説明

歯車変速機構

【課題】 可動枠により支持された回転部材の回転数を検知するセンサの移動スペース確保せずに済む歯車変速機構を提供する。
【解決手段】 複数の回転部材7,8,9にそれぞれ取り付けられた複数の非円形歯車20〜38を噛み合わせてなる複数組の無段変速ユニット1〜6と、複数の回転部材7,8を支持した固定枠10と、回転部材9を支持し、かつ、移動可能に構成された可動枠15とを有し、可動枠15を移動させることにより、入力側の回転部材7と出力側の回転部材9との間における変速比を無段階に変更することが可能な歯車変速機構において、固定枠10に設けられ、かつ、回転部材9の移動量を検知する移動量検知装置44と、回転部材9の軸受18に供給する潤滑油の供給量を、回転部材9の移動量に基づいて制御する潤滑油供給量制御装置とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、楕円歯車や指数関数的歯車などの非円形歯車、あるいは、中心から偏心した位置を基準として回転させられる円形の歯車、還元すれば、歯車の回転中心から、歯車同士の噛み合い箇所までの距離が、歯車の回転にともなって変化する非円形歯車を使用した歯車変速機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の非円形歯車を使用した無段変速機の例が、特許文献1に記載されている。その構成を簡単に説明すると、特許文献1に記載された無段変速機は、第1の回転軸および第2の回転軸および第3の回転軸を有しており、第2の回転軸には入力軸がトルク伝達可能に連結され、第3の回転軸には出力軸がトルク伝達可能に連結されている。前記第1の回転軸には、第1組の第1の非円形歯車および第2組の第1の非円形歯車が、位相を互いにずらして固定されている。また、第2の回転軸には、第1組の第2の非円形歯車および第2組の第2の非円形歯車が、位相を互いにずらして取り付けられている。第1組の第2の非円形歯車は第2の回転軸に固定されており、第2組の第2の非円形歯車と第2の回転軸との間には軸受が介在されている。さらに、第3の回転軸には、第1組の第3の非円形歯車および第2組の第3の非円形歯車が、位相を互いにずらして取り付けられている。そして、第1組の第2の非円形歯車が、第1組の第1の非円形歯車および第1組の第3の非円形歯車に噛合されている。また、第2組の第1の非円形歯車が、第1組の第2の非円形歯車および第2組の第3の非円形歯車に噛合されている。
【0003】
一方、固定フレームとして第1のフレームが設けられており、第1の回転軸は第1のフレームに取り付けられた軸受により支持されている。また、第2の回転軸も、第1のフレームに取り付けられた軸受により支持されている。さらに可動フレームとして第2のフレームが設けられており、第2のフレームは第2の回転軸に取り付けられた軸受により回動可能に支持されている。そして、第3の回転軸は第2のフレームに取り付けられた軸受により支持されている。さらにまた、第3の回転軸と、第1組の第3の非円形歯車との間には一方向クラッチが介在され、第3の回転軸と、第2組の第3の非円形歯車との間にも一方向クラッチが介在されている。
【0004】
その一方向クラッチは、第3の非円形歯車が、第3の回転軸より低速で回転する場合(第3の非円形歯車が第3の回転軸に対して相対的に逆回転する場合)には解放状態となり、これとは反対に第3の非円形歯車が第3の回転軸より速く回転しようとする場合には係合して両者一体となるように構成されている。すなわち、第3の非円形歯車から第3の回転軸にトルクを伝達するように構成されている。
【0005】
この特許文献1に記載された無段変速機においては、歯の噛み合い箇所の回転中心からの距離が連続的に変化する。したがって、入力軸から第2の回転軸にトルクが伝達された場合に、第1組の第2の非円形歯車が一定回転数で回転しても、第1組の第1の非円形歯車の回転数が連続的に変化し、さらに第1組の第3の非円形歯車の回転数がその歯車の形状に従って連続的に変化する。また、第2組の第2の非円形歯車が一定回転数で回転しても、第2組の第1の非円形歯車の回転数が連続的に変化し、さらに、第2組の第3の非円形歯車の回転数がその歯車の形状に従って連続的に変化する。すると、第1組の第3の非円形歯車と、第2組の第3の非円形歯車とでは、第3の回転軸に対する相対回転数が逐次変化するので、各非円形歯車と第3の回転軸との相対回転数の変化に応じて、2つの一方向クラッチが、順次、かつ、交互に係合・解放を繰り返す。その結果、第3の回転軸は、2つの第3の非円形歯車のうち、最も回転速度の速い第3の非円形歯車と一体となって回転する。
【0006】
これら互いに噛み合っている非円形歯車同士の間の回転速度比は、非円形歯車のピッチ円形状から定まる所定の関数で表される。その関係は、第1の非円形歯車と第3の非円形歯車との間でも成立するが、第1の回転軸を中心として第2のフレームを回転させることにより、第3の回転軸と共に第3の非円形歯車を、第1の非円形歯車の回転中心軸線を中心にして公転させると、第1の非円形歯車と第3の非円形歯車との相対的な位相が、第1の非円形歯車と第2の非円形歯車との位相に対して変化し、その位相同士の変位が、第2の回転軸と第3の回転軸との間における変速比に現れる。したがって、第2の回転軸と第3の回転軸との間における変速比は、第2のフレームの回動角度に応じて、連続的に(無段階に)変化することになる。
【特許文献1】特公平5−78705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような各回転軸を支持する軸受を冷却および潤滑するために潤滑油を供給することが考えられる。このような場合、軸受により支持されている回転軸の回転数などの条件に基づいて、潤滑油の供給量を決定することが望ましい。回転軸の回転数を検知する場合、回転数検知センサを設けることが知られている。例えば、第3の回転軸の回転数を検知する回転数検知センサを第2のフレームに取り付けることが考えられる。しかしながら、第2のフレームは第1の回転軸を中心として回転する構成となっているため、第2のフレームに取り付けた回転数センサが周囲の部品などに接触することのないように、回転数検知センサの移動範囲として、スペースを広めに確保する必要があった。
【0008】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、可動枠により支持された回転部材の回転数を検知するセンサの移動スペース確保せずに済む歯車変速機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、相互に平行に配置された複数の回転部材と、これらの複数の回転部材にそれぞれ取り付けられた複数の非円形歯車を噛み合わせてなる複数組の無段変速ユニットと、前記複数の回転部材のいずれかを支持した固定枠と、この固定枠で支持された回転部材とは異なる回転部材を支持し、かつ、支持した回転部材の軸線に直交する平面方向に移動可能に構成された可動枠とを有し、前記可動枠を前記回転部材の軸線に直交する平面方向に移動させることにより、前記複数の回転部材のうちの入力側の回転部材と出力側の回転部材との間における変速比を無段階に変更することが可能な歯車変速機構において、前記固定枠に設けられ、かつ、前記可動枠により支持された回転部材の前記平面方向に移動量を検知する移動量検知装置と、前記可動枠または前記固定枠のいずれかにおける回転部材の支持部分に供給する潤滑油の供給量を、前記回転部材の前記平面方向における移動量の検知結果に基づいて制御する潤滑油供給量制御装置とを有していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記入力側の回転部材が前記固定枠により支持され、前記出力側の回転部材が前記可動枠により支持されており、前記移動量検知装置は、前記可動枠により支持された出力側の回転部材の移動量を検知する構成を有しており、前記潤滑油供給量制御装置は、前記出力側の回転部材の支持部分に供給する潤滑油の供給量を制御する構成を有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記可動枠に動力を与えて、この可動枠を回転させるアクチュエータが前記固定枠に設けられており、このアクチュエータが前記移動量検知装置を兼ねる構成であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、可動枠に支持された回転部材の移動量に基づいて、その回転部材の回転数を検知可能である。また、入力側の回転部材と出力側の回転部材との変速比、および可動枠に支持された回転部材の回転数に基づいて、固定枠に支持された回転部材の回転数を検知することが可能である。そこで、可動枠に支持された回転部材の支持部分、または固定枠に支持された回転部材の支持部分のいずれかに供給される潤滑油の供給量を、可動枠に支持された回転数の移動量に基づいて制御すれば、各軸の支持部分に供給される潤滑油量を、回転数に応じた必要潤滑油量に近づけることが可能になる。また、移動量検知装置が固定枠に設けられているため、可動枠と共に回転することがなく、移動量検知装置の移動スペースを確保せずに済む。
【0013】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に可動枠により支持された出力側の回転部材の移動量が検知され、出力側の回転部材の支持部分に供給する潤滑油の供給量を、出力側の回転部材の移動量に基づいて制御することが可能である。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、可動枠に動力を与えるアクチュエータが、移動量検知装置を兼ねる構成であるため、移動量検知装置を単独で配置するスペースを確保せずに済み、一層コンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、この発明における歯車変速機構を車両の動力伝達装置として用いた場合の具体例に基づいて説明する。図1は歯車変速機構(歯車式無段変速機)1の一例を模式的に示す正面断面図、図2は、図1のII−II線における略示的な側面断面図である。ここに示す歯車変速機構TMは、3つの非円形歯車を噛み合わせた歯車列を使用して1組の無段変速ユニットとし、全部で6組の無段変速ユニット1,2,3,4,5,6を有している。この6組の無段変速ユニット1,2,3,4,5,6は、入力軸7と可動軸9との間の動力伝達経路に並列に配置されている。車両の駆動力源から車輪に至る動力伝達系に歯車変速機構TMが配置された場合は、駆動力源としてのエンジン(図示せず)のトルクが入力軸7に伝達され、入力軸7のトルクが可動軸9を経由して車輪(図示せず)に伝達されるように構成される。無段変速ユニット1,2,3,4,5,6を構成する非円形歯車は、指数関数的歯車や楕円歯車などであって、図1および図2に示す例では、楕円歯車を使用した例を示してあり、かつ、図2においては、ピッチ円の形状で各歯車を示しており、歯は省略してある。
【0016】
前記無段変速ユニット1,2,3,4,5,6および入力軸7および出力軸8および可動軸9を保持する固定フレーム10が設けられている。この固定フレーム10は、ケーシングあるいは機台部もしくは機枠となっている。また、固定フレーム10には相互に平行な壁部11,12が形成されており、壁部11,12に組み込まれた軸受13により入力軸7が回転可能に保持され、壁部11,12に組み込まれた軸受14により出力軸8が回転可能に保持されている。さらに、出力軸8にはキャリヤ15が取り付けられている。このキャリヤ15は、壁部11と壁部12との間に配置されており、キャリヤ15は相互に平行な壁部16,17を有している。この壁部16,17に取り付けた軸受18により、可動軸9が回転可能に保持されている。さらにまた、出力軸8とキャリヤ15とが、軸受19により相対回転可能に連結されている。上記の構成により、入力軸7の回転軸線A1と、出力軸8の回転軸線B1と、可動軸9の回転軸線C1とが相互に平行に配置されているとともに、キャリヤ13が回転軸線B1を中心として回転可能となっている。
【0017】
つぎに、無段変速ユニット1,2,3,4,5,6の構成について説明する。まず、入力軸7に、複数(具体的には6つ)の非円形第1歯車である入力歯車20,21,22,23,24,25が設けられている。これらの入力歯車20,21,22,23,24,25は、入力軸7の回転軸線方向で、それぞれ異なる位置に配置されている。各入力歯車20,21,22,23,24,25は、歯数やピッチ円などの諸元が同一の楕円歯車である。そして、各入力歯車20,21,22,23,24,25が、入力軸7と一体回転するように構成、例えばスプライン結合されている。
【0018】
一方、入力歯車20,21,22,23,24,25に別個に噛み合う複数の非円形第2歯車である中間歯車26,27,28,29,30,31が、出力軸8によって保持されている。これらの中間歯車26,27,28,29,30,31同士は、諸元が同じ非円形歯車であって、上記の入力歯車20,21,22,23,24,25が楕円歯車であれば、それに合わせて楕円歯車が使用される。そして、これらの中間歯車26,27,28,29,30,31は、別個に軸受32を介して出力軸8に対して回転可能に保持されている。なお、入力歯車20,21,22,23,24,25、および中間歯車26,27,28,29,30,31を楕円歯車で構成した場合は、入力軸7の回転軸線A1と、出力軸8の回転軸線B1との距離は、楕円の長軸方向の半径と、短軸方向の半径とを加算した距離に設定される。
【0019】
上記の中間歯車26,27,28,29,30,31に対応に別個に噛み合う複数の非円形第3歯車である可動歯車33,34,35,36,37,38が、前記可動軸9によって保持されている。これらの可動歯車33,34,35,36,37,38は、歯数やピッチ円などの諸元が同一の楕円歯車である。これらの可動歯車33,34,35,36,37,38と、中間歯車26,27,28,29,30,31とを楕円歯車で構成した場合は、可動軸9の回転軸線C1と、出力軸8の回転軸線B1との距離は、楕円の長軸方向の半径と短軸方向の半径とを加算した距離に設定される。また、可動歯車33,34,35,36,37,38は、それぞれ一方向クラッチ39を介して可動軸9に取り付けられている。各一方向クラッチ39は、可動歯車33,34,35,36,37,38が、可動軸9に対して、図2の矢印で示す時計方向に回転しようとする場合には係合して、可動歯車33,34,35,36,37,38と可動軸9との間でトルクが伝達される一方、可動歯車33,34,35,36,37,38が、可動軸9に対して、例えば図2で反時計方向に回転しようとする場合に解放されて、可動歯車33,34,35,36,37,38と可動軸9との間でトルクが伝達されないように構成されている。
【0020】
上記の入力歯車20および中間歯車26および可動歯車33の歯車列により、無段変速ユニット1が構成され、入力歯車21および中間歯車27および可動歯車34の歯車列により、無段変速ユニット2が構成され、入力歯車22および中間歯車28および可動歯車35の歯車列により、無段変速ユニット3が構成され、入力歯車23および中間歯車29および可動歯車36の歯車列により、無段変速ユニット4が構成され、入力歯車24および中間歯車30および可動歯車37の歯車列により、無段変速ユニット5が構成され、入力歯車25および中間歯車31および可動歯車38の歯車列により、無段変速ユニット6が構成されている。
【0021】
上記のように各無段変速ユニット1,2,3,4,5,6は、それぞれ3つの楕円歯車で構成されている。各無段変速ユニット1,2,3,4,5,6の入力歯車20,21,22,23,24,25は、入力軸7に対する円周方向の取り付け角度(位相)が、順次π/6ずつずれている。また、各無段変速ユニット1,2,3,4,5,6においては、図2に示すように、入力歯車と中間歯車とが噛合された状態で、入力歯車の取り付け角度(位相)に対して、中間歯車の取り付け角度がπ/2ずれている。さらに、各無段変速ユニット1,2,3,4,5,6においては、中間歯車と可動歯車とが噛合された状態で、中間歯車の取り付け角度に対して、可動歯車の取り付け角度がπ/2ずれている。なお、図2においては、便宜上、入力歯車20,21,22,23,24,25を同一位相で示し、中間歯車26,27,28,29,30,31を同一位相で示し、可動歯車33,34,35,36,37,38を同一位相で示してある。さらに、可動軸9と一体回転するカウンタドライブギヤ40Aが設けられており、出力軸8と一体回転するカウンタドリブンギヤ40Bが設けられている。このカウンタドリブンギヤ40Aとカウンタドライブギヤ40Bとが噛合されている。また、カウンタドライブギヤ40Aおよびカウンタドリブンギヤ40Bは、共に円形歯車により構成されている。
【0022】
上記のキャリヤ15と共に可動軸9および可動歯車33,34,35,36,37,38およびカウンタドライブギヤ40Aを、出力軸8の周りで所定の角度範囲内で回転させるための回転機構41について説明する。回転機構41は、出力軸8に軸受42を介して取り付けた従動ギヤ43と、アクチュエータとしての電動モータ44とを有している。この電動モータ44で回転させられる駆動ギヤ45が、従動ギヤ43に噛み合っている。また、従動ギヤ43とキャリヤ15とが、回転軸線B1を中心として一体回転するように連結されている。さらに、電動モータ44としてステッピングモータが用いられており、電動モータ44を駆動して従動ギヤ43を所定角度範囲内で回転することにより、キャリヤ15および可動軸9が、回転軸線B1を中心として回転する。その結果、出力軸8を中心とする各中間歯車26,27,28,29,30,31のピッチ円上で、各中間歯車26,27,28,29,30,31と、可動歯車33,34,35,36,37,38との噛み合い位置が円周方向に変位する。
【0023】
つぎに、歯車変速機構TMに用いることの可能な潤滑装置の一例を説明する。図1においては、可動軸9を保持する軸受18に潤滑油を供給する潤滑装置が示されている。具体的には、中間軸8の内部に軸線方向の油路46が設けられており、この油路46から、中間軸8の半径方向に延ばされた油路47が設けられている。また、中間軸8の外周には油路47が接続された環状の油路48が形成されている。さらに、キャリヤ15には、軸受18への潤滑油供給口と油路48とを接続する油路49が設けられている。このように、中間軸8とキャリヤ15とが円周方向でどのような位置関係にある場合でも、油路46と油路49とが接続された状態となるように構成されている。
【0024】
一方、潤滑油の供給系統の一例を図3に示す。エンジンまたはモータにより駆動されるオイルポンプ50が搭載されており、オイルポンプ50から吐出されたオイルが油路51に供給される。この油路51には油路46が接続されており、油路51から油路46に供給されるオイルの流量を制御するバルブ52が設けられている。バルブ52はソレノイドバルブなどにより構成されており、バルブ52の開度が電子制御装置(ECU)53の信号により制御されるように構成されている。また、この電子制御装置53により、前記電動モータ44の回転角度が制御される。これに対して、電子制御装置53には、可動軸9の変位角度θを示す信号、入力軸7の回転数(エンジン回転数)を示す信号などが入力される。可動軸9の変位角度θについては後述する。
【0025】
上述した歯車変速機構TMの作用について説明する。図示しないエンジンのトルクが入力軸7に伝達されると、そのトルクが各無段変速ユニット1,2,3,4,5,6を経由して可動軸9に伝達される。具体的に説明すると、各無段変速ユニット1,2,3,4,5,6においては、各入力歯車と各中間歯車との間で変速が生じ、かつ、各中間歯車と各可動歯車との間で変速が生じる。したがって、歯車変速機構TMの変速比γ、具体的には、入力軸7と可動軸9との間における変速比γは、入力歯車と中間歯車との間における変速比と、中間歯車と可動歯車との間における変速比との比で表される。
【0026】
一般に、非円形歯車からなる歯車を噛み合わせてなる歯車列を有する無段変速ユニットにおいて、非円形歯車からなる入力歯車と、非円形歯車からなる中間歯車との間の速度比ω2/ω1を、
(1+Csin2θ)
で表すと、中間歯車と可動歯車との間の速度比ω3/ω2は
(1+Csin2(θ+α))
で表され、結局、入力歯車と可動歯車との間における速度比ω3/ω1は、
(1+Csin2(θ+α))/(1+Csin2θ)
となる。上記の式において、「C」は絶対値が「1」より小さい定数である。そして、無段変速ユニットとしての変速比は、無段変速ユニットを構成する歯車が、楕円歯車である場合、指数関数歯車である場合など、その歯車の形状に応じて演算可能である。
【0027】
この実施例のように、3個の楕円歯車を用いた無段変速ユニット1において、
入力歯車と中間歯車との速度比ω2/ω1=は、
ω2/ω1=(1−ε2 )/(1+ε2 +2・ε・cos(2θ1)) ・・・(1)
で表される。
また、中間歯車と可動歯車との間の速度比ω3/ω2は、
ω3/ω2=(1−ε2 )/(1+ε2 +2・ε・cos(2θ2)) ・・・(2)
で表される。上記の式(1)および式(2)において、εは、離心率である。離心率とは、歯車の中心から、歯車同士の噛み合い点までの距離の変化を示すものであり、離心率は、
0<ε<1
で表される。上記の式(1)および式(2)に基づいて、この実施例では、可動軸9の変位角度θから、無段変速ユニットとしての速度比ω3/ω1を算出可能である。
【0028】
このような理論を前提として、図1に示す歯車変速機構TMにおける変速の原理を、無段変速ユニット1を例として説明する。まず、入力歯車20の回転速度をω1とし、入力歯車20に噛み合っている中間歯車26の回転速度をω2とした場合、速度比ω2/ω1は、回転軸線A1,B1と、各歯車20,26の接触点(噛み合い位置)との距離の連続的な変化に対応して変化する。同様に、可動歯車33の回転速度をω3とし、可動歯車33に噛み合っている中間歯車26の速度比をω2とした場合、速度比ω3/ω2は、回転軸線B1,C1と、各歯車26,33の接触点との距離の連続的な変化に対応して変化する。
【0029】
図2においては、回転軸線A1,B1,C1が全て直線D1上に位置している状態(この状態を基準状態と呼ぶ)に対応して、各歯車が実線で示されている。この基準状態においては、入力歯車20および可動歯車33の長軸(図示せず)が、直線D1上に位置し、中間歯車26の短軸(図示せず)が直線D1上に位置する。このように、回転軸線C1が直線D1上にある場合は、変位角度θは零度である。変位角度θとは、直線D1と、回転軸線B1および回転軸線C1を含む直線とのなす角度を意味する。この基準状態においては、前記の速度比ω2/ω1は、最も小さく(増速側に)なり、かつ、前記速度比ω3/ω2は、最も大きく(減速側に)なる。
【0030】
上記のように入力歯車20と中間歯車26との間の速度比ω2/ω1が最小の時に、中間歯車26と可動歯車33との間の速度比ω3/ω2が最大となるから、速度比ω2/ω1と、速度比ω3/ω2とは、その位相がπ/2ずれる。したがって、前記の基準状態においては、入力歯車20と可動歯車33との間の速度比ω3/ω1は、“1”となる。図4には、各歯車を楕円歯車で構成した場合における入力回転数および出力回転数の経時変化の一例が示されている。ここで、入力回転数とは入力歯車の回転数であり、出力回転数とは可動歯車の回転数である。そして、図4においては、左側の「等速」の領域に、速度比ω3/ω1が“1”である場合における入力回転数と出力回転数とが示されている。すなわち、入力回転数と出力回転数とが一致している。
【0031】
一方、電動モータ44を駆動させて、キャリヤ15および可動軸9を図2で反時計方向に回転させることにより、回転軸線C1を、直線D1とは異なる位置に変位させることが可能である。ここで、直線D1と、回転軸線C1を含む直線D2とが回転軸線B1を中心として交差しており、直線D1と直線D2とにより、零度よりも大きい変位角度θが形成されている。このように、キャリヤ15を、図2で反時計方向に所定の変位角度θ分回転させると、入力歯車20と中間歯車26との間の速度比が最増速比となっていても、中間歯車26と可動歯車33との間の速度比は、最減速比よりも小さい減速比となる。その結果、入力歯車20と可動歯車33との間の速度比ω3/ω1は、“1”より小さくなる。つまり、図4の線図で中央に「増速」として示すように、出力回転数の方が、入力回転数よりも高回転数となる。
【0032】
この図4においては、可動歯車33の回転数の一例が線分E1で示され、可動歯車34の回転数の一例が線分E2で示され、可動歯車35の回転数の一例が線分E3で示され、可動歯車36の回転数の一例が線分E4で示され、可動歯車37の回転数の一例が線分E5で示され、可動歯車38の回転数の一例がE6で示されている。なお、この実施例において、変位角度θは、零度ないし90度の範囲で調整可能であり、図2に示すように、直線D1とのなす変位角度が90度となる直線D3上に中心軸線C1を移動させた場合は、入力軸7と可動軸9との変速比γが最も小さくなり、各可動歯車の経時変化は、図4の線図で「最増速」で示す特性となる。すなわち、最増速である場合における各可動歯車の最高回転数は、増速である場合における各可動歯車の最高回転数よりも高回転数となる。なお、他の無段変速ユニット2,3,4,5,6における変速の原理は、無段変速ユニット1と同様である。
【0033】
ところで、各可動歯車33,34,35,36,37,38には、それぞれ一方向クラッチ39が介装されている。このため、前述の基準状態においては、全ての可動歯車33,34,35,36,37,38の出力回転数が同一となり、6つの一方向クラッチ39が共に係合される。したがって、入力軸7のトルクは、全ての無段変速ユニット1,2,3,4,5,6を経由して可動軸9に伝達される。これに対して、キャリヤ15および可動軸9を回転させて、回転軸線C1を直線D1とは異なる位置に変位させた場合は、例えば、図4に「増速」および「最増速」で示すように、各可動歯車33,34,35,36,37,38の出力回転数が異なる経時変化を示す。
【0034】
そして、入力軸7に対して可動軸9を増速させるように機能するいずれかの無段変速ユニットを経由して、トルクの伝達がおこなわれる。より具体的には、回転数が最高となる可動歯車に対応する一方向クラッチが係合されて、これ以外の一方向クラッチが解放される作用を、各可動歯車の回転位相に応じて繰り返す。つまり、図4に「増速」および「最増速」で示すように、可動軸9の回転数は、各可動歯車33,34,35,36,37,38の出力回転数のピーク付近を接続した回転数となる。すなわち、前記基準状態以外では、変位角度θを一定に維持(固定)し、かつ、入力回転数が略一定である場合でも、可動軸9の回転数は微小幅G1の範囲で変化する。このように、可動軸9の変位角度θを制御することにより、入力軸7の回転数と可動軸9の回転数との比、すなわち、変速比γを無段階に(連続的に)変更可能である。上記のようにして、入力軸7から各無段変速ユニット1,2,3,4,5,6を経由して可動軸9にトルクが伝達されるとともに、そのトルクはカウンタドライブギヤ40Aおよびカウンタドリブンギヤ40Bを経由して出力軸8に伝達される。この出力軸8のトルクは車輪に伝達される。
【0035】
つぎに軸受18を潤滑する制御について説明する。まず、油路51のオイルが、油路46および油路49を経由して軸受18に供給され、軸受18が冷却および潤滑される。この実施例においては、可動軸9の変位角度θに基づいて、軸受18に供給される潤滑油の流量が制御、具体的には、流量が維持、または流量が増加、または流量が減少される。可動軸9の変位角度θは、電動モータ44の回転角度を検出するレゾルバの信号、電動モータ44への通電電圧などに基づいて求められる。そして、可動軸9の変位角度θが大きくなるほど、軸受18に供給される潤滑油の流量が多くなるように、バルブ52の開度を制御する。具体的には、バルブ52の開度が大きくなるほど、潤滑油の供給量が増加する。これは、可動軸9の変位角度θが大きくなるほど、歯車変速機構TMの変速比γが小さくなり、可動軸9の回転数が上昇して、軸受18における必要潤滑油量が増加するためである。また、変位角度θが同じであっても、エンジン回転数が高くなるほど、可動軸9の回転数が高回転数となる。そこで、変位角度θが同じであっても、エンジン回転数が高回転数となるほど、軸受18に供給される潤滑油量が増加するように、バルブ52の開度を制御することも可能である。
【0036】
この実施例では、潤滑油の供給量を制御するために、図5および図6に示すマップを用いることが可能である。図5は、変位角度θと可動軸9の回転数との関係の一例を示すマップであり、図6は、変位角度θと、可動軸9の軸受18における必要潤滑油量との関係の一例を示すマップである。図5のマップにおいては、変位角度θが大きくなるほど、可動軸9の回転数が高くなる傾向を示す。図6のマップにおいては、変位角度θが大きくなるほど、必要潤滑油量が増加する傾向を示す。なお、図5のマップは、入力回転数が一定である場合を想定して、可動軸9の出力回転数と変位角度θとの対応関係が設定されている。また、図6のマップは、入力回転数が一定であることを想定して、必要潤滑油量と変位角度θとの対応関係が設定されている。
【0037】
以上のように、この実施例においては、変位角度θに基づいて、軸受18における必要潤滑油量を求め、バルブ52の開度を制御して、供給される潤滑油量の最適化を図っている。したがって、図4に示す「最増速」以外では軸受18に供給される潤滑油量が減少されて、過剰な潤滑油の供給を回避することができる。したがって、潤滑油を回転部材で撹拌することにより生じるフリクション損失を、可及的に低減することができる。
【0038】
一方、この実施例においては、キャリヤ15および可動軸9の変位角度θを、電動モータ44の回転角度、電動モータ44の電圧などから推定し、推定された変位角度θに基づいて、バルブ52の開度の目標値を制御している。この電動モータ44は固定フレーム10に取り付けられており、キャリヤ15と一体的に回転する構造物ではないので、可動軸9の回転数を検知するセンサをキャリヤ15に取り付けずに済む。したがって、可動軸9の回転数を検知するセンサの可動範囲を確保する必要がなく、歯車変速機構TMの車載性が向上する。また、電動モータ44および電子制御装置53が、キャリヤ15および可動軸9を回転させる機能と、キャリヤ15および可動軸9の変位角度θを検知する機能とを兼備しているため、部品点数の増加を抑制でき、車載性が一層向上する。
【0039】
ここで、この実施例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、入力歯車20,21,22,23,24,25および中間歯車26,27,28,29,30,31および可動歯車33,34,35,36,37,38が、この発明の複数の非円形歯車に相当し、無段変速ユニット1,2,3,4,5,6が、この発明の複数組の無段変速ユニットに相当し、入力軸7および中間軸8および出力軸9が、この発明の複数の回転部材に相当する。すなわち、回転可能に支持された複数の軸、棒状体などが、この発明の複数の回転部材に相当する。また、固定フレーム10が、この発明の固定枠に相当し、キャリヤ15が、この発明の可動枠に相当する。この発明において、固定枠とは、ケーシングやベース部などに固定されており、基本的には移動しないような固定構造物を意味する。また、可動枠とは、固定枠に対して相対移動可能に配置された構造部材を意味する。したがって、フレームに限らず、腕部材、板状部材なども、この可動枠に含まれる。
【0040】
さらに、電動モータ44が、この発明の移動量検知装置に相当し、軸受18が、この発明における「支持部分」に相当し、変位角度θが、この発明における「移動量」に相当し、電子制御装置53およびバルブ52が、この発明の潤滑油供給量制御装置に相当し、電動モータ44が、この発明のアクチュエータに相当し、入力軸7が、この発明の入力側の回転部材に相当し、可動軸9が、この発明の出力側の回転部材に相当する。また、この発明において「固定枠に設けられた移動量検知装置」には、固定枠に直接取り付けられた装置の他に、固定枠を固定したケーシングに設けられた装置、あるいは、歯車変速機構TMを搭載した車両のボデーに設けられた装置などが含まれる。つまり、可動枠と一体的に移動しないように配置されていることが、移動量検知装置の特徴的構成でもある。この意味で、電子制御装置53も、移動量検知装置の一部を構成していると言える。また、可動軸9の移動量を、変位角度ではなく、円周方向における位相、あるいは円周方向における移動量(周長)で判断することも可能である。また、この発明における「回転部材の支持部分」には、ラジアル軸受、スラスト軸受、滑り軸受などが含まれる。
【0041】
なお、この発明で使用できる非円形歯車は楕円歯車に限定されず、各種の形状のものを使用することができる。すなわち、この発明における「非円形歯車」とは、歯車の回転中心から、歯車同士の噛み合い点までの距離が、歯車の回転にともなって変化する構成の歯車を意味する。このため、この発明における非円形歯車には、指数関数歯車、偏心位置を中心に回転する円形歯車などが含まれる。ここで、円形歯車とは、歯先円の形状が円形である構成の歯車を意味する。また、キャリヤ15を回転させるためのアクチュエータとしては、電動モータに代えて、油圧モータを用いてもよい。あるいは、アクチュエータとしてソレノイドを設け、ソレノイドにより往復動するラックを設け、そのラックを従動ギヤ43に噛み合わせる構成を採用してもよい。なお、図1に示された実施例、または図示しない実施例において、潤滑油を供給する軸受は、各軸の軸線方向でいずれの箇所に設けられた軸受でもよい。つまり、一端側の軸受または両端の軸受のいずれでもよい。さらに、単数の軸受または複数の軸受のいずれに潤滑油を供給する構成でもよい。
【0042】
また、複数の無段変速ユニットは、5組以下でもよいし、7組以上でもよい。無段変速ユニットの組数に応じて、一方向クラッチが係合された状態における入力歯車同士の位相のずれ量、および可動歯車同士の位相のずれ量が設計される。なお、図1に示す実施例において、固定フレーム10の軸受13に供給する潤滑油量を制御する装置を設けるとともに、出力回転数が略一定であることを前提として、前記変位角度θに基づいて、軸受13に供給する潤滑油量を制御することも、請求項に係る発明の実施例に含まれる。この場合は、変位角度θが大きくなり、歯車変速機構TMの変速比γが小さくなるほど、入力軸の回転数が高回転数となるため、変位角度θが大きくなるほど、軸受13に供給する潤滑油量を増加するような制御を実行可能である。そして、軸受13が、この発明における支持部分に相当する。
【0043】
さらに図示しないが、入力軸が、中間軸を中心として円周方向に変位可能となるように構成し、入力軸の変位角度に基づいて、出力軸の軸受、または入力軸の軸受に供給される潤滑油量を制御することも可能である。ここで、出力軸の軸受に潤滑油を供給する場合は、入力軸の回転数が一定であると仮定して、可動軸の回転数が高回転数になるほど、つまり、入力軸の変位角度が大きくなるほど、潤滑油量を増加する制御を実行する。これに対して、入力軸の軸受に潤滑油を供給する場合は、可動軸の回転数が一定であると仮定して、入力軸の回転数が高回転数になるほど、つまり、入力軸の変位角度が大きくなるほど、潤滑油量を増加する制御を実行する。以上のように、この実施例においては、回転部材の回転数を、可動枠に設けられた回転数センサにより直接検知するのではなく、固定枠に設けられた変位角度検知センサの信号から、可動枠に支持された回転部材の回転数を間接的に検知し、あるいは、回転部材の回転数および変速比から、固定枠に支持された回転部材の回転数を推定し、いずれかの回転部材を支持する軸受に供給する潤滑油量を、前記検知結果あるいは推定結果に基づいて制御するものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の歯車変速機構の一例を示す正面断面図である。
【図2】図1のII−II線における模式的な側面断面図である。
【図3】図1に示された軸受に対して潤滑油を供給する系統を示す概念図である。
【図4】この発明の歯車変速機構において、入力回転数および出力回転数の経時変化の一例を示す線図である。
【図5】この発明の歯車変速機構において、可動軸の変位角度と可動軸の回転数との関係の一例を示すマップである。
【図6】この発明の歯車変速機構において、可動軸の変位角度と必要潤滑油量との関係の一例を示すマップである。
【符号の説明】
【0045】
1,2,3,4,5,6…無段変速ユニット、 7…入力軸、 8…出力軸、 9…可動軸、 10…固定フレーム、 13,18…軸受、 15…キャリヤ、 20,21,22,23,24,25…入力歯車、 26,27,28,29,30,31…中間歯車、 33,34,35,36,37,38…可動歯車、 44…電動モータ、 52…バルブ、 53…電子制御装置、 TM…歯車変速機構、 θ…変位角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に平行に配置された複数の回転部材と、これらの複数の回転部材にそれぞれ取り付けられた複数の非円形歯車を噛み合わせてなる複数組の無段変速ユニットと、前記複数の回転部材のいずれかを支持した固定枠と、この固定枠で支持された回転部材とは異なる回転部材を支持し、かつ、支持した回転部材の軸線に直交する平面方向に移動可能に構成された可動枠とを有し、前記可動枠を前記回転部材の軸線に直交する平面方向に移動させることにより、前記複数の回転部材のうちの入力側の回転部材と出力側の回転部材との間における変速比を無段階に変更することが可能な歯車変速機構において、
前記固定枠に設けられ、かつ、前記可動枠により支持された回転部材の前記平面方向に移動量を検知する移動量検知装置と、
前記可動枠または前記固定枠のいずれかにおける回転部材の支持部分に供給する潤滑油の供給量を、前記回転部材の前記平面方向における移動量の検知結果に基づいて制御する潤滑油供給量制御装置と
を有していることを特徴とする歯車変速機構。
【請求項2】
前記入力側の回転部材が前記固定枠により支持され、前記出力側の回転部材が前記可動枠により支持されており、
前記移動量検知装置は、前記可動枠により支持された出力側の回転部材の移動量を検知する構成を有しており、
前記潤滑油供給量制御装置は、前記出力側の回転部材の支持部分に供給する潤滑油の供給量を制御する構成を有していることを特徴とする請求項1に記載の歯車変速機構。
【請求項3】
前記可動枠に動力を与えて、この可動枠を回転させるアクチュエータが前記固定枠に設けられており、このアクチュエータが前記移動量検知装置を兼ねる構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の歯車変速機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−183762(P2006−183762A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377228(P2004−377228)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】