説明

機器及び画像形成装置

【課題】電源が入っている状態での運搬を防止することができる機器及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】筺体3に、運搬用の取手口7と機械本体の電源スイッチ5とを設けた機器1において、取手口7を遮蔽する開閉可能な遮蔽部材9と、遮蔽部材9を閉じ位置に付勢する付勢部材17と、閉じ位置にある遮蔽部材9が開き位置に移動するのを阻止する阻止部材23とを備え、阻止部材23は電源スイッチ5のOFFに連動して遮蔽部材9の開きを許可する許可位置に移動し、電源スイッチ5のONに連動して遮蔽部材9の開きを阻止する阻止位置に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取手を把持して運搬する機器及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筺体に形成された取手口の内側に運搬用の取手を設け、取手口をキャップで塞ぐことが開示されている。
【0003】
特許文献2には、筺体に形成された取手口を塞ぐキャップを開くと、取手口の内側に設けた取手が筺体から飛び出すことが開示されている。
【0004】
特許文献3には、筺体に設けた取手口から取手を出没自在に設けて、取手を突出させたときに取手に上向きの力が作用しなくなったときに取手が没することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−222301号公報
【特許文献2】特開2000−94790号公報
【特許文献3】特開2000−258969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した何れの特許文献においても、取手は機器の電源入っているいないに関わらず使用できてしまうため、機器の電源が入ったまま運搬が行われことが可能である。この為、電源が入ったままの状態に気が付かないで、ユーザ等が機器を運搬(又は移動)すると、ショートや損傷の原因になったり、感電の原因になるという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みなされたものであり、電源が入っている状態での運搬を防止することができる機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、筺体に、運搬用の取手口と機械本体の電源スイッチとを設けた機器において、取手口を遮蔽する開閉可能な遮蔽部材と、遮蔽部材を閉じ位置に付勢する付勢部材と、閉じ位置にある遮蔽部材が開き位置に移動するのを阻止する阻止部材とを備え、阻止部材は電源スイッチのOFFに連動して遮蔽部材の開きを許可する許可位置に移動し、電源スイッチのONに連動して遮蔽部材の開きを阻止する阻止位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取手口を遮蔽部材で閉じており、電源スイッチがONのときには阻止部材により遮蔽部材が開くのを阻止し、電源スイッチがOFFのときにのみ、阻止部材が退避して遮蔽部材が開くのを許容するので、電源が入っている状態での機器の運搬を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施の形態において阻止部材が遮蔽部材の開きを阻止する阻止位置にある状態を示し、(a)は取手を設けてある筺体部分の断面図であり、(b)は電源スイッチ、阻止部材及び遮蔽部材の関係を示す断面図である。
【図2】第1実施の形態において阻止部材が遮蔽部材の開きを許可する許可位置にある状態を示し、(a)は取手を設けてある筺体部分の断面図であり、(b)は電源スイッチ、阻止部材及び遮蔽部材の関係を示す断面図である。
【図3】第1実施の形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図4】第2実施の形態の概略構成を示し、(a)は阻止部材が遮蔽部材の開きを阻止する阻止位置にある状態を示し、(b)は阻止部材が遮蔽部材の開きを許可する許可位置にある状態を示す図である。
【図5】遮蔽部材の正面図であり、(a)(b)はそれぞれ変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を説明するが、まず図1〜図3を参照して本発明の第1実施の形態について説明する。
【0012】
本実施の形態に係る画像形成装置(機器)1は、複写機能、プリンター機能及びファックス機能を兼ね備える複合機である。
【0013】
図3に示すように、画像形成装置1の筺体3には、その正面下部に電源スイッチ(主電源スイッチ)5が設けてあり、左右の側面下部には運搬(又は移動)用の取手口(開口)7が設けてある。尚、図3では取手口7に設けてある遮蔽部材9は開いた状態(図2(a)参照)を示している。
【0014】
図2(a)に示すように、取手口7の奥には取手11が形成されており、取手口7の下部には取手口7を開閉する遮蔽部材9が設けられている。遮蔽部材9は下端に設けた回動軸16を中心に回動して図1(a)に示す閉じ位置と、図2(b)に示す開位置とに移動自在になっている。尚、遮蔽部材9は開位置にあるときに、図2(a)に示すように、筺体3に設けた係止部15に係止してそれ以上回動しないように制限されている。
【0015】
遮蔽部材9の回動軸には付勢部材17が設けてあり、遮蔽部材9を図1(a)に示す閉位置に向けて付勢している。付勢部材17は本実施の形態ではねじりスプリングであり、一端17aが遮蔽部材17に係止してあり、他端17bが筺体3に係止してある。
【0016】
図1(b)に示すように電源スイッチ5はON/OFFで変位するスイッチ部材19を有しており、このスイッチ部材19は回動軸21を中心にしてON側部19aとOFF側部19bとが回動して変位するものであり、ON側部19aには阻止部材23の一端部23aが連結されており、他端部23bは遮蔽部材9の裏面に出没摺るように配置されている。阻止部材23は案内部材24によりその水平方向へスライドするように案内されている。
【0017】
次に、第1実施の形態に係る画像形成装置(機器)1の作用、効果について説明する。遮蔽部材9は、付勢部材17により閉位置方向に付勢されて図1(a)に示すように取手口7を閉じている。
【0018】
電源スイッチ5がON状態にあるときには、図1(b)に示すように、スイッチ部材19のON側部19aが筺体1の奥側に変位しており、ON側部19aに一端23aを連結している阻止部材23はその他端(先端)23bを遮蔽部材9の裏側に位置して、遮蔽部材9が開位置に回動するのを阻止している。
【0019】
従って、電源スイッチ5がON状態にあるときには、遮蔽部材9を筺体3の外側から押しても遮蔽部材9を開くことができないので、ユーザ等は取手11を把持することができない。
【0020】
一方、電源スイッチ5をOFFにしたときには、図2(b)に示すように、スイッチ部材19のOFF側部19bが押されることにより、ON側部19aは回動軸21を中心に筺体3の外側に回動して筺体3の外側に変位し、阻止部材23を矢印Fで示すよう移動し、阻止部材23の他端23bを遮蔽部材9の裏面から離れる許可位置に移動する。これにより、遮蔽部材9の回動が許容される。
【0021】
遮蔽部材9の回動が許容された状態で、筺体3の外側から遮蔽部材9を指で押し込むと、遮蔽部材9が指(図中二点鎖線で示す)に押されて奥側に回動し、図2(a)に示すように、取手11を把持することができる。そして、取手11を把持して画像形成装置1を運搬(又は移動)する。
【0022】
本実施の形態によれば、取手口7を遮蔽部材9で閉じており、電源スイッチ5がONのときには阻止部材23により遮蔽部材9が開くのを阻止し、電源スイッチ5がOFFのときにのみ、阻止部材23が退避して遮蔽部材9が開くのを許容するので、電源が入っている状態での画像形成装置1の運搬(又は移動)を防止することができる。
【0023】
また、本実施の形態では、スイッチ部材19に阻止部材23を連結してスイッチ部材19のON/OFF動作に連動して阻止部材23が遮蔽部材9の裏面に位置したり退避する構成としているので、構成が簡易である。
【0024】
以下に本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。図4を参照して第2実施の形態を説明する。図4は第2実施の形態の概略構成を示し、(a)は阻止部材が遮蔽部材の開きを阻止する阻止位置にある状態を示し、(b)は阻止部材が遮蔽部材の開きを許可する許可位置にある状態を示す図である。
【0025】
第2実施の形態では、阻止部材23はその長手方向略中央部に回動軸25を設けてあり、一端部23aにソレノイド27の駆動軸27aが連結されている。阻止部材23の他端にはスプリング(付勢部材)29が連結してあり、阻止部材23の他端23bを遮蔽部材9の裏面から離れる方向(許可位置)に常時付勢している。
【0026】
ソレノイド27は電源スイッチ5がON状態のときには電源から電流が流れて図4(a)に示すように、駆動軸27aをスプリング29の付勢力に抗して引き込み、阻止部材23の他端23bが遮蔽部材9の裏面に位置して、遮蔽部材9が開くのを阻止する。
【0027】
一方、電源スイッチ5がOFF状態のときには、ソレノイド27には電流が流れないので、図4(b)に示すように、スプリング29の付勢力に順じて阻止部材23の他端23bは遮蔽部材9の裏面から離れる許可位置に移動し、遮蔽部材9が開くのを許可する。
【0028】
この第2実施の形態によっても上述した第1実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0029】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形可能である。
【0030】
例えば、第1実施の形態において、付勢部材17はねじりスプリングに限らず、板バネであっても良い。
【0031】
取手11は取手口7の上端部に形成したが、これに限らず取手口7と別体に設けるものであっても良い。
【0032】
遮蔽部材9は、図5(a)に示すようなスリット31を形成したものであっても良いし、図5(b)に示すように金網33を設けたものであっても良いし、形状は限定されない。
【符号の説明】
【0033】
1 画像形成装置
3 筺体
5 電源スイッチ
7 取手口
9 遮蔽部材
11 取手
17 付勢部材
19 スイッチ部材
23 阻止部材
27 ソレノイド
29 スプリング(付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体に、運搬用の取手口と機械本体の電源スイッチとを設けた機器において、取手口を遮蔽する開閉可能な遮蔽部材と、遮蔽部材を閉じ位置に付勢する付勢部材と、閉じ位置にある遮蔽部材が開き位置に移動するのを阻止する阻止部材とを備え、阻止部材は電源スイッチのOFFに連動して遮蔽部材の開きを許可する許可位置に移動し、電源スイッチのONに連動して遮蔽部材の開きを阻止する阻止位置に移動することを特徴とする機器。
【請求項2】
前記電源スイッチはON位置とOFF位置とに変位するスイッチ部材であり、阻止部材はスイッチ部材に一端が連結してあり、スイッチ部材がON位置にあるときには阻止部材の他端が前記阻止位置に移動し、OFF位置にあるときに阻止部材の他端が前記許可位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記阻止部材を駆動するソレノイドを備え、阻止部材は回動軸を中心に回動可能に設けてあり、一端がソレノイドに連結してあり、他端が付勢部材により前記許可位置に向けて付勢してあり、電源スイッチがON位置にあるときにはソレノイドに通電して移動阻止部材の他端を前記阻止位置に移動し、電源スイッチがOFF位置にあるときにはソレノイドへの通電を停止して付勢部材の付勢力により阻止部材の他端を前記許可位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の機器であって、シートに画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−160190(P2010−160190A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−676(P2009−676)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】