説明

欠陥検出装置及び方法

【課題】確実に欠陥を検出する。
【解決手段】固体撮像装置のカバーガラスの表面にピントを合わせて撮像し、表面画像を得る。同様に、カバーガラスの裏面にピントを合わせて撮像し、裏面画像を得る。表面画像と裏面画像を合成して合成画像60を作成する。動的閾値法を用いて、合成画像60の各画素ごとに第1閾値Th1を設定する。輝度値が第1閾値Th1を超える画像を欠陥候補画像61,62,63として特定する。欠陥候補画像61,62,63の最高輝度値ML1,ML2,ML3に所定の比率を掛け合わせて、第2閾値Th21,Th22,Th23を設定する。輝度値が第2閾値Th21,Th22,Th23未満の画像をボケ画像43,51,52として欠陥候補画像61,62,63から除去する。これにより、合成画像60には、ブツ欠陥画像41、許容欠陥画像42、ヨゴレ欠陥画像53のみが残り、欠陥を確実に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置のカバーガラスなどの透明体の欠陥を検出する欠陥検出装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの電子式カメラには、被写体光を電気信号に光電変換する固体撮像装置が搭載されている。この固体撮像装置のうちパッケージ型の固体撮像装置は、CCDやCMOSなどの固体撮像素子と、この固体撮像素子を収納するパッケージと、固体撮像素子の撮像面を覆うようにしてパッケージに取り付けられるカバーガラスとを備えている。
【0003】
カバーガラスに汚れ、傷、異物などの欠陥があると、これら欠陥により被写体光が散乱等し、固体撮像素子の撮像面に確実に入射しなくなる。そのため、固体撮像装置を電子式カメラに組み込む前には、カバーガラスの欠陥検査が行われている。カバーガラスなどの透明体の欠陥検査としては、カバーガラスに光を当てた状態でカメラにより撮像し、その撮像した画像に基づいて欠陥を検出する方法が一般的に行われている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−139454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、カメラの撮像によりカバーガラスの欠陥検査を行う場合には、そのカメラの撮影条件によっては被写界深度が浅くなることがある。被写界深度が浅くなると、カバーガラスの表面または裏面の一方にしかピントが合わなくなることがある。このような場合には、まず、カメラの焦点距離を調整し、カバーガラスの表面にピントを合わせて撮像する。次に、同様にして、カバーガラスの裏面にピントを合わせて撮像する。そして、カバーガラスの表面の画像(以下「表面画像」とする)と裏面の画像(以下「裏面画像」とする)に基づいて、カバーガラスの欠陥を検出する。
【0005】
しかしながら、カバーガラスの表面及び裏面のそれぞれについてピントを合わせ撮像をした場合には、次のような問題が起こりうる。例えば、欠陥検査では欠陥と見なされない微細な傷など(以下「許容欠陥」という)がカバーガラスの表面にある場合には、カバーガラスの裏面にピントを合わせて撮像を行うと、その許容欠陥がボケ画像として裏面画像に写り込むようになる。この許容欠陥のボケ画像が欠陥と判定されると、本来良品と判定されるべきカバーガラスが不良品とみなされることがある。結果として、過剰な検査が行われることとなり、生産性を低下させていた。
【0006】
本発明は、過剰に検査することなく、確実に欠陥を検出することができる欠陥検出装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、透明板の少なくとも表裏面を検査面として欠陥を検出する欠陥検出装置において、各検査面ごとにピントを合わせて前記各検査面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により得られた前記各検査面の画像を合成して合成画像を作成する合成手段と、一方の検査面にある欠陥が他方の検査面にぼやけて写り込んだボケ画像を前記合成画像から除去する除去手段と、前記除去手段により前記ボケ画像が除去された合成画像に基づいて、前記欠陥を検出する欠陥検出手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
前記除去手段は、前記合成画像から、前記欠陥の画像及び前記ボケ画像を含む欠陥候補画像を特定する欠陥候補画像特定部と、前記欠陥候補画像から前記ボケ画像を除去するボケ画像除去部とを有することが好ましい。
【0009】
前記欠陥候補画像特定部は、動的閾値法を用いて前記合成画像の各画素ごとに第1閾値を設定し、前記合成画像のうち、輝度値が前記第1閾値を超える画像を前記欠陥候補画像として特定することが好ましい。
【0010】
前記ボケ画像除去部は、前記欠陥候補画像の最大輝度値を検出し、前記最大輝度値に所定の比率を掛け合わせて第2閾値を設定し、前記欠陥候補画像から、輝度値が前記第2閾値未満の画像を前記ボケ画像として除去することが好ましい。
【0011】
前記除去手段は、前記欠陥候補画像の画素のうち最大輝度値を有する最大輝度画素を検出する最大輝度画素検出部と、前記欠陥候補画像から、前記最大輝度画素を中心とする一定領域内の画像を第1欠陥候補画像として分割するとともに、前記欠陥候補画像から、前記第1欠陥候補画像以外の画像を第2欠陥候補画像として分割する画像分割部とを有し、前記ボケ画像除去部は、前記第1欠陥候補画像から前記ボケ画像を除去するとともに、前記第2欠陥候補画像から前記ボケ画像を除去することが好ましい。前記欠陥には、ブツ欠陥、キズ欠陥、ヨゴレ欠陥が含まれることが好ましい。
【0012】
本発明の欠陥検出方法は、各検査面ごとにピントを合わせて前記各検査面を撮像し、撮像により得られた前記各検査面の画像を合成して合成画像を作成し、一方の検査面にある欠陥が他方の検査面にぼやけて写り込んだボケ画像を前記合成画像から除去し、前記ボケ画像が除去された合成画像に基づいて、前記欠陥を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各検査面の画像を合成した合成画像からボケ画像を除去することで、過剰に検査することなく、確実に欠陥を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
図1に示すように、欠陥検出装置10は、固体撮像装置11のカバーガラス11aにできた欠陥を検出する。カバーガラス11a上の欠陥としては、ブツ欠陥、キズ欠陥、ヨゴレ欠陥などがある。なお、欠陥検出の対象を固体撮像装置のカバーガラスとしたが、これに限る必要はない。例えば、DVDレコーダの反射ミラーガラスなどの透明体にできた欠陥も検出することができる。
【0015】
欠陥検出装置10は、検査ステージ13、カメラ14、XYシフト機構15、システムコントローラ16を備えている。検査ステージ13は、治具18と、ベース19とを備えており、治具18はベース19上でXY方向に移動可能とされる。この治具18の上面には、複数のクランプ20がXY方向でマトリックス状に設けられている。クランプ20は一対のピン20a,20bを備えており、これらピン20a,20bは、カバーガラス11aが上向きで水平になるように、固体撮像装置11を保持する。また、治具18の左右上方には光源22が設けられており、これら光源22からの光がカバーガラス11aに対して照射される。
【0016】
カメラ14はCCDエリアカメラから構成され、このカメラ14の光軸Lは検査対象位置にあるカバーガラス11aの中心に合わせられている。カメラ14の撮像光学系にはフォーカスレンズ14aが含まれており、このフォーカスレンズ14aはレンズモータ23の駆動により光軸L方向に移動する。レンズモータ23は、ドライバ(図示省略)を介して、システムコントローラ16内のレンズコントローラ32により駆動制御される。また、フォーカスレンズ14aの背後には撮像素子14bが設けられており、この撮像素子14bは、撮像光学系からの光を光電変換して撮像信号を生成する。また、カメラ14の被写界深度は浅く設定されており、カバーガラス11aの表面または裏面のいずれか一方にのみピントが合うように設定されている。被写界深度を十分浅く設定することで、真の欠陥とそれ以外の欠陥を区別することが容易となる。
【0017】
カメラ14によるカバーガラス11aの撮像は、以下のように行われる。まず、フォーカスレンズ14aを移動させ、カバーガラス11aの表面にピントを合わせた状態で、撮像を行う。この撮像により得られる信号(以下「表面撮像信号」という)は、システムコントローラ16内の画像処理部31に送信される。また、カバーガラス11aの表面の撮像が完了すると、フォーカスレンズ14aを移動させて、カバーガラス11aの裏面にピントを合わせる。そして、カバーガラス11aの裏面にピントを合わせた状態で、撮像を行う。この撮像により得られる信号(以下「裏面撮像信号」という)は、画像処理部31に送信される。
【0018】
なお、図示は省略するが、カメラの撮像光学系には、フォーカスレンズの他に、絞りやズームレンズなどが含まれている。撮像光学系のレンズとしては、テレセントリックレンズやCCTVレンズなどが挙げられるが、フォーカスレンズの移動等により撮像画像の周辺部に歪みが生ずることを避けるために、テレセントリックレンズを使用することが好ましい。また、カバーガラスの表面を撮像した後に、カバーガラスの裏面を撮像したが、反対に、カバーガラスの裏面を撮像してから表面を撮像してもよい。また、表面撮像信号及び裏面撮像信号を画像処理部に直接送信したが、一旦RAMなどのメモリに記憶させてから、画像処理部に送ってもよい。
【0019】
XYシフト機構15は、ドライバ(図示省略)を介して、システムコントローラ16内のシフトコントローラ34により駆動制御される。このシフトコントローラ34の駆動制御により、XYシフト機構15は、治具18をX方向またはY方向に所定の移動量で移動させる。ここで、XYシフト機構15による治具18の移動量は、その治具18上の隣接するクランプ20間の距離に対応している。
【0020】
システムコントローラ16は、画像処理部31、レンズコントローラ32、判定部33、シフトコントローラ34、CPU35、RAM36、ROM37、LCD38を備えている。
【0021】
画像処理部31は、カメラ14から送信される表面撮像信号及び裏面撮像信号に対して、微分処理などの強調処理などを施す。そして、表面撮像信号に基づいて表面画像を作成するとともに、裏面撮像信号に基づいて裏面画像を作成する。
【0022】
図2(A)に示すように、表面画像40には、ブツ欠陥を示すブツ欠陥画像41と、後述の欠陥判定では欠陥と判定されない欠陥(以下「許容欠陥」という)を示す許容欠陥画像42と、カバーガラス11aの裏面にあるヨゴレ欠陥がぼやけて写り込んだボケ画像43とが記録されている。図2(B)は、表面画像40におけるライン2B上の画素の輝度値を示している。また、図3(A)に示すように、裏面画像50には、カバーガラス11aの表面にあるブツ欠陥及び許容欠陥がぼやけて写り込んだボケ画像51,52と、ヨゴレ欠陥を示すヨゴレ欠陥画像53とが記録されている。図3(B)は、裏面画像50におけるライン3B上の画素の輝度値を示している。
【0023】
画像処理部31では、表面画像40と裏面画像50とを合成して合成画像を作成する。合成画像の作成は、表面画像及び裏面画像の同一画素単位で輝度値を足し算するか、又は同一画素単位の輝度値を一定の比率で調整した後に足し算することにより、行われる。図4(A)に示すように、合成画像60には、ブツ欠陥画像41とそのボケ画像51とが重ね合わされた画像61と、許容欠陥画像42とそのボケ画像52とが重ね合わされた画像62と、ヨゴレ欠陥画像53とそのボケ画像43とが重ね合わされた画像63とが記録されている。図4(B)は、合成画像60におけるライン4B上の画素の輝度値を示している。なお、合成画像の作成の際には、表面画像及び裏面画像の位置、大きさを補正した上で、合成することが好ましい。
【0024】
合成画像60が作成されると、この合成画像60から、欠陥画像が含まれると予測される欠陥候補画像を特定する。まず、合成画像60の輝度値のばらつきが算出される。次に、合成画像60の輝度値のばらつきに応じて、合成画像60の各画素ごとに閾値を設定する。この各画素ごとに設定した閾値を、以下の説明において、第1閾値Th1とする。そして、合成画像60から、輝度値が第1閾値Th1を超える画像61,62,63を欠陥候補画像として特定する。
【0025】
ここで、各画素ごとに閾値を設定する方法は動的閾値法と呼ばれ、この動的閾値法は、照明ムラなどのより地合い部分の輝度値が変動している場合や、地合い部分の輝度値との差が小さい欠陥画像、例えば、ヨゴレ欠陥画像などを検出する場合等に有効な閾値設定法である。
【0026】
次に、欠陥候補画像61,62,63からボケ画像43,51,52を除去する。まず、欠陥候補画像61の輝度値から、最高輝度値ML1を検出する。次に、この最高輝度値ML1に予め設定されている比率を掛け合わせて、欠陥候補画像61についての第2閾値Th21を設定する。次に、輝度値が第2閾値Th21未満の画像を欠陥候補画像61から除去する。これにより、欠陥候補画像61からボケ画像51が除去され、ブツ欠陥画像41のみが残る。
【0027】
例えば、欠陥候補画像61において、ブツ欠陥画像41の輝度値(正確には輝度に対応する256階調表現のレベル値)が「255」で、ボケ画像51の輝度値が「120」である場合には、欠陥候補画像61の最高輝度値ML1である「255」に予め設定されている比率0.8を掛け合わせた「204」が、欠陥候補画像61の第2閾値Th21となる。そして、輝度値が第2閾値Th21未満、すなわち輝度値が「204」未満であるボケ画像51が欠陥候補画像61から除去される。
【0028】
欠陥候補画像62についても、欠陥候補画像61と同様に、その欠陥候補画像62の最大輝度値ML2から第2閾値Th22を設定する。そして、欠陥候補画像62からボケ画像52を除去し、許容欠陥画像42のみを残す。また、欠陥候補画像63についても、欠陥候補画像61,62と同様に、最大輝度値ML3から第2閾値Th23を設定する。そして、欠陥候補画像63からボケ画像43を除去し、ヨゴレ画像53のみを残す。以上により、ボケ画像43,51,52が除去された合成画像60は、判定部33に送信される。
【0029】
判定部33は、画像処理部31からの合成画像60に基づいて、欠陥判定を行う。まず、合成画像60に対して二値化処理が施される。次に、欠陥画像の面積、すなわちブツ欠陥画像41、許容欠陥画像42、及びヨゴレ欠陥画像53の面積が算出される。そして、各欠陥画像ごとに、その欠陥画像の面積と予め設定された基準面積と比較する。比較した結果、欠陥画像の面積が基準面積を超えている場合には、その欠陥画像は欠陥であると判定される。判定部33の判定結果は、治具18上における固体撮像装置11の位置と対応付けられて、RAM36に記憶される。
【0030】
ここで、基準面積が、許容欠陥画像42の面積以上その許容欠陥のボケ画像52の面積以下に設定されている場合には、従来のように、表面画像40及び裏面画像50のそれぞれについて欠陥判定を行うと、カバーガラス11aの表面の許容欠陥画像42は欠陥と判定されないのに対し、その裏面の許容欠陥のボケ画像52は欠陥と判定されてしまう。そのため、本来良品と判定されるべきカバーガラス11aが不良品と判定されていた。これに対し、本発明では、表面画像40と裏面画像50を合成して合成画像60を作成し、その合成画像60からボケ画像を除去した画像に基づいて欠陥判定を行うことで、基準面積を超える欠陥、すなわち許容欠陥以外の見逃すことができない欠陥のみを確実に検出することができる。
【0031】
次に、本発明の欠陥検出装置の作用について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、検査対象であるカバーガラス11aを上向きにして、固体撮像装置11をクランプ20に保持する。次に、XYシフト機構15により治具18を所定の移動量だけX方向またはY方向に移動させ、カメラ14の光軸Lをカバーガラス11aの中心に合わせる。
【0032】
次に、フォーカスレンズ14aを移動させて、カバーガラス11aの表面にピントを合わせ、この状態で撮像を行う。この撮像により得られる表面撮像信号は、画像処理部31に送信される。また、カバーガラス11aの表面の撮像が完了すると、カバーガラス11aの裏面にピントを合わせ、この状態で撮像を行う。この撮像により得られる裏面撮像信号は、画像処理部31に送信される。
【0033】
画像処理部31では、表面画像信号及び裏面画像信号に対して、微分処理などの強調処理を施す。そして、表面撮像信号に基づいて表面画像40を作成するとともに、裏面撮像信号に基づいて裏面画像50を作成する。そして、表面画像40と裏面画像50とを合成して合成画像60を作成する。
【0034】
合成画像60が作成されると、動的閾値法を用いて、合成画像60の各画素ごとに第1閾値Th1を設定する。そして、合成画像60から、輝度値が第1閾値Th1を超える画像61,62,63を欠陥候補画像として特定する。
【0035】
次に、欠陥候補画像61,62,63からボケ画像43,51,52を除去する。まず、欠陥候補画像61の最高輝度値ML1を検出する。この最高輝度値ML1に予め設定されている比率を掛け合わせて、欠陥候補画像61についての第2閾値Th21を設定する。そして、合成画像60から、輝度値が第2閾値Th21未満の画像を除去する。これにより、欠陥候補画像61からボケ画像51が除去され、ブツ欠陥画像41のみが残る。
【0036】
欠陥候補画像62についても、欠陥候補画像61と同様に、その欠陥候補画像62の輝度値ML2から第2閾値Th22を設定する。そして、欠陥候補画像62からボケ画像52を除去し、許容欠陥画像42のみを残す。また、欠陥候補画像63についても、欠陥候補画像61,62と同様に、その欠陥候補画像63の最大輝度値ML3から第2閾値Th23を設定する。そして、欠陥候補画像63からボケ画像43を除去し、ヨゴレ欠陥画像53のみを残す。以上により、ボケ画像43,51,52が除去された合成画像60は、判定部33に送信される。
【0037】
判定部33では、二値化処理が施された合成画像60に基づいて、欠陥判定が行われる。欠陥画像の面積、すなわちブツ欠陥画像41、許容欠陥画像42、及びヨゴレ欠陥画像53の面積が基準面積を超えている場合には、その欠陥画像は欠陥であると判定される。判定部33の判定結果は、治具18上における固体撮像装置11の位置と対応付けられて、RAM36に記憶される。
【0038】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態では、一つの欠陥候補画像中に二種類以上の欠陥画像及びその欠陥のボケ画像が重なり合っている場合の欠陥判定について説明する。なお、画像処理部の処理以外については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0039】
画像処理部31では、第1実施形態の画像処理部31と同様に、カメラ14からの表面撮像信号及び裏面撮像信号に基づいて、表面画像及び裏面画像を生成する。図6(A)に示すように、表面画像70には、ブツ欠陥を示すブツ欠陥画像71と、カバーガラス11aの裏面にあるヨゴレ欠陥がぼやけて写り込んだボケ画像72とが記録されている。この表面画像70では、ブツ欠陥画像71とボケ画像72とが重なり合って記録されている。また、図6(B)に示すように、裏面画像75には、ヨゴレ欠陥を示すヨゴレ欠陥画像76と、カバーガラス11aの表面にあるブツ欠陥がぼやけて写り込んだボケ画像77とが記録されている。この裏面画像75では、ヨゴレ欠陥画像76とボケ画像77とが一部重なり合っている。
【0040】
画像処理部31では、表面画像70と裏面画像75とを合成して合成画像80を作成する。図7に示すように、合成画像80には、ブツ欠陥画像71と、そのブツ欠陥のボケ画像77と、ヨゴレ欠陥画像76と、そのヨゴレ欠陥のボケ画像72とが互いに重なり合った画像82が記録されている。
【0041】
合成画像80が作成されると、動的閾値法を用いて、合成画像80の各画素ごとに第1閾値を設定する。そして、合成画像80から、輝度値が第1閾値を超える画像82を欠陥候補画像として特定する。次に、図8に示すように、欠陥候補画像82の画素の中から、最大輝度値を有する画素84(以下「最大輝度画素」という)を検出する。次に、図9に示すように、欠陥候補画像82は、最大輝度画素84を中心とする一定領域内の画像86(以下「第1欠陥候補画像」という)と、第1欠陥候補画像86以外の画像87(以下「第2欠陥候補画像」という)とに分割される。なお、図8及び図9では、図が複雑になるのを避けるために、欠陥画像及びボケ画像の図示を省略している。
【0042】
次に、第1及び第2欠陥候補画像86,87からボケ画像を除去する。まず、第1欠陥候補画像86の最高輝度値に予め設定されている比率を掛け合わせて、第1欠陥候補画像86についての第2閾値を設定する。次に、第1欠陥候補画像86から、輝度値が第2閾値未満の画像を除去する。これにより、第1欠陥候補画像86からボケ画像77が除去され、ブツ欠陥画像71のみが残る。また、第2欠陥候補画像87についても、第1欠陥候補画像86と同様に、その第2欠陥候補画像87の最大輝度値から第2閾値を設定する。これにより、第2欠陥候補画像87からボケ画像72が除去され、ヨゴレ欠陥画像76のみが残る。図10に示す、ボケ画像72,77が除去された合成画像80は、判定部33に送信される。
【0043】
上記第1及び第2実施形態のように、カバーガラスの片方側から撮像を行うことで、カバーガラスの両面側から撮像を行った場合と比較して、以下のような利点がある。例えば、カメラなどの検査機の設置が容易になるため、短時間で欠陥検査を行うことができる。また、1セットのカメラで検査を行うことができるため、検査機にかかるコストを低く抑えることができる。また、パッケージ型の固体撮像装置のカバーガラスのように、一方向からしか検査できないものに対しても、欠陥検査が可能である。
【0044】
なお、上記第1及び第2実施形態では、カバーガラスの表面画像と裏面画像の二枚の画像を合成したが、合成する画像の枚数はこれに限る必要はない。例えば、カバーガラスに貼り合わせ面やその他の中間層があり、これらも検査する必要がある場合には、それら中間層等にピントを合わせて撮像し、この中間層の画像を表面画像及び裏面画像と一緒に画像合成してもよい。また、カバーガラスの表面と裏面とが平行でない場合には、カメラの焦点距離を変えながら複数枚の画像を取得し、それら複数枚の画像を合成して合成画像を作成してもよい。
【0045】
上記第1及び第2実施形態で示したカバーガラスの表面画像及び裏面画像に記録されている欠陥画像及びその欠陥のボケ画像は一例であり、これら欠陥画像及びボケ画像に限られない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態の欠陥検出装置を示す概略図である。
【図2】(A)はカバーガラスの表面画像を示す説明図であり、(B)はその表面画像におけるライン2B上の画素の輝度値を示すグラフである。
【図3】(A)はカバーガラスの裏面画像を示す説明図であり、(B)はその裏面画像におけるライン3B上の画素の輝度値を示すグラフである。
【図4】(A)はカバーガラスの表面画像と裏面画像とを合成した合成画像を示す説明図であり、(B)はその合成画像におけるライン4B上の画素の輝度値を示すグラフである。
【図5】第1実施形態の欠陥検出装置の処理方法を示すフローチャートである。
【図6】(A)は第2実施形態におけるカバーガラスの表面画像を示す説明図であり、(B)は第2実施形態におけるカバーガラスの裏面画像を示す説明図である。
【図7】第2実施形態におけるカバーガラスの表面画像と裏面画像とを合成した合成画像を示す説明図である。
【図8】第2実施形態におけるカバーガラスの合成画像を示す説明図である。
【図9】第2実施形態におけるカバーガラスの合成画像を示す説明図である。
【図10】第2実施形態におけるカバーガラスの合成画像からボケ画像を除去した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
10 欠陥検出装置
11 固体撮像装置
11a (固体撮像装置の)カバーガラス
14 カメラ
16 システムコントローラ
31 画像処理部
33 判定部
40,70 表面画像
41,71 ブツ欠陥画像
42 許容欠陥画像
43,51,52,72,77 ボケ画像
50,75 裏面画像
53,76 ヨゴレ欠陥画像
60,80 合成画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明板の少なくとも表裏面を検査面として欠陥を検出する欠陥検出装置において、
各検査面ごとにピントを合わせて前記各検査面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により得られた前記各検査面の画像を合成して合成画像を作成する合成手段と、
一方の検査面にある欠陥が他方の検査面にぼやけて写り込んだボケ画像を前記合成画像から除去する除去手段と、
前記除去手段により前記ボケ画像が除去された合成画像に基づいて、前記欠陥を検出する欠陥検出手段とを備えることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項2】
前記除去手段は、
前記合成画像から、前記欠陥の画像及び前記ボケ画像を含む欠陥候補画像を特定する欠陥候補画像特定部と、
前記欠陥候補画像から前記ボケ画像を除去するボケ画像除去部とを有することを特徴とする請求項1記載の欠陥検出装置。
【請求項3】
前記欠陥候補画像特定部は、動的閾値法を用いて前記合成画像の各画素ごとに第1閾値を設定し、前記合成画像のうち、輝度値が前記第1閾値を超える画像を前記欠陥候補画像として特定することを特徴とする請求項2記載の欠陥検出装置。
【請求項4】
前記ボケ画像除去部は、前記欠陥候補画像の最大輝度値を検出し、前記最大輝度値に所定の比率を掛け合わせて第2閾値を設定し、前記欠陥候補画像から、輝度値が前記第2閾値未満の画像を前記ボケ画像として除去することを特徴とする請求項2または3記載の欠陥検出装置。
【請求項5】
前記除去手段は、
前記欠陥候補画像の画素のうち最大輝度値を有する最大輝度画素を検出する最大輝度画素検出部と、
前記欠陥候補画像から、前記最大輝度画素を中心とする一定領域内の画像を第1欠陥候補画像として分割するとともに、前記欠陥候補画像から、前記第1欠陥候補画像以外の画像を第2欠陥候補画像として分割する画像分割部とを有し、
前記ボケ画像除去部は、前記第1欠陥候補画像から前記ボケ画像を除去するとともに、前記第2欠陥候補画像から前記ボケ画像を除去することを特徴とする請求項2ないし4いずれか1項記載の欠陥検出装置。
【請求項6】
前記欠陥には、ブツ欠陥、キズ欠陥、ヨゴレ欠陥が含まれることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の欠陥検出装置。
【請求項7】
透明板の少なくとも表裏面を検査面として欠陥を検出する欠陥検出方法において、
各検査面ごとにピントを合わせて前記各検査面を撮像し、
撮像により得られた前記各検査面の画像を合成して合成画像を作成し、
一方の検査面にある欠陥が他方の検査面にぼやけて写り込んだボケ画像を前記合成画像から除去し、
前記ボケ画像が除去された合成画像に基づいて、前記欠陥を検出することを特徴とする欠陥検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−85617(P2009−85617A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252006(P2007−252006)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】