機械構造部品とその製造方法
【課題】従来のシリコンを用いた機械構造部品は、その部品の一部分の強度を増しただけであり、その部品を使用する条件が制限されていた。
【解決手段】本発明の機械構造部品は、母体を軽量非金属素材であるシリコン単結晶で作り、その表面層すべてを合金で覆う。シリコン表面を結晶性のない構造に変化させ、シリコン基板が有する特定結晶面方位方向への脆弱性を補完し、部品全体の弾力性と機械強度を増し、弱点である特定結晶面方位による破断面の発生を防止することができる。また、このような部品を正確で再現性がよく効率的に製造することができる。
【解決手段】本発明の機械構造部品は、母体を軽量非金属素材であるシリコン単結晶で作り、その表面層すべてを合金で覆う。シリコン表面を結晶性のない構造に変化させ、シリコン基板が有する特定結晶面方位方向への脆弱性を補完し、部品全体の弾力性と機械強度を増し、弱点である特定結晶面方位による破断面の発生を防止することができる。また、このような部品を正確で再現性がよく効率的に製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板を加工してなる機械構造部品およびその製造方法に関するもので、特に、シリコン半導体基板を加工してなる小型の機械構造部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
精密小型機械を構成する機械構造部品やそれらを組み合わせた構造物は、目的に応じた機械的強度、仕上がり精度、加工性の容易さ、耐腐食性などが要求される。また、機械構造部品のうち、可動する部分の部品は、供給エネルギのロスを抑えるために上述の要求項目の他に軽量化が望まれる。
【0003】
例えば、時計部品に使用される歯車などである。時刻を報知する際にディスプレイに文字を表示するなどする電子式時計が広く知られているが、近年では、指針を駆動させて時刻を報知する機械式または電子式時計がまた注目されている。
このような時計を構成する機械構造部品は、金属やプラスチックなどを加工して部品化する技術に加え、近年では、LSI製造技術を応用し、シリコンなどの半導体基板を加工して部品化する技術が知られるようになってきた。
そのようなLSI製造技術を応用した機械構造部品は、微細で精度が高く、製造再現性のよい部品を実現することができる。
【0004】
LSI製造に使用される一般的な半導体材料であるシリコンウェハは、表面内部に電子デバイスを形成するため、単結晶で純度が高い。
しかしながら、シリコンウェハは、面方位に従い加工され一般に供給されているため、硬度があるものの、結晶性により面方位方向に割れやすいという特徴を有している。このため、硬いがもろい構造体となり、機械構造部品に用いても、用途が限られてしまう。
【0005】
このような欠点があっても、上述のごとく、微細で精度が高く、製造再現性のよい部品を実現することができるため、多くの提案がなされている(特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に示した従来技術について説明する。図21はその構造を説明するために、その主旨を逸脱しない範囲で書き直した概略図である。
図21において、501はシリコン製の歯車、503は回転軸、502は歯車501と回転軸503との接合部である。なお、接合部502と回転軸503とは金属で作られる。
【0007】
特許文献1に示した従来技術は、歯車501をシリコンで形成し、力が加わり磨耗寿命が懸念される回転軸503および接合部502を金属とした構造であり、シリコン金属接合部は割れ防止のため、過熱によりシリコンと金属の合金(共晶)としてある。力の加わる部分を強度が満足されるようにシリコン材を使おうとすると厚いシリコン基板が必要となり、コストアップになることを避けている。なお、歯車501は、精度と加工性を考慮し、半導体装置製造技術を用いている。
【0008】
【特許文献1】特開2002―276771号公報(第5頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示した従来技術では、歯車501は、回転軸503との接合部502をシリコンと金属との合金として強化したものであり、特定な部位のみ強度を
増し、歯車501の刃先や他の形状を持つ機構部品すべての強度要求を満たすものではない。
機械構造部品は、歯車501のように円形で加重のかかりが回転力であるようなものだけでなく、様々な形があり、加わる力の方向もその形状も様々な形が考えられる。また、そのような部品を組み合わせて構造体を製造する際に、機械構造部品自体の強度が確保されていないと組み立て途中での破壊が発生し、歩留まりを低下させてしまう。
【0010】
したがって、機械構造部品は、その部品の一部分の強度を増しただけでは、その部品を使用する条件が制限されてしまうという問題がある。また、歩留まり低下による製造工程の長期化およびコストアップなどの問題もある。
【0011】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、軽量で必要な機械強度を持つ微小な機械構造部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の機械構造部品は、以下のような構成を採用する。
【0013】
シリコンを主成分とする機械構造部品であって、この機械構造部品は、単結晶シリコンで構成し、その表面全体を金属とシリコンとの合金膜で覆うことを特徴とする。
【0014】
シリコンを主成分とする機械構造部品であって、この機械構造部品は、単結晶シリコンで構成し、その表面全体を酸化膜と、酸化膜と金属との合金層と、の積層膜で覆うことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の機械構造部品は、以下のような製造方法を採用する。
【0016】
単結晶のシリコンを所定の形状に加工する工程と、シリコンの表面を、スパッタリング,蒸着法,めっき法のいずれかを用いて金属の膜で覆う工程と、共晶反応を起こす温度以上まで加熱することにより金属とシリコンとの共晶合金層を形成する工程と、共晶合金層の表面の金属のみエッチングして除去し、シリコンの表面を金属とシリコンとの合金構造とする工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
単結晶のシリコンを所定の形状に加工する工程と、シリコンの表面を酸化してシリコン酸化膜を形成する工程と、シリコン酸化膜の表面を、スパッタリング,蒸着法,めっき法のいずれかを用いて金属の膜で覆う工程と、共晶反応を起こす温度以上まで加熱することにより金属とシリコン酸化膜との共晶合金層を形成する工程と、共晶合金層の表面の金属のみエッチングして除去し、シリコン酸化膜の表面を金属とシリコン酸化膜との合金構造とする工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の機械構造部品は、母体を軽量非金属素材であるシリコン単結晶で作り、その表面層すべてを合金で覆う。このため、シリコン表面の構造を結晶性のない構造に変化させ、シリコン基板が有する特定結晶面方位方向への脆弱性を補完し、部品全体の弾力性と機械強度を増し、弱点である特定結晶面方位による破断面の発生を防止することができる。
また、軽量で表面層が強化された丈夫な部品を作ることができるため、他部品との接合部強度が強化され、自重が少なく、エネルギのロスの少ない可動機構部品を実現することができる。
【0019】
また、本発明の機械構造部品の製造方法によれば、半導体デバイスの製造技術を使用す
ることで、正確で再現性がよく効率的に部品製造をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の機械構造部品は、部品形状に形成したシリコン単結晶の表面を合金化し、表面のみを改質させ部品全体の弾力性と機械強度とを強化する。
単結晶シリコンの表面に金属膜を、スパッタリング,蒸着法,めっき法になどの方法で付け、高温にて加熱すると金属とシリコンは反応し共晶が生じる。
この共晶・合金化は、金属とシリコンとの接触面から始まり、互いの組成原子とは異なる性質を示す合金層を作る。
【0021】
この合金層の性質は、片方がシリコン表面あるいは薄い酸化膜であり、その上に生成した金属膜によって決まる。一般的に、LSIをはじめとする半導体デバイスを製造する工程で使用される金属膜は、AL,Ti,W,Au,Cuの金属膜や、ALSi,AL−Si−Cuなどがある。
Siと融点を比較すると、LSIの製造プロセス上、融点の高い金属が多いが、Siの融点1400℃に比較すると、AL系,Au系に限られるが、金属膜自体に合金を選ぶと個別の金属固有の融点より低い融点を持つので、様々な金属の組み合わせができることになる。
合金化した部分は、機械的強度の改善(引っ張り強度、硬さ)、耐食性の向上、磁性や熱膨張率の制御、融点の低下などの効果が得られる。
【0022】
以下、本発明の機械構造部品は、単結晶シリコン基板を用いてなる時計用の小型部品を例にして説明する。
【0023】
[構造の説明1:図1]
まず、本発明の機械構造部品の構造について図を用いて詳細に説明する。図1は円盤型微小部品の外観を説明する図である。図1(a)は、円盤型微小部品を上面から見た平面図である。図1(b)は、図1(a)に示すA−A´断面で見たときの断面図である。図1(c)は円盤型微小部品の断面も表す斜視図である。
【0024】
図1において、100は円盤型微小部品、101はシリコン単結晶の部分である。これを囲む102は共晶合金層である。103は貫通孔である。共晶合金層102は、例えば、アルミニウムとシリコンとの共晶合金層である。貫通孔103は、円盤型微小部品の略中央に設けてあり、その内壁も共晶合金層102で覆われている。
円盤型微小部品100は、特に限定しないが、時計を構成する所定の回転軸に貫通孔103を嵌合してなる歯車として用いることができる。
【0025】
もちろん、円盤型微小部品100の母体であるシリコン単結晶101は、精密加工ができる非金属であれば、単結晶シリコンだけでなく多結晶シリコン、非晶質シリコンなどを用いることができる。
【0026】
円盤型微小部品100は、その全面を共晶合金層102で覆われており、全体をシリコン単結晶基板で構成する場合に比べて、機械的強度が向上している。このため、シリコン単結晶で構成するよりもその厚さを薄くすることができ、軽量、小体積とすることができる。
【0027】
[製造方法の説明1:図2〜図10]
次に、本発明の機械構造部品の製造方法について図を用いて詳細に説明する。機械構造部品としては、リング形状を有する微小部品を例にして説明する。このような部品は、時計を構成する所定の回転軸に嵌合してなるスリーブ部材や、歯車や他の部材との間に挿入
するスペーサとして用いるものである。
図2(a)は、リング状微小部品を上面から見た平面図である。図2(b)は、図2(a)に示すB−B´断面で見たときの断面図である。図3〜図10も、図2(b)と同様な断面図である。
【0028】
図2(a)に示すように、単結晶のシリコン基板201の所定の部分にリング状微小部品の形状を規定するための溝202a,202bを設ける。
シリコン基板201は、精密加工ができるように鏡面に研磨されており、シリコン基板201の上部にホトリソグラフィとシリコンのエッチング技術とを用いて、2つの溝202a,202bを形成する。溝202aの周囲に離間して溝202bを設ける。
溝202bに囲まれた部分がリング状微小部品となり、溝202aがリング状微小部品の中心部分、例えば、他の部材との貫通孔となる。
【0029】
なお、この溝202a,202bの深さは、形成するリング状微小部品の仕様により異なる。例えば、その部品の厚さに応じて変更されるものである。もちろん、貫通溝ではなく、シリコン基板201の底面側までは貫通させない。シリコン基板201の強度が保たれるように溝202a,202bの溝底部を残しておく。
【0030】
図3に示すように、シリコン基板201の表面に金属膜205を形成する。なお、シリコン基板201の表面には、薄い自然酸化が生成されるが、ここでは省略している。
金属膜205は、スパッタリング,蒸着法,めっき法などの知られている半導体デバイスの製造方法を用いて形成することができる。金属膜205は、溝202a,202bの溝底部や内壁にも形成している。
金属膜205は、例えば、アルミニウムを用いることができる。もちろん、単一の金属だけでなく、数種の金属を積層した膜や、あらかじめアルミニウムにシリコンや銅などの他元素を付加した金属膜でもよく、シリコンに対する共晶、合金反応を起こす温度が、シリコン単結晶基板の変形を起こすことのない範囲で選択できる。
【0031】
次に、図4に示ように、シリコン基板201上の金属膜205の表面に、シリコン酸化膜204を形成する。
シリコン酸化膜204は、溝202a,202bも埋めてしまうように、例えば、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いて形成する。
このシリコン酸化膜204は、後の工程で、シリコン基板201の形状保持手段となるので、できだけ厚く生成する方がよい。
【0032】
次に、図5に示すように、シリコン基板201の裏面を削り、溝202a,202bの溝底部をも除去する。
シリコン基板201の下面(溝202a,202bを設けていない面)を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法やウェットまたはドライエッチング技術を用いてシリコンエッチングする。もちろん、双方を組み合わせてシリコンを除去してもよい。シリコン基板201の下面を削る量は、溝202a,202bの溝底部に達し、この溝が貫通孔になるまでとする。
CMP法とウェットまたはドライエッチング技術を組み合わせる方法では、先にCMP法で荒く厚く削り、溝202a,202bの内壁の金属膜205を検出してエッチングストップをかけ、精度よく削り量をコントロールすることができる。
【0033】
シリコン基板201の上面のシリコン酸化膜204は、シリコン基板201の形状保持手段となっているので、シリコン基板201の下面のシリコンの除去が溝202a,202bの溝底部に達しても、シリコン基板201がばらばらになることはない。
【0034】
次に、図6に示すように、シリコン基板201の下面に金属膜207を形成する。
金属膜207は、スパッタリング,蒸着法,めっき法などの知られている半導体デバイスの製造方法を用いて形成することができる。金属膜205は、金属膜205と同じ金属を設けるが、応力など考慮してその膜厚を変えてもよい。もちろん、製造するリング状微小部品の仕様に応じて、金属種そのものを変えてもよい。
金属膜207の形成にあっては、シリコン基板201の上下を反転させて、成膜するなどする。
【0035】
次に、図7に示すように、シリコンと金属との共晶合金層206を形成する。
共晶合金層206は、金属膜205,金属膜207とシリコン基板201とを共晶・合金化して得るものである。このため、シリコン基板201を加熱する。
加熱温度は、シリコン基板201が形状精度を失うような高温とはせず、不活性ガス中で1000℃未満とする。金属膜205,金属膜207とシリコン基板201とが共晶する温度以上に加熱すると、両者の境界部に共晶合金層206が形成される。
【0036】
次に、図8に示すようにシリコン酸化膜204を除去する。
シリコン酸化膜204は、ドライエッチングで選択的にエッチングする。すでに説明したように、シリコン基板201の上面のシリコン酸化膜204は、シリコン基板201の形状保持手段となっているので、シリコン酸化膜204の除去により、リング状微小部品は、この段階でばらばらに切り離された状態になる(図9)。
このような状態でも、シリコン基板201が露出している全ての面は、金属膜205または金属膜207で覆われ、これら金属膜とシリコン基板201との境界部には、共晶合金層206が形成されているので、ばらばらになっても強度は高く、破損することはない。
【0037】
次に、図10に示すように金属膜205,金属膜207を除去する。
リング状微小部品の表面を覆う金属膜205,金属膜207をエッチングにて除去する。これら金属膜は、アルミニウムであればリン酸を用いてエッチングすることができる。
【0038】
以上、説明した製造工程によって、リング状微小部品が完成する。説明した製造方法は、もちろん一例であり、さまざまに変更を施すことができる。
例えば、常圧CVD法を用いてシリコン酸化膜204を形成するとき、溝202a,202bをすべて埋めてしまわなくてもよい。その場合、シリコン酸化膜204の形成前に、溝202a,202bにSOG(Spin on Glass)膜を塗布形成して埋めてしまうのである。このようにすれば、溝の埋め込みをよくし、平坦なCVD表面を得ることができれば良好な保持材としての役割を得る効果がある。
【0039】
[構造の説明2:図11]
本発明の機械構造部品の構造として、その表面をシリコン酸化膜と金属の合金とした部品について、図を用いて詳細に説明する。図11は円盤型微小部品の外観を説明する図である。図11(a)は、円盤型微小部品を上面から見た平面図である。図11(b)は、図11(a)に示すC−C´断面で見たときの断面図である。図11(c)は円盤型微小部品の断面も表す斜視図である。
【0040】
図11において、300は円盤型微小部品、301はシリコン単結晶の部分である。これを囲む304はシリコン酸化膜であり、310は共晶合金層である。303は貫通孔である。共晶合金層310は、例えば、アルミニウムとシリコン酸化膜との共晶合金層である。貫通孔303は、円盤型微小部品の略中央に設けてあり、その内壁も共晶合金層310で覆われている。
円盤型微小部品300は、特に限定しないが、時計を構成する所定の回転軸に貫通孔303を嵌合してなる歯車として用いることができる。
【0041】
もちろん、円盤型微小部品300の母体であるシリコン単結晶301は、精密加工ができる非金属であれば、単結晶シリコンだけでなく多結晶シリコン、非晶質シリコンなどを用いることができる。
【0042】
円盤型微小部品300は、その全面を共晶合金層310で覆われており、全体をシリコン単結晶基板で構成する場合に比べて、機械的強度が向上している。このため、シリコン単結晶で構成するよりもその厚さを薄くすることができ、軽量、小体積とすることができる。
【0043】
[製造方法の説明2:図12〜図20]
次に、本発明の機械構造部品の構造として、表面をシリコン酸化膜と金属との合金とした部品の製造方法について、図を用いて詳細に説明する。機械構造部品としては、リング形状を有する微小部品を例にして説明する。このような部品は、時計を構成する所定の回転軸に嵌合してなるスリーブ部材や、歯車や他の部材との間に挿入するスペーサとして用いるものである。
【0044】
まず、シリコン基板の表面にシリコン酸化膜を形成する。
図12はシリコン基板の一部を示した断面図である。図12に示すように、シリコン基板401を800〜1000℃の酸素を含む雰囲気中で熱酸化し、シリコン酸化膜404を表面に形成する。
次に、図13に示すように高融点金属膜405と酸化膜406を形成する。
シリコン基板401の裏面にチタンなどの高融点金属膜405をスパッタ法などで形成し、その上に常圧CVD法あるいはPVD法にて酸化膜306を成膜する。
【0045】
図14(a)は、リング状微小部品を上面から見た平面図である。図14(b)は、図14(a)に示すD−D´断面で見たときの断面図である。図15〜図20も、図14(b)と同様な断面図である。
図14に示すように、すでに説明した製造工程を経ているためシリコン基板401の表面には、シリコン酸化膜404と高融点金属膜405と酸化膜406とが形成してあるが、そのシリコン基板401の所定の部分に、リング状微小部品の形状を規定するための溝407a,407bを設ける。
シリコン基板401上のシリコン酸化膜404の上部からホトリソグラフィとシリコン酸化膜エッチング技術、シリコンのエッチング技術を用いて、溝407a,407bを形成する。
すでに説明した例と同じく、溝407bに囲まれた部分がリング状微小部品となり、溝407aがリング状微小部品の中心部分、例えば、他の部材との貫通孔となる。
【0046】
なお、この溝407a,407bは、シリコン基板401の裏面に設けたシリコン酸化膜404までエッチングする。このとき、高融点金属膜405はエッチングストッパとなる。
このように、高融点金属膜405を設けることにより、下面のでシリコン基板401がエッチングされて薄くなることを防ぐ。
高融点金属膜405とそれに重ねて設ける酸化膜406は、シリコン基板401の形状保持手段となり、製造工程中のシリコン基板401の強度が保たれる。
【0047】
次に、図15に示すように、溝407a,407bの内壁にシリコン酸化膜を形成する。
酸素雰囲気中で酸化すると、シリコン基板401の溝407a,407bの内壁にシリコン酸化膜が形成される。このシリコン酸化膜は、すでに形成してあるシリコン酸化膜404と一体となり、表面を覆う。なお、酸化は1000℃以下とし、シリコン基板401の基板構造が変形しない温度で行う。
【0048】
次に、図16に示すように、シリコン基板401の表面に金属膜408を形成する。
金属膜408は、スパッタリング,蒸着法,めっき法などの知られている半導体デバイスの製造方法を用いて形成することができる。金属膜408は、溝407a,407bの溝底部や内壁にも形成している。
金属膜408は、例えば、アルミニウムを用いることができる。もちろん、単一の金属だけでなく、数種の金属を積層した膜や、あらかじめアルミニウムにシリコンや銅などの他元素を付加した金属膜でもよく、シリコンに対する共晶、合金反応を起こす温度が、シリコン単結晶基板の変形を起こすことのない範囲で選択できる。
【0049】
次に、図17に示ように、シリコン基板401上の金属膜408の表面に、シリコン酸化膜409を形成する。
シリコン酸化膜409は、溝407a,407bも埋めてしまうように、例えば、常圧CVD法やPVD法を用いて形成する。
このシリコン酸化膜409は、後の工程で、シリコン基板401の形状保持手段となるので、できだけ厚く生成する方がよい。
【0050】
次に、図18に示すように、シリコン基板401の下面に金属膜411を形成する。
まず、シリコン基板401の下面に設けてある高融点金属膜405と酸化膜406とをドライエッチングで除去し、その後、金属膜411を、スパッタリング,蒸着法,めっき法などの知られている半導体デバイスの製造方法を用いて形成する。金属膜411は、金属膜408と同じ金属を設けるが、応力など考慮してその膜厚を変えてもよい。もちろん、製造するリング状微小部品の仕様に応じ、金属種そのものを変えてもよい。なお、金属膜411の形成にあっては、シリコン基板401の上下を反転させて、成膜するなどする。
【0051】
次に、図19に示すように、シリコンと金属との共晶合金層410を形成する。
共晶合金層410は、金属膜408,金属膜411とシリコン酸化膜404とを共晶・合金化して得るものである。このため、シリコン基板401を加熱する。
加熱温度は、シリコン基板401が形状精度を失うような高温とはせず、不活性ガス中で1000℃未満とする。金属膜408,金属膜411とシリコン酸化膜404とが共晶する温度以上に加熱すると、両者の境界部に共晶合金層410が形成される。
次に、すでに説明した技術を用いて、シリコン酸化膜409,金属膜408,金属膜411を除去することで、図20に示すようになる。
【0052】
以上、説明した製造工程によって、リング状微小部品が完成する。説明した製造方法は、もちろん一例であり、さまざまに変更を施すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の機械構造部品は、軽量でありながら適度の機械的強度を持つ。そして、その製造方法によれば、そのような機械構造部品を正確で再現性がよく効率的に製造することができる。このため、腕時計などの特に小型軽量であり生産性が要求される部品に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品を説明する図である。
【図2】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、溝を形成する様子を説明する平面図および断面図である。
【図3】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン基板の上面に金属膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図4】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン酸化膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図5】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン基板の下面を除去する様子を説明する断面図である。
【図6】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン基板の下面に金属膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図7】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、共晶合金層を形成する様子を説明する断面図である。
【図8】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン酸化膜を除去する様子を説明する断面図である。
【図9】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、部品として分離した様子を説明する断面図である。
【図10】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、金属膜を除去する様子を説明する断面図である。
【図11】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品を説明する図である。
【図12】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン基板の全面にシリコン酸化膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図13】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、裏面に高融点金属とシリコン酸化膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図14】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、溝を形成する様子を説明する平面図および断面図である。
【図15】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、溝の側壁にもシリコン酸化膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図16】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、表面のシリコン酸化膜上に金属膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図17】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、表面の金属膜上にシリコン酸化膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図18】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、裏面側の高融点金属とシリコン酸化膜とを除去し、金属膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図19】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン酸化膜と金属との共晶合金層を形成した様子を説明する断面図である。
【図20】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、部品として分離した様子を説明する断面図である。
【図21】特許文献1に示した従来技術を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0055】
100,300 円盤型微小部品
101,301 シリコン単結晶
103,303 貫通孔
102,310 共晶合金層
304 シリコン酸化膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板を加工してなる機械構造部品およびその製造方法に関するもので、特に、シリコン半導体基板を加工してなる小型の機械構造部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
精密小型機械を構成する機械構造部品やそれらを組み合わせた構造物は、目的に応じた機械的強度、仕上がり精度、加工性の容易さ、耐腐食性などが要求される。また、機械構造部品のうち、可動する部分の部品は、供給エネルギのロスを抑えるために上述の要求項目の他に軽量化が望まれる。
【0003】
例えば、時計部品に使用される歯車などである。時刻を報知する際にディスプレイに文字を表示するなどする電子式時計が広く知られているが、近年では、指針を駆動させて時刻を報知する機械式または電子式時計がまた注目されている。
このような時計を構成する機械構造部品は、金属やプラスチックなどを加工して部品化する技術に加え、近年では、LSI製造技術を応用し、シリコンなどの半導体基板を加工して部品化する技術が知られるようになってきた。
そのようなLSI製造技術を応用した機械構造部品は、微細で精度が高く、製造再現性のよい部品を実現することができる。
【0004】
LSI製造に使用される一般的な半導体材料であるシリコンウェハは、表面内部に電子デバイスを形成するため、単結晶で純度が高い。
しかしながら、シリコンウェハは、面方位に従い加工され一般に供給されているため、硬度があるものの、結晶性により面方位方向に割れやすいという特徴を有している。このため、硬いがもろい構造体となり、機械構造部品に用いても、用途が限られてしまう。
【0005】
このような欠点があっても、上述のごとく、微細で精度が高く、製造再現性のよい部品を実現することができるため、多くの提案がなされている(特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に示した従来技術について説明する。図21はその構造を説明するために、その主旨を逸脱しない範囲で書き直した概略図である。
図21において、501はシリコン製の歯車、503は回転軸、502は歯車501と回転軸503との接合部である。なお、接合部502と回転軸503とは金属で作られる。
【0007】
特許文献1に示した従来技術は、歯車501をシリコンで形成し、力が加わり磨耗寿命が懸念される回転軸503および接合部502を金属とした構造であり、シリコン金属接合部は割れ防止のため、過熱によりシリコンと金属の合金(共晶)としてある。力の加わる部分を強度が満足されるようにシリコン材を使おうとすると厚いシリコン基板が必要となり、コストアップになることを避けている。なお、歯車501は、精度と加工性を考慮し、半導体装置製造技術を用いている。
【0008】
【特許文献1】特開2002―276771号公報(第5頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示した従来技術では、歯車501は、回転軸503との接合部502をシリコンと金属との合金として強化したものであり、特定な部位のみ強度を
増し、歯車501の刃先や他の形状を持つ機構部品すべての強度要求を満たすものではない。
機械構造部品は、歯車501のように円形で加重のかかりが回転力であるようなものだけでなく、様々な形があり、加わる力の方向もその形状も様々な形が考えられる。また、そのような部品を組み合わせて構造体を製造する際に、機械構造部品自体の強度が確保されていないと組み立て途中での破壊が発生し、歩留まりを低下させてしまう。
【0010】
したがって、機械構造部品は、その部品の一部分の強度を増しただけでは、その部品を使用する条件が制限されてしまうという問題がある。また、歩留まり低下による製造工程の長期化およびコストアップなどの問題もある。
【0011】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、軽量で必要な機械強度を持つ微小な機械構造部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の機械構造部品は、以下のような構成を採用する。
【0013】
シリコンを主成分とする機械構造部品であって、この機械構造部品は、単結晶シリコンで構成し、その表面全体を金属とシリコンとの合金膜で覆うことを特徴とする。
【0014】
シリコンを主成分とする機械構造部品であって、この機械構造部品は、単結晶シリコンで構成し、その表面全体を酸化膜と、酸化膜と金属との合金層と、の積層膜で覆うことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の機械構造部品は、以下のような製造方法を採用する。
【0016】
単結晶のシリコンを所定の形状に加工する工程と、シリコンの表面を、スパッタリング,蒸着法,めっき法のいずれかを用いて金属の膜で覆う工程と、共晶反応を起こす温度以上まで加熱することにより金属とシリコンとの共晶合金層を形成する工程と、共晶合金層の表面の金属のみエッチングして除去し、シリコンの表面を金属とシリコンとの合金構造とする工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
単結晶のシリコンを所定の形状に加工する工程と、シリコンの表面を酸化してシリコン酸化膜を形成する工程と、シリコン酸化膜の表面を、スパッタリング,蒸着法,めっき法のいずれかを用いて金属の膜で覆う工程と、共晶反応を起こす温度以上まで加熱することにより金属とシリコン酸化膜との共晶合金層を形成する工程と、共晶合金層の表面の金属のみエッチングして除去し、シリコン酸化膜の表面を金属とシリコン酸化膜との合金構造とする工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の機械構造部品は、母体を軽量非金属素材であるシリコン単結晶で作り、その表面層すべてを合金で覆う。このため、シリコン表面の構造を結晶性のない構造に変化させ、シリコン基板が有する特定結晶面方位方向への脆弱性を補完し、部品全体の弾力性と機械強度を増し、弱点である特定結晶面方位による破断面の発生を防止することができる。
また、軽量で表面層が強化された丈夫な部品を作ることができるため、他部品との接合部強度が強化され、自重が少なく、エネルギのロスの少ない可動機構部品を実現することができる。
【0019】
また、本発明の機械構造部品の製造方法によれば、半導体デバイスの製造技術を使用す
ることで、正確で再現性がよく効率的に部品製造をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の機械構造部品は、部品形状に形成したシリコン単結晶の表面を合金化し、表面のみを改質させ部品全体の弾力性と機械強度とを強化する。
単結晶シリコンの表面に金属膜を、スパッタリング,蒸着法,めっき法になどの方法で付け、高温にて加熱すると金属とシリコンは反応し共晶が生じる。
この共晶・合金化は、金属とシリコンとの接触面から始まり、互いの組成原子とは異なる性質を示す合金層を作る。
【0021】
この合金層の性質は、片方がシリコン表面あるいは薄い酸化膜であり、その上に生成した金属膜によって決まる。一般的に、LSIをはじめとする半導体デバイスを製造する工程で使用される金属膜は、AL,Ti,W,Au,Cuの金属膜や、ALSi,AL−Si−Cuなどがある。
Siと融点を比較すると、LSIの製造プロセス上、融点の高い金属が多いが、Siの融点1400℃に比較すると、AL系,Au系に限られるが、金属膜自体に合金を選ぶと個別の金属固有の融点より低い融点を持つので、様々な金属の組み合わせができることになる。
合金化した部分は、機械的強度の改善(引っ張り強度、硬さ)、耐食性の向上、磁性や熱膨張率の制御、融点の低下などの効果が得られる。
【0022】
以下、本発明の機械構造部品は、単結晶シリコン基板を用いてなる時計用の小型部品を例にして説明する。
【0023】
[構造の説明1:図1]
まず、本発明の機械構造部品の構造について図を用いて詳細に説明する。図1は円盤型微小部品の外観を説明する図である。図1(a)は、円盤型微小部品を上面から見た平面図である。図1(b)は、図1(a)に示すA−A´断面で見たときの断面図である。図1(c)は円盤型微小部品の断面も表す斜視図である。
【0024】
図1において、100は円盤型微小部品、101はシリコン単結晶の部分である。これを囲む102は共晶合金層である。103は貫通孔である。共晶合金層102は、例えば、アルミニウムとシリコンとの共晶合金層である。貫通孔103は、円盤型微小部品の略中央に設けてあり、その内壁も共晶合金層102で覆われている。
円盤型微小部品100は、特に限定しないが、時計を構成する所定の回転軸に貫通孔103を嵌合してなる歯車として用いることができる。
【0025】
もちろん、円盤型微小部品100の母体であるシリコン単結晶101は、精密加工ができる非金属であれば、単結晶シリコンだけでなく多結晶シリコン、非晶質シリコンなどを用いることができる。
【0026】
円盤型微小部品100は、その全面を共晶合金層102で覆われており、全体をシリコン単結晶基板で構成する場合に比べて、機械的強度が向上している。このため、シリコン単結晶で構成するよりもその厚さを薄くすることができ、軽量、小体積とすることができる。
【0027】
[製造方法の説明1:図2〜図10]
次に、本発明の機械構造部品の製造方法について図を用いて詳細に説明する。機械構造部品としては、リング形状を有する微小部品を例にして説明する。このような部品は、時計を構成する所定の回転軸に嵌合してなるスリーブ部材や、歯車や他の部材との間に挿入
するスペーサとして用いるものである。
図2(a)は、リング状微小部品を上面から見た平面図である。図2(b)は、図2(a)に示すB−B´断面で見たときの断面図である。図3〜図10も、図2(b)と同様な断面図である。
【0028】
図2(a)に示すように、単結晶のシリコン基板201の所定の部分にリング状微小部品の形状を規定するための溝202a,202bを設ける。
シリコン基板201は、精密加工ができるように鏡面に研磨されており、シリコン基板201の上部にホトリソグラフィとシリコンのエッチング技術とを用いて、2つの溝202a,202bを形成する。溝202aの周囲に離間して溝202bを設ける。
溝202bに囲まれた部分がリング状微小部品となり、溝202aがリング状微小部品の中心部分、例えば、他の部材との貫通孔となる。
【0029】
なお、この溝202a,202bの深さは、形成するリング状微小部品の仕様により異なる。例えば、その部品の厚さに応じて変更されるものである。もちろん、貫通溝ではなく、シリコン基板201の底面側までは貫通させない。シリコン基板201の強度が保たれるように溝202a,202bの溝底部を残しておく。
【0030】
図3に示すように、シリコン基板201の表面に金属膜205を形成する。なお、シリコン基板201の表面には、薄い自然酸化が生成されるが、ここでは省略している。
金属膜205は、スパッタリング,蒸着法,めっき法などの知られている半導体デバイスの製造方法を用いて形成することができる。金属膜205は、溝202a,202bの溝底部や内壁にも形成している。
金属膜205は、例えば、アルミニウムを用いることができる。もちろん、単一の金属だけでなく、数種の金属を積層した膜や、あらかじめアルミニウムにシリコンや銅などの他元素を付加した金属膜でもよく、シリコンに対する共晶、合金反応を起こす温度が、シリコン単結晶基板の変形を起こすことのない範囲で選択できる。
【0031】
次に、図4に示ように、シリコン基板201上の金属膜205の表面に、シリコン酸化膜204を形成する。
シリコン酸化膜204は、溝202a,202bも埋めてしまうように、例えば、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いて形成する。
このシリコン酸化膜204は、後の工程で、シリコン基板201の形状保持手段となるので、できだけ厚く生成する方がよい。
【0032】
次に、図5に示すように、シリコン基板201の裏面を削り、溝202a,202bの溝底部をも除去する。
シリコン基板201の下面(溝202a,202bを設けていない面)を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法やウェットまたはドライエッチング技術を用いてシリコンエッチングする。もちろん、双方を組み合わせてシリコンを除去してもよい。シリコン基板201の下面を削る量は、溝202a,202bの溝底部に達し、この溝が貫通孔になるまでとする。
CMP法とウェットまたはドライエッチング技術を組み合わせる方法では、先にCMP法で荒く厚く削り、溝202a,202bの内壁の金属膜205を検出してエッチングストップをかけ、精度よく削り量をコントロールすることができる。
【0033】
シリコン基板201の上面のシリコン酸化膜204は、シリコン基板201の形状保持手段となっているので、シリコン基板201の下面のシリコンの除去が溝202a,202bの溝底部に達しても、シリコン基板201がばらばらになることはない。
【0034】
次に、図6に示すように、シリコン基板201の下面に金属膜207を形成する。
金属膜207は、スパッタリング,蒸着法,めっき法などの知られている半導体デバイスの製造方法を用いて形成することができる。金属膜205は、金属膜205と同じ金属を設けるが、応力など考慮してその膜厚を変えてもよい。もちろん、製造するリング状微小部品の仕様に応じて、金属種そのものを変えてもよい。
金属膜207の形成にあっては、シリコン基板201の上下を反転させて、成膜するなどする。
【0035】
次に、図7に示すように、シリコンと金属との共晶合金層206を形成する。
共晶合金層206は、金属膜205,金属膜207とシリコン基板201とを共晶・合金化して得るものである。このため、シリコン基板201を加熱する。
加熱温度は、シリコン基板201が形状精度を失うような高温とはせず、不活性ガス中で1000℃未満とする。金属膜205,金属膜207とシリコン基板201とが共晶する温度以上に加熱すると、両者の境界部に共晶合金層206が形成される。
【0036】
次に、図8に示すようにシリコン酸化膜204を除去する。
シリコン酸化膜204は、ドライエッチングで選択的にエッチングする。すでに説明したように、シリコン基板201の上面のシリコン酸化膜204は、シリコン基板201の形状保持手段となっているので、シリコン酸化膜204の除去により、リング状微小部品は、この段階でばらばらに切り離された状態になる(図9)。
このような状態でも、シリコン基板201が露出している全ての面は、金属膜205または金属膜207で覆われ、これら金属膜とシリコン基板201との境界部には、共晶合金層206が形成されているので、ばらばらになっても強度は高く、破損することはない。
【0037】
次に、図10に示すように金属膜205,金属膜207を除去する。
リング状微小部品の表面を覆う金属膜205,金属膜207をエッチングにて除去する。これら金属膜は、アルミニウムであればリン酸を用いてエッチングすることができる。
【0038】
以上、説明した製造工程によって、リング状微小部品が完成する。説明した製造方法は、もちろん一例であり、さまざまに変更を施すことができる。
例えば、常圧CVD法を用いてシリコン酸化膜204を形成するとき、溝202a,202bをすべて埋めてしまわなくてもよい。その場合、シリコン酸化膜204の形成前に、溝202a,202bにSOG(Spin on Glass)膜を塗布形成して埋めてしまうのである。このようにすれば、溝の埋め込みをよくし、平坦なCVD表面を得ることができれば良好な保持材としての役割を得る効果がある。
【0039】
[構造の説明2:図11]
本発明の機械構造部品の構造として、その表面をシリコン酸化膜と金属の合金とした部品について、図を用いて詳細に説明する。図11は円盤型微小部品の外観を説明する図である。図11(a)は、円盤型微小部品を上面から見た平面図である。図11(b)は、図11(a)に示すC−C´断面で見たときの断面図である。図11(c)は円盤型微小部品の断面も表す斜視図である。
【0040】
図11において、300は円盤型微小部品、301はシリコン単結晶の部分である。これを囲む304はシリコン酸化膜であり、310は共晶合金層である。303は貫通孔である。共晶合金層310は、例えば、アルミニウムとシリコン酸化膜との共晶合金層である。貫通孔303は、円盤型微小部品の略中央に設けてあり、その内壁も共晶合金層310で覆われている。
円盤型微小部品300は、特に限定しないが、時計を構成する所定の回転軸に貫通孔303を嵌合してなる歯車として用いることができる。
【0041】
もちろん、円盤型微小部品300の母体であるシリコン単結晶301は、精密加工ができる非金属であれば、単結晶シリコンだけでなく多結晶シリコン、非晶質シリコンなどを用いることができる。
【0042】
円盤型微小部品300は、その全面を共晶合金層310で覆われており、全体をシリコン単結晶基板で構成する場合に比べて、機械的強度が向上している。このため、シリコン単結晶で構成するよりもその厚さを薄くすることができ、軽量、小体積とすることができる。
【0043】
[製造方法の説明2:図12〜図20]
次に、本発明の機械構造部品の構造として、表面をシリコン酸化膜と金属との合金とした部品の製造方法について、図を用いて詳細に説明する。機械構造部品としては、リング形状を有する微小部品を例にして説明する。このような部品は、時計を構成する所定の回転軸に嵌合してなるスリーブ部材や、歯車や他の部材との間に挿入するスペーサとして用いるものである。
【0044】
まず、シリコン基板の表面にシリコン酸化膜を形成する。
図12はシリコン基板の一部を示した断面図である。図12に示すように、シリコン基板401を800〜1000℃の酸素を含む雰囲気中で熱酸化し、シリコン酸化膜404を表面に形成する。
次に、図13に示すように高融点金属膜405と酸化膜406を形成する。
シリコン基板401の裏面にチタンなどの高融点金属膜405をスパッタ法などで形成し、その上に常圧CVD法あるいはPVD法にて酸化膜306を成膜する。
【0045】
図14(a)は、リング状微小部品を上面から見た平面図である。図14(b)は、図14(a)に示すD−D´断面で見たときの断面図である。図15〜図20も、図14(b)と同様な断面図である。
図14に示すように、すでに説明した製造工程を経ているためシリコン基板401の表面には、シリコン酸化膜404と高融点金属膜405と酸化膜406とが形成してあるが、そのシリコン基板401の所定の部分に、リング状微小部品の形状を規定するための溝407a,407bを設ける。
シリコン基板401上のシリコン酸化膜404の上部からホトリソグラフィとシリコン酸化膜エッチング技術、シリコンのエッチング技術を用いて、溝407a,407bを形成する。
すでに説明した例と同じく、溝407bに囲まれた部分がリング状微小部品となり、溝407aがリング状微小部品の中心部分、例えば、他の部材との貫通孔となる。
【0046】
なお、この溝407a,407bは、シリコン基板401の裏面に設けたシリコン酸化膜404までエッチングする。このとき、高融点金属膜405はエッチングストッパとなる。
このように、高融点金属膜405を設けることにより、下面のでシリコン基板401がエッチングされて薄くなることを防ぐ。
高融点金属膜405とそれに重ねて設ける酸化膜406は、シリコン基板401の形状保持手段となり、製造工程中のシリコン基板401の強度が保たれる。
【0047】
次に、図15に示すように、溝407a,407bの内壁にシリコン酸化膜を形成する。
酸素雰囲気中で酸化すると、シリコン基板401の溝407a,407bの内壁にシリコン酸化膜が形成される。このシリコン酸化膜は、すでに形成してあるシリコン酸化膜404と一体となり、表面を覆う。なお、酸化は1000℃以下とし、シリコン基板401の基板構造が変形しない温度で行う。
【0048】
次に、図16に示すように、シリコン基板401の表面に金属膜408を形成する。
金属膜408は、スパッタリング,蒸着法,めっき法などの知られている半導体デバイスの製造方法を用いて形成することができる。金属膜408は、溝407a,407bの溝底部や内壁にも形成している。
金属膜408は、例えば、アルミニウムを用いることができる。もちろん、単一の金属だけでなく、数種の金属を積層した膜や、あらかじめアルミニウムにシリコンや銅などの他元素を付加した金属膜でもよく、シリコンに対する共晶、合金反応を起こす温度が、シリコン単結晶基板の変形を起こすことのない範囲で選択できる。
【0049】
次に、図17に示ように、シリコン基板401上の金属膜408の表面に、シリコン酸化膜409を形成する。
シリコン酸化膜409は、溝407a,407bも埋めてしまうように、例えば、常圧CVD法やPVD法を用いて形成する。
このシリコン酸化膜409は、後の工程で、シリコン基板401の形状保持手段となるので、できだけ厚く生成する方がよい。
【0050】
次に、図18に示すように、シリコン基板401の下面に金属膜411を形成する。
まず、シリコン基板401の下面に設けてある高融点金属膜405と酸化膜406とをドライエッチングで除去し、その後、金属膜411を、スパッタリング,蒸着法,めっき法などの知られている半導体デバイスの製造方法を用いて形成する。金属膜411は、金属膜408と同じ金属を設けるが、応力など考慮してその膜厚を変えてもよい。もちろん、製造するリング状微小部品の仕様に応じ、金属種そのものを変えてもよい。なお、金属膜411の形成にあっては、シリコン基板401の上下を反転させて、成膜するなどする。
【0051】
次に、図19に示すように、シリコンと金属との共晶合金層410を形成する。
共晶合金層410は、金属膜408,金属膜411とシリコン酸化膜404とを共晶・合金化して得るものである。このため、シリコン基板401を加熱する。
加熱温度は、シリコン基板401が形状精度を失うような高温とはせず、不活性ガス中で1000℃未満とする。金属膜408,金属膜411とシリコン酸化膜404とが共晶する温度以上に加熱すると、両者の境界部に共晶合金層410が形成される。
次に、すでに説明した技術を用いて、シリコン酸化膜409,金属膜408,金属膜411を除去することで、図20に示すようになる。
【0052】
以上、説明した製造工程によって、リング状微小部品が完成する。説明した製造方法は、もちろん一例であり、さまざまに変更を施すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の機械構造部品は、軽量でありながら適度の機械的強度を持つ。そして、その製造方法によれば、そのような機械構造部品を正確で再現性がよく効率的に製造することができる。このため、腕時計などの特に小型軽量であり生産性が要求される部品に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品を説明する図である。
【図2】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、溝を形成する様子を説明する平面図および断面図である。
【図3】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン基板の上面に金属膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図4】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン酸化膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図5】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン基板の下面を除去する様子を説明する断面図である。
【図6】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン基板の下面に金属膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図7】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、共晶合金層を形成する様子を説明する断面図である。
【図8】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン酸化膜を除去する様子を説明する断面図である。
【図9】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、部品として分離した様子を説明する断面図である。
【図10】本発明のシリコンと金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、金属膜を除去する様子を説明する断面図である。
【図11】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品を説明する図である。
【図12】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン基板の全面にシリコン酸化膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図13】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、裏面に高融点金属とシリコン酸化膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図14】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、溝を形成する様子を説明する平面図および断面図である。
【図15】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、溝の側壁にもシリコン酸化膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図16】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、表面のシリコン酸化膜上に金属膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図17】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、表面の金属膜上にシリコン酸化膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図18】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、裏面側の高融点金属とシリコン酸化膜とを除去し、金属膜を形成する様子を説明する断面図である。
【図19】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、シリコン酸化膜と金属との共晶合金層を形成した様子を説明する断面図である。
【図20】本発明のシリコン酸化膜と金属の合金表面を持つ機械構造部品の製造方法を説明する断面図であって、部品として分離した様子を説明する断面図である。
【図21】特許文献1に示した従来技術を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0055】
100,300 円盤型微小部品
101,301 シリコン単結晶
103,303 貫通孔
102,310 共晶合金層
304 シリコン酸化膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを主成分とする機械構造部品であって、
前記機械構造部品は、単結晶シリコンで構成し、その表面全体を金属とシリコンとの合金膜で覆うことを特徴とする機械構造部品。
【請求項2】
シリコンを主成分とする機械構造部品であって、
前記機械構造部品は、単結晶シリコンで構成し、その表面全体を酸化膜と、酸化膜と金属との合金層と、の積層膜で覆うことを特徴とする機械構造部品。
【請求項3】
単結晶のシリコンを所定の形状に加工する工程と、
前記シリコンの表面を、スパッタリング,蒸着法,めっき法のいずれかを用いて金属の膜で覆う工程と、
共晶反応を起こす温度以上まで加熱することにより前記金属と前記シリコンとの共晶合金層を形成する工程と、
前記共晶合金層の表面の前記金属のみエッチングして除去し、前記シリコンの表面を前記金属と前記シリコンとの合金構造とする工程と、
を有することを特徴とする機械構造部品の製造方法。
【請求項4】
単結晶のシリコンを所定の形状に加工する工程と、
前記シリコンの表面を酸化してシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜の表面を、スパッタリング,蒸着法,めっき法のいずれかを用いて金属の膜で覆う工程と、
共晶反応を起こす温度以上まで加熱することにより前記金属と前記シリコン酸化膜との共晶合金層を形成する工程と、
前記共晶合金層の表面の前記金属のみエッチングして除去し、前記シリコン酸化膜の表面を前記金属と前記シリコン酸化膜との合金構造とする工程と、
を有することを特徴とする機械構造部品の製造方法。
【請求項1】
シリコンを主成分とする機械構造部品であって、
前記機械構造部品は、単結晶シリコンで構成し、その表面全体を金属とシリコンとの合金膜で覆うことを特徴とする機械構造部品。
【請求項2】
シリコンを主成分とする機械構造部品であって、
前記機械構造部品は、単結晶シリコンで構成し、その表面全体を酸化膜と、酸化膜と金属との合金層と、の積層膜で覆うことを特徴とする機械構造部品。
【請求項3】
単結晶のシリコンを所定の形状に加工する工程と、
前記シリコンの表面を、スパッタリング,蒸着法,めっき法のいずれかを用いて金属の膜で覆う工程と、
共晶反応を起こす温度以上まで加熱することにより前記金属と前記シリコンとの共晶合金層を形成する工程と、
前記共晶合金層の表面の前記金属のみエッチングして除去し、前記シリコンの表面を前記金属と前記シリコンとの合金構造とする工程と、
を有することを特徴とする機械構造部品の製造方法。
【請求項4】
単結晶のシリコンを所定の形状に加工する工程と、
前記シリコンの表面を酸化してシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜の表面を、スパッタリング,蒸着法,めっき法のいずれかを用いて金属の膜で覆う工程と、
共晶反応を起こす温度以上まで加熱することにより前記金属と前記シリコン酸化膜との共晶合金層を形成する工程と、
前記共晶合金層の表面の前記金属のみエッチングして除去し、前記シリコン酸化膜の表面を前記金属と前記シリコン酸化膜との合金構造とする工程と、
を有することを特徴とする機械構造部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−79234(P2009−79234A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247162(P2007−247162)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]