説明

殺寄生虫薬2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル誘導体の使用による動物における寄生虫の制御

【課題】動物寄生虫の制御は、特に食品製造および愛玩動物の領域において不可欠である。処置および寄生虫制御のための現行方法は、ベンズイミダゾール系およびイベルメクチン系などの現行の市販殺寄生虫薬に対する耐性が増大してきたために効果が低下しつつある。このため、より有効な動物寄生虫の制御方法の発見は急を要する。
【解決手段】動物における寄生虫を制御するために有用な2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物および動物における寄生虫侵襲の前記化合物を用いた処置方法が開示される。1つの実施形態において、本発明は、有効な抗寄生虫剤である、本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物のうちの1つまたは複数を用いて外部および内部寄生虫を処置、予防、阻害、および/または殺傷するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物およびこれらの化合物を含有する組成物をインビボおよびエキソビボの両方で用いて、ならびに一般的環境におけるこれらの化合物の適用もしくは投与によって、外部および内部寄生虫を殺傷、外部および内部寄生虫の感染または侵襲を抑制、および/または処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
動物寄生虫の制御は、特に食品製造および愛玩動物の領域において不可欠である。処置および寄生虫制御のための現行方法は、ベンズイミダゾール系およびイベルメクチン系などの現行の市販殺寄生虫薬に対する耐性が増大してきたために効果が低下しつつある。このため、より有効な動物寄生虫の制御方法の発見は急を要する。
【0003】
文献では、式1:
【0004】
【化4】

(式中、Rは、アリールでもヘテロアリールでもない)に基づく2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル環系の数種の誘導体が報告されている。これらとしては、以下が挙げられる:3−(2−ピロリル)−2−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)アクリロニトリルおよび3−(1−メチル−2−ピロリル)−2−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)アクリロニトリル(非特許文献1に記載されている);
3−(2−ピロリル)−2−(4−置換フェニル)アクリロニトリルおよび3−(1−メチル−2−ピロリル)−2−(4−置換フェニル)アクリロニトリル(パラ置換基は、H、Me、MeO、ClおよびNOである)(非特許文献2に記載されている);
3−(2−ピロリル)−2−(4−置換フェニル)アクリロニトリルおよび3−(1−メチル−2−ピロリル)−2−(4−置換フェニル)アクリロニトリル誘導体(パラ置換基は、H、Me、MeO、ClおよびNOである)(非特許文献3に記載されている);3−(2−ピロリル)−2−(フェニル)アクリロニトリル(非特許文献4に記載されている);
3−(2−ピロリル)−2−(4−置換フェニル)アクリロニトリルおよび3−(1−メチル−2−ピロリル)−2−(4−置換フェニル)アクリロニトリル誘導体(パラ置換基は、H、Me、MeO、ClおよびNOである)(非特許文献5に記載されている);このタイプの化合物(例えば、3−(2−ピロリル)−2−(フェニル)アクリロニトリル)のいくつかの一般的合成経路は、記載されている(上記の非特許文献5を参照のこと)。
【0005】
しかし、このタイプの化合物を用いる以前に報告された方法は、鎮咳(cough supression)、ならびに特許文献1〜5に記載されるような3−(2−ピロリル)−2−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)アクリロニトリルおよび3−(1−メチル−2−ピロリル)−2−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)アクリロニトリルを含む光吸収剤、ならびに特許文献6および特許文献7によって記載されるような感光性色素としてなどの材料科学に限定されている。特許文献7は、フェニル環のパラ位およびピロールの5位でニトロおよび/またはアミノ置換基を含有する3−(2−ピロリル)−2−フェニルアクリロニトリル誘導体について記載している。詳細には、鎮咳は、式1(式中、Rは、アリールでもヘテロアリールでもない)のフェニルピロールアクリロニトリルについて報告された唯一の生物活性である[3−(1−エチル−2−ピロリル)−2−(フェニル)アクリロニトリルについて記載している非特許文献6を参照]。
【0006】
本明細書に記載した参考文献についての言及は、そのような参考文献が本出願にとっての「先行技術」として有力であると見なされてはならない。
【特許文献1】米国特許第3,370,063号明細書
【特許文献2】米国特許第3,381,006号明細書
【特許文献3】米国特許第3,454,586号明細書
【特許文献4】米国特許第3,467,670号明細書
【特許文献5】米国特許第3,491,114号明細書
【特許文献6】特許第5100264号明細書
【特許文献7】特許第6190165号明細書
【非特許文献1】J.Org.Chem.、1965年、30、2553
【非特許文献2】J.Heterocyclic Chem.、1986年、23、1747
【非特許文献3】J.Liquid Chromatography、1984年、7、2631
【非特許文献4】Tetrahedron、1989年、45
【非特許文献5】Journal of Organic Chemistry、1958年、23、711〜14
【非特許文献6】Compt.Rend.、1964年、259、4716〜18
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
したがって、本発明は、有効な抗寄生虫剤である、本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物のうちの1つまたは複数を用いて外部および内部寄生虫を処置、予防、阻害、および/または殺傷する方法を提供する。また、本発明は以下を提供する:
(項目1)
外部または内部寄生虫を殺傷または増殖を抑制する方法であって、感受性の外部または内部寄生虫と、有効量の式1:
【化1】


の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、またはそれらの医薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物とを接触させる工程を包含する方法であって、式中、
は、H、低級アルキル、および任意で置換された、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシアルキル、1,1−(ジアルコキシ)アルキル、1−アルコキシ−1−アルキルメチル、アロイル、アルカノイル、アリールアルキル、アルキルオキシアルカノイル、アルコキシカルボニル、アリールアルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アルキルアリールスルホニル、アルキルアルケニル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、N−アルキルチオカルバモイル、N,N−ジアルキルチオカルバモイルの基のうちの1つからなる群から選択される;および
〜Rは、独立して、H、ニトロ、シアノ、ハロ、ならびに任意で置換された、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、アリールオキシアルキル、アリールチオアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロシクロアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキルオキシ、アルキルシクロアルケニルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールアルコキシ、アリールオキシアルコキシ、アリールチオアルキルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシおよびハロシクロアルコキシの基のうちの1つからなる群から選択される、方法;
(項目2)
およびR、またはRおよびRは縮合環を含み、このとき各縮合環は5〜7員からなる、請求項1に記載の方法;
(項目3)
1,1−(ジアルコキシ)アルキルは(EtO)CH−であり、1−アルコキシ−1−アルキルメチルはEtOCH(CH)−である、請求項1に記載の方法;
(項目4)
は、H、および任意で置換された、低級アルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシアルキル、1,1−(ジアルコキシ)アルキル、1−アルコキシ−1−アルキルメチル、アロイル、アルカノイル、アリールアルキル、アルコキシカルボニル、アリールアルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アルキルアリールスルホニル、アルキルアルケニル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、N−アルキルチオカルバモイル、およびN,N−ジアルキルチオカルバモイルの基のうちの1つからなる群から選択される、および
〜Rは、独立して、H、ニトロ、シアノ、ハロ、ならびに任意で置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロシクロアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールアルコキシ、アリールオキシアルコキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、アリールアルキルチオ、アリールオキシアルキルチオの基、またはそれらの医薬上許容される塩もしくはそれらの溶媒和物のうちの1つからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。[縮合環は上記の請求項2に列挙されており、米国の実務では、この請求項などの請求項1に従属する他の請求項のためにもまた優れていることに留意されたい]
(項目5)
〜Rは、独立して、H、ハロ、任意で置換されたアルキルもしくはアルコキシ、またはそれらの医薬上許容される塩もしくはそれらの溶媒和物である、および
〜Rは、独立して、H、ニトロ、シアノ、ハロ、ならびに任意で置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアリール、ハロシクロアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールアルコキシ、ハロアリールオキシの基のうちの1つ、またはそれらの医薬上許容される塩もしくはそれらの溶媒和物からなる群から選択され、追加してR/RまたはR/Rは5〜7員からなる縮合環内で接続されていてよい、請求項1に記載の方法;
(項目6)
は、H、CH、EOM、DOM、プロパノイル、ベンジル、EtNC(O)、Boc、2−メチルプロプ−1−エニル、ベンゾイル、トシル、MeNC(S)、MeOC(O)およびCbzからなる群から選択される;
は、HもしくはClである;
は、H、ClもしくはBrからなる群から選択される;
は、常にHである;
は、H、Cl、Br、CH、ニトリル、CF、フェニルおよびOMeからなる群から選択される;
は、H、Cl、F、Br、CF、O−フェニルおよびCHからなる群から選択される;
は、H、Cl、F、CH、メトキシ、t−ブチル、フェニル、およびニトリルからなる群から選択される;ならびにRおよびRは、独立して、H、ハロもしくはCFである、請求項1に記載の方法;
(項目7)
およびRまたはRおよびRはアリールであり、−CH=CH−CH=CH−成分によって連結されているので、RおよびRまたはRおよびRはナフチル成分を形成する、請求項6に記載の方法;
(項目8)
式1の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物が表1aおよび1bに同定された群から選択される、またはそれらの医薬上許容される塩もしくはそれらの溶媒和物である、請求項6に記載の方法;
(項目9)
殺傷または抑制すべき寄生虫が外部寄生虫である、請求項1に記載の方法;
(項目10)
殺傷または抑制すべき寄生虫が内部寄生虫である、請求項1に記載の方法;
(項目11)
殺傷または抑制すべき寄生虫が、インビボまたはエキソビボで動物に感染または侵襲する、請求項1に記載の方法;
(項目12)
殺傷または抑制すべき寄生虫が、インビボまたはエキソビボで植物に感染または侵襲する、請求項1に記載の方法;
(項目13)
殺傷または抑制すべき寄生虫が無生物または表面上に存在する、請求項1に記載の方法;
(項目14)
殺傷または抑制すべき寄生虫が動物のインビボに所在する、請求項1に記載の方法;
(項目15)
外部または内部寄生虫に接触させる工程が、有効量の式1の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を動物に投与する工程によって実施される、請求項14に記載の方法;
(項目16)
殺傷または抑制すべき寄生虫が動物のインビボに所在する、請求項6に記載の方法;
(項目17)
外部または内部寄生虫に接触させる工程が、有効量の式1
【化2】


の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を動物に投与する工程によって実施される、請求項16に記載の方法;
(項目18)
表1aの化合物10、15、16、25および28からなる群から選択される、式1の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物;
(項目19)
治療有効用量の請求項18に記載の化合物と、医薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物;
(項目20)
表1aの化合物77〜80および82からなる群から選択される、式1
【化3】


の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物。
【0008】
このため、本発明は、外部および/または内部寄生虫の処置、予防(全頭処置(metaphylaxis)を含む)、殺傷、阻害、ならびに/または外部および/もしくは内部寄生虫の増殖を抑制する方法を提供する。そのような方法の1つは、感受性の外部および/または内部寄生虫と、有効量の本発明の抗寄生虫剤とを接触させる工程を含んでいる。このタイプの特定の実施形態では、有効な抗寄生虫剤は、外部および/または内部寄生虫を有する治療されている動物に、および/または動物上へ投与される。また別の実施形態では、有効な抗寄生虫剤は、動物が存在する環境(例、家畜小屋もしくは毛布)へ投与される。さらにまた別の実施形態では、有効な抗寄生虫剤は、植物および/または枝葉へ投与される。
【0009】
特定の実施形態では、本発明は、外部または内部寄生虫を処置、予防(全頭処置としてを含む)、殺傷、阻害、および/または外部もしくは内部寄生虫の増殖を抑制する方法であって、感受性の外部または内部寄生虫と、有効量の式1:
【0010】
【化5】

の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、またはそれらの医薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物とを接触させる工程を包含する方法を提供する。
【0011】
式1中では、Rは、H、低級アルキル、および任意で置換された、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシアルキル、1,1−(ジアルコキシ)アルキル、1−アルコキシ−1−アルキルメチル、アロイル、アルカノイル、アリールアルキル、アルキルオキシアルカノイル、アルコキシカルボニル、アリールアルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アルキルアリールスルホニル、アルキルアルケニル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、N−アルキルチオカルバモイル、N,N−ジアルキルチオカルバモイルの基のうちの1つからなる群から選択される;および
〜Rは、独立して、H、ニトロ、シアノ、ハロ、ならびに任意で置換された、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、アリールオキシアルキル、アリールチオアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロシクロアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキルオキシ、アルキルシクロアルケニルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールアルコキシ、アリールオキシアルコキシ、アリールチオアルキルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシおよびハロシクロアルコキシの基のうちの1つからなる群から選択される。
【0012】
本発明のまた別の実施形態は、外部または内部寄生虫を殺傷、あるいは外部または内部寄生虫の増殖を抑制する方法であって、感受性の外部または内部寄生虫と、有効量の式1の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物またはそれらの医薬上許容される塩もしくはそれらの溶媒和物とを接触させる工程を包含する方法を提供する
(式中、
は、H、および任意で置換された、低級アルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシアルキル、1,1−(ジアルコキシ)アルキル、1−アルコキシ−1−アルキルメチル、アロイル、アルカノイル、アリールアルキル、アルコキシカルボニル、アリールアルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アルキルアリールスルホニル、アルキルアルケニル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、N−アルキルチオカルバモイル、およびN,N−ジアルキルチオカルバモイルの基のうちの1つからなる群から選択される;および
〜Rは、独立して、H、ニトロ、シアノ、ハロ、ならびに任意で置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロシクロアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールアルコキシ、アリールオキシアルコキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、アリールアルキルチオ、およびアリールオキシアルキルチオの基うちの1つからなる群から選択される)。
【0013】
さらにまた別の実施形態では、本発明は、外部または内部寄生虫を殺傷、またはの増殖を抑制する方法であって、感受性の外部または内部寄生虫と、有効量の式1の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物とを接触させる工程を包含する方法を提供する
(式中、
〜Rは、独立して、H、ハロ、任意で置換されたアルキルもしくはアルコキシ、またはそれらの医薬上許容される塩もしくはそれらの溶媒和物である、および
〜Rは、独立して、H、ニトロ、シアノ、ハロ、ならびに任意で置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアリール、ハロシクロアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールアルコキシ、ハロアルコキシおよびハロアリールオキシの基のうちの1つからなる群から選択される)。任意で、RおよびRまたはRまたはRは、5〜7員からなる縮合環、またはそれらの医薬上許容される塩もしくはそれらの溶媒和物を提供するために組み合わせられるか、もしくは結合される。
【0014】
好ましい実施形態では、本方法は、式1の化合物を用いて実施される
(式中、
は、H、CH、エトキシメチル[EOM]、ジエトキシメチル[DOM]、プロパノイル、ベンジル、(CHCHNC(O)[EtNC(O)]、tert−ブトキシカルボニル[Boc]、2−メチルプロプ−1−エニル、ベンゾイル、p−トルエンスルホネート[トシル]、(CHNC(O)[MeNC(S)]、CHOC(O)[MeOC(O)]およびベンジルオキシカルボニル[Cbz]からなる群から選択される;
は、HもしくはClである;
は、H、ClもしくはBrからなる群から選択される;
は、常にHである;
は、H、Cl、Br、CH、ニトリル、CF、フェニルおよびOCH([OMe]または[メトキシ])からなる群から選択される;
は、H、Cl、F、Br、CF、O−フェニルおよびCHからなる群から選択される;
は、H、Cl、F、CH、メトキシ、t−ブチル、フェニル、およびニトリルからなる群から選択される;ならびにRおよびRは、独立して、H、ハロもしくはCFである)。任意で、所定の実施形態では、RおよびRまたはRおよびRはアリールであり、−CH=CH−CH=CH−成分によって連結されているので、RおよびRまたはRおよびRはナフチル成分を形成する。
【0015】
より好ましくは、本発明の方法は、表1aおよび1bに同定された群から選択される式1の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、またはそれらの医薬上許容される塩もしくはそれらの溶媒和物を用いて実施される。
【0016】
好ましくは、殺傷もしくは抑制すべき寄生虫は、環境内に、または植物もしくは動物上もしくは内(エキソビボもしくはインビボ)に存在する可能性がある外部または内部寄生虫である。
【0017】
任意の実施形態では、本発明の方法は、1つまたは複数の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を、当技術分野において様々なタイプの害虫を殺傷もしくは制御するために公知の任意の他の化合物と、同時もしくは連続的に組み合わせて実施される。
【0018】
所定の特定の実施形態では、本発明は、表1aおよび1bに記載の化合物10、15、16、25および28のうちの1つまたは複数の化合物である、式1の新規な2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、および/またはそれらの治療有効量および医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供する。
【0019】
本発明は、表1aに記載の化合物77〜80および82のうちの1つまたは複数の化合物である、式1の新規な2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、および/またはそれらの治療有効量および医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】式1の化合物を提供するために式2の1H−ピロール−2−カルバルデヒド誘導体が式3のフェニルアセトニトリル誘導体と反応させられる、反応スキーム1の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明は、動物の外部および/または内部寄生虫の侵襲を処置および/または予防(全頭処置を含む)する方法、ならびにそのような寄生虫を本明細書に記載した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル誘導体と接触させる工程によってそのような寄生虫を殺傷する、阻害する、および/または寄生虫の増殖を抑制する方法を提供する。
【0022】
本発明の説明をより完全に理解できるように、他に特に指示しない限り、以下の用語は以下に規定するように使用する。
【0023】
説明における便宜性のために単数形の用語の使用は、決してそのように限定することは意図されていない。そこで、例えば、「1匹の寄生虫」は、1匹または複数のそのような寄生虫の言及を含んでいる。同様に、複数形の用語の使用は、他に特に指示しない限り、限定することは意図されていない。例えば、語句「2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物」は、本明細書に同定した1つまたは複数の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を意味しており、単一のそのような化合物単独、または2つ以上のそのような化合物の組み合わせを含んでいる。
【0024】
本明細書で使用する用語「およそ」は、用語「約」と互換的に使用され、一般には、他に特に指示しない限り、1つの数値が指示した数値の20%以内にあることを意味している。
【0025】
本明細書では、「任意に置換された」は、官能基が、任意の利用可能な位置で、置換または未置換のいずれかであることを意味する。置換は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルケニル、アリールシクロアルキル、アリールシクロアルケニル、ハロ、シアノ、ニトロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロシクロアルキル、ハロシクロアルケニル、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアリールオキシ、ハロシクロアルキルオキシ、複素環、複素環オキシ、複素環アミノ、複素環アルキル、複素環オキシアルキル、複素環チオアルキル、ハロ複素環、ハロ複素環アルキル、ハロ複素環オキシアルキル、ハロ複素環チオアルキル、ニトロアリール、ニトロ複素環、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、アシル、アルケニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルホニル、アミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、および任意の他の当技術分野において公知の置換基から選択された1つまたは複数の置換基とであってよい。
【0026】
「アルキル」は、単独で使用されても、またはアルコキシアルキル、アルコキシアルコキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノもしくはハロアルキルなどの複合語(compound word)に使用されても、サイズが1〜約20個以上の炭素原子の範囲内にある直鎖状もしくは分枝状炭化水素を表す。そこで、アルキル部分は、制限なく、例えば1〜約10個以上の炭素原子のサイズ範囲内にある、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピルおよび/またはブチル、ペンチル、ヘキシル、ならびに例えば約11〜約20個以上の炭素原子のサイズ範囲内にある直鎖状もしくは分枝状炭化水素を含む高次の異性体を含んでいる。好ましくは、「低級アルキル」は、直鎖状もしくは分枝状であり得る鎖内に1〜約6個の炭素を有する基を意味する。
【0027】
「アルケニル」は、単独で使用されても、またはアルケニルオキシもしくはハロアルケニルなどの複合語に使用されても、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する直鎖状もしくは分枝状炭化水素を表し、制限なく、メチレン、エチレン、1−プロペニル、2−プロペニル、および/またはブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどの2〜約6個以上の炭素原子のサイズ範囲内の部分、ならびに例えば約2〜約20個以上の炭素原子のサイズ範囲内にある直鎖状もしくは分枝状炭化水素を含む高次の異性体を含んでいる。好ましくは、アルケニルのサイズ範囲は2〜約6個の炭素である。
【0028】
「アルキニル」は、単独で使用されても、またはアルキニルオキシなどの複合語に使用されても、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する直鎖状もしくは分枝状炭化水素を表し、制限なく、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、および/またはブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、などの2〜約6個以上の炭素原子のサイズ範囲内の部分、ならびに例えば約6〜約20個以上の炭素原子のサイズ範囲内にある直鎖状もしくは分枝状炭化水素を含む高次の異性体を含んでいる。好ましいサイズは、1〜約6個の炭素である。
【0029】
「アリール」は、単独で使用されても、またはアリールアルキル、アリールオキシもしくはアリールチオなどの複合語に使用されても、(i)例えばフェニル、ナフチルもしくはフルオレニルなどの約6〜約20個の炭素原子の任意で置換された単環式もしくは多環式芳香族炭素環部分;または(ii)例えばテトラヒドロナフチル、インデニルもしくはインダニル環などの環式構造を形成するためにアリールおよびシクロアルキルもしくはシクロアルケニル基が一緒に縮合されている、任意で置換された部分飽和多環式芳香族炭素環系を表す。アリール基内の好ましい炭素数の範囲は、6〜約10である。
【0030】
「シクロアルキル」は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルもしくはシクロヘプチルなどの、例えば約3〜約20個の炭素原子の様々なサイズ範囲内の単環式もしくは多環式炭素環系を表す。用語「シクロアルキルオキシ」は、シクロペンチルオキシおよびシクロヘキシルオキシなどの1つの酸素原子を通して連結した同一基を表す。用語「シクロアルキルチオ」は、シクロペンチルチオおよびシクロヘキシルチオなどの1つの硫黄原子を通して連結した同一基を表す。シクロアルキル基内の好ましい炭素数の範囲は、3〜約7である。
【0031】
「アルキルシクロアルキル」は、シクロアルキル部分上のアルキル置換基を表す。例には、4−メチルシクロヘキシルおよびイソプロピルシクロペンチルが含まれる。アルキルシクロアルキル基内の好ましい炭素数の範囲は、約4〜約12である。
【0032】
「シクロアルケニル」は、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどの、3〜10個の炭素の不飽和の単環式もしくは多環式炭素環系を表す。シクロアルケニル基内の好ましい炭素数の範囲は、約5〜約7である。
【0033】
用語「アシル」は、単独で使用されても、またはアルケニルアシルおよびアリールアシルなどの複合語に使用されても、有機酸からヒドロキシル基を除去することによって形成されたラジカルを表す。アシルは、アルカノイル、アロイル、ヘテロアロイルを含んでいる。「アルカノイル」は、RCO基(式中、Rはアルキルである)を意味し、例にはホルミル、アセチル、プロピオニル、ならびに相違するブチリル、バレリル、カプロイルおよび高次の異性体が含まれる。「アロイル」は、芳香族酸に由来するアシル基を意味する。「ヘテロアロイル」は、RCO基(式中、Rは複素環である)を意味する。好ましいアシル基は、1〜約10個の炭素を含有している。
【0034】
用語「カルバモイル」は、RN−CO基(式中、RはH、アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである)を表す。例には、N−メチルカルバモイル、およびN,N−ジメチルカルバモイルが含まれる。
【0035】
「チオカルバモイル」は、RN−CS基(式中、RはH、アルキル、アリールもしくはヘテロアリールである)を表し、例には、N−メチルチオカルバモイルおよびN,N−ジメチルチオカルバモイルが含まれる。
【0036】
「アミノチオカルボニル」は、RN−CS基(式中、RはH、アルキル、アリールもしくはヘテロアリールである)を表す。例には、アミノチオホルミル、メチルアミノチオホルミル、ジメチルアミノチオホルミル、ジエチルアミノチオホルミル、ベンジルアミノチオホルミル、フェニルアミノチオホルミルが含まれる。
【0037】
用語「ハロ」は、単独であっても、「ハロアルキル」などの複合語内であっても、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素を表す。さらに、「ハロアルキル」などの複合語に使用された場合は、前記アルキルは、同一であっても相違していてもよいハロゲン原子を用いて部分ハロゲン化されていてよい、または完全に置換されていてもよい。ハロアルキルの例には、CHCHF、CFCFおよびCHCHFClが含まれる。「ハロアルケニル」の例には、ClC=CHCHおよびCFCHCH=CHCHが含まれる。「ハロアルキニル」の例には、HC≡CCHCl、CFC≡C、CClC≡CおよびFCHC≡CCHが含まれる。「ハロアルコキシ」の例には、CFO、CClCHO、CFCHCHOおよびCFCHOが含まれる。「ハロアルキルチオ」の例には、CClS、CFS、CClCHSおよびCHClCHClCHCHSが含まれる。「ハロアルキルスルホニル」の例には、CFSO、CClSO、CFCHSOおよびCFCFSOが含まれる。
【0038】
「複素環(heterocyclyl)」は、酸素、窒素もしくは硫黄などの1〜3個のヘテロ原子を含有する3〜10員、好ましくは5〜8員の環を含む基を表し、その環は置換されていても、および/または縮合環を有していてもよい。そのような基の例には、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、または完全もしくは部分水素化チエニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾイル、オキサジニル、チアジニル、ピリジニルおよびアゼピニルが含まれる。複素環基は、芳香族であってよく、その場合には本明細書では「ヘテロアリール」基と呼ばれることがある。ヘテロアリールの例には、ピリジル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾイル、ベンズチアゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ピラジニル、キノイル、ピリミジニルが含まれる。
【0039】
「アルコキシ」は、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロピルオキシ、ならびに相違するブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシおよび高次の異性体などの、1つの酸素原子を介して分子の残りに連結したアルキル基を表す。アルコキシ基内の好ましい炭素数の範囲は、1〜約6である。
【0040】
「アルケニルオキシ」は、直鎖状もしくは分枝状アルケニルオキシ部分を表す。アルケニルオキシの例には、CH=CHCHO、(CHC=CHCHO、(CH)CH=C(CH)CHOおよびCHC=CHCHCHOが含まれる。アルケニルオキシ基内の好ましい炭素数の範囲は、2〜6である。
【0041】
「アリールオキシ」は、例えばフェノキシのように、1つの酸素原子を介して分子の残りへ連結したアリール基を表す。「アリールオキシアルキル」は、アルキル上のアリールオキシ置換基を意味する。「アルキルオキシアリール」は、アリール上のアルコキシ置換基を意味する。
【0042】
「アリールアルコキシ」は、例えばベンジルオキシおよび2−フェニルエトキシなどの、アルコキシ基上のアリール置換基を意味する。
【0043】
「アルコキシカルボニル」は、ROC=O基(式中、Rはアルキルである)を表す。
「アルコキシカルボニル」の例には、CHOC(=O)、CHCHOC(=O)、CHCHCHOC(=O)、(CHCHOC(=O)ならびに相違するブトキシ−、ペントキシ−、ヘキシルオキシカルボニルおよび高次の異性体が含まれる。アルコキシカルボニル基についての好ましい炭素数の範囲は、2〜約8である。
【0044】
「アルキルチオ」は、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、iso−プロピルチオ、ならびに相違するブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオおよび高次の異性体などの、1つの硫黄原子を介して分子の残りに連結したアルキル基を表す。
【0045】
「スルホニル」は、硫黄原子を通して分子の残りに連結している−SOR基を表す。
【0046】
「アルキルスルホニル」は、−SO−アルキル基(式中、アルキル基は上記に規定したとおりである)を表す。
【0047】
「アリールスルホニル」は、−SO−アリール基(式中、アリール基は上記に規定したとおりである)を表す。
【0048】
「シアノ」は、−CN部分を表す。
【0049】
本明細書で使用する用語「プロドラッグ」は、例えば環境表面および/またはインビボで、使用時に代謝手段または他のプロセス(例、加水分解)によって、例えば式1の化合物のような本発明の化合物の1つへ変換できる化合物を意味する。例えば、インビボでの加水分解によって親分子へ転換可能な化合物を提供するために、式1(式中、Rは水素である)の化合物の誘導体化が企図されている。所定の任意の実施形態では、プロドラッグ形にある活性化合物の送達は、その物理化学的/薬物動態的特性を改良することによって、例えば全身性吸収を増強し、インビボでのクリアランスもしくは分解を遅延させることによって、本化合物の改良された送達を達成する。
【0050】
寄生虫の「侵襲(infestation)」は、ヒトまたは動物に対するリスクを有する多数の寄生虫の存在を意味する。その存在は、環境内、例えばヒトの住居もしくは動物の小屋内、および周囲の地所もしくは構造内、農作物もしくは他のタイプの植物上、動物の床敷内、動物の皮膚もしくは毛皮上などであり得る。言及される侵襲が動物の体内、例えば血液もしくは他の体内組織内である場合は、用語「侵襲」は、他に特別に指示されない限り、一般に当技術分野において理解されているように用語「感染」と同義語であることも意図されている。
【0051】
「全頭処置」は、予防の1つのタイプであり、本明細書では、疾患および/または侵襲の予想される大発生を排除する、および/または、最小限に抑えるために、動物群の全体への(例えば、本発明の化合物を動物被験体に投与すること、および/または本化合物をその動物の局所環境の少なくとも一部分へ適用することによる、以下を参照のこと)時宜を得た集団投薬であると規定されている。全頭処置の要求は、「高リスク要求」と呼ぶこともできる。
【0052】
「有効量」は、そのような寄生虫のサンプル中での寄生虫数を軽減および/または減少させるため、および/または動物の体内もしくは身体上のそのような寄生虫の数を減少させるため、および/または全部もしくは部分的に、動物の体内もしくは身体上における寄生虫侵襲の発生を阻害するために必要とされる本明細書に同定した化合物の量である。この量は、寄生虫のサンプルを本化合物と直接的および/または間接的に、接触させる前および後の両方に、例えば物品、表面、枝葉、または動物を本化合物と接触させる工程によって、寄生虫数の観察もしくは検出によって容易に決定される。本発明による化合物のインビボ投与については、有効量は、処置される動物による寄生虫感染もしくは侵襲の症状および/または徴候を処置または緩和する用量もしくは量である「医薬的有効量」と同義である。この後者の量は、さらにまた当業者によって、例えば処置される動物の臨床状態もしくは挙動における変化を観察または検出する工程によって、ならびにそのような処置後に寄生虫数における相対変化を観察または検出する工程によって容易に決定される。本化合物がインビボもしくはエキソビボのいずれで適用されても、処置は、初回適用もしくは投与後に、5%〜約100%の範囲内の量で寄生虫数が減少した場合に有効である。または、寄生虫数の減少範囲は、同等の未処置サンプル中の寄生虫数に比較して約10%〜約95%に及ぶ。
【0053】
本明細書に同定した化合物は、1つまたは複数の立体異性体として存在することがある。様々の立体異性体には、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何異性体が含まれる。当業者は、1つの立体異性体が他の立体異性体より活性な場合があることを理解するであろう。さらに、当業者は、そのような立体異性体を分離する方法を知っているであろう。したがって、本発明は、本明細書に記載した化合物の混合物、個別立体異性体、および光学活性混合物を含んでいる。詳細には、式1はZ立体配置を示しているが、これらの誘導体はE立体配置で存在する可能性もあることは理解されるはずであり、本明細書に同定した化合物は、EおよびZ異性体、ならびにこれらの異性体の混合物を任意で含んでいることが企図される。
【0054】
本発明の所定の化合物は、本質的には酸性であり、医薬上許容される金属、アンモニウムおよび有機アミン塩を形成できる。金属塩には、アルカリ金属(例、リチウム、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例、バリウム、カルシウムおよびマグネシウム)および重金属(例、亜鉛および鉄)塩ならびにアルミニウムなどの他の金属塩が含まれる。有機アミン塩には、医薬上許容される脂肪族(例、アルキル)、芳香族および複素環アミンの塩、ならびにこれらのタイプの構造の混合物を有する塩が含まれる。
【0055】
本明細書に同定した化合物の塩を調製する際に有用なアミンは、第一、第二もしくは第三アミンであってよく、好ましくは20個以下の炭素原子を含有している。これらの塩は、従来型方法で塩を生成するために酸形を十分量の適切な塩基と接触させる工程によって調製される。酸形は、塩を適切な希釈酸水溶液で処理する工程によって再生できる。酸形は、これらの各塩形とは、例えば極性溶媒中の溶解度などの所定の物理特性においてある程度相違するが、塩は、他の点では本発明の目的にはそれらの各酸形と同等である。
【0056】
そのような塩はすべてが本発明の範囲内で医薬上許容されると意図されており、すべての塩は本発明の目的には酸形と同等であると見なされる。
【0057】
本発明の化合物、および本発明の方法に使用された化合物は、非複合化溶媒分子が化合物から除去された後に無傷で残留している溶媒分子と安定性複合体を形成することもできる。これらの複合体は、本明細書では「溶媒和物」と呼ばれる。本発明の化合物の溶媒和物もまた、本発明の中に含まれる。特定の実施形態では、溶媒分子は水であり、溶媒和物は水和物と呼ばれる。また、本明細書に記載した方法および新規な化合物の全部について、本明細書に同定した化合物は、例えば本明細書に記載した外部および内部寄生虫の全部を含む、様々なタイプの寄生虫を殺傷または制御するための1つまたは複数の当技術分野において公知の物質と組み合わせて容易に使用されることが企図される。そこで、本化合物および方法は、以前から公知の物質および以前から公知の物質を使用する方法よりも好ましいが、所定の任意の実施形態では、それらは様々なタイプの害虫を殺傷もしくは制御するために公知の他の当技術分野において公知の物質またはそのような当技術分野において公知の物質の組合わせと組み合わせて、同時または連続的(例えば同一組成物中または別個の組成物中で)に使用されることが企図されている。
【0058】
これらの追加の物質には、例えば、アベルメクチン系(例、イベルメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシン)、ベンズイミダゾール系(例、アルベンダゾール、トリクラベンダゾール)、サリチルアニリド系(例、クロサンテル、オキシクロザニド)、置換フェノール系(例、ニトロキシニル)、ピリミジン系(例、ピランテル)、イミダゾチアゾール系(例、レバミソール)およびプラジクアンテルなどの当技術分野において公知の駆虫薬が含まれる。
【0059】
害虫を殺傷または制御するために当技術分野において公知の追加の物質には、有機リン酸系殺虫剤が含まれる。このクラスの殺虫剤は、例えば殺虫剤として、および所定の例では駆虫活性などの極めて広汎な活性を有する。有機リン酸系殺虫剤には、そのような化合物の一部を挙げると、例えば、ジクロトホス、テルブホス、ジメトエート、ジアジノン、ジスルホトン、トリクロルホン、アジンホス−メチル、クロルピリホス、マラチオン、オキシデメトン−メチル、メタミドホス、アセフェート、エチルパラチオン、メチルパラチオン、メビンホス、ホレート、カルボフェンチオン、ホサロンが含まれる。本発明の方法および化合物と、例えばカルバリル、カルボフラン、アルジカルブ、モリネート、メトミル、カルボフランなどのカルバメートタイプの殺虫剤との組み合わせ、ならびに有機塩素タイプの殺虫剤との組み合わせを含むこともまた企図されている。さらに、例えば、駆虫剤(repellent)であるピレトリン(ならびにそれらの合成変形、例えばアレトリン、レスメトリン、ペルメトリン、トラロメトリン)、およびダニ駆除剤として使用されることが多いニコチンを含む生物学的殺虫剤との組み合わせを含むこともまた企図されている。その他の企図される組み合わせは、バチルス・チューリンゲンシス(bacillus thuringensis)、クロロベンジレート、ホルムアミジン、(例、amtitaz)、銅化合物、例えば、水酸化銅、酸塩化銅硫酸塩、シフルトリン、シペルメトリン、ジコホル、エンドスルファン、エセンフェンバレレート、フェンバレレート、λ−シハロトリン、メトキシクロルおよび硫黄を含む種々雑多な殺虫剤との組み合わせである。
【0060】
さらに、本明細書に記載した方法および新規な化合物の全部について、本明細書に同定した化合物はピペロニルブトキシド(PBO)およびリン酸トリフェニル(TPP)などの共力剤;および/または昆虫発育抑制剤(IGR)およびジフルベンズロン、トリフルムロン、フルアズロン、シロマジン、メトプレンなどの幼若ホルモンアナログ(JHA)と組み合わせて、容易に使用できることも企図されており、それによって動物被験体上ならびに動物被験体の環境内で寄生虫の初期制御および持続性制御(卵を含む昆虫発達の全段階で)の両方を提供する。
【0061】
シクロジエン、リアニア、KT−199および/またはアベルメクチン系(例、イベルメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシン)、ベンズイミダゾール系(例、アルベンダゾール、トリクラベンダゾール)、サリチルアニリド系(例、クロサンテル、オキシクロザニド)、置換フェノール系(例、ニトロキシニル)、ピリミジン系(例、ピランテル)、イミダゾチアゾール系(例、レバミソール)およびプラジクアンテルなどの当技術分野において以前から公知の駆虫薬およびナフタロホスおよびピラクロホスなどの一部の有機リン酸との組み合わせもまた、そのような組み合わせにおいて使用することも企図されている。
【0062】
詳細には、本発明の範囲内で有用な追加の抗寄生虫化合物は、好ましくはアベルメクチンクラスの化合物を含んでいる。上述したように、アベルメクチンファミリーの化合物は、哺乳動物における広域スペクトルの内部寄生虫および外部寄生虫に対して有用であることが知られている極めて強力な一連の抗寄生虫剤である。
【0063】
本発明の範囲内で使用するために好ましい化合物は、イベルメクチンである。イベルメクチンは、アベルメクチンの半合成誘導体であり、一般には少なくとも80%の22,23−ジヒドロアベルメクチンB1と20%未満の22,23−ジヒドロアベルメクチンB1との混合物として生成される。イベルメクチンは、これにより参考として援用される米国特許第4,199,569号に開示されている。イベルメクチンは、様々な動物寄生虫および寄生虫症を処置するために1980年代半ば以降から抗寄生虫剤として使用されてきた。
【0064】
アバメクチンは、これにより全体として参考として援用される米国特許第4,310,519号にアベルメクチンB1/B1として開示されているアベルメクチンである。アバメクチンは、少なくとも80%のアベルメクチンB1および20%以下のアベルメクチンB1を含有している。
【0065】
また別の好ましいアベルメクチンは、25−シクロヘキシル−アベルメクチンBとしても知られるドラメクチンである。ドラメクチンの構造および調製は、これにより全体として参考として援用される米国特許第5,089,480号に開示されている。
【0066】
また別の好ましいアベルメクチンはモキシデクチンである。LL−F28249αとしても知られるモキシデクチンは、これにより全体として参考として援用される米国特許第4,916,154号から知られている。
【0067】
また別の好ましいアベルメクチンはセラメクチンである。セラメクチンは、25−シクロヘキシル−25−デ(1−メチルプロピル)−5−デオキシ−22,23−ジヒドロ−5−(ヒドロキシイミノ)−アベルメクチンB単糖である。
【0068】
ミルベマイシン、もしくはB41は、ストレプトミセス(Streptomyces)を産生するミルベマイシンの発酵ブロスから単離される物質である。微生物、発酵条件および単離方法は、米国特許第3,950,360号および米国特許第3,984,564号により詳細に記載されている。
【0069】
米国特許第5,288,710号もしくは第5,399,717号に記載されたとおりに調製できるエマメクチン(4’’−デオキシ−4’’−エピ−メチルアミノアベルメクチンB)は、2つのホモログである4’’−デオキシ−4’’−エピ−メチルアミノアベルメクチンB1aおよび4’’−デオキシ−4’’−エピ−メチルアミノアベルメクチンB1bの混合物である。好ましくは、エマメクチンの塩が使用される。本発明において使用できるエマメクチンの塩の非限定的例には、例えば安息香酸、置換安息香酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸、リン酸、酒石酸、マレイン酸などに由来する塩などの、米国特許第5,288,710号に記載された塩が含まれる。より好ましくは、本発明で使用されるエマメクチンの塩は、安息香酸エマメクチンである。
【0070】
エピノメクチンは、化学的には4’’−エピ−アセチルアミノ−4’’−デオキシ−アベルメクチンBとして知られている。エピノメクチンは、全畜牛クラスおよび全年齢群において使用するために特別に開発された。これは肉および乳汁中にはほんのわずかな残留物しか残さずに内部寄生虫および外部寄生虫の両方に対する広域スペクトル活性を示した最初のアベルメクチンであった。エピノメクチンは、局所的に送達されたときに高度に強力であるという追加の長所を有している。
【0071】
本発明の組成物は、以下の抗寄生虫化合物の1つまたは複数の組み合わせを任意に含んでいる。
【0072】
本明細書に参考として援用される、2004年12月22日に提出された米国特許出願第11/019,597号によって記載された抗寄生虫剤のイミダゾ[1,2−b]ピリダジン化合物。
【0073】
本明細書に参考として援用される、2004年12月21日に提出された米国特許出願第11/018,156号に記載された抗寄生虫剤の1−(4−モノおよびジ−ハロメチルスルホニルフェニル)−2−アシルアミノ−3−フルオロプロパノール化合物。
【0074】
本明細書に参考として援用される、2005年9月21日に提出された米国特許出願第11/231,423号によって記載された抗寄生虫剤のトリフルオロメタンスルホンアニリドオキシムエーテル誘導体化合物。
【0075】
本明細書に参考として援用される、2005年6月9日に提出された米国仮特許出願第60/688,898号に記載された抗寄生虫剤のn−[(フェニルオキシ)フェニル]−1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミドおよびn−[(フェニルスルファニル)フェニル]−1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド誘導体。
【0076】
本発明の組成物は、殺吸虫剤をさらに含むこともできる。適切な殺吸虫剤には、例えば、トリクラベンダゾール、フェンベンダゾール、アルベンダゾール、クロルスロンおよびオキシベンダゾールが含まれる。上記の組み合わせは、抗生物質、抗寄生虫および抗吸虫活性化合物の組み合わせをさらに含むことができることが理解されるであろう。
【0077】
上記の組み合わせに加えて、本明細書に記載した本発明の方法および化合物と、微量元素、抗炎症薬、抗感染薬、ホルモン、例えば消毒剤および殺菌剤を含む皮膚用調製物、ならびに疾患を予防するためのワクチンおよび抗血清などの免疫生物薬などの他の動物保健治療薬との組み合わせを提供することも企図されている。
【0078】
例えば、そのような抗感染薬には、例えば複合組成物および/または個別製剤中で、1つもしくは複数の、任意で本化合物または方法を用いて処置中に共投与される抗生物質が含まれる。この目的に適合する当技術分野において公知の抗生物質には、例えば以下に列挙する抗生物質が含まれる。
【0079】
1つの有用な抗生物質は、D−(トレオ)−1−(4−メチルスルホニルフェニル)−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロパノールとしても知られるフロルフェニコールである。また別の好ましい抗生物質化合物は、D−(トレオ)−1−(4−メチルスルホニルフェニル)−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロパノールである。また別の有用な抗生物質は、チアムフェニコールである。これらの抗生物質化合物を製造するためのプロセス、およびそのようなプロセスにおいて有用な中間体は、これにより参考として援用される米国特許第4,311,857号;第4,582,918号;第4,973,750号;第4,876,352号;第5,227,494号;第4,743,700号;第5,567,844号;第5,105,009号;第5,382,673号;第5,352,832号;および5,663,361号に記載されている。その他のフロルフェニコールアナログおよび/またはプロドラッグは開示されており、そのようなアナログもまた本発明の組成物および方法において使用できる[例えば、どちらも全体として参照して本明細書に援用される米国特許出願第2004/0082553号、および米国特許出願第11/016,794号を参照されたい]。抗生物質化合物がフロルフェニコールである場合、フロルフェニコールの典型的な濃度は約10%〜約50%(w/v)、好ましいレベルは約20%〜約40%(w/v)、いっそうより好ましくは少なくとも約30%(w/v)である。
【0080】
また別の有用な抗生物質化合物は、チルミコシンである。チルミコシンは、化学的に20−ジヒドロ−20−デオキシ−20−(シス−3,5−ジメチルピペリジン−1−イル)−デスミコシンであると規定されており、これにより参考として援用される米国特許第4,820,695号に繰り返し開示されているマクロライド系抗生物質である。さらに米国特許第4,820,695号には、50容積%のプロピレングリコール、4容積%のベンジルアルコール、および50〜500mg/mLの活性成分を含む水性注射用処方物が開示されている。チルミコシンは、塩基もしくはリン酸塩として存在してよい。チルミコシンは、4日間の処置期間にわたる注射によって投与した場合に、呼吸器感染症、特別には畜牛におけるパスツレラ・ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)感染症の処置において有用であることが見いだされている。したがって、チルミコシンは、例えばウシ新生仔肺炎およびウシ呼吸器疾患の処置において使用できる。チルミコシンが存在する場合は、それは約1%〜約50%、好ましくは10%〜約50%、および特定の実施形態では30%の量で存在する。
【0081】
本発明において使用するためにまた別の有用な抗生物質は、ツラスロマイシンである。ツラスロマイシンは、以下の化学構造を有する。
【0082】
【化6】

ツラスロマイシンは、1−オキサ−6−アザシクロペンタデカン−15−オン,13−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−4−C−[(プロピルアミノ)メチル]−α−L−リボ−ヘキソピラノシル]オキシ]−2−エチル−3,4,10−トリヒドロキシ−3,5,8,10,12,14−ヘキサメチル−11−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチルアミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]−,(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)として同定できる。ツラスロマイシンは、これにより参照して全体として援用される米国特許公開第2003/0064939 A1号に記載された方法によって調製できる。ツラスロマイシンは、重量で約5.0%〜約70%の範囲内の濃度レベルで注射用製剤中に存在してよい。ツラスロマイシンは、最も望ましくは、単回もしくは分割用量(すなわち、1日当たり1〜4回の投与)で約0.2mg/kg(体重)/日(mg/kg/日)〜約200mg/kg/日、およびより好ましくは週に1回もしくは2回の1.25、2.5もしくは5mg/kgの範囲内の用量で投与されるが、処置される被験体の種、体重および状態に依存して必然的に変更が発生するであろう。ツラスロマイシンは、重量で約5.0%〜約70%の範囲内の濃度レベルで注射用製剤中に存在することができる。
【0083】
本発明において使用するためのまた別の抗生物質には、例えばセフチオフル、セフキノムなどのセファロスポリン系が含まれる。本発明の処方物中のセファロスポリンの濃度は、任意で約1mg/mL〜500mg/mLの間で変動する。
【0084】
また別の有用な抗生物質には、例えばエンロフロキサシン、ダノフロキサシン、ジフロキサシン、オルビフロキサシンおよびマルボフロキサシンなどのフルオロキノロン系が含まれる。エンロフロキサシンの場合には、約100mg/mLの濃度で投与することができる。ダノフロキサシンは、約180mg/mLの濃度で存在してよい。
【0085】
その他のマクロライド系抗生物質には、ケトライド系のクラスから、またはより特別には、アザライド系のクラスからの化合物が含まれる。そのような化合物は、例えば、それら全部が全体として参考として援用される米国特許第6,514,945号、第6,472,371号、第6,270,768号、第6,437,151号および第6,271,255号、ならびに米国特許第6,239,112号、第5,958,888号、および米国特許第6,339,063号および第6,054,434号に記載されている。
【0086】
その他の有用な抗生物質には、テトラサイクリン、特別にはクロルテトラサイクリンおよびオキシテトラサイクリンが含まれる。その他の抗生物質は、例えば、ペニシリン系、例えばペニシリン、アンピシリン、アモキシリン、またはアモキシリンとクラブラン酸もしくは他のβラクタマーゼ阻害剤との組み合わせなどのp−ラクタムが含まれる。
【0087】
さらに、本発明は、本発明の化合物の1つまたは複数と混合および/または組み合わせた上記に列挙した抗生物質の1つまたは複数、ならびに任意の担体および/または賦形剤を含んでいる、動物における細菌および寄生虫感染を処置するための組成物を任意で含んでいる。
【0088】
さらに、本発明の方法および化合物は、有益にも、同一もしくは相違する組成物中で、例えば微量元素、ビタミン、抗炎症薬、抗感染薬などの当技術分野において公知の動物保健治療薬と組み合わせて、同時もしくは連続的に使用できることが企図される。
【0089】
(本発明の化合物および本発明の方法において使用される化合物)
本発明の1つの好ましい実施形態では、本発明の方法は、感受性の外部または内部寄生虫を有効量の式1の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、またはそれらの医薬上許容される塩もしくはそれらの溶媒和物と接触させる工程を含んでいる。
【0090】
【化7】

式1中では、
は、H、低級アルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシアルキル、1,1−(ジアルコキシ)アルキル((EtO)CH−)など)、1−アルコキシ−1−アルキルメチル(EtOCH(CH)−)など)、アロイル、アルカノイル、アリールアルキル、アルコキシカルボニル、アリールアルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アルキルアリールスルホニル、アルキルアルケニル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、N−アルキルチオカルバモイル、N,N−ジアルキルチオカルバモイルであり、このとき上記の基は任意で置換されている;R〜Rは、独立して、H、ニトロ、シアノ、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、アリールオキシアルキル、アリールチオアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロシクロアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキルオキシ、アルキルシクロアルケニルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールアルコキシ、アリールオキシアルコキシ、アリールチオアルキルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシおよびハロシクロアルコキシから選択される。任意で、RおよびRまたはRおよびRは、5〜7員からなる縮合環中で結び付けられている。さらに、上記の基は、任意で置換されている。
【0091】
本発明のこの態様における一部の好ましい方法は、式1:
(式中、
は、H、低級アルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシアルキル、1,1−(ジアルコキシ)アルキル((EtO)CH−)など)、1−アルコキシ−1−アルキルメチル(EtOCH(CH)−)など)、アロイル、アルカノイル、アリールアルキル、アルコキシカルボニル、アリールアルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アルキルアリールスルホニル、アルキルアルケニル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、N−アルキルチオカルバモイル、N,N−ジアルキルチオカルバモイルであり、このとき上記の基は任意で置換されている;
〜Rは、独立して、H、ニトロ、シアノ、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロシクロアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールアルコキシ、アリールオキシアルコキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、アリールアルキルチオ、アリールオキシアルキルチオから選択され、追加して、RおよびRまたはRおよびRは5〜7員からなる縮合環において結び付けることができる)の化合物、またはそれらの医薬上許容される塩もしくはそれらの溶媒和物を使用する方法を含んでいる。さらに、上記の基は、任意で置換されている。
【0092】
本発明のこの態様におけるまた別の好ましい化合物または医薬上許容されるその塩もしくはそれらの溶媒和物は、式1:
(式中、
は、H、低級アルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシアルキル、1,1−(ジアルコキシ)アルキル((EtO)CH−)など)、1−アルコキシ−1−アルキルメチル(EtOCH(CH)−)など)、アロイル、アルカノイル、アリールアルキル、アルコキシカルボニル、アリールアルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アルキルアリールスルホニル、アルキルアルケニル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、N−アルキルチオカルバモイル、N,N−ジアルキルチオカルバモイルであり、このとき上記の基は任意で置換されている;
〜Rは、独立して、H、ハロ、アルキル、アルコキシから選択され、上記の基は任意で置換されている;および
〜Rは、独立して、H、ニトロ、シアノ、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアリール、ハロシクロアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールアルコキシ、ハロアルコキシおよびハロアリールオキシから選択される)の化合物を含んでいる。任意で、RおよびRまたはRおよびRは、5〜7員からなる縮合環中で結び付けられている。さらに、上記の基は、任意で置換されている。
【0093】
本発明のこの態様における一部の好ましい方法は、式1:
(式中、
は、H、CH、EOM、DOM、プロパノイル、ベンジル、EtNC(O)、Boc、2−メチルプロプ−1−エニル、ベンゾイル、トシル、MeNC(S)、MeOC(O)およびCbzからなる群から選択される;
は、HもしくはClである;
は、H、ClもしくはBrからなる群から選択される;
は、Hである;
は、H、Cl、Br、CH、ニトリル、CF、フェニルおよびOMeからなる群から選択される;
は、H、Cl、F、Br、CF、O−フェニルおよびCHからなる群から選択される;
は、H、Cl、F、CH、メトキシ、t−ブチル、フェニルおよびニトリルからなる群から選択される;および
およびRは、独立して、H、ハロもしくはCFである)の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を使用する方法を含んでいる。任意で、RおよびRまたはRおよびRはアリールであり、−CH=CH−CH=CH−部分によって連結されているので、RおよびRまたはRおよびRはナフチル部分を形成する。
【0094】
本発明の方法において特に好ましい一部の化合物、および式1に基づくいくつかの新規な化合物は、以下のとおりに、表1aおよび1bに記載されている。
【0095】
【化8】

【0096】
【化9】

No=化合物の番号;
EOM=エトキシメチル;DOM=ジエトキシメチル;
Boc=tert−ブトキシカルボニル;Cbz=ベンジルオキシカルボニル;
Et=エチル;Me=メチル;Ph=フェニル;OMe=メトキシ;
2−MP1E=2−メチルプロプ−1−エニル;トシル=p−トルエンスルホネート;
i−プロピル=イソプロピル;およびRは、表1aについてはHである。
【0097】
【化10】

【0098】
【化11】

(化合物の調製)
単純に例として、および制限なく、本化合物は以下に記載する反応スキームおよび方法のうちの1つまたは複数を用いて調製できる。本発明において有用な化合物の一部は、本開示の範囲を限定すると見なすべきではない以下に提供する調整実施例によって例示することもできる。
【0099】
1つの調整方法は、図1によりスキーム1として例示されている。スキーム1は、欧州特許第1088811号によって記載されたTriton Bの水溶液の存在下で、および時々はJ.Org.Chem.,1958,23,711によって記載されたエタノールなどのアルコールの追加の存在下で、式2の1H−ピロール−2−カルバルデヒド誘導体と式3のフェニルアセトニトリル誘導体とのクネーフェナーゲル(Knoevenagel)縮合反応を使用する。
【0100】
より詳細には、スキーム1の反応は式1のフェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル誘導体を産生するが、これは固体であれば濾過によって、または当技術分野において公知の方法を用いる抽出によって回収できる。これらの式1のフェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル誘導体は、一般にEおよびZ異性体の混合物として得られる。便宜性のために、Z異性体は、図1によって例示した式1の表現で示されている。一般に、Z異性体は、これらの縮合反応において生成される主要異性体である(Journal of Heterocyclic Chemistry,1986,23,1747−1752を参照)。このように生成した異性体化合物は、当業者に公知の標準的クロマトグラフィー分離法の使用によって分離できる。
【0101】
これらのクネーフェナーゲル縮合反応では、クラウンエーテルまたはテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物などの相間移動触媒はTriton B溶液と置換できる。
【0102】
このプロセスのまた別の実施形態は、反応の速度を増加させるための高圧密封チューブの使用である。これは、式2および式3によって記載されたタイプの試薬が、反応を立体的に妨害して反応の速度を減少させる置換基を含有している場合に特に有用である。
【0103】
この反応は、式1の対応する誘導体を生成するために、式2においてR=Hである場合およびRがHではない場合に進行するであろう。しかし、R=Hである式1の生成物を調製し、次に置換基RをH以外の何かへ修飾するのが好ましい。Rの操作は、式1の誘導体である化合物の薬物動態を修飾するための1つの方法を提供する。任意の代替法では、Rは、化合物がプロドラッグとして挙動するように選択される。式1の化合物のNH基を誘導体化するために適切な基は、例えばアルキル、アルコキシアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アルカノイル、アロイル、アルコキシカルボニル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイルおよびアリールスルホニルである。
【0104】
(処置対象の動物)
本発明は、本明細書に同定された2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリルによって殺傷または阻害(例えば、増殖を抑制)される寄生虫もしくは他の害虫によって惹起される、またはそれらの結果としての侵襲、疾患および/または関連障害を予防および/または処置するための方法を提供する。動物は、好ましくは、脊椎動物、およびより好ましくは哺乳動物、鳥もしくは魚である。本明細書に同定された2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物のいずれか、またはそのような化合物の適切な組み合わせは、動物被験体へ直接的に、および/または動物が存在する局所環境(床敷、囲いなど)へそれを適用することによって間接的に投与することができる。直接投与には、被験体動物の皮膚、毛皮もしくは羽毛を本化合物と接触させる工程、または本化合物を動物へ供給または注射する工程が含まれる。適切な動物被験体には、野生動物、家畜(例、肉、乳汁、バター、卵、毛皮、皮革、羽毛および/または羊毛のために飼育される)、荷物運搬用の動物、研究用動物、愛玩動物、ならびに動物園、野生生育地および/またはサーカスのため/において飼育されている動物が含まれる。
【0105】
特定の実施形態では、動物被験体は、哺乳動物(ヒトなどの大型類人猿を含む)である。その他の哺乳動物被験体には、霊長類(例、サル)、ウシ(例、畜牛もしくは乳牛)、ブタ(例、食用豚もしくは豚)、ヒツジ(例、山羊もしくは羊)、ウマ(例、馬)、イヌ(例、犬)、ネコ(例、飼猫)、ラクダ、シカ、アンテロープ、ウサギ、および齧歯類(例、モルモット、リス、ラット、マウス、アレチネズミ、およびハムスター)が含まれる。鳥類には、Anatidae(白鳥、アヒルおよびガチョウ)、Columbidae(例、ドバトおよびハト)、Phasianidae(例、猟鳥、ライチョウおよび七面鳥)、Thesienidae(例、家禽)、Psittacines(例、インコ、コンゴウインコ、およびオウム)、狩猟鳥、および走禽類(例、ダチョウ)が含まれる。
【0106】
本化合物によって処置もしくは保護される鳥は、商業的もしくは非商業的いずれかの鳥類飼養と結び付けることができる。これらには、特にペットもしくは収集家市場のために飼育された、例えば白鳥、ガチョウ、およびアヒルなどのAnatidae、例えばドバト(domestic pigeon)のようなハト(doveおよびpigeon)などのColumbidae、猟鳥、ライチョウおよび七面鳥などのPhasianidae、家禽などのThesienidae科、例えばインコ、コンゴウインコ、オウムなどのPsittacinesが含まれる。
【0107】
本発明のためには、用語「魚」は、制限なく、硬骨魚類群の魚、すなわち真骨魚類を含むと理解すべきである。サケ目(Salmoniformes)(サケ科(Salmonidae)を含む)およびスズキ目(Perciformes)(クロマス科(Centrarchidae)を含む)はどちらも硬骨魚類群内に含有される。潜在的魚レシピエントの例には、特に、サケ科、ハタ科(Serranidae)、タイ科(Sparidae)、カワスズメ科(Cichlidae)、クロマス科、イサキ科(Parapristipoma trilineatum)、およびブルーアイ・プレコストムス(Plecostomus種)が含まれる。
【0108】
本発明方法が寄生虫感染もしくは侵襲を処置もしくは予防する際に安全および有効である、有袋類(カンガルーなど)、爬虫類(飼育亀)およびその他の経済的に重要な家畜を含むその他の動物も本発明から利益が得られることが企図されている。
【0109】
任意のまた別の好ましい実施形態では、処置対象の動物は、例えば上記で列挙したそのような処置から利益を得るであろう全動物を含んでいるが、詳細にはヒトは除外される。
【0110】
(処置対象の作物)
本発明の方法は、本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物の適用によって、植物を攻撃する農作物害虫から保護する際に使用することもまた企図されている。詳細には、保護または処置すべき植物には、すなわち農業および関連する活動における、経済的もしくは他の重要な作物が含まれる。本発明の方法によって制御することが企図されている農作物害虫には、例えば、貯蔵穀物を攻撃できる、例えばトリボリウム種(Tribolium)、テネブリオ種(Tenebrio)を含む昆虫害虫が含まれる。その他の農作物害虫には、ハダニ科(Tetranychus種)、アブラムシ、Acyrthiosiphon種;バッタなどの遊走性直翅類、ならびにサザンヨウトウムシおよびマダラテントウムシ幼虫などの植物組織上で生存する発達期の昆虫が含まれる。
【0111】
本発明の方法によって処置または制御することが企図されている農業上重要なまた別の害虫には、例えば、Acrobasis vaccinii、Agrotis spp.、Alsophila pometaria、Archips spp.、Argyrotaenia citrana、A.velutinana、Autographa californica、Bacillus thuringiensis、Callopistria floridensis、Choristoneura fumiferana、C.occidentalis、C.pinus、C rosaceana、Cryptophlebia ombrodelta、Cydia(Laspeyresia(pomonella、C.caryana、Dasychira pinicola、Datana ministra、Desmia funeralis、Diatrea saccharalis、Dichocrocis punctiferalis、Dioryctria zimmerman、Ectropis excursaria、Ematurga amitaria、Ennomos subsignaria、Eoreuma loftini、Epiphyas postvittana、Euproctis chrysorrhoea、Grapholita packardi、Hellula rogatalis、Homoeosoma vagella、Hyphantria cunea、Lambdina fiscellaria、Liphophane antennata、Lobesia botrana、Lophocampa maculata、Lymantria dispar、Malacosoma spp、Manduca spp、Megalopyge opercularis、Mnesampela privata、Orgyia pseudotsugata、O.vetusta、Ostrinia nubilalis、Platynota flavedana、P.stultana、Pseudaletia unipuncta、Rhopobota naevana、Rhyacionia spp、Spodoptera eridania、S.exigua、S.frugiperda、S.ornithogalli、Thaumatopoea pityocampa、Thridopteryx ephemeraeformis、Thyrinzeina arnobia、ならびに枚挙にいとまがないその他が含まれる。
【0112】
作物に関連する害虫もしくは寄生虫による侵襲を阻害する、殺傷する、除去する、処置する、または予防するために処置できる作物には、例えば、アルファルファ、リンゴ、アボカド、ブルーベリー、アブラナ属、パンノキ、ブロッコリー、ブッシュベリー、キャベツ、ケーンベリー、サクランボ、柑橘類、シトラス油、クローバー、アブラナ属作物、綿、キュウリ、クランベリー、干しブドウ、リンゴ、ユーカリ、森林、ビートの根部および上表部、ブドウ、グレープフルーツ、グースベリー、干し草、ハックルベリー、キーウィーフルーツ、葉菜およ結実野菜、マメ類、レモン、ライム、マカデミアナッツ、ミント、オレンジ、観賞用植物、ピーチ、西洋ナシ、ペカン、コショウ、プラム、仁果類、ジャガイモ、ラズベリー、灌木、大豆、ゴレシン、サトウキビ、ヒマワリ、スカッシュ、テーブルビート、タンジェリン、ツリーナッツ、樹木、カブ、クルミ、例えばトウモロコシ、小麦、ライ麦、コメ、オート麦、大麦、スペルト、キビなどを含む様々なイネ科穀物が含まれる。
【0113】
(感受性の寄生虫)
本発明の方法を実践する際に有用であると同定された2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、内外部殺寄生虫剤であると広く記載されており、農作物および貯蔵穀物を捕食する害虫(ハダニ、アブラムシ、イモムシ、例えばバッタなどの遊走性直翅目)を含む外部寄生虫(節足動物、ダニ類など)および内部寄生虫(蠕虫類、例えば、線虫、吸虫、条虫、鉤頭虫など)に対して活性である化合物が含まれる。寄生的原生動物(鞭毛虫綱(Flagellata)、肉質虫(Sarcodina)、有毛虫門(Ciliophora)、および胞子虫(Sporozoa)など)もさらに本発明の化合物によって処置されることが企図されている。本明細書に同定された2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、家庭の害虫類に対しても、および特別にはクモ、ダニなどの節足動物、およびハエ、カ、アリ、シロアリ、セイヨウシミ、ゴキブリ、イガを含む昆虫、ならびに家庭に衝撃を与える無数のカブトムシおよびカブトムシの幼虫に対しても活性である。感受性寄生虫については、以下のセクションにおいて詳細に列挙する。
【0114】
(1.蠕虫)
蠕虫病として一般に記載される疾患または疾患群は、動物宿主の蠕虫として知られる寄生虫による感染に起因する。蠕虫病は、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ヤギ、イヌ、ネコおよび家禽類などの家畜についての優勢かつ深刻な経済的問題である。蠕虫の中で、線虫として記載される虫群は、様々な種の動物において広範な、そしてときには重篤な感染を引き起こす。2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物および本発明の方法によって処置されることが企図されている線虫類には、制限なく、以下の属が含まれる:
アカントケイロネマ属(Acanthocheilonema)、ネコ円虫属(Aelurostrongylus)、鉤虫属(Ancylostoma)、住血線虫属(Angiostrongylus)、回虫属(Ascaridia)、アスカリス属(Ascaris)、ブルギア属(Brugia)、ブノストムム属(Bunostomum)、毛頭虫属(Capillaria)、Chabertia属、クーペリア属(Cooperia)、クレノソマ属(Crenosoma)、ジクチオカウルス属(Dictyocaulus)、ジンチュウ属(Dioctophyme)、ジペタロネーマ属(Dipetalonema)、裂頭条虫属(Diphyllobothrium)、Diplydium属、イヌ糸状虫属(Dirofilaria)、ドラクンクルス属(Dracunculus)、蟯虫属(Enterobius)、フィラロイデス属(Filaroides)、捻転胃虫属(Haemonchus)、ヘテラキス属(Heterakis)、ラゴキルアスカリス属(Lagochilascaris)、ロア属(Loa)、マンソネラ属(Mansonella)、Muellerius属、住血吸虫属(Nanophyetus)、アメリカ鉤虫属(Necator)、Nematodirus属、腸結節虫属(Oesophagostomum)、オピストルキス属(Opisthorchis)、オステルタジア属(Ostertagia)、蟯虫属(Oxyuris)、パラフィラリア属(Parafilaria)、肺吸虫属(Paragonimus)、Parascaris属、フィサロプテラ属(Physaloptera)、Protostrongylus属、セタリア属(Setaria)、血色食道虫属(Spirocerca)、スピロメトラ属(Spirometra)、ステファノフィラリア属(Stephanofilaria)、ストロンギロイデス属(Strongyloides)、ストロンギルス属(Strongylus)、テラジア属(Thelazia)、イヌ小回虫属(Toxascaris)、トキソカラ属(Toxocara)、旋毛虫属(Trichinella)、Trichonema属、毛様線虫属(Trichostrongylus)、鞭虫属(Trichuris)、ウンシナリア属(Uncinaria)、および糸状虫属(Wuchereria)。
【0115】
上記の内、上記で言及した動物を感染させる線虫の最も一般的な属は、捻転胃虫属、毛様線虫属、オステルタジア属、Nemaodirus属、クーペリア属、アスカリス属、ブノストムム属、腸結節虫属、Chabertia属、鞭虫属、ストロンギルス属、Trichonema属、ジクチオカウルス属、毛頭虫属、ヘテラキス属、トキソカラ属、鶏回虫属、蟯虫属、鉤虫属、ウンシナリア属、小回虫属および回虫属である。Nematodirus属、クーペリア属および腸結節虫属などのこれらのうちの所定の属は主として腸管を攻撃するが、他方捻転胃虫属およびオステルタジア属などの他の属は胃においてより優勢であり、他方ジクチオカウルス属などの他の属は肺において見いだされる。さらに他の寄生虫は、心臓および血管、皮下およびリンパ組織などの他の組織中に存在することがある。以下の表2では、経済的(医学的および獣医学的)に重要であるこれらのうちの多数を科および属によって列挙している。
【0116】
【化12】

ヒトの消化管の寄生虫の中で最も一般的な属は、鉤虫属、アメリカ鉤虫属、回虫属、ストロンギロイデス属、旋毛虫属、毛頭虫属、Trichuris属、および蟯虫属である。血液または消化管以外の他の組織および器官中で見いだされる寄生虫のうちで他の医学的に重要な属は、ブケレリア属(Wuchereria)、ブルギア属(Brugia)、オンコセルカ属(Onchocerca)およびロア属、ドラクンクルス属などの糸状虫ならびに腸内寄生虫のストロンギロイデス属および旋毛虫属などの腸外期である。
【0117】
多数の蠕虫属および種は当技術分野において知られており、本発明の化合物によって処置されることも企図されている。これらは、どちらも参照して本明細書に全体として援用されるTEXTBOOK OF VETERINARY CLINICAL PARASITOLOGY,VOLUME 1.HELMINTHS,by E.J.L.Soulsby,Publ.F.A.Davis Co.,Philadelphia,Pennsylvania;HELMINTHS,ARTHROPODS AND PROTOZOA(Sixth Ed.of MONNIG’S VETERINARY HELMINTHOLOGY AND ENTOMOLOGY(by E.J.L.Soulsby,Publ The Williams and Wilkins Co.,Baltimore,Marylandの中に詳細に列挙されている。
【0118】
蠕虫病として知られる寄生虫感染症は、貧血、栄養不良、虚弱、体重減少、消化管壁ならびに他の組織および器官への重度の損傷を引き起こし、未処置のまま放置されると、感染した宿主の死亡を生じさせることがある。本明細書に記載した化合物は、これらの寄生虫に対する予想外に高度の活性を有しており、さらに、イヌのジロフィラリア症、および齧歯類におけるNamatospiroides属、サイファシア属(Syphacia)、Aspiculuris属に対してもまた活性である。本発明の化合物は、土壌線虫およびMeloidogyne種などの植物寄生虫を制御するための殺線虫剤としても有用である。
【0119】
(2.節足動物)
本発明の化合物は、動物の多数の外部寄生虫、例えば哺乳動物および鳥類の節足動物外部寄生虫に対して有効であることが企図される。節足動物には、以下のように、表3に要約した節足動物が含まれる。
【0120】
【化13】

そこで、昆虫害虫には、ハエおよびカ、ダニ、マダニ、シラミ、ノミ、ナンキンムシ、寄生ウジ虫などの咬む虫が含まれる。
【0121】
咬む虫には、例えば、牛におけるHypoderma種、ウマにおけるGastrophilus種、および齧歯類におけるCuterebra種、ならびに全タイプの咬むハエおよびカのような遊走性diperous幼虫が含まれる。例えば、住血成体カには、例えば、ノサシバエ(horn fly)もしくはHaematobia irritans、アブもしくはTabanus種、サシバエ(stable fly)もしくはStomoxys calcitrans、ブヨ(black fly)もしくはSimulium種、メクラアブもしくはChrysops種、シラミバエもしくはMelophagus ovinus、ツェツェバエもしくはlossina種が含まれる。寄生性のハエのウジには、例えばウマバエ(Oestrus ovisおよびCuterebra種)、クロバエもしくはPhaenicia種、ラセン虫もしくはCochliomyia hominivorax、ウシバエもしくはHypoderma種、およびフリース虫が含まれる。カには、例えば、Culex種、Anopheles種、およびAedes種が含まれる。
【0122】
ダニには、mesostigmatids、例えばワクモ(chicken mite)、Dermanyssus gallinaeなどのMesostigmata種;Sarcoptidae種、例えばSarcoptes scabieiなどのヒゼンダニ(itchもしくはscabダニ);Chorioptes bovisおよびPsoroptes ovisを含むPsoroptidae種などの疥癬ダニ;例えば北米ツツガムシ(North American chigger)、Trombicula alfreddugesiなどのTrombiculidae種のツツガムシが含まれる。
【0123】
マダニには、例えばArgas種およびOrnithodoros種などのArgasidae種を含む軟体ダニ;例えばRhipicephalus sanguineus、およびBoophilus種などのIxodidae種を含む硬体ダニが含まれる。
【0124】
シラミには、例えば、吸血シラミ、例えばMenopon種およびBovicola種;ハジラミ、例えばHaematopinus種、Linognathus種およびSolenopotes種が含まれる。
【0125】
ノミには、例えば、イヌノミ(Ctenocephalides canis)およびネコノミ(Ctenocephalides felis)などのCtenocephalides種;東洋ラットノミ(Xenopsylla cheopis)などのXenopsylla種;およびヒトノミ(Pulex irritans)などのPulex種が含まれる。
【0126】
ナンキンムシには、例えばCimicidaeもしくは例えば一般的なトコジラミ(Cimex lectularius);サシガメとしても知られるオオサシガメを含むTriatominae種;例えばRhodnius prolixusおよびTriatoma種が含まれる。
【0127】
一般に、ハエ、ノミ、シラミ、カ、ブヨ、ダニ、マダニおよび蠕虫は、家畜および愛玩動物の分野にとって莫大な損失を引き起こす。節足動物寄生虫もまたヒトにとって厄介者であり、ヒトおよび動物において病原菌を媒介する可能性がある。
【0128】
多数の他の節足動物害虫および外部寄生虫は当技術分野において知られており、本発明の化合物によって同様に処置されることも企図されている。これらは、どちらの内容も全体として参照して本明細書に援用されるMEDICAL AND VETERINARY
ENTOMOLOGY,by D.S.Kettle,Publ.John Wiley & Sons,New York and Toronto;CONTROL OF ARTHROPOD PESTS OF LIVESTOCK:A REVIEW OF TECHNOLOGY,by R.O.Drummand,J.E.George,and S.E.Kunz,Publ.CRC Press,Boca Raton,Floridaの中に詳細に列挙されている。
【0129】
(3.原生動物)
本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、および本発明の方法は、以下の表4に要約したものを含む、動物の多数の原生動物内部寄生虫に対して有効であることも企図されている。
【0130】
【化14】

(4.動物害虫(一般的))
本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物および本発明の方法によって制御される家畜害虫には、上記で蠕虫類、節足動物および原生動物として同定された寄生虫が含まれる。さらに、および単純に例として、多数の農作物節足動物害虫は、これらの害虫が経済的に重要である代表的家畜と関連付けて、以下の表5に要約されている。
【0131】
【化15】

(5.作物害虫)
単純に例として、本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、および本発明の方法によって制御すべき多数の農作物害虫は、これらの害虫が経済的に重要であるである代表的作物と関連付けて、表6に要約した。
【0132】
【化16】

【0133】
【化17】

【0134】
【化18】

(6.家庭の害虫)
本発明の化合物は、ゴキブリ、Blatella種、イガ、Tineola種、カツオブシムシ、Attagenus種、およびイエバエ、Musca domesticaなどの家庭の害虫に対しても活性であることが企図されている。詳細には、感受性の家庭の害虫には、以下のように、居住スペースや事務所スペースおよび物質に関連する衛生的もしくは経済的問題を引き起こす害虫が含まれる。
【0135】
オオアリ(Camponotus種)、Pavement ants(Tetramorium caespitum)、イエヒメアリ(Monomorium pharaonis)、盗賊アリ(Solenopsis molesta)、黄アリ(Acanthomyops種)、赤アリを含むアリ;
トコジラミ(Cimex種);
カツオブシムシ(Attagenus種)、カミキリムシ、コクヌスト(Tribolium種)、ジンサンシバシム(Stegobiυm paniceum)、ニレハムシ、テントウムシ(Harmonia axyridis)などのカブトムシ;
いくつか挙げると、古家穿孔虫およびタマムシ類の穿孔虫、タマムシ科(Buprestidae);
トネグンドカエデムシ(Boxelder Bug)(Boisea trivittata);
クマバチ;
ムカデ(Scutigera coleopterata);
いくつか挙げると、ワモンゴキブリ(Periplaneta amehcana)、チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、ブラウンバンデッド・コックローチ(Brownbanded cockroach)(Supella longipalpa)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)を含むゴキブリ。
【0136】
ハサミムシ(Forficula種);
カマドコオロギ;
クロバエ、Pollenia rudis;クダモノミバエ、チョウバエ、Psychoda種、例えばキノコバエ、Sciara種を含む双翅類を含むハエ;
ノミバエ、ノミバエ科(Phoridae);
ヤスデ(Looceles reclusa);
ダニ、例えば、Clover mites;
カ、例えば、Culex種、Anopheles種、Aedes;
イガ(Tineola種、Tinea種);およびノシメマダライガ(Plodia interpunctella)を含むガ;
チャタテムシ(Liposcellis種);
シミ(Lepisma sacchahna);
ワラジムシ;
例えば、クロゴケグモ(Lactrodectus種)、およびコガネグモ(Orb Weaver)を含むクモ;
トビムシ、Order Collembola
例えば、アメリカイヌダニ、アメリカアムブリオマ(Amblyomma americanium)を含むマダニ;および
スズメバチ(Dolichovespula種およびVespula種)などのカリバチ。
【0137】
(動物の寄生虫侵襲を処置および阻害する)
当業者には、本発明の方法が、例えば、上記に列挙した、動物の組織または体液中に存在する蠕虫および原生動物の存在と関連することが知られている疾患および障害を処置する際に有用であることは理解されるであろう。
【0138】
そのような感染もしくは侵襲のために、例えば第一胃内、筋肉内、静脈内、気管内、皮下注射、または他のタイプの注射もしくは注入による経口もしくは直腸経路、非経口経路によって、本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物の投与のような全身性投与が好ましい。2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物もしくはそのような化合物の適切な混合物は、任意で、以下でより詳細に考察するように、医薬上許容される経口もしくは非経口組成物の形状で、または供給物もしくは水もしくは他の液体組成物中で投与される。
【0139】
一般に、本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を用いると、動物の体重1kg当たり約100mgまでの全身性投与によって良好な結果が得られる。詳細には、良好な結果は、動物の体重1kg当たり約0.001〜100mg、より詳細には、動物の体重1kg当たり約0.01〜約25mgの全身性投与によって得られるが、そのような総用量は一度に、または1〜5日間のように相当に短期間にわたり分割用量で投与される。開示された本発明の化合物を用いると、動物の体重1kg当たり約50mgまでの全身性投与によって、動物におけるそのような寄生虫が制御または防止される。
【0140】
詳細には、そのような寄生虫は、本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を体重1kg当たり約0.025〜50mgの範囲内の量の単回投与で、またはより詳細には、体重1kg当たり約0.025〜約25mgの量の単回投与で、または任意で、体重1kg当たり約1〜5mgの量の単回投与で投与する工程によって制御もしくは予防される。再感染と闘うための必要に応じて反復処置が与えられ、使用される寄生虫の種および畜産技術に依存している。これらの物質を動物に投与するための技術は、当業者には知られている。投与される2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物の正確な量は、当然ながら、選択される特定化合物、処置される動物、その動物に感染している寄生虫、感染の重症度などを含む数種の因子に依存し、そのような因子は全部が当業者によって過度な実験を行うことなく、必要な有効量を計算する際に考察されるであろう。
【0141】
1つの好ましい実施形態では、本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、カプセル、ボーラスもしくは錠剤などの経口単位製剤、または哺乳動物における駆虫薬として使用する場合の液体水薬(drench)として動物に投与される。水薬は、ベントナイトなどの懸濁化剤および湿潤剤もしくは同様の賦形剤と一緒に通常は水中の有効成分の液剤、懸濁液もしくは分散液である。一般に、水薬は消泡剤も含有している。
【0142】
例として、動物へ即時投与するための水薬処方物は、一般に、本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を重量で約50%まで含んでいる。詳細には、動物へ即時投与するための水薬処方物は、一般に、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を重量で約0.0001〜約50%まで含んでいる。好ましい水薬処方物は、本化合物を重量で約0.001〜約10%含有している。より好ましい水薬処方物は、活性化合物を重量で約0.1〜約5%含有している。水薬カプセル剤およびボーラスは、デンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、またはリン酸二カルシウムなどの担体ビヒクルと混合された有効成分を含んでいる。所定の任意の実施形態では、例えば大型動物のためには、そのような水薬処方物は局所的に適用され、例えば0.001μg/cm〜約1000μg/cm、より好ましくは、約0.01μg/cm〜約100μg/cmの範囲内の濃度の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を提供する工程によって寄生虫を殺傷もしくは抑制するために有効である動物上の表面濃度を提供する。
【0143】
さらにまた別の任意の実施形態では、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、例えばスポットオンまたはポアオン(pour on)投与のための局所組成物として処方される。そのような局所用処方物は、他の殺寄生虫剤もしくは殺虫剤を含めて、または含めずに、0.001μg/cm〜約1000μg/cm、より好ましくは、約0.01μg/cm〜約100μg/cmの範囲内の本発明の化合物の濃度を提供する工程によって、局所適用へ有効量を提供するために十分な濃度で、有効量の1つまたは複数の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を含んでいる。局所用処方物は、任意で例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの1つ又は複数の担体または皮膚軟化剤、酢酸ビニルのコポリマー、およびビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、レシチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、シリコン油、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および両性界面活性剤、またはこれらの物質のうちの少なくとも2種の混合物を含む適切な担体もしくは希釈剤と混合される。
【0144】
所定の他の任意の実施形態では、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、制御放出形で、例えば皮下徐放性処方物、またはいわゆるノミよけ首輪などの動物へ貼付される制御放出型器具の形状で投与できる。愛玩動物におけるノミ侵襲に対する長期保護のための殺虫剤の制御放出のための首輪は当技術分野において知られており、参照して本明細書に援用される、例えば米国特許第3,852,416号、第4,224,901号、第5,555,848号、および第5,184,573号によって記載されている。
【0145】
乾燥した固体単位製剤形にある2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を投与することを所望の場合は、所望量の活性化合物を含有するカプセル剤、ボーラスもしくは錠剤が使用される。これらの製剤は、有効成分を適切に微粉化した希釈剤、充填剤、錠剤崩壊剤および/またはデンプン、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、植物ゴムなどの結合剤と均質かつ一様に混合する工程によって調製される。そのような単位製剤処方物は、処置される宿主動物のタイプ、感染の重症度およびタイプ、および宿主の体重などの要因に依存して、それらの総重量および抗寄生虫剤の含量に関して広範囲にわたって変動することがある。
【0146】
2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物が動物飼料によって投与される場合は、1つまたは複数の化合物が飼料中に均質に分散させられる、または敷肥(top dressing)として、もしくは最終飼料へ添加できる、または任意で個別に使用されてよいペレット剤の形状で使用される。
【0147】
または、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、動物へ非経口によって、例えば第一胃内、筋肉内、気管内、または皮下注射によって投与され、その場合には有効成分は液状担体ビヒクル中に溶解もしくは分散させられる。非経口投与のためには、活性物質は、容認できるビヒクル、好ましくはピーナッツ油、綿実油などの植物油種類と適切に混合される。ソルケタール、グリセロールホルマール、および水性非経口処方物を用いる有機調製物などの他の非経口ビヒクルもまた使用される。選択された2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、投与のために非経口処方物中に溶解または懸濁させられる;そのような処方物は、一般に活性化合物を重量で0.005〜約25%、または任意で活性化合物を重量で約1%〜約10%、または活性化合物を約1%〜約5%(w/w)含有している。
【0148】
本明細書に同定した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、例えば、マダニ、シラミ、ノミ、ダニなどの節足動物寄生虫および家禽類を含む家畜における他の咬む昆虫などの他の寄生虫によって引き起こされる疾患を予防および処置するためにも使用される。これらの化合物は、ヒトを含む他の動物において発生する寄生虫疾患の処置においても有効である。最善の結果のために使用すべき最高量は、当然ながら、使用される特定の化合物、処置される動物の種ならびに寄生虫感染もしくは侵襲のタイプおよび重症度に依存するであろう。
【0149】
本明細書に記載した2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物が、動物の飼料の構成成分として、または飲用水中に溶解もしくは懸濁させて投与される場合は、活性物質が不活性担体もしくは希釈剤中に均質に分散させられている組成物が提供される。不活性担体は、抗寄生虫薬とは反応しない担体であり、動物へ安全に投与できる担体である。好ましくは、飼料投与のための担体は、動物飼料の成分である担体であるか、または動物飼料の成分であってよい。
【0150】
適切な組成物は、その中に有効成分が相対的に大量で存在する、そして動物への直接給餌のために、もしくは直接的に、もしくは中間希釈もしくは混合工程の後のどちらかに飼料へ添加するために適合する飼料プレミックスまたはサプリメントを含んでいる。そのような組成物のために適合する典型的な担体もしくは希釈剤は、例えば、醸造器の乾燥穀粒、コーンミール、シトラスミール、発酵残留物、細かく挽いたカキの殻、小麦ショート、糖蜜溶液、コーンコブミール、食用豆ミル飼料、大豆グリット、粉砕石灰石などを含んでいる。活性2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、粉砕、攪拌、製粉もしくはタンブラー回転などの方法によって担体全体に均質に分散させられる。重量で約0.05〜約5.0%、または約0.005〜約2.0%の活性な2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を含有する組成物は、飼料プレミックスとして特に適合する。動物へ直接給餌される飼料サプリメントは、重量で約0.0002〜約0.3%の活性な2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を含有している。
【0151】
そのようなサプリメントは、寄生虫疾患を処置および制御するために所望である活性化合物の濃度を最終飼料に与えるための量で、動物飼料に添加される。活性な2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物の所望の濃度は上記で言及した要因ならびに使用される特定の誘導体に依存して変動するであろうが、本化合物は、通常は所望の抗寄生虫の結果を達成するために飼料中に約0.0001〜0.02%または約0.00001〜約0.002%の濃度で供給される。
【0152】
本発明の方法は、それらが成長している間、または貯蔵中に、作物に損傷を与える農作物害虫に対抗する際にもまた有用である。2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、そのような農作物害虫からの保護を実行するために、成長中もしくは貯蔵された作物へ、スプレー、ダスト、エマルジョンなどの公知の技術を用いて適用される。
【0153】
(1.動物のための投与経路)
本明細書で使用する用語「投与する」または「投与」は、動物における寄生虫侵襲を処置または予防する目的で、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、その塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、または2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、その塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含有する医薬組成物を微生物に送達することを意味する。
【0154】
適切な投与経路には、制限なく、経口、直腸、局所、経粘膜、筋肉内、皮下、脊髄内、クモ膜下、直接静脈内、静脈内、硝子体内、腹腔内、鼻腔内、耳内もしくは眼内を含むことができる。好ましい投与経路は、経口および非経口である。
【0155】
または、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、例えば感染領域へ直接的に適用する、もしくは2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を直接的に感染組織に注射する軟膏もしくは局所的に投与する処方物としての調製によって全身性方法よりむしろ局所方法で投与できる。局所的投与経路には、プアオンもしくはスポットオン投与、例えば、有効量の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物の感染もしくは蔓延した領域内への拡散を可能にする、適切な処方物を限定された領域へ局所投与する工程を含んでいる。どちらの場合も、徐放性処方物を使用できる。
【0156】
そこで、純粋形もしくは適切な医薬組成物中の本発明の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物、その溶媒和物、もしくは医薬上許容される塩の投与は、類似の有用性に役立つために容認された投与様式もしくは物質のいずれかによって実施できる。投与経路は、当業者に公知のいずれであってもよい。本発明の化合物は、それを必要とするものに当技術分野において認識された任意の形状で、すなわち、例えば錠剤、坐剤、ピル剤、軟弾性カプセルおよび硬質ゼラチンカプセル、散剤、液剤、懸濁剤、もしくはエーロゾル剤などの固体、半固体、凍結乾燥粉末もしくは液体製剤で、正確な用量を単純に投与するために適合する単回もしくは複数回製剤で与えられる。本組成物は、従来型の医薬担体もしくは賦形剤と活性物質としての2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物とを含み、さらに他の医薬品物質、薬剤物質、担体などを含むことができる。
【0157】
水生動物種、例えば、脊椎動物の魚種については、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を投与する方法は、上記の、例えば注射もしくは養殖魚の飼料中に有効化合物を混合する工程などを含んでいる。水生動物種へ投与する方法は、有効濃度の2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を含む水中へ魚を浸す工程、有効濃度の化合物を魚にスプレーして、魚を短時間で水から分離する工程などをさらに含んでいる。
【0158】
(2.動物用の組成物/処方物)
本発明の医薬組成物は、当技術分野において周知のプロセスによって、例えば、様々な周知の、混合するプロセス、溶解するプロセス、顆粒化するプロセス、糖衣錠を作製するプロセス、粉末化するプロセス、乳化するプロセス、カプセル封入プロセス、エントラップするプロセスもしくは凍結乾燥するプロセスによって製造できる。本組成物は、活性な2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物を医薬上使用できる調製物に加工処理する工程を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容できる担体と結び付けて処方できる。適正な処方物は、選択された投与経路に依存する。
【0159】
静脈内、筋肉内および皮下注射を含む注射のためには、制限なく、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、水溶液中で、好ましくは当業者に公知の生理的に適合性の緩衝液、ならびに当業者に公知の他の賦形剤もしくは他の物質中で処方できる。経粘膜投与のためには、障壁を透過するために適切な浸透剤が処方物中に使用される。そのような浸透剤は、当技術分野において一般に知られている。
【0160】
経口投与のためには、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、活性化合物を当技術分野において周知の医薬上許容される単体と結合することによって処方できる。そのような担体は、患者による経口摂取のために、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物が錠剤、ピル剤、トローチ剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ジェル剤、シロップ剤、ペースト剤、スラリー剤、溶液剤、懸濁剤、濃縮液および患者の飲用水中に希釈させるための懸濁剤、患者の飼料中に希釈するためのプレミックスなどとして処方されることを可能にする。経口使用するための医薬製剤は、固体賦形剤を用いて、任意で結果として生じる混合物を粉砕して、そして錠剤もしくは糖衣錠コアを得るために、所望であれば他の適切な補助剤を添加した後に顆粒混合物を加工することによって作製できる。有用な賦形剤は、詳細には、ラクトース、スクロース、マンニトール、もしくはソルビトールを含む糖、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプンおよびジャガイモデンプンなどのセルロース調製物、ならびにゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、カルボキシ−メチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの他の物質などの充填剤である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、もしくはアルギン酸などの崩壊剤を添加できる。アルギン酸ナトリウムなどの塩もまた使用できる。
【0161】
糖衣錠のコアには適切なコーティング剤が提供される。このためには、任意でアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー液、ならびに適切な有機溶媒もしくは溶媒混合液を含有することのできる濃縮糖液を使用できる。錠剤もしくは糖衣錠コーティングには、様々な組み合わせの活性化合物の用量を識別もしくは特徴付けるために、染料もしくは色素を添加できる。
【0162】
経口的に使用できる医薬組成物には、ゼラチン製の押しばめ(push−fit)カプセルならびにゼラチンおよびグリセロールもしくはソルビトールなどの可塑剤から作られた軟質の密封カプセルが含まれる。押しばめカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ならびに任意で安定剤との混合物中に有効成分を含有することができる。軟質カプセル中では、活性な2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、脂肪油、流動パラフィン、もしくは液状ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解もしくは懸濁させることができる。これらの処方物中には、安定剤もまた添加できる。
【0163】
吸入による投与のためには、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、便宜的には、加圧パックもしくはネブライザーおよび適切な噴射剤、例えば、制限なく、ジクロロジフルオロ−メタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンもしくは二酸化炭素を用いてエーロゾルスプレーの形状で送達できる。加圧エーロゾルの場合は、用量単位は、計量した量を送達するための弁を提供することによって制御できる。インヘラーもしくは吸入器において使用するための、例えばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジは、本化合物の粉末ミックスおよびラクトースもしくはデンプンなどの適切な粉末ベースを含有することで処方できる。
【0164】
2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、例えば、ボーラス注射もしくは持続注入による、非経口投与のためにもまた処方できる。注射用処方物は、例えばアンプルのような単位用量形もしくは多用量容器中で提示できる。有用な組成物には、制限なく、懸濁剤、液剤、または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルジョンが含まれ、さらに懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの添加物を含有することができる。非経口投与するための医薬組成物には、制限なく、活性化合物の塩などの水溶形の水溶液が含まれる。さらに、活性化合物の懸濁剤は、親油性ビヒクル中で調製できる。適切な親油性ビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、オレイン酸エチルおよびトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームなどの物質が含まれる。水性注射用懸濁剤は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、もしくはデキストランなどの懸濁剤の粘度を増加させる物質を含有することができる。任意で、懸濁剤は、高濃度溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤および/または物質をさらに含有できる。または、有効成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば無菌の発熱物質無含有の水を用いて復元するための粉末形にあってよい。
【0165】
2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、例えばココア脂もしくは他のグリセリドなどの従来型の坐剤ベースを用いて、坐剤もしくは停留浣腸などの直腸用組成物に処方することもできる。
【0166】
上述した処方物に加えて、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、デポー調製物として処方することもできる。そのような持効性処方物は、移植(例えば、皮下もしくは筋肉内)または筋肉内もしくは皮下注射によって投与できる。2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、この投与経路のために、適切なポリマーもしくは疎水性物質(例えば、薬理学的に許容される油を含むエマルジョン中)、イオン交換樹脂を用いて、または制限なくやや溶けにくい塩などのやや溶けにくい誘導体として処方できる。
【0167】
相対的に疎水性の医薬化合物のためのその他の送達系を使用できる。リポソームおよびエマルジョンは、疎水性薬剤のための送達用ビヒクルもしくは担体の周知の例である。さらに、必要であれば、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒を使用できる。
【0168】
さらに、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、治療薬を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの徐放性系を用いて送達することができる。様々な徐放性物質が確立されており、当業者には周知の。徐放性カプセルは、それらの化学的性質に依存して、数週間から100日間以上にわたり化合物を放出できる。特定化合物の化学的性質および生物学的安定性に依存して、追加の安定化戦略を使用できる。
【0169】
この場合に有用な医薬組成物は、固相もしくはゲル相担体もしくは賦形剤を含むこともできる。そのような担体もしくは賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれるが、それらに限定されない。
【0170】
(3.植物/作物、施設、生育環境への送達)
2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、例えば、上記に列挙した無数の植物害虫のいずれかを殺傷および/または抑制するために、一般に植物中および/または植物上、および特別には作物植物中の内部寄生虫または外部寄生虫を殺傷する、抑制する、および/または阻害するための当技術分野において公知の方法によって容易に処方できる。さらに、2−フェニル−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル化合物は、所望の場合には、内部寄生虫または外部寄生虫を殺傷および/または抑制するために選択された環境領域内へ適用する、および/または分布させることができる。これらの化合物は、当技術分野において公知の方法によって、そのような用途のために適切な組成物へ容易に処方される。そのような組成物は、任意で、最適な活性スペクトルのために各々選択された、本発明の化合物の2つ以上を含んでいる。所定の任意の実施形態では、本組成物は、有用な相補的もしくは相乗的抗寄生虫作用を提供できる他の物質、例えば上記に列挙した当技術分野において公知の他の抗寄生虫剤、殺虫剤などを含んでいる。
【0171】
本組成物は、効果的な農作物管理のために、除草剤、肥料などを含む他の有用な物質を任意で含むことがさらに企図されている。
【0172】
そのような分布のための組成物は、上記で考察した本発明の液剤、懸濁剤および乾燥形を含んでいる。そのような組成物を投与するこのプロセスは、当技術分野において周知の方法によって達成できる。これらは、選択された領域内で、当技術分野において公知の装置を用いて、スプレー法、ブラッシング法、浸漬法、リンス法、洗浄法、散布法を含んでいる。選択される領域は、任意で、例えば作物のような植物、および/または動物を含んでいる。
【0173】
そこで、この方法で処置されることが企図される環境領域には、例えば、田畑、ラン(orchids)、庭園など、建物および景観を含むそれらの周囲;貯蔵施設、輸送もしくは固定貯蔵容器もしくは類似の構造および壁、床、屋根、フェンス、窓および網戸などの構造上の構成要素が含まれる。例えば、動物の檻、鶏小屋、サンゴ(corals)、納屋などの動物の居住空間もまた含まれる。ヒトの住宅および他の人の居住用、事業用もしくは商業用および教育用施設もまた、上述した本発明の化合物もしくはそれらの組成物を用いて処置もしくは接触させられることが企図されている。
【0174】
適用は、当技術分野において公知のスプレー装置、例えば、自動加圧式エーロゾル容器、圧縮空気もしくは遠心分布を使用する大型器具、ならびに農薬散布器を用いて達成できる。
【0175】
抗寄生虫活性を確証する
例示した式1の化合物は、上記の表1aおよび1bに列挙されている。これらの化合物の捻転胃虫(Haemonchus contortus)およびネコノミ(Ctenocephalides felis)に対する活性は、以下の表7に要約されている。データは以下のフォーマットで提示されている。
【0176】
LD99値は、捻転胃虫のサンプルの99%を殺傷するために必要とした用量(μg/mLとして表示)である。
【0177】
LC50値は、試験化合物と接触させてネコノミのサンプルの50%を殺傷するために必要とした濃度(μg/cmとして表示)である。所定の試験は、この方法で試験した化合物について1.26μg/cmの濃度で殺傷されたネコノミのサンプルの%(「殺傷%」)としても報告されている。
【0178】
【化19】

【0179】
【化20】

a)記号「−」は、試験したが、15μg/mLまでは不活性であることを示している。
【実施例】
【0180】
式1の好ましい新規誘導体の以下の調整実施例は、本発明の詳細な理解を提供するために役立つが、決して本発明の有効範囲を制限することは意図されていない。
【0181】
(実施例1)
(試薬の調製)
上記の表1aおよび1bの化合物(下記の表8にも列挙されている)は、入手できる場合は、市販で入手できる試薬を用いて調製されたことに留意されたい。市販で入手できなかった置換されたフェニルアセトニトリル類は、参照して全体として本明細書に援用されるJ.March,“ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY”,Third Edition,John Wiley & Sons,New York,1985の中に与えられた明確に確立された方法によって、入手可能な安息香酸、ベンズアルデヒド、ベンジルアルコールもしくはベンジルハロゲン化物から調製した。
【0182】
さらに、4−ブロモ−1H−ピロール−2−カルバルデヒドは、参照して全体として本明細書に援用されるC.Jaureguiberry,et al.Acad.Sc.Paris,1971,273,276によって調製し、表1aおよび8によって列挙された化合物11、12、23、および29〜31、および34を調製するために使用した。
【0183】
4,5−ジクロロ−1H−ピロール−2−カルバルデヒドは、参照して全体として本明細書に援用されるP.E.Sonnet,J.Org.Chem.,1972,37,925によって調製し、以下の実施例にしたがって、表1aおよび8によって列挙された化合物3を調製するために使用した。
【0184】
1−エトキシメチル−1H−ピロール−2−カルバルデヒドは、1H−ピロール−2−カルバルデヒドおよび水素化ナトリウムからその後にクロロメチルエチルエーテルによる処理によって調製し、以下の実施例にしたがって、表1a、1bおよび8に列挙されたように化合物7、8および49〜65を調製するために使用した。
【0185】
1−(ジエトキシメチル)−1H−ピロール−2−カルバルデヒドは、参照して全体として本明細書に援用されるM.Bergauer,P.Gmeiner,Synthesis,2001,(15),2281によって調製し、以下の実施例にしたがって、表1aおよび8によって列挙された化合物41〜46を調製するために使用した。
【0186】
(実施例2)
(Z)−2−(4−クロロ−フェニル)−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリルの調製
本化合物は、以下のとおりに、相間移動触媒としてTriton Bを用いて調製した。
【0187】
水(50mL)中の1H−ピロール−2−カルバルデヒド(3.3g、34.7mmol)および4−クロロフェニルアセトニトリル(5.5g、33.0mmol、0.95当量)の懸濁液を50℃に加熱した。固体物質が全部溶解した時点に、強力に攪拌した混合物を40%のTriton B水溶液(14mL、5.6mmol)で処理した。ほぼ直ちに沈降が始まった。50℃で5時間にわたり攪拌を持続し、必要な場合は塊を粉砕した。まだ暖かい懸濁液を焼結ガラス漏斗に通して濾過し、温水で洗浄した。黄色沈降物をポンプで乾燥させた(6.63g)。これは表8の化合物2である。
【0188】
(実施例3)
(Z)−2−(4−クロロ−フェニル)−3−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリルの調製
水(5mL)中の4−クロロフェニルアセトニトリル(500mg、3.30mmol)および1−メチル−1H−ピロール−2−カルバルデヒド(370mg、3.39mmol、1.03当量)の懸濁液を、40%のTriton B水溶液(1.4mL、3.3mmol)で処理した。ほぼ直ちに沈降の形成が始まった。2時間攪拌した後、沈降物を濾過して除去し、水で洗浄し、乾燥させて黄色固体が得られた(682mg)。これは表8の化合物6である。
【0189】
(実施例4)
(Z)−2−(4−クロロ−フェニル)−3−(1−エトキシメチル−1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリルの調製
トルエン(30mL)中の4−クロロフェニルアセトニトリル(500mg、3.30mmol)、1−エトキシメチル−1H−ピロール−2−カルバルデヒド(520mg、3.39mmol、1.03当量)、および相間移動触媒としての18−クラウン−6エーテル(87mg、0.33mmol)の溶液に水酸化カリウム(185mg、3.30mmol)を加え、この混合液を3時間にわたり80℃へ加熱し、次に室温で一晩攪拌した。この溶液をシリカの小さなプラグに通して濾過し、濃縮して油を得た(705mg)。これは表8の化合物7である。
【0190】
(実施例5)
高圧下での(Z)−2−(2−メチル−フェニル)−3−(1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリルの調製
肉厚チューブに1H−ピロール−2−カルバルデヒド(2.0g、21.0mmol)、2−メチルフェニルアセトニトリル(2.5g、18.9mmol、0.9当量)、エタノール(75mL)、および40%のTriton B水溶液(4.0mL、3.3mmol)を装填した。このチューブを密封し、4日間にわたり90℃へ加熱した。溶媒を除去し、溶離液としてジクロロメタン/ペトロレウム・スピリット(20:80)を用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより黄色固体が得られた(1.2g)。これは表8の化合物16である。
【0191】
(実施例6)
(Z)−2−(4−クロロフェニル)−3−(1−(3−メチルブト−2−イル)−1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリルの調製
この化合物は、以下のとおりに、Rのその後の修飾により調製した。
【0192】
無水アセトン(35mL)中の表8における化合物2である(Z)−2−(4−クロロ−フェニル)−3−(1H−ピロール−2−イル)アセトニトリルの溶液(200mg、0.875mmol)をKCO(121mg)、次に臭化ジメチルアリル(111μL、0.962mmol、1.1当量)によって処理した。この混合液を20時間にわたり穏やかに還流するように加熱した。この反応液を室温へ冷却して濾過した。この濾液を溶離液として酢酸エチレン/ペトロレウム・スピリット(1:1)を用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけると、黄色油として標題化合物が得られた(85mg)。これは表8の化合物80である。
【0193】
(実施例7)
(Z)−2−(4−クロロフェニル)−3−(1−プロパノイル−1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリルの調製
ジクロロメタン(20mL)中の(Z)−2−(4−クロロフェニル)−3−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アクリロニトリル(これは表8の化合物2である)(600mg、2.62mmol)、トリエチルアミン(320mg)、および4−ジメチルアミノピリジン(32mg)の攪拌溶液にプロピオン酸無水物(375mg)を加えた。この混合液を室温で7時間攪拌した。トリエチルアミン(320mg)およびプロピオン酸無水物(375mg)を加え、混合液を室温で48時間攪拌した。この反応混合液をエーテル(200mL)内に注入し、エーテルを10%のクエン酸水溶液(50mL)、水(2×50mL)および飽和食塩液(50mL)で洗浄した。エーテル相を収集し、硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物をエーテル/ライトペトロレウムから再結晶化させると黄色針状結晶として標題化合物が得られた(611mg)。これは表8の化合物76である。
【0194】
(実施例8)
調製された化合物についての分析データ
以下の表8は、NMRおよび質量分析法の両方を用いて、上記の表1aおよび1bに列挙した式1の化合物についての分析データを提供している。
【0195】
【化21】

【0196】
【化22】

【0197】
【化23】

【0198】
【化24】

【0199】
【化25】

【0200】
【化26】

【0201】
【化27】

【0202】
【化28】

【0203】
【化29】

A)「APCI」は、大気圧化学イオン化による質量分析法を表示している。
B)「ESI」は、エレクトロスプレーイオン化法による質量分析法を表示している。
1)G.Alberghina,et al.,J.Heterocycl.Chem.,1986,23,1747;
2)日本国特許第05100264号;
3)CAS登録番号[675857−75−7];
4)化合物77を得るために、化合物2をWatanabe et al.,Chem.Pharm.Bull.,1191,39,1152の方法によって修飾した;
5)化合物78を得るために化合物2をCastells,et al.,Tetrahedron,1991,47,7911の方法によって修飾した;
6)化合物79を得るために、化合物2をGrehen,et al.,Chem.Int.Ed.Eng.,1984,23,296の方法によって修飾した;
7)化合物80を得るために、化合物2をTietze,et al.,Liebigs Ann.Chem.,1988,9−12の方法によって修飾した;
8)化合物82を得るために、化合物2をAbell,et al.,Aust.J Chem.,1993,46,1473の方法によって修飾した;
上記には多数の参考文献が言及されているが、言及された参考文献全部の内容は本明細書に参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【図1】
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【公開番号】特開2011−105727(P2011−105727A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265826(P2010−265826)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【分割の表示】特願2007−543177(P2007−543177)の分割
【原出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(503442097)シェーリング−プラウ・リミテッド (47)
【住所又は居所原語表記】Weystrasse20,Lucerne6,CH−6000,Switzerland
【Fターム(参考)】