説明

段ボールシートの糊付方法及び装置

【課題】接触式グルーガンを用いた製函機ラインの糊付工程において、オーダ変更によって段ボールシートの紙種が変わっても、糊付時に継ぎ代部に過大な接触圧が付与されずに、常に安定した糊付けを可能する。
【解決手段】製函ラインを走行する段ボールシートSの側端部の継ぎ代部内の糊付部に接触式のグルーガンを用いて糊を塗布する段ボールシートの糊付方法において、糊付時に第1加圧装置15により段ボールシートSに負荷されるグルーガン12の自重を相殺する方向に加圧力Pを付与し、該グルーガンの段ボールシート走行方向上流側の段ボールシート走行ラインPLに設けられた反力センサ36で継ぎ代部fの反力を検出し、糊付位置近傍に設けた第2加圧装置21により該反力検出値に応じて設定された加圧力Pを段ボールシートSの継ぎ代部fに付与しながらグルーガン12で糊付けするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲータで製造された段ボールシートを段ボール箱に成型する製函機の糊付工程において、糊付部に対する糊塗布欠陥をなくし、安定した糊付けを可能にした糊付方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コルゲータで製造された段ボールシートは、製函機ラインで、印刷と罫線加工及び溝切り加工がなされ、その後、糊付け及び折り曲げ工程で、一端の側板に設けられた継ぎ代部が他端側の側板に重合され接着されて四角筒状の胴体部が形成され、各側板の上下に連なるフラップによって底部と天部が形成される。
【0003】
図5は、段ボール箱の製函ラインを示す全体構成図である。図5において、右側が製函ラインの始端部であり、矢印a方向に沿って段ボールシートSが搬送されて製函工程が実施される。製函ラインの前工程であるコルゲータラインで、表裏ライナと、これらの間に介在して波形に成形された中芯からなる段ボールシートSが製造され、給紙部Aに上下に積み上げられる。なお、段ボールシートSは、コルゲータラインで、すでに長手方向及び幅方向に設定寸法に切断されていると共に、長手方向の罫線加工(罫線b)がなされている。
【0004】
給紙部Aでは、段ボールシートSが上下に同じ向きに整列されて積み上げられた段ボールシート群Gを形成する。給紙部Aから段ボールシートSが下層側から1枚ずつフレキソ印刷部Bに送られる。フレキソ印刷部Bでは、段ボールシートSに1色ずつ合計4色(少なくとも2色)の印刷がなされ、印刷された段ボールシートSはスロッタ・クリーザ部Cに送られる。スロッタ・クリーザ部Cで、幅方向に複数箇所(図7では4箇所)罫線加工と溝切り加工が行なわれて、幅方向の罫線c及び溝dが入れられると共に、継ぎ代部fが形成される。
【0005】
その後、ダイカット部Dで手孔用、その他の孔開け加工がなされる。次に、フォルディング部Eで継ぎ代fに糊付けされ、折り曲げられて継ぎ代部fが側板eと重合・接着されることで、四角筒状の段ボール箱Wが成型される。次に、段ボール箱Wは、扁平状態でカウンタエゼクタ部Fに送られて、数をカウントされながら上下に同じ向きに整列されて積み上げられ、所定枚数毎の段ボール箱群Gをなす。その後、搬送コンベアによって下流側に配設された結束機に搬送され、そこで結束された後、梱包されて出荷される。
【0006】
図5において、段ボールシートSの継ぎ代部fに糊付けする糊付装置010は、ダイカット部Dの直下流側に設けられている。図6に、従来の糊付装置010を示す。図6において、段ボールシートSは、糊付け位置を区画するために上下に配置された一対のガイドバー011間に入り込む。ガイドバー011の先にはグルーガン012が配置されている。グルーガン012には糊gが供給されると共に、グルーガン012の先端には複数の図示しないノズルが設けられている。グルーガン012の上流側には、糊打ちタイミング用センサ013が配置されている。
【0007】
グルーガン012には電磁弁が内蔵され、この電磁弁を通電することにより、グルーガンから糊が吐出されるように構成されている。段ボールシートSが、糊打ちタイミング用センサ013の前を通過すると、糊打ちタイミング用センサ013で段ボールシートSの通過を検出し、段ボールシートSがグルーガン012を通過するタイミングに合わせて、グルーガン012の電磁弁が作動し、該ノズルから継ぎ代部fに糊gが複数条に塗布される。
【0008】
特許文献1(特開平10−156974号公報)には、かかるグルーガン式糊付装置が開示されている。この糊付装置は、段ボールシートのシート端部を検知する検知装置の誤作動を招くことなく、継ぎ代を直接検知できるようにして、段ボールシートのオーダ変更に伴う糊付の設定変更を容易に短時間で行なうようにして、製函機の生産性を向上できるようにしたものである。
【0009】
【特許文献1】特開平10−156974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
グルーガンには、糊付時にノズルが継ぎ代部に接触する接触式グルーガンと、ノズルが継ぎ代部に接触しない非接触式グルーガンとがある。接触式グルーガンを備えた糊付装置では、非接触式グルーガンより、継ぎ代部の糊付部への糊の塗布を安定して行なえるという利点がある。
しかし、接触式グルーガンは、段ボールシートの継ぎ代部に接触した時、段ボールシートの搬送に対する抵抗力が働く。そのため、その抵抗力が強く働くと、場合によっては、段ボールシートが傾くおそれがある。
【0011】
そのため、従来の接触式グルーガンを備えた糊付装置では、この抵抗力を低減するための手段が講じられている。即ち、糊付装置の自重と逆方向に荷重を付与するエアシリンダを設けて、段ボールシートに付加される糊付装置の自重を相殺し、糊付時にグルーガンの自重による過大な接触圧が段ボールシートに付与されないようにしている。また、該エアシリンダには、継ぎ代部がグルーガンに接触したときの衝撃に対してグルーガンの戻りを速くする方向に弾性力を付与するバネが内臓されている。
【0012】
そのため、段ボールシートの紙種(材質、フルート形状、坪量、紙厚等)によって、グルーガンに付与されるバネの弾性力が異なってくるので、段ボールシートの紙種によって、グルーガン12の接触圧が変化する。そのため、糊付部に対する糊塗布量が不安定になったり、場合によっては、継ぎ代部に過大な接触圧が付与されて、段ボールシートが傾くおそれがある。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、接触式グルーガンを用いた製函機ラインの糊付工程において、オーダ変更によって段ボールシートの紙種が変わっても、糊付時に継ぎ代部に過大な接触圧が付与されずに、常に安定した糊付けを可能することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、本発明の段ボールシートの糊付方法は、
製函ラインを走行する段ボールシートの側端部の継ぎ代部内の糊付部に接触式のグルーガンを用いて糊を塗布する段ボールシートの糊付方法において、
糊付時に第1加圧装置により段ボールシートに負荷されるグルーガンの自重を相殺する方向に加圧力を付与し、
該グルーガンの段ボールシート走行方向上流側の段ボールシート走行ラインに設けられた反力センサで継ぎ代部の反力を検出し、
糊付位置近傍に設けた第2加圧装置により該反力検出値に応じて設定された加圧力を段ボールシートの継ぎ代部に付与しながらグルーガンで糊付けするようにしたものである。
【0015】
本発明方法では、第1加圧装置によりグルーガンの自重を相殺する方向に加圧力を付与する。こうして、糊付時にグルーガンによる継ぎ代部に対する接触圧を最小化する。
次に、グルーガンの段ボールシート走行方向上流側の段ボールシート走行ラインに設けられた反力センサを段ボールシートに接触させて、段ボールシートの反力を検出し、その反力検出値から、段ボールシートの紙種や紙厚を判定する。そして、該判定結果に応じて糊付位置近傍に設けた第2加圧装置により、該段ボールシートの紙種に応じた加圧力を付与するようにしたものである。
【0016】
これによって、糊付時に段ボールシートに対してグルーガンから微小な接触圧のみしか負荷されず、かつ第2加圧装置により段ボールシートの紙種に応じた加圧力を付与しているため、糊付時に段ボールシートの傾きが発生せず、安定した糊付けが可能になる。
【0017】
本発明方法において、好ましくは、反力センサを段ボールシートに対する罫線加工及び溝切り加工の下流側に設け、紙厚が縮小された後の継ぎ代部の反力を該反力センサで検出するようにするとよい。製造される段ボール箱では、継ぎ代分だけ糊付部の紙厚が厚くなるため、製函工程で、スロッタ・クリーザ部の罫線加工又は溝切り加工で、罫線加工又は溝切り加工と同時に、継ぎ代部及び継ぎ代部が糊付けされる反対側の側板端縁部を圧縮して、紙厚を縮小する処理が行なわれる。
【0018】
この圧縮処理の後でないと、糊付時の継ぎ代部の紙厚が決まらないため、反力センサを罫線加工及び溝切り加工の下流側に配置して、その位置で継ぎ代部の紙厚を検出するとよい。また、ダイカット部より下流側では、段ボールシートの支持が幅方向全域の支持ではなく2点支持になるため、正確な反力検出ができないおそれがある。従って、反力センサを罫線加工又は溝切り加工後及びダイカット部より上流側に設置するとよい。
【0019】
また、前記本発明方法を実施するための本発明の段ボールシートの糊付装置は、
製函ラインを走行する段ボールシートの側端部の継ぎ代部内の糊付部に接触式のグルーガンを用いて糊を塗布する段ボールシートの糊付装置において、
グルーガンに対して該グルーガンの自重を相殺する方向に加圧力を付与する第1加圧装置と、
該グルーガンの段ボールシート走行方向上流側の段ボールシート走行ラインに設けられ、段ボールシートに接触して段ボールシートから受ける反力を検出する反力センサと、
糊付位置近傍に配置され、糊付時に該反力検出値に応じて設定された加圧力を段ボールシートの継ぎ代部に付与する第2加圧装置と、を備え、
第2加圧装置により該加圧力を段ボールシートの糊付部に付与しながらグルーガンで糊付けするように構成したものである。
【0020】
本発明装置において、第1加圧装置及び第2加圧装置をエアシリンダで構成するとよい。エアシリンダは空気の圧縮性により、継ぎ代部から受ける反力を弾性的に受け止めることができるので、継ぎ代部に強い衝撃力を与えない。そのため、継ぎ代部を損傷させるおそれがない。
【0021】
また、本発明装置において、グルーガンの直上流側に段ボールシートの走行位置を上下から下流側に向けて先細りとなるように挟んで該走行路を区画するガイド部材を設け、該ガイド部材の一方に第2加圧装置の加圧端子を接続し、第2加圧装置により該ガイド部材を介して段ボールシートの継ぎ代部に加圧力を付与するように構成するとよい。
【0022】
かかる構成により、第2加圧装置の加圧力を確実に継ぎ代部に付与することができると共に、段ボールシートの走行方向下流側に向けて先細りとなるガイド部材を介して継ぎ代部に加圧力を付与しているので、継ぎ代部に与える衝撃力を緩和でき、継ぎ代部に損傷を与えることがない。
【発明の効果】
【0023】
本発明方法によれば、製函ラインを走行する段ボールシートの側端部の継ぎ代部内の糊付部に接触式のグルーガンを用いて糊を塗布する段ボールシートの糊付方法において、
糊付時に第1加圧装置により段ボールシートに負荷されるグルーガンの自重を相殺する方向に加圧力を付与し、該グルーガンの段ボールシート走行方向上流側の段ボールシート走行ラインに設けられた反力センサで継ぎ代部の反力を検出し、糊付位置近傍に設けた第2加圧装置により該反力検出値に応じて設定された加圧力を段ボールシートの継ぎ代部に付与しながらグルーガンで糊付けするようにしたことにより、糊付時に段ボールシートの紙種に応じて、継ぎ代部に最適の加圧力を付与しながら糊付けすることができるため、段ボールシートの走行方向に対する傾きを発生させるおそれがなく、かつ安定した糊付けを行なうことができる。
【0024】
また、本発明装置は、製函ラインを走行する段ボールシートの側端部の継ぎ代部内の糊付部に接触式のグルーガンを用いて糊を塗布する段ボールシートの糊付装置において、グルーガンに対して該グルーガンの自重を相殺する方向に加圧力を付与する第1加圧装置と、該グルーガンの段ボールシート走行方向上流側の段ボールシート走行ラインに設けられ、段ボールシートに接触して段ボールシートから受ける反力を検出する反力センサと、糊付位置近傍に配置され、糊付時に該反力検出値に応じて設定された加圧力を段ボールシートの継ぎ代部に付与する第2加圧装置と、を備え、第2加圧装置により該加圧力を段ボールシートの糊付部に付与しながらグルーガンで糊付けするように構成したことにより、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0026】
本発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は、段ボールシートの製函機ラインにおける糊付装置10を示す正面図、図2は同じく側面図である。図1及び図2において、段ボールシートSの走行ラインPLに対面して固定盤11が立設されている。固定盤11の前方で段ボールシートSの継ぎ代部fが走行する位置に上方に垂直方向にグルーガン12が配置されている。グルーガン12には糊gが供給され、グルーガン12の先端に設けられた複数個のノズル13から段ボールシート走行ラインPLを走行する段ボールシートSの継ぎ代部fの糊付部に該ノズル13が接触して糊gが塗布される。
【0027】
固定盤11には、第1エアシリンダ15がブラケット16を介して垂直方向に固定されている。移動部材18及び移動部材18と一体となった移動板19は、固定盤11に対して上下方向に移動可能に取り付けられている。第1エアシリンダ15のピストンロッド17は、移動部材18及び移動板19に取り付けられている。また、グルーガン12は、移動部材18及ぶ移動板19に固定されている。従って、グルーガン12は移動部材18及び移動板19と共に、上下方向に移動可能になっている。
【0028】
グルーガン12の段ボールシート走行方向上流側で、第2エアシリンダ21がブラケット22を介して固定盤11に垂直方向に取り付けられている。第2エアシリンダ21のピストンロッド23は、移動板19と一体となった上部ガイド部材24aに取り付けられている。ガイド部材24は、上部ガイド部材24aと下部ガイド部材24bとからなり、上下ガイド部材24a、24bは、段ボールシート走行ラインPLを上下から挟むように配置されている。
【0029】
上下ガイド部材24a及び24bは、段ボールシートSの継ぎ代部fが通る位置に配置され、それらの間隔は、下流側へ行くほど狭まり、最下流端では段ボールシートSの紙厚より若干狭くなるように配置されている。例えば、段ボールシートSの紙厚が5.0mmのとき、上下ガイド部材24a、24b間の最狭部は、4.8mmに設定される。上部ガイド部材24aは、移動板19と一体となって上下方向に移動可能であり、下部ガイド部材24b固定盤11に固定されている。従って、段ボールシートSの継ぎ代部fが、上下ガイド部材24a、24b間を通る時、上部ガイド部材24aは段ボールシートSから反力を受ける。
【0030】
上下ガイド部材24a及び24bの一端側には、段ボールシートSを走行ラインPL上に導くためのガイドロッド25a及び25bが装着されている。上下ガイドロッド25a、25bは、ガイド部材24と同様に、互いの間隔が下流側で行くほど狭くなるように配置されている。
【0031】
図3は、製函機ラインのうち、スロッタ・クリーザ部C及びダイカット部Dを示す正面図である。図3において、矢印a方向からスロッタ・クリーザ部Cに進入してきた段ボールシートSは、まず、上下罫線ロール31a及び31b間を通ることにより、罫線加工がなされる。次に、上下送りロール32a及び32b間を通って上下スロッタ33a及び33bに達し、該上下スロッタ間を通ることにより、溝切り加工がなされる。
次に、ダイカット部Dに入り、上下送りロール34a及び34b間を通って上下ダイカットロール35a及び35bを通ることにより、手孔明け等の孔開け加工がなされる。
【0032】
本実施形態では、上下送りロール34a、34bと上下ダイカットロール35a、35b間に反力センサ36を設けている。反力センサ36は例えばロードセル等を用い、反力センサ36にはガイドレール37が接続されている。ガイドレール37は、段ボールシートSに接触して、段ボールシートSの反力を反力センサ36に伝達し、反力センサ36でその反力を検出するようにしたものである。
【0033】
即ち、段ボールシートSは、その材質の違いによって、硬軟の程度が異なり、また種類によって紙厚も異なる。本実施形態では、これらの違いを反力センサ36の反力検出値から判定し、この判定結果から、第2エアシリンダ21のピストンロッド23のストロークを調整することにより、段ボールシートSに対して糊付けに最適の加圧力を付与するようにしたものである。
【0034】
かかる構成の本実施形態において、段ボールシートSをスロッタ・クリーザ部Cに搬送して、罫線加工又は溝切り加工を行なうと共に、製造される段ボール箱の糊付部の紙厚が厚くならないように、継ぎ代部f及びその反対側の側板の端縁部の圧縮処理を行なう。
次に、ダイカット部Dで孔明け加工を行なうが、スロッタ・クリーザ部Cとダイカット部Dの間に配設された反力センサ36で段ボールシートSの反力を検出する。
【0035】
段ボールシートSの紙種は予めわかっているが、段ボールシートSの紙厚は、段ボールシート製造後の貯蔵期間、製函工程時の、天候、湿度、温度等で微妙に異なる。そのため、反力センサ36で段ボールシートSの反力を検出して、段ボールシートSの紙種及び製函時の紙厚を検出する。
【0036】
該検出値を制御装置26に入力し、制御装置26で該検出値に基づいて第2エアシリンダ21のストロークを制御し、上下ガイド部材24a及び24b間の間隔を調整する。これによって、糊付時に段ボールシートSの継ぎ代部fに安定した糊付けを可能とする最適の加圧力を付与するようにする。
【0037】
なお、初期に搬入される段ボールシートS、例えば1〜10枚までの段ボールシートSの反力検出値に基づいて、予め第2エアシリンダ21の加圧力を設定しておいてもよい。こうすれば、第2エアシリンダ21の加圧力の初期設定が容易になり、早期に最適加圧力に近づけることができる。
【0038】
ダイカット部Dを出た段ボールシートSは、矢印a方向から走行ラインPL上を走行して、糊付装置10に到達する。第1エアシリンダ15は、糊付時にグルーガン12の自重が段ボールシートSの継ぎ代部fに負荷されないように、グルーガン12に対してグルーガン12の自重を相殺する方向に加圧力を付与する。理想的には、無重量状態に近い接触圧となるようにする。
【0039】
ここで、図4に示すように、第1エアシリンダ15でグルーガン12の自重を相殺するためにグルーガン12に付与する加圧力Pと、反力センサ36で検出した検出反力に対応して第2エアシリンダ21が継ぎ代部fに付与する加圧力Pとは、加圧力Pのほうが大きいので、加圧力PとPの付与を第1エアシリンダ15と第2エアシリンダ21で分担することにより、糊付時に最適の加圧力を継ぎ代部fに付与することができる。
【0040】
このように、本実施形態によれば、糊付時に第1エアシリンダ15によってグルーガン12の継ぎ代部fに対する接触圧を最小化しながら、第2エアシリンダ21によって段ボールシートSの紙種に応じた最適な加圧力を付与するようにしているので、糊付時に段ボールシートSの傾きを生じることなく、継ぎ代部fの糊付部に最適な糊付量を塗布できる安定した糊付けが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、段ボールシートの製函工程において、段ボールシートの紙種が異なっても、段ボールシートに過大な接触圧が付与されることなく、安定した糊付けを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る糊付装置の正面図である。
【図2】前記実施形態に係る糊付装置の側面図である。
【図3】前記実施形態に係るスロッタ・クリーザ部及びダイカット部の正面図である。
【図4】前記実施形態で第1エアシリンダ15及び第2エアシリンダ21のよる加圧力を示す線図である。
【図5】製函機ラインの全体構成図である。
【図6】従来の糊付装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
10 糊付装置
12 グルーガン
36 反力センサ
15 第1エアシリンダ
21 第2エアシリンダ
24 ガイド部材
24a 上部ガイド部材
24b 下部ガイド部材
f 継ぎ代部
C スロッタ・クリーザ部
第1エアシリンダ15の加圧力
第2エアシリンダ21の加圧力
PL 段ボールシート走行ライン
S 段ボールシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製函ラインを走行する段ボールシートの側端部の継ぎ代部内の糊付部に接触式のグルーガンを用いて糊を塗布する段ボールシートの糊付方法において、
糊付時に第1加圧装置により段ボールシートに負荷されるグルーガンの自重を相殺する方向に加圧力を付与し、
該グルーガンの段ボールシート走行方向上流側の段ボールシート走行ラインに設けられた反力センサで継ぎ代部の反力を検出し、
糊付位置近傍に設けた第2加圧装置により該反力検出値に応じて設定された加圧力を段ボールシートの継ぎ代部に付与しながらグルーガンで糊付けするようにしたことを特徴とする段ボールシートの糊付方法。
【請求項2】
前記反力センサを製函工程の罫線入れ及び溝切り工程の下流側に設け、紙厚が縮小された後の継ぎ代部の反力を該反力センサで検出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の段ボールシートの糊付方法。
【請求項3】
製函ラインを走行する段ボールシートの側端部の継ぎ代部内の糊付部に接触式のグルーガンを用いて糊を塗布する段ボールシートの糊付装置において、
グルーガンに対して該グルーガンの自重を相殺する方向に加圧力を付与する第1加圧装置と、
該グルーガンの段ボールシート走行方向上流側の段ボールシート走行ラインに設けられ、段ボールシートに接触して段ボールシートから受ける反力を検出する反力センサと、
糊付位置近傍に配置され、糊付時に該反力検出値に応じて設定された加圧力を段ボールシートの継ぎ代部に付与する第2加圧装置と、を備え、
第2加圧装置により該加圧力を段ボールシートの糊付部に付与しながらグルーガンで糊付けするように構成したことを特徴とする段ボールシートの糊付装置。
【請求項4】
前記第1加圧装置及び第2加圧装置がエアシリンダであることを特徴とする請求項3に記載の段ボールシートの糊付装置。
【請求項5】
前記グルーガンの直上流側に段ボールシートの走行位置を上下から下流側に向けて先細りとなるように挟んで該走行路を区画するガイド部材を設け、
該ガイド部材の一方に前記第2加圧装置の加圧端子を接続し、第2加圧装置により該ガイド部材を介して段ボールシートの継ぎ代部に加圧力を付与するように構成したことを特徴とする請求項3又は4に記載の段ボールシートの糊付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−52211(P2010−52211A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218075(P2008−218075)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】