説明

樹脂押出し加工装置

【課題】 実験室レベルでも樹脂の有効な加工ができる小型の樹脂押出し加工装置を提供することを目的とする。
【課題手段】 加熱される小径のシリンダー1の下端にオリフィス8を設け、シリンダー1内の溶融樹脂6を押し下げるピストン7を設けてあり、シリンダー1及びオリフィス8の下方にホッパー14を設け、このホッパー14内に冷媒を供給し、ホッパー14の下部にカッター15を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダー内で樹脂材料を加熱して溶融、混練りを行い、オリフィスを通して押出した樹脂材料をペレット等に加工する樹脂押出し加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に混練りを要する樹脂や粉体樹脂をペレット等に加工する場合、押出機により樹脂材料を溶融、混練りを行い、スクリューでストランドダイより樹脂を押出してストランドを水槽に通して冷却した後にカッタで切断したり、又はブロアなどで送風して冷却し切断している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この従来の設備では大型になりすぎて、実験室レベルには不向きであるという課題がある。そこで従来、実験室レベルでは、ミキサやロールで混練りした試料は形状が整なわず、押出機に供給できないばかりか量が少ないという状況なので、現実には試料をプレスでシートにして、このシートを手動のハサミでカットしていたが、このハサミでのカット作業に時間がかかり手が痛くなるという課題があった。また、射出成形機のランナなどの樹脂を粉砕するクラッシャを使って試料の樹脂を粉砕していたが、現実には粉砕できなかったり、粉砕後のペレットの形が悪かったり糸を引くことがあり、完全に分離できないなどの不具合があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明では、実験室レベルでも樹脂の有効な加工ができる小型の樹脂押出し加工装置を提供することを目的とするものである。
そのために、本発明の樹脂押出し加工装置では、加熱される小径のシリンダーの下端にオリフィスを設け、シリンダー内の溶融樹脂を押し下げるピストンを設けてあり、シリンダー及びオリフィスの下方にホッパーを設け、このホッパー内に冷媒を供給し、ホッパーの下部にカッターを設けてあるものである。
【0005】
本発明の樹脂押出し加工装置では、上記カッターに掃除機を接続し、カッターにより切断加工された樹脂ペレットを掃除機の吸引作用で回収するようにしたものである。
また、上記ホッパーを透明ガラスにて構成してあるとよい。
更に、上記ホッパーをシリンダー及びオリフィスから取り外し、オリフィスをシリンダーから取り外し、径の相違するシリンダーに交換可能にしてあるものである。
加えて、本発明の樹脂押出し加工装置では、加熱される小径のシリンダーの下端にオリフィスを設け、シリンダー内の溶融樹脂を押し下げるピストンを設けてあり、オリフィスをシリンダーから取り外し、シリンダーをシリンダーホルダーから取り外し、径の相違するシリンダーに交換可能にしてあり、オリフィスの下方に小型金型を接続してあるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂押出し加工装置は、加熱される小径のシリンダーの下端にオリフィスを設け、シリンダー内の溶融樹脂を押し下げるピストンを設けてあり、シリンダー及びオリフィスの下方にホッパーを設け、このホッパー内に冷媒を供給し、ホッパーの下部にカッターを設けてあるから、小径のシリンダー、例えば直径20mmとか直径10mmのシリンダーにより樹脂押出し加工ができ、実験室レベルで有効に使用できる小型の樹脂押出し加工装置を提供できる効果がある。
【0007】
また、本発明の樹脂押出し加工装置では、上記カッターに掃除機を接続し、カッターにより切断加工された樹脂ペレットを掃除機の吸引作用で回収するようにしたから、即ち、掃除機で吸引することで、溶融樹脂の冷却と加工品の回収とが簡便にできるという効果がある。
さらに、本発明の樹脂押出し加工装置では、上記ホッパーを透明ガラスにて構成してあるから、オリフィスから樹脂の状態をホッパーの外から視認して確認することができるという効果がある。
【0008】
また、本発明の樹脂押出し加工装置では、上記ホッパーをシリンダー及びオリフィスから取り外し、オリフィスをシリンダーから取り外し、径の相違するシリンダーに交換可能にしてあるから、径の相違するシリンダーに交換できるという効果がある。
さらに、本発明の樹脂押出し加工装置では、加熱される小径のシリンダーの下端にオリフィスを設け、シリンダー内の溶融樹脂を押し下げるピストンを設けてあり、オリフィスをシリンダーから取り外し、シリンダーをシリンダーホルダーから取り外し、径の相違するシリンダーに交換可能にしてあり、オリフィスの下方に小型金型を接続してあるから、樹脂の押出し部分を共用して小型金型に兼用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明装置の実施例の正面断面図である。
【図2】シリンダーの取り外し構造の斜面図である。
【図3】同じく小径のシリンダーの取り外し構造の斜面図である。
【図4】本発明装置の別の実施例の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面に示した実施例により、本発明の詳細を説明する。
図中1がシリンダーホルダー2に保持された内径20mmの小径のシリンダーである。シリンダーホルダー2は外周にヒーター3を具備する円筒状のブロック4からなり、基盤5上に支持されている。シリンダー1内には、溶融樹脂材料6を押し下げるピストン7があり、このピストン7は手動でまたはモーター駆動により押し下げる。また、シリンダー1の下端にはオリフィス8を着脱可能に設けてある。
シリンダーホルダー2の下部であって基盤5に形成した透孔9に冷媒供給機構10を設けてある。この冷媒供給機構10は冷却空気又は冷水を供給する供給口11に通ずる通路12があり、この通路12に多数の通孔13を設けてあり、シリンダー1及びオリフィス8の下方であって冷媒供給機構10の下に設けたホッパー14に冷媒を送り込むようにしてある。このホッパー14は透明ガラスであるとよい。
【0011】
ホッパー14の下端は電動カッター15に接続してある。電動カッター15は電動モーター16により駆動され、カッター室17を有し、このカッター室17に送り出し口18を有する。本発明では、この送り出し口18に一般家庭用の掃除機の吸引ホース(図示せず)を接続し、加工されたペレットを回収するようにしてある。この電動カッター15は昇降可能とした基台19上に固定してある。
【0012】
図2と図3にシリンダー1の取り外し構造の斜面図が示してあり、図2に内径20mmのシリンダーを示し、図3に内径10mmのシリンダーを示してある。このシリンダー1を取り外すには、図1に示した基台19を下降して冷媒供給機構10、ホッパー14及び電動カッター15を取り外し、オリフィス8を露呈させ、先ず、このオリフィス8をシリンダー1から取り外す。そのため、図2及び図3に示す通り、シリンダー1の下端の雄ネジ部20にオリフィス8の雌ネジ部(図示せず)を螺合する構造にしてあり、オリフィス8には角状操作部21を設けてあり、この角状操作部21に適宜の工具を嵌めて回すことによりオリフィス8をシリンダー1から取り外す。一方、シリンダー1の上端部には側面に内奥面が直面状の溝22を形成してあり、この溝22にシリンダー周り止部材23を嵌め込んで、このシリンダ−周り止部材23を基盤5から立ち上げた外ケース24の上部にネジ止めしてシリンダー1を不動に取り付けてある。従って、シリンダー1を取り外して交換するためには、シリンダー周り止部材23を外ケース24から取り外して上方に抜き出せばシリンダー1を容易に交換できる。
【0013】
図4に図1に示した樹脂の押出し機構と全く同じ構造を兼用して、オリフィス8に小型金型25を接続し、種々の試験片を加工する樹脂押出し加工装置の実施例を示してある。この実施例では図1の実施例と同様昇降可能な基台19上に小型金型25を載せ、オリフィス8と小型金型25を接続させてある。この実施例のシリンダー1のピストン7は手動でもよいが、エアシリンダー又は油圧シリンダーがよい。
【0014】
図1に示した本発明の樹脂押出し加工装置では、樹脂材料をシリンダー1内に入れ、溶融させ、この溶融樹脂6をピストン7により押下してオリフィス8より細い棒状にしてホッパー14内に押し出す。ホッパー14内は冷媒供給機構10の供給口から空気又は冷却水が供給され、棒状になった樹脂がホッパー14の下端から電動カッター15に供給され、このカッター15でペレット化される。この際押出し速度とカッター回転速度を比率制御回転しており、ペレット長さを一定の3mmにしてある。また、ペレットの長さを変えたい場合は、上記比率の値を変更すればよいようにしてある。
この電動カッターで加工された樹脂材料は送り出し口18に接続した掃除機の吸引ホースにより吸引し回収される。
同様にして図4に示す加工装置を用いて各種試験片を加工でき、実験室等で簡単な小型の樹脂押出し加工装置を提供できる。
【符号の説明】
【0015】
1 シリンダー
2 シリンダーホルダー
3 ヒーター
4 ブロック
5 基盤
6 溶融樹脂材料
7 ピストン
8 オリフィス
9 透孔
10 冷媒供給機構
11 供給口
12 通路
13 通孔
14 ホッパー
15 電動カッター
16 電動モーター
17 カッター室
18 送り出し口
19 基台
20 雄ネジ部
21 角状操作部
22 溝
23 シリンダー周り止部材
24 外ケース
25 小型金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱される小径のシリンダーの下端にオリフィスを設け、シリンダー内の溶融樹脂を押し下げるピストンを設けてあり、シリンダー及びオリフィスの下方にホッパーを設け、このホッパー内に冷媒を供給し、ホッパーの下部にカッターを設けてある樹脂押出し加工装置。
【請求項2】
上記カッターに掃除機を接続し、カッターにより切断加工された樹脂ペレットを掃除機の吸引作用で回収するようにした上記請求項1に記載の樹脂押出し加工装置。
【請求項3】
上記ホッパーを透明ガラスにて構成してある上記請求項1又は2に記載の樹脂押出し加工装置。
【請求項4】
上記ホッパーをシリンダー及びオリフィスから取り外し、オリフィスをシリンダーから取り外し、径の相違するシリンダーに交換可能にしてある上記請求項1乃至3の何れかに記載の樹脂押出し加工装置。
【請求項5】
加熱される小径のシリンダーの下端にオリフィスを設け、シリンダー内の溶融樹脂を押し下げるピストンを設けてあり、オリフィスをシリンダーから取り外し、シリンダーをシリンダーホルダーから取り外し、径の相違するシリンダーに交換可能にしてあり、オリフィスの下方に小型金型を接続してある樹脂押出し加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−240966(P2010−240966A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91641(P2009−91641)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(000151852)株式会社東洋精機製作所 (26)
【Fターム(参考)】