説明

横風対応型野外テント

上部に天幕屋根を有する外周開放形の野外テントの屋根高を低く抑え、突然の強い横風に対応できるばかりでなく、より奥行きの長い、大きな床面積を有する野外テントの実現を図る。 上部に天幕屋根を有する外周開放形の野外テントであって、天幕屋根が、左右の垂直な側面(100)が台形で天頂部(100a)が平坦で前後面が下方へ下がる斜面である天幕(1)と、該天幕(1)を支える左右の側面が台形骨組と同左右の台形骨組間に台形骨組の角部に両端を固定して横架される4本の架橋骨組とで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、上部に天幕屋根を有する外周開放形の野外テントに関し、特に屋根の構造に特徴を有する横風対応型野外テントに関する。
【背景技術】
従来、上部に天幕屋根を有する外周開放形の野外テントでは、構造が単純で組立も容易なことから、左右の垂直な側面が三角形をなす切り妻屋根のものが主として用いられてきた。しかし、この切り妻屋根の野外テントでは、テントが大型になり奥行きが拡がれば屋根の高さは高くなり、骨組に天幕を被せるのが容易でなくなるばかりか、横風を受ける屋根面積が大きくなり、突然の強い横風に対する危険度が高まるという難点があった。
本発明は、上記従来技術に鑑み、上部に天幕屋根を有する外周開放形の野外テントの屋根高を低く抑え、突然の強い横風に対応できるばかりでなく、より奥行きの長い、大きな床面積を有する野外テントの実現を図るものである。
【発明の開示】
本発明者は次の手段によって上記課題を解決した。
(1) 上部に天幕屋根を有する外周開放形の野外テントにおいて、天幕屋根が、左右の垂直な側面が台形で天頂部が平坦で前後面が下方へ広がる斜面である天幕と、該天幕を支える左右の側面が台形骨組と同左右の台形骨組間に台形骨組の角部に両端を固定して横架される4本の架橋骨組とで構成されてなることを特徴とする横風対応型野外テント。
(2) 上部に天幕屋根を有する外周開放形の野外テントにおいて、天幕屋根が、左右の垂直な側面が台形で天頂部が平坦で前後面が下方へ広がる斜面である天幕と、該天幕を支える左右の側面が台形骨組と同左右の台形骨組間に台形骨組の角部に両端を固定して横架される4本の架橋骨組とで構成されてなる横風対応型野外テントであって、
前記天幕屋根に、1つの穴からなる通風口又は複数の穴を隣接配置されてなる通風口を1又は複数個配設し、かつ前記通風口に、その外面部に1枚又は複数枚のシート状の蓋を、その上端縁をテントの天頂部の中心部付近に逢着、糊着け等して固着し、同蓋の他の端縁は1又は複数の中程度の固定力を発現する係止手段により通風口に隣接する天幕端縁部に係止してなり、突風又は強風を受けると前記蓋が自動的に開口し、天幕が吹き飛ばされないようになしたことを特徴とする横風対応型野外テント。
(3) 側面が台形をなす天幕の平坦な天頂部に雨水がたまるのを防ぐため、該天頂部に1又は複数本の補強材を背部を上方に突出させた状態で架設してなることを特徴とする前記(1)又は(2)のいずれかに記載の横風対応型野外テント。
(4) 側面が台形をなす天幕の平坦な天頂部に雨水がたまるのを防ぐため、該天頂部に凸部が設けられ同天頂部側面が三角形をなすことを特徴とする前記(1)又は(2)のいずれかに記載の横風対応型野外テント。
(5) 側面が台形をなす天幕屋根の骨組が、その天頂部はいずれも金属パイプ製の2本又は3本の棟木と2本の梁とで、また屋根の底部はいずれも金属パイプ製の2本の軒桁と2本の妻桁とで構成され、前記屋根天頂部の骨組と前記屋根底部の骨組とが金属パイプ製の4本の垂木によって結合されてなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
(6) 側面が台形をなす天幕屋根の骨組及びこの屋根の骨組を支える支柱が、それぞれの結合部に適合した組立手段により組立、解体自在に構成されてなることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
(7) 隣接配置された穴と穴の間に残された天幕屋根の部分が、天幕屋根の強度を保持し得る形状、本数及び幅を持ち、かつ前記通風口の総面積が、突風又は強風を受けたときに前記蓋が開口し得る大きさを有することを特徴とする前記(2)〜(6)のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
(8) シート状の蓋が、防水処理されてなるものであることを特徴とする前記(2)〜(7)のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
(9) シート状の蓋が、天幕と同様の帆布製のものであることを特徴とする前記(2)〜(8)のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
(10) 蓋の係止手段が、通風口に隣接する天幕端縁部に一部をフリーに残して係止されてなるものであることを特徴とする前記(2)〜(9)のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
(11) 天幕屋根に設けた蓋が、その下部両端をゴムひもを介して係止されてなることを特徴とする前記(2)〜(10)のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
(12) 天幕屋根に設けた蓋が、その下部両端又は通風口の下部両隅付近の天幕に固着された紐、金属、プラスチック等のリングに挿通され、通風口の下部両端付近の天幕又は前記蓋の下部両端部の2点にその両端が固着されたゴムひもを介して係止されてなることを特徴とする前記(2)〜(10)のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
(13) シート状の蓋の左右端縁部が、通風口の左右端縁に折りひだによって伸縮自在に構成された防水シートを介して固着され、前記蓋の開口時に通風口の左右端からのテント内への雨水の流入を防止できるようになしたことを特徴とする前記(2)〜(9)のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明実施例の構成を示す斜視図であり、第1図(a)は本発明の第1の実施例の構成を示す斜視図、第1図(b)は本発明の第2の実施例の構成を示す斜視図、第1図(c)は本発明の第3の実施例の構成を示す斜視図、第1図(d)は本発明の第4の実施例の構成を示す斜視図である。
第2図は本発明の第1の実施例の説明用斜視図である。
第3図は、(a)は本発明の第1の実施例の他の例の骨組の斜視図、(b)は本発明の第1の実施例の他の例の補強材の斜視図である。
第4図は、(a)は本発明の第2の実施例の骨組の斜視図、(b)は第2の実施例の補強材の斜視図である。
第5図は、(a)本発明の第3の実施例の骨組の斜視図、(b)は第3の実施例の説明用側面図である。
第6図は、本発明の第4の実施例の説明用斜視図である。
第7図(a)及び(b)は、本発明の第4の実施例の係止手段の説明用斜視図である。
第8図は、本発明の第4の実施例の係止手段の説明用斜視図である。
第9図は、本発明の垂直な側面が台形で天頂部が平坦な天幕屋根の横風対応型野外テントと、従来の切り妻屋根の野外テントとの高さを比較した模式図である。
第10図は、本発明の垂直な側面が台形で天頂部が平坦な天幕屋根の横風対応型野外テントと、従来の切り妻屋根の野外テントと、第3の実施例の横風対応型野外テントの高さを比較した模式図である。
第11図は、本発明における骨組の組み立て方法を示す図である。
第12図は、テント吹き上げ力の対比表である。
第13図は、風上側吹き上げ力の対比表である。
【符号の説明】
1 本発明の垂直な側面が台形の天幕
1’ 従来の切り妻屋根型の天幕
2 骨組
3 棟木
4 梁
5 垂木
6 軒桁
7 妻桁
8 支柱
9 筋交い
10 補強材(梁)
10a フック
11 補強材(棟木)
11a フック
11b 補強材の背部
13 通風口
14 シート状の蓋
15 係止手段
16 ゴムひも
17 リング
18 ゴムひも
19 防水シート
100 天幕屋根の垂直な側面
100a 天幕屋根の天頂部
100b 突出部
100c 天幕屋根の凸部
100d 天頂部側面
200 骨組の側面
200a 骨組の天頂部
200b 骨組の凸部
200c 骨組の凸部
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施の形態を、実施例の図によって説明する。
第1図は、本発明実施例の構成を示す斜視図であり、第1図(a)は本発明の第1の実施例の構成を示す斜視図、第1図(b)は本発明の第2の実施例の構成を示す斜視図、第1図(c)は本発明の第3の実施例の構成を示す斜視図、第1図(d)は本発明の第4の実施例の構成を示す斜視図であり、第2図は本発明の第1の実施例の説明用斜視図、第3図は、(a)は本発明の第1の実施例の他の例の骨組の斜視図、(b)は本発明の第1の実施例の他の例の補強材の斜視図である。
第4図は、(a)は本発明の第2の実施例の骨組の斜視図、(b)は第2の実施例の補強材の斜視図、第5図は、(a)本発明の第3の実施例の骨組の斜視図、(b)は第3の実施例の説明用側面図、第6図は、本発明の第4の実施例の説明用斜視図であり、第7図(a)及び(b)は、本発明の第4の実施例の係止手段の説明用斜視図、第8図は、本発明の第4の実施例の係止手段の説明用斜視図である。
そして、第9図は、本発明の垂直な側面が台形で天頂部が平坦な天幕屋根の横風対応型野外テントと、従来の切り妻屋根の野外テントとの高さを比較した模式図であり、第10図は、本発明の垂直な側面が台形で天頂部が平坦な天幕屋根の横風対応型野外テントと、従来の切り妻屋根の野外テントと、第3の実施例の横風対応型野外テントの高さを比較した模式図であり、第11図は、本発明における骨組の組み立て方法を示す図、第12図は、テント吹き上げ力の対比表、第13図は、風上側吹き上げ力の対比表である。
図において、1は本発明の垂直な側面が台形の天幕、1’は従来の切り妻屋根型の天幕、2は骨組、3は棟木、4は梁、5は垂木、6は軒桁、7は妻桁、8は支柱、9は筋交い、10は補強材(梁)、10aはフック、11は補強材(棟木)、11aはフック、11bは補強材の背部、13は通風口、14はシート状の蓋、15は係止手段、16はゴムひも、17はリング、18はゴムひもである。
また、100は天幕屋根の垂直な側面、100aは天幕屋根の天頂部、100bは突出部、100cは天幕屋根の凸部、100dは天頂部側面、200は骨組の側面、200aは骨組の天頂部、200bは骨組の凸部である。
本発明の横風対応型野外テントは、第1図(a)〜(d)の本発明実施例の構成を示す斜視図及び第2図の本発明の第1の実施例の説明用斜視図に示すように、上部に天幕屋根を有する外周開放形の野外テントであり、天幕屋根は天幕1と骨組2で構成され、前記天幕屋根は、左右の垂直な側面100が台形で天頂部100aが平坦で前後面が下方へ広がる斜面である天幕1であり、前記天幕1を支える左右の側面200が台形骨組と同台形骨組間に台形骨組の角部に両端を固定して横架される4本の架橋骨組(棟木3)とで構成される横設四角柱状の骨組2とで構成されている。
そして、前記側面200が台形骨組をなす天幕屋根の骨組2は、その天頂部200aはいずれも金属パイプ製の2本又は3本の棟木3(第5図参照)と2本の梁4で構成され、屋根の底部はいずれも金属パイプ製の2本の軒桁6と2本の妻桁7とで構成されている。
また、棟木3と梁4で構成される前記屋根天頂部200aの骨組と、軒桁6と妻桁7で構成される前記屋根底部の骨組とは、金属パイプ製の垂木5によって結合されている。
さらに、前記天幕屋根の骨組2は、複数本(4本以上)の支柱8で支えられ、屋根の骨組2と支柱8とは、筋交い9で結合されている。
以下に、本発明の横風対応型野外テントの実施例を詳細に示す。
【実施例1】
第1図(a)の本発明の第1の実施例の構成を示す斜視図に示す本発明の実施例は、いずれも金属パイプ製の棟木3、梁4、垂木5、軒桁6、妻桁7、及び支柱8を組み立てて構成した骨組2に、垂直な側面100が台形で天頂部100aが平坦で前後面が下方へ広がる斜面からなる天幕1を被せて構成されている。
なお、骨組2の組み立てに関しては、第11図の骨組の組み立て方法を示す図にあるように、天頂部の棟木3と梁4、垂木5の組み立ては第11図(a)に示した手段で、また屋根底部の軒桁6、妻桁7及び垂木5の支柱8への取り付けは第11図(b)に示した手段で、どちらも従来から用いられている手段で行える。
そして、側面100が台形をなす天幕屋根の骨組2及びこの屋根の骨組を支える支柱8が、それぞれの結合部に適合した組立手段により組立、解体自在に構成される。
なお、筋交い9は、その一端が支柱8に常時係止され、野外テント組立時に他の一端を軒桁6、及び妻桁7に係止させる構成とすることにより、天幕屋根と支柱8との結合を強化し、野外テントの倒壊を防止する役割を担う。
また、上記構成により天幕屋根の垂直な側面100を台形骨組とし天頂部100aを平坦にかつ前後面が下方へ広がる斜面としたことから、第9図の本発明の垂直な側面100が台形骨組で天頂部100aが平坦な天幕1の屋根の横風対応型野外テントの高さh1と、従来の切り妻屋根1’の野外テントの高さh1’を比較した模式図に示すように、従来の切り妻屋根1’の天幕屋根に比べて、本発明の天幕1の屋根は、その高さh1を70〜20%に減じることができ、突然の強い横風に対応できるばかりか、より奥行きの広いテントの構築が可能になるなどの効果が期待できる。
なお、第3図(a)の本発明の第1の実施例の他の例の骨組の斜視図及び、第3図(b)の本発明の第1の実施例の他の例の補強材の斜視図に示すように、骨組2の天頂部200aの2本の棟木3、3の間に1又は複数本の補強材(梁)10を架設して天幕1(第1図(a)参照)を支え、天幕1の垂れ下がりを抑制することが好ましい。
これは、第1図(a)及び第2図に示す実施例1の横風対応型野外テントは、天幕屋根の天頂部100aが平坦なため、雨天の際その天頂部分に雨水がたまり天幕が垂れ下がる恐れがあるためであり、第3図(a)に示す第1の実施例の他の例に示すように、補強材(梁)10を架設することにより、雨水がたまることを防止するとともに、野外テント全体の強度を付加することができるものとなる。
なお、前記補強材(梁)10としては、第3図(b)の第1の実施例の他の例の補強材の斜視図に示すような、両端に棟木3の金属パイプに係止するフック10aを有する軽金属製の中空角材等が提案される。その結果、あらかじめ棟木3に補強材(梁)10を装着するための金具等を準備しておく必要がなく、しかも必要に応じて容易に装着できるので特に好ましいものといえるが、もちろん、ボルトや金具等によって固定することもできる。
【実施例2】
第1図(b)は、本発明の第2の実施例の構成を示す斜視図であり、第1図(b)に示す第2の実施例の横風対応型野外テントは、側面100が台形をなす天幕の平坦な天頂部に雨水がたまるのを防ぐため、該天頂部に1又は複数本の補強材(棟木)11(第4図(a)参照)を背部11bを上方に突出させた状態で架設して構成されている。
第4図(a)は、本発明の第2の実施例の骨組の斜視図、第4図(b)は第2の実施例の補強材の斜視図である。
前述のように、実施例1の横風対応型野外テントでは天幕屋根の天頂部100aが平坦なため、雨天の際その天頂部分に雨水がたまり天幕1が垂れ下がる恐れがある。
そこで第4図(a)に示した第2の実施例のように、骨組の天頂部200aの2本の梁4、4の間に1又は複数本の補強材(棟木)11を背部11bを上方に突出させた状態で架設して天幕1(第1図参照)を支え、天幕1の垂れ下がりを抑制することが好ましい。
前記補強材(梁)11としては、第4図(b)の第2の実施例の補強材の斜視図に示すような、両端に梁4の金属パイプに係止するフック11aを有する軽金属製の長尺材等が提案される。その結果、あらかじめ梁4に補強材(棟木)11を装着するための金具等を準備しておく必要がなく、しかも必要に応じて容易に装着できるので好ましい。もちろん、ボルトや金具等によって固定することもできる。
このように、補強材(棟木)11の背部11bを上方に突出させた状態で架設し、天幕1を骨組2に被せることにより、第1図(b)に示すごとく、天幕1の天頂部100aには、突出部100bが形成される。
前記突出部100bの形成により、天幕1の天頂部100aに雨水がたまることを防ぐことができる構成となる。
また、第10図は、本発明の垂直な側面100が台形で天頂部100aが平坦な天幕1の屋根の横風対応型野外テントと、従来の切り妻屋根の天幕1’の野外テントと、第2の実施例の横風対応型野外テントの高さ(突出部100bの頂点)を比較した模式図であるが、従来の切り妻屋根の天幕1’の野外テントの高さh1’と比べて、第2の実施例の横風対応型野外テントの高さh1bは、天頂部100aが平坦な天幕1の屋根の横風対応型野外テントの高さh1と同様に70〜20%に減じることができ、前記の雨水がたまることが防ぐことができるだけでなく、突然の強い横風に対応でき、かつより奥行きの広いテントの構築が可能になるなどの効果が期待できるものとなっている。
【実施例3】
第1図(c)は、本発明の第3の実施例の構成を示す斜視図であり、第1図(c)に示す第3の実施例の横風対応型野外テントは、側面100が台形をなす天幕1の平坦な天頂部100a(第1図(a)参照)に雨水がたまるのを防ぐため、該天頂部100aに凸部を設け、同天頂部側面100dが三角形を形成して構成されている。
第5図(a)は、本発明の第3の実施例の骨組の斜視図であるが、前述のように、実施例1の横風対応型野外テントでは天幕屋根の天頂部100aが平坦なため、雨天の際その天頂部分に雨水がたまり天幕1が垂れ下がる恐れがあるので、第5図(b)に示すように、骨組2の側面200の上辺に凸部200bを設け、三角形200cを形成し、同骨組2の左右の側面200の三角形200cの天頂部200dに棟木3(第5図(a)参照)を横架することにより、第5図(a)に示すように、骨組の天頂部200aに凸部200bを形成して、天幕1(第1図(c)参照)を支え、雨水等による天幕1の垂れ下がりを抑制する構成となっている。
【実施例4】
第1図(d)は、本発明の第4の実施例の構成を示す斜視図であり、第1図(d)に示す第4の実施例の横風対応型野外テントは、前記実施例3の横風対応型野外テントの天幕屋根に、複数の穴が隣接配置された通風口13が配設され、かつ前記通風口13に、その外面部にシート状の蓋14が、その上端縁を天幕屋根の天頂部100aの中心部付近に逢着、糊着け等して固着され、同蓋14の他の端縁は1又は複数の中程度の固定力を発現する係止手段15によって、通風口13に隣接する天幕端縁部に係止されて形成され、突風又は強風を受けると前記蓋14が自動的に開口し、天幕1が吹き飛ばされないように構成されているものである。
上記、第4の実施例で構成される横風対応型野外テントは、第6図の本発明の第4の実施例の説明用斜視図に示すように、横風(矢印)が吹いた場合に、風が通風口13を通り、シート状の蓋14を押し上げて抜けていく構成となっており、横風による天幕屋根に係る吹き上げ力を低減することができるものとなっている。
なお、前記通風口13は、本実施例においては、複数の円形で形成されているが、その形状は円形に限定されるものではなく、また1又は複数個で形成し、そして、前記通風口13の外面部に配置されるシート状の蓋14も1又は複数個で形成することができるものであり、これらは、天幕屋根に係る吹き上げ力を低減できる充分な通気性を有するものであればよい。
なお、複数個の通風口13を形成する場合には、隣接配置された穴と穴の間に残された天幕屋根の部分が、天幕屋根の強度を保持し得る形状、本数及び幅を持ち、かつ前記通風口13の総面積が、突風又は強風を受けたときに前記蓋13が開口し得る大きさを有するように形成する。
また、シート状の蓋14は、防水処理されたもので構成することが好ましい。
そして、前記シート状の蓋14は、天幕1と同様の素材、例えば帆布製で構成されることが好ましい。
また、本発明の第4の実施例の横風対応型野外テントにおけるシート状の蓋14の端縁は、1又は複数の中程度の固定力を発現する係止手段15によって、通風口13に隣接する天幕短縁部に係止されるがことが好ましい。
なお、前記係止手段15としては、通風口13に隣接する天幕端縁部に一部をフリーに残して係止するものや、面ファスナーを用いたもの、磁石の吸着力によるもの、あるいは第7図(a)の第4の実施例の係止手段の説明用斜視図に示すような蓋14の下部両端をゴムひも16を介して係止するもの、第7図(b)の第4の実施例の係止手段の説明用斜視図に示すような蓋14の下部両端又は通風口13の下部両隅付近の天幕1に固着された紐、金属、プラスチック等のリング17に挿通され、通風口13の下部両端付近の天幕1又は前記蓋14の下部両端部の2点にその両端が固着されたゴムひも18を介して係止する手段などが挙げられる。前記ゴムひも18は、突風又は強風によって前記蓋14が通風口13から風圧を逃すのに必要な高さまで吹き上がる長さを持たせて取り付けることが好ましい。
また、突風又は強風によって浮き上がった蓋14が、めくれ上がったまま通風口13が閉じない状況になるのを防止するためにも、前記蓋14の下部両端をゴムひも16を介して天幕に係止したり、その下部両端又は通風口13の下部両隅付近の天幕に固着された紐、金属、プラスチックス等のリング17に挿通され、通風口13の下部両隅付近の天幕又は前記蓋14の下部両端部の2点にその両端が固着されたゴムひも18を介して係止したりするのも有効である。
その他、第8図の第4の実施例の係止手段の説明用斜視図に示すように、シート状の蓋14の左右端縁部が、通風口13の左右端縁に折りひだによって伸縮自在に構成された防水シート19を介して固着され、前記蓋14の開口時に通風口13の左右端からのテント内への雨水の流入を防止できるように構成する方法なども挙げられる。
本実施例における通風口13と通風口13を覆う蓋14との面積比は、雨天時に突風又は強風によって前記蓋14が吹き上げられた場合の雨水の流入具合を考慮して定められるが、前記の第8図に示すような、シート状の蓋14の左右端縁部を、折りひだによって伸縮自在に構成されたプリーツ状の防水シート19を介して天幕1に固着し、前記蓋14の開口時に通風口13の左右端から雨水の流入を効果的に防止する手段などを採用することが好ましい。
また、前記複数の通風口13はすべて同一形状、同一面積である必要はなく、天幕1と蓋14との係止手段15による固定力も同一である必要はなく、突風又は強風がテント内に吹き込んだとき、その風圧の大小によって蓋14が自動的かつ効果的に開口する形態であればよい。
なお、第1図(d)に示す本発明の第4の実施例は、前記実施例3の横風対応型野外テントの天幕屋根に、複数の穴が隣接配置された通風口13が配設され、かつ前記通風口13に、その外面部にシート状の蓋14が、その上端縁を天幕屋根の天頂部100aの中心部付近に逢着、糊着け等して固着され、同蓋14の他の端縁は1又は複数の中程度の固定力を発現する係止手段15によって、通風口13に隣接する天幕端縁部に係止されて形成されているが、前述の実施例1の横風対応型野外テントや、実施例2の横風対応型野外テントにも同様に、1つの穴からなる通風口又は複数の穴を隣接配置して通風口13を配設し、かつ前記通風口13に、その外面部にシート状の蓋14を、その上端縁を天幕屋根の天頂部100aの中心部付近に逢着、糊着け等して固着し、同蓋14の他の端縁を1又は複数の中程度の固定力を発現する係止手段15によって、通風口13に隣接する天幕端縁部に係止されて形成することができ、突風又は強風を受けると前記蓋14が自動的に開口し、天幕1が吹き飛ばされないように構成することができる。
また、第1図(d)に示す本発明の第4の実施例においては、複数の通風口13を天頂部100a近傍に配置したが、横風対応型野外テントの設置場所や使用環境によっては、天幕屋根の左右の垂直な側面に通風口13を配設し、シート状の蓋14を固着することもできる。
ここで、本発明の横風対応型野外テントに関し、第12図にテント吹き上げ力の対比表、第13図に、風上側吹き上げ力の対比表を示す。
前記対比表は、従来より使用されている左右の垂直な側面が三角形をなす切り妻屋根の野外テント(在来型切り妻屋根タイプ)と、上記実施例3の左右の垂直は側面が台形で、天頂部に凸部が設けられ同点頂部側面が三角形をなす野外テント(台形屋根タイプ:シート蓋なし)と、上記実施例4の左右の垂直は側面が台形で、天頂部に凸部が設けられ同点頂部側面が三角形をなし、複数の通風口13が天頂部近傍に配置された横風対応型野外テント(台形屋根タイプ:シート蓋あり)を、それぞれ風速5〜20m/sの場合に関し、テント吹き上げ力及び風上側吹き上げ力を算定し、テント吹き上げ力に関しては改善率を、風上側吹き上げ力に関しては、転倒性における転倒(NG)、耐転倒(OK)を表している。
算定の前提条件としては、
1.テントを仮設建築物とし、建築基準法施行令第87条による風圧力算定(風速については本検討用に別途定める)を適用する。
2.テントの設営は地上に配置し、四隅をアンカーで地面に打ち込んで固定しているものとする。
3.テントの自重は80kg、アンカー1本の引抜き耐力は20Kgとする。
4.テントの耐転倒性検討においては、柱・梁等の個々の部材及び接続部の強度は充分に確保されているものとする。
5.部材等の破壊より先に風圧によるテント自体の浮上り・転倒が発生するものとする。
6.一方向のみの風を対象とし、ビル風等複合的な風に対しての風圧力及び耐転倒性は考慮しない。
7.速度圧は建築基準法施行例第87条、建設省告示第1454号に基づいて算定し、地表面粗度区分はIIとして計算する。
・風速5m/S:速度圧27N/m
・風速6m/S:速度圧38N/m
・風速7m/S:速度圧52N/m
・風速8m/S:速度圧68N/m
・風速9m/S:速度圧86N/m
・風速10m/S:速度圧107N/m
・風速11m/S:速度圧129N/m
・風速12m/S:速度圧154N/m
・風速13m/S:速度圧180N/m
・風速14m/S:速度圧209N/m
・風速15m/S:速度圧240N/m
・風速16m/S:速度圧273N/m
・風速17m/S:速度圧308N/m
・風速18m/S:速度圧345N/m
・風速19m/S:速度圧385N/m
・風速20m/S:速度圧426N/m
テント吹き上げ力は、第12図のテント吹き上げ力の対比表に示す通り、在来型切り妻屋根タイプに係るテント吹き上げ力が最も大きく、続いて台形屋根タイプ(シート蓋なし)に係るテント吹き上げ力が大きく、台形屋根タイプ(シート蓋あり)に係るテント吹き上げが最も小さいことがわかる。
改善率は、在来型切り妻屋根タイプと比較し、台形屋根タイプのシート蓋なしで、74.5%、シート蓋ありにおいては、72.4〜66.0%となり、およそ45%程度、吹き上げ力が低減することがわかる。
また、風上側吹き上げ力に関しても、第13図の風上側吹き上げ力の対比表に示す通り、在来型切り妻屋根タイプに係るテント吹き上げ力が最も大きく、続いて台形屋根タイプ(シート蓋なし)に係るテント吹き上げ力が大きく、台形屋根タイプ(シート蓋あり)に係るテント吹き上げが最も小さいことがわかる。
そして、在来型切り妻屋根タイプが風速10m/sで転倒(NG)となるのに比し、台形屋根タイプ(シート蓋なし及びシート蓋あり)の場合には、風速13m/sで転倒(NG)するということがわかる。
【産業上の利用可能性】
本発明により次のような効果が期待できる。
1.本発明の横風対応型野外テントによれば、天幕の垂直断面積が減少するので、横風によって受ける風圧が減少し、突然の強い横風にも対応可能な野外テントが実現できる。
2.本発明の横風対応型野外テントによれば、テント高を低く抑えられるので、安全性の高い、奥行きの長い、床面積の大きいテントの構築が可能になる。
3.本発明の横風対応型野外テントによれば、テント高を低くできるので、橋梁下の河川敷など上部に構造物が存在し通常の野外テントでは使用できない場所における野外テントの使用機会が増加する。
4.本発明の横風対応型野外テントによれば、テント内に突風や強風が吹き込んだとき、天幕屋根に隣接配設した1又は複数の穴からなる通風口、及び側面に設けた通風口の外面部を覆う蓋が自動的に開口することにより、突風又は強風によるテントの倒壊や浮き上がりが防止でき、これに伴う人への危害の虞が減少する。
5.通風口の蓋の左右端縁が、折りひだによって伸縮自在に構成されてなる防水シートを介して天幕に固着される横風対応型野外テントにおいては、通風口開口時に通風口左右端からの雨水の流入が防止できる。
6.複数の穴と穴の間に残された天幕部分の張力が、天幕の形状を維持するので、通風口付近の天幕が垂れ下がるなどといった不都合が生ぜず、かつ通風口外面部に設けた蓋の天幕内への陥入も防止できる。


【図2】




【図6】


【図8】

【図9】

【図10】


【図12】

【図13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に天幕屋根を有する外周開放形の野外テントにおいて、天幕屋根が、左右の垂直な側面が台形で天頂部が平坦で前後面が下方へ広がる斜面である天幕と、該天幕を支える左右の側面が台形骨組と同左右の台形骨組間に台形骨組の角部に両端を固定して横架される4本の架橋骨組とで構成されてなることを特徴とする横風対応型野外テント。
【請求項2】
上部に天幕屋根を有する外周開放形の野外テントにおいて、天幕屋根が、左右の垂直な側面が台形で天頂部が平坦で前後面が下方へ広がる斜面である天幕と、該天幕を支える左右の側面が台形骨組と同左右の台形骨組間に台形骨組の角部に両端を固定して横架される4本の架橋骨組とで構成されてなる横風対応型野外テントであって、
前記天幕屋根に、1つの穴からなる通風口又は複数の穴を隣接配置されてなる通風口を1又は複数個配設し、かつ前記通風口に、その外面部に1枚又は複数枚のシート状の蓋を、その上端縁をテントの天頂部の中心部付近に逢着、糊着け等して固着し、同蓋の他の端縁は1又は複数の中程度の固定力を発現する係止手段により通風口に隣接する天幕端縁部に係止してなり、突風又は強風を受けると前記蓋が自動的に開口し、天幕が吹き飛ばされないようになしたことを特徴とする横風対応型野外テント。
【請求項3】
側面が台形をなす天幕の平坦な天頂部に雨水がたまるのを防ぐため、該天頂部に1又は複数本の補強材を背部を上方に突出させた状態で架設してなることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項のいずれかに記載の横風対応型野外テント。
【請求項4】
側面が台形をなす天幕の平坦な天頂部に雨水がたまるのを防ぐため、該天頂部に凸部が設けられ同天頂部側面が三角形をなすことを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項のいずれかに記載の横風対応型野外テント。
【請求項5】
側面が台形をなす天幕屋根の骨組が、その天頂部はいずれも金属パイプ製の2本又は3本の棟木と2本の梁とで、また屋根の底部はいずれも金属パイプ製の2本の軒桁と2本の妻桁とで構成され、前記屋根天頂部の骨組と前記屋根底部の骨組とが金属パイプ製の4本の垂木によって結合されてなることを特徴とする請求の範囲第1項〜4項のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
【請求項6】
側面が台形をなす天幕屋根の骨組及びこの屋根の骨組を支える支柱が、それぞれの結合部に適合した組立手段により組立、解体自在に構成されてなることを特徴とする請求の範囲第1項〜5項のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
【請求項7】
隣接配置された穴と穴の間に残された天幕屋根の部分が、天幕屋根の強度を保持し得る形状、本数及び幅を持ち、かつ前記通風口の総面積が、突風又は強風を受けたときに前記蓋が開口し得る大きさを有することを特徴とする請求の範囲第2項〜第6項のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
【請求項8】
シート状の蓋が、防水処理されてなるものであることを特徴とする請求の範囲第2項〜第7項のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
【請求項9】
シート状の蓋が、天幕と同様の帆布製のものであることを特徴とする請求の範囲第2項〜第8項のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
【請求項10】
蓋の係止手段が、通風口に隣接する天幕端縁部に一部をフリーに残して係止されてなるものであることを特徴とする請求の範囲第2項〜第9項のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
【請求項11】
天幕屋根に設けた蓋が、その下部両端をゴムひもを介して係止されてなることを特徴とする請求の範囲第2項〜第10項のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
【請求項12】
天幕屋根に設けた蓋が、その下部両端又は通風口の下部両隅付近の天幕に固着された紐、金属、プラスチック等のリングに挿通され、通風口の下部両端付近の天幕又は前記蓋の下部両端部の2点にその両端が固着されたゴムひもを介して係止されてなることを特徴とする請求の範囲第2項〜第10項のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。
【請求項13】
シート状の蓋の左右端縁部が、通風口の左右端縁に折りひだによって伸縮自在に構成された防水シートを介して固着され、前記蓋の開口時に通風口の左右端からのテント内への雨水の流入を防止できるようになしたことを特徴とする請求の範囲第2項〜9項のいずれか1項に記載の横風対応型野外テント。

【国際公開番号】WO2004/059106
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【発行日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562960(P2004−562960)
【国際出願番号】PCT/JP2003/017028
【国際出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【出願人】(502386422)
【出願人】(503008985)
【Fターム(参考)】