている。着色層23における光の透過率は、陰影部分を表す標示領域2bの方が陰影部分を表す標示領域2cよりも高くなるように設定されている。なお、光の透過率は、インクの塗膜の厚みや、インクの透明度などを変化させることにより、調整することが可能である。
【0030】
保護シート24は、着色層23を覆うように下地シート22の全面にわたって形成されている。保護シート24は、着色層23を保護するために設けられており、透明な合成樹脂(たとえば、フッ素樹脂)である。また、保護シート24は、紫外線を吸収するように構成されており、着色層23の退色を抑制することが可能である。
【0031】
標示部2は、標示部2に対して光が照射された場合に、照射された光を再帰反射層21において再帰反射するように構成されている。このとき、図形部分を表す標示領域2aには着色層23が形成されておらず、着色層23における光の透過率が、陰影部分を表す標示領域2bの方が陰影部分を表す標示領域2cよりも高くなるように設定されていることから、標示部2は、図形部分を表す標示領域2aからの再帰反射光、陰影部分を表す標示領域2bからの再帰反射光、陰影部分を表す標示領域2cからの再帰反射光の順に輝度が高くなるように構成されている。
【0032】
標示部3は、図3に示すように、本体部1の側板部12に形成されている。標示部3には、矢印P2方向(側板部12を正面から見て右方向)を示す矢印形状の立体図形状の標示3dが描かれている。具体的には、立体図形状の標示3dは、矢印P2方向を示す矢印形状の図形部分を表す標示領域3aと、矢印形状の図形部分の陰影部分を表す標示領域3bおよび3cとにより構成されている。なお、矢印P2方向は、矢印P1方向(図2参照)とは反対方向であり、本発明の「他方方向」の一例である。
【0033】
立体図形状の標示3dでは、たとえば、図形部分を表す標示領域3aが白色であり、陰影部分を表す標示領域3bが黄色であり、陰影部分を表す標示領域3cが灰色である。すなわち、図形部分を表す標示領域3a、陰影部分を表す標示領域3b、陰影部分を表す標示領域3cの順に明るい色調にされている。
【0034】
本実施形態の図形部分を表す標示領域3aでは、アローヘッド(鏃)のみが描かれている。立体図形状の標示3dは、下方に向かって幅が拡がるように描かれている。なお、立体図形状の標示3dでは、上端からアローヘッドの頂点部分31aまでに比べて、アローヘッドの頂点部分31aから下端までの方がより幅が拡がるように構成されている。陰影部分を表す標示領域3bは、2つの陰影部分を表す標示領域3cの間に配置されている。
【0035】
標示部3は、図6に示すように、側板部12の表面上に形成された再帰反射層31と、再帰反射層31の表面上に形成された下地シート32と、下地シート32の表面上に形成された着色層33と、着色層33の表面上に形成された保護シート34とを含んでいる。なお、再帰反射層31は、本発明の「再帰反射部」の一例である。
【0036】
再帰反射層31、下地シート32、着色層33および保護シート34は、それぞれ、上記した再帰反射層21、下地シート22、着色層23および保護シート24と同様に構成されている。
【0037】
標示部3は、標示部3に対して光が照射された場合に、照射された光を再帰反射層31において再帰反射するように構成されている。このとき、図形部分を表す標示領域3aには着色層33が形成されておらず、着色層33における光の透過率が、陰影部分を表す標示領域3bの方が陰影部分を表す標示領域3cよりも高くなるように設定されていることから、標示部3は、図形部分を表す標示領域3aからの再帰反射光、陰影部分を表す標示領域3bからの再帰反射光、陰影部分を表す標示領域3cからの再帰反射光の順に輝度が高くなるように構成されている。
【0038】
側板部13には、図4に示すように、再帰反射性を有する白色のシート4が形成されている。シート4は、台形状に形成され、側板部13の中央部に配置されている。
【0039】
次に、本実施形態による標示部材100の使用例について説明する。以下では、標示部材100が道路の工事現場に設置される場合を例に説明する。
【0040】
たとえば、片側二車線の道路(図示省略)において、右側の車線(追い越し車線)が工事中であり、右側の車線を走行する車両(図示省略)に対して左側の車線(走行車線)への車線変更を促したい場合に、右側の車線を走行する車両の運転手に側板部11(図2参照)が視認されるように標示部材100が設置される。すなわち、側板部11が車両の走行方向とは反対方向を向くように標示部材100が設置される。なお、標示部材100は、工事現場に対して車両の走行方向の上流側に設置される。
【0041】
これにより、昼間などの周辺が明るい場合には、左方向を示す矢印形状の立体図形状の標示2dが描かれた赤色の側板部11が車両の運転手に視認される。このため、右側の車線を走行する車両の運転手に対して左側の車線への車線変更を促すことができる。
【0042】
また、夜間などの周辺が暗く、車両の前照灯(ヘッドライト)が点灯されている場合には、標示部2において車両の前照灯から入射された光が再帰反射されることにより、左方向を示す矢印形状の立体図形状の標示2dが車両の運転手に視認される。このため、右側の車線を走行する車両の運転手に対して左側の車線への車線変更を促すことができる。
【0043】
同様に、たとえば、片側二車線の道路において、左側の車線が工事中であり、左側の車線を走行する車両に対して右側の車線への車線変更を促したい場合に、左側の車線を走行する車両の運転手に側板部12(図3参照)が視認されるように標示部材100が設置される。すなわち、側板部12が車両の走行方向とは反対方向を向くように標示部材100が設置される。なお、標示部材100は、工事現場に対して車両の走行方向の上流側に設置される。
【0044】
これにより、昼間などの周辺が明るい場合には、右方向を示す矢印形状の立体図形状の標示3dが描かれた赤色の側板部12が車両の運転手に視認される。このため、左側の車線を走行する車両の運転手に対して右側の車線への車線変更を促すことができる。
【0045】
また、夜間などの周辺が暗く、車両の前照灯が点灯されている場合には、標示部3において車両の前照灯から入射された光が再帰反射されることにより、右方向を示す矢印形状の立体図形状の標示3dが車両の運転手に視認される。このため、左側の車線を走行する車両の運転手に対して右側の車線への車線変更を促すことができる。
【0046】
また、たとえば、道路が工事中であり、走行する車両に対して通行止めを知らせたい場合に、走行する車両の運転手に側板部13(図4参照)が視認されるように標示部材100が設置される。すなわち、側板部13が車両の走行方向とは反対方向を向くように標示部材100が設置される。なお、標示部材100は、工事現場に対して車両の走行方向の上流側に設置される。
【0047】
これにより、昼間などの周辺が明るい場合には、白色のシート4が形成された赤色の側板部13が車両の運転手に視認される。このため、車両の運転手に対して通行止めを知らせることができる。
【0048】
また、夜間などの周辺が暗く、車両の前照灯が点灯されている場合には、シート4において前照灯から入射された光が再帰反射されることにより、台形状のシート4が車両の運転手に視認される。このため、車両の運転手に対して通行止めを知らせることができる。
【0049】
本実施形態では、上記のように、側板部11(12)に立体図形状の標示2d(3d)が描かれることによって、車両の運転手などの注意を引きやすくすることができる。また、陰影部分を表す標示領域2bおよび2c(3bおよび3c)からの再帰反射光の輝度を、図形部分を表す標示領域2a(3a)からの再帰反射光の輝度よりも小さくすることによって、標示部からの反射光の輝度が均一な場合に比べて、車両の運転手などが夜間であっても立体図形状の標示2d(3d)を立体的に視認しやすくすることができる。その結果、標示部材100の誘目性(視覚による注意の引きやすさの程度)を高めることができる。
【0050】
また、本実施形態では、陰影部分を表す標示領域2b(3b)からの再帰反射光の輝度を、陰影部分を表す標示領域2c(3c)からの再帰反射光の輝度よりも高くすることによって、車両の運転手などが夜間であっても立体図形状の標示2d(3d)をより立体的に視認しやすくすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、側板部11に左方向を示す矢印形状の立体図形状の標示2dが描かれるとともに、側板部12に右方向を示す矢印形状の立体図形状の標示3dが描かれることによって、側板部11が車両の運転手に視認されるように標示部材100を設置することにより、車両の運転手に対して左方向への車線変更を促し、側板部12が車両の運転手に視認されるように標示部材100を設置することにより、車両の運転手に対して右方向への車線変更を促すことができる。
【0052】
また、本実施形態では、立体図形状の標示2d(3d)が下方に向かって幅が拡がるように描かれることによって、立体図形状の標示2d(3d)において、上側に比べて下側が手前に位置するように見えるようにすることができる。これにより、立体図形状の標示2d(3d)の立体感が強調され、誘目性をより高めることができる。また、立体図形状の標示2d(3d)を下方に向かって幅が拡がるように描くことにより、台形状の側板部11(12)の面上に立体図形状の標示2d(3d)が収まりやすく、かつ、立体図形状の標示2d(3d)と側板部11(12)との調和が良好になり、観者に違和感を与えることなく視認させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、本体部1を三角錐状に形成することによって、側板部11(12)を正面から見た場合に、側板部11(12)の上端部に比べて側板部11(12)の下端部が近い位置に配置される。これにより、立体図形状の標示2d(3d)の立体感が強調され、誘目性をより高めることができる。
【0054】
また、本実施形態では、本体部1の上端部に開口部14を形成することによって、開口部14に指を挿入することができるので、標示部材100を移動させやすくすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、本体部1が三角錐状に形成されることにより、側板部11および12が板状であることによって、本体部が円錐状に形成される場合に比べて、側板部11に設けられる標示部2を見やすくすることができるとともに、側板部12に設けられる標示部3を見やすくすることができる。
【0056】
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、本実施形態では、本体部1が三角錐状である例を示したが、これに限らず、本体部が四角錐状であってもよい。
【0058】
また、本実施形態では、矢印形状の図形部分を表す標示領域2a(3a)と、陰影部分を表す標示領域2bおよび2c(3bおよび3c)とにより構成される立体図形状の標示2d(3d)が標示部2(3)に描かれる例を示したが、これに限らず、矢印以外の図形部分を表す標示領域と陰影部分を表す標示領域とにより構成される立体図形が標示部に描かれていてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、陰影部分を表す標示領域2bおよび2c(3bおよび3c)にインクジェット印刷により着色層23(33)を形成する例を示したが、これに限らず、図形部分を表す標示領域2a(3a)、陰影部分を表す標示領域2b(3b)、陰影部分を表す標示領域2c(3c)の順に明るい色調にされ、かつ、図形部分を表す標示領域2a(3a)からの再帰反射光、陰影部分を表す標示領域2b(3b)からの再帰反射光、陰影部分を表す標示領域2c(3c)からの再帰反射光の順に輝度が高くなるように構成されていればよい。
【0060】
たとえば、下地シート22(32)の表面に、不透明な着色剤によるドットパターンを含む着色層23(33)を形成してもよい。この場合には、ドットパターンの各ドットの色調、形状、間隔などを調整することにより、陰影部分を表す標示領域2bおよび2c(3bおよび3c)の色調を調整することが可能である。そして、陰影部分を表す標示領域2bおよび2c(3bおよび3c)からの再帰反射光は、ドットパターンの隙間(間隔)から再帰反射層21(31)へ入射して再帰反射された光であることから、ドットパターンの隙間の大きさを調整することにより輝度の大きさを調整することが可能である。
【0061】
また、図形部分を表す標示領域2a(3a)に着色層23(33)を形成しない例を示したが、これに限らず、陰影部分を表す標示領域2bおよび2c(3bおよび3c)よりも色調が明るく、かつ、再帰反射光の輝度が高ければ、図形部分を表す標示領域2a(3a)に着色層23(33)が形成されていてもよい。
【0062】
また、白色の再帰反射層21(31)の表面上に、下地シート22(32)、着色層23(33)および保護シート24(34)を形成する例を示したが、これに限らず、図形部分を表す標示領域2a(3a)、陰影部分を表す標示領域2b(3b)、陰影部分を表す標示領域2c(3c)に、それぞれ、色調および再帰反射光の輝度が異なる再帰反射性を有するシートを貼り付けるようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態において、立体図形状の標示2d(3d)の全体が下方に向かって幅が拡がるように描かれていてもよいし、立体図形状の標示2d(3d)の一部のみが下方に向かって幅が拡がるように描かれていてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、3つの側板部のうち2つの側板部に立体図形が描かれる例を示したが、これに限らず、3つの側板部のうち全ての側板部に立体図形が描かれていてもよいし、3つの側板部のうち1つの側板部のみに立体図形が描かれていてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、本体部1の上端部(開口部14)が平面的に見て二等辺三角形状に形成される例を示したが、これに限らず、たとえば、本体部1の上端部が平面的に見て正三角形状に形成されていてもよい。同様に、側板部11〜13の下端部が平面的に見て二等辺三角形状に形成される例を示したが、これに限らず、たとえば、側板部11〜13の下端部が平面的に見て正三角形状に形成されていてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、基台部15が平面的に見て二等辺三角形状に形成される例を示したが、これに限らず、たとえば、基台部が平面的に見て円形状または四角形状に形成されていてもよい。また、基台部が形成されていなくてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、本体部1の上端部に開口部14が形成される例を示したが、これに限らず、本体部の上端部に開口部が形成されていなくてもよい。すなわち、本体部が三角錐であってもよい。
【0068】
また、本実施形態では、3つに区分される陰影部分が2つの色で表示される例を示したが、これに限らず、3つに区分される陰影部分がそれぞれ異なる色で表示されていてもよい。
【0069】
また、本実施形態では陰影部分が3つに区分される例を示したが、これに限らず、陰影部分が4つ以上に区分されていてもよいし、陰影部分が区分されていなくてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、標示部材100が道路の工事現場に設置される例を示したが、これに限らず、たとえば、標示部材100が通行人を誘導するために設置されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 本体部
2、3 標示部
2a、3a 図形部分を表す標示領域
2b、2c、3b、3c 陰影部分を表す標示領域
2d、3d 立体図形状の標示
11 側板部(一方の側板部)
12 側板部(他方の側板部)
14 開口部
21、31 再帰反射層(再帰反射部)
100 標示部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角錐状に形成され、複数の側板部を有する本体部と、
前記本体部の側板部に形成され、再帰反射部を有する標示部とを備え、
前記標示部には、図形部分を表す標示領域と、前記図形部分の陰影部分を表す標示領域とにより構成される立体図形状の標示が描かれており、
前記標示部は、前記標示部に対して光が照射された場合に、前記陰影部分を表す標示領域からの再帰反射光の輝度が、前記図形部分を表す標示領域からの再帰反射光の輝度よりも小さくなるように構成されていること
を特徴とする標示部材。
【請求項2】
請求項1に記載の標示部材であって、
前記複数の側板部のうちの2つの側板部には、それぞれ、前記標示部が形成され、
前記2つの側板部のうちの一方の側板部に形成された標示部には、一方方向を示す矢印形状の図形部分を表す標示領域と、前記図形部分の陰影部分を表す標示領域とにより構成される立体図形状の標示が描かれ、
前記2つの側板部のうちの他方の側板部に形成された標示部には、前記一方方向とは反対方向の他方方向を示す矢印形状の図形部分を表す標示領域と、前記図形部分の陰影部分を表す標示領域とにより構成される立体図形状の標示が描かれていること
を特徴とする標示部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の標示部材であって、
前記立体図形状の標示は、下方に向かって幅が拡がるように描かれていること
を特徴とする標示部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−251333(P2012−251333A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123339(P2011−123339)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【出願人】(510106968)首都高メンテナンス東東京株式会社 (6)
【Fターム(参考)】