説明

段ボール箱

【課題】簡単な構造でケースの破損や変形を防止することができる段ボール箱を提供する。
【解決手段】ケース108を梱包する段ボール箱1であって、ケース108は、表面から突出した凸状リブ107a、107bを備えており、段ボール箱1は、箱体の側面を形成する側板2と、側板2から延出し開閉可能なフラップ3とを備えており、フラップ3に、凸状リブ107a、107bと嵌合する切り取り部7、8が形成されている。この構成によれば、緩衝パッド等の追加部品を用いることなく、ケース108の移動を抑えることができ、簡単な構造で段ボール箱1内に収納したケース108の破損や変形を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケース、特にテープカートリッジを収納したケースを梱包する段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータデータ等を記録する記録メディアとして、テープカートリッジが知られている。テープカートリッジは、記録テープを巻き込んだリールを本体ケース内に収納したものである。テープカートリッジを保管、運搬する際には、複数のテープカートリッジを樹脂製のケースに収納し、このケースを段ボールに梱包することが行われている(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
図10に、テープカートリッジをケースに収納する様子の一例を示している。図10(a)は、下ケース101に、複数のテープカートリッジ100を収納した状態を示している。図10(b)は、上ケース104を装着する直前の状態を示している。
【0004】
上ケース104には大きさの異なる凸状リブ107a、107bを設けており、図示されていないが、下ケース101にも同様の凸状リブを設けている。これらは、ケースを積み重ねる際の嵌合部となる。
【0005】
上ケース104を下ケース101に装着するときは、下ケース101のフランジ102と、上ケース104のフランジ105とを重ね合わせる。この際、下ケース101の突起103a、103bの外周面を、上ケース104の突起106a、106bの内周面に嵌合させることになる。
【0006】
図11は、上ケース104を下ケース101に装着したケース108を段ボール箱110に収納する様子を示す斜視図である。図11(a)は、ケース108を段ボール箱110内に収納する直前の状態を示している。
【0007】
段ボール箱110は、4枚の側板111により箱体の側面部を形成している。側板111の上側には、一対の内フラップ112及び一対の外フラップ113を設けている。同様に、側板111の下側には、一対の内フラップ114及び一対の外フラップ115を設けている。
【0008】
図11(b)は、段ボール箱110にケース108を収納した状態を示す斜視図である。本図の状態では、一対の内フラップ112は、段ボール箱110の内側に折り曲げられている。
【0009】
図12は、梱包完了状態を示す斜視図である。1対の外フラップ113の継ぎ目部に粘着テープ116を貼り付けている。また、本図では図示されていないが、段ボール箱110の裏面側においても、1対の外フラップ113の継ぎ目部に粘着テープ116を貼り付けている。さらに、側板111には所定の必要事項を記載したラベル117を貼り付けている。
【0010】
図13は、図11(b)のGG線における断面図である。図示の便宜上、ケース108は断面図ではなく、側面図として図示している。段ボール箱110内にケース108が収納されており、フランジ102及びフランジ105の外周部を、側板111の内周面が囲んでいる。この状態で段ボール箱110が保管、運搬されることになる。
【特許文献1】特開2007−197081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記の構成ではケース108内のテープカートリッジ100(図10)の破損は防止できるが、ケース108に破損や変形が生じる場合があった。特に、フランジ102及びフランジ105のコーナ部に破損や変形が生じ易かった。
【0012】
これは、図13に示したように、平板状のフランジ102及びフランジ105と、側板111の内周面とが近接しており、これらが輸送時の振動により、繰り返し擦れ合うためである。
【0013】
ケース108は、保管、運搬時に用いるだけでなく、段ボール箱110から取り出した後においても、テープカートリッジ100の保管用のケースとして用いる場合が多い。このため、ケース108の破損や変形は、外観の見栄えが悪くなり問題になっていた。
【0014】
このようなケース108の破損・変形を防止するためには、例えば特許文献1の構成のように、緩衝パッドを追加することが考えられる。しかし、この構成では、梱包時の作業負担が増し、コスト増になり、廃棄物も増加させてしまうという問題があった。
【0015】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、簡単な構造でケースの破損や変形を防止することができる段ボール箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の段ボール箱は、ケースを梱包する段ボール箱であって、前記ケースは、表面から突出した凸状リブを備えており、前記段ボール箱は、箱体の側面を形成する側板と、前記側板から延出し開閉可能なフラップとを備えており、前記フラップに、前記凸状リブと嵌合する切り取り部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡単な構造で段ボール箱内に収納したケースの破損や変形を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明によれば、段ボール箱の内フラップに形成した切り取り部を、ケースの凸状リブに嵌合させることができるので、緩衝パッド等の追加部品を用いることなく、ケースの移動を抑えることができる。このため、簡単な構造で段ボール箱内に収納したケースの破損や変形を防止することができる。
【0019】
前記本発明の段ボール箱においては、前記切り取り部は切り欠きであることが好ましい。
【0020】
また、前記切り取り部は穴であることが好ましい。
【0021】
また、前記切り取り部の少なくとも1つにおいて、前記切り取り部と前記凸状リブとが当接することが好ましい。この構成によれば、ケースの移動抑制に有利になる。
【0022】
また、前記切り取り部の少なくとも1つにおいて、前記切り取り部と前記凸状リブとの間に隙間が形成され、前記隙間を縮めるように、前記ケースが移動可能なときに、前記隙間は、前記ケースの移動範囲が前記ケースの外周部と前記段ボール箱の前記側板の内面とが当接を開始するまでの範囲内となる大きさであることが好ましい。この構成によれば、ケースの外周部と段ボール箱の側板の内面とが繰り返し擦れ合うこと防止することができる。
【0023】
また、前記ケースは、テープカートリッジを収納するケースであることが好ましい。
【0024】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る段ボール箱1に、ケース108を収納する様子を示す斜視図である。本実施の形態において、ケース108は、図11(a)に示したケース108と同一の構成である。したがって、図1に示したケース108についても、図10(a)、(b)に示した要領で複数のテープカートリッジ100が収納されている。
【0026】
最初に、ケース108に設けている第1リブ107a及び第2リブ107bについて説明する。ケース108の表面に設けている大小2種類のリブのうち、大きいリブを第1リブ107a、小さいリブを第2リブ107bとする。第1リブ107a及び第2リブ107bは、ケース108を積み重ねる際の嵌合部分である。このため、従来では図13に示したように、ケース108が段ボール箱110内にあるときには、特別役割を果たすものではなかった。
【0027】
本実施の形態に係る段ボール箱1は、ケース108に設けている第1リブ107a及び第2リブ107bを用いて、梱包したケース108の移動を抑えるようにしたものである。
【0028】
第1リブ107a、第2リブ107bはいずれも、略矩形で環状の凸状リブであり、環状部分が上ケース104の表面から突出している。図1では図示されていないが、下ケース101の下面にも、同様の構成の第1リブ107a及び第2リブ107bを設けている。
【0029】
図1の破線で囲んだA部及びB部には、それぞれ第1リブ107aと第2リブ107bとが交互に配置されている。下ケース101のうちA部及びB部の下部についても、それぞれ第1リブ107aと第2リブ107bとが交互に配置されている。
【0030】
だだし、A部では左端に第2リブ107bが配置されているのに対し、A部の下部の下ケース101では、左端に第1リブ107aが配置されている。また、B部では左端に第1リブ107a配置されているのに対し、B部の下部の下ケース101では、左端に第2リブ107bが配置されている。
【0031】
すなわち、上ケース104の第2リブ107bと下ケース101の第1リブ107aとが、ケース108内の収納空間を介して対向している。そして、上ケース104の第1リブ107aと下ケース101の第2リブ107bとが、ケース108内の収納空間を介して対向している。
【0032】
図9に、ケース108を積み重ねた状態の斜視図を示している。前記のような第1リブ107a及び第2リブ107bの構成によれば、図9の状態では、一方のケース108における第1リブ107aの内周と、他方のケース108における第2リブ107bの外周とが嵌合していることになる。このことにより、図9のようにケース108を積み重ねても、安定した状態を保つことができる。
【0033】
次に、本実施の形態に係る段ボール箱1の構成について説明する。図1に示したように、段ボール箱1は、4枚の側板2により箱体の側面部を形成している。側板2の上側には、側板2から延出し開閉可能な一対の内フラップ3及び一対の外フラップ4を設けている。同様に、側板2の下側には、一対の内フラップ5及び一対の外フラップ6を設けている。
【0034】
一対の内フラップ3には、それぞれ切り取り部である切り欠き7、8を設けている。詳細は後に説明するが、切り欠き7は、ケース108の第1リブ107aに嵌合させるものであり、切り欠き8は第2リブ107bに嵌合させるものである。
【0035】
図1に示したように、上側の一対の内フラップ3及び一対の外フラップ4が外側に開いた状態で、ケース108を段ボール箱1内に収納する。図1では、段ボール箱1の下側は、あらかじめ一対の内フラップ5及び一対の外フラップ6により閉塞されている。すなわち、一対の内フラップ5は内側に折り曲げられており、一対の内フラップ5に重なるように、一対の外フラップ6が折り曲げられている。
【0036】
図2は、段ボール箱1にケース108を収納した状態を示す斜視図である。本図の状態では、一対の内フラップ3は、段ボール箱1の内側に折り曲げられている。そして、ケース108の第1リブ107aと、内フラップ3の切り欠き7とが嵌合し、ケース108の第2リブ107bと、内フラップ3の切り欠き8とが嵌合している。
【0037】
図2の状態から、一対の外フラップ4を一対の内フラップ3に重なるように折り曲げ、一対の外フラップ4の継ぎ目部に粘着テープで貼り付ける。最終的には、図12に示したような梱包完了状態になる。
【0038】
図3(a)は、図2のCC線における断面図を示している。図示の便宜上、ケース108は断面図ではなく、側面図として図示している。図3(b)は、図3(a)において、リブと切り欠きとの間に、隙間を形成した図である。図3(b)の詳細は後に説明する。図3(a)において、第1リブ107aの外周面と、切り欠き7の一辺とが当接している。同様に第2リブ107bの外周面と、切り欠き8の一辺とが当接している。
【0039】
ここで、図3(a)の状態では、図2に示したように、一対の外フラップ4は開放状態にある。図3(a)では、外フラップ4が閉じた状態を2点鎖線で示している。一方、図12に示したような梱包完了状態では、外フラップ4は、粘着テープ116により固定されている。このため、梱包完了状態では、外フラップ4の下側にある内フラップ3の変位は抑えられている。
【0040】
したがって、梱包完了状態では、図3(a)に示したように、第1リブ107a、第2リブ107bに、それぞれ切り欠き7、切り欠き8の各辺が当接し、かつ内フラップ3は外フラップ4により変位が抑えられていることになる。このことにより、ケース108は、図3(a)の左右方向(図2では矢印X方向)への移動が抑えられることになる。
【0041】
図4(a)は、図2のDD線における断面図を示している。図4(b)は、図4(a)において、リブと切り欠きとの間に、隙間を形成した図である。図4(b)の詳細は後に説明する。図4(a)において、第2リブ107bの一対の外周面に、切り欠き8の一対の辺が当接している。同様に第1リブ107aの一対の外周面に、切り欠き7の一対の辺が当接している。このことにより、ケース108は、図4(a)の左右方向(図2では矢印Y方向)への移動が抑えられることになる。
【0042】
本実施の形態によれば、第1リブ107a、第2リブ107bに、それぞれ切り欠き7、切り欠き8を嵌合させたことにより、ケース108の矢印X方向、Y方向(図2)の両方向の移動が抑えられることになる。したがって、本実施の形態によれば、段ボール箱1が輸送時に振動しても、ケース108の移動が抑えられるので、外周フランジ部102、105の破損や変形を抑えることができる。
【0043】
なお、本実施の形態は、下記のように変更したものでもよい。このことは後に説明する図8(a)の構成においても同様である。
【0044】
内フラップ3に形成する切り欠きの個数は、図1、2に示した個数に限るものではなく、ケース108の構成に応じて適宜決定すればよい。ただし、運搬時のケース108の移動を抑えるには、1つの内フラップ3に少なくとも1つの切り欠きを形成することが好ましい。例えば図2において対角位置の2箇所に切り欠きを形成したものでもよい。具体的には、図2において、一方の内フラップ3の切り欠きは切り欠き7の1箇所とし、他方の内フラップ3の切り欠きも切り欠き7の1箇所としたものでもよい。
【0045】
また、1つの切り欠きと1つの凸状リブとを嵌合させる例で説明したが、1つの切り欠きと複数の凸状リブとを嵌合させるものでもよい。
【0046】
また、切り欠き7、8の辺が、それぞれ第1リブ107a、第2リブ107bの外周面に当接している例で説明したが、切り欠き7、8の各辺と第1リブ107a、第2リブ107bの外周面との間に隙間を設けるようにしてもよい。
【0047】
すなわち、本実施の形態は第1リブ107aと切り欠き7とが嵌合し、第2リブ107bと切り欠き8が嵌合している例を説明したが、嵌合はリブと切り欠きとが当接している場合だけでなく、リブと切り欠きとの間に隙間がある場合も含んでいる。前記の通り、図3(b)及び図4(b)に、リブと切り欠きとの間に隙間がある構成を示している。
【0048】
隙間の設定は、隙間を縮めるように、ケース108が移動可能なときに、ケース108の移動範囲がケース108の外周部と段ボール箱1の側板2の内面とが当接を開始するまでの範囲内となる大きさとすることが好ましい。このような設定であれば、隙間があることにより、段ボール箱1が移動しても、ケース108の外周部と段ボール箱1の側板2の内面とが繰り返し擦れ合うこと防止することができる。
【0049】
より具体的には、下記の通りである。図3(b)において、切り欠き7と第1リブ107aとの隙間及び切り欠き8と第2リブ107bとの隙間をS1とし、段ボール箱1の側板2の内面と外周フランジ部102、105の端面との間の隙間をT1とする。隙間T1は、図3(b)の左右において均等であることを前提にしている。
【0050】
図4(b)において、切り欠き7と第1リブ107aとの隙間及び切り欠き8と第2リブ107bとの隙間をS2とし、段ボール箱1の側板2の内面と外周フランジ部102、105の端面との間の隙間をT2とする。隙間T2は、図4(b)の左右において均等であることを前提にしている。
【0051】
前記のような定義の下で、下記式(1)及び式(2)を満足することが好ましい。
【0052】
式(1)S1≦T1
式(2)S2≦T2
式(1)及び式(2)の関係を満足していれば、ケース108の移動は、外周フランジ部102、105の端面が、段ボール箱1の側板2の内面と当接を開始する位置までに抑えられる。
【0053】
図4(b)では、切り欠き7、8はそれぞれ第1リブ107a、第21リブ107bを挟み込むように配置されているので、前記式(2)は、切り欠き7、8のうち、いずれか一方において満足していてもよい。
【0054】
また、段ボール箱1の側板2の内面と外周フランジ部102、105の端面との間の隙間が無い構成(T1=0、T2=0)も考えられる。この場合は、T1=0のときはS1=0とし、T2=0のときは切り欠き7、8のうち、いずれか一方においてS2=0として、ケース108の移動を抑えた構成とすることが好ましい。
【0055】
また、切り欠きとリブとが当接した部分と、切り欠きとリブとの間に隙間がある部分とが混在した構成であってもよい。このような構成であっても、ケース108の外周部と段ボール箱1の側板2の内面とが繰り返し擦れ合うことを防止できる程度に、ケース108の移動を抑えられればよい。
【0056】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る段ボール箱10に、ケース108を収納する様子を示す斜視図である。本実施の形態においても、ケース108は、図11(a)に示したケース108と同一の構成である。したがって、図5に示したケース108についても、図10(a)、(b)に示した要領で複数のテープカートリッジ100が収納されている。また、実施の形態1における第1リブ107a及び第2リブ107bについての説明は、本実施の形態においても同様である。
【0057】
本実施の形態に係る段ボール箱10は、内フラップ11の構成が、図1に示した段ボール箱1の内フラップ3の構成と異なっている。これ以外の構成は、図1に示した段ボール箱1の構成と同じである。このため、段ボール箱1と同一構成のものは同一符号を付して、重複した説明は省略する。
【0058】
一対の内フラップ11には、それぞれ切り取り部である穴12、13を設けている。詳細は後に説明するが、穴12はケース108の第1リブ107aに嵌合させるものであり、穴13は第2リブ107bに嵌合させるものである。
【0059】
図6は、段ボール箱10にケース108を収納した状態を示す斜視図である。本図の状態では、一対の内フラップ11は、段ボール箱10の内側に折り曲げられている。そして、ケース108の第1リブ107aと、内フラップ11の穴12とが嵌合し、ケース108の第2リブ107bと、内フラップ11の穴13とが嵌合している。
【0060】
図6の状態から、一対の外フラップ4を一対の内フラップ11に重なるように折り曲げ、一対の外フラップ4の継ぎ目部に粘着テープで貼り付ける。最終的には、図12に示したような梱包完了状態になる。
【0061】
図7(a)は、図6のEE線における断面図を示している。図示の便宜上、ケース108は断面図ではなく、側面図として図示している。図7(b)は、図7(a)において、リブと穴との間に、隙間を形成した図である。図7(b)の詳細は後に説明する。図7(a)において、第1リブ107aの一対の外周面に、穴12の一対の辺が当接している。同様に第2リブ107bの一対の外周面に、穴13の一対の辺が当接している。
【0062】
ここで、図7(a)の状態では、図6に示したように、一対の外フラップ4は開放状態にある。図7(a)では、外フラップ4が閉じた状態を2点鎖線で示している。一方、図12に示したような梱包完了状態では、外フラップ4は、粘着テープ116により固定されている。このため、梱包完了状態では、外フラップ4の下側にある内フラップ11の変位は抑えられている。このことは、実施の形態1と同様である。
【0063】
したがって、梱包完了状態では、図7(a)に示したように、第1リブ107a、第2リブ107bの外周面に、それぞれ穴12、13の各辺が当接し、かつ内フラップ11は外フラップ4により変位が抑えられていることになる。このことにより、ケース108は、図7の左右方向(図6では矢印X方向)への移動が抑えられることになる。
【0064】
図6のFF線における断面図は、図4(a)と同じ図示になる。図4(a)において切り欠きを示す符号7、8を、穴を示す符号12、13に置き換えたものが、図6のFF線における断面図に相当する。
【0065】
この構成では、第1リブ107aの一対の外周面に、穴12の一対の辺が当接している。同様に第2リブ107bの一対の外周面に、穴13の一対の辺が当接している。このことにより、ケース108は、図4の左右方向(図6では矢印Y方向)への移動が抑えられることになる。
【0066】
本実施の形態によれば、第1リブ107a、第2リブ107bに、それぞれ穴12、13を嵌合させたことにより、ケース108の矢印X方向、Y方向(図6)の両方向の移動が抑えられることになる。したがって、本実施の形態によれば、段ボール箱1が輸送時に振動しても、ケース108の移動が抑えられるので、外周フランジ部102、105の破損や変形を抑えることができる。
【0067】
なお、本実施の形態は、下記のように変更したものでもよい。このことは後に説明する図8(b)の構成においても同様である。
【0068】
内フラップ11に形成する穴の個数は、図5、6に示した個数に限るものではなく、ケース108の構成に応じて適宜決定すればよい。例えば図6において対角位置の2箇所に穴を形成したものでもよい。具体的には、図6において、一方の内フラップ11の穴は穴12の1箇所とし、他方の内フラップ11の穴も穴12の1箇所としたものでもよい。
【0069】
また、穴と凸状リブとを嵌合させた場合には、図6のX方向、Y方向の双方においてケース108の位置規制ができるので、片側の内フラップ11のみに穴形成した構成も考えられる。
【0070】
また、1つの穴と1つの凸状リブとを嵌合させる例で説明したが、1つの穴と複数の凸状リブとを嵌合させるものでもよい。
【0071】
また、穴12、13の辺が、それぞれ第1リブ107a、第2リブ107bの外周面に当接している例で説明したが、穴12、13の各辺と第1リブ107a、第2リブ107bの外周面との間に隙間を設けるようにしてもよい。
【0072】
すなわち、本実施の形態は第1リブ107aと穴12とが嵌合し、第2リブ107bと穴13とが嵌合している例を説明したが、嵌合はリブと穴とが当接している場合だけでなく、リブと穴との間に隙間がある場合も含んでいる。前記の通り、図7(b)に、リブと穴との間に隙間がある構成を示している。
【0073】
この場合の隙間の設定は、前記実施の形態1と同様である。また、実施の形態1における前記式(1)、(2)に関する説明も、本実施の形態1においても同様である。この場合は、図7(b)において、前記実施の形態1と同様に、S1、T1を設定し、S2、T2は実施の形態1の図4(b)の設定を用いることになる。
【0074】
ただし、図7(b)では、切り欠き12、13はそれぞれ第1リブ107a、第2リブ107bを挟み込むように配置されているので、前記式(1)は、切り欠き12、13のうち、いずれか一方において満足していてもよい。
【0075】
また、穴とリブとが当接した部分と、穴とリブとの間に隙間がある部分とが混在した構成であってもよい。このような構成であっても、ケース108の外周部と段ボール箱1の側板2の内面とが繰り返し擦れ合うことを防止できる程度に、ケース108の移動を抑えられればよい。
【0076】
(実施の形態3)
前記実施の形態1、2では、段ボール箱の上側の内フラップに、切り欠きや穴の切り取り部を形成した例で説明したが、これらは段ボール箱の下側の内フラップに形成してもよい。このような構成は、例えば、上側の内フラップに所定の表示内容を印刷する場合に、内フラップに切り欠きや穴の切り取り部を形成すると、印刷スペースの確保ができない場合に適している。
【0077】
図8(a)に示した段ボール箱20は、上側の一対の内フラップ21には、切り欠きや穴の切り取り部は形成せず、下側の内フラップ22に切り欠き23、24を形成している。
【0078】
図8(b)に示した段ボール箱30は、上側の一対の内フラップ31には、切り欠きや穴の切り取り部は形成せず、下側の内フラップ32に穴33、34を形成している。
【0079】
このように、下側の内フラップに切り取り部を形成した構成では、上側の内フラップ及び外フラップを内側に折り曲げた後、下側の内フラップ側が上側になるようにして、ケース108を収納すればよい。すなわち、本実施の形態に係る段ボール箱は、前記実施の形態1、2と実質的に同じ取り扱いとなり、同様の効果が得られる。
【0080】
なお、本実施の形態は、段ボール箱の下側の内フラップに切り取り部を形成した例を説明したが、下部の内フラップに切り取り部を形成するとともに、上部の内フラップにも切り取り部を形成した構成であってもよい。
【0081】
また、前記実施の形態1−3では、ケースはテープカートリッジを収納するケースの例で説明したが、これに限るものではなく、ケースは表面から突出した凸状リブを備えたものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明によれば、簡単な構造でケースの破損や変形を防止することができるので、本発明は例えばテープカートリッジを収納するケースを梱包する段ボール箱として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態1に係る段ボール箱1に、ケース108を収納する様子を示す斜視図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る段ボール箱1に、ケース108を収納した状態を示す斜視図。
【図3】(a)図は図2のCC線における断面図、(b)図は(a)図においてリブと切り欠きとの間に、隙間を形成した図。
【図4】(a)図は図2のDD線における断面図、(b)図は(a)図においてリブと切り欠きとの間に、隙間を形成した図。
【図5】本発明の実施の形態2に係る段ボール箱10にケース108を収納する様子示す斜視図。
【図6】本発明の実施の形態2に係る段ボール箱10に、ケース108を収納した状態を示す斜視図。
【図7】(a)図は図6のEE線における断面図、(b)図は(a)図においてリブと穴との間に、隙間を形成した図。
【図8】(a)図は本発明の実施の形態3に係る段ボール箱の一例を示す斜視図、(b)図は別の一例を示す斜視図。
【図9】ケース108を積み重ねた状態を示す斜視図。
【図10】テープカートリッジをケースに収納する様子の一例を示す斜視図であり、(a)図は下ケース101に、複数のテープカートリッジ100を収納した状態を示す斜視図、(b)図は上ケース104を装着する直前の状態を示す斜視図。
【図11】従来の段ボール箱110にケース108を収納する様子を示す斜視図であり、(a)図はケース108を段ボール箱110内に収納する直前の状態を示す斜視図、(b)図は段ボール箱110にケース108を収納した状態を示す斜視図。
【図12】段ボール箱110による梱包完了状態を示す斜視図。
【図13】図11(b)のGG線における断面図。
【符号の説明】
【0084】
1,10,20,30 段ボール箱
2 側板
3,5 内フラップ
4,6 外フラップ
7,8,23,24 切り欠き
12,13,33,34 穴
107a 第1リブ
107b 第2リブ
108 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースを梱包する段ボール箱であって、
前記ケースは、表面から突出した凸状リブを備えており、
前記段ボール箱は、箱体の側面を形成する側板と、前記側板から延出し開閉可能なフラップとを備えており、
前記フラップに、前記凸状リブと嵌合する切り取り部が形成されていることを特徴とする段ボール箱。
【請求項2】
前記切り取り部は切り欠きである請求項1に記載の段ボール箱。
【請求項3】
前記切り取り部は穴である請求項1に記載の段ボール箱。
【請求項4】
前記切り取り部の少なくとも1つにおいて、前記切り取り部と前記凸状リブとが当接する請求項1から3のいずれかに記載の段ボール箱。
【請求項5】
前記切り取り部の少なくとも1つにおいて、前記切り取り部と前記凸状リブとの間に隙間が形成され、前記隙間を縮めるように、前記ケースが移動可能なときに、前記隙間は、前記ケースの移動範囲が前記ケースの外周部と前記段ボール箱の前記側板の内面とが当接を開始するまでの範囲内となる大きさである請求項1から3のいずれかに記載の段ボール箱。
【請求項6】
前記ケースは、テープカートリッジを収納するケースである請求項1から5のいずれかに記載の段ボール箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−286425(P2009−286425A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139905(P2008−139905)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】