説明

止血用フォーム

本発明は、止血用フォームおよびそのようなフォームの調製を目的とする。第1の態様において、本発明は、水溶性ポリマーと非晶質セグメントおよび結晶性セグメントを含む相分離したポリウレタンとのポリマーブレンドを含む生分解性止血用フォームであって、少なくとも前記非晶質セグメントが親水性セグメントを含む、生分解性止血用フォームを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止血用フォームおよびそのようなフォームの調製を目的とする。
【背景技術】
【0002】
止血は、創傷、例えば、損傷を受けた血管からの出血を止める、ヒトおよび動物の体内での過程である。止血は、外科的手術およびその後の傷の治癒の成功にとって根本的に重要である。止血用フォーム(foam)は、出血している表面に対して局所的にフォームを適用することによって血液の凝固プロセスを加速させることにより止血を生じさせることを意図している。
【0003】
商品として入手できるすべての止血用フォームは、現在、動物(例えば、コラーゲンおよびゼラチン)または植物(例えば、セルロース)由来の材料に基づいている。これらのフォームの欠点は、そのような天然の材料を用いると、例えば、ウシ海綿状脳症(狂牛病)などの疾患の伝染の危険を増大させることである。コラーゲンおよびゼラチンに基づく市販されている止血用フォームのさらなる欠点は、一度血液で飽和されるとその圧縮強度を失うことであり、このことは、適用後にフォームを操作することをほとんど不可能にしている。
【0004】
(完全に)合成された止血用フォームは、こうした欠陥をもたない。そのようなフォームを製造するために用られる材料は、動物性製品に由来しないので、そのようなフォームを用いることによる病原体の伝染の危険は存在しない。合成されたフォームのさらなる利点は、単純で制御しやすいというその生産工程にある。
【0005】
国際公開第90/13320号は、ゼラチンまたはセルロースなどの天然の材料に基づく止血スポンジを記載しており、そのスポンジは、トロンビンおよびトロンビン安定化剤を含んでいる。この止血スポンジは、天然の材料に基づくスポンジ中に、安定化剤を含む少量のトロンビン溶液を注入することにより調製することができる。この天然材料の構造は、注入時には変化しない。この安定化剤は、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールでありうる。このスポンジの欠点は、弾性が欠如していることおよびその止血特性がフォーム中に存在するトロンビンに左右されることである。
【0006】
国際公開第99/64491号によって、相分離したモルフォロジーを有するポリウレタンが良好な物理的および力学的な特性を有することならびに一般的に加工しやすいことが知られている。
【0007】
国際公開第2004/062704号は、非晶質セグメントおよび結晶性セグメントを含んでいる生分解性の合成された相分離したポリマーを含む、親水性生分解性フォームを記載しており、前記の非晶質セグメントは親水性セグメントを含んでいる。ポリマーの非晶質相中に親水性のセグメントまたは基が存在すると、水性液体を吸収する能力および容易に生分解されることなどの特徴がフォームにもたらされる。フォームは、出血の抑制(止血スポンジ)、創傷閉鎖、組織癒着の防止、および/または組織再生の支えのために使用することができ、ヒトまたは動物の身体の洞または他の腔に詰めるために適している。このフォームは、時が経つにつれて分解するので、鼻腔などの洞に適用した後に機械的に除去する必要がないという利点を有する。
【0008】
国際公開第99/64491号および国際公開第2004/062704号によって公知のフォームの欠点は、これらのフォームが水性液体を高速で吸収できないことである。それゆえ、これらのフォームは、出血、特に重篤な出血に対して止血用フォームとして好適には用いることができず、なぜなら、これらのフォームは出血している傷、例えば、外科的な傷から放出される多量の血液を吸収できないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第90/13320号
【特許文献2】国際公開第99/64491号
【特許文献3】国際公開第2004/062704号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、組織の(重要な)治癒期間の間、その圧縮強さの少なくとも一部を保持しながら、特に、その圧縮強さを実質的に保持しながら、血液を速やかに吸収する生分解性合成止血用フォームを提供することである。そのようなフォームを調製するための方法を提供することも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、この目的が、水溶性ポリマーと特定のポリウレタンとのポリマーブレンドを含むフォームを提供することにより達成できることを見出した。
【0012】
第一の側面において、本発明は、水溶性ポリマーと、非晶質セグメントおよび結晶性セグメントを含む相分離されたポリウレタンとのポリマーブレンドを含む生分解性止血用フォームであって、少なくとも前記の非晶質セグメントが親水性セグメントを含む、生分解性止血用フォームを提供する。
【0013】
驚くべきことに、本発明のフォームは、出血している表面に適用したときに、血液の凝固速度を増加させることが見出された。理論に束縛されることを望むことなく、この凝固速度の増加は、フォーム中に水溶性ポリマーが存在することにより引き起こされると考えられ、そのポリマーはフォームに親水性と、水を急速に吸収する能力とを与えている。再び、理論に束縛されることを望むことなく、本発明の親水性止血用フォームは、出血している表面に適用されたときに、血液から水を吸収することにより、血小板およびその他の止血促進化合物の濃度を局所的に増加させることができると考えられる。その濃度が増加すると、血液の凝固を促進し、且つ迅速で効率的な止血に寄与する。本発明のフォームは、コラーゲンおよびゼラチンに基づく現在市販されている止血用フォームと比べて、同じ速度でおよび同じように有効に血液を吸収することができる。
【0014】
本発明のフォームを用いると、血液で飽和されたとしてもその圧縮強さの大部分を保持することができ、特に、血液で飽和されたとしてもその圧縮強さを実質的に保持することができ、このことが適用後の操作を容易にし得ることがさらに見出された。
【0015】
本明細書で使用する場合「ポリマーブレンド」という用語は、2種以上の異なるポリマーの混合物として定義される。ポリマーブレンド中のポリマーは、好ましくは、ブレンド中にランダムに分布している。ポリマーブレンドでは、その2種のポリマーの間での架橋は典型的には避けられている。
【0016】
本発明のフォームは、血液を吸収してもその構造を保つ。ポリマーブレンド中の水溶性ポリマーは溶解してフォームから離れていくている必要はなく、フォームがその構造を保持している間なおフォームの一部であり続けていてもよい。血液の吸収時、水溶性ポリマーは血液中に一部溶解し、ポリマーマトリックスからフォームの細孔の中に拡散しうる。しかし、水溶性ポリマーは、細孔の中での血液凝固の形成によって、典型的にはフォームから離れていかない。適用後、ポリウレタンおよび水溶性ポリマーの分解および再吸収が始まる。この期間に、水溶性ポリマーは、体液中に溶解し、体内から排泄されうる。
【0017】
好ましくは、本発明のフォーム中のポリマーブレンドは、重量で、水溶性ポリマーの約0.5倍から20倍の相分離したポリウレタンを含む。したがって、[相分離したポリウレタン]/[水溶性ポリマー]の重量比は、好ましくは、0.5〜20であり、より好ましくは、1〜10であり、さらにより好ましくは、2〜5である。もっとも好ましくは、前記のポリマーブレンドは、重量で、水溶性ポリマーの約3倍の生分解性ポリウレタンを含む。ポリマーブレンドが、水溶性ポリマーの0.5倍未満のポリウレタンしか含まない場合には、一般に、適用後の操作が出来るためには不十分な強度しか有しないフォームをもたらす結果となる。一方、ポリマーブレンドが、水溶性ポリマーの20倍より多いポリウレタンを含む場合には、一般に、血液を急速に吸収する能力が不十分なフォームをもたらす結果となる。
【0018】
本明細書で使用する場合「水溶性ポリマー」という用語は、水に対する親和性を有するポリマーを指す。それは、定義によれば、親水性ポリマーであり、それゆえ、1つまたは複数の親水性基を含まなければならない。水に対するその親和性のために、水溶性ポリマーは、水を吸収することおよび水に溶解することの両方が可能である。水溶性ポリマーの主鎖の原子の少なくとも50%が、親水性基の一部であるかまたは2原子以下を介して親水性基に結合しているかのどちらかが好ましい。例えば、ポリビニルアルコール-(CH-CH(OH))-においては、CH中の炭素原子は、1個の原子、すなわち炭素原子を介して親水性のヒドロキシ基に結合している。親水性基の例は、ヒドロキシ、エーテル、およびアミン基である。
【0019】
水溶性ポリマーは、典型的には、親水性セグメント、すなわち、少なくとも1つまたは複数の親水性基を含むセグメントを含む。親水性セグメントは、例えば、ポリエーテル、ポリペプチド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、またはポリ(ヒドロキシメチルメタクリレート)によりもたらされうる。親水性セグメントは、好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールに由来する。好ましい親水性セグメントは、ポリエチレングリコール(PEG)セグメントである。
【0020】
水溶性ポリマーは、ポリエーテル、ポリペプチド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシメチルメタクリレート)、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドンおよびコポリマー、ならびにこれらの組合せからなる群から選択されうる。好ましくは、本発明に使用される水溶性ポリマーは、ポリアルキレングリコールであり、より好ましくは、ポリエチレングリコールである。水溶性ポリマーはまた、ポリウレタンでもありうる。より好ましくは、水溶性ポリマーは、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、またはこれらの組合せから選択される。
【0021】
ポリマーブレンドはさらに、非晶質セグメントおよび結晶性セグメントを含む相分離したポリウレタンを含み、少なくとも前記の非晶質セグメントは、親水性セグメントを含む。そのようなポリウレタンは、国際公開第2004/062704号に記載されている。
【0022】
止血用フォームは、血液と接触したときに、止血用フォームが血液に対して治療上有害な変化を生じさせないならば、血液適合的であると言われる。ポリウレタンは、その血液適合性で周知である。本発明のポリマーブレンドは、ポリウレタンのこのような好ましい特性を保持しているように見える。本発明のフォームは、凝固カスケードの受動的な活性化を主として引き起こし、なんらかの検出可能な程度には血液組成を変えないということが発見された。さらに、本発明のフォームの表面構造が、それを特に血液適合的にさせている。理論に束縛されることなく、この血液適合性は、本発明の止血用フォームの表面においてポリウレタンおよび水溶性ポリマーの両方によってもたらされる極性部位と、ポリウレタンによりもたらされる非極性部位とのバランスによって達成されていると考えられる。
【0023】
国際公開第2004/062704号に記載されているように、ポリウレタンの非晶質セグメントは親水性セグメントを含んでいなければならない。この非晶質セグメントは、当技術分野では、非晶質相ともよばれているが、出血している表面に適用されると、すなわち湿潤状態では、それが結晶性ポリエーテルを含みうるという事実にもかかわらず、非晶質である。このことは、乾燥状態では、前記の結晶性ポリエーテルは、ポリマーの非晶質相に部分的な結晶性をもたらしうるということを意味する。出血している表面に適用された時のフォームの性能が、フォームの特徴を決定している。出血している表面に適用された時、本発明のフォームは、非晶質で親水性のソフトセグメントまたは相、および結晶性のハードセグメントまたは相からなる。
【0024】
親水性基はまた、ポリウレタンのハードセグメント中にも存在しうるが、そのハードセグメント中に親水性基が存在しても、液体と接触状態に置かれたときに、フォームがすぐに破壊される結果となるべきではない。本質的には、結晶性のハードセグメントまたは相はフォームに剛性をもたらし、液体と接触状態に置かれたときにフォームが損傷されないままに保ち、且つフォームの膨潤を抑制しなければならない。
【0025】
本件出願で使用する場合、ポリウレタンという用語は、アミド、尿素、またはウレタンのなかの1つまたは複数の結合を含むポリマーとして定義される。
【0026】
本明細書で使用する場合、「生分解性」という用語は、ポリマーが、加水分解を含めて、一般には生きている細胞もしくは生物またはこれらの系の一部によって生化学的に作用を受け、化学的または生化学的生成物に劣化および分解する能力を指す。
【0027】
本明細書で使用する場合、「相分離したポリウレタン」という用語は、ソフト(非晶質の)セグメントとハード(結晶性の)セグメントとを含むポリウレタンを指し、そのようなポリウレタンから調製されたフォームが、ヒトまたは動物の身体の出血している表面に十分な時間適用されたときに、その相分離したモルフォロジーが現れる。また、ヒトまたは動物の身体と類似の温度条件に置かれたそのポリウレタンは、前記の相分離したモルフォロジーを示す。
【0028】
相分離したポリウレタンは、通常の環境条件下で、異なるモルフォロジーおよび異なる熱的状態を有する少なくとも2つの、混合しないまたは部分的に混合する相が存在することによって特徴づけられる。1つの材料の中では、ソフトなゴム状の非晶質相およびハードな結晶性相(その非晶質相のガラス転移温度より上、且つその結晶性相の融点より低い温度で)が、またはハードなガラス状非晶質相およびハードな結晶性相(その非晶質相のガラス転移温度より低い温度で)が存在しうる。また、少なくとも2つの非晶質相、例えば、1つのハードなガラス状相および1つのソフトなゴム状相が存在しうる。融点よりも高い温度においてさえも、その液体相とゴム状相とはなお混合しえない。より具体的には、ポリウレタンが互いに混合しない非晶質相および結晶性相を有する場合、そのポリウレタンは相分離していると言われる。混合しない(非晶質および結晶性の)相の存在は、例えば、(変調された)示差走査熱量計(DSC)を使用して測定できる。
【0029】
相分離したモルフォロジーは、フォームの力学的な特性にとって本質的なものである。両方の相とも本発明の材料の独特の特性に寄与している。可撓性で弾力性の挙動は、ソフトな非晶相のためである。材料の硬さと強度は、ハードな結晶性相のためである。(半)結晶性のハードセグメントは分子間で結晶化し、物理的な架橋として働き、ソフトセグメントを3次元のネットワーク構造中で結びつける。これにより、ハードな結晶性セグメントおよびソフトな非晶質セグメントが連続的な2相系を形成されうるミクロ相分離が現れうる。共連続(cocontinuous)なミクロ構造は、3次元的に互いに貫入しあう両方の相を有することにより特徴づけられる。共連続なモルフォロジーにおいては、全てのハードな領域は互いに結合し合っている。このモルフォロジーによって、本フォームは、血液を吸収してもその圧縮強度を実質的に保持する能力を有する。
【0030】
本明細書で使用する場合、「非晶質」という用語は、出血している表面の温度より低い少なくとも1つのガラス転移温度を有する、本発明のポリウレタン中に存在するセグメントを指し、また、出血している表面に適用された時に完全に非晶質である非晶質および結晶性のセグメントの組合せをも指す。ガラス転移温度は、(変調された)示差走査熱量計を用いて決定されうる。
【0031】
本明細書で使用する場合、「結晶性」という用語は、出血している表面に適用されたときに結晶性であり、出血している表面の温度よりも高い融点を有する、本発明のポリウレタン中に存在するセグメントを指す。
【0032】
本明細書で使用する場合、「親水性セグメント」という用語は、例えば、C−O−Cすなわちエーテル結合によってもたらされうる親水性基を、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つ、より好ましくは、少なくとも3つ含むセグメントを指す。親水性セグメントは、したがって、ポリエーテルセグメントによってもたらされうる。親水性セグメントはまた、ポリペプチド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、またはポリ(ヒドロキシメチルメタクリレート)によりもたらされうる。親水性セグメントは、好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールに由来する。好ましい親水性セグメントは、ポリエチレングリコール(PEG)セグメントである。
【0033】
本明細書で使用する場合、「セグメント」という用語は、任意の長さのポリマー構造を指す。ポリマー技術の分野では、長いポリマー構造はしばしばブロックといわれ、短いポリマー構造はしばしばセグメントといわれる。こうした両者の通常の意味は、本明細書で使用する場合、「セグメント」という用語に含まれると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ソフトセグメントおよびハードセグメントへのポリウレタンの分離を示す(段落0036)。
【図2】止血用フォームの形状のいくつかを示す(段落0061)。
【図3】実施例1の2つのフォームの血液吸収能力を時間に対して測定した結果を示す(段落0065)。
【図4】様々な試料に対するトロンビンおよびフィブリノーゲンの濃度を示す(段落0072)。
【図5】様々な試料に対するトロンビンおよびフィブリノーゲンの濃度を示す(段落0072)。
【図6】様々な材料の止血結果を示している(段落0073)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のフォームの1つの実施形態では、ポリマーブレンドは、式(I)の相分離した生分解性ポリウレタンを含む。
【化1】

式中、Rは、1つまたは複数の脂肪族のポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリ酸無水物、および/またはポリカーボネートから選択されるポリマーまたはコポリマーであり、少なくとも1つのRは親水性セグメントを含み;R’,R’’およびR’’’は、独立に、C〜Cのアルキレンであり、これは任意選択で場合によりC〜C10のアルキル基または保護されたS、N、P、またはO部分で置換されたC〜C10のアルキル基で置換されており、および/またはそのアルキレン鎖中にS、N、P、またはOを含んでおり;Z〜Zは、独立に、アミド、尿素、またはウレタンであり;QおよびQは、独立に、尿素、ウレタン、アミド、カーボネート、エステル、または酸無水物であり;nは5〜500の整数であり;且つ、pおよびqは独立に0または1である。
【0036】
式(I)のポリウレタンのソフトセグメントは、一般に、Rで表され、式(I)の残りの部分は、一般に、ポリウレタンのハードセグメントを表す。式(I)のポリウレタンのハードとソフトへの分割は、図1にも概念的に示されている。
【0037】
〜Zは互いに異なっていてもよいが、Z〜Zは好ましくは同一であるように選択される。より好ましくは、Z〜Zは、全てウレタン部分であり、その場合には、ポリウレタンは式(II)で表される。
【0038】
【化2】

【0039】
式中、Q、Q、R、R’、R’’、R’’’、p、q、およびnは、式(I)について上述したように定義される。
【0040】
およびQは互いに独立に、尿素、ウレタン、アミド、カーボネート、エステル、および酸無水物からなる群から選択される。好ましくは、QおよびQは独立に、ウレタン、カーボネート、およびエステルから選択される。QおよびQは異なる種類の部分(moiety)となるように選択されうるが、好ましくは、QおよびQは同一である。
【0041】
好ましくは、式(I)および(II)においてはq=1である。したがって、ポリウレタンは結晶性領域(ドメイン)を容易に形成するのに十分な長さのハードセグメントを有し、相分離したポリウレタンをもたらす。qおよびpの両者が1である場合、この目的のためにさらにより望ましい長さが得られる。
【0042】
ポリウレタンの相分離性を高めるために、Rは、非晶質および結晶性セグメントの混合物として選択することができる。この目的のために、Rは、好ましくは、少なくとも1つの結晶性のポリエステル、ポリエーテルエステル、またはポリ酸無水物セグメントと、少なくとも1つの非晶質の脂肪族ポリエステル、ポリエーテル、ポリ酸無水物、および/またはポリカーボネートセグメントとの混合体である。qが0であるように選択された場合には、このことは特に望ましい。なぜなら、そのウレタン部分は、そのような場合に結晶性領域を形成するにはあまりにも小さすぎて、結果として両方の相の混合物を与え、相分離が起こらないからである。
【0043】
本発明によれば、非晶質セグメントは、式(I)のポリウレタンの-R-部分に含まれる。R’、R’’、およびR’’’単位を含めた式(I)のポリマーの残りの部分は、結晶性セグメントを表す。結晶性セグメントは常にハードセグメントである一方、非晶質セグメントは1つまたは複数のソフトセグメントを少なくとも含む。式(I)のRはソフトセグメントを含む一方、式(I)の残りの部分は典型的にはハードセグメントを含む。ソフトセグメントおよびハードセグメントへのポリウレタンの分離は、図1にも示されている。ソフトセグメントは、本発明のポリウレタンでは典型的には非晶質である。ハードセグメントは、結晶化する傾向があるが、完全には結晶化しないときには非晶質でありうる。
【0044】
Rは、脂肪族のポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、およびこれらの組合せから選択されるポリマーまたはコポリマーであり、少なくとも1つの親水性セグメントを、Rの少なくとも1つの非晶質セグメント中に備えている。好ましくは、Rはポリエーテルエステルである。Rは、例えば、親水性セグメントとしてポリエーテルエステル中にあるポリエチレングリコールを有する、DLラクチドおよびε-カプロラクトンに基づくポリエーテルエステルでありうる。
【0045】
Rは、親水性セグメントを含み、そのような親水性セグメントは、非常に適切には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリブチレングリコールなどのポリエーテル化合物に由来するポリエーテルセグメントなどのエーテルセグメントでありうる。また、Rに含まれる親水性セグメントは、ポリペプチド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、またはポリ(ヒドロキシメチルメタクリレート)に由来しうる。親水性セグメントは、好ましくはポリエーテルである。
【0046】
基R’、R’’、およびR’’’のそれぞれは、C〜Cのアルキレン部分(moiety)、好ましくは、C〜Cのアルキレン部分である。このアルキレン部分は、C〜C10のアルキル基または保護されたS、N、P、またはO部分で置換されたC〜C10のアルキル基で置換されていても、および/またはそのアルキレン鎖中にS、N、P、またはOを含んでいてもよい。好ましくは、このアルキレン部分は、非置換(C2n)であるかまたは置換されている。R’、R’’、およびR’’’は、すべて異なるアルキレン部分であるように選択されうるが、同一でもあってもよい。
【0047】
好ましくは、R’は、非置換のCアルキレン(C)または非置換のCアルキレン(C12)である。R’は式O=C=N−R’−N=C=Oを有するジイソシアネート、例えば、アルカンジイソシアネート、好ましくは、1,4−ブタンジイソシアネート(BDI)または1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)に由来しうる。
【0048】
好ましくは、R’’は、非置換のCアルキレン(C)または非置換のCアルキレン(C)である。R’’は、式HO−R’’−OHを有するジオール、例えば、1,4−ブタンジオール(BDO)または1,3−プロパンジオール(PDO)に由来しうる。
【0049】
好ましくは、R’’’は、非置換のCアルキレン(C)または非置換のCアルキレン(C12)である。R’は、式O=C=N−R’’’−N=C=Oを有するジイソシアネート、例えば、アルカンジイソシアネート、好ましくは、1,4−ブタンジイソシアネート(BDI)または1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)に由来しうる。
【0050】
式(I)の相分離した生分解性ポリウレタンを調製する方法は、例えば、国際公開第2004/062704号に記載されているように当分野で公知である。
【0051】
本発明の止血用フォームのブレンド中に非常に適切に使用しうるポリウレタンの例は、
Rが、DLラクチドおよびε-カプロラクトンに基づくポリエーテルエステルであり、そのポリエーテルエステルが、親水性のポリエチレングリコールセグメントを含み、R’、R’’、およびR’’’がCアルキレン(C)であり、Q、Q、およびZ〜Zがウレタンであり、p=1およびq=1である、式(I)の相分離したポリウレタンである。
【0052】
本発明の好ましい他の例は、RがDLラクチドおよびε-カプロラクトンに基づくソフトセグメントであり、親水性セグメントとしてポリビニルピロリドンである構造である。
【0053】
本発明の好ましい他の例は、RがDLラクチドおよびε-カプロラクトンに基づくソフトセグメントであり、親水性セグメントとしてポリビニルアルコールである構造である。
【0054】
これら後者の2つの構造については、R’、R’’、およびR’’’はCであり、Q、Q、及びZ〜Zがウレタンであり、且つp=1およびq=1である。
【0055】
本発明のフォームのポリマーブレンド中に含まれる水溶性ポリマーは、好ましくは、300g/モル、より好ましくは、600g/モルの最小分子量を有する。さらに、本発明のフォームのポリマーブレンド中に含まれる水溶性ポリマーは、好ましくは、1,000,000gモル、より好ましくは、100,000gモルの最大分子量を有する。例えば、本発明のフォームのポリマーブレンド中に含まれる水溶性ポリマーは、20,000gモルの分子量を有しうる。
【0056】
本発明の止血用フォームに使用されうるブレンドの好ましい例は、PEGとポリウレタンとのブレンドであり、前記のポリウレタンが、ソフトPEGセグメントおよびハードBDO−BDI−BDOセグメントを含む。
【0057】
本発明のフォームは、0.01〜0.2g/cm、好ましくは、0.03〜0.07g/cmの密度を有する。さらに、本発明のフォームは、85〜99%、好ましくは、92〜98%の空孔率を有する。本発明のフォームは、体温で十分な液体吸収能力を有する。
【0058】
本発明のフォームは、「生体吸収性」でありうる。生体吸収性とは、ヒトまたは動物の身体により完全に代謝されうる能力を指す。この能力は、ある種の用途、例えば、フォームが洞または他の身体の腔中に置かれる場合に適している。
【0059】
本発明のフォームは、フォームの全重量基準で、好ましくは、少なくとも99重量%が合成されたものであり、より好ましくは、完全に合成されたものであり、したがって、動物(例えば、コラーゲンおよびゼラチン)または植物(例えば、セルロース)由来の材料を含まない。本発明の完全に合成された生分解性フォームは、口腔上顎洞連絡の閉鎖のために使用された実験において、インプラントの周囲の組織と生体適合的であるように見えた。本明細書に使用する場合、「生体適合的」という用語は、出血している組織などの生物の生きている要素と接触したときに、この組織および生物の生物学的機能になんらの毒性または有害な影響を引き起こさない材料をいう。本発明の止血性フォームは、使用においておよびその後の生分解において、腎臓などの器官に対して検知できる程度の損傷を与えることなくインビボで使用しうることが考えられる。
【0060】
本発明の止血用フォームは、その親水的性質および多孔性構造により、血液を吸収し、傷の治癒の間、適切な位置に保持されるための十分な強度を示す。新しい組織がその吸収性フォームの中に成長しうる。その製造のために用いられたポリウレタンの適切な選択によって制御されうるある期間の後で、本発明の生分解性止血用フォームは、ほとんど残渣を残さない程度に分解し、ついには身体により完全に代謝されうる。
【0061】
本発明の止血用フォームは、円柱状、立方体状、板状、薄片状、またはコーン状などのどのような適切な形状を有しうる。これらの形状のいくつかを、図2に挙げた。(最大直径で)0.5〜4mmのサイズの多孔性の不規則な形の粒子でありうる多孔性薄片を用いて特に優れた結果を得た。本発明との関連においては、多孔性薄片とは、その構造が液体を保持しまたはそれを通過させるに十分な細孔(穴または他の小さな腔)を含むものとして規定されうる。多孔性薄片は過剰な出血を止めるのに有利であり、なぜなら、このような薄片は、外科医が到達することが通常困難であるかまたはほぼ不可能でさえある表面に容易に適用しうるからである。出血している表面に多孔性薄片が適用されると、凝固が始まり、薄片が互いに接着して1つの大きく密な血液凝固を形成する。このことは、以前には可能でなかった治療法を提供する。多孔性薄片が異なるサイズおよび形を有するならば、より高密度に充填し得るので、創傷をよりよく充填できる。
【0062】
本発明の止血用フォームは、出血を止める、特に、過剰な出血を止めるのに適している。この止血用フォームは、歯および臼歯の抜歯、腹腔、耳、鼻または喉における手術(ENT)、および一般の手術、(部分的な)臓器の摘出、腫瘍摘出、ならびに頭蓋における手術および顎顔面の手術などの適用において適切に使用しうる。本発明の止血用フォームはまた、例えば、鼻腔などの、ヒトまたは動物の身体の洞または他の腔を充填するために適切である。止血用フォームのさらなる用途は、インプラント材料、特に軟組織の修復における使用である。
【0063】
さらなる側面において、本発明は、本発明の第1の側面の止血用フォームの調製方法を提供する。この方法は以下の段階をふくむ。
-1,4−ジオキサンまたはトリオキサン、より好ましくは、1,4−ジオキサン中へ第1の態様のポリウレタンを溶解して、ポリウレタン溶液を得る段階、
- 水溶性ポリマーを前記ポリウレタン溶液に添加する段階、
- 場合によりシクロヘキサンを添加する段階、
- 前記のポリウレタン溶液および水溶性ポリマーの混合物を0℃よりも低い温度、好ましくは、−18℃よりも低い温度に冷却し、水溶性ポリマー、ポリウレタン、1,4−ジオキサンまたはトリオキサンのいずれか、およびもし添加された場合にはシクロヘキサンの凍結混合物を得る段階、
- 減圧下で前記の凍結混合物から気相へ、前記の1,4-ジオキサンまたはトリオキサンのいずれかおよびもし添加された場合にはシクロヘキサンの少なくとも一部を昇華させて、本発明の止血用フォームを得る段階。
【0064】
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、これは本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0065】
(実施例1)吸水速度の比較試験
第1のフォームを、PEG親水性セグメントを含む、DLラクチド/ε-カプロラクトンソフト非晶質セグメントに基づくポリウレタンから調製した。ハード結晶性セグメントは、6つのウレタン基(R’、R’’、およびR’’’=Cであり、Q、Q、及びZ〜Z=ウレタンであり、p=1およびq=1である)を含む。第2のフォームを、第1のフォームに用いた同じポリウレタンとポリエチレングリコールとのポリマーブレンドから調製した。第2のフォームのポリマーブレンド中のポリウレタンとポリエチレングリコールと比は、重量で3:1であった。この2つのフォームの血液吸収能力を時間に対して測定し、結果を図3に示した。1分間後、第2のフォームは、血液から、第1のフォームの8倍の量の水を吸収した。さらに、第2のフォームは実質的に吸水後もその圧縮強度を保持していることが観測された。
【0066】
(実施例2)抜歯後の局所的な止血剤としての使用の比較試験
抜歯後の歯槽における局所的な止血剤としてポリウレタンフォームの効力を調べた。試験の設計は、3種の異なる止血剤を比較するための口腔分割(split mouth)試験であった。
【0067】
ポリウレタン(PU)フォームは、最初に合成し且つ(50/50)のDLラクチド/ε-カプロラクトンおよびポリエチレングリコール(PEG)からなるポリエステルソフトセグメント有していた。鎖の延長を行って、5つの均一な長さのウレタン部分を有するポリウレタンセグメントを得た。このポリウレタンポリマーを1,4−ジオキサンに溶解した。ポリマーが完全に溶解したら、PEGを添加した。PEGが完全に溶解したときにシクロヘキサンを添加した。その均一な溶液を−18℃に冷却した後、凍結溶液の凍結乾燥を行って溶媒の結晶を除去し、空孔率が93〜97%の高度に多孔性のフォームを得た。ポリマーブレンド中のポリウレタンとポリエチレングリコールとの比は、重量で3.1であった。このPU(ポリウレタン)フォームを切って1cm片にした。試験試料は直径約9mm、高さ約10mmの円柱状形態であった。このPUフォームを4cmのブリスター中に充填し、酸化エチレンを用いて殺菌した。
【0068】
以下の試剤を試験した。本発明のPUフォーム、スポンゴスタン(Spongostan)(吸収性ゼラチンスポンジ;Johnson & Johnson社、Amersfoort、オランダ)およびヘモコラーゲーン(Hemocollagene)(吸収性コラーゲン止血剤;Septodont社、Brussels、ベルギー)。
【0069】
試験対象集団は、1度に少なくとも2つの抜歯を必要とする60人(18歳より上)の患者であった。その選択された患者群において標準的な傷が2つ得られたので、異なる材料を個々の患者において試験することができた。その選択された患者のそれぞれにおいて、ポリウレタンフォームを試験した。30人の患者においてPUフォームをスポンゴスタン(Spongostan)と比較し、別の30人の患者においてPUフォームをヘモコラーゲーン(Hemocollagene)と比較した。
【0070】
臼歯の抜歯後およびフォームの挿入の前に、血液のベースライン測定を行った。最初の抜歯の後、一方のフォームを歯槽内に置く。それぞれの歯槽においてただ1個のフォームを試験した。除去する前に、2分間フォームを歯槽内に保持した。除去後、フォームを0.2MのEDTA250μlを入れた1.5mlのマイクロチューブ中に入れ、約4℃に保存した。EDTAは血液中のカルシウムと結合し、トロンビンの形成を止めた。二番目の抜歯を上記と同一の手順で行った。すべての試料が入手できたら、MSE Micro Centaur装置を用いて13,000rpmで1分間、その試料を遠心分離にかけた。遠心分離後、200μlの血漿を別の1.5mlのマイクロチューブへ移した。異なる試料中のトロンビンの濃度を、ELISA(トロンビン抗トロンビン錯体)を用いて測定した。
【0071】
トロンビン濃度の他に、異なる試料中のフィブリノーゲン濃度も測定した。
【0072】
図4および5は、様々な試料に対するトロンビンおよびフィブリノーゲンの濃度を示す。本発明のPUフォームは、コラーゲンおよびゼラチンに匹敵する結果を有していた。すべてのフォームが、ベースライン測定と比較して顕著なトロンビン濃度の増加およびフィブリノーゲン濃度の減少を示した。
【0073】
(実施例3)
尾先端試験
16匹のラットを含むこの試験では、止血剤としての様々な材料の有効性を試験した。試験した材料としては、実施例2によるPUフォーム、ゼラチン、コラーゲン、サージセル(Surgicel)(酸化セルロース)およびガーゼである。尾の先を先端から5mmで切断し、試験材料を切断した尾の先端に押しつけた。ネガティブコントロールとしては、何の材料も使わなかった。ネガティブコントロールも含めて試験材料のそれぞれに対する試料の数は、この試験で1匹のラットしか使わなかったサージセル(Surgicel)を除いて3であった。止血までの時間を測定した。図6は、様々な材料の止血結果を示している。PUフォームは試験した材料の中で最も早い凝固を生じさせているようである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ポリマーと、非晶質セグメントおよび結晶性セグメントを含む相分離したポリウレタンとのポリマーブレンドを含む生分解性止血用フォームであって、少なくとも前記非晶質セグメントが親水性セグメントを含む、生分解性止血用フォーム。
【請求項2】
前記水溶性ポリマーの主鎖中の原子の少なくとも50%が親水性基の一部であるかまたは2個以下の原子を介して親水性基に結合している、請求項1に記載の生分解性止血用フォーム。
【請求項3】
前記水溶性ポリマーが、ポリエーテル、ポリペプチド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシメチルメタクリレート)、およびこれらのコポリマーからなる群から選択される、請求項1または2に記載の生分解性止血用フォーム。
【請求項4】
前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコールである、請求項1から3のいずれかに記載の生分解性止血用フォーム。
【請求項5】
前記ポリウレタンが、下式を有する、請求項1から4のいずれかに記載の生分解性止血用フォーム。
【化1】

[式中、Rは、1つまたは複数の脂肪族ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリ酸無水物、および/またはポリカーボネートから選択され、少なくとも1つのRは親水性セグメントを含み;R’、R’’、およびR’’’は、独立に、C〜Cのアルキレンであって、任意選択で場合によりC〜C10のアルキル基または保護されたS、N、P、またはO部分で置換されたC〜C10のアルキル基で置換されていてもよく、および/または前記アルキレン鎖中にS、N、PまたはOを含んでいてもよく;Z〜Zは、独立に、アミド、尿素、またはウレタンであり;QおよびQは独立に、尿素、ウレタン、アミド、カーボネート、エステル、または酸無水物であり;nは、5〜500の整数であり;pおよびqは独立に0または1であり;但し、qが0の場合、Rは、少なくとも1つの結晶性のポリエステル、ポリエーテルエステル、またはポリ酸無水物セグメントと、少なくとも1つの非晶質脂肪族ポリエステル、ポリエーテル、ポリ酸無水物、および/またはポリカーボネートセグメントとの混合物である。]
【請求項6】
〜Zがウレタンである、請求項5に記載のフォーム。
【請求項7】
p=1およびq=1である、請求項5または6に記載のフォーム。
【請求項8】
前記ポリマーブレンドが、重量で、前記ポリウレタンを水溶性ポリマーの0.5から20倍、好ましくは、2から5倍で含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項9】
生体吸収性である、請求項1から8のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項10】
血液で飽和されてもその圧縮強度を実質的に保持している、請求項1から9のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項11】
完全に合成されたものである、請求項1から10のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のフォームを含む多孔性薄片であって、好ましくは0.5〜4mmのサイズであり、好ましくは、前記薄片が異なるサイズや形を有する多孔性薄片。
【請求項13】
ヒトおよび動物の治療法で使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載のフォームまたは薄片。
【請求項14】
前記治療が、出血の抑制、創傷閉鎖、組織癒着の防止、組織再生の支持、またはこれらの組合せを含むものである、請求項13に記載のフォームまたは薄片。
【請求項15】
少なくとも以下の段階:
− 第1の態様に従うポリウレタンを、1,4−ジオキサンまたはトリオキサンのいずれかの中へ溶解して、ポリウレタン溶液を得る段階、
− 水溶性ポリマーを前記ポリウレタン溶液に添加する段階、
− 前記ポリウレタン溶液および水溶性ポリマーの混合物を0℃よりも低い温度に冷却し、水溶性ポリマー、ポリウレタン、および1,4-ジオキサンまたはトリオキサンのいずれかの凍結混合物を得る段階、
− 減圧下で前記凍結混合物から気相へ、前記1,4−ジオキサンまたはトリオキサンのいずれかの少なくとも一部を昇華させて、本発明の止血用フォームを得る段階、
を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のフォームの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527947(P2012−527947A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512988(P2012−512988)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050321
【国際公開番号】WO2010/137981
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511288795)
【Fターム(参考)】