説明

機器情報管理システム

【課題】作業者の指紋により作業者を自動的に認証することで、作業者IDやパスワードなどの入力時間を削減し、被検査機器を検査するときのトレーサビリティ機能を向上させる。
【解決手段】作業者が指紋読取パッド300aに指を置くと、ポインティングデバイス300は自動的に指の指紋を読み取り、検査装置200に指紋情報を出力する。検査装置200は、ポインティングデバイス300から指紋情報を入力すると、ネットワーク500を経由してファイルサーバ100に記憶されている予め登録される複数の指紋情報と作業者情報のデータベースを参照し、作業者IDを取得する。指紋情報から作業者IDを取得できないときは、検査装置200はアラームメッセージを表示し以降処理を行わない。次に、検査装置200は、被検査機器400に対する検査を行い、検査日時、作業者ID、測定値、及び調整値の検査情報を採取し検査装置200に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器情報管理システムに係り、特に製品である機器の測定や調整などの検査を行う作業者の認証と、検査される機器(以下、被検査機器という)の情報(以下、検査情報という)を追跡できる(以下、トレーサビリティという)機能を備えた機器情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
機器情報管理システムにおいて、機器の検査を行う作業者を認証することがある。このような場合には、作業者が検査を行うために使用する装置(以下、検査装置という)に作業者IDとパスワードを入力する。そして、検査装置は入力された作業者IDとパスワードに基づいて、許可された作業者であるかを判定する。検査装置が許可された作業者であると判定したときには、検査装置は作業者からの操作を受け付けるが、許可された作業者でないと判定したときには、検査装置は作業者からの操作を受け付けない。しかし、このような検査装置において、作業者は検査を行う度にキーボードから毎回作業者IDとパスワードを入力しなければならないので、作業者IDとパスワードの入力に時間がかかるという問題があった。このような問題に対処するために、下記の特許文献1がある。特許文献1のパスワード認証方法は、パスワード登録時に、ポインティングデバイスで複数の位置をクリックして多角形を作成して予め登録しておき、パスワード入力時に登録した多角形をポインティングデバイスで再作成することで認証を行う方法である。この認証方法においては、入力した多角形がパスワード登録時の多角形と相対的に等しいか判定され、等しいときにアクセスは許可され、等しくないときにはアクセスは許可されない。このように特許文献1は、キーボードからではなくポインティングデバイスを使用してパスワードを入力することができるので、容易にパスワードを入力することができる認証方法を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−091506
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたパスワードの認証方法では、作業者はパスワード入力時に多角形を再作成するために、多角形を登録した時にポインティングデバイスでクリックした複数の位置を覚える必要があり、誤って入力したときには再び入力しなければならないという問題があった。本発明の目的は、作業者の認証を自動的に行うことによって、作業者による認証のための作業者IDやパスワードなどの入力時間を削減して作業者の作業効率を向上させ、更に検査装置が備えるトレーサビリティ機能を向上させる機器情報管理システムを提供することである。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる機器情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の機器情報管理システムは、予め登録される複数の指紋情報を記憶する指紋情報記憶手段と、作業者情報を記憶する作業者情報記憶手段と、作業者の指紋情報を入力する作業者指紋情報入力手段と、前記複数の指紋情報と前記作業者情報に基づいて、前記作業者の指紋情報から前記作業者の認証を行う作業者認証手段と、被検査機器の機器検査情報を記憶する機器検査情報記憶手段と、を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業者の認証を自動的に行うことによって、作業者による認証のための作業者IDやパスワードなどの入力時間を削減して作業効率を向上させ、更に検査装置が備えるトレーサビリティ機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる機器情報管理システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる機器情報管理システムの機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる作業者情報登録データベースの構成を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる機器検査情報保存テーブルの構成を示す構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる指紋情報処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係わる機器検査処理のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係わる表示されるアラームメッセージである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。本発明の説明に関係ない部分については省略している。
【0010】
図1を参照して、実施形態に係る機器情報管理システムのシステム構成について説明する。機器情報管理システムは、ファイルサーバ100、検査装置200、ポインティングデバイス300、及び被検査機器400から構成され、ファイルサーバ100と検査装置200はネットワーク500に接続されている。また、検査装置200には、ポインティングデバイス300と被検査機器400が接続されている。
【0011】
ファイルサーバ100は、記憶装置を備えたコンピュータ装置であり、予め許可された他の装置がネットワーク500を介してアクセス可能である。ファイルサーバ100の記憶装置に保存されているデータは、機器情報管理システムにおいて一括管理される。検査装置200は、液晶ディスプレイ等の画面を備えたPC/AT互換機などのパソコン装置である。検査装置200は、作業者の指紋による認証機能、被検査機器400に対する検査機能、被検査機器400の検査情報のトレーサビリティ機能などを備えている装置である。ポインティングデバイス300は検査装置200に接続され、作業者の操作により検査装置200の画面に表示されるカーソルを移動させ、検査装置200の画面上の決められたエリアをポイントすることで、検査装置200の処理を実行させる指令を出力する装置である。また、ポインティングデバイス300には指紋読取パッド300aを備え、この指紋読取パッド300aに指を置くと、ポインティングデバイス300は自動的に指の指紋を読み取ることができる機器である。被検査機器400は、作業者により検査装置200で検査される機器であり、例えば移動体通信製品などの機器である。被検査機器400は、検査装置200からの要求により被検査機器400ごとに個別に付けられているユニークな番号(以下、被検査機器Noという)を、検査装置200に出力することができる。また、被検査機器400は、検査装置200から出力される調整値に設定することができる。ネットワーク500は、例えばインターネットやイントラネット等のIPネットワークであり、ファイルサーバ100と検査装置200が接続されている。
【0012】
次に図2を参照して、実施形態に係る機器情報管理システムの機能ブロックについて説明する。
【0013】
ファイルサーバ100について説明する。ファイルサーバ100は、ネットワークインターフェース部110と記憶装置120を備え、ネットワークインターフェース部110と記憶装置120はバスなどにより接続されている。ネットワークインターフェース部110は、ネットワーク500に接続するためのLANインターフェイスを備え、LANインターフェイスがTCP/IP等の各種ネットワークプロトコルを用いて、ネットワーク500に接続されている他のコンピュータとデータの送受信を行っている。記憶装置120は、HDD(ハードディスクドライブ)などの大容量のデータを記憶することができる装置である。記憶装置120には、指紋情報登録データベース120aと作業者情報登録データベース120bのデータベースが構築されている。指紋情報登録データベース120aには、作業者の指紋をデータ変換した情報(以下、指紋情報という)が予め登録されている。また、登録されている作業者の指紋には、その指紋を識別するためのユニークな番号である指紋識別Noが付けられ、指紋情報登録データベース120aに保存されている。作業者情報登録データベース120bは、指紋識別Noに対応する作業者情報が登録されているデータベースである。作業者情報登録データベース120bの詳細な構成については、後述する。
【0014】
次に、検査装置200について説明する。検査装置200は、ネットワークインターフェース部210、表示部220、制御部230、記憶部240、及びデータ入出力部250から構成されている。ネットワークインターフェース部210は、ネットワーク500に接続するためのLANインターフェイスを備え、LANインターフェイスがTCP/IP等の各種ネットワークプロトコルを用いて、ネットワーク500に接続されている他のコンピュータとデータの送受信を行っている。表示部220は、検査装置200の画面に表示を行う部位である。
【0015】
制御部230は、RAMやROM等の主記憶手段、CPU等の制御手段を備えており、検査装置200全体を制御する部位である。また、制御部230には、指紋情報処理部230aと機器検査処理部230bを備えている。指紋情報処理部230aには、ポインティングデバイス300が読み取った作業者の指紋情報を処理する指紋情報処理プログラムが搭載されている。機器検査処理部230bには、被検査機器400に対して測定や調整の処理や、測定や調整を行う機器検査処理プログラムが搭載されている。
【0016】
記憶部240は、フラッシュメモリ等の記憶装置で、検査装置200が実行する処理のデータが保存される部位である。記憶部240には、指紋情報一時保存エリア240aと機器検査情報保存テーブル240bを備えている。指紋情報一時保存エリア240aは、ポインティングデバイス300から入力した作業者の指紋情報を、一時的に保存するエリアである。機器検査情報保存テーブル240bは、機器検査情報が保存されるテーブルである。機器検査情報保存テーブル240bの詳細な構成については、後述する。また、記憶部240には、後述する図4に示す機器検査情報保存テーブル240bの各項目のデータを保存するための保存先であるインデックスNo(I)が記憶され、初期値として「1」が設定されている。
【0017】
データ入出力部250は、USB規格やRS232C規格などのケーブルを用いて外部機器と接続し、外部機器とデータの入出力を行う入出力インターフェースである。データ入出力部250は、ポインティングデバイス300とUSB規格などのケーブルを用いて接続し、ポインティングデバイス300によってカーソルが移動されたカーソル移動情報と、ポイントされた位置のポイント位置情報などをポインティングデバイス300から入力する。また、データ入出力部250は、ポインティングデバイス300が読み取った指紋の指紋情報をポインティングデバイス300から入力する。更に、データ入出力部250は、被検査機器400とRS232C規格などを用いて接続し、被検査機器400から測定値を入力し、また被検査機器400に調整値を出力する。
【0018】
次に、ポインティングデバイス300について説明する。ポインティングデバイス300は、ポイント入力部310、指紋読取部320、データ出力部330、ポインティングデバイス制御部340から構成されている。ポイント入力部310は、カーソルが移動されたカーソル移動情報やポイントされたポイント位置情報を入力し、ポインティングデバイス制御部340に出力する部位である。指紋読取部320は、図1に示す指紋読取パッド300aに作業者が指を置くと、自動的に指の指紋を読み取り、読み取った指紋をポインティングデバイス制御部340に出力する部位である。ポインティングデバイス制御部340は、CPUやMPU等の制御手段を備えており、ポインティングデバイス300全体を制御する部位である。ポインティングデバイス制御部340は、カーソルが移動されたカーソル移動情報やポイントされたポイント位置情報を入力すると、検査装置200が認識できるポイント位置情報に変換して、データ出力部330に出力する部位である。また、ポインティングデバイス制御部340は、指紋読取部320から指紋を入力すると、検査装置200が認識できる指紋情報に変換して、データ出力部330に出力する部位である。データ出力部330は、ポインティングデバイス制御部340から入力したカーソル移動情報、ポイント位置情報、指紋情報を検査装置200に出力する部位である。
【0019】
次に、被検査機器400について説明する。被検査機器400は、被検査機器400の検査が行われるときに、RS232C規格のケーブルなどを用いて検査装置200と接続され、検査装置200による測定と、検査装置200からの要求により指定された箇所に調整値を設定することができる装置である。
【0020】
図3を参照して、作業者情報登録データベース120bの構成について説明する。図3に示すように作業者情報登録データベース120bは、指紋識別No、作業者名、及び作業者IDの各項目から構成されているデータベースである。指紋識別Noは、指紋情報登録データベース120aに保存されている指紋情報に付けられているユニークな番号である。作業者名は、指紋識別Noの指紋情報の指紋を登録した作業者の名前である。作業者IDは、作業者を識別するために作業者に付与されているユニークな番号であり、検査装置200のログインIDである。このような構成の作業者情報登録データベース120bを用いると、作業者から読み取った指紋の指紋情報から容易に作業者IDを取り出すことができる。まず、作業者から読み取った指紋の指紋情報が指紋情報登録データベース120aに登録されているか検索し、登録されているときは指紋情報に対応する指紋識別Noを取り出す。例えば、指紋識別Noが「003」であれば、作業者情報登録データベース120bの識別No「003」に対応する作業者IDに「cccc」が設定されているので、作業者ID「cccc」を容易に取り出すことができる。
【0021】
図4を参照して、機器検査情報保存テーブル240bの構成について説明する。図4に示すように機器検査情報保存テーブル240bは、インデックスNo、検査日時、作業者ID、被検査機器No、測定値、調整値の項目から構成されているテーブルである。インデックスNo(I)は、機器検査情報を識別するためのユニークな番号であり、インデックスNo(I)の昇順に各項目のデータが保存される。検査日時は、被検査機器400の検査が実施された日時である。作業者IDは、作業者を識別するために作業者に付与されているユニークな番号であり、検査装置200のログインIDである。被検査機器Noは検査される被検査機器400に付けられているユニークな番号である。測定値は、被検査機器400が検査装置200によって測定されたデータが保存されるエリアである。図4に示す測定値には、データが一つ保存されているが、複数箇所を測定し、複数のデータを保存することも可能である。調整値は、被検査機器400の測定値に基づいて調整したときのデータが保存されるエリアである。図4に示す調整値には、データが一つ保存されているが、複数箇所を調整し、複数のデータを保存することも可能である。このような構成の機器検査情報保存テーブル240bに、作業者が被検査機器400を検査した検査情報が保存されるので、過去の検査情報を容易に追跡することができる。例えば、被検査機器No「405」についてのどのような調整値で調整したかを確認したいときは、まず機器検査情報保存テーブル240bの被検査機器Noに設定されている「405」を検出する。そして、機器検査情報保存テーブル240bの被検査機器No「405」に対応する調整値の「k5」が取り出され、この「k5」が被検査機器No「405」に設定された調整値である。
【0022】
次に、図5を参照して実施形態に係る指紋情報処理部230aが実行する指紋情報処理と、図6を参照して実施形態に係る機器検査処理部230bが実行する機器検査処理について説明する。
【0023】
まず、指紋情報処理部230aが実行する指紋情報処理について説明する。検査装置200のデータ入出力部250が、ポインティングデバイス300から指紋情報を入力すると、入力した指紋情報を指紋情報一時保存エリア240aに保存し、制御部230に通知する。通知を受けた制御部230が指紋情報処理部230aを起動すると、指紋情報処理部230aが指紋情報処理を開始する。以下、図5に示す指紋情報処理フローチャートのステップ順に、指紋情報処理を説明する。
【0024】
(ステップS101)
指紋情報処理部230aは、指紋情報一時保存エリア240aに保存されている指紋情報を取り出す。
【0025】
(ステップS102)
指紋情報処理部230aは、ファイルサーバ100の指紋情報登録データベース120aに、ステップS101で取り出した指紋情報と一致する指紋情報が登録されているかを検索する。
【0026】
(ステップS103)
指紋情報処理部230aは、入力した指紋情報と一致する指紋情報が指紋情報登録データベース120aに登録されているかを判定し、登録されているとき(ステップS103のYes)は、ステップS104に進む。また、指紋情報登録データベース120aに入力した指紋情報と一致する指紋情報が登録されていないとき(ステップS103のNo)は、ステップS107に進む。
【0027】
(ステップS104)
指紋情報処理部230aは、登録されている指紋情報に付けられている指紋識別Noを指紋情報登録データベース120aから取り出す。例えば、登録されている指紋情報に付けられている指紋情報登録データベース120aの指紋識別Noが「002」であれば、「0002」が取り出される。
【0028】
(ステップS105)
指紋情報処理部230aは、ステップS104で取り出した指紋識別Noに対応する作業者IDを作業者情報登録データベース120bから取り出す。例えば、図3に示すように作業者情報登録データベース120bの指紋識別Noが「002」であれば、作業者ID「bbbb」が取り出される。
【0029】
(ステップS106)
指紋情報処理部230aは、ステップS105で取り出した作業者IDを機器検査処理の入力パラメータに設定してから機器検査処理部230bを起動し、指紋情報処理を終了する。
【0030】
(ステップS107)
指紋情報処理部230aは、入力した指紋情報が指紋情報登録データベース120aに登録されていないので、表示部220にアラームメッセージの表示要求を行うと、表示部220は、図7に示すアラームメッセージを検査装置200の画面に表示する。そして、指紋情報処理部230aは、指紋情報処理を終了する。
【0031】
以上の指紋情報処理により、作業者が検査を行うときに作業者の指から読み取った指紋の指紋情報に基づいて作業者IDが取り出される。また、作業者の指から読み取った指紋の指紋情報が指紋情報登録データベース120aに登録されていないときは、アラームメッセージが表示される。
【0032】
次に、機器検査処理部230bが実行する機器検査処理について説明する。ステップS106で機器検査処理部230bが起動されると、機器検査処理部230bは機器検査処理を開始する。以下、図6に示す機器検査処理フローチャートのステップ順に、機器検査処理を説明する。
【0033】
(ステップS201)
機器検査処理部230bは、入力パラメータに設定されている作業者IDを指紋情報処理部230aから入力する。
【0034】
(ステップS202)
機器検査処理部230bは、被検査機器400から機器Noを入力する。
【0035】
(ステップS203)
機器検査処理部230bは、機器検査情報保存テーブル240bの各項目のデータを保存するための保存先であるインデックスNo(I)を、記憶部240から取り出す。
【0036】
(ステップS204)
機器検査処理部230bは、被検査機器400に対して測定を行い、測定値を採取する。また、機器検査処理部230bは、採取した測定値に基づいて被検査機器400の調整を行い、調整値を採取する。
【0037】
(ステップS205)
機器検査処理部230bは、機器検査情報保存テーブル240bのインデックスNo(I)の「検査日時」に現在の日時、「作業者ID」にステップS201で入力した作業者ID、「被検査機器No」にステップS202で取り出した被検査機器400の機器No、「測定値」にステップS204で測定した測定値、及び「調整値」にステップS204で調整した測定値を設定する。
【0038】
(ステップS206)
機器検査処理部230bは、記憶部240に記憶されている機器検査情報保存テーブル240bのインデックスNo(I)に「1」を加算して更新する。そして、機器検査処理部230bは、機器検査処理を終了する。
【0039】
実施形態のシステム構成では、図1に示すようにファイルサーバ100を1台設置する形態で説明したが、ファイルサーバ100が故障したときに代替する予備のファイルサーバ100を設け、ネットワーク500に接続する構成でもよい。また、複数のファイルサーバ100を設け、指紋情報登録データベース120aや作業者情報登録データベース120bを複数のファイルサーバ100に分散させて記憶させるような構成でもよい。
【0040】
実施形態のシステム構成では、図1に示すように検査装置200を1台設置する形態で説明したが、複数の検査装置200を設け、複数の作業者が複数の被検査機器400を検査する構成でもよい。また、実施形態では、ファイルサーバ100に指紋情報登録データベース120aと作業者情報登録データベース120bのデータベースを構築するようにしたが、検査装置200の記憶部240に指紋情報登録データベース120aと作業者情報登録データベース120bを構築するような構成でもよい。更に検査装置200の記憶部に保存されている機器検査情報保存テーブル240bを、ファイルサーバ100の記憶装置120に保存する構成でもよい。
【0041】
実施形態において、図1に示すようにポインティングデバイス300の左前方に指紋読取パッド300aを設けているが、特にこの位置に限定するものでなくポインティングデバイス300のどの位置に指紋読取パッド300aを設けてもよい。
【0042】
以上の実施形態によれば、作業者の指紋により作業者を自動的に認証することで、作業者による認証のための作業者IDやパスワードなどの入力時間を削減して作業効率を向上させ、更に被検査機器の検査情報を自動的に保存することで検査時のトレーサビリティ機能を向上させる機器情報管理システムを提供することができる。
【0043】
以上、具体的な実施形態により本発明を説明したが、上記実施形態は本発明の例示であり、この実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0044】
以上をまとめると、本発明は次のような特徴を有する。
(1).本発明の機器情報管理システムは、予め登録される複数の指紋情報を記憶する指紋情報記憶手段と、作業者情報を記憶する作業者情報記憶手段と、作業者の指紋情報を入力する作業者指紋情報入力手段と、前記複数の指紋情報と前記作業者情報に基づいて、前記作業者の指紋情報から前記作業者の認証を行う作業者認証手段と、被検査機器の機器検査情報を記憶する機器検査情報記憶手段と、を備えていることを特徴としている。
(2).(1)の機器情報管理システムは、前記被検査機器に対して測定値の採取と調整値の設定を行う機器検査手段を備えていることを特徴としている。
(3).(1)または(2)の機器情報管理システムは、メッセージを表示する表示手段を備えていることを特徴としている。
(4).(1)から(3)のいずれかの機器情報管理システムはネットワークに接続されているファイルサーバを備え、前記指紋情報記憶手段と前記作業者情報記憶手段が前記ファイルサーバに設けられていることを特徴としている。
(5).(2)から(4)のいずれかの機器情報管理システムはネットワークに接続されている検査装置を備え、前記作業者認証手段、前記機器検査情報記憶手段、及び前記機器検査手段が前記検査装置に設けられていることを特徴としている。
(6).(1)から(5)のいずれかの機器情報管理システムの作業者指紋情報入力手段は、指紋読取機能を備えたポインティングデバイスであることを特徴としている。
(7).本発明の機器情報管理システムの機器情報管理方法は、予め登録される複数の指紋情報を記憶する指紋情報記憶工程と、作業者情報を記憶する作業者情報記憶工程と、作業者の指紋情報を入力する作業者指紋情報入力工程と、前記複数の指紋情報と前記作業者情報に基づいて、前記作業者の指紋情報から前記作業者の認証を行う作業者認証工程と、被検査機器の機器検査情報を記憶する機器検査情報記憶工程と、を備えていることを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、機器の検査を行う機器情報管理システムに好適であるが、機器の検査を行う機器情報管理システムに限られるものではなく、作業者の認証が必要なシステム一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
100・・・・・・・・ファイルサーバ
110・・・・・・・・ネットワークインターフェース部
120・・・・・・・・記憶装置
120a・・・・・・・指紋情報登録データベース
120b・・・・・・・作業者情報登録データベース
200・・・・・・・・検査装置
210・・・・・・・・ネットワークインターフェース部
220・・・・・・・・表示部
230・・・・・・・・制御部
230a・・・・・・・指紋情報処理部
230b・・・・・・・機器検査処理部
240・・・・・・・・記憶部
240a・・・・・・・指紋情報一時保存エリア
240b・・・・・・・機器検査情報保存テーブル
250・・・・・・・・データ入出力部
300・・・・・・・・ポインティングデバイス
300a・・・・・・・指紋読取パッド
310・・・・・・・・ポイント入力部
320・・・・・・・・指紋読取部
330・・・・・・・・データ出力部
340・・・・・・・・ポインティングデバイス制御部
400・・・・・・・・被検査機器
500・・・・・・・・ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録される複数の指紋情報を記憶する指紋情報記憶手段と、
作業者情報を記憶する作業者情報記憶手段と、
作業者の指紋情報を入力する作業者指紋情報入力手段と、
前記複数の指紋情報と前記作業者情報に基づいて、前記作業者の指紋情報から前記作業者の認証を行う作業者認証手段と、
被検査機器の機器検査情報を記憶する機器検査情報記憶手段と、
を備えていることを特徴とする機器情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−34390(P2011−34390A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180566(P2009−180566)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】