説明

櫛歯包丁、櫛歯式両手包丁、および櫛歯包丁装置

【課題】食べ易い状態に食材が切れ易く、且つ刃先が損傷し難い櫛歯包丁装置の提供。
【解決手段】櫛歯包丁装置Cは、切刃部分を櫛歯状にした刃身5a、5b(合計六枚)を、櫛歯52、53の刃先が重なり櫛歯54の刃先が交互にずれる様に、スペーサ50により隙間を空けて固定した刃身積層体5の上部にハンドル51を取り付け、このハンドル51を上下に回動させて食材を剪断する構造を有し、支点sを中心とする複数の同心円の一部となる様に全ての櫛歯52〜54を円弧状に形成し、端に位置する櫛歯52、53の歯先を平坦とし、残りの櫛歯54の刃先は、長方形のテーパ面54aおよび平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であり、後方下がりに傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材の剪断に用いる、櫛歯包丁、櫛歯式両手包丁、および櫛歯包丁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、刃身の刃先側に鋸刃を設けた包丁が開示されている。特許文献2には、刃板の下部に、斜に所定の間隔を存して多数の切込みを入れた包丁が開示されている。特許文献3には、垂直方向に刃を持ったアダプターを装着した千切り用の包丁が開示されている。
【特許文献1】実開平5−1458号公報
【特許文献2】実開昭61−154881号公報
【特許文献3】特開2003−199983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
食材を噛む力が低下した人(歯が抜けている人、入歯の人、老人、顎や歯が悪い人)が、良く噛んで食べる必要がある食材(肉、烏賊、ラッキョウ、沢庵等)を噛まずに食べると消化不良を起こす場合がある。
特許文献1の包丁は、把手を持った状態で、カバーを手で押し下げて冷凍肉を切る構造になっているが、鋸刃が小さいので、食材の種類や大きさによっては、良く切れない。
特許文献2の包丁は、切込みの先が尖っているので、先が折れたり欠けたりし易い。
特許文献3の包丁は、アダプターの着脱が面倒であるとともに、刃の切れ味が悪い。
【0004】
本発明の第1の目的は、食べ易い状態に食材が切れ易く、且つ刃先が損傷し難い櫛歯包丁の提供にある。
本発明の第2の目的は、食べ易い状態に食材が切れ易く、且つ刃先が損傷し難い櫛歯式両手包丁の提供にある。
本発明の第3の目的は、食べ易い状態に食材が切れ易く、且つ刃先が損傷し難い櫛歯包丁装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔請求項1について〕
切刃部分を櫛歯状にした刃身を柄に取り付けた櫛歯包丁は、櫛歯状部の櫛歯の刃先と面一にした先端平坦面を有する円弧状の補強部を櫛歯状部の前方に設け、櫛歯状部の後端に位置する櫛歯の刃先を平坦にし、残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃である。
このため、この櫛歯包丁で食材を切ると食材の繊維が潰れたり、断ち切られる。なお、櫛歯包丁は、食材を数mm角から数cm角にザクザク切るざく切り、食材を適当な大きさに切るぶつ切り、上から下へ刃身を押して食材を切る押し切りに好適である。
【0006】
この櫛歯包丁で切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなるので、調味料等の浸透性も良くなる。
よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯包丁で切った食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも良く、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
【0007】
櫛歯状部の櫛歯の刃先と面一にした先端平坦面を有する円弧状の補強部を櫛歯状部の前方に設け、櫛歯状部の後端に位置する櫛歯の刃先を平坦(刃先角0°)にしているので、食材が無い位置のまな板へ櫛歯包丁を誤って押し付けた場合でも、片側刃である櫛歯の刃先より、補強部の先端平坦面または櫛歯状部の後端に位置する櫛歯の刃先の方が先にまな板に当たるので、片側刃への衝撃を防ぐことができる。
【0008】
また、櫛歯状部の残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であるので食材が切れ易いとともに、食材を切った際の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を減らすことができる。
【0009】
〔請求項2について〕
切刃部分を櫛歯状にした刃身を柄に取り付けた櫛歯包丁は、櫛歯状部の櫛歯の刃先と面一にした先端平坦面を有する円弧状の補強部を櫛歯状部の前方に設け、櫛歯状部の後端に位置する櫛歯の刃先を平坦にし、残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃である。
このため、この櫛歯包丁で食材を切ると食材の繊維が潰れたり、断ち切られる。なお、櫛歯包丁は、食材を数mm角から数cm角にザクザク切るざく切り、食材を適当な大きさに切るぶつ切り、上から下へ刃身を押して食材を切る押し切りに好適である。
【0010】
この櫛歯包丁で切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなるので、調味料等の浸透性も良くなる。
よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯包丁で切った食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも良く、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
【0011】
櫛歯状部の櫛歯の刃先と面一にした先端平坦面を有する円弧状の補強部を櫛歯状部の前方に設け、櫛歯状部の後端に位置する櫛歯の刃先を平坦(刃先角0°)にしているので、食材が無い位置のまな板へ櫛歯包丁を誤って押し付けた場合でも、片側刃である櫛歯の刃先より、補強部の先端平坦面または櫛歯状部の後端に位置する櫛歯の刃先の方が先にまな板に当たるので、片側刃への衝撃を防ぐことができる。
【0012】
また、片側刃が10°〜80°の所定の刃先角に形成されて前下がりに傾斜しているので、櫛歯包丁は、柄を持ち上げ、補強部の先端平坦面をまな板に当て、補強部を支点にして、刃元を一気に下ろして食材を切る方式の押し切りにも好適である。つまり、上記押し切りの際に、小さい力で、片側刃の櫛歯の刃先(櫛歯状部の残りの櫛歯の刃先)を食材内へ進入させることができるので使い勝手が良い。
【0013】
また、櫛歯状部の残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であるので食材が切れ易いとともに、食材を切った際の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を減らすことができる。
【0014】
〔請求項3について〕
請求項1または請求項2の櫛歯包丁において、長方形のテーパ面の先端を0.2mm〜2.0mmの所定の寸法に設定している。
このため、櫛歯状部の櫛歯(片側刃)の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を効果的に防止することができる。なお、テーパ面の底辺が0.2mm未満であると、刃先が細くなり過ぎるので刃先の損傷の防止効果に劣る。また、テーパ面の底辺が2.0mmを越えると、刃先が広くなり過ぎるので食材が切れ難くなる。
【0015】
〔請求項4について〕
櫛歯式両手包丁は、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身を、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に複数枚、所定の隙間を空けて固定し、各端を左右の柄に取り付けている。このため、左右の柄を両手で持ち、櫛歯状の刃先を下ろして、まな板上の食材を切る際に、食材の繊維が潰れたり、断ち切られるので、櫛歯式両手包丁で切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなり、調味料等の浸透性も良くなる。
【0016】
よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯式両手包丁で切った食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも良く、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
また、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に複数枚、所定の隙間を空けて固定する関係上、二種類の刃身とする。なお、端部以外の刃先を交互にずらす理由は、切った食材を速やかに外部に排出するためと、食材を切るのに必要な力を小さくするためである。
【0017】
この櫛歯式両手包丁は、各櫛歯状部の左端および右端に位置する櫛歯の刃先を平坦(刃先角0°)にしているので、食材が無い位置のまな板へ櫛歯式両手包丁を誤って押し付けた場合でも、櫛歯状部の左端および右端以外に位置する櫛歯の刃先より、右端および左端に位置する櫛歯の刃先(平坦)の方が先にまな板に当たるので、右端および左端以外に位置する櫛歯(片側刃)の刃先への衝撃を防ぐことができる。
また、櫛歯状部の残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であるので食材が切れ易いとともに、食材を切った際の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を減らすことができる。
【0018】
〔請求項5について〕
櫛歯式両手包丁は、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身を、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に複数枚、所定の隙間を空けて固定し、各端を左右の柄に取り付けている。このため、左右の柄を両手で持ち、利き手側の櫛歯状の刃先を下ろして、まな板上の食材を切る際に、食材の繊維が潰れたり、断ち切られるので、櫛歯式両手包丁で切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなり、調味料等の浸透性も良くなる。
【0019】
よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯式両手包丁で切った食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも良く、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
また、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に複数枚、所定の隙間を空けて固定する関係上、二種類の刃身とする。なお、端部以外の刃先を交互にずらす理由は、切った食材を速やかに外部に排出するためと、食材を切るのに必要な力を小さくするためである。
【0020】
この櫛歯式両手包丁は、各櫛歯状部の左端および右端に位置する櫛歯の刃先を平坦(刃先角0°)にしているので、食材が無い位置のまな板へ櫛歯式両手包丁を誤って押し付けた場合でも、櫛歯状部の左端および右端以外に位置する櫛歯の刃先より、右端および左端に位置する櫛歯の刃先(平坦)の方が先にまな板に当たるので、右端および左端以外に位置する櫛歯(片側刃)の刃先への衝撃を防ぐことができる。
【0021】
また、櫛歯状部の左端および右端以外に位置する櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であるので食材が切れ易いとともに、食材を切った際の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を減らすことができる。
また、片側刃が10°〜80°の所定の刃先角に形成され、利き手方向に下傾斜しているので、櫛歯式両手包丁は、利き手側の柄を持ち上げ、切っ先をまな板に当て、切っ先を支点にして、刃元を一気に下ろして食材を切る方式の押し切りにも好適である。つまり、上記押し切りの際に、小さい力で、櫛歯の刃先を食材内へ進入させることができるので使い勝手が良い。
【0022】
〔請求項6について〕
請求項4または請求項5の櫛歯式両手包丁において、長方形のテーパ面の先端を0.2mm〜2.0mmの所定の寸法に設定している。
このため、櫛歯状部の櫛歯(片側刃)の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を効果的に防止することができる。なお、テーパ面の先端が0.2mm未満であると、刃先が細くなり過ぎるので刃先の損傷の防止効果に劣る。また、テーパ面の先端が2.0mmを越えると、刃先が広くなり過ぎるので食材が切れ難くなる。
【0023】
〔請求項7について〕
櫛歯包丁装置は、ミネ近傍に複数の連通穴を形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした刃身を、各櫛歯の刃先が交互にずれる様に、連通穴に配したスペーサにより所定の隙間を空けて複数枚、固定した刃身積層体の上部に手押し具を取り付け、刃身積層体の前部を支点として手押し具を上下に回動させて食材を剪断する構造である。
【0024】
このため、比較的弱い力でも、手押し具を上下に回動させることができ、且つ、1回の操作で、広範囲に亘って食材の繊維が潰れたり、断ち切られる。
櫛歯包丁装置で切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなり、調味料等の浸透性も良くなる。よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯包丁装置で切った食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも良く、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
なお、連通穴に配したスペーサにより所定の隙間を空けて複数枚、各刃身を固定する際に、刃先位置を交互にずらす理由は、切った食材を速やかに外部に排出するためと、食材を切るのに必要な力を小さくするためである。
【0025】
更に、各刃身の各櫛歯の刃先は、後方下がりに傾斜する片側刃であり、且つ、支点を中心とする複数の同心円の一部となる様に各刃身の全ての櫛歯を円弧状に形成している。
このため、手押し具を上下に回動させた場合に、櫛歯の刃先が鉛直方向から食材内に進入するので、小さな力で効率良く食材を剪断することができるとともに、櫛歯(片側刃)の刃先への衝撃を防ぐことができる。
【0026】
〔請求項8について〕
櫛歯包丁装置は、ミネ近傍に複数の連通穴を形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身を、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に、連通穴に配したスペーサにより所定の隙間を空けて複数枚、固定した刃身積層体の上部に手押し具を取り付け、刃身積層体の前部を支点として手押し具を上下に回動させて食材を剪断する構造である。
【0027】
このため、比較的弱い力でも、手押し具を上下に回動させることができ、且つ、1回の操作で、広範囲に亘って食材の繊維が潰れたり、断ち切られる。
櫛歯包丁装置で切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなり、調味料等の浸透性も良くなる。
よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯包丁装置で切った食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも良く、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
【0028】
この櫛歯包丁装置では、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に複数枚、所定の隙間を空けて固定する関係上、二種類の刃身とする。また、連通穴に配したスペーサにより所定の隙間を空けて複数枚、各刃身を固定する際に、刃先位置を交互にずらす理由は、切った食材を速やかに外部に排出するためと、食材を切るのに必要な力を小さくするためである。
【0029】
更に、各刃身の各櫛歯の刃先は、後方下がりに傾斜する片側刃(10°〜80°の所定の刃先角)であり、且つ、支点(刃身積層体の前部)を中心とする複数の同心円の一部となる様に各刃身の全ての櫛歯を円弧状に形成している。このため、手押し具を上下に回動させた場合に、櫛歯の刃先が鉛直方向から食材内に進入するので、更に小さな力で効率良く食材を剪断することができるとともに、櫛歯(片側刃)の刃先への衝撃を防ぐことができる。
【0030】
〔請求項9について〕
櫛歯包丁装置は、ミネ近傍に複数の連通穴を形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身を、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に、連通穴に配したスペーサにより所定の隙間を空けて複数枚、固定した刃身積層体の上部に手押し具を取り付け、刃身積層体の前部を支点として手押し具を上下に回動させて食材を剪断する構造である。
【0031】
このため、比較的弱い力でも、手押し具を上下に回動させることができ、且つ、1回の操作で、広範囲に亘って食材の繊維が潰れたり、断ち切られる。
櫛歯包丁装置で切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなり、調味料等の浸透性も良くなる。よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯包丁装置で切った食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも良く、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
【0032】
この櫛歯包丁装置では、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に複数枚、所定の隙間を空けて固定する関係上、二種類の刃身とする。なお、連通穴に配したスペーサにより所定の隙間を空けて複数枚、各刃身を固定する際に、刃先位置を交互にずらす理由は、切った食材を速やかに外部に排出するためと、食材を切るのに必要な力を小さくするためである。
【0033】
更に、各刃身の各櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃(10°〜80°の所定の刃先角)であり、後方下がりに傾斜している。このため、手押し具を上下に回動させた場合に、櫛歯の刃先が容易に食材内に進入するので、小さな力で効率良く食材を剪断することができる。
【0034】
〔請求項10について〕
請求項8または請求項9の櫛歯包丁装置において、櫛歯の刃先の長方形のテーパ面の先端を、0.2mm〜2.0mmの所定の寸法に設定している。
このため、櫛歯状部の櫛歯(片側刃)の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を効果的に防止することができる。なお、テーパ面の先端が0.2mm未満であると、刃先が細くなり過ぎるので刃先の損傷の防止効果に劣る。また、テーパ面の先端が2.0mmを越えると、刃先が広くなり過ぎるので食材が切れ難くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
櫛歯包丁装置は、ミネ近傍に複数の連通穴を形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身を、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に、連通穴に配したスペーサにより所定の隙間を空けて六枚、固定した刃身積層体の上部に手押し具を取り付け、刃身積層体の前部を支点として手押し具を上下に回動させて食材を剪断する構造である。
【0036】
このため、比較的弱い力でも、手押し具を上下に回動させることができ、且つ、1回の操作で、広範囲に亘って食材の繊維が潰れたり、断ち切られる。
この櫛歯包丁装置で切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなり、調味料等の浸透性も良くなる。
よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯包丁装置で切った食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも良く、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
【0037】
また、各櫛歯の刃先(幅、間隔が共に3.0mm)が、後方下がりに傾斜する片側刃(45°の刃先角)であり、且つ、支点(刃身積層体の前部)を中心とする複数の同心円の一部となる様に各刃身の全ての櫛歯を円弧状に形成している。
このため、手押し具を上下に回動させた場合に、櫛歯の刃先が鉛直方向から食材内に進入するので、更に小さな力で効率良く食材を剪断することができるとともに、櫛歯(片側刃)の刃先への衝撃を防ぐことができる。
【0038】
櫛歯包丁装置は、支点を中心とする複数の同心円の一部となる様に各刃身の全ての櫛歯を円弧状に形成し、各刃身の上記櫛歯状部の前端および後端に位置する櫛歯の刃先を平坦とし、残りの櫛歯の刃先を、長方形のテーパ面(先端が1.0mm)および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃としているので、刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を効果的に防止することができる。
【実施例1】
【0039】
本発明の実施例1(請求項1、2、3に対応)に係る櫛歯包丁Aを、図1および図2に基づいて説明する。
櫛歯包丁Aは、図1および図2に示すごとく、切刃部分を櫛歯状にした刃身1を柄2に取り付けてなる。
刃身1は、鋼で形成され、本実施例では、刃渡りを20cm、幅(高さ)を8cm、切刃部分の厚みを2mmにしている。
【0040】
そして、残りの櫛歯13の刃先(刃先角40°)は、長方形(先端が1.6mm)のテーパ面14および平行四辺形のテーパを有する片側刃であり、長さ(=高さ)が32mm、刃先の幅および間隔が共に2.5mmに設定され、前下がりに傾斜している。
また、櫛歯状部の後端に位置する櫛歯12の刃先を平坦とし、櫛歯13の刃先と面一にした先端平坦面15aを有する円弧状の補強部15を櫛歯状部の前方に設けている。
また、17は手を保護するカバーであり、切っ先に着脱可能に装着されている。なお、カバー17の材質は、ゴムやプラスチック等である。
【0041】
柄2(木製)は、使用者が利き手で持つためのものであり、断面が略楕円に形成されている。また、刃身1のなかごを差し込むための差し込み部(何れも図示せず)を有する。
【0042】
櫛歯包丁Aは、以下の様にして使用する。
肉、烏賊、ラッキョウ、沢庵等の食材を、縦長方向に載置したまな板(図示せず)の上に乗せる。
柄2を持ち上げ、刃身1の補強部15の先端平坦面15aをまな板に当て、カバー17を支点にして、刃元18を一気に下ろす押し切りで食材を切る。
【0043】
櫛歯包丁Aは、以下の利点を有する。
切刃部分を櫛歯状にした刃身1を柄2に取り付けた櫛歯包丁Aは、刃身1の櫛歯13の刃先が、長方形のテーパ面14および平行四辺形のテーパを有する片側刃である。
このため、この櫛歯包丁Aで食材を切ると食材の繊維が潰れたり、断ち切られる。なお、櫛歯包丁Aは、食材を数mm角から数cm角にザクザク切るざく切り、食材を適当な大きさに切るぶつ切り、上から下へ刃身を押して食材を切る押し切りに好適である。
【0044】
この櫛歯包丁Aで切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなるので、調味料等の浸透性も良くなる。
よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯包丁Aで切れば、食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
【0045】
また、櫛歯13の刃先が刃先角40°の鋭角に形成され、長方形のテーパ面14および平行四辺形のテーパを有する片側刃であり、前下がりに傾斜しているので、櫛歯包丁Aは、先端平坦面15aを支点にして刃元18を一気に下ろして食材を切る方式の押し切りにも好適である。つまり、上記押し切りの際に、小さい力で、櫛歯13の刃先を食材内へ進入させることができるので使い勝手が良い。
【0046】
櫛歯状部の後端に位置する櫛歯12の刃先を平坦(刃先角0°)にしているので、食材が無い位置のまな板へ櫛歯包丁Aを誤って押し付けた場合でも、櫛歯13の刃先より、櫛歯12の刃先(平坦)の方が先にまな板に当たるので、櫛歯13の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を防止することができる。
【0047】
更に、櫛歯13の刃先は、長方形のテーパ面14および平行四辺形のテーパを有し、40°の刃先角の片側刃であるので食材が極めて切れ易いとともに、食材を切った際の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を減らすことができる。
【実施例2】
【0048】
つぎに、本発明の実施例2(請求項4、5、6に対応)に係る櫛歯式両手包丁Bを、図3および図4に基づいて説明する。
右利き用の櫛歯式両手包丁Bは、図3および図4に示すごとく、ボルトv、ナット、およびスペーサ30を用い、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身3、3a(合計五枚)を、端部の刃先が重なり端部以外の刃先が交互にずれる様に、2.5mmの間隔を開けて固定し、各端を左右の柄4、4に取り付けてなる。
【0049】
刃身3、3aは、櫛歯包丁Aの刃身1と同様に鋼で形成し、刃渡りが15cm、長さ(=高さ)が7.5cm、切刃部分の厚みが2mmである。そして、各刃身3、3aの櫛歯状部の左端および右端に位置する櫛歯31、32の刃先を平坦にしている。
そして、残りの櫛歯33の刃先(刃先角45°)は、長方形のテーパ面34(先端が0.9mm)および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であり、長さ(=高さ)が4cm、刃先の幅および間隔が共に4.0mmに設定され、利き手方向(図示右方)に下傾斜している。
【0050】
dは食材落し具であり、支点側を刃身積層体の図示左端に軸着し、四枚の板を刃身3、3a間の隙間に遊嵌している。
【0051】
櫛歯式両手包丁Bは、以下の様にして使用する。
肉、烏賊、ラッキョウ、沢庵等の食材を、横長方向に載置したまな板(図示せず)上に乗せる。
右利きの使用者が、図示右側の柄4を持ち上げ、図示左側の柄4をまな板の近くに臨ませ、櫛歯31を支点にして、図示右側の柄4を一気に下ろす押し切りで食材を切る。
なお、剪断作業中(食材落し具dの不使用時)は、図示しないストッパにより回動側を刃身積層体に固定して回動禁止にしておく(図3、図4の実線参照)。
また、刃身3、3a間の隙間に溜まった食材のカスを除去する場合には、ストッパを外して食材落し具dを回動させる(図3、図4の破線参照)。
【0052】
櫛歯式両手包丁Bは、以下の利点を有する。
櫛歯式両手包丁Bは、刃身3、3aの櫛歯33の刃先(刃先角40°)が、長方形のテーパ面34(先端が0.9mm)および平行四辺形のテーパ面を有し、利き手方向(図示右方)に下傾斜する片側刃である。このため、上記押し切りの際に、小さい力で櫛歯33の刃先を食材内へ進入させることができるので使い勝手が良い。
更に、櫛歯33の刃先は、長方形のテーパ面34を有する40°の刃先角の片側刃であるので食材が切れ易いとともに、食材を切った際の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を減らすことができる。
【0053】
この押し切りにより、食材の繊維が潰れたり、断ち切られるので、櫛歯式両手包丁Bで切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなり、調味料等の浸透性も良くなる。
【0054】
よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯式両手包丁Bで切れば、食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
【0055】
櫛歯式両手包丁Bは、各刃身3、3aの櫛歯状部の左端および右端に位置する櫛歯31、32の刃先を平坦(刃先角0°)にしているので、食材が無い位置のまな板へ櫛歯式両手包丁Bを誤って押し付けた場合でも、櫛歯33の刃先より、櫛歯31または櫛歯32の刃先(平坦)の方が先にまな板に当たるので、櫛歯33(片側刃)への衝撃を防ぐことができる。
【実施例3】
【0056】
つぎに、本発明の実施例3(請求項7、8、10に対応)に係る櫛歯包丁装置Cを、図5〜図7に基づいて説明する。
図5〜図7に示す如く、櫛歯包丁装置Cは、ミネ近傍に複数の連通穴hを形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身5a、5b(合計六枚)を、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に、ボルトv、ナットn、および連通穴h等に配したスペーサ50により2.5mmの隙間を空けて六枚、固定した刃身積層体5の上部にハンドル(手押し具)51を取り付けてなる。
【0057】
刃身5a、5bは鋼で形成され、本実施例では、刃渡りが26cm、長さ(=高さ)が8.5cm、切刃部分の厚みが2mmである。そして、各刃身5a、5bの櫛歯状部の前端および後端に位置する櫛歯52、53の刃先を平坦にしている。
そして、残りの櫛歯54の刃先(刃先角45°)は、長方形状のテーパ面54a(先端が0.5mm)を有する片側刃であり、長さ(=高さ)が4cm、刃先の幅が4.05mm、間隔が3.96mmに設定され、後方下がり(図示右方)に下傾斜している。なお、刃身積層体5は、前部を支点sとして回動する。
【0058】
dは食材落し具であり、支点側を刃身積層体5の前端側(図示左端)に軸着し、五枚の板を刃身5a、5b間の隙間に遊嵌している。また、コ字状の61はまな板6にネジ止めされた落し具ストッパーである。
まな板6には、刃身5a、5bの各櫛歯(櫛歯52〜54)の刃先が貫通する様に所定の配列で連通穴62が穿設されている。なお、連通穴62以外に、連通溝をまな板6に開けても良い。
【0059】
櫛歯包丁装置Cは、以下の様にして使用する。
刃身積層体5が下に降りた状態では、食材落し具dの回動側が落し具ストッパー61のコ字状部に支持されており、食材落し具dの五枚の板が刃身5a、5b間の隙間の上部に遊嵌されている(図5、図6参照)。
【0060】
つぎに、まな板6へ食材(肉、烏賊、ラッキョウ、沢庵等)を載置するため、ハンドル51を大きく持ち上げて刃身積層体5を真上に上げる。
図7に示す如く、刃身積層体5が上がっていく途中で、食材落し具dの回動側が動いて落し具ストッパー61のコ字状部から回動側が外れるので、まな板6への食材の載置が容易になる。なお、食材が大きい場合や、食材が食材落し具dに当たってまな板6上へ載置し難い場合には、必要に応じ、食材落し具dの板を刃身5a、5bの隙間の上部へ格納する。
【0061】
ハンドル51を持ち上げ、まな板6へ食材を載置した後、ハンドル51を一気に押し下げて(押し切り)、刃身積層体5を下ろし、食材を櫛歯状の歯身で剪断する。なお、大抵の場合、剪断後、刃身5a、5bの各隙間に食材のカスが詰まる。
【0062】
刃身5a、5bの各隙間に詰まった食材のカスを除去するため、ハンドル51を持ち上げて刃身積層体5を上に上げる。この際、食材落し具dの回動側が落し具ストッパー61のコ字状部に支持されているので、食材落し具dが一定期間上へ上がらず、刃身5a、5bだけが上へ上がるので食材落し具dの板が刃身5a、5bの各隙間から抜け、食材のカスが除去される。
【0063】
櫛歯包丁装置Cは、以下の利点を有する。
櫛歯包丁装置Cは、刃身5a、5bの櫛歯54の刃先(刃先角45°)が、長方形のテーパ面54a(先端が0.5mm)および平行四辺形のテーパ面を有し、後方(図示右方)に下傾斜する片側刃であり、支点sを中心とする複数の同心円の一部となる様に刃身5a、5bの全ての櫛歯52、53、54を円弧状に形成している。
【0064】
このため、ハンドル51を上下に回動させた場合に、櫛歯54の刃先が鉛直方向から食材内に進入するので、小さな力で効率良く食材を剪断することができるとともに、刃先の損傷も防止できる。
なお、小さい力で櫛歯54の刃先が食材内へ進入するので、比較的弱い力でハンドル51を上下に回動させることができる。また、1回の回動操作で、広範囲に亘って食材の繊維が潰れたり、断ち切られる。
【0065】
更に、櫛歯54の刃先は、長方形のテーパ面54aおよび平行四辺形のテーパ面を有する45°の刃先角の片側刃であるので食材が極めて切れ易いとともに、食材を切った際の櫛歯54の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を減らすことができる。
【0066】
この押し切りにより、食材の繊維が潰れたり、断ち切られるので、櫛歯包丁装置Cで切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなり、調味料等の浸透性も良くなる。
【0067】
よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯包丁装置Cで切れば、食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
【0068】
櫛歯包丁装置Cは、刃身5a、5bの櫛歯状部の前端および後端に位置する櫛歯52、53の刃先を平坦(刃先角0°)にしているので、食材を切る際に、櫛歯54の刃先より、櫛歯52または櫛歯53の刃先(平坦)の方が先に食材に当たるので、櫛歯54の刃先への衝撃を防ぐことができる。
【実施例4】
【0069】
つぎに、本発明の実施例4(請求項9、10に対応)に係る櫛歯包丁装置Dを、図8〜図10に基づいて説明する。
図8〜図10に示す如く、櫛歯包丁装置Dは、櫛歯包丁装置Cと同様に、ミネ近傍に複数の連通穴hを形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身7a、7b(合計六枚)を、前端および後端の刃先が重なり、端以外の刃先が交互にずれる様に、ボルトv、ナットn、および連通穴h等に配したスペーサ70により2.5mmの隙間を空けて六枚、固定した刃身積層体7の上部にハンドル(手押し具)71に取り付けてなる。
【0070】
刃身7a、7bは鋼で形成され、本実施例では、刃渡りが26cm、長さ(=高さ)が8.5cm、切刃部分の厚みが2mmである。そして、各刃身7a、7bの櫛歯状部の前端および後端に位置する櫛歯72、73の刃先を平坦にしている。
そして、残りの櫛歯74の刃先(刃先角45°)は、長方形状のテーパ面74a(先端が0.5mm)を有する片側刃であり、長さ(=高さ)が4cm、刃先の幅および間隔が共に4.0mmに設定され、後方下がり(図示右方)に下傾斜している。なお、刃身積層体7は、前部を支点sとして回動する。
【0071】
dは食材落し具であり、支点側を刃身積層体7の前端側(図示左端)に軸着し、五枚の板を刃身7a、7b間の隙間に遊嵌している。また、コ字状の61はまな板6にネジ止めされた落し具ストッパーである。
まな板6には、刃身7a、7bの各櫛歯(櫛歯72〜74)の刃先が貫通する様に所定の配列で連通穴63が穿設されている。なお、連通穴63以外に、連通溝をまな板6に開けても良い。
【0072】
櫛歯包丁装置Dは、以下の様にして使用する。
刃身積層体7が下に降りた状態では、食材落し具dの回動側が落し具ストッパー61のコ字状部に支持されており、食材落し具dの五枚の板が刃身7a、7b間の隙間の上部に遊嵌されている(図8、図9参照)。
【0073】
つぎに、まな板6へ食材(肉、烏賊、ラッキョウ、沢庵等)を載置するため、ハンドル71を大きく持ち上げて刃身積層体7を真上に上げる。
図10に示す如く、刃身積層体7が上がっていく途中で、食材落し具dの回動側が動いて落し具ストッパー61のコ字状部から回動側が外れるので、まな板6への食材の載置が容易になる。なお、食材が大きい場合や、食材が食材落し具dに当たってまな板6上へ載置し難い場合には、必要に応じ、食材落し具dの板を刃身7a、7bの隙間の上部へ格納する。
【0074】
ハンドル71を持ち上げ、まな板6へ食材を載置した後、ハンドル71を一気に押し下げて(押し切り)、刃身積層体7を下ろし、食材を櫛歯状の刃身で剪断する。なお、大抵の場合、剪断後、刃身7a、7bの各隙間に食材のカスが詰まる。
【0075】
刃身7a、7bの各隙間に詰まった食材のカスを除去するため、ハンドル71を持ち上げて刃身積層体7を上に上げる。この際、食材落し具dの回動側が落し具ストッパー61のコ字状部に支持されているので、食材落し具dが一定期間上へ上がらず、刃身7a、7bだけが上へ上がるので食材落し具dの板が刃身7a、7bの各隙間から抜け、食材のカスが除去される。
【0076】
櫛歯包丁装置Dは、以下の利点を有する。
櫛歯包丁装置Dは、ミネ近傍に複数の連通穴hを形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身7a、7bを、前端および後端の櫛歯72、73の刃先が重なり、端以外の櫛歯74の刃先が交互にずれる様に、連通穴h等に配したスペーサ70により2.5mmの隙間を空けて六枚、固定した刃身積層体7の上部にハンドル71を取り付け、刃身積層体7の前部を支点sとしてハンドル71を上下に回動させて食材を剪断する構造である。
【0077】
このため、比較的弱い力でも、ハンドル71を上下に回動させることができ、且つ、1回の操作で、広範囲に亘って食材の繊維が潰れたり、断ち切られる。
櫛歯包丁装置Dで切った食材は、通常の包丁で切ったものに比べ、柔らかくなり、調味料等の浸透性も良くなる。よって、噛む力が低下した老人等でも、櫛歯包丁装置Dで切った食材を美味しく食べることができる。なお、切る食材は、そのまま食べるものでも良く、加熱等の調理を行った後に食べるものであっても良い。
【0078】
また、二種類の刃身7a、7bを用いているので、前端の櫛歯72の刃先および後端の櫛歯73の刃先が重なり、端以外の櫛歯74の刃先が交互にずれる様に、隙間を空けて固定することができる。
なお、櫛歯74の刃先位置を交互にずらして刃身7a、7bを固定しているので、切った食材を速やかに外部に排出することができるとともに、食材を剪断する力を小さくすることができる。
【0079】
更に、櫛歯74の刃先は、後方下がりに傾斜する片側刃(45°の刃先角)である。このため、ハンドル71を上下に回動させた場合に、櫛歯74の刃先が食材内に進入し易いので、小さな力で効率良く食材を剪断することができる。
また、櫛歯74の刃先の長方形のテーパ面74aの先端を0.5mmに設定している。このため、切れ味が良いとともに、櫛歯74の刃先の損傷(欠け、曲がり、折れ等)を効果的に防止することができる。
【0080】
本発明は、上記実施例以外に、以下の実施態様を含む。
a.櫛歯包丁装置は、下記の構成であっても良い(請求項7に対応)。
刃身積層体の前部を支点としてハンドルを上下に回動させて食材を剪断する櫛歯包丁装置は、ミネ近傍に複数の連通穴を形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした一種類の刃身(合計六枚)を、各櫛歯の刃先が交互にずれる様に、ボルト、ナット、および連通穴に配したスペーサにより2.5mmの隙間を空けて六枚、固定した刃身積層体の上部にハンドル(手押し具)を取り付けている。
そして、上記支点を中心とする複数の同心円の一部となる様に各刃身の全ての櫛歯を円弧状に形成している。
また、各刃身の各櫛歯の刃先は、後方下がりに傾斜する片側刃である。
【0081】
b.刃身の材質は、鋼やステンレスが好適である。
c.柄や手押し具の材質は、木、金属、プラスチックが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1に係る櫛歯包丁の外観を示す説明図である。
【図2】その櫛歯包丁に用いる刃身の外観を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例2に係る櫛歯式両手包丁の各部(上面要部、正面、下面要部、右側面要部)を示す説明図である。
【図4】その櫛歯式両手包丁の外観を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例3に係る櫛歯包丁装置の各部(左側面要部、上面、正面、右側面要部)およびまな板上面要部を示す説明図である。
【図6】その櫛歯包丁装置の外観(ハンドル下方位置)を示す説明図である。
【図7】その櫛歯包丁装置の外観(ハンドル上方位置)を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例4に係る櫛歯包丁装置の各部(左側面要部、上面、正面、右側面要部、およびまな板上面要部)を示す説明図である。
【図9】その櫛歯包丁装置の外観(ハンドル下方位置)を示す説明図である。
【図10】その櫛歯包丁装置の外観(ハンドル上方位置)を示す説明図である。
【符号の説明】
【0083】
A 櫛歯包丁
B 櫛歯式両手包丁
C、D 櫛歯包丁装置
h 連通穴
s 支点
1、3、3a、5a、5b 刃身
2、4 柄
5、7 刃身積層体
6 まな板
11〜13、31〜33、52〜54 櫛歯
14、34、54a、74a テーパ面
15 補強部
15a 先端平坦面
50、70 スペーサ
71 ハンドル(手押し具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切刃部分を櫛歯状にした刃身を柄に取り付けた櫛歯包丁であって、
上記櫛歯状部の櫛歯の刃先と面一にした先端平坦面を有する円弧状の補強部を上記櫛歯状部の前方に設け、
前記櫛歯状部の後端に位置する櫛歯の刃先を平坦にし、
残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であることを特徴とする櫛歯包丁。
【請求項2】
切刃部分を櫛歯状にした刃身を柄に取り付け、
上記櫛歯状部の櫛歯の刃先と面一にした先端平坦面を有する円弧状の補強部を上記櫛歯状部の前方に設け、
前記櫛歯状部の後端に位置する櫛歯の刃先を平坦にし、
残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃である櫛歯包丁であって、
前記片側刃は、10°〜80°の所定の刃先角に形成され、前下がりに傾斜することを特徴とする櫛歯包丁。
【請求項3】
前記長方形のテーパ面の先端を0.2mm〜2.0mmの所定の寸法に設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の櫛歯包丁。
【請求項4】
切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身を、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に複数枚、所定の隙間を空けて固定し、各端を左右の柄に取り付けた櫛歯式両手包丁であって、
各櫛歯状部の左端および右端に位置する櫛歯の刃先を平坦とし、
残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であることを特徴とする櫛歯式両手包丁。
【請求項5】
切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身を、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に複数枚、所定の隙間を空けて固定し、各端を左右の柄に取り付けた櫛歯式両手包丁であって、
各櫛歯状部の左端および右端に位置する櫛歯の刃先を平坦とし、
残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であり、
この片側刃は、10°〜80°の所定の刃先角に形成され、利き手方向に下傾斜することを特徴とする櫛歯式両手包丁。
【請求項6】
前記長方形のテーパ面の先端を0.2mm〜2.0mmの所定の寸法に設定したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の櫛歯式両手包丁。
【請求項7】
ミネ近傍に複数の連通穴を形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした刃身を、各櫛歯の刃先が交互にずれる様に、前記連通穴に配したスペーサにより所定の隙間を空けて複数枚、固定した刃身積層体の上部に手押し具を取り付け、
前記刃身積層体の前部を支点として前記手押し具を上下に回動させて食材を剪断する櫛歯包丁装置であって、
前記支点を中心とする複数の同心円の一部となる様に各刃身の全ての櫛歯を円弧状に形成し、
各刃身の各櫛歯の刃先は、後方下がりに傾斜する片側刃であることを特徴とする櫛歯包丁装置。
【請求項8】
ミネ近傍に複数の連通穴を形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身を、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に、前記連通穴に配したスペーサにより所定の隙間を空けて複数枚、固定した刃身積層体の上部に手押し具を取り付け、 前記刃身積層体の前部を支点として前記手押し具を上下に回動させて食材を剪断する櫛歯包丁装置であって、
前記支点を中心とする複数の同心円の一部となる様に各刃身の全ての櫛歯を円弧状に形成し、
各刃身の上記櫛歯状部の前端および後端に位置する櫛歯の刃先を平坦とし、
残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であり、
この片側刃は、10°〜80°の所定の刃先角に形成され、後方下がりに傾斜することを特徴とする櫛歯包丁装置。
【請求項9】
ミネ近傍に複数の連通穴を形成するとともに、切刃部分を櫛歯状にした二種類の刃身を、端部の刃先が重なり、端部以外の刃先が交互にずれる様に、前記連通穴に配したスペーサにより所定の隙間を空けて複数枚、固定した刃身積層体の上部に手押し具を取り付け、 前記刃身積層体の前部を支点として前記手押し具を上下に回動させて食材を剪断する櫛歯包丁装置であって、
各刃身の上記櫛歯状部の前端および後端に位置する櫛歯の刃先を平坦とし、
残りの櫛歯の刃先は、長方形および平行四辺形のテーパ面を有する片側刃であり、
この片側刃は、10°〜80°の所定の刃先角に形成され、後方下がりに傾斜することを特徴とする櫛歯包丁装置。
【請求項10】
前記長方形のテーパ面の先端を0.2mm〜2.0mmの所定の寸法に設定したことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の櫛歯包丁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−187319(P2006−187319A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381692(P2004−381692)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(394009669)株式会社ヤハギ (2)
【Fターム(参考)】