説明

樹脂混合物を含むフォトレジスト組成物

【課題】新規なフォトレジスト組成物の提供
【解決手段】光活性成分並びに少なくとも2種の異なる樹脂、即ち、i)ヘテロ置換基(特に、ヒドロキシ又はチオ)を有する炭素環式アリール単位を含む第一樹脂及びii)第二架橋樹脂の混合物を含有する、新規なポジ型フォトレジスト組成物が提供される。本発明の好ましいフォトレジストは、短波長、例えば200nm未満、特に193nmで画像形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光活性成分、並びに少なくとも2種の異なる樹脂の混合物、即ち、i)ヘテロ置換基(特に、ヒドロキシ又はチオ)を有する炭素環式アリール単位を含む第一の樹脂とii)第二の架橋された樹脂との混合物、を含有する、新規な化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物に関する。本発明の好ましいフォトレジストは、短波長、例えば200nm未満、特に193nmで画像形成され得る。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、画像を基体に転写するために使用される感光性フィルムである。フォトレジストの塗布層が基体の上に形成され、次いで、フォトレジスト層がフォトマスクを通して活性放射線源に露光される。フォトマスクは、活性化放射線に対して不透明である領域及び活性化放射線に対して透明である他の領域を有する。活性化放射線への露光によって、フォトレジスト塗膜の光誘起化学変換がもたらされ、それによって、フォトマスクのパターンがフォトレジストの塗布された基体に転写される。露光に続いて、フォトレジストは現像されて、基体の選択的処理を可能にするレリーフ画像を提供する。Deforest著、フォトレジスト材料及びプロセス(Photoresist Materials and Processes)、マグロー・ヒル出版社(McGraw Hill Book Company)、ニューヨーク、第2章、1975年及びMoreau著、半導体リソグラフィー、原理、実施及び材料(Semiconductor Lithography, Principles, Practices and Materials)、プレナム・プレス社(Plenum Press)、ニューヨーク、第2章及び第4章参照。
【0003】
約193nmの波長をはじめとする200nm未満の露光放射線を含む短波長放射線によって光画像形成することができるフォトレジストに、関心が高まってきている。かかる短い露光波長を使用することによって、より小さいフィーチャー(feature)の形成を可能にし得る。従って、193nmの露光で十分に分解された画像をもたらすフォトレジストは、例えば、より高い回路密度及び向上したデバイス性能を提供するための、より小さい寸法の回路パターンへの恒常的な工業的要求に応える、極めて小さい(例えば、0.25μm未満)フィーチャーの形成を可能にし得る。
【0004】
リソグラフ性能を向上させるために、樹脂及び光酸発生剤をはじめとする新規なフォトレジスト成分が研究されてきた。例えば、非常に有用なフォトレジストを開示している、米国特許出願公開第2002/0012869号明細書及び米国特許出願公開第2004/0038150号明細書参照。
【0005】
にもかかわらず、0.2又は0.1ミクロンよりも小さい寸法を有するフィーチャーをプリントすることをはじめとする高性能用途のためを含めて、フォトレジストのリソグラフ特性を向上させるための努力が続いている。このような高性能応用においては、とりわけ、望ましくない現像されたレジスト画像のラインエッジ粗さ及び限定された焦点深度問題をはじめとする問題が起こる場合がある。例えば、米国特許出願公開第2004/0053511号明細書参照。
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0012869号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0038150号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0053511号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故に、新規なフォトレジスト組成物を有することが望ましい。約0.2ミクロン以下の寸法を有する画像形成されたレジストのフィーチャーを形成することをはじめとする、高性能用途において良好な解像度を提供することができる新規なフォトレジスト組成物を有することが特に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光活性成分、並びに少なくとも2種の異なる樹脂の混合物、即ち、i)ヘテロ置換基を有する炭素環式アリール単位を含む第一樹脂とii)第二の架橋された樹脂との混合物、を含有する新規な化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の好ましいフォトレジストが、減少したラインエッジ粗さを含む、顕著に向上されたリソグラフの効果を示し得ることを見出した。例えば、下記の実施例16に説明した結果を参照されたい。
【0009】
好ましくは、本発明の第一樹脂及び第二樹脂の一方又は両方は、ヘテロ置換炭素環式アリール基以外の芳香族基を、少なくとも実質的に含有しない。本発明のフォトレジストは、好ましくは、200nm未満、特に193nmの波長で画像形成される。
【0010】
本発明の混合物及びフォトレジストの好ましい第一樹脂には、ヒドロキシ置換炭素環式アリール基、特にヒドロキシナフチル基が含まれる。本発明の混合物及びフォトレジストの好ましい第二樹脂は、例えば、ポリマー鎖の直接的な連結により又は複数のポリマー部位若しくは鎖を連結することができる別の架橋成分の使用により、架橋されている。
【0011】
本発明の樹脂には、好適に、追加の繰り返し単位、特に非芳香族単位、例えばアクリレート又は任意に置換された環式オレフィン(特に、炭素脂環式基又はヘテロ脂環式基)、例えば重合し任意に置換されたノルボルネン、の重合によって与えられる非芳香族単位が含まれていてもよい。好ましくは、ポジ型レジスト中に使用される樹脂について、第一樹脂及び第二樹脂の少なくとも一方には、1以上の光酸不安定部分、例えば、光酸不安定エステル又はアセタール部分が含有されていてよい。特に好ましい樹脂は、ヒドロキシナフチル基又は他のヘテロ置換炭素環式アリール基以外の如何なる芳香族部分も、実質的に含有していない。
【0012】
追加の好ましいポリマー単位は、無水物、例えば無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸、又はラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、の重合によって提供され得、例えば、好適なアクリレート、例えばアクリルオキシ−ノルボルナン−ブチロラクトンなどの重合によって提供され得る。
【0013】
本発明のフォトレジストには、光酸成分(1以上の光酸発生剤化合物(PAG)を含んでいてもよい)が含まれる。本発明のレジスト中に使用するための好ましいPAGには、ヨードニウム及びスルホニウム化合物を含むオニウム塩化合物;並びに非イオン性PAG、例えば、イミドスルホネート化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物;ジアゾスルホニル化合物、並びにα,α−メチレンジスルホン、ジスルホンヒドラジン及びジスルホニルアミン塩を含む他のスルホンPAG;ニトロベンジル化合物、ハロゲン化、特にフッ素化非イオン性PAGが含まれる。
【0014】
本発明には、また、高度に分解されたレリーフ画像、例えば、それぞれのラインが、垂直の又は本質的に垂直の側壁を有し、及び約0.40ミクロン以下のライン幅又は約0.25、0.20、0.15若しくは0.10ミクロン以下のライン幅さえも有する、ラインのパターン(高密度又は分離している)の形成方法を含む、レリーフ画像の形成方法が含まれる。かかる方法において、好ましくは、本発明のレジストのコーティング層は、短波長放射線、特に200nm未満の放射線、特に193nmの放射線で画像形成される。本発明には、更に、その上にコーティングされた本発明のフォトレジスト及びレリーフ画像を有するマイクロエレクトロニクスウェーハをはじめとする基体を含む製造物品が含まれる。本発明は、また、かかる物品の製造方法を提供する。別の態様において、本発明は、本明細書に開示したような樹脂の混合物を提供する。
【0015】
本発明の他の態様を、以下説明する。
【0016】
前記のように、本発明者らは、1)光活性成分並びに2)i)ヘテロ置換炭素環式アリール基を含む第一樹脂とii)第一樹脂とは異なり、かつ架橋した基又はポリマー鎖又はセグメントを含む第二樹脂とを含む樹脂成分、を含む、新規なポジ型フォトレジスト組成物を提供する。好ましくは、この第一樹脂及び第二樹脂の両方又は少なくとも一方は、ヘテロ置換炭素環式アリール基以外の芳香族基を、実質的に含有しない。
【0017】
第一樹脂混合要素
前記のように、本発明のブレンド及びレジストの第一樹脂には、ヘテロ置換(特に、ヒドロキシ及びチオ)炭素環式アリール部分、例えばヒドロキシナフチル基が含まれる。
【0018】
本明細書において言及されるヘテロ置換炭素環式アリール基とは、炭素環式基が、ヘテロ原子、特に酸素又は硫黄を含有する1以上の(典型的に、1個、2個又は3個の)環置換基を有することを意味する。即ち、言及される当該「ヘテロ置換」とは、1以上のヘテロ原子、特に1個又は2個の酸素原子及び/又は硫黄原子を含有し、炭素環式アリール基の環置換基である部分を指す。
【0019】
本明細書において、ヒドロキシナフチル基又は他の類似の用語は、少なくとも1個のヒドロキシ環置換基を有するナフチル基を意味する。ナフチル基は、好適に、1より多くのヒドロキシ基、例えば、2個又は3個のヒドロキシ環置換基を有していてもよいが、一般的に、ナフチル基は単一のヒドロキシ置換基を含有することが好ましい。
【0020】
樹脂の中に組み込まれるための好ましい置換された炭素環式アリール単位は、1以上の、ヒドロキシ(−OH)、チオ(−SH)、アルコール(例えば、ヒドロキシC1−6アルキル)、チオアルキル(例えば、HSC1−6アルキル)、アルカノイル(例えば、C1−6アルカノイル、例えばホルミル又はアシル)、アルキルスルフィド、例えばC1−6アルキルスルフィド、カルボキシレート(C1−12エステルを含む)、C1−8エーテルを含むアルキルエーテルなどで置換されたナフチル基である。好ましくは、ヘテロ含有置換基の少なくとも1個のヘテロ原子は、水素置換基を有する(例えば、ヒドロキシはアルコキシよりも好ましい)。また、ヘテロ基は、炭素環式環に直接結合したヘテロ原子を有する(例えば、ヒドロキシ若しくはチオ環置換基)か、又はヘテロ原子が活性化された炭素の置換基である(例えば、−CHOH若しくは−CHSH又は他の第一級ヒドロキシ若しくはチオアルキルといった環置換基)ことが好ましい。
【0021】
樹脂には、好適に、比較的広範囲の量の、ヒドロキシナフチル単位又は他のヘテロ置換炭素環式アリール基が含有されていてよい。向上したリソグラフの効果は、非常に小量のヒドロキシナフチル単位を含有する樹脂の使用によって実現され得る。例えば、樹脂には、好適に、樹脂の全単位基準で、約50若しくは40モルパーセント未満のヘテロ置換炭素環式アリール単位が含有されていてよく、又はポリマーの全単位基準で、約30、20、15若しくは10モルパーセント未満のヘテロ置換炭素環式アリール単位が含有されていてよい。実際に、樹脂には、好適に、樹脂の全単位基準で、約0.5、1、2、3、4、5、6、7又は8モルパーセントのヒドロキシナフチル単位が含有されていてもよい。典型的には、樹脂には、全樹脂単位基準で、少なくとも約1、2、3、4又は5モルパーセントのヘテロ置換炭素環式アリール単位、例えばヒドロキシナフチル単位が含有されている。一般的に、全樹脂単位基準で、少なくとも約10、20、30、40若しくは45の又は約10、20、30、40若しくは45以下のヘテロ置換炭素環式アリール単位、例えばヒドロキシナフチル単位を含有する樹脂が好ましい。
【0022】
前記のように、本発明の樹脂には、ヘテロ置換炭素環式アリール単位に加えて、種々の他の単位が含まれていてよい。好ましい追加の単位には、重合したアクリレート及び環式オレフィン基が含まれる。
【0023】
好ましい重合した環式オレフィン基には、樹脂主鎖にぶら下がっているか又はしばしば好ましくは樹脂主鎖に縮合しているかのいずれかの炭素脂環式基又はヘテロ脂環式基を含むものが含まれる。
【0024】
かかる、ポリマー主鎖に縮合している好ましい炭素脂環式基(即ち、この基は、全てが炭素の環員を有する)は、ポリマー主鎖を構成する少なくとも2個の炭素脂環式環員(典型的に、2個の隣接する炭素環原子)を有する。好ましい縮合炭素脂環式基は、環式オレフィン(環内二重結合)化合物、例えば任意に置換されていてもよいノルボルネン基の重合によって提供される。他の好適な炭素脂環式基は、ビニルアダマンチル又はイソボルニル基などの重合によって提供され得る。
【0025】
かかる、樹脂主鎖に縮合している好ましいヘテロ脂環式基(即ち、非芳香族性で、少なくとも1個の環N、O又はS原子、好ましくは1個又は2個のO又はS原子を有する)は、樹脂主鎖の一部としての少なくとも2個のヘテロ脂環式環原子(典型的に、2個の隣接する環原子)を有する。重合して、本発明の第一樹脂を生成することができる好適なヘテロ脂環式モノマーは、以下で明示される。かかるヘテロ脂環式基は、また、Barclayらに付与された米国特許第6,680,159号において同定されている。
【0026】
第二樹脂混合要素
本発明の混合物及びレジストの第二樹脂には、複数のポリマー鎖又は部位の間の架橋を提供する、1以上の官能基を含む。例えば、本発明のポリマーには、ポリマー鎖の間の架橋を可能にするためのアルコール、アルデヒド、エステル、アルケニル基、ケトン、アミン、チオール、スルフィドなどの1以上の基が架橋された形で含まれていてよい。架橋された形でのこれらの基は、当業者には明らかであろう。例えば、ヒドロキシ基は、エーテル、エステルなどとして存在し得る。スルフィドは、チオエーテルとして存在し得る。アミンは、より高次のアミン、例えば第三級アミンとして存在し得る。
【0027】
従って、第二樹脂がフォトレジスト組成物中に配合されるとき、これは架橋された形になっている。即ち、この場合、それぞれ同じ又は類似の繰り返し単位を有する2つの伸びたポリマー鎖(例えば、少なくとも30、40又は50個よりも多い繰り返し単位、更に典型的に100、200又は300個よりも多い繰り返し単位)が、直接的に結合され又は結合(例えば、1、2〜約5、10、15、20、25又は30個以上の原子の結合)を介して結合されて、2つの鎖の間に共有結合を形成する。
【0028】
架橋は、2つのポリマー部位若しくは鎖の直接結合により又は複数のポリマー部位若しくは鎖を結合することができる別個の架橋成分を使用することにより提供され得る。
【0029】
例えば、好適な架橋剤成分には、ホモ−及びヘテロ二官能性架橋剤、例えば不飽和化合物、例えば、アルデヒド及びその他のカルボニル化合物、並びに1以上の炭素−炭素二重結合を含有する化合物が含まれる。更に特に、好ましい架橋剤成分には、ビニルエーテル及びビス−マレイミド化合物が含まれる。ビニルエーテル化合物、特にビス−ビニルエーテル架橋剤、例えば、1,4−ブタンジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビス−ビニルエーテル−エタンエーテルなどが特に好ましい。このようなビニルエーテルは、ヒドロキシ又はカルボキシ部分を有するポリマー(例えば、フェノール性単位を含有するポリマー)を結合するために好適に使用される。
【0030】
本発明の混合物の第二樹脂には、架橋された基及び酸不安定基に加えて、更なる単位が含まれていてよい。例えば、本発明の混合物の第二樹脂には、架橋に対して反応性であってよいが、他のポリマー鎖に結合することなく存在する単位が含有されていてよい。更に、本発明のポリマーには、アダマンチル、又は環式オレフィン(ノルボルネン化合物)若しくはアクリル酸アダマンチルのような脂環式アクリレートの反応によって提供され得るような他の脂環式基、酸単位、例えばアクリル酸、メタクリル酸などの反応によって提供され得るような酸単位、が含有されていてよい。他の好ましいポリマー単位には、ニトリル単位、例えばアクリロニトリル及びメタクリロニトリルの反応により又はシアノ置換基を有する重合した脂環式基(例えば、アダマンチル環のシアノ置換基を有する重合したアダマンチルアクリレート)により提供され得るニトリル単位、が含まれる。
【0031】
樹脂成分(第一樹脂及び第二樹脂の両方)
前記のように、好ましくは、第一樹脂及び第二樹脂の少なくとも一方には、光酸不安定基、例えば、レジストコーティング層の露光領域と非露光領域との間に十分な溶解度差を提供することができる光酸不安定エステル又はアセタール基、が含まれる。例えば、樹脂は、重合したtert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート及び/又はメチルアダマンチルメタクリレート単位などを好適に含み得る。他に特に定めない限り、本明細書において言及されるアクリレート基又はアクリレート化合物には、置換されたアクリレート化合物、例えばメタクリレート化合物が含まれる。
【0032】
第一樹脂及び第二樹脂の両方について、好ましい重合したアクリレート基には、脂環式基が含まれ得る。本明細書において言及する場合、樹脂の「脂環式離脱基」の用語は、下記を意味する、即ち、ポリマーに共有結合している脂環式基であって、かかるポリマーが、ポリマー及び光活性成分(特に、1以上の光酸発生剤)を含有するフォトレジスト中に配合された場合に、この脂環式基が、典型的に露光後熱処理(例えば、90℃、100℃又は110℃、0.5分、1分又はそれ以上)を伴う、活性化放射線(例えば、193nm)へのフォトレジストのコーティング層の露光の際に発生した酸への曝露の後に、ポリマーから開裂され得る又は開裂される(即ち、ポリマーへの共有結合が開裂される)ことを意味する。
【0033】
脂環式アクリレート化合物には、ビニルエステル(但し、エステル部分は、脂環式基、例えばメチルアダマンチルなどである)が含まれる。このビニル基は、特にアルファ−ビニル炭素において、例えばC1−8アルキルによって好適に置換されていてよく、従ってメタクリレートを含む。
【0034】
ポジ型フォトレジストにおいて使用するためには、光酸不安定エステル基、例えば、tert−ブチルエステル又はターシャリー脂環式基(tertiary alicyclic group)を含有するエステル、を含有する第一樹脂及び第二樹脂がしばしば好ましい。このような光酸不安定エステルは、炭素脂環式、ヘテロ脂環式又は他のポリマー単位から直接ぶら下がっていてよく(例えば、ここで光酸不安定基は、式−C(=O)ORの基(式中Rは、tert−ブチル又は他の非環式アルキル基である)又はターシャリー脂環式基であり、かつポリマー単位に直接結合している)、又はエステル部分は、ヘテロ脂環式又は炭素脂環式ポリマー単位から、例えば、任意にアルキレン結合(例えば、−(CH1−8C(C=O)OR(式中Rは、tert−ブチル又は他の非環式アルキル基である)又はターシャリー脂環式基)によって、間隔が空けられていてよい。
【0035】
好ましいターシャリー脂環式炭化水素エステル光酸不安定部分は、多環式基、例えば、アダマンチル、エチルフェンキル又はトリシクロデカニル部分である。本明細書において言及される「ターシャリー脂環式エステル基」又は他の類似の用語は、ターシャリー脂環式環炭素が、エステル酸素に共有結合されている、即ち、−C(=O)O−TR'(式中、Tは、脂環式基R'の第三級環炭素である)であることを示す。少なくとも多くの場合に、好ましくは、脂環式部分の第三級環炭素は、以下に示す特に好ましいポリマーによって例示されるように、エステル酸素に共有結合している。しかしながら、エステル酸素に結合した第三級炭素は、また、脂環式環に対して環外であってよく、典型的に、この場合、脂環式環は、環外第三級炭素の置換基の一つである。典型的に、エステル酸素に結合した第三級炭素は、脂環式環自体により及び/又は1〜約12個の炭素、更に典型的に1〜約8個の炭素、なお更に典型的に1、2、3若しくは4個の炭素を有する1つ、2つ若しくは3つのアルキル基によって置換されている。脂環式基は、また、好ましくは、芳香族置換基を含有していない。この脂環式基は、好適には、単環式又は多環式、特に二環式若しくは三環式基であってよい。
【0036】
本発明のポリマーの光酸不安定エステル基の好ましい脂環式部分(例えば、−C(=O)O−TR'の基TR')は、かなり大きい体積を有する。このような嵩張った脂環式基が、本発明のコポリマー中に使用されるとき、向上した解像度を得ることができることが見出された。
【0037】
更に特に、光酸不安定エステル基の好ましい脂環式基は、少なくとも約125又は約130Åのモル体積、更に好ましくは少なくとも約135、140、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195又は200Åの分子体積を有する。少なくとも幾つかの適用において、約220又は250Åよりも大きい脂環式基は、あまり好ましくない場合がある。本明細書において言及されるモル体積は、最適化された化学結合長さ及び角度を与える、標準コンピュータモデル化によって決定されたときの体積サイズを示す。本明細書において言及される場合に、分子体積を決定するための好ましいコンピュータプログラムは、トリポス(Tripos)から入手可能であるAlchemy2000である。分子サイズのコンピュータに基づく決定の更なる検討について、T Omoteら、Polymers for Advanced Technologies、第4巻、第277−287頁を参照されたい。
【0038】
光酸不安定単位の特に好ましいターシャリー脂環式基には、下記のものが含まれ、式中、波線は、エステル基のカルボキシル酸素への結合を示し、及びRは、好適に任意に置換されていてもよいアルキル、特にC1−8アルキル、例えばメチル、エチルなどである。
【0039】
【化1】

【0040】
本発明のレジスト中に使用される第一樹脂及び第二樹脂には、また、異なる複数の光酸不安定基が含有されていてもよい。即ち、ポリマーには、異なるエステル部分置換基を有する2以上のエステル基が含有されていてよく、例えば、一方のエステルは、脂環式部分を有していてよく、及び他方のエステルは、非環式部分、例えばt−ブチルを有していてよく、又はポリマーは、エステル、並びにアセタール、ケタール及び/若しくはエーテルをはじめとする光酸不安定である他の官能基の両方が含有されていてよい。
【0041】
何れにしても、ポジ型レジスト中に使用するために、本発明のポリマーは、好ましくは、1以上の、光酸不安定基を含む繰り返し単位を含有する。第一樹脂の場合には、好ましくは、光酸不安定基(群)は、ヘテロ置換炭素環式アリール基以外のポリマー単位の成分である。
【0042】
前記のように、本発明の混合物の好ましい第一樹脂及び第二樹脂には、また、ラクトン単位、例えば、重合したアクリレートの部分であるラクトン又は他の不飽和分子から重合された他のラクトンが含有されていてよい。アルファ−ブチロラクトン基を含有するポリマー単位が好適である。
【0043】
また、前記のように、第一樹脂及び第二樹脂について、シアノ部分を含む繰り返し単位、例えば、アクリロニトリル若しくはメタクロルニトリルの重合により提供され得るシアノ部分、又は例えばシアノ部分を含むアクリレート基、特にシアノアダマンチルアクリレート(ここで、シアノ基はアダマンチル環の置換基である)をはじめとするシアノ置換基を有する他の基によって提供され得るシアノ部分を含む繰り返し単位も好適である。
【0044】
本発明の混合物の好ましい第一樹脂及び第二樹脂には、2、3、4又は5の異なる繰り返し単位が含有されていてよく、即ち、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー及びペンタポリマーが好ましい。好適には、樹脂繰り返し単位の1以上には、本明細書において開示されたような脂環式基が含まれる。
【0045】
前記のように、本発明の混合物の樹脂は、好ましくは、193nmで画像形成されるフォトレジスト中に使用され、及び好適には、ヘテロ置換炭素環式アリール単位以外の如何なるフェニル又は他の芳香族基も、少なくとも実質的に含有していない。例えば、かかる好ましい第一樹脂及び第二樹脂は、約5モルパーセントよりも少ない、ヒドロキシナフチルをはじめとするヘテロ置換炭素環式アリール単位以外の芳香族基、更に好ましくは、約2、1又は0.5モルパーセントよりも少ない、ヒドロキシナフチル基をはじめとするヘテロ置換炭素環式アリール単位以外の芳香族基を含有する。
【0046】
本発明の混合物の第一樹脂及び第二樹脂は、分子量において好適に変化することができ、及び例えば、約3以下の分子量分布(Mw/Mn)、更に好ましくは約2以下の分子量分布で、約800又は1,000〜約100,000、更に好ましくは約2,000〜約30,000、なお更に好ましくは約2,000〜15,000又は20,000の重量平均分子量(Mw)を有していてよい。本発明のポリマーの分子量(Mw又はMn)は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって好適に決定される。
【0047】
本発明の混合物又はフォトレジスト組成物中の第一樹脂と第二樹脂との相対量は、好適に変化することができる。例えば、第一樹脂及び第二樹脂は、10:90〜90:10、更に典型的には約20:70〜約70:30の相対重量比で好適に存在してよい。また、40:60〜60:40の第一樹脂:第二樹脂の重量比も好適である。少なくともある種のレジスト配合物については、第二樹脂に対して過剰の重量で第一樹脂を使用することが好ましい場合もある。
【0048】
前記のように、樹脂単位を含む種々の基は、任意に置換されていてよい。好適な任意に置換された基は、1以上の入手可能な位置で、1以上の好適な基、例えば、ハロゲン(特に、F、Cl又はBr);C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C2−8アルケニル;C2−8アルケニル又はアルキニル、アリール、例えばフェニル;アルカノイル、例えばアシルのC1−6アルカノイル、などによって置換されていてよい。典型的には、置換された部分は、合計で1、2又は3個所の入手可能な位置で置換されている。
【0049】
混合物の樹脂の合成
本発明の混合物及びレジストの樹脂は、種々の方法によって調製され得る。一つの好適な方法は、フリーラジカル重合を含んでもよい付加反応であり、例えば、前記のような種々の単位を提供するために選択されたモノマーの、ラジカル開始剤の存在下における、不活性雰囲気(例えば、N又はアルゴン)下での、例えば約70℃以上のような上昇した温度(但し、反応温度は、使用する具体的な試薬の反応性及び(溶媒を使用する場合には)反応溶媒の沸点に依存して、変化し得る)での反応による。好適な反応溶媒には、例えば、テトラヒドロフラン又は更に好適にはハロゲン化溶媒、例えばフッ素化溶媒若しくは塩素化溶媒などが包含される。任意の具体的な系のための好適な反応温度は、本明細書の開示に基づいて当業者によって経験的に容易に決定され得る。種々のフリーラジカル開始剤が使用され得る。例えば、アゾ化合物、例えばアゾ−ビス−2,4−ジメチルペンタンニトリルが使用され得る。また、過酸化物、過エステル、過酸及び過硫酸塩も使用され得る。
【0050】
好ましい樹脂合成は、下記の実施例に記載される。
【0051】
混合物の第一樹脂に関して、かかるビニル置換基を有するヘテロ置換炭素環式アリール単位は、本発明の第一樹脂を形成するための好ましい試薬であり得る。
【0052】
本発明のポリマーを得るために反応させることができる他のモノマーは、当業者によって特定され得る。例えば、光酸不安定単位を提供するために好適なモノマーには、例えば、エステル基のカルボキシ酸素上に適切な置換基(例えば、ターシャリー脂環式、t−ブチルなど)を含有するメタクリレート又はアクリレートが含まれる。本発明のレジストにおいて有用であるポリマーの合成のための、ターシャリー脂環式基を有する好適なアクリレートモノマーは、また、Barclayらに付与された米国特許第6,306,554号にも開示されている。無水マレイン酸は、縮合された無水物ポリマー単位を提供するための好ましい試薬である。アルファ−ブチロラクトンのようなビニルラクトンも、好ましい試薬である。
【0053】
本発明の混合物の第一樹脂及び第二樹脂の両方を提供するために重合することができる幾つかの好適なビニル(環内二重結合)複素環式モノマーには、下記のものが含まれる。
【0054】
【化2】

【0055】
本発明の混合物及びフォトレジストの第一樹脂を形成するために重合させる幾つかの特に好適な基には、下記のものが含まれる。
【0056】
【化3】

【0057】
本発明の混合物及びフォトレジストの第二樹脂を形成するために重合させる幾つかの特に好適な基には、下記のものが含まれる。
【0058】
【化4】

【0059】
フォトレジスト組成物
化学増幅型ポジ型フォトレジスト配合物中に使用される本発明の樹脂混合物は、好ましくは、所望のようにレジストレリーフ画像の形成することを可能にするため、十分な量の光発生酸不安定基を含有する。例えば、かかる酸不安定基の好適な量は、ポリマーの全単位の少なくとも1モルパーセント、更に好ましくは全ポリマー単位の約2〜7モルパーセント、なお更に典型的に約3〜30、40、50又は60モルパーセントである。
【0060】
本発明のフォトレジストには、一般的には、光活性成分及び前記のような樹脂混合物を含む樹脂バインダー成分が含まれる。
【0061】
樹脂成分は、レジストのコーティング層を、水性アルカリ性現像液で現像可能とするために十分な量で使用する必要がある。
【0062】
本発明のレジスト組成物には、また、活性化放射線に露光させた際に、レジストのコーティング層内に潜像を発生させるために十分な量で好適に使用される光酸発生剤(即ち、「PAG」)が含まれる。193nm及び248nmでの画像形成において、画像形成するための好ましいPAGには、イミドスルホネート、例えば下記の式の化合物が含まれる:
【0063】
【化5】

【0064】
式中、Rは、ショウノウ、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)及びペルフルオロアルキル、例えばペルフルオロ(C1−12アルキル)、特に、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロノナンスルホネートなどである。特に好ましいPAGは、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0065】
また、スルホネート化合物、特にスルホン酸塩も好適なPAGである。193nm及び248nmでの画像形成のための2種の好適な試薬は、下記のPAG1及びPAG2である。
【0066】
【化6】

【0067】
このようなスルホネート化合物は、上記のPAG1の合成が詳述されている欧州特許出願第96118111.2号(公開番号第0783136号)に開示されているようにして調製され得る。
【0068】
上記のショウノウスルホネート基以外のアニオンで錯体化された、上記の2種のヨードニウム化合物も好適である。特に、好ましいアニオンには、式RSO−のものが含まれ、式中、Rは、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)及びペルフルオロアルキル、例えばペルフルオロ(C1−12アルキル)、特に、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネートなどである。
【0069】
アニオン、例えば上記のスルホネートアニオン、特にペルフルオロアルキルスルホネート、例えばペルフルオロブタンスルホネートをはじめとするアニオンで錯化されたトリフェニルスルホニウムPAGも好ましい。
【0070】
他の公知のPAGもまた、本発明のレジストにおいて使用され得る。特に193nmでの画像形成については、高められた透明度を提供するために、上記のイミドスルホネートをはじめとする、芳香族基を含有しないPAGが一般的に好ましい。
【0071】
本発明のレジストの好ましい任意の添加剤は、現像されたレジストレリーフ画像の解像度を増進させることができる、添加される塩基、特に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)又はテトラブチルアンモニウムラクテートである。193nmで画像形成されるレジストのための、好ましい添加される塩基は、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの酪酸塩並びに種々の他のアミン、例えばトリイソプロパノール、ジアザビシクロウンデセン又はジアザビシクロノネンである。添加される塩基は、比較的少量、例えば、全固形分に対して約0.03〜5重量パーセントで好適に使用される。
【0072】
本発明のフォトレジストは、また、他の任意の物質を含有し得る。例えば、他の任意の添加物には、ストリエーション防止剤(anti−striation agent)、可塑剤、感度増強剤(speed enhancer)などが含まれる。かかる任意の添加物は、典型的に、比較的高濃度(例えば、レジストの乾燥成分の全重量の約5〜30重量パーセントの量)で存在していてよい充填材及び染料以外は、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0073】
本発明のレジストは、当業者によって容易に調製され得る。例えば、本発明のフォトレジスト組成物は、フォトレジストの成分を、好適な溶媒、例えば、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び3−エトキシエチルプロピオネート中に溶解させることによって調製され得る。典型的に、組成物中の固形分含有量は、フォトレジスト組成物の全重量の約5重量パーセントと35重量パーセントとの間で変化する。樹脂及び光活性成分は、フィルムコーティング層並びに良好な品質の潜像及びレリーフ画像の形成を提供するために十分な量で存在させる必要がある。
【0074】
本発明の組成物は、一般的に知られている手順に従って使用される。本発明の液状コーティング組成物は、例えば、スピニング、浸漬、ローラコーティング又は他の慣用コーティング技術によって、基体に適用される。スピンコーティングの場合、コーティング溶液中の固形分含有量は、使用される具体的なスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度及びスピニングのために許容される時間の長さに基づいて、所望のフィルム厚さを得るように調節され得る。
【0075】
本発明のレジスト組成物は、フォトレジストでコーティングすることを含む処理において通常使用されている基体に好適に適用される。例えば、組成物は、マイクロプロセッサ及びその他の集積回路コンポーネントの製造のための、シリコンウェーハ又は二酸化ケイ素でコートされたシリコンウェーハの上に適用され得る。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウム砒素、セラミック、石英、銅、ガラス基体なども、好適に使用される。
【0076】
表面上へのフォトレジストのコーティングに続いて、それは、好ましくはフォトレジストコーティングが粘着性でなくなるまで、加熱して溶媒を除去することによって乾燥される。その後、それは、通常の方法でマスクを通して画像形成される。露光は、フォトレジストシステムの光活性成分を有効に活性化して、レジストコーティング層内にパターン化された画像を作るために十分であり、更に特に、露光エネルギーは、露光ツール及びフォトレジスト組成物の成分に依存し、典型的に、約1〜100mJ/cmの範囲内である。
【0077】
前記のように、本発明のレジスト組成物のコーティング層は、好ましくは、短い露光波長、特に300nm未満及び200nm未満の露光波長によって光活性化される。前記のように、193nmが特に好ましい露光波長である。
【0078】
露光に続いて、この組成物のフィルム層を、好ましくは、約70℃〜約160℃の範囲内の温度でベークする。その後、フィルムを現像する。露光したレジストフィルムは、極性現像液、好ましくは水性現像液、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラ−アルキルアンモニウムヒドロキシド溶液;種々のアミン、好ましくは0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、例えばエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン又はメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えばジエタノールアミン又はトリエタノールアミン;環式アミン、例えばピロール、ピリジン、などを使用することによって、ポジ型に機能させられる。一般的に、現像は当該技術分野で認められた手順に従う。
【0079】
基体上のフォトレジストコーティングの現像に続いて、現像された基体は、例えば、レジストが除去された基体領域を、当該技術分野で公知の手順に従って化学的エッチング又はメッキすることによって、レジストが除去されたこれらの領域上において選択的な処理がなされ得る。マイクロ電子基体の製造、例えば、二酸化ケイ素ウェーハの製造のために、好適なエッチング剤には、ガスエッチング剤、例えばハロゲンプラズマエッチング剤、例えば、プラズマストリームとして適用されるCl又はCF/CHFエッチング剤をはじめとする塩素又はフッ素系エッチング剤が含まれる。かかる処理の後、公知の剥離手順を使用して、処理した基体からレジストが除去される。
【0080】
本明細書に記載した全ての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。下記の非限定的な実施例は、本発明の例示である。
【0081】
一般的コメント
下記の実施例において、下記のモノマー及びポリマー単位が使用され、及びしばしば、描かれた単位の直ぐ下に指定したような、基を指定する略語で呼ばれる。理解されるように、ポリマー中に組み込まれる場合、下記の単位は、描かれた炭素−炭素二重結合によって重合される。
【0082】
【化7】

【実施例】
【0083】
実施例1
6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン(HVN)の合成
6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン(HVN)の合成は、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒドから出発する3工程の反応によって実施した。第一工程において、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド(HNAL)を、エチルビニルエーテルで保護して、6−(1−エトキシエトキシ)−2−ナフトアルデヒド(EENAL)を得た。これに続いて、EENALのウィッティッヒ反応によって、6−(1−エトキシエトキシ)−2−ビニルナフタレンを得た。最後に、これを、ピリジニウムp−トルエンスルホネートを使用して脱保護して、6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン(HVN)を得た。
【0084】
6−(1−エトキシエトキシ)−2−ナフトアルデヒド
磁気攪拌機、添加漏斗及び還流凝縮器を取り付けた500mLの三つ口フラスコの中に、25gのHNAL(0.1462モル)及び300mLの酢酸エチルを装入した。6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒドは、室温で3時間攪拌した後でも、完全に可溶性ではなかった。これに、3.30gのPPTS(0.0131モル)を添加し、そしてこの溶液混合物を70℃へ加熱した。この温度で、21gのエチルビニルエーテル(0.2912モル)を滴下により添加し、そしてこの反応混合物は、数滴のエチルビニルエーテルを添加すると均一になった。エチルビニルエーテル添加が完結した後、反応温度を室温にまで下げ、そしてこの反応混合物を一晩攪拌した。この粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl)によって精製して、26gの純粋な6−(1−エトキシエトキシ)−2−ナフトアルデヒドを得た(収率:73%)。
【0085】
6−(1−エトキシエトキシ)−2−ビニルナフタレン
オーバーヘッド機械式攪拌機を取り付けた1Lの三つ口フラスコの中に、45gのメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(0.126モル)を窒素雰囲気下で添加した。これに、水を含有していない300mLのTHF及び16.02gのカリウムtert−ブトキシド(0.1428モル)を添加した。1時間攪拌した後、50mLのTHF中に溶解させた20gの6−(1−エトキシエトキシ)−2−ナフトアルデヒド(0.0819モル)を、カニューレを使用して滴下により添加し、そしてこの反応混合物を一晩攪拌した。一晩攪拌した後、脱イオン水(200mL)を注射器で添加し、そして相が分離した。水相をエーテル(2×100mL)で抽出し、及び混ぜ合わせた抽出液をMgSO4で乾燥させた。濾過しそして濃縮した後、粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/CHCl 40/60〜10/90)によって精製して、19.12gの純粋な6−(1−エトキシエトキシ)−2−ビニルナフタレンを得た(96%)。
【0086】
6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン
18gの6−(1−エトキシエトキシ)−2−ビニルナフタレン(0.0743モル)を、80mLのエタノール中に溶解させた。これに、1.6gのピリジニウムp−トルエンスルホネート(0.0064モル)を添加した。この反応混合物を50℃で攪拌した。3時間後に、TLC分析(シリカ、CHCl)によって、反応が終わったことが示された。この反応混合物を室温にまで冷却し、そして溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl)によって精製して、11.15gの純粋な6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレンを得た(62%)。
【0087】
実施例2
2−メチル−アクリル酸1−{4−[1−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−エトキシ]−ブトキシ}−エチルエステル(BDADMA)の合成
1Lのフラスコ内で、21.33gの(4−ビニルオキシ−ブトキシ)−エテン(0.15モル)及び34.44gのメタクリル酸を、500gの塩化メチレンと混合した。これに、3.8gのピリジニウムp−トルエンスルホネート(0.03モル)を添加し、そしてこの反応混合物を室温で窒素雰囲気下で攪拌した。5時間攪拌した後、この反応混合物を、半飽和食塩水で2回洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/CHCl混合物)によって精製して、26gの純粋な2−メチル−アクリル酸1−{4−[1−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−エトキシ]−ブトキシ}−エチルエステル(BDADMA)を得た(収率:73%)。
【0088】
実施例3
MAMA/α−GBLMA/HVN 45/35/20ターポリマーの合成
10.60gの2−メチル−アクリル酸2−メチル−アダマンタン−2−イルエステル(MAMA)、5.98gの2−メチル−アクリル酸2−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イルエステル(α−GBLMA)及び3.42gの6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン(HVN)を、20gのテトラヒドロフラン(THF)中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。1.16gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を10gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた150mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.222mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿がなされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、16.4gのコポリマー(Mw=14,300及びMw/Mn=1.8)を得た。
【0089】
実施例4
MAMA/α−GBLMA/HVN 45/40/15ターポリマーの合成
10.60gのMAMA、6.84gのα−GBLMA及び2.57gのHVNを、20gのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。1.16gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を10gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた150mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.222mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿がなされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、16.1gのコポリマー(Mw=14,250及びMw/Mn=1.9)を得た。
【0090】
実施例5
MAMA/α−GBLMA/HVN 45/45/10ターポリマーの合成
10.60gのMAMA、7.69gのα−GBLMA及び1.71gのHVNを、20gのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。1.16gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を10gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた150mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.222mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿がなされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、16.9gのコポリマー(Mw=14,040及びMw/Mn=1.8)を得た。
【0091】
実施例6
MAMA/α−GBLMA/HVN 40/45/15ターポリマーの合成
9.57gのMAMA、7.82gのα−GBLMA及び2.61gのHVNを、20gのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。1.18gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を10gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた150mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.222mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿がなされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、16.6gのコポリマー(Mw=13,590及びMw/Mn=1.8)を得た。
【0092】
実施例7
MAMA/α−GBLMA/HVN 40/50/10ターポリマーの合成
9.57gのMAMA、8.69gのα−GBLMA及び1.74gのHVNを、20gのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。1.18gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を10gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた150mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.222mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿がなされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、16.1gのコポリマー(Mw=13,120及びMw/Mn=1.8)を得た。
【0093】
実施例8
MAMA/α−GBLMA/HVN 35/45/20ターポリマーの合成
8.51gのMAMA、7.95gのα−GBLMA及び3.53gのHVNを、20gのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。1.20gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を10gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた150mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.222mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿が実施なされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、17.4gのコポリマー(Mw=14,540及びMw/Mn=1.9)を得た。
【0094】
実施例9
MAMA/α−GBLMA/HVN 35/50/15ターポリマーの合成
8.51gのMAMA、8.83gのα−GBLMA及び2.65gのHVNを、20gのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。1.20gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を10gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた150mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.222mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿がなされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、15.9gのコポリマー(Mw=14,040及びMw/Mn=1.9)を得た。
【0095】
実施例10
MAMA/α−GBLMA/HVN 35/55/10ターポリマーの合成
8.51gのMAMA、9.72gのα−GBLMA及び1.77gのHVNを、20gのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。1.20gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を10gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた150mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.222mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿がなされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、16.0gのコポリマー(Mw=13,990及びMw/Mn=1.9)を得た。
【0096】
実施例11
MAMA/α−GBLMA/CNNMA/BDADMA 40/40/10/10ターポリマーの合成
17.54gのMAMA、12.74gのα−GBLMA、3.84gの2−メチル−アクリル酸5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル(CNNMA)及び5.88gの2−メチル−アクリル酸1−{4−[1−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−エトキシ]−ブトキシ}−エチルエステル(BDADMA)を、40gのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。3.02gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を20gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた250mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.444mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿がなされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、33.4gのコポリマー(Mw=10,990及びMw/Mn=2.1)を得た。
【0097】
実施例12
MAMA/α−GBLMA/CNNMA/BDADMA 36/36/18/10ターポリマーの合成
15.77gのMAMA、11.45gのα−GBLMA、6.90gのCNNMA及び5.88gのBDADMAを、40gのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。3.01gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を20gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた250mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.444mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿がなされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、33.4gのコポリマー(Mw=10,720及びMw/Mn=2.0)を得た。
【0098】
実施例13
MAMA/α−GBLMA/CNNMA/BDADMA 32/32/26/10ターポリマーの合成
14.00gのMAMA、10.17gのα−GBLMA、9.96gのCNNMA及び5.87gのBDADMAを、40gのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した。3.01gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を20gのTHF中に溶解させ、そして窒素入口及び凝縮器を取り付けた250mLのフラスコの中に装入した。窒素を20分間バブリングさせることによって脱気した後、V601溶液を含有する反応器を、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.444mL/分の速度でこの反応器の中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、この重合混合物を、75℃で更に1時間攪拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給及び1時間攪拌)の後、この重合混合物を室温にまで冷却した。1Lのイソプロピルアルコール中で、沈殿がなされた。濾過した後、ポリマーを真空オーブン内で50℃で48時間乾燥させて、33.4gのコポリマー(Mw=10,800及びMw/Mn=2.1)を得た。
【0099】
実施例14
HVN/MADA/NLAターポリマー(6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン(HVN)、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート(MADA)及びアクリルオキシ−ノルボルナン−ブチロラクトン(NLA)の重合した単位からなるポリマー)の合成
1.66gのHVN、4.29gの2−メチル−2−アダマンチルアクリレート(MADA)、4.05gのアクリルオキシ−ノルボルナン−ブチロラクトン(NLA)及び0.2242gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を、30mLのTHF中に溶解させた。この混合物を、窒素を20分間バブリングさせることによって脱気し、次いで75℃で保持した油浴中に入れて、重合を開始させた。12時間の重合の後、重合混合物をヘキサン/イソプロパノール80/20v/v混合物の中に沈殿させた。第二の沈殿を、ヘキサン/イソプロパノール50/50v/v混合物中で実施した。濾過した後、僅かに黄色みを帯びた粉末が得られ、これを真空オーブン内で50℃で一晩乾燥させて、9gのHVN/MADA/NLAターポリマーを得た(90%収率)。
【0100】
他のコポリマーを、同様の手順を使用して調製した。結果を下記に要約する。MVNは、2−ビニル−6−メトキシナフタレンである。EEMAは、1−エトキシエチルメタクリレートである。EEAは、1−エトキシエチルアクリレートである。
【0101】
【表1】

【0102】
実施例15
2−ビニルナフタレン(VN)と1−エトキシエチルメタクリレート(EEMA)との、60モル%のVNを有するコポリマーを調製した。このコポリマーを、Siウェーハの上にスピンコートし、酸化物エッチ条件(C/Ar/CO/O;1500W;45mT)下で60秒間エッチングし、次いで原子間力顕微鏡法(AFM)を使用して表面粗さを測定した。このコポリマーは、5.46nmのrms粗さ(Rq)を示した。
【0103】
次いで、下記の成分の更なるグループのポリマーを調製し、酸化物エッチ条件下でエッチングした後、表面粗さを検査した。
【0104】
【化8】

【0105】
実施例16
フォトレジスト調製及びリソグラフ処理
【0106】
本発明のフォトレジスト組成物を、下記の成分を、下記の量で混合することによって調製した。ここで、量は、固形分(溶媒以外の全ての成分)の重量パーセントとして表し、フォトレジスト組成物は、8.2重量パーセント固形分(残りは乳酸エチル溶媒である)で配合する。
【0107】
【表2】

【0108】
【化9】

【0109】
配合したレジスト組成物を、架橋した有機反射防止層の上のシリコンウェーハの上にスピンコートし、適用したフォトレジスト層を、真空ホットプレートにより、110℃で90秒間ソフトベークして、210nmの乾燥した層厚さを得る。このレジストコーティング層を、フォトマスクを通して、193nmで、34.0mJ/cmドーズで露光する(露光:ASML/1100;照明:0.75NA、085/0.55σ環状;マスク:6%ATTPSM、90nm 1:1L/S(BF)及びトレンチ(DF))。露光したコーティング層を、110℃で90秒間露光後ベークする。次いで画像形成したレジスト層を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液による処理によって現像する。
【0110】
図面の図1A及び図1Bは、現像した画像の走査型電子顕微鏡写真(90nm幅を有するライン)を示す。現像されたラインのラインエッジ粗さは、図に示されるように優れていた。
【0111】
本発明の前記の説明は、単にその例示であり、特許請求の範囲に記載したような本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、変形及び修正を行うことができることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1A】前記の実施例16の現像したフォトレジスト画像の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図1B】前記の実施例16の現像したフォトレジスト画像の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)光活性成分、並びに
2)i)ヘテロ置換炭素環式アリール基を含む第一樹脂、及び
ii)第一樹脂とは異なる、架橋した基を含む第二樹脂
を含む樹脂成分
を含む、ポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項2】
第一樹脂及び第二樹脂が、ヘテロ置換炭素環式アリール基以外の芳香族基を実質的に含有しない、請求項1記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
第一樹脂が、ヒドロキシナフチル基を含む、請求項1記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
第一樹脂及び第二樹脂が、それぞれ、ヘテロ置換炭素環式アリール基以外の芳香族基を実質的に含有しない、請求項1記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
第一樹脂及び第二樹脂の一方又は両方が、重合したアクリレート単位を含む、請求項1記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
第一樹脂及び第二樹脂の一方又は両方が、光酸不安定基を含む、請求項1記載のフォトレジスト。
【請求項7】
光酸不安定基がエステル基又はアセタール基である、請求項6記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
a)請求項1記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を基体の上に適用する工程及び
b)このフォトレジスト組成物層を放射線に露光し、及び露光したフォトレジスト組成物コーティング層を現像する工程
を含む、フォトレジストレリーフ画像を提供する方法。
【請求項9】
請求項1記載のフォトレジストを含む基体を含む製造物品。
【請求項10】
i)ヘテロ置換炭素環式アリール基を含む第一樹脂、及び
ii)第一樹脂とは異なる、架橋した基を含む第二樹脂
を含む樹脂混合物。

【図1A】
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【図1B】
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【公開番号】特開2006−201778(P2006−201778A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−9643(P2006−9643)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(596156668)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (31)
【住所又は居所原語表記】455 Forest Street,Marlborough,MA 01752 U.S.A
【Fターム(参考)】