説明

樹脂付リードフレーム、半導体装置、照明装置、樹脂付リードフレームの製造方法および半導体装置の製造方法

【課題】LED素子からの光を効率良く反射することができる樹脂付リードフレームを提供する。
【解決手段】樹脂付リードフレーム40は、上方に突出してLED素子21に接続されるフレーム端子部15を有するリードフレーム10を備えている。リードフレーム10上には、反射用樹脂部23が設けられている。反射用樹脂部23は、リードフレーム10のフレーム端子部15の上面を露出させ、LED素子21からの光を反射するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を載置する樹脂付リードフレーム、この樹脂付リードフレームを有する半導体装置、この半導体装置を有する照明装置、樹脂付リードフレームの製造方法および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LED(発光ダイオード)素子を光源として用いる照明装置が、各種家電、OA機器、車両機器の表示灯、一般照明、車載照明、およびディスプレイ等に用いられている。このような照明装置の中には、LED素子を有する半導体装置を含むものがある。
【0003】
また、半導体チップを搭載する薄型の半導体装置(パッケージ)としては、例えばQFN(Quad Flat Non-leaded package)タイプのものやSON(Small Outline Non-leaded Package)タイプ等、下面実装型のパッケージが知られている。
【0004】
このような下面実装型のパッケージとして、例えば特許文献1により、リードフレーム上に貫通孔を有するリフレクタ部材が設けられ、リフレクタ部材の貫通孔内においてリードフレーム上に光半導体素子が搭載されて、リフレクタ部材の内部に封止樹脂が封止されている光半導体素子用パッケージが知られている。このうち、リードフレームの表面には、光の反射率を高くするために、Ag(銀)めっきが施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−66025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、光半導体素子としてLED、とりわけ高輝度LEDを用いる場合、光半導体素子を封止する封止樹脂が強い光にさらされる。このため近年、封止樹脂に対して耐候性が要求されるようになってきており、このような封止樹脂としてシリコーン樹脂を使用する要求が高まっている。しかしながら、シリコーン樹脂を用いた場合、ガスバリア性が劣る傾向があるため、光半導体素子用パッケージ内部のAgめっきにまで空気中の酸素や硫化水素ガス等の腐食性ガスが浸透してしまう。そして、Agは容易に硫化水素ガスなどと反応するため、硫化銀などの生成物が形成され、Agめっきが変色する場合がある。また、発光により発生する熱によって、Agめっき内に母材の銅が拡散し、Agめっきによる光の反射率が低下する場合がある。この結果、Agめっきの反射率を可視領域全域において著しく低下させるという問題が生じている。
【0007】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、LED素子からの光を効率良く反射することができる樹脂付リードフレーム、半導体装置、照明装置、樹脂付リードフレームの製造方法および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、LED素子を載置する樹脂付リードフレームにおいて、上方に突出してLED素子に接続されるフレーム端子部を有するリードフレームと、リードフレーム上に設けられ、リードフレームのフレーム端子部の上面を露出させ、LED素子からの光を反射するための反射用樹脂部と、を備えたことを特徴とする樹脂付リードフレームである。
【0009】
本発明は、リードフレームのフレーム端子部の上面に、LED素子からの光を反射するための反射層として機能する反射用金属層が設けられていることを特徴とする樹脂付リードフレームである。
【0010】
本発明は、反射用樹脂部は、LED素子を載置する樹脂載置部を有していることを特徴とする樹脂付リードフレームである。
【0011】
本発明は、リードフレームは、上方に突出してLED素子を載置するフレーム載置部を更に有し、リードフレームのフレーム載置部の上面は、反射用樹脂部から露出していることを特徴とする樹脂付リードフレームである。
【0012】
本発明は、リードフレームのフレーム載置部の上面に、LED素子からの光を反射するための反射層として機能する第2の反射用金属層が設けられていることを特徴とする樹脂付リードフレームである。
【0013】
本発明は、リードフレームの反射用樹脂部に接する面は、粗面化されていることを特徴とする樹脂付リードフレームである。
【0014】
本発明は、反射用樹脂部は、リードフレームのフレーム端子部の周囲に設けられ、上方に延びる反射用側壁を有していることを特徴とする樹脂付リードフレームである。
【0015】
本発明は、リードフレームは、第1の部分と、第1の部分に離間した第2の部分とを有し、リードフレームのフレーム端子部は、第1の部分および第2の部分にそれぞれ設けられており、第1の部分の外側および第2の部分の外側に、連結部がそれぞれ連結され、各連結部の下面は、第1の部分の下面および第2の部分の下面より上方に位置していることを特徴とする樹脂付リードフレームである。
【0016】
本発明は、上述した樹脂付リードフレームと、樹脂付リードフレームに載置され、リードフレームのフレーム端子部に接続されたLED素子と、を備えたことを特徴とする半導体装置である。
【0017】
本発明は、照明基板と、照明基板上に配置された上述した半導体装置と、照明基板上に設けられ、半導体装置を覆うカバーと、を備えたことを特徴とする照明装置である。
【0018】
本発明は、LED素子を載置する樹脂付リードフレームの製造方法において、金属基板を準備する工程と、金属基板から、上方に突出してLED素子に接続されるフレーム端子部を有するリードフレームを形成する工程と、リードフレーム上に、リードフレームのフレーム端子部の上面を露出させるように、LED素子からの光を反射するための反射用樹脂部を設ける工程と、を備えたことを特徴とする樹脂付リードフレームの製造方法である。
【0019】
本発明は、反射用樹脂部が設けられたリードフレームのフレーム端子部の上面に、LED素子からの光を反射するための反射層として機能する反射用金属層を形成する工程を更に備えたことを特徴とする樹脂付リードフレームの製造方法である。
【0020】
本発明は、リードフレームを形成する工程において、上方に突出してLED素子を載置するフレーム載置部を更に有するように、リードフレームが形成され、反射用樹脂部を設ける工程において、反射用樹脂部は、リードフレームのフレーム載置部の上面を露出させることを特徴とする樹脂付リードフレームの製造方法である。
【0021】
本発明は、リードフレームのフレーム載置部の上面に、LED素子からの光を反射するための反射層として機能する第2の反射用金属層を形成する工程を更に備えたことを特徴とする樹脂付リードフレームの製造方法である。
【0022】
本発明は、リードフレームの反射用樹脂部に接する面を粗面化する工程を更に備えたことを特徴とする樹脂付リードフレームの製造方法である。
【0023】
本発明は、上述した樹脂付リードフレームの製造方法により樹脂付リードフレームを準備する工程と、半導体リードフレームにLED素子を載置する工程と、載置されたLED素子をリードフレームのフレーム端子部に接続する工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、リードフレーム上にLED素子からの光を反射するための反射用樹脂部が設けられていることにより、LED素子からの光を効率良く反射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態による樹脂付リードフレームを示す断面図。
【図2】本発明の一実施の形態によるリードフレームを示す全体平面図。
【図3】本発明の一実施の形態によるリードフレームを示す部分拡大平面図(図2のII部拡大図)。
【図4】本発明の一実施の形態による半導体装置を示す断面図。
【図5】本発明の一実施の形態による半導体装置を示す平面図。
【図6】本発明の一実施の形態による樹脂付リードフレームの製造方法を示す図。
【図7】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を示す図。
【図8】樹脂付リードフレームおよび半導体装置の変形例(変形例1)を示す断面図。
【図9】変形例1による樹脂付リードフレームの製造方法を示す図。
【図10】樹脂付リードフレームおよび半導体装置の変形例(変形例2)を示す断面図。
【図11】樹脂付リードフレームおよび半導体装置の変形例(変形例3)を示す断面図。
【図12】樹脂付リードフレームおよび半導体装置の変形例(変形例4)を示す断面図。
【図13】照明装置を示す概略図。
【図14】照明装置を示す部分断面図。
【図15】樹脂付リードフレームおよび半導体装置の変形例(変形例5)を示す断面図。
【図16】変形例5による半導体装置を示す平面図。
【図17】樹脂付リードフレームおよび半導体装置の変形例(変形例6)を示す断面図。
【図18】変形例6による半導体装置を示す平面図。
【図19】樹脂付リードフレームおよび半導体装置の変形例(変形例7)を示す平面図。
【図20】樹脂付リードフレームおよび半導体装置の変形例(変形例8)を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態について、図1乃至図7を参照して説明する。また、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0027】
樹脂付リードフレームの構成
まず、図1により、樹脂付リードフレーム40について説明する。ここで、樹脂付リードフレーム40は、LED素子21(図4参照)を載置するために用いられるものであり、図1に示すように、リードフレーム10と、リードフレーム10上に設けられ、LED素子21からの光を反射するための反射用樹脂部(外側樹脂部)23と、を備えている。
【0028】
このうち、リードフレーム10は、本体部11と、本体部11の周囲(全面)に形成されためっき層12とを備えている。
【0029】
本体部11は、銅または銅合金からなっている。後述するフレーム端子部15を含む本体部11の厚みは、半導体装置20の構成にもよるが、0.05mm〜0.5mmとすることができる。
【0030】
なお、本体部11の厚みは、例えば0.05mmを下回ると、リードフレーム10自体の強度が充分ではなくなってしまう。またLED素子21から発生する熱をリードフレーム10の平面方向に充分に逃がすことが出来なくなってしまう。他方、本体部11の厚みが0.5mmを上回ると、エッチングやプレス加工の設計自由度が低下してしまう。また、半導体装置20が厚くかつ重くなってしまう。
【0031】
めっき層12は、本体部11の全面を覆うように形成されている。このことにより、リードフレーム10の製造工程におけるめっき工程の効率化を図っている。また、めっき層12は、反射機能を有する必要はないが、ワイヤボンディング性およびはんだ接合性を有することが望ましい。めっき層12の材料としては、一般的に半導体用リードフレームで使用される材料、例えばニッケル/パラジウム/金のめっき層を挙げることができる。この場合、めっき層12のめっき厚は、ニッケル0.1μm〜1μm/パラジウム0.01μm〜0.5μm/金0.001μm〜0.1μmとされることが望ましい。なお、後述する図2および図3においては、図面を明瞭にするために、めっき層12を省略している。
【0032】
次に、リードフレーム10の平面形状について説明する。図2および図3に示すように、リードフレーム10の本体部11は、枠体13と、枠体13内に多面付けで(多列および多段に、マトリックス状に)配置された複数の単位リードフレーム14と、を有している。各単位リードフレーム14は、それぞれ個々の半導体装置20に対応するものである。
【0033】
図1および図3に示すように、各単位リードフレーム14は、第1の部分(ダイパッド)25と、第1の部分25から離間した第2の部分(リード部)26と、を有している。なお、図3において、二点鎖線で囲まれた領域が、単位リードフレーム14に相当する。このように、リードフレーム10が複数の単位リードフレーム14を有することにより、半導体装置20の製造コストを低減するとともに、組立効率を高めている。そして、第1の部分25および第2の部分26に、上方に突出してLED素子21に接続されるフレーム端子部15がそれぞれ設けられている。
【0034】
また、第1の部分25の外側および第2の部分26の外側に、連結部27がそれぞれ連結されている。各連結部27は、載置されるLED素子21から離れる方向(単位リードフレーム14における外側)に延びるように形成されている。すなわち、図3に示すように、各単位リードフレーム14内の第1の部分25は、隣接する他の単位リードフレーム14内の第1の部分25および第2の部分26と、それぞれ連結部27によって連結されている。同様に、各単位リードフレーム14内の第2の部分26は、隣接する他の単位リードフレーム14内の第1の部分25および第2の部分26と、それぞれ連結部27によって連結されている。なお、本実施の形態においては、各連結部27の下面は、第1の部分25の下面および第2の部分26の下面と同一平面上に位置し、各連結部27の上面は、第1の部分25の上面および第2の部分26の上面と同一平面上に位置している。
【0035】
第1の部分25の下面は、第1のアウターリード部28を構成し、第2の部分26の下面は、第2のアウターリード部29を構成している。第1のアウターリード部28および第2のアウターリード部29(より正確には、第1の部分25の下面および第2の部分26の下面に形成されためっき層12の下面)は、それぞれ反射用樹脂部23から外方に露出し、外部の電極83(図14参照)に接続されるようになっている。
【0036】
反射用樹脂部23は、リードフレーム10のフレーム端子部15の上面を露出させるようになっている。すなわち、反射用樹脂部23は、LED素子21を載置する樹脂載置部23bを含む反射用底部23cと、反射用底部23c上に設けられ、上方に延びる反射用側壁23dと、を有している。このうち反射用底部23cにおいて、リードフレーム10の各フレーム端子部15の上面(より正確には、フレーム端子部15上のめっき層12の上面)が露出されるようになっている。すなわち、各フレーム端子部15の上面は、反射用樹脂部23によって覆われていない。また、反射用側壁23dは、上面が露出した各フレーム端子部15の周囲に設けられて、LED素子21を取り囲むように形成されている。これら反射用底部23cと反射用側壁23dとにより、LED素子21を収容する樹脂凹部23aが形成され、LED素子21からの光を、反射用底部23cと反射用側壁23dとにより反射するようになっている。また、反射用樹脂部23は、リードフレーム10の第1の部分25と第2の部分26との間にも充填されており、第1の部分25と第2の部分26とは互いに電気的に絶縁されている。このような反射用樹脂部23は、リードフレーム10と一体化されている。
【0037】
反射用樹脂部23は、例えばリードフレーム10上に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を射出成形またはトランスファ成形することにより形成されたものである。反射用樹脂部23の形状は、射出成形またはトランスファ成形に使用する金型の設計により、様々に実現することが可能である。例えば、反射用樹脂部23の全体形状を直方体、円筒形および錐形等の形状とすることが可能である。樹脂凹部23aの底面は、円形、楕円形または多角形等とすることができる。樹脂凹部23aの側壁の断面形状は、図1のように直線から構成されていても良いし、あるいは曲線から構成されていてもよい。
【0038】
反射用樹脂部23に使用される熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂については、特に耐熱性、耐候性および機械的強度の優れたものを選ぶことが望ましい。熱可塑性樹脂の種類としては、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルサルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド等、熱硬化性樹脂の種類としてはシリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、およびポリウレタン等、を使用することができる。さらにまた、これらの樹脂中に光反射剤として、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウムおよび窒化ホウ素のうちいずれかを添加することによって、反射用底部23cおよび反射用側壁23dにおいて、LED素子21からの光の反射率を増大させ、半導体装置20全体の光取り出し効率を増大させることが可能となる。
【0039】
半導体装置の構成
次に、図4および図5により、図1に示す樹脂付リードフレーム40を用いた半導体装置の一実施の形態について説明する。本実施の形態による半導体装置20は、LED電球等からなる後述の照明装置80(図13参照)に組み込まれて使用されるものである。
【0040】
図4および図5に示すように、半導体装置20は、樹脂付リードフレーム40と、樹脂付リードフレーム40の反射用樹脂部23の樹脂載置部23bに載置されたLED素子21と、リードフレーム10の各フレーム端子部15とLED素子21とを電気的に接続するボンディングワイヤ(導電部)22とを備えている。LED素子21とボンディングワイヤ22とは、透光性の封止樹脂部24によって封止されている。封止樹脂部24は、反射用樹脂部23の樹脂凹部23a内に充填されている。なお、図5においては、図面を明瞭にするために、封止樹脂部24は省略している。
【0041】
以下、このような半導体装置20を構成する各構成部材について、順次説明する。
【0042】
LED素子21としては、従来一般に用いられている各種LED素子を使用することが可能である。LED素子21は、発光層として例えばGaP、GaAs、GaAlAs、GaAsP、AlInGaP、またはInGaN等の化合物半導体単結晶からなる材料を適宜選ぶことにより、紫外光から赤外光に渡る発光波長を選択することができる。
【0043】
LED素子21は、素子端子部21aを有している。また、LED素子21は、接着剤(一例として、銀ペースト、エポキシダイボンド剤、シリコーンダイボンド剤)により、反射用樹脂部23の反射用底部23c上に固定されている。
【0044】
ボンディングワイヤ22は、例えば金または銅等の導電性の良い材料からなり、その一端がLED素子21の素子端子部21aに接続されるとともに、その他端がリードフレーム10のフレーム端子部15に接続されている。
【0045】
封止樹脂部24としては、光の取り出し効率を向上させるために、半導体装置20の発光波長において光透過率が高く、また屈折率が高い材料を選択するのが望ましい。したがって耐熱性、耐候性、及び機械的強度が高い特性を満たす樹脂として、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂を選択することが可能である。特に、LED素子21として高輝度LEDを用いる場合、封止樹脂部24が強い光と熱にさらされるため、封止樹脂部24は高い耐候性を有するシリコーン樹脂(シロキサン結合を有する高分子)からなることが好ましい。
【0046】
樹脂付リードフレームの製造方法
次に、図1に示す樹脂付リードフレーム40の製造方法について、図6(a)−(g)を用いて説明する。
【0047】
まず図6(a)に示すように、平板状の金属基板31(加工前の本体部11)を準備する。この金属基板31は、銅または銅合金からなっている。なお金属基板31は、その両面に対して脱脂等を行い、洗浄処理を施したものを使用することが好ましい。
【0048】
次に、金属基板31の表裏にそれぞれ感光性レジスト32a、33aを塗布し、乾燥させる(図6(b))。なお感光性レジスト32a、33aとしては、従来公知のものを使用することができる。
【0049】
次いで、感光性レジスト32a、33aを所望のフォトマスクを介して露光した後、現像することにより、所望の開口部32b、33bを有するエッチング用レジスト層32、33を形成する(図6(c))。
【0050】
具体的には、金属基板31の表面側において、貫通エッチングを行う部分と、ハーフエッチングを行う部分(フレーム端子部15以外の部分)に、開口部32bを形成する。同様に、金属基板31の裏面側において、貫通エッチングを行う部分に、開口部33bを形成する。
【0051】
次に、エッチング用レジスト層32、33を耐腐蝕膜として金属基板31に腐蝕液でエッチングを施す(図6(d))。腐蝕液としては、例えば塩化第二鉄水溶液を使用することができ、金属基板31の両面からスプレーエッチングにて行うことができる。
【0052】
次いで、エッチング用レジスト層32、33を剥離して除去する(図6(e))。
【0053】
このように、金属基板31にエッチングを施すことにより、各々がフレーム端子部15を含む複数の第1の部分25および第2の部分26有するリードフレーム10(多面付リードフレーム)(図2および図3参照)が形成される。
【0054】
その後、形成されたリードフレーム10の本体部11の周囲に電解めっきを施す。これにより本体部11上に金属(例えばニッケル/パラジウム/金)を析出させて、本体部11の全面にめっき層12を形成する(図6(f))。ニッケルめっきの電解めっき用めっき液としては、スルファミン酸ニッケルを主成分としたニッケルめっき液を用いることができる。また、パラジウムめっきの電解めっき用めっき液としては、塩化パラジウムを主成分としたパラジウムめっき液を、金めっきの電解めっき用めっき液としては、シアン化金を主成分とした金めっき液を用いることができる。このようにして、図1に示すようなリードフレーム10が得られる。
【0055】
そして、リードフレーム10に対して熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を射出成形またはトランスファ成形することにより、リードフレーム10上に反射用樹脂部23を形成する(図6(g))。これにより、反射用樹脂部23とリードフレーム10とが一体に形成された、図1に示す樹脂付リードフレーム40を得ることができる。またこのとき、射出成形またはトランスファ成形に使用する金型を適宜設計することにより、反射用樹脂部23に樹脂凹部23aを形成するとともに、反射用底部23cにおいて、リードフレーム10のフレーム端子部15の上面が外方(上方)に露出するようにする。
【0056】
半導体装置の製造方法
次に、図4および図5に示す半導体装置20の製造方法について、図7(a)−(e)により説明する。
【0057】
まず、上述した工程により(図6(a)−(g))、フレーム端子部15を含むリードフレーム10を有する樹脂付リードフレーム40を準備する。
【0058】
次に、反射用樹脂部23の樹脂載置部23b上に、LED素子21を搭載する。この場合、接着剤を用いて、LED素子21を樹脂載置部23b上に載置して固定する(図7(a))。
【0059】
次に、LED素子21の素子端子部21aと、リードフレーム10のフレーム端子部15とを、ボンディングワイヤ22によって互いに電気的に接続する(ワイヤボンディング工程)(図7(b))。
【0060】
その後、反射用樹脂部23の樹脂凹部23a内に封止樹脂部24を形成し、封止樹脂部24によりリードフレーム10のフレーム端子部15、LED素子21、およびボンディングワイヤ22を封止する(図7(c))。
【0061】
次に、各LED素子21間の反射用樹脂部23および連結部27をダイシングすることにより、リードフレーム10を各半導体装置20毎に分離する(図7(d))。この際、まずリードフレーム10をダイシングテープ37上に載置して固定し、その後、例えばダイヤモンド砥石からなるブレード38を回転させながら、図7(d)の紙面に対して垂直な方向に移動させることにより、各LED素子21間の反射用樹脂部23および連結部27を切断する。なお図7(d)において、ダイシングに限らず、プレスにより各半導体装置20を個片化しても良い。
【0062】
このようにして、図4および図5に示す半導体装置20が得られる(図7(e))。
【0063】
本実施の形態の作用効果
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用効果について説明する。
【0064】
すなわち半導体装置20を製造してから一定時間が経過した後、例えば反射用樹脂部23と封止樹脂部24との間から、半導体装置20内部に空気中の酸素や硫化水素ガス等の腐食性ガスが浸透する場合がある。また、封止樹脂部24として耐候性が良好なシリコーン樹脂を使用する場合には、ガスバリア性が劣るため、空気中の酸素や硫化水素ガス等の腐食性ガスが封止樹脂部24内を浸透するおそれがある。腐食性ガスが半導体装置20内に浸透すると、リードフレーム10の本体部11上に銀めっき層を形成していた場合には、この銀めっきが、腐食性ガスと反応して変色し、光の反射率が低下する。また、銀めっき層内には、発光により発生する熱によって母材の銅が拡散して、銀めっき層による光の反射率が低下するおそれがある。
【0065】
これに対して本実施の形態によれば、リードフレーム10上に、反射用樹脂部23の反射用底部23cが設けられている。このことにより、LED素子21からの光を、当該反射用底部23cによって反射させることができる。とりわけ、反射用樹脂部23は、光の反射率が比較的高い銀めっきよりも高い反射率(反射用樹脂部23を形成する樹脂の種類にもよるが、一般に、硫酸バリウムの反射率を100%として全反射測定した場合、可視光領域において銀の反射率は90%程度、反射用樹脂部23の反射率は90〜102%程度)を有しているため、LED素子21を載置する載置部が銀により形成されている場合に比べて、光の反射率を向上させることができる。また、反射用樹脂部23は、腐食性ガスによって変色しにくいため、光の反射率の低下を抑制することができる。さらに、反射用樹脂部23として、耐熱性の優れた樹脂(例えば、ポリフタルアミド、液晶ポリマー、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂)を使用することにより、反射用樹脂部23の熱劣化を抑制することができ、耐光性の優れた樹脂(例えば、フェニル基のような耐光性の低い官能基が少ないポリフェニレンサルファイドなどの樹脂)を使用することにより、反射用樹脂部23の光劣化を抑制することができる。この結果、LED素子21からの光を効率良く反射することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、LED素子21からの光を、反射用樹脂部23の反射用底部23cによって反射させることができるため、リードフレーム10の第1の部分25および第2の部分26に反射機能を持たせることは不要となる。ところで、リードフレーム10のめっき層12を銀めっきで構成した場合には、銀はイオンマイグレーションを起こしやすいため、リードフレーム10のアウターリード部28、29の間(端子間)でショート(短絡)が起こりやすいという問題がある。また、銀と、反射用樹脂部23を形成する樹脂とは接着性が劣るため、銀めっきと反射用樹脂部23との間で界面剥離のおそれがあり、耐湿信頼性、耐熱信頼性といったパッケージ性能が低下するという問題もある。これに対して本実施の形態によれば、上述したように、LED素子21からの光は、反射用樹脂部23の反射用底部23cによって反射させることができる。このことにより、めっき層12として、光の反射機能を持たせるために高価でパッケージ性能が劣る銀めっきを施すことは不要となり、その代わりに、パッケージ性能に優れ、安価な層(例えば、ニッケル/パラジウム/金めっき層)を選択することができる。このため、パッケージ性能に優れ、かつ安価な半導体装置20を得ることができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、リードフレーム10上に、反射用樹脂部23の反射用底部23cが設けられていることにより、リードフレーム10と反射用樹脂部23との接触面積を増大することができる。このため、リードフレーム10と反射用樹脂部23との接合強度を増大することができ、強固な半導体装置20を得ることができる。
【0068】
変形例
以下、本実施の形態によるリードフレームの各種変形例(変形例1〜変形例8)について、図8乃至図20を参照して説明する。図8乃至図20において、図1乃至図7に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0069】
(変形例1)
図8は、本実施の形態の一変形例(変形例1)による樹脂付リードフレーム40および半導体装置20を示している。図8に示す樹脂付リードフレーム40において、図1乃至図7に示す実施の形態と異なり、リードフレーム10の本体部11の全面にめっき層12は形成されることなく、リードフレーム10のフレーム端子部15の上面に、LED素子21からの光を反射するための反射層として機能する反射用金属層51が設けられている。この反射用金属層51は、フレーム端子部15の上面から、横方向に延びるように形成されている。また、反射用金属層51は、反射機能のほかに、ワイヤボンディング性を有することが望ましい。このような反射用金属層51は、例えば、銀めっき層により構成することができる。また、反射用金属層51の厚さは、1μm〜10μmとすることが望ましい。
【0070】
第1の部分25の下面および第2の部分26の下面には、反射用金属層51と同様の材料および厚みからなるアウター用金属層52が設けられている。アウター用金属層52は、対応する第1の部分25の下面または第2の部分26の下面から、横方向に延びるように形成されている。
【0071】
図8に示す樹脂付リードフレーム40の製造方法について、図9(a)−(g)を用いて説明する。なお、このうち、図9(a)−(e)に示す工程は、図6(a)−(e)に示す工程と同様であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0072】
図9(f)に示すように、エッチング用レジスト32、33を除去したリードフレーム10に対して熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を射出成形またはトランスファ成形することにより、リードフレーム10上に反射用樹脂部23を形成する。これにより、反射用樹脂部23とリードフレーム10とを一体に形成することができる。またこのとき、射出成形またはトランスファ成形に使用する金型を適宜設計することにより、反射用樹脂部23に樹脂凹部23aを形成するとともに、反射用底部23cにおいて、フレーム端子部15の上面が外方(上方)に露出するようにする。
【0073】
その後、反射用樹脂部23が設けられたリードフレーム10のうち、反射用樹脂部23から露出した部分に電解めっきを施す。すなわち、リードフレーム10の各フレーム端子部15の上面、第1の部分25の下面および第2の部分26の下面に、金属(例えば銀)を析出させて、反射用金属層51およびアウター用金属層52を形成する。反射用金属層51およびアウター用金属層52が銀めっきからなる場合、電解めっき用めっき液としては、シアン化銀およびシアン化カリウムを主成分とした銀めっき液を用いることができる。このようにして、図8に示すような樹脂付リードフレーム40が得られる。なお、この場合、リードフレーム10のフレーム端子部15の上面、第1の部分25の下面、第2の部分26の下面および連結部27の下面以外の面は、反射用樹脂部23によって覆われているため、めっき用レジスト層の形成が不要となる。また、反射用樹脂部23をレジストとしてめっきが施されるため、反射用金属層51が、フレーム端子部15の上面から横方向に延びるように形成され、アウター用金属層52が、対応する第1の部分25の下面または第2の部分26の下面から横方向に延びるように形成される。
【0074】
この変形例1によれば、露出したフレーム端子部15の上面においても、反射用金属層51によって、LED素子21からの光を反射させることができる。このため、LED素子21からの光を効率良く反射することができる。
【0075】
また、変形例1によれば、リードフレーム10の反射用樹脂部23に接する面(リードフレーム10のフレーム端子部15の上面、第1の部分25の下面、第2の部分26の下面、連結部27の下面以外の面)に、反射用樹脂部23を形成する樹脂との接着性が劣る銀めっき層が形成されていない。このことにより、リードフレーム10の本体部11と反射用樹脂部23とは、銀めっき層を介在させることなく接合される。このため、本体部11が銅または銅合金からなる場合、銅は銀などと異なり、樹脂中の多くの官能基と配位結合が可能であることから、銅と反射用樹脂部23とは一般に接着性が良好となり、リードフレーム10と反射用樹脂部23との接合強度を増大させることができる。この場合、樹脂との接着性を向上させるために、リードフレーム10の反射用樹脂部23に接する面に、例えば、カップリング剤処理や、下地めっきを行っても良い。さらに、反射用金属層51は、フレーム端子部15の上面から横方向に延びるように形成されているため、アンカー効果によってリードフレーム10と反射用樹脂部23との接合強度を増大させることができる。
【0076】
なお、変形例1において、リードフレーム10の反射用樹脂部23に接する面が、粗面化されていても良い。このことにより、リードフレーム10と反射用樹脂部23との接合強度を増大させることができる。この場合、リードフレーム10の反射用樹脂部23に接する面の表面粗さは、最大高さ粗さRy(JISB0601−1994)で、0.1μm〜10μmの範囲(200μm長さ)であることが好ましい。
【0077】
リードフレーム10の反射用樹脂部23に接する面を粗面化する場合、エッチング後のリードフレーム10(図9(e)参照)に対して、リードフレーム10の本体部11の全面を粗面化する。この場合、例えば過酸化水素溶液などの薬液を用いて粗面化してもよく、あるいは、本体部11の全面にニッケル粗化めっきを施して粗面化してもよい。続いて、粗面化されたリードフレーム10上に反射用樹脂部23を形成する(図9(f)参照)。次に、フレーム端子部15の上面、第1の部分25の下面および第2の部分26の下面を、平坦化する。この場合、金型をこれらの面に押し当てて平坦化してもよく、または、これらの面を、反射用樹脂部23をマスクとして、過硫酸などで微量にエッチングして平坦化してもよい。その後、反射用金属層51およびアウター用金属層52を形成し(図9(g)参照)、リードフレーム10の反射用樹脂部23に接する面が粗面化された樹脂付リードフレーム40が得られる。
【0078】
(変形例2)
図10は、本実施の形態の一変形例(変形例2)による樹脂付リードフレーム40および半導体装置20を示している。変形例2においては、リードフレーム10が、上方に突出してLED素子21を載置するフレーム載置部53を有している。このフレーム載置部53の上面(より正確には、フレーム載置部53上のめっき層12の上面)は、反射用樹脂部23の反射用底部23cから露出している。また、LED素子21は、はんだまたはダイボンディングペーストにより、フレーム載置部53に固定されている。このようなフレーム載置部53は、図6に示すフレーム端子部15と同様にして形成することができる。
【0079】
この変形例2によれば、LED素子21から発生した熱を、フレーム載置部53を通して放熱させることができる。
【0080】
(変形例3)
図11は、本実施の形態の一変形例(変形例3)による樹脂付リードフレーム40および半導体装置20を示している。変形例3は、変形例1と変形例2とを組み合わせたものとなっている。
【0081】
すなわち、変形例3においては、リードフレーム10が、上方に突出してLED素子21を載置するフレーム載置部53を有している。また、変形例3においては、リードフレーム10の本体部11にめっき層12は形成されることなく、リードフレーム10のフレーム端子部15の上面に、LED素子21からの光を反射するための反射層として機能する反射用金属層51が設けられ、フレーム載置部53の上面に、反射用金属層51と同様な第2の反射用金属層54が設けられている。反射用金属層51は、フレーム端子部15の上面から、横方向に延びるように形成され、第2の反射用金属層54は、フレーム載置部53の上面から、横方向に延びるように形成されている。また、LED素子21は、はんだまたはダイボンディングペーストにより、フレーム載置部53に固定されている。
【0082】
反射用金属層51は、反射機能のほかに、ワイヤボンディング性を有することが望ましく、第2の反射用金属層54は、反射機能のほかに、ダイボンディング性を有することが望ましい。このような反射用金属層51および第2の反射用金属層54は、銀めっき層により構成することが好ましい。また、反射用金属層51の厚さおよび第2の反射用金属層54の厚さは、1μm〜10μmとすることが望ましい。
【0083】
また、変形例1と同様に、第1の部分25の下面および第2の部分26の下面には、反射用金属層51および第2の反射用金属層54と同様の材料および厚みからなるアウター用金属層52が設けられている。
【0084】
図11に示すフレーム載置部53は、図6に示すフレーム端子部15と同様にして形成することができ、反射用金属層51、第2の反射用金属層54およびアウター用金属層52は、図9に示す変形例1と同様にして、これらの層を同時に形成することができる。
【0085】
この変形例3によれば、露出したフレーム端子部15の上面およびフレーム載置部53の上面においても、反射用金属層51および第2の反射用金属層54によって、LED素子21からの光を反射させることができ、半導体装置20としての光の反射率を向上させることができる。
【0086】
また、変形例3によれば、変形例1と同様に、リードフレーム10の反射用樹脂部23に接する面に、反射用樹脂部23を形成する樹脂との接着性が劣る銀めっき層が形成されていないため、リードフレーム10の本体部11が銅または銅合金からなる場合、リードフレーム10と反射用樹脂部23との接合強度を増大させることができる。さらに、各反射用金属層51、54によるアンカー効果によって、リードフレーム10と反射用樹脂部23との接合強度を増大させることができる。
【0087】
また、変形例3によれば、LED素子21から発生した熱を、フレーム載置部53を通して放熱させることができる。
【0088】
なお、変形例3において、変形例1と同様に、リードフレーム10の反射用樹脂部23に接する面が、粗面化されていても良い。このことにより、リードフレーム10と反射用樹脂部23との接合強度を増大させることができる。
【0089】
(変形例4)
図12は、本実施の形態の一変形例(変形例4)による樹脂付リードフレーム40および半導体装置20を示している。変形例4においては、リードフレーム10の各連結部27の下面が、第1の部分25の下面および第2の部分26の下面より上方に位置している。また、各連結部27の上面は、第1の部分25の上面および第2の部分26の上面より上方に位置している。そして、連結部27の下方に、反射用樹脂部23が回り込むように形成されている。このような連結部27は、リードフレーム10のエッチング時に、金属基板31の連結部27に対応する部分の裏面側にエッチング用レジスト層33の開口部を形成してハーフエッチングすることにより、形成することができる(図6(c)参照)。
【0090】
この変形例4によれば、リードフレーム10の連結部27の下方に反射用樹脂部23が形成されているため、リードフレーム10と反射用樹脂部23との接合強度を増大させることができる。
【0091】
ところで、変形例4を含む本実施の形態による半導体装置20は、図13に示すように、LED電球等からなる照明装置80に組み込まれて使用される。図13において、符号81、82は、それぞれ照明装置80の照明基板およびカバーを示している。照明装置80の照明基板81上には、本実施の形態による半導体装置20が複数個(図13では3個)取り付けられている。より具体的には、図14に示すように、半導体装置20の第1アウターリード部28および第2アウターリード部29は、半田接続部84を介して、照明基板81上に設けられた外部の電極83に接続され、半導体装置20が、照明基板81上に取り付けられている。また、カバー82は、照明基板81上においてこれら半導体装置20を覆うように設けられている。
【0092】
照明装置80を点灯した場合、各半導体装置20のLED素子21が発光し、LED素子21からの光は、カバー82を通過して外方に照射される。このとき、LED素子21からの光は、主としてLED素子21から(何にも反射することなく)直接カバー82を通過して外方に照射される(符号L)。他方、LED素子21からの光の一部は、カバー82内部で反射した後、照明基板81で反射したり(符号L)、半導体装置20と照明基板81とを接続している半田接続部84(図14参照)で反射したりする(符号L)。とりわけ、半田は光の反射率が低いため、半田接続部84が半導体装置20から外方に突出するように形成されている場合には、多くの光が半田接続部84で反射するようになり、照明装置80の光の取り出し効率が低下するおそれがある。
【0093】
これに対して変形例4によれば、リードフレーム10の第1の部分25または第2の部分26の外側に連結された連結部27の下面が、第1の部分25の下面および第2の部分26の下面より上方に位置し、連結部27の下方に反射用樹脂部23が形成されている。このことにより、図15に示すように、半田接続部84を形成するための半田が、その濡れ性により、第1の部分25の下面および第2の部分26の下面において、連結部27の下方まで延びることを防止し、半田接続部84が、半導体装置20の外方に突出することを防止できる。このため、LED素子21からの光が、半田接続部84で反射することを抑制することができ、照明装置80の光の取り出し効率を向上させることができる。
【0094】
(変形例5)
図15および図16は、本実施の形態の一変形例(変形例5)による樹脂付リードフレーム40および半導体装置20を示している。変形例5は、ボンディングワイヤ22が一本の例を示しており、リードフレーム10の第1の部分25に設けられたフレーム端子部15に、LED素子21が載置され、第2の部分26に設けられたフレーム端子部15に、ボンディングワイヤ22が接続されており、第1の部分25側のフレーム端子部15が、フレーム載置部53(図10参照)を兼用している。この場合、LED素子21は、はんだまたはダイボンディングペーストにより、第1の部分25側のフレーム端子部15に固定されている。なお、図16(後述する図18および図19も同様)においては、図面を明瞭にするために、封止樹脂部24は省略している。
【0095】
(変形例6)
図17および図18は、本実施の形態の一変形例(変形例6)による樹脂付リードフレーム40および半導体装置20を示している。変形例6は、フリップチップ方式の樹脂付リードフレーム40および半導体装置20を示している。すなわち、LED素子21は、リードフレーム10の第1の部分25と第2の部分26とに跨って載置されており、各フレーム端子部15が、フレーム載置部53(図8参照)を兼用している。この場合、LED素子21は、はんだボールにより、各フレーム端子部15に固定されている。
【0096】
(変形例7)
図19は、本実施の形態の一変形例(変形例7)による樹脂付リードフレーム40および半導体装置20を示している。変形例7は、LED素子21と共に、静電破壊素子55が搭載された樹脂付リードフレーム40および半導体装置20を示している。すなわち、リードフレーム10は、本実施の形態によるフレーム端子部15と同様な、静電破壊素子55用のフレーム端子部56を更に有し、当該フレーム端子部56が、静電破壊素子55を載置するためのフレーム載置部を兼用している。この場合、静電破壊素子55は、はんだまたはダイボンディングペーストにより、第1の部分25側の対応するフレーム端子部56に固定されている。また、静電破壊素子55は、ボンディングワイヤ57によって、第2の部分26側の対応するフレーム端子部56に接続されている。
【0097】
(変形例8)
図20は、本実施の形態の一変形例(変形例8)による樹脂付リードフレーム40および半導体装置20を示している。変形例8においては、反射用樹脂部23は、反射用側壁23dを有しておらず、樹脂凹部23aが形成されていない。この場合、反射用樹脂部23は、リードフレーム10上において平坦状に形成され、反射用底部23cの樹脂載置部23b上に載置されるLED素子21とボンディングワイヤ22は、反射用樹脂部23上で平坦状に形成された封止樹脂部24により覆われる。
【0098】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による樹脂付リードフレーム、半導体装置、照明装置、樹脂付リードフレームの製造方法および半導体装置の製造方法は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0099】
10 リードフレーム
11 本体部
12 めっき層
15 フレーム端子部
20 半導体装置
21 LED素子
22 ボンディングワイヤ
23 反射用樹脂部
23a 樹脂凹部
23b 樹脂載置部
23c 反射用底部
23d 反射用側壁
24 封止樹脂部
25 第1の部分
26 第2の部分
27 連結部
31 金属基板
40 樹脂付リードフレーム
51 反射用金属層
53 フレーム載置部
54 第2の反射用金属層
80 照明装置
81 照明基板
82 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子を載置する樹脂付リードフレームにおいて、
上方に突出してLED素子に接続されるフレーム端子部を有するリードフレームと、
リードフレーム上に設けられ、リードフレームのフレーム端子部の上面を露出させ、LED素子からの光を反射するための反射用樹脂部と、を備えたことを特徴とする樹脂付リードフレーム。
【請求項2】
リードフレームのフレーム端子部の上面に、LED素子からの光を反射するための反射層として機能する反射用金属層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂付リードフレーム。
【請求項3】
反射用樹脂部は、LED素子を載置する樹脂載置部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂付リードフレーム。
【請求項4】
リードフレームは、上方に突出してLED素子を載置するフレーム載置部を更に有し、
リードフレームのフレーム載置部の上面は、反射用樹脂部から露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂付リードフレーム。
【請求項5】
リードフレームのフレーム載置部の上面に、LED素子からの光を反射するための反射層として機能する第2の反射用金属層が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の樹脂付リードフレーム。
【請求項6】
リードフレームの反射用樹脂部に接する面は、粗面化されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂付リードフレーム。
【請求項7】
反射用樹脂部は、リードフレームのフレーム端子部の周囲に設けられ、上方に延びる反射用側壁を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の樹脂付リードフレーム。
【請求項8】
リードフレームは、第1の部分と、第1の部分に離間した第2の部分とを有し、
リードフレームのフレーム端子部は、第1の部分および第2の部分にそれぞれ設けられており、
第1の部分の外側および第2の部分の外側に、連結部がそれぞれ連結され、
各連結部の下面は、第1の部分の下面および第2の部分の下面より上方に位置していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の樹脂付リードフレーム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の樹脂付リードフレームと、
樹脂付リードフレームに載置され、リードフレームのフレーム端子部に接続されたLED素子と、を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
照明基板と、
照明基板上に配置された請求項9に記載の半導体装置と、
照明基板上に設けられ、半導体装置を覆うカバーと、を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項11】
LED素子を載置する樹脂付リードフレームの製造方法において、
金属基板を準備する工程と、
金属基板から、上方に突出してLED素子に接続されるフレーム端子部を有するリードフレームを形成する工程と、
リードフレーム上に、リードフレームのフレーム端子部の上面を露出させるように、LED素子からの光を反射するための反射用樹脂部を設ける工程と、を備えたことを特徴とする樹脂付リードフレームの製造方法。
【請求項12】
反射用樹脂部が設けられたリードフレームのフレーム端子部の上面に、LED素子からの光を反射するための反射層として機能する反射用金属層を形成する工程を更に備えたことを特徴とする請求項11に記載の樹脂付リードフレームの製造方法。
【請求項13】
リードフレームを形成する工程において、上方に突出してLED素子を載置するフレーム載置部を更に有するように、リードフレームが形成され、
反射用樹脂部を設ける工程において、反射用樹脂部は、リードフレームのフレーム載置部の上面を露出させることを特徴とする請求項11または12に記載の樹脂付リードフレームの製造方法。
【請求項14】
リードフレームのフレーム載置部の上面に、LED素子からの光を反射するための反射層として機能する第2の反射用金属層を形成する工程を更に備えたことを特徴とする請求項13に記載の樹脂付リードフレームの製造方法。
【請求項15】
リードフレームの反射用樹脂部に接する面を粗面化する工程を更に備えたことを特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載の樹脂付リードフレームの製造方法。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれかに記載の樹脂付リードフレームの製造方法により樹脂付リードフレームを準備する工程と、
半導体リードフレームにLED素子を載置する工程と、
載置されたLED素子をリードフレームのフレーム端子部に接続する工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2013−58695(P2013−58695A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197454(P2011−197454)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】