説明

殺菌装置及び殺菌方法

【課題】 簡単な構造でもって粉状物に付着した細菌を確実に殺菌することができる殺菌装置を提供すること。
【解決手段】 気体流によって移動する粉状物8を帯電するための帯電領域14と、粉状物8に帯電した電荷を除電するための除電領域18とが設けられ、帯電領域14には電荷付与手段16が設けられ、除電領域18には除電手段20が設けられている雑菌装置。帯電領域14においては、電荷付与手段16によって粉状物8が帯電され、除電領域18においては、除電手段20によって粉状物8に帯電した電荷が除電され、粉状物8への帯電及び除電が1回又は複数回行われ、帯電及び除電による電位変動によって粉状物8に付着した細菌が殺菌される。帯電領域14及び除電領域18は搬送経路10に沿って設けられ、殺菌処理すべき粉状物8は帯電領域14及び除電領域18を通して搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉、香辛料などの食品性又は薬草などの薬品性の粉状体、或いは気体中の粉塵などの粉状物に付着した細菌を殺菌する殺菌装置に関する。また、これら粉状物に付着した細菌を殺菌する殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品などの製造販売に関する衛生管理の重要性が高まっており、特に輸入加工食品などに付着した細菌が問題となりつつある。通常、茶葉や薬草などは、粉砕されて粉状体になる前の状態では蒸気又は加熱などにより殺菌処理が行われているが、粉砕された後の粉状体の状態では殺菌処理が困難な状況にある。これは、粉状体に例えば蒸気殺菌や加熱殺菌を行うと、粉状体の風味や香味を損なってしまうからである。従って、輸入される健康粉末食品などの粉状物には、粉末状態になった後に殺菌処理が行われていないものが多い。
【0003】
しかしながら、近年では細菌の感染の問題から、茶葉や香辛料などの粉状体を殺菌処理することが望まれている。このような粉状体は、そのまま食材と一緒に摂取されたり、菓子、パンなどに添加して使用される場合があるからである。
【0004】
また、気体中に漂う粉塵に付着した細菌も問題となっている。細菌が付着した粉塵などの粉状物は、様々な病気の発症原因となり、これを吸うことによるアレルギー性の喘息や、目の痒みなどの発生源ともなっているからである。
【0005】
このようなことから、粉状物に電子線を照射して殺菌を行う方法(例えば、特許文献1参照)や粉状物に放電や爆発により発生させた衝撃波を加えることによって殺菌を行う方法(例えば、特許文献2)などが提案されている。電子線を利用する殺菌方法は、小麦粉などの粉状物に電子線を照射し、電子が粉状物に侵入して貫通することによって粉状物の殺菌を行うものである。また、衝撃波を利用した殺菌方法は、チューブ内に粉状物を注入し、一対の電極間で放電させることによって、又は爆薬を爆発させることによって生じた衝撃波を衝撃波伝搬媒体を介してチューブ内の粉状物に与え、粉状物の表面を瞬間的に加熱することによって殺菌を行うものである。
【0006】
【特許文献1】特開2004−105300号公報
【特許文献2】特開2003−38141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子線を利用する方法では、電子線を生成して照射するための特殊な殺菌装置が必要となり、またこのような特殊な殺菌装置が必要となることから茶葉などの粉状物を殺菌するための設備が大型化する。また、衝撃波を利用する方法では、放電や爆発による衝撃波を発生させることから殺菌装置、チューブなどがその衝撃に耐えうる構造であることが必要となり、殺菌装置が大型化、複雑化する。また、チューブが衝撃波によって破損した場合は、チューブの破片が粉状物と混在したり、破損箇所から粉状物が漏れるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構造でもって粉状物に付着した細菌を確実に殺菌することができる殺菌装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、粉状物に付着した細菌を簡単に且つ確実に殺菌することができる殺菌方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の殺菌装置は、気体流によって移動する粉状物を帯電するための帯電領域が設けられ、前記帯電領域において、気体流によって移動する粉状物が電荷付与部材に接触乃至衝突して静電的に帯電され、粉状物への帯電によってこれに付着した細菌が殺菌されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の殺菌装置では、前記帯電領域に加えて、粉状物に帯電した電荷を除電するための除電領域が設けられ、前記除電領域には除電手段が設けられており、前記帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が前記電荷付与部材に接触乃至衝突して静電的に帯電され、前記除電領域においては、前記除電手段によって粉状物に帯電した電荷が除電され、粉状物に対する帯電及び除電が1回又は複数回行われることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の殺菌装置では、前記帯電領域及び前記除電領域は、粉状物を搬送するための搬送経路に沿って設けられ、前記帯電領域に前記電荷付与部材が設けられ、前記除電領域に電荷除去部材が設けられ、前記帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が前記電荷付与部材に接触乃至衝突して静電的に帯電され、前記除電領域においては、気体流によって移動する粉状物が前記電荷除去部材に接触乃至衝突して粉状物に帯電した電荷が除電されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の殺菌装置では、前記電荷付与部材は、特定極性の帯電特性を有する又は導電特性を有し、且つ前記帯電領域を規定しており、また前記電荷除去部材は、導電特性を有し、且つ前記除電領域を規定し、前記電荷除去部材にアース手段が設けられており、前記帯電領域においては、粉状物は前記電荷付与部材を通して搬送され、前記除電領域においては、粉状物は前記電荷除去部材を通して搬送されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載の殺菌装置は、前記電荷付与部材に関連して、前記電荷付与部材の帯電状態を調整乃至除電するための帯電調整/除電手段が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項6に記載の殺菌装置では、粉状物を特定極性に帯電するための第1帯電領域と、粉状物を前記特定極性と反対極性に帯電するための第2帯電領域とが設けられ、前記第1帯電領域には前記特定極性に帯電させるための第1電荷付与部材が設けられ、前記第2帯電領域には前記特定極性と反対極性に帯電させるための第2電荷付与部材が設けられており、
前記第1帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が前記第1電荷付与部材に接触乃至衝突して前記特定極性に静電的に帯電され、前記第2帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が前記第2電荷付与部材に接触乃至衝突して前記特定極性と反対極性に静電的に帯電され、粉状物の前記特定極性への帯電及び前記特定極性と反対極性への帯電が1回又は複数回行われ、これによって粉状物に付着した細菌が殺菌されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項7に記載の殺菌装置では、前記第1帯電領域及び前記第2帯電領域は、粉状物を搬送するための搬送経路に沿って設けられ、前記第1電荷付与部材が前記第1帯電領域を規定し、前記第2電荷付与部材が前記第2帯電領域を規定しており、前記第1帯電領域においては、気体流によって移動される粉状物は前記第1電荷付与部材を通して搬送され、前記第2帯電領域においては、気体流によって移動される粉状物は前記第2電荷付与部材を通して搬送されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項8に記載の殺菌装置では、前記第1電荷付与部材は、前記特定極性と反対極性の帯電特性を有する又は導電特性を有し、前記第2電荷付与部材は、前記特定極性の帯電特性を有する又は導電特性を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項9に記載の殺菌装置では、前記第1及び第2電荷付与部材の少なくともいずれか一方に関連して、帯電状態を調整乃至除電するための帯電調整/除電手段が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項10に記載の殺菌方法は、粉状物は、気体流によって流れる粉状体又は気体流に含まれた粉塵であることを特徴とする。
更に、本発明の請求項11に記載の殺菌方法は、粉状物を帯電させるための帯電領域に電荷付与部材を設け、気体流によって移動する粉状物を前記電荷付与部材に接触乃至衝突させて静電的に帯電させ、粉状体への帯電によってこれに付着した細菌を殺菌することを特徴とする。
【0019】
更にまた、本発明の請求項12に記載の殺菌方法は、気体流によって移動される粉状物を特定極性に帯電させるための第1帯電領域と、粉状物を前記特定極性と反対極性に帯電させるための第2帯電領域を通して搬送し、前記第1帯電領域においては、粉状物を第1電荷付与部材に接触乃至衝突させて前記特定極性に帯電させ、前記第2帯電領域においては、粉状物を第2電荷付与部材に接触乃至衝突させて前記特定極性と反対極性に帯電させ、粉状物の前記特定極性への帯電及び前記特定極性と反対極性への帯電を1回又は複数回行うことによって粉状物に付着した細菌を殺菌することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1に記載の殺菌装置及び請求項11に記載の殺菌方法によれば、帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が電荷付与部材に接触乃至衝突して静電的に帯電され、帯電による電位が粉状物に付着した細菌に作用し、この電位によって細菌が死滅し、かくして、静電的帯電を利用して粉状物を殺菌処理することができる。粉状物とは、例えば茶葉、香辛料、薬草などを予め粉砕した粉状体や、気体中に含まれた粉塵(例えば、空気中の埃や目に見えない小さい粉塵など)などである。尚、粉状物を移動させる気体としては、空気、窒素ガスなどを用いることができる。
【0021】
また、本発明の請求項2に記載の殺菌装置によれば、帯電領域に加えて除電領域が設けられ、除電領域には除電手段が設けられている。帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が帯電付与部材に接触乃至衝突して静電的に帯電され、除電領域においては、除電手段によって粉状物に帯電した電荷が除電され、この粉状物への帯電及び除電による電位の変動を1回又は複数回行うことによって粉状物に付着した細菌を殺菌することができる。帯電領域及び除電領域は別個の領域に設けることができ、この場合、帯電領域を移動する間に粉状物への帯電が行われ、除電領域において粉状物の除電が行われる。また、帯電領域及び除電領域は同じ領域に設けるようにしてもよく、この場合、ある期間においては帯電領域として機能し、別の期間においては除電領域として機能し、例えば粉状物を収容した収容部材(例えば、帯電付与部材を含む)を電気的に接地し、この電気的接地状態を解除したときには収容部材を帯電領域として機能させることができ、電気的接地状態を行ったときには収容部材を除電領域として機能させることができる。
【0022】
この殺菌装置では、帯電領域において、粉状物が、帯電付与部材との接触乃至衝突によって例えばプラス(又はマイナス)の高電位状態、例えば絶対値で20〜40kV程度の高電位に帯電される。また、除電領域において、除電手段によって粉状物に帯電した電荷の除電が行われる。このようにして粉状物への帯電、帯電した電荷の除電を行うことによって、粉状物に付着した細菌の殺菌を行うことができる。尚、粉状物を高電位状態にする場合、急激に高電位状態にする方が、粉体物の殺菌効率を高めることができるので好ましい。粉状物の殺菌が、加熱処理や電子線照射処理を行うことなく帯電状態を変化させることによって行われるので、簡単な構造でもって殺菌することができる。また、粉状物が変質し易い熱などを用いないので、風味、香味などの品質を保持したまま粉状物、例えば抹茶などを殺菌することができる。また、帯電領域及び除電領域を通して気体(例えば、空気、窒素ガスなど)を流すことによって、粉状物としての気体中の粉塵に付着した細菌を死滅させて気体の清浄化を行うことができる。
【0023】
また、本発明の請求項3に記載の殺菌装置によれば、帯電領域及び除電領域が、粉状物を搬送する搬送経路に沿って設けられ、帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が電荷付与手段に接触乃至衝突して静電的に帯電され、除電領域においては、気体流によって移動する粉状物が電荷除去部材に接触乃至衝突して粉状物に帯電された電荷が除電されるので、粉状物を搬送経路を通して搬送するという簡単な構成でもって効率的に粉状物に付着した細菌を死滅させることできる。尚、搬送経路は、例えば直線形状、螺旋形状若しくはループ形状又はこれらの組み合わせなどの適宜の形状でよい。
【0024】
また、本発明の請求項4に記載の殺菌装置によれば、帯電領域を規定する電荷付与部材が特定極性の帯電特性を有し、例この電荷付与部材を通して粉状物を搬送することによって、粉状物が電荷付与部材の内面に接触乃至衝突して帯電させることができる。特定極性の帯電特性とは、摩擦などすることよって特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電する特性であり、電荷付与部材がプラス極性(又はマイナス極性)の帯電特性を有する場合、この電荷付与部材の内部を通して搬送される間にその内周壁面と接触乃至衝突して粉状物はマイナス極性(又はプラス極性)に帯電される。プラス極性の帯電特性を有する(粉状物をマイナス極性に帯電させる)材質として、例えばナイロン材、ガラス材などを用いることができ、マイナス極性の帯電特性を有する(粉状物をプラス極性に帯電させる)材質として、例えばフッ素樹脂材(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)、塩化ビニル材などを用いることができる。但し、帯電による極性は、電荷付与部材と粉状物との相対的な帯電特性によって決まるものであり、それ故に、電荷付与部材が例えばナイロン材であってもマイナス極性に帯電することもあり、またフッ素樹脂材であってもプラス極性に帯電することもある。
【0025】
この帯電領域を規定する電荷付与部材は、導電特性を有するものでもよい。電荷付与部材として導電特性のもの、例えば銅を用いた場合、粉状物が電荷付与部材の内周壁面と接触乃至衝突すると、その接触乃至衝突の際に瞬間的に電荷付与部材は例えばマイナス極性に、また粉状物はプラス極性に瞬間的に帯電し、帯電した電荷付与部材の電荷はこれを通して流れるようになり、また帯電した粉状物の電荷は電荷付与部材に流れるようになる。従って、電荷付与部材及び粉状物は接触乃至衝突したときに瞬間的に高電位状態となり、その後急激に電荷が除電されるようになり、接触乃至衝突時の電位変動でもって粉状物に付着した細菌を死滅させることができる。導電特性を有する材質として、例えば銅、ニッケルなど(これらは、マイナス極性の導電特性を有する傾向にある)や、例えば亜鉛など(これらは、プラス極性の導電特性を有する傾向にある)を用いることができる。
【0026】
また、除電領域を規定する電荷除去部材が導電特性を有し、この電荷除去部材にアース手段が設けられているので、この電荷除去部材を通して粉状物を搬送することによって、粉状物が電荷除去部材の内周壁面に接触乃至衝突して、粉状物に蓄積した電荷が電荷除去部材及びアース手段を介して流れ、粉状物に帯電した電荷をが除電することができ、帯電した粉状物を元の状態にすることができる。このように粉状物を電荷付与部材及び電荷除去部材を通して搬送することによって、粉状物への帯電、除電を行うことができ、高電位の帯電及び帯電した電荷の除電によって、粉状物に付着した細菌を死滅させることができる。
【0027】
また、本発明の請求項5に記載の殺菌装置によれば、電荷付与部材には、電荷付与部材自体の帯電状態を調整乃至除電するための帯電調整/除電手段が設けられているので、電荷付与部材による帯電状態、即ち電荷付与部材によって帯電される粉状物の電位状態を調整乃至除電することができる。
【0028】
この帯電調整/除電手段は、電荷付与部材との間の電気抵抗値を変化させるアース手段などから構成することができる。電気抵抗値を調整する方法としては、例えば内面を絶縁材料から形成し且つ外面を導電材料から形成した2層構造の電荷付与部材を用い、この電荷付与部材の外側導電層をアース手段によって電気的に接地し、例えば内側絶縁層の層厚を変えることによって、或いは、例えばアース手段を可変抵抗を介して外側導電層に電気的に接続することによって、この電気抵抗値を変えることができる。
【0029】
電荷付与部材を例えば特定極性の帯電特性を有するものから構成した場合、連続的に粉状物を搬送すると、電荷付与部材が特定極性に飽和帯電して粉状物への更なる帯電が行われ難くなるが、このように帯電調整/除電手段を設けて電荷付与部材の電位状態を調整することによって、電荷付与部材の帯電と除電が併せて行われ、新たな帯電を連続的に行うことが可能となり、これによって長時間にわたって安定して連続稼働させることができる。
【0030】
また、電荷付与部材を例えば導電特性を有するものから構成した場合、連続的に粉状物を搬送すると、電荷付与部材が幾分帯電するようになるが、このように帯電調整/除電手段を設けて電荷付与部材を除電することによって、電荷付与部材の電位状態は初期状態となり、このようにしても安定して連続稼動することができる。
【0031】
また、本発明の請求項6に記載の殺菌装置及び請求項12に記載の殺菌方法によれば、第1帯電領域に第1電荷付与部材が設けられ、気体流によって移動する粉状物が第1電荷付与部材に接触乃至衝突して特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電される。また、第2帯電領域に第2電荷付与部材が設けられ、気体流によって移動する粉状物が第2電荷付与部材に接触乃至衝突して特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電される。このように、特定極性への帯電及び特定極性と反対極性への帯電を1回又は複数回行うことによって粉状物の電位状態が大きく変動し、これによって、粉状物に付着した細菌を殺菌することができる。粉状物は、第1帯電領域において特定極性の高電位状態、例えば絶対値で20〜40kV程度の高電位に帯電され、その後第2帯電領域において特定極性と反対極性の高電位状態、例えば絶対値で20〜40kV程度の高電位に帯電される。尚、第1帯電手段の帯電性能と第2帯電手段の帯電性能とは、同程度の帯電性能とするのが好ましい。
【0032】
また、本発明の請求項7に記載の殺菌装置によれば、第1帯電領域及び第2帯電領域が、粉状物を搬送する搬送経路に沿って設けられ、第1帯電領域を規定する第1電荷付与部材を通して搬送することによって、粉状物が第1電荷付与部材の内周面に接触乃至衝突して特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電される。また、第2帯電領域を規定する第2電荷付与部材を通して搬送することによって、粉状物が第2電荷付与部材の内周面に接触乃至衝突して特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電される。このように粉状物が帯電されるので、粉状物を搬送経路を通して搬送することによって、粉状物に付着した細菌の殺菌を行うことができる。この搬送経路は、例えば直線形状、螺旋形状若しくはループ形状又はこれらの組み合わせ等の適宜の形状でよい。
【0033】
また、本発明の請求項8に記載の殺菌装置によれば、第1帯電領域を規定する第1電荷付与部材が特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)の帯電特性を有し、第1電荷付与部材を通して粉状物を搬送することによって、この第1電荷付与部材の内周壁面との接触乃至衝突によって粉状物が特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電される。また、第2帯電領域を規定する第2電荷付与部材が特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)の帯電特性を有し、第2電荷付与部材を通して粉状物を搬送することによって、第2部材の内周壁面との接触乃至衝突によって粉状物が特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電される。特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)の帯電特性とは、摩擦などすることによって特定極性と反対極性に帯電する特性をいい、この特定極性と反対極性の帯電特性を有する第1電荷付与部材を通して粉状物を搬送すると、その内周壁面との接触乃至衝突によって粉状物は特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電される。また、特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)の帯電特性とは、摩擦などすることによって特定極性に帯電する特性をいい、この特定極性の帯電特性を有する第電荷付与部材を通して粉状物を搬送すると、その内周壁面との接触乃至衝突によって粉状物は特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電される。このように第1及び第2電荷付与部材を通して搬送することによって、粉状物が特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電して高電位状態になった後にこの特定極性と反対極性に帯電して高電位状態になり、このように電位状態が変動するので、粉状物に付着した細菌の殺菌を行うことができる。
【0034】
第1帯電領域を規定する第1電荷付与部材を導電特性を有するものから形成するようにしてもよく、例えばマイナス極性の帯電特性を有する導電材料、例えば銅から形成された第1電荷付与部材を用いた場合、粉状物が第1電荷付与部材の内周壁面と接触乃至衝突すると、その接触乃至衝突の際に例えば第1電荷付与はマイナス極性に、また粉状物はプラス極性に瞬間的に帯電し、第1電荷付与部材及び粉状物は接触乃至衝突したときに瞬間的に高電位状態となった後に第1電荷付与部材に流れ、この電位の変動でもって粉状物に付着した細菌が死滅される。また、第2帯電領域を規定する第2電荷付与部材を導電特性を有するものから形成するようにしてもよく、例えばプラス極性の帯電特性を有する導電材料、例えば亜鉛から形成された第2電荷付与部材を用いた場合、粉状物が第2電荷付与部材の内周壁面と接触乃至衝突すると、その接触乃至衝突の際に例えば第2電荷付与部材はプラス極性に、また粉状物はマイナス極性に瞬間的に帯電し、第2電荷付与部材及び粉状物は接触乃至衝突したときに瞬間的に高電位状態となった後に電荷が第2電荷付与部材に流れ、この電位の変動でもって粉状物に付着した細菌が死滅される。
【0035】
尚、粉状物を特定極性の高電位状態又は特定極性と反対極性の高電位状態にする場合、急激に電位変動させる方が、粉状物に対する殺菌効果を高めることができる。
また、本発明の請求項9に記載の殺菌装置によれば、第1電荷付与部材及び第2電荷付与部材の少なくともいずれか一方に関連して、電荷付与部材段自体の帯電状態を調整乃至除電するための帯電調整/除電手段が設けられているので、電荷付与部材による帯電状態、即ち電荷付与部材によって帯電される粉状物の電位状態を調整乃至除電することができる。
【0036】
また、本発明の請求項10に記載の殺菌装置によれば、粉状物が茶葉、香辛料などの食品性粉状体、薬草などの薬品性粉状体である場合、このような粉状体を気体、例えば空気、窒素ガスなどとともに流すことによって、粉状体を帯電させてこれらに付着した細菌を死滅させて粉状体の殺菌処理を行うことができる。また、粉状物が空気中の粉塵である場合、空気を流すことによって、空気中の粉塵(及び細菌自体)を帯電させて粉塵に付着した細菌(及び細菌自体)を死滅させて空気を清浄化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う殺菌装置及び殺菌方法の最良の実施形態について説明する。
第1の実施形態
まず、図1を参照して、第1の実施形態の殺菌装置及び殺菌方法について説明する。図1は、第1の実施形態の殺菌装置を簡略的に示す概略図である。
【0038】
図1において、図示の殺菌装置2は粉状物としての茶葉などの粉状体を殺菌する装置であって、粉体収容容器4と、粉体回収容器6と、粉体収容容器4から粉体回収容器6に粉状物8を搬送するための粉体搬送流路10と、粉体回収容器6から粉体収容容器4に粉状物8を戻すための粉体戻し流路12と、を備えている。殺菌される粉状物8は、茶葉、香辛料、薬草などを予め粉砕した粉状体であり、その大きさは、約0.01〜0.1mm程度に粉砕されている。尚、茶葉などの粉状物は乾燥させたものが好ましいが、少々の水分、油分を含んだものでもよい。
【0039】
矢印15で示す搬送方向に見て粉体搬送流路10の中間部位には帯電領域14が設けられており、この帯電領域14に電荷付与手段16が配設されている。また、粉体回収容器6は除電領域18として作用し、この除電領域18に除電手段20が備えられている。更に、粉体搬送流路10の下流側部位には、粉状物8を図1において矢印15で示す方向に帯電領域14を通して除電領域18に搬送するための搬送ファン22が配設されており、また粉体戻し流路12の矢印19で示す戻し方向下流側部位には、粉状物8を粉体回収容器6から粉体収容容器4へ戻すための戻しファン24が配設されている。この粉体戻し流路12の上流側部位(換言すると、粉体回収容器6の排出側))にはバルブ26が配設されている。尚、搬送ファン22は、その吸引作用によって高速の気流を発生させるものであって、搬送能力がある程度大きいものが望ましく、このような搬送ファン22を用いることによって、粉状物8の搬送速度が高速となり、これによって後述する接触乃至衝突による粉状物8の帯電電位を高くしてそれに付着した細菌の殺菌効率を高めることができる。
【0040】
粉体収容容器4は、この実施形態では箱形形状を有し、上面が開放され、その上面開口部にエアフィルタ23が配設されている。この粉体収容容器4は鉄又はステンレス鋼などの金属材料から形成され、アース手段25を介して地面に電気的に接地され、この内部に殺菌処理すべき粉状物8が収容される。粉体収容容器4の底部には複数の支持脚30が設けられており、これら支持脚30を介して粉体収容容器4が工場の床面などに設置されている。
【0041】
粉体搬送流路10は、吸込み管32、帯電領域14を規定するスリーブ状部材17(電荷付与部材を構成する)及び排出管34によって規定され、排出管34に搬送ファン22が配設されている。搬送ファン22は粉状物を搬送するための一般的な気体吸入式のファン装置から構成され、この搬送ファン22の作用によって搬送流路10内に高速の気体流、即ち空気流が発生し、粉体収容容器4内の粉状物8はこの高速の空気流に乗って矢印15で示すように搬送流路10(吸込み管32、スリーブ状部材17及び排出管34)を通して粉体回収容器6に搬送され、かく搬送されることによって、後述する如くして粉状物8に付着した細菌が殺菌される。吸込み管32及び排出管34は、例えば鉄又はステンレス鋼などの金属材料、或いはゴムなどの可撓性材料から形成されている。
【0042】
帯電領域14を規定するスリーブ状部材17(電荷付与部材)は電荷付与手段16として機能し、粉状物8が空気流に乗ってスリーブ状部材17内を通して搬送される間に、粉状物8はこのスリーブ状部材17によって後述する如く特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電される。この実施形態では、スリーブ状部材17は、特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)の帯電特性を有する材質であって、電気的に絶縁性を有する材質から形成される。従って、スリーブ状部材17の内部を通して粉状物8が搬送されると、搬送される粉状物8がスリーブ状部材17の内周壁面に接触乃至衝突し、これら両者の摩擦等によってスリーブ状部材17が特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電されるのに対し、粉状物8は特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電される。
【0043】
スリーブ状部材17の材質としては、粉状物8をマイナス極性に帯電させたい場合にはプラス極性の帯電特性を有する材質、例えばナイロン材、ガラス材などが用いられ、粉状物8をプラス極性に帯電させたい場合にはマイナス極性の帯電特性を有する材質、例えばフッ素樹脂材、塩化ビニール材などが用いられ、このような材質を用いてスリーブ状部材17を形成することによって粉状物8を高電位状態に帯電させることができる。
【0044】
更に、帯電領域14には帯電調整/除電手段36が設けられ、この実施形態では、帯電調整/除電手段36は、スリーブ状部材17による帯電電圧を調整する。スリーブ状部材17は、粉状物8との接触乃至衝突によって特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電して高電位状態になるので、粉状物8への帯電を連続して行うと、飽和電位状態となって更なる帯電が行われ難くなる。このような高電位状態になるのを防止するために帯電調整/除電手段36が設けられ、帯電調整/除電手段36の除電作用(放電作用)によって、スリーブ状部材17による安定した帯電が可能となり、その結果、この帯電、除電の繰返しによってスリーブ状部材17が所定電位状態に維持され、粉状物8を安定して帯電させることが可能となる。
【0045】
図示の帯電調整/除電手段36は、スリーブ状部材17の外周面と所定間隔を置いて同心状に設けられたスリーブ状の導電部材37と、この導電部材37を接地するための接地部39とから構成され、導電部材37はスリーブ状部材17の外周面の全周を覆うように設けられる。帯電調整/除電手段36の導電部材37とスリーブ状部材17との間の間隔は、スリーブ状部材17の電位状態が所定電位に達すると蓄積された電荷が導電部材37に放電が起こるように適宜に設定される。このような導電部材37はスリーブ状部材17と密着させるようにしてもよく、この場合には、蓄積された電荷は導通して流れる。このように帯電調整/除電手段36を設けることによって、スリーブ状部材17の帯電による電荷を除電することができる。
【0046】
粉体回収容器6は、粉体収容容器4と同様の箱形形状で、上面が開放され、その上面開口部にエアフィルタ27が設けられており、粉体収容容器4から粉体搬送流路10を通って搬送された粉状物8を回収する。この実施形態では、粉体回収容器6は、例えば鉄、ステンレス鋼などの導電性材料から形成されており、更にこの粉体回収容器6には、電荷を接地するためのアース手段38が設けられ、粉体回収容器6及びアース手段38が、除電領域18に配設される除電手段20を構成している。粉体回収容器6の底部にも支持脚部40が設けられており、この支持脚40を介して粉体回収容器6が工場の床面などに設置されている。
【0047】
この実施形態では、粉体回収容器6に回収された粉状物8が粉体戻し流路12を通して粉体収容容器4に戻されるように構成されている。粉体回収容器6の底部と粉体収容容器4の上部とは戻し管42を介して接続され、この戻し管42によって粉体戻し流路12が規定され、この粉体戻し流路12に戻しファン24及びバルブ26が配設されている。バルブ26を開状態にし、戻しファン24を作動させると、この戻しファン24の作用によって、粉体回収容器6内の粉状物8が粉体戻し流路12を通して矢印19で示す方向に送給されて粉体収容容器4に戻される。尚、バルブ26が閉状態のときには、粉体回収容器6内の粉状物8が粉体収容容器4に戻されることはない。戻し管42は、鉄又はステンレス鋼などの金属材料、或いはゴムなどの可撓性材料から形成されている。
【0048】
次に、この殺菌装置2を用いた粉状物8の殺菌処理について説明する。粉状物8(茶葉など)を殺菌するには、まず、予め粉砕された粉状物8を粉体収容容器4に収容し、搬送ファン22を作動させ粉体収容容器4内の粉状物8を粉体搬送流路10を通して粉体回収容器6に搬送すればよい。このように粉状物8を送給すると、粉状物8がスリーブ状部材17を通して搬送される間に、その内周壁面に接触乃至衝突し、この接触乃至衝突によって、スリーブ状部材17が特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電され、この帯電現象によって粉状物8がスリーブ状部材17と反対の特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電される。このとき、スリーブ状部材17は−50〜−70kV程度の高電位状態となり、空気流によって流れる粉状物8は+20〜+40kV程度の高電位状態になる。そして、このような高電位状態の粉状物8が排出管34を通って粉体回収容器6に回収される。粉体回収容器6においては、回収された粉状物は粉体回収容器6の内面(底面及び側面)に接触することによって、それに蓄積された電荷が粉体回収容器6及びアース手段38を介して地面に流れてアースされ、その電荷が除電される。このようにスリーブ状部材17との接触乃至衝突によって粉状物8に蓄積される電荷がそれに付着した細菌に作用し、スリーブ状部材17との摩擦等による帯電を利用して粉状物8に付着した細菌を死滅させることができる。尚、粉状物8を高電位状態に帯電させるときは、急激に帯電させるのが望ましく、電位の変動が急激に起こるほど粉状物8の殺菌効率を高めることができる。
【0049】
上述した殺菌処理では、粉体収容容器4内の粉状物8が粉体搬送流路10を通して粉体回収容器4に回収され、粉体搬送流路10、即ち帯電領域14を通る回数は一回であり、従って、粉状物8に対して一回の殺菌処理が行われる。殺菌装置2の殺菌効果を高めるためには、殺菌処理すべき粉状物8を粉体搬送流路10(即ち、帯電領域14)を通して複数回搬送するようにすればよく、例えば、次のようにして行うことができる。
【0050】
上述したようにして粉状物8に対して一回の殺菌処理を行うと、粉体収容容器4内の粉状物は粉体搬送流路10(即ち、帯電領域14)を通して粉体回収容器6に回収される(一回目の殺菌処理が終了すると、搬送ファン22の作動が停止する)。この粉状物8に対して2回(又は3回、4回・・・)の殺菌処理を行う場合、バルブ26を開状態にして戻しファン24を作動させる。かくすると、粉体回収容器6で除電された粉状物8は、戻しファン24の作用によって粉体戻し流路42を通して粉体収容容器4に戻され、粉体回収容器6内の全ての粉状物8が粉体収容容器4に戻されると、戻しファン24の作動を停止するとともに、バルブ26を閉状態にする。
【0051】
その後、再び、搬送ファン22を作動させて粉体収容容器4内の粉状物8を粉体搬送流路10(即ち、帯電領域14)を通して搬送して粉体回収容器6に回収すればよく、この粉状物8が帯電領域14のスリーブ状部材17内を通して搬送される際に、スリーブ状部材17の内周壁面との接触乃至衝突によって帯電されて高電位状態となり、その後粉体回収容器6に回収されると、粉状物8に蓄積された電荷が粉体回収容器6及びアース手段20を通して除電され、上述したと同様にして粉状物8への帯電及び除電が行われて電位が大きく変動し、粉状物8に対する殺菌処理が合わせて二回行われ、粉状物8に付着した細菌をより確実に死滅させることができる。殺菌処理の回数を多くする場合、上述した操作を繰り返し遂行すればよく、その回数を多くすることによって、殺菌効果をより高めることができる。
【0052】
上述した殺菌装置2では、粉体回収容器6に回収された粉状物8を粉体戻し流路12を通して粉体収容容器4に戻しているが、粉体戻し流路12及びこれに関連する構成要素(即ち、バルブ26及び戻しファン24など)を省略し、粉体回収容器6に回収された粉状物8を粉体収容容器4に作業者が移し替えるようにしてもよい。或いは、粉体収容容器4及び粉体回収容器6を実質上同じ構成とし、殺菌処理後の粉状物8が回収された粉体回収容器6を粉体搬送流路10の上流側に移動させて粉体収容容器4として用い、また粉状物8の搬送後の空の粉体収容容器4を粉体搬送流路10の下流側に移動させて粉体回収容器として用いるようにしてもよく、この場合、粉体収納容器4及び粉体回収容器6を交換するのみでよく、その作業が簡単となる。
【0053】
帯電手段の他の形態
次に、図2〜図5を参照して、帯電手段の他の形態について説明する。図2は、帯電手段の第1の変形形態を示す部分拡大図であり、図3は、帯電手段の第2の変形形態を一部断面で示す部分拡大断面図であり、図4は、帯電手段の第3の変形形態を一部断面で示す部分拡大断面図であり、図5は、第4の帯電手段を示す部分拡大図である。
【0054】
図2を参照して、第1の変形形態の帯電手段について説明すると、この電荷付与手段16Aは、内円筒状部材48と、この内円筒状部材48の外周側を覆う円筒状の外スリーブ状部材50から構成され、これら内円筒状部材48及び外円筒状部材50が電荷付与部材として作用する。内円筒状部材48の外周面と外スリーブ状部材50の内周面との間には環状空間53が規定され、この環状空間53が搬送経路として作用し、この環状空間53を通して粉状物8が搬送される。
【0055】
この電荷付与手段16Aを用いた場合、殺菌処理すべき粉状物8は内円筒状部材48及び外スリーブ状部材50の間の環状空間53を通して流れるので、粉状物8の帯電手段16A(内円筒状部材48の外周壁面及び外スリーブ状部材50の内周壁面)への接触乃至衝突の回数が多くなり、これによって、粉状物8がより帯電され易くなり、その結果、粉状物8をより効率よく帯電させることができ、これにより殺菌効率を高めることができる。尚、帯電手段16Aの外スリーブ状部材50及び内円筒状部材48は、同じ極性の帯電特性を有する材質、例えば同じ材質から構成されることが望ましい。
【0056】
また、図2に示す内円筒部材48に代えて、外スリーブ状部材50よりも外径が小さい円筒状の内スリーブ状部材(図示せず)を用いることもできる。内スリーブ状部材を用いた場合は、粉状物8が、この内スリーブ状部材及び外スリーブ状部材50の間の環状空間と、内スリーブ状部材の内周空間とを通して流れるので、粉状物8が内スリーブ状部材の外周壁面及び内周壁面並びに外スリーブ状部材50の内周壁面に接触乃至衝突する回数をより多くすることができる(この場合、外スリーブ状部材50及び内スリーブ状部材が電荷付与部材として作用する)。従って、粉状物8をより効率よく帯電させて殺菌効率をより高めることができる。尚、このような内円筒部材48又は内スリーブ状部材を外スリーブ状部材50内側に複数個設けるようにしてもよく、このように構成しても、粉状物8の殺菌効率を高めることができる。
【0057】
次に、図3を参照して、第2の変形形態の電荷付与手段について説明すると、帯電領域14Bに配設される電荷付与手段16Bは、円筒状のスリーブ状部材54と、このスリーブ状部材54の内側に配設された網状部材52とを備え、スリーブ状部材54が電荷付与部材として作用する。このスリーブ状部材54は粉体搬送流路を規定し、網状部材52は粉体搬送流路に矢印15で示す粉状物8の搬送方向に一枚、又は所定間隔を置いて複数枚設けられている(図3において一枚のみ示す)。
【0058】
この電荷付与手段16Bを用いた場合、殺菌処理すべき粉状物8は、スリーブ状部材54内を通り、網状部材52の網目56を通して流れるので、網状部材52と接触乃至衝突し、また網状部材52の網目56を通して流れることによりその流れが乱れてスリーブ状部材54の内周壁面との接触乃至衝突の回数が多くなる。従って、このような電荷付与手段16Bを用いた場合にも、上述したと同様に、粉状物8をより効率良く帯電させることができ、これにより殺菌効率を高めることができる。尚、この電荷付与手段16Bにおいても、スリーブ状部材54と網状部材52とを同じ極性の帯電特性を有する材質から形成するのが望ましい。
【0059】
次に、図4を参照して、第3の変形形態の電荷付与手段について説明すると、帯電領域14Cに配設される帯電手段16Cは、円筒状のスリーブ状部材54と、このスリーブ状部材54の内側に配設された攪拌部材55とを備え、スリーブ状部材54が電荷付与部材として作用する。攪拌部材55は、支持部材57によってスリーブ状部材54の内壁面に支持されている。このスリーブ状部材54が粉体搬送流路を規定し、攪拌部材55は粉体搬送流路内に矢印15で示す粉状物8の搬送方向に一個、又は所定間隔をおいて複数個設けられている。
【0060】
この電荷付与手段16Cを用いた場合、殺菌処理すべき粉状物8は、スリーブ状部材58内を通り、攪拌部材55に接触乃至衝突する。このとき、スリーブ状部材58内には搬送ファン22の吸引作用によって高速の空気流が発生しているので、その空気流によって攪拌部材55が回転している。それ故に、搬送経路を流れる粉状物8は高速回転する攪拌部材55に接触乃至衝突するようになり、これにより、粉状物8の流れが乱れてスリーブ状部材58の内周壁面との接触乃至衝突回数が多くなり、上述したと同様に、粉状物8を効率良く帯電させることができる。また、攪拌部材55による空気流の乱れを利用して、スリーブ状部材58の内周壁面に粉体物8が付着するの抑えることができる。スリーブ状部材58の内周壁面に粉状物8が付着すると、その内周壁面が粉状物8で被われ、このような状態では、搬送経路を流れる粉状物8が直接その内周壁面と接触乃至衝突することがなく、粉状物8が帯電され難くなってしまう。これに対して、スリーブ状部材58内に攪拌部材55を配設して空気流を乱すことによって、この乱れた空気流よって、スリーブ状部材58の内周壁面に付着した粉状物8が剥がれ、スリーブ状部材58の内周壁面が常に露出した状態に保つことができ、これによって、粉状物8を安定して効率良く帯電されることができる。尚、スリーブ状部材58の内周壁面に粉体物8が付着するのを防止することに関しては、電荷付与手段に振動付与手段を設け、この振動付与手段によって帯電手段に超音波振動を付与する、或いは機械的振動を付与するようにしてもよく、このような振動付与手段は、帯電手段の他の変形形態においても同様に適用することができる。
【0061】
また、この形態では、攪拌部材55は搬送ファン22の吸引作用による空気流を利用して回転させているが、スリーブ状部材58外部にモータなどの駆動源(図示せず)を設け、この駆動源の回転駆動力を利用して高速回転させるようにしてもよい。この場合は、搬送ファン22の吸引作用による場合よりも攪拌部材55を高速に回転させることができ、上述した作用を更に高めて粉状物8のスリーブ状部材58の内周壁面への接触乃至衝突回数をより多くして、殺菌効率を更に高めることができる。尚、この電荷付与手段16Cにおいても、スリーブ状部材58と攪拌部材55及び支持部材57とを同じ極性の帯電特性を有する材質から形成するのが好ましい。
【0062】
次に、図5を参照して、第4の変形形態の帯電手段について説明すると、この帯電手段16Eは、螺旋状に形成された円筒状のスリーブ状部材58から構成されており、このスリーブ状部材58が電荷付与部材として作用し、その内部に螺旋状の粉体搬送流路を規定する。
【0063】
この電荷付与手段16Dを用いた場合、粉状物8はスリーブ状部材58内の螺旋状の粉体搬送経路に沿って流れるので、粉状物8に遠心力が働き、スリーブ状部材58の内周壁面に沿いながら流れるようになる。従って、この場合においても、スリーブ状部材58の内周壁面に接触乃至衝突する回数が多くなり、このような電荷付与手段16Dを用いた場合においても、粉状物8をより効率良く帯電させることができる。
【0064】
また、上述した第1の実施形態及び電荷付与手段の変形形態においては、電荷付与手段を特定極性の帯電特性を有する電気的絶縁性を有する材質から形成しているが、導電特性を有する材質、例えば銅、ニッケルなど(これらは、マイナス極性の導電特性を有する傾向がある)や、例えば亜鉛など(これらは、プラス極性の導電特性を有する傾向がある)から形成するようにしてもよい。このような導電特性の材質、例えばマイナス極性の導電特性の材質から形成した場合、粉状物がスリーブ状部材の内周壁面と接触乃至衝突すると、その接触乃至衝突の際にはスリーブ状部材はマイナス極性に、また粉状物はプラス極性に瞬間的に帯電して高電位になるが、粉状物に帯電した電荷は接触乃至衝突ときにスリーブ状部材を通して流れるようになり、接触乃至衝突したときに瞬間的に発生する電位変動によって粉状物に付着した細菌を死滅させることができる。
【0065】
第2の実施形態
次に、図6を参照して、第2の実施形態の殺菌装置及び殺菌方法について説明する。図6は、第2の実施形態の殺菌装置を簡略的に示す概略図である。尚、以下の実施形態において、第1の実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図6において、図示の殺菌装置2Eは茶葉などの粉状物を殺菌する装置であって、粉状物8を収容する粉体収容容器4Eと、粉状物8を搬送するための粉体搬送流路10Eと、粉状物8を回収する粉体回収容器64とを備え、この粉体搬送流路10Eに沿って帯電領域14Eと除電領域18Eとが交互に設けられている。帯電領域14Eには電荷付与手段16Eが設けられ、除電領域18Eには除電手段20Eが設けられ、電荷付与手段16と除電手段20Eとが交互に2組並べられており、粉状物8を殺菌処理する際に帯電及び除電が繰り返して2回行われる。
【0067】
粉体収容容器4Eは、粉状物8を供給するための供給ホッパ66を備えており、供給ホッパ66に供給された粉状物8が粉体収容容器4E内に投入される。粉体収容容器4Eは、この形態においても箱型形状を有しており、鉄又はステンレス鋼などの金属材料から形成され、所定量の粉状物8を収容できるように構成されている。また、粉体収容容器4Eには、粉体収容容器4Eから粉状物8を送給するための送給口68が設けられ、この送給口68にバルブ70が設けられ、バルブ70を通して粉体搬送流路10Eが粉体回収容器64に延びている。このバルブ70には空気導入部71及び粉体吸入部73が連通され、空気導入部71を通して流入する空気流によって粉体吸入部73を通して粉状物8は吸入される。また、粉状物8を粉体回収容器64に回収するための排出管60(粉体搬送流路10Eの一部を構成する)には搬送ファン62が配設されている。バルブ70は、粉体収容容器4Eに粉状物8を投入するときは閉状態に保持され、粉状物8を粉体搬送流路10Eを通して搬送するときには開状態に保持され、この搬送時に搬送ファン62が作動される。尚、粉体収容容器4Eには、工場の床面などに設置支持脚72が設けられている。
【0068】
各帯電領域14Eに設けられた電荷付与手段16Eは、特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)の帯電特性を有する第1スリーブ状部材17(電荷付与部材を構成する)から構成され、この第1スリーブ状部材17は粉体搬送流路10Eの一部を規定し、この第1スリーブ状部材17に関連して、帯電調整/除電手段36が設けられ、この帯電調整/除電手段36は、図1の殺菌装置2のスリーブ状部材17に関連して設けられた帯電調整/除電手段36と実質上同一の構成でよい。
【0069】
電荷付与手段手段16Eとして特定極性の帯電特性を有する第1スリーブ状部材17を用いた場合、そこを搬送される粉状物8は特定極性と反対極性に帯電されるようになり、粉状物8をマイナス極性に帯電させたい場合は、第1スリーブ状部材17は、プラス極性の帯電特性を有する材質、例えばナイロン材、ガラス材などから形成され、粉状物8をこれとは反対にプラス極性に帯電させたい場合は、第1スリーブ状部材17は、マイナス極性の帯電特性を有する材質、例えばフッ素樹脂材(例えばポリテトラフルオロエチレン)、塩化ビニール材などから形成される。
【0070】
各除電手段20Eは、電気的導電特性を有する材質、例えば鉄、ステンレス鋼などから形成された第2スリーブ状部材21(電荷除去部材を構成する)を含み、この第2スリーブ状部材21に除電手段20Eの一部を構成するアース手段38Eが設けられている。第2スリーブ状部材21は粉体搬送流路10Eの一部を規定し、この第2スリーブ状部材21を通して搬送される際にその内周壁面に接触乃至衝突することによって、粉状体8に蓄積された電荷が第2スリーブ状部材21に流れ、この第2スリーブ状部材21及びアース手段38Eを介して地面にアースされ、このようにして粉状物8に蓄積した電荷が除電される。
【0071】
この形態では、粉体搬送流路10Eに沿って電荷付与手段16E及び除電手段20Eが2組設けられ、粉状物8に対する帯電、除電が繰り返し2回行われるが、この粉体搬送流路10Eに沿って電荷付与手段手段16E及び除電手段20Eを3組以上並べて配置するようにしてもよく、かかる場合、粉状物8に対する帯電及び除電を3回以上繰り返して行うことができ、このようにすることによって粉状物8に対する殺菌効果を更に高めることができる。
【0072】
また、粉体回収容器64は、箱形形状を有しており、鉄又はステンレス鋼などの金属材料などから形成され、その上面開口部にはエアフィルタ27が設けられており、また、アース手段(図示せず)によって接地されているのが好ましい。粉体搬送流路10Eを通して搬送される間に殺菌処理された粉状物8は、この粉体回収容器64内に回収される。
【0073】
次に、この殺菌装置2Eを用いた殺菌処理について説明する。まず、殺菌処理すべき粉状物8を供給ホッパ66から粉体収容容器4E内に投入する。そして、バルブ70を開状態とし、搬送ファン62を作動させる。このようにすると、搬送ファン62の吸引作用によって空気導入部71からの空気流によって粉体吸入部73を通して粉状物8が吸引され、粉体収容容器4E内の粉状物8がこの空気流に乗ってバルブ70を通して粉体搬送流路10Eに送給され、かく送給された粉状物8は、第1番目(上流側)の帯電領域14E及び除電領域18Eを通り、次いで第2番目(下流側)の帯電領域14E及び除電領域18Eを通り、更に排出管60を通して粉体回収容器64に回収される。粉状物8が帯電領域14Eを通して搬送される際には、上述したと同様に、粉状物8が第1スリーブ状部材17(電荷付与部材)の内周壁面に接触乃至衝突することによって帯電されて高電位状態となり、また帯電された粉状物8が除電領域18Eを通して搬送される際には、粉状物8が第2スリーブ状部材21(電荷除去部材)の内周壁面に接触乃至衝突することによって、蓄積された電荷が粉状物8から第2スリーブ状部材21及びアース手段38Eを通して地面に流れ、粉状物8に蓄積された電荷が除電される。従って、粉状物8が上流側の帯電領域14E及び除電領域18Eを通して搬送される間に、粉状物8に対する帯電及び除電が一回行われ、次に下流側の帯電領域14E及び除電領域18Eを通して搬送される間に、粉状物8に対する帯電及び除電が再度行われ、このように帯電及び除電による電位変動が2回繰り返し遂行されるので、粉状物8に対する殺菌処理も2回行われ、かくして、粉状物8に付着した細菌の殺菌をより効率良く確実に行うことができる。
【0074】
この実施形態における電荷付与手段16Eを構成する第1スリーブ状部材17(電荷付与部材)及び除電手段18Eの一部を構成する第2スリーブ状部材21(電荷除去部材)(この場合、第2スリーブ状部材21は導電特性の材質から形成される)のいずれか一方又は双方を、図2〜図5に示した電荷付与手段と実質上同様の構成とすることもできる。
【0075】
また、この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、電荷付与手段16Eを構成する第1スリーブ状部材17を導電特性を有する材質から形成するようにしてもよい。
【0076】
第3の実施形態
次に、図7を参照して、第3の実施形態の殺菌装置及び殺菌方法について説明する。図7は、第3の実施形態の殺菌装置を簡略的に示す概略図である。
【0077】
図7において、図示の殺菌装置2Fは抹茶などの粉状物を殺菌する装置であって、粉体収容容器4Eと、粉体回収容器64と、粉体収容容器4Eから粉体回収容器64に延びる粉体搬送流路10Fと、この粉体搬送流路10Fの大部分をバイパスしてその上流端部及び下流端部に接続された粉体戻し流路74とを備えており、粉体収容容器4E及び粉体回収容器64は、上述した第3の実施形態のものと実質上同一である。
【0078】
この第4の実施形態では、粉体搬送流路10Fに沿って第1帯電領域94及び第2帯電領域96が設けられている。第1帯電領域94には第1電荷付与手段86が設けられ、第2帯電領域96には第2電荷付与手段88が設けられ、これら第1及び第2電荷付与手段86,88は粉状物8の矢印102で示す搬送方向に隣接して配置されている。
【0079】
第1電荷付与手段86は、粉状物8を特定極性、例えばプラス極性(又は、マイナス極性)に帯電させるためのものであり、特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)の帯電特性を有する第1スリーブ状部材90(第1電荷付与部材を構成する)から構成され、この第1電荷付与手段86に関連して、その帯電状態を調整するための帯電調整/除電手段36が設けられている。また、第2電荷付与手段88は、粉状物8を特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電させるためのものであり、特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)の帯電特性を有する第2スリーブ状部材92(第2電荷付与部材を構成する)から構成され、この第2電荷付与手段88に関連して、その帯電状態を調整するための帯電調整/除電手段36が設けられている。尚、帯電調整/除電手段36は、第1の実施形態における帯電調整/除電手段36と実質上同一の構成のものでよい。
【0080】
粉体戻し流路74は、第1帯電領域94及び第2帯電領域96を通して搬送された粉状物8を再びこの第1帯電領域94の上流側に戻すための流路であり、その一端側は第1帯電領域94の上流側に接続され、その他端側が第2帯電領域96の下流側に接続されている。この粉体戻し流路74には、粉状物8を矢印104で示す方向に戻すための戻しファン84が設けられている。
【0081】
また、粉体収容容器4Eの送給口68には第1バルブ76が設けられ、この第1バルブ76に空気導入部71及び粉体吸入部73が連通されており、また第2帯電領域96と排出管60との間には第2バルブ78が設けられている。更に、粉体戻し流路74の他端側接続部位(粉体戻し流路74の上流側部)には第3バルブ80が設けられ、粉体戻し流路74の一端側接続部位(粉体戻し流路74の下流側部)には第4バルブ82が設けられている。また、第2バルブ82の上流側には分岐戻し流路81が接続され、その分岐戻し流路81が粉体収容容器4Eに延びており、この分岐戻し流路81に第5バルブ83が配設されている。更に、第3バルブ80の下流側には空気導入流路85が接続され、この空気導入流路85に第6バルブ87が配設されている。例えば、粉体収容容器4E内の粉状物8を粉体搬送流路10Fを通して粉体回収容器64に回収するときには、第1及び第2バルブ76,78が開状態に保持される(第3及び第4バルブ80,82は閉状態に保持される)とともに、搬送ファン62が作動され、搬送ファン62に吸引作用によって、空気導入部71を通して空気が導入され、この導入空気流によって粉体吸入部73を通して粉状物8が吸入され、かく吸入された粉状物8が粉体搬送流路10(第1及び第2帯電領域94,96)を通して粉体回収容器64に搬送される。また、例えば、粉体収容容器4Eから送給された粉状物8を粉体戻し流路74を通して循環させるときには、第3及び第4バルブ80,82が開状態に保持される(第1、第2、第5及び第6バルブ76,78,83,87は閉状態に保持される)とともに、戻しファン84が作動され、戻しファン84の吸引作用によって、粉状物8が粉体搬送流路10F(第1及び第2帯電領域94,96)及び粉体戻し流路74を通して循環される。
【0082】
次に、この殺菌装置2Fを用いた粉状物8に対する殺菌処理について説明する。殺菌処理を行うに際し、殺菌処理すべき粉状物8を供給ホッパ66を通して粉体収容容器4E内に投入する。そして、第1、第3及び第5バルブ76,80,83を開状態に、第2及び第6バルブ78,87を閉状態にして、戻しファン84を作動させる。このよう作動させると、戻しファン84の吸引作用によって空気導入部71を通して空気流が発生し、粉体収容容器4E内の粉状物8が粉体吸入部73を通してこの空気流とともに送給され、粉体搬送流路10Fを通って粉体戻し流路74及び分岐戻し流路81に流れる。このようにして所定量の粉状物8が送出されると、第1及び第5バルブ76,83を閉状態に、第4バルブ82を開状態にして粉体収容容器4Eからの粉状物8の送給を停止する。このようにすると、粉体収容容器4Eから送出された粉状物8は、粉体搬送流路10F及び粉体戻し流路74を通して循環され、かく循環される間に、第1帯電領域94及び第2帯電領域96を通して流れる。
【0083】
粉状物8が第1帯電領域94を通して流れる際には、上述したと同様に、粉状物8が第1スリーブ状部材90(第1電荷付与部材)の内周壁面に接触乃至衝突することによって特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電されて高電位状態になり、また粉状物8が第2帯電領域96を通して流れる際には、粉状物8が第2スリーブ状部材92(第2電荷付与部材)の内周壁面に接触乃至衝突することによって特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電されて高電位状態になる。従って、粉体搬送流路10F及び粉体戻し流路76を通して循環される間、粉状物8は特定極性及び特定極性と反対極性に繰り返し帯電され、このように帯電による電位状態の変動の繰り返しによって、粉状物8の殺菌を効率よく行うことができる。
【0084】
粉状物8の殺菌処理が終了した後は、戻しファン84の作動を停止する。そして、第1、第3及び第5バルブ76,80,83を閉状態に、第2、第4及び第6バルブ78,82,87を開状態にし、搬送ファン62を作動させる。このように操作すると、粉体戻し流路74及び粉体搬送流路10F内の粉状物8(殺菌処理されたもの)は、排出管60を通して粉体回収容器64に送給され、このようにして殺菌処理した粉体物8が粉体回収容器64に回収される。
【0085】
この実施形態においても、第2の実施形態と同様に、第1スリーブ状部材90(第1電荷付与部材)及び/又は第2スリーブ状部材92(第2電荷付与部材)として、図2〜図5に示した電荷付与手段と同様の形態のものを用いるようにしてもよい。
【0086】
また、この実施形態においても、上述した実施形態と同様に、第1電荷付与手段86の第1スリーブ状部材90を電気的絶縁性を有する材質でなく、導電特性を有する材質(例えば、銅などのような特定極性と反対極性の帯電特性を有する導電性材料)から形成するようにしてもよい。また、第2電荷付与手段88の第2スリーブ状部材94も電気的絶縁性を有する材質でなく、導電特性を有する材質(例えば、亜鉛などのような特定極性の帯電特性を有する導電性材料)から形成するようにしてもよい。
【0087】
また、粉状物8を特定極性に帯電させるための第1電荷付与手段86と粉状物8を特定極性と反対極性に帯電するための第2電荷付与手段88との組合せは、第2の実施形態においても、電荷付与手段と除電手段との組合せに代えて同様に用いることができる。尚、この第3の実施形態においては、第1及び第2電荷付与手段86,88の組合せに代えて、第2の実施形態と同様の電荷付与手段と除電手段の組合せを適用するようにしてもよい。
【0088】
第4の実施形態
次に、図8を参照して、第4の実施形態の殺菌装置及び殺菌方法について説明する。図8は、第4の実施形態の殺菌装置を簡略的に示す概略図である。
【0089】
図8において、図示の殺菌装置2Gは気体中の細菌、例えば空気中に含まれた粉塵に付着した細菌を殺菌するための装置であって、ハウジング98と、粉状物としての粉塵を含む気体(例えば、室内などの周囲空気)をハウジング98内に吸い込む吸込み部100と、吸込み部100に配設された吸引ファン102と、吸込み部100から分岐した第1〜第4分岐流路104,106,108,110と、を備え、第1〜第4分岐流路104〜110にそれぞれ第1電荷付与手段86及び第2電荷付与手段88が設けられている。
【0090】
ハウジング98は、直方体形状をしており、その底部に工場や家屋の室内に設置するための支持脚112が設けられている。ハウジング98の上部には吸込み口100が設けられ、この吸込み口100から吸引された気体、即ち周囲の空気は下方に強制的に送給され、第1〜第4分岐流路104〜110を通してハウジング98の底部から送出される。
【0091】
第1〜第4流路104〜110に配設された第1及び第2電荷付与手段86,88は、図6の第3の実施形態における第1及び第2電荷付与手段86,88と実質上同一のものでよく、第1電荷付与手段86は空気に含まれる粉塵(及び空気中の細菌)を特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電し、第2電荷付与手段88は気体中の粉塵(及び空気中の細菌)を特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電する。尚、上述したと同様に、第1及び第2電荷付与手段86,88に関連して、その帯電状態を調整するための帯電調整/除電手段36が設けられる。
【0092】
次に、この殺菌装置2Gを用いた気体の清浄化処理について説明する。周囲の空気(例えば、室内空気)を殺菌処理するには、吸気ファン102を作動させればよい。かくすると、周囲の空気が吸込み口100から吸引され、かく吸引された気体は第1〜第4分岐流路104〜110を通して流れる。第1帯電領域94を通して流れる際には、第1電荷付与手段86によって、空気中に含まれた粉塵(及び空気中の細菌)が特定極性、例えばプラス極性(又はマイナス極性)に帯電されて高電位状態となり、その後第2帯電領域96を通して流れる際には、第2電荷付与手段96の作用によって、空気中に含まれた粉塵が特定極性と反対極性、例えばマイナス極性(又はプラス極性)に帯電されて高電位状態となる。従って、空気が第1〜第4分岐流路104〜110を通して流れることによって、空気中の粉塵(及び空気中の細菌)の電位状態が大きく変動し、これによって粉塵に付着した細菌(及び空気中の細菌)が死滅し、かくして、気体を殺菌処理して清浄化することができる。
【0093】
この実施形態において、第1〜第4分岐流路104〜110(これら1つ以上の流路)にバイパス流路を設け、分岐流路から排出される空気の一部を吸込み口100側に戻して循環させるようにしてもよい。
【0094】
尚、この形態においては、吸込み口100から吸引した空気を4つの分岐流路104〜110に分配して流しているが、こような分岐流路の数を適宜設定することができる。また、このような殺菌装置においても、第1及び第2電荷付与手段86,88を複数組直列的に配設してもよく、或いはこれらの組合せに代えて、電荷付与手段及び除電手段の組合せを用いるようにしてもよい。また、第1電荷付与手段86及び/又は第2電荷手段88として導電特性を有する材質から形成するようにしてもよい。
【0095】
第5の実施形態
次に、図9を参照して、第5の実施形態の殺菌装置及び殺菌方法について説明する。図9は、第5の実施形態の殺菌装置を簡略的に示す概略図である。第1及び第2の実施形態では、帯電領域と除電領域とが別個の領域に設けられているが、この第5の実施形態では帯電領域と除電領域とが同じ領域に設けられている。
【0096】
図9において、図示の実施形態の殺菌装置2Hは、茶葉などの粉状物8を殺菌処理するための循環ファン装置302を備え、この循環ファン装置302はファンケース304を有し、このファンケース304内にファン306が配設されている。ファンケース304の外側には電動モータの如き駆動源310が設けられ、この駆動源310がファン306に駆動連結されている。
【0097】
ファンケース304には流出口312及び流入口314が設けられ、この流出口312と流入口314とが、循環流路を規定する循環パイプ316(電荷付与部材を構成する)を介して接続されている。この実施形態では、循環パイプ316の下部には、排出流路を規定する排出パイプ318が接続され、この排出パイプ318の排出側に粉体回収容器320が設けられている。また、循環パイプ316の上部には、粉状物8を投入するための投入部322が設けられ、この投入部322には上蓋324が実線で示す閉位置と一点鎖線で示す開位置との間を開閉自在に装着され、上記開位置に位置付けることによって、この投入部322を通して粉状物8を環状パイプ316内に投入することができ、上記閉位置に位置付けることによって、投入部322を密封することができる。環状パイプ316の一部には、更に、空気導入パイプ326が接続され、この空気導入パイプ326を通して後述する如く空気が導入される。
【0098】
この実施形態では、排出パイプ318に第1バルブ328が配設され、空気導入パイプ326に第2バルブ330が配設されている。また、循環パイプ316における、排出パイプ318の接続部位と空気導入パイプ326の接続部位との間の部位には、第3バルブ332が配設されている。粉状物8を殺菌処理するときには、第3バルブ332が開状態に保持され(第1及び第2バルブ328,330は閉状態に保たれる)、殺菌処理後に粉状物8を排出するときには、第1及び第2バルブ328,330が開状態に保持される(第3バルブ332は閉状態に保たれる)。
【0099】
また、この実施形態では、ファンケース304及び環状パイプ316が帯電領域に配設された帯電手段及び除電領域に配設された除電手段として機能し、ある期間(例えば、第1期間)において帯電手段として機能し、ある期間と異なる期間(例えば、第2期間)において除電手段として機能するように構成されている。このような構成に関連して、ファンケース304及び環状パイプ316(更には、ファン306)は導電特性を有する金属材料、例えば銅などから形成され、ファンケース304及び環状パイプ316(更には、ファン306)がアース手段334を介して地面に電気的に接地され、このアース手段334のアースライン336にスイッチ手段338が設けられている。アース手段334のスイッチ手段338が開状態(オフ)であるときには、ファンケース304及び環状パイプ316(更には、ファン306)からの電荷が地面に流れず、ファンケース304及び環状パイプ316は後述する如く電荷付与手段として機能し、またスイッチ手段338が閉状態(オン)であるときには、ファンケース304及び環状パイプ316(更には、ファン306)からの電荷がアースライン336及びスイッチ手段338を介して地面に流れ、ファンケース304及び環状パイプ316が除電手段として機能する。
【0100】
次に、この殺菌装置2Hを用いた粉状物8の殺菌処理について説明する。粉状物8を殺菌処理するには、上蓋324を開状態にし、投入部322を通して粉状物8を環状パイプ316内に投入し、この上蓋324を閉状態した後駆動モータ318を駆動すればよい。このとき、第3バルブ332は開状態に保持され(第1及び第2バルブ328,330は閉状態に保持される)、かかる状態において駆動モータ318によってファン306が所定方向に回動すると、ファン314により生じる空気流により粉状物8が矢印で示すように環状パイプ316を通して循環される。このように粉状物8が循環移動すると、粉状物8がファンケース304及び循環パイプ316の内壁面と接触乃至衝突し、この接触乃至衝突によってファンケース304及び循環パイプ316は特定極性と反対極性(例えば、マイナス極性)に、また粉状物8は特定極性(例えば、プラス極性)に瞬間的に帯電し、帯電した電荷はファンケース304及び循環パイプ316を通して流れるようになる。従って、ファンケース304及び循環パイプ316並びに粉状物8は接触乃至衝突したときに瞬間的に高電位状態となった後に電位が下がり、この電位変動でもって粉状物8に付着した細菌が死滅し、これによって粉状物8の殺菌を行うことができる。尚、このとき、アース手段334のスイッチ手段338は開状態に保持されているので、ファンケース306及び環状パイプ316などの電荷が地面に流れることはない。
【0101】
スイッチ手段338を開状態に保持した状態で所定時間処理した(電荷付与手段として機能させた)後に、スイッチ手段338を閉状態にする。かく閉状態にすると、ファンケース306及び循環パイプ316(更には、ファン306)の電荷がアース手段320を介して地面に流れ、また粉状物8がファンケース306及び循環パイプ316(更には、ファン306)の内壁面に接触乃至衝突することによって、粉状物8の電荷もファンケース306及び循環パイプ316(更には、ファン306)を介して地面に流れ、ファンケース304及び循環パイプ316(更には、ファン306)の電荷が除電されるとともに、粉状物8に蓄積された電荷も除電され、それらの電位状態が元の状態に戻る。このスイッチ手段338の開閉を繰り返すことによって、ファンケース304及び循環パイプ316(更には、ファン306)を電荷付与手段及び除電手段として機能させ、粉状物8に対する帯電及び除電を繰り返し行うことができ、この第5の実施形態においても、粉状物8に対する殺菌を所要の通りに行うことができる。
【0102】
このようにして殺菌処理が行われた後、第3バルブ332が閉状態に切り換えられるとともに、第1及び第2バルブ328,330が開状態に切り換えられる。かくすると、空気導入部326を通して外気が循環パイプ316内に導入され、かく導入された空気は循環パイプ316、ファンケース304、循環パイプ316及び排出パイプ318を通して流れ、循環パイプ316及びファンケース304内の殺菌処理済み粉状物8が粉体回収容器320に回収される。
【0103】
尚、この実施形態においても、循環パイプ316の一部に図2〜図5に示すような電荷付与手段を適用して紛状物8への帯電効果を更に高めるようにしてもよい。
実施例
上述した殺菌装置の殺菌効果を確認するために、次の通りの実験を行った。この確認実験では、図1の殺菌装置を簡略化した図10に示す形態の殺菌装置を用いて行った。図10において、殺菌処理すべき粉体物を吸引するために吸引装置202を用い、この吸引装置202の吸引部に吸引管204(電荷付与手段を構成するスリーブ状部材として作用する)を取り付けた。また、殺菌処理すべき粉状物205を収容容器207に収容し、内蔵された搬送ファン208の作用によって、吸引管204を通して吸引した粉状物205を吸引装置202に内蔵された回収容器210に回収した。また、吸引装置202の回収容器210をアース手段212を介して地面に接地し、粉状物205に蓄積された電荷を地面に流れるようにした。また、今回の実験においては実験時間が短時間であるため帯電調整/除電手段を省略した。この殺菌装置の各種構成要素の具体的パラメータは次の通りであった。
【0104】
電荷付与手段(スリーブ状部材):外径50mm、内径25mm、長さ70cm
材質:ナイロン(プラス極性の帯電特性を有する)
回収容器:内径30cm、高さ30cm
材質:ステンレス
粉体物:抹茶500g(粒径10〜60μm)
搬送ファンの吸引量:1分間当たり抹茶1kg
搬送ファンの吸引能力:1.75m/分
上述した条件で殺菌装置を作動させ、殺菌前と殺菌後の抹茶の一般細菌数を調べた。検査は食品衛生検査指針に準拠して行った。具体的には、標準平板菌数測定法に基づき、抹茶10gを試料として滅菌希釈液90mlを加えた10倍希釈液を用い、標準寒天培地で35±1℃、48時間培養して生菌数を測定した。
【0105】
まず、殺菌前では一般細菌数が、34,000個/g検出された。抹茶の殺菌処理は、搬送ファンを作動させて抹茶を吸引して電荷付与手段(スリーブ状部材としての吸引管)に通し、抹茶をマイナス極性に帯電させた。帯電した抹茶を接地された回収容器に回収し、その帯電電荷を回収容器及びアース手段を介して除電させた。次に、回収容器に回収された抹茶を手作業によって収容容器に戻し、再び搬送ポンプを作動させて抹茶を電荷付与手段を通して流して帯電し回収容器に回収してその電荷を除電させた。これらの動作を25回繰り返して行い、抹茶に対する帯電及び除電による殺菌処理を25回行った。吸引装置によって抹茶を吸引したときの抹茶の静電圧及び帯電手段の静電圧を測定すると、抹茶の静電圧は約−30kVであり、電荷付与手段の静電圧は約+60kVであった。そして、殺菌処理後の一般細菌数は、470個/g検出された。殺菌処理後の一般細菌数の割合は、殺菌処理前の一般細菌数に対して1.38%であった。
【0106】
この実験結果から、電荷付与手段による帯電作用、即ちスリーブ状部材の内周壁面との接触乃至衝突による帯電作用によって、抹茶を急激に高電位状態に帯電させ、その後に元の電位状態に戻して電位変動を与えることによって、抹茶に付着した一般細菌を死滅させて殺菌できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1の実施形態の殺菌装置を簡略的に示す概略図である。
【図2】帯電手段の第1の変形形態を示す部分拡大図である。
【図3】帯電手段の第2の変形形態を示す部分拡大図である。
【図4】帯電手段の第3の変形形態を示す部分拡大図である。
【図5】帯電手段の第4の変形形態を示す部分拡大図である。
【図6】第2の実施形態の殺菌装置を簡略的に示す概略図である。
【図7】第3の実施形態の殺菌装置を簡略的に示す概略図である。
【図8】第4の実施形態の殺菌装置を簡略的に示す概略図である。
【図9】第5の実施形態の殺菌装置を簡略的に示す概略図である。
【図10】実験に用いた殺菌装置を簡略的に示す図である。
【符号の説明】
【0108】
2,2E,2F,2G,2H 殺菌装置
4,4E 粉体収容容器
6,64 粉体回収容器
8 粉状物
14,14A,14B,14C,14D,14E 帯電領域
16,16A,16B,16C,16D,16E 電荷付与手段
18,18E 除電領域
20,20E 除電手段
36 帯電調整/除電手段
38,38E,220 アース手段
48 内円筒状部材
52 網部材
55 攪拌部材
74 粉体戻し流路
86 第1電荷付与手段
88 第2電荷付与手段
94 第1帯電領域
96 第2帯電領域
98 ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体流によって移動する粉状物を帯電するための帯電領域が設けられ、前記帯電領域において、気体流によって移動する粉状物が電荷付与部材に接触乃至衝突して静電的に帯電され、粉状物への帯電によってこれに付着した細菌が殺菌されることを特徴とする殺菌装置。
【請求項2】
前記帯電領域に加えて、粉状物に帯電した電荷を除電するための除電領域が設けられ、前記除電領域には除電手段が設けられており、前記帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が前記電荷付与部材に接触乃至衝突して静電的に帯電され、前記除電領域においては、前記除電手段によって粉状物に帯電した電荷が除電され、粉状物に対する帯電及び除電が1回又は複数回行われることを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
前記帯電領域及び前記除電領域は、粉状物を搬送するための搬送経路に沿って設けられ、前記帯電領域に前記電荷付与部材が設けられ、前記除電領域に電荷除去部材が設けられ、前記帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が前記電荷付与部材に接触乃至衝突して静電的に帯電され、前記除電領域においては、気体流によって移動する粉状物が前記電荷除去部材に接触乃至衝突して粉状物に帯電した電荷が除電されることを特徴とする請求項2に記載の殺菌装置。
【請求項4】
前記電荷付与部材は、特定極性の帯電特性を有する又は導電特性を有し、且つ前記帯電領域を規定しており、また前記電荷除去部材は、導電特性を有し、且つ前記除電領域を規定し、前記電荷除去部材にアース手段が設けられており、前記帯電領域においては、粉状物は前記電荷付与部材を通して搬送され、前記除電領域においては、粉状物は前記電荷除去部材を通して搬送されることを特徴とする請求項3に記載の殺菌装置。
【請求項5】
前記電荷付与部材に関連して、前記電荷付与部材の帯電状態を調整乃至除電するための帯電調整/除電手段が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の殺菌装置。
【請求項6】
粉状物を特定極性に帯電するための第1帯電領域と、粉状物を前記特定極性と反対極性に帯電するための第2帯電領域とが設けられ、前記第1帯電領域には前記特定極性に帯電させるための第1電荷付与部材が設けられ、前記第2帯電領域には前記特定極性と反対極性に帯電させるための第2電荷付与部材が設けられており、
前記第1帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が前記第1電荷付与部材に接触乃至衝突して前記特定極性に静電的に帯電され、前記第2帯電領域においては、気体流によって移動する粉状物が前記第2電荷付与部材に接触乃至衝突して前記特定極性と反対極性に静電的に帯電され、粉状物の前記特定極性への帯電及び前記特定極性と反対極性への帯電が1回又は複数回行われ、これによって粉状物に付着した細菌が殺菌されることを特徴とする殺菌装置。
【請求項7】
前記第1帯電領域及び前記第2帯電領域は、粉状物を搬送するための搬送経路に沿って設けられ、前記第1電荷付与部材が前記第1帯電領域を規定し、前記第2電荷付与部材が前記第2帯電領域を規定しており、前記第1帯電領域においては、気体流によって移動される粉状物は前記第1電荷付与部材を通して搬送され、前記第2帯電領域においては、気体流によって移動される粉状物は前記第2電荷付与部材を通して搬送されることを特徴とする請求項6に記載の殺菌装置。
【請求項8】
前記第1電荷付与部材は、前記特定極性と反対極性の帯電特性を有する又は導電特性を有し、前記第2電荷付与部材は、前記特定極性の帯電特性を有する又は導電特性を有することを特徴とする請求項7に記載の殺菌装置。
【請求項9】
前記第1及び第2電荷付与部材の少なくともいずれか一方に関連して、帯電状態を調整乃至除電するための帯電調整/除電手段が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の殺菌装置。
【請求項10】
粉状物は、気体流によって流れる粉状体又は気体流に含まれた粉塵であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の殺菌装置。
【請求項11】
粉状物を帯電させるための帯電領域に電荷付与部材を設け、気体流によって移動する粉状物を前記電荷付与部材に接触乃至衝突させて静電的に帯電させ、粉状体への帯電によってこれに付着した細菌を殺菌することを特徴とする殺菌方法。
【請求項12】
気体流によって移動される粉状物を特定極性に帯電させるための第1帯電領域と、粉状物を前記特定極性と反対極性に帯電させるための第2帯電領域を通して搬送し、前記第1帯電領域においては、粉状物を第1電荷付与部材に接触乃至衝突させて前記特定極性に帯電させ、前記第2帯電領域においては、粉状物を第2電荷付与部材に接触乃至衝突させて前記特定極性と反対極性に帯電させ、粉状物の前記特定極性への帯電及び前記特定極性と反対極性への帯電を1回又は複数回行うことによって粉状物に付着した細菌を殺菌することを特徴とする殺菌方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−158381(P2006−158381A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109393(P2005−109393)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(501124957)
【Fターム(参考)】