樹脂成形品及び樹脂成形品製造用金型
【課題】簡易な構造で表面側から裏面側に架けて電気的に導通させつつ、薄肉化が可能な樹脂成形品、及び、樹脂成形品の製造に用いる金型を提供する。
【解決手段】シート状の電気的機能部品1の表側と裏側とに樹脂部を有する樹脂成形品であって、電気的機能部品1が、表側に露出する第1領域1Aと、裏側に露出する第2領域1Bと、第1領域1Aと第2領域1Bとを樹脂成形品の表側と裏側に変位させ、かつ、互いを電気的に導通するよう接続する接続領域1Cとを有し、電気的機能部品1の裏側に有する樹脂部として第1領域1Aの裏側に第1樹脂部4が配置され、電気的機能部品1の表側に有する樹脂部として第2領域1Bの表側に第2樹脂部5が配置される。
【解決手段】シート状の電気的機能部品1の表側と裏側とに樹脂部を有する樹脂成形品であって、電気的機能部品1が、表側に露出する第1領域1Aと、裏側に露出する第2領域1Bと、第1領域1Aと第2領域1Bとを樹脂成形品の表側と裏側に変位させ、かつ、互いを電気的に導通するよう接続する接続領域1Cとを有し、電気的機能部品1の裏側に有する樹脂部として第1領域1Aの裏側に第1樹脂部4が配置され、電気的機能部品1の表側に有する樹脂部として第2領域1Bの表側に第2樹脂部5が配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の電気的機能部品に樹脂部が積層された樹脂成形品及びこの製造に用いる射出成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的機能部品は、電子機器等の各種製品に対して電気的機能を付加する部品であり、用途によっては各種製品の表面に配置されることもある。この場合、部材としての強度確保の関係から、電気的機能部品には樹脂部が積層されて構成されることが多い。例えば、導電層が形成された熱可塑性樹脂フィルム(電気的機能部品)1に、熱可塑性樹脂4を積層して電磁波シールド性等の付加機能を備えたプラスチック板が存在する(特許文献1、図12参照)。また、シート状の電気的機能部品1に対して、表裏にそれぞれ樹脂部4,5を積層した樹脂成形品が存在する(特許文献2、図13参照)。これらの樹脂成形品は、いずれも電気的機能部品1の全面に少なくとも1層の樹脂部が積層されることで、反りの発生が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−298280号公報
【特許文献2】WO2009/035038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12に示す樹脂成形品では、電気的機能部品1を各種製品の表側にして配置した場合、製品本体側の制御回路等との間に樹脂部4が介在するため、このままでは両者を電気的に接続することができず、両者を電気的に接続するためには、部分的に樹脂部に貫通孔を設ける等の特殊な構造にする必要がある。図13に示す樹脂成形品では、電気的機能部品1は中間層であり、一方の樹脂部5を小さくして電気的機能部品1を露出させることで、本体側の制御回路等との電気的な接続は可能となる。しかしながら、電気的機能部品1の表裏両側に樹脂部4,5が存在し樹脂成形品が3層構造となるため、樹脂成形品が厚くなりがちであった。また、電気的機能部品1の表側に製品の樹脂部が存在するため、例えば電気的機能部品1がアンテナであった場合には、アンテナ(電気的機能部品)としての機能が十分発揮されないこともあった。
【0005】
本発明は、簡易な構造で表面側から裏面側に架けて電気的に導通させつつ、薄肉化が可能な樹脂成形品、及び、樹脂成形品の製造に用いる金型を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る樹脂成形品の第1の特徴構成は、シート状の電気的機能部品の表側と裏側とに樹脂部を有する樹脂成形品であって、前記電気的機能部品が、表側に露出する第1領域と、裏側に露出する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを前記樹脂成形品の表側と裏側に変位させ、かつ、互いを電気的に導通するよう接続する接続領域とを有し、前記電気的機能部品の裏側に有する前記樹脂部として前記第1領域の裏側に第1樹脂部が配置され、前記電気的機能部品の表側に有する前記樹脂部として前記第2領域の表側に第2樹脂部が配置されてある点にある。
【0007】
この構成により、電気的機能部品が樹脂成形品の表面に配置されて電気的機能を十分に発揮することができる。また、接続領域により表側に露出する第1領域と裏側に露出する第2領域とを互いに電気的に導通させることができ、装置本体側に配置される制御回路と樹脂成形品の裏側に現れる電気的機能部品の端子との接続が可能となる。
【0008】
また、電気的機能部品の表側と裏側に配置される2層の樹脂部は、樹脂成形品の厚み方向に積層されるのではなく、厚み方向には、電気的機能部品の第1領域と第1樹脂部とが積層し、第2領域と第2樹脂部が積層する。このため、電気的機能部品の表側と裏側に2層の樹脂部が配置される樹脂成形品でありながら、厚み方向においては電気的機能部品と一層の樹脂部が積層されることとなり、厚みが薄い樹脂成形品を得ることができる。
【0009】
本発明に係る樹脂成形品の第2の特徴構成は、前記電気的機能部品が表面に基材シートを備える点にある。
【0010】
シート状の電気的機能部品において実際にその機能を発揮する素子は、基本的に耐摩耗性が低いものが多い。本構成のように、電気的機能部品が表面に基材シートを備えていると、機能発揮素子が基材シートによって保護されて、結果的に樹脂成形品において、電気的機能が損なわれることなく、耐久性を向上させることができる。
【0011】
本発明に係る樹脂成形品の第3の特徴構成は、前記電気的機能部品における、前記接続領域と前記第1領域が交差する第1交差領域、及び前記接続領域と前記第2領域が交差する第2交差領域のうち、少なくともいずれか一方がR状に形成されてある点にある。
【0012】
接続領域と第1領域が交差する第1交差領域には、第1樹脂部が第1領域の裏側から配置されており、接続領域と第2領域が交差する第2交差領域には、第2樹脂部が第2領域の表側から配置されている。
このとき、第1交差領域及び第2交差領域の少なくともいずれか一方がR状に形成されていると、R状に形成された交差領域は樹脂部が沿い易いため、交差領域と樹脂部との間に空隙が生じることが抑制される。その結果、樹脂部と電気的機能部品との密着性が向上する。
【0013】
本発明に係る樹脂成形品の第4の特徴構成は、表側に露出する前記第1領域及び前記第2樹脂部のうち、少なくともいずれか一方の表面に加飾層を設けてある点にある。
【0014】
樹脂成形品の表側に露出する電気的機能部品の第1領域の表面に加飾層が設けてあると、電気的機能部品の種類によっては、加飾層によって樹脂成形品の表側に配置された電気的機能部品を隠蔽することも可能であり、電気的機能部品に対しより装飾性を向上させることも可能である。
また、樹脂成形品の表側に露出する第2樹脂部の表面に加飾層が設けてあると、第2樹脂部の装飾性が向上するとともに、加飾層によって樹脂成形品の裏側に配置された電気的機能部品の第2領域を隠蔽することも可能となる。
【0015】
本発明に係る射出成形用金型の第1の特徴構成は、電気的機能部品の表側と裏側とに樹脂部を有する樹脂成形品の製造に用いられる射出成形用金型であって、可動型と、型締めによって前記可動型との間に第1キャビティを形成する第1固定型と、前記第1固定型のキャビティ面に沿って前記電気的機能部品が配置された状態で、前記第1キャビティに第1樹脂部を形成するように第1樹脂が射出される第1ゲートと、前記第1樹脂部が前記電気的機能部品に固着したのち、前記第1樹脂部を保持したまま移動する前記可動型との型締めによって前記電気的機能部品との間に第2キャビティを形成する第2固定型と、前記第2キャビティに第2樹脂部を形成するように第2樹脂が射出される第2ゲートとを備え、前記第1キャビティと前記第2キャビティとが型締め方向に垂直な平面方向の別領域に形成されるように構成された点にある。
【0016】
この構成により、まず、可動型と第1固定型との型締めによって形成された第1キャビティに第1樹脂が注入されて、電気的機能部品の一方の側に第1樹脂部が形成される一次成形が行われ、続いて、可動型と第2固定型との型締めによって形成された第2キャビティに第1樹脂が注入されて、電気的機能部品の他方の側に第2樹脂部が形成される二次成形が行われる。このとき、第1キャビティと第2キャビティとが型締め方向に垂直な平面方向の別領域に形成されると、接続領域を境界として、表側に露出する電気的機能部品の第1領域の裏側に第1樹脂部が形成され、裏側に露出する電気的機能部品の第2領域の表側に第2樹脂部が形成される樹脂成形品を容易に製造することができる。
【0017】
本発明に係る射出成形用金型の第2の特徴構成は、前記可動型及び前記第1固定型が、前記電気的機能部品を吸引保持する吸引部を有する点にある。
【0018】
この構成により、一次成形の際には、第1固定型の吸引部によって電気的機能部品が吸引保持され、二次成形の際には、可動型の吸引部によって電気的機能部品が吸引保持される。したがって、射出成形の際に、射出される溶融樹脂が電気的機能部品の周縁部から回りこむ不具合を防止できる。
また、電気的機能部品が可動型及び第1固定型の吸引部によって吸引保持されることで、金型内における電気的機能部品の位置合わせの精度が向上し、その結果、樹脂成形品の所望の位置に樹脂部が確実に射出成形される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電気的機能部品の斜視図
【図2】樹脂成形品の製造工程を示す図
【図3】樹脂成形品の製造工程を示す図
【図4】樹脂成形品の製造工程を示す図
【図5】樹脂成形品の製造工程を示す図
【図6】第1実施形態の樹脂成形品を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図7】第2実施形態の樹脂成形品を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図8】別形態の射出成形金型を示す図
【図9】第3実施形態の樹脂成形品の断面図
【図10】他の実施形態の樹脂成形品を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図11】他の実施形態の樹脂成形品の断面図
【図12】電気的機能部品に一層の樹脂部を備えた従来の樹脂成形品示す図
【図13】電気的機能部品に二層の樹脂部を備えた従来の樹脂成形品を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る樹脂成形品について図面に基づいて説明する。
【0021】
[電気的機能部品]
図1に示すように、電気的機能部品1は全体がシート状であって、例えば、基材シート2に電気的機能部3として電極等が形成されて構成されている。電気的機能部品1は、樹脂成形品の表面に配置されて電気的機能を付加するものであり、例えば、電極、電子ペーパー、アンテナ、タッチセンサ、ELシート等である。
【0022】
電気的機能部品1は、基材シート2に電気的機能部3が形成された後、樹脂成形品の表面側に露出する第1領域1Aと、樹脂成形品の裏面側に露出する第2領域1Bと、第1領域1Aと第2領域1Bとを樹脂成形品の表側と裏側に変位させ、かつ、互いを電気的に導通するよう接続する接続領域1Cとを有するよう成形される。電気的機能部3は第1領域1A、第2領域1B及び接続領域1Cに連続して配置されており、端子3aが第2領域1Bに位置する。
【0023】
なお、基材シート2には、種々の図柄を形成しておくことができるが、模様のない無地のカラーシート等でもよい。また、基材シート2は無色透明であってもよい。基材シート2はアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂など種々の樹脂で構成することができる。
【0024】
次に、本発明に係る樹脂成形品の製造に用いる二色成形用金型について説明する。二色成形用金型は、図に部分のみを示した二色成形機に備えられるものであって、図2〜図5に示すように、可動型11,11、第1固定型12及び第2固定型13を備えている。
【0025】
二色成形機は、固定盤14と、固定盤14に対して回転可能で出退可能な回転盤15とを備えている。固定盤14は第1固定型12及び第2固定型13を備え、回転盤15は可動型11,11を備える。可動型11,11の夫々と第1固定型12及び第2固定型13の夫々とが互いに向き合うように配置されている。よって、図3に示すように、回転盤15を固定盤14に押し付けると、可動型11,11と第1固定型12及び第2固定型13とが同時に型締めされて、第1樹脂の注入と第2樹脂の注入を同時に行うことができる。
【0026】
第1樹脂と第2樹脂とは、異なる色の樹脂としてもよい。例えば、第1樹脂を透明、第2樹脂を着色することで透明窓を有する樹脂成形品としてもよい。また、互いに硬度その他の特性が異なる別の種類の樹脂としてもよい。例えば、第1樹脂をポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、或いは、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂のアロイなどとし、第2樹脂をPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)としてもよい。
【0027】
図2に示すように、型締め前の状態では、第2固定型13と対向した可動型11には、前工程で成形された一次成形品F1(電気的機能部品1及び第1樹脂部4)が保持されている。他方、第1固定型12には後続の一次成形で用いられる電気的機能部品1が保持されている。二色成形機は電気的機能部品1を第1固定型12に設置するためのロボット装置16を備えている。
【0028】
可動型11には、電気的機能部品1を吸引保持する吸引部17,17がそれぞれ備えられており、第1固定型12にも、電気的機能部品1を吸引保持する吸引部18が備えられている。また、第1固定型12には第1樹脂を注入するゲート23が設けられ、第2固定型13には第2樹脂を注入するゲート24が設けられている。
【0029】
以下に、この二色成形機を用いた、樹脂成形品の製造方法について説明する。
【0030】
[電気的機能部品を配置する工程]
図2に示すように、可動型11と第1固定型12とが型開きした状態において、ロボット装置16を用いて電気的機能部品1を第1固定型12に設置する。ここで、電気的機能部品1における基材シート2の側が第1固定型12に対向し、電極3の側が可動型11に対向した状態で、電気的機能部品1が第1固定型12に設けられた吸引部18によって吸引保持されている。
【0031】
[第1キャビティを形成する工程]
図3に示すように、回転盤15を固定盤14の側に移動させて第1固定型12に対して可動型11を型締めし、第1固定型12に吸引保持された電気的機能部品1と可動型11との間に第1キャビティ21を形成する。
【0032】
[第1樹脂部を成形する工程]
次に、図4に示すように、第1固定型12の第1ゲート23から第1樹脂を第1キャビティ21に向けて射出する。第1樹脂が第1キャビティ21に注入されると、注入される第1樹脂の圧力により電気的機能部品1が第1固定型12に押し付けられる。このとき、第1樹脂の射出によって電気的機能部品1の第1領域1Aの裏側に第1樹脂部4が成形され、電気的機能部品1の第2領域1Bの裏側には第1樹脂が射出されない。こうして、電気的機能部品1と第1樹脂部4を備えた一次成形品F1が成形される。
【0033】
[第2キャビティを形成する工程]
図5に示すように、型開き後に、一方の可動型11に一次成形品F1(電気的機能部品1及び第1樹脂部4)を保持させた状態で、回転盤15を180度回転させ、第2固定型13に対向する位置にする。その後、回転盤15を固定盤14の側に移動させて可動型11と第2固定型13とを型締めして、図3に示すように、可動型11に支持された一次成形品F1の電気的機能部品1と第2固定型13との間に第2キャビティ22を形成する。このとき、型締めに際して可動型11に備えられた吸引部17により、電気的機能部品1の第2領域1Bを吸引保持する。
【0034】
[第2樹脂部を成形する工程]
図4に示すように、第2固定型13の第2ゲート24から第2樹脂を第2キャビティ22に向けて射出する。すなわち、第2樹脂は電気的機能部品1における第2領域1Bの表側に注入されて、第2樹脂部5が成形される。このとき、電気的機能部品1の第1領域1Aの表側には第2キャビティ22が形成されていないので、第2樹脂が注入されない。また、第2樹脂の射出の際に、電気的機能部品1の第2領域1Bが吸引部17により吸引保持されているので、第2樹脂が第2領域1Bの裏側に回りこむ不具合が防止される。
【0035】
その後、図5に示すように、回転盤15を固定盤14から離間させて、可動型11と第2固定型13とを型開きし、固化した二次成形品(樹脂成形品)Pを可動型11から取り外す。
【0036】
次に、回転盤15を180度回転させて、一次成形品F1を保持する可動型11と第2固定型13とを対向させ、第2固定型13の第2ゲート24の射出による二次成形を行うとともに、樹脂成形品Pが取り出された可動型11と第1固定型12とを対向させて、第1固定型12の第1ゲート23の射出による一次成形を行う。上記操作を繰り返すことにより、電気的機能部品1の表裏に第1樹脂部4及び第2樹脂部5が設けられた二次成形品(樹脂成形品)Pを製造する。
【0037】
樹脂成形品Pは、図6(a)、図6(b)に示されるように、電気的機能部品1の裏側の樹脂部として電気的機能部品1の第1領域1Aの裏側に第1樹脂部4が配置され、電気的機能部品1の表側の樹脂部として電気的機能部品1の第2領域1Bの表側に第2樹脂部5が配置されている。
【0038】
このように、電気的機能部品1が2層の樹脂部4,5の中間に配置された多層成形品を製造する場合に、まず、電気的機能部品1を、樹脂成形品Pの表側に露出する第1領域1Aと裏側に露出する第2領域1Bと、第1領域1Aと第2領域1Bとを樹脂成形品Pの表側と裏側に変位させ、かつ、互いを電気的に導通するよう接続する接続領域1Cとを有するよう成形した。その結果、樹脂成形品Pの裏側の樹脂部として電気的機能部品1の第1領域1Aの裏側に第1樹脂部4が配置でき、樹脂成形品Pの表側の樹脂部として電気的機能部品1の第2領域1Bの表側に第2樹脂部5が配置できた。
【0039】
こうして、電気的機能部品1が樹脂成形品Pの表面に配置されることで、電気的機能を十分に発揮することができる。また、接続領域1Cにより表側に露出する第1領域1Aと裏側に露出する第2領域1Bとを互いに電気的に導通させることができ、装置本体側に配置される制御回路と樹脂成形品Pの裏側に現れる電気的機能部品1の電気的機能部(電極)3の端子3aとの接続が可能となる。
【0040】
また、電気的機能部品1の表側と裏側に配置される2層の樹脂部4,5は、樹脂成形品Pの厚み方向に積層されるのではなく、電気的機能部品1の接続領域1Cを挟んで、厚み方向に垂直な水平方向に配置されている。このため、樹脂成形品Pの厚み方向は、電気的機能部品1の第1領域1Aに第1樹脂部4が積層し、第2領域1Bに第2樹脂部5が積層する。つまり、樹脂成形品Pは、厚み方向において電気的機能部品1と1層の樹脂部が積層された状態で実質的に構成されている。したがって、樹脂成形品Pは、接続領域1Cの長さ及び傾斜を調整したり樹脂部の厚みを薄くしたりすることで、薄肉化を図ることができる。
【0041】
〔第2実施形態〕
図7(a)及び図7(b)に示すように、シート状の電気的機能部品1を電気的機能部3のみで構成して、樹脂成形品の表面に直接露出されるよう構成されていてもよい。
【0042】
〔第3実施形態〕
樹脂成形品Pは、表側に露出する電気的機能部品1の第1領域1Aまたは第2樹脂部5の表面に加飾層を設ける構成であってもよい。第1領域1Aまたは第2樹脂部5の表面に加飾層を設けるために、例えば、図8に示すように、二色成形機の第2固定型13に加飾シート送り装置を配設する。加飾シート送り装置は、通常、加飾フィルム(転写箔)30を送り出すフィルム送り出し装置31と、加飾フィルム30を巻き取るフィルム巻き取り装置32と、加飾フィルム30を挟持する矩形枠状のクランプ33とで構成される。
【0043】
加飾フィルム30は、電気的機能品1の第1領域1Aまたは第2樹脂部5に融着される加飾層30aとハンドリング用の基体シートとが一体化されている。加飾層30aは一般に、最終的な多層成形品の最外層となる剥離保護層と、樹脂部に融着される接着層とを有し、一般的に剥離保護層と接着層との間に図柄層が設けられている。
【0044】
第2固定型13に配設された加飾シート送り装置によって、第2固定型13と可動型11との型締め後に第2樹脂が注入されて第2樹脂部5が成形される際に、電気的機能部品1の第1領域1A及び第2樹脂部5に加飾フィルム30が密着する。その後、型開きによって、加飾フィルム30の基体シートが加飾層30aから自然に剥がされ、図9に示すように、加飾層30aのみが電気的機能部品1の第1領域1Aまたは第2樹脂部5の表面に転写された二次成形品(樹脂成形品)Pが得られる。
【0045】
基体シートの材質としては、例えば、ポロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シート、あるいはこれらが複合されたシートなどを用いることができる。また、基体シート30の剥離性を高めるために、基体シートと加飾層30aとの間にアミノアルキド系樹脂等からなる離型層を形成してもよい。基体シートの厚みとしては、5〜500μmが好ましい。
【0046】
剥離保護層の材質としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いることができる。剥離保護層に硬度が必要な場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いてもよい。
【0047】
接着層は、融着させる対象の樹脂と親和性の高い材質を選択すべきである。例えば、被転写物の材質がアクリル系樹脂の場合には、アクリル系樹脂を用いるとよい。また、被転写物の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合には、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いるとよい。また、被転写物の材質がポリプロピレン樹脂の場合には、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を用いるとよい。接着層の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。
【0048】
〔第4実施形態〕
樹脂成形品Pにおいて、電気的機能部品1の接続領域1Cと第1領域1Aまたは第2領域1Bの交差領域は、樹脂部との間に空隙が発生し易い領域である。そこで、本実施形態では、図9に示すように、樹脂成形品Pにおいて、電気的機能部品1の接続領域1Cと第1領域1Aが交差する第1交差領域A、及び接続領域1Cと第2領域1Bが交差する第2交差領域BがR状に形成されている。
【0049】
第1交差領域A及び第2交差領域Bの少なくともいずれか一方がR状に形成されていると、例えば、樹脂部を射出成形する際に、交差領域に対して溶融樹脂が沿うようにして注入され易くなる。これにより、交差領域A,Bと樹脂部4,5との間に空隙が生じることが抑制されて、樹脂部4,5と電気的機能部品1との密着性が向上する。その結果、樹脂成形品Pにおける電気的機能部品1と樹脂部4,5との接合状態がより強固となる。
【0050】
〔他の実施形態〕
(1)上記各実施の形態では、電気的機能部品1の第1領域1Aが樹脂成形品Pの表面に連続して形成される例を示したが、電気的機能部品1は樹脂成形品Pの表面において、図10(a)、図10(b)に示すように、中央部は第1樹脂部4が露出し、第1領域1Aは第1樹脂部4の周囲に形成されていてもよいし、第1領域1Aは第1樹脂部4の周囲の一部のみに形成されていてもよい。
【0051】
(2)上記の実施形態では、樹脂成形品Pにおいて、表面側の電気的機能部品1の第1領域1A及び第2樹脂部5や、裏面側の電気的機能部品1の第2領域1B及び第1樹脂部4が略面一となるよう構成されているが、図11に示すように、樹脂成形品Pにおいて、第1領域を上方、第2領域を下方とした場合に、第1樹脂部4の裏面の位置が電気的機能部品1の第2領域1Bの裏面よりも上方に位置するよう構成してもよい。また、第2樹脂部5の表面の位置が電気的機能部品1の第1領域1Aよりも下方に位置するよう構成してもよい。
【0052】
(3)上記の実施形態では、電気的機能部品1として基材シート2に電気的機能部3を形成した後に成形されているものを用いたが、電気的機能部品1は、基材シート2の成形後に電気的機能部3を形成したものであってもよい。電気的機能部品1が、基材シート2に電気的機能部3を貼着によって形成した後に成形される場合には、成形時に電気的機能部3が所望の位置からずれることも起こり得るが、基材シート2の成形後に電気的機能部3を貼着によって形成する場合には、そのような虞はない。
【0053】
(4)上記の第3実施形態では、加飾フィルム30(転写箔)を用いて第2樹脂部5または電気的機能部品1の第1領域1Aの表面に加飾層30aを転写する構成を示したが、これに代えて無地の基体シートまたは基体シート上に模様等が付されたインサートシートをそのまま一体化する構成にしてもよいし、加飾フィルム30及びインサートシートを用いない構成にしてもよい。尚、加飾フィルム30はシート状であってもよく、インサートシートはフィルム状であってもよい。
【0054】
(5)上記実施形態では、2つの可動型を有し、横方向に出退可能でかつ横方向に沿う軸芯回りに回転可能な回転盤15と、第1固定型及び第2固定型を有する固定盤14と、を備えている多層成形機を例示した。しかし、このような多層成形機に限られるものではなく、可動型を備え上下方向に出退可能な第1可動盤と、第1固定型及び第2固定型を備え横方向にスライド可能な第2可動盤と、を備えている多層成形機、或いは、可動型を備え横方向に出退可能な可動盤と、第1固定型及び第2固定型が背中合わせに取り付けられ鉛直軸芯回りに回転可能な回転盤と、を備えている多層成形機を用いる形態で実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、電気的機能部品を備える電子機器等の各種製品の内装品、外装品として広く用いることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 電気的機能部品
1A 第1領域
1B 第2領域
1C 接続領域
2 基材シート
3 電気的機能部(電極)
4 第1樹脂部
5 第2樹脂部
11 可動型
12 第1固定型
13 第2固定型
17 吸引部
18 吸引部
21 第1キャビティ
22 第2キャビティ
23 第1ゲート
24 第2ゲート
A 第1交差領域
B 第2交差領域
F1 一次成形品
P 二次成形品(樹脂成形品)
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の電気的機能部品に樹脂部が積層された樹脂成形品及びこの製造に用いる射出成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的機能部品は、電子機器等の各種製品に対して電気的機能を付加する部品であり、用途によっては各種製品の表面に配置されることもある。この場合、部材としての強度確保の関係から、電気的機能部品には樹脂部が積層されて構成されることが多い。例えば、導電層が形成された熱可塑性樹脂フィルム(電気的機能部品)1に、熱可塑性樹脂4を積層して電磁波シールド性等の付加機能を備えたプラスチック板が存在する(特許文献1、図12参照)。また、シート状の電気的機能部品1に対して、表裏にそれぞれ樹脂部4,5を積層した樹脂成形品が存在する(特許文献2、図13参照)。これらの樹脂成形品は、いずれも電気的機能部品1の全面に少なくとも1層の樹脂部が積層されることで、反りの発生が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−298280号公報
【特許文献2】WO2009/035038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12に示す樹脂成形品では、電気的機能部品1を各種製品の表側にして配置した場合、製品本体側の制御回路等との間に樹脂部4が介在するため、このままでは両者を電気的に接続することができず、両者を電気的に接続するためには、部分的に樹脂部に貫通孔を設ける等の特殊な構造にする必要がある。図13に示す樹脂成形品では、電気的機能部品1は中間層であり、一方の樹脂部5を小さくして電気的機能部品1を露出させることで、本体側の制御回路等との電気的な接続は可能となる。しかしながら、電気的機能部品1の表裏両側に樹脂部4,5が存在し樹脂成形品が3層構造となるため、樹脂成形品が厚くなりがちであった。また、電気的機能部品1の表側に製品の樹脂部が存在するため、例えば電気的機能部品1がアンテナであった場合には、アンテナ(電気的機能部品)としての機能が十分発揮されないこともあった。
【0005】
本発明は、簡易な構造で表面側から裏面側に架けて電気的に導通させつつ、薄肉化が可能な樹脂成形品、及び、樹脂成形品の製造に用いる金型を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る樹脂成形品の第1の特徴構成は、シート状の電気的機能部品の表側と裏側とに樹脂部を有する樹脂成形品であって、前記電気的機能部品が、表側に露出する第1領域と、裏側に露出する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを前記樹脂成形品の表側と裏側に変位させ、かつ、互いを電気的に導通するよう接続する接続領域とを有し、前記電気的機能部品の裏側に有する前記樹脂部として前記第1領域の裏側に第1樹脂部が配置され、前記電気的機能部品の表側に有する前記樹脂部として前記第2領域の表側に第2樹脂部が配置されてある点にある。
【0007】
この構成により、電気的機能部品が樹脂成形品の表面に配置されて電気的機能を十分に発揮することができる。また、接続領域により表側に露出する第1領域と裏側に露出する第2領域とを互いに電気的に導通させることができ、装置本体側に配置される制御回路と樹脂成形品の裏側に現れる電気的機能部品の端子との接続が可能となる。
【0008】
また、電気的機能部品の表側と裏側に配置される2層の樹脂部は、樹脂成形品の厚み方向に積層されるのではなく、厚み方向には、電気的機能部品の第1領域と第1樹脂部とが積層し、第2領域と第2樹脂部が積層する。このため、電気的機能部品の表側と裏側に2層の樹脂部が配置される樹脂成形品でありながら、厚み方向においては電気的機能部品と一層の樹脂部が積層されることとなり、厚みが薄い樹脂成形品を得ることができる。
【0009】
本発明に係る樹脂成形品の第2の特徴構成は、前記電気的機能部品が表面に基材シートを備える点にある。
【0010】
シート状の電気的機能部品において実際にその機能を発揮する素子は、基本的に耐摩耗性が低いものが多い。本構成のように、電気的機能部品が表面に基材シートを備えていると、機能発揮素子が基材シートによって保護されて、結果的に樹脂成形品において、電気的機能が損なわれることなく、耐久性を向上させることができる。
【0011】
本発明に係る樹脂成形品の第3の特徴構成は、前記電気的機能部品における、前記接続領域と前記第1領域が交差する第1交差領域、及び前記接続領域と前記第2領域が交差する第2交差領域のうち、少なくともいずれか一方がR状に形成されてある点にある。
【0012】
接続領域と第1領域が交差する第1交差領域には、第1樹脂部が第1領域の裏側から配置されており、接続領域と第2領域が交差する第2交差領域には、第2樹脂部が第2領域の表側から配置されている。
このとき、第1交差領域及び第2交差領域の少なくともいずれか一方がR状に形成されていると、R状に形成された交差領域は樹脂部が沿い易いため、交差領域と樹脂部との間に空隙が生じることが抑制される。その結果、樹脂部と電気的機能部品との密着性が向上する。
【0013】
本発明に係る樹脂成形品の第4の特徴構成は、表側に露出する前記第1領域及び前記第2樹脂部のうち、少なくともいずれか一方の表面に加飾層を設けてある点にある。
【0014】
樹脂成形品の表側に露出する電気的機能部品の第1領域の表面に加飾層が設けてあると、電気的機能部品の種類によっては、加飾層によって樹脂成形品の表側に配置された電気的機能部品を隠蔽することも可能であり、電気的機能部品に対しより装飾性を向上させることも可能である。
また、樹脂成形品の表側に露出する第2樹脂部の表面に加飾層が設けてあると、第2樹脂部の装飾性が向上するとともに、加飾層によって樹脂成形品の裏側に配置された電気的機能部品の第2領域を隠蔽することも可能となる。
【0015】
本発明に係る射出成形用金型の第1の特徴構成は、電気的機能部品の表側と裏側とに樹脂部を有する樹脂成形品の製造に用いられる射出成形用金型であって、可動型と、型締めによって前記可動型との間に第1キャビティを形成する第1固定型と、前記第1固定型のキャビティ面に沿って前記電気的機能部品が配置された状態で、前記第1キャビティに第1樹脂部を形成するように第1樹脂が射出される第1ゲートと、前記第1樹脂部が前記電気的機能部品に固着したのち、前記第1樹脂部を保持したまま移動する前記可動型との型締めによって前記電気的機能部品との間に第2キャビティを形成する第2固定型と、前記第2キャビティに第2樹脂部を形成するように第2樹脂が射出される第2ゲートとを備え、前記第1キャビティと前記第2キャビティとが型締め方向に垂直な平面方向の別領域に形成されるように構成された点にある。
【0016】
この構成により、まず、可動型と第1固定型との型締めによって形成された第1キャビティに第1樹脂が注入されて、電気的機能部品の一方の側に第1樹脂部が形成される一次成形が行われ、続いて、可動型と第2固定型との型締めによって形成された第2キャビティに第1樹脂が注入されて、電気的機能部品の他方の側に第2樹脂部が形成される二次成形が行われる。このとき、第1キャビティと第2キャビティとが型締め方向に垂直な平面方向の別領域に形成されると、接続領域を境界として、表側に露出する電気的機能部品の第1領域の裏側に第1樹脂部が形成され、裏側に露出する電気的機能部品の第2領域の表側に第2樹脂部が形成される樹脂成形品を容易に製造することができる。
【0017】
本発明に係る射出成形用金型の第2の特徴構成は、前記可動型及び前記第1固定型が、前記電気的機能部品を吸引保持する吸引部を有する点にある。
【0018】
この構成により、一次成形の際には、第1固定型の吸引部によって電気的機能部品が吸引保持され、二次成形の際には、可動型の吸引部によって電気的機能部品が吸引保持される。したがって、射出成形の際に、射出される溶融樹脂が電気的機能部品の周縁部から回りこむ不具合を防止できる。
また、電気的機能部品が可動型及び第1固定型の吸引部によって吸引保持されることで、金型内における電気的機能部品の位置合わせの精度が向上し、その結果、樹脂成形品の所望の位置に樹脂部が確実に射出成形される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電気的機能部品の斜視図
【図2】樹脂成形品の製造工程を示す図
【図3】樹脂成形品の製造工程を示す図
【図4】樹脂成形品の製造工程を示す図
【図5】樹脂成形品の製造工程を示す図
【図6】第1実施形態の樹脂成形品を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図7】第2実施形態の樹脂成形品を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図8】別形態の射出成形金型を示す図
【図9】第3実施形態の樹脂成形品の断面図
【図10】他の実施形態の樹脂成形品を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図11】他の実施形態の樹脂成形品の断面図
【図12】電気的機能部品に一層の樹脂部を備えた従来の樹脂成形品示す図
【図13】電気的機能部品に二層の樹脂部を備えた従来の樹脂成形品を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る樹脂成形品について図面に基づいて説明する。
【0021】
[電気的機能部品]
図1に示すように、電気的機能部品1は全体がシート状であって、例えば、基材シート2に電気的機能部3として電極等が形成されて構成されている。電気的機能部品1は、樹脂成形品の表面に配置されて電気的機能を付加するものであり、例えば、電極、電子ペーパー、アンテナ、タッチセンサ、ELシート等である。
【0022】
電気的機能部品1は、基材シート2に電気的機能部3が形成された後、樹脂成形品の表面側に露出する第1領域1Aと、樹脂成形品の裏面側に露出する第2領域1Bと、第1領域1Aと第2領域1Bとを樹脂成形品の表側と裏側に変位させ、かつ、互いを電気的に導通するよう接続する接続領域1Cとを有するよう成形される。電気的機能部3は第1領域1A、第2領域1B及び接続領域1Cに連続して配置されており、端子3aが第2領域1Bに位置する。
【0023】
なお、基材シート2には、種々の図柄を形成しておくことができるが、模様のない無地のカラーシート等でもよい。また、基材シート2は無色透明であってもよい。基材シート2はアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂など種々の樹脂で構成することができる。
【0024】
次に、本発明に係る樹脂成形品の製造に用いる二色成形用金型について説明する。二色成形用金型は、図に部分のみを示した二色成形機に備えられるものであって、図2〜図5に示すように、可動型11,11、第1固定型12及び第2固定型13を備えている。
【0025】
二色成形機は、固定盤14と、固定盤14に対して回転可能で出退可能な回転盤15とを備えている。固定盤14は第1固定型12及び第2固定型13を備え、回転盤15は可動型11,11を備える。可動型11,11の夫々と第1固定型12及び第2固定型13の夫々とが互いに向き合うように配置されている。よって、図3に示すように、回転盤15を固定盤14に押し付けると、可動型11,11と第1固定型12及び第2固定型13とが同時に型締めされて、第1樹脂の注入と第2樹脂の注入を同時に行うことができる。
【0026】
第1樹脂と第2樹脂とは、異なる色の樹脂としてもよい。例えば、第1樹脂を透明、第2樹脂を着色することで透明窓を有する樹脂成形品としてもよい。また、互いに硬度その他の特性が異なる別の種類の樹脂としてもよい。例えば、第1樹脂をポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、或いは、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂のアロイなどとし、第2樹脂をPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)としてもよい。
【0027】
図2に示すように、型締め前の状態では、第2固定型13と対向した可動型11には、前工程で成形された一次成形品F1(電気的機能部品1及び第1樹脂部4)が保持されている。他方、第1固定型12には後続の一次成形で用いられる電気的機能部品1が保持されている。二色成形機は電気的機能部品1を第1固定型12に設置するためのロボット装置16を備えている。
【0028】
可動型11には、電気的機能部品1を吸引保持する吸引部17,17がそれぞれ備えられており、第1固定型12にも、電気的機能部品1を吸引保持する吸引部18が備えられている。また、第1固定型12には第1樹脂を注入するゲート23が設けられ、第2固定型13には第2樹脂を注入するゲート24が設けられている。
【0029】
以下に、この二色成形機を用いた、樹脂成形品の製造方法について説明する。
【0030】
[電気的機能部品を配置する工程]
図2に示すように、可動型11と第1固定型12とが型開きした状態において、ロボット装置16を用いて電気的機能部品1を第1固定型12に設置する。ここで、電気的機能部品1における基材シート2の側が第1固定型12に対向し、電極3の側が可動型11に対向した状態で、電気的機能部品1が第1固定型12に設けられた吸引部18によって吸引保持されている。
【0031】
[第1キャビティを形成する工程]
図3に示すように、回転盤15を固定盤14の側に移動させて第1固定型12に対して可動型11を型締めし、第1固定型12に吸引保持された電気的機能部品1と可動型11との間に第1キャビティ21を形成する。
【0032】
[第1樹脂部を成形する工程]
次に、図4に示すように、第1固定型12の第1ゲート23から第1樹脂を第1キャビティ21に向けて射出する。第1樹脂が第1キャビティ21に注入されると、注入される第1樹脂の圧力により電気的機能部品1が第1固定型12に押し付けられる。このとき、第1樹脂の射出によって電気的機能部品1の第1領域1Aの裏側に第1樹脂部4が成形され、電気的機能部品1の第2領域1Bの裏側には第1樹脂が射出されない。こうして、電気的機能部品1と第1樹脂部4を備えた一次成形品F1が成形される。
【0033】
[第2キャビティを形成する工程]
図5に示すように、型開き後に、一方の可動型11に一次成形品F1(電気的機能部品1及び第1樹脂部4)を保持させた状態で、回転盤15を180度回転させ、第2固定型13に対向する位置にする。その後、回転盤15を固定盤14の側に移動させて可動型11と第2固定型13とを型締めして、図3に示すように、可動型11に支持された一次成形品F1の電気的機能部品1と第2固定型13との間に第2キャビティ22を形成する。このとき、型締めに際して可動型11に備えられた吸引部17により、電気的機能部品1の第2領域1Bを吸引保持する。
【0034】
[第2樹脂部を成形する工程]
図4に示すように、第2固定型13の第2ゲート24から第2樹脂を第2キャビティ22に向けて射出する。すなわち、第2樹脂は電気的機能部品1における第2領域1Bの表側に注入されて、第2樹脂部5が成形される。このとき、電気的機能部品1の第1領域1Aの表側には第2キャビティ22が形成されていないので、第2樹脂が注入されない。また、第2樹脂の射出の際に、電気的機能部品1の第2領域1Bが吸引部17により吸引保持されているので、第2樹脂が第2領域1Bの裏側に回りこむ不具合が防止される。
【0035】
その後、図5に示すように、回転盤15を固定盤14から離間させて、可動型11と第2固定型13とを型開きし、固化した二次成形品(樹脂成形品)Pを可動型11から取り外す。
【0036】
次に、回転盤15を180度回転させて、一次成形品F1を保持する可動型11と第2固定型13とを対向させ、第2固定型13の第2ゲート24の射出による二次成形を行うとともに、樹脂成形品Pが取り出された可動型11と第1固定型12とを対向させて、第1固定型12の第1ゲート23の射出による一次成形を行う。上記操作を繰り返すことにより、電気的機能部品1の表裏に第1樹脂部4及び第2樹脂部5が設けられた二次成形品(樹脂成形品)Pを製造する。
【0037】
樹脂成形品Pは、図6(a)、図6(b)に示されるように、電気的機能部品1の裏側の樹脂部として電気的機能部品1の第1領域1Aの裏側に第1樹脂部4が配置され、電気的機能部品1の表側の樹脂部として電気的機能部品1の第2領域1Bの表側に第2樹脂部5が配置されている。
【0038】
このように、電気的機能部品1が2層の樹脂部4,5の中間に配置された多層成形品を製造する場合に、まず、電気的機能部品1を、樹脂成形品Pの表側に露出する第1領域1Aと裏側に露出する第2領域1Bと、第1領域1Aと第2領域1Bとを樹脂成形品Pの表側と裏側に変位させ、かつ、互いを電気的に導通するよう接続する接続領域1Cとを有するよう成形した。その結果、樹脂成形品Pの裏側の樹脂部として電気的機能部品1の第1領域1Aの裏側に第1樹脂部4が配置でき、樹脂成形品Pの表側の樹脂部として電気的機能部品1の第2領域1Bの表側に第2樹脂部5が配置できた。
【0039】
こうして、電気的機能部品1が樹脂成形品Pの表面に配置されることで、電気的機能を十分に発揮することができる。また、接続領域1Cにより表側に露出する第1領域1Aと裏側に露出する第2領域1Bとを互いに電気的に導通させることができ、装置本体側に配置される制御回路と樹脂成形品Pの裏側に現れる電気的機能部品1の電気的機能部(電極)3の端子3aとの接続が可能となる。
【0040】
また、電気的機能部品1の表側と裏側に配置される2層の樹脂部4,5は、樹脂成形品Pの厚み方向に積層されるのではなく、電気的機能部品1の接続領域1Cを挟んで、厚み方向に垂直な水平方向に配置されている。このため、樹脂成形品Pの厚み方向は、電気的機能部品1の第1領域1Aに第1樹脂部4が積層し、第2領域1Bに第2樹脂部5が積層する。つまり、樹脂成形品Pは、厚み方向において電気的機能部品1と1層の樹脂部が積層された状態で実質的に構成されている。したがって、樹脂成形品Pは、接続領域1Cの長さ及び傾斜を調整したり樹脂部の厚みを薄くしたりすることで、薄肉化を図ることができる。
【0041】
〔第2実施形態〕
図7(a)及び図7(b)に示すように、シート状の電気的機能部品1を電気的機能部3のみで構成して、樹脂成形品の表面に直接露出されるよう構成されていてもよい。
【0042】
〔第3実施形態〕
樹脂成形品Pは、表側に露出する電気的機能部品1の第1領域1Aまたは第2樹脂部5の表面に加飾層を設ける構成であってもよい。第1領域1Aまたは第2樹脂部5の表面に加飾層を設けるために、例えば、図8に示すように、二色成形機の第2固定型13に加飾シート送り装置を配設する。加飾シート送り装置は、通常、加飾フィルム(転写箔)30を送り出すフィルム送り出し装置31と、加飾フィルム30を巻き取るフィルム巻き取り装置32と、加飾フィルム30を挟持する矩形枠状のクランプ33とで構成される。
【0043】
加飾フィルム30は、電気的機能品1の第1領域1Aまたは第2樹脂部5に融着される加飾層30aとハンドリング用の基体シートとが一体化されている。加飾層30aは一般に、最終的な多層成形品の最外層となる剥離保護層と、樹脂部に融着される接着層とを有し、一般的に剥離保護層と接着層との間に図柄層が設けられている。
【0044】
第2固定型13に配設された加飾シート送り装置によって、第2固定型13と可動型11との型締め後に第2樹脂が注入されて第2樹脂部5が成形される際に、電気的機能部品1の第1領域1A及び第2樹脂部5に加飾フィルム30が密着する。その後、型開きによって、加飾フィルム30の基体シートが加飾層30aから自然に剥がされ、図9に示すように、加飾層30aのみが電気的機能部品1の第1領域1Aまたは第2樹脂部5の表面に転写された二次成形品(樹脂成形品)Pが得られる。
【0045】
基体シートの材質としては、例えば、ポロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シート、あるいはこれらが複合されたシートなどを用いることができる。また、基体シート30の剥離性を高めるために、基体シートと加飾層30aとの間にアミノアルキド系樹脂等からなる離型層を形成してもよい。基体シートの厚みとしては、5〜500μmが好ましい。
【0046】
剥離保護層の材質としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いることができる。剥離保護層に硬度が必要な場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いてもよい。
【0047】
接着層は、融着させる対象の樹脂と親和性の高い材質を選択すべきである。例えば、被転写物の材質がアクリル系樹脂の場合には、アクリル系樹脂を用いるとよい。また、被転写物の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合には、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いるとよい。また、被転写物の材質がポリプロピレン樹脂の場合には、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を用いるとよい。接着層の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。
【0048】
〔第4実施形態〕
樹脂成形品Pにおいて、電気的機能部品1の接続領域1Cと第1領域1Aまたは第2領域1Bの交差領域は、樹脂部との間に空隙が発生し易い領域である。そこで、本実施形態では、図9に示すように、樹脂成形品Pにおいて、電気的機能部品1の接続領域1Cと第1領域1Aが交差する第1交差領域A、及び接続領域1Cと第2領域1Bが交差する第2交差領域BがR状に形成されている。
【0049】
第1交差領域A及び第2交差領域Bの少なくともいずれか一方がR状に形成されていると、例えば、樹脂部を射出成形する際に、交差領域に対して溶融樹脂が沿うようにして注入され易くなる。これにより、交差領域A,Bと樹脂部4,5との間に空隙が生じることが抑制されて、樹脂部4,5と電気的機能部品1との密着性が向上する。その結果、樹脂成形品Pにおける電気的機能部品1と樹脂部4,5との接合状態がより強固となる。
【0050】
〔他の実施形態〕
(1)上記各実施の形態では、電気的機能部品1の第1領域1Aが樹脂成形品Pの表面に連続して形成される例を示したが、電気的機能部品1は樹脂成形品Pの表面において、図10(a)、図10(b)に示すように、中央部は第1樹脂部4が露出し、第1領域1Aは第1樹脂部4の周囲に形成されていてもよいし、第1領域1Aは第1樹脂部4の周囲の一部のみに形成されていてもよい。
【0051】
(2)上記の実施形態では、樹脂成形品Pにおいて、表面側の電気的機能部品1の第1領域1A及び第2樹脂部5や、裏面側の電気的機能部品1の第2領域1B及び第1樹脂部4が略面一となるよう構成されているが、図11に示すように、樹脂成形品Pにおいて、第1領域を上方、第2領域を下方とした場合に、第1樹脂部4の裏面の位置が電気的機能部品1の第2領域1Bの裏面よりも上方に位置するよう構成してもよい。また、第2樹脂部5の表面の位置が電気的機能部品1の第1領域1Aよりも下方に位置するよう構成してもよい。
【0052】
(3)上記の実施形態では、電気的機能部品1として基材シート2に電気的機能部3を形成した後に成形されているものを用いたが、電気的機能部品1は、基材シート2の成形後に電気的機能部3を形成したものであってもよい。電気的機能部品1が、基材シート2に電気的機能部3を貼着によって形成した後に成形される場合には、成形時に電気的機能部3が所望の位置からずれることも起こり得るが、基材シート2の成形後に電気的機能部3を貼着によって形成する場合には、そのような虞はない。
【0053】
(4)上記の第3実施形態では、加飾フィルム30(転写箔)を用いて第2樹脂部5または電気的機能部品1の第1領域1Aの表面に加飾層30aを転写する構成を示したが、これに代えて無地の基体シートまたは基体シート上に模様等が付されたインサートシートをそのまま一体化する構成にしてもよいし、加飾フィルム30及びインサートシートを用いない構成にしてもよい。尚、加飾フィルム30はシート状であってもよく、インサートシートはフィルム状であってもよい。
【0054】
(5)上記実施形態では、2つの可動型を有し、横方向に出退可能でかつ横方向に沿う軸芯回りに回転可能な回転盤15と、第1固定型及び第2固定型を有する固定盤14と、を備えている多層成形機を例示した。しかし、このような多層成形機に限られるものではなく、可動型を備え上下方向に出退可能な第1可動盤と、第1固定型及び第2固定型を備え横方向にスライド可能な第2可動盤と、を備えている多層成形機、或いは、可動型を備え横方向に出退可能な可動盤と、第1固定型及び第2固定型が背中合わせに取り付けられ鉛直軸芯回りに回転可能な回転盤と、を備えている多層成形機を用いる形態で実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、電気的機能部品を備える電子機器等の各種製品の内装品、外装品として広く用いることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 電気的機能部品
1A 第1領域
1B 第2領域
1C 接続領域
2 基材シート
3 電気的機能部(電極)
4 第1樹脂部
5 第2樹脂部
11 可動型
12 第1固定型
13 第2固定型
17 吸引部
18 吸引部
21 第1キャビティ
22 第2キャビティ
23 第1ゲート
24 第2ゲート
A 第1交差領域
B 第2交差領域
F1 一次成形品
P 二次成形品(樹脂成形品)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の電気的機能部品の表側と裏側とに樹脂部を有する樹脂成形品であって、
前記電気的機能部品が、表側に露出する第1領域と、裏側に露出する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを前記樹脂成形品の表側と裏側に変位させ、かつ、互いを電気的に導通するよう接続する接続領域とを有し、
前記電気的機能部品の裏側に有する前記樹脂部として前記第1領域の裏側に第1樹脂部が配置され、前記電気的機能部品の表側に有する前記樹脂部として前記第2領域の表側に第2樹脂部が配置されてある樹脂成形品。
【請求項2】
前記電気的機能部品が表面に基材シートを備える請求項1記載の樹脂成形品。
【請求項3】
前記電気的機能部品における、前記接続領域と前記第1領域が交差する第1交差領域、及び前記接続領域と前記第2領域が交差する第2交差領域のうち、少なくともいずれか一方がR状に形成されてある請求項1又は2に記載の樹脂成形品。
【請求項4】
表側に露出する前記第1領域及び前記第2樹脂部のうち、少なくともいずれか一方の表面に加飾層を設けてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の、電気的機能部品の表側と裏側とに樹脂部を有する樹脂成形品の製造に用いられる射出成形用金型であって、
可動型と、
型締めによって前記可動型との間に第1キャビティを形成する第1固定型と、
前記第1固定型のキャビティ面に沿って前記電気的機能部品が配置された状態で、前記第1キャビティに第1樹脂部を形成するように第1樹脂が射出される第1ゲートと、
前記第1樹脂部が前記電気的機能部品に固着したのち、前記第1樹脂部を保持したまま移動する前記可動型との型締めによって前記電気的機能部品との間に第2キャビティを形成する第2固定型と、
前記第2キャビティに第2樹脂部を形成するように第2樹脂が射出される第2ゲートとを備え、
前記第1キャビティと前記第2キャビティとが型締め方向に垂直な平面方向の別領域に形成されるように構成された、射出成形用金型。
【請求項6】
前記可動型及び前記第1固定型が、前記電気的機能部品を吸引保持する吸引部を有する請求項5記載の射出成形用金型。
【請求項1】
シート状の電気的機能部品の表側と裏側とに樹脂部を有する樹脂成形品であって、
前記電気的機能部品が、表側に露出する第1領域と、裏側に露出する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを前記樹脂成形品の表側と裏側に変位させ、かつ、互いを電気的に導通するよう接続する接続領域とを有し、
前記電気的機能部品の裏側に有する前記樹脂部として前記第1領域の裏側に第1樹脂部が配置され、前記電気的機能部品の表側に有する前記樹脂部として前記第2領域の表側に第2樹脂部が配置されてある樹脂成形品。
【請求項2】
前記電気的機能部品が表面に基材シートを備える請求項1記載の樹脂成形品。
【請求項3】
前記電気的機能部品における、前記接続領域と前記第1領域が交差する第1交差領域、及び前記接続領域と前記第2領域が交差する第2交差領域のうち、少なくともいずれか一方がR状に形成されてある請求項1又は2に記載の樹脂成形品。
【請求項4】
表側に露出する前記第1領域及び前記第2樹脂部のうち、少なくともいずれか一方の表面に加飾層を設けてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の、電気的機能部品の表側と裏側とに樹脂部を有する樹脂成形品の製造に用いられる射出成形用金型であって、
可動型と、
型締めによって前記可動型との間に第1キャビティを形成する第1固定型と、
前記第1固定型のキャビティ面に沿って前記電気的機能部品が配置された状態で、前記第1キャビティに第1樹脂部を形成するように第1樹脂が射出される第1ゲートと、
前記第1樹脂部が前記電気的機能部品に固着したのち、前記第1樹脂部を保持したまま移動する前記可動型との型締めによって前記電気的機能部品との間に第2キャビティを形成する第2固定型と、
前記第2キャビティに第2樹脂部を形成するように第2樹脂が射出される第2ゲートとを備え、
前記第1キャビティと前記第2キャビティとが型締め方向に垂直な平面方向の別領域に形成されるように構成された、射出成形用金型。
【請求項6】
前記可動型及び前記第1固定型が、前記電気的機能部品を吸引保持する吸引部を有する請求項5記載の射出成形用金型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−71519(P2012−71519A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218909(P2010−218909)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
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