説明

樹脂によりプレプレグする方法およびその方法により製造される新規なプレプレグ

実質上気孔を有しないプレプレグを形成する方法が開示される。本発明の方法によれば、強化材料は含浸用樹脂の温度より上の温度まで加熱される。形成されるプレプレグは実質上気孔を有しないし、そして有用な製品に成形されるとき長時間の圧密を必要としない。

【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
この発明は繊維強化された組成物と製品およびそのような組成物と製品を製造するための方法に関する。
【0002】
特に、本発明は繊維のような強化材料を樹脂またはポリマーの材料と共に、特に熱可塑性樹脂またはポリマー組成物と共にプレプレグする装置および方法、およびそのような装置または方法により製造されたプレプレグを提供する。本発明はさらにそのようなプレプレグを使用して高度に望ましい諸特性を有する製品を成形する方法およびそれにより製造される製品を提供する。
【0003】
(発明の背景および要約)
強化された熱可塑性および熱硬化性材料は、例えば、航空宇宙、自動車、工業的/化学的、およびスポーツ用品産業において広い用途を有する。熱硬化性樹脂は硬化の前に、その樹脂材料の粘度が低い間に、強化材料の中に含浸される。熱可塑性樹脂組成物は、対照的に、比較的より高い粘度のために強化材料の中に含浸させることがより難しい。他方において、熱可塑性樹脂組成物は熱硬化性組成物以上に多数の利点を提示する。例えば、熱可塑性プレプレグは製品に加工することがより容易である。他の一つの利点は、そのようなプレプレグから成形された熱可塑性製品はリサイクルされることができよう。さらに、広範な多様の特性が熱可塑性マトリックスの適当な選択により獲得されることができよう。
【0004】
繊維強化されたプラスチック材料は、最初に繊維強化材を樹脂で含浸させてプレプレグを作り、次に2本以上多くののプレプレグを圧密させて、場合により追加の成形工程と共に、積層品にする。圧密は通例として、樹脂が繊維束、トウ、またはロービングから、繊維を樹脂で含浸させるために従来使用された工程の間に、空気を十分に追放することができない結果から生じる気孔を除くために必要である。個別に含浸させられたロービングヤーン、トウ、プライ、またはプレプレグの層は通常熱と圧力により、または減圧バッグ成形およびオートクレーブ中での圧縮によるように熱と真空と共に、圧密させられる。圧密工程は一般に高熱におけるおよび比較的長い時間の非常に高い圧力または真空の適用を必要としてきた。またはその代わりに、プレプレグ繊維束は細かく切られるかまたはペレット化されてから、次に成形または押出し工程において、他のポリマー材料または強化材と共にまたはなしで、使用されて成形品または押出し品を製造する。
【0005】
過去において、熱可塑性組成物は、それが強化材料を含浸させるために使用される前にその組成物の粘度を低下させるため、通例として加熱され、スラリー化され、混合され、または溶媒、可塑剤、またはその他の低分子量物質により希釈された。これらの方法は重大な短所により不利を招いた。粘度を低くするために溶媒を使用する場合に、その溶媒は含浸工程の後で排除されなければならないので、その過程において一つの追加工程並びに好ましくない排出物を結果として生ずる。さらに、望みの熱可塑性組成物は望ましい希釈剤の中に不溶であるかまたは不相溶であることがある。
【0006】
熱可塑性マトリックス組成物を、その粘度が繊維の満足な含浸のため十分に低い温度にまで加熱する場合に、その樹脂の加熱帯域内の滞留時間は望みの機械的特性における付随する低下を伴う樹脂の劣化を結果することがある。さらに、樹脂の分子量は、含浸工程を有利にするため最終製品の諸特性のために望まれるものよりも低く保たれる必要があるであろう。最後に、上述のように、強化材料のな中に熱可塑性樹脂を含浸させるための既知の方法は、最良の物理強度およびその他の特性を発展させるためおよび圧密の間にまたはそれ以後の工程、例えば、仕上げ過程、におけるガス発生を最小化するか排除するために高温高圧におけるプレプレグ材料の長時間の圧密を必要とした。圧密の間のガス発生は積層物の中に気孔を結果として発生させ、それは機械的特性に不利な影響を与えることのある微小亀裂または早期離層の原因となることがあり得る。コーティング工程の間のガス発生は支持体または被覆内にピンホール発生またはポッピングを引き起こす傾向があり、そして望ましくない粗いそして傷ついた表面まちは仕上げを結果としてもたらす。
【0007】
Cogswellらの米国特許第5,213,889号、第5,019,450号、第4,559,262号、および第4,549,920号明細書(これらのすべては参考としてここに引用されている)は熱可塑性樹脂により繊維の含浸は、(1)十分に低い溶融粘度(30Ns/m以下、表1は30Ns/m限界が近づくに従ってますます貧弱になる繊維の湿潤を示す)、(2)溶融ポリマー浴内に、外部加熱入力のあるスプレダーを有し、そのスプレダーに近接するポリマーを比較的高い温度に加熱すること、(3)低速度の処理量(表2は、36cm/分に比較して、60cm/分において著しく低下した繊維の湿潤を示す)、および(4)溶融ポリマー浴内の繊維の長い滞留時間(例1および5に示されている滞留時間は30秒である)、の条件を要求することを教示している。熱可塑性樹脂の慣用等級(即ち、熱可塑性材料から製品を成形する際に一般に使用する分子量を有する)は、特許権所有者の例4に示されるように、Cogswell法において繊維を十分に浸潤させることができない。
【0008】
本発明は可能な最高の強さを達成するためおよびそれから成形される製品においてその他の物理的特性を最適化するためにより高い分子量のポリマーを使用してプレプレグを形成する能力を提供する。さらに、本発明の方法は従来の方法よりも低いコストでありかつより効率的であるが、それは本発明の方法がより早い処理速度および溶融ポリマー浴内のより短い滞留時間を可能にするからであり、また同時にその中で繊維が実質上完全に湿潤されるプレプレグを製造するからである。
【0009】
他の一つの既知の方法において、Cogswellらの米国特許第4,783,349号、第4,735,828号、および第4,624,886号明細書(これらのすべては参考としてここに引用されている)は熱可塑性含浸用樹脂の溶融粘度を低下させるために低分子量の可塑剤を使用する。その繊維束のフィラメントは溶融ポリマー浴に入る前に、可塑剤で予備湿潤される。前記溶融ポリマー浴はさらに一つの金属可塑剤を含むことがある。可塑剤は、それが最終製品において望ましくない場合には蒸発により除去される。かくして、高い強度およびそのために可塑化が望ましくないその他の物理的特性を有する材料の製造は予備湿潤のみならず蒸発またはさもなくば含浸の後に可塑剤の抽出の工程を必要とする。この方法はまた強化繊維の織物のために例示されており、そして特許権所有者達はその方法が繊維を引っ張る形で著しい機械的作業の投入を必要としないことを教示している。Cogswellらは米国特許第4,541,884号明細書(これは参考としてここに引用されている)で、可塑剤が溶融浴の粘度を低下させるために溶融熱可塑性ポリマー浴中に混入される方法を教示している。可塑剤はその後の加工工程においてプレプレグから蒸発される。
【0010】
多くの用途において、例えば、比較的高い引張強さが重要である場合、ポリマーを可塑化することは望ましくない。さらに、トウまたは繊維束を可塑剤で含浸させてから、含浸工程の後に可塑剤を蒸発または抽出する余分の工程は費用を加えかつ製造方法を煩わしくする。
【0011】
Cochranらの米国特許第5,236.646号明細書(これは参考としてここに引用されている)は、大気圧の下約28インチHgまでの真空および樹脂の融点より上の温度を使用する方法は約100〜300psiの高い圧密圧力を使用する方法に比較して圧密のためにより短い時間を必要とすることを開示している。しかし、その圧密工程はなお真空下で60分までまたはそれ以上の滞留時間を必要とする。
【0012】
プレプレグパイルを適当に圧密するために通例として必要な時間の長さはその部分の生産速度を決定するので、最小量の時間で最良の圧密を達成することは望ましいことであろう。さらに、より低い圧密圧力または温度およびより短い圧密時間は、成形品1個当たりのエネルギーの低められた消費のためにより低廉な生産およびその他の製造上の利益を結果としてもたらすであろう。
【0013】
本発明はプレプレグを製造するための新しい方法、そのような方法により製造される新規なプレプレグ、および前記の方法の上に著しい利益を与える強化材料の製品を提供する。本発明による方法において、強化材料は樹脂またはポリマーマトリックス組成物により含浸させられる前に加熱される。強化材料が加熱される温度は、そこで含浸が行われる樹脂マトリックス組成物の温度よりもかなり高い。強化用繊維の高い温度は、従来既知の方法に比較して、樹脂浴内の滞留時間を大いにより短くすること、およびプレプレグ材料の生産速度を大いにより速くすることを可能にする。本発明の方法に従って製造される含浸されたロービングまたはトウは実質上気孔(ボイド)を有しないので、従って他の方法により形成されるプレプレグのために必要な長い圧密過程なしに気孔を有しないかまたは本質的に気孔を有しない望みの製品に速やかにかつ容易に成形されることができる。言い換えると、ロービング束は本発明のプレプレグの中で完全に、または実質上完全に、湿潤される。製品の成形において起こらなければならない唯一の過程は含浸された束の間の融合であり、そして従来の技術の方法よりも著しく減少されるそのような成形作業の間の温度、圧力、および/または時間を使用することができる。
【0014】
本発明はまた本発明のプレプレグを使用して成形品を作る方法も提供する。
【0015】
(詳細な説明)
本発明の方法は、ある繊維またはその他の強化材料を初期温度に加熱すること、その加熱された強化材料を溶融樹脂組成物と接触させて、その接触の間繊維または強化材料は加えられた剪断力の下にあり、プレプレグを形成すること、および、場合により、さらにそのプレプレグを望みの形に成形すること、を含む。本発明はさらに非常に気孔の少ないまたは実質上気孔を有しないプレプレグを提供するものであり、そのプレプレグは現在当業界に知られているプレプレグよりも速やかにかつ容易に望みの製品に成形されることができる。気孔の存在はそのプレプレグまたは製品の密度を測定し、その中で繊維が完全に湿潤されいるものであるプレプレグに期待される密度に比較することにより、また顕微鏡の助けによる目視観察により決定または測定されることができよう。本発明のプレプレグ中の繊維は従って実質上または完全に湿潤されている。強化材料が「実質上湿潤されている」、またはプレプレグが「実質状気孔を有しない」と言うことにより、その繊維の湿潤度が100%に近いこと、および好ましく少なくとも約95%であること、より好ましくは少なくとも約98%であること、そしてさらにより好ましくは少なくとも約98%であること、を意味する。本発明に従って造られたプレプレグの湿潤度は通常100%である。
【0016】
ここで使用されるとき用語「プレプレグ」とは、好ましくはある複合材料、それが棒、綱、繊維、ロービング、ストランド、トウ、シート、またはその他の形をしているに係わらず、樹脂組成物により含浸させられた強化用繊維またはその他のそのような支持体を包含する複合材料のことを言う。本方法は、その樹脂が熱可塑性樹脂であるとき特に有用であり、特により高い分子量のおよび/またはより高い溶融粘度の熱可塑性ポリマーについてそうであり、それらはより低い分子量のポリマーから得られるものより高い強度および靱性の製品を成形するために望まれる。本発明は熱硬化性組成物のために特に有利であり、望みの加工温度におけるその組成物の粘度がさもなければ加工を困難にするかまたは樹脂の劣化をもたらす場合に有利である。例えば、本方法は、プレプレグ化の間に真の熱可塑性材料のそれに似た行動を示すいわゆる「疑似熱可塑性」材料のために特に適する。本発明の方法はまた、そのような部分的硬化が最終製品を成形する前に望ましい場合に熱硬化性材料の部分的硬化を起こさせるであろう温度に強化材料を加熱するためにも有利である。最後に、本発明は、他のプレプレグ化方法のため適当な樹脂粘度を作りだすために必要な温度において短い「ポットライフ」を有する熱硬化性組成物のための熱硬化性プレプレグ化の方法を含む。「ポットライフ」は、その間にある熱硬化性組成物が硬化する前に(即ち、橋かけにより増加する粘度がその組成物を加工できなくする前に)使用されることのある混合後の時間を述べる技術用語である。
【0017】
すべての種類の連続繊維材料またはその他のこれらの用途に一般に使用される強化材料は本発明の方法において使用されてよい。またロービング束またはトウが含浸される前に成形される、例えば、テープに平らにされることもできる。有用な繊維は、限定されないが、ガラス繊維、炭素および黒鉛繊維、ジュート、アラミド繊維を含むポリマー繊維、ホウ素フィラメント、セラミック繊維、金属繊維、アスベスト繊維、ベリリウム繊維、シリカ繊維、炭化ホウ素繊維などを含む。それらの繊維は伝導性であってよく、そして例えば、伝導性炭素繊維または金属繊維のような伝導性繊維は伝導性または静電荷消滅用途またはEMIシールドのための物品を製造するために使用されることができよう。「連続繊維材料」により、ある繊維製品において繊維またはフィラメントが十分に長くて破断することなく約0.25ポンド以上の張力に抵抗するため十分な強度をロービングまたはトウに与えること、そして好ましくはその方法を実行不可能にするほどしばしば破断することなく本発明の方法により含浸されることが意味される。ロービングまたはトウが破断することなく含浸システムを通して引っ張られるために十分な強度を有するために、その束の連続繊維の大多数は実質上その繊維が引っ張られる方向に横たわつていなければならない。無作為な方向に向けられた繊維もまた含むことがある、例えばある種のマットのような、強化材料の場合に、通常それらのフィラメントの少なくとも約50容量%は引っ張り方向に整列されるべきである。
【0018】
ガラス繊維は、特に、多数のいろいろな種類で、Eガラス、ECRガラス(化学的耐性のある改質Eガラス)、Rガラス、SガラスおよびS−2ガラス、Cガラス、および中空ガラス繊維を含めて、入手できる。多くの用途のために高モジュラスのガラス繊維が好まれるであろう。したがって、より多く好まれるからより少なく好まれるまでのガラス繊維の間の好みの順序はS−2、C、R、それからEである。市販の繊維の例はNenxtelTMセラミック繊維(3Mからの)、VectranTM(Hoechst−Celaneseからの)およびHo−llow−XTM(Owens−Corningからの)を含む。
【0019】
繊維フィラメントは通常は一定の均一な断面寸法の、ロービングまたはトウと呼ばれる、束に形成されている。それらの束の繊維は通常すべて同じ種類のものであるが、これは本方法に必須のものではない。それらの繊維は、本方法の実施を不可能にするほど頻繁に破断することなく本方法に使用されるため十分な完全状態をもって連続するロービングまたはトウを形成するため十分に長いものである。ロービングまたはトウにおけるフィラメントの数はいろいろであることができて、広範なフィラメントが当業界に知られたロービングの中に含まれる。市販のガラス繊維は8000本以上の連続ガラスフィラメントを含むことがであろう。ガラス繊維テープは6000本以上のフィラメントを含むことができる。ロービングはいろいろな太さのフィラメントを使用して形成されてよく、また、例えば、約5ミクロン〜約30ミクロンのフィラメント太さであってよいが、これに限定されない。本発明の方法に使用されることができる市販の標準のガラス材料は、限定されないが、125イールド〜3250イールドの束を含む。(イールドとはポンド当たりのガラスのヤードを言う。)一つの好ましい強化材料は675イールドのガラスロービングである。
【0020】
特定の含浸用マトリックス組成物のために、強化材は望みのプレプレグを製造するために適当な温度と剪断に耐えることができるものが選択されるべきである。特に、もしある繊維がサイジングまたは仕上げ材料により被覆されているならば、その材料は選択された加工温度において安定で繊維上に留まるものであるべきである。サイジングまたは仕上げ材料は、もし使用されるならば、慣行に従って選択されかつ適用されてよい。サイズ剤を施されない炭素のような繊維は機械特性を最適化するために若干の用途において有利に使用される。一つの好ましい実施態様において、ファイバーグラスフィラメントが熱可塑性樹脂により含浸される。ファイバーグラスフィラメントは通例としてサイジングまたは仕上げ材料により被覆される。使用されるサイジングまたは仕上げ材料はそのファイバーグラスが工程の間に加熱される温度に耐えることができるように選択される。一つの好ましいサイズ剤はOwens Corning 193/933である。
【0021】
本発明の好ましい方法において、 連続供給の連続繊維状強化材料が加熱され、そしてマトリックスポリマーまたは樹脂材料の溶融組成物の中に導入される。本発明の装置は従って、繊維状強化材料を加熱するためのヒーター、およびその中に溶融含浸用樹脂組成物が配置される容器を含む。好ましい実施態様において、その容器は、それを通り繊維状強化材料が容器に入る入口およびそれを通り繊維状強化材料が容器を出る出口を有する。ヒーターは、気孔を有しないかまたは実質上気孔を有しないプレプレグを製造するために十分である温度にある繊維状強化材料と共に容器への入口に繊維状強化材料を供給できるように配置される。繊維状強化材料がそれまで加熱される温度は従って含浸用樹脂をして繊維状強化材料を完全にまたは実質上完全に湿潤させるために十分である。特に、ヒーターは溶融マトリックス樹脂の温度の上の温度まで強化材料を加熱することができるものであり、そして好ましくは、そのヒーターは、容器の入口で測定されるとき、約350°Fの上の温度そして高くとも約800°Fまで強化材料を加熱することができるものである。好ましくは、強化材料は約392°F(200℃)以上、よりこのましくは約428°F(220℃)以上、さらにより好ましくは約446°F(230℃)以上、なおより好ましくは約473°F(245℃)以上に加熱され、そして、約500°F(260℃)以上のまたは約536°F(280℃)以上の温度さえも、含浸用ポリマーによって、好まれることがあろう。
【0022】
繊維材料は、繊維束との界面において繊維を完全に湿潤させるため十分に低い樹脂又はポリマーの粘度を与えるように溶融樹脂またはポリマーの温度より十分に高い温度であらねばならない。好ましい実施態様において、繊維材料は、溶融樹脂組成物の温度よりも少なくとも約75°F(42℃)高い温度に加熱される。さらにより好まれる実施態様は、そこにおいて繊維材料は、溶融樹脂組成物の温度よりも少なくとも約100°F(56℃)、なおより好ましくは約150°F(83℃)、そしてさらになおより好ましくは約200°F(111℃)高い温度にあるものである。本発明の実施において繊維材料は溶融樹脂組成物よりも約500°F(278℃)またはそれ以上まで熱くなってもよいことが判明している。また繊維の温度が溶融ポリマー浴の温度の上約75°F〜約200°Fであることも好まれる。本発明の用語「繊維温度」はオーブンを出た後の繊維の実際の温度のことを言い、そしてオーブンの温度ではない。繊維の実際の温度は通常オーブンの温度よりかなり低いであろう。従って、オーブンは短くそして望みの繊維温度よりもかなり高温であってよい、またはより長くそして望みの繊維温度により近くあってもよい。一つの好ましい実施態様において、オーブン温度は望みの繊維の温度よりも約100°F〜約1000°F熱く、そしてオーブンの長さは少なくとも約0.5秒の、好ましくは約0.5〜約10秒の、より好ましくは約1秒〜約3秒の、滞留時間を与える。
【0023】
繊維束、ロービング、トウ、テープ、またはその他の強化材料は含浸用樹脂マトリックス組成物の融点、軟化点、またはガラス転移温度(Tg)の上の選択された温度に加熱される。(これらの−融点、軟化点、またはTg −のどれをある特定の組成物は有するかは、その組成物が無定形または結晶性の含浸用樹脂含むかどうかのような、その組成物の特定の特徴にかかわるが、しかし本発明には決定的に重要でない。)繊維状強化材料がそれまで加熱される温度は気孔を有しないかまたは実質上気孔有しないプレプレグを製造するために十分なものである。繊維状強化材料がそれまで加熱される温度は従って含浸用樹脂をして繊維状強化材料を完全にまたは実質上完全に湿潤を起こさせるために十分なものである。本発明の好ましい実施態様において、強化材は少なくとも約25°F、好ましくは少なくとも約50°F、なおより好ましくは少なくとも約75°F、そしてさらにより好ましくは少なくとも約100°F、樹脂マトリックスの融点、軟化点、またはTg の上に、そして高くとも約500°Fまで、好ましくは約400°Fまで、特に好ましくは約350°Fまで、そしてさらにより好ましくは約300°Fまで樹脂マトリックスの融点、軟化点、またはTgの上に、加熱される。好ましい実施態様において、強化材料は約350°Fの上、そして約800°Fの下の温度に加熱される。強化材をそれまで加熱すべき特定の温度の選択において若干の考慮すべき点は、それが樹脂浴を通過しなければならない距離、それが浴を通して引っ張られる速度、浴中の樹脂の粘度、および強化材の表面に生ずるシヤーであろう。マトリックス樹脂がそのような温度にさらされる時間の長さは比較的短いので、ロービング束またはトウは、さもなくばマトリックス樹脂組成物の熱劣化を起こす温度さえも加熱されることができよう。
【0024】
繊維を加熱する手段は一般に決定的に重要ではない、そして材料を加熱するために一般に利用できるかなり多数の手段から選択されることができよう。そのような手段の特別の例は、限定されないが、輻射熱、誘導加熱、赤外線トンネル、オーブンまたは炉内の加熱、例えば、電気またはガス強制空気オーブンを含む。不十分な加熱はロービング束、トウ、またはその他の強化材の表面に望ましくない樹脂の団塊化を結果することがあろう。従ってロービング束が加熱される温度は、樹脂がフィラメントまたは繊維の間に流れてロービング束またはトウを十分均一に含浸させることを可能にするため十分であるべきである。本発明の方法は樹脂マトリックス組成物が、繊維束の表面に凝集する代わりに繊維束を含浸させることを可能にする。選ばれる特定の温度は当業者には自明であるような因子、例えば、使用される樹脂の特定の種類、繊維のデニール、および束の断面または大きさ、にかかわり、そして最終適用方法に従う直接の試験により最適化されることができる。好ましくは、強化材料は含浸用マトリックス組成物の温度の上に加熱される。本発明の方法の好ましい実施態様において、Owens Cor−ning 193/933サイジングにより被覆されたガラス繊維が約350゜Fの上そして約800°Fの下に加熱される。
【0025】
本発明の方法において使用されるマトリックス樹脂組成物は熱硬化性または、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物であることができよう。実際上熱加工方法、成型、押し出し、またはその他の方法、により製品に成形されるため適当なすべての熱可塑性樹脂は本発明の方法において使用されることができよう。例えば、そして限定されないが、次の熱可塑性材料は有利に使用されることができよう。アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アセタール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂(AN)、アリル樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、例えば、 Amoco Polymers Inc., Atlanta, GAより発売の商品名Xydarで販売されているもの、アミノ樹脂、メラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、グアニジン樹脂などを含めて、フェノール樹脂、ポリアミド、例えば、ポリ(テトラメチレン)アジパミドおよびポリフタラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブチレンホモポリマーおよびコポリマー、そしてその他の物質、例えば、無水マレイン酸、により改質されているようなポリマーを含めて、ポリカーボネート、ポリエステル、例えば、ポリアルキレンテレフタレート、限定されないが、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびポリエチレンテレフタレート(PET)を含めて、ポリイミドおよびポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイトのようなポリアリーレンサルファイト、ポリフェニレンサルファイドのようなポリアリーレンサルファイド、ポリビニル樹脂、限定されないが、ポリスチレン(PS)およびスチレンのコポリマー、例えば、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびポリビニルフェニレンクロライド、ポリウレタン、およびポリスルホン、限定されないが、ポリアリール−エーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリフェニルスルホンを含めて、などである。熱可塑性樹脂は、上は約750°Fまでにわたる融点、軟化点、またはTgを有することができよう。
2種以上の樹脂の混合物もまた使用される事ができる。好ましい熱硬化性樹脂組成物の例は、アミン、酸、または酸無水物により硬化するエポキシ、および不飽和により硬化するポリエステル、並びにビスマレインイミド、ポリイミド、およびフェノール樹脂を含む。
【0026】
マトリックス組成物は一種以上の添加剤、例えば、耐衝撃性改良剤、離型剤、潤滑剤、チキソトロープ剤、酸化防止材、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、顔料、着色剤、非繊維強化剤および充填剤、アイオノマーまたはマレイイン酸エステル化エラストマーのような耐衝撃性改良剤、およびそのたのそのような慣用の成分および添加剤、を含むことができよう。熱硬化性樹脂組成物の場合には、硬化反応のための触媒または開始剤が含まれると有利であろう。本発明の方法において使用される熱可塑性ポリマー組成物は可塑剤を含まないことが好ましい。
【0027】
浴容器は、例えば、タンク、チューブ、含浸ダイ、またはその他の樹脂と繊維状強化材料の両者を収容するため適当な大きさの容器であることができよう。好ましい実施態様において、個々のフィラメントの湿潤を助けるためそれを繊維束が通過する剪断機構が存在する。溶融ポリマー浴内にある間に、繊維状強化材料はその剪断機構を通過する。例えば、その容器は入口としてテーパー付きのダイ、出口としてサイジングダイ、および剪断機構として少なくとも一つのシヤーピン(剪断ピン)、
そして好ましくは少なくとも一対のシヤーピン、を有するタンクであることができよう。容器はさらに、それを通って圧力が溶融樹脂に、例えばピストンにより、かけられる開口を含むことができよう。他の一例において、容器は、繊維のための入口ダイ、樹脂のための入口、それを通って繊維が引っ張られる一対のシヤーピン、および出口を有する、含浸ダイであることができよう。それらのシヤーピンは約0.1インチ〜約1インチ、好ましくは約0.2インチ〜約0.5インチ、さらにこのましくは約0.25インチ、の半径を有することができよう。浴装置の個々の部材のいずれも加熱されることができるか、または熱を溶融樹脂組成物に伝えるために使用されることができよう。
【0028】
本発明の一態様において、加熱されたロービング束は溶融した含浸マトリックス樹脂組成物の浴を通って、好ましくはロービング束の中への樹脂の流れを助けるために十分な剪断作用を伴って、移動させられる。剪断作用はロービングをマトリックス樹脂浴の中に配置された二つの別に置かれたそして対立するピンを横切って移動することにより造りだされることができよう。剪断力は、繊維またはロービング束がこれらのピンの上をおよび回りを通過する間に繊維またはロービング束へ引張り力をかけることにより造りだされることができよう。それらのピンの分離を増すことにより、またはクリールの上の引張り力を、例えば、電磁ブレーキの助けにより、増すことにより、より大きな剪断作用が造りだされることができよう。シヤーピンは水平に並びに垂直に分離されることが好ましい。各方向の分離は少なくとも約0.2インチ、好ましくは少なくとも約0.5インチ、であることができよう。いずれかのまたは両方の方向における分離は好ましくは約0.5インチ〜約3インチであり、そしてさらに好ましくは約0.75〜約2インチである。繊維は本方法の装置(オーブンおよび溶融ポリマー浴を含む)を通して、少なくとも1/4ポントの張力でかつトウまたはロービングを余りにしばしば破断させて実行不能にさせない張力で引っ張られる。その張力は約2ポンド以上かつ約8ポンド以下であることがさらに好ましい。約3ポンド〜約5ポンドの張力が特に好ましい。一般に、剪断力は、樹脂の粘度が増すとき、増加されるべきである。好ましい実施態様において、繊維樹脂の劣化温度に近づく温度まで加熱される。高い温度においては、加熱された繊維と接触する樹脂の粘度は最小になるので、従って、その樹脂を通して繊維を移動させるために必要な剪断力は最小になる。好ましい実施態様おいて、シヤーピン(単数または複数の)は溶融樹脂の温度の上の温度まで加熱される。シヤーピンを加熱することはシヤーピンの直ぐ近くの樹脂組成物を加熱することになり、それによりその粘度を減少させ、そして繊維材料の含浸を助ける。シヤーピンを加熱することはまた同様に加熱された繊維を高温に保つことを助け、また繊維の実質上完全な湿潤を促進する。本発明の方法において使用される繊維材料の高い温度の故に、溶融樹脂組成物の粘度が例外的に高くなければ、一対より多くのシヤーピンを含も追加利益は通常ないであろう。
【0029】
溶融樹脂の粘度は繊維の実質的破壊なしに繊維材料による浸透を許すため十分に低くなければならない。しかし、その粘度はまったく高いことがあろう、そしてこの方法は大抵の熱可塑性材料により、例えそれが高い分子量を有するとしても、行われることができることが意図されている。他方において、溶融ポリマー組成物は非常に低い粘度、例えば、2パスカルまたはそれより低い、を有することもあろう。好ましい実施態様においては、しかし、一般により良い物理特性はより高い分子量と共に得られるために、溶融ポリマー組成物の粘度は少なくとも約125パスカル、より好ましくは少なくとも約150パスカル、さらにより好ましくは少なくとも約175パスカル、そしてなおより好ましくは少なくとも約200パスカルである。好ましくは、加熱された繊維材料を含浸させるために使用される溶融ポリマー組成物の粘度は約10パスカル〜約250パスカル、より好ましくは約100パスカル〜約250パスカル、そしてさらにより好ましくは約125パスカル〜約250パスカルである。約160パスカル〜約220パスカルもまた好まれる。
【0030】
本発明の他の一つの実施態様において、一つ以上のシヤーピンは、それを通り溶融含浸用樹脂がにじみ出ることができる孔、スリット、またはスロットのような開口を含む。そのスロットは好ましくは、繊維がシヤーピンと接触する点の前またはその間にそれが加熱された繊維材料と接触するであろう点へ溶融含浸用樹脂を配達するように配置される。従って、溶融含浸用樹脂は一つの開口から、繊維材料とシヤーピンの間に作られたニップへの開口から(主要角度)または繊維材料が実際にシヤーピンと接触する区域において出されることが意図されている。
【0031】
ひとたびプレプレグが浴容器から出ると、塗布された溶融樹脂は冷却し始める。繊維の浴内における滞留時間、溶融樹脂組成物の冷却が始まる前に繊維材料がその溶融樹脂組成物と接触している時間、は好ましくは約10秒以下である。約5秒以下の滞留時間はより好ましく、そして約2秒以下の滞留時間はさらにより好ましい。プレプレグ内の実質的無気孔を達成するために1秒より短い滞留時間は、そして0.5秒より短い滞留時間でさえ、本発明の実施において可能であり、そしてより長い時間にわたることは望ましい。滞留時間は浴の長さおよび繊維が引き抜きプロセスにおいてその浴を通して引っ張られる速度により調節される。繊維材料が少なくとも毎分約10フィート(305cm)、より好ましくは少なくとも毎分約20フィート(610cm)、さらにより好ましくは少なくとも毎分約30フィート(914cm)、そしてなおより好ましくは少なくとも毎分約40フィート(1220cm)、の速度で含浸されることが好ましい。好ましい実施態様において、繊維束は毎分約25フィート(762cm)〜毎分約60フィート(1829cm)、より好ましくは毎分約35フィート(1067cm)〜毎分約55フィート(1676cm)、そしてなおより好ましくは毎分約40フィート(1220cm)〜毎分約55フィート(1676cm)、の速度で移動する。場合により、本発明の装置は望みの形の製品にプレプレグを成形するためにさらに成型装置を含む。
【0032】
一つの特に好ましい実施態様において、ガラスロービングは酸または酸無水物により改質されたポリオレフィン材料により、特に無水マレイン酸により改質されたポリエチレンまたはポリプロピレン材料により、含浸される。無水マレイン酸改質は、より剛性の部分が望まれるときに有利である。特に、高くとも約10%まで、好ましくは約1%〜約10%、特にこのましくは約2%〜約7%、の無水マレイン酸改質が含まれることがことができるう。本発明に従いマレエイト化ポリエチレンまたはマレエイト化ポリプロピレンによりガラスロービングを含浸させると予想外に改良された物理特性を有する材料を与える。理論に束縛されることを望まないが、それらの予想外に良好な特性はガラス表面に生成する結晶性によることができるであろうことは信じられる。プレプレグの最も熱い部分は繊維である事実により、そして含浸用樹脂は繊維表面のおいて最も熱いから、結晶性ポリマーの結晶はフィラメント表面により遅く生成し、そしてポリマーとガラスフィラメントの間により強い接着を造るということは理論づけられる。さらに、繊維は周囲の樹脂よりも熱いので、無水マレイン酸基は蒸発してフィラメント表面へより高い濃度に移行し、そこでそれらは粘度を下げて界面湿潤を増し、再びフィラメントとポリマーの間に予想外に強い界面接着を促進することが理論づけられる。結晶性領域を形成する傾向のあるまたは接着を強化するために改質されるその他のポリマーもまた使用されることができよう。
【0033】
樹脂組成物より熱い繊維を有することから得られるさらなる利益は、添加剤がフィラメントまたは熱硬化性組成物と相互作用するためより長い時間を持つので、特に繊維材料との臨界面において、より十分に反応ことができることである。その結果は、本発明の方法が従来既知の方法を使用して得られなかった改良された物理特性を与えることである。
【0034】
本方法の特徴となる態様の一つは、繊維はそのより高い温度により浴に存在してから冷却する最後のものであり、それにより(a)接着過程により長い時間を与えること、(b)結晶化が界面に起こる仕方を変えること、および(c)多分無水マレイン酸を界面に移行させて粘度を低め、そして湿潤を増すこと、である。熱い繊維の他の一つ利点は、実質上より高い粘度、即ち、200パスカル以上、の樹脂の使用をそれが許すことである。
【0035】
ロービングまたはトウがほぼマトリックス樹脂の温度に冷却した後、その束の外側に付着している樹脂の量は含浸された束のために望ましい樹脂対繊維の比率を達成するために増加または減少されることができよう。特に、含浸されたロービング束は樹脂の層流を許すであろう速度で剪断機構を通り、そして次に、ロービングまたはトウにその最終の形および樹脂百分率を与えるために、サイジングダイを通って供給されることができよう。
【0036】
プレプレクが繊維束と共に形成されるとき、サイジングダイは含浸された繊維束を平らにしてテープにするために使用されることができよう。そのテープはつ次にプレプレグマットまたは布を作るために織られることができよう。繊維束は完全にまたは実質上完全に湿潤されたので、その束、テープ、およびテープから作られた布またはマットはドレープ性がある。ガラスロービングの場合に追加される利点として、ロービングが完全に含浸された後のそれを布に織ることは、含浸されていないガラスを織るよりも好ましいが、それは生のガラスを取り扱うことに伴う困難の故である。
【0037】
熱可塑性樹脂組成物が十分にまだ熱くて柔軟であるため間に、または熱硬化性樹脂組成物がまだ完全に硬化されない間に、プレプレグは異種の樹脂組成物の外層を加えること(「クラッド」)によりさらに改質されることができよう。これはプレプレグ製品を粉末化した望みの組成の樹脂またはポリマーのベッドを通して引っ張ることにより達成されることができよう。プレプレグロービングまたはトウはまたワイヤーコーティング法により異種のポリマー組成物の外層でクラッドされることができよう。またはその代わりに、まだ完全に冷えていないまたは完全に硬化されていないプレプレグは第二の強化材料、例えば、粉末の強化材料(例えば、鉱物質強化材料)、により被覆されることができよう。もし第二の強化材料により被覆される場合は、プレプレグはその第二の強化材料がプレプレグに固く付着するのを助けるために圧縮ローラーの間を通されることが好ましい。第二の強化材料により被覆されたプレプレグは細かく切断されてから射出成形におそらく使用されることができよう。もしプレプレグがカーポンで被覆される場合は、静電散逸特性を有する部品を成形するためにオソラク使用されることができよう。
【0038】
クラッド用のポリマーはプレプレグ材料から成形されるべき製品に重要な特性を与えように選択されることができよう。例えば、クラッドは同じポリマーの比較的高い分子量の品種であることができよう。他の一つの例として、繊維材料はナイロンポリマーで含浸されてから、次にポリエチレンまたはポリプロピレン組成物によりクラッドされることができる。ポリカーボネートプレプレグはポリエチレンクラッドで被覆されてより良い化学耐性を与えることができる。ポリフェニルサルファイドはおそらくナイロンポリマー組成物により被覆されることができよう。ポリプロピレンプレプレグは恐らくポリエチレンで被覆されてポリプロピレンのより良い機械特性とポリエチレンの靱性とを組み合わせることができるだろう。多くの場合に、クラッドされたプレプレグは、そのプレプレグとクラッドセパレートの別々のポリマーを保持するために圧縮成形によりいろいろな製品に有利に成形される。
【0039】
ロービングまたはトウは次にクリールの上へ巻き付けられ、望みの長さのストランドに、例えば、少なくとも約3mmの長さに、そして約76mmまでの長さに、切断されるか、または直ちに引き抜きまたは成形作業において使用されることができよう。テープまたは布はまた、例えば、その後の成形工程において使用するためクリールの上に巻き付けられることもできよう。
【0040】
本発明の装置は、他の一つの実施態様において、繊維状強化材料を加熱するためのヒーターおよびその加熱された繊維状強化材料をマトリックス樹脂組成物の固体と共に加圧するための圧縮単位装置を含む。ヒーターは、気孔を有しないかまたは実質上気孔を有しないプレプレグを製造するために十分である温度にある繊維状強化材料と共に圧縮する単位装置へそれが繊維状強化材料を供給することができるように配置される。繊維状強化材料がそれまで加熱される温度は従って、含浸用樹脂をしてその繊維状強化材料を完全にまたは実質上完全に湿潤させるため十分なものである。特に、ヒーターは強化材料をマトリックス樹脂の融点、軟化点、またはガラス転移温度の上の温度、そして好ましくはその強化材料が圧縮単位装置に入る点で測定されたとき、約350°Fの上のそして約800°Fまでの温度、に加熱することができるものである。
【0041】
マットまたはシートは前記のように予備加熱されてから、次にマトリックス樹脂組成物と共に積層品のシートへ圧縮されることができよう。シートモールディング配合物は本発明のこの変形に従って製造されることができよう。
【0042】
一般に、本発明のプレプレグは、繊維の重量に基づき、少なくとも約1重量%の樹脂から、そして約150重量%までの樹脂を包含することができよう。プレプレグ中に含まれる樹脂の好ましい重量の範囲は使用される特定の樹脂および強化材料に、並びに本方法により形成されるべき製品の望みの特性および用途に係わるであろう。樹脂の繊維に対する最適比率は既知の方法に従って測定されることができよう。好ましい実施態様において、強化用繊維の重量に基づき、樹脂は少なくとも約25重量%、そして約75重量%までである。
【0043】
本発明の方法に従って製造された好ましいロービングまたはトウは「完全に含浸された」ロービングまたはトウとして記述されることができよう。即ち、繊維と樹脂の間の界面は実質上気孔を含まないものである。例えば、含浸されたガラス繊維ロービングは一定量の熱可塑性樹脂マトリックスを伴って一定のかつ均一の寸法を有する。この含浸されたロービングは、実質上気孔を有しないそして優秀な諸特性を有する仕上げられた部品に長いまたは厳密な圧密工程の必要なしに速やかに成形されることができる。熱可塑性複合材料マトリックスは、靱性、リサイクルおよび/またはリフォームおよび/または破片の二次成形の可能性、紫外線劣化に対する耐性、またはその他の熱可塑性媒体において得られる諸特性が要求されるとき、熱硬化性マトリックス以上に好まれる。
【0044】
最終製品において発揮される諸特性は含浸工程と圧密およびその他の含浸の後の製造工程に係わることは当業界において周知である。このことは、純に(即ち、溶媒を含むことなしに)含浸されている高粘度熱可塑性樹脂について特に真実である。本発明の方法に従って製造されたプレプレグは規則正しい寸法、含浸された樹脂の均一な分布を有し、そした好ましくは本質的に気孔を含まない。
【0045】
本発明の含浸された繊維は一方向の、織られた(例えば、織物)、または無作為の(切断された)材料として使用されることができよう。それらの繊維は一方向のトウ、例えば、当業界においてありふれたトウ当たり3000、6000、および12,000フィラメントの、典型的には約1000m(3000フィート)までの長さのそれらのようなもの、として使用されることができよう。それらの繊維はまた一方向テープ、例えば、幅150mm(6インチ)または300mm(12インチ)および50m(150フィート)までの長さの典型的寸法を有するテープ、に成形されることができよう。テープは通例として約80g/m〜約190g/mに変動し、そして典型的に0.125mm(5ミル)の厚さである。プレプレグ一方向トウは場合により織物に織られることができよう。
【0046】
本発明のプレプレグは望みのテープに切断またはトリミングされる。プライはプレプレグロールから望みの形、大きさ、および配向に当業界に既知の切断装置によりトリミングされることができる。プライは、当業界においてレイアップ作業として知られているもので手によりまたは機械により積み重ねられることができる。
【0047】
本発明のプレプレグは圧縮成形、フィラメント巻き、真空袋詰め、またはこれらの工程の組み合わせにより製品に成形されることができよう。圧縮成形は通常複雑な形を成形するために使用され、そして本発明の好ましい実施態様において使用される。
【0048】
一重ねの集成プライは熱または熱と圧力または真空のいずれかとの組み合わせを使用してプライを圧密するため十分な時間をかけて圧密されることができよう。圧密の時間は好ましくは樹脂マトリックスの融点、軟化点、またはTgより上の、好ましくは樹脂の融点、軟化点、またはTgより少なくとも20℃上の、そして特に好ましくは樹脂の融点、軟化点、またはTgの約20℃より上で、そして約100℃より下の温度で、好ましくは約1分〜約20分である。場合により、追加の樹脂が、特にワイヤーコーティング法において、トウを結合または積み重ね合わせるのを助けるために添加されることができよう。
【0049】
引抜成形されたプレプレグは部分に切断されて押出法により成形されることができよう。適当な押出機は一軸スクリュー押出機またはその中でポリマーがプランジャーにより送られる押出機である。もし本発明のプレプレグのペレットが押出しの間に溶融混合されるべきであるならば、これは一軸スクリュー押出機または静止ミキサーのいずれかを使用して達成されることができよう。プレプレグ中の優れた繊維湿潤は成形工程の間にかなりの繊維損傷を防ぐ。従って、通常は著しい繊維磨耗がない。
【0050】
プレプレグは当業界に既知の方法のいずれかに従って製品に成形されることができよう。例えば、圧縮成形または真空成形法が使用されることができよう。その他の方法、例えば、射出成形、熱成形、ブロー成形、圧延、注型、押し出し、フィラメント巻き、積層、射出成形、回転またはスラッシ成形、トランスファー成形、レイアップまたは接触圧成形、またはスタンピングは本発明により作られた含浸された材料と共に使用されることができよう。
【0051】
本発明の方法は多くのいろいろな種類の有用な製品を成形するために使用されることができよう。そのような製品の例は、限定されないが、エアバッグキャニスター、バンパービーム、フレームクロス部材、自動ドアフレーム、自動ボディーパネル、強力ブラケット、リーフスプリング、シートフレーム、スキッドプレート、トーションバー、ワイパーアーム、フェンシング、歯車、高速道路強化ロッド、パイプハンガー、パワーラインクロスアーム、ボートトレイラー、カヌー、外側エンジンカウリング、ボウリム、カートップキャリャー、および蹄鉄を含む。本発明の方法および新規なプレプレグは従来既知のプレプレグおよび方法を使用して成形されたであろうすべての製品を成形するために有利に使用されることができよう。
【0052】
(実施例)
本発明は次の例により説明される。それらの例は単に説明のためであり、記載されたおよび請求された本発明の範囲をけして限定するものではない。すべての部は別に示されなければ重量部である。
【0053】
例1.
いま図1について、1kgの無定形ナイロン樹脂(Grivory 21、EMS−American Grilion Inc., Sumpter,SCより発売)を加熱された熱盤4と6の間の樹脂タンク2に装填する。その樹脂をピストン8からかけられた約28psiの圧力の下に約465°Fに加熱する。S2ガラス(750イールド、933サイジング、Owens Corn−ing,Corning NYより発売)のロービングをクリール10よりそして18インチ半径のヒートチューブ12を通して引っ張る。そのチューブは約595°Fの温度の加熱されている。ヒートチューブを出てから、ロービングはテーパー付き繊維入口ダイ14を通り、495°Fに加熱された、そしてその樹脂浴の中で水平に約1インチそして垂直に約1.5インチ離れて配置された2本の0.3インチ半径のシャーピン16と18の上と周囲を通過し、そして最後に入口ダイの反対側の配置されたサイジングダイ20を通る。サイジングダイは0.25インチ×0.009インチの寸法の長方形の断面を有する。その熱い繊維は浴を通って約42フィート/分の速度で引っ張られる。その結果得られる含浸されたトウは0.25インチの幅、0.0095インチの厚さであり、そして測定できるほどの空気孔を含まない。その含浸されたトウは平たい2本バー回転クリール22の上に巻き付けられる。49巻き、2インチ幅、がクリールの上に作られる。巻かれたクリールはそれから480°Fおよび200psiで余熱された成形型の中へ8分間置かれる。成形型は次に急冷される。得られる部品は18インチ長さ、2インチ幅、および0.175インチ厚さであり、測定できるほどの空気孔を含まない。
【0054】
例2.
S2ガラス(750イールド、933サイジング、Owens Corn−ing,Corning NYより発売)のトウを無定形ナイロン樹脂(Gr−ivory 21、 EMS−American Grilion Inc.,Sumpter, SCより発売)により例1に記載の同じ手順を用いて含浸させる。但し、得られる含浸されたトウは0.25インチ幅と0.011インチ厚さにサイジングされる。その含浸されたトウは54重量%の樹脂含量を有する。含浸されたトウは3インチの断片に切断される。切断された含浸トウ、713.25グラム、は515°Fに予熱された10インチ×18インチの成形型の中へ置かれ、そして300psiで8分間加圧される。成形型は次に急冷される。得られる部品は重さ653グラムあり、そして3.82mmの平均厚さを有する。
【0055】
例3.
Owens Corning 933サイジングを有するS2ガラス繊維織布を例1と2において使用されたものと同じ無定形ナイロン樹脂で含浸させる。そのガラス繊維布は次のパラメーターを有する。すなわち、FDIスタイル#1406 (Fabric Development Corporation,Quakertown, PAの名称)、ヤーンタイプ、S2ガラス75 1/0,933A、織り組織8ハーネスサテン、カウント120×30、幅39.25インチ、重さ平方ヤード当たり11.74オンス、そして厚さ、0.0017インチ(1psiで測定されれたとき)。
【0056】
ナイロンは0.0045インチ厚さのフイルムに押し出されてからクリール上に置かれる。S2クロスもまたクリールの上にある。
【0057】
いま図2について、ナイロンフィルム24はクリール26から引っ張られ、そしてガラスクロス28はクリール30から引っ張られる。そのガラスクロスは輻射ヒーター32を通って引かれる。輻射ヒーターは繊維を600°Fに加熱し、

を選ぶ。ヒーターから逃れる熱はフィルムの温度を425と475°Fの間に上げる。クロスとフィルムは次に二対の36インチ圧縮ローラー35と36に供給

されている。それらのローラーはフィルムとクロスの上に700〜800psiの力をかける。含浸されたクロスはクリール38に巻き取られる。
【0058】
含浸されたクロスは10インチ×18インチの断片に切断される。8枚が次に予熱された(525°F)成形型の中に積み重ねられて、300psiで12分間圧縮される。成形型は次に急冷される。得られる積層品は均一でかつ0.128インチの厚さである。
【0059】
上記の例2および3における手順にしたがって製造された部品がそれらの物理的性質につき試験されて次の結果が得られた。
【0060】
【表1】

【0061】
例4.
ポリエチレンテレフタレート、グリコール添加樹脂(融点=195.8°F、Eastman Chemical Co., Kihgsport, TNより発売)を縦糸一方向織物(KnytexよりのStyle A130A)の中へ含浸させる。その織物は横糸方向にポリエステルステッチによるシラン化学仕上げを有する。例3のプレプレグ手順を追試するが、但し繊維は425°Fまでにのみ加熱される。そのプレプレグを10インチ×18インチのシートに硬化させる。18枚を加熱された型の中へ積み重ねてから200psiで10時間圧縮する。成形型は次に急冷され、そして積層品が成形型から除かれる。
【0062】
そのパネルは3点曲げ試験法を用いて評価された。5試料について測定された諸特性の平均値は次のようであった。
最大荷重における変位 0.1807 インチ
最大荷重 875.7 ポンド
最大変位における応力 112.9 ksi
荷重モジュラス 5.370 Msi
【0063】
例5.
いま図3について、無定形ナイロンマトリックス樹脂(Grivory.21、 EMS−American Grilion Inc.,Sumpter, SCより発売)をホッパー42から押出機40に導入した。その押出機は可変駆動装置を有するProdexの1インチ押出機であった。樹脂はその押出機中で、第1ゾーンにおいて485°Fで、そして第2ゾーンにおいて500°Fで、押出機を40rpmの速度で回転させながら、溶融された。その溶融樹脂は三つの加熱ゾーンを有する含浸ダイ44の中へ押し込まれた。
【0064】
別に、S2ガラス(750イールド、933サイジング、Owens Co−rning,Corning NYより発売)のトウ46をクリール48からそしてThermCraft Tube Furnace 50(Model 21.5−12−1ZH)を通して引っ張り、そしてその管炉は約850°Fの温度に加熱される。熱チューブを出て、繊維は含浸ダイを通され、0.25インチ×0.007インチの開口を有する入口ダイ52を通って入り、そして0.25インチ×0.009インチの開口を有するサイジングダイ54を通って出る。
【0065】
含浸ダイ表面は510°Fに加熱され、そして樹脂送出溝56は520°Fに加熱された。含浸ダイ中のダイシヤーピン58は535°Fに加熱された。含浸ダイは625°Fの表面温度を有していた。
【0066】
熱い繊維は約44フィート/分の速度で、含浸ダイを通って引っ張られた。得られた含浸されたトウは0.25インチ幅、0.009インチ厚さであり、46.78重量%の樹脂含量、および53.21のガラス含量を有し、そして測定可能な空気気孔を含まなかった。含浸されたトウは6インチの幅と20インチの長さを有するフレーム60の上に175ラップで巻かれた。そのレイアップはつぎに518°Fに加熱された型に入れられてから200psiで10分間圧縮され、それから急速に室温まで冷却された。得られた複合体パネルは0.132インチの平均厚さを有し、そして測定可能な気孔を含まなかった。そのパネルの機械特性が測定されて次の結果を得た。
【0067】
ASTM D695−90 硬質プラスチックの圧縮性
方法7、幅0.5インチ、厚さ0.13インチ
最大荷重(ポンド) 4562
最大応力(ksi) 70.0
最大歪み% 2.497%
セグメントモジュラス、10−40%最大荷重
(psi* 10) 2.535
最大変位(インチ) 0.025
【0068】
ASTM D638 引張強さ
方法37、幅0.5インチ、厚さ0.13インチ
最大荷重(ポンド) 3152
最大応力(psi* 10) 48
最大歪み% 0.893%
セグメントモジュラス、15−40%最大荷重
(psi* 10) 4.856
ヤング弾性率 15−40%(手動測定)
(psi* 10) 5.128
ヤング弾性率 15−40%(自動)
(psi* 10) 5.753
【0069】
ASTM D790 曲げ強さ
方法14、幅0.974インチ、厚さ0.145インチ
降伏点荷重(最大荷重)(ポンド) 695
降伏点応力(最大荷重)(psi* 10) 121
降伏点歪み(最大荷重)(インチ/インチ) 0.032
降伏点変位(最大荷重)(インチ) 0.21
セグメントモジュラス、15−40%最大荷重
(psi* 10) 3.897
最大荷重のヤング率 15−40%(手動測定)
(psi* 10) 4.192
ヤング率 (自動)(psi* 10) 4.015
【0070】
ASTM D2344 NOL 短梁剪断強さ
方法3、スパン0.675インチ、幅0.26インチ、深さ0.143インチ
降伏点荷重(最大荷重)(ポンド) 452
層剪断強さ(psi* 10) 9.1
【0071】
例6.
Eガラス(675イールド、193サイジング、Owens Corning,Corning NYより発売)のロービングをクリールから毎分50フィート(1524cm/分)の速度でおよびロービング上3ポンドの張力で引っ張る。繊維は初め1050°Fのオーブン温度を有する17インチ輻射熱チューブを通して引っ張られた。オーブンを出るとガラスロービングは約560°Fの測定繊維温度を有する。繊維は次にオーブンの直ぐ後約1インチに配置された435°Fの溶融ポリエチレン(5%マレエート化された)の浴を通して引かれる。その浴は図1のそれに似ているが、押出機により供給され、そして加圧ピストンを有しない。それは一対の対向するシヤーピンを有する。ロービングはテーパー付き入口ダイ14を通り、してその樹脂浴の中で水平に約1インチそして垂直に約1.5インチ離れて配置された435°Fに加熱された2本の0.3インチ半径のシャーピン16と18の上と周囲を通過し、そして最後に入口ダイの反対側の配置されたサイジングダイ20を通る。サイジングダイは0.25インチ×0.009インチの寸法の長方形の断面を有する。溶融ポリマー浴は約4インチの長さであり、そして溶融ポリマー中の繊維に約0.4秒の滞留時間を与える。得られた含浸されたトウは0.25インチ幅、0.0095インチ厚さであり、そして測定可能な空気気孔を含まない(観測可能な空気気孔が存在しない所で走査電子顕微鏡を使用して確認された)。
【0072】
得られたプレプレグは次に1インチの長さに切断されてから50psi下で285°Fにおいて1分間成型された。試験特性(60%HDPE/40%繊維)は次の通りであった。
【0073】
【表2】

【0074】
例7.
例6の過程がポリプロピレンポリマー(2.5%マレエート化)を使用して繰返えされた。
例7において得られたプレプレグはVerton(グレード: MFX−7008 H8BK881)、LNPより入手できるガラス充填ポリプロピレンプレプレグに比較された。
【0075】
【表3】

【0076】
本発明はその好ましい実施態様に関して詳細に説明された。しかし、変形と修飾が本発明および請求の範囲の精神と範囲内においてなされ得ることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は例1および2により説明されている本発明の方法において使用される本発明の好ましい装置のための略図である。
【図2】
図2は例3により説明されている本発明の方法において使用される本発明の好ましい装置のための略図である。
【図3】
図3は例4により説明されている本発明の方法において使用される本発明の好ましい装置のための略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続繊維材料を含浸させる方法において、
(a)約0.25ポンド以上の引張応力を有する連続繊維材料の連続供給を与える工程、
(b)前記の繊維材料を約392°F(200℃)以上の初期温度に加熱する工程、
(c)前記の強化材が加熱されるとき初期温度より低い第二の温度において溶融樹脂組成物と接触させる工程、
を包含し、しかもその際強化材が溶融樹脂組成物と接触している時にその強化材に剪断力がかけられて実質上ボイドを有しない含浸繊維材料を形成する、前記の連続繊維材料を含浸させる方法。
【請求項2】
連続繊維材料を含浸させる方法において、
(a)約0.25ポンド以上の引張応力を有する連続繊維材料の連続供給を与える工程、
(b)前記の繊維材料を約392°F(200℃)以上の初期温度に加熱する工程、
(c)前記の加熱された強化材を溶融樹脂組成物の浴を通してその浴の中の少なくとも一つ剪断ピンの上を通して引張り、その際前記の溶融樹脂組成物の温度は初明温度より低いものであり、しかもその際強化材の浴中における滞留時間は約10秒より短い工程、
を包含する前記の連続繊維材料を含浸させる方法。
【請求項3】
初期温度は約428°F(220℃)以上である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
初期温度は約446°F(230℃)以上である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
初期温度は約473°F(245℃)以上である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項6】
初期温度は約500°F(260℃)以上である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項7】
初期温度は約536°F(280℃)以上である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項8】
溶融樹脂組成物の温度は初期温度より約75°F(42℃)以上低い請求項1より7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
溶融樹脂組成物の温度は初期温度より約100°F(56℃)以上低い請求項1より7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
溶融樹脂組成物の温度は初期温度より約150°F(83℃)以上低い請求項1より7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
溶融樹脂組成物の温度は初期温度より約200°F(111℃)以上低い請求項1より7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
溶融樹脂組成物の温度は初期温度より上の約500°F(278℃)までである請求項1より11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
繊維材料は、溶融樹脂組成物の冷却が始まる前約5秒間以内の間、その溶融樹脂組成物と接触する請求項1より12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
繊維材料は、溶融樹脂組成物の冷却が始まる前約2秒間以内の間、その溶融樹脂組成物と接触する請求項1より12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
繊維材料は、溶融樹脂組成物の冷却が始まる前約1秒間以内の間、その溶融樹脂組成物と接触する請求項1より12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
繊維材料は毎分約10フィート(305cm)以上の速度で含浸させられる請求項1より15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
繊維材料は毎分約20フィート(610cm)以上の速度で含浸させられる請求項1より15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
繊維材料は毎分約30フィート(914cm)以上の速度で含浸させられる請求項1より15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
繊維材料は毎分約40フィート(1220cm)以上の速度で含浸させられる請求項1より15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
溶融樹脂組成物の粘度は約125パスカル以上である請求項1より19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
溶融樹脂組成物の粘度は約150パスカル以上である請求項1より19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
溶融樹脂組成物の粘度は約200パスカル以上である請求項1より19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
溶融樹脂組成物の粘度は約125〜約250パスカルである請求項1より19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
浴は加圧されている請求項2に記載の方法。
【請求項25】
浴の圧力は約10psi以上である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
強化材はフィラメント束である請求項1より25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
強化材はガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、ポリマー繊維、アラミド繊維、およびそれらの混合物から成る群より選択される材料を包含する請求項1より26までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
強化材は高シリカガラス繊維から成る請求項1より27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
強化材はサイジングまたは仕上げ材料により被覆されている請求項1より28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
強化材はサイジングにより被覆された高シリカガラス繊維から成る請求項1より29までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
樹脂組成物ABS、アクリル樹脂、アクリロニトリル、エポキシ、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンサルファイド、ポリビニール樹脂、ポリウレタン、ポリスルホン、およびそれらの共重合体および混合物から成る群より選択される少なくとも一つの樹脂を包含する請求項1より30までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
樹脂組成物は熱可塑性樹脂組成物である請求項1より31までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
樹脂組成物はエポキシ、ポリエステル、およびフェノール樹脂から成る群より選択される少なくとも一つの熱硬化性樹脂を包含する請求項1より31までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
プレプレグ材料をサイジングダイを通して延伸する工程をさらに含む請求項1より33までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
請求項2に記載の方法において、1〜約4の剪断ピンが存在する前記の方法。
【請求項36】
該剪断ピンは溶融樹脂組成物の温度の上の温度に加熱されている請求項35に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも一つの剪断ピンの上を通して該加熱強化材を引張ることにより剪断力が強化材にかけられ、そしてさらに前記の剪断ピンは溶融樹脂組成物を強化材へ供給するための開口を有する請求項1に記載の方法。
【請求項38】
含浸された繊維材料にクラッド層を与えるさらなる工程を含む請求項1より37までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
クラッド層は熱い含浸された繊維材料を細かく切断されたまたは粉末状の材料を通して引っ張ることにより与えられる請求項38に記載の方法。
【請求項40】
細かく切断されたまたは粉末状の材料は強化材である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
粉末状の材料はカーボンブラックである請求項39に記載の方法。
【請求項42】
含浸された繊維材料はポリマー組成物により被覆される請求項38に記載の方法。
【請求項43】
含浸された繊維材料を約3mm〜約76mmの長さに切断するさらなる工程を含む請求項1より37までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
含浸された繊維材料は偏平にされた繊維束である請求項1より37までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
偏平にされた繊維束をマットまたは布に織るさらなる工程を含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
樹脂組成物は冷却すると結晶領域を形成することができる樹脂を含む請求項1より45までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
樹脂組成物は酸変性または無水物変性ポリプロピレンまたはポリエチレンを含む請求項46に記載の方法。
【請求項48】
繊維材料はガラスである請求項47に記載の方法。
【請求項49】
プレフレグを望みの形に成形するさらなる工程を包含する請求項1より48までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
プレフレグは、レイアップ、圧縮成形、射出成形、熱成形、ブロー成形、圧延、押し出し、注型、積層、フィラメント巻き、回転成形、トランスファー成形、スタンピング、および製織作業、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される方法により形成される請求項35に記載の方法。
【請求項51】
請求項1より50までのいずれか1項に記載の方法により形成される製品。
【請求項52】
繊維状強化材を初期温度において溶融樹脂組成物により含浸させる工程により形成されるプレプレグ材料であり、前記工程において溶融樹脂組成物の温度は初期温度より約75°F(42℃)以上低い、およびさらに前記のプレプレグ材料は実質上ボンドを有しない、前記のプレプレグ材料。
【請求項53】
約25〜約75重量%の樹脂を包含する請求項52に記載のプレプレグ材料。
【請求項54】
熱可塑性組成物を包含する請求項52に記載のプレプレグ材料。
【請求項55】
熱硬化性組成物を包含する請求項52に記載のプレプレグ材料。
【請求項56】
ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、ポリマー繊維、アラミド繊維、およびそれらの混合物から成る群より選択される材料を包含する請求項52に記載のプレプレグ材料。
【請求項57】
強化材は高シリカガラス繊維から成る請求項52に記載のプレプレグ材料。
【請求項58】
強化材はサイジングまたは仕上げ材料により被覆されている請求項52に記載のプレプレグ材料。
【請求項59】
請求項22の方法により製造された繊維強化製品。
【請求項60】
請求項23の方法により製造された繊維強化製品。
【請求項61】
請求項24の方法により製造された繊維強化製品。
【請求項62】
繊維状強化材料を初期温度まで加熱するためのヒーター、繊維状強化材料に張力をかける手段、加熱された繊維状強化材料のための入口と出口を有しかつその中で加熱された強化材料が溶融樹脂組成物と接触させられる容器、その際容器はその中に繊維状強化材料のための剪断機構を含む、を含む連続繊維材料を含浸させる装置。
【請求項63】
剪断機構が少なくとも一つの剪断ピンを包含する請求項62に記載の装置。
【請求項64】
剪断機構が1〜約4の剪断ピンを包含する請求項62に記載の装置。
【請求項65】
剪断機構が一対の剪断ピンを包含する請求項62に記載の装置。
【請求項66】
少なくとも一つの剪断ピンは溶融樹脂組成物を提供するための開口を有する請求項63より65までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項67】
少なくとも一つの剪断ピンはその剪断ピンを加熱するための熱源に連結されている請求項63より66までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項68】
該容器がさらに樹脂組成物に圧力をかけるための単位装置を包含する請求項62より67までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項69】
該出口がサイジングダイである請求項62より68までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項70】
強化されたマトリックス樹脂組成物を望みの形の製品に成形するための成形装置をさらに含む請求項62より69までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項71】
ヒーターは輻射ヒーター、誘導ヒーター、赤外線トンネル、オーブン、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項62より70のいずれか1項に記載の装置。
【請求項72】
繊維状強化材料を初期温度まで加熱するためのヒーターおよび繊維状強化材料を樹脂組成物と共に加圧するための圧縮単位装置を包含し、その際初期温度は、加熱された繊維状強化材料が最初に樹脂組成物と接触させられる点において測定されるとき、その樹脂組成物の融点、軟化点、またはTgの上である、強化されたマトリックス樹脂組成物を製造するための装置。
【請求項73】
圧縮単位装置は少なくとも一対の圧縮ローラーである請求項72に記載の装置。
【請求項74】
該温度はその樹脂組成物の融点、軟化点、またはTgの上の約500°Fまでである請求項72に記載の装置。
【請求項75】
該圧縮単位装置の後に配置されたサイジングダイをさらに包含する請求項72に記載の装置。
【請求項76】
強化されたマトリックス樹脂組成物を望みの形の製品に成形するための成形装置をさらに含む請求項72に記載の装置。
【請求項77】
ヒーターは輻射ヒーター、誘導ヒーター、赤外線トンネル、オーブン、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項72に記載の装置。
【請求項78】
繊維状強化材料を初期温度まで加熱するためのヒーターおよび繊維状強化材料を結晶性樹脂組成物と共に加圧するための圧縮単位装置を包含し、その際初期温度は、加熱された繊維状強化材料が最初に樹脂組成物と接触させられる点において測定されるとき、前記強化材料と前記樹脂組成物との界面において結晶化を起こさせるため十分に高い、強化されたマトリックス樹脂組成物を製造するための装置。
【請求項79】
該樹脂組成物は200パスカルより高い粘度を有する請求項78に記載の装置。
【請求項80】
該結晶化は無水マレイン酸基の存在により促進される請求項78に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−523543(P2006−523543A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−501883(P2000−501883)
【出願日】平成10年7月8日(1998.7.8)
【国際出願番号】PCT/US1998/014122
【国際公開番号】WO1999/002319
【国際公開日】平成11年1月21日(1999.1.21)
【出願人】(500058109)デイクスターハウス、ジョエル、エイ. (1)
【出願人】(500058121)バルマー、アール.チャールズ (1)
【Fターム(参考)】