説明

樹脂フィルムの送給方法およびそれに用いる装置

【課題】 たとえば10〜500μmの厚みを有する樹脂フィルムを、それが気密性を有するものであると否との別なく、しわ、めくれ等の形態不良を発生させることなく、所定の作業手段、保管手段等への精度良く安定的に供給できる樹脂フィルムの送給方法を提供する。
【解決手段】 シート13で裏打された長尺の樹脂フィルム12を平坦姿勢で搬送しつつ、その樹脂フィルム12の表面に、定寸切断された未加硫ゴムシート14をそれの先端側から漸次に積層させるとともに、この積層を終えた部分での、樹脂フィルム12からの裏打シート13の除去および、その積層を完了した後の樹脂フィルム12の定寸切断のそれぞれを順次に行い、次いで、その樹脂フィルム12を成型ロール7に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、安全タイヤ用空気のうの成型に当って、内圧充填用の中空空間の形成のための離型材として、または、グリーンタイヤのブラダレス加硫のための気密保持部材等として、空気のうおよびグリーンタイヤの成型にしばしば使用されるに到っている樹脂フィルム、多くは、10〜500μmの範囲の厚みの樹脂フィルムの送給方法およびそれに用いる装置に関するものであり、とくには、厚さが薄く、剛性の低い樹脂フィルムに、しわ、めくれ等の形態不良を発生させることなく所定の個所まで、常に適正に送給する技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
厚さが薄く剛性の低い樹脂フィルム等を取り扱う従来技術としては、たとえば特許文献1〜3に記載されたものがある。
【0003】
ここで、特許文献1に記載された技術は、「所定長の偏平な筒状フィルム片を全長に亘って拡開し筒状とする工程と、該筒状となった筒状フィルム片を円筒状をした成形ドラムの外側に外嵌する工程と、成形ドラムを拡径して筒状フィルム片の内周に成形ドラムの外周を密着させる工程と、回転している成形ドラムに帯状のインナーライナーを供給することにより、該インナーライナーを筒状フィルム片の外周に貼付ける工程とを備えたことを特徴とするフィルム付きインナーライナーの製造方法」にあり、特許文献2に記載された技術は、「片面を粘着面とする粘着紙と該粘着面を覆う剥離紙とからなる粘着シートを基板に貼り付けるための粘着シート貼付け装置であって、前記剥離紙の端部を前記基板に対し固定された位置で保持するための端部保持手段と、前記基板の主表面に対し略平行に設けたガイド手段と、前記粘着紙の背面側から自重により該粘着紙を前記基板上面に対し押圧しながら前記ガイド手段に沿って移動する押圧ローラと、該押圧ローラを前記ガイド手段に沿って往復移動させるための駆動手段とを具備したことを特徴とする粘着シート貼付け装置」にあり、そして、特許文献3に記載された技術は、たとえば、「インナーライナーとカーカスとを貼付けコンベアの搬送面上に積層し、貼付けコンベアによる搬送中に第1ローラ部材、第2ローラ部材、及び第3ローラ部材により中央位置から側縁に向かって順次押圧して圧着させ、この圧着状態を保って貼付けドラムに貼り付けてタイヤ形状に成型する」にある。
【特許文献1】特開2001−219478号公報
【特許文献2】特開平5−238625号公報
【特許文献3】特開平11−129347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1に記載された技術では、厚さが薄く、剛性の低い筒状フィルム片だけを単独で取り扱う工程中に、筒状フィルム片に、しわ、めくれ等の形態不良が発生し易く、このような形態不良が一旦発生すると、そのフィルム片と、それの外周に積層するインナーライナーとの間にエアが封じ込められることになるという問題があり、また、特許文献2に記載された技術では、粘着紙を基板に貼付けるに先だって、剛性の高い剥離紙を剥してしまうため、これもまた、低剛性の粘着紙がそれ単体として取り扱われる工程が存在することになって、その粘着紙へのしわ、めくれ等の発生のおそれが高いという問題があり、そしてさらに、特許文献3に記載された技術に従って樹脂フィルムをそれ単独で取り扱うときは、上述したそれぞれの従来技術と同様の形態不良が発生し易いという問題があった。
【0005】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、たとえば10〜500μmの厚みを有する樹脂フィルムを、それが気密性を有するものであると否との別なく、しわ、めくれ等の形態不良を発生させることなく、所定の作業手段、保管手段等へ精度良く安定的に供給できる樹脂フィルムの送給方法およびそれに用いる装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る樹脂フィルムの送給方法は、比較的剛性の高いシートによって裏打された長尺の樹脂フィルムを平坦姿勢で搬送しつつ、その樹脂フィルムの表面に、定寸切断された未加硫ゴムシートをそれの先端側から漸次に積層させるとともに、この積層を終えた部分での、樹脂フィルムからの裏打シートの除去および、その積層を完了した後の樹脂フィルムの定寸切断のそれぞれを所要の順序で行い、その後、その樹脂フィルムを作業手段もしくは保管手段に供給するにある。
【0007】
なおここで、「定寸切断された」とは、予め定寸切断されたものの他、積層工程の途中で定寸切断されるもの、いいかえれば、積層工程の終了時点では定寸切断されているものをも含むものとする。
【0008】
この場合、未加硫ゴムシートの積層部分での、樹脂フィルムからの裏打シートの剥離除去は、樹脂フィルムの定寸切断の後に行い得ることはもちろんであるが、好ましくは、それを、未加硫ゴムシートの積層工程の進行に合わせて行う。
【0009】
また好ましくは、未加硫ゴムシートを積層した樹脂フィルムの、作業手段もしくは保管手段への供給の後、もしくはその供給中に、搬送手段上、たとえば組付けコンベア上に残留する長尺樹脂フィルムの切断端を一旦後退変位させて、それを、未加硫ゴムシートの次回の積層開始位置にもたらし、その後の未加硫ゴムシートの供給に合わせて、未加硫ゴムシートの次回の積層を開始する。
【0010】
この発明に係る樹脂フィルムの送給装置は、シートで裏打された長尺の樹脂フィルムを平坦姿勢で搬送する組付けコンベアおよび、未加硫ゴムシートを平坦姿勢で搬送して、それを組付けコンベアに引き渡すゴムシートコンベアを設け、また、未加硫ゴムシートの搬送経路内にそれの定寸切断手段を配設するとともに、組付けコンベア上に、樹脂フィルムの表面上に未加硫ゴムシートを押圧する圧着ロールを配設し、そして、所定の長さの未加硫ゴムシートを積層後に樹脂フィルムを定寸切断するフィルム切断手段を設け、さらに、定寸切断後の樹脂フィルムを、そこに積層した未加硫ゴムシートとともに、作業手段もしくは保管手段に供給する供給コンベアを設けたものである。
【0011】
ここで、前記フィルム切断手段は、組付けコンベアと供給コンベアとの間に配設することが好ましい。
【0012】
また好ましくは、組付けコンベアと供給コンベアとの間に、裏打シートの剥離走行路を設け、より好ましくは、その走行路を通って走行される裏打シートの巻取り軸を設ける。
【0013】
そしてここでは、組付けコンベアは、正逆両方向に走行可能とすることが、そして、供給コンベアは、作業手段もしくは保管手段に対して進退変位可能とすることがそれぞれ好ましい。
【0014】
なお、以上のような装置において、供給コンベアは、タイヤ成型ドラムへの、積層済み樹脂フィルムの供給コンベアとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る送給方法では、比較的剛性の高いシートによって裏打されて、すぐれた定型性を付与された薄肉の樹脂フィルム、いいかえれば、しわ、めくれ等の形態不良の発生のおそれを十分に除去された樹脂フィルムの表面に、これも、薄肉樹脂フィルムそれ自体に比してはるかに高い剛性を有する未加硫ゴムシートを積層させて、その積層を終えた部分にて、樹脂フィルムから裏打シートを剥離させて除去することによって、10〜500μmの範囲の厚みの、薄肉で低剛性の樹脂フィルムが単独で取り扱われる工程を排除することで、未加硫ゴムを積層されたその樹脂フィルムを、所期した通りの形態をもって、作業手段もしくは保管手段に常に安定的に供給することができる。
【0016】
しかもここでは、シートで裏打されて剛性を付与された樹脂フィルムに未加硫ゴムシートを積層することで、それらの間へのエアの封じ込め等のおそれを十分に除去して常に適正な積層を実現することができる。
【0017】
そしてこの方法において、樹脂フィルムからの裏打シートの除去を、未加硫ゴムシートの積層工程の進行に合わせて行う場合には、その裏打シートの剥離除去を、所定の長さの未加硫ゴムシートの積層を完全に終了して、樹脂フィルムを所定の長さに定寸切断した後に行う場合に比して、裏打シートの剥離除去のためだけの特別の工程を設けることが不要になるとともに、作業能率を有効に向上させることができる。
【0018】
またここでは、未加硫ゴムシートを積層した一の樹脂フィルムの、作業手段等への供給の後、もしくはその供給中に、搬送手段上に残留する、未だゴムシートを積層前の長尺樹脂フィルムの切断端を一旦後退変位させ、その後に、定寸切断された未加硫ゴムシートの次の積層を開始することで、樹脂フィルムの無駄な消費を防止して、材料歩留りを高めることができる。なおこの場合の、樹脂フィルム切断端の後退変位を、ゴムシート積層フィルムの、作業手段等への供給中に行うときは、積層作業の休止時間を短縮して作業能率を高めることができる利点がある。
【0019】
この発明に係る送給装置では、裏打シートを設けた長尺樹脂フィルムを、ベルトコンベア、スラットコンベア等とすることができる組付けコンベアによって平坦姿勢で搬送する一方で、ゴムシートコンベアにて、これも平坦姿勢で搬送されて、定寸切断手段によって所定の長さに切断された未加硫ゴムシートを、上記組付けコンベアに引き渡して、その未加硫ゴムシートを、組付けコンベア上の樹脂フィルムの表面上に、圧着ロールの押圧下で先端側から漸次に積層させ、そして、所定長さの未加硫ゴムシートをその全長にわたって積層した後は、樹脂フィルムを、フィルム切断手段によって所定の長さに定寸切断して、ゴムシートを積層したその樹脂フィルムを、供給コンベアによって作業手段等に供給することで、簡単な構造の装置をもって、前記の方法発明を簡易に、かつ確実に実施して、樹脂フィルムと未加硫ゴムシートとを十分適正に積層し、ゴムシートを積層されたその樹脂フィルムを、所期した通りの形態の下で、常に安定的に供給することができる。
【0020】
かかる装置において、フィルム切断手段を、組付けコンベアと、それとは別体構造になる供給コンベアとの間に配設した場合には、フィルム切断手段の作用に起因する、それらのコンベアの不測の損傷等のおそれを十分に取り除くことができ、また、それらの両コンベア間に、裏打シートの剥離走行路を設けた場合には、簡単な構造の下で、装置の小型化を図ることができる。
【0021】
またここで、組付けコンベアを正逆両方向に走行可能としたときは、樹脂フィルム、ひいては、それと未加硫ゴムシートとの積層体の搬送を所期した通りに行わせてなお、定寸切断後の長尺樹脂フィルムの切断端の、所定の位置への正確な後退変位を迅速に行わせることができる。
【0022】
そしてさらに、供給コンベアを、作業手段等に対して進退変位可能としたときは、組付けコンベアからの上記積層体の受取りおよび、その積層体の、作業手段等への受け渡しを、常に円滑に、かつ確実に行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、この発明に係る樹脂フィルム送給装置の実施形態を示す略線側面図であり、図中1は、正逆両方向に走行可能としてなる、ベルトコンベア、スラットコンベア等とすることができる組付けコンベアを、2は、未加硫ゴムシートを搬送して組付けコンベア1に引き渡す、これもまた、ベルトコンベア、スラットコンベア等とすることができるゴムシートコンベアをそれぞれ示す。
【0024】
ここで、図示のこのゴムシートコンベア2は、組付けコンベア1に近接して位置して、それの上側部分で斜め下向きに走行する引き渡しコンベア部分2aと、その引き渡しコンベア部2aとは別個に構成されて、そのコンベア部分2aまで未加硫ゴムシートを搬送する搬送コンベア部分2bとで構成してなり、またここでは、それらの両コンベア部分間に、未加硫ゴムシートを、予め定めた所定の長さに切断する、ナイフエッジ、剪断刃等とすることができる定寸切断手段3を配設する。
【0025】
一方、組付けコンベア1の上方位置には、その組付けコンベア1にて平坦姿勢で搬送される樹脂フィルムの表面上に、引き渡しコンベア部分2aによって搬送された未加硫ゴムシートを押圧してそれらを密着させる圧着ロール4を設ける。
【0026】
そしてまた、この組付けコンベア1とは別体構成されて、組付けコンベア1に近接および離隔する方向に変位可能とした供給コンベア5を、その組付けコンベア1に整列させて設け、さらに、これらの両コンベア1,5間に、未加硫ゴムシートを積層後の長尺樹脂フィルムを所定の長さに定寸切断する、これもまた、ナイフエッジ、剪断刃等とすることができるフィルム切断手段6を配設する。
【0027】
従ってここでは、供給コンベア5は、定寸切断後の樹脂フィルムを、そこに積層した未加硫ゴムシートとともに、それの走行方向前方側に配設した作業手段もしくは保管手段、図では作業手段の一例としての成型ドラム7に供給するべく機能することができる。
【0028】
加えてここでは、組付けコンベア1と供給コンベア5との間に、後に述べる、樹脂フィルムの裏打シートの,剥離走行可能な通路8を形成し、この通路8の先方端に、その裏打シートの巻取り軸9を設ける。
【0029】
なお図中10はエッジ付きの平板を示し、供給コンベア1に関連させて設けたこの平板10は、裏打シートの、樹脂フィルムからの剥離を、円滑かつ適正ならしめるべく機能する。
【0030】
以上に述べたような装置によって送給される樹脂フィルムは、図2に拡大横断面図で例示するように、表面に接着剤層11を有する、厚みが10〜500μmの範囲のフィルム12であり、このフィルム12は通常は、フィルム自身に比べてはるかに剛性の高い、離型シート13によって裏打されて定型性を付与されている。
【0031】
このような樹脂フィルム12の成型ドラム7への供給、ひいては、そのドラム周面への貼付けに当っては、はじめに、離型シート13で裏打された長尺のそのフィルム12を、組付けコンベア1により、図3(a)に示すように、平坦姿勢で搬送するとともに、フィルム12のこの搬送とタイミングを合わせて、ゴムシートコンベア2、とくにはそれの引き渡しコンベア部分2aの作用の下で、未加硫ゴムシート14を、これも平坦姿勢をもって、組付けコンベア1上のフィルム12の表面上に搬送して、それら両者の先端位置を所期した通りに調整した状態で、そのゴムシート14を、圧着ロール4の押圧作用によって、それの先端側から、フィルム表面の接着剤層11に漸次接着させて、ゴムシート14をフィルム12上に積層する。
【0032】
ここでこの積層は、樹脂フィルム12を離型シート13によって裏打した状態にて行われるので、そのフィルム12への、しわ、めくれ等の形態不良の発生は十分に防止されることになる。
【0033】
ところで、図3(a)に示すところでは、未加硫ゴムシート14の所定の長さ、引き渡しコンベア部分2aの長さ等との関連の下で、その未加硫ゴムシート14の、樹脂フィルム12への積層の開始とほぼタイミングを合わせて、未加硫ゴムシート14を、切断手段3をもって定寸切断することとしているも、未加硫ゴムシート14の定寸切断のタイミングは、そのゴムシート14の、樹脂フィルム12への積層の開始前とすることもでき、また、その積層の進行途中とすることもできる。
【0034】
そしてこのようにして開始される、フィルム12への未加硫ゴムシート14の積層は、定寸切断されたそのゴムシート14の全長にわたって継続されることになるも、樹脂フィルム12に、それよりはるかに高剛性の未加硫ゴムシート14を一旦積層した後は、樹脂フィルム12の以後の定型性は、そのゴムシート14をもって十分に確保することができ、これにより、離型シート13はその役割を果し終えたことになるので、その後は、図3(b)に示すように、組付けコンベア1上での未加硫ゴムシート14の積層を終えて、そこから供給コンベア5に引き渡される樹脂フィルム12から、その裏面側の離型シート13を、先に述べた通路8を経て剥離走行させ、好ましくは、その離型シート13を、巻取り軸9により、多くは、そこに取り付けた巻芯上に巻取る。
【0035】
これらのことによって、樹脂フィルム12の所定の長さが、図3(c)に示すように、そこに積層された未加硫ゴムシート14とともに、供給コンベア5上に引き渡されたときには、フィルム切断手段6によってその樹脂フィルム12を定寸切断し、この切断とタイミング合わせて、コンベア1,2のそれぞれを停止させ、この一方で、供給コンベア5を、それの作動下で、図4(a)に示すように、成型ドラム7に十分に近接変位させる。
【0036】
ところで、ゴムシートコンベア2の走行の停止は、たとえば、それの引き渡しコンベア部分2aについては、定寸切断された、所定長さの未加硫ゴムシート14の、組付けコンベア1への供給の完了に伴って行うこともでき、また、それの搬送コンベア部分2bについては、図3(b),(c)に示すように、ゴムシート14の定寸切断に伴って行うこともできる。
【0037】
ここで、図4(a)に示すところでは、供給コンベア5の、成型ドラム7への十分な近接姿勢の下で、その成型ドラム7をコンベア5と等しい周速で回転変位させることにより、供給コンベア5上の樹脂フィルム積層体を成型ドラム7へ供給し、その積層体を、未加硫ゴムシート14の粘着作用に基いて、成型ドラムの周面上に円滑に、かつ、樹脂フィルム12にしわ等を発生させることなく適正に貼着させる。
【0038】
図4(b)はこのようにして、所定の長さの樹脂フィルム12を、積層体として、成型ドラム7の周面上にその全周にわたって貼着させた状態を示し、これによって一回の供給作業を終了した供給コンベア5はその後、たとえば、走行を停止された状態で、組付けコンベア1に近接する元位置に復帰されて次の供給作業を待機する。
【0039】
一方、組付けコンベア1は、供給コンベア5への積層体の供給の後もしくはその供給中に、それの逆方向への走行によって、長尺樹脂フィルム12の切断端を、図4(b)に示すように、次回の積層作業の再開に好適な位置まで後退変位させることによって次の作業の開始を待機し、そして好ましくは、ゴムシートコンベア2は、これも同様のタイミングの下で、未加硫ゴムシート14の先端を、図4(b)に例示するように、フィルム12の切断端位置との関連の下で、次回の積層作業の再開に好適な位置まで進出変位させることによって次の作業を待機する。
【0040】
従って、その後に続く樹脂フィルムの積層および供給は、組付けコンベア1による長尺樹脂フィルム12の搬送および、ゴムシートコンベア2による未加硫ゴムシート14の搬送を再開して、そのゴムシート14の、図3(a)に示すような積層を行うとともに、これによって形成される樹脂フィルム積層体を、図3(b)に示すように、走行状態にある供給コンベア5にそれの先端側から引き渡し、以後は、上述したところを繰り返すことによって行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上、未加硫ゴムシートを積層した樹脂フィルムを、成型ドラムの周面上に供給してそこに貼着させる場合について説明したが、樹脂フィルムを供給する作業手段としては,成型ドラム以外の、他の部材のさらなる積層のためのサービサー,コンベア等を用いることもでき、また、その樹脂フィルムは、後工程への搬送のための巻取機等の保管手段に供給することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明に係る装置の実施形態を示す略線側面図である。
【図2】樹脂フィルムを離型シートとともに示す拡大横断面図である。
【図3】この発明に係る方法の実施形態をその前段側部分について示す工程図である。
【図4】この発明に係る方法の実施形態をその後段側部分について示す工程図である。
【符号の説明】
【0043】
1 組付けコンベア
2 ゴムシートコンベア
2a 引き渡しコンベア部分
2b 搬送コンベア部分
3 定寸切断手段
4 圧着ロール
5 供給コンベア
6 フィルム切断手段
7 成型ドラム
8 通路
9 巻取り軸
10 平板
11 接着剤層
12 樹脂フィルム
13 離型シート
14 未加硫ゴムシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートで裏打された長尺の樹脂フィルムを平坦姿勢で搬送しつつ、その樹脂フィルムの表面に、定寸切断された未加硫ゴムシートをそれの先端側から漸次に積層させるとともに、この積層を終えた部分での、樹脂フィルムからの裏打シートの除去および、その積層を完了した後の樹脂フィルムの定寸切断のそれぞれを所要の順序で行い、次いで、その樹脂フィルムを作業手段もしくは保管手段に供給する樹脂フィルムの送給方法。
【請求項2】
未加硫ゴムシートの積層部分での、樹脂フィルムからの裏打シートの除去を、未加硫ゴムシートの積層工程の進行に合わせて行う請求項1に記載の樹脂フィルムの送給方法。
【請求項3】
未加硫ゴムシートを積層した樹脂フィルムの、作業手段もしくは保管手段への供給の後、もしくはその供給中に、搬送手段上に残留する長尺樹脂フィルムの切断端を一旦後退変位させた後、未加硫ゴムシートの次の積層を開始する請求項1もしくは2に記載の樹脂フィルムの送給方法。
【請求項4】
シートで裏打された長尺の樹脂フィルムを平坦姿勢で搬送する組付けコンベアと、未加硫ゴムシートを搬送して、その未加硫ゴムシートを組付けコンベアに引き渡すゴムシートコンベアと、未加硫ゴムシートの搬送経路内に配設したそれの定寸切断手段と、組付けコンベア上に配設されて、樹脂フィルムの表面上に未加硫ゴムシートを押圧する圧着ロールと、未加硫ゴムシートを積層後の樹脂フィルムを定寸切断するフィルム切断手段と、定寸切断後の樹脂フィルムを、積層された未加硫ゴムシートとともに、作業手段もしくは保管手段に供給する供給コンベアとを具えてなる樹脂フィルムの送給装置。
【請求項5】
フィルム切断手段を、組付けコンベアと供給コンベアとの間に配設してなる請求項4に記載の樹脂フィルムの送給装置。
【請求項6】
組付けコンベアと供給コンベアとの間に、裏打シートの剥離走行路を設けてなる請求項4もしくは5に記載の樹脂フィルムの送給装置。
【請求項7】
組付けコンベアを、正逆両方向に走行可能としてなる請求項4〜6のいずれかに記載の樹脂フィルムの送給装置。
【請求項8】
供給コンベアを、作業手段もしくは保管手段に対して進退変位可能としてなる請求項4〜7のいずれかに記載の樹脂フィルムの送給装置。
【請求項9】
供給コンベアを、タイヤ成型ドラムへの樹脂フィルム供給コンベアとしてなる請求項4〜8のいずれかに記載の樹脂フィルムの送給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−22020(P2007−22020A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211226(P2005−211226)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】