説明

樹脂組成物およびそれからなる成形品

【課題】耐熱性、透明性、流動性、耐衝撃性および耐加水分解性に優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)メタクリル系樹脂および(C)グリシジル基、酸無水物基、カルボジイミド基、オキサゾリン基およびアミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を含有する反応性化合物を配合してなる樹脂組成物であって、好ましくは、(C)反応性化合物が、重量平均分子量1000〜300000の重合体であり、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体である樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものであり、詳しくは、透明性、耐熱性、流動性および耐加水分解性に優れるポリ乳酸系樹脂を含む樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、地球環境保全の見地から、土中や水中に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目されており、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えばポリヒドロキシブチレートやポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなる脂肪族ポリエステルおよびポリ乳酸樹脂などがよく知られている。これらの中でも、ポリ乳酸樹脂は、モノマーである乳酸を、とうもろこしなどのバイオマスを原料として、微生物を利用した発酵法により安価に製造できるようになり、また、透明性を有し、融点もおよそ170℃と高く、溶融成形可能なバイオポリマーとして期待されている。
【0003】
しかしながら、ポリ乳酸樹脂はガラス転移温度が60℃付近にあり、この温度近傍での熱変形や剛性低下が大きいため、各種成形品として用いる場合には、通常の使用条件においても熱変形しやすく使用が困難になるという問題点があり、耐熱性に優れるポリ乳酸系材料が望まれていた。
【0004】
さらに、射出成形品とする場合には、射出成形工程での成形加工性の点で、流動性に優れることが重要であり、透明性、耐熱性および流動性のいずれにも優れるポリ乳酸系材料が望まれていた。
【0005】
また、ポリ乳酸樹脂は、加水分解により劣化するため、高温多湿下で長期に使用することは非常に難しく、耐加水分解性にも優れるポリ乳酸系材料が望まれていた。
【0006】
特許文献1には、ポリ乳酸とアクリレートポリマーからなる樹脂組成物に関し、耐熱性に優れる樹脂組成物が得られることが記載されているが、ポリ乳酸の透明性を維持することについては、一切開示はなく、実施例においても、耐熱性は向上するものの透明性および流動性については例示がなく、透明性、耐熱性、流動性および耐加水分解性のいずれにも優れる樹脂組成物を得るための解決手段について全く示唆されていない。
【0007】
特許文献2には、ポリ乳酸を含むα−ヒドロキシカルボン酸重合体とポリ(メタ)アクリレートからなる樹脂組成物に関し、加水分解性に優れる樹脂組成物が得られることが記載されており、特許文献3には、ポリ乳酸とアクリル系化合物からなる樹脂組成物に関し、成形加工性に優れる樹脂組成物が得られることが記載されているが、いずれも耐熱性および流動性については、一切開示はなく、透明性、耐熱性、流動性および耐加水分解性のいずれにも優れる樹脂組成物を得るための解決手段について全く示唆されていない。
【0008】
特許文献4には、ポリ乳酸系重合体とアクリル系重合体からなる樹脂組成物に関し、透明性および耐熱性のいずれにも優れる樹脂組成物が得られることが記載されており、特許文献5には、ポリ乳酸とポリ(メタ)アクリレートからなる樹脂組成物に関し、透明性および耐熱性のいずれにも優れる樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムが得られることが記載されており、特許文献6には、ポリ乳酸とポリメチルメタクリレートからなる樹脂組成物に関し、透明性および耐熱性のいずれにも優れる樹脂組成物が得られることが記載されており、非特許文献1および2には、ポリ乳酸とポリメチルメタクリレートを混合することにより、ガラス転移温度が向上することが記載されているが、いずれも流動性および耐加水分解性については、一切開示はなく、また、いずれも耐熱性向上効果が不十分であり、さらなる改良が求められており、透明性、耐熱性、流動性および耐加水分解性のいずれにも優れる樹脂組成物を得るための解決手段について全く示唆されていない。
【特許文献1】米国特許第5300576号公報(第1−2頁)
【特許文献2】特開平8−59949号公報(第1−2頁)
【特許文献3】特開2002−155207号公報(第1−2頁)
【特許文献4】特開2004−269720号公報(第1−2頁)
【特許文献5】国際公開特許第2004/87812号公報(第1−3頁)
【特許文献6】特開2005−171204号公報(第1−2頁)
【非特許文献1】Polymer Preprints Japan,42(3),1180(1993)
【非特許文献2】Polymer,39(26),6891(1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、透明性、耐熱性、流動性および耐加水分解性に優れるポリ乳酸系樹脂を含む樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)メタクリル系樹脂および(C)グリシジル基、酸無水物基、カルボジイミド基、オキサゾリン基およびアミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を含有する反応性化合物を配合してなる樹脂組成物、
(2)前記(C)反応性化合物が、重量平均分子量1000〜300000の重合体である(1)記載の樹脂組成物、
(3)前記(C)反応性化合物が、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体である(1)または(2)に記載の樹脂組成物、
(4)(B)メタクリル系樹脂の少なくとも1種が、重量平均分子量5万〜45万、ガラス転移温度110℃以上およびシンジオタクチシチー40%以上であるメタクリル系樹脂である(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(5)(B)メタクリル系樹脂が、下記条件の少なくとも一つを満たす2種以上のメタクリル系樹脂を含む(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(a)ガラス転移温度の差が10℃以上
(b)シンジオタクチシチーの差が3%以上
(6)さらに(D)無機粒子を配合してなる樹脂組成物であって、樹脂組成物中における(D)無機粒子の短軸の長さが1〜300nmであり、長軸の長さが1〜1000nmである(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(7)(D)無機粒子が、ケイ素を含むものである(6)に記載の樹脂組成物、
(8)樹脂組成物中における(B)メタクリル系樹脂のシンジオタクチシチーとアイソタクチシチーの比(シンジオタクチシチー/アイソタクチシチー)が、3.0〜8.0である(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂組成物、および
(9)(1)〜(8)に記載の樹脂組成物からなる成形品、
である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、透明性、耐熱性、流動性および耐加水分解性に優れるポリ乳酸系樹脂を含む樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明で用いられる(A)ポリ乳酸系樹脂とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。
【0014】
本発明においては、耐熱性の点で、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸を用いることが好ましい。すなわち、(A)ポリ乳酸系樹脂の総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかまたはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が90%以上含まれるかまたはD体が90%以上含まれることがさらに好ましく、L体が95%以上含まれるかまたはD体が95%以上含まれることが特に好ましく、L体が98%以上含まれるかまたはD体が98%以上含まれることが最も好ましい。また、L体またはD体の含有量の上限は通常100%以下である。
【0015】
また、本発明の(A)ポリ乳酸系樹脂としては、耐熱性、成形性の点で、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを用いることが好ましい。ポリ乳酸ステレオコンプレックスを形成させる方法としては、例えば、L体が90%以上、耐熱性の点で、好ましくは95%、より好ましくは98%以上のポリ−L−乳酸と、D体が90%以上、耐熱性の点で、好ましくは95%、より好ましくは98%以上のポリ−D−乳酸を溶融混練または溶液混合などの手法を用いて混合する方法を挙げることができ、また、別の方法として、ポリ−L−乳酸セグメントおよびポリ−D−乳酸セグメントからなるブロック共重合体とする方法も挙げることができ、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを容易に形成させることができるという点で、ポリ−L−乳酸セグメントおよびポリ−D−乳酸セグメントからなるブロック共重合体とする方法が好ましい。また、本発明においては、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを単独で用いてもよいが、ポリ乳酸ステレオコンプレックスとポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を併用して用いてもよい。
【0016】
(A)ポリ乳酸系樹脂の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではないが、重量平均分子量としては、耐熱性の点で、好ましくは1万以上、より好ましくは4万以上、さらに好ましくは8万以上、特に好ましくは10万以上、最も好ましくは13万以上であるのがよい。上限は特に制限されないが、流動性の点で、好ましくは50万以下、さらに好ましくは30万以下、より好ましくは25万以下、さらに好ましくは20万以下であることが望ましい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。
【0017】
(A)ポリ乳酸系樹脂の融点については、特に限定されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。ここでいう融点とは、示差走査型熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークのピークトップの温度である。
【0018】
(A)ポリ乳酸系樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法およびラクチドを介する開環重合法などを用いることができる。
【0019】
本発明で用いる(B)メタクリル系樹脂とは、メタクリル酸メチル成分単位を主成分、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上含むものであればよく、その他のビニル系単量体成分単位を好ましくは40%以下、より好ましくは20%以下共重合した共重合体でもよい。その他のビニル系単量体成分単位としては、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、マレイン酸無水物、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、イタコン酸無水物、グルタル酸無水物、フタル酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのN−置換マレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸ジシクロペンタニル、ジアクリル酸ブタンジオール、ジアクリル酸ノナンジオール、ジアクリル酸ポリエチレングリコール、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ペンタメチルピペリジル、メタクリル酸テトラメチルピペリジル、メタクリル酸ベンジル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸プロピレングリコール、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどが挙げられ、これらのビニル系単量体は単独または2種以上を用いることができる。また、耐熱性、低吸湿性、表面硬度の点で、ポリメタクリル酸メチル共重合体としては、特に、マレイン酸無水物、グルタル酸無水物、ラクトン環、マレイミド環などの環構造単位を主鎖に含有する共重合体が好ましく、さらに、環構造を主鎖に含有する共重合体を用いる場合には、透明性、耐熱性および流動性に優れる樹脂組成物が得られるという点で、環構造を含有しないメタクリル系樹脂、例えば、ポリメタクリル酸メチルを併用することがより好ましい。
【0020】
本発明において、(B)メタクリル系樹脂の少なくとも1種が、重量平均分子量5万〜45万であるメタクリル系樹脂であることが好ましく、耐熱性および流動性の点で、7万〜20万であることがより好ましく、9〜15万であることがさらに好ましい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたGPCで測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。
【0021】
本発明において、(B)メタクリル系樹脂の少なくとも1種が、ガラス転移温度90℃以上であるメタクリル系樹脂であることが好ましく、耐熱性の点で、100℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることがさらに好ましく、120℃以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、流動性の点で、200℃以下であることが好ましい。ここでいうガラス転移温度は、JIS K7121に記載されている方法に従って測定した値であり、DSC測定により、20℃/分で昇温した時の中間点ガラス転移温度である。
【0022】
本発明において、(B)メタクリル系樹脂の少なくとも1種が、シンジオタクチシチー35%であるメタクリル系樹脂であることが好ましく、耐熱性の点で、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、60%以上であることが特に好ましく、流動性の点で、90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。また、(B)メタクリル系樹脂のヘテロタクチシチーは、耐熱性の点で、45%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、流動性の点で、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。また、(B)メタクリル系樹脂のアイソタクチシチーは、耐熱性の点で、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、流動性の点で、5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。ここでいうシンジオタクチシチー、ヘテロタクチシチー、アイソタクチシチーとは、溶媒として、重水素化クロロホルムを用いた1H−NMR測定において、シンジオタクチシチー、ヘテロタクチシチー、アイソタクチシチーとしてそれぞれ観察される0.9ppm、1.0ppm、1.2ppmの直鎖分岐のメチル基のピークの積分強度の合計を100%として、それぞれのピークの積分強度の割合を百分率で表すことにより算出できる値である。
【0023】
本発明で用いる(B)メタクリル系樹脂としては、(B)メタクリル系樹脂の少なくとも1種が、重量平均分子量5万〜45万、ガラス転移温度110℃以上およびシンジオタクチシチー40%以上であるメタクリル系樹脂を用いた場合に、特に耐熱性に優れる樹脂組成物を得ることができるため好ましい。
【0024】
本発明で用いる(B)メタクリル系樹脂としては、耐熱性および流動性の点で、下記条件の少なくとも一つを満たす2種以上のメタクリル系樹脂を含むものであることが好ましい。
(a)ガラス転移温度の差が10℃以上
(b)シンジオタクチシチーの差が3%以上
【0025】
このような条件を満たすメタクリル系樹脂を用いることで、ポリ乳酸系樹脂との分子間相互作用が増大し親和性が向上するため、耐熱性向上効果が大きくなり、透明性、耐熱性および流動性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0026】
本発明において、耐熱性および流動性の点で、ガラス転移温度の差が15℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度の差が10℃未満であると、耐熱性改良効果が不充分である。また、ガラス転移温度の差の上限は特に限定されないが、透明性の点で、60℃以下であることが好ましい。ここでいうガラス転移温度は、JIS K7121に記載されている方法に従って測定した値であり、DSC測定により、20℃/分で昇温した時の中間点ガラス転移温度である。
【0027】
本発明において、耐熱性および流動性の点で、シンジオタクチシチーの差が5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。シンジオタクチシチーの差が3%未満であると、耐熱性改良効果が不充分である。また、シンジオタクチシチーの差の上限は特に限定されないが、透明性の点で、50%以下であることが好ましい。ここでいうシンジオタクチシチーとは、溶媒として、重水素化クロロホルムを用いた1H−NMR測定において、シンジオタクチシチー、ヘテロタクチシチー、アイソタクチシチーとしてそれぞれ観察される0.9ppm、1.0ppm、1.2ppmの直鎖分岐のメチル基のピークの積分強度の合計を100%として、それぞれのピークの積分強度の割合を百分率で表すことにより算出できる値である。
【0028】
本発明で用いる(B)メタクリル系樹脂の少なくとも1種は、流動性の点で、230℃の温度かつ37.2Nの荷重でのメルトフローレート(MFR)が、0.1〜40g/10分であるメタクリル系樹脂であることが好ましく、1〜30g/10分であることがより好ましく、2〜20g/10分であることがさらに好ましい。MFRが0.1g/10分以上の(B)メタクリル系樹脂を使用することで、樹脂組成物の流動性を維持することができ、成形加工性に優れる樹脂組成物を得ることができるので好ましい。またMFRが40g/10分以下の(B)メタクリル樹脂を使用することで、樹脂組成物の耐熱性を損なうことがないので好ましい。
【0029】
本発明で用いる(B)メタクリル系樹脂は、その製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法を用いることができる。重合時の温度条件は特に限定されないが、メタクリル系樹脂の耐熱性の点で、100℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、30℃以下がさらに好ましく、−10℃以下が特に好ましい。
【0030】
本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)メタクリル系樹脂の配合比は、特に限定されるものではないが、耐熱性および流動性の点で、重量比((A)ポリ乳酸系樹脂/(B)メタクリル系樹脂)が99/1〜1/99であることが好ましく、90/10〜10/90であることがより好ましく、80/20〜20/80であることがさらに好ましく、70/30〜30/70であることが特に好ましく、59/41〜35/65であることが最も好ましい。
【0031】
本発明で用いる(B)メタクリル系樹脂が、2種以上のメタクリル系樹脂を含む場合、2種以上のメタクリル系樹脂の組成は、特に限定されないが、耐熱性および流動性の点で、ガラス転移温度もしくはシンジオタクチシチーが最も高い値を示すメタクリル系樹脂をメタクリル系樹脂1とし、ガラス転移温度もしくはシンジオタクチシチーが最も低い値を示すメタクリル系樹脂をメタクリル系樹脂2として、メタクリル系樹脂1とメタクリル系樹脂2の重量比(メタクリル系樹脂1/メタクリル系樹脂2)が10/90〜90/10であることが好ましく、60/40〜40/60であることがより好ましい。
【0032】
本発明は、(C)反応性化合物として、グリシジル基、酸無水物基、カルボジイミド基、オキサゾリン基およびアミノ基から選択される少なくとも1種以上の官能基を含有する反応性化合物を配合することを特徴とする。(C)反応性化合物を配合することにより、透明性、耐熱性、耐衝撃性および耐加水分解性を向上することができる。
【0033】
本発明において、グリシジル基を含有する反応性化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、脂環式エポキシ化合物を好ましく使用することができる。これらを配合することで、機械特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れた成形品を得ることができる。
【0034】
グリシジルエーテル化合物の例としては、ブチルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレンオキシドフェノールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの縮合反応から得られるビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などを挙げることができる。なかでも、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。
【0035】
グリシジルエステル化合物の例としては、安息香酸グリシジルエステル、p−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、バーサティック酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレン酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ビ安息香酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどのを挙げることができる。なかでも、安息香酸グリシジルエステルやバーサティック酸グリシジルエステルが好ましい。
【0036】
グリシジルアミン化合物の例としては、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−パラアミノフェノール、トリグリシジル−メタアミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、ジグリシジルトリブロモアニリン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、トリグリシジルシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレートなどを挙げることができる。
【0037】
グリシジルイミド化合物の例としては、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジル−4−メチルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3−メチルフタルイミド、N−グリシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−4−エトキシフタルイミド、N−グリシジル−4−クロルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジクロルフタルイミド、N−グリシジル−3,4,5,6−テトラブロムフタルイミド、N−グリシジル−4−n−ブチル−5−ブロムフタルイミド、N−グリシジルサクシンイミド、N−グリシジルヘキサヒドロフタルイミド、N−グリシジル−1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド、N−グリシジルマレインイミド、N−グリシジル−α,β−ジメチルサクシンイミド、N−グリシジル−α−エチルサクシンイミド、N−グリシジル−α−プロピルサクシンイミド、N−グリシジルベンズアミド、N−グリシジル−p−メチルベンズアミド、N−グリシジルナフトアミド、N−グリシジルステラミドなどを挙げることができる。なかでも、N−グリシジルフタルイミドが好ましい。
【0038】
脂環式エポキシ化合物の例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、N−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−エチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−フェニル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−ナフチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−トリル−3−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミドなどを挙げることができる。また、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化鯨油などのエポキシ変性脂肪酸グリセリド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノゾラック型エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0039】
本発明において、酸無水物基を含有する反応性化合物の例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸などを挙げることができる。さらには、上記した化合物をモノマー単位として含む重合体なども挙げることができる。
【0040】
本発明において、カルボジイミド基を含有する反応性化合物とは、分子内に少なくともひとつの(−N=C=N−)で表されるカルボジイミド基を有する化合物であり、例えば適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱し、脱炭酸反応で製造できる。
【0041】
カルボジイミド化合物の例としては、ジフェニルカルボジイミド、ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジオクチルデシルカルボジイミド、ジ−o−トルイルカルボジイミド、ジ−p−トルイルカルボジイミド、ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、ジ−p−クロルフェニルカルボジイミド、ジ−o−クロルフェニルカルボジイミド、ジ−3,4−ジクロルフェニルカルボジイミド、ジ−2,5−ジクロルフェニルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−o−トルイルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−p−クロルフェニルカルボジイミド、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−シクロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジ−tert −ブチルフェニルカルボジイミド、N−トルイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミド、N,N’−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−フェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−トリルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−トリルカルボジイミド、N−フェニル−N’−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−トリルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミドなどのモノ又はジカルボジイミド化合物、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)などのポリカルボジイミドなどが挙げられる。なかでもN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミドおよびポリカルボジイミドが好ましい。
【0042】
本発明において、オキサゾリン基を含有する反応性化合物の例としては、2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−エトキシ−2−オキサゾリン、2−プロポキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘプチルオキシ−2−オキサゾリン、2−オクチルオキシ−2−オキサゾリン、2−ノニルオキシ−2−オキサゾリン、2−デシルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−メタアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−クロチルオキシ−2−オキサゾリン、2−フェノキシ−2−オキサゾリン、2−クレジル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−o−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−m−エチルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−m−プロピルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2−ブチル−2−オキサゾリン、2−ペンチル−2−オキサゾリン、2−ヘキシル−2−オキサゾリン、2−ヘプチル−2−オキサゾリン、2−オクチル−2−オキサゾリン、2−ノニル−2−オキサゾリン、2−デシル−2−オキサゾリン、2−シクロペンチル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−アリル−2−オキサゾリン、2−メタアリル−2−オキサゾリン、2−クロチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−フェニルフェニル−2−オキサゾリン、2−m−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−m−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェニル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−9,9’−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)などが挙げられる。さらには、上記した化合物をモノマー単位として含むポリオキサゾリン化合物なども挙げることができる。
【0043】
本発明において、アミノ基を含有する反応性化合物の例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの鎖状脂肪族ポリアミン、N−アミノエチルピペラジン、メンセンジアミンなどの環状脂肪族ポリアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミンなどの脂肪芳香族アミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族アミン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤などを挙げることができ、これらは、1種でもよく、2種以上併用してもよい。
【0044】
本発明において、(C)反応性化合物としては、ブリードアウトを抑制できるという点で、重量平均分子量1000〜300000の重合体であることが好ましく、重量平均分子量は5000〜250000がより好ましい。このような(C)反応性化合物としては、分子内の主鎖中または側鎖にグリシジル基、酸無水物基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アミノ基から選択される少なくとも1種類以上の官能基を導入した重合体であることが好ましく、重合体としては、単独重合体でも共重合体でもいずれでもよく、共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体などのいずれも用いることができる。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたGPCで測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。
【0045】
本発明において、(C)反応性化合物としては、透明性、耐熱性、耐加水分解性および耐衝撃性に優れる樹脂組成物を得られるという点で、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体であることが好ましく、重量平均分子量1000〜300000の重合体であり、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体であることが特に好ましい。重量平均分子量1000〜300000の重合体であり、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体を用いることにより、ポリ乳酸系樹脂とメタクリル系樹脂の相溶性が向上し、ポリ乳酸系樹脂とメタクリル系樹脂との分子間相互作用が増大するため、特に透明性および耐熱性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
【0046】
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を形成する原料モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、p−スチリルカルボン酸グリシジルなどの不飽和モノカルボン酸のグリシジルエステル、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ポリカルボン酸のモノグリシジルエステルあるいはポリグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテルなどが挙げられる。これらの中では、ラジカル重合性の点でアクリル酸グリシジルまたはメタアクリル酸グリシジルが好ましく用いられる。これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
【0047】
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体には、グリシジル基含有ビニル系単位以外のビニル系単位を共重合成分として含むことが好ましく、その選択により重合体の融点、ガラス転移温度などの特性を調節することができる。グリシジル基含有ビニル系単位以外のビニル系単位としては、アクリル系ビニル単位、カルボン酸ビニルエステル単位、芳香族系ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位、不飽和ジカルボン酸系単位、脂肪族系ビニル単位、マレイミド系単位またはその他のビニル系単位などが挙げられ、本発明において、耐熱性の点で、アクリル系ビニル単位を含むことが好ましい。アクリル系ビニル単位およびグリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体を用いることにより、ポリ乳酸系樹脂とメタクリル系樹脂の相溶性が向上するため、効率的に耐熱性を向上させることができるだけでなく、強度および耐加水分解性にも優れる樹脂組成物を得ることができる。
【0048】
アクリル系ビニル単位を形成する原料モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、メタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアミノ基を有するアクリル系ビニル単位を形成する原料モノマーなどが挙げられ、中でも、耐熱性および耐加水分解性の点で、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましく、さらにアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましく、耐熱性の点で、メタクリル酸メチルがより好ましい。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0049】
カルボン酸ビニルエステル系単位を形成する原料モノマーの具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、酢酸1−ブテニル、ピバル酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニルおよびシクロヘキサンカルボン酸ビニルなどの単官能脂肪族カルボン酸ビニル、安息香酸ビニルおよび桂皮酸ビニルなどの芳香族カルボン酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニルおよびソルビン酸ビニルなどの多官能カルボン酸ビニルなどが挙げられ、中でも、酢酸ビニルが好ましく使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0050】
芳香族系ビニル単位を形成する原料モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、1−ビニルナフタレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンなどが挙げられ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0051】
不飽和ジカルボン酸無水物系単位を形成する原料モノマーとしては、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物またはアコニット酸無水物などが挙げられ、中でも、マレイン酸無水物が好ましく使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0052】
不飽和ジカルボン酸系単位を形成する原料モノマーとして、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、フタル酸などが挙げられ、中でも、マレイン酸、イタコン酸が好ましく使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0053】
脂肪族ビニル系単位を形成する原料モノマーとしては、エチレン、プロピレンまたはブタジエンなど、マレイミド系単位を形成する原料モノマーとしては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミドまたはN−(クロロフェニル)マレイミドなど、その他のビニル系単位を形成する原料モノマーとしてはN−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレンなどが挙げられ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0054】
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体としては、優れた耐熱性を有する樹脂組成物が得られるという点で、エポキシ価が0.1〜10meq/gの範囲であることが好ましく、1〜7meq/gの範囲であることがより好ましく、2〜4.5meq/gの範囲であることがさらに好ましく、2.5〜4meq/gの範囲であることが特に好ましい。エポキシ価が0.1meq/g以上のものを使用することで、溶融粘度特性改良効果が充分となり、エポキシ価が10meq/g以下のものを使用することで、ゲル化などにより成形性を低下させることがないので好ましい。ここで、エポキシ価は、塩酸−ジオキサン法で測定した値である。なお、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体のエポキシ価は、グリシジル基含有ビニル系単位の含有量を調節することにより調節することができる。
【0055】
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体のガラス転移温度は、特に限定されるものではないが、ハンドリング性に優れるという点で、30〜100℃の範囲であることが好ましく、40〜70℃の範囲であることがより好ましく、50〜65℃の範囲であることが最も好ましい。ここでいうガラス転移温度とは、JIS K7121に記載されている方法に従ってDSCで測定した値であり、20℃/分で昇温した時の中間点ガラス転移温度である。
【0056】
なお、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体のガラス転移温度は、共重合成分の組成を調節することにより制御することができる。ガラス転移温度は通常、スチレンなどの芳香族系ビニル単位を共重合することにより高くすることができ、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル単位を共重合することにより低くすることができる。
【0057】
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体は、未反応の原料モノマーや溶媒などが残存するために通常、揮発成分を含む。その残部となる不揮発成分量は、特に限定されるものではないが、ガスの発生を抑制するという観点で、不揮発成分量が多い方が好ましい。具体的には、95重量%以上であることが好ましく、中でも97重量%以上であることが好ましく、さらに98重量%以上であることがより好ましく、特に98.5重量%以上であることが最も好ましい。なお、ここでいう不揮発成分とは、試料10gを窒素雰囲気下、110℃で1時間加熱した場合の残量割合を表す。
【0058】
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体は、低分子量体を得るために連鎖移動剤(分子量調整剤)として硫黄化合物を使用することがあるが、その場合には重合体は通常硫黄を含む。ここで、硫黄含有量は、特に限定されるものではないが、不快な臭いを抑制するという観点で、硫黄含有量が少ない方が好ましい。具体的には、硫黄原子として1000ppm以下が好ましく、中でも100ppm以下が好ましく、さらに10ppm以下が好ましく、特に1ppm以下であることが最も好ましい。
【0059】
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体の製造方法としては、本発明で規定する条件を満たす限り特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知の重合方法を用いることができる。これらの方法を用いる場合には、重合開始剤、連鎖移動剤および溶媒などを使用することがあるが、これらは最終的に得られるグリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体の中に不純物として残存することがある。これら不純物量は特に限定されるものではないが、耐熱性や耐候性などの低下を抑制するという観点で、不純物量は少ない方が好ましい。具体的には、不純物量が最終的に得られる重合体に対して10重量%以下が好ましく、中でも5重量%以下が好ましく、さらに3重量%以下が好ましく、特に1重量%以下であることが最も好ましい。
【0060】
以上のような、分子量、ガラス転移温度、不揮発成分量、硫黄含有量、不純物量などを満足させるグリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体の製造方法としては、150℃以上の高温で、かつ加圧条件(好ましくは1MPa以上)で、短時間(好ましくは5分〜30分)で連続塊状重合する方法が、重合率が高い点、不純物や硫黄含有の原因となる重合開始剤や連鎖移動剤および溶媒を使用しない点でより好ましい。
【0061】
本発明において、(C)反応性化合物の配合量は、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)メタクリル系樹脂の合計100重量部に対し、0.01〜30重量部が好ましく、0.05〜20重量部がより好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましく、0.5〜3重量部が特に好ましい。(C)反応性化合物の配合量が、0.01重量部未満では、樹脂組成物の耐熱性および耐加水分解性改良効果が不充分な傾向にあり、30重量部を越える場合には、ゲル化などにより、流動性の低下を招く恐れがある。
【0062】
本発明において、耐熱性の点で、さらに(D)無機粒子を配合することが好ましく、樹脂組成物中における無機粒子の短軸の長さが1〜300nmであり、長軸の長さが1〜1000nmであることが好ましい。透明性の点で、(D)無機粒子の短軸の長さは、5〜200nmであることがより好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、長軸の長さは、10〜900nmであることがより好ましく、50〜800nmであることがさらに好ましい。本発明において、無機粒子の短軸の長さおよび長軸の長さとは、電子顕微鏡を用い、2万倍で樹脂組成物を観察し、任意の無機粒子20個、好ましくは100個について、その形状を観察測定し、最も短い長さを短軸方向とし、最も長い長さを長軸方向とし、それぞれを平均した値である。
【0063】
本発明において、(D)無機粒子としては、粒状、球状、板状および繊維状のいずれでもよいが、耐熱性の点で、板状であることが好ましい。
【0064】
本発明において、粒状もしくは球状の無機粒子としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化チタン、チタニア、ジルコニア、セリア、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、グラファイト粉末、カーボンブラックなどを用いることができ、中でもシリカが好ましい。
【0065】
本発明において、板状の無機粒子としては、タルク、マイカ、ガラスフレーク、モンモリロナイト、スメクタイトなど珪酸塩などを用いることができ、中でも珪酸塩が好ましい。
【0066】
本発明において、繊維状の無機粒子としては、ガラス繊維、カーボン繊維、酸化亜鉛、アルミナ、チタン酸カルシウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、マグネシウムオキシサルフェート繊維などを用いることができる。
【0067】
本発明において、(D)無機粒子としては、ケイ素を含むものであることがより好ましく、具体的には、シリカおよび珪酸塩などを挙げることができ、中でも層状珪酸塩であることがより好ましく、有機変性層状珪酸塩であることがさらに好ましい。なお、本発明において、電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析計(EDX)を用いて元素分析を行うことにより、無機粒子であることを判別することができ、また、ケイ素を検出することができる。
【0068】
本発明において、シリカとは、粉末であっても、水もしくは有機溶媒分散型ゾル(コロイダルシリカ)であってもよいが、透明性の点で、コロイダルシリカが好ましい。さらに、透明性の点で、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、グリシジル基、酸無水物基、カルボジイミド基、オキサゾリン基から選択される少なくとも1種以上の官能基で表面処理されていることが好ましい。表面処理されたシリカを用いることにより、マトリックス樹脂との親和性が向上し、無機粒子の凝集抑制および分散性向上に効果があり、樹脂組成物中に均一に分散させることができるようになり、透明性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
【0069】
本発明において、有機変性層状珪酸塩とは、層間に存在する交換性陽イオンまたは陰イオンが有機オニウムイオンまたは有機アニオンで交換された層状珪酸塩であり、特に交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩が好ましい。
【0070】
交換性のイオンを層間に有する層状珪酸塩は、幅0.05〜0.5μm、厚さ6〜15オングストロームの板状物が積層した構造を持ち、その板状物の層間に交換性のイオンを有している。そのイオン交換容量は0.2〜3meq/gのものが挙げられ、好ましくはイオン交換容量が0.8〜1.5meq/gのものである。
【0071】
層状珪酸塩の具体例としてはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性雲母、ハイドロタルサイト等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであっても良い。これらのなかでもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物やNa型四珪素フッ素雲母、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性合成雲母が好ましい。
【0072】
有機オニウムイオンとしてはアンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。これらのなかではアンモニウムイオンとホスホニウムイオンが好ましく、特にアンモニウムイオンが好んで用いられる。アンモニウムイオンとしては、1級アンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウム、4級アンモニウムのいずれでも良い。
【0073】
1級アンモニウムイオンとしてはデシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、オレイルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
【0074】
2級アンモニウムイオンとしてはメチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
【0075】
3級アンモニウムイオンとしてはジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
【0076】
4級アンモニウムイオンとしてはベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、ベンザルコニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオン、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウムなどのトリアルキルメチルアンモニウムイオン、ベンゼン環を2個有するベンゼトニウムイオンなどが挙げられる。
【0077】
また、これらの他にもアニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、末端にアミノ基を有するポリアルキレングリコールなどから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。
【0078】
これらのアンモニウムイオンの中でも、好ましい化合物としては、トリオクチルメチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、ベンザルコニウムなどが挙げられる。これらのアンモニウムイオンは、一般的には、混合物として入手可能であり、前記の化合物名称は少量の類縁体を含む代表化合物の名称である。これらは、1種類で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0079】
また、反応性の官能基を持つものや親和性の高いものが好ましく、12−アミノドデカン酸、末端にアミノ基を有するポリアルキレングリコールなどから誘導されるアンモニウムイオンなども好ましい。
【0080】
有機アニオンとしては、長鎖のカルボン酸などがあり、ラウリン酸、デカン酸、ステアリン酸、ドデカジカルボン酸、ダイマー酸などをあげることができる。
【0081】
本発明において、有機変性層状珪酸塩としては、交換性の陽イオンまたは陰イオンを層間に有する層状珪酸塩と有機オニウムイオンまたは有機アニオンを公知の方法で反応させることにより製造することができる。具体的には、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法か、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させた有機塩を直接反応させることによる方法などが挙げられる。
【0082】
本発明において、層状珪酸塩に対する有機イオンの量は、層状珪酸塩の分散性、溶融時の熱安定性、成形時のガス、臭気の発生抑制などの点で、層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し通常、0.4〜2.0当量の範囲であるが、0.8〜1.2当量であることが好ましい。
【0083】
また、有機変性層状珪酸塩を反応性官能基を有するカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得るために好ましい。かかる反応性官能基を有するカップリング剤としては、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
【0084】
本発明において、有機変性層状珪酸塩は、樹脂組成物中に均一に分散していることが好ましい。ここでいう均一な分散とは、層状珪酸塩が5層以下の積層状態で局所的な固まりを持たずに分散していることをいう。
【0085】
本発明において、(D)無機粒子の配合量は、(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)メタクリル系樹脂の合計100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、0.5〜20重量部がより好ましく、1〜10重量部が特に好ましい。
【0086】
本発明の樹脂組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、天然繊維、有機繊維等)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤等)、滑剤、離形剤、難燃剤、染料および顔料を含む着色剤、結晶核剤、可塑剤、帯電防止剤などを添加することができる。中でも、機械特性、成形性、耐熱性および透明性などに優れた樹脂組成物が得られるという点で、離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、通常熱可塑性樹脂の離型剤に用いられるものを用いることができる。具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーンなどを挙げることができる。離型剤の配合量は、(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)メタクリル系樹脂の合計100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.03〜2重量部がさらに好ましい。
【0087】
また、本発明の樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、環状オレフィン系樹脂、アクリロニトリル・ブタンジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂など)および熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)などの少なくとも1種以上をさらに配合することができる。
【0088】
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)メタクリル系樹脂、(C)反応性化合物および必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、一軸または二軸押出機で均一に溶融混練する方法、溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが用いられるが、生産性の点で、一軸または二軸押出機で均一に溶融混練する方法が好ましく、透明性、耐熱性および流動性に優れた樹脂組成物を得られるという点で、二軸押出機で均一に溶融混練する方法がより好ましい。
【0089】
本発明の樹脂組成物について、樹脂組成物中におけるメタクリル系樹脂のシンジオタクチシチーとアイソタクチシチーの比(シンジオタクチシチー/アイソタクチシチー)が、2.5〜8.0であることが好ましい。さらに、耐熱性および流動性の点で、3.0〜8.0であることがより好ましく、3.0〜5.5であることがさらに好ましく、3.0〜5.0であることが特に好ましい。ここでいうシンジオタクチシチー、ヘテロタクチシチー、アイソタクチシチーとは、溶媒として、重水素化クロロホルムを用いた1H−NMR測定において、シンジオタクチシチー、ヘテロタクチシチー、アイソタクチシチーとしてそれぞれ観察される0.9ppm、1.0ppm、1.2ppmの直鎖分岐のメチル基のピークの積分強度の合計を100%として、それぞれのピークの積分強度の割合を百分率で表すことにより算出できる値である。
【0090】
本発明の樹脂組成物について、耐熱性の点で、ガラス転移温度が、70℃以上であることが好ましく、75℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましく、90℃以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、流動性の点で、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。ここでいうガラス転移温度は、JIS K7121に記載されている方法に従ってDSCにより測定した値であり、中間点ガラス転移温度もしくは補外転移終了温度のいずれか高い方とする。DSC測定においては、比熱容量の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形状によりガラス転移温度領域を検出できる。中間点ガラス転移温度とは、屈曲点以下および屈曲点以上のそれぞれのベースラインの接線を並行になるように引き、各ベースライン間の高さ、すなわち、比熱容量変化が半分となる位置に各ベースラインと並行になるように直線を引き、その直線と屈曲するDSC曲線の交点のことをいう。また、補外転移終了温度とは、屈曲点以上での温度のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点のことをいう。
【0091】
本発明の樹脂組成物について、耐熱性の点で、ASTM D648に従って、荷重0.45MPaにて測定した荷重たわみ温度(DTUL)が、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。
【0092】
本発明の樹脂組成物としては、透明であることが好ましい。ここで、透明とは、新聞など文字が印刷されている印刷物に成形品を重ねたときに、その文字を読みとることができる部分があることをいう。具体的には、厚み20μm以上、好ましくは1mmの成形品とした時のヘイズが30%以下であることが好ましく、透明性に優れるという点で、ヘイズが10%以下であることがより好ましく、ヘイズが5%以下であることがさらに好ましい。本発明において、ヘイズは、JIS K7105に従って測定した値である。また、透明性については、JIS K6714に従って測定される全光線透過率でも判定することが可能であり、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0093】
本発明の樹脂組成物について、メルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、耐熱性の点で、JIS K7210に従って、190℃、21.2N荷重にて測定したMFRが、30g/10分以下であることが好ましく、20g/10分以下であることがより好ましく、15g/10分以下であることがさらに好ましい。MFRが30g/10分を越えると耐熱性が低下する傾向にある。また、流動性の点で、0.1g/10分以上であることが好ましく、1g/10分以上であることがより好ましく、3g/10分以上であることがさらに好ましい。MFRが0.1g/10分より小さいと流動性が低下し、射出成形時の加工性が低下する傾向にある。
【0094】
本発明の樹脂組成物について、表面硬度は特に限定されないが、JIS K-5600に従って測定した鉛筆硬度が、HB以上であることが好ましく、F以上であることがより好ましく、H以上であることがさらに好ましい。鉛筆硬度がHBより低いと、表面に傷がつきやすくなるため好ましくない。本発明の樹脂組成物を光記録媒体として使用する場合には、基板に加工した際に傷が付きにくく、読みとりエラーなどが発生しにくくなるという点で、HB以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましく、また、落下などの衝撃に対して光記録媒体が破壊されにくくなるという点で、3H以下であることが好ましく、2H以下であることがより好ましい。
【0095】
本発明の樹脂組成物について、飽和吸水率は特に限定されないが、ASTM D570に従って測定した飽和吸水率が、0.4重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがより好ましく、0.2重量%以下であることがさらに好ましく、0.1重量%以下であることが特に好ましい。下限は特に制限されない。飽和吸水率が0.4重量%を越えると吸湿による変形が発生しやすく、使用できなくなる可能性が大きくなるため好ましくない。
【0096】
本発明の樹脂組成物について、レターデーション(複屈折量)は特に限定されないが、市販のエリプソメーターを用い23℃、405nmのレーザー光を基板面に対して30℃の角度で照射して測定したレターデーションが50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましく、10nm以下であることが特に好ましく、5nm以下であることが最も好ましい。本発明の樹脂組成物を光記録媒体として使用する場合には、レターデーションが50nmを越えると読みとりエラーなどが発生しやすくなるため好ましくない。
【0097】
本発明の樹脂組成物は、射出成形や押出成形などの方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。
【0098】
本発明の樹脂組成物からなる成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フイルム、シートなどが挙げられる。本発明においては、耐熱性に優れるという点で、厚みが20μm以上の部分を有する成形品であることが好ましく、1mm以上の部分を有する成形品であることがより好ましい。さらに、耐熱性および耐衝撃性に優れるという点で、厚みが50mm以下の部分を有する成形品であることが好ましく、10mm以下の部分を有する成形品であることがより好ましく、5mm以下の部分を有する成形品であることがさらに好ましい。
【0099】
本発明の樹脂組成物からなる成形品は、透明性に優れるという点で、成形品の厚みが20μm以上、好ましくは厚みが1mmで、ヘイズが30%以下である部分を有することが好ましく、ヘイズが10%以下である部分を有することがより好ましく、5%以下である部分を有することがさらに好ましい。本発明において、ヘイズは、JIS K7105に従い、ヘイズメーターを用いて測定した値である。
【0100】
本発明の樹脂組成物からなる成形品は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができる。
【0101】
具体的には、リレーケース、コイルボビン、光ピックアップシャーシ、モーターケース、ノートパソコンハウジングおよび内部部品、CRTディスプレーハウジングおよび内部部品、プリンターハウジングおよび内部部品、携帯電話、モバイルパソコン、ハンドヘルド型モバイルなどの携帯端末ハウジングおよび内部部品、記録媒体(CD、DVD、PD、FDDなど)ドライブのハウジングおよび内部部品、コピー機のハウジングおよび内部部品、ファクシミリのハウジングおよび内部部品、パラボラアンテナなどに代表される電気・電子部品を挙げることができる。更に、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、ビデオカメラ、プロジェクターなどの映像機器部品、レーザーディスク(登録商標)、コンパクトディスク(CD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、ブルーレイディスクなどの光記録媒体の基板、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品、などに代表される家庭・事務電気製品部品を挙げることができる。また電子楽器、家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機などのハウジングや内部部品、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドホン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子部品、サッシ戸車、ブラインドカーテンパーツ、配管ジョイント、カーテンライナー、ブラインド部品、ガスメーター部品、水道メーター部品、湯沸かし器部品、ルーフパネル、断熱壁、アジャスター、プラ束、天井釣り具、階段、ドアー、床などの建築部材、釣り糸、漁網、海藻養殖網、釣り餌袋などの水産関連部材、植生ネット、植生マット、防草袋、防草ネット、養生シート、法面保護シート、飛灰押さえシート、ドレーンシート、保水シート、汚泥・ヘドロ脱水袋、コンクリート型枠などの土木関連部材、エアフローメーター、エアポンプ、サーモスタットハウジング、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブースター部品、各種ケース、各種チューブ、各種タンク、各種ホース、各種クリップ、各種バルブ、各種パイプなどの自動車用アンダーフード部品、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、各種モーターハウジングなどの自動車用内装部品、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプベゼル、ドアハンドルなどの自動車用外装部品、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクターなど各種自動車用コネクター、歯車、ねじ、バネ、軸受、レバー、キーステム、カム、ラチェット、ローラー、給水部品、玩具部品、ファン、テグス、パイプ、洗浄用治具、モーター部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などの機械部品、マルチフィルム、トンネル用フィルム、防鳥シート、植生保護用不織布、育苗用ポット、植生杭、種紐テープ、発芽シート、ハウス内張シート、農ビの止め具、緩効性肥料、防根シート、園芸ネット、防虫ネット、幼齢木ネット、プリントラミネート、肥料袋、試料袋、土嚢、獣害防止ネット、誘因紐、防風網などの農業部材、紙おむつ、生理用品包材、綿棒、おしぼり、便座ふきなどの衛生用品、医療用不織布(縫合部補強材、癒着防止膜、人工器官補修材)、創傷被服材、キズテープ包帯、貼符材基布、手術用縫合糸、骨折補強材、医療用フィルムなどの医療用品、カレンダー、文具、衣料、食品等の包装用フィルム、トレイ、ブリスター、ナイフ、フォーク、スプーン、チューブ、プラスチック缶、パウチ、コンテナー、タンク、カゴなどの容器・食器類、ホットフィル容器類、電子レンジ調理用容器類化粧品容器、ラップ、発泡緩衝剤、紙ラミ、シャンプーボトル、飲料用ボトル、カップ、キャンディ包装、シュリンクラベル、蓋材料、窓付き封筒、果物かご、手切れテープ、イージーピール包装、卵パック、HDD用包装、コンポスト袋、記録メディア包装、ショッピングバック、電気・電子部品等のラッピングフィルムなどの容器・包装、天然繊維複合、ポロシャツ、Tシャツ、インナー、ユニホーム、セーター、靴下、ネクタイなどの各種衣料、カーテン、イス貼り地、カーペット、テーブルクロス、布団地、壁紙、ふろしきなどのインテリア用品、キャリアーテープ、プリントラミ、感熱孔版印刷用フィルム、離型フィルム、多孔性フィルム、コンテナバッグ、クレジットカード、キャッシュカード、IDカード、ICカード、紙、皮革、不織布等のホットメルトバインダー、磁性体、硫化亜鉛、電極材料等粉体のバインダー、光学素子、導電性エンボステープ、ICトレイ、ゴルフティー、ゴミ袋、レジ袋、各種ネット、歯ブラシ、文房具、水切りネット、ボディタオル、ハンドタオル、お茶パック、排水溝フィルター、クリアファイル、コート剤、接着剤、カバン、イス、テーブル、クーラーボックス、クマデ、ホースリール、プランター、ホースノズル、食卓、机の表面、家具パネル、台所キャビネット、ペンキャップ、ガスライターなどとして有用である。
【0102】
特に、本発明の樹脂組成物は、CD、CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD-R、DVD-RW、DVD-RAM、レーザーディスク(登録商標)、ブルーレイディスクなどの光記録媒体の基板として有用である。
【0103】
本発明において、光記録媒体の基板の製造方法は特に限定されることなく公知の方法を用いることができ、例えば、射出成形法、押出成形法、射出プレス成形法等が挙げられ、良好な特性を有する製品を安定して大量に製造できる点で、射出成形法が好ましい。また、基板の上に形成される反射層、記録層、接着層、誘電体層、保護層などの種々の層は、公知の方法を用いて形成させることができる。なお、接着層に用いる接着剤としては、耐熱性の点で、ポリイミド系などの高耐熱性の接着剤を用いることが好ましい。また、基板上に形成させる層の種類や積層数などを変えることにより、再生専用型、追記型、書き換え型などをそれぞれ製造することができる。
【0104】
本発明の樹脂組成物およびそれからなる成形品は、リサイクルすることが可能である。例えば、樹脂組成物およびそれからなる成形品を80℃以上、好ましくは100℃以上で熱処理した後、粉砕し、好ましくは粉末状とした後、アセトンもしくはテトラヒドロフランなどの溶媒を用いて、(B)メタクリル系樹脂を単離し、その後、クロロホルムなどの溶媒を用いて、残留物から(A)ポリ乳酸系樹脂を単離することができる。単離した樹脂は、それぞれ単独で用いることができ、さらにそれぞれを配合して得られる樹脂組成物は、本発明の樹脂組成物と同じように使用でき、成形品とすることも可能である。
【実施例】
【0105】
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに詳細に説明する。ここで、実施例中の配合比は重量部を示す。また、使用した原料および表中の符号を以下に示す。
【0106】
(A)ポリ乳酸系樹脂
(A−1)ポリL乳酸樹脂(D体1.2%、重量平均分子量15万)
【0107】
(B)メタクリル系樹脂
(B−1)メタクリル樹脂(住友化学製“スミペックスLG21” 重量平均分子量8万、ガラス転移温度105℃、シンジオタクチシチー41%、MFR21g/10分(230℃、37.2N))
(B−2)メタクリル樹脂(クラレ製“パラペット”HR−L、重量平均分子量9万、ガラス転移温度117℃、シンジオタクチシチー56%、MFR2g/10分(230℃、37.2N))
(B−3)メタクリル樹脂(住友化学製“スミペックス”LG35、重量平均分子量10万、ガラス転移温度90℃、シンジオタクチシチー39%、MFR35g/10分(230℃、37.2N))
(B−4)グルタル酸無水物単位含有メタクリル系樹脂(参考例1、ガラス転移温度137℃)
【0108】
(C)反応性化合物
(C−1)グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体(東亞合成製“ARUFON”UG4040、重量平均分子量1万、エポキシ価2.1meq/g)
(C−2)グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体(ジョンソンポリマー製“ジョンクリル”ADR−4368、重量平均分子量0.8万、エポキシ価3.5meq/g)
(C−3)グリシジル基含有アクリル系共重合体(日本油脂製“マープルーフ”G2050M、重量平均分子量21万、エポキシ価2.9meq/g)
(C−4)テレフタル酸ジグリシジルエステル(ナガセケムテックス製“デナコールEL−711”、重量平均分子量260)
(C−5)ポリカルボジイミド(日清紡製“カルボジライト”HMV−8CA、重量平均分子量2000)
(C−6)3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業製KBE−903,重量平均分子量221)
【0109】
(D)無機粒子
(D−1)参考例2により得られた12−アミノドデカン酸塩酸塩で交換されたモンモリロナイト(有機変性層状珪酸塩)
【0110】
[参考例1](B−4)グルタル酸無水物単位含有メタクリル系樹脂の製造例
メタクリル酸メチル20重量部、アクリルアミド80重量部、過硫酸カリウム0.3重量部およびイオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み、反応器中を窒素ガスで置換しながら70℃に保った。単量体が完全に、重合体に転化するまで反応を続け、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体の水溶液を得た。得られた水溶液を懸濁剤として使用した。容量が5リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、前記のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体懸濁剤0.05重量部をイオン交換水165重量部に溶解した溶液を供給し、400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、70℃に昇温した。内温が70℃に達した時点を重合開始として、180分間保ち、重合を終了した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体(b-4)を得た。この共重合体(b-4)の重合率は98%であった。
メタクリル酸:28重量部
メタクリル酸メチル:72重量部
n−ドデシルメルカプタン:0.8重量部
ラウリルパーオキサイド:0.4重量部。
【0111】
次いで、得られた(b−4)を使用し、流量調節バルブを備えた非噛合異方向回転の二軸・単軸複合型連続混練押出装置であるHTM38mm(二軸部分L/D=34、単軸部分L/D=14、CTE社製)を用いて、酢酸リチウム0.2部を添加し、原料供給速度10kg/h、スクリュー回転数:40rpm、シリンダ温度285℃で分子内環化反応を行い、ペレット状のグルタル酸無水物単位含有アクリル系樹脂(B−4)を得た。なお、ホッパー部より窒素を10L/分の量でパージしながら反応を行った。
【0112】
得られたグルタル酸無水物単位含有アクリル系樹脂(B−4)について、DSCによるガラス転移温度(Tg)を測定した結果、137℃であった。次いで、ジメチルスルホキシド重溶媒を用いて、1H-NMR測定を行い、スペクトルの帰属を、0.5〜1.5ppmのピークはメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合物のα-メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.0ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(-COOCH3)の水素、11.9ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素として、スペクトルの積分比から各共重合単位の組成を計算した結果、下記のとおりであった。
メタクリル酸単位:3重量%
メタクリル酸メチル単位:64重量%
グルタル酸無水物単位:33重量%
【0113】
[参考例2](D−1)の製造例
Na型モンモリロナイト(クニミネ工業:“クニピアF”、陽イオン交換容量120m当量/100g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここに12−アミノドデカン酸塩酸塩30.2g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間攪拌し、生じた沈殿の濾別、温水洗浄を3回行い、得られた固体を80℃で真空乾燥することでE−1を得た。
【0114】
また、本発明で用いた測定方法および判定方法を以下に示す。なお、成形品の形状について、特に指定がない場合は、ペレット状の樹脂組成物を用いて評価を行った。
【0115】
(1)重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準PMMA換算の重量平均分子量の値である。溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、流速0.5mL/minとし、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入して測定した。
【0116】
(2)シンジオタクチシチーおよびアイソタクチシチー
1H−NMR測定により測定した値である。1H−NMR測定は、日本電子製JNM−AL400を用いて、溶媒として重水素化クロロホルムを用い、試料濃度20mg/mLとして測定した。シンジオタクチシチー、ヘテロタクチシチー、アイソタクチシチーとしてそれぞれ観察される0.9ppm、1.0ppm、1.2ppmの直鎖分岐のメチル基のピークの積分強度の合計を100%として、それぞれのピークの積分強度の割合を百分率で表した値をそれぞれシンジオタクチシチー、ヘテロタクチシチー、アイソタクチシチーとした。
【0117】
(3)ガラス転移温度(Tg)
JIS K7121に従って、示差走査型熱量計(セイコー電子製RDC220)により測定した。測定条件は、試料10mg、窒素雰囲気下中、昇温速度20℃/分である。
【0118】
(4)耐熱性(DTUL)
ASTM D648に従って、12.7mm×127mm×3mmの成形品の荷重たわみ温度(荷重0.45MPa)を測定した。
【0119】
(5)透明性
日本電色工業製ヘイズメーターNDH−300Aを用いて、JIS−K7105に従い、5cm×5cm×1mmの板状成形品のヘイズを測定した。
【0120】
(6)流動性(MFR)
樹脂組成物の流動性について、JIS K7210に従って、190℃、21.2N荷重において測定した。
【0121】
(7)衝撃特性
ASTM D256に従って、3mm厚ノッチ付き短冊状成形品のアイゾット衝撃強度を測定した。
【0122】
(8)引張強度
ASTM法D638に従って、ASTM1号ダンベル成形品を用いて、引張試験を行った。
【0123】
(9)耐加水分解性
ASTM1号ダンベル成形品を、60℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽中で500時間処理した後、引張強度を測定し引張強度保持率を求めた。引張強度保持率が大きいほど、耐加水分解性に優れると言える。
【0124】
(10)樹脂組成物中における(D)無機粒子の分散状態
透過型電子顕微鏡(TEM)−エネルギー分散型X線分析計(EDX)を用い、2万倍で観察し、EDXにてケイ素含有粒子と判定できた任意の20個の粒子について、短軸の長さおよび長軸の長さを測定し、平均値を求めた。
【0125】
[実施例1〜9、比較例1〜5]
表1に示すようにポリ乳酸系樹脂、メタクリル系樹脂、反応性化合物を配合し、30mm径の二軸押出機を用い、シリンダー温度200℃、回転数200rpmの条件で溶融混練を行いペレット状の樹脂組成物を得た。
【0126】
得た樹脂組成物を住友重工業製射出成形機SG75H−MIVを用い、シリンダー温度200℃、金型温度40℃で射出成形を行い、12.7mm×127mm×3mmの成形品、5cm×5cm×1mmの板状成形品、3mm厚のノッチ付き短冊状成形品、ASTM1号ダンベル成形品を得た。
【0127】
得た成形品を用いて、各種評価を行った結果を表1に示す。
【0128】
【表1】

【0129】
表1の結果より以下のことが明らかである。
【0130】
実施例1〜9と比較例1〜5との比較から、ポリ乳酸系樹脂、メタクリル系樹脂および反応性化合物を配合してなる樹脂組成物は、耐熱性、透明性、流動性、耐衝撃性、強度、耐加水分解性に優れることがわかる。また、実施例1および3より、メタクリル系樹脂としては、ガラス転移温度110℃以上である場合に、特に耐熱性、強度、耐加水分解性に優れることがわかる。また、実施例3、5〜8より、反応性化合物としては、重量平均分子量が1000〜300000の重合体であり、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体である場合に、特に耐熱性、強度、耐加水分解性に優れるとがわかる。
[実施例10〜13、比較例6]
表2に示すようにポリ乳酸系樹脂、メタクリル系樹脂および反応性化合物を配合する以外は、全て実施例1と同様に樹脂組成物および成形品を得た。各種評価を行った結果を表2に示す。
【0131】
【表2】

【0132】
表2の結果より以下のことが明らかである。
【0133】
実施例10〜13と比較例6の比較から、ポリ乳酸系樹脂、メタクリル系樹脂および反応性化合物を配合してなる樹脂組成物は、耐熱性、透明性、流動性、強度および耐加水分解性に優れることがわかる。
[実施例14〜17、比較例7]
表3に示すようにポリ乳酸系樹脂、メタクリル系樹脂および反応性化合物を配合する以外は、全て実施例1と同様にして樹脂組成物および成形品を得た。各種評価を行った結果を表3に示す。
【0134】
【表3】

【0135】
表3の結果より以下のことが明らかである。
【0136】
実施例14〜17と比較例7の比較から、ポリ乳酸系樹脂、メタクリル系樹脂および反応性化合物を配合してなる樹脂組成物は、耐熱性、透明性、流動性、耐衝撃性、強度および耐加水分解性に優れることがわかる。メタクリル系樹脂としては、ガラス転移温度の差が10℃以上、もしくはシンジオタクチシチーの差が3%以上のいずれか一つ以上の条件を満たす2種のメタクリル系樹脂を配合してなる樹脂組成物が、耐熱性、透明性、流動性、耐衝撃性、強度、耐加水分解性に優れることがわかる。また、反応性化合物として、重量平均分子量が1000〜300000の重合体であり、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体、もしくはカルボジイミド基を含有する化合物を用いることにより、耐熱性、耐衝撃性および耐加水分解性に優れることがわかる。
[実施例18〜19、比較例8〜9]
表4に示すようにポリ乳酸系樹脂、メタクリル系樹脂、反応性化合物および無機粒子を配合する以外は、全て実施例1と同様にして樹脂組成物および成形品を得た。各種評価を行った結果を表4に示す。
【0137】
【表4】

【0138】
表4の結果より以下のことが明らかである。
【0139】
実施例18〜19と比較例8〜9の比較から、ポリ乳酸系樹脂、メタクリル系樹脂、反応性化合物および粒子径5〜500nmでありケイ素を含む無機粒子を配合してなる樹脂組成物は、耐熱性、透明性、流動性、耐衝撃性および耐加水分解性に優れることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)メタクリル系樹脂および(C)グリシジル基、酸無水物基、カルボジイミド基、オキサゾリン基およびアミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を含有する反応性化合物を配合してなる樹脂組成物。
【請求項2】
前記(C)反応性化合物が、重量平均分子量1000〜300000の重合体である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記(C)反応性化合物が、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(B)メタクリル系樹脂の少なくとも1種が、重量平均分子量5万〜45万、ガラス転移温度110℃以上およびシンジオタクチシチー40%以上であるメタクリル系樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
(B)メタクリル系樹脂が、下記条件の少なくとも一つを満たす2種以上のメタクリル系樹脂を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(a)ガラス転移温度の差が10℃以上
(b)シンジオタクチシチーの差が3%以上
【請求項6】
さらに(D)無機粒子を配合してなる樹脂組成物であって、樹脂組成物中における(D)無機粒子の短軸の長さが1〜300nmであり、長軸の長さが1〜1000nmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
(D)無機粒子が、ケイ素を含むものである請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
樹脂組成物中におけるメタクリル系樹脂のシンジオタクチシチーとアイソタクチシチーの比(シンジオタクチシチー/アイソタクチシチー)が、3.0〜8.0である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8に記載の樹脂組成物からなる成形品。

【公開番号】特開2008−13639(P2008−13639A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185194(P2006−185194)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】