説明

機械式立体駐輪装置およびその出庫方法

【課題】利用者の出庫待ち時間を短縮することが可能な機械式立体駐輪装置およびその出庫方法を提供する。
【解決手段】建物躯体1と、自転車の入出庫口3を備えた入出庫フロア2と、建物躯体1内に水平に放射状に且つ上下多段に設けられた複数個の格納棚を備えた格納フロア5と、建物躯体1内の中央部に垂直に設けられた昇降用レール8に沿って昇降可能且つ水平旋回可能な搬送台9を有する格納機構7とを備えている機械式立体駐輪装置において、自転車に取り付けられたICタグと、利用者が携帯し、前記ICタグと連動するICカード17と、入出庫口3から離れた場所に設置された、ICカードの読み取り機16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、機械式立体駐輪装置およびその出庫方法、特に、利用者の出庫待ち時間を短縮することができ、しかも、利用者が駐輪装置の設置エリアに入ってから入出庫口まで歩く時間が無駄にならない機械式立体駐輪装置およびその出庫方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車は、年齢や性別を問わず多くの人々に広く利用されているが、市街地では、空き地に限りがあり、かつ、地価も高いので、自転車を駐輪するための充分なスペースを確保することが困難である。これが原因で、どこの市街地でも迷惑駐輪が問題視されているのが現状である。
【0003】
この問題を解決するために、市街地の駅前等に複数台の自転車を効率良く駐輪させることが可能で、しかも、入出庫処理が自動的に行える機械式立体駐輪装置の一例が特許文献1(特開平9−328923号公報)に開示されている。以下、この機械式立体駐輪装置を従来駐輪装置といい、図面を参照しながら説明する。
【0004】
図8は、従来駐輪装置を示す縦断面図、図9は、図8のA−A線断面図、図10は、従来駐輪装置の入出庫設備を示す断面図、図11は、従来駐輪装置の搬送台を示す断面図、図12は、従来駐輪装置の格納棚を示す断面図、図13は、従来駐輪装置の動作説明図である。
【0005】
図8および図9に示すように、従来駐輪装置は、地下に構築された円筒状の建物躯体21と、建物躯体21の地上部の入出庫フロア22に設けられた入出庫設備23と、建物躯体21内の中央部に垂直に且つ水平旋回可能に設けられた格納機構24と、建物躯体21の内壁に水平に放射状に且つ上下多段に設けられた複数個の格納棚25とから構成されている。
【0006】
入出庫設備23は、図10に示すように、開閉ドア(図示せず)が取り付けられた入出庫口23aの手前に敷設された、溝型の受け渡し用ガイドレール26と、受け渡し用ガイドレール26の前方上部にこれと平行に配されたクランプ用ガイドレール27と、クランプ用ガイドレール27に沿って走行可能なクランプ28とを備えている。クランプ28は、自転車29の前輪29aの先端部をクランプした状態で、クランプ用ガイドレール27に沿って走行する。これによって、受け渡し用ガイドレール26上にセットされた自転車29は、受け渡し用ガイドレール26から後述する搬送台用ガイドレール35上に引き込まれる。
【0007】
格納機構24は、図8および図9に示すように、上部軸受30と下部軸受31との間に、駆動機構32により水平旋回可能に垂直に支持された2本の昇降用レール33と、2本の昇降用レール33間に取り付けられ、昇降用レール33に沿って昇降可能な搬送台34とを備えている。
【0008】
搬送台34は、図11に示すように、溝型の搬送台用ガイドレール35と、自転車29の前輪29aの下端部をクランプするクランプ36と、チェーン37等からなる駆動機構38とを備え、クランプ36は、駆動機構38により搬送台34に沿って走行する。このとき、自転車29の前進に伴って前輪29aが上昇し、自転車29の後輪29bのみが搬送台用ガイドレール35に沿って走行する。クランプ36は、搬送台34を走行後、後述するように、所定の格納棚25に沿って走行する。
【0009】
格納棚25は、図12に示すように、溝型の格納棚用ガイドレール39と、自転車29の前輪29aの前端部をクランプするクランプ40とを備えている。搬送台34から格納棚25に沿って走行するクランプ36によって、搬送台34から格納棚25に移載された自転車29の前輪29aの前端部は、クランプ40によりクランプされ、これにより自転車29は、自立して格納棚25に格納される。この後、クランプ36のクランプが解除され、クランプ36は、搬送台34に戻り、次の自転車29に備える。
【0010】
上述した入出庫設備23、格納機構24および格納棚25の操作は、全て自動で行われる。
【0011】
以上のように構成されている従来駐輪装置の動作について、図13の動作説明図を参照しながら説明する。
【0012】
自転車29が受け渡し位置Aの受け渡し用ガイドレール26上にセットされると、入出庫口23aの開閉ドアが開き、自転車29の前輪29aの先端部がクランプ28によりクランプされる。この後、クランプ28がクランプ用ガイドレール27に沿って走行する。このとき、搬送台34は、入出庫設備23の位置に上昇して待機しているので、自転車29は、受け渡し用ガイドレール26から搬送台34の搬送台用ガイドレール35上に引き込まれる。
【0013】
このようにして、自転車29が待機位置Bである搬送台34上に引き込まれると、搬送台34のクランプ36が自転車29の前輪29aの下端部をクランプする。この後、クランプ28のクランプが解除され、搬送台34は、格納機構24の昇降用レール33に沿って移載位置Cである所定の格納棚25まで水平旋回しながら下降する。
【0014】
この後、クランプ36が自転車29と共に、搬送台34から所定の格納棚25に沿って走行する。このようにして、自転車29が所定の格納棚25の格納棚用ガイドレール39上に移載されたら、クランプ40が自転車29の前輪29aの先端部をクランプする。この後、クランプ36のクランプが解除され、クランプ36は、搬送台34に戻り、次の自転車29に備える。
【0015】
このようにして、自転車29は、所定の格納棚25に自立した状態で自動的に格納される。
【0016】
自転車29を出庫させる場合には、上述した入庫の場合と逆の動作が行われ、これにより、所定の自転車29は、格納棚25から自動的に入出庫口23aまで搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平9−328923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述のように、従来駐輪装置によれば、複数台の自転車を限られた空間に効率良く駐輪させることが可能で、しかも、自転車の入出庫処理を自動で行うことができる。また、従来駐輪装置を地下に構築した場合には、地上の土地を占有することがないので、市街地の制限された土地の有効利用を図ることができる。
【0019】
しかしながら、従来駐輪装置には、以下のような問題があった。
【0020】
自転車の出庫は、利用者が入出庫口23a近傍に設置された操作パネルを直接、手で操作することにより行われるが、操作パネルを操作してから初めて格納機構24が作動して、自転車29が所定の格納棚25から入出庫口23aまで搬出される。従って、利用者は、格納機構24の作動から出庫動作が完了するまでの間、待つことになるため、待ち時間が長くなる。また、入出庫口で停止して待つことになるため、待ち時間をより長く感じることになる。
【0021】
また、特に、従来駐輪装置の設置エリアが広い場合には、利用者が駐輪装置の設置エリアに入ってから入出庫口23aまで歩く時間が無駄になって有効に使われない。
【0022】
従って、この発明の目的は、自転車の出庫に際して、入出庫口近傍に設置された操作パネルを直接、手で操作せずに、入出庫口から離れた場所から出庫動作を開始させることによって、利用者の出庫待ち時間を短縮することができ、しかも、利用者が駐輪装置の設置エリアに入ってから入出庫口までに歩く時間の間を有効に使うことができる機械式立体駐輪装置およびその出庫方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0024】
[1] 自転車の入出庫口を備えた入出庫フロアと、複数個の格納棚を備えた格納フロアと、前記格納フロアに対して自転車を搬出入する格納機構とを備えた機械式立体駐輪装置において、自転車に取り付けられた電子情報入出力記録手段と、利用者が携帯し、前記電子情報入出力記録手段と連動する携帯電子情報入出力記録手段と、前記入出庫口から離れた場所に設置された、前記携帯電子情報入出力記録手段の読み取り機とを備えたことを特徴とする機械式立体駐輪装置。
【0025】
[2] 建物躯体と、自転車の入出庫口を備えた入出庫フロアと、前記建物躯体内に水平に放射状に且つ上下多段に設けられた複数個の格納棚を備えた格納フロアと、前記建物躯体内の中央部に垂直に設けられた昇降用レールに沿って昇降可能且つ水平旋回可能な搬送台を有する格納機構とを備えている機械式立体駐輪装置において、自転車に取り付けられた電子情報入出力記録手段と、利用者が携帯し、前記電子情報入出力記録手段と連動する携帯電子情報入出力記録手段と、前記入出庫口から離れた場所に設置された、前記携帯電子情報入出力記録手段の読み取り機とを備えたことを特徴とする機械式立体駐輪装置。
【0026】
[3] 前記[1]または[2]に記載の機械式立体駐輪装置において、前記入出庫フロアと前記格納フロアとの間に、自転車を仮置きするバッファフロアが設けられていることを特徴とする機械式立体駐輪装置。
【0027】
[4] 前記[1]から[3]の何れか1つに記載の機械式立体駐輪装置において、前記電子情報入出力記録手段は、ICタグからなり、前記携帯電子情報入出力記録手段は、ICカードからなることを特徴とする機械式立体駐輪装置。
【0028】
[5] 自転車の入出庫口を備えた入出庫フロアと、複数個の格納棚を備えた格納フロアと、前記格納フロアに対して自転車を搬出入する格納機構とを備えた機械式立体駐輪装置の出庫方法において、自転車に電子情報入出力記録手段を取り付け、前記入出庫口から離れた場所に読み取り機を設置し、利用者が携帯する携帯電子情報入出力記録手段のデータを前記読み取り機により読み取らせて、前記携帯電子情報入出力記録手段と連動する前記電子情報入出力記録手段が取り付けられた自転車の出庫動作を、前記入出庫口から離れた場所から開始させることを特徴とする機械式立体駐輪装置の出庫方法。
【0029】
[6] 建物躯体と、自転車の入出庫口を備えた入出庫フロアと、前記建物躯体内に水平に放射状に且つ上下多段に設けられた複数個の格納棚を備えた格納フロアと、前記建物躯体内の中央部に垂直に設けられた昇降用レールに沿って昇降可能且つ水平旋回可能な搬送台を有する格納機構とを備えている機械式立体駐輪装置の出庫方法において、自転車に電子情報入出力記録手段を取り付け、前記入出庫口から離れた場所に読み取り機を設置し、利用者が携帯する携帯電子情報入出力記録手段のデータを前記読み取り機により読み取らせて、前記携帯電子情報入出力記録手段と連動する前記電子情報入出力記録手段が取り付けられた自転車の出庫動作を、前記入出庫口から離れた場所から開始させることを特徴とする機械式立体駐輪装置の出庫方法。
【0030】
[7] 前記[5]または[6]に記載の機械式立体駐輪装置の出庫方法において、前記入出庫フロアと前記格納フロアとの間に、自転車を仮置きするバッファフロアを設けることを特徴とする、機械式立体駐輪装置の出庫方法。
【0031】
[8] 前記[5]から[7]の何れか1つに記載の機械式立体駐輪装置の出庫方法において、前記電子情報入出力記録手段は、ICタグからなり、前記携帯電子情報入出力記録手段は、ICカードからなることを特徴とする機械式立体駐輪装置の出庫方法。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、利用者が入出庫口に来る以前に出庫動作を開始することによって、利用者の出庫待ち時間を短縮することが可能となる。また、他の発明によれば、出庫フロアと格納フロアとの間に、自転車を仮置きするバッファフロアを設けることによって、利用者の出庫待ち時間をさらに短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の機械式立体駐輪装置を示す部分概略斜視図である。
【図2】この発明の別の機械式立体駐輪装置を示す概略斜視図である。
【図3】この発明の別の機械式立体駐輪装置において、自転車が入出庫口にセットされた状態を示す概略斜視図である。
【図4】この発明の別の機械式立体駐輪装置において、バッファフロアに仮置きされた自転車が自転車受け渡し機構と共に旋回した状態を示す概略斜視図である。
【図5】この発明の別の機械式立体駐輪装置において、格納機構の搬送台が自転車と共に昇降用レールに沿って格納フロアまで下降した状態を示す概略斜視図である。
【図6】この発明の別の機械式立体駐輪装置において、自転車が自転車移載装置によって格納棚に格納された状態を示す概略斜視図である。
【図7】この発明の別の機械式立体駐輪装置による自転車の出庫動作を示す概略斜視図である。
【図8】従来駐輪装置を示す縦断面図である。
【図9】図8のA−A線断面図である。
【図10】従来駐輪装置の入出庫設備を示す断面図である。
【図11】従来駐輪装置の搬送台を示す断面図である。
【図12】従来駐輪装置の格納棚を示す断面図である。
【図13】従来駐輪装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この発明の機械式立体駐輪装置の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、この発明の機械式立体駐輪装置を示す部分概略斜視図である。
【0036】
この発明の機械式立体駐輪装置の本体部分は、上述した従来駐輪装置と同様である。すなわち、図8および図9に示すように、地下に構築された円筒状の建物躯体21と、建物躯体21の地上部の入出庫フロア22に設けられた入出庫設備23と、建物躯体21内の中央部に垂直に且つ水平旋回可能に設けられた格納機構24と、建物躯体21の内壁に水平に放射状に且つ上下多段に設けられた複数個の格納棚25とから構成されている。
【0037】
図1に示すように、この発明の機械式立体駐輪装置は、入出庫フロア22の入出庫口23aから離れた場所に、利用者が携帯する携帯電子情報入出力記録手段17の読み取り機16が設置されている。携帯電子情報入出力記録手段17としては、例えば、ICカードや磁気テープあるいは携帯電話の赤外線を利用したものがあるが、以下、ICカードを例にとって説明する。読み取り機16の設置場所としては、駐輪装置に向かう道路あるいは入出庫フロア22に設けられた街灯18か、または、図1中、一点鎖線で示すように、駐輪装置に向かう道路あるいは入出庫フロア22の途中であっても良い。
【0038】
利用者が携帯するICカード17は、自転車に取り付けられた電子情報入出力記録手段(図示せず)と連動し、読み取り機16により読み取られたICカード17に蓄積されたデータは、読み取り機16から自転車に取り付けられた電子情報入出力記録手段に送られ、電子情報入出力記録手段に蓄積されたデータにしたがって自転車の出庫動作が開始され、自転車は、所定の格納棚25から格納機構24により入出庫口23aまで搬出される。電子情報入出力記録手段としては、例えば、ICタグや磁気テープ式等のものがある。
【0039】
この発明の機械式立体駐輪装置においても、図1に示すように、入出庫口23aの近傍に設置された操作パネル19により手動で入出庫操作をすることができることは勿論である。
【0040】
このように、この発明によれば、自転車の出庫に際して、入出庫口23aの近傍に設置された操作パネル19を直接、手で操作せずに、入出庫口23aから離れた場所から出庫動作を開始させることができるので、利用者が入出庫口23aに着いたときには、自転車は入出庫口23aに搬出されているか、あるいは、搬出中であるので、利用者の出庫待ち時間を短縮することができる。
【0041】
しかも、利用者が駐輪装置の設置エリアに入ってから入出庫口23aまで歩く時間が無駄にならない。特に、設置エリア広い場合には、この効果は大きい。
【0042】
なお、以上は、機械式立体駐輪装置を地下に構築した場合であるが、地上に構築した場合にも適用できる。
【0043】
次に、この発明の別の機械式立体駐輪装置について、図面を参照しながら説明する。
【0044】
図2は、バッファフロアを設けた、この発明の別の機械式立体駐輪装置を示す概略斜視図である。
【0045】
図2において、1は、地下に構築された円筒状の建物躯体である。2は、建物躯体1の地上部に構築された入出庫フロアであり、自転車の入出庫口3が設けられている。入出庫口3は、後述する自転車受け渡し機構12の昇降に伴って自動的に開閉する開閉扉4を有している。
【0046】
この発明の別の機械式立体駐輪装置においても、図1に示すと同様に、入出庫フロア2の入出庫口3から離れた場所にICカード17の読み取り機16が設置されている。
【0047】
5は、入出庫フロア2の下方部の建物躯体1内に上下多段(図2には、1段のみ記載)に構築された格納フロアである。各格納フロア5には、複数個の格納棚6が後述する昇降用レール8を中心として水平に放射状に取り付けられている。格納棚6は、例えば、図12に示すような構造になっている。
【0048】
7は、後述するバッファフロア11と格納フロア5との間で自転車を搬送する格納機構である。格納機構7は、例えば、図8および図9に示すような構造からなり、建物躯体1内の中央部に垂直に設けられた水平旋回可能な2本の昇降用レール8と、2本の昇降用レール8間に沿って昇降可能な搬送台9とを備えている。搬送台9には、例えば、図11に示すようなクランプ36を備えた自転車移載装置10が取り付けられている。自転車移載装置10は、搬送台9と後述する自転車受け渡し機構12との間、および、搬送台9と格納棚6との間で自転車を移載する。
【0049】
11は、入出庫フロア2と格納フロア5との間の建物躯体1内に構築されたバッファフロアである。バッファフロア11には、複数台の自転車受け渡し機構12が昇降用レール8を中心として放射状に取り付けられている。
【0050】
自転車受け渡し機構12は、クランプ等の自転車の自立手段(図示せず)を有する自転車載置台13を備え、自転車載置台13は、昇降手段14により入出庫フロア2とバッファフロア11との間を昇降可能になっている。
【0051】
昇降手段は、後述する図3に示すように、等長の2本のアームをX字状に軸着したリンク部材を複数個、前記アームの端部同士を互いに軸着して連結したものからなるリンク機構からなっているが、シリンダとピストン機構からなるもの等であっても良い。
【0052】
自転車受け渡し機構12は、バッファフロア11に敷かれた環状レール15に沿って昇降用レール8を中心として旋回可能になっている。なお、自転車受け渡し機構12がバッファフロア11に沿って昇降用レール8を中心として旋回する代わりに、バッファフロア11を自転車受け渡し機構12と共に、昇降用レール8を中心として旋回させても良い。
【0053】
次に、以上のように構成されている、この発明の別の機械式立体駐輪装置による自転車の入庫動作を、図面を参照しながら説明する。
【0054】
図3は、この発明の別の機械式立体駐輪装置において、自転車が入出庫口にセットされた状態を示す概略斜視図、図4は、この発明の別の機械式立体駐輪装置において、バッファフロアに仮置きされた自転車が自転車受け渡し機構と共に旋回した状態を示す概略斜視図、図5は、この発明の別の機械式立体駐輪装置において、格納機構の搬送台が自転車と共に昇降用レールに沿って格納フロアまで下降した状態を示す概略斜視図、図6は、この発明の別の機械式立体駐輪装置において、自転車が自転車移載装置によって格納棚に格納された状態を示す概略斜視図である。
【0055】
図3に示すように、自転車が入出庫口3に持ち込まれると、自転車は、入出庫口3の位置に上昇している自転車受け渡し機構12の自転車載置台13上にセットされる。この後、図4に示すように、自転車載置台13が下降して、自転車は、バッファフロア11に仮置きされる。自転車載置台13の下降に伴って入出庫口3は、開閉扉4により閉鎖されるので、利用者が誤って入出庫口3から駐輪装置内に転落する恐れはない。
【0056】
バッファフロア11に仮置きされた自転車は、次の自転車の仮置きに備えて、図4に示すように、自転車受け渡し機構12がバッファフロア11上を旋回することによって、他の位置に移動される。このようにして、自転車は、最大で自転車受け渡し機構12の台数分だけバッファフロア11に仮置きできる。
【0057】
バッファフロア11に仮置きされた自転車を格納フロア5の格納棚6に格納するには、格納機構7の搬送台9を自転車受け渡し機構12の位置に旋回させ、自転車移載装置10のクランプ36(図11参照)を前進させて自転車受け渡し機構12上の自転車の前輪をクランプし、この後、クランプ36を後退させる。
【0058】
このようにして、自転車を搬送台9上に引き込んだら、図5に示すように、搬送台9を自転車と共に昇降用レール8に沿って所定の格納棚6まで水平旋回しながら下降させる。
【0059】
そして、クランプ36を前進させれば、図6に示すように、所定の格納棚6に自転車を格納することができる。
【0060】
自転車の出庫に際しては、上述した入庫動作と逆の動作が行われる。すなわち、図7の、この発明の別の機械式立体駐輪装置による自転車の出庫動作を示す概略斜視図に示すように、格納棚6の格納された自転車は、格納機構7により格納棚6からバッファフロア11の自転車受け渡し機構12に搬送され、この後、自転車受け渡し機構12が入出庫口3の下方まで旋回する。そして、自転車載置台13が入出庫口3まで上昇することによって、自転車の出庫動作が完了する。
【0061】
上述した自転車の入出庫動作に際しての開閉扉4、自転車受け渡し機構12、格納機構7および自転車移載装置10の操作は、全て自動で行われる。
【0062】
このように、入出庫フロア2と格納フロア5との間に、自転車の仮置き用バッファフロア11を設けて、入出庫口3からの自転車の受け渡し機能と、自転車の格納機能とを分離し、これらの機能を独立して行えるようにすることによって、例えば、連続入庫の場合には、自転車受け渡し機構12が入出庫口3と、入出庫口3から近い距離にあるバッファフロア11との間を往復することで自転車を短時間で受け入れることができるので、2台目以降の利用者の待ち時間を大幅に短縮することができる。このとき、バッファフロア11が満車になる前に、格納機構7が自転車受け渡し機構12とは独立して駆動して、バッファフロア11に仮置きされた自転車を格納棚6に順次、格納する。
【0063】
一方、連続出庫の場合には、1台目の自転車出庫動作中に、利用者が予め出庫手続きを行うことで、1台目の自転車が格納棚6からバッファフロア11に移動し、自転車受け渡し機構12により入出庫口3に搬送される間に、格納機構7は、格納棚6とバッファフロア11との間を往復して2台目の自転車をバッファフロア11に仮置きしておける。この結果、2台目の自転車の出庫時には、自転車受け渡し機構12が入出庫口3から近い距離にあるバッファフロア11から順次、自転車を入出庫口3に搬出することになるため、2台目以降の利用者の出庫待ち時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0064】
上述した、この発明の別の機械式立体駐輪装置によれば、ICカード17の読み取りにより、複数台の自転車の出庫動作が連続して行われる場合には、格納棚6からバッファフロア11に複数台の自転車を仮置きし、バッファフロア11から順次、出庫することによって、利用者の出庫待ち時間をさらに短縮することが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1:建物躯体
2:入出庫フロア
3:入出庫口
4:開閉扉
5:格納フロア
6:格納棚
7:格納機構
8:昇降用レール
9:搬送台
10:自転車移載装置
11:バッファフロア
12:自転車受け渡し機構
13:自転車載置台
14:昇降手段
15:環状レール
16:読み取り機
17:携帯電子情報入出力記録手段(ICカード)
18:街灯
19:操作パネル
21:建物躯体
22:入出庫フロア
23:入出庫設備
23a:入出庫口
24:格納機構
25:格納棚
26:受け渡し用ガイドレール
27:クランプ用ガイドレール
28:クランプ
29:自転車
29a:前輪
29b:後輪
30:上部軸受
31:下部軸受
32:駆動機構
33:昇降用レール
34:搬送台
35:搬送台用ガイドレール
36:クランプ
37:チェーン
38:駆動機構
39:格納棚用ガイドレール
40:クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の入出庫口を備えた入出庫フロアと、複数個の格納棚を備えた格納フロアと、前記格納フロアに対して自転車を搬出入する格納機構とを備えた機械式立体駐輪装置において、
自転車に取り付けられた電子情報入出力記録手段と、利用者が携帯し、前記電子情報入出力記録手段と連動する携帯電子情報入出力記録手段と、前記入出庫口から離れた場所に設置された、前記携帯電子情報入出力記録手段の読み取り機とを備えたことを特徴とする機械式立体駐輪装置。
【請求項2】
建物躯体と、自転車の入出庫口を備えた入出庫フロアと、前記建物躯体内に水平に放射状に且つ上下多段に設けられた複数個の格納棚を備えた格納フロアと、前記建物躯体内の中央部に垂直に設けられた昇降用レールに沿って昇降可能且つ水平旋回可能な搬送台を有する格納機構とを備えている機械式立体駐輪装置において、
自転車に取り付けられた電子情報入出力記録手段と、利用者が携帯し、前記電子情報入出力記録手段と連動する携帯電子情報入出力記録手段と、前記入出庫口から離れた場所に設置された、前記携帯電子情報入出力記録手段の読み取り機とを備えたことを特徴とする機械式立体駐輪装置。
【請求項3】
前記入出庫フロアと前記格納フロアとの間に、自転車を仮置きするバッファフロアが設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の機械式立体駐輪装置。
【請求項4】
前記電子情報入出力記録手段は、ICタグからなり、前記携帯電子情報入出力記録手段は、ICカードからなることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の機械式立体駐輪装置。
【請求項5】
自転車の入出庫口を備えた入出庫フロアと、複数個の格納棚を備えた格納フロアと、前記格納フロアに対して自転車を搬出入する格納機構とを備えた機械式立体駐輪装置の出庫方法において、
自転車に電子情報入出力記録手段を取り付け、前記入出庫口から離れた場所に読み取り機を設置し、利用者が携帯する携帯電子情報入出力記録手段のデータを前記読み取り機により読み取らせて、前記携帯電子情報入出力記録手段と連動する前記電子情報入出力記録手段が取り付けられた自転車の出庫動作を、前記入出庫口から離れた場所から開始させることを特徴とする機械式立体駐輪装置の出庫方法。
【請求項6】
建物躯体と、自転車の入出庫口を備えた入出庫フロアと、前記建物躯体内に水平に放射状に且つ上下多段に設けられた複数個の格納棚を備えた格納フロアと、前記建物躯体内の中央部に垂直に設けられた昇降用レールに沿って昇降可能且つ水平旋回可能な搬送台を有する格納機構とを備えている機械式立体駐輪装置の出庫方法において、
自転車に電子情報入出力記録手段を取り付け、前記入出庫口から離れた場所に読み取り機を設置し、利用者が携帯する携帯電子情報入出力記録手段のデータを前記読み取り機により読み取らせて、前記携帯電子情報入出力記録手段と連動する前記電子情報入出力記録手段が取り付けられた自転車の出庫動作を、前記入出庫口から離れた場所から開始させることを特徴とする機械式立体駐輪装置の出庫方法。
【請求項7】
前記入出庫フロアと前記格納フロアとの間に、自転車を仮置きするバッファフロアを設けることを特徴とする、請求項5または6に記載の機械式立体駐輪装置の出庫方法。
【請求項8】
前記電子情報入出力記録手段は、ICタグからなり、前記携帯電子情報入出力記録手段は、ICカードからなることを特徴とする、請求項5から7の何れか1つに記載の機械式立体駐輪装置の出庫方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−226147(P2011−226147A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96777(P2010−96777)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】