歪補償増幅装置
【課題】 安定した高歪補償量を実現し、かつ経年変化に対しても安定した歪制御を実現し、省スペース、省エネルギー、低価格で歪補償を実現できる歪補償増幅装置を提供する。
【解決手段】 歪補償方式としてアナログプリディストーション方式を採用し、歪補償増幅において、歪発生器13にアンチパラレルダイオードを用いて、それぞれのバイアス点をアンバランスに設定することで3次歪のみを生成するものであり、歪補償量を増やすことで、高効率で素子を使用でき、構成として遅延線、歪増幅器を削除することで、回路規模を小さくして低コスト、省スペース、省エネルギーを実現できる歪補償増幅装置である。
【解決手段】 歪補償方式としてアナログプリディストーション方式を採用し、歪補償増幅において、歪発生器13にアンチパラレルダイオードを用いて、それぞれのバイアス点をアンバランスに設定することで3次歪のみを生成するものであり、歪補償量を増やすことで、高効率で素子を使用でき、構成として遅延線、歪増幅器を削除することで、回路規模を小さくして低コスト、省スペース、省エネルギーを実現できる歪補償増幅装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置の基地局増幅装置、中継器に用いられる歪補償増幅装置に係り、特に、歪補償方式としてアナログプリディストーション回路を用い、回路規模を小さくし、経済性の良い歪補償増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表されるように、近年無線を利用したシステム、例えば、W−CDMA(Wide Band Code Division Multiple Access)、PDC(Personal Digital Cellular)、PHS(Personal Digital Cellular)のシステムは非常に普及している。
【0003】
携帯電話における第3世代のシステムのほとんどが線形変調方式を採用しており、それらの信号の増幅回路にはリニアリティが要求され、また、マルチキャリア増幅に代表されるように、共通増幅を行うことでコスト低減、効率の向上が要求されている。
【0004】
それらの要求に答えるために、歪補償方式を採用した増幅方式が一般的になり、様々な補償方式を採用した増幅装置がある。
歪補償方式は、増幅器で発生する歪みを打ち消すこと(逆の歪みでキャンセルする)で実現される。補償される増幅器で発生した歪みそのものを使う場合(フィードバック、フィードフォワード)と、補償される増幅器とは異なる素子で発生する歪みを用いる場合(プリディストーション)とがある。尚、プリディストーション方式には、アナログ方式とデジタル方式とがある。
【0005】
歪補償方式におけるフィードフォワード方式は、高い歪補償量を実現し、安定した歪み補償を行うことができるという長所があるが、回路規模が大きくなり、コストが高く、効率が悪いという短所がある。
【0006】
また、アナログプリディストーション方式(アナログPD方式)は、回路規模が小さく、コストが低く、効率がよいという長所があるが、歪補償量が少なく、3次歪みしか除去できず、歪み発生回路で3次歪みのみを生成するため遅延線、増幅器が必要になるという短所がある。
【0007】
また、デジタルプリディストーション方式(デジタルPD方式)は、効率が非常によく、高い歪補償量を実現し、生産性がよいという長所があるが、回路規模が大きくなり、アナログ方式と比較してコスト高になるという短所がある。
【0008】
特に、最近、回路規模が小さく、経済性がよいアナログPD方式が見直されてきている。
以下、アナログPD方式を実現する歪補償増幅装置について、図15〜20を参照しながら説明する。図15は、一般的な歪舗装増幅装置の全体構成を示す構成ブロック図であり、図16は、従来のプリディストーション部の構成ブロック図であり、図17は、3次歪発生器の構成図であり、図18は、各部から出力されるAM/PM特性(入力信号に対する出力位相の特性)を示す図であり、図19は、歪み特性を示す図であり、図20は、効率を示す図である。
【0009】
アナログPD方式の歪補償増幅装置は、図15に示すように、プリディストーション部(PD部)1と、主増幅器2とから構成されている。
更に、PD部1は、図16に示すように、分配器11と、遅延線12と、歪発生器13′と、ベクトル調整器14と、増幅器(AMP)15と、合成器16とから構成されている。
そして、ベクトル調整器14は、可変減衰器(可変ATT)14aと、可変位相器14bとから構成されている。
【0010】
PD部1の分配器11に信号が入力されて分配され、一方を遅延線12に、他方を歪発生器13′に出力される。歪発生器13′は、3次歪みのみを発生させるものであり、その出力をベクトル調整器14の可変ATT14aに入力されて減衰量を調整し、可変位相器14bで位相を調整して、AMP15で増幅され、合成器16では、遅延線12からの信号とAMP15からの信号を合成して主増幅器2に出力する。
【0011】
歪発生器13′は、図17に示すように、入力信号の入力端子と出力信号の出力端子を有する結合器(Coupler)13a′を備え、その結合器13a′にはX+X^3の歪みを発生させるX+X^3歪発生回路13b′と、抵抗(R)と容量(C)で構成され、−Xの基本波を発生する基本波反射回路13c′とを備えている。
【0012】
そして、結合器13a′は、入力端子から入力される信号にX+X^3歪発生回路13b′からのX+X^3の歪みを加え、基本波反射回路13c′からの−Xの基本波を結合すると、出力端子からX^3の歪み信号が出力されることになる。
【0013】
尚、図15に示したPD部1における入力に対する出力位相の特性(AM/PM特性)、主増幅器2における入力に対する出力位相の特性、歪補償後の入力に対する出力位相の特性を図18に示す。
このように、主増幅部2での歪みの特性に応じて、PD部1で予めその歪みを打ち消す歪みを発生させることで、歪補償が実現される。
【0014】
また、歪補償増幅装置における入力レベルと出力レベルの関係で、振幅歪み(AM/AM特性)及び位相歪み(AM/PM特性)を示したのが、図19であり、歪補償増幅装置における入力レベルと出力レベルの関係で、振幅と位相の効率を示したのが図20である。
【0015】
尚、先行技術としては、特開2000−244252号「歪み補償装置」(出願人:株式会社日立国際電気)がある。
この歪補償装置は、増幅器で発生する3次歪を補償するものであり、3次歪を発生させる3次歪発生器と位相調整器を備えた4端子電力分配器から構成することで、装置の小型化を図るものである(特許文献1参照)。
【0016】
また、マイクロ波送信装置において用いられるハーモニックミキサ回路について、アンチパラレルダイオードの特性がばらついて出力信号周波数に局部発振信号周波数の2倍の成分が不要波として現れる場合に、中間周波入力端子から直流バイアス電圧を印加することで、不要波を抑圧することが、特開2001−308647「ハーモニックミキサ回路および不要波抑圧方法」に記載されている。
【0017】
【特許文献1】特開2000−244252号公報
【特許文献2】特開2001−308647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、従来のアナログPD方式では、3次歪みしか除去できないという問題点があるため、以下に説明する2種類の方式へのトレードオフ(交換)が必要になっていた。
【0019】
第1の方式として、アナログPDの高歪補償方式であり、3次歪のみを発生させるために、歪発生器に対する入力レベルを下げるものとなっている。
図21を参照しながら具体的に説明する。図21は、歪発生器の入出力特性を示す図である。
図21では、入力電力に対して、発生する3次歪成分(IM3)、5次歪成分(IM5)、7次歪成分(IM7)の状況を示している。
【0020】
図21に示すように、本来、3次歪(X^3)以外は不要であるが、スプリアスとして5次歪(X^5)、7次歪(X^7)が出力されてしまう。そのため、図21において、3次歪のレベルとしてAポイントで使用したいが、実際は5次歪、7次歪のレベルが十分小さいBポイントで歪発生器を動作させている。そして、レベルが足りない分を増幅器で補う方法が採用されている。図21の例では、30dBの必要であり、歪ラインに増幅器を設けるため、主信号のラインに遅延時間を合わせる遅延線が必要となっていた。
【0021】
また、図22は、基本波出力に対する高次歪の関係を示す図である。
3次歪の成分を歪補償したいが、実際には、3次歪の成分には5次歪成分が含まれるから、5次歪の成分が高いと、IM3の歪補償が低下するため、5次歪成分の影響がないレベルまで低くする必要がある。無論、3次歪の成分を削除できれば、5次歪成分も自然に減ることにはなる。
よって、図21と同様に、現状の歪発生器では、入力レベルを低下させて動作させさる必要があった。
【0022】
第1の方式(アナログPD高歪補償方式)を実現する歪補償増幅装置を図23に示す。図23は、アナログPD高歪補償方式の歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
アナログPD高歪補償方式の歪補償増幅装置は、図23に示すように、分配器11と、遅延線(Delay)12と、歪発生器13′と、増幅器(AMP)15と、可変ATT14aと、可変位相器14bと、合成器16と、主増幅器2とから構成されている。
歪発生器13′では、低レベルで動作させるため、3次歪しか発生しないが、増幅器15と遅延線12は必須の構成となり、回路規模が増大する。
【0023】
第2の方式として、アナログPDの低価格方式であり、経済化に主眼をおき、回路規模を小さくし、遅延線、増幅器をPD回路ブロックより削除する。その代償として、3次歪補償が低下するため、被補償増幅器(主増幅器2)の効率が第1の方式より劣化するものである。
【0024】
第2の方式(アナログPD低価格方式)を実現する歪補償増幅装置を図24に示す。図24は、アナログPD低価格方式の歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
アナログPD低価格方式の歪補償増幅装置は、図24に示すように、分配器11と、可変ATT14aと、可変位相器14bと、歪発生器13′と、合成器16と、主増幅器2とから構成されている。
歪発生器13′は、3次歪だけでなく5次歪も発生しているため、歪補償が低下する。その分、主増幅器2では歪特性がよいものが必要になるため、結果的に効率が犠牲となる。但し、増幅器、遅延線を設けていないため、コストを低減できるものである。
【0025】
よって、上記第1及び第2の方式では、高歪補償量を得ると共に、回路規模を小さくして経済的に優れた歪補償増幅装置を同時に実現できるものとはなっていないという問題点があった。
【0026】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、安定した高歪補償量を実現し、かつ経年変化に対しても安定した歪制御を実現し、省スペース、省エネルギー、低価格で歪補償を実現できる歪補償増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、アナログプリディストーション方式の歪補償増幅装置であって、入力信号を分配する分配器と、分配された信号を合成する合成器と、合成器の出力側に設けた主増幅器とを備え、分配器と合成器との間に、振幅及び位相を制御するベクトル調整器と、3次歪を発生させる歪発生器とを設け、歪発生器でバイアス電圧を印加してアンバランス状態を実現し、3次歪以外の歪成分をキャンセルされるようにしたことを特徴とする。
【0028】
本発明は、上記歪補償増幅装置において、歪発生器は、アンチパラレルダイオードを用い、アンチパラレルダイオードへの順バイアス、逆バイアスが調整されるよう可変のバイアス電圧を印加することを特徴とする。
【0029】
本発明は、上記歪補償増幅装置において、温度変化に対応してベクトル調整器を制御する制御部を設けたことを特徴とする。
【0030】
本発明は、上記歪補償増幅装置において、主増幅器からの出力信号の歪に応じてベクトル調整器を制御する制御部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、アナログプリディストーション方式の歪補償増幅装置であって、入力信号を分配する分配器と、分配された信号を合成する合成器と、合成器の出力側に設けた主増幅器とを備え、分配器と合成器との間に、振幅及び位相を制御するベクトル調整器と、3次歪を発生させる歪発生器とを設け、歪発生器でバイアス電圧を印加してアンバランス状態を実現し、3次歪以外の歪成分をキャンセルされるようにしたものとしているので、安定した高歪補償量を実現し、かつ経年変化に対しても安定した歪制御を実現し、省スペース、省エネルギー、低価格で歪補償を実現できる効果がある。
【0032】
本発明によれば、歪発生器は、アンチパラレルダイオードを用い、アンチパラレルダイオードへの順バイアス、逆バイアスが調整されるよう可変のバイアス電圧を印加する上記歪補償増幅装置としているので、簡易な構成で安定した高歪補償量を実現できる効果がある。
【0033】
本発明によれば、温度変化に対応してベクトル調整器を制御する制御部を設けた上記歪補償増幅装置としているので、温度変化に対応して安定した高歪補償量を実現できる効果がある。
【0034】
本発明によれば、主増幅器からの出力信号の歪に応じてベクトル調整器を制御する制御部を設けた上記歪補償増幅装置としているので、主増幅器からの歪に応じて安定した高歪補償量を実現できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係る歪補償増幅装置は、歪補償方式としてアナログプリディストーション(アナログPD)方式を採用し、歪補償増幅において、歪発生器にアンチパラレルダイオードを用いて、それぞれのバイアス点をアンバランスに設定することで3次歪のみを生成するものであり、歪補償量を増やすことで、高効率で素子を使用でき、構成として遅延線、歪増幅器を削除することで、回路規模を小さくして低コスト、省スペース、省エネルギーを実現できる。
【0036】
また、本発明の実施の形態に係る歪補償増幅装置は、歪成分を独立に制御するようにしているので、安定した高歪補償量を実現し、かつ経年変化に対しても安定した歪制御を実現できるものである。
【0037】
本発明の第1の実施の形態に係る歪補償増幅装置について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る歪補償増幅装置の構成ブロック図である。尚、図15,16と同様の構成をとる部分については同一の符号を付して説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る歪補償増幅装置(第1の装置)は、図1に示すように、分配器11と、可変減衰器(可変ATT)14aと、可変位相器14bと、歪発生器13と、合成器16と、主増幅器2とから構成されている。
分配器11からの一方の出力側に可変ATT14aと可変位相器14bとを設け、分配器11からの他方の出力側に歪発生器13を設けた構成としている。
【0038】
特に、本実施の形態に係る歪発生器13は、高レベルで3次歪(X^3)しか発生しないようになっているため、従来の高歪補償方式で必要とされた遅延線、増幅器が不要である。
【0039】
尚、ベクトル調整器となる可変ATT14aと可変位相器14bは、任意の位置に設けられてよいから、図2に示すような別の実施の形態とすることもできる。
【0040】
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
本発明の第2の実施の形態に係る歪補償増幅装置(第2の装置)は、図2に示すように、分配器11と、可変位相器14bと、歪発生器13と、可変減衰器(可変ATT)14aと、合成器16と、主増幅器2とから構成されている。
分配器11からの一方の出力側に可変位相器14bを設け、分配器11からの他方の出力側に歪発生器13と可変ATT14aを設けた構成としている。
【0041】
次に、第1又は第2の装置における歪発生器の入出力特性について図3を参照しながら説明する。図3は、本歪発生器の理想的な入出力特性を示す図である。
図3に示すように、発生する3次歪成分(IM3)のAポイント(−50dBm)において、5次歪(X^5)成分(IM5)や7次歪成分のレベルは非常に低いものとなっているから、3次歪成分のみが発生していることになる。
【0042】
次に、第1又は第2の装置における歪発生器13について図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る歪発生器の構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る歪発生器(本歪発生器)は、図4に示すように、結合器(Coupler)13aと、X+X^3歪発生回路13bと、基本波反射回路13cとから構成されている。
【0043】
本歪発生器13の結合器13aは、入力信号の入力端子と、出力信号の出力端子と、X+X^3歪発生回路13bへの接続端子と、基本波反射回路13cへの接続端子を備えている。
そして、結合器13aは、入力端子から入力される信号にX+X^3歪発生回路13bからのX+X^3の歪みを加え、基本波反射回路13cからの−Xの基本波を結合すると、出力端子からX^3の歪み信号のみが出力されることになる。
【0044】
基本波反射回路13cは、抵抗(R)と容量(C)で構成され、−Xの基本波を発生させ、結合器13aに出力するものである。
【0045】
X+X^3歪発生回路13bは、X+X^3の歪みを発生させ、結合器13aに出力するものである。
特に、本実施の形態におけるX+X^3歪発生回路13bは、本発明の特徴部分であり、上述したとおおり、高レベルで高歪補償量を実現すると共に、5次、7次の歪成分を発生させず、3次歪成分のみを発生させるものである。これにより、遅延線、増幅器が不要となる。
【0046】
次に、X+X^3歪発生回路13bの2つの構成について図5,6を参照しながら説明する。図5は、X+X^3歪発生回路の第1例を示す回路図であり、図6は、X+X^3歪発生回路の第2例を示す回路図である。
【0047】
第1例は、図5に示すように、アンチパラレルダイオードの一端を接地し、他端を容量C1 を介して結合器13aへの接続端子とし、容量C1 とアンチパラレルダイオードの他端との間に、抵抗R2 を介してバイアス電圧を印加し、また抵抗R1 を介して接地する構成である。
【0048】
ここで、ダイオードに順バイアス、逆バイアスを印加することにより、アンチパラレルダイオードは、バランスを崩し、それにより、5次歪がキャンセルされるよう作用するものである。詳しい原理は、後述する。
【0049】
第2例は、図6に示すように、アンチパラレルダイオードの接地側に容量C2 と容量C3 をそれぞれ設け、その容量Cとダイオードとの間に抵抗R2 を介してバイアス電圧を印加すると共に抵抗R3 を介してバイアス電圧を印加するものである。
また、アンチパラレルダイオードの接続端子側には容量C1 を設けると共に、アンチパラレルダイオードと容量C1 との間を抵抗R1 を介して接地する。
図6の回路でも、両方のバイアス電圧印加によってアンチパラレルダイオードは、バランスを崩し、それにより、5次歪がキャンセルされるよう作用する。
【0050】
ここで、アンチパラレルダイオードをアンバランスバイアス動作させて、歪発生を実現する原理について説明する。
まず、通常のアンチパラレルダイオードの電流特性について図7を参照しながら説明する。図7は、アンチパラレルダイオードの電流特性を説明するための概略図である。
【0051】
図7に示すように、一方のダイオードのアノード側が接地され、他方のダイオードのカソード側が接地され、一方のダイオードのカソード側と他方のダイオードのアノード側とが連結する連結部分に電流i1 +i2 が流れる端子が接続している構成となっている。
つまり、アンチパラレルダイオードに電流i1 +i2 が流れると、図中、右側のダイオードでは図中、下から上に電流i1 が流れ、図中、左側のダイオードでは図中、上から下に電流i2 が流れる。
ここで、電流i1 +i2 を以下の[数1]のように書き替える。
【0052】
【数1】
【0053】
そして、av=xとおくと、eavは[数2]のように展開され、e-avは[数3]のように展開される。
【0054】
【数2】
【0055】
【数3】
【0056】
すると、[数2]と[数3]とにより、ex-e-xは以下の[数4]のようになる。
【0057】
【数4】
【0058】
尚、上記aについては、以下の[数5]の関係にある。但し、qは熱容量で、kはボルツマン定数、Tは温度を示している。
【0059】
【数5】
【0060】
上記[数4]の式から、偶数次の項がキャンセルされていることが分かる。
このように、アンチパラレルダイオードを用いることで、奇数次の歪発生器を実現できる回路となっている。
更に、本実施の形態では、このアンチパラレルダイオードを意図的にバイアスをアンバランスにする回路を付加することで、3次歪のみを発生させることができる回路にしている。
【0061】
次に、アンチパラレルダイオードを意図的にバイアスをアンバランスにする構成について図8を参照しながら説明する。図8は、アンチパラレルダイオードにバイアス印加する回路図である。尚、図8は、図7を基にバイアス印加の構成を付加したものである。
図8に示すように、電流i1 が流れるダイオードのアノード側が接地し、電流i2 が流れるダイオードのカソード側が接地し、電流i1 が流れるダイオードのカソード側と電流i2 が流れるダイオードのアノード側の連結部分に電流i1 +i2 が流れる端子が接続しており、その端子に一方が抵抗を介して可変のバイアス電圧が印加され、その端子の他方が抵抗を介して接地されている構成となっている。
【0062】
図8に示した構成において、ダイオードに順バイアス、逆バイアスを印加することにより、アンチパラレルダイオードは、バランスを崩し、バランスされた歪カーブに符号反転した5次の歪を付加したことと等価になる。
【0063】
ここで、この新しい符号反転した5次の歪とアンチパラレルダイオードが持つ5次の歪とがキャンセルさせるように、順バイアス、逆バイアスを調整する。当然、3次歪も若干変化するが、図1及び図2に示すように、3次歪レベルを調整する可変ATT14aがあるので問題はない。
【0064】
そして、図4の歪発生回路において、基本波成分(X)は、基本波反射回路で発生した負の基本波成分(−X)により結合器13aでキャンセルされ、理想的な3次歪(X^3)を発生させるものである。
【0065】
本実施の形態の歪発生器を用いることで、高レベルの3次歪のみの発生が可能となるため、歪発生回路に入力するレベルを低減させることなく使用できる。
また、3次歪のレベルが高いことから、従来技術で必要であった増幅器が削除でき、それに伴い遅延線も削除できるものである。結果として、図1及び図2の装置のように、本発明の目的であった少スペース、高歪補償量、低コストな歪補償増幅装置を実現できる。
【0066】
本実施の形態に係る歪発生器の入出力特性を図9に示す。図9は、歪発生器の5次歪低減特性を示す図である。
図9に示すように、バイアス電圧7.6Vでは、3次、5次の歪は出るものの、バイアス電圧5.7Vでは、5次歪がキャンセルされているものである。
【0067】
また、本実施の形態に係る歪発生器からの出力波形を図10に、比較のために従来の歪発生器の出力波形を図11に示す。図10は、本実施の形態に係る歪発生器からの出力波形を示す図であり、図11は、従来の歪発生器の出力波形を示す図である。
図10と図11を比較すると、図11には5次歪が現れているが、図10には5次歪がキャンセルされている様子が分かるものである。
【0068】
また、第1及び第2の装置(歪補償増幅装置)からの出力波形を図12に示す。図12は、本実施の形態に係る歪補償増幅装置の出力波形を示す図である。
歪補償ありの場合は、波形がきれいな矩形となっているが、歪補償なしの場合は、波形凸部の両端が膨らんだ形となっている。
【0069】
第1の装置を用いて、温度変化に対応した歪補償増幅装置とすることも可能である。この歪補償増幅装置について図13を参照しながら説明する。図13は、温度変化に対応した歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
図13に示すように、温度変化に対応した歪補償増幅装置は、図1の構成に加えて、MPU(Micro Processor Unit:マイコン)17と、アナログ/デジタル変換器(ADC)18と、温度センサ(TEMP)19とを備えている。
【0070】
TEMP19は、本装置の近辺の温度を測定し、測定値(アナログ値)をADC18に出力する。
ADC18は、TEMP19からの測定値をデジタル変換してMPU17に出力する。
MPU17は、制御部であり、内部に温度データに対して最適位相・振幅のデータを対応づけた温度データテーブルを記憶しており、ADC18からの温度データに対応する最適な位相・振幅データを当該温度データテーブルから読み込み、読み取った最適振幅データで可変ATT14aを制御し、読み取った最適位相データで可変位相器14bを制御するものである。
【0071】
尚、図13は、図1の歪補償増幅装置を応用して構成したが、図2の歪補償増幅装置を応用して構成してもよい。
【0072】
また、第1の装置を用いて、主増幅器からの出力から歪を検出して歪低減を実現する歪補償増幅装置とすることも可能である。この歪補償増幅装置について図14を参照しながら説明する。図14は、主増幅器からの出力から歪を検出して歪低減を実現する歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
図13に示すように、歪低減を実現する歪補償増幅装置は、図1の構成に加えて、MPU(Micro Processor Unit:マイコン)17と、アナログ/デジタル変換器(ADC)18と、波形検出回路20と、発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)21と、同期回路(SYN)22と、乗算器23と、分配器24とを備えている。
【0073】
分配器24は、主増幅器2からの出力を入力し、分配して乗算器23に出力する。
発振器21は、同期回路22からの指示により、主増幅器2から出力される信号の周波数に対応する搬送波の周波数を発振する。
乗算器23は、同期回路22からの信号と分配器24からの信号を乗算し、搬送波成分を除去して歪成分を波形検出回路20に出力する。
波形検出回路20は、歪成分の波形を検出し、アナログの検出信号をADC18に出力する。
ADC18は、波形信号をデジタル信号に変換し、MPU17に出力する。
【0074】
MPU17は、ADC18から出力された歪信号のデータから歪成分を低減させるための振幅データ及び位相データを算出し、算出した振幅データで可変ATT14aを制御し、算出した位相データで可変位相器14bを制御するものである。
上記では、可変ATT14a及び可変位相器14bを制御するデータをMPU17で算出するようにしたが、図13のように、歪信号のデータに対して最適に制御するための振幅データ及び位相データをテーブルで記憶させておき、そのテーブルから読み取って可変ATT14a及び可変位相器14bを制御するようにしてもよい。
【0075】
尚、図14は、図1の歪補償増幅装置を応用して構成したが、図2の歪補償増幅装置を応用して構成してもよい。
【0076】
本実施の形態の歪補償増幅装置によれば、遅延線、増幅器を用いないで高歪補償量を得ることができるので、高効率で素子を使用でき、省エネルギー設計、低価格設計、少スペース設計を実現できる効果がある。
【0077】
また歪補償制御として、歪成分を独立に制御できるので、安定した歪補償動作が可能となり、信頼性を向上でき、経年変化に強い歪補償動作が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、安定した高歪補償量を実現し、かつ経年変化に対しても安定した歪制御を実現し、省スペース、省エネルギー、低価格で歪補償を実現できる歪補償増幅装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【図3】本歪発生器の理想的な入出力特性を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る歪発生器の構成ブロック図である。
【図5】X+X^3歪発生回路の第1例を示す回路図である。
【図6】X+X^3歪発生回路の第2例を示す回路図である。
【図7】アンチパラレルダイオードの電流特性を説明するための概略図である。
【図8】アンチパラレルダイオードにバイアス印加する回路図である。
【図9】歪発生器の5次歪低減特性を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る歪発生器からの出力波形を示す図でである。
【図11】従来の歪発生器の出力波形を示す図である。
【図12】本実施の形態に係る歪補償増幅装置の出力波形を示す図である。
【図13】温度変化に対応した歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【図14】主増幅器からの出力から歪を検出して歪低減を実現する歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【図15】一般的な歪舗装増幅装置の全体構成を示す構成ブロック図でである。
【図16】従来のプリディストーション部の構成ブロック図でである。
【図17】3次歪発生器の構成図でである。
【図18】各部から出力されるAM/PM特性(入力信号に対する出力位相の特性)を示す図でである。
【図19】歪み特性を示す図でである。
【図20】効率を示す図である。
【図21】歪発生器の入出力特性を示す図である。
【図22】基本波出力に対する高次歪の関係を示す図である。
【図23】アナログPD高歪補償方式の歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【図24】アナログPD低価格方式の歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0080】
1…PD部、 2…主増幅器、 11…分配器、 12…遅延線、 13…歪発生器、 13a…結合器、 13b…X+X^3歪発生回路、 13c…基本波反射回路、 14…ベクトル調整器、 14a…可変ATT、 14b…可変位相器、 15…増幅器、 16…合成器、 17…MPU、 18…ADC、 19…温度センサ、 20…波形検出回路、 21…発振器、 22…同期回路、 23…乗算器、 24…分配器
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置の基地局増幅装置、中継器に用いられる歪補償増幅装置に係り、特に、歪補償方式としてアナログプリディストーション回路を用い、回路規模を小さくし、経済性の良い歪補償増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表されるように、近年無線を利用したシステム、例えば、W−CDMA(Wide Band Code Division Multiple Access)、PDC(Personal Digital Cellular)、PHS(Personal Digital Cellular)のシステムは非常に普及している。
【0003】
携帯電話における第3世代のシステムのほとんどが線形変調方式を採用しており、それらの信号の増幅回路にはリニアリティが要求され、また、マルチキャリア増幅に代表されるように、共通増幅を行うことでコスト低減、効率の向上が要求されている。
【0004】
それらの要求に答えるために、歪補償方式を採用した増幅方式が一般的になり、様々な補償方式を採用した増幅装置がある。
歪補償方式は、増幅器で発生する歪みを打ち消すこと(逆の歪みでキャンセルする)で実現される。補償される増幅器で発生した歪みそのものを使う場合(フィードバック、フィードフォワード)と、補償される増幅器とは異なる素子で発生する歪みを用いる場合(プリディストーション)とがある。尚、プリディストーション方式には、アナログ方式とデジタル方式とがある。
【0005】
歪補償方式におけるフィードフォワード方式は、高い歪補償量を実現し、安定した歪み補償を行うことができるという長所があるが、回路規模が大きくなり、コストが高く、効率が悪いという短所がある。
【0006】
また、アナログプリディストーション方式(アナログPD方式)は、回路規模が小さく、コストが低く、効率がよいという長所があるが、歪補償量が少なく、3次歪みしか除去できず、歪み発生回路で3次歪みのみを生成するため遅延線、増幅器が必要になるという短所がある。
【0007】
また、デジタルプリディストーション方式(デジタルPD方式)は、効率が非常によく、高い歪補償量を実現し、生産性がよいという長所があるが、回路規模が大きくなり、アナログ方式と比較してコスト高になるという短所がある。
【0008】
特に、最近、回路規模が小さく、経済性がよいアナログPD方式が見直されてきている。
以下、アナログPD方式を実現する歪補償増幅装置について、図15〜20を参照しながら説明する。図15は、一般的な歪舗装増幅装置の全体構成を示す構成ブロック図であり、図16は、従来のプリディストーション部の構成ブロック図であり、図17は、3次歪発生器の構成図であり、図18は、各部から出力されるAM/PM特性(入力信号に対する出力位相の特性)を示す図であり、図19は、歪み特性を示す図であり、図20は、効率を示す図である。
【0009】
アナログPD方式の歪補償増幅装置は、図15に示すように、プリディストーション部(PD部)1と、主増幅器2とから構成されている。
更に、PD部1は、図16に示すように、分配器11と、遅延線12と、歪発生器13′と、ベクトル調整器14と、増幅器(AMP)15と、合成器16とから構成されている。
そして、ベクトル調整器14は、可変減衰器(可変ATT)14aと、可変位相器14bとから構成されている。
【0010】
PD部1の分配器11に信号が入力されて分配され、一方を遅延線12に、他方を歪発生器13′に出力される。歪発生器13′は、3次歪みのみを発生させるものであり、その出力をベクトル調整器14の可変ATT14aに入力されて減衰量を調整し、可変位相器14bで位相を調整して、AMP15で増幅され、合成器16では、遅延線12からの信号とAMP15からの信号を合成して主増幅器2に出力する。
【0011】
歪発生器13′は、図17に示すように、入力信号の入力端子と出力信号の出力端子を有する結合器(Coupler)13a′を備え、その結合器13a′にはX+X^3の歪みを発生させるX+X^3歪発生回路13b′と、抵抗(R)と容量(C)で構成され、−Xの基本波を発生する基本波反射回路13c′とを備えている。
【0012】
そして、結合器13a′は、入力端子から入力される信号にX+X^3歪発生回路13b′からのX+X^3の歪みを加え、基本波反射回路13c′からの−Xの基本波を結合すると、出力端子からX^3の歪み信号が出力されることになる。
【0013】
尚、図15に示したPD部1における入力に対する出力位相の特性(AM/PM特性)、主増幅器2における入力に対する出力位相の特性、歪補償後の入力に対する出力位相の特性を図18に示す。
このように、主増幅部2での歪みの特性に応じて、PD部1で予めその歪みを打ち消す歪みを発生させることで、歪補償が実現される。
【0014】
また、歪補償増幅装置における入力レベルと出力レベルの関係で、振幅歪み(AM/AM特性)及び位相歪み(AM/PM特性)を示したのが、図19であり、歪補償増幅装置における入力レベルと出力レベルの関係で、振幅と位相の効率を示したのが図20である。
【0015】
尚、先行技術としては、特開2000−244252号「歪み補償装置」(出願人:株式会社日立国際電気)がある。
この歪補償装置は、増幅器で発生する3次歪を補償するものであり、3次歪を発生させる3次歪発生器と位相調整器を備えた4端子電力分配器から構成することで、装置の小型化を図るものである(特許文献1参照)。
【0016】
また、マイクロ波送信装置において用いられるハーモニックミキサ回路について、アンチパラレルダイオードの特性がばらついて出力信号周波数に局部発振信号周波数の2倍の成分が不要波として現れる場合に、中間周波入力端子から直流バイアス電圧を印加することで、不要波を抑圧することが、特開2001−308647「ハーモニックミキサ回路および不要波抑圧方法」に記載されている。
【0017】
【特許文献1】特開2000−244252号公報
【特許文献2】特開2001−308647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、従来のアナログPD方式では、3次歪みしか除去できないという問題点があるため、以下に説明する2種類の方式へのトレードオフ(交換)が必要になっていた。
【0019】
第1の方式として、アナログPDの高歪補償方式であり、3次歪のみを発生させるために、歪発生器に対する入力レベルを下げるものとなっている。
図21を参照しながら具体的に説明する。図21は、歪発生器の入出力特性を示す図である。
図21では、入力電力に対して、発生する3次歪成分(IM3)、5次歪成分(IM5)、7次歪成分(IM7)の状況を示している。
【0020】
図21に示すように、本来、3次歪(X^3)以外は不要であるが、スプリアスとして5次歪(X^5)、7次歪(X^7)が出力されてしまう。そのため、図21において、3次歪のレベルとしてAポイントで使用したいが、実際は5次歪、7次歪のレベルが十分小さいBポイントで歪発生器を動作させている。そして、レベルが足りない分を増幅器で補う方法が採用されている。図21の例では、30dBの必要であり、歪ラインに増幅器を設けるため、主信号のラインに遅延時間を合わせる遅延線が必要となっていた。
【0021】
また、図22は、基本波出力に対する高次歪の関係を示す図である。
3次歪の成分を歪補償したいが、実際には、3次歪の成分には5次歪成分が含まれるから、5次歪の成分が高いと、IM3の歪補償が低下するため、5次歪成分の影響がないレベルまで低くする必要がある。無論、3次歪の成分を削除できれば、5次歪成分も自然に減ることにはなる。
よって、図21と同様に、現状の歪発生器では、入力レベルを低下させて動作させさる必要があった。
【0022】
第1の方式(アナログPD高歪補償方式)を実現する歪補償増幅装置を図23に示す。図23は、アナログPD高歪補償方式の歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
アナログPD高歪補償方式の歪補償増幅装置は、図23に示すように、分配器11と、遅延線(Delay)12と、歪発生器13′と、増幅器(AMP)15と、可変ATT14aと、可変位相器14bと、合成器16と、主増幅器2とから構成されている。
歪発生器13′では、低レベルで動作させるため、3次歪しか発生しないが、増幅器15と遅延線12は必須の構成となり、回路規模が増大する。
【0023】
第2の方式として、アナログPDの低価格方式であり、経済化に主眼をおき、回路規模を小さくし、遅延線、増幅器をPD回路ブロックより削除する。その代償として、3次歪補償が低下するため、被補償増幅器(主増幅器2)の効率が第1の方式より劣化するものである。
【0024】
第2の方式(アナログPD低価格方式)を実現する歪補償増幅装置を図24に示す。図24は、アナログPD低価格方式の歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
アナログPD低価格方式の歪補償増幅装置は、図24に示すように、分配器11と、可変ATT14aと、可変位相器14bと、歪発生器13′と、合成器16と、主増幅器2とから構成されている。
歪発生器13′は、3次歪だけでなく5次歪も発生しているため、歪補償が低下する。その分、主増幅器2では歪特性がよいものが必要になるため、結果的に効率が犠牲となる。但し、増幅器、遅延線を設けていないため、コストを低減できるものである。
【0025】
よって、上記第1及び第2の方式では、高歪補償量を得ると共に、回路規模を小さくして経済的に優れた歪補償増幅装置を同時に実現できるものとはなっていないという問題点があった。
【0026】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、安定した高歪補償量を実現し、かつ経年変化に対しても安定した歪制御を実現し、省スペース、省エネルギー、低価格で歪補償を実現できる歪補償増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、アナログプリディストーション方式の歪補償増幅装置であって、入力信号を分配する分配器と、分配された信号を合成する合成器と、合成器の出力側に設けた主増幅器とを備え、分配器と合成器との間に、振幅及び位相を制御するベクトル調整器と、3次歪を発生させる歪発生器とを設け、歪発生器でバイアス電圧を印加してアンバランス状態を実現し、3次歪以外の歪成分をキャンセルされるようにしたことを特徴とする。
【0028】
本発明は、上記歪補償増幅装置において、歪発生器は、アンチパラレルダイオードを用い、アンチパラレルダイオードへの順バイアス、逆バイアスが調整されるよう可変のバイアス電圧を印加することを特徴とする。
【0029】
本発明は、上記歪補償増幅装置において、温度変化に対応してベクトル調整器を制御する制御部を設けたことを特徴とする。
【0030】
本発明は、上記歪補償増幅装置において、主増幅器からの出力信号の歪に応じてベクトル調整器を制御する制御部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、アナログプリディストーション方式の歪補償増幅装置であって、入力信号を分配する分配器と、分配された信号を合成する合成器と、合成器の出力側に設けた主増幅器とを備え、分配器と合成器との間に、振幅及び位相を制御するベクトル調整器と、3次歪を発生させる歪発生器とを設け、歪発生器でバイアス電圧を印加してアンバランス状態を実現し、3次歪以外の歪成分をキャンセルされるようにしたものとしているので、安定した高歪補償量を実現し、かつ経年変化に対しても安定した歪制御を実現し、省スペース、省エネルギー、低価格で歪補償を実現できる効果がある。
【0032】
本発明によれば、歪発生器は、アンチパラレルダイオードを用い、アンチパラレルダイオードへの順バイアス、逆バイアスが調整されるよう可変のバイアス電圧を印加する上記歪補償増幅装置としているので、簡易な構成で安定した高歪補償量を実現できる効果がある。
【0033】
本発明によれば、温度変化に対応してベクトル調整器を制御する制御部を設けた上記歪補償増幅装置としているので、温度変化に対応して安定した高歪補償量を実現できる効果がある。
【0034】
本発明によれば、主増幅器からの出力信号の歪に応じてベクトル調整器を制御する制御部を設けた上記歪補償増幅装置としているので、主増幅器からの歪に応じて安定した高歪補償量を実現できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係る歪補償増幅装置は、歪補償方式としてアナログプリディストーション(アナログPD)方式を採用し、歪補償増幅において、歪発生器にアンチパラレルダイオードを用いて、それぞれのバイアス点をアンバランスに設定することで3次歪のみを生成するものであり、歪補償量を増やすことで、高効率で素子を使用でき、構成として遅延線、歪増幅器を削除することで、回路規模を小さくして低コスト、省スペース、省エネルギーを実現できる。
【0036】
また、本発明の実施の形態に係る歪補償増幅装置は、歪成分を独立に制御するようにしているので、安定した高歪補償量を実現し、かつ経年変化に対しても安定した歪制御を実現できるものである。
【0037】
本発明の第1の実施の形態に係る歪補償増幅装置について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る歪補償増幅装置の構成ブロック図である。尚、図15,16と同様の構成をとる部分については同一の符号を付して説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る歪補償増幅装置(第1の装置)は、図1に示すように、分配器11と、可変減衰器(可変ATT)14aと、可変位相器14bと、歪発生器13と、合成器16と、主増幅器2とから構成されている。
分配器11からの一方の出力側に可変ATT14aと可変位相器14bとを設け、分配器11からの他方の出力側に歪発生器13を設けた構成としている。
【0038】
特に、本実施の形態に係る歪発生器13は、高レベルで3次歪(X^3)しか発生しないようになっているため、従来の高歪補償方式で必要とされた遅延線、増幅器が不要である。
【0039】
尚、ベクトル調整器となる可変ATT14aと可変位相器14bは、任意の位置に設けられてよいから、図2に示すような別の実施の形態とすることもできる。
【0040】
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
本発明の第2の実施の形態に係る歪補償増幅装置(第2の装置)は、図2に示すように、分配器11と、可変位相器14bと、歪発生器13と、可変減衰器(可変ATT)14aと、合成器16と、主増幅器2とから構成されている。
分配器11からの一方の出力側に可変位相器14bを設け、分配器11からの他方の出力側に歪発生器13と可変ATT14aを設けた構成としている。
【0041】
次に、第1又は第2の装置における歪発生器の入出力特性について図3を参照しながら説明する。図3は、本歪発生器の理想的な入出力特性を示す図である。
図3に示すように、発生する3次歪成分(IM3)のAポイント(−50dBm)において、5次歪(X^5)成分(IM5)や7次歪成分のレベルは非常に低いものとなっているから、3次歪成分のみが発生していることになる。
【0042】
次に、第1又は第2の装置における歪発生器13について図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る歪発生器の構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る歪発生器(本歪発生器)は、図4に示すように、結合器(Coupler)13aと、X+X^3歪発生回路13bと、基本波反射回路13cとから構成されている。
【0043】
本歪発生器13の結合器13aは、入力信号の入力端子と、出力信号の出力端子と、X+X^3歪発生回路13bへの接続端子と、基本波反射回路13cへの接続端子を備えている。
そして、結合器13aは、入力端子から入力される信号にX+X^3歪発生回路13bからのX+X^3の歪みを加え、基本波反射回路13cからの−Xの基本波を結合すると、出力端子からX^3の歪み信号のみが出力されることになる。
【0044】
基本波反射回路13cは、抵抗(R)と容量(C)で構成され、−Xの基本波を発生させ、結合器13aに出力するものである。
【0045】
X+X^3歪発生回路13bは、X+X^3の歪みを発生させ、結合器13aに出力するものである。
特に、本実施の形態におけるX+X^3歪発生回路13bは、本発明の特徴部分であり、上述したとおおり、高レベルで高歪補償量を実現すると共に、5次、7次の歪成分を発生させず、3次歪成分のみを発生させるものである。これにより、遅延線、増幅器が不要となる。
【0046】
次に、X+X^3歪発生回路13bの2つの構成について図5,6を参照しながら説明する。図5は、X+X^3歪発生回路の第1例を示す回路図であり、図6は、X+X^3歪発生回路の第2例を示す回路図である。
【0047】
第1例は、図5に示すように、アンチパラレルダイオードの一端を接地し、他端を容量C1 を介して結合器13aへの接続端子とし、容量C1 とアンチパラレルダイオードの他端との間に、抵抗R2 を介してバイアス電圧を印加し、また抵抗R1 を介して接地する構成である。
【0048】
ここで、ダイオードに順バイアス、逆バイアスを印加することにより、アンチパラレルダイオードは、バランスを崩し、それにより、5次歪がキャンセルされるよう作用するものである。詳しい原理は、後述する。
【0049】
第2例は、図6に示すように、アンチパラレルダイオードの接地側に容量C2 と容量C3 をそれぞれ設け、その容量Cとダイオードとの間に抵抗R2 を介してバイアス電圧を印加すると共に抵抗R3 を介してバイアス電圧を印加するものである。
また、アンチパラレルダイオードの接続端子側には容量C1 を設けると共に、アンチパラレルダイオードと容量C1 との間を抵抗R1 を介して接地する。
図6の回路でも、両方のバイアス電圧印加によってアンチパラレルダイオードは、バランスを崩し、それにより、5次歪がキャンセルされるよう作用する。
【0050】
ここで、アンチパラレルダイオードをアンバランスバイアス動作させて、歪発生を実現する原理について説明する。
まず、通常のアンチパラレルダイオードの電流特性について図7を参照しながら説明する。図7は、アンチパラレルダイオードの電流特性を説明するための概略図である。
【0051】
図7に示すように、一方のダイオードのアノード側が接地され、他方のダイオードのカソード側が接地され、一方のダイオードのカソード側と他方のダイオードのアノード側とが連結する連結部分に電流i1 +i2 が流れる端子が接続している構成となっている。
つまり、アンチパラレルダイオードに電流i1 +i2 が流れると、図中、右側のダイオードでは図中、下から上に電流i1 が流れ、図中、左側のダイオードでは図中、上から下に電流i2 が流れる。
ここで、電流i1 +i2 を以下の[数1]のように書き替える。
【0052】
【数1】
【0053】
そして、av=xとおくと、eavは[数2]のように展開され、e-avは[数3]のように展開される。
【0054】
【数2】
【0055】
【数3】
【0056】
すると、[数2]と[数3]とにより、ex-e-xは以下の[数4]のようになる。
【0057】
【数4】
【0058】
尚、上記aについては、以下の[数5]の関係にある。但し、qは熱容量で、kはボルツマン定数、Tは温度を示している。
【0059】
【数5】
【0060】
上記[数4]の式から、偶数次の項がキャンセルされていることが分かる。
このように、アンチパラレルダイオードを用いることで、奇数次の歪発生器を実現できる回路となっている。
更に、本実施の形態では、このアンチパラレルダイオードを意図的にバイアスをアンバランスにする回路を付加することで、3次歪のみを発生させることができる回路にしている。
【0061】
次に、アンチパラレルダイオードを意図的にバイアスをアンバランスにする構成について図8を参照しながら説明する。図8は、アンチパラレルダイオードにバイアス印加する回路図である。尚、図8は、図7を基にバイアス印加の構成を付加したものである。
図8に示すように、電流i1 が流れるダイオードのアノード側が接地し、電流i2 が流れるダイオードのカソード側が接地し、電流i1 が流れるダイオードのカソード側と電流i2 が流れるダイオードのアノード側の連結部分に電流i1 +i2 が流れる端子が接続しており、その端子に一方が抵抗を介して可変のバイアス電圧が印加され、その端子の他方が抵抗を介して接地されている構成となっている。
【0062】
図8に示した構成において、ダイオードに順バイアス、逆バイアスを印加することにより、アンチパラレルダイオードは、バランスを崩し、バランスされた歪カーブに符号反転した5次の歪を付加したことと等価になる。
【0063】
ここで、この新しい符号反転した5次の歪とアンチパラレルダイオードが持つ5次の歪とがキャンセルさせるように、順バイアス、逆バイアスを調整する。当然、3次歪も若干変化するが、図1及び図2に示すように、3次歪レベルを調整する可変ATT14aがあるので問題はない。
【0064】
そして、図4の歪発生回路において、基本波成分(X)は、基本波反射回路で発生した負の基本波成分(−X)により結合器13aでキャンセルされ、理想的な3次歪(X^3)を発生させるものである。
【0065】
本実施の形態の歪発生器を用いることで、高レベルの3次歪のみの発生が可能となるため、歪発生回路に入力するレベルを低減させることなく使用できる。
また、3次歪のレベルが高いことから、従来技術で必要であった増幅器が削除でき、それに伴い遅延線も削除できるものである。結果として、図1及び図2の装置のように、本発明の目的であった少スペース、高歪補償量、低コストな歪補償増幅装置を実現できる。
【0066】
本実施の形態に係る歪発生器の入出力特性を図9に示す。図9は、歪発生器の5次歪低減特性を示す図である。
図9に示すように、バイアス電圧7.6Vでは、3次、5次の歪は出るものの、バイアス電圧5.7Vでは、5次歪がキャンセルされているものである。
【0067】
また、本実施の形態に係る歪発生器からの出力波形を図10に、比較のために従来の歪発生器の出力波形を図11に示す。図10は、本実施の形態に係る歪発生器からの出力波形を示す図であり、図11は、従来の歪発生器の出力波形を示す図である。
図10と図11を比較すると、図11には5次歪が現れているが、図10には5次歪がキャンセルされている様子が分かるものである。
【0068】
また、第1及び第2の装置(歪補償増幅装置)からの出力波形を図12に示す。図12は、本実施の形態に係る歪補償増幅装置の出力波形を示す図である。
歪補償ありの場合は、波形がきれいな矩形となっているが、歪補償なしの場合は、波形凸部の両端が膨らんだ形となっている。
【0069】
第1の装置を用いて、温度変化に対応した歪補償増幅装置とすることも可能である。この歪補償増幅装置について図13を参照しながら説明する。図13は、温度変化に対応した歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
図13に示すように、温度変化に対応した歪補償増幅装置は、図1の構成に加えて、MPU(Micro Processor Unit:マイコン)17と、アナログ/デジタル変換器(ADC)18と、温度センサ(TEMP)19とを備えている。
【0070】
TEMP19は、本装置の近辺の温度を測定し、測定値(アナログ値)をADC18に出力する。
ADC18は、TEMP19からの測定値をデジタル変換してMPU17に出力する。
MPU17は、制御部であり、内部に温度データに対して最適位相・振幅のデータを対応づけた温度データテーブルを記憶しており、ADC18からの温度データに対応する最適な位相・振幅データを当該温度データテーブルから読み込み、読み取った最適振幅データで可変ATT14aを制御し、読み取った最適位相データで可変位相器14bを制御するものである。
【0071】
尚、図13は、図1の歪補償増幅装置を応用して構成したが、図2の歪補償増幅装置を応用して構成してもよい。
【0072】
また、第1の装置を用いて、主増幅器からの出力から歪を検出して歪低減を実現する歪補償増幅装置とすることも可能である。この歪補償増幅装置について図14を参照しながら説明する。図14は、主増幅器からの出力から歪を検出して歪低減を実現する歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
図13に示すように、歪低減を実現する歪補償増幅装置は、図1の構成に加えて、MPU(Micro Processor Unit:マイコン)17と、アナログ/デジタル変換器(ADC)18と、波形検出回路20と、発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)21と、同期回路(SYN)22と、乗算器23と、分配器24とを備えている。
【0073】
分配器24は、主増幅器2からの出力を入力し、分配して乗算器23に出力する。
発振器21は、同期回路22からの指示により、主増幅器2から出力される信号の周波数に対応する搬送波の周波数を発振する。
乗算器23は、同期回路22からの信号と分配器24からの信号を乗算し、搬送波成分を除去して歪成分を波形検出回路20に出力する。
波形検出回路20は、歪成分の波形を検出し、アナログの検出信号をADC18に出力する。
ADC18は、波形信号をデジタル信号に変換し、MPU17に出力する。
【0074】
MPU17は、ADC18から出力された歪信号のデータから歪成分を低減させるための振幅データ及び位相データを算出し、算出した振幅データで可変ATT14aを制御し、算出した位相データで可変位相器14bを制御するものである。
上記では、可変ATT14a及び可変位相器14bを制御するデータをMPU17で算出するようにしたが、図13のように、歪信号のデータに対して最適に制御するための振幅データ及び位相データをテーブルで記憶させておき、そのテーブルから読み取って可変ATT14a及び可変位相器14bを制御するようにしてもよい。
【0075】
尚、図14は、図1の歪補償増幅装置を応用して構成したが、図2の歪補償増幅装置を応用して構成してもよい。
【0076】
本実施の形態の歪補償増幅装置によれば、遅延線、増幅器を用いないで高歪補償量を得ることができるので、高効率で素子を使用でき、省エネルギー設計、低価格設計、少スペース設計を実現できる効果がある。
【0077】
また歪補償制御として、歪成分を独立に制御できるので、安定した歪補償動作が可能となり、信頼性を向上でき、経年変化に強い歪補償動作が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、安定した高歪補償量を実現し、かつ経年変化に対しても安定した歪制御を実現し、省スペース、省エネルギー、低価格で歪補償を実現できる歪補償増幅装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【図3】本歪発生器の理想的な入出力特性を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る歪発生器の構成ブロック図である。
【図5】X+X^3歪発生回路の第1例を示す回路図である。
【図6】X+X^3歪発生回路の第2例を示す回路図である。
【図7】アンチパラレルダイオードの電流特性を説明するための概略図である。
【図8】アンチパラレルダイオードにバイアス印加する回路図である。
【図9】歪発生器の5次歪低減特性を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る歪発生器からの出力波形を示す図でである。
【図11】従来の歪発生器の出力波形を示す図である。
【図12】本実施の形態に係る歪補償増幅装置の出力波形を示す図である。
【図13】温度変化に対応した歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【図14】主増幅器からの出力から歪を検出して歪低減を実現する歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【図15】一般的な歪舗装増幅装置の全体構成を示す構成ブロック図でである。
【図16】従来のプリディストーション部の構成ブロック図でである。
【図17】3次歪発生器の構成図でである。
【図18】各部から出力されるAM/PM特性(入力信号に対する出力位相の特性)を示す図でである。
【図19】歪み特性を示す図でである。
【図20】効率を示す図である。
【図21】歪発生器の入出力特性を示す図である。
【図22】基本波出力に対する高次歪の関係を示す図である。
【図23】アナログPD高歪補償方式の歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【図24】アナログPD低価格方式の歪補償増幅装置の構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0080】
1…PD部、 2…主増幅器、 11…分配器、 12…遅延線、 13…歪発生器、 13a…結合器、 13b…X+X^3歪発生回路、 13c…基本波反射回路、 14…ベクトル調整器、 14a…可変ATT、 14b…可変位相器、 15…増幅器、 16…合成器、 17…MPU、 18…ADC、 19…温度センサ、 20…波形検出回路、 21…発振器、 22…同期回路、 23…乗算器、 24…分配器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログプリディストーション方式の歪補償増幅装置であって、
入力信号を分配する分配器と、分配された信号を合成する合成器と、前記合成器の出力側に設けた主増幅器とを備え、
前記分配器と前記合成器との間に、振幅及び位相を制御するベクトル調整器と、3次歪を発生させる歪発生器とを設け、
前記歪発生器でバイアス電圧を印加してアンバランス状態を実現し、3次歪以外の歪成分をキャンセルされるようにしたことを特徴とする歪補償増幅装置。
【請求項2】
歪発生器は、アンチパラレルダイオードを用い、前記アンチパラレルダイオードへの順バイアス、逆バイアスが調整されるよう可変のバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の歪補償増幅装置。
【請求項3】
温度変化に対応してベクトル調整器を制御する制御部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の歪補償増幅装置。
【請求項4】
主増幅器からの出力信号の歪に応じてベクトル調整器を制御する制御部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の歪補償増幅装置。
【請求項1】
アナログプリディストーション方式の歪補償増幅装置であって、
入力信号を分配する分配器と、分配された信号を合成する合成器と、前記合成器の出力側に設けた主増幅器とを備え、
前記分配器と前記合成器との間に、振幅及び位相を制御するベクトル調整器と、3次歪を発生させる歪発生器とを設け、
前記歪発生器でバイアス電圧を印加してアンバランス状態を実現し、3次歪以外の歪成分をキャンセルされるようにしたことを特徴とする歪補償増幅装置。
【請求項2】
歪発生器は、アンチパラレルダイオードを用い、前記アンチパラレルダイオードへの順バイアス、逆バイアスが調整されるよう可変のバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の歪補償増幅装置。
【請求項3】
温度変化に対応してベクトル調整器を制御する制御部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の歪補償増幅装置。
【請求項4】
主増幅器からの出力信号の歪に応じてベクトル調整器を制御する制御部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の歪補償増幅装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−180915(P2007−180915A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377108(P2005−377108)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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