説明

殺外部寄生虫薬としてのジヒドロキノリノン

本発明は、非ヒト動物における外部寄生虫、例えば昆虫、ダニ、特にマダニを駆除するための、式(I)


(式中、R、R1およびR2は、特許請求の範囲に定義されている。)のジヒドロキノリノン誘導体および式(I)の化合物を含有する殺外部寄生虫組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下に式Iにおいて定義されるような、ジヒドロキノリノン誘導体の顕著な殺ダニ活性の発見に基づく。本発明は、非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、式Iのジヒドロキノリノン誘導体の使用に関する。外部寄生虫は、昆虫、ダニ、特にマダニを含む。本発明はさらに、このようなジヒドロキノリノン誘導体を含有する殺外部寄生虫組成物、少なくとも1つの式Iのジヒドロキノリノン誘導体の有効量を寄生生物の生息場所に投与することによって、外部寄生虫を制御する方法、殺外部寄生虫組成物、より好ましくは殺虫組成物または殺ダニ組成物、特に殺マダニ組成物の調製のための、式Iのジヒドロキノリノン誘導体の使用、および非ヒト動物における前記外部寄生虫の処理のための動物用組成物の調製のためのこれらの使用、そして最後に大事なことであるが、前記外部寄生虫を駆除するための動物用薬物の製造における式Iの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ジヒドロキノリノン誘導体は、ジヒドロキノリノン、キノリノン、ペニゲキノロン、ペニプレキノロン、ヤエキノロン、アスポキノロンまたはFKI−2140誘導体などの様々な名称で発表されてきた、知られている天然化合物である。
【0003】
以下において、ジヒドロキノリノン誘導体の名称が使用される。ジヒドロキノリノン誘導体は、文献に記載の調製方法に従って調製され得る。特定のジヒドロキノリノン誘導体は、ペニシリウム属種(Penicillium sp.)FKI−2140の培養ブロスから単離されており(Ryuji Uchidaら、「Yaequinolones、New Insecticidal Antibiotics Produced by Penicillium sp.FKI−2140」、J.Antibiot.59(10):646−658頁(2006年)およびWO2006/059400)、またはペニシリウムの真菌、シムプリシシマム(simplicissimum)によって単離された(Miyako Kusanoら、「Nematicidal Alkaloides and Related Compounds Produced by the Fungus Penicillium cf.simplicissimum.」、Biosci.Biotechnol.Biochem.、64(12)、2559−2568頁(2000年))。他のものは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)の真菌によって生成された(DE102006006893)。
【0004】
ブラインシュリンプである、アルテミア・サリナ(Artemia salina)に対してそれらが顕著な生物活性を示すことが、様々な論文および特許文献において報告された。これらは、無甲目(Anostraca)のアルテミイダエ(Artemiidae)科における唯一の属、アルテミア属の水性甲殻類の種である(本当のエビとは近縁種ではない、ホウネンエビ類)。ブラインシュリンプは、地球の存在の三畳紀から存在し、そのときから少ししか進化していない。ブラインシュリンプは、世界中の海ではない、塩水で見られる。抗増殖/細胞毒性活性が、例えば、独国特許第102006006893号明細書に記載されている。自由生活線虫、シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)に対する殺線虫活性は、Biosci.Biotechnol.Biochem.の上記論文において報告されている。アルテミア属は、無甲目に属するアルテミイダエ科の一員であり、無甲目は、膨大な節足動物門(Arthropoda)に属する。
【0005】
節足動物は、典型的には5つの亜門に分類され、その中の1つは絶滅した:
1.三葉虫は、かつては多数の海洋動物のグループであるが、二畳紀−三畳紀の絶滅イベントの終わりに大量絶滅で死んだ。
2.鋏角類の節足動物は、クモ、マダニ、コダニ、サソリおよび関連の生物を含む。鋏角類の節足動物は、鋏角の存在を特徴とする。
3.多足類は、ヤスデおよびムカデならびにそれらの近縁個体を含み、多くの体節を有し、それぞれ1対または2対の脚を持つ。多足類はときに、6脚類と一緒にされる。
4.6脚類は、昆虫および6つの胸脚を有する昆虫様動物の3つの小さな目を含む。遺伝的証拠は、6脚類と甲殻類との間により近い近縁関係を裏付ける傾向にあるが、6脚類は、ときにウニラミア(Uniramia)と呼ばれるグループにおいて多足類と一緒にされる。
5.甲殻類は、そもそも水性動物であり(明らかな例外はダンゴムシである。)、二枝型付属肢を有することを特徴とする。甲殻類は、ロブスター、カニ、フジツボ、ザリガニ、エビおよびその他多くのものを含む。
【0006】
これまでのところ、天然のジヒドロキノリノン誘導体の他の活性は、エビおよび蠕虫に対する以外に確認されていない。本明細書に記載される天然の生成物と類似の置換パターンを有するジヒドロキノリノン誘導体は、知られていない。
【0007】
PCT出願国際公開第200226713号明細書は、化学的手段によって生成され、1H−キノリン−2−オンという化学的分類に属する物質を記載している。前記物質について生物活性は実証されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/059400号
【特許文献2】独国特許第102006006893号明細書
【特許文献3】国際公開第2002/26713号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ryuji Uchidaら、「Yaequinolones、New Insecticidal Antibiotics Produced by Penicillium sp.FKI−2140」、J.Antibiot.59(10):646−658頁(2006年)
【非特許文献2】Miyako Kusanoら、「Nematicidal Alkaloides and Related Compounds Produced by the Fungus Penicillium cf.simplicissimum.」、Biosci.Biotechnol.Biochem.、64(12)、2559−2568頁(2000年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、1つの態様において、本発明は、非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、式I
【0011】
【化1】

(式中、
Rは、OHまたはOCHであり;
R1は、HまたはOHであり;
R2は、Hまたは以下の側鎖のうちの1つであり、
【0012】
【化2】

または基R1−および置換基R2−は、これらが結合しているフェニル基の炭素原子aおよびbと一緒になって、下記置換基
【0013】
【化3】

を形成する。)
のジヒドロキノリノン誘導体およびその立体異性体の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
式Iの化合物の塩は、知られている方法で生成されてもよい。例えば、酸付加塩は、適切な酸または適切なイオン交換試薬で処理することによって化合物Iから得られ、塩基との塩は、適切な塩基または適切なイオン交換試薬で処理することによって得られる。
【0015】
式Iの化合物の塩は、通常の手段によって遊離化合物Iに、例えば適切な塩基性組成物でまたは適切なイオン交換試薬で処理することによって酸付加塩に、例えば適切な酸または適切なイオン交換試薬で処理することによって塩基との塩に変換され得る。
【0016】
式Iの化合物の塩は、知られている方法で、化合物Iの他の塩に変換され得る;例えば、酸付加塩は、例えば塩酸塩などの無機酸の塩を、適切な溶媒中において、酸のナトリウム塩、バリウム塩または銀塩などの適切な金属塩、例えば銀酢酸塩で処理することによって他の酸付加塩に変換され得、前記溶媒中において、生じた無機塩、例えば銀塩酸塩は不溶性であり、よって反応混合物から沈殿する。
【0017】
方法および/または反応条件に応じて、塩を形成する特徴を有する式Iの化合物は、遊離形態または塩の形態で得ることができる。
【0018】
具体的であるが、限定ではない、式Iの化合物の例は、以下に示す化合物番号1から13である。
【0019】
下記グループの化合物番号1から13および式I内のそれぞれ個々の化合物番号1から13の使用が、本発明の好ましい実施形態である。
【0020】
【化4】




【0021】
式I内において、化合物番号8および特に化合物番号11の使用は、殺マダニ活性が顕著であるので、特に好ましい。
【0022】
式Iの化合物は、数個の不斉炭素原子または立体中心を含む。結果として、式Iの化合物は、光学異性体および/もしくは幾何異性体としてまたはそれらの混合物として、場合によって存在することができる。本発明は、純粋な異性体および全ての可能な異性体混合物の両方に関し、たとえ立体化学の詳細が特に言及されていなくても、本明細書の以上および以下でそのようなものとして理解される。
【0023】
式Iの化合物のジアステレオ異性体混合物が得られるが、混合物は、それらの構成成分における物理的化学的差異に基づいて、知られている方法で、例えば分別結晶、蒸留および/またはクロマトグラフィーによって、純粋なジアステレオ異性体に分離され得る。
【0024】
このように得られた鏡像異性体の混合物を純粋な異性体に分割するには、知られている方法によって、例えば光学活性溶媒からの再結晶化によって、キラル吸収剤のクロマトグラフィー、例えばアセチルセルロースの高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、適切な微生物を活用して、特殊な固定化酵素を用いた開裂によって唯一の鏡像異性体が錯形成される、例えば、キラルクラウンエーテルを用いた包接化合物の形成を介して達成できる。
【0025】
本発明によれば、対応の異性体混合物の分離以外で、ジアステレオ選択的合成またはエナンチオ選択的合成の一般的な知られている方法もまた、純粋なジアステレオ異性体または鏡像異性体を得るために、例えば対応する適切な立体化学を有する遊離体を用いて本発明の方法を実行することによって適用され得る。
【0026】
個々の構成成分が異なる生物学的効果を有する場合、より生物活性な異性体、例えば鏡像異性体を単離または合成することが有利である。
【0027】
ここで、式(I)の化合物および上記に定義された個々の代表的なものは、非ヒト動物における一連の外部寄生虫に対して、例えばマダニおよびコダニを含むダニ目の代表的なもの、特にマダニに対して顕著な活性を示すことが、驚くべきことに見い出された。式(I)の化合物および上記に定義された個々の代表的な化合物はまた、吸血昆虫、具体的にはイヌノミおよびネコノミなどのノミに対して充分な活性を示す。
【0028】
非ヒト動物に寄生する外部寄生虫の例は、限定するわけではないが、サシバエ、クロバエ、ノミ、シラミ、他の吸収昆虫などの節足動物の外部寄生虫または双翅目の害虫、マダニおよびコダニである。動物および/またはヒトに寄生するこのような外部寄生虫の属の例は、アエデス属(Aedes)、キララマダニ属(Amblyomma)、ウシマダニ属(Boophilus)、オオクロバエ属(Calliphora)、ショクヒヒゼンダニ属(Chorioptes)、コクリオミイヤ属(Cochliomyia)、イヌノミ属(Ctenocephalides)、サシバエ属(Culicoides)、ダマリニア属(Damalinia)、ニキビダニ属(Demodex)、カクマダニ属(Dermacentor)、ワクモ属(Dermanyssus)、ヒフバエ属(Dermatobia)、ウマバエ属(Gasterophilus)、ハエマトビア属(Haematobia)、ブタジラミ属(Haematopinus)、チマダニ属(Haemaphysalis)、イボマダニ属(Hyalomma)、ハイポデルマ属(Hypoderma)、マダニ属(Ixodes)、ケモノホソジラミ属(Linognathus)、キンバエ属(Lucilia)、ヒツジシラミバエ属(Melophagus)、オエストラス属(Oestrus)、オトビウス属(Otobius)、ミミヒゼンダニ属(Otodectes)、サシチョウバエ属(Phlebotomus)、ヒツジツメダニ属(Psorergates)、キュウセンヒゼンダニ属(Psoroptes)、コイタマダニ属(Rhipicephalus)、ヒゼンダニ属(Sarcoptes)、サシバエ属(Stomoxys)およびアブ属(Tabanus)である。
【0029】
ダニ、特にマダニに対する活性は、式(I)の化合物の最も顕著な活性である。ダニは、コダニ(例えば、ウシショクヒヒゼンダニ(Chorioptes bovis)、ケモノツメダニ属種(Cheyletiella ssp.)、ワクモ(Dermanyssus gallinae)、イヌニキビダニ(Demodex canis)、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)、ヒツジキュウセンヒゼンダニ(Psoroptes ovis)およびヒツジツメダニ属種(Psorergates spp.))およびマダニなどの寄生生物を含む。
【0030】
本発明の文脈において、マダニはダニ目の一員であると理解される。例えば、よく知られている代表的なものは、ウシマダニ属、キララマダニ属、アノセントール属(Anocentor)、カクマダニ属、チマダニ属、イボマダニ属、マダニ属、リピセントール属(Rhipicentor)、マルガロプス属(Margaropus)、コイタマダニ属、ナガヒメダニ属(Argas)、オトビウス属およびカズキダニ属(Ornithodoros)などであり、それらは、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジおよびヤギ、ニワトリ、シチメンチョウおよびガチョウなどの家禽などの家畜、ミンク、キツネ、チンチラ、ウサギなど毛皮をもった動物ならびにネコおよびイヌなどの愛玩動物を含む、温血動物に好ましくは寄生し、またヒトにも寄生することができる。
【0031】
マダニは、ヒメダニおよびカタダニに分類することができる。ヒメダニは5つの幼体期を有し、いくつかの動物に寄生することができる。ヒメダニは短期間の吸血生物であり、メスは数回血液を摂食し、その後、数百個の卵をその度産む。カタダニは、1種、2種または3種の宿主動物に寄生することを特徴とする。カタダニは死んだ宿主動物に取りつき、血液または体液を吸う。充分に吸ったメスのマダニは、宿主動物から落ちて、床の適切な割れ目または幼虫が孵化する任意の他の保護された場所に大量の卵(2000から3000)を産む。これらは、次に宿主動物から血液を吸うために、宿主動物を探す。1種の宿主動物のみに寄生するマダニの幼虫は2回変態し、よって、選択した宿主を離れることなく、ニンフになり、最終的に成虫のマダニになる。2種または3種の宿主動物に寄生するマダニの幼虫は、血液を摂食した後に宿主動物から離れ、その局所の環境で変態し、ニンフまたは成虫のマダニとして第2または第3の宿主を探し、その血液を吸う。
【0032】
マダニは多くのヒト疾患および動物疾患の伝染および蔓延の世界的な原因である。それらの経済的な影響のため、最も重要なマダニは、ウシマダニ属、コイタマダニ属、マダニ属、イボマダニ属、キララマダニ属およびカクマダニ属である。それらは、細菌性疾患、ウイルス性疾患、リケッチア症および原虫症のキャリアであり、ダニ麻痺症およびダニ中毒症の原因である。
【0033】
たとえ単一のマダニであっても、摂取の間にその唾液が宿主動物に侵入することによって麻痺の原因となり得る。疾患の直接的原因となるのに加えて、マダニはまた、広範囲のいわゆるTBD(ダニ媒介疾患)を伝染させ得る。このような疾患、例えばバベシア病、アナプラズマ病、タイレリア症および心水病は、全世界における数多くの家畜の死または障害の原因である。温暖な気候の多くの国々において、マダニ属マダニ類は、野生動物からヒトへ慢性的に有害なライム病の病原体を伝染させる。疾患の伝染とは別に、マダニは家畜の生産における甚大な経済的損失の原因である。損失は宿主動物の死に限らず、生皮への損傷、成長の低下、ミルク生産の減少および肉の価値の低下も含む。動物へのマダニの侵入による有害な影響が長年知られており、ダニ防除計画を用いて大きな進歩がなされているにもかかわらず、今日まで、これらの寄生生物を防除するまたは除去する完全に満足のいく方法は見い出されてない。さらに、マダニは化学的有効成分に耐性を発達させることが多い。
【0034】
本発明による式Iの化合物の優良な殺マダニ活性は、少なくとも50−60%の殺傷率(死亡率)に相当する。具体的には、式Iの個々に挙げた化合物は、長時間作用性を特徴とし、殺マダニ的に有効な量で適用する場合、宿主動物に充分に認容される。
【0035】
本発明による式Iの化合物の優れた殺虫活性は、上記害虫の少なくとも50−60%の死亡率、より好ましくは90%を超える死亡率、最も好ましくは95−100%に相当する。式Iの化合物は、修飾されていない形態で、または好ましくは製剤の当技術分野において従来使用されているアジュバントとともに好ましくは体内および対外に使用され、したがって、知られている方法で処理されて、例えば液体製剤(例えば、スポットオン、ポアオン、スプレーオン、エマルション、懸濁液、溶液、乳化可能な濃縮液、溶液濃縮液)、半固体製剤(例えば、クリーム、軟膏、ペースト、ゲル、リポソーム製剤)および固体製剤(例えば、インプラントおよび微粒子のようなポリマー物質に有効成分の溶性粉末、顆粒、包理を含む、例えばカプセル、粉末を含む食品添加錠剤)を得ることができる。組成物と同様に、適用の方法は、意図する目的および一般的な状況に従って選択される。
【0036】
製剤、すなわち、式Iの有効成分を含有する製剤またはこれらの有効成分と他の有効成分および場合によって固体アジュバント、半固体アジュバントまたは液体アジュバントとの組合せは、本来知られている方法で、例えば有効成分を賦形剤の組成物と完全に混合する、練り混ぜるまたは分散させることによって、生成され、そのために製剤の賦形剤の生理学的適合性は考慮されなければならない。
【0037】
当該溶媒は、例えば、アルコール(脂肪族および芳香族)(ベンジルアルコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノールなど)、脂肪アルコール(オレイルアルコールなど)、およびグリコールおよびこれらのエーテルおよびエステル(グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールエーテル、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルまたは−エチルエーテルおよびブチルジオキシトールなど)、ケトン(プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、イソホロンまたはジアセタノールアルコールなど)、およびポリエチレングリコール(PEG300など)などであってよい。さらに、組成物は、強い極性溶媒(N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドまたは水)、脂肪酸エステル(エチルオレエートまたはイソプロピルパルミテートなど)、植物油(ナタネ油、ヒマシ油、ヤシ油または大豆油など)、合成モノ−、ジ−、トリ−グリセリドなど(例えばグリセリルモノステアレートおよび中鎖脂肪酸トリグリセリドなど)、また適切であれば、シリコーン油などを含んでもよい。上記成分はまた、特定の適用形態のための担体として機能することもできる。
【0038】
構造構築成分に相当する軟膏基剤として、以下の賦形剤が使用され得る:石油系物質(ワセリンまたはパラフィンなど)、羊毛脂などから作られる基剤(例えばラノリンまたはラノリンアルコールなど)、ポリエチレングリコール(例えばマクロゴールなど)および脂質基剤(例えばリン脂質またはトリグリセリド、水素化植物油など)。
【0039】
乳化剤、湿潤剤および展着剤、一般に、大豆レシチンのようなレシチン、脂肪酸のアルカリ土類金属およびアルカリ金属との塩、セチルステアリル硫酸ナトリウムのようなアルキル硫酸塩、コール酸塩、セチルアルコールのような脂肪アルコール、コレステロールのようなステロール、ポリソルベート20のようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウリエートのようなソルビタン脂肪酸エステル、ポロキシルオレイルエーテルのようなポリオキシエチレンの脂肪酸エステルおよび脂肪アルコールエーテル、例えばPluronic(商標)のようなポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックコポリマー、サッカロースジステアレートのようなサッカロースエステル、ポリグリセロールオレエートのようなポリグリセリル脂肪酸エステル、および例えばエチルオレエートまたはイソプロピルミリステートのような脂肪酸エステルの使用も必要とされ得る。
【0040】
製剤はまた、ゲル化剤および硬化剤、例えばポリアクリル酸誘導体、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよび微細分散の二酸化ケイ素なども含んでよい。
【0041】
制御放出特性を有するポリマー剤として、例えば、ポリ乳酸、ポリ乳酸コグリコリン酸、ポリオルトエステル、ポリエチレンカルボネート、ポリ無水物およびデンプンによって作られた誘導体ならびにPVC系マトリックスを適用してもよい。
【0042】
ケトン、スルホキシド、アミド、脂肪酸エステルおよび脂肪アルコールのような浸透促進剤の添加が必要であることもある。
【0043】
また、ソルビン酸、ベンジルアルコールおよびパラベンのような保存料ならびに例えばαトコフェロールのような抗酸化剤を添加することもできる。
【0044】
有効成分または有効成分の組合せはまた、硬ゼラチンカプセルまたは軟カプセルのようなカプセルに適用してもよい。
【0045】
錠剤およびボーラスのための結合剤は、水またはアルコールに可溶性である化学的に修飾されたポリマー天然物質であってよく、例えばデンプン、セルロースまたはタンパク質の誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、タンパク質、例えばゼイン、ゼラチンなど)ならびに合成ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどであってもよい。錠剤はまた、増量剤(例えば、デンプン、微結晶セルロース、糖、ラクトースなど)、流動促進剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)および崩壊剤(例えば、セルロース誘導体)および例えばアクリル酸エステルのような酸耐性コーティングを含有する。
【0046】
本発明による式Iの化合物は、単独でまたは他のバイオサイドと組み合わせて使用してもよい。本発明による式Iの化合物は、同じ範囲の活性を有する殺虫剤と組み合わせて、例えば活性を高めてもよく、または別の範囲の活性を有する物質と組み合わせて、例えば活性の範囲を広げてもよい。また、いわゆる防虫剤を添加することは、実用的であり得る。式Iの化合物を他の適切な寄生虫駆除剤と組み合わせることによって、殺寄生虫活性が促進され得るだけでなく、甚大な経済的損害を生み出す寄生生物の最大の部分が包含される。さらに、この活性は耐性の形成を回避するのに実質的に役立つ。多くの組合せがまた、相乗効果をもたらすことができ、すなわち、有効成分の総量を減少でき、このことは生態的観点から望ましい。組合せのパートナーの好ましい群、特に好ましい組合せのパートナーを以下に挙げるが、この組合せは、式Iの化合物に加えてこれらのパートナーの1つまたは複数を含有することができる。
【0047】
混合物における適切なパートナーは、バイオサイド、例えば様々なメカニズムの活性を有する殺虫剤および殺ダニ剤であってよく、それらは以下に挙げられ、長期間当業者に知られているもの、例えばキチン合成阻害剤、成長調節剤;幼若ホルモンとして作用する有効成分;成虫駆除剤として作用する有効成分;広範囲の殺虫剤、広範囲の殺ダニ剤および殺線虫剤;およびまた、よく知られている駆虫薬ならびに昆虫および/またはダニの阻害物質、前記防虫剤またはディタッチャーであってよい。
【0048】
適切な殺虫剤および殺ダニ剤の非限定的な例は:
【0049】
【表1】



である。
【0050】
適切な駆虫薬の非限定的な例を以下に挙げ、数種の代表的なものは、殺虫活性および殺ダニ活性に加えて、駆虫活性を有する。それらのうちのいくつかはすでに上記に挙げている。
【0051】
【表2】

【0052】
適切な防虫剤およびディタッチャーの非限定的な例は:
(R1)DEET(N,N−ジエチル−m−トルアミド)
(R2)KBR3023 N−ブチル−2−オキシカルボニル−(2−ヒドロキシ)−ピペリジン
(R3)シミアゾール=N,−2,3−ジヒドロ−3−メチル−1,3−チアゾール−2−イリデン−2,4−キシリデン
である。
【0053】
適切な共力剤の非限定的な例は:
【0054】
【表3】

である。
【0055】
共力剤S1からS9は周知である、またはインターネット、例えばCompendium of Pesticide Common Namesにおいて見つけることができる。共力剤は、添加される共力剤がそれ自体活性である必要のない、活性化合物の活性を高める化合物である。
【0056】
上記に特定した組合せのパートナーは、この分野の専門家に最も知られている。大部分は、The Pesticide Manual、The British Crop Protection Council、Londonの様々な版に記載されており、その他は、The Merck Index、Merck&Co.,Inc.、Rahway、New Jersey、USAの様々な版または特許文献に記載されている。したがって、以下のリストは、例としてそれらを見つけることができるいくつかの箇所に限定されている。
【0057】
上表に記載されている市販の化合物は、The Pesticide Manual、14版(2006年)、The British Crop Protection Council、Londonにおいて見つけることができるが、99、160、183、185、238、A2、A6、A8、A9、A10、A12、A13、A16、A17、A18、A22、A23、A25、A28、A29、A30を除き、これらはThe Compendium of Veterinary Products、9版(2006年)、North American Compendiums,Inc.に記載されている。化合物番号5、7、14、66、67、100、132、163、218、221、228、230、240、244、268および279は、インターネット、例えばオンラインのMerck Veterinary ManualおよびCompendium of Pesticide Common Namesにおいて見つけることができる。
【0058】
154:昆虫活性線虫を含有する製剤、好ましくはヘテロラブディティス・バクテリオフォラ(Heterorhabditis bacteriophora)およびヘテロラブディティス・メジディス(Heterorhabditis megidis)、The Pesticide Manual、11版(1997年)、The British Crop Protection Council、London、671頁;ステイネルネマ・フェルチアエ(Steinernema feltiae)、The Pesticide Manual、11版(1997年)、The British Crop Protection Council、London、1115頁およびステイネルネマ・スカプテリシ(Steinernema scapterisci)、The Pesticide Manual、11版(1997年)、The British Crop Protection Council、London、1116頁;
153:昆虫活性真菌を含有する製剤、好ましくはバーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)、The Pesticide Manual、11版(1997年)、The British Crop Protection Council、London、1266頁より;ビューベリア・ブログニアルティ(Beauveria brogniartii)、The Pesticide Manual、11版(1997年)、The British Crop Protection Council、London、85頁よりおよびビューベリア・バッシアナ(Beauveria bassiana)、The Pesticide Manual、11版(1997年)、The British Crop Protection Council、London、83頁;
155:昆虫活性ウイルスを含有する製剤、好ましくはネオジプリドン・セルチフェル(Neodipridon Sertifer NPV)、The Pesticide Manual、11版(1997年)、The British Crop Protection Council、London、1342頁より;マメストラ・ブラシカエ(Mamestra brassicae NPV)、The Pesticide Manual、11版(1997年)、The British Crop Protection Council、London、759頁よりおよびシディア・ポモネラ・グラヌロシス(Cydia pomonella granulosis)ウイルス、The Pesticide Manual、11版(1997年)、The British Crop Protection Council、London、291頁。
【0059】
上記詳細の結果として、本発明のさらに本質的な態様は、温血動物における寄生生物を防除する配合剤に関し、配合剤は、式Iの化合物に加えて、同一のまたは異なる範囲の活性を有する少なくとも1つのさらなる有効成分および少なくとも1つの生理学的に許容される担体を含有することを特徴とする。本発明は、2つの組合せに限定されない。
【0060】
一般に、本発明による殺虫組成物および殺ダニ組成物は、0.1から99重量%、特に0.1から95重量%の式Iの有効成分またはその混合物、0から25重量%、特に0.1から25重量%の界面活性剤を含む、99.9から1重量%、特に99.8から5重量%の固体混合剤または液体混合剤を含有する。
【0061】
本発明による組成物の処置する動物への適用は、局所的に、経口で、非経口でまたは皮下で行われてもよく、組成物は、溶液、エマルション、懸濁液、(水薬)、粉末、錠剤、ボーラス、カプセル、首輪、耳標およびポアオン製剤の形態で存在する。
【0062】
好ましい局所製剤は、分散またはサスポエマルションからなることが多い、スポットオン製剤、ポアオン製剤またはスプレーオン製剤の形態における、または有効成分および展着補助剤の組合せの形態におけるすぐに使用できる溶液を指すものと理解される。スポットオン方法またはポアオン方法という表現は、動物に局所的におよび局部的に適用すると意図される、すぐに使用できる濃縮液を指すものと理解される。この種の製剤は、動物の比較的小さな領域に、好ましくは動物の背部および臀部にまたは背部および臀部のラインに沿った1つまたはいくつかの箇所に直接適用することを意図する。製剤は、約0.05から1ml/kg、好ましくは約0.1ml/kgの低容量として、総量が1から100ml/動物で、好ましくは最大約50mlに制限して適用される。しかし、総量は処置を必要とする動物に適合させるべきであり、例えば幼ネコおよびウシにおいて明らかに異なることは言うまでもない。これらのポアオン製剤およびスポットオン製剤は、動物に全体的に散布し、動物のほとんどの任意の部分に保護または処置をもたらすように設計されている。そうであっても、投与は、ポアオン製剤またはスポットオン製剤の綿棒またはスプレーを外被の比較的小さな領域に適用することによって実行され、製剤中の構成成分の拡散性により毛皮の広範な領域にわたってほぼ自動的に有効成分から分散し、動物の動きが補助することが観察される。
【0063】
ポアオン製剤またはスポットオン製剤は、皮膚表面上または宿主動物の外被に迅速な分布を促進する担体を適切には含有し、通常、拡散性油とみなされる。適切な担体は、例えば油性溶液;アルコール溶液およびイソプロパノール溶液(2−オクチルドデカノールまたはオレイルアルコールの溶液など);モノカルボン酸のエステル(えばイソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ラウリン酸オキサレート、オレイン酸オレイルエステル、オレイン酸デシルエステル、ヘキシルラウレート、オレイルオレエート、デシルオレエート、鎖長C12−C18の飽和脂肪アルコールのカプリン酸エステルなど)中の溶液;ジカルボン酸のエステル(ジブチルフタレート、ジイソプロピルイソフタレート、アジピン酸ジイソプロピルエステル、ジ−n−ブチルアジペートなど)の溶液、または脂肪酸のエステル(グリコールなど)の溶液である。製薬業界または化粧品業界で有名なものなど、分散剤が追加的に存在することは有利であり得る。例は、2−ピロリドン、2−(N−アルキル)ピロリドン、アセトン、ポリエチレングリコールならびにそれらのエーテルおよびエステル、プロピレングリコールまたは合成トリグリセリドである。
【0064】
油性溶液は、例えば植物油、オリーブ油、ピーナツ油、ゴマ油、マツ油、アマニ油またはヒマシ油などを含む。また、植物油はエポキシ化形態で存在してもよい。パラフィン油およびシリコーン油もまた使用してもよい。
【0065】
通常、ポアオン製剤またはスポットオン製剤は、1から40重量%、好ましくは10から25重量%の式Iの化合物、0から50重量%の分散剤および10から99重量%、好ましくは45から90重量%の溶媒を含有する。
【0066】
ポアオン方法またはスポットオン方法は、群れの動物、例えばウシ、ウマ、ヒツジまたはブタに使用するのに特に有利であり、このような動物において経口または注入によって全ての動物を処置するのは難しいまたは時間がかかる。その容易さにより、この方法はまた当然個々の家畜または愛玩動物を含む全ての他の動物に使用でき、獣医という専門医の存在なしで実行できることが多いので、動物の飼育者に非常に好まれる。
【0067】
濃縮液として商品を製剤することが好ましいが、エンドユーザーは希釈製剤を使用することが多い。しかし、これは投与の様式に応じる。経口投与される製品は、希釈形態でまたは飼料添加物として使用されることが最も多いが、商用ポアオン製剤およびスポットオン製剤は、普通すぐに使える濃縮液である。
【0068】
このような組成物はまた、特殊な効果を達成するために、さらなる添加剤、例えば安定剤、消泡剤、粘性調節剤、結合剤または粘着付与剤ならびに他の有効成分を含有してもよい。
【0069】
このタイプの殺虫組成物および殺ダニ組成物は、エンドユーザーによって使用され、本発明の構成要素を同様に形成する。
【0070】
害虫防除のための本発明による各方法においてまたは本発明による各害虫防除組成物において、式Iの有効成分は、それらの立体配置の全てでまたはそれらの混合物で使用できる。
【0071】
本発明はまた、動物、特に生産性の高い家畜類、家畜および愛玩動物を寄生生物から予防的に保護する方法を含み、式Iの有効成分またはそれから調製される有効成分製剤を飼料または飲料の添加剤として、または固体形態もしくは液体形態でも、経口で、ポアオンまたはスポットオンとして注入または非経口によって動物に投与されることを特徴とする。本発明はまた、前記方法の1つにおいて使用するために本発明による式Iの化合物を含む。
【0072】
以下の実施例は、本発明をさらに明らかにするものであり、有効成分という用語は、表1に挙げる物質を表している。
【0073】
具体的に、好ましい製剤は以下のように作られる:
(%=重量パーセント)
【実施例】
【0074】
製剤の例
1.顆粒 a) b)
有効成分 5% 10%
カオリン 94% −
高分散ケイ酸 1% −
アタパルジャイト − 90%
有効成分を塩化メチレンに溶解し、担体に噴霧し、続いて溶媒を真空下で蒸発によって濃縮する。この種の顆粒は動物の飼料と混合できる。
【0075】
2.顆粒
有効成分 3%
ポリエチレングリコール(mw200) 3%
カオリン 94%
(mw=分子量)
微細に粉砕した有効成分を混合機で、ポリエチレングリコールで湿らせておいたカオリンに均一に適用する。この方法において、ほこりのないコーティングされた顆粒を得る。
【0076】
3.錠剤またはボーラス
I 有効成分 33.00%
メチルセルロース 0.80%
高分散されたケイ酸 0.80%
トウモロコシデンプン 8.40%
II ラクトース、結晶 22.50%
トウモロコシデンプン 17.00%
微結晶セルロース 16.50%
ステアリン酸マグネシウム 1.00%
I メチルセルロースを水中で撹拌する。物質が膨張した後、ケイ酸を撹拌して、混合物を均質に懸濁する。有効成分およびトウモロコシデンプンを混合する。水性懸濁液をこの混合物に挿入して生地に練り合わせる。得た塊を12Mのふるいにかけて顆粒化し、乾燥する。
II 全ての4つの賦形剤を完全に混合する。
III IおよびIIにより得た予備混合物を混合し、錠剤またはボーラスに圧縮する。
【0077】
4.注入物質
A.油性賦形剤(徐放)
1.有効成分 0.1−1.0g
ピーナツ油 100mlまで
2.有効成分 0.1−1.0g
ゴマ油 100mlまで
調製:有効成分を油の一部中において撹拌しながら、必要であれば穏やかに加熱しながら溶解し、次いで冷却後、所望の容量にして、孔径0.22μmの適切な薄膜フィルターを介して無菌濾過する。
【0078】
B 水混和性溶媒(平均放出速度)
有効成分 0.1−1.0g
4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン 40g
(グリセロールホルマール)
1,2−プロパンジオール 100mlまで
有効成分 0.1−1.0g
グリセロールジメチルケタル 40g
1,2−プロパンジオール 100mlまで
調製:有効成分を溶媒の一部において撹拌しながら溶解し、所望の容量にして、孔径0.22μmの適切な薄膜フィルターを介して無菌濾過する。
【0079】
C.水性ソルビリゼート(急速放出)
1.有効成分 0.1−1.0g
ポリエトキシル化ヒマシ油(エチレンオキシド単位40) 10g
1,2−プロパンジオール 20g
ベンジルアルコール 1g
注射用水溶液 100mlまで
2.有効成分 0.1−1.0g
ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエート 8g
(エチレンオキシド単位20)
4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン 20g
(グリセロールホルマール)
ベンジルアルコール 1g
注射用水溶液 100mlまで
調製:有効成分を溶媒および界面活性剤において溶解し、水で所望の容量にする。孔径0.22μmの適切な薄膜フィルターを介して無菌濾過する。
【0080】
5.ポアオン

有効成分 5g
ミリスチン酸イソプロピル 10g
イソプロパノール 100mlまで

有効成分 2g
ラウリン酸ヘキシル 5g
中鎖トリグリセリド 15g
エタノール 100mlまで
C.
有効成分 2g
オレイン酸オレイル 5g
N−メチル−ピロリドン 40g
イソプロパノール 100mlまで
【0081】
6.スポットオン
A.
有効成分 10−15g
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 100mlまで

有効成分 10−15g
パルミチン酸オクチル 10g
イソプロパノール 100mlまで

有効成分 10−15g
イソプロパノール 20g
ベンジルアルコール 100mlまで
【0082】
7.スプレーオン
A.
有効成分 1g
イソプロパノール 40g
プロピレンカーボネート 100mlまで

有効成分 1g
プロピレングリコール 10g
イソプロパノール 100mlまで
【0083】
好ましくは、水系はまた、経口適用および/または反すう胃内適用に使用してもよい。
【0084】
組成物はまた、安定剤、例えば適切なエポキシ化植物油(エポキシ化ヤシ油、ナタネ油または大豆油)、消泡剤、例えばシリコーン油、保存料、粘性調節剤、結合剤、粘着付与剤ならびに肥料などのさらなる添加剤または特殊な効果を達成するための他の有効成分を含有できる。
【0085】
式Iの化合物に対して中性であり、処置する宿主動物に有害作用を及ぼさない、さらなる生物活性物質または添加剤ならびに無機塩またはビタミンもまた、上記組成物に添加できる。
【0086】
殺マダニ組成物が濃厚飼料の形態で存在する場合、そのとき高性能飼料、飼料穀類またはタンパク質濃縮物は、例えば担体として使用する。
【0087】
このような濃厚飼料または組成物はまた、有効成分に加えて、添加剤、ビタミン、抗生物質、化学療法剤または他の殺虫剤、主に静菌剤、制真菌剤、抗コクシジウム剤、またはホルモン剤、アナボリックステロイドまたは成長を促進する物質も含み、食肉処理における動物の肉の質に影響を及ぼすことができ、または別の方法において生物にとって有用である。組成物またはそれらに存在する式Iの有効成分が動物の飼料または飲料水に直接添加される場合、完成飼料または完成飲料水は、有効成分を好ましくは約0.0005から0.02重量%(5−200ppm)の濃度で含む。
【0088】
以下の実施例は本発明を明らかにするためのものである。使用される出発物質は、文献に記載の方法によって生成できるまたは市販されている。
【0089】
化合物番号5から9および11の調製
糸状菌ペニシリウム・スカブロサム(Penicillium scabrosum)(例えば、CBS−305.97)を、麦芽エキス(20g/L)、グルコース(20g/L)およびペプトン(1g/L)からなる液体培地250mlを含有する500mlフラスコ中において培養する。24℃、150rpmで3日間インキュベートした後、これらの培養物を使用して米粒または液体培地を含有する生産フラスコに接種する。液体培地は大豆かす(20g/L)およびマンニトール(20g/L)からなり、滅菌の前にpH7に調整する。培養を24℃で10から30日間撹拌せずに実施する。発酵もろみ液を採取し、次にメタノールまたは酢酸エチルのような有機溶媒で抽出する。粗抽出物をヘプタンおよび酢酸エチル(50:50)を用いてシリカゲルクロマトグラフィーを介して精製する。式Iの化合物を含有する留分を蒸発乾固し、アセトニトリルに再構築する。水アセトニトリル勾配を用いて、C18逆相カラムのクロマトグラフィーを介して最終精製を行う。
【0090】
生物学的実施例(動物の寄生生物の防除)
以下の試験方法を式Iの化合物の殺ダニ活性および殺虫活性を調査することにおいて使用する。
1.クテノセファリデス・フェリス(Ctenocephalides felis)(ネコノミ)に対するインビトロ活性
ノミの成虫混合集団を適切にフォーマットされた96ウェルプレートに配置し、人工供給システムを介してノミが処理された血液に近づき、摂取することを可能にする。その最小有効量(MED)を測定するため、各化合物を一連の希釈によって試験する。ノミは処理された血液を24時間摂取し、その後化合物の効果を記録する。供給システムから回収された死んだノミの数に基づいて、殺虫活性を測定する。
【0091】
例えば、この試験において化合物番号11は32ppmで95%の平均効果を示し、化合物番号8は100ppmで90%の平均効果を示し、化合物番号9は63ppmで70%の平均効果を示す。
【0092】
2.マダニに対するインビトロ活性
5−10種の様々な種のマダニ(すなわち、リピセファルス・サンギネウス(Rhipicephalus sanguineus)、デルマセントール属種(Dermacentor spp.)など)を試験化合物で予めコーティングしたマイクロプレートに分配する。その最小有効量(MED)を測定するため、各化合物を一連の希釈によって試験する。次いで、マイクロプレートを28℃および湿度80%でインキュベートし、評価する。様々な時点で、マダニを二酸化炭素フラッシュおよび/または熱によって刺激する。刺激に対する反応において、マダニが動き始める場合、試験化合物を試験濃度で不活性として記録する。
【0093】
マダニが刺激に対して応答しない場合、マダニは死んだと考えられ、化合物を試験濃度で活性と記録する。活性は、未処理の対照と比較して、死んだマダニのパーセンテージとして算出する。
【0094】
例えば、この試験において、化合物番号11は10ppmで100%の平均効果をリピセファルス・サンギネウスおよびデルマセントール・バリアビリス(Dermacentor variabilis)に対して示し、32ppmで90%の平均効果をアンブリオマ・バリエガタム(Amblyomma variegatum)に対して示す。
【0095】
3.デルマニスス・ガリナエ(Dermanyssus gallinae)に対するインビトロ活性
無菌のメスのコダニ集団を使用して試験物質を含有する適切にフォーマットされた96ウェルプレートに播種し、抗寄生虫活性について評価する。その最小有効量(MED)を測定するため、各化合物を一連の希釈によって試験する。コダニを試験化合物に10分間接触させ、次いで25℃および相対湿度(RH)60%で5日間インキュベートし、その間試験化合物の効果を監視する。コダニが卵を産むことなく死ぬ場合、殺ダニ活性が確認される。産卵があり、次のコダニが成長すると、可能な成長調節活性を同定することも記録する。例えば、この試験において、化合物番号11は63ppmで90%の平均効果を示す。
【0096】
4.スナネズミ(メリオネス・ウンギクラトゥス(Meriones unguiculatus))におけるリピセファルス・サンギネウス幼虫に対するインビボ試験
0日目、スナネズミを所定用量の試験化合物で噴霧(またはスポットオン)適用によって処理する。+1(+2)日目、スナネズミにリピセファルス・サンギネウス幼虫が寄生する。マダニを充分に摂食するまでスナネズミに放置する。寄生後7日目に充分充血して落ちた幼虫を回収して数を数える。脱皮するまでマダニを放置して試験化合物の成長調節活性も評価する。致死(および成長調節)効果をアボット公式を用いて、プラセボ処理群と比較してマダニ合計(および脱皮したマダニ合計)減少として表す。
【0097】
例えば、この試験において、化合物番号8は、10ppmで60%の平均効果を示し、化合物番号11は3.2ppmで95%の平均効果を示す。
【0098】
5.イヌにおけるマダニ(リピセファルス・サンギネウス)に対するインビボ試験
ビーグル品種のイヌを1つの処理群と1つの対照群(1群当たり4匹のイヌ)に分ける。0日目、25mg/kg(トランスクトール中の15%溶液)用量の試験化合物でスポットオン適用(肩甲骨の間)によってイヌを処理する。+1日目、イヌに未摂食の成虫マダニ(性別比1:1)が寄生する。効果の評価を48時間で、次いでマダニが再寄生した後毎週48時間、イヌから回収した死んだおよび生きているマダニの数を数えることによって実施する。効果をアボット公式を用いて、プラセボ処理群と比較して表す。効果が減少するまで寄生を1週間間隔で繰り返すことができる。
【0099】
例えば、化合物番号11は、この試験において90%を超える活性を6週間示す。
【0100】
6.ネコにおけるマダニ(イクソデス・リシヌス(Ixodes ricinus))に対するインビボ試験
ネコを1つの処理群と1つの対照群(1群当たり4匹のネコ)に分ける。0日目、ネコを25mg/kg(ポリプロピレングリコール中の1%溶液)用量の試験化合物で噴霧適用によって処理する。+1日目、ネコに未摂食の成虫マダニ(性別比1:1)が寄生する。効果の評価を48時間で、次いでマダニが再寄生した後毎週48時間、ネコから回収した死んだおよび生きているマダニの数を数えることによって実施する。効果をアボット公式を用いて、プラセボ処理群と比較して表す。効果が減少するまで寄生を1週間間隔で繰り返すことができる。
【0101】
例えば、化合物番号11は、この試験において1週間後95%の活性および2週間後70%の活性を示す。
【0102】
本発明の範囲内の好ましい実施形態は、以下の通りである:
(A1)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、式I
【0103】
【化5】

(式中、
Rは、OHまたはOCHであり;
R1は、HまたはOHであり;
R2は、Hまたは以下の側鎖
【0104】
【化6】

のうちの1つである、または基R1−および置換基R2−は、これらが結合しているフェニル基の炭素原子aおよびbと一緒になって、下記置換基
【0105】
【化7】

を形成する。)
の化合物およびこの立体異性体の使用。
(A2)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
Rは、OCHであり;
R1は、OHであり;
R2は、以下の側鎖
【0106】
【化8】

のうちの1つであることを特徴とするA1の下で定義された式Iの化合物およびその立体異性体の使用。
(B1)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0107】
【化9】

およびその立体異性体の使用。
(B2)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0108】
【化10】

およびその立体異性体の使用。
(B3)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0109】
【化11】

およびその立体異性体の使用。
(B4)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0110】
【化12】

およびその立体異性体の使用。
(B5)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0111】
【化13】

およびその立体異性体の使用。
(B6)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0112】
【化14】

およびその立体異性体の使用。
(B7)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0113】
【化15】

およびその立体異性体の使用。
(B8)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0114】
【化16】

およびその立体異性体の使用。
化合物8は最も好ましい化合物の1つである。
(B9)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0115】
【化17】

およびその立体異性体の使用。
(B10)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0116】
【化18】

およびその立体異性体の使用。
(B11)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0117】
【化19】

およびその立体異性体の使用が特に好ましい。
化合物11は、その顕著な活性により最も好ましい化合物である。
(B12)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0118】
【化20】

およびその立体異性体の使用。
(B13)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、特に家畜または愛玩動物におけるマダニを駆除するための、遊離形態または塩形態である、
【0119】
【化21】

およびその立体異性体の使用。
(C)式Iの化合物が、遊離形態または塩形態である、ラセミ化合物、立体異性体の混合物または純粋な鏡像異性体であることを特徴とする、A1、A2およびB1からB13の下で定義された使用。
(D)外部寄生虫が、ダニ、好ましくはマダニまたはコダニ、特にマダニであることを特徴とする、A1、A2およびB1からB13の下で定義された使用。
(E)外部寄生虫が、昆虫、好ましくはノミであることを特徴とする、A1、A2およびB1からB13の下で定義された使用。
(F)非ヒト動物に生理学的に許容される担体または希釈剤と共に、A1、A2およびB1からB13の下で定義された式Iの化合物を含む殺外部寄生虫組成物。
(G1)外部寄生虫が、ダニ、好ましくはマダニまたはコダニ、特にマダニであることを特徴とする、Fによる組成物。
(G2)外部寄生虫が、昆虫、好ましくはノミであることを特徴とする、Fによる組成物。
(H)ポアオン製剤またはスポットオン製剤からなる、F、G1またはG2による組成物。
(I)A1、A2およびB1からB13の下で定義された少なくとも1つの式Iの化合物の有効量を寄生生物の生息場所に投与することを特徴とする、非ヒト動物における外部寄生虫を防除する方法。
(K1)外部寄生虫が、ダニ、好ましくはマダニまたはコダニ、特にマダニであることを特徴とする、(I)による方法。
(K2)外部寄生虫が、昆虫、好ましくはノミであることを特徴とする、(I)による方法。
(L)請求項6による殺外部寄生虫組成物の調製のため、A1、A2およびB1からB13の下で定義された式Iの化合物の使用。
(M)非ヒト動物における外部寄生虫、好ましくはダニまたは昆虫、最も好ましくはマダニの処理に使用するための、A1、A2およびB1からB13の下で定義された式Iの化合物。
(N)非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための動物用組成物、好ましくはダニまたは昆虫、最も好ましくはマダニを駆除するための動物用組成物の製造における、A1、A2およびB1からB13の下で定義された式Iの化合物の使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、遊離形態または塩形態である、式I
【化1】

(式中、
Rは、OHまたはOCHであり;
R1は、HまたはOHであり;
R2は、Hまたは以下の側鎖
【化2】

のうちの1つである、または基R1−および置換基R2−は、これらが結合しているフェニル基の炭素原子aおよびbと一緒になって、下記置換基
【化3】

を形成する。)
の化合物およびこの立体異性体の使用。
【請求項2】
非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための、式Iの化合物が、遊離形態または塩形態である、
Rは、OCHであり;
R1は、OHであり;
R2は、以下の側鎖
【化4】

のうちの1つである化合物およびこの立体異性体であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式Iの化合物が、以下に示す化合物番号1から13
【化5】




からなる群から選択される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
式Iの化合物が
【化6】

であることを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項5】
式Iの化合物が
【化7】

であることを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項6】
外部寄生虫が、ダニ、好ましくはマダニまたはコダニ、特にマダニであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
外部寄生虫が、昆虫、好ましくはノミであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
非ヒト動物に生理学的に許容される担体または希釈剤と共に、請求項1から5のいずれか一項に記載の式Iの化合物を含む殺外部寄生虫組成物。
【請求項9】
ポアオン製剤またはスポットオン製剤であることを特徴とする、請求項8に記載の殺外部寄生虫組成物。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの式Iの化合物の有効量を寄生生物の生息場所に投与することを特徴とする、非ヒト動物における外部寄生虫を防除する方法。
【請求項11】
外部寄生虫が、ダニ、好ましくはマダニまたはコダニ、特にマダニであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
外部寄生虫が、昆虫、好ましくはノミであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
非ヒト動物に使用する殺外部寄生虫組成物の調製のための、請求項1から5のいずれか一項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項14】
非ヒト動物における外部寄生虫の処理に使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項15】
非ヒト動物における外部寄生虫を駆除するための動物用組成物、好ましくはダニまたは昆虫、具体的にはマダニを駆除するための動物用組成物の製造における、請求項1から5のいずれか一項に記載の式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2011−503029(P2011−503029A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532583(P2010−532583)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065033
【国際公開番号】WO2009/060015
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】